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WO2018042697A1 - 固形状食品組成物、その製造方法、及び該組成物中の乾燥具材の経時劣化抑制及び/又は防止方法 - Google Patents

固形状食品組成物、その製造方法、及び該組成物中の乾燥具材の経時劣化抑制及び/又は防止方法 Download PDF

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WO2018042697A1
WO2018042697A1 PCT/JP2017/003470 JP2017003470W WO2018042697A1 WO 2018042697 A1 WO2018042697 A1 WO 2018042697A1 JP 2017003470 W JP2017003470 W JP 2017003470W WO 2018042697 A1 WO2018042697 A1 WO 2018042697A1
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秀泰 奥田
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ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
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  • JP 2007-259826 A Japanese Patent Application Laid-Open No. 10-066550 JP 2009-142244 A JP 2016-086692 A JP 2007-195549 A JP 2006-333791 A JP 2006-027638 A
  • each section is shown in Table 15 below (the powdery raw materials are the same as those shown in Table 1 powder composition of Example 1, but detailed composition of each section is omitted). These were put into a 200 ml beaker, 150 ml of hot water was poured and allowed to stand for 30 seconds, and then a block was placed on the spoon, and the water was moved up and down about once a second to measure the time until complete dissolution. .

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Abstract

要約 課題 インスタントスープとしても適用可能な、乾燥具材を含有する場合はその保存中における劣化を抑制あるいは防止することもできる、油脂を高含有する固形状食品組成物、及び、その製造方法等を提供する。 解決手段 粉末状原料及び必要であれば乾燥具材と、常温固化油脂とを含有してなり、該粉末状原料が該常温固化油脂中に不溶状態で分散して存在してなる固形状食品組成物を製造することで、90℃以上に加熱された溶媒で速やかに溶解し、インスタントスープとしても適用可能であり、含有する乾燥具材の保存中における劣化を抑制及び/又は防止することもでき、且つ、煮込み食品にも使用できる油脂高含有固形状食品組成物を得ることができる。 選択図 なし

Description

固形状食品組成物、その製造方法、及び該組成物中の乾燥具材の経時劣化抑制及び/又は防止方法
 本発明は、固形状食品組成物及びその製造方法、該組成物中の乾燥具材の経時劣化抑制及び/又は防止方法等に関する。詳細には、90℃以上に加熱された溶媒で速やかに溶解し、インスタントスープにも適用可能であり、含有する乾燥具材の保存中における劣化(退色、変色、風香味の減少、異味や異臭の発生等)を抑制あるいは防止することもできる、油脂を高含有する固形状食品組成物、その製造方法等に関する。
 食生活の多様化が進む中、熱湯などを注いですぐに、あるいは数分待つだけで食べられる非常に手軽な食品であるインスタントスープ(即席スープ)のニーズは高まっており、その市場も拡大している。特に、具材を含むインスタントスープの人気は高い。現状では、流通しているインスタントスープ類は、粉末状か顆粒状のスープに必要に応じて乾燥具材が混合されたもの、スープ及び必要に応じて具材を一体として凍結乾燥したFDブロック状(固形状)のもの、乾燥具材がスープとは別に包装され添付されたもの、のいずれかがほとんどである(特許文献1~4)。
 インスタントスープ類がこのような性状あるいは形状である理由は、熱湯や水を注いですぐにあるいは数分待つだけで喫食できるようにするため、特にスープの溶解性を重視しているからである。しかし、粉末状、顆粒状、あるいはFDブロック状のスープは、油脂分を多く配合することが困難であった。
 すなわち、粉末状あるいは顆粒状のスープに油脂分を多く配合するためには、粉末油脂を使用しなければならない。粉末油脂は、油脂分を賦形剤に含浸させて粉末状としたもので、本来スープには不要な賦形剤を多く配合しなければならず、嵩が多くなりすぎるばかりか、原料費も高くなってしまい、また、風味への影響も懸念される。そして、FD(フリーズドライ:凍結乾燥)は、凍結させた食品を真空状態に置き、水分を昇華させ乾燥させる技術であって、乾燥食品の内部は水分が抜けて多孔質となっているため、熱湯や水などによる復元が容易であるが、このような技術特徴からそもそも油脂を多く配合することが困難な製法であるため、油脂分を多く配合したFDブロック状のスープは現状では見当たらない。
