WO2014196027A1 - 車両用座席シート装置 - Google Patents

Abstract

ダイナミックダンパを備えた車両用座席シートにおいて、ヘッドレスト（４）の前部（４ｆ）をシートバック（３）の上端部と前後方向に重なり合うように、シートバック（３）の上端部の前面に沿って下向きに延長させ、ヘッドレストフレーム（１２）の前縁部分（１６ｂ）をヘッドレスト（４）の前部（４ｆ）内に位置させ、そこにダイナミックダンパ（Ｄ）のウエイト（２０）を設ける。これにより、ダイナミックダンパを設けたヘッドレストの高さ方向の大型化を抑制するようにした。

Description

車両用座席シート装置

　本発明は、車両の床に設置されるシートクッション、このシートクッションの後端部に連結されるシートバックおよびシートバックの上端部に装着されるヘッドレストを備え、前記ヘッドレストにダイナミックダンパを付設してなる、車両用座席シート装置に関する。

　かゝる車両用座席シート装置において、ヘッドレスト内にバネと質量体とからなるダンパー機構（ダイナミックダンパ）を内蔵し、このダンパー機構の質量体などの動きによって、ヘッドレストに発生する振動を抑制するようにしたものは公知である（下記特許文献１参照）。

日本特開平１０－２２６２５５号公報

　ところで、ヘッドレスト内にダイナミックダンパを備えた座席シートでは、
　(1) ダイナミックダンパによる振動抑制効率を高めて、座席シートに加わる振動を効果的に吸収して、優れた制振効果を発揮でき、しかもダイナミックダンパを設けたことに起因してヘッドレストの高さ方向の大型化を抑制すること、
　(2) 座席シートの振動時に、ダイナミックダンパがヘッドレストフレームに干渉することがなく、それらの干渉による異音の発生を抑制すること、
　(3) 座席シートに座乗する乗員へのダイナミックダンパによる違和感を抑制すること、が要求される。

　ところが、前記特許文献１の示される車両用シート装置では、ダイナミックダンパの取り付けにより、ヘッドレストの高さ方向の大型化を抑制し、前記異音の発生を抑制し、さらに前記違和感を抑制しようとするための技術的な対策がなされていない。

　本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、ヘッドレストにダイナミックダンパを設けて座席シートの振動系の振動抑制効果を高め、ヘッドレストの高さ方向の大型化を抑制でき、かつ座席シートに着座する乗員に違和感を与えないようにした、新規な車両用座席シート装置を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するために、本発明は、車両の床に設置されるシートクッション、このシートクッションの後端部に連結されるシートバックおよびシートバックの上端部に装着されるヘッドレストを備え、前記ヘッドレストにダイナミックダンパを付設してなる、車両用座席シート装置において、前記ヘッドレストは、その前部が、シートバックの上端部と前後方向に重なり合うように、シートバックの上端部の前面に沿って下向きに延長されており、前記ヘッドレストのヘッドレストフレームは、シートバックのシートバックフレームに昇降可能に支持される左右一対の杆部に一体に連結される連結部を有し、この連結部は、前記杆部の上端より屈曲されて前方に延長される上縁部分と、それらの上縁部分の前部から下向きに延長される前縁部分とを備え、前記連結部の前記上縁部分の上端面よりも下方に、前記ダイナミックダンパを構成するウエイトの上端が配置されることを第１の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第１の特徴に加えて、前記前縁部分は、前記ヘッドレストの前部内にあって、そこに前記ダイナミックダンパを構成するウエイトが設けられることを第２の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第１または２特徴に加えて、前記ウエイトの少なくとも一部は、シートバックの上面に沿って前後方向に延長される仮想線よりも下方に配置されることを第３の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第１または２の特徴に加えて、前記ウエイトの上面は、シートバックの上面に沿って前後方向に延長される仮想線よりも下方に配置されることを第４の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第１、２、３または４の特徴に加えて、前記ウエイトは、ヘッドレストフレームの連結部に、干渉回避間隙を存して配置されていることを第５の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第１、２、３、４または５の特徴に加えて、前記ウエイトは、前記ヘッドレストフレームを埋設するクッション材の、最も薄肉の部分を避けた位置に設けられることを第６の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、車両の床に設置されるシートクッション、このシートクッションの後端部に連結されるシートバックおよびシートバックの上端部に装着されるヘッドレストを備え、前記ヘッドレストにダイナミックダンパを付設してなる、車両用座席シート装置において、前記ダイナミックダンパを構成するウエイトが、ヘッドレストの骨格を構成するヘッドレストフレームの前端よりも後方に配置されることを第７の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第７の特徴に加えて、前記ウエイトは、ヘッドレストフレームの前端と後端との間に設けられることを第８の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第７、８の特徴に加えて、前記ヘッドレストフレームは、シートバックフレームに昇降可能に支持される左右の杆部に一体に連結される連結部を有し、この連結部は、前記杆部の上端より屈曲されて前方に延長される互いに平行な左右の上縁部分と、それらの上縁部分の前部から下向きに延長される互いに平行な左右の前縁部分と、前記上縁部分と前縁部分とを一体に結合する、前方クロス部材および後方クロス部材とを備え、その前方クロス部材および後方クロス部材の間に、前記ウエイトが設けられることを第９の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第９の特徴に加えて、前記ウエイトは、前記左右の杆部と、前記左右の上縁部分と、前記左右の前縁部分との間に設けられることを第１０の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第７または８の特徴に加えて、前記ヘッドレストフレームは、シートバックフレームに昇降可能に支持される左右一対の杆部に一体に連結される連結部を有し、この連結部は、前記杆部の上端より屈曲されて前方に延長される互いに平行な左右の上縁部分と、それらの上縁部分の前部から下向きに延長される互いに平行な左右の前縁部分と、前記上縁部分と前縁部分とを一体に結合する、前方クロス部材および後方クロス部材とを備え、前記ウエイトは、その長手方向が、前記前方クロス部材および前記後方クロス部材との間にそれらと平行になるように配置されて、前記左右の上縁部分に連結されることを第１１の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第９または１０の特徴に加えて、前記前方クロス部材と後方クロス部材は、前記左右の上縁部分の前後に設けられており、前方クロス部材と後方クロス部材との間に前記ウエイトが保持されることを第１２の特徴としている。

