JP2000231217A - 電子写真用被転写材料および電子写真方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に画質に優れ、印画後に光沢むらが発生せ
ず、フイルムを重ねて置いても貼り付きが発生せず、耐
熱性に優れ、かつ、腰がある電子写真用被転写材料を提
供すること。また、該電子写真用被転写材料を用いる電
子写真方法を提供すること。 【解決手段】 原紙の両面又は片面にガラス転移点（Ｔ
ｇ）が７２〜１２５℃のポリスチレン系樹脂の被覆層を
設けた電子写真用被転写材料であり、前記被覆層におけ
るアイソタクチックポリスチレンが、重量比率で少なく
とも５％アイソタクチックポリスチレンであり、該アイ
ソタクチックポリスチレンは重量比率で少なくとも５０
％無定形状態である。また、該被覆層は、ポリスチレン
系樹脂の溶融ラミネート法により設けられる。この電子
写真用被転写材料は、間接乾式フルカラー電子写真方法
に使用される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用被転写材
料および電子写真方法に関し、特に間接乾式フルカラー
電子写真方法に使用されるのに好適な電子写真用被転写
材料およびこの材料を用いた電子写真方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】間接乾式フルカラー電子写真方式として
は、（１）４色のトナーを順次転写する多重転写方式、
（２）像担持体上に順次形成された各色に対応する静電
潜像を各色のトナーで順次現像し、該現像像をベルト状
中間転写体上に静電的に順次重ねて１次転写するととも
に、この中間転写体上に多重転写されたトナー像を、ト
ナーの帯電極性とは逆極性の転写用電圧の印加されたバ
イアストランスファーロールにより被転写材料に２次転
写することによりカラー画像の形成を行う方法（以下、
中間転写体方式という）、（３）複数の現像器により顕
像化する工程を複数回行い、像担持体上に多色像を形成
し、この多色像を被転写材料に一括転写してカラー画像
を形成する方式、（４）複数個の像担持体を並置し、各
像担持体上に形成された画像を転写ベルトに搬送させ、
被転写材料に順次転写してカラー画像を形成する方法等
が従来から知られている。

【０００３】これらの電子写真方式のなかでも、（２）
中間転写体方式は、高品位の記録画像を得ることがで
き、１度形成された潜像を、現像および転写を繰り返す
ことにより複数回にわたって利用して多数の同一画像を
記録するという、リテンション方式の導入が可能とな
り、画像記録の高速化を容易に図ることができるという
利点がある。このため、近年（２）中間転写体方式の開
発が盛んに押し進められている。

【０００４】従来、このような中間転写体方式等の電子
写真方法に使用されるフルカラー電子写真被転写材料に
は、原紙の両面にポリエチレン等の樹脂からなる被覆層
を設けた支持体の片面を受像層とした電子写真用被転写
材料等がある。上記の受像層は、主として、ガラス転移
点（Ｔｇ）が７０℃以下の熱可塑性ポリマーを原紙上に
被覆させることにより設けられていた（米国特許明細書
第５，６９１，０３９号）。

【０００５】しかしながら、これらの、ガラス転移点
（Ｔｇ）の低いポリマ−を受像層として使用した場合に
は、ある程度の画質を維持することができても、耐熱性
に優れず、特に高温下での収縮変形やフィルムを重ねて
置いた際のフィルム同士の貼り付き等の問題点が生じ、
また、腰の強い材料とすることができない。

【０００６】上記問題点を解決するものとして、本出願
人は、特願平１０−２８１５２６号明細書において、ガ
ラス転移点（Ｔｇ）が７１℃以上のポリエステル系樹脂
を原紙上に被覆することにより設けられる電子写真用被
転写材料を提案した。

