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JP2000342292A - α−ヒドロキシアミドの製造方法 - Google Patents

α−ヒドロキシアミドの製造方法

Info

Publication number
JP2000342292A
JP2000342292A JP15644799A JP15644799A JP2000342292A JP 2000342292 A JP2000342292 A JP 2000342292A JP 15644799 A JP15644799 A JP 15644799A JP 15644799 A JP15644799 A JP 15644799A JP 2000342292 A JP2000342292 A JP 2000342292A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydroxynitrile
aldehyde
hydroxyamide
methylthio
hydroxy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP15644799A
Other languages
English (en)
Inventor
Masato Kawabe
正人 河辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP15644799A priority Critical patent/JP2000342292A/ja
Publication of JP2000342292A publication Critical patent/JP2000342292A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 α−ヒドロキシニトリルから対応するα−ヒ
ドロキシアミドを効率よく高い生産速度で製造する。 【解決手段】 α―ヒドロキシニトリル(例えば、α−
ヒドロキシニトリルが2−ヒドロキシ−4−(メチルチ
オ)−ブチロニトリル)を水和する能力を有する微生物
又はその処理物を、前記α―ヒドロキシニトリルに作用
させ、対応するアミドに変換させる方法において、反応
系にアルデヒド(例えば、2−ヒドロキシ−3−(メチ
ルチオ)−プロピオンアルデヒド)を添加する。前記ア
ルデヒドは、3mM〜1000mMの濃度で添加でき
る。アルデヒドの添加により青酸の生成を抑制でき、α
−ヒドロキシアミドを効率よく生成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物またはその処
理物をα−ヒドロキシニトリルに作用させるα−ヒドロ
キシアミドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】α−ヒドロキシアミドおよびそれらの誘
導体は様々な分野で利用される有用な化合物であり、例
えば、2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)−ブチルア
ミドを加水分解して得られる2−ヒドロキシ−4−メチ
ルチオ酪酸は家畜、特に家禽の飼料に含硫アミノ酸類の
不足を補う目的で添加される飼料添加物である。
【0003】近年、α−ヒドロキシアミドを製造する方
法として、微生物またはその処理物を用いて、α−ヒド
ロキシニトリルを水和して、対応するα−ヒドロキシア
ミドに変換する方法が幾つか提案されている。しかしな
がら、これらの微生物またはその処理物の活性は未だ十
分に高いとはいえず、高活性な水和能力を持つ微生物の
探索が精力的に行なわれている。
【0004】α−ヒドロキシニトリルをα−ヒドロキシ
アミドに変換する酵素(ニトリルヒドラターゼ)の活性
は青酸により阻害されることが知られている。そのた
め、WO98/32872号明細書では、原料として、
青酸含有量が0.5モル%以下のα−ヒドロキシニトリ
ルを使用することが提案されている。しかし、α−ヒド
ロキシニトリルは、水溶液中でその一部が対応するアル
デヒドと青酸とに分解するので、原料α−ヒドロキシニ
トリル中の青酸量を低減させても、反応液中の青酸濃度
を、ニトリルヒドラターゼ活性が阻害されない程度にま
で低減することは困難であり、α−ヒドロキシニトリル
の水和反応は、青酸によりニトリルヒドラターゼ活性が
阻害された条件下で行わざるを得ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、α−ヒドロキシニトリルから対応するα−ヒドロキ
シアミドを効率よく高い生産速度で製造する方法を提供
することにある。
【0006】本発明の他の目的は、青酸の生成を抑制し
つつα−ヒドロキシアミドを効率よく生成できる方法を
提供することにある。
【0007】本発明のさらに他の目的は、α−ヒドロキ
シニトリルの濃度が高くても、微生物のニトリルヒドラ
ターゼ活性を維持でき、α−ヒドロキシアミドを効率よ
く生成できる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ニトリル
ヒドラターゼ活性は、青酸に対して可逆的に阻害される
が、α−ヒドロキシニトリルに対しては不可逆的に阻害
されること、すなわち、ニトリルヒドラターゼは、α−
ヒドロキシニトリルとの接触により徐々に失活すること
を見出した。従って、ニトリルヒドラターゼ活性を長時
間安定に維持するためには、反応液中のα−ヒドロキシ
ニトリル濃度をできるだけ小さくし、ニトリルヒドラタ
ーゼ活性をできるだけ高めることが必要となる。
【0009】本発明者らは、これらの知見に基づいて、
ニトリルヒドラターゼ活性を最大限引き出すため、反応
系中の青酸濃度を低減する方法について鋭意検討した結
果、α−ヒドロキシニトリルの分解反応の平衡を制御す
ることによって、青酸の生成を抑制しつつ、α−ヒドロ
キシニトリルから対応するアミド化合物を効率的に生産
できる方法を見いだし、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明のα−ヒドロキシルアミ
ドの製造方法では、α―ヒドロキシニトリルを水和する
