WO2011108393A1 - ワイパ装置 - Google Patents

Abstract

ワイパ装置は、筒状の受承部（２６）を有する金属製のフレーム部材（１６）と、フレーム部材（１６）に固定されるとともにピボットシャフト（１２）を保持するピボットホルダ（１８）とを備える。ピボットホルダ（１８）は、ピボットシャフト（１２）を回動自在に支持するホルダ筒部（３４，１０４）と；ホルダ筒部（３４，１０４）から径方向外方に延出され且つ車体に取付けられる車体取付脚（３８，１０８）と；受承部（２６）の内方に挿入された状態で受承部（２６）がカシメられることによって受承部（２６）と嵌合固定される被嵌合部（４０Ｂ，１１０Ｂ）とを有する。ピボットホルダ（１８）は、金属部と、金属部よりも比重が小さく金属部に一体成形される樹脂部（３２）とによって一体化部品として構成されている。被嵌合部（４０Ｂ，１１０Ｂ）の少なくとも外周部は、金属部によって構成されている。

Description

ワイパ装置

　本発明は、ワイパ装置に関する。

　従来、ピボットホルダから突出する連結部を、フレーム部材としての金属製フレームパイプに挿入した状態で金属製フレームパイプをカシメることでピボットホルダを金属製フレームパイプに連結するワイパ装置が知られている（たとえば特許文献１、２参照）。これら文献のピボットホルダは、アルミダイキャストによって形成されている。

　また近年の車両軽量化の要求などによって、樹脂製のピボットホルダが提案されている（たとえば特許文献３参照）。この文献の樹脂製ピボットホルダは、長尺の金属製フレームパイプに連結されるために、金属製フレームパイプの端部に樹脂一体成形される。このように樹脂製ピボットホルダを金属製フレームパイプに一体成形するためには、予め金属製フレームパイプを成形金型内にセットしておく必要がある。

国際公開第０１／７９０４５号パンフレット 特許第４１４６３２９号公報 特許第３４８４５８７号公報

　しかし、特許文献３のように長尺の金属製フレームパイプを金型内に予めセットする工程には、時間を要してしまう。また金型の設備が大掛かりになるため、コストアップしてしまう。

　一方、金属製フレームパイプをカシメることで金属製フレームパイプに連結されるピボットホルダを、特許文献１，２のような金属製から、樹脂製に変更することも考えられる。

　しかし、単にピボットホルダを樹脂製にしたような場合には、ピボットホルダから突出する連結部も樹脂製になるため、金属製フレームパイプをカシメた際にピボットホルダの連結部に変形や亀裂等が生じやすくなる虞がある。つまり金属製フレームパイプとピボットホルダの間の所望の連結固定強度は、得られ難い。

　さらにワイパモータの振動やワイパブレードの作動に伴う力が、樹脂製ピボットホルダの連結部と金属製フレームパイプとのカシメ連結部に繰返し加わった場合に、このカシメ連結部が摩耗してガタつきやすくなる。つまりピボットホルダと金属製フレームパイプとの間の連結固定強度が低下しやすくなる虞がある。

　本発明の目的は、軽量化を図りつつピボットホルダとフレーム部材との間の連結固定強度を確保しやすいワイパ装置を提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明によるワイパ装置は、筒状の受承部を有する金属製のフレーム部材と、前記フレーム部材に固定されるとともにピボットシャフトを保持するピボットホルダとを備える。前記ピボットホルダは、前記ピボットシャフトを回動自在に支持するホルダ筒部と；前記ホルダ筒部から径方向外方に延出され且つ車体に取付けられる前記車体取付脚と；前記受承部の内方に挿入された状態で前記受承部がカシメられることによって前記受承部と嵌合固定される被嵌合部とを有する。前記ピボットホルダは、金属部と、前記金属部よりも比重が小さく前記金属部に一体成形される樹脂部とによって一体化部品として構成されている。前記被嵌合部の少なくとも外周部は、前記金属部によって構成されている。

本発明の第１実施形態に係るワイパ装置のピボットホルダ周辺の平面図。 図１のピボットホルダの正面図。 図１のＦ３－Ｏ－Ｆ３線の断面図。 図３のＦ４－Ｆ４線の断面図。 本発明の第２実施形態に係るピボットホルダ周辺の平面図。 図５のピボットホルダの正面図。 図５のＦ７－Ｏ－Ｆ７線の断面図。 図７のＦ８－Ｆ８線の断面図。 本発明の第３実施形態に係るピボットホルダ周辺の分解斜視図。 図９の金属部品の斜視図。 図９のピボットホルダの正面断面図。 図１１のＦ１２－Ｆ１２線の断面図。 本発明の第３実施形態の変形例の斜視図。 本発明の第３実施形態の他の変形例の正面断面図。

