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JP2000328257A - 高耐食性表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents

高耐食性表面処理鋼板の製造方法

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Publication number
JP2000328257A
JP2000328257A JP11132046A JP13204699A JP2000328257A JP 2000328257 A JP2000328257 A JP 2000328257A JP 11132046 A JP11132046 A JP 11132046A JP 13204699 A JP13204699 A JP 13204699A JP 2000328257 A JP2000328257 A JP 2000328257A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
film
phosphate
coating
treated steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11132046A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukihiro Yoshikawa
幸宏 吉川
Kazuhito Imai
和仁 今井
Kazuya Ishii
一也 石井
Takeshi Tomiyasu
健 富安
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP11132046A priority Critical patent/JP2000328257A/ja
Publication of JP2000328257A publication Critical patent/JP2000328257A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】無塗装耐食性、塗装後耐食性、加工性および溶
接性の全てを満足し、皮膜中に有害な6価Crを含有し
ない表面処理鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】少なくとも一方の表面に亜鉛含有めっき層
を有する母材鋼板のめっき層面に結晶質のリン酸亜鉛複
合化成皮膜と、さらにその上に特定組成のリン酸系複合
皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電製品、建材お
よび自動車と広い分野で用いられる高耐食性表面処理鋼
板の製造方法に関し、さらに詳しくは、特に耐食性、加
工性および溶接性に優れ、表面処理皮膜中に6価Crを
含有せず、環境汚染の問題のない表面処理鋼板に関す
る。本発明の表面処理鋼板は、特に自動車の車体用とし
て好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車車体の高耐食性化のため、
各種の表面処理鋼板が開発され、それらの適用部位も増
加している。特に、ドアやボンネットなどの袋構造部や
曲げ加工部では、成形後行われる化成処理、電着塗装が
十分に行き渡りにくいので、無塗装状態での耐食性能が
要求される。このような、部位の防錆性向上のため、有
機複合被覆鋼板または複装鋼板と称される表面処理鋼板
が広く使用されている。この鋼板は、主として、Zn-13%
Niを代表とするZn-10〜16%Ni系の電気めっき鋼板の少な
くとも亜鉛系めっき層面にクロメート処理皮膜を施し、
更にその上層に有機樹脂薄膜を設けたのもので、無塗装
状態での耐食性が優れているのが特徴である。
【0003】有機複合被覆鋼板はその耐食性向上のた
め、クロメート皮膜を有している。この皮膜の形成法は
大別すると、塗布型、反応型および電解型に分類され
る。高耐食性を発現させるためには、皮膜中に6価クロ
