WO2016002809A1

WO2016002809A1 - 継手付きホース

Info

Publication number: WO2016002809A1
Application number: PCT/JP2015/068894
Authority: WO
Inventors: 隆数櫛笥; 伸一郎中市; 雅彦近藤
Original assignee: 株式会社ブリヂストン
Priority date: 2014-06-30
Filing date: 2015-06-30
Publication date: 2016-01-07
Also published as: CN106662278B; CN106662278A; JPWO2016002809A1

Abstract

　ホース（１２）をニップル（１８）の挿入部（２６）とスリーブ（２０）の第２の加締部（５６）、及び第３の加締部（５８）とで挟持する。挿入部（２６）には、第１の一定径部（３８）、第２の一定径部（４２）、第１の環状溝部（４４）、第３の一定径部（４６）、第２の環状溝部（４８）、第４の一定径部（５０）、第３の環状溝部（５２）が形成されている。ニップル（１８）に作用する面圧は、１００ＭＰａ以下とする。

Description

継手付きホース

　本発明は、ホースが継手に接続された継手付きホースに係り、特には、継手のニップルが樹脂で形成された継手付きホースに関する。

　ニップルを挿入したホースをスリーブで加締めた継手付きホースとして、例えば、特開２０１３―１３９８３９号公報に示す継手付きホースがある。

　この種の継手では、一般的にニップル及びスリーブが金属で形成されている。
　しかしながら、ニップルの材質を金属から樹脂に変更し、金属の場合と同じ荷重でスリーブを加締めると、ニップルに作用する面圧によってニップルが損傷する場合があり、ニップルの耐久性を確保する上で改善の余地があった。

　本発明の一実施形態は、ホースに樹脂製のニップルを備えた継手を接続した継手付きホースにおいて、ニップルの耐久性を確保することを目的とする。

　第１の態様に係る継手付きホースは、ホースと、前記ホースに挿入される挿入部を一端側に備え、他端側に接続対象へ接続される接続部を備えた樹脂製のニップルと、前記挿入部の外周側に設けられ、前記挿入部との間で前記ホースを挟持するスリーブと、前記挿入部の外周部に設けられ、径の異なる複数の環状部と、前記スリーブに形成され前記ニップルを加締る加締部と、を備え、前記ホースから受ける前記挿入部に作用する面圧は、前記加締部と対向する位置で最大値とされ、前記挿入部に作用する面圧の最大値が１００ＭＰａ以下に設定されている。

　第１の態様に係る継手付きホースでは、ニップルの挿入部がホースに挿入され、挿入部とスリーブとの間にホースが配置されている。ニップルとスリーブとの間に配置されたホースは、スリーブの加締部によって挿入部の環状部に押圧された状態で挟持され、ホースとニップルとの間の水密性が確保されている。

　ホースは、環状部と加締部との間で挟持されているので、ホースが加締部で押圧されてニップルに面圧が作用する。ニップルの挿入部に作用する面圧は、加締部と対向する位置で最大値となるが、ニップルの挿入部に作用する面圧が１００ＭＰａ以下に抑えられているため、樹脂で形成されたニップルの耐久性を確保可能となる。

　請求項２の態様に係る継手付きホースは、第１の態様に係る継手付きホースにおいて、前記面圧の最大値の箇所は、前記凸曲面状部分と、前記環状部との距離が最も短い箇所を指す。

　面圧の最大値の箇所を、凸曲面状部分と、環状部との距離が最も短い箇所に設定することで、樹脂で形成されたニップルの耐久性を確実に確保可能となる。

　第３の態様に係る継手付きホースは、第１の態様または第２の態様に係る継手付きホースにおいて、前記加締部は、前記環状部に向けて凸状に突出して軸方向に沿った断面で見たときの形状が前記環状部に向けて凸曲面状に形成された凸曲面状部分を備えている。

　面圧は、加締部の最小内径部分と環状部との間で高くなるが、第３の態様に係る継手付きホースでは、加締部の最小内径部分が凸曲面状に形成されており、加締部の最小内径部分と環状部との間に介在するホースの構成材料が軸方向両側に移動し易い。したがって、加締部を加工した際に、環状部と加締部の最小内径部分との間に介在するホース構成材料が軸方向両側へ適度に移動するので、ニップルに作用する面圧の局所的な上昇が抑えられる。

　第４の態様に係る継手付きホースは、第１の態様～第３の態様の何れか一つの態様に係る継手付きホースにおいて、前記ニップルは、ポリフェニレンスルファイド、ポリブチレンテフタレート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトンのうちの何れかで形成されている。

　ニップルをポリフェニレンスルファイド、ポリブチレンテフタレート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトンの何れかで形成することで、ニップルの耐久性を高めることができる。

　第５の態様に係る継手付きホースは、第１の態様～第４の態様の何れか一つの態様に係る継手付きホースにおいて、前記ホースは、ポリオレフィン系樹脂からなる内層が設けられている。