 一方、油脂分を多く配合する方法としては固形ルウ状とすることも考えられるが(例えば特許文献5など)、従来の固形ルウの製造方法は、粉末原料を最低限の水やブイヨン等でペースト状にしたものと油脂分を混合するのが一般的であり、油脂高含有のスープの素としての一応の目的は達成できるものの、これは一定時間(通常5~15分以上)煮込んで溶解するものであって、熱湯などで速やかに完全溶解させることは困難であった。
 したがって、油脂分が豊富な固形状インスタントスープを提供することはこれまで困難であり、油脂配合量を減らして即溶性を担保した固形状食品とするか、即溶性を断念して煮込み専用の固形ルウとするしかなかった。
 また、具材入りインスタントスープについては、上述の通り、具材は通常何らかの方法により乾燥された乾燥具材として製品となっているが、インスタントスープの特徴は簡便性だけでなく長期常温保存が可能であることでもあり、乾燥処理された具材であっても、この保存中の劣化(経時劣化)をできる限り抑制する必要がある。
 ここで、乾燥具材の経時劣化抑制方法としては、抗酸化剤を具材中に配合する方法や(特許文献6など)、バリヤ性の高い包装材等により乾燥具材を包装する方法(特許文献7など)等が開示されている。しかし、これらの方法だけでは十分な経時劣化抑制や防止効果が発揮されない場面も多い。また、FDは上述のような技術特徴から、酸化などの保存中の劣化には比較的脆弱であり、特にバリヤ性の高い特殊な包装などが必要となる場合が多く見受けられる。
 このような背景技術の中、当業界では、インスタントスープにも適用可能な(例えば90℃以上に加熱された溶媒で速やかに溶解するような)油脂を高含有する固形状食品組成物、その製造方法、インスタントスープ等に含まれる乾燥具材の長期保存中の劣化を抑制あるいは防止する方法などの開発が引き続き望まれていた。
特開2007-259826号公報 特開平10-066550号公報 特開2009-142244号公報 特開2016-086692号公報 特開2007-195549号公報 特開2006-333791号公報 特開2006-027638号公報
 本発明は、インスタントスープにも適用可能な、乾燥具材を含有する場合はその保存中における劣化(例えば、退色、変色、風香味の減少、異味や異臭の発生など)を抑制あるいは防止することもできる、油脂を高含有する固形状食品組成物、及び、その製造方法等を提供することを目的とする。
 上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、粉末状原料及び必要であれば乾燥具材と、常温固化油脂とを含有してなり、該粉末状原料が該常温固化油脂中に不溶状態で分散して存在してなる固形状食品組成物を製造することで、90℃以上に加熱された溶媒で速やかに溶解し、インスタントスープとしても適用可能であり、含有する乾燥具材の保存中における劣化を抑制及び/又は防止することもでき、且つ、煮込み食品にも使用できる油脂高含有固形状食品組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)粉末状原料と、常温固化油脂とを含有してなり、該粉末状原料が該常温固化油脂中に不溶状態で分散して存在することを特徴とする固形状食品組成物。
(2)粉末状原料のメジアン径が400μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは260μm以下であることを特徴とする(1)に記載の組成物。
(3)組成物中の油脂含有割合が20重量%以上、より好ましくは30重量%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)更に、乾燥具材が常温固化油脂中に存在する(固定化されている)ことを特徴とする(1)~(3)のいずれか1つに記載の組成物。
(5)煮込み調理を必要とせず、90℃以上に加熱された溶媒により溶解させ喫食する固形状インスタントスープであることを特徴とする(1)~(4)のいずれか1つに記載の組成物。
(6)常温固化油脂を溶解する工程、溶解した該油脂に粉末状原料を加水せずに混合分散してスラリー液を得る工程、該スラリー液を固化させる工程、を含むことを特徴とする固形状食品組成物の製造方法。
(7)メジアン径を400μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは260μm以下に微粉化した粉末状原料を混合分散することを特徴とする(6)に記載の方法。
(8)組成物中の油脂含有割合を20重量%以上、より好ましくは30重量%以上とすることを特徴とする(6)又は(7)に記載の方法。
(9)乾燥具材を、加水していない粉末状原料とともに溶解した常温固化油脂中に混合分散させ、これを固化して乾燥具材を該油脂中に固定化した固形状食品組成物とすることを特徴とする、固形状食品組成物中の乾燥具材の経時劣化抑制及び/又は防止方法。
(10)組成物中の油脂含有割合を20重量%以上とすることを特徴とする、(9)に記載の方法。
(11)乾燥具材が、フリーズドライ具材、熱風乾燥具材、減圧乾燥具材、マイクロ波乾燥具材、フライ具材、バキュームフライ具材から選ばれる1以上であることを特徴とする、(9)又は(10)に記載の方法。