ムを含有させることが有効であることが知られており、
塗布型および反応型の皮膜は3価と6価のクロムの両方
を含むものである。
【0004】有機複合被覆鋼板は、純亜鉛めっきより電
位的に貴なZn-Ni合金めっき層を有し、2層の上層皮膜
により無塗装状態での耐食性をさらに向上させたもので
ある。すなわち、クロメート皮膜は3価クロムのつくる
緻密な皮膜としてのバリアー効果と、6価クロムの持つ
自己修復性と呼ばれる腐食環境中でのインヒビター効果
により、めっき鋼板の耐食性を向上させる。また、最上
層の有機樹脂皮膜は、クロメート皮膜中に含まれる6価
クロムの溶出を抑制しクロメート皮膜の防食能を持続さ
せる。さらに、有機皮膜中に含まれるシリカ微粒子の環
境遮断効果と亜鉛腐食生成物の安定化効果が耐食性能を
向上させているものと考えられる。
【0005】このような防食機構を有する有機複合被覆
鋼板と同様の耐食性を発現させるためには、当然、めっ
き鋼板の上層に形成される皮膜の開発がポイントとな
る。しかし、クロメート皮膜と同様の厚み、すなわち、
0.1μm以下程度の薄膜で同様の耐食性を示す皮膜は
実用的なものとしては、有機系あるいは無機系を問わず
未だ開発されていない。
【0006】しかしながら、最近、環境汚染の防止とい
う観点から、有毒物質である6価クロムの使用を控えよ
うとする動きがあり、各種の代替手段の開発が行われて
いる。
【0007】例えば、特開平9−49086号公報に
は、特定量のマグネシウムイオンとニッケルイオン等を
含有するリン酸塩液で化成処理した高白色で良好な塗装
性を有する電気亜鉛めっき鋼板が開示されている。しか
し、自動車用表面処理鋼板としては耐食性がまだ不十分
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、クロメート
皮膜を使用することなく、従来のクロメート皮膜を持つ
有機複合被覆鋼板と同等あるいは、それ以上の耐食性を
有し、かつ、自動車車体用鋼板に要求される加工性、溶
接性、塗装性等の性能を満足する表面処理鋼板の製造法
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
(1)から(5)である。
【0010】(1)少なくとも一方の表面に亜鉛含有め
っき層を有する母材鋼板のめっき層表面に結晶質のリン
酸塩系化成皮膜を形成し、その上にマグネシウムイオ
ン、カルシウムイオンおよびバリウムイオンの中の1種
以上とリン酸イオンを含有し、かつリン酸以外の酸根を
含有しない水溶液を塗布し、水洗することなく乾燥する
ことによりリン酸系皮膜を形成することを特徴とする高
耐食性表面処理鋼板の製造方法。
【0011】(2)結晶質のリン酸塩系化成皮膜の形成
後に塗布する水溶液に、マグネシウムイオン、カルシウ
ムイオンおよびバリウムイオンの酢酸塩の中の1種以上
を添加することを特徴とする上記(1)の高耐食性表面
処理鋼板の製造方法。
【0012】(3)結晶質のリン酸塩系化成皮膜の形成
後に塗布する水溶液に、過酸化水素を添加することを特
徴とする上記(1)または(2)の高耐食性表面処理鋼
板の製造方法。
【0013】(4)結晶質のリン酸塩系化成皮膜の形成
後に塗布する水溶液に、縮合リン酸を添加することを特
徴とする上記(1)、(2)、または(3)の高耐食性
表面処理鋼板の製造方法。
【0014】(5)結晶質のリン酸塩系化成皮膜の形成
後に塗布された水溶液を、最高到達鋼板温度150℃以
上300℃以下で乾燥することを特徴とする上記
(1)、(2)、(3)または(4)の高耐食性表面処
理鋼板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明鋼板の少なくとも一方の表
面上には亜鉛含有めっき層が設けられている。ここで、
亜鉛含有めっきには純亜鉛めっきのほか、Zn-Ni,Zn-Co,
Zn-Fe,Zn-Al等の2元系合金めっきや、Zn-Co-Cr等の3
元系合金めっき、さらにはZn-SiO2等の複合分散めっき
が含まれる。また、めっき層が複層化されているもので
もよい。例えば、鉄フラッシュとして合金化溶融亜鉛め