　第５の態様に係る継手付きホースでは、内層を構成しているポリオレフィン系樹脂は柔軟性を有しているため、加締部を加工した際にポリオレフィン系樹脂を軸方向両側へ適度に移動でき、これによってニップルの挿入部に作用する面圧の上昇が抑えられる。

　第６の態様に係る継手付きホースは、第１の態様～第５の態様の何れか一つの態様に係る継手付きホースにおいて、軸方向に沿った断面を見たときの前記加締部の前記スリーブの内面には、前記ホースの先端側とは反対側に第１の傾斜部を備え、前記ホースの先端側に第２の傾斜部を備え、軸方向に対する前記第２の傾斜部の傾斜角度が、前記第１の傾斜部の傾斜角度よりも大きく設定されている。

　第６の態様に係る継手付きホースにおける加締部は、ホースの先端側に傾斜角度が大きく設定された第２の傾斜部が設けられているため、ホースを引き抜く方向の力が作用した際に、ホースが加締部に引っ掛かり易く、ホースが抜け難くなる。なお、ホースが抜け難くなるため面圧を低下させることも可能となり、これによりニップルの耐久性を向上することも可能となる。

　第７の態様に係る継手付きホースは、第１の態様～第６の態様の何れか一つの態様に係る継手付きホースにおいて、前記加締部は、前記スリーブのうち、前記ホースの端部が配置されている側とは反対側に形成されている。

　第７の態様に係る継手付きホースでは、加締部が、スリーブのうちでホースの端部が配置されている側とは反対側に形成されている、即ち、ホースがスリーブとニップルとの間で強く挟持されている部分が、ホースの端部から離れた位置に形成されている。このため、大きな張力がホースに作用して継手からホースが引き抜かれる方向に相対移動した場合であっても、ホースが脱落するまでの移動距離、即ち、ホースの端部から加締部までの軸方向寸法が長くとられるため、加締部がホースの端部側が配置されている場合に比較して、ホースを抜け難くすることができる。

　第８の態様に係る継手付きホースは、第１の態様～第７の態様の何れか一つの態様に係る継手付きホースにおいて、前記加締部を複数備え、前記加締部と前記環状部との距離が最も短い箇所となる前記加締部の加締め幅は、他の前記加締部の加締め幅よりも狭い。

　第８の態様に係る継手付きホースでは、複数の加締部のうちで、加締部と環状部との距離が最も短い箇所となる加締部の幅が最も狭いので、該最も幅が狭い加締め部とニップルとでホースを確実に保持することができ、かつ樹脂製のニップルの耐久性を確保可能となる。
　スリーブを加締めると、スリーブとニップルとで挟持されたホースが圧縮されるので、ホースを形成しているホース材料が加締部の両側へ移動する。しかしながら、面圧の高い箇所で加締め幅を広くすると、スリーブの幅広の加締部とニップルとの間のホース材料が加締部の両側へ移動し難く、面圧の高くなる部位の幅が広くなってしまい、ニップルが破損し易くなる。
　一方、加締め幅を狭くすると、スリーブの幅広の加締部とニップルとの間のホース材料が加締部の両側へ移動し易く、面圧の高くなる部位の幅は広くならないため、ニップルの破損が抑制される。

　第９の態様に係る継手付きホースの製造方法は、ホースと、前記ホースに挿入される挿入部を一端側に備え、他端側に接続対象へ接続される接続部を備えた樹脂製のニップルと、前記挿入部の外周側に設けられ、前記挿入部との間で前記ホースを挟持するスリーブと、前記挿入部の外周部に設けられ、径の異なる複数の環状部と、前記スリーブに形成される複数の加締部と、を備えた継手付きホースの製造方法であって、前記加締部と環状部との距離が最も短い箇所で最も幅の狭い前記加締部となるよう前記スリーブの加締めを行う。

　第９の態様に係る継手付きホースの製造方法では、複数の加締部のうちで加締部と環状部との距離が最も短い箇所で最も幅の狭い加締部となるようスリーブの加締めが行われ、これにより、ニップルとスリーブとでホースを確実に保持しつつ、樹脂製のニップルの耐久性を確保可能となる継手付きホースが得られる。

　スリーブを加締めると、スリーブとニップルとで挟持されたホースが圧縮されるので、ホースを形成しているホース材料が加締部の両側へ移動する。しかしながら、面圧の高い箇所で加締め幅を広くすると、スリーブの幅広の加締部とニップルとの間のホース材料が加締部の両側へ移動し難く、面圧の高くなる部位の幅が広くなってしまい、ニップルが破損し易くなる。
　一方、加締め幅を狭くすると、スリーブの幅広の加締部とニップルとの間のホース材料が加締部の両側へ移動し易く、面圧の高くなる部位の幅が広くならないため、ニップルの破損が抑制される。

