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JP3630585B2 - 水性樹脂分散体 - Google Patents

水性樹脂分散体 Download PDF

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JP3630585B2
JP3630585B2 JP16753199A JP16753199A JP3630585B2 JP 3630585 B2 JP3630585 B2 JP 3630585B2 JP 16753199 A JP16753199 A JP 16753199A JP 16753199 A JP16753199 A JP 16753199A JP 3630585 B2 JP3630585 B2 JP 3630585B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性や耐ブロッキング性を要する塗料やコーティング用途等に用いられる水性樹脂分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、無公害性、火災の危険性の少ないことなどの利点から水性塗料の使用が多くなっている。このため、水性樹脂分散体の開発が盛んに行われ、塗料やコーティング用途に広く用いられている。
このような水性樹脂分散体は、通常、乳化重合で得られるが、乳化重合は親水性物質である乳化剤を必要とするために、水性樹脂分散体は、溶剤型樹脂に比べ、塗膜の耐水性、具体的には、耐透水性、耐吸水性、耐水白化性等が劣るという欠点があった。そこで、塗膜の耐水性を改良するために、水性樹脂分散体について様々な検討が行われている。その一つの手法として、水性樹脂分散体の小粒子径化が考えられる。小粒子径化することにより、乳化剤が局在化し易くなる粒子間隙が微分散し、このため、緻密な塗膜が形成されることで、塗膜内への水の浸入が抑制されることが期待されるが、これまでの水性樹脂分散体の小粒子径化には、製造方法や実用上等に問題があった。
【0003】
例えば、特開平7−133305号公報に樹脂分散粒子を微粒子化し均一系に近づけたものが提案されているが、同号公報提案のものは、乳化剤として親水性の強い臨界ミセル濃度の小さいものが多量に使用されているために、耐水性はあまり期待できない。このような乳化剤多量使用の問題を解消するために、特開平8−48705号公報には、シード重合法による重合安定性が高く且つ粒子径分布が狭い共重合体ラテックスが提案されている。しかし、その製造には、シード粒子を別の反応釜で調製する必要があり、工程が繁雑かつ時間を要するという問題がある。特開平9−302006号公報には、平均粒子径1〜50nmの超微粒子であり、かつ乳化剤含有量の少ないポリマーラテックスの製造方法が提案されているが、同号公報提案のものは固形分が極めて低く、固形分が低くなると経済性が低くなり、実用性に欠けるという問題がある。特開平10−182706号公報には、粒子径が小さく、残留モノマーの少ない水分散型樹脂組成物の製造方法が提案されているが、同号公報提案のものは、その製造に乳化活性をもつ水溶性ポリマーが多量に使用されるために、耐水性は期待できない。
【0004】
また、水性樹脂分散体は、これをもって形成される塗膜に単に耐水性ばかりでなく、用途によっては耐ブロッキング性が要求される。ブロッキングとは、各種被塗物、例えば、金属、木材、紙、プラスチック、無機建材等の基材に水性樹脂分散体が塗装されたものが積み重ねられた際に、塗膜同士が接着する現象を指す。ブロッキングが生じると、塗膜の破損や基材の破壊が生じ、塗装本来の目的である被塗物の保護や美観を向上させるという目的が達成されないため、工場塗装用等に用いられる水性樹脂分散体には耐ブロッキング性が必要になる。ブロッキングは塗膜に粘着性があると生じ易いため、耐ブロッキング性を備えた水性樹脂分散体を得るべく、粘着性の少ない塗膜が得られる水性樹脂分散体について様々な検討が行われている。例えば、特開昭63−22812号公報、特開昭63−53418号公報などに耐ブロッキング性塗料用の水性樹脂分散体が提案されているが、ここには耐水性についての記載はなく、これらに提案の水性樹脂分散体は、耐水性を考慮したものではない。
【0005】
上記のように水性樹脂分散体の現状は、耐水性並びに耐ブロッキング性を備えた塗膜を形成しうる満足な水性樹脂分散体はないのが実状であり、この二つの機能を備えた水性樹脂分散体の開発が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水性樹脂分散体の実情に鑑み、上記従来技術の問題点を一挙に解決し、耐水性並びに耐ブロッキング性に優れる塗膜の形成を可能とする実用性のある水性樹脂分散体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記解決課題に鑑み、従来の水性樹脂分散体を改良すべく種々研究を重ねた結果、
耐水性の良い塗膜が得られ、かつ実用性の高い水性樹脂分散体とするためには、粒子径を特定範囲の大きさにし、かつ固形分の含有量を特定範囲の量にすることが重要であること、
