WO2021251232A1

WO2021251232A1 - 密封装置

Info

Publication number: WO2021251232A1
Application number: PCT/JP2021/020973
Authority: WO
Inventors: 誠大積
Original assignee: Nok株式会社
Priority date: 2020-06-12
Filing date: 2021-06-02
Publication date: 2021-12-16
Also published as: CN115698563A; US20230193998A1; DE112021003243T5; JP7538225B2; JPWO2021251232A1; US12013038B2

Abstract

密封装置は、相対的に回転する内側部材と外側部材との間に配置される。密封装置は、第１のシール部材と第２のシール部材を有する。第１のシール部材は、外側部材に取り付けられる円筒部と、リップを有する、第２のシール部材と、内側部材が嵌め入れられる円筒状のスリーブと、スリーブから径方向外側に広がるフランジを有する、フランジは、スリーブに連結された剛性材料製の剛性フランジ部と、剛性フランジ部に密着する円環状の弾性フランジ部を有する。弾性フランジ部の内周には、内側部材の外周面に接触する環状の突起が形成されている。初期状態において、突起の内周面は、円柱形部分を有する。初期状態における円柱形部分の内径は、スリーブの内径より小さい。初期状態において、突起の円柱形部分の長さが０．１５ｍｍ以上である。

Description

密封装置

　本発明は、密封装置に関する。

　自動車のハブには、車軸を支持する転がり軸受が設けられる。この転がり軸受をハブベアリングと呼ぶ。ハブベアリングの内輪と外輪の間には密封装置が設けられる。この密封装置は、軸受内部の潤滑剤（グリース）を密封するとともに、外部から水やダスト等の異物が軸受内部へ侵入しないように阻止する。

　ハブベアリングに設けられる密封装置の１種には、２つのシール部材の組み合わせからなるものがある（特許文献１）。一方のシール部材は、外側部材、例えば外輪に取り付けられ、他方のシール部材は、内側部材、例えば内輪に取り付けられる。一方のシール部材には、他方のシール部材に摺動可能に接触するリップが設けられており、リップが潤滑剤の漏れを防止する。

　内側部材に取り付けられるシール部材は、内側部材が嵌め入れられるスリーブと、スリーブから径方向外側に広がるフランジを有する。特許文献１に記載されたシール部材のフランジは、金属製のフランジ部と、弾性材料製の弾性フランジ部を有する。

特開２０１７－１９０８０４号公報

　上記のシール部材のスリーブと、スリーブに嵌め入れられる内側部材は、剛性材料製であり、両者の間には微小な隙間が生じうる。密封装置で封止された内部空間の封止性を確保するには、上記の弾性フランジ部の内周部分は、内側部材に密に接触させられることが望ましい。

　また、ハブベアリングに高い負荷がかかった場合には、ベアリングの内部空間の圧力が高まる。この場合でも、弾性フランジ部の内周部分と内側部材の外周面の間に隙間が生じず、内部空間の封止性が維持されることが望ましい。

　そこで、本発明は、内部空間の封止性を維持することができる密封装置を提供する。

　本発明のある態様に係る密封装置は、相対的に回転する内側部材と外側部材との間に配置され、前記内側部材と前記外側部材との間の間隙を封止する。密封装置は、前記外側部材に取り付けられる円筒部と、前記円筒部から径方向内側に広がる環状部と、前記環状部から延びるリップを有する、第１のシール部材と、前記内側部材が嵌め入れられる円筒状のスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がるフランジを有し、前記フランジが前記第１のシール部材の環状部と対向し、前記第１のシール部材の前記リップが前記スリーブに摺動可能に接触する、第２のシール部材を備える。前記第２のシール部材の前記スリーブは、剛性材料から形成されている。前記第２のシール部材の前記フランジは、前記スリーブに連結された前記剛性材料製の剛性フランジ部と、前記剛性フランジ部に密着する弾性材料から形成された円環状の弾性フランジ部を有する。前記弾性フランジ部の内周には、前記内側部材の外周面に接触する環状の突起が形成されている。初期状態において、前記突起の内周面は、円柱形部分と、前記円柱形部分に隣接する２つの円錐台状の傾斜面部分を有する。初期状態における前記円柱形部分の内径は、前記スリーブの内径より小さい。初期状態において、前記突起の前記円柱形部分の長さが０．１５ｍｍ以上である。

