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JP2000003535A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JP2000003535A
JP2000003535A JP16136499A JP16136499A JP2000003535A JP 2000003535 A JP2000003535 A JP 2000003535A JP 16136499 A JP16136499 A JP 16136499A JP 16136499 A JP16136499 A JP 16136499A JP 2000003535 A JP2000003535 A JP 2000003535A
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recording medium
magnetic
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Katsusuke Shimazaki
勝輔 島崎
Satoru Onuki
悟 大貫
Masatoshi Hashimoto
昌俊 橋本
Mutsutomo Shirai
睦智 白井
Norio Ota
憲雄 太田
Hideo Fujiwara
英夫 藤原
Masashi Yoshihiro
昌史 吉弘
Yukinori Yamada
幸憲 山田
Eiji Koyama
栄二 小山
Hitoshi Kosho
均 古性
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光磁気記録膜の外部磁界感度を高めること
で、小さな外部磁界で情報をオーバーライトできる磁気
超解像形の光磁気記録媒体を得る。 【解決手段】 透明基板上に、希土類−遷移金属系の垂
直磁化膜からなる磁気超解像形の光磁気記録膜と、自発
磁化を有する補助磁性膜とを担持してなる光磁気記録媒
体において、前記補助磁性膜として、キュリー温度近傍
で角形比が1以下で、200(Oe)の外部磁界で情報
を完全に消去可能な磁性膜を用いる。また、同種の光磁
気記録媒体において、前記光磁気記録膜として、遷移金
属がもつ部分磁化の磁気モーメントの方向が、少なくと
も当該光磁気記録膜のキュリー温度直下において当該光
磁気記録膜の磁化の方向と同じか逆で、200(Oe)
の外部磁界で情報を完全に消去可能な磁性膜を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光磁気記録媒体に係
り、特に、磁気超解像形の光磁気記録媒体における希土
類−遷移金属系の垂直磁化膜からなる光磁気記録膜と自
発磁化を有する補助磁性膜の磁気的特性に関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録媒体を用いた情報記録システ
ムが実用化の段階に入り、オーバーライト機能、すなわ
ち情報が記録されたエリアに新たな情報を再書き込みす
る場合、先に記録された情報を一旦消去した後に新たな
情報を書き込むのではなく、先に記録された情報を消去
しつつ同時に新たな情報を記録し得る機能を有する光磁
気記録媒体の開発がますます重要な技術的課題になって
いる。
【0003】光磁気記録媒体のオーバーライト記録方式
としては、現在のところ、光磁気記録媒体に一定強度の
外部磁界を印加しつつ、2値化された情報信号の“0”
または“1”に対応してパルス状に強度変調された記録
用光を走査し、情報を記録する光強度変調方式が最も注
目されている。光強度変調方式のオーバーライト記録を
可能にした光磁気記録媒体としては、例えば特開昭62
−175948号公報に記載されているもの、あるいは
例えば国際公開番号WO90/02400に記載されて
いるものなどがある。
【0004】なお、光磁気記録媒体は、基板上に担持さ
れた磁性層に情報信号に対応する反磁区(磁化ドメイ
ン)を形成して情報の記録を行い、このようにして情報
が記録された磁性層に直線偏光を照射したとき、磁性層
の磁化の向きによって反射光のカー回転角が変化するこ
とを利用して情報の再生を行うものである。磁性層に反
転磁区を形成する方式には、いわゆる光強度変調方式と
磁界強度変調方式とがあるが、いずれの方式において
も、磁性層をキュリー温度近傍あるいはそれ以上に昇温
しなくてはならない。また、光磁気記録媒体は、情報の
消去と再記録とを繰り返し行うことができるイレーザブ
ルタイプの情報記録媒体であり、情報の消去を行う場合
にも磁性層をキュリー温度近傍あるいはそれ以上に昇温
しなくてはならない。従来より、磁性層の昇温は、磁性
層にレーザビームを合焦することによって行われてい
る。
【0005】かように光磁気記録媒体は、磁性層を所定
温度まで昇温することによって情報の記録と消去とを行
うから、所望のデータ転送速度を得るためには、磁性層
のキュリー温度と、磁性層に接する部分の熱伝導率と、
磁性層に照射されるレーザビームの強度と、光磁気記録
媒体上を走行するレーザビームスポットの線速度とをバ
ランス良く設定しなくてはならない。
【0006】従来より実用化されている5インチの光磁
気ディスクは、出力値が30〜40mWの半導体レーザ
が搭載された光磁気ディスク駆動装置に装着されて24
00rpmで回転駆動され(角速度一定)、レーザビー
ムスポットの線速度が最も高くなる(150m/s)最
外周記録領域において最適な状態で情報の記録および消
去が行えるように、磁性層のキュリー温度と磁性層に接
する部分の熱伝導率とが設定されている。なお、これに
関連する従来技術としては、例えば特開昭56−409
0号公報、特開昭56−54070号公報、特開昭57
−120253号公報、特開昭57−169996号公
報などを挙げることができる。
【0007】また、従来より、例えば「わかりやすい光
ディスク」、株式会社オプトロニクス、昭和60年12
月10日発行、第52頁に記載されているように、2枚
の光磁気記録単板の透明基板および記録面同士を接着剤
を介して貼り合わせてなるいわゆる密着貼り合わせ構造
の光磁気記録媒体が知られている。また、2枚の光記録
単板の透明基板の内周部および外周部を接着剤が塗布さ
れたスぺーサを介して貼り合わせ、相対向する記録面の
間に空気層を介在させたいわゆるエアサンドイッチ構造
の光磁気記録媒体が知られている。
【0008】光記録単板は、基板のプリフォーマットパ
ターン形成面に少なくとも記録層または反射層を含む1
層または複数層の薄膜を被着したものであって、透明基
板は、例えばガラスなどの透明セラミック材料や、ポリ
メチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、エポキ
シ、光硬化性樹脂などの透明プラスチック材料をもって
形成される。一方、これらの光記録単板を接着する接着
剤やエポキシ系接着剤などの高分子接着剤が賞用されて
いる。
【0009】さらに、この種の光情報記録媒体にあって
は、従来より透明基板と光磁気記録膜との間に、酸化物
ならびに窒化物などの透明薄層を設けて、光学多重干渉
膜、保護膜として機能させる検討が種々行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、情報のオー
バーライトを実現するためには、光強度変調方式をとる
か磁界強度変調方式をとるかに拘らず、光磁気記録膜の
外部磁界感度が充分に高くなくてはならない。上記光変
調方式のオーバーライト記録に適用される光磁気記録媒
体の公知例のうちの前者は、垂直磁化膜である光磁気記
録膜上に自発磁化を有する補助磁性膜を積層したので、
垂直磁化膜単独の場合に比べて記録時又は消去時の外部
磁界感度を高めることができる。
【0011】しかるに、このようにしても記録又は消去
時に200(Oe)以上の外部磁界が必要であり、実用
上充分に外部磁界感度が高くなっているとは言えない。
また、光磁気記録膜と補助磁性膜とが直接積層されてい
るので、両膜間に作用する交換結合力が期待される値よ
りもかなり大きくなり、光強度変調方式による場合に
は、少なくとも5〜6(KOe)もの初期化磁石が必要
となる。さらに、それに比例して記録磁区が消失しやす
いという問題もある。
【0012】また、光磁気記録媒体においては、データ
転送速度の高速化が最も重要な技術的課題の1つになっ
ている。データ転送速度を高速化するためには、光磁気
記録媒体に対するレーザビームスポットの線速度(例え
ば、光磁気ディスクの回転速度)を高速化しなくてはな
らないが、レーザビームスポットの線速度を高速化する
とレーザビームの照射時間が短縮化されて磁性層が昇温
されにくくなるので、光磁気記録媒体の記録感度を向上
するか、あるいは半導体レーザを大出力化するかという
いずれかの技術的課題を解決する必要がある。
【0013】また、貼り合わせ構造の光磁気記録媒体に
おいては、媒体内部への水分の侵入を防止し、記録層ま
たは反射層の腐食を防止するため、接着層中に無機フィ
ラーを混入して接着層の透湿率を低減することが多い
が、この場合にも無機フィラーと接着剤との反応性が乏
しいために剥離を生じやすく、長期保存性が悪いという
問題がある。
【0014】さらに、酸化物層を蒸着法やスパッタリン
グ法で形成タイプの光磁気記録媒体にあっては、前記酸
化物層が化学的に不安定となり、酸素が遊離しやすく、
その遊離した酸素が光磁気記録膜中に徐々に拡散し、そ
の結果、光磁気記録膜を酸化して、情報の記録、再生、
消去特性が劣化してしまう。
【0015】一方、酸化物層はポリカーボネートなどの
合成樹脂製透明基板に対する密着性が弱いため、光磁気
記録膜の下地層とした場合、長い間には透明基板と下地
層との間において剥離を生じ、データストレージとして
の機能が低下する。このようなことから、従来の光磁気
記録媒体では信頼性に問題があった。
【0016】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたものであって、その第1の目的は、安価にして簡
単なヘッド装置で情報の記録、再生が可能な光磁気記録
媒体を提供することにある。
【0017】第2の目的は、初期化磁石を小型化するこ
とができ、かつ安定な記録を実現可能な光磁気記録媒体
を提供することにある。
【0018】第3の目的は、従来実用化されている30
〜40mW程度の半導体レーザを用いてデータ転送速度
をより高速化することができる光磁気記録媒体を提供す
ることを目的とする。
【0019】第4の目的は、ROM領域と書換え領域と
が混在することによる上述のような問題点を解決した新
たな光ディスクを提供することにある。
【0020】第5の目的は、光記録単板同士あるいは光
記録単板と保護板とが接着層を介して強固に接着され、
長期保存性に優れた光磁気記録媒体を提供するにある。
【0021】第6の目的は、酸化物層から光磁気記録膜
への酸素の侵入を防止し、もって信頼性及び耐久性に優
れた光磁気記録媒体を提供するにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、これらの目的
を達成するため、第1に、透明基板と、当該透明基板上
に担持された希土類−遷移金属系の垂直磁化膜からなる
光磁気記録膜並びに自発磁化を有する補助磁性膜とを備
え、磁界強度変調方式で情報のオーバーライトが行われ
る磁気超解像形の光磁気記録媒体において、前記補助磁
性膜として、キュリー温度近傍で角形比が1以下の磁性
膜を用い、200(Oe)の外部磁界で完全な情報の消
去が可能であるという構成にした。
【0023】第2に、同様の磁気超解像形の光磁気記録
媒体において、前記光磁気記録膜として、遷移金属がも
つ部分磁化の磁気モーメントの方向が、少なくとも当該
光磁気記録膜のキュリー温度直下において当該光磁気記
録膜の磁化の方向と同じであるものを用い、200(O
e)の外部磁界で完全な情報の消去が可能であるという
構成にした。
【0024】第3に、同様の磁気超解像形の光磁気記録
媒体において、前記光磁気記録膜として、遷移金属がも
つ部分磁化の磁気モーメントの方向が、少なくとも当該
光磁気記録膜のキュリー温度直下において当該光磁気記
録膜の磁化の方向と逆であるものを用い、200(O
e)の外部磁界で完全な情報の消去が可能であるという
構成にした。
【0025】前記第1乃至第3の光磁気記録媒体におい
て、前記補助磁性膜としては、当該補助磁性膜の磁気モ
ーメントと前記光磁気記録膜中の遷移金属がもつ部分磁
化の磁気モーメントとの間で交換結合力が作用し合うも
のを用いることができる。
【0026】前記光磁気記録膜としては、キュリー温度
近傍で遷移金属リッチのフェリ磁性体、キュリー温度近
傍で希土類リッチのフェリ磁性体、キュリー温度近傍で
遷移金属リッチのフェロ磁性体、キュリー温度近傍で希
土類リッチのフェロ磁性体などを用いることができ、膜
面に垂直な方向の対して傾斜した方向の磁気モーメント
成分を有し、かつ当該光磁気記録膜をそのキュリー温度
近傍まで加熱したとき、前記傾斜した磁気モーメント成
分と膜面に対して垂直な方向の磁気モーメント成分が共
に消失する磁性膜を用いることが特に好ましい。
【0027】さらに、磁気超解像形の光磁気記録媒体と
しては、公知に属する任意の膜構造を有するものを用い
ることができるが、光磁気記録膜が、下記の(1)〜
(4)の条件を満たし、かつ室温下で互いに磁気的に結
合する第1、第2、第3の希土類−遷移金属系非晶質垂
直磁化膜の積層体からなり、これら各磁性膜のうち、透
明基板から最も離隔して配設される前記第3の磁性膜
が、室温下で希土類副格子磁化が優勢な磁性膜をもって
構成されたものが、特に好適である。
【0028】(1) T0 <Tc2 <Tc1 ,Tc3 (2) Hc1 +Hw(3,1) <Hr(再生時に最高温度まで
昇温させる領域及びその近傍の領域において) (3) Hc3 >Hr(室温から再生時の最高到達温度まで
の温度範囲において) (4) Hc1 <Hw(3,1)(室温時) 但し、T0 は室温、Tc1 ,Tc2 ,Tc3 は夫々第
1、第2、第3の磁化膜のキュリー温度、Hc1 ,Hc
3 は夫々第1、第3の磁化膜の保磁力、Hrは再生用外
部磁界の強度、Hw(3,1) は第3の磁性膜が第1の磁性
膜に及ぼす交換磁界の強度である。
【0029】なお、かかる構成に加えて、超解像形の光
磁気記録媒体を構成する3つの磁性膜のうちの少なくと
もいずれか1つの磁性膜の表面に、希土類−遷移金属系
非晶質合金の酸化物層又は窒化物層を形成するか、ある
いは前記3つの磁性膜のいずれかと接する部分に当該接
する磁性膜との間で互いに交換結合力を作用する補助磁
性膜を設けるか、あるいは再生動作時に記録磁区の保存
に関与する第3の磁性膜に、白金、ニオブ、ネオジム、
ホルミウム、ガドリニウム、クロムから選択される少な
くとも1種類の非磁性元素を添加すると、より一層外部
磁界感度が高くなる。
【0030】前記酸化物層又は窒化物層は、酸素量又は
窒素量が調整された真空槽内で、所望の磁性膜のいずれ
かを加熱処理することによって得られる。また、前記補
助磁性膜としては、前記第3の磁性膜に記録磁区を形成
する温度で遷移金属副格子磁化が優勢な組成の希土類−
遷移金属系非晶質磁化膜や、同じく前記第3の磁性膜に
記録磁区を形成する温度で、当該第3の磁性膜に印加さ
れる記録用外部磁界の方向に向く磁気モーメント成分を
有するものなどを用いることができる。
【0031】加えて、透明基板の脱水処理、及び脱水処
理後の膜形成までのタイミングを工夫することによって
も光磁気記録媒体の外部磁界感度を改善できる。すなわ
ち、高分子化合物からなる透明基板を作製した後、この
透明基板のプリフォーマットパターン形成面に少なくと
も垂直磁化膜を含む薄膜の積層体を真空成膜する光磁気
記録媒体の製造方法において、前記透明基板を成形した
後、この透明基板をベーク炉内に入れ、大気圧下80℃
の温度で4時間以上加熱して脱水処理を施し、前記ベー
ク炉から気温が20℃で相対湿度が60%の環境下に取
り出した後、50分以内に前記薄膜の真空成膜を行うと
いった方法をとることが好ましい。
【0032】また、前記透明基板を成形した後、この透
明基板を真空チャンバ内に入れ、20Pa以下の真空条
件下80℃の温度で1時間以上加熱して脱水処理を施
し、前記真空チャンバから気温が20℃で相対湿度が6
0%の環境下に取り出した後、50分以内に前記薄膜の
真空成膜を行うといった方法をとることもできる。
【0033】さらに、透明ガラス板の片面に高分子化合
物からなるプリフォーマットパターンの転写層を設けて
なる透明基板を用いる場合には、基板作製後、前記転写
層プリフォーマットパターン上に少なくとも垂直磁化膜
を含む薄膜の積層体を真空成膜する光磁気記録媒体の製
造方法においては、前記透明基板を作製した後、この透
明基板をベーク炉内に入れ、大気圧下80℃の温度で4
時間以上加熱して脱水処理を施し、前記ベーク炉から気
温が20℃で相対湿度が60%の環境下に取り出した
後、4時間経過以降に前記薄膜の真空成膜を行うといっ