塗膜に耐ブロッキング性を付与するためには、初期重合とこれに続く多段の本重合とからなる多段乳化重合において、多段乳化重合に用いられる全重合性単量体成分の計算Tgが特定の温度範囲にあると共に、本重合の第一段に用いられる重合性単量体成分の計算Tgは、最終段に用いられる重合性単量体成分の計算Tgよりも特定の温度差以上に高くなるようにすることと、得られる水性樹脂分散体による塗膜の軟化温度が前記全重合性単量体成分の計算Tgより特定の温度差以上に高くなるようにすることとが重要であること、
また、前記水性樹脂分散体の最低成膜温度(MFT)が全重合性単量体成分の計算Tgより特定の温度差以上に高くなることとを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明に係る水性樹脂分散体は、
初期重合とこれに続く多段の本重合からなる乳化重合により、得られる水性樹脂分散体であって、
前記乳化重合に用いられる全重合性単量体成分の計算Tgは−10〜40℃であると共に、本重合の第一段に用いられる重合性単量体成分の計算Tgは、最終段に用いられる重合性単量体成分の計算Tgより40℃以上高く、
水性樹脂分散体は樹脂粒子の平均粒子径が50〜110nmであり、
水性樹脂分散体の固形分含有量は40〜60重量%であり、
水性樹脂分散体による最低成膜温度(MFT)は前記全重合性単量体成分の計算Tgよりも19℃以上高い値を示し、
水性樹脂分散体の塗膜はその軟化温度が前記全重合性単量体成分の計算Tgよりも10℃以上高い値を示す、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る水性樹脂分散体は、前記重合性単量体成分が、シクロアルキル基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、3級アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、ベンゾトリアゾール系の重合性単量体、ピペリジン系の重合性単量体、アルコキシシラン基を有する重合性単量体およびベンゾフェノン系の重合単量体のうちの少なくとも一つを含むことにより、さらに耐候性の付与された塗膜を形成し得るものにすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る水性樹脂分散体は、初期重合およびこれに続く多段の本重合により、乳化重合することによって得られる水性樹脂分散体である。
以下、「重合性単量体」を「単量体」、「重合性単量体成分」を「単量体成分」と、それぞれ、略称することがある。
〔パラメーター〕
本発明の水性樹脂分散体においては、樹脂粒子の大きさは、平均粒子径で50〜110nmの範囲が好ましい。樹脂粒子の大きさが上記範囲に満たず小さいと重合時に凝集物が発生しやすく、また、上記範囲を超えて大きくなると塗膜に耐水性が得られない。
【0011】
水性樹脂分散体に含まれる固形分量は、40〜60重量%の範囲が好ましい。実質的に樹脂粒子である固形分の含有量が上記範囲に満たず少なくなると、得られる水性樹脂分散体の経済性が低くなり、また、上記範囲を超えて大きくなると重合時に凝集物が発生しやすい。
水性樹脂分散体において、樹脂粒子を平均粒子径で上記の範囲の大きさ、かつ、固形分含有量を上記範囲の量とすることにより、本発明の水性樹脂分散体は実用性が高く、耐水性に優れた塗膜を形成することができるようになる。
【0012】
本発明の水性樹脂分散体は、乳化重合に用いられる全重合性単量体成分の計算Tg、本重合の第一段に用いられる重合性単量体成分の計算Tg(「Tg1 」で表す)と最終段に用いられる重合性単量体成分の計算Tg(「Tg2 」で表す)とのTg差(Tg1 −Tg2 )、水性樹脂分散体による塗膜の軟化温度、および最低成膜温度(MFT)が、それぞれ、次の条件を満たすものである。
【0013】
ここで、計算Tgとは、次のFOXの式より推算される共重合体のTg(ガラス転移点)である。
1/Tg=Σ(W/Tg)/100
FOXの式は、モノマーからなるホモポリマーのTgがTg(K;絶対温度)であると、モノマー〜モノマーが、それぞれ、W〜W重量%からなるコポリマーのTgは、上記関係式で表せることを示すものである。
【0014】
全重合性単量体成分の計算Tgは、好ましくは−10〜40℃である。全重合性単量体成分の計算Tgが上記範囲を超えて高くなると、得られる塗膜にワレが生じる等の成膜不良が起こり、また、上記範囲に満たず低いと粘着性が強くなり、耐ブロッキング性が得られない。
Tg差(Tg1 −Tg2 )は、好ましくは、40℃以上である。つまり、本重合の第一段に用いられる重合性単量体成分の計算Tgは、最終段に用いられる重合性単量体成分の計算Tgより40℃以上高いことが好ましい。Tg差(Tg1 −Tg2 )が上記範囲に満たず低くなると、得られる塗膜の粘着性が強くなり、耐ブロッキング性が得られない。
【0015】
軟化温度は、上記全重合性単量体成分の計算Tgよりも10℃以上高い温度である。また、最低成膜温度(MFT)は、上記全重合性単量体成分の計算Tgよりも19℃以上高い温度である。
全重合性単量体成分の計算TgおよびTg差(Tg1 −Tg2 )を、それぞれ、上記範囲に選ぶことにより、粘着性の指標となる軟化温度は低くならず、軟化温度が適正な範囲の温度となるために、耐ブロッキング性を付与することが可能となる。また、上記最低成膜温度も適正な範囲の温度となるために、十分な成膜性が得られる。
〔重合方法〕
本発明の水性樹脂分散体は、乳化重合により製造されるが、この乳化重合は初期重合とこれに続く多段で行われる本重合とから構成される。
【0016】