　上記目的を達成するために、本発明は、前記第９、１０、１１または１２の特徴に加えて、前記ウエイトは、前記左右の杆部、左右の上縁部分および左右の前縁部分とで囲まれる空間内に配置されることを第１３の特徴としている。

  本発明の第１の特徴によれば、ヘッドレストフレームの連結部の上縁部分の上端面よりも下方に、ウエイトの上端が配置されるので、ヘッドレストの高さ方向の大型化を抑制することができる。

　本発明の第２の特徴によれば、ヘッドレストの前部は、シートバックの上端部と前後方向に重なり合うように、シートバックの上端部の前面に沿って下向きに延長されており、ヘッドレストのヘッドレストフレームの前縁部分は、ヘッドレストの前部内にあって、そこにダイナミックダンパを構成するウエイトが設けられるので、ヘッドレストにダイナミックダンパを設けても、ヘッドレストの高さ方向の大型化を抑制することができ、これにより座席シートの全高が高くなることがない。

　本発明の第３の特徴によれば、前記ウエイトの少なくとも一部は、シートバックの上面に沿って前後方向に延長される仮想線よりも下方に配置されるので、ヘッドレストの高さ方向の大型化を一層抑制することができる。

　本発明の第４の特徴によれば、前記ウエイトの上面は、シートバックの上面に沿って前後方向に延長される仮想線よりも下方に配置されるので、ウエイトが、シートバックの上面から上方に移動することなく、ヘッドレストの高さ方向の大型化を一層抑制することができる。

  本発明の第５の特徴によれば、前記ウエイトは、ヘッドレストフレームの連結部に、干渉回避間隙を存して配置されているので、座席シートの振動時に、ウエイトがヘッドレストフレームに干渉することがなく、それらの干渉による異音の発生を抑制することができる。

  本発明の第６の特徴によれば、前記ウエイトは、ヘッドレストフレームを埋設するクッション材の、最も薄肉の部分を避けた位置に設けられるので、座席シートの座乗する乗員へのウエイトによる違和感を抑制することができる。

  本発明の第７の特徴によれば、ダイナミックダンパを構成するウエイトが、ヘッドレストの骨格を構成するヘッドレストフレームの前端よりも後方に配置されるので、ヘッドレストにダイナミックダンパを設けたことにより、乗員に違和感を与えることを抑制することができる。

　本発明の第８の特徴によれば、ウエイトは、ヘッドレストフレームの前端と後端との間に設けたので、乗員に違和感を与えることを抑制しながら、ヘッドレストのコンパクト化が可能である。

　本発明の第９の特徴によれば、ヘッドレストフレームの連結部に前方クロス部材および後方クロス部材を設け、それら部材間にウエイトが配置されるので、ヘッドレストフレーム前後間での、ウエイトの取付設定自由度を高めることができる。

  本発明の第１０の特徴によれば、ウエイトは、前記左右の杆部、前記左右の上縁部分および前記左右の前縁部分との間に設けられるので、乗員への違和感を一層抑制することができる。

  本発明の第１１の特徴によれば、前記ウエイトは、その長手方向が、前記前方クロス部材および前記後方クロス部材との間にそれらと平行になるように配置されて、前記左右の上縁部分に連結されるので、ヘッドレストフレームにウエイトをコンパクトに配置することができ、ヘッドレストフレームの大型化を抑制することができる。

  本発明の第１２の特徴によれば、前方クロス部材と後方クロス部材は、左右の上縁部分の前後に設けられており、前方クロス部材と後方クロス部材との間に、ダイナミックダンパを構成するウエイトが保持されるので、ダイナミックダンパの大型化を抑制することができる。

  本発明の第１３の特徴によれば、ウエイトは、ヘッドレストフレームの、左右の杆部、左右の上縁部分および左右の前縁部分とで囲まれる空間内に配置されるので、その空間を有効に利用してウエイトを配置することができ、ヘッドレストフレーム内にウエイトをコンパクトに配置することができる。

図１は本発明に係る車両用座席シート装置の概略側面図である。（第１の実施の形態） 図２はヘッドレストフレームの斜視図である。（第１の実施の形態） 図３は図１の３矢視仮想線囲い部分の拡大断面図である。（第１の実施の形態） 図４は図３の４－４線に沿う断面図である。（第１の実施の形態） 図５はダイナミックダンパの一部破断斜視図である。（第１の実施の形態） 図６は車両用座席シート装置の上部側面図である。（第２の実施の形態） 図７は車両用座席シート装置の上部側面図である。（第３の実施の形態） 図８は本発明に係る車両用座席シート装置の概略側面図である。（第４の実施の形態） 図９は図８の９矢視のダイナミックダンパを設けたヘッドレストフレームの斜視図である。（第４の実施の形態） 図１０は図９の１０－１０線に沿う断面図である。（第４の実施の形態） 図１１は図１０の１１－１１線に沿う断面図である。（第４の実施の形態） 図１２はダイナミックダンパの一部破断斜視図である。（第４の実施の形態） 図１３は図９に対応する、ダイナミックダンパを設けたヘッドレストフレームの斜視図である。（第５の実施の形態）

