JP2000043784A - ばら物運搬船の自動荷役設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ばら物を陸揚げする自動荷役設備を構造簡
単、保守容易でばら物の種類、状態を問わず連続的に能
率よく陸揚げできるとともに、積載能力を低下させない
ものとする。 【解決手段】 貨物倉９，１０の底からばら物を払出機
１２により強制的に取り出して船底に沿った第一コンベ
ヤ２１により船首側または船尾側へ送り、次に貨物倉
９，１０の一部を傾斜縦断した第二コンベヤ３０で船体
中央部の上甲板上方へ送り、そこから第三コンベヤ４７
で埠頭に陸揚げする。第二コンベヤ３０は搬送ベルト３
１の傾斜部分３３に押えベルト３５を沿わせて急傾斜で
もばら物をすべり落とすことなく搬送するようになって
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は貨物倉に積み込んだ
不定形固体貨物であるばら物を埠頭に陸揚げする自動荷
役設備、詳しくはばら物運搬船に積載能力を低下させる
ことなく設置されてばら物の種類、状態を問わず円滑に
陸揚げすることができる構造簡単な自動荷役設備に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】鉱石、石炭、石灰石、木材チップ、穀
物、セメントなどの小塊、粒体、粉体からなる不定形固
体貨物、即ちばら物を海上輸送するばら物運搬船の内
で、主に沿海区域を航行するものは荷役設備が不完全な
埠頭に接岸して荷揚げしなければならないことが多い。
そのために、貨物倉に積み込まれているばら物を陸揚げ
する自動荷役設備をばら物運搬船に具えさせることが普
通に行なわれている。

【０００３】図８および図９は前記のばら物運搬船を概
略的に示した図であって、船体７１の船首近くから船尾
近くに亘って延びる船倉７２の内部に、図８のものにあ
っては隔壁によって互いに区画された五個の貨物倉７３
が、また図９のものにあっては単一の貨物倉７３が設け
られている。これらの貨物倉７３に積み込まれているば
ら物は底から取り出され、船底に沿って船体長手方向へ
延びる第一コンベヤ７４によって船首側または船尾側へ
送られ、次に船底附近から第二コンベヤ７５によって上
甲板へ向かって送られ、更に上甲板の上に起伏・旋回可
能に装備したブーム７８に設置されている第三コンベヤ
７６によって埠頭の所定個所に陸揚げされる。

【０００４】図８に示されている自動荷役設備は第一コ
ンベヤ７４と第二コンベヤ７５とを連続した一つのベル
トコンベヤで形成し、第二コンベヤ７５はばら物がすべ
り戻らない程度の緩傾斜で船底附近から船尾の上甲板附
近に向かって延在させている。尚、このものは第二コン
ベヤ７５から第三コンベヤ７６にばら物を受け渡すため
の第四コンベヤ７７を具えさせている。そして、各貨物
倉７３の底にはそれぞれ多数のホッパ状排出口７９が設
けられていて、これを適宜に開閉するとともに必要に応
じて振動を加えることによりばら物を自然または強制落
下させて取り出すものであって、このような自動荷役設
備の一例が実開昭６１−１７４３９７号公報に記載され
ている。

【０００５】図９に示されている自動荷役設備は第二コ
ンベヤ７５を船首部分に設置した垂直ベルトコンベヤと
し、ばら物を挟み封入して船底附近から上甲板の上に送
る二つのベルトコンベヤの一方を第一コンベヤ７４を延
長させて形成したものである。そして、貨物倉７３の底
を船体長手方向へ長いホッパ形状とし、その底面に沿っ
て払出機８０を船体長手方向へ往復走行させながらその
回転羽根８１によってばら物を回転中心部へ掻き寄せ、
底面のスリット状の排出口８２から落下させて取り出す
ものであって、このような自動荷役設備の一例が実開平
２−３３１９６号公報に記載されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記図８に示した自動
荷役設備の第二コンベヤ７５は、ばら物を乗せてすべり
戻すことなく上甲板の附近まで運搬するためかなりの緩
傾斜とする必要があり、高低差に対して水平距離が著し
く大きくなって船尾に近い貨物倉７３の底を傾斜に合わ
せて次第に高くしなければならない。このため、貨物倉
７３の全容量が小さくなって積載能力が低下することを
避けられない。

【０００７】一方、前記図９に示した自動荷役設備の第
二コンベヤ７５は積載能力を低下させることなく設置す
ることができる。しかし、この第二コンベヤ７５を形成
している垂直ベルトコンベヤはばら物を挟み込んだ二つ
のコンベヤベルトの両側端縁部を封入ばら物の重量や圧
力で開かないように多数のローラで押え閉じ合わせてお
かなければならず、全体の構造が複雑であるとともに駆
動に大動力を必要とする。加えて、ばら物がコンベヤベ
ルトに付着しにくい粉体や水分の少ないものである場合
は鉛直上方へ連行されにくく、下部に溜って運搬が困難
であるばかりか、入口でばら物が溢れて周囲にこぼれる
心配があり、運搬可能なばら物が限定されるという問題
がある。