　この態様においては、第２のシール部材の弾性フランジ部の内周に形成された突起の円柱形部分の長さが初期状態において０．１５ｍｍ以上であることにより、密封装置で封止された内部空間の圧力が高まっても、弾性フランジ部の突起と、内側部材の円柱形の外周面との間に隙間が生じにくい。したがって、密封装置で封止された内部空間の封止性が維持される。

本発明の実施形態に係る密封装置が使用される転がり軸受の一例の部分断面図である。本発明の実施形態に係る密封装置の部分断面図である。図２の一部の拡大図である。内側部材によって変形させられた弾性フランジ部を目立たせた、図３と同様の拡大図である。比較例に係る密封装置の一部の拡大断面図である。

　以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施形態を説明する。図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、一部の特徴は誇張または省略されることもある。

　図１は、本発明の実施形態に係る密封装置が使用される転がり軸受の一例である自動車用のハブベアリングを示す。但し、本発明の用途はハブベアリングには限定されず、他の転がり軸受にも本発明は適用可能である。また、以下の説明では、ハブベアリングは、玉軸受であるが、本発明の用途は玉軸受には限定されず、他の種類の転動体を有する、ころ軸受、針軸受などの他の転がり軸受にも本発明は適用可能である。また、自動車以外の機械に使用される転がり軸受にも本発明は適用可能である。

　このハブベアリング１は、車軸（図示せず）が内部に挿入される孔２を有するハブ４と、ハブ４に取り付けられた内輪（内側部材）６と、これらの外側に配置された外輪（外側部材）８と、ハブ４と外輪８の間に１列に配置された複数の玉１０と、内輪６と外輪８の間に１列に配置された複数の玉１２と、これらの玉を定位置に保持する複数の保持器１４，１５とを有する。

　外輪８が固定されている一方で、ハブ４および内輪６は、車軸の回転に伴って回転する。

　車軸およびハブベアリング１の共通の中心軸線Ａｘは、図１の上下方向に延びている。図１においては、中心軸線Ａｘに対する左側部分のみが示されている。詳細には図示しないが、図１の上側は自動車の車輪が配置される外側（アウトボード側）であり、下側は差動歯車などが配置される内側（インボード側）である。図１に示した外側、内側は、それぞれ径方向の外側、内側を意味する。

　ハブベアリング１の外輪８は、ハブナックル１６に固定される。ハブ４は、外輪８よりも半径方向外側に張り出したアウトボード側フランジ１８を有する。アウトボード側フランジ１８には、ハブボルト１９によって、車輪を取り付けることができる。

　外輪８のアウトボード側の端部の付近には、外輪８とハブ４との間の間隙を封止する密封装置２０が配置されており、外輪８のインボード側の端部の内側には、外輪８と内輪６との間の間隙を封止する密封装置２１が配置されている。これらの密封装置２０，２１の作用により、ハブベアリング１の内部空間からのグリース、すなわち潤滑剤の流出が防止されるとともに、外部からハブベアリング１の内部空間への異物（水（泥水または塩水を含む）およびダストを含む）の流入が防止される。図１において、矢印Ｆは、外部からの異物の流れの方向の例を示す。

　密封装置２０は、ハブベアリング１の回転するハブ４と、固定された外輪８のアウトボード側の円筒状の端部８Ａとの間に配置され、ハブ４と外輪８との間の間隙を封止する。密封装置２１は、ハブベアリング１の回転する内輪６と固定された外輪８のインボード側の端部８Ｂとの間に配置され、内輪６と外輪８との間の間隙を封止する。