　以下の各実施形態では、ワイパ装置は概略左右対称の一対のピボットホルダを有するため、車両右側のピボットホルダだけ主に説明し、車両左側のピボットホルダの説明は重複するため省略する。

　図１～図４は、本発明の第１実施形態に係るワイパ装置１０を示す。ワイパ装置１０は、乗用自動車等の車両のフロントウィンドウガラスを払拭する左右一対のワイパアームを回動させるように構成されている。ワイパ装置１０の車両左部分は、図示しない車体に固定されるピボットホルダ１８と、ピボットホルダ１８によって車体に対して回転可能に支持されるピボットシャフト１２と、図示しないワイパモータからの動力をピボットシャフト１２の基端に伝達することによってピボットシャフト１２を回動させるリンク機構１４と、左右一対のピボットシャフト１２同士を連結する金属製のフレーム部材としてのフレームパイプ１６とを備える。ワイパモータは、たとえばフレームパイプ１６に取付けられる。

　図３に示すように、丸棒状のピボットシャフト１２の先端にはネジが刻設され、図示しないワイパアームの基端が一体回動可能に締結固定される被固定部としてのアーム取付部２０が形成されている。よってワイパモータが駆動されると、リンク機構１４とピボットシャフト１２を介してワイパアームが往復移動することによって、フロントウィンドウガラスを払拭する。

　図１に示すように、リンク機構１４は、図示しないワイパモータからの動力が伝えられるリンクロッド２４と、ホールジョイントを構成するボールピンからなる回動シャフト２３を介してリンクロッド２４に転動可能に連結されるピボットレバー２２とを有する。図３に示すように、ピボットレバー２２の端部は、ピボットシャフト１２の基端に一体回動可能に固定される。図１０に示すように、回動シャフト２３はピボットレバー２２から延びる。

　長手状のフレームパイプ１６は、炭素鋼等のように塑性変形可能な金属材料によって形成される。つまりフレームパイプ１６の端部は、ピボットホルダ１８に連結される筒状の受承部２６を構成している。

　図３に示すように、ピボットホルダ１８は、第１金属部品２８および第２金属部品３０と、これら第１金属部品２８と第２金属部品３０に樹脂一体成形される樹脂部３２とを有することによって、一体化部品として構成されている。すなわち本実施形態では、ピボットホルダ１８の金属部は、第１金属部品２８と第２金属部品３０とによって構成されている。機能別にはピボットホルダ１８は、ピボットシャフト１２を回動自在に支持するホルダ筒部３４と、ワイパアームからピボットシャフト１２に伝わる雨水などの水が車内に侵入しないように受ける水受け部３６とを有する。ホルダ筒部３４と水受け部３６は、樹脂部３２によって形成されている。さらにピボットホルダ１８は、ピボットホルダ１８を車体に取付けるための車体取付脚３８と、フレームパイプ１６に連結される被嵌合腕４０とを有する。本実施形態では、車体取付脚３８は第２金属部品３０と樹脂部３２とによって構成され、被嵌合腕４０は第１金属部品２８と樹脂部３２とによって構成されている。

　図３に示すように、水受け部３６は、ホルダ筒部３４から周囲に広がっており、ピボットシャフト１２の先端に向かって開口する凹状に形成されている。
　ピボットホルダ１８の取付脚部としての車体取付脚３８は、ホルダ筒部３４から径方向外方（車両前方かつ車両外方。図３では左方）に延出する脚体３８Ａと、ボルト等を介して車体に取付けられる取付孔を有するように脚体３８Ａの先端に形成されたＣ字状の車体取付部３８Ｂとを有する。

　ピボットホルダ１８の被嵌合腕部としての被嵌合腕４０は、ホルダ筒部３４から車体取付脚３８とは反対側（車両内方。図３では右方）に延出する腕体４０Ａと、腕体４０Ａの先端に形成された被嵌合部４０Ｂとを有する。被嵌合部４０Ｂは、フレームパイプ１６の受承部２６に被嵌合部４０Ｂが挿入された状態で受承部２６がカシメられることによって受承部２６と嵌合固定される。つまり被嵌合部４０Ｂは、金属製のフレームパイプ１６に連結されるためにフレームパイプ１６の内方に挿入される連結部として機能する。