【０００７】しかし、本提案では、上記問題点は解決さ
れたものの、印画後に、フィルム表面に光沢むらが発生
してしまう場合があった。

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以下の目的
を達成することを課題とする。即ち、本発明は、特に画
質に優れ、印画後に光沢むらが発生せず、重ねて置いて
も貼り付きが発生せず、耐熱性に優れ、かつ、腰がある
電子写真用被転写材料を提供することを目的とする。ま
た、該電子写真用被転写材料を用いる電子写真方法を提
供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題は、以下の本発
明により達成される。即ち、本発明は、 ＜１＞ 原紙の両面又は片面にガラス転移点（Ｔｇ）が
７２〜１２５℃のポリスチレン系樹脂の被覆層を設けた
ことを特徴とする電子写真用被転写材料である。 ＜２＞ 前記被覆層におけるポリスチレン系樹脂が、重
量比率で少なくとも５％アイソタクチックポリスチレン
であることを特徴とする＜１＞に記載の電子写真用被転
写材料である。 ＜３＞ 前記被覆層におけるアイソタクチックポリスチ
レンが、重量比率で少なくとも５０％無定形状態である
ことを特徴とする＜１＞又は＜２＞に記載の電子写真用
被転写材料である。 ＜４＞ 前記被覆層が、ポリスチレン系樹脂の溶融押し
出しラミネート法により設けられたことを特徴とする＜
１＞〜＜３＞のいずれかに記載の電子写真用被転写材料
である。 ＜５＞ 像担持体上に順次形成される各色に対応する静
電潜像を各色のトナーで順次現像し、該現像剤層を中間
転写体に静電的に順次重ねて一次転写し、前記中間転写
体上に多重転写されたカラートナー像をトナーの帯電極
性とは逆極性の転写用電圧が印加されたバイアストラン
スファーロールにより＜１＞〜＜４＞のいずれかに記載
の電子写真用被転写材料に２次転写することを特徴とす
る電子写真方法である。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 １．電子写真用被転写材料 本発明の電子写真用被転写材料は、原紙の両面又は片面
に、ガラス転移点が７２〜１２５℃のポリスチレン系樹
脂の被覆層を有してなる。 −原紙− 前記原紙としては、針葉樹、広葉樹等の天然のパルプを
主原料として用いることが好ましい。所望により、クレ
ー、タルク、炭酸カルシウム、尿素樹脂微粒子等の填料
や、ロジン、アルキルケテンダイマー、高級脂肪酸、エ
ポキシ化脂肪酸アミド、パラフィンワックス、アルケニ
ルコハク酸等のサイズ剤や、でんぷん、ポリアミドポリ
アミンエピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド等の紙
力増強剤や、硫酸バンド、カチオン性ポリマー等の定着
剤等をパルプに添加することができる。特に、エポキシ
化脂肪酸アミドやアルキルケテンダイマーを添加すれ
ば、原紙の火炎処理によって原紙と被覆層との密着性を
向上させることができるため好ましい。

【００１０】前記エポキシ化脂肪酸アミド、アルキルケ
テンダイマーの含有量としては、原紙１枚あたり０．０
５〜２．０重量％が好ましく、０．１〜１．０重量％が
特に好ましい。

【００１１】更に、前記の天然のパルプに代えて合成パ
ルプを使用しても良く、天然パルプと合成パルプを任意
の比率に混合したパルプを使用しても良い。

【００１２】原紙の種類及び厚さは特に限定されるもの
ではないが、坪量としては、５０ｇ／ｍ² 〜２５０ｇ／
ｍ² が好ましい。また、原紙は、電子写真用受像紙とし
ては、表面平滑性に優れることが望ましいため、マシン
カレンダー及びスーパーカレンダー等で熱及び圧力を加
えて表面処理することが好ましい。

【００１３】前記のパルプの表面は、所望により、ゼラ
チン、スターチ、カルボキシメチルセルロース、ポリア
クリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアル
コール変性物等の被膜形成ポリマーにより表面サイズ処
理することができる。前記ポリビニルアルコール変性物
としては、カルボキシル基変性物、シラノール変性物や
アクリルアミドとの共重合物等が挙げられる。前記被膜
形成ポリマーによリ表面サイズ処理する場合の被膜形成
ポリマーの塗布量としては、０．１〜０．５ｇ／ｍ² が
好ましく、０．５〜２．０ｇ／ｍ² が特に好ましい。前
記被膜形成ポリマーには、所望により、帯電防止剤、蛍
光増白剤、顔料、消泡剤等を添加することができる。

