[go: up one dir, main page]

JP2000265019A - ビニル化環状炭化水素系樹脂組成物 - Google Patents

ビニル化環状炭化水素系樹脂組成物

Info

Publication number
JP2000265019A
JP2000265019A JP11070349A JP7034999A JP2000265019A JP 2000265019 A JP2000265019 A JP 2000265019A JP 11070349 A JP11070349 A JP 11070349A JP 7034999 A JP7034999 A JP 7034999A JP 2000265019 A JP2000265019 A JP 2000265019A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogenated
polymer
resin
weight
block
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11070349A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Ikematsu
武司 池松
Hideo Kinoshita
秀雄 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP11070349A priority Critical patent/JP2000265019A/ja
Publication of JP2000265019A publication Critical patent/JP2000265019A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビニル化環状炭化水素樹脂の強度特性、
特に耐衝撃強度を改善した樹脂組成物の提供。 【解決の手段】 (a)ビニル化環状炭化水素樹脂 60〜99重量% と (b)重合体連鎖中に少なくともA−B−Aの一般式で示されるトリブロック 連鎖を含むブロック共重合体 40〜1 重量% から成る樹脂組成物 (式中、Aは水素添加されたビニル芳香族炭化水素を主
体とし、数平均分子量10,000〜200,000の
範囲の重合体ブロックであり、各Aは同一構造でも、異
なった構造であっても構わない。Bは水素添加された共
役ジエン化合物を主体とし、数平均分子量が20,00
0〜500,0000の範囲の重合体ブロックである。
ブロック共重合体の全オレフィン性不飽和結合の90モ
ル%以上および芳香族環の80モル%以上は水素添加さ
れてており、共役ジエン化合物およびその水素添加物の
含率は50〜90重量%の範囲である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニル化環状炭化
水素樹脂を含む樹脂組成物に関する。詳しくは、内包す
る薬剤あるいは接触する薬剤を変質させない医療機器樹
脂材料、電気絶縁性、特に高周波特性に優れた電気絶縁
樹脂材料、耐熱性、耐薬品性に優れた電子部品処理樹脂
材料、及び透明で複屈折が小さいことを生かした光学材
料に関する。
【0002】
【従来の技術】医療機器材料は反復使用によるウィルス
の二次感染を防ぐために、近年は使い捨てのものに置き
換えが進んでいる。例えば、注射薬等は、従来は注射の
際にアンプル中から滅菌された注射器で吸引して用いて
いたが、最近は、予め注射器中に注射薬を吸入してある
プレフィルドシリンジが流通し、使用後の注射器は再使
用されずに廃棄されるようになった。医療用の薬品容器
においては、内容物の視認が容易なように、ある程度透
明性が求められる。そのためガラス、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル等が従来用いられてい
る。しかしガラスは焼却できず、割れやすく危険なた
め、使い捨てには廃棄物処分上の問題がある。またポリ
エチレン、ポリプロピレンは水分、ガスの透過性が大き
く、内容物によっては医薬の変質の問題があった。また
ポリ塩化ビニルは可塑剤やモノマーが溶出し易く、やは
り内容物によっては変質の問題があり、しかも焼却時の
塩素系有害ガス発生の問題もある。
【0003】電気絶縁材料としては、ポリ塩化ビニルや
ポリエチレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂
が多く用いられて来た。これらは高絶縁抵抗性、高絶縁
破壊電圧、低誘電率等の優れた電気特性を有すると共
に、低吸水性、耐薬品性に優れる等の特長を有する。し
かし耐熱性、特に高温下の剛性が不十分であり、過酷な
条件では使用できない等の問題があった。またポリスチ
レンは高周波絶縁性が低く、耐アーク性や耐トラッキン
グ性に劣る等の問題もあった。ポリエチレンテレフタレ
ートは優れた電気特性と機械的強度、透明性等を兼ね備
えた電気絶縁材料であるが、吸水性が大きく、熱水やア
ルカリによって加水分解を起こしやすい等の問題があ
る。
【0004】また、シリコーンウェア・キャリア等の電
子部品処理用機材においては真鍮等の金属、ポリプロピ
レン、ポリテトラフルオロエチレンやペルフルオロアル
コキシフッ素樹脂等のフッ素樹脂が用いられている。し
かし、金属製の物は重く、また電子部品処理に用いる酸
への耐性に劣る。ポリプロピレンやペルフルオロアルコ
キシフッ素樹脂は成型時の寸法精度に劣り、ポリテトラ
フルオロエチレンは射出成型が出来ず、削りだし加工が
必要になるため生産性に劣る等の問題がある。
【0005】本発明に係るビニル化環状炭化水素樹脂、
特にポリビニルシクロヘキサン系樹脂は古くから公知で
ある。例えば、特公昭45−11425号はポリビニル
シクロヘキサン(環水添のポリスチレンに同じ)とビニ
ルシクロヘキサン−アルキル置換ポリエチレンブロック
共重合体(ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン化合物ブ
ロック共重合体の芳香環を含めた水素添加物)の重合体
組成物(配合物)に関するものであるが、明細書中には
ビニルシクロヘキサンのホモ重合体が、その出願時点で
既に公知であることが記載されている。
【0006】アメリカ特許3,333,024号にはブ
ロックポリマー、その組成物およびそれらの製造方法に
関するものである。具体的にはスチレン−イソプレン−
スチレントリブロック共重合体の芳香環を含めた水素添
加(以降は“環水添”と略す)により得られるビニルシ
クロヘキサン連鎖を含む重合体を開示している。この中
で20重量%程度の低い結合スチレン量の環水添ブロッ
ク共重合体がゴム状性能を有することが報告されてい
る。
【0007】さらには、特公昭53−11556号はビ
ニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体の環
水添加物の製造方法に関するものである。明細書中の記
載によれば、得られたビニルシクロヘキサン系重合体の
性質は含まれるビニルシクロヘキサン含量によって異な
る。ビニルシクロヘキサン含量の高い共重合体は、硬質
で光学的に透明なプラスチックであって、射出成形部
品、押し出しフィルム、パイプ、繊維および類似物を作
るのに有用である。また、ビニルシクロヘキサン含量の
低い共重合体は、ゴム状で針金被覆、包装材料、フィル
ム、繊維、押出し製品および成型製品等の如き用途に有
用であることが開示されている。
【0008】この様に本発明のビニル化環状炭化水素系
樹脂組成物を構成する(a)成分のビニル化環状炭化水
素樹脂および(b)成分のブロック共重合体は、共に物
質として公知であり、また樹脂材料としての一般的性能
も公知である。更に言えば、これらのビニル化環状炭化
水素樹脂は、非晶性のオレフィン樹脂の一種であり、次
の特長は当然の帰結として予想できる。即ち、飽和構造
なるが故に耐候性に優れる。一般に有害性の指摘される
芳香族系のモノマーも残存がなく、溶出物に伴うエンド
クリン問題等の安全衛生性に優れる。ハロゲン等の異原
子を含まないため、焼却時の有害ガス発生の問題がな
く、環境に優しい。オレフィン系重合体であるため、分
極に起因する複屈折が小さい等の光学的性能に優れ、高
周波絶縁性等の電気的特性にも優れるとの特長を有する
こと等は、当該業者に当然予想できる性能である。
【0009】しかし、ビニル化環状炭化水素樹脂は上述
の優れた特長を有するものの、ホモ重合体は一般に強度
特性、特に耐衝撃性が著しく劣るとの欠点がある。これ
を改良するため他の重合体との混合が提案されている。
【0010】特開平05−271482号はポリビニル
シクロヘキサン系樹脂と、ポリプロピレン等の結晶性ポ
リオレフィンとの樹脂組成物に関するものである。耐熱
性、剛性、硬度に優れ、かつ成形収縮性の小さなポリオ
レフィン樹脂組成物を提案している。しかし、この種の
組成物は、ポリビニルシクロヘキサン系重合体の大きな
特長である透明性が著しく低下する点で、用途によって
は致命的欠点となる。
【0011】これに対して、ビニル化環状炭化水素樹脂
の透明性をも含めた樹脂性能を保持したまま強度性能、
特に耐衝撃性を改良する提案も既に古くから公知であ
る。
【0012】例えば前述の特公昭45−11425号は
ポリビニルシクロヘキサンとスチレン系ブロックポリマ
ーを環水添して得られるビニルシクロヘキサン−アルキ
ル置換ポリエチレンブロック共重合体の重合体組成物
(配合物)に関するものである。この組成物がポリビニ
ルシクロヘキサンホモ重合体よりも耐衝撃性に優れるこ
とが開示されている。しかし、その具体的開示はビニル
シクロヘキサン−アルキル置換ポリエチレンのジブロッ
ク共重合体に限定されており、本願に係る如きトリブロ
ック共重合体の開示はない。しかもこの技術では耐衝撃
性を効果的に改善するにはアルキル置換ポリエチレンセ
グメントの含有率を増大する必要があり、この場合樹脂
の耐熱性(HDT)または曲げ弾性率が顕著に低下する
との欠点が、その実施例からも明らかである。
【0013】近年、用途限定した類似技術が幾つか提案
されている。特開平01−294721号は光ディスク
用基板材料に関するものであり、スチレン系ブロック共
重合体を環水添して得られるビニルシクロヘキサン系ブ
ロック共重合体の光ディスク基板への利用に関する。ビ
ニルシクロヘキサン系ブロックポリマーとしてスチレン
−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体の環水添
物の利用も開示されている。しかし、開示されたブロッ
クポリマーはスチレン系単量体を主体とするセグメント
を60〜90重量%含むブロック共重合体の環水添物で
あり、しかもブロックポリマー単独での使用に限定され
ている。
【0014】特開平03−115349号は水素化(水
素添加)ビニル芳香族炭化水素重合体組成物及び光ディ
スク基板に関するものであり、(a)ビニル芳香族炭化
水素−共役ジエンジブロック共重合体の環水添物と
(b)ビニル芳香族炭化水素重合体の環水添物からなる
組成物が開示されている。しかし、具体的な開示はジブ
ロック共重合体に限定されており、ビニル芳香族炭化水
素−共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素の如きトリブロ
ック共重合体の水素添加物を用いた組成物に関する開示
はない。
【0015】特開平04−288360号は水素化ビニ
ル芳香族炭化水素重合体組成物及び光ディスク基板に関
するものであり、(a)環水添ビニル芳香族炭化水素−
共役ジエンブロック共重合体および(b)環水添ビニル
芳香族炭化水素から成る組成物に関するものである。し
かし、(a)成分の共役ジエン重合体セグメントの含有
率が1〜50重量%、全二重結合および芳香環の水素添
加率は60〜80モル%に限定されている。しかし、具
体的な開示はジブロック共重合体に限定されており、ト
リブロック共重合体の環水添物を用いた組成物の開示は
ない。
【0016】以上の如く、ビニル化環状炭化水素樹脂、
特にビニルシクロヘキサン系樹脂、および環水添のビニ
ル芳香族炭化水素−共役ジエン(ジおよびトリ共に)ブ
ロックポリマーを樹脂材料としての利用することは、そ
れぞれ公知である。また、ビニルシクロヘキサン樹脂と
ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロックポリマーの
環水添物から成る樹脂組成物も基本的には公知で、一般
にビニルシクロヘキサン樹脂の透明性を保持したまま、
強度性能、特に耐衝撃性を改良できる。
【0017】しかし、この種の樹脂組成物において、耐
衝撃性を十分改良するにはゴム的性質を有する水素添加
共役ジエンブロックを、一定量以上に導入することが必
要になる。このため、環水添のビニル芳香族炭化水素−
共役ジエンブロックポリマーを多量に混合するとの考え
に至るが、この場合樹脂の弾性率、特にHDT等で示さ
れる如き高温弾性率が顕著に低下を来すとの問題があっ
た。
【0018】また、環水添のビニル芳香族炭化水素−共
役ジエンブロックポリマーの樹脂材料としての利用を考
えた場合、ビニル芳香族炭化水素の結合含率は通常50
重量%程度以上に限定されていた。何故なら、50重量
%以下では共重合体はゴムライクな性状を示すようにな
り、樹脂材としての使用に適さない。このためか、熱可
塑性エラストマーとしての性質を有する環水添芳香族炭
化水素−共役ジエンのトリブロックポリマーをビニルシ
クロヘキサン樹脂に少量混合するとの考え方は、従来な
かった。
【0019】さらにビニルシクロヘキサン系樹脂と、広
く市販されているスチレン系熱可塑性エラストマー、例
えばスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン系トリブ
ロックポリマーとの組成物も当然考えられる。しかし、
本発明者の検討の結果、これらの方法でもある程度の耐
衝撃強度の改善は認められるものの、ポリマー相互の混
和性が劣るためか、各種の樹脂特性、例えば透明性や曲
げ強度等が著しく低下するという問題があることが判明
した。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決しようと
する課題は、ビニル化環状炭化水素樹脂の優れた特長で
ある透明性、剛性(弾性率)、高耐熱性、耐薬品性、電
気絶縁性、水分透過性、安全衛生性等を保持したまま、
欠点である強度特性、特に耐衝撃強度を改善しようとす
るものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者はビニル化環状
炭化水素系樹脂の強度特性、特に耐衝撃性の改良につい
て鋭意検討し、本発明を達成した。本発明は、ビニル化
環状炭化水素樹脂にゴムライクな、即ち水添共役ジエン
ブロックが50重量%以上有するビニル芳香族炭化水素
−共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素のトリブロック連
鎖を含むブロックポリマーの環水添物、特に一定の分子
量の水添共役ジエンを有するブロックポリマーを少量混
合することにより、強度特性、特に耐衝撃性を顕著に改
善できることを見出し、本発明を達成したものである即
ち、本発明は、 (a)ビニル化環状炭化水素樹脂 60〜99重量% と (b)重合体連鎖中に少なくともA−B−Aの一般式で示されるトリブロック 連鎖を含むブロック共重合体 40〜1 重量% から成る樹脂組成物 (式中、Aは水素添加されたビニル芳香族炭化水素を主
体とし、数平均分子量10,000〜200,000の
範囲の重合体ブロックであり、各Aは同一構造でも、異
なった構造であっても構わない。Bは水素添加された共
役ジエン化合物を主体とし、数平均分子量が20,00
0〜500,0000の範囲の重合体ブロックである。
ブロック共重合体の全オレフィン性不飽和結合の90モ
ル%以上および芳香族環の80モル%以上は水素添加さ
れてており、共役ジエン化合物およびその水素添加物の
含率は50〜90重量%の範囲である。)である。
【0022】本発明の樹脂組成物で用いられる(a)成
分であるビニル化環状炭化水素系樹脂とは、下記一般式
1、一般式2または一般式3で表される繰り返し単位の
1種あるいは2種以上から成るビニル化環状炭化水素系
重合体、あるいはこれらの重合体の混合物である。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
【0026】なお、上記一般式1、一般式2、一般式3
において、R1〜R42は水素原子または炭素数1〜4
のアルキル基を表し、またR4〜R12、R16〜R2
6、R30〜R42は環を形成する炭素原子に直接隣接
するアルキル基を表し、二重結合を形成してもよい。
【0027】本発明のビニル化環状炭化水素系重合体を
得るために用いられるビニル化環状炭化水素系単量体と
しては、ビニルシクロペンタン、イソプロペニルシクロ
ペンタン等のビニルシクロペンタン系単量体、4−ビニ
ルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシ
クロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体等のビ
ニル化五員環炭化水素系単量体 スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、
2−メチルスチレン、4−フェニルスチレン等のスチレ
ン系単量体、ビニルシクロヘキサン、3−メチルイソプ
ロペニルシクロヘキサン等のビニルシクロヘキサン系単
量体、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニル
シクロヘキセン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキセ
ン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、
2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−
4−イソプロペニルシクロヘキセン等のビニルシクロヘ
キセン系単量体、d−テルペン、1−テルペン、ジテル
ペン等のテルペン単量体等のビニル化六員環炭化水素単
量体 ビニルシクロヘプタン、イソプロペニルシクロヘプタン
等のビニルシクロヘプタン系単量体、4−ビニルシクロ
ヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテン等のビニ
ルシクロヘプテン系単量体等が挙げられる。中でも六員
環炭化水素系単量体が好ましい。特に好ましくはスチレ
ンである。
【0028】ビニル化環状炭化水素樹脂の重合に用いら
れる触媒は特に限定されず、公知のアニオン重合触媒、
カチオン重合触媒、チーグラー触媒、カミンスキー触媒
等が使用できる。またはラジカル開始剤を用いたラジカ
ル重合あるいは熱ラジカル重合が利用できる。一般には
重合は−100〜200℃、さらに一般には0〜150
℃の範囲で行われる。
【0029】また通常、単量体の重合は溶媒を使用して
行われる。溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサン等の脂肪族系溶媒、塩化メチル、塩化メチレ
ン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロ
エタン、1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン
化炭化水素系溶媒等があげられる。
【0030】ビニル化環状炭化水素系重合体は、重合体
構造によっては重合後、水素添加することが必要であ
る。例えば、オレフィン結合や芳香環を有する場合、こ
の様な重合体の不飽和結合の水素添加能力を有する水素
添加触媒の存在下に、水素添加して実質的に完全飽和さ
せることが好ましい。その場合の水素添加率は80モル
%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは9
5モル%以上である。
【0031】ここで使用される水素添加触媒は特に限定
するものではない。例えばニッケル、コバルト、ルテニ
ウム、ロジウム、白金、パラジウム等の金属、またはそ
の酸化物、塩、錯体およびこれらの活性炭、珪藻土、ア
ルミナ、シリカ等に担持したもの等が挙げられる。これ
らの中でも特にラネーニッケル、ラネーコバルト、安定