　次に、ピボットホルダ１８の一部を構成する第１金属部品２８と第２金属部品３０をそれぞれ詳述する。
　図３に示すように、第１金属部品２８は、たとえばアルミニウム合金等の金属によって形成されたダイキャスト品であり、第２金属部品３０は、鋼板をプレスすることによって形成されたプレス加工品である。第１金属部品２８は、ピボットシャフト１２が挿通される第１環部４２と、腕体４０Ａの骨格を構成する腕骨格部４４と、被嵌合部４０Ｂを構成する被嵌合部構成部４６とを一体に有する。第２金属部品３０は、ピボットシャフト１２が挿通される第２環部４８と、脚体３８Ａの骨格を構成する取付脚構成部としての脚骨格部５０とを一体に有する。すなわち本実施形態では、第１環部４２と第２環部４８は、互いに別体である。

　第１環部４２の内径は、ピボットシャフト１２の径よりも大きく形成される。腕骨格部４４は、第１環部４２から径方向外方に延出されて第１環部４２と被嵌合部構成部４６とを互いに連結している。被嵌合部構成部４６は、中実状に形成され、被嵌合部構成部４６の表面には、図２に示すように、複数の凹所つまり密着凹部５２が形成されている。すなわち被嵌合部４０Ｂの少なくとも外周部は、第１金属部品２８によって構成されている。換言すれば腕骨格部４４と被嵌合部構成部４６の外周部とは、第１環部４２から延びて被嵌合部４０Ｂの外周部を構成する金属製の外周部構成部を形成しており、本実施形態の被嵌合部４０Ｂの内周部つまり外周部よりも芯の部分は、第１金属部品２８のアルミダイキャストによって被嵌合部４０Ｂの外周部と一体化した金属製の中実体として形成されている。つまり金属製の外周部構成部に、密着凹部５２は形成されている。

　図３に示すように、第２環部４８の内径は、上述の第１環部４２と同様にピボットシャフト１２よりも大きく形成されている。脚骨格部５０は、第２環部４８から径方向外方に延出する舌片状に形成されている。

　このような第１金属部品２８と第２金属部品３０は、インサート部品として成形機に予めセットされた状態で、樹脂一体成形つまりインサート成形されることによって樹脂部３２と一体化されている。なお樹脂部３２は、第１金属部品２８や第２金属部品３０の金属よりも比重の小さな樹脂材料によって形成されている。

　図３に示すように、第１環部４２と第２環部４８は、ホルダ筒部３４において樹脂部３２に埋設されている。
　腕骨格部４４の腕体４０Ａは、樹脂部３２に埋設されることによって腕体４０Ａの内部骨格を構成している。被嵌合部構成部４６は、樹脂部３２から露出しており、被嵌合部４０Ｂを構成している。つまり第１金属部品２８の被嵌合部構成部４６は、被嵌合部４０Ｂの外周部を構成しているのみならず、被嵌合部４０Ｂの内周部を含む被嵌合部４０Ｂの全体を構成している。

　また脚骨格部５０は、脚体３８Ａにおいて樹脂部３２に埋設されることによって、この脚体３８Ａの内部骨格を構成している。脚体３８Ａの先端に位置する車体取付部３８Ｂは、樹脂部３２によって構成されている。

　図３に示すように、ホルダ筒部３４の軸心部は、ピボットシャフト１２が挿通されるように軸方向に延びる挿通孔５４を有している。この挿通孔５４の内周面には、軸方向に延びるグリス溝５６が周方向に間隔を空けて複数形成されている。さらにこの挿通孔５４の軸方向両端には、環状の収容溝５８がそれぞれ形成されている。

　ピボットシャフト１２の基端にピボットレバー２２が一体回動可能に固定された状態で、ピボットシャフト１２の先端は挿通孔５４に挿通される。挿通孔５４を挿通した状態のピボットシャフト１２の先端にティースワッシャ６０が嵌合されることによって、ピボットシャフト１２はホルダ筒部３４に対する軸方向の移動が規制され、そしてピボットシャフト１２はホルダ筒部３４によって回動自在に保持される。

　図３に示すように、挿通孔５４は、第１環部４２と第２環部４８の内方において樹脂部３２によって形成されている。つまりピボットシャフト１２は挿通孔５４を挿通することによって、第１環部４２と第２環部４８の内方を挿通する。グリス溝５６には、グリス６２がそれぞれ保持されている。それぞれ収容溝５８には、挿通孔５４内への水や粉塵の侵入を防止すると共に挿通孔５４からのグリス６２の流出を防止するＯリング６４が収容されている。