能力を有する微生物又はその処理物を、前記α―ヒドロ
キシニトリルに作用させて対応するアミドに変換させる
方法であって、反応系にアルデヒドを添加する。前記ア
ルデヒドとしては、α―ヒドロキシニトリルに対応する
アルデヒドなどを用いることができる。反応系(α―ヒ
ドロキシニトリルを水和する能力を有する微生物又はそ
の処理物を、前記α―ヒドロキシニトリルに作用させ、
対応するアミドに変換させる系)にアルデヒドを添加す
ることにより、青酸の生成を抑制できる。
【0011】
【発明の実施の形態】[α−ヒドロキシニトリル]本発
明のα−ヒドロキシアミドの製造方法において、原料の
α−ヒドロキシニトリルとしては、例えば、下記式
(I)で表される化合物が挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】(式中、R1は脂肪族炭化水素基、脂環族
炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基を示し、こ
れらの基は置換基を有していてもよい) 前記脂肪族炭化水素基には、例えば、アルキル基(メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、
オクチル、デシル基などのC1-12アルキル基、好ましく
はC1-6アルキル基など)などの飽和脂肪族炭化水素
基;アルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、
イソプロペニル、2−ブテニルなどのC2-12アルケニル
基など)、アルキニル基(エチニル、2−プロピニルな
どのC2-12アルキニル基など)などの不飽和脂肪族炭化
水素基などが含まれる。
【0014】脂環族炭化水素基には、シクロアルキル基
(例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキ
シル、シクロオクチル基などのC3-10シクロアルキル基
など)などの飽和脂環族炭化水素基;シクロアルケニル
基(シクロペンテニル、シクロヘキセニル基などのC
3-10シクロアルケニル基など)などの不飽和脂環族炭化
水素基などが含まれる。
【0015】芳香族炭化水素基としては、例えば、フェ
ニル、ナフチルなどのC6-14アリール基などが例示でき
る。
【0016】複素環基には、例えば、窒素原子、酸素原
子及び硫黄原子から選択された少なくとも1つの異種原
子をヘテロ原子として含む複素環基が含まれる。複素環
基は、芳香族性複素環基、非芳香族性複素環基、縮合複
素環基のいずれであってもよい。前記複素環基に対応す
る複素環としては、例えば、ピロリン、ピロール、ピペ
リジン、ピペラジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジ
ン、トリアゾール、キノリンなどの窒素原子含有複素
環;テトラヒドロフラン、フラン、ピランなどの酸素原
子含有複素環;テトラヒドロチオフェン、チオフェンな
どの硫黄原子含有複素環;チアゾリン、チアジアゾリ
ン、チアゾール、チアジン、モルホリンなどの窒素原
子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれた少なくとも2つ
のヘテロ原子を有する複素環などが挙げられる。
【0017】R1で示される基は、ハロゲン原子(例え
ば、塩素原子、臭素原子など)、ヒドロキシル基、アル
コキシ基(例えば、メトキシ、エトキシなどのC1-6
ルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノ
キシなど)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、
イソプロピルなどのC1-6アルキル基など)、アリール
基(フェニル、トリル、クロロフェニル、ナフチルなど
のC6-14アリール基など)、オキソ基、チオール(メル
カプト)基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ(メ
チルメルカプト)、エチルチオなどのC1-6アルキルチ
オ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオな
どのC6-14アリールチオ基など)、カルボキシル基、エ
ステル基(例えば、メトキシカルボニルなどのC1-6
ルコキシカルボニル基;アセトキシなどのC2-12アシル
オキシ基など)、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾ
イルなどのC2-12アシル基)、アミノ基、モノまたはジ
置換アミノ基(例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ
などのモノまたはジ−C1- 6アルキルアミノ基)、ニト
ロ基などの置換基を有していてもよい。置換基の個数
は、例えば、1〜4程度である。
【0018】好ましいR1には、例えば、炭素数1〜1
2(好ましくは1〜6)程度のアルキル基、炭素数2〜
12程度のアルケニル基、炭素数2〜12程度のアルキ
ニル基、炭素数3〜10程度のシクロアルキル基、炭素
数6〜14程度のアリール基、及びC7-10アラルキル基
(フェニルメチル、2−フェニルエチル、1−フェニル
エチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル基
など)などが含まれる。
【0019】ヒドロキシニトリルの炭素数は、例えば、
2〜18、好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜
8程度である。
【0020】α−ヒドロキシニトリルの具体的な例とし
て、例えば、ヒドロキシアセトニトリル、ラクトニトリ
ル、ヒドロキシメチルチオアセトニトリル、アセトンシ
アンヒドリン、2−メチルチオラクトニトリル、ヒドロ
キシジメチルチオアセトニトリル、2−ヒドロキシブチ
ロニトリル(α−ヒドロキシブチロニトリル)、2−ヒ
ドロキシ−4−メチルチオブチロニトリル、2−ヒドロ
キシ−2−メチルブチロニトリル、2−ヒドロキシ−3
−メチルブチロニトリル(α−ヒドロキシイソブチロニ
