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JP2000129045A - ポリエチレン製クリーン容器 - Google Patents

ポリエチレン製クリーン容器

Info

Publication number
JP2000129045A
JP2000129045A JP10305444A JP30544498A JP2000129045A JP 2000129045 A JP2000129045 A JP 2000129045A JP 10305444 A JP10305444 A JP 10305444A JP 30544498 A JP30544498 A JP 30544498A JP 2000129045 A JP2000129045 A JP 2000129045A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyethylene
less
container
purity
density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10305444A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Miyamoto
宮本  朗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10305444A priority Critical patent/JP2000129045A/ja
Publication of JP2000129045A publication Critical patent/JP2000129045A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたクリーン製と成形加工性を有するポリ
エチレン製容器を提供する。 【解決手段】 優れたクリーン性とブロー成形性に優れ
たポリエチレン製の高純度薬品用容器であって、該ポリ
エチレン製容器はスラリー重合法によりメタロセン系触
媒により製造されたポリエチレン99〜1wt%とスラ
リー重合法によりクロム系触媒により製造されたポリエ
チレン1〜99wt%からなるポリエチレン組成物から
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエチレンからな
る高純度薬品の貯蔵等に適した容器に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン製容器は、軽量で機械的強
度に優れ、耐薬品性に優れ、衛生的で、成形が容易であ
り、かつ安価であるために、ブロー成形やインジェクシ
ョンブロー成形等の手法により容器として賦形され、広
く用いられているが、近年、半導体産業や液晶産業等で
使用される高純度薬品用容器、あるいは医療用薬品を保
存するための医療用容器の分野においてその使用量が増
加している。
【0003】高純度薬品容器に充填される内容物として
は、半導体製造工程において使用される硫酸、硝酸、過
酸化水素水、ふっ化水素酸、ふっ化アンモニウム等のエ
ッチング洗浄用薬品、半導体プロセス用や液晶ディスプ
レイ用等に使用されるメチルアルコール、エチルアルコ
ール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、ア
セトン、酢酸エチル、トルエン、ジメチルホルムアミ
ド、エチレングリコールアセテート、メトキシプロピル
アセテート、ブチルセロソルブ等の高純度な溶剤系レジ
ストや希釈溶剤等が挙げられ、一方、医療用容器に充填
される内容物としてはメチルアルコール、エチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール等の殺菌、消毒、製剤原
料等の医薬用に使用される高純度な溶剤等が挙げられ
る。
【0004】そしてこれらの高純度薬品を充填する容器
に対しては、貯蔵している高純度薬品類を高純度のまま
で保存できることが必要であるために耐薬品性が求めら
れ、さらに、軽量で剛性があり、更に耐衝撃性や耐環境
応力亀裂特性(ESCR)等の機械的特性に優れること
が求められる。しかしながら、ポリエチレン製の容器で
はしばしば高純度薬品を保管貯蔵している間に、容器か
ら薬品中へ不純微粒子が浸出し、薬品の純度を損なうこ
とがある。このために半導体、液晶の品質および歩留ま
りに著しい影響を及ぼしたり、薬品の保存期間を短くす
るという問題が生じる。
【0005】高純度薬品容器や医療用容器に要求される
「クリーン度」とは、一般に、容器中に長期間貯蔵して
いる間に容器素材中から内容物に浸出した「微粒子(パ
ーティクル)」の数により評価され、微粒子が少ないほ
どクリーン度が高いことになる。クリーン度はいったん
検査容器を成形し、その検査容器に一定期間超純水を貯
蔵した後、樹脂製の容器が貯蔵していた水1ml中に粒
径0.2μm以上の微粒子がいくつ存在するかを算定し
て求める。一般に、半導体、液晶の品質および歩留まり
を向上させるためにはクリーン度が500個/ml以下
が必要とされているが、近年、クリーン度に対する要求
はますます高まっている。
【0006】ポリエチレン製容器に充填された内容物に
微粒子が発生する原因としては、(1)重合時に使用さ
れた触媒の残渣、(2)ポリエチレンに配合された中和
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、等の各種
の添加剤成分、(3)ポリエチレン中に含まれるワック
ス成分、(4)ポリエチレン中に含まれる低密度の低分
子量成分、等が考えられるがそのメカニズムについては
未だ十分に明らかにされていない。
【0007】ポリエチレン製容器のクリーン性を向上さ
せる試みとしては、特開昭62−39444号公報、特
開昭62−178342号公報、特開昭63−5444
4号公報、特開平1−208155号公報、特開平5−
177693号公報、特開平7−330074号公報、
特開平8−113678号公報、特開平8−17555
5号公報等がある。これらの公報では、ポリエチレン製
容器からの微粒子の発生を抑制する方法として、容器の
構造を二層構造としたり、ポリエチレンに配合する添加
剤成分の種類や配合量を制御したり、容器内面をフッ素
加工したり、素材のポリエチレンの分子量分布やワック
ス成分の含有量を制御することが記載されている。
【0008】しかしながら、先に列挙した微粒子発生の
可能性となる要因の中で、ポリエチレン中の重合触媒残
渣やワックス成分あるいは低密度の低分子量成分に関す
るものについては、本質的に重合触媒や重合プロセスに
大きく依存するものであるので、これらの要因に基づく
微粒子の発生を低減させるためには、容器の構造制御や
容器の内面加工や添加剤の配合制御等による改良では限
界があり、素材であるポリエチレン自身の改良が必要と
なる。
【0009】近年、メタロセン触媒により、高活性でポ
リエチレンが製造できるようになった。該ポリエチレン
は分子量分布が狭く、かつ構成分子の組成分布が均一な
エチレン/α−オレフィン共重合体を得ることができる
ので、クリーン性に優れるポリエチレン製容器を得る上
で極めて有望と考えられる。特開平9−77921号公
報では、密度が0.910〜0.940g/cm3の範
囲のメタロセンポリエチレンを用いたクリーン性が高い
ポリエチレン樹脂組成物に関する技術が開示されている
が、密度が0.940g/cm3以上の組成物について
は例示されておらず、さらに同公報ではメタロセンポリ
エチレンにおいても高密度のものについては透明性や耐
高速破壊性が低下するという記載がある。
【0010】特開平10−7848号公報では、狭い分
子量分布を有するポリエチレンと高圧ラジカル重合法で
得られるポリエチレン(高圧法LDPE)の組成物を高
純度薬品用容器の素材として使用する技術が開示されて
おり、高圧法LDPEを配合することにより成形加工性
は向上するが容器のクリーン度は低下する傾向にある。
【0011】特開平10−17729号公報では、密度
が0.915〜0.980g/cm 3で分子量分布の指
標であるMw/Mn値が3以下のメタロセンポリエチレ
ンからなる高純度薬品用容器が開示されているが、樹脂
の流動性が悪いために成形加工性の上で困難が生じる場
合がある。また、クロム系(いわゆるフィリップス型触
媒)触媒により得られるポリエチレン成形加工性に優れ