　上記のワイパ装置１０の製造方法のうち、特にピボットホルダ１８をフレームパイプ１６に連結する連結工程を説明する。
　金属製の被嵌合部構成部４６によって構成された被嵌合部４０Ｂは、フレームパイプ１６の受承部２６の内方に挿入される。この挿入状態で、複数の密着凹部５２に対応する受承部２６の部分は、カシメ装置などによって外方から内方に向かってカシメられる。その結果、図４に示すように、受承部２６は部分的に塑性変形して、内方に突出する複数の突起６６が形成される。これら複数の突起６６は、複数の密着凹部５２にそれぞれ密着するように嵌合される。このようなカシメ固定によって、図３に示すようにピボットホルダ１８は、フレームパイプ１６に連結される。すなわち被嵌合部４０Ｂに形成された密着凹部５２は、突起６６が密着する密着表面を有する密着部を構成している。

　上記の第１実施形態は、以下の利点を有する。
　（１）　ワイパ装置１０は、フレームパイプ１６とピボットホルダ１８とがカシメ固定によって互いに連結される構成とされている。よってピボットホルダ１８は、フレームパイプ１６とは別に成形することができる。したがってたとえば長尺のフレームパイプ１６にピボットホルダ１８を一体成形するような場合に比して、本実施形態のワイパ装置１０の製造工程時間は短くて済むし、大掛かりな設備も不要である。よってコストダウンすることができる。

　しかもピボットホルダ１８は、第１金属部品２８と第２金属部品３０にこれらよりも比重の小さな樹脂部３２が一体成形されることによって形成された一体化部品として構成されている。したがってたとえばピボットホルダ１８の全体が金属たとえばアルミニウム合金によって形成されたような場合に比しても、本実施形態のピボットホルダ１８は軽量化することができる。

　（２）　ピボットホルダ１８の被嵌合部４０Ｂの外周部を含む被嵌合部４０Ｂの全体が、第１金属部品２８によって構成されている。被嵌合部４０Ｂの外周部は、フレームパイプ１６の受承部２６にカシメ固定される。したがってフレームパイプ１６とピボットホルダ１８とを、金属同士のカシメ固定によって互いに連結することができる。よってピボットホルダ１８とフレームパイプ１６との間の連結固定強度も確保しやすい。

　また被嵌合部４０Ｂは、アルミニウム合金等の金属で形成されたダイキャスト品としての第１金属部品２８によって形成されている。このため、従来のようにたとえばピボットホルダ全体がアルミニウム合金等の金属で形成されたダイキャスト品であるような場合に受承部をカシメるために使用されるカシメ装置と同じカシメ装置を活用して、本実施形態でも受承部２６を、ピボットホルダ１８の被嵌合部４０Ｂにカシメ固定することができる。

　（３）　第１金属部品２８と第２金属部品３０とは、樹脂部３２によって一体化される前は互いに別体に構成されている。よってピボットシャフト１２の軸線周りの第２金属部品３０の角度位置を、第１金属部品２８に対して任意に設定しやすい。したがってたとえば車種に応じて被嵌合部４０Ｂに対する車体取付脚３８の延出方向が異なるピボットホルダ１８を製造する場合でも、第１金属部品２８と第２金属部品３０の少なくとも一方をピボットホルダ１８同士で共通に利用できる。とりわけフレームパイプ１６に連結される第１金属部品２８は、任意の角度位置を有する第２金属部品３０の車種にも使用できる。よってさらにコストダウンすることができる。さらに第１金属部品２８と第２金属部品３０とは、樹脂部３２によって一体化される前はそれぞれ別体として構成されているため、互いに異なる金属材料によって構成でき、強度や加工に適応させた材料選択ができる。

　（４）　ピボットホルダ１８の脚体３８Ａの内部骨格は、金属製の脚骨格部５０によって形成され、脚体３８Ａの先端に位置する車体取付部３８Ｂは、樹脂部３２によって形成されている。よってたとえば車体取付脚３８の全体が金属製のような場合に比して、本実施形態は、車体取付脚３８の強度を確保しつつ車体取付脚３８を軽量化することができる。

