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JP2000160248A - L方向及びc方向の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板の製造方法 - Google Patents

L方向及びc方向の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板の製造方法

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Publication number
JP2000160248A
JP2000160248A JP10335090A JP33509098A JP2000160248A JP 2000160248 A JP2000160248 A JP 2000160248A JP 10335090 A JP10335090 A JP 10335090A JP 33509098 A JP33509098 A JP 33509098A JP 2000160248 A JP2000160248 A JP 2000160248A
Authority
JP
Japan
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steel
rolling
less
hot
grains
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10335090A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihiro Matsuzaki
明博 松崎
Osamu Kondo
修 近藤
Shigeaki Takagi
重彰 高城
Takako Yamashita
孝子 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP10335090A priority Critical patent/JP2000160248A/ja
Publication of JP2000160248A publication Critical patent/JP2000160248A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間圧延工程及び仕上げ焼鈍工程を省略して
も、L方向及びC方向の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板
を製造するための方法を提供することにある。 【解決手段】 Si:4.0 wt%以下を含有する鋼スラブを
熱間粗圧延し、所定の鋼組織とした後、直ちに所定の条
件で熱間仕上げ圧延を行った後、再結晶させることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、交流磁心に用い
られ、冷間圧延工程及び仕上げ焼鈍を行なわずに熱間圧
延後再結晶させたままであっても、圧延方向(以下、
「L方向」という。)及びそれに対して直交する方向
((以下、「C方向」という。)の2方向の磁気特性に
特に優れた電磁鋼熱延板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】変圧器や電動機の鉄心材料としては、こ
れら機器の高効率化や小型化を図るため、磁束密度が高
く鉄損が低いことが要求される。この種の鉄心材料に供
する磁性合金としては、Fe−Si合金が知られており、無
方向性電磁鋼板として広く実用化されており、この鋼板
の磁気特性を向上させるため、集合組織を改善する種々
の試みが行われてきた。
【0003】その中でも、{011}<100>方位、
すなわちゴス方位の結晶粒を富化することにより、鉄損
が低減し、とりわけ磁束密度が増加することが、特開昭
54−110121号公報等に記載されている。通常、ゴス方位
はL方向の磁気特性を改善し、結果的にC方向も含めた
平均的な磁気特性も改善する。
【0004】しかしながら、C方向の磁気特性はある程
度改善されるにすぎないため、平均的な磁気特性を向上
させるには自ずと限界があった。
【0005】一方、{100}<001>方位、すなわ
ち面上立方方位は、L方向及びC方向の双方の磁気特性
を同時に改善することが知られている。