　第１０の態様に係る継手付きホースの製造方法は、第９の態様に係る継手付きホースの製造方法において、１箇所の前記加締部において、複数回に分けて加締めを行う。

　第１０の態様に係るホースの製造方法では、１箇所の前記加締部において、複数回に分けて加締めを行うことで、ニップルに対して段階的に面圧が上昇し、１回の加締めによって面圧を急激に上昇させることが無いため、面圧の急激な上昇によるニップルの破損を抑制することができる。

　以上説明したように第１の態様に係る継手付きホースによれば、樹脂製のニップルの耐久性を確保することができ、低い面圧であっても水漏れ等をせず、性能確保できる、という優れた効果を有する。

　第９の態様に係る継手付きホースの製造方法によれば、樹脂製のニップルの耐久性を確保することができ、低い面圧であっても水漏れ等をせず、性能確保できる継手付きホースを得ることができる。

継手にホースが接続された第１の実施形態に係る継手付きホースを示す軸線に沿った断面図である。第２の実施形態に係る継手付きホースを示す軸線に沿った断面図である。第３実施形態に係る継手付きホースを示す軸線に沿った断面図である。第４の実施形態に係る継手付きホースを示す軸線に沿った断面図である。第５の実施形態に係る継手付きホースを示す軸線に沿った断面図である。第６の実施形態に係る継手付きホースを示す軸線に沿った断面図である。第２の加締部を示す軸線に沿った拡大断面図である。第３の加締部を示す軸線に沿った拡大断面図である。

　図１にしたがって、本発明の一実施形態に係る継手付きホース８を説明する。継手付きホース８は、例えば洗浄トイレユニットや、台所の水栓、及び食器洗浄機（給水給湯）等の水機器への給水用のためのものであり、ホース１２を接続対象の一例たる給水管１４に接続するための継手１０を供えている。なお、図１において、矢印Ａ方向は継手１０の軸線方向の一方を意味し、矢印Ｂ方向は該軸線方向の他方を意味する。

　ホース１２は、例えばメッシュ１６により補強された樹脂性ホース、または内面に樹脂層を備えた樹脂とゴムとの複合ホース等である。ホース１２に用いる樹脂としては、例えば、架橋ポリエチレン、ポリエチレン、ポリブテン、塩化ビニル等を用いることができるが、その他の樹脂を用いることもできる。ホース１２は、弾性材料で形成された公知のものを用いることができる。

（継手の全体構成）
　継手１０は、ニップル１８、スリーブ２０、Ｏリング２２、袋ナット２４、及びシールリング６０を含んで構成されている。

（袋ナット）
　袋ナット２４は、接続対象である給水管１４の雄ねじ１４Ａへの締結手段である。この袋ナット２４は、矢印Ａ方向側が開口部２４Ａとなっている。袋ナット２４には、開口部２４Ａから矢印Ｂ方向に所定の深さまで雌ねじ２４Ｂが形成されている。袋ナット２４の開口部２４Ａと反対側（矢印Ｂ方向側）の端部には、雌ねじ２４Ｂの内径よりも小径とされた小径部２４Ｃが形成されている。

(ニップル）
　本実施形態のニップル１８は、樹脂で形成されている。樹脂としては、ポリフェニレンスルファイド（ＰＰＳ）、ポリブチレンテフタレート（ＰＢＴ）、ポリアセタール（ＰＯＭ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）等を用いることができるが、他の樹脂を用いることも出来る。また、樹脂には、ガラス繊維等の周知の補強材が混入されていても良い。

　ニップル１８は、袋ナット２４に挿通されてこの袋ナット２４と連結される部材であり、全体的に円筒状に形成されている。ニップル１８は、矢印Ｂ方向側にホース１２に挿入される挿入部２６が形成されており、挿入部２６の矢印Ａ方向側には第１の大径部２８、スリーブ係止環状溝部３０、第２の大径部３２、及びフランジ部３４が順に形成されている。

　挿入部２６の外径は、ホース１２の内径よりも若干大径に形成されており、第１の大径部２８の外径は、挿入部２６の外径よりも大径、かつ袋ナット２４の小径部２４Ｃよりも小径に形成されている。

　第２の大径部３２の外径は、第１の大径部２８の外径よりも大径、かつ袋ナット２４の小径部２４Ｃよりも小径に形成されている。

　また、フランジ部３４の外径は、第２の大径部３２の外径よりも大径に形成されると共に、袋ナット２４の小径部２４Ｃよりも大径、かつ袋ナット２４の雌ねじ２４Ｂの内径よりも小径に形成されている。

　挿入部２６は、矢印Ｂ方向に、先端に向けて径が漸減するテーパー部３６を備えており、テーパー部３６の矢印Ａ方向側に、第１の一定径部３８、Ｏリング２２が嵌められるＯリング溝４０、第２の一定径部４２、第１の環状溝部４４、第３の一定径部４６、第２の環状溝部４８、第４の一定径部５０、第３の環状溝部５２が順に形成されている。

　第１の一定径部３８、第２の一定径部４２、第３の一定径部４６、及び第４の一定径部５０は、軸方向に同じ外径で延びている。第２の一定径部４２は、これら４つの一定径部のうちで、軸方向の長さが最も長く設定されている。第３の一定径部４６、及び第４の一定径部５０は、軸方向の長さが同一で、４つの一定径部のうちで軸方向長さが最も短く形成されている。