　（５）　ワイパ装置１０が車体に固定された状態で、ピボットシャフト１２を介してホルダ筒部３４に軸方向への衝撃力が作用した場合には、車体取付脚３８の内部骨格である金属製の脚骨格部５０と、樹脂製の車体取付部３８Ｂとの境界で車体取付脚３８の折れが生じやすくなる。これによって、ピボットホルダ１８は衝撃を吸収しやすい。

　図５～図８は、本発明の第２実施形態に係るワイパ装置７０を示す。ワイパ装置７０は、上述の第１実施形態に係るワイパ装置１０に対し、ピボットホルダ１８を次のように変更している。

　図７に示すように、第２実施形態のピボットホルダ１８は、上述の第１金属部品２８の代わりに、被嵌合部４０Ｂの外周部のみを構成する第１金属部品７８を備えている。この第１金属部品７８は、炭素鋼等の金属によって中空状に形成されている。

　つまり図７の第１金属部品７８は、アウトサート部品とされた筒状である。図５と図６に示すように、第１金属部品７８の表面には、複数の密着凹部８２が形成されている。すなわち第１金属部品７８は、被嵌合部４０Ｂの外周部を構成する外周部構成部であるが、図７と図８に示すように本実施形態の被嵌合部４０Ｂの内周部は、樹脂部３２によって形成されている。このように密着凹部８２は、金属製の外周部構成部に形成されている。

　図７に示すように、樹脂部３２は、第１金属部品７８の内方から第１金属部品７８を支持する支持部８４を有している。樹脂部３２は、第１金属部品７８の軸方向の移動を規制する第１ストッパ８４Ａと第２ストッパ８４Ｂとを、第１金属部品７８の軸方向両端に有している。第１ストッパ８４Ａは、ホルダ筒部３４と第１金属部品７８との間に位置する。

　第２実施形態のピボットホルダ１８をフレームパイプ１６に連結する連結工程を説明すると、被嵌合部４０Ｂがフレームパイプ１６の受承部２６の内方に挿入された状態で、複数の密着凹部８２に対応する受承部２６の部分がカシメられる。よって図８に示すように、受承部２６には、内方に塑性変形した複数の突起６６が形成される。これら突起６６が複数の密着凹部８２の表面に密着するカシメ固定によって、ピボットホルダ１８はフレームパイプ１６に連結される。

　第２実施形態は、以下の効果を有する。
　（６）　第２実施形態のフレームパイプ１６とピボットホルダ１８も、上述の第１実施形態と同様にカシメ固定によって互いに連結される。よってコストダウンすることができる。

　（７）　ピボットホルダ１８は、第１金属部品７８と第２金属部品３０に、これらよりも比重の小さな樹脂部３２が一体成形されることによって一体化部品として構成されている。よってピボットホルダ１８を軽量化することができる。

　（８）　ピボットホルダ１８の被嵌合部４０Ｂの外周部は、第１金属部品７８によって構成されており、さらにフレームパイプ１６の受承部２６にカシメ固定される。よってピボットホルダ１８とフレームパイプ１６との間の連結固定強度を確保しやすい。

　（９）　第１金属部品７８と第２金属部品３０とは、樹脂部３２によって一体化される前は互いに別体に構成されている。よってピボットシャフト１２の軸線周りの第２金属部品３０の角度位置を、第１金属部品７８に対して任意に設定しやすい。したがってたとえば車種に応じて被嵌合部４０Ｂに対する車体取付脚３８の延出方向が異なるピボットホルダ１８を製造する場合でも、第１金属部品７８と第２金属部品３０の少なくとも一方をピボットホルダ１８同士で共通に利用できる。とりわけフレームパイプ１６に連結される第１金属部品７８は、任意の角度位置の第２金属部品３０を有する車種にも使用できる。これによって、さらにコストダウンすることができる。

　（１０）　被嵌合部４０Ｂの外周部は、筒状の第１金属部品７８によって形成されている。つまり被嵌合部４０Ｂの外周部よりも内部つまり支持部８４と、被嵌合部４０Ｂの周辺部つまり第１ストッパ８４Ａと第２ストッパ８４Ｂとは、樹脂部３２によって形成されている。よってたとえば被嵌合部４０Ｂの全体が金属によって形成されたような場合に比して、本実施形態の被嵌合部４０Ｂは軽量化することができる。

　図９～図１２は、本発明の第３実施形態に係るワイパ装置９０を示す。ワイパ装置９０は、上述の第１実施形態に係るワイパ装置１０に対し、ピボットホルダ１８の構成が次のように変更されている。