【0006】面上立方方位のみに集積した組織を得るに
は、特公昭46−23814 号公報に記載されているように高
温中間焼鈍を行なう方法、特開平5−306438号公報に記
載されているように急冷薄帯を所定の圧下率で冷間圧延
する方法、特開平1−108345号公報に記載されているよ
うな脱炭に伴うγ→α変態法等が挙げられるが、これら
は、いずれも複雑ないし長時間の工程を要し、コスト高
となるため、工業的な実用性を確立するには至らないと
推察される。
【0007】さらに、上記磁気特性を向上させる手段と
しては、磁気特性を向上させる方位の結晶粒の生成を促
進し、加えて、磁気特性を劣化させる方位の結晶粒の生
成を抑制することが有用である。磁気特性を劣化させる
方位の結晶粒としては、特に<111>//ND(鋼板面
に垂直な方向)方位の結晶粒があり、かかる方位の結晶
粒の生成を抑制することが望ましいが、上述した特殊で
コスト高の手段を用いる場合を除き、これまでの無方向
性電磁鋼板の製法では、<111>//ND方位の結晶粒
を減少させることが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、冷
間圧延及び仕上げ焼鈍を行なわず、熱間圧延後に再結晶
させたままであっても、L方向及びC方向の磁気特性に
特に優れた電磁鋼熱延板を製造するための方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、無方向性
電磁鋼板の磁気特性を実用的に向上させるための手段を
広く研究した結果、熱間圧延における1パスの圧下率を
十分に大きく設定した場合に、面上立方方位への集積度
が高まることを見出し、特願平9−244216号公報で提案
した。
【0010】そこで、本発明者らはこの研究をさらに進
展させて、実用的な集合組織の選定、および現行の電磁
鋼板の製造工程が適用できるような製造方法について鋭
意検討したところ、磁気特性に最も好適である{10
0}<001>方位に近い{015}<100>方位粒
を、熱間圧延と、その後に行なう再結晶とで発達させる
ことにより、冷間圧延及び焼鈍工程を付与しなくても、
L及びC方向の平均磁気特性が極めて優秀な実用的電磁
鋼板が得られることを見出した。
【0011】そして、このような集合組織を、複雑な工
程を経ることなく、現行の電磁鋼板の製造工程によって
形成できる製造方法を確立することができた。
【0012】この発明の電磁鋼熱延板の製造方法は、仕
上げ熱延条件と、ミクロ組織及び集合組織との関係を詳
細に調べることによって得られた以下の知見に基づき、
完成に至ったものである。
【0013】即ち、粗大粒を圧延する場合には、粒内の
不均一変形帯が形成されやすく、その後の再結晶過程で
粒内の再結晶が促進されるのが従来の知見であったが、
本発明者らは、歪み速度及び圧下率とSi量とがある関係
を満足する場合には、粒内の剪断帯などの不均一変形組
織が減少し、その後の再結晶過程で粒内からの再結晶が
抑制されるとともに、粒界からの再結晶が促進されるこ
とを見出した。
【0014】さらに、このような条件下で圧延された鋼
板の粒界上の再結晶粒には、(015)〔100〕方位
粒の存在頻度が高いことを見出した。
【0015】尚、(015)〔100〕方位粒は、冷間
圧延と再結晶焼鈍を経ることにより、(001)〔10
0〕を生じる点については、既に公知文献(田岡ら:鉄
と鋼,54(1968) 162.)に開示されている。
【0016】しかしながら、工業的に(015)〔10
0〕を発現できる組成、製造方法、ならびに最終的な磁
気特性や集合組織に及ぼす(015)〔100〕粒の影
響に関しては全く不明であった。このため、本発明者ら
は、(015)〔100〕粒の発現および制御技術を新
規に見出したのである。
【0017】尚、合金元素量が高く再結晶しにくい成分
鋼の場合には、通常の熱間粗圧延では十分に再結晶が進
行せず、未再結晶進展粒が増加しやすい。このような進
展粒は粗大粒ではあるものの、高温での熱間圧延のた
め、粒界近傍が局所的に再結晶しており、その後に上述
の熱間仕上げ圧延を施しても、(015)〔100〕方
位粒の発現が促進されないことも新規に見出した。
【0018】そして、本発明者らは、上記知見に基づ
き、L方向およびC方向の磁気特性を飛躍的に改善した
電磁鋼熱延板の工業的かつ安価に製造するための方法を