【００１４】原紙は、上述したパルプ又は所望により添
加した充填剤、サイズ剤、紙力補強剤、定着剤等の添加
剤を含有したパルプスラリーを長網抄紙機等の抄紙機に
より抄紙し、乾燥した後、巻取ることによって製造され
る。この乾燥の前後のいずれかにおいて前記表面サイズ
処理が行われ、又、乾燥後から巻取りの間にカレンダー
処理が行われる。

【００１５】このカレンダー処理は、乾燥後に前記表面
サイズ処理が行われる場合には、表面サイズ処理の前後
のいずれにおいても実施することができるが、各種処理
を実行した後の最終仕上げ工程で行うことが好ましい。
カレンダー処理には、金属ロール、弾性ロール等、通常
の紙の製造に用いられる公知のものを使用することがで
きる。原紙の膜厚は、上述したカレンダー処理によっ
て、最終的に５０〜２５０μｍに調整される。原紙の密
度としては０．８〜１．３ｇ／ｃｍ³ が好ましく、１．
０〜１．２ｇ／ｃｍ³ が特に好ましい。原紙の両面又は
片面に被覆層が形成される場合、原紙にコロナ放電、火
炎処理、グロー放電処理、又はプラズマ処理等の活性化
処理を施すことが望ましい。

【００１６】−ポリスチレン系樹脂の被覆層− 原紙両面又は片面に設けられる前記被覆層は、ポリスチ
レン系樹脂からなる。該ポリスチレン系樹脂のガラス転
移点（Ｔｇ）は、７２〜１２５℃であり、７５〜１２０
℃が好ましく、９０〜１１５℃が特に好ましい。ガラス
転移点（Ｔｇ）が７２℃未満では、耐熱性向上効果が不
十分となり、高温下において、変形や貼り付きが生じた
り、また、腰の強い材料とすることができない。一方、
ガラス転移温度（Ｔｇ）が１２０℃より高い場合には、
定着工程における加熱温度（通常１４０℃程度）等との
兼ね合いから、トナー像の定着性に劣る。

【００１７】ポリスチレン系樹脂としては、具体的に
は、ポリスチレンのほか、ｏ−メチル−ポリスチレン、
ｍ−メチル−ポリスチレン、ｐ−メチル−ポリスチレ
ン、２，５−ジメチル−ポリスチレン、３，４−ジメチ
ル−ポリスチレン、ｐ−フェノキシ−ポリスチレン、
２，５−ジフロロポリスチレン等が好適に挙げられる。

【００１８】前記被覆層におけるポリスチレン系樹脂
は、アイソタクチックポリスチレンが存在することが好
ましく、重量比率で少なくとも５％アイソタクチックポ
リスチレンであることが特に好ましい。ポリスチレン系
樹脂が上記構造でない場合には、高温下での耐久性に劣
ることがある。

【００１９】前記ポリスチレン系樹脂の具体例の中で
も、ｍ−メチル−ポリスチレン、ｐ−メチル−ポリスチ
レン及び３，４−ジメチル−ポリスチレンが、本発明に
おいて好適に使用することができる。又、これらのポリ
スチレン系樹脂は、１種単独で用いてもよいし、共重合
体として用いてもよいし、２種以上をブレンドして用い
てもよい。共重合体としては、スチレン−クロロスチレ
ン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン
−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体
などの組合せが好ましい。この場合の共重合比（スチレ
ン／クロロスチレン、スチレン／ブタジエン、スチレン
／塩化ビニル、又は、スチレン／酢酸ビニル）、として
は、重量比で１／０〜１／１が好ましく、１／０．５〜
１／１がより好ましい。