　つまり第３実施形態のピボットホルダ１８は、第１金属部品２８と第２金属部品３０を一つにした金属部品９８に、樹脂部３２が樹脂一体成形された一体化部品とされている。すなわち本実施形態では、第１環部と第２環部は一体であり、金属部は金属部品９８によって構成されている。機能別にはピボットホルダ１８は、ホルダ筒部１０４と、水受け部１０６と、車体取付脚１０８と、被嵌合腕１１０とを有する。樹脂部３２は、車体取付部１０８Ｂが金属部品９８によって構成されている以外は、ほとんど第１実施形態と同じである。

　すなわち樹脂製のホルダ筒部１０４は、ピボットシャフト１２を回動自在に支持する。水受け部１０６は、ホルダ筒部１０４の周囲に形成され、ピボットシャフト１２の先端に向かって開口する凹状に形成されている。

　車体取付脚１０８は、ホルダ筒部１０４から径方向外方（車両内方）に延出する脚体１０８Ａと、この脚体１０８Ａの先端に形成され且つ車体に取付けられる車体取付部１０８Ｂとを有する。

　被嵌合腕１１０は、車体取付部１０８Ｂからホルダ筒部１０４とは反対側（車両内方）に延出する腕体１１０Ａと、この腕体１１０Ａの先端に形成され且つフレームパイプ１６の受承部２６にカシメ固定される被嵌合部１１０Ｂとを有する。 

　次に、ピボットホルダ１８の一部を構成する金属部品９８を詳述する。
　図１０に示すように、金属部品９８は、たとえばアルミニウム合金等の金属によって形成されたダイキャスト品とされ、環部１１２と、取付脚構成部を構成する脚骨格部１２０及び取付部構成部１１８と、腕骨格部１１４と、被嵌合部構成部１１６とをこの順で直線状に一体に有する。

　図１１に示すように、環部１１２の内径は、ピボットシャフト１２の径よりも大きく形成され、脚骨格部１２０は、環部１１２から径方向外方に延出される。取付部構成部１１８は、脚骨格部１２０の先端において環状に形成されている。ボルト等が取付部構成部１１８を挿通することによって、ピボットホルダ１８は車体に取付けられる。

　腕骨格部１１４は、取付部構成部１１８から脚骨格部１２０とは反対側に延出され、被嵌合部構成部１１６は、この腕骨格部１１４の先端から延びるように中実状に形成されている。被嵌合部構成部１１６の表面には、複数の密着凹部１２２が形成されている。すなわち腕骨格部１１４と被嵌合部構成部１１６の外周部とは、環部１１２から延びて被嵌合部１１０Ｂの外周部を構成する金属製の外周部構成部を形成しており、本実施形態の被嵌合部１１０Ｂの内周部は、金属部品９８のアルミダイキャストによって被嵌合部１１０Ｂの外周部と一体化した中実体として形成されている。このような金属製の外周部構成部に、密着凹部１２２は形成されている。

　上記構成からなる金属部品９８は、インサート部品として成形機に予めセットされた状態で一体成形つまりインサート成形されることによって、樹脂部３２と一体化されている。

　上記のピボットホルダ１８のホルダ筒部１０４と水受け部１０６は、樹脂部３２によって形成されている。環部１１２は、ホルダ筒部１０４において樹脂部３２に埋設されている。環部１１２の内方には、ピボットシャフト１２が挿通されている。

　金属製の脚骨格部１２０は、脚体１０８Ａにおいて樹脂部３２に埋設されており、脚体１０８Ａの内部骨格を構成する。金属製の取付部構成部１１８は、樹脂部３２に埋設されており、車体取付部１０８Ｂの内部骨格を構成している。なお取付部構成部１１８に形成されて内方に突出するフランジ状の金属製の内周凸部１１８Ａは、車体取付部１０８Ｂにおいて樹脂部３２から露出している。

　金属製の腕骨格部１１４は、腕体１１０Ａにおいて樹脂部３２に埋設されており、腕体１１０Ａの内部骨格を構成している。金属製の被嵌合部構成部１１６は、樹脂部３２から露出されており、被嵌合部１１０Ｂの外周部と内周部を構成している。つまり本実施形態では被嵌合部構成部１１６は、被嵌合部１１０Ｂの全体を構成している。