開発することに成功し、この発明を完成するに至ったの
である。
【0019】この発明は、具体的には、Si:4.0 wt%以
下を含有する鋼スラブを熱間粗圧延し、下記1の(1)
に示す鋼組織とした後、直ちに下記1の(2)及び
(3)に示す条件で熱間仕上げ圧延を行い、その後、再
結晶させることを特徴とするL方向及びC方向の磁気特
性に優れた電磁鋼板の製造方法である。
【0020】記1 (1)等軸フェライト粒の体積分率を80%以上とし、等
軸フェライト粒の平均粒径が 300μm以上でかつ粒径が
100 μm以下の等軸フェライト粒の体積分率が20%以下
であること。 (2)仕上げ圧延機に入る際の鋼板温度を、オーステナ
イト相を生じる成分組成を有する鋼についてはAr1 変態
点以下でかつ900 ℃以下500 ℃以上の温度域、オーステ
ナイト相を生じない成分組成を有する鋼については900
℃以下500 ℃以上の温度域とすること。 (3)仕上げ圧延機の各圧延スタンドにおける圧下率を
R(%)とし、減厚歪み速度をZ(s-1)とすると、圧
下率(R)に対する減厚歪み速度(Z)の割合(Z/
R)は、Si含有量(wt%)に応じて下記2の(a)の不
等式の関係を満足すること。
【0021】記2 Z/R≧0.51−0.04[S i ] ----(a) 但し、Z=ln(t0/t)/〔{(d/2) × cos-1((d-t0+t)/
d)}/ {V ×1000/60 }〕,R=(1-t/t0) ×100 と
し、〔Si〕はSi元素のwt%を意味し、t0及びt は、それ
ぞれ各圧延スタンドの入り側及び出側板厚での元厚(m
m),d は各スタンドのワークロールの外径(mm),V は各
スタンドの出側での鋼板搬送速度(m/分 )とする。
【0022】また、鋼スラブは、さらにMn:2.0 wt%以
下,P:0.3 wt%以下,Al:2.0 wt%以下を含有するの
がより好適である。
【0023】尚、ここでいう等軸フェライト粒とは、そ
の長径の短径に対する比が2以下であるフェライト粒を
意味する。
【0024】
【発明の実施の形態】まず、この発明の鋼組成成分の限
定理由を説明する。 Si:4.0 wt%以下 Siは比抵抗を増大させ、渦電流損を低減させる効果があ
り、この発明では必須の添加元素である。しかし、Si含
有量が4.0 %を超えると、磁束密度の低下が大きくなる
とともに加工性が低下する。従って、Si含有量は4.0wt
%以下に限定する。
【0025】尚、鋼中のSi含有量は、電磁鋼板の製造条
件との関係では、磁気特性に好都合な集合組織を得るた
め、仕上げ熱延時の圧下率と歪み速度との関係でさらに
限定されるが、この点については後述する。
【0026】この発明では、鋼スラブ中の成分組成につ
いては、Si含有量のみを必須の添加成分としたが、この
他の成分として、Mn:2.0 wt%以下、P:0.3 wt%以
下、Al:2.0 wt%以下を含有させることがより好適であ
る。
【0027】Mn:2.0 wt%以下,Al:2.0 wt%以下,Mn
とAlは、ともに鋼の脱酸剤として、また比抵抗を増大さ
せ渦電流損を低減させる効果があり、Siの補助元素とし
て有効である。しかし、 AlとMnの含有量がそれぞれ2.0
wt%を超えると、磁束密度の低下や加工性の低下が大き
くなる。従って、AlとMnの含有量はいずれも2.0 wt%以
下の範囲に限定する。
【0028】P:0.3 wt%以下 Pは比抵抗を増大させ、渦電流損を低減させる効果があ
り、Siの補助元素として有効である。しかし、P含有量
が0.3 wt%を超えると、加工性が低下する。従って、P
含有量は0.3 wt%以下の範囲に限定する。
【0029】尚、この発明では、Si:4 wt%以下を必須
の発明特定事項とし、他の成分については特に限定はし
ないため、上記Si含有量の適正範囲を満足する全ての鋼
種を用いることができる。
【0030】次に、この発明の製造条件について説明す
る。 (I)熱間仕上げ圧延前 この発明では、熱間仕上げ圧延前における、等軸フェラ
イト粒の体積分率を80%以上とし、等軸フェライト粒の
平均粒径が 300μm以上でかつ粒径が100 μm以下の等
軸フェライト粒の体積分率が20%以下であることを必須
の発明特定事項とする。
【0031】即ち、未再結晶進展粒の粒界は、熱間粗圧
延後に局所的な再結晶を生じており、熱間仕上げ圧延後
の粒界からの(015)〔100〕方位粒の生成には寄
