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JP2000355603A - 水性樹脂分散体の製造方法 - Google Patents

水性樹脂分散体の製造方法

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JP2000355603A
JP2000355603A JP16753099A JP16753099A JP2000355603A JP 2000355603 A JP2000355603 A JP 2000355603A JP 16753099 A JP16753099 A JP 16753099A JP 16753099 A JP16753099 A JP 16753099A JP 2000355603 A JP2000355603 A JP 2000355603A
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JP
Japan
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polymerizable monomer
resin dispersion
aqueous resin
emulsifier
weight
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JP16753099A
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Kazuhiko Nakamura
和彦 中村
Kenji Miyata
賢二 宮田
Akio Ito
彰男 伊藤
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐水性に優れる塗膜の形成を可能とする水性樹
脂分散体の製造方法を提供する。 【解決手段】酸性基を有する重合性単量体およびこれと
共重合可能な他の重合性単量体を含む重合性単量体成分
の一部を乳化剤の存在下に仕込み投入した重合性単量体
成分の80重量%以上を重合させる初期重合工程と、残
部の重合性単量体成分を重合させる本重合工程と、から
なる水性樹脂分散体の製造方法であり、全工程で使用す
る酸性基を有する重合性単量体の合計使用量を全重合性
単量体成分に対して0.1〜5重量%とするとともに、
初期重合工程において全重合性単量体成分の5〜30重
量%を用い、全工程で使用する乳化剤の合計使用量を全
重合性単量体成分に対して1〜3.5重量%とするとと
もに、初期重合工程において全乳化剤の35〜95重量
%を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水性を要する塗
料やコーティング剤等に用いられる水性樹脂分散体に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、無公害性、火災の危険性の少ない
こと等の利点から、塗装用塗料、構造物の表面保護剤、
耐水性や耐侯性の低い基材のコーティング剤等として、
水性樹脂分散体が配合された水性塗料が汎用されてい
る。水性樹脂分散体は、通常、親水性物質である乳化剤
を必要とする乳化重合で得られ、しかも、得られた水性
樹脂分散体の安定性を確保するためには、乳化剤を多く
使用したり、酸性基を有する単量体を共重合させたりす
るのが一般的である。ところが、乳化剤や酸性基を有す
る単量体のような親水性成分は、塗膜の耐水性、具体的
には耐透水性、耐吸水性、耐水白化性等を低下させると
いう欠点があった。
【0003】そこで、塗膜の耐水性を改良するために、
水性樹脂分散体について種々の検討が行われている。そ
の1つの手法として、親水性成分である乳化剤や酸性基
を有する成分の低減と、水性樹脂分散体の小粒子径化と
が考えられる。すなわち、親水性成分を低減し、小粒子
径化により緻密な塗膜を形成することによって、塗膜内
への水の浸入量を減らし、しかも、小粒子径化により粒
子間隙間を微分散させることによって、浸入した水の局
在化により生じる白化を防ぐことが期待される。
【0004】しかし、単に親水性成分を減らした場合に
は、水性樹脂分散体の重合時の安定性や機械的安定性、
化学的安定性が著しく低下するという問題を生じる。こ
のような場合でも、粒子径を大きくすれば安定な水性樹
脂分散体が得られるが、粒子径を大きくすると耐水性が
低下することとなる。また、水性樹脂分散体を小粒子径
化することについては、例えば、特開平10−1827
06号公報に、粒子径が小さく、残留モノマーの少ない
水分散型樹脂組成物の製造方法が提案されているが、同
号公報提案のものは、その製造に乳化活性をもつ水溶性
ポリマーが大量に使用されているために、耐水性は期待
できない。特開平9−302006号公報には、平均粒
子径1〜50nmの超微粒子であり、かつ乳化剤含有量
の少ないポリマーラッテクスの製造方法が提案されてい
るが、同号公報提案のものは、固形分が極めて低いた
め、経済性が低く、実用性に欠けるという問題があっ
た。特開平8−48705号公報には、シード重合法に
よる重合安定性が高く、かつ粒子径分布が狭い共重合ラ
テックスが提案されているが、同号公報提案のものは、
製造の際にシード粒子を別の反応釜で調製する必要があ
るので、工程が煩雑であり、時間を要するものであり、
工業的に簡便な方法とは言いがたかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、耐水性に優れた水性樹脂分散体を得るべく、親水性
成分である乳化剤および酸性基を有する重合性単量体の
量が少なく、かつ、粒子径が小さく、しかも、実用に供
し得るのに十分な樹脂固形分を有する水性樹脂分散体の
工業的に簡便な製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記解決課
題に鑑み、従来の水性樹脂分散体により形成される塗膜
においては、水性樹脂分散体に含まれる親水性成分が塗
膜への水の浸入の原因となっていること、そして、粒子
間隔間に局在化した水が塗膜の白化の原因になっている
こと、に着目して、乳化重合の方法を種々検討した。そ
の結果、全工程で使用する酸性基を有する重合性単量体
と乳化剤との量を特定範囲の量としたうえで、乳化重合
を初期重合と本重合とに分けて行い、初期重合工程にお
いて、全工程で使用する重合性単量体成分の合計使用量