初期重合は、最初に、水性媒体と乳化剤に全重合性単量体成分の一部を混合させた状態で重合開始剤を添加して開始された重合を指す。初期重合においては、投入した単量体成分の80重量%以上、好ましくは90重量%以上を重合させ、重合体粒子の核を形成させる。初期重合では、水性媒体、乳化剤および重合性単量体の単なる混合状態から重合を始めてもよいし、重合性単量体を機械攪拌により乳化させ、エマルションとして添加してもよい。
【0017】
初期重合における単量体成分の使用量は、特に限定はされないが、全単量体成分の合計使用量に対して、2〜40重量%、好ましくは5〜20重量%である。初期重合の使用量が、上記範囲に満たないと粒子径が大きくなり易く、また、上記範囲を超えて過多になると発熱の制御が難しくなるので、好ましくない。なお、初期重合の単量体成分は、本重合の1段目に用いる単量体成分と同じ組成のものであっても異なるものであってもよい。
【0018】
本重合は、初期重合の終了後、多段で行われる。多段の重合とは、前段までに用いた重合性単量体成分の80重量%以上、好ましくは90重量%以上が重合してから、新たに重合性単量体成分を加えて次の段の重合を行う重合方法を指す。本重合では、多段の重合段階の第一段と最終段とで、それぞれ、単量体成分の組成が異なり、計算Tgの異なる単量体成分が用いられる。前述のごとく、第一段の単量体成分の計算Tgは、最終段の単量体成分の計算Tgより高く、Tg差(Tg1 −Tg2 )は40℃以上である。本重合の第一段と最終段以外の各段の計算Tgは、特に限定されないが、最終段のTg以上から第一段のTg以下が望ましい。
【0019】
本重合の段数は、特に限定されないが、製造工程を簡略化するためには、2段または3段が望ましい。2段の場合は、本重合は第一段と最終段のみとなる。
本重合における単量体成分の添加方法は、単量体成分だけでもプレエマルションとしてでもよく、一括添加、分割添加、連続滴下などの方法を自由に選択でき、本重合の各段で添加方法が同じであっても、異なっていてもよい。
【0020】
本重合の第一段における単量体使用量は、特に限定されないが、全単量体成分の合計使用量に対して20〜78重量%、好ましくは30〜70重量%の範囲で選ばれる。上記範囲に満たないと耐ブロッキング性が発現せず、また、上記範囲を越えると成膜性が低下する。本重合の最終段における重量体使用量は、特に限定されないが、全単量体成分の合計使用量に対して20〜78重量%、好ましくは30〜70重量%の範囲で選ばれる。上記範囲に満たないと成膜性が低下し、また、上記範囲を越えると耐ブロッキング性が低下する。本重合の第一段、最終段以外の各段については初期重合、本重合の第一段、最終段の単量体使用量を除いた分を任意に配分することができる。
【0021】
重合温度は、特に限定はなく、好ましくは0〜100℃、よりに好ましくは40〜95℃である。重合温度は一定であっても、重合途中で変化させてもよい。重合時間は、特に限定はなく、反応の進行状況に応じて適宜選ぶことができ、重合開始から終了まで、2〜8時間の範囲が好ましい。
〔重合性単量体〕
本発明の水性樹脂分散体を得るには、全重合性単量体成分の計算Tgおよび本重合の第一段と最終段の重合性単量体成分のTg差が、それぞれ、前記一定の範囲になるように、互いに共重合可能な他の重合性単量体を選ぶ必要がある。
【0022】
主な重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル形成反応により合成される(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル;等が挙げられる。
【0023】
酸性基を有する重合性単量体としては、一価または多価の酸モノマーおよびそれらの塩並びに部分エステル化物が用いられる。
酸性基を有する重合性単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸類;フマル酸、イタコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノエチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物等のカルボキシル基を有する単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホ(メタ)アクリレート等のスルホン酸基を有する単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系単量体;等が挙げられる。酸性基を有する重合性単量体は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。上記例示の重合性単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体が好ましく、メタクリル酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましい。
【0024】
用いられる全重合性単量体成分中の酸性基を有する重合性単量体の割合は、特に限定はされないが、全重合性単量体成分に対して、0.1〜10重量%の範囲が好ましく、0.5〜5重量%の範囲がより好ましい。全重合性単量体成分に占める酸性基を有する単量体の割合が上記範囲を超えて多くなり過ぎると、塗膜の耐水性が低下し、上記範囲に満たず少なくなると、エマルションの機械的安定性、化学的安定性等の安定性が低下するので、好ましくない。