トリル)、2−ヒドロキシ−3−メチルチオブチロニト
リル、2−ヒドロキシペンチロニトリル(α−ヒドロキ
シペンチロニトリル)、2−ヒドロキシヘキシロニトリ
ル(α−ヒドロキシへキシロニトリル)、2−ヒドロキ
シ−4−(メチルチオ)ヘキシロニトリル、2−ヒドロ
キシオクチロニトリル(α−ヒドロキシオクチロニトリ
ル)、3−クロロラクトニトリルなどの飽和脂肪族α−
ヒドロキシニトリル;2−ヒドロキシ−3−ブテンニト
リル、2−ヒドロキシ−4−メチルチオ−3−ブテンニ
トリル、アクロレインシアノヒドリン、メタクロレイン
シアノヒドリンなどの不飽和脂肪族α−シヒドロキシニ
トリル;2−ヒドロキシ−シクロヘキサンアセトニトリ
ル、シクロペンタノンシアンヒドリン、シクロヘキサノ
ンシアンヒドリンなどの脂環式α−ヒドロキシニトリ
ル;1−シアノ−1−ヒドロキシベンゼン、マンデロニ
トリル、2−ヒドロキシ−3−フェニルブチロニトリ
ル、2−ヒドロキシ−3−フェニル−4−メチルチオブ
チロニトリルなどの芳香族α−ヒドロキシニトリル、ま
たはこれらの置換体などが挙げられる。
【0021】好ましいα−ヒドロキシニトリルには、α
−ヒドロキシニトリル(ラクトニトリル、アセトンシア
ンヒドリンなどの炭素数3〜8程度の脂肪族α−シアン
ヒドリンなど)、メチルチオ基を有するα−ヒドロキシ
ニトリル(例えば、2−ヒドロキシ−4−(メチルチ
オ)−ニトリル)が含まれる。
【0022】前記α−ヒドロキシニトリルは、慣用の方
法、例えば、アルデヒド又はケトンにシアン化水素を作
用させる方法、アルデヒド又はケトンと亜硫酸水素ナト
リウムとの付加物に、シアン化カリウムなどのシアン化
アルカリ等を作用させる方法などにより製造できる。
【0023】[微生物又はその処理物]本発明の方法で
は、微生物としてはニトリルを水和させる能力を有する
ものであればいずれも使用できる。ニトリルから対応す
るアミドを生成させる能力(ニトリルヒドラターゼ活
性)を有する前記微生物として、例えば、以下の微生物
が例示される。
【0024】(1)ミクロコッカス属:ミクロコッカス
(Micrococcus)sp.A111(FERM P−27
20)など。
【0025】(2)バクテリヂウム属:バクテリヂウム
(Bacterdium)sp.R341(FERM P−271
9)、バクテリヂウム(Bacterdium)sp.R340(F
ERMP−2718)など。
【0026】(3)バチラス属:バチラス(Bacillus)
sp.R332(FERM P−2717) 、バチラス
スミシー(Bacillus smithii) SC−J05−1(F
ERM P−14037,FERM BP−4935)
など。
【0027】(4)ミクロバクテリウム属:ミクロバク
テリウム フラバム(Microbacterium flovum) IAM
1642など。
【0028】(5)シュードモナス属:シュードモナス
(Pseudomonas)sp.SK87(FERM P−113
11)、シュードモナス クロロラフィス(Pseudomonas
chlororaphis)B23(FERM BP−187)、シ
ュードモナス(Pseudomonas)sp.PS1(FERM
BP−188)、シュードモナス(Pseudomonas)sp.
MY−1(FERM P−9174)など。
【0029】(6)アルカリゲネス属:アルカリゲネス
(Alcaligenes)sp.BC16−2(FERM P−1
1276)など。
【0030】(7)コリネバクテリウム属:コリネバク
テリウム ニトリロフィラス(Corynebacterium nitrilo
philus) ATCC 21419、コリネバクテリウム(C
orynebacterium)sp.N−771(FERM P−4
445)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)s
p.N−774(FERM P−4446)など。
【0031】(8)ブレビバクテリウム属:ブレビバク
テリウム インペリアル(Brevibacterium imperiale)B
−222(FERM P−2721)、ブレビバクテリ
ウム(Brevibacterium)sp.R312(FERM P−
2722)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)s
p.C211(FERM P−2723)など。
【0032】(9)ノカルジア属:ノカルジア(Nocardi
a)sp.N−775(FERM P−4447)など。
【0033】(10)ロドコッカス属:ロドコッカス
ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous) ATCC 3
3278、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus r
hodochrous) J−1(FERM BP−1478)、ロ
ドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)
IFM 153、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodo
coccus erythropolis)IFO 12320、ロドコッカ
ス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFM
155、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus
erythropolis)AK 3132(FERM BP−10
40)、ロドコッカス (Rhodococcus)sp.s−6
(FERM BP−687、ロドコッカス(Rhodococcu
s)sp.AK 33(FERM BP−1047)、ロ
ドコッカス ルブロペルチンクタス(Rhodococcus rubro
pertinctus) JCM 3204、ロドコッカス(Rhodoc
occus)sp.Cr4(FMRM BP−6596)、
ロドコッカス(Rhodococcus)sp.Am8(FMRM
BP−6595)など。
【0034】特にロドコッカス(Rhodococcus)sp.