２・・・・シートクッション
３・・・・シートバック
４・・・・ヘッドレスト
４ｆ・・・前部
１０・・・・ヘッドレストフレーム
１２・・・・ヘッドレストフレーム
１３・・・・クッション部材
１５・・・・杆部
１６・・・・連結部
１６ｂ・・・前縁部分
２０・・・・・ウエイト
１０２・・・・シートクッション
１０３・・・・シートバック
１０４・・・・ヘッドレスト
１０４ｆ・・・・前部
１１０・・・・シートバックフレーム
１１２・・・・ヘッドレストフレーム
１１５・・・・杆部
１１６・・・・連結部
１１６ａ・・・上縁部分
１１６ｂ・・・前縁部分
１１７ｆ・・・前方クロス部材
１１７ｒ・・・後方クロス部材
１２０・・・・・ウエイト
Ｄ・・・・・・ダイナミックダンパ
Ｆ・・・・・・床
Ｘ－Ｘ・・・・仮想線
Ｄ′・・・・・・ダイナミックダンパ

　以下、本発明の実施形態について説明する。

　以下の説明において、座席シートの設置される車両の前後を「前後」、その左右を「左右」、その上下を「上下」という。

第１の実施の形態

  まず、図１～５を参照して、本発明の第１実施形態について説明する。

　図１に示すように、車両用座席シート１は、シートクッション２、シートバック３およびヘッドレスト４とを備える。

　シートクッション２は、下部に複数の支持脚７、７を設けた、シートクッションフレーム６を有しており、その支持脚７、７が車両の床Ｆに固着される。

  シートクッションフレーム６の後端部には上方に突出する左右一対のブラケット８が連設され、これらブラケット８に、シートバック３の骨格を構成するシートバックフレーム１０が、従来公知のリクライニング機構（図示せず）を介して枢軸９まわりにリクライニング可能に連結される。

  また、シートバックフレーム１０の上端部には、左右一対の支持筒１１、１１が固設されており、これら支持筒１１、１１によってヘッドレスト４が、従来公知の支持装置（図示せず）によって昇降および固定可能に支持される。

  図２～４に示すように、ヘッドレスト４は、ヘッドレストフレーム１２と、それに支持される発泡ウレタン製のクッション部材１３と、その表面を被覆する表皮１４とより構成されると共に、クッション部材１３内に、後に詳述するダイナミックダンパＤが埋設されている。

  図１、３および４に示すように、ヘッドレスト４は、シートバック３の上端部と前後方向に重なり合って、シートバック３の前面に沿って下方に延びる前部４ｆと、シートバックの上面を覆う後部４ｒとよりなり、正面視矩形状、側面視逆Ｌ字に形成されている。そして、ヘッドレスト４の下降時には、図１に示すように、その前部４ｆは、シートバック３の上端部前面に着座され、その後部４ｒは、シートバック３の上面に着座される。

　図２に示すように、ヘッドレスト４の骨格を構成するヘッドレストフレーム１２は、前記一対の支持筒１１、１１に昇降可能に支持されて、上下方向に延長される互いに平行な左右一対の杆部１５、１５と、これら杆部１５、１５の上端間を一体に連結する連結部１６とよりなる。前記左右一対の杆部１５、１５は、支持筒１１、１１に支持されて下方に延びるフレーム下部１５ａと、このフレーム下部１５ａの上端から上方に延びて連結部１６に至るフレーム上部１５ｂとで構成される。また、前記連結部１６は、前記フレーム上部１５ｂの上端より屈曲されて前後方向に延びる枠状の上縁部分１６ａと、それらの上縁部分１６ａの前部より下向きに屈曲されてそれらを一体に連結して上下方向に延びる枠状の前縁部分１６ｂとよりなる。

　しかして、図１に示すように、前記上縁部分１６ａの前半部は、シートバック３の上面より前方に延出し、また前記前縁部分１６ｂは、シートバック３の上端部と前後方向に重なり合っている。

　そして、ヘッドレストフレーム１２は、前記クッション部材１３に埋設されてクッション部材１３を支持し、ヘッドレスト４の前部４ｆ内に、座席シート１の振動を抑えるダイナミックダンパＤが内蔵される。

  つぎに、図２～５を参照して、このダイナミックダンパＤの構造について説明する。

　このダイナミックダンパＤは、ウエイト２０と、このウエイト２０を、その振動方向へのスライドを許容するように包覆する弾性部材２２とを備えている。

　ウエイト２０は、鉄などの金属製であって、振動方向、すなわちスライド方向（左右方向）Ｓに中心軸線Ｌ－Ｌをもつ円筒状に形成され、また、弾性部材２２は、前記クッション部材１３よりも軟質のゴム、またはエラストマ製であり、ウエイト２０を包み込んで包覆できるように板状に形成されている。

　そして、前記ダイナミックダンパＤのウエイト２０の上端は、前記連結部１６の上縁部分１６ａの上端面よりも下方に配置される。

　ダイナミックダンパＤは、その振動方向Ｓ（左右方向）へのスライドが許容されるように、ヘッドレストフレーム１２の、前記前縁部分１６ｂ間に張架される。すなわち、図４に示すように、ウエイト２０の中央部には、その中心軸線Ｌ－Ｌに沿ってその両端に開口する貫通孔よりなるスライド孔２１が穿設されており、このスライド孔２１は、前記前縁部分１６ｂの左右に、左右方向に沿って張架される、ワイヤー、糸などの線条部材２４に挿通され、ウエイト２０は、この線条部材２４に案内されて左右方向へのスライドが許容される。

　図５に最も明瞭に示すように、前記線条部材２４の両自由端２４ａ，２４ａは、ループ状に形成されており、ヘッドレストフレーム１２の、前縁部分１６ｂにそれぞれ巻き付けて固定されるバンド部材２５，２５に連結されて緊張状態に張架される。

　図４、５に示すように、線条部材２４のループ状両端部２４ａ，２４ａの内側部分には、スライド幅規制部材２８，２８が結着されている。そのスライド幅規制部材２８，２８とウエイト２０の左右両端面２０ａ，２０ａとの間に、スライド間隙ｄ，ｄが形成されている。ウエイト２０の振動方向、すなわちスライド方向Ｓへのスライドによれば、スライド幅規制部材２８，２８は、ウエイト２０の左右両端面２０ａ，２０ａと衝合して、ウエイト２０の左右方向へのスライド量を規制するようにしており、前記スライド間隙ｄ，ｄが、ウエイト２０の左右方向へのスライド量に相当する。