のうちの特定割合と、全工程で使用する乳化剤の量の特
定割合とを、一括して仕込んで反応させ、一旦重合をほ
ぼ完結させた後、本重合工程において、残りの重合性単
量体成分と乳化剤とを反応させることによって、親水性
成分の低減と小粒子径化とを両立させることができ、し
かも、実用に供し得るのに十分な樹脂固形分を有する水
性樹脂分散体を得ることができることを見いだし、本発
明を完成した。
【0007】すなわち、本発明の水性樹脂分散体の製造
方法は、酸性基を有する重合性単量体およびこれと共重
合可能な他の重合性単量体を含む重合性単量体成分の一
部を乳化剤の存在下に仕込み投入した重合性単量体成分
の80重量%以上を重合させる初期重合工程と、残部の
重合性単量体成分を重合させる本重合工程と、からなる
水性樹脂分散体の製造方法であり、全工程で使用する酸
性基を有する重合性単量体の合計使用量を全重合性単量
体成分に対して0.1〜5重量%とするとともに、初期
重合工程において全重合性単量体成分の5〜30重量%
を用い、全工程で使用する乳化剤の合計使用量を全重合
性単量体成分に対して1〜3.5重量%とするととも
に、初期重合工程において全乳化剤の35〜95重量%
を用いることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の水性樹脂分散体の製造方
法は、初期重合とこれに続いて行われる本重合とから構
成される多段乳化重合によるものである。初期重合と
は、水性媒体、乳化剤、および全重合性単量体成分のう
ちの一部を混合させた状態で重合開始剤を添加すること
によって開始される重合を指す。初期重合においては、
投入した単量体成分の80重量%以上、好ましくは90
重量%以上を重合させて、重合体粒子の核を形成させ
る。初期重合では、使用する重合性単量体成分を機械攪
拌により乳化させたプレエマルションとして添加して重
合を始めてもよいし、水性媒体と乳化剤と重合性単量体
との単なる混合状態から重合を始めてもよい。
【0009】本重合は、初期重合を一旦完結させた後、
具体的には、投入した重合性単量体成分の80重量%以
上、好ましくは90重量%以上を重合させた後に、新た
に重合性単量体成分を加えて行う重合を指す。本重合
は、1段階で行ってもよいし、多段階にわける多段重合
で行ってもよい。本重合を多段重合で行う場合は、前段
までに用いた重合性単量体成分の80重量%以上、好ま
しくは90重量%以上が重合してから新たな重合性単量
体成分を加えて反応させる。本重合での単量体の添加方
法は、モノマーあるいはプレエマルションでの一括添
加、分割添加、連続滴下等、適宜選択すればよく、多段
で行う場合は各段で添加方法が同じであっても異なって
いてもよい。
【0010】本発明の水性樹脂分散体の主原料たる重合
性単量体成分は、酸性基を有する重合性単量体と、この
酸性基を有する重合性単量体と共重合可能な他の重合性
単量体とから構成されるものである。本発明において
は、全重合性単量体成分のうち、5〜30重量%、好ま
しくは10〜20重量%を初期重合工程で使用すること
が重要である。初期重合工程において用いる重合性単量
体成分の量が5重量%未満であると、得られる水性樹脂
分散体の粒子径が大きくなり易い。一方、初期重合工程
において用いる重合性単量体成分の量が30重量%を越
えると、重合初期の発熱が大きく、安全性に問題が生じ
る。
【0011】酸性基を有する重合性単量体としては、具
体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロト
ン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、
イタコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;マレイン酸モ
ノエチル、イタコン酸モノエチル等のエチレン性不飽和
多価カルボン酸の部分エステル化物等のカルボキシル基
を有する重合性単量体;ビニルスルホン酸、スチレンス
ルホン酸、スルホ(メタ)アクリレート等のスルホン酸
基を有する重合性単量体;2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリ
ロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メ
タ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッド
ホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルフェニ
ルリン酸等の酸性リン酸エステル系重合性単量体;等が
挙げられる。特に、前記例示の酸性基を有する重合性単
量体のうち、カルボキシル基を有する重合性単量体が好
ましく、(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和モノ
カルボン酸がより好ましい。酸性基を有する重合性単量
体は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を
併用してもよい。酸性基を有する重合性単量体は、初期
重合および本重合のいずれか一方でのみ使用されてもよ
いし、両方で使用されてもよい。
【0012】本発明においては、全工程で使用する酸性
基を有する重合性単量体の合計使用量は、重合性単量体
成分の合計使用量に対して0.1〜5重量%とすること
が重要であり、好ましくは0.5〜2.5重量%とする
ことがよい。酸性基を有する重合性単量体の合計使用量
を前記範囲とすることにより、親水性成分の含有量を低
減することができ、ひいては耐水性に優れる水性樹脂分
散体を得ることができる。酸性基を有する重合性単量体
の合計使用量が0.1重量%未満であると、エマルショ
ンの機械安定性や化学安定性が低下することとなり、一
方、5重量%を越えると、耐水性が損なわれることとな
る。
【0013】酸性基を有する重合性単量体と共重合可能
な他の重合性単量体としては、具体的には以下のものが
挙げられる。なお、以下に例示の重合性単量体は、1種
類のみを用いてもよく、また、2種類以上を併用しても
よい。例えば、主な重合性単量体としては、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチ
ル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アク