【０００８】本発明は貨物倉の底から払出機により取り
出し船首側または船尾側の船底附近に送ったばら物を陸
揚げのため上甲板へ向かって運搬する第二コンベヤがも
っている、積載能力を低下する、或いは構造複雑である
とともに運搬可能なばら物が限定される、という不都合
を伴わずに能率のよい陸揚げ作業ができる自動荷役設備
をばら物運搬船に具えさせることを主要な課題としてい
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】即ち、前記課題を解決す
るために、本発明は第二コンベヤをベルトコンベヤであ
って貨物倉の前方または後方の船底附近から上甲板の上
方へ向かって延びる傾斜部分を有しばら物を載せる無端
の搬送ベルトとこの搬送ベルトと協働して傾斜部分でば
ら物を挟み込む無端の押えベルトとからなるものとし
た。そして、この第二コンベヤは船底附近から船体中央
部へ向かって貨物倉の一部を傾斜縦断し上甲板の上方に
達しており、且つ貨物倉縦断部分がダクトに包まれてい
るものとした。

【００１０】このように、傾斜部分でばら物を二つのベ
ルトの間に挟み込ませることにより急傾斜化が可能とな
り、貨物倉縦断距離を短かくできるとともに前方または
後方に第二コンベヤ設置のための船倉空間を必要としな
いため貨物倉の容積を縮小することなく設置できる。ま
た、ばら物がすべり落ちたりこぼれたりしない程度に挟
み込めばよいため第二コンベヤの構造が簡単なものとな
る。更に、貨物倉のばら物を払出機によって取り出すこ
とと相俟ってばら物の種類、状態を問わず円滑且つ連続
的に能率よく陸揚げさせる。

【００１１】

【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形
態を説明すると、図１および図２は本発明の自動荷役設
備を具えたばら物運搬船を概略的に示した断面図および
平面図であって、船体１の船首近くから船尾近くに亘っ
て延びる船倉２の内部に、前後両端部および中間に設け
た隔壁３，４，５および更にこれらの中間部に設けた仕
切壁６，７によって前後四室に区画された二つの貨物倉
９，１０が船体中央に設けた船体長手方向へ延びる中央
隔壁８によって左右に分割されて設けられている。

【００１２】これらの貨物倉９，１０は底壁がホッパ形
状とされ、それらの下端部ほぼ全長に亘って往復走行す
る払出機１２が配備されているとともに、底壁下方に船
体長手方向へ延びるベルトコンベヤからなる第一コンベ
ヤ２１が敷設されている。

【００１３】払出機１２は前記実開平２−３３１９６号
公報その他に記載されている広く知られた機械であり、
主に図３を参照して各貨物倉９，１０の内部に貫通形成
した頂部三角状山形のカバー体１４の中を往復走行しな
がら下方へ突出した回転羽根１３を底壁の平坦な底面１
５の上で回転させることにより、貨物倉９，１０に積み
込まれているばら物を最下層のものから順次回転中心部
へ掻き寄せ、底面に設けられているスリット状の排出口
１６からその下方に敷設されている第一コンベヤ２１の
上に落下させるものである。

【００１４】このような払出機１２は、回転羽根１３が
ばら物の層に食い込んで強制的に掻き取り、回転中心部
へと強制的に誘導するものであるため、回転羽根１３を
連続回転させることにより貨物倉９，１０からばら物を
その種類、状態を問わずほぼ一定量ずつ連続的に取り出
すことができ、陸揚げ作業の能率向上に役立つ。

【００１５】第一コンベヤ２１は各貨物倉９，１０に対
応してそれらの船首側前方から船尾側後方に亘って隔壁
３，４，５を貫通して船底に沿い敷設されており、払出
機１２によって取り出されたばら物を船首側前方へ送
る。

【００１６】図１，図２および図５を参照して、二列と
されている貨物倉９，１０の船首側先端の船底部位から
船尾へ向かって延びる水平部分２４とそれより船体中央
部の上甲板上方へ向かって延び先端にシュート２６を有
する斜行部分２５とからなるダクト２３が、中央隔壁８
を上下に分断して設置されている。船底附近で水平部分
２４は船倉２の船首側空間へ向かって開放しており、シ
ュート２６は船体１の中央部において上甲板の上方で下
方へ向かって開口している。また、図示実施の形態で
は、ダクト２３は二つの貨物倉９，１０の船首側二室を
中央隔壁８に沿って傾斜縦断している。