【００２０】前記被覆層におけるアイソタクチックポリ
スチレンは、重量比率で少なくとも５０％無定形状態で
あることが特に好ましい。重量比率で少なくとも５０％
無定形状態のアイソタクチックポリスチレンは、１４０
℃未満（通常１００℃前後）において溶融状態となる。
従って、通常の画像定着温度である１４０℃において
は、溶融状態になっているため、定着過程においてトナ
ーが被覆層中に容易にめり込み、特に印画後の光沢に優
れる電子写真用被転写材料となる。一方、無定形状態の
部分の重量比率が上記範囲より低いアイソタクチックポ
リスチレンは、１４０℃未満において溶融状態とはなら
ないため、定着時の柔らかさに劣り、又印画後の光沢も
劣る場合がある。

【００２１】ここで、溶融状態とは、軟化点以上の温度
において、応力により流動する状態をいう。具体的に
は、ビカット軟化温度測定装置により、ＪＩＳ Ｋ ６
７４２に規定する試験方法に従い、直径１ｍｍΦの針を
試料に侵入させた時に針が長さ１ｍｍ侵入した時の温度
を基準にして測定することができる。

【００２２】前記ポリスチレン系樹脂には、被覆層の電
気抵抗値を所定値（例えば、１０¹⁰〜１０¹⁴Ω・ｃｍ、
好ましくは１０¹¹〜１０¹³Ω・ｃｍ）に調整するため、
所望により導電性無機粉末を添加してもよい。使用する
導電性無機粉末としては、ＺｎＯ、ＴｉＯ、ＳｎＯ₂ 、
Ａｌ₂ Ｏ₃ 、Ｉｎ₂ Ｏ₃ 、ＳｉＯ₂ 、ＭｇＯ、ＢａＯ及
びＭｏＯ₃ を挙げることができる。これらは、単独で使
用しても良く、これらの複合酸化物として使用しても良
い。また、金属酸化物は、異種元素をさらに含有するも
のが好ましく、例えば、ＺｎＯに対してＡｌ、Ｉｎ等、
ＴｉＯに対してＮｂ、Ｔａ等、ＳｎＯ₂ に対しては、Ｓ
ｂ、Ｎｂ、ハロゲン元素等を含有（ドーピング）させた
ものが好ましい。これらの中で、Ｓｂをドーピングした
ＳｎＯ₂が特に好ましい。

【００２３】また、導電性金属酸化物粒子の粒径は、短
軸の平均粒子径としては、０．００５〜０．０５μｍが
好ましく、０．０１〜０．２μｍが特に好ましい。その
長軸の平均粒子径としては、０．０５〜１０μｍが好ま
しく、０．１〜３．０μｍが特に好ましい。また、その
アスペクト比としては３以上が好ましく、５以上が特に
好ましい。その形状としては、針状（繊維状、柱状、棒
状、その他類似形状を含む）であることが特に好まし
い。ここで、平均粒子径とは、電子顕微鏡写真（倍率１
０万倍）を観察して、５０％重量平均径を求めたもので
ある。従来の球状の導伝性粉末を用いて良好な導電性を
得るには、少なくとも隣接する導電性粉末同士が密に接
するように粉体の含有量を多くしなければならないが、
上記のような針状の導電性物質を用いれば、少量の配合
で、有効な導電効果を薄膜に付与することができる。従
って、経済的に、かつ、形成された層の強度低下を招く
ことなく使用することができる。