リル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル形成
反応により合成される(メタ)アクリル酸エステル;ス
チレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香
族ビニル単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;メチ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル;等が挙げられ
る。
【0014】例えば、酸性基以外の官能基を有する重合
性単量体としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールもし
くはポリプロピレングリコールとのモノエステル、α−
(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル等のヒドロキシ
ル基を有する単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル等
のエポキシ基を有する単量体;(メタ)アクリロニトリ
ル等のニトリル基を有する単量体;N−モノメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジ
アセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド等のアミド基を有する単量体;(メタ)アク
リル酸ジメチルアミノエチル、アミノスチレン等のアミ
ノ基を有する単量体;イソプロペニルオキサゾリン、ビ
ニルピロリドン等のその他の官能基を有する単量体;等
が挙げられる。
【0015】例えば、多官能性の重合性単量体として
は、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコー
ルとのエステル等の多価アルコールの(メタ)アクリル
酸エステル類;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル単量
体;(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸
のアリルエステル;等が挙げられる。
【0016】例えば、その他の重合性単量体としては、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロスチレン、フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン、(メタ)アクリル酸パーフ
ルオロオクチルエチル等のハロゲン成分を有する単量
体;等が挙げられる。本発明において小粒子径化を効率
的に行うためには、初期重合で使用する重合性単量体成
分のうち、疎水性の強い重合性単量体を5重量%以上、
好ましくは10重量%以上使用するのが望ましい。疎水
性の強い重合性単量体としては、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸ノルマルオクチル、アクリル酸
シクロヘキシル等の炭素数6以上のアルキル基を有する
アクリル酸エステル;メタクリル酸n−ブチル、メタク
リル酸t−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル等の炭素数4以上のア
ルキル基を有するメタクリル酸エステル;スチレン、ビ
ニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン
等の芳香族ビニル単量体;等が挙げられる。これらの疎
水性の強い重合性単量体は、初期重合において、単独で
使用してもよいし、併用してその合計量が特定量以上に
なるように使用してもよい。
【0017】本発明において水性樹脂分散体に良好な耐
侯性を付与するためには、重合性単量体成分として、特
定の(メタ)アクリル酸エステル、紫外線安定化能を有
する単量体、紫外線吸収能を有する単量体、アルコキシ
シラン基を有する単量体を用いるのが好ましい。具体的
には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)ア
クリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シ
クロドデシル等のシクロアルキル基を有するアルコール
と(メタ)アクリル酸とのエステル化物;(メタ)アク
リル酸t−ブチル等の3級アルコールと(メタ)アクリ
ル酸とのエステル化物;ビニルトリメトキシシラン、γ
−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
アリルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルアリル
アミン等のアルコキシシラン基を有する重合性単量体;
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、または2,
2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとグリシジル
(メタ)アクリレートとを反応させて得られる2−ヒド
ロキシ−4−〔3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒド
ロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン、2,2’−ジヒド
ロキシ−4−〔3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒド
ロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン等のベンゾフェノン
系単量体、および、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−
(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−
(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−
(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−2H−
ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−