【0025】
酸性基以外の官能基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールとのモノエステル、α−(ヒドロキシルメチル)アクリル酸メチル等のヒドロキシル基を有する単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基を有する単量体;N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基を有する単量体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、アミノスチレン等のアミノ基を有する単量体;イソプロペニルオキサゾリン、ビニルピロリドン等のその他の官能基を有する単量体;等が挙げられる。
【0026】
多官能性の重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物;(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸とアリルエステル;等が挙げられる。
【0027】
その他、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロスチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルエチル等のハロゲン成分を有する単量体が挙げられる。
本発明の水性樹脂分散体に耐候性を付与するためには、重合性単量体として、特定の(メタ)アクリル酸エステル、紫外線安定化能のある単量体、紫外線吸収能のある単量体、アルコキシラン基有する単量体等を用いるのが好ましい。
【0028】
具体的には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル等のシクロアルキル基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;(メタ)アクリル酸t−ブチル等の3級アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、または2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて得られる2−ヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系の単量体、および2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ─5’−(メタクリロイルオキシプロピル〕フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル〕フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ─3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル〕フェニル〕−2−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル〕フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系の単量体等の紫外線吸収能を有する単量体;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトイル−4−クロトイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のピペリジン系の重合性単量体等の紫外線安定化能を有する単量体;ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルアリルアミン等のアルコキシラン基を有する単量体;等が挙げられ、これらの重合性単量体の少なくとも一つを使用するのが好ましい。
〔水性媒体〕
上記重合性単量体成分の重合に際し、水性媒体としては、通常、水が使用され、必要に応じて低級アルコールやケトン等の親水性溶媒が併用できる。水性媒体の使用量は、上記全重合性単量体成分の使用量に対して、得られる水性樹脂分散体の固形分含量が上記一定の範囲になるように用いられる。
〔乳化剤〕
乳化剤としては、特に限定はなく、たとえば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等のすべての界面活性剤を使用することができる。さらに、分子中に1個以上の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する重合性界面活性剤を使用することができる。
【0029】
アニオン系界面活性剤としては、具体的には、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート;アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムラウリレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等を挙げることができる。
【0030】
ノニオン系界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミドまたは酸との縮合生成物等が使用できる。