るがポリマーの末端に多くのビニル結合を有する等の理
由から耐薬品性が低く、更にESCRが低いといった欠
点がある。
【0012】以上のように、クリーン性が高く、高純度
薬品の長期保存に対する安定性(耐薬品性)に優れ、ま
た耐衝撃性やESCR等の機械的強度に優れ、更に成形
加工が容易なポリエチレン製容器に対するニーズが高い
にもかかわらず、満足できる性能と容易な成形加工性を
同時に併せ持つポリエチレン製容器は未だ得られていな
いのが現状である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、保管貯蔵し
ている薬品中への不純物粒子の浸出が極めて少なく(す
なわちクリーン性能に優れ)、かつ耐衝撃性やESCR
等の機械的強度に優れ、さらに成形加工が容易なポリエ
チレン製容器を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、特定のポリ
エチレンを容器の構成素材として使用することにより、
上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成する
に至った。すなわち本発明は、(1)以下(A1)から
(A4)の要件を満足するスラリー重合法によりメタロ
セン系触媒により製造されたポリエチレン(以下ポリエ
チレンAとする)99〜1wt%と、以下(B1)から
(B4)の要件を満足するスラリー重合法によりクロム
系触媒により製造されたポリエチレン(以下ポリエチレ
ンBとする)1〜99wt%からなるポリエチレン組成
物からなる高純度薬品用容器であり、 (A1)Mw/Mn値が2.5以上6以下 (A2)密度が0.910g/cm3以上0.975g
/cm3以下 (A3)荷重2.16kg、温度190℃条件のメルト
フローレート値(I2)が0.05g/10min以上
50g/10min以下 (A4)メルトフローレート比(MIR)が16以上3
0以下 (B1)Mw/Mnが10以上30以下 (B2)密度が0.945g/cm3以上0.975g
/cm3以下 (B3)I2が0.05g/10min以上30g/1
0min以下 (B4)MIRが50以上120以下 (2)上記(1)記載のポリエチレン組成物の密度が
0.940g/cm3以上0.975g/cm3以下であ
り、I2が0.05g/10min以上30g/10m
in以下である上記(1)に記載の高純度薬品用容器で
あり、(3)ポリエチレン組成物のGPC測定により定
量される分子量1,000以下の成分の含有量が3wt
%以下である上記(1)、(2)のいずれかに記載の高
純度薬品用容器であり、(4)ポリエチレン組成物中に
含まれる周期律表第4族遷移金属およびクロムの総含有
量が10ppm以下であることを特徴とする上記(1)
〜(3)のいずれかに記載の高純度薬品用容器であり、
(5)ポリエチレン組成物中に含まれる、液体クロマト
グラフィーにより定量される添加剤各成分の含有量が1
00ppm以下であることを特徴とする上記(1)〜
(4)のいずれかに記載の高純度薬品用容器であり、
(6)ポリエチレンAが担持型幾何拘束型メタロセン触
媒により、スラリー重合法により重合されたポリエチレ
ンであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれ
かに記載の高純度薬品用容器であり、(7)パリソン重
量で示されるダイ・スエル値が50g/20cm以上9
0cm/20cm以下であるポリエチレンBが使用され
ることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記
載の高純度薬品用容器であり、(8)パリソン重量で示
されるダイ・スエル値が35g/20cm以上50g/
20cm未満であるポリエチレン組成物からなる上記
(1)〜(7)のいずれかに記載の高純度薬品用容器で
ある。
【0015】本発明のポリエチレン製容器が従来技術に
よる容器に比べてクリーン性能、機械的強度、及び成形
加工性の全てのバランスにおいて秀でている理由は素材
であるポリエチレン組成物に使用されるポリエチレンA
及びBがそれぞれ有する特長を組み合わせた結果によ
る。まずポリエチレンAは、スラリー重合法によりメタ
ロセン系触媒により製造されたポリエチレンであるため
にクリーン性に極めて秀でていることにある。該ポリエ
チレンは、(1)触媒活性が高いのでポリエチレン中に
含まれる周期律表第4族遷移金属(チタン、ジルコニウ
ム、ハフニウム)の含有量を10ppm以下、好ましく
は3ppm以下にすることが可能であること、(2)分
子量分布が狭いのでワックス含有量が少ないこと、
(3)ポリマー構造の均一性が高いために低密度の低分
子量成分の含有量が少ないこと、等の特長を有する。こ
れらの理由により、該ポリエチレンは耐薬品性に特に優
れ、また容器から内容物に浸出する微粒子の発生量を極
めて少なくすることができる。この特徴の発現は触媒自
身に因るところが大であるが、加えて、ポリエチレンの
重合方法としてスラリー重合法を採用するところに特徴
がある。すなわち、スラリー重合法ではプロセス的に遠
心分離器等の分離装置により、重合されたポリエチレン
パウダーを重合溶媒と分離する工程を導入することがで
きるが、この分離工程において複製したワックス分や低
密度の低分子量成分、あるいは触媒残渣成分等を効率的
に除去することが可能である。本発明におけるポリエチ
レンAとしては、このように重合パウダーが溶媒により
洗浄精製されたポリエチレンが好ましく使用され、該方
法により得られたポリエチレンは他の溶液法やガス法の
プロセスで得られるメタロセン触媒によるポリエチレン
に比べても、ワックス成分や低密度の低分子量成分、あ
るいは触媒残渣成分等のポリマー中の残存量を一層低減
させることが可能となる。さらに、メタロセン系触媒に
より得られるポリエチレンは耐衝撃性に極めて優れると
いう特長も同時に併せ持つ。
【0016】また、ポリエチレンBはスラリー重合法に
よりクロム系触媒により製造されたポリエチレンである
が、優れた成形加工性改良材として作用し、該ポリエチ
レン含むポリエチレンを容器材料の構成成分とした場合
は溶融張力特性やスエル特性をブロー成形に極めて好適
な状態に制御できることに起因する。もっとも、成形加
工性をブロー成形に適するものに改良する目的において
は、高圧法LDPEを配合することによっても改良効果
が得られるが、この場合には一般に容器のクリーン度が
著しく低下してしまう。これに対して、本発明ではクリ
ーン性能が高度に維持された状態でブロー成形性が改良
できる。
【0017】以下に、本発明を詳細に説明する。ポリエチレンA 本発明にかかわるポリエチレンAは、スラリー重合法に
よりメタロセン系触媒により得られるエチレンの単独重
合体、またはエチレンと炭素原子数が3〜20のα−オ
レフィンとの共重合体である。
【0018】ここでいうメタロセン系触媒とは、1個ま
たは2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子が
周期律表4〜6族の遷移金属、好ましくは、チタン、ジ
ルコニウムまたはハフニウムに配位した公知のメタロセ
ン化合物とアルモキサンを組み合わせた触媒、または上
記メタロセン化合物とこれと反応してイオン性の錯体を
形成するイオン性化合物及び有機金属化合物を組み合わ
せた触媒である。
【0019】炭素数が3〜20のα−オレフィンとして
は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−
デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサ
デセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げら
れ、これらの内の1種あるいは2種以上の組み合わせと
して使用される。これらのうち、好ましいのは1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンであ
り、特に好ましくは、1−ペンテン、1−ヘキセン、1
−オクテンである。
【0020】ポリエチレンAのゲル・パーミエーション
・クロマトグラフィー(GPC)測定によって求められ
るMw/Mn値は2.5以上6以下である。Mw/Mn
値が2.5未満である場合は流動性が悪く成形体の表面
肌が悪くなったりドローダウンが起こりやすくなるなど