　第１の環状溝部４４、第２の環状溝部４８、及び第３の環状溝部５２は、同一外径に形成されており、第１の環状溝部４４と第３の環状溝部５２は溝幅が比較的狭く、第２の環状溝部４８の溝幅は、第１の環状溝部４４及び第３の環状溝部５２よりも幅広に形成されている。
　なお、第１の一定径部３８、第２の一定径部４２、第１の環状溝部４４、第３の一定径部４６、第２の環状溝部４８、第４の一定径部５０、第３の環状溝部５２、第１の環状溝部５５Ａ、第２の環状溝部５５Ｂ、第３の環状溝部５５Ｃ、第４の環状溝部５５Ｄ、第１の一定径部５７Ａ、第２の一定径部５７Ｂ、第３の一定径部５７Ｃが本実施形態の環状部である。

（スリーブ）
　スリーブ２０は、ステンレススチール、鋼材、またはメッキ処理された鋼材、アルミ、銅等の非鉄金属材で形成され、複数個所が加締加工により縮径されている。本実施形態のスリーブ２０は、矢印Ａ方向側の端部に第１の加締部５４が形成されており、第１の加締部５４の矢印Ｂ方向側に間隔を開けて第２の加締部５６、第２の加締部５６の矢印Ｂ方向側に間隔を開けて第３の加締部５８が形成されている。第１の加締部５４は、端部がニップル１８のスリーブ係止環状溝部３０に挿入されており、これによって、スリーブ２０がニップル１８に固定されている。

　第２の加締部５６は、ニップル１８の第２の環状溝部４８と対向する位置に形成されている。第２の加締部５６の内面には、最小内径部分に、軸方向に一定径で延びる内面一定径部５６Ａが形成されている。また、第２の加締部５６の内面には、内面一定径部５６Ａよりもスリーブ２０に挿入されるホース１２の先端側とは反対側（矢印Ｂ方向側）に第１の円弧状傾斜部５６Ｂが形成され、第１の円弧状傾斜部５６Ｂとは反対側（矢印Ａ方向側）に第２の円弧状傾斜部５６Ｃが形成されている。

　スリーブ２０の軸方向に対する第１の円弧状傾斜部５６Ｂの傾斜角度θ１と、スリーブ２０の軸方向に対する第２の円弧状傾斜部５６Ｃの傾斜角度θ２とは同一角度に設定されている。このため、第２の加締部５６は、内面一定径部５６Ａを挟んで矢印Ａ方向側と矢印Ｂ方向側とが対称形状となっている。なお、第１の円弧状傾斜部５６Ｂの傾斜角度θ１は、第１の円弧状傾斜部５６Ｂの内面一定径部５６Ａ側の端部における接線とスリーブ２０の軸線との成す角度である。また、第２の円弧状傾斜部５６Ｃの傾斜角度θ２は、第２の円弧状傾斜部５６Ｃの内面一定径部５６Ａ側の端部における接線とスリーブ２０の軸線との成す角度である。

　第３の加締部５８は、ニップル１８の第２の一定径部４２と対向する位置（即ち、第２の一定径部４２の径方向外側）に形成されている。第３の加締部５８の内面には、径方向内側、即ち、第２の一定径部４２に向けて凸曲面状となる凸曲面状部分５８Ａが、最小内径部分に形成されている。また、第３の加締部５８の内面には、凸曲面状部分５８Ａよりもスリーブ２０に挿入されるホース１２の先端側とは反対側（矢印Ｂ方向側）に第１の円弧状傾斜部５８Ｂが設けられており、第１の円弧状傾斜部５８Ｂとは反対側（矢印Ａ方向側）に第２の円弧状傾斜部５８Ｃが設けられている。

　スリーブ２０の軸方向に対する第２の円弧状傾斜部５８Ｃの傾斜角度θ４は、第２の加締部５６の第１の円弧状傾斜部５６Ｂの傾斜角度θ１、及び第２の円弧状傾斜部５６Ｃの傾斜角度θ２と同一傾斜角度である。一方、スリーブ２０の軸方向に対する第３の加締部５８の第１の円弧状傾斜部５８Ｂの傾斜角度θ３は、第２の円弧状傾斜部５８Ｃの傾斜角度θ４よりも小さく設定されている。このため、軸方向に沿った断面で見たときに、第３の加締部５８の内面形状は、矢印Ａ方向側と矢印Ｂ方向側とが非対称形状となっている。

　スリーブ２０とニップル１８の挿入部２６との間に介在するホース１２は、外周面に第２の加締部５６、及び第３の加締部５８が食い込んで部分的に縮径されていると共に、内周面が挿入部２６の第１の環状溝部４４、第２の環状溝部４８、及び第３の環状溝部５２に食い込んでおり、さらに、内周面が挿入部２６のＯリング２２に密着している。これにより、ホース１２と挿入部２６との間がシールされると共に、ホース１２がスリーブ２０とニップル１８の挿入部２６との間に挟持固定される。
　なお、第２の加締部５６の内径と、第３の加締部５８の内径とは同一である。