(12)野菜類、肉類、魚介類、きのこ類、果実類、海藻類、卵類、穀類、豆類、これらの加工物から選ばれる1以上の乾燥具材を使用することを特徴とする、(9)~(11)のいずれか1つに記載の方法。
(13)経時劣化が、退色及び/又は変色、風香味の減少、異味及び/又は異臭の発生から選ばれる1以上であることを特徴とする、(9)~(12)のいずれか1つに記載の方法。
(14)固形状食品組成物が、煮込み調理を必要とせず、90℃以上に加熱された溶媒により溶解させ喫食するものであることを特徴とする、(9)~(13)のいずれか1つに記載の方法。
 本発明によれば、フリーズドライ製法などでは実現が難しかった油脂を高含有する固形状食品組成物を簡便に得ることができ、さらに、この固形状食品組成物は調理時に煮込む必要がなく、90℃以上に加熱された溶媒で速やかに溶解し、固形状インスタントスープとしても適用可能である。また、該固形状食品組成物は、煮込み食品で使用することも可能である。さらに、該固形状食品組成物中に乾燥具材を含む場合、その保存中の劣化(経時劣化)を効果的に抑制あるいは防止することができる。
 本発明は、油脂を高含有する固形状食品組成物、その製造方法、該組成物中の乾燥具材の経時劣化抑制及び/又は防止方法等に関するものであり、当該固形状食品組成物には水や熱湯などで溶解してすぐに、あるいは2~3分で喫食するもの(固形状インスタントスープ(例えばシチュー、チャウダー、ボルシチ、フォンデュ等)など)が包含される。
 そして、本発明では、固形状食品組成物の粉末状原料を、同じ固形状食品組成物の原料である常温固化油脂に不溶状態で分散させ、乾燥具材を配合する場合はこれを常温固化油脂中に固定化する。ここでいう常温固化油脂とは、常温(10~40℃程度)で固体である油脂を示し、ショートニング、マーガリン、バター、硬化パーム油等が例示される。油脂の配合割合としては、固形状食品組成物中の20重量%以上とするのが好ましく、25重量%以上が更に好ましく、例えば30~90重量%程度がより好適である。
 使用する粉末状原料は、食品に用いることができ且つ粉末状に加工できるものであれば特段限定されず、例えば、食塩、糖類(砂糖、グルコース、マルトース、トレハロース、乳糖、オリゴ糖、デキストリンなど)、澱粉類、穀類、調味料(アミノ酸、有機酸、核酸など)、蛋白加水分解物、多糖類(食物繊維など)、野菜粉末、野菜エキス、肉類粉末、肉エキス、魚介類粉末、魚介エキス、香辛料、油脂類、乳製品、酵母エキス、ビタミン類、ミネラル類(カルシウム、鉄など)、着香料、着色料、甘味料などが示される。特に、即溶性を高めることを考慮すれば、乳糖、麦芽糖、クリーミングパウダー、難消化性デキストリン、加工澱粉から選ばれる1以上を配合するのが効果的である。
 また、使用する乾燥具材としては、野菜類、肉類、魚介類、きのこ類、果実類、海藻類、卵類、穀類、豆類、これらの加工物(例えば、クルトン、豆腐など)から選ばれる1以上を、フリーズドライ、熱風乾燥、減圧乾燥、マイクロ波乾燥、フライ、バキュームフライから選ばれる1以上の製法により得られたものを使用することが例示されるが、これも食品として用いられ且つ乾燥できるものであれば使用可能であり、これらに限定されるものではない。なお、本発明においては、抗酸化剤を配合していない乾燥具材の使用も可能であり、さらに、抗酸化剤を配合した乾燥具材の使用も当然可能である。
 そして、粉末状原料は、加水せずに常温固化油脂中に混合分散させるが、この際、粉末状原料を粉砕等によりメジアン径(粉体を2つに分けたとき、大きい側と小さい側の頻度の累積が等しくなる粒子径:50%粒子径)400μm以下、例えば300μm以下、更に260μm以下としておくのがより好ましい。これより大きなメジアン径の粉末状原料を用いると、固形状食品組成物の溶解性や成型性に悪い影響を与える可能性がある。メジアン径の測定は、レーザー回折錯乱法により粒度分布を測定し、その体積50%粒子径を算出する方法で行う。
 なお、本発明においては、ごく少量の液体原料(香料、常温液状油脂など)も使用可能であるが、液体原料の添加や配合を必須とするものではない。また、小麦粉を使用することも可能であるが、固形ルウのように小麦粉を必須の原料とするものではなく、よって、固形ルウの製造でみられるような一定量の加水をしたペースト状の小麦粉と油脂を混合して加熱調理する工程も必須でない。
 このように、本発明では粉末状原料を加水せずに油脂と混合して固形状食品組成物を製造するため、得られる固形状食品組成物の水分や水分活性が比較的低いことが特徴である。例えば、得られる固形状食品組成物の水分活性(Aw)は0.3未満、例えば0.28以下程度であることが通常であるが、この範囲に限定はされない。
 また、本発明の固形状食品組成物の形状は、限定はされないが、ブロック状で、薄い板状のブロックとするのが好ましい。例えば、1人分で給湯量150~200mlの場合、縦及び横の長さを15cm未満、好ましくは3~10cm程度とし、高さは5cm以下、好ましくは3cm以下、例えば0.5~2.5cm程度のブロックとすることが例示される。これ以外の人数分や給湯量についても、上記範囲を参考にして換算によりサイズを設計すればよい。
 このようにして得られた固形状食品組成物は、煮込み調理を行う食品で使用することも可能であるが、煮込み調理を必須とせず、90℃以上に加熱された溶媒により溶解させ喫食する固形状インスタントスープとしても使用することができることが大きな特徴である。例えば、90℃以上のお湯150~200mlで300秒未満、特に固形状インスタントスープで通常求められる180秒以内、更に言えば120秒以内や100秒以内でも完全に溶解させることができる製品の製造も可能である。また、本発明は、このような即溶性の高い固形状食品組成物において油脂含量を高めることができるのが特徴であり、一般的な煮込み調理用食品や、健康志向という点で注目されている低脂肪食品とは解決課題及び奏される効果が大きく異なる。