【００２４】更に導電性無機粉末として、（ａ）０．０
３〜０．３μｍ程度のルチル形球状酸化チタン表面にＳ
ｂをドープしたＳｎＯ₂で被覆したタイプの導電性無機
粉末、（ｂ）０．０３〜０．３μｍ程度のルチル形針状
酸化チタン表面にＳｂをドープしたＳｎＯ₂ で被覆した
タイプの導電性無機粉末を好適に使用することができ
る。これらの導電性無機粉末は、湿度の影響を受けにく
く、かつ、いずれも白色系であるため、所望により、着
色系物質を添加することにより被覆層を種々の色に調色
することが可能である。また、Ｓｂをドープした微細針
状のＳｎＯ₂導電性無機粉末も好適に使用することがで
きるが、この導電性無機粉末は、湿度の影響を受けにく
く、かつ、少ない配合量で淡色の透明感のある被覆層を
形成することができる。

【００２５】前記被覆層における導電性無機粉末の含有
量は、導電性無機粉末の種類等により異なるが、樹脂１
００重量部に対して、導電性無機粉末を０．１〜３０重
量部配合することが好ましく、１〜２０重量部配合する
ことが特に好ましい。

【００２６】また、前記被覆層（特に受像層として機能
する被覆層）には、所望により顔料を添加することもで
きる。前記顔料としては、二酸化チタン、硫酸バリウ
ム、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、酸化アルミニ
ウム、酸化珪素等の粉末、これらの固溶体等も用いるこ
とができる。前記顔料の粒子径としては０．０４〜１μ
ｍが通常用いられる。粒子系が０．０４μｍ未満である
と顔料を樹脂に均一に混合分散するのが困難となること
がある。一方、粒子系が１μｍを超えると組成物の被覆
膜表面が粗くなりすぎて電子写真用被転写材料の画質低
下を招くことがある。前記顔料の中では二酸化チタン、
硫酸バリウムが好ましく、また、その平均粒径として
は、０．１〜０．８μｍが好ましい。

【００２７】前記二酸化チタンとしては、アナターゼ
型、ルチル型の何れでも良く、白色度を優先する場合に
はアナターゼ型二酸化チタンを、また鮮鋭度を優先する
場合にはルチル型二酸化チタンを使用するのが好まし
い。具体的な商品名としては、ＫＡ−１０、ＫＡ−２０
（チタン工業（株））等が挙げられる。二酸化チタンは
高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エチル、高級脂肪酸ア
ミド、高級脂肪酸等の分散助剤と共に２本ロール、３本
ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で樹
脂中に練り込まれる。樹脂層中には酸化防止剤を含有さ
せることもでき、含有量としては樹脂に対し５０ｐｐｍ
〜１０００ｐｐｍ添加できる。

【００２８】原紙の両面又は片面に設けられる被覆層の
少なくとも一方は、電子写真用被転写材料の受像層とし
て機能する。従って、被覆層が原紙の両面に設けられる
場合、片面複写用の電子写真用被転写材料においては、
被覆層の一方が受像層として機能し、両面複写用の電子
写真用被転写材料においては、被覆層の両面が受像層と
して機能する。また、被覆層が原紙の片面に設けられる
場合には、該被覆層が受像層として機能する。従って、
上記の顔料等の添加成分は受像層として機能する被覆層
のみに添加してもよく、両面の被覆層に添加してもよ
い。また、受像層として機能する被覆層には、顔料は２
〜５０重量％添加するのが好ましく、５〜３０重量％添
加するのが特に好ましい。

【００２９】受像層の電気抵抗を調整するために、所望
により、受像層として機能する被覆層や受像層として機
能する被覆層とは反対面の被覆層に帯電防止剤等の成分
を添加することもできる。帯電防止剤としては、例え
ば、界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤としては、
例えば、アルキルベンゼンイミダゾールスルホン酸塩、
ナフタリンスルホン酸塩、カルボン酸スルホンエステ
ル、リン酸エステル、ヘテロ環アミン類、アンモニウム
塩類、ホスホニウム塩類およびベタイン系両性塩類が挙
げられる。

【００３０】原紙の両面に被覆層が設けられる場合、受
像層として機能する樹脂の被覆層の厚みは、１０〜１０
０μｍが好ましく、１０〜５０μｍが特に好ましい。ま
た、受像層として機能する被覆層とは反対側面の被覆層
の厚みは、１０〜１００μｍが好ましく、１０〜５０μ
ｍが特に好ましく、電子写真用被転写材料のカールを防
止する観点より、両面の被覆層の厚みはほぼ同じである
ことが好ましい。