化ニッケルおよびロジウム、ルテニウム、白金のカーボ
ン、アルミナ、シリカ担持触媒が、触媒活性の点で好ま
しい。
【0032】水素添加反応は、一般に常圧〜250kg
/cm2、50〜200℃の温度にて、溶媒としてシク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−オクタン、デ
カリン、テトラリン、ナフサ等の飽和炭化水素系溶媒、
あるいはTHF等のエーテル系溶媒を用いて行う。ま
た、水素添加反応を行う場合、アルコールやエーテル化
合物を少量添加して反応性を高めることができる。その
ような目的に使用されるアルコールやエーテルの添加量
は溶媒100重量部に対して、0.5〜5重量部、好ま
しくは1〜3重量部である。
【0033】ビニル化環状炭化水素樹脂の好ましい重量
平均分子量は10,000〜1,000,000、さら
に好ましくは50,000〜500,000、特に好ま
しくは80,000〜300,000の範囲である。分
子量が余りに低いと樹脂組成物の強度が著しく低くな
り、分子量が余りに高いと成形加工性が大幅に低下して
好ましくない。
【0034】またビニル化環状炭化水素樹脂のガラス転
位温度は好ましくは80℃以上、さらに好ましくは10
0℃以上、特に好ましくは120℃以上である。ビニル
化環状炭化水素樹脂のガラス転位温度が低いと、樹脂組
成物の耐熱性低下を来たし好ましくない。
【0035】本発明の樹脂組成物で用いられる(b)成
分は重合体連鎖中に少なくともA−B−Aの一般式で示
されるトリブロック連鎖を含むブロック共重合体であ
る。すなわち、ブロック共重合体連鎖中に少なくともA
−B−Aのブロックが存在しているブロック共重合体で
あり、Bはカップリング剤を介して複数のBブロックか
ら構成されていてもよい。さらに具体的なブロック構造
として下記式(4)〜(8)の一般式で示される。
【0036】 (A−B)n−A (4) (A−B)m (5) B−(A−B)m (6) {(A−B)n}m−X (7) {B−(A−B)n}m−X (8) (式中、Aは環水添されたビニル芳香族炭化水素を主体
とし、数平均分子量10,000〜200,000の範
囲の重合体ブロックであり、各Aは同一構造でも、異な
った構造であっても構わない。各Bは水素添加された共
役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックである。本
発明の趣旨からしてB−X−Bのブロック連鎖構造は、
他の重合体ブロックで分割されている訳ではなく、本願
のブロック分子量規定においては1つのBブロックに対
応すると考える。即ち、Bブロックおよび特にB−X−
Bブロック連鎖の数平均分子量の20,000〜50
0,0000の範囲であり、各Bは同一構造でも、異な
った構造であっても構わない。Xは多官能性のカップリ
ング剤である。
【0037】nは1以上、mは2以上の整数で表され
る。ブロック共重合体の全オレフィン性不飽和結合の9
0モル%以上および芳香族環の80モル%以上は水素添
加されており、共役ジエン化合物およびその水素添加物
の含率は50〜90重量%の範囲でなければならな
い。)また、本願樹脂組成物の(b)成分のトリブロッ
ク連鎖を含むブロック共重合体は、上記ブロック構造規
定に該当しない不完全なブロック、例えばAの単独重合
体、Bの単独単独重合体、あるいはA−Bジブロック共
重合体等を一部含んでいても構わない。この場合でもト
リブロック連鎖を含むブロック共重合体が少なくとも5
0重量%、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは
90重量%以上含まれていなければ、本願が目的とする
効果、即ち耐衝撃性等の強度特性の改良効果が十分には
発現しない。
【0038】これらのブロック共重合体はリビングアニ
オン重合法により、ビニル芳香族炭化水素系単量体と共
役ジエン系単量体とを順次ブロック共重合した後、水素
添加反応により、芳香環を含む不飽和結合を実質的に完
全飽和することによって得られる。
【0039】Aは環水添されたビニル芳香族炭化水素を
主体とする重合体ブロックである。ビニル芳香族炭化水
素系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、p−
tertブチルスチレン、4−フェニルスチレン、p−
メトキシスチレン、ビニルナフタレン等の1種または2
種以上が挙げられる。特に代表的なものとしてスチレン
が挙げられる。また、上記ビニル芳香族炭化水素と共重
合可能な他のモノマーを、ビニル芳香族炭化水素重合ブ
ロックの特性が失われない範囲で含んでも構わない。
【0040】Bは水素添加されら共役ジエン化合物を主
体とする重合体ブロックである。共役ジエン単量体とし
ては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、
1,3−ヘキサジエン等の1種または2種以上が挙げら
れる。特に、1,3−ブタジエン、イソプレンが一般的
である。また、少量のビニル芳香族炭化水素、またはそ
の他の共役ジエン化合物と共重合可能な他のモノマー
を、共役ジエン重合ブロックの特性が失われない範囲で
含んでも構わない。
【0041】また、A、B各ブロックは完全ブロックで
あることが好ましいが、各A、Bブロックの境界がラン
ダムな共重合となり、しかもその組成が漸次変化するテ
ーパー構造と成っていても構わない。
【0042】これら単量体を、いわゆるリビングアニオ
ン重合法と呼ばれる公知の方法で重合する。例えば、特
公昭36−19286号、特公昭43−14979号、
特公昭49−36957号等に記載された方法を挙げる
ことができる。具体的には、例えば有機リチウム化合物
を開始剤とし、塊状あるいは炭化水素溶媒中での溶液重
合として実施できる。特にヘキサン、ペンタン、シクロ
ヘキサンの様な炭化水素溶媒中で、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、トリエチルア
ミン、テトラメチルエチレンジアミン等の第3アミン化
合物を必要により混合し、共役ジエン化合物の結合様式
を制御し、重合することにより容易に得ることができ
る。また、必要により重合完了後、末端カップリング剤
としてハロゲン化炭化水素、エステル化合物、エポキシ
化合物、四塩化珪素等、公知の多官能性カップリング剤
を用いて分岐化あるいは放射状の構造を有するブロック
共重合体を得ることができる。
【0043】得られたブロック共重合体は重合後水素添
加反応することにより、全オレフィン性不飽和結合は9
0モル%以上水素添加されていることが必要である。好
ましくは95モル%以上、さらに好ましくは97%以上
である。また、芳香族環は80モル%以上水素添加され
ている必要がある。好ましくは90モル%以上、さらに