 さらに、本発明では、公知の乾燥具材経時劣化抑制あるいは防止方法を組み合わせて使用しても良い。具体的には、乾燥具材や本発明の固形状食品組成物の製造過程において抗酸化剤(ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン、β-カロチン、α-リポ酸など)等を配合しても良いし、得られた固形状食品組成物をバリヤ性の高い包装材で包装しても良い。
 なお、本発明において「粉末状原料が常温固化油脂中に不溶状態で分散して存在する」とは、粉末状原料に加水せずに(水溶性粉末原料に水分を加えてペースト状とすることなく)常温固化油脂中に混合分散させた状態を意味し、水分を加えてペースト状とした原料を油脂中に混合して得られる状態は除外される。但し、少量の液体原料の使用を除外するものではない。また、本発明において「乾燥具材の経時劣化」とは、乾燥具材の保存中の品質低下・劣化全般を意味するが、具体的には、乾燥具材の退色や変色、風香味の減少、異味や異臭の発生などが例示される。
 以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
 固形状食品組成物の製法の違いによる溶解性の差異を比較確認するため、以下の試験を実施した。
 下記表1に記載の配合(ブロック重量30g)で、規定量の常温固化植物油脂(硬化パーム油)を溶かした状態でトレイ容器に充填した後に規定量の粉砕した粉末状原料を添加して冷却する製法(区分A)、規定量の粉砕した粉末状原料をトレイ容器に充填した後に規定量の溶かした植物油脂を添加して冷却する製法(区分B)、規定量の粉砕した粉末状原料を規定量の溶かした植物油脂中に不溶状態で分散させた後にトレイ容器に充填して冷却する製法(区分C:本発明)、の3種類の製法で固形状食品組成物(固形状スープ)を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 そして、得られた固形状スープについて溶解試験を実施した。具体的には、200mlのビーカーに各ブロックを入れ、熱湯を150ml注いで1分間あるいは2分間放置してから10秒攪拌後、及び、熱湯を150ml注いで10秒間静置後に1秒に1回転の速さでスプーンにより20秒間あるいは40秒間混ぜた後の状態を観察し、溶け残り重量も確認した。
 この結果を下記表2に示した。この結果から、本発明である区分Cが、他の区分と比較して全体的に溶け残りが極めて少ない傾向であった。また、区分A、Bはダマが残る傾向であったが、区分Cではダマは形成されず、粘性の高いペースト状になり、再溶解でも溶かすことが出来た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 粉末状原料に加水して製造することによる製品の溶解性への影響を確認するため、以下の試験を実施した。
 実施例1の表1に記載の配合(ブロック重量は40gに増量)で、加熱溶解した植物油脂に粉砕した粉末状原料を混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分I)、加熱溶解した植物油脂に粉砕した粉末状原料を混合し、更に少量の水を添加し、蒸発させた後にトレイ充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分II)、粉砕した粉末状原料をお湯で溶解した後、加熱溶解した植物油脂と混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分III)、粉砕した粉末状原料を冷水で溶解した後、常温固化植物油脂と混合して加熱し、これをトレイ充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分IV)、下記表3に記載の配合(ブロック重量40g)で、加熱溶解した植物油脂に粉砕した粉末状原料を混合し、更に少量の水を添加し、蒸発させた後にトレイ充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分V)の5種類の固形状スープを製造した。これらを200mlのビーカーに入れ、熱湯を150ml注いで30秒間静置し、その後スプーンの上にブロックを乗せ、1秒間に1回程度湯中を上下させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 この結果を下記表4に示した。まず、区分IIIと区分IVについては、正常なブロック成型ができず、且つ完全な溶解をさせることもできなかった。区分Vについては、ブロック成型は良好であるものの、完全溶解までにやや多くの時間を要した。区分IIについては、区分Vよりは短かったものの、一部ゲル化して完全溶解にやや時間を要し、ブロック成型も可であるもののやや不十分であった。これに対し、区分Iは非常に短い時間で完全溶解し、且つ、ブロック成型も非常に良好であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 粉末状原料のメジアン径の違いによる溶解性の差異を比較確認するため、以下の試験を実施した。