【００３１】原紙の片面に被覆層が設けられる場合、該
被覆層は受像層として機能し、その厚みとしては、１０
〜１００μｍが好ましく、１０〜５０μｍが特に好まし
い。

【００３２】前記被覆層は、前記ポリスチレン系樹脂組
成物を混練機用押出機、加熱練りロール、バンバリーミ
キサー、ニーダー等を用いて溶融混合した後、ブレンド
した状態で原紙上に押し出し、ラミネートする、溶融押
し出しラミネート法により設けられることが好ましい。
その他の方法として、前記混合物を粉砕、あるいはペレ
ット化する方法等が挙げられる。 ２．電子写真方法

【００３３】本発明の電子写真用被転写材料を用いて多
色画像の形成を行う方法としては、特に制約はないが、
中間転写体を用いる以下の多色画像形成方法を好ましく
挙げることができる。まず、複写動作開始信号により感
光体ドラムに１色目（例えば、イエロー）のトナー像が
形成されるとともに中間転写体も前記感光体ドラムの周
速とほぼ同速度で動き、感光体ドラムと中間転写体とが
当接する１次転写位置へ前記形成されたトナー像が移動
する。次に、１次転写用バイアストランスファーロール
の芯金に印加された転写用バイアス電圧の作用により、
中間転写体上に、前記形成されたトナー像が静電的に吸
着され、１次転写の１色目の転写が実行される。このと
き、バイアストランスファーロール表面の高抵抗薄層の
働きにより、２色目のトナー像（例えば、マゼンタ）が
１次転写へと向かう。

【００３４】１色目と同様にして感光体ドラム上に形成
された２色目のトナー像は２色目用転写バイアス電圧が
芯金に印加され、２色多重転写像が中間転写体上に形成
される。以後、２色目と同様にして、順次３色目（例え
ば、シアン）、４色目（例えば、ブラック）の１次転写
が行われ、中間転写体上に４色のトナーによるフルカラ
ー多重転写像が形成される。

【００３５】１次転写が終了した中間転写体上の４色多
重転写像は、２次転写へ移動するのに合わせて電子写真
用被転写材料が２次転写位置に送られるとともに、２次
転写手段のバイアストランスファーロールが中間転写体
に当接する。２次転写部に移動したトナー像と電子写真
用被転写材料は、中間転写体と２次転写用バイアストラ
ンスファーロールの間に挟持され、トナーの帯電極性と
は逆極性の転写用電圧の印加されたバイアストランスフ
ァーロールの作用により、トナー像が電子写真用被転写
材料の受像層上に静電的に吸着され、２次転写が実行さ
れる。２次転写の終了した電子写真用被転写材料は中間
転写体から剥離され、搬送ベルトにより定着装置に送ら
れ、定着が行われる。

【００３６】この電子写真方法に使用されるカラートナ
ーとしては、ポリエステル樹脂からなる結着樹脂、着色
剤（染料、顔料）、荷電制御剤等のトナー形成材料を溶
融混練し、粉砕、分級することにより製造されたものが
好ましい。トナー用のポリエステル樹脂としては、モノ
マーがビスフェノールＡエチレンオキサイド付加物／ビ
スフェノールＡプロピレンオキサイド付加物／テレフタ
ル酸／グリセリンからなるポリエステル樹脂、ビスフェ
ノールＡエチレンオキサイド付加物／ドデシルこはく酸
／テレフタル酸からなるポリエステル樹脂、ビスフェノ
ールＡエチレングリコール付加物／フマル酸／イソプロ
ピレングリコールからなるポリエステル樹脂などが挙げ
られる。又、ポリスチレン系樹脂としては、スチレン−
アクリル共重合体樹脂が好ましい。