　この継手付きホース８は、給水管１４の端面とフランジ部３４の端面との間に環状のシールリング６０が配置されており、袋ナット２４が給水管１４に締め付けられることで、給水管１４に固定されている。

（組立手順）
　次に、本実施形態の継手付きホース８の組立手順例を説明する。
（１）ニップル１８のＯリング溝４０にＯリング２２を嵌め込む。
（２）ニップル１８の挿入部２６をスリーブ２０に挿入し、スリーブ２０の端部に第１の加締部５４を形成して第１の加締部５４の端部をニップル１８のスリーブ係止環状溝部３０に挿入する。これによってスリーブ２０とニップル１８とが一体化される。
（３）袋ナット２４の開口部側からニップル１８を挿入し、ニップル１８と袋ナット２４とを連結する。
（４）ニップル１８の挿入部２６とスリーブ２０との間にホース１２の端部を挿入する。

（５）　スリーブ２０の２箇所を加締め、第２の加締部５６、及び第３の加締部５８を形成する。これによって、ホース１２の外面に第２の加締部５６、及び第３の加締部５８が喰い込み、ホース１２の内周面が挿入部２６の外周面、及びＯリング２２の外周部に密着する。ここで、第２の加締部５６、及び第３の加締部５８を形成する際の荷重は、ニップル１８の挿入部２６に作用する面圧が最大で１００ＭＰａ以下となるように設定される。
　本実施形態の挿入部２６で面圧が最大となる位置は、スリーブ２０と挿入部２６との径方向の距離が最も短くなっている位置、即ち、第３の加締部５８の最小内径部分（凸曲面状部分５８Ａ）が対向する位置Ｐ（凸曲面状部分５８Ａを通る軸方向に直角な仮想面と挿入部２６とが交差する位置）であり、この位置Ｐでの面圧が１００ＭＰａ以下となるように加締め加工が行われる。
　なお、上記組立手順例では、（１）から（５）までの工程を順に行って継手付きホース８の組み立てを行ったが、本発明はこれに限らず、（１）、（３）、（４）、（２）、（５）の順で継手付きホース８を組み立てることもできる。

　本実施形態では、ホース１２を挟持する第２の加締部５６、及び第３の加締部５８の中でも、加締め幅が最も狭い第３の加締部５８と対向する位置で最もスリーブ２０と挿入部２６との径方向の距離が短くなるようにスリーブ２０の加締めが行われる。
　なお、加締め幅とは、以下のようにして計った寸法である。
　図７Ａの軸線に沿った断面で示すように、第２の加締部５６の加締め幅Ｗ_５６は、第２の加締部５６の軸方向一方側のスリーブ内面の延長線２０Ｌａと第２の加締部５６の最内端を通る軸線に平行な仮想線ＦＬ１との交点をＡ、第２の加締部５６の軸方向他方側のスリーブ内面の延長線２０Ｌｂと仮想線ＦＬ１との交点をＢとしたときに、軸方向に沿って計測した交点Ａと交点Ｂとの間隔寸法をいう。

　また、図７Ｂの軸線に沿った断面で示すように、第３の加締部５８の加締め幅Ｗ_５８は、第３の加締部５８の軸方向一方側のスリーブ内面の延長線２０Ｌｃと第３の加締部５８の最内端を通る軸線に平行な仮想線ＦＬ２との交点をＣ、第３の加締部５８の軸方向他方側のスリーブ内面の延長線２０Ｌｄと仮想線ＦＬ２との交点をＤとしたときに、軸方向に沿って計測した交点Ｃと交点Ｄとの間隔寸法をいう。
　図７Ａ、及び図７Ｂに示すように、本実施形態では、第３の加締部５８の加締め幅Ｗ_５８が、第２の加締部５６の加締め幅Ｗ_５６よりも狭くなっている。

　なお、挿入部２６に作用する面圧は、例えば、圧力を受けることで発色する圧力測定用フィルムをホース１２と挿入部２６との間に配置し、加締め加工を行った後に継手１０を分解して圧力測定用フィルムを取り出し、発色の濃度を測定することで測定できる。また、非破壊検査、例えば、Ｘ線ＣＴで各部の寸法を精密に計測し、各部材の材料の強度等を考慮し、加締め部分と対向する位置のニップル１８の変形量（径の変化量）を計測することで、間接的に面圧を知ることも可能である。

　このようスリーブ２０の加締め加工が行われてホース１２が固定された後、袋ナット２４内にシールリング６０を配置することで、継手付きホース８が完成する。
　継手付きホース８は、袋ナット２４を接続対象の一例たる給水管１４の雄ねじ１４Ａに締結することで、給水管１４に接続することができる。