た方法をとる。
【0034】一方、前記補助磁性膜としては、前記光磁
気記録膜との間で交換結合力を作用し合うものを備える
ことが好ましく、前記光磁気記録膜のキュリー温度近傍
で角形比が1以下の磁性膜を用いることが特に好まし
い。この補助磁性膜は、貴金属又は遷移金属を含む合金
で構成することができ、より具体的には、(Au,A
g,Al,Pt,Rh,Pd)元素群から選択された少
なくとも1種類の元素と、(Fe,Co,Ni)元素群
から選択された少なくとも1種類の元素との合金や、
(Au,Ag,Al,Cu,Pt,Nb,Nd,Ho,
Gd,Cr)元素群から選択された少なくとも1種類の
元素を含有した希土類−遷移金属系の非晶質合金をもっ
て形成することができる。さらに、補助磁性膜のキュリ
ー温度と光磁気記録膜のキュリー温度との差は150℃
以内とすることが好ましい。
【0035】なお、前記光磁気記録膜と補助磁性膜との
間に作用する交換結合力を制御するために、これら両膜
の間に膜面方向に磁気容易軸をもつ磁性酸化物等からな
る中間層を設けることもできる。具体的な中間層材料と
しては、(Co,Cr,Mn,Ni)元素群から選択さ
れた少なくとも1種類の元素の酸化物を主成分とする磁
性酸化物が特に好適である。交換結合力を制御するにつ
いては、中間層の膜厚が特に重要となる。中間層の膜厚
を1000Å以上とすると情報の記録および消去に悪影
響がでるため、中間層の膜厚は1000Å以下とするこ
とが好ましい。
【0036】また、見掛け上のカー回転角を大きくして
信号対雑音比を向上させるため、中間層を構成する磁性
酸化物として基板よりも屈折率が大きいものを用い、記
録層を補助層との間で生じる多重干渉を利用して、カー
回転角のエンハンスメントを行わせるようにすることも
できる。
【0037】前記第3の目的を達成するために本発明
は、透明基板上に、当該透明基板側よりエンハンス層と
光磁気記録膜たる磁性膜と熱制御層と反射層とが順次積
層された単板構造もしくはエアサンドイッチ構造の光磁
気記録媒体において、前記エンハンス層の膜厚を70〜
80nm、前記磁性層の膜厚を10〜20nm、前記熱
制御層の膜厚を20〜100nm、前記反射層の膜厚を
50nm以下に調整すると共に、前記磁性層のキュリー
温度を300℃以下に調整した。
【0038】前記第4の目的を達成するために本発明
は、従来より用いられている書換え可能な光ディスクと
再生専用ディスクとを貼り合わせたことを特徴とする。
ここで、書換え可能な光ディスクとしては、相変化光デ
ィスク、光磁気ディスク等がある。前者に用いられる記
録膜には、カルコゲナイド薄膜、つまりGe,Sb,T
e,Sn,In等の元素から構成される薄膜を用いる。
後者に用いられる記録膜には、希土類と遷移金属との合
金薄膜、具体的には希土類としてTb,Gb,Dyなど
と遷移金属としてFe,Co,Ni等とを組み合わせた
薄膜を用いる。
【0039】書換え可能な光ディスクや再生専用光ディ
スクの基板には、ポリカーボネートや、PMMA(ポリ
メチルメタクリレート)を用いる。記録膜の形成は、高
周波スパッタリングや直流スパッタリング法により、効
率良く大量に、しかも再現性よく作製することができ
る。再生専用光ディスクでは、書換え可能な光ディスク
の記録膜に相当する膜として、AlやAu等の高い反射
率を有する膜を基板上に形成する。
【0040】本発明になる光ディスクを用いて、使用者
は、再生専用光ディスク側からアプリケーションプログ
ラムを読み込み、パーソナルコンピュータ内のハードデ
ィスク(磁気ディスク)上に格納することができる。格
納したプログラムを実行しながら、使用者は書換え可能
ディスク側に新たな情報を書き込む。また、消去、再書
き込みを進めることができる。
【0041】前記第5の目的を達成するために本発明
は、レプリカ基板のプリフォーマットパターン形成面に
少なくとも記録層または反射層を含む1層または複数層
の薄膜が被着された2枚の光記録単板を、前記薄膜を内
側にし、かつ前記レプリカ基板同士を接着層を介して貼
り合わせてなる光情報記録媒体、および前記光記録単板
と前記レプリカ基板と同質の材料にて形成された保護板
とを、前記薄膜を内側にし、かつ前記レプリカ基板と保
護板とを接着層を介して貼り合わせてなる光情報記録媒
体において、前記接着層を構成する接着剤中に、シラン
カップリング剤またはチタンカップリング剤を添加し
た。
【0042】また、レプリカ基板のプリフォーマットパ
ターン形成面に少なくとも記録層または反射層を含む1
層または複数層の薄膜が被着された2枚の光記録単板
を、前記薄膜を内側にし、かつ前記レプリカ基板同士を
接着層を介して貼り合わせてなる光情報記録媒体、およ
び前記光記録単板と前記レプリカ基板と同質の材料にて
形成された保護板とを、前記薄膜を内側にし、かつ前記
レプリカ基板と保護板とを接着層を介して貼り合わせて
なる光情報記録媒体において、前記接着層を構成する接
着剤中に、シランカップリング剤またはチタンカップリ
ング剤にて表面処理がなされた無機フィラーを添加し
た。
【0043】前記第6の目的を達成するために本発明
は、前記透明基板と光磁気記録膜との間に、例えばS
i,Zr,Y,Mg,Ti,Ca,Alのグループから
選択された少なくとも1種以上の金属または半金属の酸
化物層と、例えばSi,Zr,Y,Mg,Ti,Ta,
Ca,Alのグループから選択された少なくとも1種以
上の金属または半金属の窒化物層とを、順次形成した。
【0044】前記第1乃至第3の課題解決手段に記載の
発明によると、これらの手段を備えない光磁気記録媒体
に比べて、より小さな外部磁界で補助磁性膜の磁化の方
向、ひいては光磁気記録膜の磁化の方向を上向き又は下
向きにスイッチングできる。よって、媒体の外部磁界感
度が向上し、従来実用化が困難であるとされていた磁界
強度変調方式によるオーバーライト記録が可能になる。
【0045】以下に、光磁気記録膜として、キュリー温
度近傍で遷移金属リッチのフェリ磁性体を用いた場合
と、キュリー温度近傍で希土類リッチのフェリ磁性体を
用いた場合を例にとって、前記第1の目的を達成するた
めに構成された手段の作用をより詳細に説明する。
【0046】希土類−遷移金属系の非晶質合金は、その
磁気的性質として、希土類(重希土類金属)と遷移金属
の持つ部分磁化が反平行になるフェリ磁性を示す。すな
わち、媒体全体の磁化の方向は、希土類の部分磁化と遷
移金属の部分磁化との差として観察され、それらの部分
磁化の大小関係によって、全体の磁化の向きが希土類の
部分磁化方向になったり(RE−rich)、遷移金属
の部分磁化方向になったり(TM−rich)する。ま
た、希土類の部分磁化が遷移金属の部分磁化よりも温度
に対する依存性が大きいために、合金の組成によって
は、室温と磁化を失う特定の温度(キュリー温度)との
間に磁化方向が逆転する補償温度を持ったり、この補償
温度を持たないものになったりする。さらに、媒体の保
磁力も部分磁化の大小関係に依存して変化し、室温でT
M−richの場合には、媒体の保磁力は室温から昇温
するにしたがって漸減し、キュリー温度で保磁力を失
う。一方、室温でRE−richのものの中には、室温
とキュリー温度との間に保磁力が無限大に発散する磁気
補償点が現われ、磁気補償点よりも低い温度ではRE−
rich、磁気補償点よりも高い温度ではTM−ric
hとなるものがある。
【0047】貴金属−遷移金属系の補助磁性膜は、外部
磁界が印加される以前においては、磁化が面内方向(補
助磁性膜の膜面と平行な方向)に向いており、キュリー
温度近傍まで昇温された状態で外部磁界が印加される
と、磁化の方向が面内方向より立ち上がって外部磁界方
向の磁気モーメント成分を生じる。また、外部磁界を取
り除くと、再度磁化の方向が面内方向に復帰する。
【0048】以下、図73に基づいて、少なくともキュ
リー温度の近傍においてTM−richのフェリ磁性体
からなる光磁気記録膜上にこの補助磁性膜を積層してな
る光磁気記録媒体における信号のオーバーライト原理に
ついて説明する。なお、この図において、符号4は光磁
気記録膜を、また符号5は補助磁性膜を示し、光磁気記
録膜4中の白抜き矢印は希土類の部分磁化を、実線矢印
は遷移金属の部分磁化を示している。そして、各矢印の
長さが、各部分磁化の大きさを表わしている。
【0049】図73(1)の状態を消去状態、図73
(2)の状態を記録状態とした場合、図73(1)の消
去状態にある部分に一定強度のレーザビームを照射して
補助磁性層5および光磁気記録膜4をキュリー温度近傍
まで昇温しつつ上向き(正方向)に外部磁界Hを印加し
てゆくと、補助磁性層5の磁化の方向が面内方向より上
向きに立ち上がって外部磁界方向の磁気モーメント成分
を生じる。そして、これによって光磁気記録膜4中の遷
移金属の部分磁化との間の交換結合エネルギーが徐々に
大きくなり、ある特定の大きさの外部磁界を印加した段
階で、光磁気記録膜4中の遷移金属の部分磁化が上向き
に反転し、全体の磁化Mが正となった図73(3)の状
態になる。この状態から外部磁界Hを取り除きかつ補助
磁性膜5および光磁気記録膜4を冷却すると、補助磁性
膜5の磁化の方向が面内方向に復帰し、光磁気記録膜4
の磁化の方向は、上向きに保存される(図73(2)の
状態)。また、図73(2)の記録状態にある部分に一
定強度のレーザビームを照射して補助磁性層5および光
磁気記録膜4をキュリー温度近傍まで昇温しつつ上向き
に外部磁界Hを印加した場合には、もともと光磁気記録
膜4の磁化が上向きになっているので、変化を生じな
い。かように、初期状態における光磁気記録膜4の磁化
状態に拘りなく、前記の操作を行うことによって記録が
行われる。
【0050】一方、図73(2)の記録状態にある部分
に一定強度のレーザビームを照射して補助磁性層5およ
び光磁気記録膜4をキュリー温度近傍まで昇温しつつ下
向き(負方向)に外部磁界Hを印加してゆくと、補助磁
性層5の磁化の方向が面内方向より下向きに立ち上がっ
て外部磁界方向の磁気モーメント成分を生じる。そし
て、これによって光磁気記録膜4中の遷移金属の部分磁
化との間の交換結合エネルギーが徐々に大きくなり、あ
る特定の大きさの外部磁界を印加した段階で、光磁気記
録膜4中の遷移金属の部分磁化が上向きに反転し、全体
の磁化Mが負となった状態になる。この状態から外部磁
界Hを取り除きかつ補助磁性膜5および光磁気記録膜4
を冷却すると、補助磁性膜5の磁化の方向が面内方向に
復帰し、光磁気記録膜4の磁化の方向は、上向きに保存
される(図73(1)の状態)。また、図73(1)の
消去状態にある部分に一定強度のレーザビームを照射し
て補助磁性層5および光磁気記録膜4をキュリー温度近
傍まで昇温しつつ下向きに外部磁界Hを印加した場合に
は、もともと光磁気記録膜4の磁化が下向きになってい
るので、変化を生じない。かように、初期状態における
光磁気記録膜4の磁化状態に拘りなく、前記の操作を行
うことによって消去が行われる。
【0051】図73に示すように、補助磁性膜5と光磁
気記録膜4とを積層してなる光磁気記録媒体は、両膜の
間に作用する交換結合力によって、光磁気記録膜単層か
らなる光磁気記録媒体に比べて、磁化反転を生じる外部
磁界Hの大きさが格段に小さくなる。よって、前記第1
の手段に示した光磁気記録媒体は、小さな外部磁界を用
いて磁界強度変調方式によるオーバーライト記録が可能
になる。なお、前記においては、室温においてもTM−
richである光磁気記録媒体を例にとって説明した
が、室温においてもRE−richであり、室温とキュ
リー温度の間に補償点を有する光磁気記録媒体について
も同様の原理で信号のオーバーライトを行うことができ
る。また前記においては、図73(1)の状態を消去状
態、図73(2)の状態を記録状態としたが、逆に図7
3(1)の状態を記録状態、図73(2)の状態を消去
状態としても、外部磁界Hの印加方向を逆向きとするこ
とによって、前記と同様の原理のもとで信号のオーバー
ライトを行うことができる。次に、図74〜図76に基
づいて、少なくともキュリー温度の近傍においてRE−
richのフェリ磁性体からなる光磁気記録膜上に補助
磁性膜5を積層してなる光磁気記録媒体における信号の
オーバーライト原理について説明する。なお、この図に
おける符号の意味内容は、図73と同じである。
【0052】この光磁気記録媒体は、キュリー温度Tc
以下のある温度Toまでは、図74に示すようなM−H
ループを示すが、その温度To以上、キュリー温度Tc
までの温度範囲においては、図75に示すようなM−H
ループを示す。図75(1)の状態を消去状態、図75
(2)の状態を記録状態とした場合、図75(1)の消
去状態にある部分に媒体温度がTo<T1<Tcとなる
ような強度のレーザビームを照射しつつ上向き(正方
向)に外部磁界Hを印加してゆくと、補助磁性膜5の磁
化の方向が面内方向より上向きに立ち上がって外部磁界
方向の磁気モーメント成分を生じる。そして、これによ
って光磁気記録膜4中の遷移金属の部分磁化との間の交
換結合エネルギーが徐々に大きくなり、ある特定の大き
さの外部磁界Hc1を印加した段階で、光磁気記録膜4
中の遷移金属の部分磁化が上向きに反転し、希土類の部
分磁化が下向きになって全体の磁化Mが下向きとなった
図75(3)の状態になる。この状態から補助磁性膜5
および光磁気記録膜4を冷却しかつ外部磁界Hを取り除
くと、補助磁性膜5の磁化の方向が面内方向に復帰し、
光磁気記録膜4の磁化の方向は、下向きのまま保存され
る(図75(2)の状態)。なお、図75(3)の状態
から、さらに強い外部磁界Hを上向きに印加すると、あ
る特定の大きさの外部磁界Hc2を印加した段階で、補
助磁性層5と光磁気記録膜4との間の界面磁壁に蓄えら
れていた交換結合力に対応するエネルギーよりも外部磁
界Hと光磁気記録膜4との相互作用がもつエネルギーの
方が大きくなり、補助磁性層5の部分磁化が完全に外部
磁界方向に向くと共に、光磁気記録膜4の希土類の部分
磁化が上向きに反転し、図75(4)の状態になる。こ
の状態から補助磁性膜5および光磁気記録膜4を冷却し
かつ外部磁界Hを取り除くと、補助磁性膜5の磁化の方
向が面内方向に復帰し、再度補助磁性層5と光磁気記録
膜4との間の界面磁壁に蓄えられていた交換結合力に対
応するエネルギーの方が外部磁界Hと光磁気記録膜4と
の相互作用がもつエネルギーよりも大きくなって、光磁
気記録膜4の希土類の部分磁化が下向きに反転し、図7
5(2)の状態になる。また、図75(2)の記録状態
にある部分に大きな外部磁界Hを印加した場合にも前記
と同様にして一旦は図75(4)の状態になるが、補助
磁性膜5および光磁気記録膜4を冷却しかつ外部磁界H
を取り除けば、またもとの図75(2)の状態に復帰す
る。かように、初期状態における光磁気記録膜4の磁化
状態に拘りなく、前記の操作を行うことによって記録が
行われる。
【0053】また、図75(1’)の消去状態にある部
分に媒体温度がT1<T2<Tcとなるような強度のレー
ザビームを照射しつつ上向き(正方向)に外部磁界Hを
印加してゆくと、補助磁性層5の磁化の方向が面内方向
より上向きに立ち上がって外部磁界方向の磁気モーメン
ト成分を生じる。そして、これによって光磁気記録膜4
中の遷移金属の部分磁化との間の交換結合エネルギーが
徐々に大きくなり、ある特定の大きさの外部磁界H
1’を印加した段階で、光磁気記録膜4中の遷移金属
の部分磁化が上向きに反転し、希土類の部分磁化が下向
きになって全体の磁化Mが下向きとなった図75
(3’)の状態になる。この図75(3’)の状態から
さらに強い外部磁界Hを上向きに印加すると、ある特定
の大きさの外部磁界Hc2’を印加した段階で、補助磁
性層5と光磁気記録膜4との間の界面磁壁に蓄えられて
いた交換結合力に対応するエネルギーよりも外部磁界H
と光磁気記録膜4との相互作用がもつエネルギーの方が
大きくなり、補助磁性層5の部分磁化が完全に外部磁界
方向に向くと共に、光磁気記録膜4の希土類の部分磁化
が上向きに反転し、図75(4’)の状態になる。この
状態から補助磁性膜5および光磁気記録膜4を冷却しか
つ外部磁界Hを取り除くと、補助磁性膜5の磁化の方向
が面内方向に復帰すると共に、光磁気記録膜4の部分磁
化は図75(4’)の状態のままクエンチされ、図75
の破線部分をジャンプして図75(1’)の消去状態に
戻る。また、図75(2’)の記録状態にある部分に大
きな外部磁界Hを印加した場合にも前記と同様にして一
旦図75(4’)の状態になり、外部磁界Hを取り除き
かつ補助磁性膜5および光磁気記録膜4が冷却された段
階で、図75の破線部分をジャンプして図75(1’)
の消去状態に戻る。かように、初期状態における光磁気
記録膜4の磁化状態に拘りなく、前記の操作を行うこと
によって消去が行われる。
【0054】図75に示すように、高温時(T2 時)に
おいて光磁気記録膜4に磁化反転を生じる外部磁界の大
きさHc2 ’は、高温になることによって光磁気記録膜
4の保磁力が低下していることから、低温時(T1 時)
において光磁気記録膜4に磁化反転を生じる外部磁界の
大きさHc2 に比べて小さくなる。すなわち、Hc2