好ましくは95モル%以上である。水素添加率が低い
と、ビニル化環状炭化水素樹脂との混和性の低下および
樹脂組成物の熱安定性の低下を引き起こして好ましくな
い。
【0044】その水素添加反応は、そのブロック共重合
体の芳香族環の水素添加能力を有する水添触媒の共存下
に、水素添加して得ることができる。具体的には、前記
述のビニル化環状炭化水素樹脂の水素添加方法と同様の
方法でできる。
【0045】即ち、このような重合体の芳香族環の水添
能力を有する水素添加触媒の存在下に水素添加して得る
ことができる。使用される水素添加触媒は特に限定する
ものではない。例えばニッケル、コバルト、ルテニウ
ム、ロジウム、白金、パラジウム等の金属、またはその
酸化物、塩、錯体およびこれらの活性炭、珪藻土、アル
ミナ、シリカ等に担持したもの等が挙げられる。これら
の中でも特にラネーニッケル、ラネーコバルト、安定化
ニッケルおよびロジウム、ルテニウム、白金のカーボ
ン、アルミナ、シリカ担持触媒が、触媒活性の点で好ま
しい。
【0046】水素添加反応は、一般に常圧〜250kg
/cm2、50〜200℃の温度にて、溶媒としてシク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−オクタン、デ
カリン、テトラリン、ナフサ等の飽和炭化水素系溶媒、
あるいはTHF等のエーテル系溶媒を用いて行う。ま
た、水素添加反応を行う場合、アルコールやエーテル化
合物を少量添加して反応性を高めることができる。その
ような目的に使用されるアルコールやエーテルの添加量
は溶媒100重量部に対して、0.5〜5重量部、好ま
しくは1〜3重量部である。
【0047】この様なブロック共重合体中の水素添加ビ
ニル芳香族炭化水素ブロックの含有量は10〜50重量
%である。好ましくは20〜45重量%、特に好ましく
は30〜40重量%の範囲である。ブロック共重合体の
環水添ビニル芳香族炭化水素ブロックの含有量が高すぎ
る場合、ビニル化環状炭化水素系樹脂組成物のモルホル
ジーとしての相分離が効果的に進まないためか、耐衝撃
性の改良効果が十分発現しない。また、水素添加共役ジ
エンブロックの含有量が余りに高すぎる場合、ビニル化
環状炭化水素樹脂とブロック共重合体の混和性が著しく
低下して、樹脂組成物の各種物性、例えば透明性や曲げ
強度等が低下して好ましくない。
【0048】また、本発明のビニル化環状炭化水素系樹
脂組成物全体に対する水素添加共役ジエンセグメントの
含有量は、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましく
は2〜20重量%、特に好ましくは3〜10重量%の範
囲である。樹脂組成物中の水素添加共役ジエン重合体セ
グメントの含有量が多すぎる場合は、樹脂組成物の耐熱
性、剛性が低下して好ましくない。逆に、共役ジエン重
合体セグメントの含有量が少なすぎる場合は耐衝撃性の
改善効果が十分発現できず、好ましくない。
【0049】水素添加共役ジエン重合体ブロック、即ち
BブロックおよびB−X−Bブロック連鎖の数平均分子
量は20,000〜500,000の範囲、好ましくは
40,000〜300,000の範囲、特に好ましくは
80,00〜200,000の範囲である。水素添加共
役ジエン重合体ブロックの重量平均分子量が低くすぎる
場合、耐衝撃性の改良効果が十分発現せず好ましくな
い。水素添加共役ジエン重合体の含有量が高すぎる場
合、ビニル化環状炭化水素樹脂とブロック共重合体の混
和性が著しく低下して、樹脂組成物の各種物性、例えば
透明性、強度等が低下して好ましくない。
【0050】環水添ビニル芳香族炭化水素重合体ブロッ
ク、即ちAブロックの数平均分子量は10,000〜2
00,000、好ましくは14,000〜100,00
0、特に好ましくは20,000〜50,000の範囲
である。環水添ビニル芳香族炭化水素ブロックの分子量
が低いとビニル化環状炭化水素樹脂とブロック共重合体
の混和性が著しく低下して、樹脂組成物の各種物性、例
えば透明性や曲げ強度等が低下して好ましくない。分子
量が余りに高い場合、耐衝撃性が低下して好ましくな
い。
【0051】共役ジエンセグメントの結合様式は特に限
定しない。しかしながら、水素添加後これらのセグメン
トから成る重合体ブロックはゴムライクな性質を示すこ
とが好ましい。即ち、常温で結晶化やガラス化しないこ
とが好ましい。そのため、共役ジエンが1,3−ブタジ
エンである場合、その1,2−結合含率は10モル%〜
90モル%、さらに好ましくは20モル%〜60モル
%、さらに好ましくは30モル%〜50モル%の範囲で
ある。1,2−結合連鎖がこれより低いと、著しい結晶
性が現れ、耐衝撃性の改良効果が低減して好ましくな
い。
【0052】本発明のビニル化環状炭化水素系樹脂組成
物は(a)ビニル化環状炭化水素樹脂 60〜99重量
% および(b)重合体連鎖中に少なくともA−B−A
の一般式で示されるトリブロック連鎖を含むブロック共
重合体 40〜1重量%から成る。好ましい(b)成分
の組成は30〜3重量%、さらに好ましくは20〜5重
量%であり、残余の重合体成分は(a)ビニル化環状炭
化水素樹脂である。
【0053】(b)成分のブロック共重合体の含量がこ
れより高いと弾性率、特に高温下の弾性率が低下して好
ましくない。またブロック共重合体の含量がこれより低
いと強度特性、特に耐衝撃性が低下して好ましくない。
【0054】上述の重合体成分の混合方法に関しては特
に限定するものではない。通常は上述の重合体成分
(a)成分のビニル化環状炭化水素樹脂と(b)成分の
ブロック共重合体とを押出機、プラストミル、バンバリ
ーミキサー等の混練機により溶融混合する方法を用いる
ことができる。しかし、ポリマー製造段階で両重合体成
分を同一反応器中で並行して重合することもできる。ま
た別途に重合あるいは水素添加した後に溶液状態のまま
混合したりすることもできる。
【0055】本発明の樹脂組成物においては、本発明に
規定しない公知の樹脂添加物を添加しても構わない。例
えば、無機あるいは有機フィラー、顔料、染料、安定
剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、滑剤等を添加し
て、公知の作用効果を達成することは当然できる。これ
らの樹脂添加剤の本発明の樹脂組成物への混合時期、方
法は特に限定されるものではない。重合製造時に溶液段
階で混合すろこともできるし、樹脂成分の混合時に、あ
るいは成形加工時に混合することもできる。
【0056】安定剤の例としては、ヒンダードフェノー
ル系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等が挙げら
れる。ヒンダードフェノール系安定剤とリン系安定剤の
併用が耐熱劣化性の向上の観点から特に好ましい。