【0031】
高分子界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;またはこれらの重合体の構成単位である重合性単量体の二種以上の共重合体または他の単量体との共重合体等が挙げられる。また、クラウンエーテル類等の相関移動触媒は界面活性を示すので、界面活性剤として使用してもよい。
【0032】
重合性界面活性剤としては、具体的には、例えば、プロペニル−2−エチルヘキシルベンゼンスルホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステルのリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩の構造を有し、かつイソプロペニル基、アリール基等の重合性を有するもの等のアニオン性重合性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルベンゼンエーテル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルの構造を有し、かつイソプロペニル基、アリール基等の重合性を有するもの等のノニオン性重合性界面活性剤等が挙げられる。これら乳化剤である界面活性剤の使用は、1種のみの使用であっても、また2種以上の併用であってもよいが、水性樹脂分散体からの乾燥塗膜の耐水性を考慮すれば、重合性界面活性剤が好ましい。
【0033】
乳化剤の使用量は、特に限定はされないが、全重合性単量体成分の使用量に対して、好ましくは0.5〜5重量%であり、より好ましくは1〜3重量%である。乳化剤の使用量が多過ぎると塗膜の耐水性を低下させ、また、少な過ぎると樹脂粒子が大きくなり易い。樹脂の粒子径は、乳化剤の種類によっても大きな影響を受けるため、使用量は、使用する乳化剤に応じて、上記範囲内で、さらに適宜、選ぶ必要がある。乳化剤は、初期重合および本重合に適宜配分して使用することができるが、重合体の微粒子化を図るためには、初期重合に全使用量の40〜80重量%を配分するのが好ましい。
〔重合開始剤〕
重合開始剤は、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;過酸化水素、過酢酸、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;等が挙げられる。
【0034】
重合開始剤の使用量は、特に限定はされないが、全重合性単量体成分の使用量に対して、好ましくは0.05〜1重量%であり、より好ましくは0.1〜0.5重量%である。重合開始剤の使用量が多過ぎると塗膜の耐水性を低下させ、また、少な過ぎると重合速度が遅くなり、未反応の単量体が残存し易くなるので、いずれも好ましくない。重合開始剤は一種の使用でも2種以上の併用でもよい。また、重合速度を速めるために、必要に応じて、亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤や硫酸第一鉄等の金属塩を前記重合開始剤と併用してもよい。
【0035】
重合開始剤の添加は、得られる重合体粒子を細かくするために、初期重合で全使用量の40〜100重量%を添加するのが好ましく、添加方法は特に制限はなく、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下等のいずれの方法であってもよい。また、重合の完了を速めるために、全単量体成分の滴下終了前後に、特別に重合開始剤の一部を添加してもよい。
〔連鎖移動剤〕
また、重合時に重合開始剤の他に、必要に応じて、連鎖移動剤を添加することができ、例えば、t−ドデシルメルカプタン等のチオール基を有する化合物を添加することができる。
〔中和剤〕
重合の終了後、酸性基を有する重合体の酸性基はアルカリ性物質で一部または全部を中和してもよく、また、未中和のままであってもよい。
【0036】
中和剤は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の中和剤を使用することができる。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の水溶性有機アミン類等が挙げられる。上記塩基性化合物は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。中和剤としては、臭気や耐水性を考慮すると、アンモニア水やモノエタノールアミン等の低沸点アミンが好ましい。
〔添加物〕
本発明の水性樹脂分散体は、前記したように、重合性単量体に紫外線吸収性の重合性単量体や紫外線安定性の重合性単量体を用いることによって耐候性を付与することができるが、得られた水性樹脂分散体に紫外線吸収能のある物質や紫外線安定化能のある物質を配合することによっても耐候性を付与することができる。例えば、重合性基をもたない低分子量の紫外線吸収剤や紫外線安定化剤を本発明の水性樹脂分散体に添加したり、水性樹脂分散体の重合時に重合性単量体とともに添加してもよく、また、前記の紫外線吸収性の単量体や紫外線安定性の重合性単量体を重合した高分子量の水溶性または水分散型樹脂を添加してもよい。
【0037】
本発明の水性樹脂分散体はそのまま使用してもよいし、多官能イソシアネートや多官能ヒドラジンなどの硬化剤を添加してもよい。また、必要に応じて、さらに公知の添加剤、例えば、成膜助剤、顔料、分散剤、増粘剤、防腐剤、充填剤、帯電防止剤、艶消し剤等を配合して使用してもよい。