<Hc2 の関係にあるので、外部磁界H1 をHc2’<
1 <Hc2に調整すると共に、補助磁性層5および光
磁気記録膜4を温度T1まで昇温するようにレーザビー
ムの低レベルのパワーを調整し、補助磁性層5および光
磁気記録膜4を温度T2 まで昇温するようにレーザビー
ムの高レベルのパワーを調整することによって、初期磁
界を必要としない光強度変調方式によるオーバーライト
記録が可能になる。
【0055】上記のオーバーライト記録を実現するに必
要な外部磁界H1 、レーザビームの低レベルのパワー、
それにレーザビームの高レベルのパワーは、以下のよう
にして求めることができる。まず、T0 <T1 <T2
c となるように、適当にレーザビームの低レベルのパ
ワーと高レベルのパワーとを設定する。次に、外部磁界
Hの大きさと印加方向とを種々変えて信号の記録を行
う。この信号記録部から信号を読み出し、外部磁界Hと
再生信号出力値との相関図を描くと、図76(a)およ
び図76(b)のグラフ図が得られる。ここに、温度T
1 で信号の記録が行え、かつ温度T2 では信号の記録が
行えなくなるような外部磁界Hの大きさが、信号のオー
バーライト記録を実現するに必要な外部磁界H1 の大き
さである。外部磁界H1 の値は、温度T1 ,T2 によっ
て変動する。したがって、レーザビームの低レベルのパ
ワーおよび高レベルのパワーを種々変更し、温度T1
2を種々変更しながら上記の試験を繰り返し、最適な
レーザビームを選択する。
【0056】なお、上記のようなオーバーライト記録を
実現するためには、補助磁性膜5のキュリー温度と光磁
気記録膜4のキュリー温度との差が150℃以内に規制
されていることが好ましく、その差が小さいほど好まし
い。また、前記においては、図75(1),(1’)の
状態を消去状態、図75(2),(2’)の状態を記録
状態としたが、逆に、図75(1),(1’)の状態を
記録状態、図75(2),(2’)の状態を消去状態と
しても、外部磁界Hの印加方向を逆向きとすることによ
って、前記と同様の原理のもとで信号のオーバーライト
を行うことができる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下に、前記第1の目的を達成す
るための手段を具体化した実施例について説明する。
【0058】<第1実施例>本発明の第1実施例を図1
〜図5に基づいて説明する。図1は本例に係る光磁気記
録媒体の要部断面図であって、この図に示すように本例
の光磁気記録媒体は、透明基板1のプリフォーマットパ
ターン2形成面に、透明基板1側より、透明基板1より
も高い屈折率を有する無機誘電体からなるエンハンス膜
3と、光磁気記録膜4と、補助磁性膜5と、保護膜6と
を順次積層してなる。
【0059】透明基板1は、例えばポリカーボネート、
ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、エポキシ
などのプラスチック材料や、ガラスなどの透明基板をも
って、ディスク状もしくはカード状など所望の形状に形
成される。
【0060】透明基板1の片面には、レーザスポットを
案内するための案内溝や、この案内溝に沿って画定され
る記録トラックのアドレスなどを表わすプリピット列か
らなるプリフォーマットパターン2が微細な凹凸状に形
成され、トラッキングサーボ信号やプリフォーマット信
号が光学的に読み出せるようになっている。なお、図1
においては、透明基板1の片面にプリフォーマットパタ
ーン2が直接形成されているが、平板状に形成された透
明基板の片面に当該透明基板と屈折率が近似した光硬化
性樹脂層を設け、この光硬化性樹脂層の表面に前記プリ
フォーマットパターン2を転写することもできる。
【0061】エンハンス膜3は、光磁気記録膜4と透明
基板1との間で再生用光ビームを多重干渉させ、見掛け
上のカー回転角を大きくするために設けられるものであ
って、シリコン、アルミニウム、ジルコニウム、チタ
ン、タンタルの窒化物や酸化物など、屈折率が前記透明
基板1よりも大きな無機誘電体からなり、600〜10
00Åの膜厚に形成される。該エンハンス膜3の成膜手
段としては、スパッタリングが特に好適である。
【0062】光磁気記録膜4は、フェリ磁性を有する希
土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜にて形成される。
希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜としては、下記
の一般式で表わされるものが特に好ましい。
【0063】一般式;Tbx Fe(100-x-y-z)CoYZ 但し、15原子%≦x≦30原子% 5原子%≦y≦15原子% 0原子%≦x≦10原子% Mは、Nb,Cr,Ptから選択された少なくとも1種
類の元素。この垂直磁化膜は、組成を種々変更すること
によって、少なくともキュリー温度直下でTM−ric
hのものとしたり、あるいはRE−richのものにす
ることができる。この垂直磁化膜は、TbとFeとCo
と添加元素Mとの合金、またはこれらの元素を含む焼結
体にて形成されたターゲツトをスパッタリングすること
によって、200〜500Åの膜厚に形成される。
【0064】補助磁性膜5は、再生用光に対する反射率
が70%以上で、かつ常温における熱伝導率が0.05
〜2.0W/cm・degの範囲に規制された材料から
形成される。その膜厚は、200〜400Åの範囲が適
当である。すなわち、本例の光磁気記録媒体は、光磁気
記録膜4を透過した再生用光を補助磁性膜5によって透
明基板1側に戻し、入射光および戻り光が光磁気記録膜
4を透過する際に受けるファラデー効果によって見掛け
上のカー回転角を増大させ、もって再生CN比の改善を
図ることを特徴の1つとするものであるので、再生用光
に対する反射率は高いほど良好な結果を得ることができ
るのであって、少なくとも再生用光に対して70%以上
の反射率を有することがより好ましい。
【0065】また、補助磁性膜5の熱伝導率が低すぎる
と、情報の記録または消去の際に光磁気記録層4が過剰
に加熱され、これが繰り返されることによって光磁気記
録層4が変質(例えば、非晶質垂直磁化膜が結晶化する
等)したり、透明基板1のプリフォーマットパターン2
が変形したりしやすく、再生出力レベルが短期間のうち
に低下するといった不都合を生じる。一方、補助磁性膜
5の熱伝導率が高すぎると、光磁気記録層4を情報の記
録または消去に必要な温度まで昇温することが難しくな
り、記録感度が低下したり、既記録信号の消え残りによ
る記録/再生エラーが増加するので、大パワーのレーザ
光源を搭載しなくてはならなくなるといった不都合を生
じる。
【0066】図2に、補助磁性膜5の熱伝導率と、記録
/消去動作を104 回繰り返した後の再生出力の低下、
および情報の記録/消去動作に要するレーザパワーとの
関係を示す。この図から明らかなように、補助磁性膜5
として熱伝導率が0.05W/cm・deg以下のもの
を用いると、記録/消去動作を104 回繰り返した後の
再生出力が急激に低下し、実用性がないことがわかる。
また、補助磁性膜5として熱伝導率が2.0W/cm・
deg以上のものを用いると、情報の記録/消去に10
mW(膜面)以上のレーザパワーが必要となり、やはり
実用化が難しくなることがわかる。これらのデータか
ら、補助磁性膜5の熱伝導率が前記の範囲に決められ
る。
【0067】補助磁性膜5の具体例としては、Pt,A
l,Ag,Au,Cu,Rhなどの貴金属元素群から選
択された少なくとも1種類の元素と、Fe,Co,Ni
などの遷移金属元素群から選択された少なくとも1種類
の元素との合金薄膜を挙げることができる。なお、貴金
属−遷移金属系の補助磁性膜は、組成を調整することに
よって、外部磁界が印加される以前においては磁化が面
内方向(補助磁性膜の膜面と平行な方向)に向いてお
り、キュリー温度近傍まで昇温された状態で外部磁界が
印加されると磁化の方向が面内方向より立ち上がって外
部磁界方向の磁気モーメント成分を生じ、外部磁界を取
り除くと再度磁化の方向が面内方向に復帰するものを作
製できる。したがって、この種の補助磁性膜5は、構成
元素が同一であっても、その含有比率によって、既記録
信号を完全に消去するに要する外部磁界の大きさが変動
する。
【0068】図3に、CoPt合金薄膜を例にとって、
薄膜中のPt含有率と消去方向磁界との関係を示す(膜
厚は、200Å)。ここに、消去方向磁界とは、消去方
向に外部磁界を印加しつつ情報の記録を行ったときに、
記録が行えなくなる最小の磁界であり、およそ既記録信
号を完全に消去するに要する外部磁界の大きさを表わ
す。図3から明らかなように、CoPt合金薄膜におい
ては、消去方向磁界が最小となるPt含有率がある。ド
ライブ側からの要請により、ドライブに搭載可能な外部
磁界はせいぜい300[Oe]であり、この外部磁界に
よって既記録信号を完全に消去するためには、CoPt
合金薄膜のPt含有率を60〜95原子%に調整する必
要があることがわかる。
【0069】保護層6は、前記エンハンス層3と同様の
無機誘電体、または光硬化性樹脂などの有機材料をもっ
て形成される。保護層材料として無機誘電体を用いる場
合には、500〜2000Åの膜厚に形成される。
【0070】以下に、より具体的な実験例と比較例とを
示し、両者の記録・消去特性を比較する。
【0071】<実験例1>射出成形されたポリカーボネ
ート基板のプリフォーマットパターン形成面に、800
ÅのSiONエンハンス層と、500ÅのTb18Fe67
Co10Cr5 非晶質垂直磁化膜と、200ÅのPt80
20補助磁性膜と、1000ÅのSiON保護層とを順
次スパッタリングして、図4(a)の光磁気記録媒体を
作成した。ここに、前記Pt80Co20補助磁性膜は、当
該補助磁性膜のキュリー温度直下で膜面に垂直な方向の
成分を有して印加された外部磁界により磁気モーメント
が回転して外部磁界方向の成分を生じ、かつ前記光磁気
記録膜に対して交換結合力を及ぼすものとなり、再生用
光に対する反射率が70%以上となっている。さらに、
膜厚を200Åに調整したので、常温における熱伝導率
が0.05〜2.0W/cm・degになっている。一
方、前記Tb18Fe67Co10Cr5 非晶質垂直磁化膜
は、当該光磁気記録膜のキュリー温度直下においてTM
−richであって、外部磁界を印加して前記補助磁性
膜の磁気モーメントが外部磁界方向の成分を有した際に
両膜の遷移金属がもつ部分磁化の磁気モーメントとの間
に交換結合力が作用して、光磁気記録膜の磁化の方向が
外部磁界の方向に向けられるものになっている。
【0072】<比較例1>射出成形されたポリカーボネ
ート基板のプリフォーマットパターン形成面に、800
ÅのSiONエンハンス層と、500ÅのTb18Fe67
Co10Cr5 非晶質垂直磁化膜と、1000ÅのSiO
N保護層とを順次スパッタリングして、図4(b)の光
磁気記録媒体を作成した。
【0073】図5に、実験例1に係る光磁気記録媒体の
記録・消去特性と、比較例1に係る光磁気記録媒体の記
録・消去特性とを示す。ここにいう記録・消去特性と
は、記録時に印加する外部磁界の大きさおよび方向を変
化させたときの再生CN比の変化をいい、図5の横軸に
は記録時に印加する外部磁界の大きさおよび方向が目盛
られ、縦軸には再生CN比が目盛られている。
【0074】この図から明らかなように、比較例1の光
磁気記録媒体は、約500[Oe]の外部磁界を記録方
向に印加しなければ再生CN比が飽和値に達しないのに
対し、実験例1の光磁気記録媒体は、約50[Oe]の
外部磁界を記録方向に印加するだけで再生CN比が飽和
値に達する。このことから、実験例の光磁気記録媒体
は、より小さな外部磁界で完全な記録を行えることがわ
かる。また、比較例1の光磁気記録媒体は、消去方向に
約620[Oe]の外部磁界を印加しなければ再生CN
比をゼロにすることができないのに対し、実験例1の光
磁気記録媒体は、約80[Oe]の外部磁界を消去方向
に印加するだけで再生CN比をゼロにすることができ
る。このことから、実験例1の光磁気記録媒体は、より
小さな外部磁界で完全な消去を行えることがわかる。か
ように、実験例1の光磁気記録媒体は、100[Oe]
程度の小さな外部磁界で情報の記録と再生とを行うこと
ができるので、作用の欄に示した原理に基づいて、磁界
変調方式によるオーバーライトが可能である。また、再
生CN比の飽和値は、実験例1の光磁気記録媒体および
比較例1の光磁気記録媒体ともにほぼ同じ値になってお
り、充分な高CN比を帯有していることがわかる。
【0075】なお、前記第1実施例においては、透明基
板1と光磁気記録膜4との間にエンハンス膜3を介設し
たが、補助磁性膜5の反射率が高く、充分な再生CN比
を得られる場合には、これを省略することもできる。
【0076】また、前記第1実施例においては、媒体の
最外面に保護膜6を配設したが、補助磁性膜5として耐
食性に優れたものを用いる場合には、これを省略するこ
ともできる。
【0077】さらに、前記第1実施例においては、光磁
気記録膜4の背面側に補助磁性膜5を直接積膜したが、
これら光磁気記録膜4と補助磁性膜5との間に、エンハ
ンス膜3と同様の無機誘電体からなる第2エンハンス膜
を設けることもできる。
【0078】<第2実施例>本発明の第2実施例を図6
〜図7に基づいて説明する。図6に示すように、本例の
光磁気記録媒体は、補助磁性膜5の表面に、前記第1実
施例における保護層6に代えて、反射膜及び保護膜を兼
ねる熱制御層8を積層したことを特徴とする。その他に
ついては、前記第1実施例の光磁気記録媒体と同じであ
るので、対応する部分に同一符号を表示して説明を省略
する。
【0079】熱制御層8は、[Al,Ag,Au,C
u,Be]元素群から選択された1種類以上の金属元素
と、[Cr,Ti,Ta,Sn,Si,Rb,Pe,N
b,Mo,Li,Mg,W,Zr]元素群から選択され
た1種類以上の金属元素との合金で構成されている。特
に、Tiを6〜10原子%含有したAlTi合金からな
り、膜厚が500〜1000Åの範囲に規制されたもの
は好適である。
【0080】光磁気記録膜4の材料としてTbFeCo
合金を用いた場合、前記組成の合金のキュリー点が約2
00℃であることから、情報の記録または消去時、レー
ザ光照射領域における膜内温度を200℃以上に昇温さ
せる必要がある。記録レーザ光により光磁気記録膜4が
その熱的状態に到達した際、レーザ光照射の中心部は膜
内で最高の温度となる。すなわち、例えば図7に示すよ
うに、一定サイズ(例えば直径が0.8μm)の記録ピ
ツトを形成しようとする場合、その径の内部を200℃
以上に昇温させる必要がある。すなわち、直径0.8μ
mの円周の線が200℃の等温線となり、それより内側
は必然的に200℃以上になる。
【0081】このとき、熱制御層8の熱伝導性によって
レーザ光照射の中央部の温度に差が生じる。同図の曲線
は温度分布を模式的に示す曲線で、点線の曲線Bは熱伝
導性が比較的よい熱制御層8を使用した場合、実線の曲
線Aは熱伝導性が比較的悪い熱制御層8を使用した場合
の特性曲線である。この図から明らかなように、熱制御
層8の熱伝導性の違いにより、レーザ光照射部分におけ
る中央部の温度に差が生じる。換言すれば、光磁気記録
膜4の最高温度は、熱制御層8の熱伝導性(熱伝導率、
膜厚など)によってコントロールすることができる。
【0082】前述のように光磁気記録膜としてTbFe
Co合金を用い、金属保護膜としてAlTi合金を使用
して、光磁気記録膜の最高温度に対する熱制御層中のT
i含有率の依存性について検討した結果を図8に示す。
【0083】図中の横軸にAlTi合金中におけるTi
含有率を、縦軸にレーザ光照射部分における中央部温度
を、それぞれ示している。なお、この中央部温度は、膜
面温度が200℃以上の領域を直径1μmとした時の中
央部温度である。
【0084】前述のように、TbX Fe(100-X-Y-Z)
YZ 系の光磁気記録膜においては、レーザ光照射部
分が300℃以上になると結晶化が進行して記録、再生
特性に悪影響を及ぼすことから、300℃以上にならな
いように温度コントロールをする必要がある。そのため
には、図8から明らかなように、AlTi合金中におけ
るTi含有率を10原子%以下に規制する必要がある。
【0085】図9は、AlTi合金中のTi含有率をそ
の合金の常温における熱伝導率Kとの関係を示す図であ
る。この図から明らかなように、Ti含有率によってA
lTi合金の熱伝導率Kが変化し、Ti含有率が10原
子%ということは、熱伝導率Kが0.13W/cm・d
eg以上となる。
【0086】本発明者らの種々の実験結果から、この熱
制御層の常温における熱伝導率Kが2.0≧K≧0.1
W/cm・degの範囲に規制する必要があることを発
見した。熱制御層の常温における熱伝導率Kが2.0W
/cm・degを越えると、熱拡散が早すぎて、記録、
消去に際して高いレーザパワーが必要となり、不経済で
ある。一方、熱制御層の常温における熱伝導率Kが0.