　図２に示すように、密封装置２１は、ハブベアリング１の外輪８のインボード側の端部８Ｂと、ハブベアリング１の内輪６との間隙内に配置される。密封装置２１は環状であるが、図２においては、その左側部分のみが示されている。図２から明らかなように、密封装置２１は、第１のシール部材３０と第２のシール部材４０を備える複合構造を有する。

　第１のシール部材３０は、外輪８に取り付けられ、回転しない固定シール部材である。第１のシール部材３０は、弾性環３１および剛性環３２を有する複合構造である。弾性環３１は、弾性材料、例えばエラストマーで形成されている。剛性環３２は、剛性材料、例えば金属から形成されており、弾性環３１を補強する。剛性環３２は、ほぼＬ字形の断面形状を有する。剛性環３２の一部は、弾性環３１に埋設されており、弾性環３１に密着している。

　第１のシール部材３０は、円筒部３３、環状部３４、ラジアルリップ３５，３６、およびサイドリップ３７，３８を有する。

　円筒部３３は、外輪８に取り付けられる取付け部を構成する。具体的には、円筒部３３は、外輪８の端部８Ｂに締まり嵌め方式で嵌め入れられる（すなわち圧入される）。環状部３４は、円環状であって、円筒部３３の径方向内側に配置され、内輪６に向けて径方向内側に広がる。環状部３４は、径方向内側に位置する厚さが小さい部分と、径方向外側に位置する厚さが大きい部分を有する。円筒部３３と環状部３４は、剛性環３２と弾性環３１から構成されている。

　ラジアルリップ３５，３６は、環状部３４の内側端から径方向内側に向けて延び、ラジアルリップ３５，３６の先端は第２のシール部材４０のスリーブ４２Ａに接触する。ラジアルリップ３５，３６は、弾性環３１から構成されている。

　サイドリップ３７は、環状部３４の厚さが小さい部分からインボード側に向けて延びる。サイドリップ３８は、環状部３４の厚さが大きい部分からインボード側に向けて延びる。サイドリップ３７，３８の先端は第２のシール部材４０の剛性フランジ部４２Ｂに接触する。サイドリップ３７，３８は、弾性環３１から構成されている。

　第２のシール部材４０は、スリンガーすなわち回転シール部材とも呼ぶことができる。第２のシール部材４０は、内輪６に取り付けられており、内輪６の回転時に、第２のシール部材４０は内輪６とともに回転し、外部から飛散して来る異物を跳ね飛ばす。

　この実施形態では、第２のシール部材４０も、弾性環４１および剛性環４２を有する複合構造である。剛性環４２は、剛性材料、例えば金属から形成されている。

　剛性環４２は、ほぼＬ字形の断面形状を有する。具体的には、剛性環４２は、円筒状のスリーブ４２Ａと、スリーブ４２Ａから径方向外側に広がる円環状の剛性フランジ部４２Ｂを備える。スリーブ４２Ａは、内輪６に取り付けられる取付け部を構成する。具体的には、スリーブ４２Ａには、内輪６の端部が締まり嵌め方式で嵌め入れられる（すなわち圧入される）。

　剛性フランジ部４２Ｂは、スリーブ４２Ａの径方向外側に配置され、径方向外側に広がっており、第１のシール部材３０の環状部３４と対向する。この実施形態では、剛性フランジ部４２Ｂは平板であり、スリーブ４２Ａの軸線に対して垂直な平面内にある。

　弾性環４１は、剛性環４２の剛性フランジ部４２Ｂに密着している。この実施形態では、弾性環４１は、内輪６の回転速度を計測するために設けられている。具体的には、弾性環４１は、磁性金属粉およびセラミックス粉を含有するエラストマー材料で形成されており、磁性金属粉によって多数のＳ極とＮ極を有する。弾性環４１においては、円周方向に等角間隔をおいて多数のＳ極とＮ極が交互に配置されている。図示しない磁気センサーによって、弾性環４１の回転角度を測定することができる。したがって、磁気センサーと弾性環４１は磁気式ロータリーエンコーダーを構成する。