してブロー成形が困難になる。一方、Mw/Mn値が6
を超える場合はクリーン性が低下する。Mw/Mn値の
好ましい範囲は2.8以上5.8以下であり、特に好ま
しくは3.0以上5.0以下である。
【0021】本発明におけるGPC測定はすべて以下の
条件で行われる。 [装置]Waters社製,ALC/GPC,150−
C型 [測定条件] カラム;昭和電工(株)製,AT−807S(1本)と
東ソー(株)製,GMH−HT6(2本)を直列に接続 移動相;トリクロロベンゼン(TCB) カラム温度;140℃ 流量;1.0ml/分 試料濃度;20〜30mg(PE)/20ml(TC
B) 溶解温度;140℃ 流入量;500〜1,000ml 検出器;示差屈折計 [測定試料] 1,000ppmの酸化防止剤(BHT等)を含む溶融
混練物もしくはMFR測定で得られたストランド また、ポリエチレンAの密度は、0.910g/cm3
以上0.975g/cm3以下である。密度が0.91
0g/cm3未満である場合は、クリーン性が不十分で
ある。一方、0.975g/cm3を超える場合は耐衝
撃性が著しく低下する。ポリエチレンAの密度は0.9
40g/cm3以上0.970g/cm3以下が好まし
く、さらに好ましくは0.945g/cm3以上0.9
65g/cm3以下、特に好ましくは0.950g/c
3以上0.963g/cm3以下である。
【0022】尚、本明細書中で示す密度はすべて測定試
料を窒素下で120℃で1時間処理し、1時間かけて室
温(約23℃)まで徐冷した後に、密度勾配間により測
定される。ポリエチレンAの2.16kg荷重、190
℃条件でのメルトフローレート値(I2)は、0.05
g/10min以上50g/10min以下である。I
2が0.05g/10min未満の場合はポリエチレン
の流動性が不足して成形加工性が低下する。一方、I2
が50g/10minを越える場合は微粒子の発生量が
増大してクリーン性が低下するのみならず、得られる容
器の耐衝撃性が不十分となので好ましくない。ポリエチ
レンAのI2は、クリーン性、流動性、耐衝撃性、ES
CR等のバランスより考慮して、0.1g/10min
以上30g/10min以下が好ましく、さらに好まし
くは0.2g/10min以上20g/10min以下
であり、特に好ましくは0.3g/10min以上10
g/10min以下である。
【0023】尚、メルトフローレート値は1,000p
pmの酸化防止剤を配合して、ASTM D1238に
準じて測定されるが、以下本明細書で示すMFR値はす
べて同方法により測定された値である。ポリエチレンA
のメルトフローレート比(MIR)は16以上30以下
である。ここでMIRとは190℃における21.6k
g荷重でのMFRをI20、同温度で2.16kg荷重で
のMFRをI2としたときに、MIR=I20/I2で定義
され、溶融粘度のシアレート感受性(シアー・センシテ
ィビティ)の尺度である。一般にMIRが大きいほどブ
ロー成形における成形加工性が良好である。本発明のポ
リエチレンAのMIRが16未満では成形加工性が不十
分で好ましくなく、一方30を超えると容器のクリーン
性が低下して好ましくない。MIRは18以上28以下
が好ましく、更に好ましくは20以上26以下である。
【0024】本発明にかかわるポリエチレンAは担持型
の幾何拘束型メタロセン触媒を用いてベッセル型のスラ
リー重合法により製造することにより、好ましいポリエ
チレンを得ることができる。その理由は、該方法により
得られるポリエチレンが本発明に最適の分子量分布特性
が得られるばかりでなく、特にポリエチレンがエチレン
・α−オレフィン共重合体である場合は従来のチーグラ
ー・ナッタ(ZN)型触媒では一般に得られ難い高分子
量側の成分により多くのコモノマーが導入された特異的
な分子構造を有するポリエチレンとすることができ、容
器の耐衝撃性やESCR等の機械的物性をより高性能に
することが可能となることに因る。
【0025】担持型の幾何拘束型メタロセン触媒とは、
少なくとも(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム化
合物、(ウ)活性水素を有するボレート化合物、及び
(エ)シクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジ
エニル基とη結合したチタン化合物、によって調製され
る。担体物質(ア)としては、有機担体、無機担体のい
ずれであってもよい。有機担体としては、(1)炭素数
2〜10のαーオレフィン重合体、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、エチレン・プロ
ピレン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチ
レン・ヘキセン−1共重合体、プロピレン・ブテン−1
共重合体、プロピレン・ジビニルベンゼン共重合体、
(2)芳香族不飽和炭化水素重合体、例えばポリスチレ
ン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、あるいは
(3)極性基含有重合体、例えばポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルニトリ
ル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート
等、を列挙することができる。無機担体としては、
(4)多孔質酸化物、例えば、SiO2、Al23、M
gO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、T
hO2、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2
−MgO、SiO2−V25等、(5)無機ハロゲン化
合物、例えば、MgCl2、AlCl3、MnCl2等、
(6)無機の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、例えば、Na2
CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Al2(SO
43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32等、(6)
水酸化物、例えば、Mg(OH)2、Al(OH)3、C
a(OH)2等、を例示することができる。上記に列挙
した単体物質の内、最も好ましい担体物質はシリカ(S
iO2)である。担体物質の粒子径は便宜選ぶことがで
きるが、一般的には1〜3,000μm、好ましくは5
〜2,000μm、さらに好ましくは10〜1,000
μmである。
【0026】上記担体物質は使用前に有機アルミニウム
化合物(イ)で処理される。好ましい有機アルミニウム
化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプ
ロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、
トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノク
ロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチ
ルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロ
リド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチ
ルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウ
ムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ
メチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウム
フェノキシド、等のアルミニウムアルコキシド、メチル
アルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモ
キサン、メチルイソブチルアルモキサンなどの有機アル
ミニウムオキシ化合物(アルモキサン)などが挙げられ
る。これらのうちでトリアルキルアルミニウム、アルミ
ニウムアルコキシドなどが好ましく使用される。最も好
ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウムである。
【0027】さらに幾何拘束型メタロセン触媒の調製で
は、活性水素を有するボレート化合物(ウ)を用いる。
このボレート化合物は(ウ)は、主触媒であるシクロペ
ンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基とη結
合したチタン化合物(エ)と反応して、(エ)をカチオ
ンに変換する活性化剤であり、かつこのボレート化合物
中の活性水素を有するグループ(T−H)は、担体物質
(ア)にこれらボレート化合物(ウ)を担持する際に、
担体と化学結合または物理結合を形成することができ
る。
【0028】活性水素を有するボレート化合物(ウ)と
シクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル
基とη結合したチタン化合物(エ)により、以下の一般
式(1)で表されるコンプレックスを形成させる。
【0029】
【化1】
【0030】一般式(1)中、Bはホウ素をあらわし、
Gは多結合性ハイドロカーボンラジカルを表す。好まし
い多結合性ハイドロカーボン(G)としては、炭素数1
から20を含むアルキレン、アリレン、エチレン、アル
カリレンラジカルを挙げることができ、Gの好ましい例
としては、フェニレン、ビスフェニレン、ナフタレン、
メチレン、エチレン、1、3−プロピレン、1,4−ブ
タジエン、pフェニレンメチレンを挙げることができ
る。多結合性ラジカルGはr+1の結合、すなわち一つ
の結合はボレートアニオンと結合し、Gのその他の結合
は(T−H)基と結合する。TはO、S、NR、または
PRを表し、Rはハイドロカルベニルラジカル、トリハ
イドロイカルベニルシリルラジカル、トリハイドロカル
ベニルゲルマニウムラジカル、またはハイドライドを表
す。qは1以上で好ましくは1である。上記T−Hグル
ープとしては、−OH、−SH、−NRH、または−P
RHであり、ここでRはC1からC18、好ましくはC
1からC10のハイドロカルベニルラジカルまたは水素
である。好ましいRグループとしては、アルキル、シク
ロアルキル、アリル、アリルアルキルまたは1から18
の炭素数を有するアルキルアリルを挙げることができ
る。−OH、−SH、−NRHまたは−PRHは、例え
ば、−C(O)、−OH、−C(S)、−SH、−C
(O)−NRH、及びC(O)−PRHでもかまわな
い。最も好ましい活性水素を有する基は−OH基であ
る。Qはハイドライド、ジハイドロカルビルアミド、こ
のましくはジアルキルアミド、ハライド、ハイドロカル
ビルオキシド、アルコキシド、アリルオキシド、ハイド
ロカルビル、置換ハイドロカルビルラジカル等である。
ここでn+zは4である。
【0031】上記一般式(1)の[BQn(Gq(T
−H)r)z]として、例えば、トリフェニル(ヒドロ
キシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシ
フェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロ
キシフェニル)ボレートトリ(p−トリル)(ヒドロキ
シフェニル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフェ
ニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス−
(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)
ボレート、トリス−(3,5−ジメチルフェニル)(ヒ
ドロキシフェニル)ボレート、トリス−(3,5−ジ−
トリフルオロメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)
ボレート、トリス−(ペンタフルオロフェニル)(2ー
ヒドロキシエチル)ボレート、トリス−(ペンタフルオ
ロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリ
ス−(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシ−シ
クロヘキシル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフ
ェニル)(4−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニ
ル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフェニル)
(6−ヒドロキシ−2ナフチル)ボレートが等が挙げら
れ、最も好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)
(4−ヒドキシフェニル)ボレートである。さらに上記
ボレート化合物の−OH基を−NHR(ここでRはメチ
ル、エチル、tーブチル)で置換したものも好ましく使
用できる。
【0032】ボレート化合物の対カチオンとしては、カ
ルボニウムカチオン、トロピルリウムカチオン、アンモ
ニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニムカ
チオン、ホスホニウムカチオンがあげられる。またそれ
自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イ
オンも挙げられる。これらカチオンの具体例としては、
トリフェニルカルボニウムイオン、ジフェニルカルボニ
ウムイオン、シクロヘプタトリニウム、インデニウム、
トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、
トリブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジプ
ロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、
トリオクチルアンモニウム、N,N−ジメチルアンモニ
ウム、ジエチルアンモニウム、2,4,6−ペンタメチ
ルアンモニウム、N,N−ジメチルベンジルアンモニウ
ム、ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキ
シルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリホ
スホニウム、トリジメチルフェニルホスホニウム、トリ
(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルホスホ
ニウムイオン、トリフェニルオキソニウムイオン、トリ
エチルオキソニウムイオン、ピリジニウム、銀イオン、
金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、
水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。な
かでも特にアンモニウムイオンが好ましい。
【0033】さらに、幾何拘束型メタロセン触媒の調製
では、下記一般式(2)で表されるシクロペンタジエニ
ルまたは置換シクロペンタジエニル基とη結合したチタ
ン化合物(エ)が使用される。
【0034】
【化2】
【0035】一般式(2)中、Tiは+2、+3、+4
の酸化状態であるチタン原子、Cpはチタンにη結合す
るシクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニ
ル基であり、X1はアニオン性リガンドであり、X2は
中性共役ジエン化合物である。n+mは1または2であ
り、Yは、−O−、−S−、−NR−、または−PR−
であり、Zは、SiR2、CR2、SiR2−SiR2、C
2CR2、CR=CR、CR2SiR2、GeR2、BR2
であり、Rは水素、ハイドロカルビル、シリル、ゲルミ
ウム、シアノ、ハロまたはこれらの組み合わせもの及び
20個までの非水素原子をもつそれらの組み合わせから
選ばれる。置換シクロペンタジエニル基としては、1種
またはそれ以上のC1からC20のハイドロカルビル、
C1からC20のハロハイドロカルビル、ハロゲンまた
はC1からC20ハイドロカルビル置換第14族メタロ
イド基で置換されたシクロペンタジエニル、インデニ
ル、テトラヒドロインデニル、フルオレニルもしくはオ