Cr4株、ロドコッカス(Rhodococcus)sp.Am8
株は、ニトリルからアミドへの変換能力の高い菌株とし
て例示できる。ロドコッカス(Rhodococcus)sp.Cr
4株は岡山県岡山市の畑土より採取した土壌から分離さ
れた菌株であり、ロドコッカス(Rhodococcus)sp.A
m8株は岐阜県岐阜市の水田より採取した土壌から分離
された菌株である。前記菌株は両方とも好気性のグラム
陽性の桿菌である。
【0035】(11)アースロバクター属:アースロバ
クター(Arthrobacter)sp.HR1(FERM P−1
1301)、アースロバクター グロビホルミス(Arthr
obacter globisformis) IFO 12138、アースロ
バクター オウレセンス(Arthrobacter aurescens)IA
M 12340など。
【0036】(12)アグロバクテリウム属:アグロバ
クテリウム ラジオバクター(Agrobacterium radiobact
er) SC−C15−1(FERM BP−3843)な
ど。
【0037】(13)アスペルギルス属:アスペルギル
ス ニガー(Aspergillus nigar) JCM1925,22
61など。
【0038】(14)ペニシリウム属:ペニシリウム
クリソゲナム(Penicillium crysogenum)IFO 547
3など。
【0039】(15)コクリオボラス属:コクリオボラ
ス ミヤビアヌス(Cochliobolus miyabeanus) OUT
2074など。
【0040】(16)フザリウム属:フザリウム(Fusar
ium)sp.MY−3(FERM P−9188)など。
【0041】(17)エンテロバクター属:エンテロバ
クター(Enterobacter )sp.MC12707(FER
M P−12801)など。
【0042】(18)キサントバクター属:キサントバ
クター フラブス(Xanthobacter flavus) JCM 12
04など。
【0043】(19)エルウィニア属:エルウィニア
ニグリフルエンス(Erwinia nigrifluens) MAFF03
−01435など。
【0044】(20)シトロバクター属:シトロバクタ
ー フロンディ(Citrobacter freundii)MC12615
(FERM P−12390)など。
【0045】(21)エアロモナス属:エアロモナス(A
eromonas)sp.MC12615(FERM P−12
390)など。
【0046】(22)ゴルドナ属:ゴルドナ ルブロペ
ルチンクタス(Gordona rubropertinctus) JCM 32
04など。
【0047】なお、IFO番号の付された微生物は
(財)発酵研究所(IFO)から、ATCC番号の付さ
れた微生物は、American Type Culture Collection(A
TCC)から、IAM番号の付された微生物は東京大学
応用微生物研究所(IAM)から、IFM番号の付され
た微生物は千葉大学生物活性研究所(IFM)から、J
CM番号の付された微生物は理化学研究所微生物系保存
施設からそれぞれ入手できる。また、FERM番号の付
された微生物は工業技術院生命工学工業技術研究所に寄
託されている。
【0048】前記微生物は、α−ヒドロキシニトリルか
らα−ヒドロキシアミド化合物を生成させるのに有用で
あり、前記微生物の菌体又はその処理物を、α−ヒドロ
キシニトリルに作用させることにより、対応するα−ヒ
ドロキシアミド化合物に変換できる。
【0049】前記微生物を培養する際の培地としては、
微生物が通常資化し得るグルコース、フルクトース、ス
クロース、デキストリン、デンプン等の糖類、グリセロ
ール、ソルビトール、エタノール等のアルコール類、フ
マル酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類お
よびその塩類、パラフィン等の炭化水素類などから選択
された少なくとも一種の炭素源;硫酸アンモニウム、硝
酸アンモニウム等の窒素源;硫酸マグネシウム、塩化第
二鉄、塩化コバルト等の無機栄養素や金属を含有する培
地、又はこれらの培地に酵母エキス、肉エキス等の天然
有機窒素源を添加した培地などを用いることができる。
【0050】前記培地には、必要に応じて、微生物の増
殖を促進する因子、培地のpH保持に有効な緩衝物質、
反応生成物であるアミドの生成能力を高める因子(誘導
源や金属)などを添加してもよい。
【0051】前記誘導源としては、例えば、各々の微生
物に適したアセトニトリル、イソバレロニトリル、イソ
ブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、
また、アセトアミド、プロピオアミド等のアミド化合物
が含まれる。
【0052】これらの誘導源及び金属は一種又は二種以
上組み合わせて使用できる。また、前記培地は、液体培
地、固体培地(平板培地など)などであってもよい。
【0053】微生物の培養は、生育可能な条件下であれ
ばよく、例えば、培地のpHは、通常、pH2〜12、
好ましくはpH4〜10、さらに好ましくはpH5〜8
程度であり、培養温度は、例えば、5〜60℃、好まし
くは10〜50℃、さらに好ましくは20〜40℃程度
である。培養は、微生物の活性が最大となるまで培養す