 実施例1の表1に記載の配合(ブロック重量は40gに増量)で、流動層造粒機で粉末状原料を加工した造粒品と加熱溶解した植物油脂を混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分A)、流動層造粒機で粉末状原料を加工した造粒品の粗粉砕物と加熱溶解した植物油脂を混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分B)、粉末状原料を単純に混合した後、加熱溶解した植物油脂と混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分C)、粉末状原料を混合した後に粉砕機で微粉化し、これを加熱溶解した植物油脂と混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分D)の4種類の固形状スープを製造した。なお、各区分に用いた粉末状原料の加工方法及びメジアン径を下記表5に示した。これらを200mlのビーカーに入れ、熱湯を150ml注いで30秒間静置し、その後スプーンの上にブロックを乗せ、1秒間に1回程度湯中を上下させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 この結果を下記表6に示す。まず、区分Aは、溶解時間は短かったものの、少しの衝撃で崩壊してしまうブロックであり、ブロックの成型性に難があることが明らかとなった。区分B~Dは、この順で溶解時間は短縮され、区分Dが最も溶解性が良好であった。また、区分Bはブロックに空洞が発生して形状が安定せず、ブロックの成型性は可であるものの若干難があると思われた。したがって、粉末原料のメジアン径を400μm以下とすることが良く、溶解性やブロック成型性の点で260μm以下とすることが最も好適であることが明らかとなった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 ブロック成型性等について、粉末状原料の容積と油脂の容積の適正な比率を確認するため、以下の試験を実施した。
 実施例1の表1に記載の配合で、流動層造粒機で粉末状原料混合品(粉末原料プレミックス)を加工した造粒品と、その粗粉砕物のいずれかを用いて、加熱溶解した植物油脂に混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させた固形状スープを製造した(区分1~17)。なお、各原料の比重、1g当たりの容積、メジアン径を測定し(表7)、製品容積が45cmとなるように設計し、ブロックサイズも55mm×55mm×11mmとなるように製造した。これらの製品を200mlのビーカーに入れ、熱湯を150ml注いで30秒間静置し、その後スプーンの上にブロックを乗せ、1秒間に1回程度湯中を上下させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 結果を下記表8に示した(ブロック成型の評価は表4及び表6と同様の基準)。この結果、粉末状原料の造粒品を用いた場合は全体容積に油脂原料が占める割合20%~80%(重量割合33~89%)でブロック成型可能であったが、30%~80%(重量割合45~89%)が溶解性も含めて非常に好適であった。また、粉末状原料の粉砕品を用いた場合は全体容積に油脂原料が占める割合10%~80%(重量割合15~86%)でブロック成型可能であったが、20%~80%(重量割合28~86%)が溶解性も含めて非常に好適であった。したがって、粉末状原料の粉砕品を用いるのが油脂との容積比を広い範囲で設計できるという点でより好適であることが明らかとなった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 原料の種類による溶解性への影響を比較確認するため、以下の試験を実施した。
 常温固化植物油脂を加温し、溶解したところに各粉末状原料(加工澱粉、デキストリン、じゃがいもパウダー、乳糖、冷水可溶性澱粉、麦芽糖、クリーミングパウダー)を混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させた固形食品(ブロック重量50g)を製造した(区分A~G、下記表9参照)。これらを300mlのビーカーに入れ、熱湯を200ml注いで3分間静置し、その後1秒間に1回程度の速さで攪拌させ、10秒間攪拌した後の状態を観察した。
 結果を下記表9に示した。なお、溶解性評価は、非常に良好-◎、良好-○、可-△、不良-×の4段階で行った。この結果、乳糖、麦芽糖、クリーミングパウダーは非常に溶解性が優れていることが明らかとなり、加工澱粉も良好な溶解性であった。一方、じゃがいもパウダーと冷水可溶性澱粉は使用量が多いとやや溶け残る傾向にあるが使用量の調整により対応可能な状態であること、及び、デキストリンは使用量が多いと溶解性がかなり悪いことも示された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 次に、スープの配合で、各種賦形剤(トレハロース、乳糖、難消化性デキストリン、デキストリン、酸化でん粉、サイクロデキストリン)の違いによる溶解性への影響を比較確認した。具体的には、下記表10に記載の各配合(ブロック重量40g)で、粉末状原料を混合した後に粉砕機で微粉化し、これを加熱溶解した植物油脂と混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させた7種類の固形状スープを製造した(区分1~7)。これらを200mlのビーカーに入れ、熱湯を150ml注いで30秒間静置し、その後スプーンの上にブロックを乗せ、1秒間に1回程度湯中を上下させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。その結果、表10に示す通り、乳糖を配合した区分3が最も溶解性が好適であり、酸化澱粉やサイクロデキストリンは、賦形剤無添加である区分1よりは短いものの、やや溶解時間が長くなる傾向であった(区分4~7)。