っきによく適用されているように、Zn-Fe合金めっき鋼
板の上層にさらにFe-ZnめっきやFe-Pめっきを施したも
のや、同じく、亜鉛含有合金めっき鋼板の上層にさらに
組成の異なる亜鉛含有合金めっきを施したものであって
もよい。このような場合でも、これらのめっき層をまと
めて、亜鉛含有めっき層と称することにする。
【0016】このめっき種の選定は、当然本発明の表面
処理鋼板の性能に大いに影響をあたえるものである。自
動車車体用鋼板としての経済性を加味したトータルバラ
ンスからは、純亜鉛めっき鋼板またはZn-13%Ni合金めっ
き鋼板などが最も好ましい。
【0017】本発明において亜鉛含有めっき層の付着量
は2g/m2以上80g/m2以下であることが望ましい。付
着量が2g/m2未満であると、複層めっきの場合に上層
に有効な皮膜を有しても十分な耐食性が得られないこと
がある。また、耐食性の良好さのみを追求するのであれ
ば、当然めっき付着量が多いほど性能は良好であるの
で、付着量の上限の設定は不要である。しかし、本発明
の目的とする、加工性、溶接性等の他の性能発現の観点
から上限の付着量は80g/m2以下であるのが望まし
い。この上限を超えるた場合には、加工性、溶接性が実
用上問題となることがある。
【0018】このめっき鋼板の製造方法は特に限定され
るものではなく、常法である電気めっき法、溶融めっき
法、蒸着めっき法などを適宜用いることができる。
【0019】本発明において、この亜鉛含有めっき皮膜
の上には、まず結晶質のリン酸亜鉛系化成処理皮膜を設
ける。この結晶質化成処理皮膜とは、広く、自動車また
は家電産業において塗装前処理として行われている、い
わゆる化成処理によって生成する皮膜である。最も一般
的なものとして、リン酸亜鉛処理皮膜やリン酸マンガン
処理皮膜があげられる。
【0020】リン酸亜鉛処理の場合の処理法は、まず、
めっき鋼板をアルカリ脱脂、水洗した後、チタンコロイ
ドを含有する前調整液に浸漬する。その後、亜鉛イオン
とリン酸イオンを含有し、必要に応じて促進剤や他の亜
鉛以外の金属イオン(鉄イオン、ニッケルイオン、マン
ガンイオン、コバルトイオン、カルシウムイオン及びマ
グネシウムイオン等)を含有する処理液を鋼板にスプレ
ー法または浸漬法により接触させ、亜鉛めっき表面にホ
パイトなどのリン酸亜鉛複合結晶を生成させる。反応終
了後水洗、乾燥を行う。リン酸マンガン処理の場合も同
様に、この処理液が使用できる。
【0021】本発明では、使用するリン酸塩種およびそ
の生成方法に限定はないが、結晶質の皮膜であることが
必要である。ここで、結晶質とは数千倍程度の電子顕微
鏡像で結晶が確認できるもの、または、通常のX線回折
法によって結晶ピークが検出できるものをいう。通常、
この化成結晶は1〜10μm程度である。
【0022】この結晶質化成処理皮膜は結晶質のもので
あるから、亜鉛含有めっき層の表面を完全に覆い尽くし
ているわけではない。この皮膜の欠陥部が腐食の起点と
なり、腐食が起こり易いので、耐食性向上の観点からは
何らかの方法で被覆する必要がある。
【0023】本発明の特徴は、この皮膜の欠陥部を補修
するために、皮膜の最上層として非晶質のリン酸系複合
皮膜を施し、いわゆる封孔(シーリング)処理を行うこ
とにある。この皮膜は結晶質化成皮膜層の欠陥を埋める
働きがある。また、この皮膜は欠陥部のない緻密な皮膜
であるから、それ自体が鋼板の耐食性を向上させる効果
をもつ。この皮膜の厚さは、0.1〜5μm程度とするのが
よく、非晶質であることが好ましい。ここで非晶質とは
数千倍程度の電子顕微鏡像によって結晶が確認できない
か、または視斜角X線回折によっても独立した結晶ピー
クが確認できないものをいう。
【0024】この非晶質の皮膜はリン酸塩等の塗布後、
乾燥によって形成できる。例えば、リン酸水素マグネシ
ウム水溶液を塗布後、乾燥した場合、非晶質のリン酸マ
グネシウム系化合物が生成する。この皮膜の化学組成の
特定は条件により変化するので困難であるが、化学量論
的なものではなく、下地めっきから供給される亜鉛も含
有するものと推定される。リン酸塩としてはリン酸水素