与しない。これは、熱間粗圧延後に再結晶した等軸フェ
ライト粒の体積分率が80%未満の場合に顕著に生じるた
め、この発明では、前記体積分率を80%以上とする。ま
た、熱間仕上げ圧延前の等軸フェライト平均粒径は大き
いほど、具体的には300 μm 以上になると、熱間圧延や
焼鈍後の(015)〔100〕方位粒が増加する。従っ
て、前記フェライト平均粒径は300 μm 以上とする。
【0032】しかし、前記フェライト平均粒径を300 μ
m 以上にしても、粒径が100 μm以下の微細粒が多数混
在すると、粗大粒からの(015)〔100〕方位粒の
成長が抑制されることにより磁気特性が劣化するため、
微細粒の体積分率も同時に抑制することが肝要である。
そのため、100 μm 以下の結晶粒の体積分率を20%以下
に制限することが必要がある。
【0033】尚、フェライト粒径は、大きいほど上記効
果がさらに顕著になると共に、熱間仕上げ圧延後の再結
晶過程で粒界からの<111>//ND方位粒の生成が減
少し、製品の集合組織や磁気特性がさらに改善される。
またフェライト粒径が大きい場合には熱延後の再結晶が
抑制されるため、圧延スタンド間での再結晶微細化によ
る粗大粒効果の低減が抑制され、さらに磁気特性の向上
に繋がる。そのため、前記平均フェライト粒径は650 μ
m 以上にすることがより望ましい。すなわち平均フェラ
イト粒径を650 μm 以上にすると、集合組織、磁気特性
が相乗効果的に向上するからである。
【0034】この発明では、熱間仕上げ圧延前におけ
る、等軸フェライト粒の体積分率を80%以上とし、等軸
フェライト粒の平均粒径が 300μm以上でかつ粒径が10
0 μm以下の等軸フェライト粒の体積分率が20%以下で
あることを必須の発明特定事項とするが、これらを達成
するための具体的手段の一例を挙げると、スラブ加熱温
度を1100〜1500℃の範囲にしたり、熱間仕上げ圧延前の
加熱ないし保温を1000℃以上の温度範囲で行なう方法等
が考えられる。
【0035】即ち、スラブ加熱は、加熱温度が高いほど
加熱時の結晶粒が粗大化し、これに伴って、熱間仕上げ
圧延前の結晶粒も粗大化しやすくなるため、スラブ加熱
温度を高くすることが磁気特性を向上させるには有効で
あり、そのため、スラブ加熱温度は1100℃以上にするこ
とが望ましい。しかし、過度に高温にするのは、スケー
ル増加による歩留まり低下等の問題を招くため、スラブ
加熱温度の上限は1500℃とすることが好ましい。
【0036】また、この発明では、熱間仕上げ圧延を行
う前において粗大粒を得るため、熱間粗圧延後、熱間仕
上げ圧延機に入る際の鋼板温度を上記適正温度に設定す
る前に、1000〜1150℃に加熱ないし保温して結晶粒を粗
大化させておくことがより好適である。尚、この加熱時
にオーステナイト相になる鋼は、その後の冷却時にフェ
ライト変態が生じるが、初期オーステナイト粒径が大き
いために、仕上げ圧延機に入る際のフェライト粒径の粗
大化にも有効である。
【0037】(II)熱間仕上げ圧延時 (i)熱間仕上げ圧延機に入る際の鋼板温度:相変態を
生じる成分組成を有する鋼についてはAr1 変態点以下で
かつ900 ℃以下500 ℃以上の温度域、相変態を生じない
成分組成を有する鋼については900 ℃以下500 ℃以上の
温度域とすること 熱間仕上げ圧延前の粗大粒の効果を有効に発揮させるた
めには、圧延スタンド間での再結晶による微細化を抑制
することが重要であり、そのためには、圧延を低温で行
うことが有効である。そのため、熱間仕上げ圧延温度の
上限は、オーステナイト相( 相変態)を生じる成分組成
を有する鋼については、Ar1 変態点以下でかつ900 ℃以
下とし、また、オーステナイト相( 相変態)を生じない
成分組成を有する鋼については、900℃以下にすること
が必要である。
【0038】即ち、相変態を生じる成分組成を有する鋼
については、2相域またはオーステナイト域での圧延は
その後の変態により前述した粗大粒の効果が消失するた
め、これを防止すべく、熱間仕上げ圧延温度域はフェラ
イト相域、すなわちAr1 変態点よりも低温である必要が
あるからである。
【0039】さらに、この発明の製造方法において、必
須の発明特定事項である熱間仕上げ圧延前の粗大粒を、
仕上げ圧延の全スタンドで維持するためには、仕上げ圧
延中の再結晶による微細化を抑制することが肝要であ