（作用、効果）
　本実施形態の継手付きホース８では、スリーブ２０に第２の加締部５６、及び第３の加締部５８が形成されることで、ホース１２が加締め部分で縮径され、ホース１２の内周面がニップル１８の挿入部２６のテーパー部３６の一部を除く外周面全体（第１の一定径部３８、第２の一定径部４２、第１の環状溝部４４、第３の一定径部４６、第２の環状溝部４８、第４の一定径部５０、第３の環状溝部５２）に密着すると共にＯリング２２の外周部に密着しているので、ニップル１８とホース１２との間において、高い気密性及び水密性が得られる。

　スリーブ２０に第２の加締部５６、及び第３の加締部５８が形成されることで、第２の加締部５６、及び第３の加締部５８がホース１２の外周面に喰い込み、ホース１２の内周面が第１の環状溝部４４、第２の環状溝部４８、及び第３の環状溝部５２に入り込み、さらに、第３の加締部５８と第２の一定径部４２との間でホース１２に作用する面圧が最も高くされているので、ホース１２の抜けが効果的に抑えられている。

　ホース１２が、第２の一定径部４２と第３の加締部５８との間で挟持されると、第２の一定径部４２と第３の加締部５８との間のホース１２に面圧が作用する。面圧は、第２の一定径部４２と第３の加締部５８との間で高くなるが、本実施形態では、第３の加締部５８の最小内径部分が凸曲面状に形成された凸曲面状部分５８Ａとされているため、最小内径部分に軸方向に一定径で延びる内面一定径部を備えた加締部で挟持した場合に比較して、第２の一定径部４２と第３の加締部５８との間に介在するホース１２の構成材料が第３の加締部５８の軸方向両側に移動し易い。

　このため、第３の加締部５８を加工した際に、第２の一定径部４２と第３の加締部５８の最小径部分との間に介在するホース１２の構成材料が軸方向両側へ適度に移動し、ニップル１８が受ける面圧の局所的な上昇が抑えられる。
　なお、第２の一定径部４２の矢印Ａ方向側には、第１の環状溝部４４が隣接して設けられているため、ホース１２の構成材料が第１の環状溝部４４側へ逃げやすくなっている。なお、本実施形態では、第２の一定径部４２の矢印Ａ方向側に第１の環状溝部４４が形成されているが、第２の一定径部４２の矢印Ｂ方向側に、第１の環状溝部４４と同様の環状溝（但し、Ｏリング溝４０の矢印Ａ方向側）を形成することもできる。第２の一定径部４２の矢印Ｂ方向側に環状溝部を形成することで、ホース１２の構成材料が第３の加締部５８の両側に逃げ易くなる。

　そして、本実施形態の継手付きホース８では、スリーブ２０と挿入部２６との間に配置されるホース１２に作用する面圧が、第２の一定径部４２と第３の加締部５８の凸曲面状部分５８Ａとの間で最大値となるが、ニップル１８が受ける面圧が１００ＭＰａ以下に抑えられているため、樹脂で形成されたニップル１８の耐久性が確保される。

　なお、本実施形態の継手付きホース８において、ニップル１８を、ポリフェニレンスルファイド、ポリブチレンテフタレート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトンのうちの何れかの樹脂で形成することで、ニップル１８は高い耐久性を得ることができる。また、これら樹脂にガラス繊維を含ませることで、更に高い耐久性を得ることができる。

　また、スリーブ２０の第３の加締部５８の内面には、スリーブ２０に挿入されるホース１２の先端側に、ホース１２の先端側とは反対側に配置された第１の円弧状傾斜部５８Ｂよりも傾斜角度の大きな第２の円弧状傾斜部５８Ｃが設けられている。このため、ホース１２がスリーブ２０から引き抜かれる方向（矢印Ｂ方向）に張力を受けた際に、第３の加締部５８の内周面が、ホース１２の外周面に引っ掛かり易く、ホース１２が抜け難い構成となっている。なお、第２の円弧状傾斜部５８Ｃの傾斜角度θ４は、３０～８０°の範囲内に設定することが好ましい。

　ニップル１８に対して最も高い面圧を生じさせる第３の加締部５８は、スリーブ２０のうち、ホース１２の端部が配置されている側とは反対側に形成されている、即ち、ホース１２がスリーブ２０とニップル１８との間で最も強く挟持されている部分が、ホース１２の端部から離れた位置に形成されている。
　このため、大きな張力がホース１２に作用して継手１０からホース１２が引き抜かれる方向（矢印Ｂ方向）に相対移動した場合であっても、ホース１２が脱落するまでの移動距離（ホース１２の端部から第３の加締部５８までの軸方向寸法）が長くとられているため、ホース１２が継手１０から抜け難くなっている。

　ポリブテンや架橋ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂は、耐水性、及び適度な柔軟性があり、ホース１２の内層に用いる樹脂として好適である。このため、内周にポリオレフィン系樹脂からなる内層を設けたホース１２を用いた場合、第３の加締部５８を形成する際の圧力によってポリオレフィン系樹脂を第３の加締部５８の軸方向両側へ適度に移動させることができ、面圧の局所的な上昇を確実に抑えることができる。