【0057】本発明で使用できるヒンダードフェノール
系安定剤の具体例としては、テトラキス[メチレン−3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネ−トメタン、3,9−ビス[1,1,−
ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチ
ル]2,4,8,10−テトラオキサスプロ[5,5]
ウンデカン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル−s−トリアジン−2,
4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5
−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げら
れる。
【0058】また、リン系安定剤の具体例としては、テ
トラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,
4’−ビスフェニレンホスフォナイト、ビス(2,6−
ジ−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ル−ジ−ホスファイト等が挙げられる。
【0059】安定剤の好適な使用量は樹脂成分100重
量部当たり、各0.001〜1重量部である。また、無
安定剤でも、本発明の樹脂組成物はそれなりの安定性は
有しており、用途により無安定剤が好ましい場合もあ
る。
【0060】
【発明の実施の形態】以下に実施例および比較例を挙げ
て本発明を具体的に説明するが、本発明がこれらの実施
例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例
および比較例における各種重合体構造は、次の方法によ
り測定したものである。
【0061】(1)分子量測定:ビニル化環状炭化水素
樹脂およびブロック共重合体の分子量はゲル・パーミエ
ーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、TH
Fを溶媒として測定した。
【0062】(2)ブロック共重合体の結合単量体組成
比の解析 水素添加前のブロック共重合体のプロトンNMRから解
析した。または補助的に重合時の仕込みモノマー組成と
その添加率から算出、確認するもできる。
【0063】(3)重合体ブロックの数平均分子量解析 ランダム共重合部分を含まない完全ブロック共重合体に
おいては、各ブロックを構成する結合単量体組成比とブ
ロック共重合体全体の分子量から算出した。
【0064】(4)水素添加率の測定 プロトンNMRスペクトルに基づき解析した。
【0065】樹脂製造例−1:窒素雰囲気下、少量のT
HF(テトラヒドロフラン)を含むシクロヘキサン溶媒
中、n−ブチルリチウムを重合開始剤としてスチレン単
量体を単独重合した。重合後、少量のメタノールを添加
して成長末端を停止させた。その後、パラジウム触媒を
用い水素添加することにより、ビニル化環状炭水素樹脂
を得た。
【0066】分析の結果、重量平均分子量12.4万、
水素添加率99.5モル%であった。
【0067】樹脂製造例−2:窒素雰囲気下、少量のT
HFを含むシクロヘキサンを溶媒とし、n−ブチルリチ
ウムを重合開始剤として、スチレン−ブタジエン−スチ
レンを順次重合することにより、実質的にコンタミのな
いブロックポリマーを得た。その後、メタノールを少量
添加して成長末端を停止させ、パラジウム触媒を用い水
素添加することにより、A−B−Aトリブロック共重合
体を得た。水素添加反応の前後で分子量分布、分子量の
変化は実質的になかった。
【0068】分析の結果、ブロック共重合体の数平均分
子量9.4万、環水添および未水添のスチレン含率35
重量%であった。ブタジエン部の結合様式は1,2−結
合含率は45モル%であった。プロトンNMR解析結果
および仕込みモノマー組成から検証できた各ブロックの
重量組成比はA:B:A=17.5:65:17.5で
ある。それ故、各ブロックの数平均分子量はA,B,A
それぞれ1.65万、6.11万、1.65万である。
【0069】共役ジエン部はほぼ完全に水素添加されて
おり、スチレン部分の水素添加率は99.2%であっ
た。
【0070】樹脂製造例−3:樹脂製造例−2と同様に
トリブロック共重合体を得た。モノマーの仕込みを変化
させることにより、ブロックの分子量を振った。各ブロ
ックの数平均分子量はA,B,Aそれぞれ4.23万、
1.36万、4.23万、環水添および未水添のスチレ
ン含率86重量%であった。
【0071】共役ジエン部はほぼ完全に水素添加されて
おり、スチレン部分の水素添加率は99.6%であっ
た。
【0072】樹脂製造例−4:樹脂製造例−2と同様に
トリブロック共重合体を得た。モノマーの仕込みを変化
させることにより、ブロックの分子量を振った。各ブロ
ックの数平均分子量はA,B,Aそれぞれ0.82万、
7.54万、0.82万、環水添および未水添のスチレ
ン含率18重量%であった。
【0073】共役ジエン部はほぼ完全に水素添加されて
おり、スチレン部分の水素添加率は99.0%であっ
た。
【0074】樹脂製造例−5:樹脂製造例−2で重合し
たと同様の水素添加前のベースポリマーを用い、チタン
触媒を用い水素添加することにより、共役ジエンセグメ
ントを選択的に水添した。得られたポリマーの共役ジエ
ン部の水素添加率は98%、スチレン部分の水素添加率
はほぼ0%であった。A,B,Aそれぞれの数分子量は
1.58、5.87、1.58、環水添および未水添の
スチレン含率35重量%である。
【0075】樹脂製造例−6 水素添加反応を行わない以外樹脂製造例−1と同様に実
施し、ポリスチレン樹脂を得た。分析の結果、重量平均
分子量11.9万であった。
【0076】樹脂製造例−7 窒素雰囲気下、少量のTHFを含むシクロヘキサンを溶
媒とし、n−ブチルリチウムを重合開始剤として、スチ
レン−ブタジエンを順次重合し、重合完了後トリクロル
メチルシランをn−ブチルリチウムに0.9当量添加し
た。得られたブロック共重合体は(A−B’)3−X構
造の重合体83重量%、(A−B’)2−X構造のブロ
ック共重合体13重量%、その他4重量%の組成であっ
た。その後、パラジウム触媒を用い水素添加することに
より、環水添ブロック共重合体を得た。水素添加反応の
前後で分子量分布、分子量の変化はほとんどなかった。
【0077】分析の結果、(A−B’)3−Xブロック
共重合体の数平均分子量11.4万であった。ブタジエ
ン部の1,2−結合含率は45モル%であった。プロト
ンNMR解析結果、仕込みモノマー組成から検証できた
各ブロックの重量組成比はA:B=35:65である。
それ故、各ブロックの数平均分子量はA,B,Aそれぞ
れ1.33万、4.98万(B’は2.47万)、1.