また、トレハロースも溶解時間が長くなることが明らかとなった(区分2)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 さらに、加工澱粉や乳糖の配合量の溶解性への影響を比較確認した。具体的には、下記表11に記載の各配合(ブロック重量40g)で、粉末状原料を混合した後に粉砕機で微粉化し、これを加熱溶解した植物油脂と混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させた5種類の固形状スープを製造した(区分I~V)。これらを200mlのビーカーに入れ、熱湯を150ml注いで30秒間静置し、その後スプーンの上にブロックを乗せ、1秒間に1回程度湯中を上下させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。その結果、表11に示す通り、いずれの区分も溶解性は良好であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
 本発明に係る固形状食品組成物と一般的な固形ルウの加温耐性を比較確認するため、以下の試験を実施した。
 下記表12に記載の各配合(ブロック重量40g)で、粉末状原料を混合した後に粉砕機で微粉化し、これを加熱溶解した植物油脂と混合してトレイ充填し、冷却することでブロック化させた3種類の固形状インスタントスープを製造した(区分A~C)。また、対照区分として、粉末状原料を最低限の水でペースト状にしてから植物油脂と混合して、一般的な固形カレールウも製造した(区分D)。これらをアルミパウチに個包装し、35℃、45℃、60℃に設定した恒温槽で静置し、1~5時間の間に1時間おきに外観を確認した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 結果を下記表13に示した。なお、評価は○(変化なし)、△(油脂と粉の部分分離)、▲(油脂と粉の分離)、×(油脂と粉の完全分離)の4段階で行った。この結果、35℃及び45℃保管では各区分に差異は認められなかったが、60℃で一般的な固形カレールウよりも本発明の固形状インスタントスープのほうが高い耐熱性の傾向が認められた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
 さらに、市販固形ルウとの溶解性を比較確認した。具体的には、実施例1の区分Cと同様にして製造した本発明品(区分I:30gで規定湯量150ml)と、市販固形ルウ3種類(区分II:19.2gで規定湯量125ml、区分III:24.8gで規定湯量187ml、区分IV:23gで規定湯量112ml)について、200mlのビーカーに入れ、熱湯を注いで30秒間静置し、その後スプーンの上にブロックを乗せ、1秒間に1回程度湯中を上下させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。なお、湯量は比較する市販固形ルウの規定量を使用し、本発明品の重量を湯量から換算して増減して比較した(区分IIとの比較では25g、区分IIIとの比較では37.4g、区分IVとの比較では22.4g)。
 結果を下記表14に示した。この結果、本発明品は、いずれの市販固形ルウと比較しても溶解性がより高いことが明らかとなった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
 本発明に係る固形状食品組成物のブロックサイズによる溶解性の違いを比較確認するため、以下の試験を実施した。
 粉砕したインスタントスープの粉末状原料ミックスと、加熱溶解した常温固化植物油脂を油脂含量が33.3重量%となるように混合して各種サイズのトレイに充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分A~D、ブロック重量40g)、粉砕したインスタントスープの粉末状原料ミックスと、加熱溶解した常温固化植物油脂を油脂含量が50重量%となるように混合して各種サイズのトレイに充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分E~H、ブロック重量35g)、粉砕したインスタントスープの粉末状原料ミックスと、加熱溶解した常温固化植物油脂を油脂含量が66.7重量%となるように混合して各種サイズのトレイに充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分I~L、ブロック重量35g)、粉砕したインスタントスープの粉末状原料ミックスと、加熱溶解した常温固化植物油脂を油脂含量が25重量%となるように混合して各種サイズのトレイに充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分M~P、ブロック重量45g)、粉砕したインスタントスープの粉末状原料ミックスと、加熱溶解した常温固化植物油脂を油脂含量が33.3重量%となるように混合して各種サイズのトレイに充填し、冷却することでブロック化させたもの(区分Q~S、ブロック重量は区分Qが30g、区分Rが40g、区分Sが50g)の19種類の固形状インスタントスープを製造した。各区分のブロックサイズは下記表15に示した(粉末状原料は実施例1の表1粉配合に示したものと同じ原料を使用しているが、各区分の詳細な配合は省略)。これらを200mlのビーカーに入れ、熱湯を150ml注いで30秒間静置し、その後スプーンの上にブロックを乗せ、1秒間に1回程度湯中を上下させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。