マグネシウム以外に、リン酸水素カルシウム、リン酸水
素バリウムなどがあり、その酸性水溶液の塗布乾燥によ
っても同様の非晶質の皮膜が形成できる。これらの場合
には当然、皮膜中にはリン酸、亜鉛以外にマンガン、カ
ルシウム、バリウム等が含有される。
【0025】また、これらのリン酸塩系水溶液の代わり
にリン酸に、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水
酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、
水酸化カルシウム、炭酸バリウム、酸化バリウム、水酸
化バリウムの中の1種または2種以上を組み合わせて添
加してpHを調整してから塗布しても良い。pHが低い
と、下層の結晶質リン酸塩皮膜を著しく溶解してしま
い、結晶の形態が変化する場合がある。また、pHが高
すぎるとマグネシウム、カルシウム、バリウムなどが析
出し、処理液の安定性が確保できない。従って、pH2
から4程度になるように調整することが好ましい。
【0026】上層シーリングに使用するリン酸塩系の処
理液には、基本的にリン酸以外の酸根を含有してはなら
ない。なぜなら、シーリング処理は、処理液の塗布およ
びその後の乾燥によって行ういわゆる塗布型処理であ
り、塗布後に水洗をしない方法であるので、リン酸以外
の酸根は、リン酸塩系の化合物の皮膜形成には寄与しな
い。たとえば、耐食性を劣化させる硫酸、塩酸、硝酸等
の酸根が残留すると耐食性が劣化する。
【0027】処理液中に安定に存在し得るマグネシウム
などカチオンの量は、当然処理液中に含有されるリン酸
根の量によって決まってくる。本発明の上層シーリング
処理をさらに高耐食化しようとする場合、マグネシウム
などのカチオンの比率をリン酸根に対して増加させるこ
とが有効である。このカチオン添加を行うには、マグネ
シウム、カルシウムまたはバリウムなどの酢酸塩の1種
以上を添加することが好ましい。
【0028】これは、処理液中で遊離した酢酸は、塗装
後の乾燥過程で気化し、皮膜中にはほとんど残存しない
ようにできるためである。この場合、乾燥温度は最高到
達鋼板温度として120℃以上であることが好ましい。
【0029】上層シーリング処理液には過酸化水素を添
加しても良い。この過酸化水素は、シーリングすべきめ
っき表面を活性化させ、シーリング液による亜鉛の溶解
を促進する効果を持っている。このようにして溶解した
亜鉛イオンは溶液中にも含有されるが、同時にシーリン
グ皮膜中にも取り込まれる。例えば、リン酸水素マグネ
シウム水溶液をシーリング処理に使用した場合、形成さ
れるシーリング皮膜はマグネシウムと亜鉛とリン酸の非
晶質の化合物となるが、過酸化水素の添加によりマグネ
シウムに対する亜鉛の比率が上昇する。これにより、シ
ーリング皮膜の形成が促進され、短時間乾燥での成膜が
可能となる。過酸化水素の添加量はリン酸根の1モルに
対して、0.2〜2モルとするのがよい。
【0030】また、上層シーリングの成膜性を向上させ
る他の手法として、シーリング処理液に使用するリン酸
根として縮合リン酸を使用することも有効である。通常
のリン酸はオルトリン酸であるが、ピロリン酸、メタリ
ン酸、ポリリン酸から選んだ1種以上の縮合リン酸を使
用すると、皮膜形成が促進される。この機構は明らかで
はないが、オルトリン酸から形成される皮膜ですら、化
学量論的な結晶でなく、非量論的な非晶質であることか
ら、縮合リン酸を使用した場合、溶液中で一部の縮合リ
ン酸はオルトリン酸に変化するものの、縮合リン酸とし
て皮膜形成に寄与し、リン酸系無機高分子が生成するも
のと推定される。
【0031】このようなリン酸またはリン酸塩水溶液の
塗布法は、スプレー法やロールコート法など常法が使用
でき、乾燥は熱風炉などで行える。乾燥温度は通常は水
分が除去される程度でよく、最高到達鋼板温度として6
0〜100℃で十分である。しかし、上述のように酢酸
根を添加した場合には120℃以上が好ましい。さら
に、全体的にシーリング皮膜を強固なものにするには、
乾燥温度を150℃以上300℃以下にすることが有効
である。