ればよく、その期間は、例えば、10時間〜10日間程
度、好ましくは1〜4日間程度である。微生物の培養
は、嫌気性又は好気性条件下のいずれで行ってもよい
が、好気性条件下で行うのが好ましい。
【0054】前記微生物の培養物からの菌体の採取は、
慣用の方法、例えば遠心分離法などにより行うことがで
きる。また、菌体の破砕は、例えば、ホモジナイザーな
どにより機械的に行ってもよく、超音波などを用いて行
ってもよい。
【0055】前記微生物は、生菌体として用いてもよ
く、菌体処理物として用いてもよい。前記処理物(菌体
処理物)としては、菌体に種々の処理を施したもの、例
えば、菌体破砕物、アセトン処理物、凍結乾燥物、菌体
からの抽出物[酵素(粗酵素又は精製酵素)など]など
が含まれる。これらの菌体又はその処理物は、例えば、
ポリアクリルアミドゲル法、含硫多糖ゲル法(カラギー
ナンゲル法など)、アルギン酸ゲル法、寒天ゲル法など
の慣用の方法により固定化して用いてもよい。
【0056】[アルデヒド]反応系において、α−ヒド
ロキシニトリルの一部は、下記反応式で示されるように
可逆的に解離又は分解するようである。
【0057】
【化2】
【0058】(式中、R1は、前記式(I)に同じ。) このような反応系にアルデヒドを添加すると、上記平衡
はα−ヒドロキシニトリル側に移動する。すなわち、ア
ルデヒドの添加により、青酸の生成を抑制でき、青酸に
よるニトリルヒドラターゼ活性の阻害を低減できる。そ
のため、基質(α−ヒドロキシニトリル)は対応するア
ミドに効率よく変換される。従って、基質濃度が比較的
高くても、ニトリルヒドラターゼの高い活性が比較的長
期間維持でき、α−ヒドロキシアミドを効率的に得るこ
とができる。
【0059】本発明の方法において、反応系に添加され
るアルデヒドとしては、任意のアルデヒドが使用でき、
例えば、下記式(II)で表される化合物が挙げられ
る。
【0060】
【化3】
【0061】(式中、R2は、前記式(I)におけるR1
と同じ。) 上記式(II)で表されるアルデヒドの具体的な例とし
ては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、
メチルチオアセトアルデヒド、ジメチルチオアセトアル
デヒド、3−メチルチオプロピオンアルデヒド、プロピ
オンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデ
ヒド、4−メチルチオブチルアルデヒド、2−メチルブ
チルアルデヒド、3−メチルブチルアルデヒド、3−メ
チルチオブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバ
レルアルデヒド、カプロンアルデヒド、4−(メチルチ
オ)ヘキシルアルデヒド、オクチルアルデヒド、3−ク
ロロアセトアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル
酸、グルタルアルデヒドなどの飽和脂肪族アルデヒド;
アクロレイン、クロトンアルデヒド、メタクロレインな
どの不飽和脂肪族アルデヒド;シクロヘキサナール、シ
クロペンタナールなどの脂環式アルデヒド;ベンズアル
デヒド、2−フェニルプロビオンアルデヒド、2−フェ
ニル−3−メチルチオプロピオンアルデヒドなどの芳香
族アルデヒド、またはこれらの縮合体や置換体などが挙
げられる。これらのアルデヒドは単独で又は二種以上組
み合わせて使用できる。
【0062】後工程での精製効率を高めるため、好まし
いアルデヒドには、前記基質(α−ヒドロキシニトリ
ル)に対応するアルデヒド(すなわち、式(II)にお
いてR 2=R1であるアルデヒド)、例えば、炭素数2〜
7程度の脂肪族アルデヒド、メチルチオ基を有するアル
デヒド(例えば、3−(メチルチオ)−プロピオンアル
デヒド)が含まれる。
【0063】前記アルデヒドの添加量は、反応を阻害し
ない広い範囲から選択でき、通常、3〜1000mM、
好ましくは4〜800mM(例えば、4〜500m
M)、より好ましくは5〜100mMの濃度である。ア
ルデヒドの添加量が少なすぎると、α−ヒドロキシニト
リルの分解による青酸の生成を十分に低減できず、多す
ぎると、反応効率が向上しない。
【0064】α−ヒドロキシニトリルから対応するアミ
ドへの変換は、前記菌体又はその処理物を含む水又は緩
衝液などと、菌体又はその処理物を含む基質(α−ヒド
ロキシニトリル)の有機溶媒(n−ヘキサン、酢酸エチ
ルなどの非水溶性溶媒)溶液とを含む二相系における反
応により行ってもよく、また、菌体又はその処理物を含
む水又は緩衝液の懸濁液に、基質(α−ヒドロキシニト
リル)の緩衝液溶液又は水溶性有機溶媒(エタノールな
ど)溶液を直接添加、混合する単相系の反応により行っ
てもよい。前記基質(α−ヒドロキシニトリル)は完全
に溶解していなくてもよい。また、固定化された菌体又
はその処理物をカラムに充填し、基質(α−ヒドロキシ
ニトリル)の緩衝液溶液を通じて反応させてもよい。
【0065】反応系の前記菌体又はその処理物の濃度
は、例えば、0.01〜70重量%、好ましくは0.0
5〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%
程度である。基質濃度は、例えば、0.1〜80重量