　図４、５に示すように、前記ウエイト２０は、板状の弾性部材２２により包み込まれて包覆される。ウエイト２０を包覆した弾性部材２２の左右両端部２２ａ，２２ａは、ウエイト２０の両端面２０ａ，２０ａに沿うように湾曲されるが、ウエイト２０のスライドを妨げることはない。

　弾性部材２２は、ウエイト２０に加わる振動方向側が、他の側よりも軟質性の高く、ウエイト２０の、スライド方向以外の振動を抑制して制振機能に方向性をもたせるようにしている。

　図４，５に示すように、前記弾性部材２２の外表面は、前記スライド幅規制部材２８，２８と共に合成樹脂製のフィルム部材３０により被覆される。これにより、ヘッドレスト４の成形時において、弾性部材２２を、ウレタン発泡剤よりなるクッション部材１３により埋設すべく、弾性部材２２の周囲にウレタン発泡剤を流し込む際に、流し込んだウレタン発泡剤が、弾性部材２２に含浸するのを抑制する。

  そして、図５に示すように、ウエイト２０を弾性部材２２により包覆してなるダイナミックダンパＤは、紡錘形状に形成されて、クッション部材１３内に埋設され、その弾性部材２２とヘッドレストフレーム１２との間にクッション部材１３の一部を介在させるように配置される。また、ダイナミックダンパＤは、クッションフレーム１２との間に干渉回避間隙をあけて配置されており、座席シート１の振動時にも、ダイナミックダンパＤの、ヘッドレストフレーム１２との干渉による異音の発生を抑制するようにしており、またダイナミックダンパＤは、クッション材１３の最も薄くなるところ避けて一対の前縁部材１６ｂ，１６ｂ間に配置されて、乗員のウエイト２０による違和感を抑制する。

　線条部材２４の両端部をヘッドレストフレーム１２の前縁部分１６ｂに結着するバンド部材２５，２５は、ヘッドレスト４の成形後はクッション部材１３により保持されて固定されるので、線条部材２４の位置がずれることが抑制される。また、弾性部材２２は、線条部材２４に取り付けられ、さらに、フィルム部材３０により線条部材２４に取り付けられており、弾性部材２２を安定保持できると共に弾性部材２２を取付けるための取付手段を別途に必要としない。

  図１に示すように、シートバック３の前面は、その上下方向の略中央部が最も前方に膨出するように前方に向けて上下方向に湾曲されており、ヘッドレストフレーム１２の前縁部１６ｂは、シートバック３の前面の最も突出する点Ｐを通る上下方向の接線Ｔ－Ｔよりも前方に配置されて、そこにダイナミックダンパＤが前述したように設けられる。

　つぎに、図１～５に示す第１実施形態の作用について説明する。

  車両の走行中、振動が、車両の床Ｆから座席シート１に伝達したとき、ダイナミックダンパＤのウエイト２０は、共振振動してその振動方向に沿い、スライド間隙ｄ，ｄ間を左右方向にスライドする。これにより、座席シート１の振動系に伝わる振動に対する振動抑制効率が高められ、弾性部材２２の弾性振動にも助成されて前記振動系の振動エネルギを効果的に代替吸収し、振動系、すなわちシートクッション２、シートバック３およびヘッドレスト４を制振することができる。

　ヘッドレストフレーム１２の前縁部分１６ｂの少なくとも一部は、シートバック３の上端部と前後方向で重なり合っており、その前縁部分に前記ダイナミックダンパＤを構成するウエイト２０が設けられることから、ヘッドレスト４にダイナミックダンパＤを設けてもヘッドレスト４の高さ方向の大型化を抑制することができ、これにより、座席シート１の全高が高くなるのを抑制することができる。

　また、連結部１６の前記上縁部分１６ａの上端面よりも下方に、前記ウエイト２０の上端が配置されることにより、ヘッドレスト４の高さ方向への大型化が抑制される。

　また、ウエイト２０は、線条２４に案内されてスライド可能であることから、その振動方向への抵抗の少ないスムーズな移動が保障され、座席シートに伝わる振動に対する振動抑制効率を一層高めることができる。

　また、線条部材２４は、ウエイト２０の中央部を貫通するので、その線条部材２４が、ウエイト２０の振動軌跡よりも外側に出張ることがなく、ウエイト２０の円滑なスライドが保障されると共にそのスライド構造の簡素化を図ることができる。

　また、ウエイト２０のスライド孔２１の軸線方向Ｌ－Ｌの両側にスライド幅規制部材２８，２８が設けられるので、ウエイト２０のスライド幅の設定が容易になる。

　また、ウエイト２０を包覆する弾性部材２２は、ウエイト２０の加わる振動方向側が、他の方向側よりも柔軟性が高くなるので、ウエイト２０のスライド方向以外の振動が抑制されて、制振機能に方向性を持たせることが可能になる。

  しかも、ダイナミックダンパＤは、ヘッドレスト４のクッション部材１３内に埋設される、該クッション部材１３よりも軟質のゴム材よりなる弾性部材２２と、この弾性部材２２に埋設されるウエイト２０とで構成されるので、ウエイト２０を埋設した弾性部材２２をクッション部材１３内に埋設して、ヘッドレスト４にダイナミックダンパＤを簡単に取り付けることができる。

  さらに、ダイナミックダンパＤは、その弾性部材２２とヘッドレストフレーム１２との間にクッション部材１３の一部を介在させるように配置されるので、弾性部材２２のヘッドレストフレーム１２への接触を防ぎ、ダイナミックダンパ２０に良好な制振機能を発揮させることができる。