クタフルオレニルがあげられ、好ましくはC1−C6の
アルキル基で置換されたシクロペンタジエニル基であ
る。
【0036】X1、X2としては、例えば上記一般式
(2)において nが2、mが0で、チタンの酸化数が
+4であれば、X1はメチル、ベンジルから選ばれ、n
が1、mが0でチタンの酸化数は+3であればX1は、
2−(N,N−ジメチル)アミノベンジル、さらにチタ
ンの酸化数が+4であれば、X1は2−ブテン−1,4
−ジイル、さらにnが0で、mが1でチタンの酸化数が
+2であればX2は1,4−ジフェニル−1,3−ブタ
ジエン、または1,3−ペンタジエンが選ばれる。
【0037】幾何拘束型メタロセン触媒は成分(ア)に
成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)を担持させるこ
とにより得られるが、成分(イ)から成分(エ)を担持
させる方法は任意であるが、一般的には成分(イ)、成
分(ウ)及び成分(エ)をそれぞれが溶解可能な不活性
溶媒中に溶解させ、成分(ア)と混合した後、溶媒を留
去する方法、また成分(イ)、成分(ウ)及び成分
(エ)を不活性溶媒に溶解後、固体が析出しない範囲
で、これを濃縮して、次の濃縮液の全量を粒子内に保持
できる量の成分(ア)を加える方法、成分(ア)に成分
(イ)および成分(ウ)をまず担持させ、ついで成分
(エ)を担持させる方法、成分(ア)に成分(イ)及び
成分(エ)および成分(ウ)を逐次に担持させる方法、
成分(ア)、成分(イ)、成分(ウ)および成分(エ)
を共粉砕により、担持させる方法等が例示される。
【0038】幾何拘束型メタロセン系触媒の調製で使用
される成分(ウ)および成分(エ)は一般的には固体で
あり、また成分(イ)は自然発火性を有するため、これ
らの成分は、担持の際、不活性溶媒に希釈して使用する
場合がある。この目的に使用する不活性溶媒としては、
例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化
水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロライド、ク
ロルベンゼン、ジクロルメタン等のハロゲン化炭化水
素、或いはこれらの混合物等を挙げることができる。か
かる不活性炭化水素溶媒は、乾燥剤、吸着剤などを用い
て、水、酸素、硫黄分等の不純物を除去して用いること
が望ましい。
【0039】上記触媒の調製においては、成分(ア)1
グラムに対し、(イ)はAl原子換算で1×10ー5から
1×10ー1モル、好ましくは1×10ー4モルから5×1
ー2モル、(ウ)は1×10ー7モルから1×10ー3
ル、好ましくは5×10ー7モルから5×10ー4モル、
(エ)は1×10ー7モルから1×10ー3モル、好ましく
は5×10ー7モルから5×10-4モルの範囲で使用され
る。各成分の使用量、及び担持方法は活性、経済性、パ
ウダー特性、および反応器内のスケール等により決定さ
れる。得られた担持触媒は、担体に担持されていない有
機アルミニウム化合物、ボレート化合物、チタン化合物
を除去することを目的に、不活性炭化水素溶媒を用いで
デカンテーション或いは濾過等の方法により洗浄するこ
ともできる。
【0040】上記の触媒調製で行われる一連の溶解、接
触、洗浄等の操作は、その単位操作毎に選択される−3
0℃以上150℃以下範囲の温度で行うことが推奨され
る。そのような温度のより好ましい範囲は、0℃以上1
90℃以下である。また、該触媒の調製においては、固
体触媒を得る一連の操作は、乾燥した不活性雰囲気下で
行うことが好ましい。
【0041】上記方法により調製される幾何拘束型メタ
ロセン触媒は、不活性炭化水素溶媒中に分散したスラリ
ー状態で保存することも、或いは乾燥して固体状態で保
存することもできる。本発明にかかわるポリエチレンA
は幾何拘束型メタロセン触媒により、以下に示すように
スラリー重合法により製造することができる。
【0042】ポリエチレンAの重合に際しては重合溶
媒、エチレン、コモノマーであるα−オレフィン、水
素、及び担持型触媒を系を連続的に反応器に供給するこ
とにより、ポリエチレンが製造される。溶媒、エチレ
ン、コモノマー、及び水素の供給速度は目的とするポリ
エチレンの分子量や密度に応じて便宜調整される。スラ
リー法に用いる溶媒としては、不活性炭化水素溶媒が好
適であり、特に、イソブタン、イソペンタン、ヘプタ
ン、ヘキサン、オクタン等を使用することができ、中で
もヘキサン、イソブタンが好適である。
【0043】また重合に際して溶媒や反応系の被毒の防
止のため、付加成分として有機アルミニウム化合物を共
存させて使用することも可能である。使用される有機ア
ルミニウム化合物としては、前述の有機アルミニウム化
合物を好ましく使用することができ、最も好ましくはト
リメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ
イソブチルアルミニウムである。
【0044】ポリエチレンAを得るための製造条件とし
ては、重合圧力(ゲージ圧)は1kg/cm2以上30
kg/cm2以下、好ましくは3kg/cm2以上25k
g/cm2以下、更に好ましくは7kg/cm2以上20
kg/cm2以下で、重合温度は40〜100℃、好ま
しくは60〜90℃で、重合スラリーの平均滞留時間は
0.5時間以上8時間以下、好ましくは0.8時間以上
6時間以下、更に好ましくは1時間以上4時間以下で行
うのがよい。
【0045】ポリエチレンB 本発明にかかわるポリエチレンBは、スラリー重合法に
よりクロム系触媒により得られるエチレンの単独重合
体、またはエチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレ
フィンとの共重合体である。ここでいうクロム系触媒と
は、無機酸化物担体(シリカ、シリカーアルミナ、アル
ミナ等)上にクロム化合物が担持された触媒、及びこれ
に有機金属化合物が組み合わされた触媒系である。
【0046】炭素数が3〜20のα−オレフィンとして
は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−
デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサ
デセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げら
れ、これらの内の1種あるいは2種以上の組み合わせと
して使用される。これらのうち、好ましいのは1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンであ
り、特に好ましくは、1−ペンテン、1−ヘキセン、1
−オクテンである。
【0047】ポリエチレンBのGPC測定によって求め
られるMw/Mn値は10以上30以下である。Mw/
Mn値が10未満である場合は流動性の改良効果が小さ
い。一方、Mw/Mn値が30を超える場合はクリーン
性が低下する。Mw/Mn値の好ましい範囲は12以上
28以下であり、特に好ましくは14以上25以下であ
る。
【0048】また、ポリエチレンBの密度は、0.94
5g/cm3以上0.975g/cm3以下である。密度
が0.945g/cm3未満である場合は、クリーン性
が不十分である。一方、0.975g/cm3を超える
場合は耐衝撃性が著しく低下する。クリーン度を向上さ
せる上では一般に密度が高いことが好ましく、ポリエチ
レンBの密度は0.950g/cm3以上0.975g
/cm3以下が好ましく、さらに好ましくは0.955
g/cm3以上0.973g/cm3以下、特に好ましく
は0.960g/cm3以上0.970g/cm3以下で
ある。
【0049】ポリエチレンBのI2は、0.05g/1
0min以上30g/10min以下である。I2
0.05g/10min未満の場合はポリエチレンの流
動性が不足して成形加工性が低下する。一方、I2が3
0g/10minを越える場合は微粒子の発生量が増大
してクリーン性が低下するのみならず、得られる容器の
耐衝撃性が不十分となので好ましくない。ポリエチレン
BのI2は、クリーン性、流動性、耐衝撃性、ESCR
等のバランスより考慮して、0.1g/10min以上
20g/10min以下が好ましく、さらに好ましくは
0.2g/10min以上10g/10min以下であ
り、特に好ましくは0.3g/10min以上5g/1
0min以下である。
【0050】ポリエチレンBのメルトフローレート比