%、好ましくは1〜60重量%程度、さらに好ましくは
5〜50重量%程度である。
【0066】反応温度は反応が進行する程度であればよ
く、例えば、0〜60℃、好ましくは5〜50℃、さら
に好ましくは10〜40℃程度である。例えば、水溶性
有機溶媒を添加した系においては、反応系の温度が0℃
以下であってもよい。反応pHは、例えば、3〜12、
好ましくは4〜10、さらに好ましくは5〜8程度であ
る。反応時間は、例えば1分〜100時間、好ましくは
5分〜50時間、さらに好ましくは30分〜30時間程
度である。
【0067】このような反応により、前記α−ヒドロキ
シニトリル化合物は対応するアミド化合物に変換され
る。例えば、α−ヒドロキシニトリルとして、2−ヒド
ロキシ−4−(メチルチオ)ブチロニトリルを用いる
と、2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)ブチルアミド
が得られる。
【0068】得られたα−ヒドロキシアミド化合物は、
慣用の方法により分離精製できる。例えば、濃縮、イオ
ン交換、電気透析、抽出、晶析、膜分離、遠心分離など
の分離手段に供したり、反応液から菌体を遠心分離、膜
分離などによって除去した後、前記分離手段に供する方
法などにより、目的化合物であるα−ヒドロキシアミド
化合物を分離することができる。
【0069】生成したα−ヒドロキシアミド化合物から
は、カルボン酸を製造することもできる。例えば、本発
明によって得られたα−ヒドロキシアミド化合物を、特
開平10−179183号公報に記載されている方法な
どに従って加水分解することにより、α−ヒドロキシカ
ルボン酸などのカルボン酸を製造できる。特開平10−
179183号公報には、微生物をニトリルに作用させ
て対応するアミドを生成させ、このアミドを塩基(水酸
化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物など)の存在
下で加水分解して対応するカルボン酸の塩を生成させ、
さらにこのカルボン酸の塩を電気透析して対応するカル
ボン酸と塩基とを生成することが開示されている。この
方法と本発明の微生物によるアミド化合物の製造方法と
を組み合わせて用いると、ニトリルの水和触媒として硫
酸を用いることなく重硫酸アンモニウムなどの副生成物
を伴なわずにカルボン酸を得ることもできる。
【0070】
【発明の効果】本発明では、反応系にアルデヒドを添加
するので、α−ヒドロキシニトリルから対応するα−ヒ
ドロキシアミドを効率よく高い生産速度で製造できる。
また、ニトリルヒドラターゼ活性を阻害するの青酸の生
成を抑制しつつα−ヒドロキシアミドを効率よく生成で
きる。そのため、α−ヒドロキシニトリルの濃度が高く
ても、微生物のニトリルヒドラターゼ活性を維持でき、
α−ヒドロキシアミドを効率よく生成できる。
【0071】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0072】以下の実施例および比較例で使用される略
語は以下の意味を有する。
【0073】HMBN:2−ヒドロキシ−4−(メチル
チオ)−ブチロニトリル MMP:3−(メチルチオ)−プロピオンアルデヒド HMBAm:2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)−ブ
チルアミド HMBA:2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)−酪酸 以下の実施例および比較例では以下の方法で物質の定量
を行なった。
【0074】HMBN、MMP、HMBAm及びHMB
Aの定量:液体クロマトグラフ法 カラム:J‘sphere ODS−M80(4.6m
mφ×250mmL、YMC製) 移動相:0.1%リン酸:アセトニトリル:メタノール
=8:1:1 流量:1.0mL/分 検出器:UV検出器 検出波長:210nm カラム温度:40℃ 青酸の定量:ポストカラム誘導体化法を用いた液体クロ
マトグラフ法 カラム:Shim−pack AMINO−Na(6m
mφ×100mmL、島津製作所製) 移動相:酒石酸アンモニウム緩衝液(pH3.1) 移動相流量:0.6ml/分 反応試薬液:10mM o−フタルアルデヒドのメタノ
ール溶液と200mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH
9.2)の混合溶液(1/4(vol/vol)) 反応試薬流量:0.4ml/分 カラムおよび反応漕温度:50℃ 反応漕容積:400μl 検出器:蛍光検出器 励起波長Ex:330nm 蛍光測定波長Em:380nm 比較例1 [2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)−ブチロニトリ
ル(HMBN)の解離平衡の測定]10℃に維持したp
H6およびpH8のリン酸緩衝液に、濃度が1.31重
量%になるようにHMBNを添加し、HMBNの分解に
より生成する青酸および3−(メチルチオ)−プロピオ
ンアルデヒド(MMP)の濃度を経時的に測定した。そ
の結果をそれぞれ図1および図2に示す。
【0075】図1および2から明らかなように、溶液の
pHが高いほどHMBNの分解速度は速く、pH6では