〔用途〕
本発明の水性樹脂分散体は、優れた耐水性並びに耐ブロッキング性を備えた塗膜を形成することができる。本発明の水性樹脂分散体の用途として、建築、建材用塗料、特に耐ブロッキング性の必要な工場塗装用塗料、風雨に曝される構造物の保護や窯業系無機建材、木材、紙などの耐水性の低い基材の保護などのコーティング用途などに広く用いられる。また、耐候性を付与した水性樹脂分散体は、長期にわたる美観の維持、基材の保護が必要なコーティング用途に適する。本発明の水性樹脂分散体の用途は、必ずしもブロッキング性を必要とする用途に限定されず、耐水性または耐候性を必要とする用途に広く使用することができる。その使用も、顔料の含有の有無にかかわらない。乾燥条件も、常温乾燥から加熱乾燥まで用途に合わせて選択できる。
【0038】
本発明の水性樹脂分散体は、耐水性改良剤または耐ブロッキング性改良剤として、他の水性樹脂分散体や水溶性樹脂とブレンドして使用することができる。また、本発明の水性樹脂分散体は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂等の耐候性樹脂またはエポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の耐食性樹脂と組み合わせることも、有効な使用方法である。
【0039】
【実施例】
以下に、実施例および比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水826.9g、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬製)の25%水溶液28.8gおよびアクアロンRN−20(第一工業製薬製)の25%水溶液14.4gを仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に75℃まで昇温した。
【0040】
上記75℃に保持した反応系に、本重合の1段目用として調製した、アクアロンHS−10の25%水溶液13.4g、アクアロンRN−20の25%水溶液6.7g、脱イオン水99.8g、メチルメタクリレート310.5g、ブチルアクリレート112.5g、アクリル酸9.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート18.0gからなるプレエマルション569.9gのうち57gを添加した後、5%過硫酸カリウム水溶液54.0gを添加して重合反応を開始させた。重合開始後80℃まで昇温し、そのまま10分間維持した。ここまでを初期重合とした。この時、添加したモノマーの80%以上が反応していることを固形分から確認した。
【0041】
初期重合を終え80℃に維持した反応系に、上記のプレエマルションの残部 512.9gを80分間にわたり均一滴下した。滴下後、滴下ロート内を脱イオン水20gで洗浄して、洗浄液を反応系に加えた。その後、30分間80℃を維持して、本重合の1段目を終了した。この時、添加したモノマーの80%以上が反応していることを固形分から確認した。
【0042】
1段目の重合を終え80℃に維持した反応系に、アクアロンHS−10の25%水溶液5.8g、アクアロンRN−20の25%水溶液2.9g、脱イオン水141.4g、メチルメタクリレート(MMA)126.9g、ブチルアクリレート(BA)296.1g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)9.0g、グリシジルメタクリレート(GMA)18.0gからなる2段目のプレエマルションを100分かけて均一滴下した。滴下後、滴下ロート内を脱イオン水20gで洗浄して、洗浄液を反応系に加えた。その後、60分間80℃を維持して、本重合を終了した。
【0043】
次に、本重合を終了した反応系を50℃まで冷却し、25%アンモニア水7.1gを添加して、同じ温度で10分間攪拌を続けた。さらに攪拌を続けながら室温まで冷却した後、反応液を100メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
得られた水性樹脂分散体について下記の各種の試験を行った。結果を表1に示した。表には、各単量体成分および乳化剤の量は、使用した単量体合計量100重量部に対する比率(重量部)で示した。
<固形分>
精秤した試料1gを110℃の熱風乾燥機中で60分間乾燥し、乾燥残量を固形分として、乾燥前の重量に対する比率を重量%で表示した。
<粒子径>
動的光散乱法による粒子径測定装置(HIAC/ROYCO INSTRUMENTS DIVISION 社製NICOMP Model 370)を用い、体積平均粒子径を測定した。
<計算Tg><Tg差>
重合に用いた各単量体のホモポリマーのTgに基づき、FOXの式により計算した。
<MFT(最低成膜温度)>
熱勾配試験機の上に置いたガラス板上に0.2mmのアプリケーターで水性樹脂分散体を塗工し、その後、ガラス板上の塗膜に亀裂の生じた温度を読み取り、この温度を最低成膜温度とした。
<軟化温度>
ガラス板に離型紙を貼り、ガムテープを2枚重ねて(厚さ約600μm)型枠を作製した。この型枠に水性樹脂分散体を流し込み、100℃の熱風乾燥機中で60分間乾燥させ、厚さ約200μmのフィルムを作製した。熱機械分析装置(島津製作所製TMA−50)を用い、荷重20g、昇温速度5℃/分で、得られたフィルムの軟化温度を測定した。