　以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。

［第２の実施形態］
　スリーブ２０に形成される加締部の数は、上記実施形態の数に限らず、ニップル１８に形成される一定径部、及び環状溝部の数も上記実施形態の数に限らない。一例として図２に示す第２の実施形態に係る継手付きホース８は、第１の大径部２８と第２の一定径部４２との間に、断面が矩形状とされた第３の一定径部４６、第４の一定径部５０、第５の一定径部６２、及び第６の一定径部６４が形成されているものである。

　上記実施形態では、軸方向に沿った断面で見たときに、第３の加締部５８の最小内径部分に設けられた凸曲面状部分５８Ａの断面形状が凸曲面状となっているが、本発明の実施形態では、軸方向と平行な０．７ｍｍ以下の長さの直線状部分が含まれていても、凸曲面状部分５８Ａは凸曲面状と見なす。第３の加締部５８に軸方向と平行な直線状部分が含まれていても、その直線状部分の長さが０．７ｍｍ以下であれば、加締め加工をした際にホース１２の構成材料は適度に軸方向両側に移動することができるので、面圧の局所的な上昇を抑えることが可能である。

［第３の実施形態］
　図１，２に示す実施形態では、ホース１２が第３の加締部５８と軸方向の長さが長い第２の一定径部４２との間で挟持されていたが、ホース１２は第３の加締部５８と環状溝部との間で挟持されていても良い。

　図３には、挿入部２６に第１の環状溝部５５Ａ、第１の一定径部５７Ａ、第２の環状溝部５５Ｂ、第２の一定径部５７Ｂ、第３の環状溝部５５Ｃ、第３の一定径部５７Ｃ、第４の環状溝部５５Ｄが順に形成され、ホース１２は、第２の加締部５６と第３の環状溝部５５Ｃとの間、及び第３の加締部５８と第２の環状溝部５５Ｂとの間で加締めにより挟持されている第３の実施形態が示されている。第３の実施形態においても面圧の局所的な上昇が抑えられており、ニップル１８に作用する面圧が１００ＭＰａ以下とされている。

［第４の実施形態］
　図４には、図３の実施形態の変形例である第４の実施形態が示されている。図４の第４の実施形態では、図３の第３の実施形態に比較してスリーブ２０の加締め量が小さく設定されている。第４の実施形態においても面圧の局所的な上昇が抑えられており、ニップル１８に作用する面圧が１００ＭＰａ以下とされている。

［第５の実施形態］
　図５には、図３に示す第３の実施形態の変形例である第５の実施形態が示されている。図５の第５の実施形態では、第２の一定径部５７Ｂが、第１の一定径部５７Ａ、及び第３の一定径部５７Ｃよりも大径に形成されているものである。第５の実施形態においても面圧の局所的な上昇が抑えられており、ニップル１８に作用する面圧が１００ＭＰａ以下とされている。

［第６の実施形態］
　図６には、図１に示す第１の実施形態の変形例である第６の実施形態が示されている。
図６の第６の実施形態では、スリーブ２０に第３の加締部５８が形成されておらず、第２の加締部５６の内面一定径部５６Ａが第１の実施形態よりも長く形成されている。第６の実施形態では、内面一定径部５６Ａが、ニップル１８の第１の一定径部３８から第４の一定径部５０に渡って対向している。第６の実施形態においても面圧の局所的な上昇が抑えられており、ニップル１８に作用する面圧が１００ＭＰａ以下とされている。

（試験例）
　本発明の実施形態の効果を確かめるために、金属製のニップルを備えた継手、及び樹脂製のニップルを備えた継手を各々複数用意し、これらの継手にホースを連結してスリーブの加締め率を各々変えた継手付きホースを製造し、各々の継手付きホースに対して加締め率、面圧、ニップルの状態、ホースの引張強度を調べた。なお、試験に用いた継手の形状は、図１に示す実施形態の継手と同一形状である。
　なお、ホースには、下記表１に記載の構造とされたものを用いた。また、ニップル、及びスリーブの材質、ニップルの挿入部の寸法は、下記表１に記載した。

　下記表２には、継手付きホースの加締め率、ニップルに作用する面圧、ニップルの状態、ホースの引張強度、劣化処理後のニップルの状態が示されている。
　なお、加締め率とは、以下のようにして算出される。
・加締め率＝（加締め部の外径－（ホースの肉厚×２＋ニップルの挿入部の外径＋スリーブの肉厚×２））／ホースの肉厚×２
　表１に示される加締め率は、第３の加締部の加締め率である。
　面圧は、ニップルの第３の加締部と対向する部分の面圧であり、圧力測定用フィルムをホースと挿入部との間に配置し、加締め加工を行った後に継手を分解して圧力測定用フィルムを取り出し、発色の濃度を目視することで得た。
　なお、加締め率は、ニップル、及びスリーブの肉厚が加締め加工により変化しないことを前提として計算している。