　ワイパ装置９０を組立てる際には、金属製の被嵌合部構成部１１６によって構成された被嵌合部１１０Ｂは、フレームパイプ１６の受承部２６の内方に挿入される。この挿入状態で、複数の密着凹部１２２に対応する受承部２６の部分がカシメ装置等によってカシメられることによって、図１２に示すように、フレームパイプ１６の受承部２６は部分的に塑性変形して複数の突起６６が形成される。これら複数の突起６６が複数の密着凹部１２２の表面に密着するように嵌合することによって、図１１に示すように、ピボットホルダ１８とフレームパイプ１６とは、カシメ固定によって互いに連結される。

　第３実施形態は、以下の利点を有する。
　（１１）　上述の第１実施形態と同様に、第３実施形態のピボットホルダ１８も、フレームパイプ１６にカシメ固定によって連結される構成とされている。よってコストダウンすることができる。

　（１２）　ピボットホルダ１８は、金属部品９８に当該金属部品９８よりも比重の小さな樹脂部３２が一体成形されることによって一体化部品として構成されている。よってピボットホルダ１８を軽量化することができる。

　（１３）　ピボットホルダ１８では、被嵌合部１１０Ｂの外周部と内周部を含む被嵌合部１１０Ｂの全体が、金属部品９８の被嵌合部構成部１１６によって構成されている。フレームパイプ１６の受承部２６は、被嵌合部１１０Ｂの外周部にカシメ固定される。よってフレームパイプ１６へのピボットホルダ１８の連結固定強度を確保することができる。

　また被嵌合部１１０Ｂは、アルミニウム合金等の金属で形成されたダイキャスト品としての金属部品９８によって形成されている。このため、従来のようにたとえばピボットホルダ全体がアルミニウム合金等の金属で形成されたダイキャスト品であるような場合に使用されるカシメ装置と同じカシメ装置を活用することで、フレームパイプ１６の受承部２６を、ピボットホルダ１８の被嵌合部１１０Ｂにカシメ固定することもできる。

　（１４）　環部１１２と、取付部構成部１１８と、被嵌合部構成部１１６とは、一つの金属部品９８によって形成されている。よってたとえばピボットホルダ１８の成形時に、金属部品９８が樹脂材料の圧力等の影響を受けても、ピボットシャフト１２に対する被嵌合部１１０Ｂと車体取付脚１０８との延出方向や姿勢を一定に保ちやすい。つまりピボットシャフト１２からの被嵌合部１１０Ｂや車体取付脚１０８の延出方向や姿勢のズレを抑制しやすい。よって、車体へのワイパ装置９０の取付位置に相乗的なバラツキが生じてしまうことを抑制しやすい。

　（１５）　車体取付脚１０８の先端に形成された車体取付部１０８Ｂは、ホルダ筒部１０４と被嵌合部１１０Ｂとの間に位置するように構成されている。換言すればホルダ筒部１０４は、車体取付脚１０８に対して被嵌合部１１０Ｂとは反対側に位置する。したがってたとえばピボットシャフト１２を介してホルダ筒部１０４に軸方向への衝撃力が作用したような場合には、車体に取付けられている車体取付脚１０８が力の支点となって、ホルダ筒部１０４のみが破壊されて脱落する。よって、たとえばフレームパイプ１６とこれに連結された装置たとえばワイパモータ等がホルダ筒部と一緒に脱落するような場合に比べて、本実施形態はホルダ筒部１０４の脱落時の移動ストロークが妨げられることを抑制することができる。つまり衝撃力発生時のホルダ筒部１０４の移動ストロークを充分に確保することができる。

　それぞれ上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
　図３に示す第１実施形態の車体取付部３８Ｂは、樹脂部３２によって構成されていた。これを変更して、第２金属部品が車体取付部３８Ｂも構成してもよい。たとえば第２金属部品３０をより長く延びるように形成し、樹脂部３２から露出した第２金属部品３０の部分を、取付脚構成部として構成する。

　図７に示す第２実施形態の車体取付部３８Ｂも、樹脂部３２によって構成されることに限らず、第２金属部品によって車体取付部３８Ｂも形成してもよい。たとえば第２金属部品３０をより長く延びるように形成し、樹脂部３２から露出した第２金属部品の部分を、取付脚構成部として構成する。

　図１３に示すように、第３実施形態の車体取付脚１０８を、ホルダ筒部１０４に対して被嵌合部１１０Ｂとは反対側に位置するように変更して形成してもよい。つまり車体取付脚１０８は、ホルダ筒部１０４と被嵌合部１１０Ｂとの間に位置するように形成されることに限らない。