  また、ダイナミックダンパＤは、クッションフレーム１２との間に干渉回避間隙をあけて配置されるので、座席シート１の振動時にも、ダイナミックダンパＤは、ヘッドレストフレーム１２と干渉することがなく異音の発生を抑制することができ、またダイナミックダンパＤは、クッション材１３の最も薄くなるところを避けて一対の前縁部材１６ｂ，１６ｂ間に配置されて、乗員のウエイト２０による違和感を抑制する。

第２の実施の形態

　つぎに、図６を参照して本発明の第２実施形態について説明する。

  この第２実施形態において、前記第１実施形態と同じものには、同じ参照符合が付される。

　この第２実施形態は、ヘッドレストフレーム１２の前縁部１６ｂに取り付けられるウエイト２０の少なくとも一部は、シートバック３の上面に沿って前後方向に延長される仮想線Ｘ－Ｘよりも下方に配置されており、これにより、ヘッドレスト４の高さ方向の大型化が一層抑制される。

第３の実施の形態

  つぎに、図７を参照して本発明の第３実施形態について説明する。

  この第３実施形態において、前記第１実施形態と同じものには、同じ参照符合が付される。

　この第３実施形態は、ヘッドレストフレーム１２の前縁部１６ｂに取り付けられるウエイト２０は、シートバック３の上面に沿って前後方向に延長される仮想線Ｘ－Ｘよりも下方に配置されており、これにより、ウエイト２０は、シートバック３の上面よりも上方に突出することがなく、ヘッドレスト４の高さ方向の大型化が一層抑制される。

第４の実施の形態

  つぎに、図８～１２を参照して、本発明の第４実施形態について説明する。

　図８に示すように、車両用座席シート１０１は、シートクッション１０２、シートバック１０３およびヘッドレスト１０４とを備える。

　シートクッション１０２は、下部に複数の支持脚１０７、１０７を設けた、シートクッションフレーム１０６を有しており、その支持脚１０７、１０７が車両の床Ｆに固着される。

  シートクッションフレーム１０６の後端部には上方に突出する左右一対のブラケット１０８が連設され、これらブラケット１０８に、シートバック１０３の骨格を構成するシートバックフレーム１１０が、従来公知のリクライニング機構（図示せず）を介して枢軸１０９まわりにリクライニング可能に連結される。

  また、シートバックフレーム１１０の上端部には、左右一対の支持筒１１１、１１１が固設されており、これら支持筒１１１、１１１によってヘッドレスト１０４が、従来公知の支持装置（図示せず）によって昇降および固定可能に支持される。

  図８～１１に示すように、ヘッドレスト１０４は、ヘッドレストフレーム１１２と、それに支持される発泡ウレタン製のクッション部材１１３と、その表面を被覆する表皮１１４とより構成されと共に、クッション部材１１３内に、後に詳述するダイナミックダンパＤ′が埋設されている。

  図８、１０、および１１に示すように、ヘッドレスト１０４は、シートバック１０３の上端部と前後方向に重なり合って、シートバック１０３の前面に沿って下方に延びる前部１０４ｆと、シートバック１０３の上面を覆う後部１０４ｒとよりなり、正面視矩形状、側面視逆Ｌ字に形成されている。そして、ヘッドレスト１０４の下降時には、図８に示すように、その前部１０４ｆは、シートバック１０３の上端部前面に着座され、その後部１０４ｒは、シートバック１０３の上面に着座される。

　図９に示すように、ヘッドレスト１０４の骨格を構成するヘッドレストフレーム１１２は、前記一対の支持筒１１１、１１１に昇降可能に支持されて、上下方向に延長される互いに平行な左右一対の杆部１１５、１１５と、これら杆部１１５、１１５の上端間を一体に連結する連結部１１６とよりなる。前記左右一対の杆部１１５、１１５は、支持筒１１１、１１１に支持されて下方に延びるフレーム下部１１５ａと、このフレーム下部１１５ａの上端から上方に延びて連結部１１６に至るフレーム上部１１５ｂとで構成される。また、前記連結部１１６は、前記フレーム上部１１５ｂの上端より前方に屈曲されて前後方向に延びる左右一対の上縁部分１１６ａ，１１６ａと、それらの上縁部分１１６ａ，１１６ａの前部より下向きに屈曲されてそれらを一体に連結して上下方向に延びる左右一対の前縁部分１１６ｂ、１１６ｂとよりなり、左右一対の前縁部分１１６ｂ、１１６ｂの下端は、下部連結部分１６ｃにより一体に結合され、左右一対の前縁部分１１６ｂ、１１６ｂと、下部連結部１１６ｃとで、前面視Ｕ字状に形成される。左右上縁部分１１６ａ，１１６ａの前端と、左右前縁部分１１６ｂ，１１６ｂの上端との屈曲接続部には、左右方向に延びる前方クロス部材１１７ｆの両端が一体に結合されており、また、左右上縁部分１１６ａ，１１６ａの後端と、フレーム上部１１５ｂ，１１５ｂの上端との屈曲接続部には、左右方向に延びる後方クロス部材１１７ｒの両端が一体に結合されている。そして、左右前縁部分１１６ａ，１１６ａと、前方および後方クロス部材１１７ｆ，１１７ｒとで、平面視四角な閉鎖空間Ａが形成され、この閉鎖空間Ａ内に、座席シート１０１の振動を抑えるダイナミックダンパＤ′が、その長手方向を前後方向に指向させて配置される。

　図８に示すように、前記上縁部分１１６ａ，１１６ａの前半部は、シートバック１０３の上面より前方に延出し、また前記前縁部分１１６ｂ，１１６ｂは、シートバック１０３の上端部と前後方向に重なり合っている。