<不粘着性試験>
水性樹脂分散体100重量部にブチルセロソルブ(成膜助剤)の75%水溶液5.8重量部を添加し、試料の試験液とした。アプリケーターを用い、この試験液を乾燥後の膜厚が約60μmになるようにガラス板に塗工し、このガラス板を100℃の熱風乾燥機中で10分間乾燥させ、試験板を得た。得られた試験板について、JIS K5400の不粘着試験に類似した不粘着性試験を行った。条件は、40℃の熱風乾燥機中で平均荷重約70g/cm、加圧時間10分で行った。
【0044】
試験結果は下記のごとく記号で区分し、◎、○および△を合格とした。
◎:ガーゼ痕が全くない、○:目立たない程度のガーゼ痕が残る、△:ガーゼ痕が少し浅く残る、×:ガーゼ痕がくっきりと深く残る
<耐水白化試験1>
前記試験液をガラス板に同様に塗工して膜を形成した試験板を脱イオン水中に浸漬し、室温で7日間保持した。7日間浸漬試験した試験板を目視観察して白化の程度を評価した。試験結果は下記のごとく記号で区分し、◎、○および△を合格とした。
◎:異常なし、○:僅かに蛍光色を帯びる、△:蛍光色を帯びる、×:白化する<耐水白化試験2>
前記試験液をアルミ板に同様に塗工して膜を形成した試験板のL値(L1)を色差計を用いて測定した後、試験板を脱イオン水中に浸漬、室温で7日間保持した。7日間浸漬試験した試験板を水から引き上げ、水分を拭き取った後、L値(L2)を測定した。白化度ΔLを(L2−L1)で示し、ΔLの数値範囲を下記のごとく記号で区分して、膜の白化度を評価した。◎、○および△を合格とした。
◎:2未満、○:2以上5未満、△:5以上10未満、×:10以上
<吸水率>
前記試験液を塗工して膜を形成した試験板を精秤し(W1)、初期重量とした。重量W1の試験板を脱イオン水中に浸漬、室温で7日間保持した後、吸水した試験板を水から引き上げ、水分を拭き取って精秤した(W2)。浸漬前後の重量変化から、吸水率、(W2−W1)*100/W1を求め、吸水率の範囲を下記のごとく記号で区分し、◎、○および△を合格とした。
◎:5%未満、○:5%以上7.5%未満、△:7.5%以上10%未満、×:10%以上
[実施例2]〜[実施例21]、[比較例1]〜[比較例7]
実施例1において単量体並びに乳化剤およびその組み合わせを変えて、実施例1と同じ方法により、組成の異なる水性樹脂分散体を得た。結果を、実施例1と併せ、表1〜5に示した。
【0045】
用いた単量体および乳化剤を、表中に下記の略号で示した。
単量体;MMA:メチルメタクリレート、n−BMA:n−ブチルメタクリレート、i−BMA:i−ブチルメタクリレート、t−BMA:t−ブチルメタクリレート、CHMA:シクロヘキシルメタクリレート、BA:ブチルアクリレート、2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、n−OA:n−オクチルアクリレート、St:スチレン、AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸、HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、GMA:グリシジルメタクリレート、HALS:アデカスタブLA−87(旭電化製)、UVA:RUVA−93(大塚化学製)
乳化剤;A:アクアロンHS−10/アクアロンRN−20=2/1の混合物、B:アクアロンHS−10、C:ラテムルS−180A(花王製)、D:エレミノールJS−2(三洋化成製)、E:エレミノールRS−30(三洋化成製)、F:ハイテノールN−08(第一工業製薬製)、G:ハイテノール18E(第一工業製薬製)、H:レベノールWZ(花王製)
【0046】
【表1】
Figure 0003630585
【0047】
【表2】
Figure 0003630585
【0048】
【表3】
Figure 0003630585
【0049】
【表4】
Figure 0003630585
【0050】
【表5】
Figure 0003630585
【0051】
[実施例22]
滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水826.9g、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬製)の25%水溶液28.8gおよびアクアロンRN−20(第一工業製薬製)の25%水溶液14.4g、メチルメタクリレート64.8g、2−エチルヘキシルアクリレート19.8、アクリル酸5.4gを仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に昇温し、75℃に達したところで、5%過硫酸カリウム水溶液54.0gを添加して重合を開始した。重合開始後、80℃まで昇温し、そのまま10分間維持した。ここまでを初期重合とした。この時、添加したモノマーの80%以上が反応していることを確認した。
【0052】
初期重合を終え80℃に維持した反応系に、アクアロンHS−10の25%水溶液13.4g、アクアロンRN−20の25%水溶液6.7g、脱イオン水99.8g、メチルメタクリレート260.1g、2−エチルヘキシルアクリレート78.3g、アクリル酸3.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート18.0gからなる1段目のプレエマルションを80分間にわたり均一滴下した。滴下後、滴下ロート内を脱イオン水20gで洗浄して、洗浄液を反応系に加えた。その後、30分間80℃を維持して、本重合の1段目を終了した。この時、添加したモノマーの80%以上が反応していることを確認した。