り、そのためには、極力低温域で圧延することが有効で
あり、その上限は900 ℃とする。
【0040】また、熱間仕上げ圧延温度の下限は、いず
れの鋼の場合も、500 ℃未満の低温域で圧延すると、蓄
積歪み量が増大し、再結晶集合組織が悪化するため、そ
の下限を500 ℃とした。
【0041】(ii)各圧延スタンドにおける圧下率Rに
対する減厚歪み速度Zの割合が、Z/R≧0.51−0.04
[S i ]の関係式を満足すること 本発明者らは、前記減厚歪み速度Zと前記圧下率が鋼組
織にどのような影響を及ぼすかについて検討したとこ
ろ、まず、減厚歪み速度Zが大きい場合には、粒内の不
均一変形が抑制され、粒界からの再結晶が促進され、一
方、圧下率Rが大きい場合には、粒内の不均一変形が助
長されることが判明した。
【0042】このため、本発明者らは、粒内の不均一変
形を抑制し、粒界からの再結晶を促進させるためには、
熱間圧延時の前記減厚歪み速度Zは極力大きくするとと
もに、各圧延スタンドにおける圧下率Rは極力小さくす
るのが好ましいこと、即ち、これらの比Z/Rを大きく
すれば、粒界からの再結晶を促進できると考えた。ま
た、粒界からの再結晶の挙動がSi含有量に依存すること
は、Si含有量が高いほど熱間加工により導入された歪み
の回復が遅延される点から明らかである。
【0043】そこで、本発明者らはさらに実験を重ねた
結果、前記圧下率Rに対する前記減厚歪み速度Zの比
と、Si含有量とがZ/R≧0.51−0.04[S i ]の関係式
を満足する場合に、粒界からの再結晶、即ち(015)
〔100〕方位粒が発達することを見出した。従って、
この発明では、Z/R≧0.51−0.04[S i ]の関係式を
満足することを必須の発明特定事項とする。
【0044】(III)熱間仕上げ圧延後 この発明では、熱間仕上げ圧延後に再結晶させることを
必須の発明特定事項とする。即ち、この発明は、熱間仕
上げ圧延後の再結晶により生成した(015)〔10
0〕方位粒を活用したものである。従って、製品として
の電磁鋼熱延板の組織は再結晶していることが必要とな
る。熱間仕上げ圧延後に再結晶させる手段としては、熱
間仕上げ圧延後の自己焼鈍でも再加熱による焼鈍でも構
わない。また、再結晶粒の体積分率は70%以上とするの
が好ましい。
【0045】尚、上述したところは、この発明の実施形
態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の
変更を加えることができる。
【0046】
【実施例】表1に示す鋼を転炉溶製し、連続鋳造により
200mm 厚さのスラブとした。これらのスラブを1200℃に
再加熱し、40mm厚のシートバーに熱間粗圧延を行ない、
引き続き熱間仕上げ圧延を行なった。その際の熱間仕上
げ圧延の条件及びその圧延直前の粒径を表2に示す。熱
間仕上げ圧延の板厚は0.80mmとした。そして、熱間仕上
げ圧延後に、850 〜1000℃で再結晶処理を行なうことに
よって、電磁鋼熱延板(鋼No.1〜23、但し鋼No.2,4,6,
8,10,12は除く。)を製造した。比較のため、表1に示
す各鋼種a〜fについて、板厚を2.3mm にする熱間仕上
げ圧延を行なった後再結晶処理を行ない、さらに、板厚
を0.80mmにする冷間圧延を行ない、その後、鋼No.2,4,6
は800 ℃で、鋼No.8.10,12は1000℃でそれぞれ仕上げ焼
鈍を行なう従来法によって電磁鋼板(鋼No.2,4,6,8,10,
12)を製造した。
【0047】表2に、各製造条件を示すと共に、熱間圧
延、再結晶後の集合組織((015)〔100 〕の集積度のラン
ダム組織に対する比率で表す。)及び磁気特性についも
併記した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】以下に、この発明による磁気特性の改善結
果について表2に基づき述べる。ここで、この発明に
は、鉄損改善のための比抵抗増加成分も含まれている。
従って、表2に示す磁気特性は、鉄損と磁束密度の双方
の結果から総合的に評価した。
【0051】この発明に従って製造した鋼No.1,3,5,7,9
と、これらにそれぞれ使用したのと同一の鋼スラブを使
用しかつ冷間圧延及び仕上げ焼鈍を行なう従来法によっ
て製造した冷延焼鈍材である鋼No.2,4,6,8,10 とを比較
すると、前者は、後者に比べて総合的な磁気特性が優れ