1W/cm・deg未満になると、反対に熱拡散が遅す
ぎて、記録、再生を繰り返しているうちに記録膜の非晶
質構造の緩和が生じ、結晶化してしまう。したがって熱
制御層の常温における熱伝導率Kは、2.0≧K≧0.
1W/cm・degの範囲に規制する必要があり、特に
0.25≧K≧0.14W/cm・degの範囲に規制
されたものは好適である。
【0087】図10は、AlTi合金中のTi含有率
と、記録、消去サイクル後における搬送波レベルの低下
との関係を示す図である。なお、前記AlTi合金の膜
厚は750Åとし、記録と消去を10,000回繰り返
した後、記録、再生した信号の搬送波レベルの低下状態
を示したものである。
【0088】この図からも明らかなように、AlTi合
金中のTi含有率が10原子%を少し越えると搬送波レ
ベルの低下が生じており、これは記録膜の非晶質構造の
緩和が生じ、結晶化が進行したものであると推測され
る。
【0089】この光磁気記録媒体においては、基板上の
各膜の厚みは通常下記のとおりである。 第1エンハンス膜……600〜1000Å 光磁気記録膜 ……200〜 500Å 第2エンハンス膜…… 0〜 400Å。
【0090】このように構成された光磁気記録媒体の場
合、記録、消去過程で必要とするレーザパワーの制御
は、前記熱制御層の調整で行うことができる。
【0091】膜面到達パワーで5〜10mWのレーザパ
ワー{5インチの光磁気ディスクを2400rpm(線
速7.5〜15m/秒)で回転}により記録、消去が行
われ、1〜3mWのレーザパワーで再生が行えるために
は、熱制御層の膜厚とAlTi合金中のTi含有率は図
15のA領域にある必要がある。このA領域の上限以上
では、線速15m/秒で消去を行う場合(トラックオフ
セットマージンまでを考慮すると)10mW以上のレー
ザパワーを必要とする。また、A領域の下限以下では、
1〜3mWのレーザパワーで信号を再生した際にデータ
破壊が起こる危険性がある。
【0092】またこの熱制御層は、記録膜を保護する機
能も担っており、その効果は熱制御層の組成と膜厚とに
よって異なる。AlTi合金においては、80℃、90
%RHの環境下で1000時間でエラーレートが1×1
6以下のままである組成、ならびに膜厚は図15のC
領域である。AlTi合金中におけるTi含有率が6原
子%以上の領域では、熱制御層の膜厚が500Å以上あ
れば安定した保護効果を有することが確認されている。
これはTiによる防蝕効果の現われであり、Tiの含有
率が6原子%未満であると防蝕効果が必ずしも充分でな
い。よって、AlTi合金中におけるTi含有率は6原
子%以上、膜厚が500Å以上に規制する必要がある。
【0093】以上のことから、熱制御層のAlTi合金
中におけるTi含有率は6〜10原子%、膜厚を500
Å以上に規制することにより、記録、消去サイクルに対
する耐久性、記録、消去、再生パワー特性、ならびに記
録膜の保護効果に優れた光磁気記録媒体を得ることがで
きる。
【0094】図11ならびに図12は、本発明の具体例
を示す図で、図11はエアサンドイッチ形の光磁気記録
媒体、図12は密着貼り合わせ形の光磁気記録媒体を示
し、図中の11,12は記録ディスク単板、13は図6
に示す各膜3〜6の積層膜、14は空隙、15は内周ス
ぺーサ、16は外周スぺーサ、17は接着剤層を表示し
ている。
【0095】前記実施例では、熱制御層としてAlTi
合金の場合について説明したが、[[Al,Ag,A
u,Cu,Be]元素群から選択された少なくとも1種
類の金属元素と、[Cr,Ti,Ta,Sn,Si,R
b,Pt,Nb,Mo,Mg,W,Zr]元素群から選
択された少なくとも1種類の金属元素との合金におい
て、熱伝導率Kを2.0≧K≧0.1W/cm・deg
とした熱制御層であれば、前記実施例と同様の効果が得
られる。
【0096】図16は、本発明が適用できるAlAg合
金組成とその合金の熱伝導率との関係を示す特性図、図
17は、CuTi合金組成とその合金の熱伝導率との関
係を示す特性図である。これらAlAg合金ならびにC
uTi合金を熱制御層として使用し、その熱伝導率の範
囲を規制することにより、同様の効果を得ることができ
る。
【0097】<第3実施例>本発明の第3実施例を図1
8〜図24に基づいて説明する。本例の光磁気記録媒体
は、前記第1および第2実施例における光磁気記録膜の
組成を変更することによって、光磁気記録膜の外部磁界
感度を向上したことを特徴とするものである。したがっ
て、光磁気記録膜以外の部分については、前記第1およ
び第2実施例と同じであるので、説明を省略する。
【0098】本例の光磁気記録膜は、膜中に窒素(N)
または酸素(O)のいずれか一方、もしくはNとOの双
方が総量で0.1〜5.0原子%混入された希土類−遷
移金属系の非晶質垂直磁化膜からなり、200〜500
Åの膜厚に形成される。すなわち従来は、光磁気記録膜
内に混入したNおよびOは不純物であると認識されてお
り、光磁気記録膜内へのNおよびOの混入を防止する方
向で技術的な検討が行われていたが、本願発明者らは、
希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜中に混入される
NあるいはOの混入率と残留カー回転角との関係、前記
混入率と垂直磁気異方性定数との関係、前記混入率とC
N比との関係等について研究した結果、カー回転角を低
下することなく、垂直磁気異方性エネルギーのみを低下
できるN,Oの適正混入率範囲があるという事実を知得
した。本願発明者らの研究によると、希土類−遷移金属
系の非晶質垂直磁化膜中に、NまたはOもしくはNおよ
びOを0.1〜5.0原子%の範囲で混入すると、カー
回転角を低下することなく、垂直磁気異方性エネルギー
のみを低下することができ、光磁気記録膜の外部磁界感
度を高めることができる。本例における光磁気記録膜中
のN,O混入率は、このような知見に基づいて決定され
たものである。希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜
としては、公知に属する任意の組成のものを用いること
ができるが、希土類(例えば、Tb,Gd,Nb,D
y)と、遷移金属(例えば、Fe,Co,Ni)と、添
加元素(例えば、Cr,Ti,Nb)とを含む3元合金
系が特に好ましい。
【0099】以下に、この光磁気記録膜の形成方法を列
挙する。
【0100】(a)透明基板上に第1エンハンス膜を成
膜した後、希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜を適
宜の方法で成膜した後、前記非晶質垂直磁化膜を、真空
度が1.0×105 〜1.0×103 Paに調整された
真空容器中で、5〜90分間、20〜120℃に加熱
し、非晶質垂直磁化膜を窒化または酸化して所望の光磁
気記録膜とする。
【0101】(b)透明基板上に第1エンハンス膜を成
膜した後、希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜を
0.1〜5.0%の分圧のNまたはOもしくはNとOの
混合ガスを含む雰囲気中で成膜し、この成膜過程で希土
類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜を窒化または酸化し
て所望の光磁気記録膜とする。
【0102】前記(b)に挙げた0.1〜5.0%の分
圧のNまたはOもしくはNとOの混合ガスを含む雰囲気
を作る方法としては、以下のような方法がある。
【0103】(1)真空容器を105 Paオーダーの高
真空度まで真空引きした後、当該真空容器中にNまたは
OもしくはNとOの混合ガスを供給し、成膜工程中の真
空容器内のNまたはOもしくはNとOの混合ガスの分圧
を0.1〜5.0%に調整する。
【0104】(2)希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁
化膜の成膜に先立って行われる真空引きで、真空容器中
の真空度を1.0×104 〜5.0×104 Paに調整
し、真空容器中に0.1〜5.0%の分圧の空気を残留
させる。
【0105】なお、希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁
化膜を成膜する方法としては、スパッタリング、イオン
プレーティング、真空蒸着など、任意の真空成膜法を適
用することができる。
【0106】図18に光磁気記録膜4中のN混入率およ
びO混入率と垂直磁気異方性定数との関係を、また図1
9に光磁気記録膜4中のN混入率およびO混入率と残留
カー回転角との関係を示す。
【0107】図18に示すように、光磁気記録膜の垂直
磁気異方性定数Kuは、NまたはOの混入によって敏感
に減少し、NまたはOの混入率が大きくなるに従って漸
次減少する。そして、NまたはOの混入率が5.0原子
%を越えると、反磁界以下となり、磁気モーメントが面
内に傾くようになる。
【0108】一方、図19に示すように、残留カー回転
角は窒素および酸素の混入に対して比較的安定であり、
混入率が0〜5.0原子%の範囲では、ほとんど低下し
ないので実用的に優れている。
【0109】図21、図22、図23に、光磁気記録膜
4中のN混入率およびO混入率と、再生CN比、飽和記
録磁界、消去比が−40dBとなる外部磁界の大きさ、
すなわち消去磁界との関係を示す。ただし、試料として
は、図20の膜構造を有するディスク状磁気記録媒体を
用いた。
【0110】かように、図21、図22、図23のデー
タは、図18、図19に示したデータと対応しており、
N混入率、O混入率が0〜5%の範囲で最も特徴的な効
果が得られる。
【0111】以下に、実験例および比較例を挙げ、各例
の光磁気記録媒体の再生CN比、飽和記録磁界、消去磁
界、それに光磁気記録膜中のN混入率およびO混入率を
示す図24に、前記実験例5〜9および比較例2に係る
光磁気記録媒体の製造方法の概略と、各方法によって製
造された光磁気記録媒体の再生CN比、飽和記録磁界、
消去磁界、それに光磁気記録膜中のN混入率およびO混
入率を示す。但し、試料としては、ポリカーボネート基
板のプリフォーマットパターン形成面に、膜厚が800
ÅのAlSiONエンハンス膜と、膜厚が250ÅのT
bFeCo光磁気記録膜が夫々スパツタリングされた光
磁気ディスクを用いた。
【0112】この図から明らかなように、実験例5〜9
の光磁気記録媒体は、再生CN比が比較例2(従来例)
の光磁気記録媒体と同程度であるのに対し、飽和記録磁
界は従来例の50%程度に低下し、消去磁界は従来例の
40%に低下している。したがって、情報の記録および
消去に必要な外部磁界の小型化、軽量化を図ることがで
き、マグネット電源部の簡素化、消費電力の低減、記録
/再生装置の小型化、それに記録、消去動作の高速化な
どを図ることができる。また、媒体側から見れば、外部
磁界と光磁気記録媒体との距離変動や発熱による磁場の
変動に対して大きな余裕をもたせることができ、信頼性
に優れた光磁気記録媒体とすることができる。
【0113】なお、前記第3実施例においては、基板の
プリフォーマットパターン形成面に第1エンハンス膜
と、光磁気記録膜と、第2エンハンス膜と、熱拡散膜と
が積層された光磁気記録媒体を例にとって説明したが、
本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、少なく
とも光磁気記録膜を有するものであれば、任意の膜構造
を有する光磁気記録媒体に応用することができる。
【0114】<第4実施例>本発明の第4実施例を図2
5〜図30、および図35に基づいて説明する。本例の
光磁気記録媒体も、前記第1および第2実施例における
光磁気記録膜の組成を変更することによって、光磁気記
録膜の外部磁界感度を向上したことを特徴とするもので
ある。図25は本例に係る光磁気記録媒体の要部断面図
であって、この図に示すように本例の光磁気記録媒体
は、透明基板1のプリフォーマットパターン2形成面
に、透明基板1側より、エンハンス膜3と、光磁気記録
膜4と、補助磁性膜5と、保護膜10とを順次積層して
なる。なお、透明基板1、プリフォーマットパターン
2、エンハンス膜3、光磁気記録膜4については、前記
第1実施例と同じであるので、説明を省略する。また、
必要に応じて、保護膜10上に反射膜を積層することも
できる。
【0115】前記補助磁性膜9としては、例えば貴金属
(Au,Pt,Ag,Cu,Rh,Pdなど)と遷移金
属(Fe,Co,Ni,Mn,Crなど)との合金、具
体的にはPtCo合金、AgCo合金、PdCo合金、
RhCo合金、RhFe合金、AgFe合金などの合
金、あるいはAlCo合金、AlFe合金などの強磁性
体、あるいはFe34 などの各種フェライト、鉄ガー
ネット、クロマイト、希土類−遷移金属合金などのフェ
リ磁性体あるいはこれら磁性金属とそれの酸化物または
窒化物との混合体からなり、そのキュリー温度と前記光
磁気記録膜4のキュリー温度との差が150℃以内に調
整されたものが用いられる。なお、補助磁性膜5の膜厚
は20〜1000Å、より好ましくは300〜500Å
である。また、この補助磁性膜5は、前記光磁気記録膜
4に対して基板側に設けることもできるし、その反対側
に設けることもできる。さらには、前記光磁気記録膜4
の中間に設けることもできる。
【0116】前記光磁気記録膜4のキュリー温度との差
が150℃以内であるキュリー温度を有する補助磁性膜
5を前記光磁気記録膜4と接触するように形成すれば、
光磁気記録膜4と補助磁性膜5との間に磁気的な相互作
用が生じ、磁界強度変調方式による信号のオーバーライ
トが実現可能となる。
【0117】図27は、CoPt合金膜中におけるPt
の含有率とその合金膜のキュリー温度(Tc )との関係
を示す特性図である。この図に示すように、Ptの含有
率を調整することにより、その合金膜のキュリー温度T
cを任意に変更することが可能である。
【0118】図26は、補助磁性膜9のキュリー温度と
必要消去磁界との関係を示す特性図である。すなわち、
光磁気記録膜4として膜厚が300ÅのTbFeCo合
金膜を形成し、その上に補助磁性膜9として膜厚が50
0ÅのCoPt合金膜を形成した。そして、補助磁性膜
9の合金組成比を変えることにより、それのキュリー温
度を10〜600℃の範囲で変化させた。このとき、光
磁気記録膜4のキュリー温度は200℃とした。
【0119】このような光磁気記録媒体を使用して、消
去方向に外部磁界を印加しつつ情報の記録を行い、記録
が行える最小限の磁界強度を測定し、それを必要消去磁
界とした。この必要消去磁界は、既記録信号を完全に消
去するに必要な外部磁界の大きさに相当する。
【0120】磁界強度変調方式によるオーバーライトを
行う場合、記録再生装置側からの要請により、その装置
に搭載可能な外部磁界はせいぜい200[Oe]程度で
ある。この図26の結果から明らかなように、キュリー
温度が360℃を越えると外部磁界遮蔽を生じ、またキ
ュリー温度が50℃未満であると光磁気記録膜4と補助
磁性膜9との磁気的相互作用がほとんど生じない。その
結果、必要消去磁界は200[Oe]を越えてしまい、
実用的でない。
【0121】これに対して、光磁気記録膜4と直接接触
し、そのキュリー温度が50〜350℃の範囲である補
助磁性膜9を形成すれば、200[Oe]以下の小さな
外部磁界で完全な情報の消去が可能となる。特に、補助
磁性層9のキュリー温度を100〜300℃の範囲に規
制すれば、100[Oe]以下の外部磁界で完全な情報
の消去が可能であることがわかる。
【0122】光磁気記録膜4としてTbの含有率が23
重量%、Feの含有率が66重量%、Coの含有率が1
1重量%の組成を有するTbFeCo系合金を使用し、
補助磁性膜9としてPtの含有率が80重量%、Coの
含有率が20重量%の組成を有するPtCo系合金を使
用した場合、光磁気記録膜4のキュリー温度は200℃
で補助磁性膜9のキュリー温度は180℃となり、光磁
気記録膜4と補助磁性膜9とのキュリー温度差は20℃
である。
【0123】図28に、図25に示した本発明の実施例
に係る光磁気記録媒体と、補助磁性膜9を有しない従来
の光磁気記録媒体の記録、消去特性を比較して示す。こ
こでいう記録、消去特性とは、記録時に印加する外部磁
界の大きさおよび方向を変化させたときの再生CNの変
化をいう。なお、図中の曲線Aが本発明の実施例に係る
光磁気記録媒体の特性曲線で、曲線Bが従来の光磁気記
録媒体の特性曲線である。
【0124】この図から明らかなように、従来の光磁気
記録媒体(曲線B)は約330[Oe]以上の外部磁界
を記録方向に印加しなければ再生CN比が飽和値に達し