【００３７】

【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
尚、実施例中「部」は重量部、「％」は重量％を示す。

【００３８】（原紙の作製）木材パルプの混合物（ＬＢ
ＫＰ／ＮＢＳＰ＝２／１）を叩解し、カナディアンフリ
ーネス２５０ｃｃのパルプスラリーとした。次いでこの
パルプスラリーを水で希釈した後、撹拌しながら、対パ
ルプあたりアニオン性ポリアクリルアミド１．０％（荒
川化学（株）製：ポリストロン１９５、分子量約１１０
万）、硫酸アルミニウム１．０％及び、ポリアミドポリ
アミンエピクロルヒドリン０．１５％（カイメン５５
７：ディックハーキュレス社製商品名）を添加した。更
に、エポキシ化ベヘン酸アミドまたはアルキルケテンダ
イマー０．４％を加えた後、ｐＨが７となるように水酸
化ナトリウム及びカチオン性ポリアクリルアミド０．５
％及び消泡剤０．１％を加えた。上記の如くして調製し
たパルプスラリーを１８０ｇ／ｍ² となるように抄造し
た。

【００３９】このようにして調整した原紙の表面をオー
ブンにて水分約２％とし、次いで、表面サイズ液として
下記の処方の水溶液をサイズプレスし、液の付着量が原
紙の表面（受像層または受像層として機能する面側）で
２０ｇ／ｍ² となるように付着させた。 ポリビニルアルコール ： ４．０％ 塩化カルシウム ： ４．０％ 蛍光増白剤 ： ０．５％ 消泡剤 ： ０．００５％ 得られたサイズ液付着紙の厚みをマシンカレンダーで各
種調整し、原紙とした。

【００４０】＜実施例１＞厚みを１２５μｍに調製した
原紙の表面を火炎処理し、支持体を作製した。この支持
体の両面に、ポリスチレン（日本ポリスチレン（株）
製、商品名：Ｈ５５４、ガラス転移点( Ｔg )=１００
℃、）を溶融し、Ｔダイから押し出しラミネートするこ
とにより被覆層を設けて、表１に示す電子写真用被転写
材料を作製した。被覆層の層厚は両面ともに２５μｍで
あった。

【００４１】＜比較例１＞厚みを１２５μｍに調製した
原紙の表面を火炎処理し、支持体を作製した。この支持
体の両面に、ポリエチレンテレフタレート樹脂（ガラス
転移点( Ｔg )=７０℃、融点（Ｔｍ）＝２６０℃）を溶
融し、Ｔダイから押し出しラミネートすることにより被
覆層を設けて、表１に示す電子写真用被転写材料を作製
した。被覆層の層厚は両面ともに２５μｍであった。

【００４２】＜比較例２＞厚みを１２５μｍに調製した
原紙の表面を火炎処理し、支持体を作製した。この支持
体の両面に、共重合ポリエステル（東レ（株）製、商品
名:ケミット９９、ガラス転移点( Ｔg )=−１９℃、融
点＝７５℃) からなる樹脂を溶融し、Ｔダイから押し出
しラミネートすることにより被覆層を設けて、表１に示
す電子写真用被転写材料を作製した。被覆層の層厚は両
面ともに２５μｍであった。

【００４３】＜比較例３＞厚みを１２５μｍに調製した
原紙の表面を火炎処理し、支持体を作製した。この支持
体の両面に、共重合ポリエステル（富士写真フイルム
（株）製、商品名：スタフィックス、ガラス転移点( Ｔ
g )=２０℃、) からなる樹脂を溶融し、Ｔダイから押し
出しラミネートすることにより被覆層を設けて、表１に
示す電子写真用被転写材料を作製した。被覆層の層厚は
両面ともに２５μｍであった。