ているのがわかる。
【0052】尚、Si含有量がこの発明の適正範囲外であ
ること以外はこの発明に従って製造した鋼No.11 は、従
来法によって製造した鋼No.12 と比べて磁気特性に顕著
な差が認められなかった。
【0053】また、鋼スラブ種dを用いて製造した電磁
鋼熱延板である鋼No.7及び13〜23を比較すると、この発
明に従う適正条件で製造した鋼No.7,13 〜16,19 は、こ
の発明の適正条件から外れた条件で製造した鋼No.17,1
8,20 〜23に比べて磁気特性が総合的に優れているのが
わかり、加えて、熱間仕上げ圧延前の等軸フェライト粒
の平均粒径をこの発明の好適範囲(650 μm以上)にし
て製造した鋼No.7,13,14,16 は、この発明の適正範囲
(300 μm以上)ではあるが好適範囲外で製造した鋼N
o.15,19に比べてより一層磁気特性が優れているのがわ
かる。尚、表2中の熱間圧延、再結晶後の(015) 〔10
0〕の集積度のランダム組織に対する比率は、3.0 倍以
上のときに良好な磁気特性を有しているのがわかる。よ
って、この発明では、熱間圧延、再結晶後の(015) 〔1
00〕の集積度のランダム組織に対する比率は、3.0 倍
以上にすることがより好適である。
【0054】
【発明の効果】この発明の製造方法によれば、冷間圧延
工程及び焼鈍工程を省略したとしても、これらの工程を
経る従来法に比べてL方向及びC方向の磁気特性に優れ
た電磁鋼板の製造が可能になり、しかも、特殊又は複雑
な製造条件や工程に頼ることなく、工業的かつ安価に製
造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高城 重彰 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 山下 孝子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K033 AA03 FA02 FA05 5E041 AA02 AA11 AA19 CA02 CA04 HB07 NN01 NN06 NN17 NN18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:4.0 wt%以下を含有する鋼スラブを
    熱間粗圧延し、下記1の(1)に示す鋼組織とした後、
    直ちに下記1の(2)及び(3)に示す条件で熱間仕上
    げ圧延を行い、その後、再結晶させることを特徴とする
    L方向及びC方向の磁気特性に優れた電磁鋼熱延板の製
    造方法。 記1 (1)等軸フェライト粒の体積分率を80%以上とし、等
    軸フェライト粒の平均粒径が 300μm以上でかつ粒径が
    100 μm以下の等軸フェライト粒の体積分率が20%以下
    であること。 (2)仕上げ圧延機に入る際の鋼板温度を、オーステナ
    イト相を生じる成分組成を有する鋼についてはAr1 変態
    点以下でかつ900 ℃以下500 ℃以上の温度域、オーステ
    ナイト相を生じない成分組成を有する鋼については900
    ℃以下500 ℃以上の温度域とすること。 (3)仕上げ圧延機の各圧延スタンドにおける圧下率を
    R(%)とし、減厚歪み速度をZ(s1 )とすると、圧
    下率(R)に対する減厚歪み速度(Z)の割合(Z/
    R)は、Si含有量(wt%)に応じて下記2の(a)の不
    等式の関係を満足すること。 記2 Z/R≧0.51−0.04〔S i 〕 ----(a) 但し、 Z=ln(t0 /t) /〔{(d/2) × cos1((d-t0+t)/d) }/
    {V ×1000/60 }〕,R=(1-t/t0)×100 とし、 〔Si〕はSi元素のwt%を意味し、 t0及びt は、それぞれ各圧延スタンドの入り側及び出側
    板厚での元厚(mm),d は各スタンドのワークロールの外
    径(mm),V は各スタンドの出側での鋼板搬送速度(m/
    分 )とする。
  2. 【請求項2】 鋼スラブは、さらにMn:2.0 wt%以下,
    P:0.3 wt%以下,Al:2.0 wt%以下を含有する請求項
    1に記載の電磁鋼熱延板の製造方法。
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