　そして、前記ヘッドレストフレーム１１２は、前記クッション部材１１３に埋設されてクッション部材１１３を支持する。

  つぎに、図９～１２を参照して、このダイナミックダンパＤ′の構造について説明する。

　このダイナミックダンパＤ′は、ウエイト１２０と、このウエイト１２０を、その振動方向へのスライドを許容するように包覆する弾性部材１２２とを備えている。

　ウエイト１２０は、鉄などの金属製であって、振動方向、すなわちスライド方向（前後方向）Ｓ′に中心軸線Ｌ′－Ｌ′をもつ円筒状に形成され、また、弾性部材１２２は、前記クッション部材１１３よりも軟質のゴム、またはエラストマ製であり、ウエイト１２０を包み込んで包覆できるように板状に形成されている。

　ダイナミックダンパＤ′は、その振動方向Ｓ′（前後方向）へのスライドが許容されるように、ヘッドレストフレーム１１２の、前記前方クロス部材１１７ｆと後方クロス部材１１７ｒとの間に張架される。すなわち、図１０～１２に示すように、ウエイト１２０の中央部には、その中心軸線Ｌ′－Ｌ′に沿ってその両端に開口する貫通孔よりなるスライド孔１２１が穿設されており、このスライド孔１２１は、前記前方クロス部材１１７ｆと後方クロス部材１１７ｒの各中間部に、前後左右方向に沿って張架される、ワイヤー、糸などの線条部材１２４に挿通され、ウエイト１２０は、この線条部材１２４に案内されて前後方向へのスライドが許容される。

　図９～１２に示すように、前記線条部材１２４の両自由端１２４ａ，１２４ａは、ループ状に形成されており、ヘッドレストフレーム１１２の、前方クロス部材１１７ｆと後方クロス部材１１７ｒとにそれぞれ巻き付けて固定されるバンド部材１２５，１２５に連結されて緊張状態に張架される。

　線条部材１２４のループ状両端部１２４ａ，１２４ａの内側部分には、スライド幅規制部材１２８，１２８が結着されている。そのスライド幅規制部材１２８，１２８とウエイト１２０の前後両端面１２０ａ，１２０ａとの間に、スライド間隙ｄ′，ｄ′が形成されている。ウエイト１２０の振動方向、すなわちスライド方向Ｓ′のスライドによれば、スライド幅規制部材１２８，１２８は、ウエイト１２０の前後両端面１２０ａ，１２０ａと衝合して、ウエイト１２０の前後方向へのスライド量を規制するようにしており、前記スライド間隙ｄ′，ｄ′が、ウエイト１２０の前後方向へのスライド量に相当する。

　図１０～１２に示すように、前記ウエイト１２０は、板状の弾性部材１２２により包み込まれて包覆される。ウエイト１２０を包覆した弾性部材１２２の前後両端部１２２ａ，１２２ａは、ウエイト１２０の両端面１２０ａ，１２０ａに沿うように湾曲されるが、ウエイト１２０のスライドを妨げることはない。

　弾性部材１２２は、ウエイト１２０に加わる振動方向側が、他の側よりも軟質性が高く、ウエイト１２０の、スライド方向以外の振動を抑制して制振機能に方向性をもたせるようにしている。

　図１０～１２に示すように、前記弾性部材１２２の外表面は、前記スライド幅規制部材１２８，１２８と共に合成樹脂製のフィルム部材１３０により被覆される。これにより、ヘッドレスト１０４の成形時において、弾性部材１２２を、ウレタン発泡剤よりなるクッション部材１１３により埋設すべく、弾性部材１２２の周囲にウレタン発泡剤を流し込む際に、流し込んだウレタン発泡剤が、弾性部材１２２に含浸するのを抑制する。

  そして、図１２に示すように、ウエイト１２０を弾性部材１２２により包覆してなるダイナミックダンパＤ′は、紡錘形状に形成されて、クッション部材１１３内に埋設され、その弾性部材１２２とヘッドレストフレーム１１２との間にクッション部材１１３の一部を介在させるように配置される。また、ダイナミックダンパＤ′は、クッションフレーム１１２との間に干渉回避間隙をあけて配置されており、座席シート１０１の振動時にも、ダイナミックダンパＤ′の、ヘッドレストフレーム１１２との干渉による異音の発生を抑制するようにしており、またダイナミックダンパＤ′は、その長手方向を前後方向に向けて、クッション材１１３の最も薄くなるところを避けて前部クロス部材１１７ｆと後部クロス部材１１７ｒ間に設けられ、乗員のウエイト１２０による違和感を抑制する。

　線条部材１２４の両端部を、ヘッドレストフレーム１１２の、前部クロス部材１１７ｆと後部クロス部材１１７ｒとに結着するバンド部材１２５，１２５は、ヘッドレスト１０４の成形後はクッション部材１１３により保持されて固定されるので、線条部材１２４の位置がずれることを抑制することができる。また、弾性部材１２２は、線条部材１２４に取り付けられ、さらに、フィルム部材１３０により線条部材１２４に取り付けられており、弾性部材１２２を安定保持できると共に弾性部材１２２を取付けるための取付手段を別途に必要としない。

　しかして、前記ウエイト１２０の中心は、ヘッドレストフレーム１１２の前端である左右の前縁部分１１６ｂ，１１６ｂの中心線よりも後方に配置され、またウエイト１２０の前端は、左右の前縁部分１１６ｂ，１１６ｂよりも後方に配置され、さらにウエイト１２０の前端は左右の前縁部分１１６ｂ，１１６ｂの中心線よりも後方に配置される。

　つぎに、図８～１２に示す第４実施形態の作用について説明する。

  車両の走行中、振動が、車両の床Ｆから座席シート１０１に伝達したとき、ダイナミックダンパＤ′のウエイト１２０は、共振振動してその振動方向に沿い、スライド間隙ｄ′，ｄ′間を前後方向にスライドする。これにより、座席シート１０１の振動系に伝わる振動に対する振動抑制効率が高められ、弾性部材１２２の弾性振動にも助成されて前記振動系の振動エネルギを効果的に代替吸収し、振動系、すなわちシートクッション１０２、シートバック１０３およびヘッドレスト１０４を制振することができる。