【００１７】第一コンベヤ２１の送出端は船倉２の船首
側空間内に位置させられており、これより放出されたば
ら物はベルトコンベヤからなる中継コンベヤ２９によっ
て船体１の中心線方向へ送られ、第二コンベヤ３０に移
しかえられる。

【００１８】第二コンベヤ３０は二つの無端ベルトの組
合わせからなるベルトコンベヤであり、中継コンベヤ２
９の送出端下方に送入端３２を位置させ、それよりダク
ト２３の水平部分２４に入り斜行部分２５を通る傾斜部
分３３を経てシュート２６の上方に位置させた送出端３
４に至る区画を搬送経路とした無端の搬送ベルト３１
と、ダクト２３の内部に配備されて傾斜部分３３に移行
する部分から送出端３４の部分に亘り搬送ベルト３１に
沿って延びている無端の押えベルト３５とからなるもの
である。

【００１９】この押えベルト３５は傾斜部分３３におい
てばら物を挟み込んで搬送ベルト３１と一体走行するよ
うにその上面に向かい合わせられており、この向かい合
わせ部分はばら物の押え部分３６を形成している。搬送
ベルト３１は搬送経路においてばら物を載せるためにト
ラフ形状とされ、そのためにこの区間に設置されるキャ
リヤローラ３７は図６を参照してベルト中央部を支える
中央ローラ３７ａとベルト両側部を支える傾斜ローラ３
７ｂとからなるものとされている。そして、傾斜部分３
３において押えベルト３５の押え部分３６の両側部上面
に圧接させて押えローラ３８が設置されており、この押
えローラ３８は傾斜ローラ３７ｂと協働して傾斜部分３
３と押え部分３６の両側端縁部を互いに密着状態に重ね
合わせ、扁平トンネル状の封入空間３９を形成してばら
物を封入状態で送出端３４へと搬送するものである。

【００２０】第二コンベヤ３０の傾斜部分３３の傾斜角
度は、送入端３２と送出端３４との高低差および水平距
離によって決定されるものであり、搬送ベルト３１のみ
ではばら物がすべり落ちる最大角度以上の傾斜角度、一
般には２０度以上であって９０度に至らない角度とされ
る。

【００２１】そして、このような傾斜部分３３を具えた
第二コンベヤ３０は、ばら物を鉛直に搬送する垂直ベル
トコンベヤに比べて機長が短かく、且つ封入したばら物
の重量や圧力が分力されて傾斜部分３３と押え部分３６
とを押し拡げようとする力が小さく、キャリヤローラ３
７および押えローラ３８の設置間隔を大きくしてもばら
物をこぼさずに搬送することができる。加えて、ばら物
がベルトに付着しにくい粉体や水分の少ないものであっ
ても傾斜部分３３で押えベルト３５により挟み込まれて
いるため連行されやすく、送入端３２に溜って溢れこぼ
れるという不都合を生じさせない。

【００２２】更に、第二コンベヤ３０を急傾斜とするこ
とが可能であることにより、ダクト２３の水平部分２４
および斜行部分２５の貨物倉９，１０を縦断する部分を
短かくして貨物倉９，１０の容積を確保することができ
る。或いは、貨物倉９，１０の前方または後方に第二コ
ンベヤ設置用の船倉空間を設ける必要がないので、この
部分を貨物倉９，１０として容積を拡大することができ
る。即ち、積載能力を低下させることなく第二コンベヤ
３０を設置することができるものである。

【００２３】次に、船体１の中心線上中央部において上
甲板の上に基台４１が設置され、その上面に旋回台４２
が載っているとともに、ブーム４３の基端部が旋回台４
２に支軸４４により結合されている。このように、上甲
板の上に起伏および旋回可能に片持ち状態で設置された
ブーム４３にベルトコンベヤからなる第三コンベヤ４７
が敷設され、この第三コンベヤ４７は先端にシュート４
６を有するフード４５に内蔵されている。

【００２４】シュート２６は旋回台４２の上方で下向き
に開口しており、第二コンベヤ３０の送出端３４から放
出されたばら物はシュート２６を通って第三コンベヤ４
７に受け渡される。従って、ブーム４３を接岸側へ旋回
させるとともに適宜に起伏させて埠頭に設置されている
ホッパの上に先端を位置させることにより、貨物倉９，
１０のばら物が陸揚げされることとなる。