(MIR)は50以上120以下である。MIRが50
未満ではシアーセンシティビティが小さくブロー成形加
工性の改良効果が不十分で好ましくなく、一方120を
超えると容器のクリーン性が低下して好ましくない。M
IRは60以上115以下が好ましく、更に好ましくは
80以上110以下である。
【0051】本発明にかかわるポリエチレンBは無機酸
化物担体にクロム化合物を担持した固体焼成分と有機金
属化合物を組み合わせた触媒を用いてスラリー重合法に
より製造することにより、特に好ましいポリエチレンB
を得ることができる。その理由は、該触媒系により得ら
れるポリエチレンは適度に高いバラス効果を有してお
り、このため分子量分布が狭くシアー・センシティビテ
ィが悪いポリエチレンAを少量の配合で効率よくブロー
成形に適した材料に改良できることにある。一般にクロ
ム系触媒による得られるポリエチレンBは分子末端にビ
ニル結合が多く含まれるために耐薬品性が悪いという欠
点があり、このためポリエチレン組成物中のポリエチレ
ンBの配合比率を大きくすることは高純度薬品容器への
応用としては好ましいものではない。該触媒系により得
られるポリエチレンBは、実施例で示す測定方法による
ダイ・スエルは50〜90g/20cmの範囲にある。
ちなみに、通常実施あるいは市販されているクロム系触
媒によるポリエチレンは同方法によるダイ・スエルは5
0g/20cmに達しない。
【0052】上記触媒系に使用される有機金属化合物と
しては、炭化水素可溶性の有機マグネシウム化合物や有
機マグネシウム錯化合物、あるいは有機アルミニウム化
合物等が挙げられる。ポリエチレン組成物 本発明の容器の素材であるポリエチレン組成物では、組
成物中のポリエチレンAとポリエチレンBの組成比はポ
リエチレンAが99〜1wt%に対し、ポリエチレンB
が1〜99wt%の範囲にある。容器のクリーン性を向
上させるにはポリエチレンAの割合が多い方が好まし
く、一方、加工性向上させるにはポリエチレンBの割合
が多い方が好ましい。このバランスを考慮すると本発明
ではポリエチレンAが90〜50wt%に対して、ポリ
エチレンBが10〜50wt%からなるポリエチレン組
成物が好ましく、更に好ましくはポリエチレンAが80
〜55wt%に対して、ポリエチレンBが20〜45w
t%であり、特に好ましくはポリエチレンAが75〜6
0wt%に対して、ポリエチレンBが25〜40wt%
である。
【0053】ポリエチレンAとポリエチレンBの混合方
法は、パウダー状態、スラリー状態、ペレット状態等通
常の方法がとられる。混練する場合にはポリエチレンA
とポリエチレンBの混合物を一軸あるいは多軸の押出
機、バンバリーミキサー、ニーダ、ロール等の公知の混
練装置を用いて150〜300℃の温度範囲で行われ
る。クリーン度を高めるには混練の際に加工温度を低く
抑えたり(180〜210℃)、不活性ガスを流すなど
して組成物の分解をできるだけ抑える措置を講じて混練
を行うのがよい。
【0054】また、ポリエチレン組成物の密度は0.9
40g/cm3以上0.975g/cm3以下であること
が好ましい。ポリエチレン組成物の密度が0.940g
/cm3未満である場合は容器のクリーン度が低下し、
一方、0.975g/cm3を超える場合はESCR等
が不足する。ポリエチレン組成物の密度は0.945g
/cm3以上0.970g/cm3以下がより好ましく、
更に好ましくは0.950g/cm3以上0.968g
/cm3以下であり、特に好ましくは0.955g/c
3以上0.965g/cm3以下である。
【0055】ポリエチレン組成物の荷重2.16kg、
温度190℃条件のメルトフローレート値(I2)は
0.05g/10min以上30g/10min以下で
あることが好ましい。ポリエチレン組成物のI2が0.
05g/10min未満の場合は流動性が悪く通常の成
形機による加工が極めて困難である。一方、I2が30
g/10minを越える場合ドローダウンが起こりやす
く成形が困難でありまた、ESCRや耐衝撃性が不十分
となる。ポリエチレン組成物のI2の好ましい範囲は、
成形加工性と機械的物性を考慮すると、0.1g/10
min以上25g/10min以下であり、更に好まし
くは0.2g/10min以上10g/10min以
下、特に好ましくは0.3g/10min以上5g/1
0min以下である。
【0056】また、ポリエチレン組成物が、後の実施例
で示す方法によるダイ・スエルの測定値が35g/20
cm以上50cm/20cm以下である場合が成形加工
性に優れて好ましい。また、本発明にかかわるポリエチ
レン組成物は本明細書記載のGPC測定方法において得
られるGPCプロファイルに基づき、その面積比から定
量される分子量1,000以下の成分の含有量が3wt
%以下が好ましい。分子量1,000以下の成分の含有
量が3wt%を超える場合は容器から浸出する微粒子の
個数が多く、本発明の目的であるクリーン度を得ること
ができない。ポリエチレン組成物中に含まれる分子量
1,000以下の成分の含有量は、より好ましくは2w
t%以下であり、更に好ましくは1wt%以下である。
【0057】また、本発明にかかわるポリエチレン組成
物中に含まれる周期律表第4族遷移金属およびクロムの
総含有量は10ppm以下であることが好ましい。ここ
で周期律表第4族遷移金属とは、チタン、ジルコニウ
ム、及び、ハフニウムを示す。これらの一種もしくは二
種以上の金属のポリエチレン素材中の含有量が10pp
mを超えると、容器のクリーン度や耐溶剤性が悪く、更
に容器が着色したり、また加工時の劣化が顕著となるな
どして好ましくない。ポリエチレン中の周期律表第4族
遷移金属及びクロムの含有量は5ppm以下が更に好ま
しく、特に好ましくは3ppm以下である。尚、ポリエ
チレン中の周期律表第4族遷移金属及びクロムの含有量
はポリマー灰分より分析することができる。
【0058】さらに、本発明にかかわるポリエチレン組
成物は、液体クロマトグラフィーにより定量される添加
剤各成分の含有量が100ppm以下である場合が好適
である。ここで添加剤とは、中和剤、酸化防止剤、加工
劣化防止剤、耐光安定剤等を指す。本発明では容器のク
リーン性を高めるために、これらの添加剤を配合せずに
用いるのが特に好ましいが、必要に応じて使用すること
も可能である。しかしながら、添加剤はしばしば容器か
ら薬液中に浸出して微粒子の発生原因となるので添加量
の制御は重要である。
【0059】中和剤はポリエチレン中に含まれる塩素キ
ャッチャーとして使用される。中和剤としてはカルシウ
ム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のス
テアリン酸塩が挙げられる。尚、ポリエチレンAを幾何
拘束型メタロセン触媒を用いてスラリー重合法により得
る場合は、触媒構成成分中からハロゲン成分を除外する
ことも可能であり、この場合には中和剤は不要である。
【0060】酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシ
トルエン、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフ
ェノール系酸化防止剤が挙げられる。耐光安定剤として
は、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−
2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール等のベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケー
ト、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイ
ル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダード
アミン系耐光安定剤が挙げられる。
【0061】ポリエチレン中に含まれる添加剤の含有量
は、容器素材であるポリエチレンをテトラヒドロフラン
(THF)を用いてソックスレー抽出により8時間抽出
し、抽出液を液体クロマトグラフィーにより分離、定量
することにより求められる。使用する装置としてはLC
−10Aシリーズ(島津製作所製)、カラムはSTR−
ODSII(島津製作所製)、溶媒はTHF、検出器は
UV−VIS SPD−10AVP(島津製作所製)ま