　しかして、ダイナミックダンパＤ′を構成するウエイト１２０が、ヘッドレスト１０４の骨格を構成するヘッドレストフレーム１１２の前端、すなわちその左右前縁部分１１６ｂ，１１６ｂよりも後方に配置されるので、ヘッドレスト１０４にダイナミックダンパＤ′を設けたことで、乗員に違和感を与えることを抑制することができる。

　ダイナミックダンパＤ′のウエイト１２０は、ヘッドレストフレーム１１２の前端と後端との間、すなわち、その前縁部分１１６ｂ，１１６ｂと、左右の杆部１１５，１１５との間に設けたので、乗員に違和感を与えることを抑制しながら、ヘッドレスト１０４のコンパクト化が可能である。

　ヘッドレストフレーム１１２の、ヘッドレスト１０４の取付部の前後に、前方クロス部材１１７ｆおよび後方クロス部材１１７ｒを設け、それらのクロス部材１１７ｆ、１１７ｒ間にウエイト１２０を配置したので、ヘッドレストフレーム１１２の前後間での、ウエイト１２０の取付設定自由度を高めることができる。

　ダイナミックダンパＤ′のウエイト１２０は、左右の杆部１１５，１１５、左右の上縁部分１１６ａ，１１６ａおよび左右の前縁部分１１６ｂ，１１６ｂとの間に設けられるので、乗員への違和感を一層抑制することができる。

  前記ウエイト１２０は、その長手方向が、前記左右の上縁部分１１６ａ，１１６ａと、前記左右の前縁部分１１６ｂ，１１６ｂとの間に、それらと平行になるように配置されて、前方クロス部材１１７f および後方クロス部材１１７ｒに連結されるので、ヘッドレストフレーム１１２にウエイト１２０をコンパクトに配置することができ、ヘッドレスト１０４の大型化を抑制することができる。

　前方クロス部材１１７ｆと後方クロス部材１１７ｒは、左右の上縁部分１１６ａ，１１６ａの前後に設けられており、前方クロス部材１１７ｆと後方クロス部材１１７ｒとの間に、ダイナミックダンパＤ′のウエイト１２０が保持されるので、ダイナミックダンパＤ′の大型化が抑制される。

  ウエイト１２０は、ヘッドレストフレーム１１２の、左右の杆部１１５，１１５、左右の上縁部分１１６ａ，１１６ａおよび左右の前縁部分１１６ｂ，１１６ｂとで囲まれる空間Ａに配置されるので、その空間Ａを有効に利用してウエイト１２０を配置することができ、ヘッドレストフレーム１１２内にウエイト１２０をコンパクトに配置することができる。

　ウエイト１２０は、線条１２４に案内されてスライド可能であることから、その振動方向への抵抗の少ないスムーズな移動が保障され、座席シート１０１に伝わる振動に対する振動抑制効率を一層高めることができる。

　線条部材１２４は、ウエイト１２０の中央部を貫通するので、その線条部材１２４が、ウエイ１２０の振動軌跡よりも外側に出張ることながなく、ウエイト１２０の円滑なスライドが保障されると共にそのスライド構造の簡素化を図ることができる。

　また、ウエイト１２０のスライド孔１２１の軸線方向Ｌ′－Ｌ′の両側にスライド幅規制部材１２８，１２８が設けられるので、ウエイト１２０のスライド幅の設定が容易になる。

　また、ウエイト１２０を包覆する弾性部材１２２は、ウエイト１２０の加わる振動方向側が、他の方向側よりも柔軟性が高くなるので、ウエイト１２０のスライド方向以外の振動が抑制されて、制振機能に方向性を持たせることが可能になる。

  ダイナミックダンパＤ′は、ヘッドレスト１０４のクッション部材１１３内に埋設される、該クッション部材１１３よりも軟質のゴム材よりなる弾性部材１２２と、この弾性部材１２２に埋設されるウエイト１２０とで構成されるので、ウエイト１２０を埋設した弾性部材１２２をクッション部材１１３内に埋設して、ヘッドレスト１０４にダイナミックダンパＤ′を簡単に取り付けることができる。

  ダイナミックダンパＤ′は、その弾性部材１２２とヘッドレストフレーム１１２との間にクッション部材１１３の一部を介在させるように配置されるので、弾性部材１２２のヘッドレストフレーム１１２への接触を防ぎ、ダイナミックダンパ１２０に良好な制振機能を発揮させることができる。

第５の実施の形態

　つぎに、図１３を参照して本発明の第５実施形態について説明する。

  この第５実施形態において、前記第４実施形態と同じものには、同じ参照符合が付される。

　この第５実施形態は、ダイナミックダンパＤ′は、その長手方向が左右方向に指向されて、左右の上縁部分１１６ａ，１１６ａの間で、それらの中間部に張架、支持され、ダイナミックダンパＤ′のウエイト１２０は、その長手方向が、前方クロス部材１１７ｆおよび後方クロス部材１１７ｒと平行である。

　ダイナミックダンパＤ′の左右の上縁部分１１６ａ，１１６ａに対する支持構造は、前記第４実施態様における、ダイナミックダンパＤ′の前方および後方クロス部材１１７ｆ，１１７ｒに対する支持構造と同じである。

　しかして、第５実施態様によれば、ダイナミックダンパＤ′をヘッドレストフレーム１１２の左右上縁部分１１６ａ，１１６ａ間に取り付けたことにより、乗員に違和感を与えることがなく、ヘッドレストフレーム１１２が大型化するのを抑制することができる。

  以上、本発明の第１ないし第５実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。

Claims (13)