33万となる。BとB’の関係は前出。共役ジエン部の
水素添加率はほぼ完全に水素添加されており、スチレン
部分の水素添加率は99.0%であった。
【0078】樹脂製造例−8 窒素雰囲気下、スチレン80重量%とα−メチルスチレ
ン20重量%からなる混合モノマーを、AIBN(アゾ
ビスイソブチロニトリル)を開始剤として、水を媒体に
懸濁重合した。重合後、乾燥し、さらにシクロヘキサン
に溶かして樹脂製造例1と同様に水素添加した。
【0079】分析の結果、重量平均分子量11.4万、
水素添加率97モル%であった。
【0080】樹脂製造例−9 窒素雰囲気下、少量のTHFを含むシクロヘキサンを溶
媒とし、n−ブチルリチウムを重合開始剤として、スチ
レン−ブタジエンを順次重合することにより、ブロック
ポリマーを得た。その後少量のメタノールを添加して成
長末端を停止させ、パラジウム触媒を用い水素添加する
ことにより、A−Bジブロック共重合体を得た。
【0081】分析の結果、ブロック共重合体の数平均分
子量10.6万であった。ブタジエン部の結合様式は
1,2−結合含率は43モル%であった。プロトンNM
R解析結果および仕込みモノマー組成から検証できた各
ブロックの重量組成比はA:B=13:87である。そ
れ故、各ブロックの数平均分子量はA,Bそれぞれ1.
4万、9.2万、環水添および未水添のスチレン含率8
6.8重量%であった。
【0082】共役ジエン部はほぼ完全に水素添加されて
おり、スチレン部分の水素添加率は98.6%であっ
た。
【0083】実施例1〜4および比較例1〜3 樹脂製造例−1で得た環水添ポリスチレン樹脂(VC
H:ポリビニルシクロヘキサン)と樹脂製造例2で得た
環水添S−B−Sトリブロック共重合体(SBS)を表
1記載の重量組成比で、ラボプラストミルにて混合し、
圧縮成型することによりテストピースを作成し、物性を
評価した。評価結果を表1に記載する。
【0084】
【表1】
【0085】注*1)常温でゴム状あるいは極めて軟質
なため、弾性率は極めて小さく測定困難、またはHDT
は80℃未満となった 注*2)破断しなかった 表中の略語説明 1)VCH含率:ポリビニルシクロヘキサン重量含率
(重量%) 2)SBS含率:樹脂組成物中の環水添スチレン−ブタ
ジエン−スチレントリブロック共重合体の重量含率(重
量%) 3)ゴム含率:環水添スチレン/ブタジエンブロック重
合体中の水添および未水添のブタジエンブロックの樹脂
組成物における重量含率(重量%) 4)Bd連鎖長:同上のブタジエンブロックの数平均連
鎖長(万) 5)弾性率:曲げ弾性率 ASTM D790 (kg
/cm2) 6)HDT:熱変形温度 ASTM D648、荷重1
8.6kg/cm2(℃) 7)衝撃強度:アイゾット衝撃強度 ASTM D25
6 ノッチ付き(kg・cm/cm) 8)透明性:目測による透明性の判断 ○:ポリスチレン同等の優れた透明性を示す ×:半透明に白濁し、透明性が劣る。
【0086】実施例5 樹脂製造例−1で得た環水添ポリスチレン樹脂80重量
%と樹脂合成例7で得た(A−B)3−Xタイプの環水
添ブロック共重合体20重量%をラボプラストミルにて
混合し、圧縮成型することによりテストピースを作成
し、物性を評価した。評価結果を表2に記載する。
【0087】実施例6 樹脂製造例8で得た環水添のスチレン−α−メチルスチ
レン共重合体樹脂と樹脂製造例3で得た環水添S−B−
Sトリブロック共重合体(SBS)を用い、実施例3と
同様にした。評価結果を表2に記載する。
【0088】実施例7 樹脂合成例−1で得た環水添ポリスチレン樹脂84重量
%と樹脂製造例−4で得た環水添S−B−Sトリブロッ
ク共重合体16重量%をラボプラストミルにて混合し、
圧縮成型することによりテストピースを作成し、物性を
評価した。評価結果を表2に記載する。
【0089】比較例4 樹脂合成例−3で得た環水添S−B−Sトリブロック共
重合体単味を圧縮成型することによりテストピースを作
成し、物性を評価した。評価結果を表2に記載する。
【0090】比較例5 樹脂製造例−9で得た環水添S−Bジブロック共重合体
単味を圧縮成型することによりテストピースを作成し、
物性を評価した評価結果を表2に記載する。
【0091】比較例6 樹脂製造例−5で得たブタジエン部のみを水添したA−
B−Aトリブロック共重合体を、環水添トリブロック共
重合体に置き換え、実施例3と同様に評価した。評価結
果を表2に記載する。
【0092】比較例7 樹脂製造例−6で得たポリスチレン樹脂を、環水添ポリ
スチレンに置き換え実施例3と同様に評価した。評価結
果を表2に記載する。
【0093】
【表2】
【0094】
【発明の効果】本発明のビニル化環状炭化水素系樹脂組
成物は、ビニル化環状炭化水素樹脂の優れた特長である
透明性、高耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、低水分透過
性等の優れた性能を保持したまま、欠点である強度特
性、特に耐衝撃強度を顕著に改善するものである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB171 BC031 BC081 BC091 BK001 BL021 BP012 GB01 GP00 GQ00 GQ01 4J026 HA06 HA26 HB14 HB15 HB16 HB26 HC06 HC26 HE02 HE05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ビニル化環状炭化水素樹脂 60〜99重量% と (b)重合体連鎖中に少なくともA−B−Aの一般式で示されるトリブロック 連鎖を含むブロック共重合体 40〜1 重量% から成る樹脂組成物 (式中、Aは水素添加されたビニル芳香族炭化水素を主
    体とし、数平均分子量10,000〜200,000の
    範囲の重合体ブロックであり、各Aは同一構造でも、異
    なった構造であっても構わない。Bは水素添加された共
    役ジエン化合物を主体とし、数平均分子量が20,00
    0〜500,0000の範囲の重合体ブロックである。
    ブロック共重合体の全オレフィン性不飽和結合の90モ
    ル%以上および芳香族環の80モル%以上は水素添加さ
    れてており、共役ジエン化合物およびその水素添加物の
    含率は50〜90重量%の範囲である。)
  2. 【請求項2】(b)成分の含有率が20重量%〜1重量
    %の範囲にあることを特徴とする特許請求項1記載の樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】(b)成分の共重合体を構成するBブロッ
    クが水素添加された1,3−ブタジエンからなる重合体
    ブロックであって、その結合様式が1,2−結合含率2
    0モル%〜60モル%である請求項1および2記載の樹
    脂組成物。
JP11070349A 1999-03-16 1999-03-16 ビニル化環状炭化水素系樹脂組成物 Pending JP2000265019A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11070349A JP2000265019A (ja) 1999-03-16 1999-03-16 ビニル化環状炭化水素系樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11070349A JP2000265019A (ja) 1999-03-16 1999-03-16 ビニル化環状炭化水素系樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000265019A true JP2000265019A (ja) 2000-09-26