ないのに対して、本発明の実施例に係る光磁気記録媒体
(曲線A)は約100[Oe]の外部磁界を記録方向に
印加するだけで再生CN比が飽和値に達する。このこと
からも本発明の光磁気記録媒体は、より小さな外部磁界
で完全な記録が行えることがわかる。また、従来の光磁
気記録媒体(曲線B)は約600[Oe]以上の外部磁
界を消去方向に印加しなければ再生CN比をゼロにする
ことができないのに対して、本発明の実施例に係る光磁
気記録媒体(曲線A)は約50[Oe]の外部磁界を消
去方向に印加するだけで再生CN比をゼロにすることが
できる。このことからも本発明の光磁気記録媒体は、よ
り小さな外部磁界で完全な消去が行えることがわかる。
従って、本発明の光磁気記録媒体は、外部磁界変調方式
による情報のオーバーライトが確実に行える記録、消去
特性を有していることが立証できる。
【0125】図29ならびに図30は、本実施例の変形
例を示す要部拡大断面図である。これらの図において、
1は透明基板、3はエンハンス膜、4は光磁気記録膜、
12は保護膜、11は反射膜、9は補助磁性膜である。
図29の実施例の場合、補助磁性膜9がエンハンス膜3
と光磁気記録膜4との間に形成されている。一方、図3
0の実施例の場合、補助磁性膜9が光磁気記録膜4の両
面に形成されている。
【0126】また、光磁気記録膜4の組成を調整し、少
なくともキュリー温度直下でRE−richとなる光磁
気記録膜4を用いれば、光強度変調方式によるダイレク
トオーバーライトも可能となる。すなわち、前記したよ
うに、希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜は、組成
を種々変更することによって、少なくともキュリー温度
直下でTM−richのものとしたり、あるいはRE−
richのものにすることができる。そして、少なくと
もキュリー温度直下においてRE−richである光磁
気記録膜に接して前記第1実施例または第4実施例に示
した補助磁性膜5を積層し、外部磁界の大きさおよびレ
ーザパワーを適宜選択することによって、作用の欄に示
した原理に基づいて、光強度変調方式によるダイレクト
オーバーライトを行うことができる。図31に、光強度
変調方式によるダイレクトオーバーライトが可能な光磁
気記録媒体の構成の一例を示す。
【0127】<第5実施例>本実施例の光磁気記録媒体
は、膜面と垂直な方向に対して傾斜した方向の磁気モー
メント成分を有し、かつ当該磁性膜をそのキュリー温度
近傍まで加熱したとき、前記傾斜した磁気モーメント成
分と膜面に対して垂直な方向の磁気モーメント成分が共
に消失する希土類−遷移金属合金系の磁性膜を前記光磁
気記録膜4として設けたことを特徴とする。
【0128】図37(a)〜(j)に、膜面と垂直な方
向に対して傾斜した方向の磁気モーメント成分を有する
光磁気記録膜を例示する。この図において、矩形で示す
のは光磁気記録膜たる磁性膜であり、磁性膜中の矢印は
各部分における磁気モーメントの向きを示している。磁
性膜を示す矩形の下辺は透明基板側の界面であり、上辺
は反射膜側の界面である。
【0129】同図に示すように、本発明の光磁気記録媒
体は、光磁気記録膜が単層にて形成されている。そし
て、図37(a)の光磁気記録膜は、透明基板側の界面
から膜厚方向の略中央部分までは磁気モーメントが垂直
上向きに向いており、そこから上の部分では磁気モーメ
ントが斜め上向きに向き、反射膜側の界面では磁気モー
メントが面内方向に向いている。図37(b)の光磁気
記録膜は、透明基板側の界面に極く近い部分では磁気モ
ーメントが面内方向に向いており、そこから上の部分で
は磁気モーメントが斜め上向きに向き、膜厚方向の略中
央部分では磁気モーメントが垂直上向きに向いている。
さらにそこから上の部分では磁気モーメントが逆方向に
傾斜し、反射膜側の界面では磁気モーメントが面内方向
に向いている。図37(c)の光磁気記録膜は、透明基
板側の界面に極く近い部分では磁気モーメントが垂直上
向きに向いており、そこから上の部分では磁気モーメン
トが斜め上向きになり、膜厚方向の略中央部分では磁気
モーメントが面内方向に向いている。さらにそこから上
の部分では磁気モーメントが再度同一方向に傾斜し、反
射膜側の界面では磁気モーメントが垂直上向きに向いて
いる。図37(d)の光磁気記録膜は、透明基板側の界
面部分から反射膜側の界面部分まで、磁気モーメントが
一律に斜め上向きに向いている。図37(e)の光磁気
記録膜は、透明基板側の界面部分から反射膜側の界面部
分まで、磁気モーメントが螺旋状に回転している。図3
7(f)の光磁気記録膜は、斜め右上向きの磁気モーメ
ントと斜め左上向きの磁気モーメントとが、膜厚方向に
交互に形成されている。図37((g)の光磁気記録膜
は、透明基板側の界面に極く近い部分では磁気モーメン
トが面内方向に向いており、そこから上の部分では磁気
モーメントが順次右回りに旋回して遂には垂直上向きに
なる。さらにそこから上の部分では磁気モーメントが同
一方向に旋回し、膜厚方向の略中央部分では磁気モーメ
ントが面内方向に向いている。さらにそこから上の部分
では磁気モーメントが逆向きに旋回し、遂には垂直上向
きになる。さらにそこから上の部分では磁気モーメント
が逆向きに旋回し、反射膜側の界面では磁気モーメント
が面内方向に向いている。図37(h)の光磁気記録膜
は、透明基板側の界面から略中央部分では磁気モーメン
トが垂直上向きに向いており、反射膜側の界面近傍では
磁気モーメントが斜め上向きに傾斜している。図37
(i)の光磁気記録膜は、透明基板側の界面付近では磁
気モーメントが斜め上向きに傾斜しており、略中央部か
ら反射膜側の界面までの部分では磁気モーメントが垂直
上向きに向いている。図37(j)の光磁気記録膜は、
透明基板側の界面から略中央部までは磁気モーメントが
垂直上向きに向いており、それより反射膜側の界面まで
の部分では磁気モーメントが斜め下向きに傾斜してい
る。
【0130】これらの図から明らかなように、本発明の
磁性膜は単層構造になっており、その中で磁化モーメン
トが垂直又は斜めもしくは面内方向に向く部分を有する
のであって、垂直磁化膜と面内磁化膜とを積層したもの
とは根本的に異なっている。図37(a)〜(j)に掲
げた各光磁気記録膜のうち、膜厚方向に磁気モーメント
が膜面と垂直でない方向に向く部分と膜面と垂直に向く
部分とを有する光磁気記録膜にあっては、光磁気記録膜
をキュリー温度近傍まで加熱したときに、膜面と垂直で
ない方向に向く磁気モーメントが、前記膜面と垂直に向
く磁気モーメントと共に消失するように調整される。膜
面と垂直でない方向に向く磁気モーメントが消失する温
度と、膜面と垂直に向く磁気モーメントが消失する温度
とは、接近している方が好ましく、特に、膜面と垂直に
向く磁気モーメントが消失する温度(キュリー温度)を
cとしたときに、膜面と垂直でない方向に向く磁気モ
ーメントがTc ±50℃の範囲で消失することが好まし
い。
【0131】本発明の光磁気記録媒体は、磁気トルク計
にかけて磁気トルクを測定したとき、いずれも図38に
示すようなトルクカーブを示す。すなわち、外部磁場の
大きさをHex、測定温度における磁壁抗磁力をHc 、測
定温度における垂直異方性磁界をHk 、膜面に垂直な方
向を0°、膜面に垂直な方向からの外部磁場Hexの回転
角度をθとし、Hc <Hex<Hk なる大きさの外部磁場
を試料の支持軸回りに回転しつつ、試料の支持軸に働く
磁気トルクTを磁気トルク計にて測定したとき、 0°
≦θ≦90°の範囲及び180°≦θ≦270°の範囲
に、∂2T/∂θ2<0なる領域が存在するか(但し、∂
T(θ0 )/∂θ=0なるθ0 が存在する場合には、T
0 )<Tmax なる領域が存在すること)、360°≧
θ≧270°の範囲及び180°≧θ≧90°の範囲
に、∂2T/∂θ2>0なる領域が存在し(但し、∂T
0 )/∂θ=0なるθ0 が存在する場合T(θ0 )>T
min なる領域が存在すること)する。但し、上記の各式
を満たす条件が、磁壁移動に伴う微分不可能点でないこ
とはもちろんである。
【0132】比較例として、垂直磁化膜単層の光磁気記
録膜を有する光磁気記録媒体のトルクカーブを図39に
示す。このトルクカーブには、図38のBに相当するピ
ークが現われない。
【0133】また、本実施例の光磁気記録媒体は、異な
る試料温度のもとで前記のトルクカーブを測定し、試料
温度と図38に示すA及びBのピーク値との相関をグラ
フにプロツトしたとき、いずれも図40に示すような特
性を示す。すなわち、試料温度が上昇するにしたがって
Aのピーク値及びBのピーク値が順次低下し、ほぼ同一
の温度(図40の例では同一温度)で共にゼロとなる。
なお、Aのピーク値がゼロになる温度とBのピーク値が
ゼロになる温度とは、必ずしも一致する必要はなく、A
のピーク値がゼロになる温度(キュリー温度)をTc
したときに、Bのピーク値がゼロになる温度がTc ±5
0℃の範囲にあればよい。
【0134】図41に本実施例に係る光磁気記録媒体の
外部磁界特性を、図42に本実施例に係る光磁気記録媒
体のビットエラー発生特性を示す。但し、試料として
は、膜構造が図43に示すように構成された光磁気記録
媒体を用いた。図41に示すように、本発明の光磁気記
録媒体は、記録方向又は消去方向に50(Oe)以上の
外部磁界を印加することによって飽和磁化に達すること
ができ、また、図42に示すように、記録方向に50
(Oe)以上の外部磁界を印加することによってビット
エラー発生率を最低レベルにすることができる。
【0135】本実施例の光磁気記録媒体は、垂直磁化膜
を光磁気記録膜として用いた従来の光磁気記録媒体(図
41及び図42に破線で表示)に比べて、150(O
e)以上も情報の記録消去に必要な外部磁界強度を低下
できる。
【0136】以下に、本発明に係る光磁気記録媒体の製
造方法例と、各製造方法によって作製される磁性膜の構
造とを列挙する。
【0137】(1)透明基板上に、第1無機誘電体層
と、希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜と、第2無
機誘電体層と、反射膜とを連続スパッタ法にて順次積層
し、図9の膜構造を有する光磁気記録媒体を作製した
後、この光磁気記録媒体を60℃〜150℃の温度で、
2〜10分間加熱する。これによって、図37(d)に
示したような磁性膜を形成できる。
【0138】(2)透明基板上に第1無機誘電体層をス
パッタリングした後、当該第1無機誘電体層上に、スパ
ッタガスの組成を適宜切り替えつつ希土類−遷移金属系
の非晶質合金を所望の膜厚に達するまでスパッタリング
する。例えば、磁性層の膜厚が全膜厚の1/2〜1/1
0に達する毎に、スパッタガスを純Arから1〜20体
積%のN2ガスを混入したArガス又は0.5〜10体
積%のO2ガスを混入したArガスに切り替える。これ
によって、図37(a),(b),(c),(g)に示
したような磁性膜を形成できる。以下、当該磁性膜上
に、第2無機誘電体層と、反射膜とを連続スパッタ法に
て積層する。
【0139】(3)透明基板上に第1無機誘電体層をス
パッタリングした後、当該第1無機誘電体層上に、垂直
磁気異方性が異なる磁性膜を交互に形成する。垂直磁気
異方性が異なる磁性膜の組み合わせには、例えば希土類
−遷移金属系の非晶質合金と、Coを主成分とし、これ
に(Cr,Fe,Ni,Mn,Pt,Ag)のグループ
から選択された少なくとも1種類の金属の合金などを挙
げることができる。これによって、図37(a),
(b),(c),(g)に示したような磁性膜を形成で
きる。以下、当該磁性膜上に、第2無機誘電体層と、反
射膜とを連続スパッタ法にて積層する。
【0140】(4)透明基板上に第2無機誘電体層をス
パッタリングした後、当該第2無機誘電体層上に、(G
d,Ce,Dy,Nd)のグループから選択される希土
類元素の添加量、又は(Ni,Cr,Mn)のグループ
から選択される遷移金属の添加量が異なるTbFeCo
系合金を順次積層する。これによって、原子間の交換相
互作用及び異方性エネルギーの相関により、図37
(e)のようなヘリカルスピン構造をとる磁性膜、ある
いは図37(f)のようなキャントスピン構造をとる磁
性膜を形成できる。以下、当該磁性膜上に、第2無機誘
電体層と、反射膜とを連続スパッタ法にて積層する。
【0141】(5)透明基板上に第1無機誘電体層をス
パッタリングした後、当該第1無機誘電体層上に、(N
b,Ti,W,Bi,V,Al,Si,Pt,Ag,R
h)のグループから選択される非磁性元素の添加量が異
なるTbFeCo系合金を順次積層する。これによっ
て、異方性エネルギーが低下し、図37(d)のような
構造の磁性膜を形成できる。以下、当該磁性膜上に、第
2無機誘電体層と、反射膜とを連続スパッタ法にて積層
する。
【0142】本第5実施例の光磁気記録媒体は、前記光
磁気記録膜4上にこれと交換結合力を及ぼしあう補助磁
性膜を積層することによって、さらに外部磁界感度を高
めることができる。補助磁性膜としては、記録温度にお
ける飽和磁化をMs(TWR)、記録温度における垂直磁
気異方性エネルギーをKu(TWR)としたときに、下式
にて表わされる磁気特性を有する希土類−遷移金属−添
加元素系の合金薄膜を用いることができる。 2πMs2(TWR)≧Ku(TWR)。
【0143】希土類としては、元素記号がGd,Tb,
Dy,Nd,Hoで表わされるものを挙げることがで
き、遷移金属としては、元素記号がFe,Co,Niで
表わされるものを挙げることができ、添加元素系として
は、元素記号がAu,Ag,Cu,Pt,Al,Nb,
Crで表わされるものを挙げることができる。これらの
うちでは、GdFeCu合金、TbFePt合金などが
特に好適である。
【0144】図44に、補助磁性膜が設けられた本実施
例の光磁気記録媒体の磁界変調記録特性を示す。ただ
し、試料としては図45に示す膜構造を有する光磁気デ
ィスクを用い、図44に表記した条件のもとで信号の記
録を行った。図44から明らかなように、本実施例の光
磁気記録媒体は、飽和記録磁界が50(Oe)以下にな
る。
【0145】以下の第6〜第9実施例に、本発明を例え
ば特開平1−143042号公報などに記載されている
超解像方式の光磁気記録媒体に適用した場合の実施例を
示す <第6実施例>本発明の第6実施例を図46及び図47
に基づいて説明する。図46は本例に係る光磁気記録媒
体の要部断面図であり、図47は本実施例の効果を示す
グラフ図である。
【0146】図46に示すように、本例の光磁気記録媒
体は、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面2
に、見掛け上のカー回転角を大きくし、再生信号のCN
比を改善するためのエンハンス膜3と、フェリ磁性を有
する希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜からなる第
1〜第3の磁性膜4a,4b,4cと、保護層6とを順
次積層してなる。透明基板1としては、いわゆる2P法
によって片面にプリフォーマットパターン2が転写され
たガラス基板を用いた。このガラス基板1のプリフォー
マットパターン2上に、膜厚が約850ÅのSiNエン
ハンス膜3と、膜厚が約300ÅのGdFeCo系非晶
質垂直磁化膜からなる第1の磁性膜4aと、膜厚が約1
00ÅのTbFeNb系非晶質垂直磁化膜からなる第2
の磁性膜4bと、膜厚が約400ÅのTbFeCo系非
晶質垂直磁化膜からなる第3の磁性膜4cと、膜厚が約
800ÅのSiN保護層14とを連続スパッタリングし
て、第6実施例の光磁気記録媒体とした。前記第3の磁
性膜4cは、室温においてTb副格子磁化が優勢な組成
に調整されている。
【0147】図47に、前記第6実施例に係る光磁気記
録媒体と、当該光磁気記録媒体における第3の磁性膜4
cに代えてFeCo副格子磁化が優勢な組成のTbFe
Co系非晶質垂直磁化膜が設けられた比較例に係る光磁
気記録媒体との外部磁界特性を示す。このグラフ図の縦
軸には再生信号のCN比が目盛られ、横軸には印加され
る外部磁界の大きさが目盛られている。なお、外部磁界
の正値は記録方向の磁界を示し、負値は消去方向の磁界
を示す。このグラフ図から明らかなように、第3の磁性
膜4cとしてFeCo副格子磁化が優勢な組成のTbF
eCo系非晶質垂直磁化膜が設けられた比較例に係る光
磁気記録媒体は、記録方向に約300[[Oe]以上、
消去方向に約600[Oe]以上の外部磁界を印加しな
くては飽和磁界に達しないのに対し、第3の磁性膜4c
としてTb副格子磁化が優勢な組成のTbFeCo系非
晶質垂直磁化膜が設けられた第1実施例に係る光磁気記
録媒体は、記録方向及び消去方向に夫々約200[O