1. 　車両の床（Ｆ）に設置されるシートクッション（２）、このシートクッション（２）の後端部に連結されるシートバック（３）およびシートバック（３）の上端部に装着されるヘッドレスト（４）を備え、前記ヘッドレスト（４）にダイナミックダンパ（Ｄ）を付設してなる、車両用座席シート装置において、
   　前記ヘッドレスト（４）は、その前部（４ｆ）が、シートバック（３）の上端部と前後方向に重なり合うように、シートバック（３）の上端部の前面に沿って下向きに延長されており、
   　前記ヘッドレスト（４）のヘッドレストフレーム（１２）は、シートバック（３）のシートバックフレーム（１０）に昇降可能に支持される左右一対の杆部（１５）に一体に連結される連結部（１６）を有し、この連結部（１６）は、前記杆部（１５）の上端より屈曲されて前方に延長される上縁部分（１６ａ）と、それらの上縁部分（１６ａ）の前部から下向きに延長される前縁部分（１６ｂ）とを備え、
   　前記連結部（１６）の前記上縁部分（１６ａ）の上端面よりも下方に、前記ダイナミックダンパ（Ｄ）を構成するウエイト（２０）の上端が配置されることを特徴とする、車両用座席シート装置。
2. 　前記前縁部分（１６ｂ）は、前記ヘッドレスト（４）の前部（４ｆ）内にあって、そこに前記ダイナミックダンパ（Ｄ）を構成するウエイト（２０）が設けられることを特徴とする、前記請求項１に記載の車両用座席シート装置。
3. 　前記ウエイト（２０）の少なくとも一部は、シートバック（３）の上面に沿って前後方向に延長される仮想線（Ｘ－Ｘ）よりも下方に配置されること特徴とする前記請求項１または２に記載の車両用座席シート装置。
4. 　前記ウエイト（２０）の上面は、シートバック（３）の上面に沿って前後方向に延長される仮想線（Ｘ－Ｘ）よりも下方に配置されることを特徴とする、前記請求項１または２に記載の車両用座席シート装置。
5. 　前記ウエイト（２０）は、ヘッドレストフレーム（１２）に、干渉回避間隙を存して配置されていることを特徴とする、前記請求項１、２、３または４に記載の車両用座席シート装置。
6. 　前記ウエイト（２０）は、前記ヘッドレストフレーム（１２）を埋設するクッション材（１３）の、最も薄肉の部分を避けた位置に設けられることを特徴とする、前記請求項１、２、３、４または５に記載の車両用座席シート装置。
7. 　車両の床（Ｆ）に設置されるシートクッション（１０２）、このシートクッション（１０２）の後端部に連結されるシートバック（１０３）およびシートバック（１０３）の上端部に装着されるヘッドレスト（１０４）を備え、前記ヘッドレスト（１０４）にダイナミックダンパ（Ｄ′）を付設してなる、車両用座席シート装置において、
   　前記ダイナミックダンパ（Ｄ′）を構成するウエイト（１２０）が、ヘッドレスト（１０４）の骨格を構成するヘッドレストフレーム（１１２）の前端よりも後方に配置されることを特徴とする車両用座席シート装置。
8. 　前記ウエイト（１２０）は、ヘッドレストフレーム（１１２）の前端と後端との間に設けられることを特徴とする、前記請求項７に記載の車両用座席シート装置。
9. 　前記ヘッドレストフレーム（１１２）は、シートバックフレーム（１１０）に昇降可能に支持される左右の杆部（１１５）に一体に連結される連結部（１１６）を有し、この連結部（１１６）は、前記左右の杆部（１１５）の上端より屈曲されて前方に延長される互いに平行な左右の上縁部分（１１６ａ）と、それらの上縁部分（１１６ａ）の前部から下向きに延長される互いに平行な左右の前縁部分（１１６ｂ）と、前記上縁部分（１１６ａ）と前縁部分（１１６ｂ）とを一体に結合する、前方クロス部材（１１７ｆ）および後方クロス部材（１１７ｒ）とを備え、その前方クロス部材（１１７ｆ）および後方クロス部材（１１７ｒ）の間に、前記ウエイト（１２０）が設けられることを特徴とする、前記請求項７または８に記載の車両用座席シート装置。
10. 　前記ウエイト（１２０）は、前記左右の杆部（１１５）と、前記左右の上縁部分（１１６ａ）と、前記左右の前縁部分（１１６ｂ）との間に設けられることを特徴とする前記請求項９に記載の車両用座席シート装置。
11. 　前記ヘッドレストフレーム（１１２）は、シートバックフレーム（１１０）に昇降可能に支持される左右一対の杆部（１１５）に一体に連結される連結部（１１６）を有し、この連結部（１１６）は、前記左右の杆部（１１５）の上端より屈曲されて前方に延長される互いに平行な左右の上縁部分（１１６ａ）と、それらの上縁部分（１１６ａ）の前部から下向きに延長される互いに平行な左右の前縁部分（１１６ｂ）と、前記上縁部分（１１６ａ）と前縁部分（１１６ｂ）とを一体に結合する前方クロス部材（１１７ｆ）および後方クロス部材（１１７ｒ）とを備え、前記ウエイト（１２０）は、その長手方向が、前記前方クロス部材（１１７ｆ）および前記後方クロス部材（１１７ｒ）との間にそれらと平行になるように配置されて、前記左右の上縁部分（１１６ａ）に連結されることを特徴とする、前記請求項７または８に記載の車両用座席シート装置。
12. 　前記前方クロス部材（１１７ｆ）と後方クロス部材（１１７ｒ）は、前記左右の上縁部分（１１６ａ）の前後に設けられており、前方クロス部材（１１７ｆ）と後方クロス部材（１１７ｒ）との間に前記ウエイト（１２０）が保持されることを特徴とする、前記請求項９または１０に記載の車両用座席シート装置。
13. 　前記ウエイト（１２０）は、前記左右の杆部（１１５）、左右の上縁部分（１１６ａ）および左右の前縁部分（１１６ｂ）とで囲まれる空間内に配置されることを特徴とする、前記請求項９、１０、１１または１２に記載の車両用座席シート装置。

Images