【００２５】ブーム４３は船体１の中心線上で中央部か
ら船尾へ向けた待機位置から左右へ旋回可能とされてい
る。加えて、貨物倉９，１０の底から取り出したばら物
を船底に沿った第一コンベヤ２１によって貨物倉９，１
０の前方へ送り、これより貨物倉９，１０の一部を傾斜
縦断させた第二コンベヤ３０によって船体中央部に送入
端を置いた第三コンベヤ４７へと送って陸揚げさせるも
のとした図示実施の形態によると、埠頭に設置されてい
るホッパの横に船体１の中央部を位置させて接岸するこ
とにより、短かい搬送経路長でばら物を陸揚げすること
ができ、殊にブーム４３を短かいものとして起伏、旋回
に要する動力を軽減することができる。更に、左右いず
れの舷側を接岸させても接岸側へブーム４３を旋回させ
て容易に陸揚げすることができ、入港から接岸までの操
船の自由度が大きくなる。

【００２６】尚、貨物倉９，１０を左右二列でなく一列
の複数室または単一室としたものにあっては、船体１の
中心線上に第一コンベヤ２１を配置し、第二コンベヤ３
０をその側方に配置するなど、貨物倉９，１０の構造、
形状に応じて各コンベヤ２１，３０のレイアウトを適宜
に定めることができる。しかし、図示実施の形態のよう
に、貨物倉９，１０を左右二列としてそれぞれから取り
出したばら物を船体中心線上で第二コンベヤ３０により
上甲板の上方へ搬送する構成としたものは、払出機１２
による各貨物倉９，１０からのばら物取り出しの場所や
量を制御することにより、バランスを崩して船体１を傾
けさせることなく安定した姿勢を維持して陸揚げ作業を
行なわせることができるものである。

【００２７】

【発明の効果】以上のように、貨物倉に積み込まれてい
るばら物を底の部分で往復走行する払出機によって強制
的に取り出し、船底に沿った第一コンベヤによって船首
側または船尾側へ送り、次に貨物倉の一部を傾斜縦断さ
せた第二コンベヤによって船体中央部の上甲板上方へ送
り、そこから第三コンベヤによって陸揚げするものと
し、殊に第二コンベヤを搬送ベルトと押えベルトとによ
る封入状態でばら物を傾斜経路に沿い搬送するものとし
た本発明によると、積載能力を低下させることなく設置
できるとともに、搬送経路長が短かく且つ構造簡単であ
るため保守が容易であり、またばら物の種類、状態を問
わず連続的に取り出して搬送し能率のよい陸揚げ作業を
行なうことができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す断面概略図。

【図２】図１の平面概略図。

【図３】図１のＡ−Ａ線に沿う拡大断面図。

【図４】図１のＢ−Ｂ線に沿う拡大断面図。

【図５】図１の拡大部分図。

【図６】図５のＣ−Ｃ線に沿う拡大断面図。

【図７】図５のＤ−Ｄ線に沿う断面図。

【図８】従来例の断面概略図。

【図９】別の従来例の断面概略図。

【符号の説明】

１ 船体， ９，１０ 貨物倉， １２ 払出機， １
３ 回転羽根， １５底面， ２１ 第一コンベヤ，
２３ ダクト， ２９ 中継コンベヤ， ３０ 第二コ
ンベヤ， ３１ 搬送コンベヤ， ３３ 傾斜部分，
３５ 押えベルト， ４３ ブーム， ４７ 第三コン
ベヤ，

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 船体内の貨物倉に積み込まれているばら
   物を掻き取る回転羽根を有し前記貨物倉の底面に沿って
   船体長手方向へ往復走行する払出機と、前記払出機によ
   って前記貨物倉の底から取り出されたばら物を船底に沿
   って船首側または船尾側へ送る第一コンベヤと、これよ
   り受け取ったばら物を上甲板へ向かって送る第二コンベ
   ヤと、更にこれより受け取ったばら物を埠頭の所定個所
   へ送る第三コンベヤとを有しているばら物運搬船の自動
   荷役設備において、 前記第二コンベヤは船底附近から上甲板の上方に至る傾
   斜部分を有しばら物を載せる無端の搬送ベルトと、前記
   搬送ベルトと協働して前記傾斜部分でばら物を挟み込む
   無端の押えベルトとからなり、 そして、前記第二コンベヤは前記貨物倉の前方または後
   方の船底附近から前記船体の中央部へ向かって前記貨物
   倉の一部を傾斜縦断し前記上甲板の上方に達していると
   ともに、前記貨物倉縦断部分がダクトに包まれている、 ことを特徴とする自動荷役設備。
2. 【請求項２】 前記貨物倉が左右二列設けられていてそ
   れぞれに前記払出機と第一コンベヤとが具えられてお
   り、前記第二コンベヤは船体中心線上に配備されている
   請求項１に記載したばら物運搬船の自動荷役設備。
3. 【請求項３】 前記第三コンベヤが前記船体の中心線上
   中央部に基端部を旋回、起伏可能として設置されている
   請求項１または２に記載したばら物運搬船の自動荷役設
   備。