(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル〕−2H−
ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−
t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フ
ェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒ
ドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイル
オキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイル
オキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾ
トリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ
クリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−メトキシ−
2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−
5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5
−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒ
ドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェ
ニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール等
のベンゾトリアゾール系単量体等の紫外線吸収能を有す
る単量体;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリ
ロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,
6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリ
ロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペ
リジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メ
タ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトイル
オキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4
−クロトイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン、1−クロトイル−4−クロトイルオキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のピペリジ
ン系単量体等の紫外線安定化能を有する単量体;等が挙
げられ、これらの単量体のうちの少なくとも1つを使用
するのが好ましい。
【0018】本発明において、全工程で使用する乳化剤
の合計使用量は、全工程で使用する前記重合性単量体成
分の合計使用量に対して1〜3.5重量%とすることが
重要であり、好ましくは1.5〜3重量%とすることが
よい。乳化剤の合計使用量が1重量%未満であると、重
合安定性、機械的安定性、化学的安定性等のエマルショ
ンの安定性が低下し易く、しかも、粒子径が大きくなり
耐水性が低下する。一方、乳化剤の合計使用量が3.5
重量%を越えると、耐水性が低下することとなる。
【0019】さらに、初期重合において使用する乳化剤
の量は、全工程で使用する乳化剤の合計使用量に対して
35〜95重量%とすることが重要であり、好ましくは
40〜80重量%とすることがよい。初期重合で用いる
乳化剤の量を前記範囲とすることによって、本発明にお
いては全工程で使用する乳化剤量が少ないにもかかわら
ず、効果的な小粒子径化が可能となる。初期重合で用い
る乳化剤の量が35重量%未満であると、粒子径が大き
くなり、一方、95重量%を越えると、本重合工程での
重合安定性が低下するので、好ましくない。
【0020】本発明において使用できる乳化剤として
は、特に限定はなく、例えば、アニオン系界面活性剤、
ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界
面活性剤、高分子界面活性剤等の全ての界面活性剤を使
用することができる。また、塗膜の耐水性をより向上さ
せるためには、分子中に1個以上の重合可能な炭素−炭
素不飽和結合を有する重合性界面活性剤を使用するとよ
い。
【0021】アニオン系界面活性剤としては、具体的に
は、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウ
ムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサル
フェート;アンモニウムドデシルサルフェート等のアン
モニウムアルキルサルフェート;ナトリウムドデシルポ
リグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホ
シノエート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、
スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルス
ルホネート;ナトリウムラウレート、トリエタノールア
ミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等
の脂肪酸塩;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネー
ト、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ
金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;
高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホ
ン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;
ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキ
シエチレンアルキルアリールサルフェート塩;等を挙げ
ることができる。
【0022】ノニオン系界面活性剤としては、具体的に
は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポ
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタ
ン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸
モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレ
ン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミ
ドまたは酸との縮合生成物;等が使用できる。
【0023】高分子界面活性剤としては、具体的には、
例えば、ポリビニルアルコール;ポリ(メタ)アクリル
酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ
(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート;ポリヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート;またはこれらの重合体の構成単位で
ある重合性単量体の2種以上の共重合体または他の単量
体との共重合体等が挙げられる。また、クラウンエーテ
ル類等の相関移動触媒は界面活性を示すので、界面活性
剤として使用してもよい。
【0024】重合性界面活性剤としては、具体的には、
例えば、プロペニル−2−エチルヘキシルベンゼンスル
ホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル酸ポ
リオキシエチレンの硫酸エステル、ポリオキシエチレン
アルキルプロペニルエーテル硫酸アンモニウム塩、(メ
タ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステルのリン酸エ
ステル、ポリオキシアルキルアリールサルフェート塩の
構造を有し、かつイソプロペニル基もしくはアリル基を
有する化合物等のアニオン性重合性界面活性剤;ポリオ
キシエチレンアルキルベンゼンエーテル(メタ)アクリ
ル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシアルキルアリ
ールエーテルの構造を有し、かつイソプロペニル基もし
くはアリル基を有する化合物等のノニオン性重合性界面
活性剤;等が挙げられる。
【0025】本発明の乳化剤、特に、本重合で用いる乳
化剤としては、前記例示の界面活性剤のうち、重合性基
を有する乳化剤である重合性界面活性剤が好適に用いら
れる。重合性基を有する乳化剤を本重合工程で用いるこ
とにより、乾燥塗膜の耐水性に優れた水性樹脂分散体を
得ることができる。また、本発明における乳化剤として
は、前記例示の界面活性剤を1種類のみを用いてもよ
く、2種類以上を併用してもよく、また、初期重合と本
重合とで同じ種類のものを用いてもよいし、異種類のも
のを用いてもよい。
【0026】本発明における乳化重合は、重合性単量体
成分と乳化剤とのほかに、乳化させる際の媒体となる水
性媒体、および、重合を開始させるための重合開始剤を
用いて行うものである。水性媒体としては、通常、水が
使用され、必要に応じて低級アルコールやケトン等の親
水性溶媒が併用できる。水性媒体の仕込みは、特に限定
はされず、必要に応じ、初期重合工程、本重合工程と逐
次段階的に仕込むことができる。水性媒体の使用量は、
最終的に得られる水性樹脂分散体の固形分含量が35〜
60重量%になるようにすることが好ましい。
【0027】重合開始剤は、特に限定されるものではな
く、具体的には、例えば、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパ
ン)・二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペン
タン酸)等の水溶性アゾ化合物;過硫酸カリウム等の過
硫酸塩類;過酸化水素、過酢酸、ベンゾイルパーオキサ
イド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;等
が挙げられる。
【0028】重合開始剤の使用量は、特に限定はされな
いが、全重合性単量体成分の使用量に対して、好ましく
は0.05〜1重量%であり、より好ましくは0.1〜
0.5重量%であるのがよい。重合開始剤の使用量が多
過ぎると、塗膜の耐水性を低下させ、一方、少なすぎる
と、重合速度が遅くなり、未反応の単量体が残存し易く
なるので、いずれも好ましくない。重合開始剤は、1種
類の使用でも2種類以上の併用でもよい。また、重合速
度を速めるために、必要に応じて、亜硫酸水素ナトリウ
ム等の還元剤や硫酸第一鉄等の金属塩を前記重合開始剤
と併用することもできる。
【0029】重合開始剤の添加は、得られる重合体粒子
を細かくするために、初期重合工程で全使用量の40〜
100重量%を添加するのが好ましい。添加方法は、特
に制限はなく、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続
滴下等のいずれの方法であってもよい。また、重合の完
了を速めるために、本重合工程で重合性単量体成分の添
加終了前後に、重合開始剤の一部をさらに追加して添加
してもよい。
【0030】本発明においては、重合時に、重合開始剤
のほかに、必要に応じて、連鎖移動剤を添加することが
でき、例えば、t−ドデシルメルカプタン等のチオール
基を有する化合物を添加することができる。本発明にお
いては、重合の終了後、酸性基を有する重合体の酸性基
の一部または全部を、アルカリ性物質で中和することも
できるし、あるいは未中和のままであってもよい。
【0031】中和剤は、特に限定されるものではなく、
従来公知の種々の中和剤を使用することができる。具体
的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、炭酸カルシ
ウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメ
チルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノ
エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モ
ノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の水
溶性有機アミン類;等が挙げられる。前記例示の中和剤
は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を併
用してもよい。中和剤としては、臭気や耐水性を考慮す
ると、アンモニア水やモノエタモールアミン等の低沸点
アミンが好ましい。
【0032】乳化重合の際の重合条件については、初期
重合工程および本重合工程ともに特に限定されるもので
なく、適宜選択すればよい。具体的には、重合温度は、
好ましくは0〜100℃、より好ましくは40〜95℃
がよい。重合温度は、初期重合工程と本重合工程とで同
じ温度であっても、異なる温度であってもよい。また、
重合時間は、初期重合と本重合に対して、反応の進行状
況に応じ、それぞれ、適宜選ぶことができ、反応開始か
ら終了まで2〜8時間の範囲が好ましい。さらに、乳化
重合は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うこと
が好ましい。また、本発明においては、得られる塗膜物
性を悪化させない範囲において、さらに、親水性溶媒を
添加したり、公知の他の添加剤等を添加することもでき
る。
【0033】本発明において得られる水性樹脂分散体
は、固形分が35〜60重量%、好ましくは40〜55
重量%となり、かつ、樹脂粒子の体積平均粒子径が50
〜110nm、好ましくは70〜100nmとなる。水
性樹脂分散体の固形分が35重量%未満であれば、水性
樹脂分散体を塗料等として塗布した場合に非経済的で実
用に供しえないこととなり、一方、固形分が60重量%
を越えると、重合安定性が損なわれることとなるため、
好ましくない。また、樹脂粒子の体積平均粒子径が50
nm未満であると、重合安定性が損なわれることとな
り、一方、110nmを越えると、水性樹脂分散体を塗
料等として塗布した場合に良好な耐水性が得られにく
い。
【0034】本発明においては、前述のように、他の重
合性単量体として紫外線安定性の重合性単量体や紫外線
吸収性の重合性単量体を用いることによって、得られる
水性樹脂分散体に耐侯性を付与することができるが、得
られた水性樹脂分散体に、紫外線安定化能を有する物質
や紫外線吸収能を有する物質を配合することによって
も、耐侯性を付与することができる。例えば、重合性基
をもたない低分子量の紫外線安定剤や紫外線吸収剤を、
本発明で得られた水性樹脂分散体に添加したり、水性樹
脂分散体の重合時に重合性単量体とともに添加したりす
ればよく、あるいは、前記の紫外線安定性の重合性単量
体や紫外線吸収性の重合性単量体を別に重合して得た高
分子量の水溶性樹脂または水分散型樹脂を添加してもよ
い。
【0035】本発明で得られた水性樹脂分散体は、その
まま使用してもよいし、多官能イソシアネートや多官能
ヒドラジン等の硬化剤を添加して使用してもよい。ま
た、必要に応じて、さらに公知の添加剤、例えば、成膜
助剤、顔料、分散剤、増粘剤、防腐剤、充填剤、帯電防
止剤、艶消し剤等を配合して使用してもよい。本発明に
より得られる水性樹脂分散体は、風雨に曝される構造物
の保護用や窯業系無機建材、木材、紙等の耐水性の低い
基材の保護用等のコーティング剤用途等に広く用いられ
る。また、本発明により得られる耐侯性を備えた水性樹
脂分散体は、長期にわたる美観の維持や基材の保護が要
求されるコーティング用途に適しており、しかも、顔料
の有無に関わらず使用可能であり、乾燥条件も常温乾燥
から加熱乾燥まで用途に合わせて適宜選択することがで
きるものである。
【0036】本発明により得られる水性樹脂分散体は、
耐水性改良剤として、他の水性樹脂分散体や水溶性樹脂
とブレンドして使用することもできる。特に、アクリル
系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹
脂等の耐侯性樹脂や、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等
の耐食性樹脂と組み合わせることは有効な使用方法であ
る。
【0037】
【実施例】以下に、実施例および比較例により本発明を
より具体的に説明するが、本発明は実施例に限定される
ものではない。実施例および比較例で得られた水性樹脂
分散体は、下記の測定法や計算法で物性を測定するとと
もに、評価試験に供した。
【0038】<固形分>精秤した試料1gを110℃の
熱風乾燥機中で60分間乾燥し、乾燥残量を固形分とし
て、乾燥前の重量に対する比率を重量%で表示した。 <粒子径>動的光散乱法による粒子径測定装置(HIAC/R
OYCO INSTRUMENTS DIVISION 社製NICOMP Model 370)を
用いて測定した。粒子径は体積平均粒子径で示した。
【0039】・試験板の作成 試料の水性樹脂分散体100重量部に、ブチルセロソル
ブ(成膜助剤)の75%水溶液5.8重量部を添加し
て、試験液を調製した。アプリケーターを用い、乾燥後
の膜厚が約60μmとなるように試験液をガラス板に塗
工し、このガラス板を100℃の熱風乾燥機中で10分
間乾燥させて、試験板を作成した。
【0040】<耐水白化試験>前記試験板を脱イオン水
中に浸漬し、室温で7日間保持した。7日間浸漬試験し
た試験板を目視観察して白化の程度を評価した。試験結
果は下記のごとく記号で区分し、◎、○および△を合格
とした。 ◎:異常なし、○:僅かに蛍光色を帯びる、△:蛍光色
を帯びる、×:白化する <耐温水白化試験>60℃の温水で24時間保持したこ
と以外は、前記耐水白化試験1と同様にして試験を行
い、膜の白化度を評価した。◎、○および△を合格とし
た。
【0041】[実施例1] 初期重合工程:滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導入管、
温度計および還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水
820.65gと、ハイテノールN−08(第一工業製
薬製)の15%水溶液48.0gと、ノニポール200
(三洋化成製)の25%水溶液14.4gと、メチルメ
タクリレート47.7gと、ブチルアクリレート40.