　弾性環４１と剛性フランジ部４２Ｂは、互いに接合されており、１つのフランジ４４を構成するとみなすことができる。したがって、弾性環４１を弾性フランジ部４５と呼ぶことができ、フランジ４４は、スリーブ４２Ａに連結された剛性材料製の剛性フランジ部４２Ｂと、剛性フランジ部４２Ｂに密着する弾性材料から形成された円環状の弾性フランジ部４５を有するとみなすことができる。

　第１のシール部材３０のラジアルリップ３５は、グリースリップである。グリースリップ３５は、主にハブベアリング１の内部空間からの潤滑剤の流出を阻止する役割を担う。ラジアルリップ３６は、ダストリップである。ダストリップ３６は、主に外部からハブベアリング１の内部空間への異物の流入を阻止する役割を担う。サイドリップ３７，３８は、外部からラジアルリップ３６への異物の流入を阻止する役割を担う。

　第１のシール部材３０が固定された外輪８に取り付けられている一方、内輪６および第２のシール部材４０は回転するので、ラジアルリップ３５，３６は第２のシール部材４０のスリーブ４２Ａに対して摺動し、サイドリップ３７，３８は第２のシール部材４０の剛性フランジ部４２Ｂに対して摺動する。

　弾性フランジ部４５の内周には、内輪６の外周面に接触する環状の突起５０が形成されている。弾性フランジ部４５が変形していない状態（初期状態）において、突起５０の内周面は、円柱形部分５２と、円柱形部分５２に隣接する２つの円錐台状の傾斜面部分５３，５４を有する。円柱形部分５２は、初期状態において、第２のシール部材４０の軸線に垂直な方向から見ると、第２のシール部材４０の軸線方向に沿って直線状に延びる。傾斜面部分５３は円柱形部分５２の内部空間側にあり、傾斜面部分５４は円柱形部分５２の大気側（円柱形部分５２と弾性フランジ部４５の端面４５ａの間）にある。

　図２では、仮想線で内輪６と外輪８を描いている。第１のシール部材３０の円筒部３３は外輪８に嵌め入れられるので、円筒部３３は変形させられ、実際には図２よりも径方向内側に位置する。また、第２のシール部材４０のスリーブ４２Ａと弾性フランジ部４５には内輪６が嵌め入れられるので、スリーブ４２Ａと弾性フランジ部４５（特に、突起５０）は変形させられ、実際には図２よりも径方向外側に位置する。

　このように、図２は、変形していない初期状態のスリーブ４２Ａと弾性フランジ部４５を示す。図３は、この初期状態のスリーブ４２Ａと弾性フランジ部４５を拡大して示す。図４は、図３と同様の拡大図であるが、内輪６に接触して変形させられた弾性フランジ部４５（特に、突起５０）を実線で示し、初期状態の突起５０を仮想線で示す。

　スリーブ４２Ａと、スリーブ４２Ａに嵌め入れられる内輪６は、剛性材料製であり、両者の間には微小な隙間が生じうる。密封装置２１で封止された内部空間の封止性を確保するには、弾性フランジ部４５の内周部分は、内輪６に密に接触させられることが望ましい。