平衡に達するまで3時間以上を要したのに対し、pH8
ではほぼ瞬時に平衡状態に達した。また、平衡時の青酸
濃度とMMP濃度は溶液のpHとは殆ど無関係であっ
た。平衡時の青酸濃度は約30ppmであり、MMP濃
度は約200ppm(約1.9mM)であった。
【0076】実施例1 [MMPを添加した場合のHMBNの解離平衡の測定]1
0℃に維持したpH6のリン酸緩衝液に、濃度がそれぞ
れ1.31重量%および1000ppmになるように、
HMBNおよびMMPを添加した。HMBNの分解によ
り生成する青酸およびMMPの濃度を経時的に測定し
た。その結果をそれぞれ図3および図4に示す。
【0077】図3および4から明らかなように、平衡時
の青酸濃度は約5ppmであり、MMP濃度は約120
0ppm(約12mM)であった。すなわち、青酸濃度
はMMPを添加しない場合に比べて約6分の1に減少し
た。
【0078】比較例2 10℃に維持したpH6のリン酸緩衝液に、HMBN
3.28gを添加し、1時間攪拌し、青酸濃度を測定し
たところ10ppmであった。
【0079】この混合液に、ニトリルヒドラターゼ活性
を有する微生物の洗浄菌体[ロドコッカス(Rhodococcu
s)sp.Cr4(FMRM BP−6596)]0.4
0gを添加してHMBNの水和反応を行ない、2−ヒド
ロキシ−4−(メチルチオ)−ブチルアミド(HMBA
m)の濃度を経時的に測定した。その結果を図5に示
す。
【0080】比較例3 pH6のリン酸緩衝液に代えてpH8のリン酸緩衝液を
用いる以外は比較例2と同様の条件でHMBNの水和反
応を行い、HMBAmの濃度を経時的に測定した。その
結果を図6に示す。 実施例2 10℃に維持したpH6のリン酸緩衝液246.07g
に、HMBN3.28gおよびMMP0.25g(9.
6mM)を添加し、1時間攪拌し、青酸濃度を測定した
ところ4.5ppmであった。
【0081】この混合液に、ニトリルヒドラターゼ活性
を有する微生物の洗浄菌体[ロドコッカス(Rhodococcu
s)sp.Am8(FMRM BP−6595)]0.4
0gを添加してHMBNの水和反応を行ない、2−ヒド
ロキシ−4−(メチルチオ)−ブチルアミド(HMBA
m)の濃度変化を経時的に測定した。その結果を図5に
示す。
【0082】実施例3 pH6のリン酸緩衝液に代えてpH8のリン酸緩衝液を
用いる以外は実施例2と同様の条件でHMBNの水和反
応を行い、HMBAmの濃度を経時的に測定した。その
結果を図6に示す。
【0083】実施例4 MMP0.25gに代えてプロピオンアルデヒド0.2
5g(17mM)を用いる以外は実施例2と同様の条件
でHMBNの水和反応を行ない、HMBAmの濃度を経
時的に測定した。その結果を図5に示す。
【0084】比較例4 [固定化菌体の調製]κ−カラギーナン(中央化成(株)
製)2.1gと0.9重量%食塩水45.0gとを混合
し、70℃に加熱し、次いで40℃に冷却した(A
液)。また、ニトリルヒドラターゼ活性を有する微生物
の洗浄菌体[ロドコッカス(Rhodococcus)sp.Cr4
(FMRM BP−6596)]8.0gと0.9重量
%食塩水8.0gとを混合し、40℃に加熱した(B
液)。A液とB液とを混合し、チューブポンプ(チュー
ブ内径2mmφ)で10℃に冷却した0.3M塩化カリ
ウム水溶液中に押出し、外径2mmφの糸状ゲル化物を
得た。この糸状ゲル化物を約10mmの長さに細断し、
固定化菌体とした。
【0085】図9にHMBN連続水和反応装置のフロー
図を示す。この装置は、α−ヒドロキシニトリルを含む
溶液(仕込み液)を貯蔵する仕込液タンク1と、α−ヒ
ドロキシニトリルに微生物の活性を作用させるため、固
定化された微生物又はその処理物を充填したカラム3
と、このカラムにおいてα−ヒドロキシニトリルから変
換されたα−ヒドロキシアミドを含む反応混合液を貯蔵
する反応液タンク7とを備えている。仕込液タンク1か
らカラム3へ至るラインには、仕込液タンク1内の仕込
み液(基質溶液)をカラム3へ供給するための仕込みポ
ンプ2が設けられている。カラム3は、カラム3内に仕
込み液(基質溶液)を循環させるためのラインを備えて
おり、このラインには、仕込み液を循環させるための循
環ポンプ4が設けられている。さらに、カラム3はジャ
ケット5を備えており、このジャケットには温度調節装
置6からの温度調整用液体が循環している。
【0086】図9に示す装置のジャケット付ガラス製カ
ラム(20mmφ×200mmL)に固定化菌体8gを
充填した。このカラムにリン酸カリウム緩衝液(pH
8)を循環ポンプで循環させた。ジャケットに冷却水を
通し、カラム内温度を10℃に維持した。
【0087】前記カラムに、仕込み液として8重量%の
HMBNを含有するリン酸カリウム緩衝液(pH8)を
速度7g/hrで仕込み、カラム内の液面が一定になる
ように反応液を抜き出した。反応中、反応液中の青酸お
よびMMP濃度はそれぞれ、約15ppm、100pp
m(0.96mM)であった。反応液中のHMBN、H
MBAm、HMBA(2−ヒドロキシ−4−(メチルチ
オ)−酪酸)の濃度を経時的に定量した。その結果を図
7に示す。
【0088】図7から明らかなように、反応時間の経過
に伴い、固定化菌体中のニトリルヒドターゼ活性が低下
し、HMBN濃度が徐々に上昇した。HMBN濃度が2