 結果を下記表15に示した。この結果、ブロックサイズについて、ブロックの縦及び横が3.7~7.5cm、高さが0.8~2.4cmの範囲において概ね良好な溶解性であることが示された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
 乾燥具材を、溶解した常温固化油脂中に混合分散させて固定化してから保存した場合と、そのまま保存した場合の品質の差を比較確認するため、以下の試験を実施した。
 20mm角の大きさにカットした人参を5分間ボイルし、自然放冷した後、凍結乾燥して得たFDニンジン0.8gをトレイ上に重ならないように並べた(区分I)。また、別のトレイには、このFDニンジン0.8gを重ならないように並べた後、更に加熱溶解した常温固化植物油脂20gを添加、冷却し、固形状食品組成物を作製した(区分II)。これらの区分の配合を下記表16に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
 そして、区分I、IIをそれぞれ透明なポリエチレンフィルム(透明ポリパウチ)、あるいはアルミフィルム(アルミパウチ)で包装し、光照度8.8klx(キロルクス)、温度25℃条件下で2週間保管し、訓練された複数名のパネラーによる外観評価(色)と風香味評価を実施した。なお、評価は、良好-○、概ね良好-△、可-▲、不可-×、の4段階で行った。
 結果を下記表17に示した。この結果、透明ポリエチレンフィルム包装及びアルミフィルム包装のいずれで保存した場合でも、FDニンジンそのままより、常温固化植物油脂中にFDニンジンを混合分散した固形状食品組成物としたほうが、FDニンジンの経時劣化が少ないことが明らかとなった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
 各種乾燥具材を各種形態で保存した場合の品質の差を比較確認するため、以下の試験を実施した。
 まず、乾燥具材については、南瓜は20mm角の大きさにカットして4分煮沸した後、人参は20mm角の大きさにカットして5分煮沸した後、ほうれん草は適当なサイズに裁断して3分煮沸した後、いずれも-26℃で凍結させ、その後、凍結乾燥して試験に用いた。そして、各乾燥具材を2g計量し、そのまま食品トレイに載せて透明ポリエチレンフィルムで包装したもの(区分1)、各乾燥具材を2g計量し、下記表18の配合の原料(油脂は加熱溶解したもの)を注ぎ、冷却固化させて透明ポリエチレンフィルムで包装したもの(区分2)を作製した。別に、南瓜、人参、ほうれん草の各素材を上記と同様に煮沸した後、5%ゼラチン水溶液とともに食品トレイに注いで-26℃で凍結し、その後、凍結乾燥処理して得られたブロックを透明ポリエチレンフィルムに包装したもの(区分3)も作製した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
 そして、各区分を光照度8.8klx(キロルクス)、温度25℃条件下で1週間保管し、訓練された複数名のパネラーによる外観評価(色)と風香味評価を実施した。なお、評価は復元前、及び、熱湯を注いで復元した後の両方で行い、良好-○、可-△、不可-×、の3段階評価とした。
 結果を下記表19に示した。この結果、南瓜では、区分2と区分3に大きな違いはなく品質は良好であったが、区分1は色、風香味とも劣化が進んでいた。人参は、区分1と区分3の風香味が著しく劣化していた。これに対し、区分2は若干のカロチン臭はあったものの、大きな劣化は認められなかった。ほうれん草も、区分1と区分3の風香味が著しく劣化していたのに対し、区分2は劣化が認められなかった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000019
 具材入り固形状インスタントスープ中の乾燥具材の保存後の品質を確認するため、以下の試験を実施した。
 まず、乾燥具材は以下のようにして調製した。人参は20mm角の大きさにカットして5分煮沸した後、ほうれん草は適当なサイズに裁断して3分煮沸した後、いずれも-26℃で凍結させ、その後、凍結乾燥して試験に用いた。そして、これらの乾燥具材を使用して、下記表20に記載の配合で乾燥具材を混合分散し、固定化した固形状オニオンコンソメスープ(区分A及び区分B)と、下記表21に記載の配合で乾燥具材を混合分散し、固定化した固形状クラムチャウダー(区分C及び区分D)を製造した。これらをそれぞれポリエチレンフィルムで包装し、光照度8.8klx(キロルクス)、温度25℃条件下で1週間保管し、訓練された複数名のパネラーによる外観評価(色)と風香味評価を実施した。なお、具材の評価は、熱湯を300ml注いで300秒後の復元した状態で行い、また、給湯後60秒から30秒毎に湯戻りの状況も確認した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000020
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
 結果を下記表22に示した。この結果、どの区分においても、具材の香り、味、風味、色のいずれもが初期品(凍結乾燥後)と変わらず、全く問題がなかった。また、湯戻り時間も全て給湯後150秒以内であり、復元性も良好であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000022
 具材入り固形状インスタントスープの溶解性を確認するため、以下の試験を実施した。