　また、ハブベアリング１に高い負荷がかかった場合には、ハブベアリング１の内部空間の圧力が高まる。この場合、内部空間の高圧によって、内部空間からのエアまたは潤滑剤の漏れＬ（図４参照）が弾性フランジ部４５の内周部分と内輪６の外周面の間を通過するのは好ましくない。逆に、ハブベアリング１の温度が低下した場合（例えば、自動車の走行が停止した場合）、ハブベアリング１の内部空間の圧力が低下する。内部空間からのエアまたは潤滑剤の漏れＬがあった後、ハブベアリング１の温度が低下すると、内部空間の圧力が極めて低くなって、グリースリップ３５の封止能力が低下したり、ダストリップ３６がスリーブ４２Ａに強く接触して内輪６に大きなトルクを与えたりするおそれがある。したがって、ハブベアリング１に高い負荷がかかった場合でも、弾性フランジ部４５の内周部分と内輪６の外周面の間に隙間が生じず、内部空間の封止性が維持されることが望ましい。

　内部空間の封止性を確保するため、初期状態における突起５０の円柱形部分５２の内径は、スリーブ４２Ａの内径より小さい。好ましくは、初期状態におけるスリーブ４２Ａの内側半径Ｒ１（図３参照）と突起５０の円柱形部分５２の内側半径Ｒ２との差は、例えば０．１ｍｍである。したがって、内輪６に対するスリーブ４２Ａの締め代Ｉｎ１よりも、内輪６に対する突起５０の円柱形部分５２の締め代Ｉｎ２を０．１ｍｍ大きく設定することができる。

　初期状態において、突起５０の内周面の円柱形部分５２の長さｘは０．１５ｍｍ以上であることが好ましい。この場合には、密封装置２１で封止された内部空間の圧力が高まっても、弾性フランジ部４５の突起５０と、内輪６の円柱形の外周面との間に隙間が生じにくい。したがって、密封装置２１で封止された内部空間の封止性が維持される。

　初期状態における円柱形部分５２の長さｘは、弾性フランジ部４５の端面４５ａ（大気側に露出した面）から、円柱形部分５２のスリーブ４２Ａ側の端５２ａまでの距離Ｄの半分以下であることが好ましい。この場合には、突起５０の内輪６の外周面に対する接触圧が高いので、密封装置２１で封止された内部空間の圧力が高まっても、突起５０の一部が弾性フランジ部４５の端面よりも大気側に突き出すことがなく、このような突起５０の大きな変形に伴って、突起５０と内輪６の外周面との間に隙間が生じることもない。

　図５は、比較例に係る密封装置の一部の拡大断面図である。図５においても、図４と同様に、内輪６に接触して変形させられた弾性フランジ部４５（特に、突起５０）を実線で示し、初期状態の突起５０を仮想線で示す。図５の比較例では、初期状態における円柱形部分５２の長さｘは、弾性フランジ部４５の端面４５ａから円柱形部分５２の端５２ａまでの距離Ｄの半分より大きい。この場合には、突起５０の内輪６の外周面に対する接触圧が低いので、密封装置２１で封止された内部空間の圧力が高まると、突起５０の一部が弾性フランジ部４５の端面４５ａよりも大気側に突き出してしまうおそれがある。このように突起５０が大きく変形すると、突起５０と内輪６の外周面との間に隙間が生じて、エアまたは潤滑剤の漏れＬが突起５０と内輪６の外周面の間を通過するおそれがある。

　実施形態では、距離Ｄは０．６５ｍｍである。第２のシール部材４０の径方向における弾性フランジ部４５の端面４５ａと傾斜面部分５４が交差する部分と、円柱形部分５２の距離ｙは０．７ｍｍである。この場合、初期状態において、円錐台状の傾斜面部分５４の端面４５ａに対する角度θは、２７度以上であって３５度以下であることが好ましい。

　θが２７度であれば、初期状態における円柱形部分５２の長さｘは０．３ｍｍであり、距離Ｄの半分より小さい。したがって、突起５０の一部が弾性フランジ部４５の端面４５ａよりも大気側に突き出さない。

　θが３５度であれば、初期状態における円柱形部分５２の長さｘは０．１６ｍｍであり、０．１５ｍｍより大きい。したがって、密封装置２１で封止された内部空間の圧力が高まっても、弾性フランジ部４５の突起５０と、内輪６の円柱形の外周面との間に隙間が生じにくい。