たはRID−10A(島津製作所製)を例示することが
できる。
【0062】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例により本
発明をさらに詳しく説明する。素材であるポリエチレン
において次に示す(1)〜(3)の物性は190℃の圧
縮成形により調製した試験平板から、以下に示す方法に
従って行った。 (1)密度(d、単位:g/cm3) ASTM−D1505に準拠し、密度勾配管法(23
℃)で測定した。
【0063】(2)シャルピー衝撃試験(Charp
y、単位:kgf・cm/cm2 ) JIS−K7111に準拠し、試験片形状は1号EA型
で23℃及び−20℃で測定した。 (3)曲げESCR(b−ESCR、単位:hr) JIS−K6760に準拠する。恒温水槽の水温は50
℃とした。試験液としてはライオン(株)製、商品名ア
ンタロックスCO630の10wt%水溶液を使用し
た。
【0064】(4)クリーン度 50mm径スクリュー付きブロー成形機を用い、シリン
ダー温度180℃、金型温度20℃にて成形した容量が
1,000ml、重量100gの丸形容器を成形した。
成形した容器に超純水(商品名:トレピュアLV−10
T(東レ(株)製))500mlを入れ、15秒間振と
う洗浄して排水した。この振とう洗浄を5回繰り返し
た。5回目の洗浄水から5mlを採取し、その中に浸出
した0.2μm以上の微粒子の数をパーティクルカウン
タ−(KL−22 リオン株式会社製)により測定し
た。
【0065】水中に含まれる微粒子数は次式で求められ
るが、これをクリーン度とする。 水中の微粒子数(個/ml)={カウント数(個)×超
純水の水量500(ml)}/{サンプリング量5(m
l)×容器容量1,000(ml)} 成形容器に改めて超純水500mlを入れて15秒間振
とうし、そのまま常温で1週間放置した。一週間経過し
た水をそのままにして再び15秒間振とうし、振とうし
た容器内の水を20分間静置した。この20分間静置し
た水から5mlを採取して、前記と同様に水中に浸出し
た0.2μm以上の微粒子の数を計測した。
【0066】(5)ダイ・スエル(単位:g/20c
m) 50mm径スクリュー付き中空成形機を使用し、外径1
5mm、内径10mmの中空成型用ダイを使用して、シ
リンダー温度190℃、スクリュー回転数46rpmで
押し出したときの20cmのパリソンの重量で表され
る。本明細書でいうダイ・スエルは全てこのようにして
測定される。
【0067】(6)ボトルの外観評価 50mm径スクリュー付中空成形機を使用し、シリンダ
ー温度190℃、金型温度40℃にて成形される2,0
00ml丸瓶ボトル(重量80g)のピンチオフ部分の
融着性、ボトルの表面状態、及びボトルの偏肉状態を観
察評価した。ピンチオフ部の融着性は融着部分の厚みに
ついて、ボトルの表面状態はメルフラや鮫肌等の外観不
良の発生の有無について、またボトルの偏肉状態はボト
ルの上部と下部の側面部での厚み差についてそれぞれ観
察評価した。それぞれ良好なものを○、やや不良なもの
を△、不良なものを×で表示する。
【0068】
【実施例1,2】(ポリエチレンA1の重合)窒素気流
中で500℃で3時間熱処理した200gのシリカ粉末
(商品名 P−10、富士シリシア(株)製)を5リッ
トルのヘキサン中に攪拌させ、続いて、296mlのト
ルエンに溶解させた20.1g(17.6mmol)の
ビス(ハイドロジェーネーテッドタロアルキル)メチル
アンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−
ヒドロキシフェニル)ボレートを攪拌しながら徐々に加
えて、滴下終了後さらに30分間攪拌し、その後、シリ
カスラリー溶液に1Mのトリエチルアルミニウムのヘキ
サン溶液400mlを加え、室温で30分間攪拌し、更
に、23℃のヘキサンを用いて5回デカンテーション法
により洗浄して、過剰なトリエチルアルミニウム等を除
去した後、0.218Mのチタニウム(N−1,1−ジ
メチルエチル)ジメチル[1−(1,2,3,4,5,
−eta)−2,3,4,5−テトラメチル−2,4−
シクロペンタジエン−1−イル)シラナミネート[(2
−)N]−(η4−1,3−ペンタジエン)のISOP
ART ME(エクソンケミカル社製)溶液(深スミレ色)
60mlを加え、さらに3時間攪拌することにより、緑
色の幾何拘束型メタロセン触媒を得た。
【0069】ヘキサン、エチレン、1−ブテン、水素、
及び上記に示す方法で調製した幾何拘束型メタロセン触
媒触媒を連続的に攪拌装置が付いたベッセル型反応器に
供給し、ポリエチレンA1を重合した。反応器の温度は
70℃であり、また、反応器内の全圧力は10kg/c
2(ゲージ圧)とした。重合スラリーの反応器内にお
ける平均滞留時間は1.5時間とした。スラリー状の重
合生成物は反応器から連続的に遠心分離器に導かれ、ス
ラリーを濃縮した後、さらに乾燥工程を経てポリエチレ
ンA1のパウダーを得ることができる。
【0070】得られたポリエチレンA1のI2は0.5
2g/10minであり、MIRは23.0であり、M
w/Mnは5.9であり、Mwは141,000であ
り、密度は0.9486g/cm3であった。 (ポリエチレンB1の重合)酢酸クロム(III)1水
塩25gを蒸留水2,000mlに溶解し、この溶液中
にシリカ(クロスフィールド社製)500gを浸漬し、
室温にて1時間攪拌し、続いてこのスラリーを加熱して
水を留去し、さらに120℃にて10時間減圧乾燥を行
い、さらに乾燥空気流通下、700℃で5時間焼成して
クロムを1wt%含有する固体成分を得た(触媒固体成
分)。また、トリエチルアルミニウム100mmol、
メチルヒドロポリシロキサン(30℃における粘度:3
0センチストークス)50mmol(Si基準)、n−
ヘプタン150mlを窒素雰囲気下ガラス製耐圧容器に
秤取し、磁気攪拌子を用いて攪拌下100℃において2
4時間反応させてAl(C252.5(OSi・H・C
3・C250.5ヘプタン溶液を合成し、次にこの溶液
100mmol(Al基準)を窒素雰囲気下200ml
フラスコに秤取し、滴下ロートよりエタノール50mm
olとn−ヘプタン50mlの混合溶液を氷冷攪拌下に
滴下し、滴下後室温にて1時間反応させてAl(C
252.0(OC250.5(OSi・H・CH3・C2
50.5ヘプタン溶液を合成した(有機アルミニウム成
分)。
【0071】次に、反応容積200lの重合器を使用
し、重合温度は85℃、重合圧力は11kg/cm2
10.5kg/Hrの生成量となるように重合を制御
し、ポリエチレンB1を重合した。上述の触媒固体成分
62mg/lと、有機アルミニウム成分0.070mm
molを1lのヘキサン中で予備混合し、さらにこの混
合物にジエチルアルミニウムエトキサイドを0.05m
mol/lの濃度になるように添加しながら40l/H
rの精製ヘキサンとともに導入した。水素を分子量調節
剤として用い、水素濃度を約10モル%にすることによ
り、MFRが0.31g/10min、重量平均分子量
が169,000、MIRが102.0、Mw/Mnが
16.1、密度が0.9665g/cm3のポリエチレ
ンB1を得た。
【0072】(ポリエチレン組成物の調製)ポリエチレ
ンA1及びポリエチレンB1の重合パウダーを50/5
0(w/w)並びに70/30(w/w)の比率で混合
し、さらに二軸押出機(JSW TEX−44CMT、
日本製鋼(株)製)を用いて、スクリュー回転数150
rpm、バレル設定温度200℃の条件で溶融混練を行
い、ペレタイズを行ってポリエチレン組成物のペレット
を得た。尚、混練に際して、中和剤、酸化防止剤、及び
耐光安定剤は一切添加しなかった。
【0073】得られたポリエチレンの各種の物性測定値
を表2の実施例1及び実施例2に示す。また、得られた
ポリエチレン組成物を用いてブロー成形により容器を作
製し、容器のクリーン度と外観を評価した結果を表3の
実施例1、2に示す。得られた容器はクリーン度が高
く、また、ピンチオフ融着性、表面肌状態及び偏肉性に
ついて優れており、成形加工性も良好であった。
【0074】
【実施例3】実施例1、2に記載の方法で調製した幾何
拘束型メタロセン触媒を使用して、ヘキサン、エチレ
ン、水素を連続的に攪拌装置が付いたベッセル型反応器
に供給し、ポリエチレンA2を重合した。重合条件は実
施例1、2と同じである。得られたポリエチレンA2の
2は0.56g/10minであり、MIRは22.