　図１３に示すように、車体取付脚１０８の全体を、金属で形成してもよい。つまり車体取付脚１０８の全体を、いずれも金属製の取付部構成部１１８と脚骨格部１２０とによって構成してもよい。たとえば金属部品９８の取付部構成部１１８と脚骨格部１２０とが、樹脂部３２から露出する。

　図１４に示すように、金属部品９８は、上述の取付部構成部１１８を削除した構成に変更されてもよい。たとえば金属部品９８は、脚骨格部１２０を、環部１１２に対して被嵌合部構成部１１６とは反対側に延出するように有する。図１４の車体取付部１０８Ｂは、樹脂部３２によって形成されている。

　本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。

Claims (11)

1. 　筒状の受承部を有する金属製のフレーム部材と；
   　前記フレーム部材に固定されるとともにピボットシャフトを保持するピボットホルダと
   を備えるワイパ装置であって、
   　前記ピボットホルダは、
   　前記ピボットシャフトを回動自在に支持するホルダ筒部と；
   　前記ホルダ筒部から径方向外方に延出され且つ車体に取付けられる車体取付脚と；
   　前記受承部の内方に挿入された状態で前記受承部がカシメられることによって前記受承部と嵌合固定される被嵌合部と
   を有し、
   　前記ピボットホルダは、金属部と、前記金属部よりも比重が小さく前記金属部に一体成形される樹脂部とによって一体化部品として構成され、
   　前記被嵌合部の少なくとも外周部は、前記金属部によって構成されている
   ことを特徴とする、ワイパ装置。
2. 　前記ホルダ筒部は、前記樹脂部によって構成されている、
   　請求項１記載のワイパ装置。
3. 　前記金属部は、
   　前記ピボットシャフトが挿通されるとともに前記ホルダ筒部において前記樹脂部に埋設される第１環部と；
   　前記第１環部から延びて前記被嵌合部の外周部を構成する外周部構成部と
   を有する、
   　請求項１または２記載のワイパ装置。
4. 　前記被嵌合部の内周部は、前記金属部によって前記外周部と一体化した中実体として形成されている、
   　請求項３記載のワイパ装置。
5. 　前記金属部は、
   　前記ピボットシャフトが挿通されるとともに前記ホルダ筒部において前記樹脂部に埋設される第２環部と；
   　前記第２環部から延びて前記車体取付脚の少なくとも一部を構成する取付脚構成部と
   を有する、
   　請求項３または４記載のワイパ装置。
6. 　前記第１環部と前記第２環部は別体であり、
   　前記金属部は、
   　前記第１環部と前記外周部構成部とを有する第１金属部品と；
   　前記第２環部と前記取付脚構成部とを有する第２金属部品と
   を有する、
   　請求項５記載のワイパ装置。
7. 　前記第１環部と前記第２環部は一体である、
   　請求項５記載のワイパ装置。
8. 　前記外周部構成部の一部は、前記取付脚構成部を構成しており、
   　前記車体取付脚の先端は、前記ホルダ筒部と前記被嵌合部の間に位置するように形成されている、
   　請求項７記載のワイパ装置。
9. 　前記車体取付脚は、
   　前記ホルダ筒部から径方向外方に延出する脚体と；
   　前記脚体の先端に形成され且つ車体に取付けられる車体取付部と
   を有し、
   　前記脚体は、前記樹脂部と、前記樹脂部に埋設されることによって前記脚体の内部骨格を形成する前記取付脚構成部とによって構成され、
   　前記車体取付部は、前記樹脂部によって構成されている、
   　請求項５～８何れか一項記載のワイパ装置。
10. 　前記金属部は、前記被嵌合部の外周部を構成する中空の外周部構成部を有し、
    　前記樹脂部は、前記外周部構成部の内方から前記外周部構成部を支持する支持部を有する、
    　請求項１または２記載のワイパ装置。
11. 　ピボットシャフトを回動自在に支持するホルダ筒部を有するピボットホルダであって、
    　前記ピボットホルダは、金属製のフレームパイプに連結されるために前記フレームパイプの内方に挿入される連結部を有し、前記連結部は、前記フレームパイプがカシメられることによって前記フレームパイプに形成される突起が密着する密着部を有し、前記突起が前記密着部の表面に密着することによって前記連結部は前記フレームパイプに連結されるように構成され、
    　前記ピボットホルダは、前記密着部を構成する金属部と、前記ホルダ筒部を構成しつつ前記金属部に一体成形される樹脂部とによって構成される
    ことを特徴とする、ピボットホルダ。

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