　以上、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を図示して説明したが、当業者にとって特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更、改変および修正は本発明の範囲に包含されるはずである。

　例えば、上記の実施形態においては、内側部材であるハブ４および内輪６が回転部材であり、外側部材である外輪８が静止部材である。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、互いに相対回転する複数の部材の密封に適用されうる。例えば、内側部材が静止し、外側部材が回転してもよいし、これらの部材のすべてが回転してもよい。

　本発明の用途は、ハブ軸受１の密封に限定されない。例えば、自動車の差動歯車機構またはその他の動力伝達機構、自動車の駆動シャフトの軸受またはその他の支持機構、ポンプの回転軸の軸受またはその他の支持機構などにも本発明に係る密封装置または密封構造を使用することができる。

　上記の実施形態においては、第１のシール部材３０のサイドリップ３７，３８の先端が第２のシール部材４０の剛性フランジ部４２Ｂに接触させられる。しかし、サイドリップ３７，３８は剛性フランジ部４２Ｂに接触しなくてもよい。サイドリップの数は実施形態に限定されない。サイドリップの代わりにあるいはサイドリップに加えて、異物の排出を促進する突起を第１のシール部材３０または第２のシール部材４０に設けてもよい。

１　ハブベアリング
６　内輪（内側部材）
８　外輪（外側部材）
２１　密封装置
３０　第１のシール部材
３３　円筒部
３４　環状部
３５，３６　ラジアルリップ
４０　第２のシール部材
４１　弾性環
４２　剛性環
４２Ａ　スリーブ
４２Ｂ　剛性フランジ部
４４　フランジ
４５　弾性フランジ部
４５ａ　端面
５０　突起
５２　円柱形部分
５２ａ　端
５３　傾斜面部分
５４　傾斜面部分

Claims

　相対的に回転する内側部材と外側部材との間に配置され、前記内側部材と前記外側部材との間の間隙を封止する密封装置であって、
　前記外側部材に取り付けられる円筒部と、前記円筒部から径方向内側に広がる環状部と、前記環状部から延びるリップを有する、第１のシール部材と、
　前記内側部材が嵌め入れられる円筒状のスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がるフランジを有し、前記フランジが前記第１のシール部材の環状部と対向し、前記第１のシール部材の前記リップが前記スリーブに摺動可能に接触する、第２のシール部材を備え、
　前記第２のシール部材の前記スリーブは、剛性材料から形成され、
　前記第２のシール部材の前記フランジは、前記スリーブに連結された前記剛性材料製の剛性フランジ部と、前記剛性フランジ部に密着する弾性材料から形成された円環状の弾性フランジ部を有し、
　前記弾性フランジ部の内周には、前記内側部材の外周面に接触する環状の突起が形成されており、
　初期状態において、前記突起の内周面は、円柱形部分と、前記円柱形部分に隣接する２つの円錐台状の傾斜面部分を有し、
　初期状態における前記円柱形部分の内径は、前記スリーブの内径より小さく、
　初期状態において、前記突起の前記円柱形部分の長さが０．１５ｍｍ以上である
ことを特徴とする密封装置。
　初期状態における前記突起の前記円柱形部分の長さが、前記弾性フランジ部の端面から、前記円柱形部分の前記スリーブ側の端までの距離の半分以下である
ことを特徴とする請求項１に記載の密封装置。
　初期状態において、前記突起の前記円柱形部分と前記弾性フランジ部の端面の間にある円錐台状の傾斜面部分の前記端面に対する角度は、３５度以下である
ことを特徴とする請求項１または２に記載の密封装置。
　初期状態において、前記突起の前記円柱形部分と前記弾性フランジ部の端面の間にある円錐台状の傾斜面部分の前記端面に対する角度は、２７度以上である
ことを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の密封装置。