 下記表23に記載の配合(ブロック重量30g)で、加熱溶解した植物油脂に粉砕した粉末状原料及び乾燥具材(FDコーン、FDクラム、乾燥パン)を混合して5.5cm×3.7cmのトレイに充填し、冷却することでブロック化させた12種類の具材入り固形状インスタントスープを製造した(区分1~12)。これらを200mlのビーカーに入れ、熱湯を150ml注いで30秒間静置し、その後スプーンの上にブロックを乗せ、1秒間に1回程度湯中を上下させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000023
 結果を下記表24に示した。この結果、乾燥具材を含む固形状インスタントスープにおいても、概ね2分以内に溶解し、いずれも溶解性が高いことが明らかとなった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000024
 以上の試験結果から、粉末状原料を加水せずに溶解した常温固化油脂中に混合分散させ、これを固化させて固形状食品組成物とすることで、また、FDニンジン、FDカボチャ、FDホウレンソウなどに代表される乾燥具材を、加水していない粉末状原料とともに溶解した常温固化油脂中に混合分散させ、これを固化させて固形状食品組成物とすることで、90℃以上に加熱された溶媒により溶解させ喫食する固形状インスタントスープとしても使用可能な、即溶性、ブロック成型性及び耐熱性の高い油脂高含有固形状食品組成物を得ることができることが明らかとなった。さらに、乾燥具材の保存中の退色、褐変、風香味の減少、異味及び異臭の発生などの経時劣化を抑制あるいは防止できることも明らかとなった。
 本発明を要約すれば、以下の通りである。
 本発明は、インスタントスープとしても適用可能な、乾燥具材を含有する場合はその保存中における劣化を抑制あるいは防止することもできる、油脂を高含有する固形状食品組成物、及び、その製造方法等を提供することを目的とする。
 そして、粉末状原料及び必要であれば乾燥具材と、常温固化油脂とを含有してなり、該粉末状原料が該常温固化油脂中に不溶状態で分散して存在してなる固形状食品組成物を製造することで、90℃以上に加熱された溶媒で速やかに溶解し、インスタントスープとしても適用可能であり、含有する乾燥具材の保存中における劣化を抑制及び/又は防止することもでき、且つ、煮込み食品にも使用できる油脂高含有固形状食品組成物を得ることができる。

Claims (14)

  1.  粉末状原料と、常温固化油脂とを含有してなり、該粉末状原料が該常温固化油脂中に不溶状態で分散して存在することを特徴とする固形状食品組成物。
  2.  粉末状原料のメジアン径が400μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3.  組成物中の油脂含有割合が20重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
  4.  更に、乾燥具材が常温固化油脂中に存在することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
  5.  煮込み調理を必要とせず、90℃以上に加熱された溶媒により溶解させ喫食する固形状インスタントスープであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
  6.  常温固化油脂を溶解する工程、溶解した該油脂に粉末状原料を加水せずに混合分散してスラリー液を得る工程、該スラリー液を固化させる工程、を含むことを特徴とする固形状食品組成物の製造方法。
  7.  メジアン径を400μm以下に微粉化した粉末状原料を混合分散することを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8.  組成物中の油脂含有割合を20重量%以上とすることを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
  9.  乾燥具材を、加水していない粉末状原料とともに溶解した常温固化油脂中に混合分散させ、これを固化して乾燥具材を該油脂中に固定化した固形状食品組成物とすることを特徴とする、固形状食品組成物中の乾燥具材の経時劣化抑制及び/又は防止方法。
  10.  組成物中の油脂含有割合を20重量%以上とすることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11.  乾燥具材が、フリーズドライ具材、熱風乾燥具材、減圧乾燥具材、マイクロ波乾燥具材、フライ具材、バキュームフライ具材から選ばれる1以上であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
  12.  野菜類、肉類、魚介類、きのこ類、果実類、海藻類、卵類、穀類、豆類、これらの加工物から選ばれる1以上の乾燥具材を使用することを特徴とする、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
  13.  経時劣化が、退色及び/又は変色、風香味の減少、異味及び/又は異臭の発生から選ばれる1以上であることを特徴とする、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
  14.  固形状食品組成物が、煮込み調理を必要とせず、90℃以上に加熱された溶媒により溶解させ喫食するものであることを特徴とする、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
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