5gと、アクリル酸1.8gとを仕込み、ゆるやかに窒
素ガスを吹き込みながら攪拌下に75℃まで昇温した。
昇温後、5%の過硫酸カリウム水溶液を54.0g添加
し、重合を開始した。反応系内を80℃で10分間保持
した後、初期重合を一旦終了した。この時、添加したモ
ノマーの80重量%以上が反応していることを、固形分
から確認した。
【0042】本重合工程:初期重合反応終了後、反応系
内を80℃に維持したまま、ハイテノールN−08(第
一工業製薬製)の15%水溶液31.8gと、ノニポー
ル200(三洋化成製)の25%水溶液9.7gと、脱
イオン水228.5gと、メチルメタクリレート42
9.3gと、ブチルアクリレート364.5gと、アク
リル酸16.2gとからなるプレエマルションを、18
0分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水2
0gで滴下ロートを洗浄し、その洗浄液をフラスコ内に
添加した。その後、60分間、反応系内を80℃に維持
し、重合を終了した。
【0043】次に、反応系内を50℃にまで冷却し、2
5%アンモニア水14.1gを添加し、同温度で10分
間攪拌した。攪拌後、室温にまで冷却し、100メッシ
ュの金網で濾過して、水性樹脂分散体を得た。固形分、
粒子径、および耐水白化試験、耐温水白化試験の結果を
表1に示す。 [実施例2〜5]および[比較例1〜4]重合性単量体
成分および乳化剤の種類を表1および表3に示すように
変えた以外は、実施例1と同様にして水性樹脂分散体を
得た。なお、いずれの例でも、初期重合工程において添
加したモノマーの80重量%以上が反応していること
を、固形分から確認した。固形分、粒子径、および耐水
白化試験、耐温水白化試験の結果を表1および表3に示
す。
【0044】[実施例6] 初期重合工程:滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導入管、
温度計および還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水
826.9gと、アクアロンHS−10(第一工業製薬
製)の25%水溶液28.8gと、アクアロンRN−2
0(第一工業製薬製)の25%水溶液14.4gと、メ
チルメタクリレート69.3gと、2−エチルヘキシル
アクリレート19.8gと、アクリル酸0.9gとを仕
込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に7
5℃まで昇温した。昇温後、5%の過硫酸カリウム水溶
液を54.0g添加し、重合を開始した。反応系内を8
0℃で10分間保持した後、初期重合を一旦終了した。
この時、添加したモノマーの80重量%以上が反応して
いることを、固形分から確認した。
【0045】本重合工程:初期重合反応終了後、反応系
内を80℃に維持したまま、アクアロンHS−10(第
一工業製薬製)の25%水溶液13.4gと、アクアロ
ンRN−20(第一工業製薬製)の25%水溶液6.7
gと、脱イオン水99.8gと、メチルメタクリレート
259.2gと、2−エチルヘキシルアクリレート7
9.2gと、アクリル酸3.6gと、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート18.0gとからなるプレエマルシ
ョンを、80分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱
イオン水20gで滴下ロートを洗浄し、その洗浄液をフ
ラスコ内に添加した。その後、30分間、反応系内を8
0℃に維持し、重合を終了した。この時、添加したモノ
マーの80重量%以上が反応していることを、固形分か
ら確認した。
【0046】次いで、反応系内を80℃に維持したま
ま、アクアロンHS−10(第一工業製薬製)の25%
水溶液5.8gと、アクアロンRN−20(第一工業製
薬製)の25%水溶液2.9gと、脱イオン水139.
2gと、メチルメタクリレート162.0gと、2−エ
チルヘキシルアクリレート256.5gと、アクリル酸
4.5gと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.