e]以上の外部磁界を印加するだけで飽和磁界に達する
ことができる。よって、外部磁界ひいてはドライブ装置
の小型化、軽量化、省電力化を図ることができると共
に、磁界変調方式による情報のオーバーライトが実現可
能になった。
【0148】なお、前記実施例及び比較例では、透明基
板1としてガラス基板を用いたが、これに代えて樹脂基
板を用いた場合にも前記と同様の結果が得られた。前記
実施例及び比較例では、エンハンス膜3及び保護膜6と
してSiNを用いたが、SiO2 ,SiO,Si2
3 ,AlN等、他の無機誘電体を用いた場合にも前記と
同様の結果が得られた。また、無機保護膜6に代えて、
UV樹脂保護膜を形成した場合にも前記と同様の結果が
得られた。また、各膜の膜厚を種々変更した場合にも、
前記と同様の結果が得られた。さらに、第1の磁性膜4
aとしてGdFe又はGdCo系の非晶質垂直磁化膜を
用い、第2の磁性膜4bとしてTbFe,TbFeC
o,TbFeCoCr,TbFeCoPt系の非晶質垂
直磁化膜を用いた場合にも、前記と同様の結果が得られ
た。
【0149】<第7実施例>以下、本発明の第2実施例
を図48及び図49に基づいて説明する。図48は本例
に係る光磁気記録媒体の要部断面図であり、図49は本
実施例の効果を示すグラフ図である。
【0150】図48に示すように、本例の光磁気記録媒
体は、第3の磁性膜4cの表面に、酸化層9を形成した
ことを特徴とする。酸化層9は、ガラス基板1上に、エ
ンハンス膜3と、第1〜第3の磁性膜4a,4b,4c
とを連続スパッタリングした後、成膜を一旦中止してス
パッタチャンバー内の酸素量を調整し、第3の磁性膜4
cを加熱することによって形成される。その後、スパッ
タチャンバー内の真空度を再度調整し、所定の膜厚の保
護層6をスパッタリングすることによって、第2実施例
の光磁気記録媒体を形成できる。酸化層9以外の部分に
ついては、第6実施例の光磁気記録媒体と同様に形成さ
れる。
【0151】図49に、前記第7実施例に係る光磁気記
録媒体と、前記第6実施例に係る光磁気記録媒体との外
部磁界特性を示す。このグラフ図から明らかなように、
本例の光磁気記録媒体は、記録方向及び消去方向に夫々
約100[Oe]以上の外部磁界を印加するだけで飽和
磁界に達することができ、第6実施例の光磁気記録媒体
に比べて、さらに約±100[Oe]も外部記録感度が
向上している。
【0152】なお、前記第7実施例では、第3の磁性膜
4cの表面に加熱酸化層を形成したが、第1の磁性膜4
a又は第2の磁性膜4bの表面に前記と同様の加熱酸化
層9を形成しても、前記と同様の結果が得られた。ま
た、前記加熱酸化層9に代えて、加熱窒化層を形成した
場合にも前記と同様の結果が得られた。加熱窒化層は、
窒化しようとする磁性膜をスパッタリングした後、スパ
ッタチャンバー内の窒素量を調整し、当該窒化しようと
する磁性膜を加熱することによって形成される。その
他、透明基板1の材料や保護膜6の材料、それに加熱酸
化層9又は加熱窒化層の形成位置を第6実施例の説明欄
に表記したように変更しても、前記と同様の結果が得ら
れた。
【0153】<第8実施例>以下、本発明の第8実施例
を図50及び図51に基づいて説明する。図50は本例
に係る光磁気記録媒体の要部断面図であり、図51は本
実施例の効果を示すグラフ図である。
【0154】図50に示すように、本例の光磁気記録媒
体は、第3の磁性膜4cに接して、補助磁性膜5に設け
たことを特徴とする。補助磁性膜5としては、第3の磁
性層4cに記録磁区が形成される温度(第3の磁性層4
cのキュリー温度近傍又は補償温度近傍)で、遷移金属
副格子磁化が優勢な希土類−遷移金属系非晶質垂直磁化
膜が用いられる。その他、エンハンス膜3、第1〜第3
の磁性膜4a,4b,4c、保護層6については、第6
実施例の場合と同じである。補助磁性膜5は、他の薄膜
と共に連続スパッタリングされる。
【0155】図51に、前記補助磁性膜5として、膜厚
が50Åの上記組成のTbFeCo膜が設けられた前記
第8実施例に係る光磁気記録媒体と、前記第6実施例に
係る光磁気記録媒体との外部磁界特性を示す。このグラ
フ図から明らかなように、本例の光磁気記録媒体は、記
録方向及び消去方向に夫々約100[Oe]以上の外部
磁界を印加するだけで飽和磁界に達することができ、第
6実施例の光磁気記録媒体に比べて約±100[Oe]
も外部記録感度が向上している。これは、前記補助磁性
膜5を形成することによって、記録磁区を形成しようと
する領域又は消去しようとする領域に作用するその周囲
領域からの浮遊磁界が減少されるためであると考えられ
る。
【0156】なお、前記第8実施例においては、第3の
磁性膜4aの表面側(保護膜6側)にのみ補助磁性膜5
を形成したが、第3の磁性膜4cの背面側(透明基板1
側)に補助磁性膜5を形成しても同様の結果が得られ
た。また、第1の磁性膜4a又は第2の磁性膜4bの表
面に前記と同様の補助磁性膜5を形成しても、前記と同
様の結果が得られた。その他、透明基板1の材料や保護
膜6の材料を第6実施例の説明欄に表記したように変更
しても、前記と同様の結果が得られた。
【0157】<第9実施例>以下、本発明の第4実施例
を図52〜図55に基づいて説明する。図52は補助磁
性膜中のPt添加量と垂直磁気異方性定数との関係を示
すグラフ図、図53は補助磁性膜中のPt添加量と残留
カー回転角との関係を示すグラフ図、図54は補助磁性
膜中のPt添加量と再生CN比との関係を示すグラフ
図、図55は補助磁性膜中のPt添加量と記録信号を消
去するに要する最小消去磁界との関係を示すグラフ図で
ある。
【0158】本例の光磁気記録媒体は、前記第3実施例
に係る光磁気記録媒体の補助磁性膜16をAu,Ag,
Al,Cu,Pt,Nb,Ho,Gd,Crから選択さ
れた少なくとも1種類の元素が添加された希土類−遷移
金属系非晶質合金にて形成したことを特徴とする。その
他、エンハンス膜3、第1〜第3の磁性膜4a,4b,
4c、保護層6については、第6実施例の場合と同じで
ある。補助磁性膜は、他の薄膜と共に連続スパッタリン
グされる。したがって、本例の光磁気記録媒体の断面構
造は、前記第8実施例の光磁気記録媒体と同じになる
(図50参照)。図52に、前記第9実施例に係る光磁
気記録媒体にける補助磁性膜中のPt添加量と垂直磁気
異方性定数との関係を示す。この図から明らかなよう
に、本例の光磁気記録媒体の垂直磁気異方性エネルギー
は、補助磁性膜中のPt添加量を増加するにしたがって
低下し、補助磁性膜中のPt添加量が約13at%を越
えると磁化容易軸が膜面に垂直な方向に向く。一方図5
3に、この光磁気記録媒体における補助磁性膜中のPt
添加量と残留カー回転角との関係を示す。この図から明
らかなように、本例の光磁気記録媒体の残留カー回転角
は、補助磁性膜中のPt添加量が約10at%まではほ
ぼ一定であるが、10at%を越えると急激に低下す
る。これら図52及び図53の結果から、補助磁性膜中
に約10原子%までのPtを添加することによって、カ
ー回転角を低下させることなく垂直磁気異方性エネルギ
ーを低下させることができること、すなわち光磁気記録
媒体の再生CN比を低下することなく外部磁界感度を高
めることがわかる。
【0159】図54に、Ptを添加したTbFeCo膜
が補助磁性膜として設けられた光磁気記録媒体の再生C
N比とPt添加量との関係を示す。但し、補助磁性膜の
膜厚を約50Å、記録信号のパルス幅を60nS、記録
磁区間のピツチを1.53μm、媒体に対する光ビーム
の線速を7.54m/sとし、最大出力時のCN比を測
定した。この図から明らかなように、本例の光磁気記録
媒体の再生CN比は、補助磁性膜中のPt添加量が約1
0〜12at%まではほぼ一定であるが、その値を越え
ると急激に低下する。図55に、図54のデータをとる
に使用した光磁気記録媒体の消去磁界の大きさと補助磁
性膜中のPt添加量との関係を示す。ただし、本例で
は、記録時の搬送波レベルに対する消去後のノイズレベ
ルが−40dBとなるために必要な外部磁界の大きさを
もって消去磁界の大きさとした。この図から明らかなよ
うに、補助磁性膜中にPtを添加すると、添加量が増加
するにしたがって必要な消去磁界が小さくなる。しか
し、10at%を越えるPtを添加しても消去磁界の低
下度がきわめて小さくなる。このことから、第3の磁性
層4cに記録磁区が形成される温度で遷移金属副格子磁
化が優勢な希土類−遷移金属系非晶質垂直磁化膜からな
る補助磁性膜に約10at%のPtを添加することによ
って、消去磁界感度を極限まで高められることがわか
る。
【0160】なお、前記第9実施例では、補助磁性膜の
添加元素としてPtを用いたが、これに代えてAu,A
g,Al,Cu,Nb,Ho,Gd,Crなどを用いて
も、前記と同様の結果が得られた。その他、透明基板1
1の材料や保護膜14の材料、それに補助磁性膜16の
形成位置を第3実施例の説明欄に表記したように変更し
ても、前記と同様の結果が得られた。
【0161】なお、前記第1の目的を達成するための手
段を具体化した実施例においては、光磁気記録膜として
キュリー温度近傍で遷移金属リッチのフェリ磁性体(図
32)を用いた場合、及びキュリー温度近傍で希土類リ
ッチのフェリ磁性体(図33)を用いた場合についての
み説明したが、その他、キュリー温度近傍で遷移金属リ
ッチのフェロ磁性体(図34)、及びキュリー温度近傍
で希土類リッチのフェロ磁性体(図35)を用いること
もできる。本実施例においては、キュリー温度近傍にお
ける光磁気記録膜の磁気モーメントの大きさのみを問題
にしており、室温における光磁気記録膜の磁気モーメン
トの大きさについては、何ら問題にならない。例えば、
図36に示すように、室温においては希土類リッチのフ
ェリ磁性体であっても、キュリー温度近傍で遷移金属リ
ッチのフェリ磁性体となるものは、遷移金属リッチのフ
ェリ磁性体として取り扱うことができる。これらの図3
2〜図36において、黒矢印は遷移金属の磁気モーメン
トを、白矢印は希土類金属の磁気モーメントを示してい
る。
【0162】次に、前記第2の目的を達成するための手
段を具体化した実施例について説明する。
【0163】<第10実施例>図56に示すように、所
謂2P法にて、プリフォーマットパターン(図示せず)
が転写された紫外線硬化樹脂層21をガラス円板22の
片面に密着し、プリフォーマットパターン付きの透明基
板1を作製した。
【0164】次いで、この透明基板1の前記プリフォー
マットパターン上に、透明基板1側より、膜厚が約85
0Åの窒化珪素誘電体製エンハンス層3と、膜厚が約3
00Åのテルビウム−鉄−コバルト非晶質合金製記録層
4と、膜厚が約200Åの不定比な組成の鉄酸化物製中
間層23と、膜厚が約1200Åのテルビウム−デイス
プロシウム−鉄−コバルト非晶質合金製補助層5と、膜
厚が約1000Åの窒化珪素製保護層6とを順次積層
し、図56に示すディスク単板24を作製した。最後
に、前記のようにして作製された2枚のディスク単板2
4を、各層を内側にして同心に貼り合わせ、図11に示
すエアサンドイッチ構造の光磁気ディスクを作製した。
【0165】<第11実施例>射出成形法にて、片面に
プリフォーマットパターン(図示せず)が形成されたポ
リカーボネート製の透明基板1を作製した。
【0166】次いで、この透明基板1の前記プリフォー
マットパターン上に、透明基板側1より、膜厚が約85
0Åの窒化珪素誘電体製のエンハンス層3と、膜厚が約
250Åのテルビウム−鉄−コバルト非晶質合金製記録
層4と、膜厚が約150Åの不定比な組成のコバルト酸
化物製中間層23と、膜厚が約1200Åのガドリニウ
ム−テルビウム非晶質合金製補助層85、膜厚が約10
00Åの窒化珪素誘電体製保護層6とを順次積層し、図
57に示すディスク単板28を作製した。
【0167】最後に、前記のようにして作製された2枚
のディスク単板28を、各層を内側にして同心に貼り合
わせ、図12に示す密着貼り合わせ構造の光磁気ディス
クを作製した。
【0168】第10および第11実施例の各光磁気ディ
スクに形成された記録層と補助層の保磁力−温度特性、
それに飽和磁化−温度特性を調べたところ、いずれも図
58に示す特性をもっていることが判った。すなわち、
記録層4は補助層5に比べて室温での保磁力が高く、補
助層5よりも低いキュリー点をもつ。また、記録層4は
補助層5に比べて室温での飽和磁化が低くなっている。
【0169】また、第10および第11実施例の各光磁
気ディスクについて、記録磁区の消去に必要なLレベル
のレーザパワーと、情報の記録に必要なHレベルのレー
ザパワーを調べたところ、いずれも図59に示すよう
に、約4mW以下のLレベルのレーザパワーをかけるこ
とによって先に記録された信号を再生することができ、
約14mW以上のHレベルのレーザパワーをかけること
によって情報の記録を行うことができることが判った。
【0170】さらに、初期化磁界の大きさを種々変更し
ながら、4.93[MHz]の信号が記録されたトラッ
ク上に、1.85[MHz]の信号をオーバーライト
し、4.93[MHz]の信号が完全に消去され、1.
85[MHz]の信号がオーバーライトされる初期化磁
界の大きさを調べた。第10および第11実施例の各光
磁気ディスクは、いずれも図60に示すように、約1
[KOe]の初期化磁界をかけるだけで先に記録された
4.93[MHz]の信号が完全に消去され、かつ後に
記録された1.85[MHz]の信号は飽和レベルに達
しており、5〜6[[KOe]の初期化磁界をかけなく
てはならない従来技術に比べて、初期化磁石を格段に小
型化できることが判った。
【0171】ただし、第10実施例の光磁気ディスクに
ついては、1.85[MHz]の信号をLレベルが6
[mW]、Hレベルが14[mW]に強度変調してオー
バーライトし、第11実施例の光磁気ディスクについて
は、1.85[MHz]の信号をLレベルが5.5[m
W]、Hレベルが12[mW]に強度変調してオーバー
ライトしてオーバーライトした。また、再生用レーザビ
ームのパワーは1.5[mW]であった。
【0172】なお、第10および第11実施例の光磁気
ディスクのみならず、前記第2の目的を達成するための
手段として挙げた全ての発明に係る光磁気記録媒体は、
いずれも前記と同様の効果が確認された。
【0173】次に、前記第3の目的を達成するための手
段を具体化した実施例について説明する。
【0174】<第12実施例>図61に示すように、直
径10インチのガラス板31の片面に、いわゆる2P法
にて、プリフォーマットパターン2が転写された紫外線
硬化樹脂層32を形成し、プリフォーマットパターン付
きの透明基板1を作製した。
【0175】次いで、この透明基板1の前記プリフォー
マットパターン2上に、透明基板1側より、膜厚が約8
0nmの窒化珪素製エンハンス層3と、膜厚が約20n
mで、キュリー温度が190℃であり、補償温度が10
0℃のテルビウム−鉄−コバルト非晶質合金製磁性層4
と、膜厚が約5nmの白金−コバルト合金製補助磁化層
5と、膜厚が約25nmの窒化珪素製熱制御層8と、膜
厚が約50nmのアルミニウム−チタン合金製反射層1
1とを順次積層し、ディスク単板を作製した。しかる後
に、このようにして作製された2枚のディスク単板を貼
り合わせて、図11に示すエアサンドイッチ構造の光磁
気ディスクを作製した。
【0176】この光磁気ディスクをドライブ装置に装着
し、3600rpmで回転して最外周の線速度が45m
/sとなる部分にレーザビームスポットを位置付け、記
録周波数が32MHz、記録レーザパワーが約10m
W、外部磁界が3000eの条件下で信号の記録を行
い、4.0mWの再生用レーザビームを照射して信号の
再生を行ったところ、49dBの再生C/Nを得ること
ができた。図43に、本例の光磁気ディスクの再生C/
N−記録レーザパワー特性を示す。
【0177】<第13実施例>図61に示すように、直
径5インチのガラス板31の片面に、いわゆる2P法に
て、プリフォーマットパターンが転写された紫外線硬化
樹脂層32を形成し、プリフォーマットパターン付きの
透明基板1を作製した。
【0178】次いで、この透明基板の前記プリフォーマ
ットパターン上に、透明基板側より、膜厚が約80nm
の窒化珪素製エンハンス層3と、膜厚が約20nmで、
キュリー温度が185℃であり、補償温度が80℃のテ
ルビウム−鉄−コバルト−ニオブ非晶質合金製磁性層4
と、膜厚が約25nmの窒化珪素製熱制御層8と、膜厚
が約50nmのアルミニウム−チタン合金製反射層11
とを順次積層し、図12に示す単板構造の光磁気ディス
クを作製した。
【0179】この光磁気ディスクをドライブ装置に装着
し、3600rpmで回転して最外周の線速度が22.