【0032】上述の下層の結晶質リン酸亜鉛系化成処理
皮膜の付着量は0.3g/m2以上3g/m2以下とするのが
よい。また、その下層の欠陥部または化成処理皮膜の上
に形成される非晶質の皮膜は付着量0.1g/m2以上2
g/m2以下とするのがよい。さらに、下層の化成処理皮
膜の付着量と上層の非晶質リン酸系皮膜の付着量の合計
は0.5g/m2以上4g/m2以下とするのがよい。
【0033】このように、付着量が上記の範囲であるこ
とが望ましい理由は以下のとおりである。
【0034】まず、下層の化成処理は結晶質のものであ
るから、その付着量が0.3g/m2未満であると、めっ
き鋼板上にまばらに結晶が付着しているという状況にな
りやすく、十分な耐食性向上、塗膜密着性向上への寄与
が得られないことがある。また、結晶質皮膜は厚ければ
よいというものではなく、この付着量が3g/m2を超え
ると加工性および溶接性共に劣化しやすく、自動車車体
用鋼板としての実用に適しないことがある。
【0035】また、上層の皮膜は下層の結晶質皮膜のシ
ーリング(封孔)となるものであるから、その付着量が
0.1g/m2未満であると欠陥部を覆い耐食性を向上さ
せる効果は発現しにくい。この皮膜の付着量が2g/m2
を超えた場合、塗料との密着性や溶接性が劣化する。
【0036】下層の化成処理皮膜の付着量と上層の非晶
質リン酸系皮膜の付着量の合計が0.5g/m2以上4g/m2
以下であることが望ましい。これは、耐食性、加工性、
溶接性等の性能には上層と下層の合計の付着量が上記の
範囲であることが望ましいのは、上層、下層の個別の付
着量の規定だけでは、目的とする性能を得られない場合
があるからであり、耐食性、加工性、溶接性等の性能に
は上層皮膜と下層皮膜とを一体として評価した方がよい
からである。上層と下層の合計付着量が0.5g/m2未満で
あると、耐食性が不十分な場合があり、また合計の付着
量が4g/m2を超えると特に溶接性に劣ることがある。
【0037】
【実施例】(1)母材 板厚0.7mmの極低炭素冷延鋼板に純亜鉛を電気めっきし
た鋼板(EG)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)お
よびZn-12%Ni合金電気めっき鋼板(Zn-Ni)と溶融亜鉛め
っき鋼板を皮膜の処理母材とした。片面のめっき付着量
は20,30,60g/m2で、両面めっきしたものを用い
た。
【0038】(2)下層の皮膜処理(化成処理) 下記の処理工程で下層の結晶質リン酸塩系化成処理皮膜
を形成した。
【0039】1)めっき鋼板を市販のアルカリ脱脂液
(日本パーカライジング社製・ファインクリーナー43
36)を用いてスプレー脱脂した。
【0040】2)スプレー水洗にて残アルカリ分を除去
した。
【0041】3)チタンコロイド系活性処理剤(日本パ
ーカライジング社製・プレパレンZN)を用いてスプレ
ーによる表面調整処理を行った。
【0042】4)リン酸亜鉛化成処理液(日本パーカラ
イジング社製・パルボンド100)を用いてスプレー処
理にて化成皮膜を形成した後、水洗・乾燥を行った。皮
膜付着量はクロム酸アンモニウム水溶液を用いて、化成
皮膜のみを溶解除去した前後の重量差により求めた。
【0043】なお、比較材として、下層の皮膜処理を施
さないものも用意した。
【0044】(3)上層の皮膜処理 上層シーリング用の処理液は以下の組成である。
【0045】処理液A:リン酸水素ナトリウム+水酸化
ナトリウム 処理液B:リン酸2水素カルシウム+炭酸カルシウム 処理液C:リン酸2水素マグネシウム+炭酸マグネシウ
ム 処理液D:リン酸2水素マグネシウム+リン酸2水素カ
ルシウム+炭酸マグネシウム Mg:Ca=2:1(モル比) 処理液E:リン酸2水素マグネシウム+リン酸水素バリ
ウム+炭酸マグネシウム Mg:Ba=4:1(モル比) 処理液F:リン酸2水素マグネシウム+酢酸マグネシウ
ム+炭酸マグネシウム PO4 -:CH3COO-=4:1 処理液G:リン酸2水素マグネシウム+硫酸マグネシウ
ム+炭酸マグネシウム PO4 -:SO4 -=4:1 処理液H:リン酸2水素マグネシウム+ピロリン酸+炭