5であり、Mw/Mnは4.9であり、Mwは114,
000であり、密度は0.9592g/cm3であっ
た。
【0075】ポリエチレンA2と実施例1及び2で使用
したポリエチレンB1の重合パウダーを50/50(w
/w)の比率混合し、実施例1、2と同様に溶融混練を
行ってポリエチレン組成物のペレットを得た。得られた
ポリエチレン組成物の各種の物性測定値を表2の実施例
3に示す。また、得られたポリエチレン組成物を用いて
ブロー成形により容器を作製し、容器のクリーン度と外
観を評価した結果を表3の実施例3に示す。得られた容
器はクリーン度が高く、また、ピンチオフ融着性、表面
肌状態及び偏肉性について優れており、成形加工性も良
好であった。
【0076】
【実施例4】実施例1及び2で使用したポリエチレンB
1の代わりに日本ポリオレフィン社製S6002(ポリ
エチレンB2とする)を用いて、ポリエチレンA1とポ
リエチレンB2を50/50(w/w)の比率混合し、
実施例1、2と同様に溶融混練を行ってポリエチレン組
成物のペレットを得た。
【0077】得られたポリエチレン組成物の各種の物性
測定値を表2の実施例4に示す。また、得られたポリエ
チレン組成物を用いてブロー成形により容器を作製し、
容器のクリーン度と外観を評価した結果を表3の実施例
4に示す。
【0078】
【比較例1】塩化マグネシウム固体表面上に2wt%の
チタンが担持されたチーグラー・ナッタ型固体触媒を用
いてスラリー重合法によりポリエチレンA3を得た。得
られたポリエチレンA3のI2は0.52g/10mi
nであり、MIRは31.0であり、Mw/Mnは7.
4であり、Mwは153,000であり、密度は0.9
492g/cm3であった。
【0079】ポリエチレンA3とポリエチレンB1の重
合パウダーを50/50(w/w)の比率で混合し、実
施例1と全く同様の操作で溶融混練を行い、ペレタイズ
を行ってポリエチレン組成物のペレットを得た。得られ
たポリエチレン組成物の各種の物性測定値を表2の比較
例1に示す。また、得られたポリエチレン組成物を用い
てブロー成形により容器を作製し、容器のクリーン度と
外観を評価した結果を表3の比較例1に示す。
【0080】
【比較例2、3】実施例1及び2で使用したポリエチレ
ンA1及びポリエチレンB1をそれぞれ単独で使用して
ブロー成形により容器を作製し各種の物性を調べた結果
を表3の比較例2及び3に示す。比較例2は容器のクリ
ーン度は優れるが容器の表面外観が悪く、また、偏肉が
大きい。一方、比較例3はクリーン度が不十分であり、
かつESCRも十分でない。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【発明の効果】本発明により、保管貯蔵している薬品中
への不純物粒子の浸出が極めて少なく(すなわちクリー
ン性能に優れ)、かつ耐衝撃性やESCR等の機械的強
度に優れ、さらに成形加工が容易なポリエチレン製容器
を提供することができる。また、最近の添加剤の無添加
志向と相まって、クリーンなポリエチレン製容器に対す
る需要は益々高くなってきているが、本発明による容器
はクリーンで衛生的であるので、そのニーズを満足する
容器として一般の食品用容器や食用油ボトル、飲料水ボ
トル、ミルクボトル、医薬品用ボトル、シャンプー用ボ
トル、リンス用ボトル、液体洗剤用ボトル、化粧品用ボ
トル、等の各種ブローボトルとしても好ましく使用する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA15 AA81 AA82 AA88 AH05 BB06 BC04 4J002 BB03W BB03X FD040 FD070 GG00 4J028 AA01A AB01A AC10A AC42A BA00A BA01B BB00A BB01B BC15B BC16B BC17B BC24B BC25B BC27B CA14C CA16C CA19C CA22C CA24C CA25C CA26C CA27C CA28C CA29C CA36C CA37C CA38C CA44C CA49C CB15C CB94A EA01 EB02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EC01 EC02 FA01 GA01 GA07 GA08 4J100 AA02P CA01 DA04 DA14 DA15 DA42 DA43 FA10 FA11 FA18 JA58

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下(A1)から(A4)の要件を満足
    するスラリー重合法によりメタロセン系触媒により製造
    されたポリエチレン(以下ポリエチレンAとする)99
    〜1wt%と、以下(B1)から(B4)の要件を満足
    するスラリー重合法によりクロム系触媒により製造され
    たポリエチレン(以下ポリエチレンBとする)1〜99
    wt%からなるポリエチレン組成物からなる高純度薬品
    用容器。 (A1)Mw/Mn値が2.5以上6以下 (A2)密度が0.910g/cm3以上0.975g
    /cm3以下 (A3)荷重2.16kg、温度190℃条件のメルト
    フローレート値(I2)が0.05g/10min以上
    50g/10min以下 (A4)メルトフローレート比(MIR)が16以上3
    0以下 (B1)Mw/Mnが10以上30以下 (B2)密度が0.945g/cm3以上0.975g
    /cm3以下 (B3)I2が0.05g/10min以上30g/1
    0min以下 (B4)MIRが50以上120以下
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリエチレン組成物の密
    度が0.940g/cm3以上0.975g/cm3以下
    であり、I2が0.05g/10min以上30g/1
    0min以下である請求項1に記載の高純度薬品用容
    器。
  3. 【請求項3】 ポリエチレン組成物のGPC測定により
    定量される分子量1,000以下の成分の含有量が3w
    t%以下である請求項1、2のいずれかに記載の高純度
    薬品用容器。
  4. 【請求項4】 ポリエチレン組成物中に含まれる周期律
    表第4族遷移金属およびクロムの総含有量が10ppm
    以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の高純度薬品用容器。
  5. 【請求項5】 ポリエチレン組成物中に含まれる、液体
    クロマトグラフィーにより定量される添加剤各成分の含
    有量が100ppm以下であることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の高純度薬品用容器。
  6. 【請求項6】 ポリエチレンAが担持型幾何拘束型メタ
    ロセン触媒により、スラリー重合法により重合されたポ
    リエチレンであることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の高純度薬品用容器。
  7. 【請求項7】 パリソン重量で示されるダイ・スエル値
    が50g/20cm以上90cm/20cm以下である
    ポリエチレンBが使用されることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載の高純度薬品用容器。
  8. 【請求項8】 パリソン重量で示されるダイ・スエル値
    が35g/20cm以上50g/20cm未満であるポ
    リエチレン組成物からなる請求項1〜7のいずれかに記
    載の高純度薬品用容器。
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