Family

ID=13428879

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11070349A Pending JP2000265019A (ja) 1999-03-16 1999-03-16 ビニル化環状炭化水素系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000265019A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006106929A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-12 Zeon Corporation 樹脂組成物及び成形体
JP2008239861A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Asahi Kasei Chemicals Corp 水素添加スチレン系樹脂組成物
JP2014133848A (ja) * 2013-01-11 2014-07-24 Nippon Zeon Co Ltd 成形体の製造方法
JP2020180301A (ja) * 2020-08-03 2020-11-05 Mcppイノベーション合同会社 医療用成形体
JP2022010573A (ja) * 2020-06-29 2022-01-17 Mcppイノベーション合同会社 熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形体
JP2022019005A (ja) * 2020-07-17 2022-01-27 Mcppイノベーション合同会社 医療用成形体

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006106929A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-12 Zeon Corporation 樹脂組成物及び成形体
JP4985397B2 (ja) * 2005-03-31 2012-07-25 日本ゼオン株式会社 樹脂組成物及び成形体
JP2008239861A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Asahi Kasei Chemicals Corp 水素添加スチレン系樹脂組成物
JP2014133848A (ja) * 2013-01-11 2014-07-24 Nippon Zeon Co Ltd 成形体の製造方法
JP2022010573A (ja) * 2020-06-29 2022-01-17 Mcppイノベーション合同会社 熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形体
JP2024091891A (ja) * 2020-06-29 2024-07-05 Mcppイノベーション合同会社 熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形体
JP7515317B2 (ja) 2020-06-29 2024-07-12 Mcppイノベーション合同会社 熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形体
JP2022019005A (ja) * 2020-07-17 2022-01-27 Mcppイノベーション合同会社 医療用成形体
JP2020180301A (ja) * 2020-08-03 2020-11-05 Mcppイノベーション合同会社 医療用成形体
JP7584938B2 (ja) 2020-08-03 2024-11-18 Mcppイノベーション合同会社 医療用成形体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7141621B2 (en) Gels from controlled distribution block copolymers
JP6375417B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
KR100501986B1 (ko) 블록 공중합체 및 이 공중합체를 함유하는 조성물
CN1224438A (zh) 高1,2-含量的热塑性弹性体/油/聚烯烃组合物
JP5372309B2 (ja) 両方とも硬いポリスチレンブロックおよび低ビニル含量ポリジエンブロックを含有するブロック共重合体
US20090062457A1 (en) Styrenic block copolymers and compositions containing the same
JP7064909B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
EP3436490B1 (en) Semi-crystalline block copolymers and compositions therefrom
US7838598B2 (en) Styrenic block copolymer compositions to be used for the manufacture of transparent, gel free films
CN1286903C (zh) 具有改善机械性能和加工性能的嵌段共聚物组合物
JP2000265019A (ja) ビニル化環状炭化水素系樹脂組成物
EP3541875B1 (en) Blends of styrene-butadiene co-polymers (sbc) with random blocks and smma
JP4194706B2 (ja) シクロオレフィン系樹脂組成物
JP7649134B2 (ja) 水添共重合体、熱可塑性エラストマー組成物、及び成形体
JP2000319484A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JPH0551494A (ja) ポリオレフイン組成物
JP2513951B2 (ja) 耐衝撃性に優れたポリオレフィン組成物
JP2000313780A (ja) 光ディスク基板材料
JP3333045B2 (ja) 環状ジエン系ブロック共重合体組成物
JP2023072852A (ja) エラストマー組成物及び成形体
JP2513958C (ja)
JP2513951C (ja)
JP2513962C (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060315

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080804

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081105