酸マグネシウム オルトリン酸:ピロリン酸=2:1(仕込みモル比) 処理液I:リン酸2水素カルシウム+ポリリン酸+炭酸
カルシウム オルトリン酸:ポリリン酸=3:1(仕込みモル比) 処理液J:部分還元クロメート処理液(日本パーカライ
ジング社製ZM1415A) 処理液Aは、ナトリウムイオンを含有し、処理液Gは、硫
酸イオン(酸根)を含有し、また処理液Jは、6価クロ
ムを含有するので、いずれも、比較例として用意した。
なお、処理液H中に含有するピロリン酸や処理液I中に含
有するポリリン酸は縮合リン酸である。また炭酸マグネ
シウムや炭酸カルシウムは、PH調整の目的で添加して
いるが、酸根とはならない。
【0046】処理液A〜Iのリン酸濃度は5wt%とし、そ
れぞれ表に示したpHになるように炭酸マグネシウム、
水酸化ナトリウム、炭酸カルシウムの添加量を調整し
た。処理液の塗布はバーコーターで行い、塗布直後に水
洗することなく、設定温度150℃から350℃に設定
した電気オーブンにて所定の最高到達鋼板温度になるよ
うに乾燥をおこなった。最高到達鋼板温度はサーモラベ
ルにより確認した。各上層皮膜の付着量はクロム酸にて
上層皮膜と下層皮膜を同時に除去した後に重量測定を行
い、上述の通りにもとめた下層皮膜の付着量を差し引い
て、上層皮膜の付着量とした。
【0047】比較材として、上層皮膜処理を施さないも
のも作製した。また、別の比較材として、Zn-12%Ni合金
めっき鋼板(片面のめっき付着量20g/m2、両面めっ
き材)の片面(耐食性評価面)に塗布型クロメート処理
(Cr付着量:50mg/m2)を施し、さらに上層にシリカ微粒
子を含有するエポキシ樹脂皮膜を膜厚1μmとなるよう
に設けた有機複合被覆鋼板を使用した。
【0048】(4)試験方法 1)無塗装耐食性試験 試験片には予め通常の電着塗装の塗膜焼き付けに相当す
る170℃で20分加熱を施した。腐食試験は5%塩水
噴霧、乾燥、湿潤試験(湿潤雰囲気中保持)の3ステッ
プから構成される複合腐食試験(1サイクル:24時
間、ウェット率:85%)を使用して、無塗装平板の3
0サイクル終了後の板厚減少量で耐食性を下記の基準で
評価した。錆をクエン酸水溶液で除去後、最大腐食深さ
をポイントマイクロメーターで測定した。ここでウエッ
ト率とは、下記の式で示される、上記1サイクルの時間
に対する塩水噴霧と湿潤試験の合計時間の割合を言う。
【0049】ウエット率(%):{(塩水噴霧時間+湿潤試験時
間)/1サイクル合計時間}×100 ◎:最大腐食深さ 0.1mm未満 (合格) ○:最大腐食深さ 0.1mm〜0.2mm (合格) △:最大腐食深さ 0.2mm超え〜0.4mm (合格) ×:最大腐食深さ 0.4mm超え (不合格) 2)塗装後耐食性 5%塩水噴霧、乾燥、湿潤試験から構成される複合腐食
試験(1サイクル:8時間、ウェット率:25%))を
使用して塗装後の疵部耐食性を評価した。
【0050】塗装は供試材にリン酸亜鉛化成処理(前述
の下層リン酸亜鉛処理と同じ処理、無処理の電気亜鉛め
っき鋼板で付着量が2g/m2となる条件)を施した後、
自動車外板用の3コート塗装を施した。すなわち、電着
塗装、中塗りスプレー塗装および上塗りスプレー塗装で
ある。電着塗装は厚み20μmで焼き付け温度175
℃、中塗り塗装は厚み30μmで焼き付け温度140
℃、上塗り塗装は厚み40μmで焼き付け温度140℃
とした。この塗膜にカッターナイフを用いて鋼板母材に
達するカット疵を入れた後、腐食試験に供した。評価は
270サイクル後の最大塗膜膨れ幅を用いて下記の基準
で評価した。
【0051】 ○:膨れ幅 2mm未満 (極めて良好:合格) △:膨れ幅 2mm〜3mm (良好:合格) ×:膨れ幅 3mm超え (不良:不合格) 3)加工性 円筒絞り試験機を用いて防錆油塗布の状態で以下の条件
でカップ成形を行い、外面壁部のパウダリング量をテー
プ剥離した前後の重量測定によって測定した。
【0052】パンチ直径:50mm、肩R:5mm、ダイス
直径:52.4mm、肩R:5mm、ブランク直経:90mm、絞