重量%になるまで要した時間は約80時間であった。
【0089】実施例5 仕込み液として、8重量%のHMBNを含有するリン酸
カリウム緩衝液(pH8)に代えて、8重量%のHMB
N及びMMP1200ppm(12mM)を含有するリ
ン酸カリウム緩衝液(pH8)を用いる以外は、比較例
4と同様の条件でHMBNの連続水和反応を行った。反
応中、反応液中の青酸およびMMP濃度はそれぞれ、約
5ppm、1000ppm(9.6mM)であった。反
応液中のHMBN、HMBAm、HMBA(2−ヒドロ
キシ−4−(メチルチオ)−酪酸)の濃度を経時的に定
量した。その結果を図8に示す。
【0090】図8から明らかなように、反応時間の経過
に伴い、固定化菌体中のニトリルヒドターゼ活性が低下
し、HMBN濃度が徐々に上昇した。HMBN濃度が2
重量%になるまで要した時間は約150時間であり、比
較例4に比べて約2倍に延びた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は比較例1における青酸濃度の経時的変化
を示すグラフである。
【図2】図2は比較例1における3−(メチルチオ)−
プロピオンアルデヒド(MMP)濃度の経時的変化を示
すグラフである。
【図3】図3は実施例1における青酸濃度の経時的変化
を示すグラフである。
【図4】図4は実施例1におけるMMP濃度の経時的変
化を示すグラフである。
【図5】図5は、比較例2、実施例2及び実施例4にお
ける結果を示すグラフである。
【図6】図6は、比較例3及び実施例3における結果を
示すグラフである。
【図7】図7は比較例4における結果を示すグラフであ
る。
【図8】図8は実施例5における結果を示すグラフであ
る。
【図9】図9は連続水和反応装置のフロー図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α―ヒドロキシニトリルを水和する能力
    を有する微生物又はその処理物を、前記α―ヒドロキシ
    ニトリルに作用させ、対応するアミドに変換させるα−
    ヒドロキシアミドの製造方法であって、反応系にアルデ
    ヒドを添加するα−ヒドロキシアミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 アルデヒドが、α―ヒドロキシニトリル
    に対応するアルデヒドである請求項1記載のα−ヒドロ
    キシアミドの製造方法。
  3. 【請求項3】 アルデヒドを、3〜1000mMの濃度
    で添加する請求項1記載のα−ヒドロキシアミドの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 α−ヒドロキシニトリルがメチルチオ基
    を有する請求項1記載のα−ヒドロキシアミドの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 α−ヒドロキシニトリルが2−ヒドロキ
    シ−4−(メチルチオ)−ブチロニトリルである請求項
    1記載のα−ヒドロキシアミドの製造方法。
  6. 【請求項6】 2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)−
    ブチロニトリルの反応系に、2−ヒドロキシ−3−(メ
    チルチオ)−プロピオンアルデヒドを添加する請求項1
    記載のα−ヒドロキシアミドの製造方法。
  7. 【請求項7】 α―ヒドロキシニトリルを水和する能力
    を有する微生物又はその処理物を、前記α―ヒドロキシ
    ニトリルに作用させ、対応するアミドに変換させる系に
    アルデヒドを添加して、反応系中の青酸の生成を抑制す
    る方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006512915A (ja) * 2003-01-08 2006-04-20 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト ニトリラーゼ又はニトリルヒドラターゼ活性を有する細胞を保存及び/又は貯蔵する方法
US7300784B2 (en) 2001-03-02 2007-11-27 Daicel Chemical Industries, Ltd. Nitrile hydratase and a method for producing amides

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7300784B2 (en) 2001-03-02 2007-11-27 Daicel Chemical Industries, Ltd. Nitrile hydratase and a method for producing amides
JP2006512915A (ja) * 2003-01-08 2006-04-20 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト ニトリラーゼ又はニトリルヒドラターゼ活性を有する細胞を保存及び/又は貯蔵する方法

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