【００４４】以上により得られた各感熱記録材料につい
て、以下の測定・評価を行った。その結果を表１に示し
た。

【００４５】〔測定・評価〕 ＜重ね置きした場合の貼り付き具合の評価＞実施例１及
び比較例１〜３において得られた電子写真用被転写材料
を、１０ｃｍ×１０ｃｍの大きさの小片として１０枚切
り出し、それぞれの電子写真用被転写材料の表面と裏面
とが互いに接触するように順次積み重ねて置いた。該重
ね置きした電子写真用被転写材料の上から、荷重が５ｇ
／ｃｍ²となるように、重りをのせ、２３℃、６５％Ｒ
Ｈの環境で、２４時間静置した。その後、前記重りを取
り除き、これらの電子写真用被転写材料の小片同士にお
いて、互いに貼り付きが発生していないか否かを観察・
評価した。

【００４６】＜光沢の測定・評価＞実施例１及び比較例
１〜３において得られた電子写真用被転写材料につい
て、印画装置（富士ゼロックス（株）製、Ｃｏｌｏｒ
Ｌａｓｅｒ ｗｉｎｄ ３３１０）を用い、２０ｃｍ×
２０ｃｍ四方の正方形で、濃度が０％、５０％（グレー
色）、１００％（黒色）のそれぞれのカラーパターンの
画像を印画した。その後、該電子写真用被転写材料の表
面の光沢を光沢度計（スガ試験機社製、ＨＧ−２４６、
条件：６０度入射光）によって測定した。なお、濃度０
％部を光沢低濃度域、濃度５０％部を光沢中濃度域、濃
度１００％部を光沢高濃度域とした。

【００４７】

【表１】

【００４８】表１から分かるように、実施例１のように
ガラス転移点（Ｔｇ）が７２〜１２５℃のポリスチレン
系樹脂を被覆層（受像層）とする本発明によれば、重ね
置きした場合にも貼り付きが生ずることがなく、かつ、
印画後にも光沢むらの発生しない電子写真用被転写材料
を提供することができる。

【００４９】一方、比較例１〜３から分かるように、ガ
ラス転移点（Ｔｇ）が７２℃未満のポリマーを被覆層
（受像層）とした電子写真用被転写材料においては、重
ね置きした場合に貼り付きが生じたり、印画後に光沢む
らが発生してしまうことがわかる。

【００５０】

【発明の効果】以上のように本発明は、ガラス転移点
（Ｔｇ）が７２〜１２５℃のポリスチレン被覆層を支持
体上に設けたことにより、重ねて置いた場合にも貼りつ
きが生ぜず、印画後にも光沢むらが発生せず、かつ、耐
熱性に優れる電子写真用被転写材料および該電子写真用
被転写材料を用いた電子写真方法を提供することができ
る。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原紙の両面又は片面にガラス転移点（Ｔ
   ｇ）が７２〜１２５℃のポリスチレン系樹脂の被覆層を
   設けたことを特徴とする電子写真用被転写材料。
2. 【請求項２】 前記被覆層におけるポリスチレン系樹脂
   が、重量比率で少なくとも５％アイソタクチックポリス
   チレンであることを特徴とする請求項１に記載の電子写
   真用被転写材料。
3. 【請求項３】 前記被覆層におけるアイソタクチックポ
   リスチレンが、重量 比率で少なくとも５０％無定形状態
   であることを特徴とする請求項１または２に記載の電子
   写真用被転写材料。
4. 【請求項４】 前記被覆層が、ポリスチレン系樹脂の溶
   融押し出しラミネート法により設けられたことを特徴と
   する請求項１〜３のいずれかに記載の電子写真用被転写
   材料。
5. 【請求項５】 像担持体上に順次形成される各色に対応
   する静電潜像を各色のトナーで順次現像し、該現像剤層
   を中間転写体に静電的に順次重ねて一次転写し、前記中
   間転写体上に多重転写されたカラートナー像をトナーの
   帯電極性とは逆極性の転写用電圧が印加されたバイアス
   トランスファーロールにより請求項１〜４のいずれかに
   記載の電子写真用被転写材料に２次転写することを特徴
   とする電子写真方法。