り比:1.8 ○:パウダリング量 15mg未満 (合格) △:パウダリング量 15mg〜20mg (合格) ×:パウダリング量 20mg超え (不合格) 2)溶接性 以下の条件でスポット溶接における連続打点性を調査し
た。終点はナゲット径が4t1/2(t=鋼板厚み)より
小さくなるまでの打点数で評価した。
【0053】電極:ドーム型電極、 加圧力:2450
N、 通電サイクル:12 打点電流:チリ発生電流に設定 ○:3000打点以上 (合格) △:3000〜2000打点未満 (合格) ×:2000打点未満 (不合格) (5)試験結果 試験結果をまとめて表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】本発明条件を満足する発明例は、無塗装耐
食性、塗装後耐食性、加工性および溶接性の特性が良好
で、クロメート処理した比較例No.29に劣らない。
しかし、No.29は皮膜中に6価Crを含むので、総
合評価は×とした。
【0056】
【発明の効果】本発明方法で製造された鋼板は、無塗装
耐食性、塗装後耐食性、加工性および溶接性の全てを満
足すると共に、皮膜中に環境汚染に有害な6価Crを含
有しないので、家電製品、建材、自動車車体用の表面処
理鋼板として最適なものである。
フロントページの続き (72)発明者 石井 一也 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 富安 健 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA07 AA12 AA13 AA22 BA03 BA04 BA11 BA12 BB06 BB08 BB09 BB10 CA13 CA18 CA23 CA24 CA25 CA35 CA37 DA02 DA11 EA08 EA11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方の表面に亜鉛含有めっき層
    を有する母材鋼板のめっき層表面に結晶質のリン酸塩系
    化成皮膜を形成し、その上にマグネシウムイオン、カル
    シウムイオンおよびバリウムイオンの中の1種以上とリ
    ン酸イオンとを含有し、かつリン酸以外の酸根を含有し
    ない水溶液を塗布し、水洗することなく乾燥することに
    よりリン酸系皮膜を形成することを特徴とする高耐食性
    表面処理鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】結晶質のリン酸塩系化成皮膜の形成後に塗
    布する水溶液に、マグネシウムイオン、カルシウムイオ
    ンおよびバリウムイオンの酢酸塩の中の1種以上を添加
    することを特徴とする請求項1記載の高耐食性表面処理
    鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】結晶質のリン酸塩系化成皮膜の形成後に塗
    布する水溶液に、過酸化水素を添加することを特徴とす
    る請求項1または2記載の高耐食性表面処理鋼板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】結晶質のリン酸塩系化成皮膜の形成後に塗
    布する水溶液に、縮合リン酸を添加することを特徴とす
    る請求項1、2または3記載の高耐食性表面処理鋼板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】結晶質のリン酸塩系化成皮膜の形成後に塗
    布された水溶液を、最高到達鋼板温度150℃以上30
    0℃以下で乾燥することを特徴とする請求項1、2、3
    または4記載の高耐食性表面処理鋼板の製造方法。
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US9040166B2 (en) 2009-10-28 2015-05-26 Jfe Steel Corporation Hot-pressed member
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