5m/sとなる部分にレーザビームスポットを位置付
け、記録周波数が14.8MHz、記録レーザパワーが
約6.5mW、外部磁界が300Oeの条件下で信号の
記録を行い、4.0mWの再生用レーザビームを照射し
て信号の再生を行ったところ、48dBの再生C/Nを
得ることができた。
【0180】また、エンハンス層3の膜厚を70〜80
nmの範囲で変化させ、磁性層4の膜厚を10〜30n
mの範囲で変化させ、熱制御層8の膜厚を20〜100
nmの範囲で変化させ、反射層11の膜厚を70nm以
下、50nm程度の範囲で変化させた場合にも、前記と
同様の結果が得られた。
【0181】<第14実施例>以下前記第4の目的を達
成するための手段を具体化する実施例を図面を用いて説
明する。図62は本実施例14になる光ディスク33を
示す。基板1a上には、カー回転角の増強用の窒化シリ
コン膜3が800nm形成され、この上に、光磁気記録
膜としてTbFeCo膜4が20nm、保護膜として窒
化シリコン膜6が300nm、反射膜としてアルミニウ
ム膜11が50nmが積層されている。一方基板1b上
には反射膜としてアルミニウム膜34が30nm形成さ
れている。基板1aと1bとは接着剤29により貼り合
わされている。
【0182】<第15実施例>以下に、前記第5の目的
を達成するための手段を具体化する実施例15について
説明する。この実施例15は、前出の図11における透
明基板1と内周スぺーサ15及び外周スぺーサ16とを
接着する接着剤17、それに図12における記録ディス
ク11,12を接着する接着剤17の改良に関する。
【0183】接着層17としては、例えばホットメルト
接着剤やエポキシ系接着剤などを主成分とし、これにシ
ランカップリング剤またはチタンカップリング剤が添加
された接着剤によって形成される。シランカップリング
剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリトメキシシ
ラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、N−フエニル−γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシランなどを挙げることができ、チタンカップリング
剤としては、チタニウムステアレートなどを挙げること
ができる。接着剤に対するシランカップリング剤または
チタンカップリング剤の含有率は、0.1重量%〜10
重量%程度が良好である。接着剤の形成方法としては、
用いる接着剤の種類に応じて、例えばロールコート法、
スプレーコート法、スクリーン印刷法などを適用するこ
とができる。
【0184】また、他の例としては、シランカップリン
グ剤あるいはチタンカップリング剤にて表面処理された
無機フィラーが添加された接着層を用いることもでき
る。
【0185】無機フィラーとしては、例えばSiO2
SiO,Al23,AlNなどの粒状体もしくは粉状体
を用いることができる。表面処理に用いるシランカップ
リング剤またはチタンカップリング剤としては、前記の
ものを用いることができる。また、表面処理方法として
は、無機フィラーの表面にシランカップリング剤または
チタンカップリング剤を塗布したり、無機フィラーに形
成される微細な空間内にシランカップリング剤またはチ
タンカップリング剤を含浸させるといった方法をとるこ
とができる。
【0186】以下に、実験例を挙げ、実施例の効果に言
及する。
【0187】<実験例10〜26>内径が15mm、外
径が130mm、厚さが1.2mmのガラス板の片面
に、いわゆる2P法によって所望のプリフォーマットパ
ターンを転写し、レプリカ基板を作製した。次いで、こ
のレプリカ基板のプリフォーマットパターン上に光磁気
記録膜を積層し、光磁気記録単板を作製した。また、内
径が15mm、外径が25mm、厚さが0.5mmのア
ルミニウム製の内周スぺーサと、内径が125mm、外
径が130mm、厚さが0.5mmのアルミニウム製の
外周スぺーサとを作製した。さらには、エポキシ接着剤
(チバガイギー社製アラルダイト)を主剤とし、これに
図63に表示する組合わせのシランカップリング剤ある
いはチタンカップリング剤が添加された各種の接着剤を
用意した。
【0188】前記接着剤をもって接着層が形成された内
周スぺーサおよび外周スぺーサの表裏両面に、光磁気膜
を内側にして光磁気記録単板を貼り合わせ、接着剤に添
加されたシランカップリング剤またはチタンカップリン
グ剤の種類および組合せ、それに添加量が異なる17種
類の光情報記録媒体を作製した。ただし、接着層の厚さ
は、約30μmとした。
【0189】これらの光情報記録媒体を温度120℃、
相対湿度100%の環境下に100時間放置後、取り出
して観察したところ、実験例10〜21の光情報記録媒
体には接着部になんら異常が認められなかった。これに
対し、実験例22、24、26の光情報記録媒体にはレ
プリカ基板と接着層との界面に剥離が発生した。また、
実験例23、25の光情報記録媒体では接着層からフィ
ラーが分離し、光磁気膜上まで拡散しているのが認めら
れた。これらの結果より、接着剤に対するシランカップ
リング剤またはチタンカップリング剤の含有率は、およ
そ0.1重量%〜10重量%が好適であることがわか
る。
【0190】<実験例27〜36>実験例10〜26で
用いたと同様の光磁気記録単板と、内周スぺーサと、外
周スぺーサとを作製した。また、エポキシ接着剤(チバ
ガイギー社製アラルダイト)を主剤とし、これに図64
に表示する組合せのフィラーおよびシランカップリング
剤が添加された各種の接着剤を用意した。
【0191】前記接着剤をもって接着層が形成された内
周スぺーサおよび外周スぺーサの表裏両面に、光磁気膜
を内側にして光磁気記録単板を貼り合わせ、接着剤に添
加されたフィラーの種類および組合せ、それに添加量が
異なる17種類の光情報記録媒体を作製した。ただし、
接着層の厚さは、約30μmとした。
【0192】これらの光情報記録媒体を温度120℃、
相対湿度100%の環境下に100時間放置後、取り出
して観察したところ、実験例27〜32の光情報記録媒
体には接着部になんら異常が認められなかった。これに
対し、実験例33〜36の光情報記録媒体にはレプリカ
基板と接着層との界面に剥離が発生した。この結果よ
り、接着剤に対するフィラーの含有率は、60重量%以
下が好適であることがわかる。
【0193】なお、前記実施例においては、レプリカ基
板同士あるいはレプリカ基板とスぺーサの接着について
のみ説明したが、その他、光記録単板の中心部にセンタ
ーハブを備えた光ディスクにおいては、レプリカ基板と
センターハブとの接着にも応用することができる。
【0194】また、前記実施例においては光ディスクを
例にとって説明したが、光カードなど他の形状の光情報
記録媒体の製造にも応用することができる。
【0195】<第16実施例>以下に、前記第6の目的
を達成するための手段を具体化する実施例16について
説明する。この実施例16は、エンハンス膜3を構成す
る無機誘電体層の改良に関する。
【0196】図65は実施例11に係る光磁気記録媒体
の要部断面図であって、透明基板1のプリフォーマット
パターン2の形成面に、透明基板1側より酸化物層61
と、窒化物層62と、光磁気記録膜4と、保護層6と、
反射層11とが順次積層され、前記酸化物層61と窒化
物層62とをもってエンハンス膜3が構成されている。
【0197】前記酸化物層61として、例えばSiO
2 ,ZrO2 ,Ta25 ,MgO,Y23 ,Al2
3 ,CaOなどの金属あるいは半金属の酸化物が使用
される。この酸化物層1の膜厚は、前述のような理由か
ら30〜800Åの範囲に規制されている。
【0198】前記窒化物層62として、例えばAlN,
BN,Si34 ,TaN,TiNなどの金属あるいは
半金属の窒化物が使用される。この窒化物層2の膜厚
は、前述のような理由から500〜2000Åの範囲に
規制されている。
【0199】その他については、前出の各実施例に係る
光磁気記録媒体と同じであるので、説明を省略する。
【0200】次に、本実施例16の実験例と比較例につ
いて説明する。PC(ポリカーボネート)製透明基板上
に形成する第1エンハンス膜部分の材料構成から実験例
37〜46においては、SiO2 /SiN,SiMgO
/SiN,ZrO2 /SiN,SiZrO/SiN,Z
rYO/SiN,Ta25 /AlN,AlTaO/S
iAlN,SiYO/SiTaN,Y23 /AlTa
N,CaSiO/SiAlNであり、比較例としてはS
iN,SiOである。なお、第1エンハンス膜の厚みは
900〜1100Åであり、Tb−Te−Co記録膜の
厚みは300Å、Al反射膜の厚みが600Åである。
【0201】この実験例37〜46の光ディスク単板
と、従来例に係る比較例3、4の光ディスク単板とを8
0℃、90%RHの環境下において加速試験を行った結
果を図66に示す。
【0202】この図から明らかなように、従来のもの、
特に透明基板上にSiOのみの下地層を形成し、その上
に直接光記録膜を形成した比較例のものは、ビットエラ
ーレートが非常に高い。これに比較して本発明のもの
は、いずれのものにおいてもビットエラーレートが非常
に低く、長期間経過しても性能的に安定していること、
即ち、信頼性の高い光情報記録媒体であることが立証で
きる。
【0203】最後に、光磁気記録膜の外部磁界感度を高
めるに好適な光磁気記録媒体の製造方法に関する実施例
を挙げる。
【0204】垂直磁気膜の表面に適当な膜厚の面内磁化
膜を設けると光磁気記録媒体の外部磁界感度が向上で
き、面内磁化膜は、垂直磁化膜の表面を酸化することに
よっても生成できる。透明基板上に垂直磁化膜を成膜す
ると、透明基板に含まれる水分によって垂直磁化膜が酸
化され、垂直磁化膜の表面に面内磁化膜が生成される。
ここで、透明基板に含まれる水分量が過大であると、不
必要に大きな面内磁化膜が生成されて外部磁界感度が低
下し、透明基板に含まれる水分量が過少であると必要な
膜厚の面内磁化膜が生成されず、やはり外部磁界感度が
低下する。したがって、透明基板に含まれる水分量を調
整することによって、最適な膜厚の面内磁化膜を生成す
ることができ、外部磁界感度の高い光磁気記録媒体を得
ることができる。
【0205】実験によると、透明基板として高分子化合
物からなるものを用いた場合には、前記の条件で透明基
板の脱水処理を行った後、短時間のうちに垂直磁化膜を
成膜した方が高い外部磁界感度を得ることができ、脱水
処理後の保存時間が長くなるにしたがって外部磁界感度
が低下する。特に、前記条件下での保存時間が50分間
を超えると、外部磁界感度が急激に低下する。一方、透
明基板としてガラス板の片面に高分子化合物からなる転
写層が設けられたものを用いた場合には、前記の条件で
透明基板の脱水処理を行った後、ある程度の時間が経過
してから垂直磁化膜を成膜した方が高い外部磁界感度を
得ることができる。具体的には、前記の放置条件で4時
間以上保存することによって、ほぼ最良の外部磁界感度
を得ることができる。以下の第17実施例〜第19実施
例は、かかる知見に基づいてなされたものである。
【0206】<第17実施例>射出成形法によって、片
面にプリフォーマットパターンを有するポリカーボネー
ト製のディスク状透明基板(以下、これをPC基板とい
う)を作製した。
【0207】このPC基板をベーク炉に入れ、大気圧下
80℃の温度で4時間以上加熱して脱水処理を行った。
【0208】PC基板をベーク炉から取り出し、気温が
20℃で相対湿度が60%の環境下に保存した。しかる
後に、ベーク炉から取り出されたPC基板を高周波(R
F)スパッタリング装置に収納し、そのプリフォーマッ
トパターン形成面上に、SiNエンハンス膜と、TbF
eCo垂直磁化膜と、SiN保護膜と、Al反射膜とを
この順に積層して、図67に示す断面構造を有する光磁
気記録媒体を作製した。図67において、1はPC基
板、2はプリフォーマットパターン、3はSiNエンハ
ンス膜、4はTbFeCo垂直磁化膜、9はTbFeC
o垂直磁化膜の酸化層(面内磁化膜)、6はSiN保護
膜、7はAl反射膜を示している。
【0209】図68に、脱水処理済のPC基板をベーク
炉から取り出した後の保存時間と、当該PC基板を用い
て作製された光磁気ディスクの記録特性との関係を示
す。記録特性の測定は、記録済の光磁気ディスクに18
0(Oe)の消去磁界を印加しつつ消去レベルのレーザ
ビームを照射し、当該消去動作が行われたトラックの残
留磁界(ノイズ)をPINフォトダイオード差動検出器
を備えた差動特性検出器にて測定することで行った。同
図に示すように、本例の光磁気ディスクは、PC基板1
の脱水処理を行った後、短時間のうちに垂直磁化膜4等
を成膜した方がより高い外部磁界感度を有しており、脱
水処理後の保存時間が長くなるにしたがって外部磁界感
度が低下している。このデータから、前記条件下では、
脱水処理後50分間以内に垂直磁化膜4等を成膜するの
が好ましいことが判る。脱水処理後50分以上経過した
ときに外部磁界感度が急激に低下するのは、一旦脱水さ
れたPC基板1が時間の経過とともに吸水し、垂直磁化
膜4の表面が過剰に酸化されて、過大な膜厚の面内磁化
膜が生成されるためであると推定される。
【0210】なお、前記実施例では、エンハンス膜3及
び保護膜5としてSiNを用いたが、SiO2 ,Si
O,Si23 ,AlN等、他の無機誘電体を用いた場
合にも前記と同様の結果が得られた。また、無機保護膜
に代えて、UV樹脂保護膜を形成した場合にも前記と同
様の結果が得られた。また、各膜の膜厚を種々変更した
場合にも、前記と同様の結果が得られた。さらに、垂直
磁化膜4をTbFeCo以外の他の希土類−遷移金属系
の非晶質垂直磁化膜を用いた場合にも、前記と同様の結
果が得られた。
【0211】<第18実施例>PC基板の脱水処理を、
20(Pa)以下の真空度に真空引きされた真空チャン
バ内で80℃に1時間以上加熱することで行った。それ
以外の諸条件については、前記第1実施例と同じにし
た。
【0212】図69に、脱水処理済のPC基板をベーク
炉から取り出した後の保存時間と、当該PC基板を用い
て作製された光磁気ディスクの記録特性との関係を示
す。記録特性の測定条件は、前記第1実施例と同じにし
た。同図に示すように、本例の光磁気ディスクにおいて
も前記第1実施例の場合とほぼ同様の傾向を示すが、脱
水処理後50分間における外部磁界感度の安定性がより
高められている。これは、本例の場合、第1実施例の場
合よりもPC基板がより高度に脱水される結果、PC基
板が外部磁界感度に影響を及ぼすまで吸湿するのに時間
がかかるためであると推定される。
【0213】なお、本例の光磁気ディスクにおいても、
前記第17実施例の場合と同様に、エンハンス膜材料及
び保護膜材料、各膜の膜厚、垂直磁化膜材料を種々変更
した場合にも、前記と同様の結果が得られた。
【0214】<第19実施例>所謂2P法によって、片
面にプリフォーマットパターン転写樹脂層(以下、樹脂
層という)が設けられたガラス製のディスク状透明基板
(以下、2P基板という)を作製した。
【0215】この2P基板をベーク炉に入れ、大気圧下
80℃の温度で4時間以上加熱して脱水処理を行った。
【0216】2P基板をベーク炉から取り出し、気温が
20℃で相対湿度が60%の環境下に保存した。しかる
後に、ベーク炉から取り出された2P基板をRFスパッ
タリング装置に収納し、そのプリフォーマットパターン
形成面上に、SiNエンハンス膜と、TbFeCo垂直
磁化膜と、SiN保護膜と、Al反射膜とをこの順に積
層して、図70に示す断面構造を有する光磁気記録媒体
を作製した。図70において、1は2P基板、22はガ
ラス板、21は樹脂層を示し、その他前出の図67と対
応する部分には、それと同一の符号が表示されている。
【0217】図71に、脱水処理済の2P基板をベーク
炉から取り出した後の保存時間と、当該2P基板を用い
て作製された光磁気ディスクの記録特性との関係を示
す。記録特性の測定方法は、前記各実施例の場合と同じ
である。同図に示すように、本例の場合には、前記各実
施例の場合とは異なり、脱水処理後、ある程度の時間が
経過してから垂直磁化膜を成膜した方が高い外部磁界感
度を得ることができる。これは2P基板の場合、樹脂層
の膜厚が薄いために前記の脱水条件で高高度に脱水処理
がなされ、その結果、直ちに垂直磁化膜等を成膜すると
外部磁界感度の改善に必要な酸化膜すなわち面内磁化膜
ができないためであると推定される。図71のデータか
ら、前記条件下では、脱水処理後4時間以上、より好ま
しくは6時間以上経過してから垂直磁化膜4等を成膜す
るのが好ましいことが判る。
【0218】なお、本例の光磁気ディスクにおいても、
前記第1実施例の場合と同様に、エンハンス膜材料及び
保護膜材料、各膜の膜厚、垂直磁化膜材料を種々変更し
た場合にも、前記と同様の結果が得られた。
【0219】<第20実施例>第20実施例は、光磁気
記録膜及び補助磁性膜の好適な組合せと、それら両膜の
作製方法とに関する。
【0220】図45の膜構造を有する光磁気記録媒体を
例にとって、本実施例を説明する。図に示すように、本
実施例の光磁気記録媒体は、透明基板1上に、第1エン
ハンス膜3aと、光磁気記録膜4と、補助磁性膜5と、
第2エンハンス膜3bと、熱拡散膜8とがこの順に積層
されている。
【0221】光磁気記録膜4は、下記の一般式で表わさ
れる希土類−遷移金属−添加元素系の非晶質合金であっ
て、補償温度がない、すなわちキュリー温度まで希土類
モーメントが優勢な磁性膜にて形成され、補助磁性膜5
は、この合金に酸素又は窒素が添加されたものにて形成
される。
【0222】一般式;(Tb100-AAX Fe
100-X-Y-Z CoYZ 但し、25原子%≦X≦40原子% 5原子%≦Y≦15原子% 0原子%≦Z≦10原子% 0原子%≦A≦20原子% MはNb,Cr,Pt,Ti,Alから選択された少な
くとも1種類の元素、QはGd,Nd,Dyから選択さ
れた少なくとも1種類の元素。光磁気記録膜4は100
〜500Åの膜厚に形成され、補助磁性膜5はその5〜
40%の膜厚に形成される。補助磁性膜5は、定法にし