【0053】
1段目の重合を終え80℃に維持した反応系に、アクアロンHS−10の25%水溶液5.8g、アクアロンRN−20の25%水溶液2.9g、脱イオン水141.4g、メチルメタクリレート170.1g、2−エチルヘキシルアクリレート252.9g、アクリル酸3.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.0gからなる2段目のプレエマルションを100分間にわたり均一滴下した。滴下終了後60分間80℃に維持し、本重合を終了した。
【0054】
次に、反応系を50℃まで冷却して、25%アンモニア水7.1gを添加し、同じ温度で10分間攪拌を続けた。さらに攪拌を続けながら室温まで冷却した後、反応液を100メッシュの金網で濾過し、水性樹脂分散体を得た。
得られた水性樹脂分散体について前記の各種の試験とさらに下記の促進耐候性試験を行った。結果を表6に示す。
<促進耐候性試験>
水性樹脂分散体を用い下記からなる白塗料を調製した。白塗料の組成は重量部で示す。
【0055】
Figure 0003630585
白塗料を乾燥後の膜厚が約60μmになるようにアプリケーターを用いてアルミ板に塗工し、100℃の熱風乾燥機中で10分間乾燥した。白塗料の塗膜を形成した試験板について、光沢を測定した後、試験装置UVCON(UC−1型(株)東洋精機製作所製)を用い促進耐候性試験を行った。試験条件として、紫外線照射70℃4時間と湿潤50℃4時間を交互に繰り返し、1000時間後に試験板の光沢を測定した。試験前に対する光沢保持率で耐候性を評価した。試験1000時間後の光沢保持率を以下の4段階に区分し、光沢保持率が70%以上を合格とした。
◎:90%以上、○:80%以上90%未満、△:70%以上80%未満、×:70%未満
[実施例23]〜[実施例31]
実施例22において単量体並びに乳化剤およびその組み合わせを変えて、実施例22と同じ方法により、組成の異なる水性樹脂分散体を得た。結果を、実施例22と併せ、表6〜7に示した。
【0056】
用いた単量体および乳化剤を、表中に下記の略号で示した。
単量体;MMA:メチルメタクリレート、t−BMA:t−ブチルメタクリレート、2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、AA:アクリル酸、HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、GMA:グリシジルメタクリレート、HALS:メタクリロイルオキシ−2,2,4,4−テトラメチルピペリジン(商品名;アデカスタブLA−87 旭電化製)、UVA:2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール(商品名;RUVA−93 大塚化学製)、MPTMS:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名;SZ−6030 東レ・ダウコーニング・シリコーン製)
乳化剤;A:アクアロンHS−10/アクアロンRN−20=2/1の混合物
【0057】
【表6】
Figure 0003630585
【0058】
【表7】
Figure 0003630585
【0059】
【効果】
本発明の水性樹脂分散体を用いることにより、優れた耐水性並びに耐ブロッキング性を備えた塗膜を形成することができる。本発明の水性樹脂分散体は、屋内外の工場塗装用塗料、風雨に曝される構造物の保護や窯業系無機建材、木材、紙などの耐水性の低い基材の保護などのコーティング用途などに広く用いることができる。

Claims (2)

  1. 初期重合とこれに続く多段の本重合からなる乳化重合により、得られる水性樹脂分散体であって、
    前記乳化重合に用いられる全重合性単量体成分の計算Tgは−10〜40℃であると共に、本重合の第一段に用いられる重合性単量体成分の計算Tgは、最終段に用いられる重合性単量体成分の計算Tgより40℃以上高く、
    水性樹脂分散体は樹脂粒子の平均粒子径が50〜110nmであり、
    水性樹脂分散体の固形分含有量は40〜60重量%であり、
    水性樹脂分散体による最低成膜温度(MFT)は前記全重合性単量体成分の計算Tgよりも19℃以上高い値を示し、
    水性樹脂分散体の塗膜はその軟化温度が前記全重合性単量体成分の計算Tgよりも10℃以上高い値を示す、
    ことを特徴とする、水性樹脂分散体。
  2. 前記重合性単量体成分は、シクロアルキル基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、3級アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、ベンゾトリアゾール系の重合性単量体、ピペリジン系の重合性単量体、アルコキシシラン基を有する重合性単量体およびベンゾフェノン系の重合性単量体のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の水性樹脂分散体。
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