0gと、グリシジルメタクリレート18.0gとからな
るプレエマルションを、100分間にわたって均一滴下
した。滴下後、脱イオン水20gで滴下ロートを洗浄
し、その洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、60
分間、反応系内を80℃に維持し、重合を終了した。
【0047】次に、反応系内を50℃にまで冷却し、2
5%アンモニア水7.1gを添加し、同温度で10分間
攪拌した。攪拌後、室温にまで冷却し、100メッシュ
の金網で濾過して、水性樹脂分散体を得た。固形分、粒
子径、および耐水白化試験、耐温水白化試験の結果を表
2に示す。 [実施例7]重合性単量体成分および乳化剤の種類を表
2に示すように変えた以外は、実施例6と同様にして水
性樹脂分散体を得た。なお、初期重合工程において添加
したモノマーの80重量%以上が反応していることを、
固形分から確認した。固形分、粒子径、および耐水白化
試験、耐温水白化試験の結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】なお、表中、重合性単量体成分および乳化
剤は、以下の略号で示した。 MMA:メチルメタクリレート、2EHA:2−エチル
ヘキシルメタクリレート、AA:アクリル酸、St:ス
チレン、CHMA:シクロヘキシルメタクリレート、H
EMA:2−ヒドロキシエチルヘキシルメタクリレー
ト、GMA:グリシジルメタクリレート、BA:ブチル
アクリレート 表1から明らかなように、実施例1〜実施例5は、重合
性単量体成分が本発明の範囲を満足する組成であるの
で、粒子径が小さく、耐水白化性および耐温水白化性が
良好であり、固形分も十分に高い水性樹脂分散体であっ
た。また、表2から明らかなように、実施例6および実
施例7は、本重合を2段に分けて滴下法にて行ったの
で、耐水白化性および耐温水白化性に特に優れたもので
あった。
【0052】一方、表3から明らかなように、比較例1
は、全乳化剤の使用量が本発明の範囲よりも高いので、
耐水白化性および耐温水白化性に劣るものであった。比
較例2は、初期重合工程で用いた乳化剤量が本発明の範
囲よりも少なかったので、粒子径が大きく、耐水白化性
および耐温水白化性に劣るものであった。比較例3は、
酸性基を有する重合性単量体の含量が本発明の範囲より
も多いので、耐水白化性および耐温水白化性に劣るもの
であった。比較例4は、初期重合工程で用いる重合性単
量体成分の量が本発明の範囲よりも少なく、しかも全乳
化剤の使用量が少ないので、粒子径が大きく、耐水白化
性および耐温水白化性に劣るものであった。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、水溶性成分である乳化
剤および酸性基を有する重合性単量体の量が少なく、か
つ、粒子径が小さく、しかも、実用に供し得るのに十分
な樹脂固形分を有する水性樹脂分散体の工業的に簡便な
製造方法を提供することができる。
【0054】そして、本発明により得られる水性樹脂分
散体は、風雨に曝される構造物の保護用や窯業系無機建
材、木材、紙等の耐水性の低い基材の保護用等のコーテ
ィング剤用途等に広く用いられる。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 彰男 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4J011 KA02 KA03 KA04 KA05 KA06 KA12 KA15 KA16 KA19 KB13 KB16 KB29 4J100 AB02Q AB03Q AB04Q AB07P AB07Q AB08Q AB16Q AC03Q AC04Q AC23Q AC24Q AE03Q AG04Q AJ01P AJ02P AJ08P AJ09P AL03Q AL08P AL08Q AL09Q AL36P AL44P AL62Q AL63Q AM02Q AM17Q AM19Q AP01P BA31Q BA56P BA65P BB01P BB18Q BC07Q CA01 CA04 EA07 FA03 FA20 JA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸性基を有する重合性単量体およびこれと
    共重合可能な他の重合性単量体を含む重合性単量体成分
    の一部を乳化剤の存在下に仕込み投入した重合性単量体
    成分の80重量%以上を重合させる初期重合工程と、残
    部の重合性単量体成分を重合させる本重合工程と、から
    なる水性樹脂分散体の製造方法であり、 全工程で使用する酸性基を有する重合性単量体の合計使
    用量を全重合性単量体成分に対して0.1〜5重量%と
    するとともに、初期重合工程において全重合性単量体成
    分の5〜30重量%を用い、 全工程で使用する乳化剤の合計使用量を全重合性単量体
    成分に対して1〜3.5重量%とするとともに、初期重
    合工程において全乳化剤の35〜95重量%を用いるこ
    とを特徴とする水性樹脂分散体の製造方法。
  2. 【請求項2】本重合工程で使用する乳化剤として、重合
    性基を有する乳化剤を使用する、請求項1に記載の水性
    樹脂分散体の製造方法。
  3. 【請求項3】初期重合工程で用いる重合性単量体成分と
    して、炭素数6以上のアルキル基を有するアクリル酸エ
    ステル、炭素数4以上のアルキル基を有するメタクリル
    酸エステル、芳香族ビニル単量体からなる群より選ばれ
    る少なくとも1つの疎水性単量体を使用し、かつ、前記
    疎水性単量体の合計使用量を、初期重合工程での重合性
    単量体成分使用量に対して5重量%以上とする、請求項
    1または2に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
  4. 【請求項4】固形分が35〜60重量%であり、かつ、
    樹脂粒子の体積平均粒子径が50〜110nmである水
    性樹脂分散体を得る、請求項1から3までのいずれかに
    記載の水性樹脂分散体の製造方法。
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