　ニップルの状態は、加締め加工後、継手を分解して目視にて割れの有無を調べた。
　引張強度は、継手を固定してホースに引張り荷重を作用させ、引張り荷重を徐々に高くしてホースが抜けた際の引張り荷重を測定した。評価は、加締め率が５５％とされた継手付きホースにおいてホースが抜けた際の引張り強度（荷重）を１００とする指数表示で表した。指数の値が大きいほど継手からホースが抜け難いことを表す。
　劣化処理後のニップルの状態とは、下記の劣化処理を行った後、継手を分解して目視にて割れの有無を調べた。
　劣化処理とは、ガラス繊維入りの樹脂製継手を前提として、樹脂製継手サンプルを高温高圧高湿環境下に２１６時間置き、樹脂製継手内にあるガラス繊維を抜くことを意味する。この結果、ガラス繊維の抜けた空洞のあるサンプルができる。

　試験結果から、ニップルに作用する面圧を１００ＭＰａ以下とすれば、樹脂製のニップルの耐久性を長期に渡って確保できることが分かる。また、加締め率を６０％以下とすれば、樹脂製のニップルの耐久性を長期に渡って確保できることが分かる。
　ホースの引張り強度に関しては、ホースに通す流体の圧力に応じて適宜設定されるものであるが、一例として、継手付きホースを家庭用の水道配管に用いる場合には、面圧を１０ＭＰａ以上、加締め率を３０％以上とすることが好ましい。

　なお、第２の加締部５６、及び第３の加締部５８を加締める際、特に最大の面圧をかける第３の加締部５８を加締める際には、複数回に分けて加締めを行い、スリーブ２０を段階的に縮径することが好ましい。これにより、ニップル１８に対して段階的に面圧が上昇し、１回の加締めによって面圧を急激に上昇させることが無いため、面圧の急激な上昇によるニップル１８の破損を抑制することができる。

　２０１４年６月３０日に出願された日本国特許出願２０１４－１３５２０９号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
　本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims

　ホースと、
　前記ホースに挿入される挿入部を一端側に備え、他端側に接続対象へ接続される接続部を備えた樹脂製のニップルと、
　前記挿入部の外周側に設けられ、前記挿入部との間で前記ホースを挟持するスリーブと、
　前記挿入部の外周部に設けられ、径の異なる複数の環状部と、
　前記スリーブに形成され前記ニップルを加締る加締部と、
　を備え、
　前記ホースから受ける前記挿入部に作用する面圧は、前記加締部と対向する位置で最大値とされ、前記挿入部に作用する面圧の最大値が１００ＭＰａ以下に設定されている、継手付きホース。
　前記面圧の最大値の箇所は、前記加締部と前記環状部との距離が最も短い箇所を指す、請求項１に記載の継手付きホース。
　前記加締部は、前記環状部に向けて凸状に突出して軸方向に沿った断面で見たときの形状が前記環状部に向けて凸曲面状に形成された凸曲面状部分を備えている、請求項１または請求項２に記載の継手付きホース。
　前記ニップルは、ポリフェニレンスルファイド、ポリブチレンテフタレート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトンのうちの何れかで形成されている、請求項１～請求項３の何れか１項に記載の継手付きホース。
　前記ホースは、ポリオレフィン系樹脂からなる内層が設けられている、請求項１～請求項４の何れか１項に記載の継手付きホース。
　軸方向に沿った断面を見たときの前記加締部の前記スリーブの内面には、前記ホースの先端側とは反対側に第１の傾斜部を備え、前記ホースの先端側に第２の傾斜部を備え、
　軸方向に対する前記第２の傾斜部の傾斜角度が、前記第１の傾斜部の傾斜角度よりも大きく設定されている、請求項１～請求項５の何れか１項に記載の継手付きホース。
　前記加締部は、前記スリーブのうち、前記ホースの端部が配置されている側とは反対側に形成されている、請求項１～請求項６の何れか１項に記載の継手付きホース。
　前記加締部を複数備え、前記加締部と前記環状部との距離が最も短い箇所となる前記加締部の加締め幅は、他の前記加締部の加締め幅よりも狭い、請求項１～請求項７の何れか１項に記載の継手付きホース。
　ホースと、
　前記ホースに挿入される挿入部を一端側に備え、他端側に接続対象へ接続される接続部を備えた樹脂製のニップルと、
　前記挿入部の外周側に設けられ、前記挿入部との間で前記ホースを挟持するスリーブと、
　前記挿入部の外周部に設けられ、径の異なる複数の環状部と、
　前記スリーブに形成される複数の加締部と、
　を備えた継手付きホースの製造方法であって、
　最も幅の狭い前記加締部が、前記加締部と前記環状部との距離が最も短い箇所となるよう前記スリーブの加締めを行う、継手付きホースの製造方法。
　１箇所の前記加締部において、複数回に分けて加締めを行う、請求項９に記載の継手付きホースの製造方法。