たがって第1エンハンス膜3aと光磁気記録膜4とのス
パッタリングが終了した後、スパッタチャンバー内の真
空度を1×106 〜1×104 (Pa)に調整し、この
真空条件下で加熱するか、あるいはスパッタチャンバー
内に酸素又は窒素とスパッタガス(例えば、Ar,K
r,Xe等)の混合ガスを導入しながら加熱することに
よって形成できる。第2エンハンス膜3b及び熱拡散膜
8は、補助磁性膜5の作製後、定法にしたがってスパッ
タリングされる。この方法によると、全ての膜を連続ス
パッタリングできるので、光磁気記録媒体を量産性よく
製造できる。
【0223】図72に、膜厚が400ÅのTb31.7Fe
56.4Co11.9光磁気記録膜と、膜厚が100Åの酸素を
5%含有したTbFeCo補助磁性膜を有する光磁気記
録媒体(第20実施例品)と、光磁気記録膜の組成が第
20実施例品と同じで、酸素を含まないTbFeCo補
助磁性膜が積層された光磁気記録媒体(比較例品)と、
従来品の、C/Nの磁場依存性を示す。この図から明ら
かなように、第20実施例品は、50(Oe)の外部磁
界で飽和磁化に達することができ、100(Oe)以上
の外部磁界を印加しなくては飽和磁化に達しない比較例
品、及び200(Oe)以上の外部磁界を印加しなくて
は飽和磁化に達しない従来品に比べて、格段に外部磁界
感度が改善される。
【0224】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
補助磁性膜として角形比が1以下のものを用いるか、光
磁気記録膜として、遷移金属がもつ部分磁化の磁気モー
メントの方向が少なくとも当該光磁気記録膜のキュリー
温度直下において当該光磁気記録膜の磁化の方向と同じ
であるもの、或いは遷移金属がもつ部分磁化の磁気モー
メントの方向が少なくとも当該光磁気記録膜のキュリー
温度直下において当該光磁気記録膜の磁化の方向と逆で
あるものを用いたので、200(Oe)の外部磁界で完
全な記録情報の消去が可能で、従来実用化が困難である
とされていた磁気超解像形の光磁気記録媒体における磁
界強度変調方式によるオーバーライト記録が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る光磁気記録媒体の要部断面図
である。
【図2】第1実施例における強磁性反射膜の効果を示す
グラフ図である。
【図3】第1実施例におけるPtCo薄膜の組成と消去
方向磁界との関係を示すグラフ図である。
【図4】実験例1および比較例に係る光磁気記録媒体の
説明図である。
【図5】第1実施例中の各実験例および比較例に係る光
磁気記録媒体の記録・消去特性を比較して示すグラフ図
である。
【図6】第2実施例に係る光磁気記録媒体の要部断面図
である。
【図7】第2実施例にけるレーザビーム照射部の温度分
布を示す説明図である。
【図8】第2実施例における熱制御層の組成とレーザビ
ーム照射部の温度との関係を示すグラフ図である。
【図9】第2実施例における熱制御層の組成と熱伝導率
の関係を示すグラフ図である。
【図10】第2実施例における熱制御層の組成と繰返し
記録、再生に対する耐久性との関係を示すグラフ図であ
る。
【図11】第2実施例における光磁気記録媒体の具体的
構造を示す断面図である。
【図12】第2実施例における光磁気記録媒体の具体的
構造を示す断面図である。
【図13】第2実施例中の各実験例に係る光磁気記録媒
体の再生信号出力特性図である。
【図14】第2実施例に係る光磁気記録媒体の繰返し記
録、再生に対する耐久性を示すグラフ図である。
【図15】第2実施例における熱制御層の組成と熱伝導
率と膜厚との関係を示すグラフ図である。
【図16】第2実施例における熱制御層の組成と熱伝導
率の関係を示すグラフ図である。
【図17】第2実施例における熱制御層の組成と熱伝導
率の関係を示すグラフ図である。
【図18】第3実施例における光磁気記録膜へのN混入
率およびO混入率と垂直磁気異方性定数との関係を示す
グラフ図である。
【図19】第3実施例における光磁気記録膜へのN混入
率およびO混入率と残留カー回転角との関係を示すグラ
フ図である。
【図20】第3実施例における光磁気記録媒体に積層さ
れた各膜の組成と膜厚の一例を示す表図である。
【図21】図20の光磁気記録媒体を用いて測定したN
混入率およびO混入率と再生CN比との関係を示すグラ
フ図である。
【図22】図20の光磁気記録媒体を用いて測定したN
混入率およびO混入率と飽和記録磁界との関係を示すグ
ラフ図である。
【図23】図20の光磁気記録媒体を用いて測定したN
混入率およびO混入率と消去磁界との関係を示すグラフ
図である。
【図24】第3実施例中の各実験例および比較例に係る
光磁気記録媒体の製造方法と再生CN比と飽和記録磁界
と消去磁界とN混入率とO混入率とを示す表図である。
【図25】第4実施例に係る光磁気記録媒体の要部断面
図である。
【図26】第4実施例における補助磁性膜のキュリー温
度と必要消去磁界との関係を示すグラフ図である。
【図27】第4実施例における補助磁性膜の組成とキュ
リー温度との関係を示すグラフ図である。
【図28】第4実施例に係る光磁気記録媒体と従来の光
磁気記録媒体の記録、消去特性を比較して示すグラフ図
である。
【図29】第4実施例に係る光磁気記録媒体の変形例を
示す要部断面図である。
【図30】第4実施例に係る光磁気記録媒体の他の変形
例を示す要部断面図である。
【図31】光強度変調方式によるオーバーライトが可能
な光磁気記録媒体の構成の一例を示す説明図である。
【図32】キュリー温度近傍で遷移金属リッチのフェリ
磁性体の説明図である。
【図33】キュリー温度近傍で希土類リッチのフェリ磁
性体の説明図である。
【図34】キュリー温度近傍で遷移金属リッチのフェロ
磁性体の説明図である。
【図35】キュリー温度近傍で希土類リッチのフェロ磁
性体の説明図である。
【図36】室温では希土類リッチで、キュリー温度近傍
では遷移金属リッチとなるフェリ磁性体の説明図であ
る。
【図37】第5実施例に係る磁性膜の構造を模式的に示
す説明図である。
【図38】第5実施例に係る光磁気記録媒体のトルクカ
ーブを例示するグラフ図である。
【図39】従来例に係る光磁気記録媒体のトルクカーブ
を例示するグラフ図である。
【図40】試料温度とトルフカーブのピーク値との相関
を示すグラフ図である。
【図41】第5実施例に係る光磁気記録媒体の外部磁界
特性を示すグラフ図である。
【図42】第5実施例に係る光磁気記録媒体のビツトエ
ラー発生特性を示すグラフ図である。
【図43】第5実施例に係る光磁気記録媒体の膜構造を
例示する断面図である。
【図44】補助磁性膜を有する第5実施例の光磁気記録
媒体の磁界変調記録特性を示すグラフ図である。
【図45】補助磁性膜を有する第5実施例の光磁気記録
媒体の要部断面図である。
【図46】第6実施例に係る光磁気記録媒体の要部断面
図である。
【図47】第6実施例に係る光磁気記録媒体の効果を示
すグラフ図である。
【図48】第7実施例に係る光磁気記録媒体の要部断面
図である。
【図49】第7実施例に係る光磁気記録媒体の効果を示
すグラフ図である。
【図50】第8実施例に係る光磁気記録媒体の要部断面
図である。
【図51】第8実施例に係る光磁気記録媒体の効果を示
すグラフ図である。
【図52】第9実施例に係る光磁気記録媒体の垂直磁気
異方性定数と補助磁性膜への白金添加量との関係を示す
グラフ図である。
【図53】第9実施例に係る光磁気記録媒体の残留カー
回転角と補助磁性膜への白金添加量との関係を示すグラ
フ図である。
【図54】第9実施例に係る光磁気記録媒体の再生CN
比と補助磁性膜への白金添加量との関係を示すグラフ図
である。
【図55】第9実施例に係る光磁気記録媒体の最小消去
磁界と補助磁性膜への白金添加量との関係を示すグラフ
図である。
【図56】第10実施例に係る媒体の膜構造を示す断面
図である。
【図57】第11実施例に係る媒体の膜構造を示す断面
図である。
【図58】第10,第11実施例の記録層および補助層
の保磁力−温度特性と飽和磁化−温度特性を示すグラフ
図である。
【図59】情報のオーバーライトに必要なレーザパワー
の大きさを示すグラフ図である。
【図60】情報のオーバーライトに必要な初期化磁界の
大きさを示すグラフ図である。
【図61】第13実施例に係る光磁気記録媒体の要部断
面図である。
【図62】第14実施例に係る光磁気ディスクの再生C
/N−記録レーザパワー特性図である。
【図63】接着剤中のカップリング剤組成を示す表図で
ある。
【図64】接着剤中のカップリング剤及びフィラーの組
成を示す表図である。
【図65】第16実施例に係る光磁気記録媒体の要部断
面図である。
【図66】第16実施例に係る光磁気記録媒体の耐食性
試験結果を示すグラフ図である。
【図67】第17実施例に係る光磁気記録媒体の要部断
面図である。
【図68】放置時間と外部磁界感度との関係を示すグラ
フ図である。
【図69】放置時間と外部磁界感度との関係を示すグラ
フ図である。
【図70】第19実施例に係る光磁気記録媒体の要部断
面図である。
【図71】放置時間と外部磁界感度との関係を示すグラ
フ図である。
【図72】第20実施例に係る光磁気記録媒体のCN比
の磁場依存性を示すグラフ図である。
【図73】補助磁性膜を有する光磁気記録媒体の磁界強
度変調方式によるオーバーライトの原理を示す説明図で
ある。
【図74】キュリー温度直下でRE−richの光磁気
記録膜の低温時の記録・消去特性を示す説明図である。
【図75】補助磁性膜を有する光磁気記録媒体の光強度
変調方式によるオーバーライトの原理を示す説明図であ
る。
【図76】外部磁界強度及びレーザパワーの選択方法を
示す説明図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 プリフォーマットパターン 3 エンハンス膜 4 光磁気記録膜 5 補助磁性膜 6 保護層 8 熱制御層
フロントページの続き (72)発明者 橋本 昌俊 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 白井 睦智 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 太田 憲雄 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 藤原 英夫 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 吉弘 昌史 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 山田 幸憲 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 小山 栄二 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 古性 均 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と、当該透明基板上に担持され
    た希土類−遷移金属系の垂直磁化膜からなる光磁気記録
    膜並びに自発磁化を有する補助磁性膜とを備え、磁界強
    度変調方式で情報のオーバーライトが行われる磁気超解
    像形の光磁気記録媒体において、前記補助磁性膜とし
    て、キュリー温度近傍で角形比が1以下の磁性膜を用
    い、200(Oe)の外部磁界で完全な情報の消去が可
    能であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 透明基板と、当該透明基板上に担持され
    た希土類−遷移金属系の垂直磁化膜からなる光磁気記録
    膜並びに自発磁化を有する補助磁性膜とを備え、磁界強
    度変調方式で情報のオーバーライトが行われる磁気超解
    像形の光磁気記録媒体において、前記光磁気記録膜とし
    て、遷移金属がもつ部分磁化の磁気モーメントの方向
    が、少なくとも当該光磁気記録膜のキュリー温度直下に
    おいて当該光磁気記録膜の磁化の方向と同じであるもの
    を用い、200(Oe)の外部磁界で完全な情報の消去
    が可能であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 透明基板と、当該透明基板上に担持され
    た希土類−遷移金属系の垂直磁化膜からなる光磁気記録
    膜並びに自発磁化を有する補助磁性膜とを備え、磁界強
    度変調方式で情報のオーバーライトが行われる磁気超解
    像形の光磁気記録媒体において、前記光磁気記録膜とし
    て、遷移金属がもつ部分磁化の磁気モーメントの方向
    が、少なくとも当該光磁気記録膜のキュリー温度直下に
    おいて当該光磁気記録膜の磁化の方向と逆であるものを
    用い、200(Oe)の外部磁界で完全な情報の消去が
    可能であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光磁
    気記録媒体において、前記補助磁性膜として、当該補助
    磁性膜の磁気モーメントと前記光磁気記録膜中の遷移金
    属がもつ部分磁化の磁気モーメントとの間で交換結合力
    が作用し合うものを用いたことを特徴とする光磁気記録
    媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光磁
    気記録媒体において、前記光磁気記録膜が、キュリー温
    度近傍で、遷移金属リッチのフェリ磁性体からなること
    を特徴とする光磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光磁
    気記録媒体において、前記光磁気記録膜が、キュリー温
    度近傍で、希土類リッチのフェリ磁性体からなることを
    特徴とする光磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光磁
    気記録媒体において、前記光磁気記録膜が、キュリー温
    度近傍で、遷移金属リッチのフェロ磁性体からなること
    を特徴とする光磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光磁
    気記録媒体において、前記光磁気記録膜が、キュリー温
    度近傍で、希土類リッチのフェロ磁性体からなることを
    特徴とする光磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光磁
    気記録媒体において、前記光磁気記録膜として、膜面に
    垂直な方向に対して傾斜した方向の磁気モーメント成分
    を有し、かつ当該光磁気記録膜をそのキュリー温度近傍
    まで加熱したとき、前記傾斜した磁気モーメント成分と
    膜面に対して垂直な方向の磁気モーメント成分が共に消
    失する磁性膜を備えたことを特徴とする光磁気記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体において、前記光磁気記録膜が、下記の
    (1)〜(4)の条件を満たし、かつ室温下で互いに磁
    気的に結合する第1、第2、第3の希土類−遷移金属系
    非晶質垂直磁化膜の積層体からなり、これら各磁性膜の
    うち、透明基板から最も離隔して配設される前記第3の
    磁性膜が、室温下で希土類副格子磁化が優勢な磁性膜を
    もって構成されたものであることを特徴とする光磁気記
    録媒体。 (1) T0 <Tc2 <Tc1 ,Tc3 (2) Hc1 +Hw(3,1) <Hr(再生時に最高温度まで
    昇温させる領域及びその近傍の領域において) (3) Hc3 >Hr(室温から再生時の最高到達温度まで
    の温度範囲において) (4) Hc1 <Hw(3,1)(室温時) 但し、T0 は室温、Tc1 ,Tc2 ,Tc3 は夫々第
    1、第2、第3の磁化膜のキュリー温度、Hc1 ,Hc
    3 は夫々第1、第3の磁化膜の保磁力、Hrは再生用外
    部磁界の強度、Hw(3,1) は第3の磁性膜が第1の磁性
    膜に及ぼす交換磁界の強度である。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体において、前記補助磁性膜が、貴金属又は
    遷移金属を含む合金で構成されていることを特徴とする
    光磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の光磁気記録媒体に
    おいて、前記補助磁性膜が、(Au,Ag,Al,P
    t,Rh,Pd)元素群から選択された少なくとも1種
    類の元素と、(Fe,Co,Ni)元素群から選択され
    た少なくとも1種類の元素との合金で構成されているこ
    とを特徴とする光磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体において、前記補助磁性膜が、(Au,A
    g,Al,Cu,Pt,Nb,Nd,Ho,Gd,C
    r)元素群から選択された少なくとも1種類の元素を含
    有した希土類−遷移金属系の非晶質合金で構成されてい
    ることを特徴とする光磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体において、前記補助磁性膜のキュリー温度
    と前記光磁気記録膜のキュリー温度との差が、150℃
    以内に規制されていることを特徴とする光磁気記録媒
    体。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体において、前記補助磁性膜のキュリー温度
    が、100℃乃至300℃の範囲内に規制されているこ
    とを特徴とする光磁気記録媒体。
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