WO2010106968A1

WO2010106968A1 - 型内塗装品形成金型

Info

Publication number: WO2010106968A1
Application number: PCT/JP2010/054178
Authority: WO
Inventors: 弘一浜岡
Original assignee: 日本写真印刷株式会社
Priority date: 2009-03-17
Filing date: 2010-03-12
Publication date: 2010-09-23
Also published as: TW201043438A; JP2010214745A

Abstract

　型内塗装品形成金型において、表面形成金型（１）と型締め可能な裏面形成金型（３）のパーティング面（３Ｐ）に、又は、表面形成金型（１）に代えて裏面形成金型（３）と型締め可能な塗膜形成金型（２）のパーティング面（２Ｐ）に、シール材（３１，３１Ａ，３２）が配置されている。

Description

型内塗装品形成金型

　本発明は、金型内で成形した成形品の表面と金型キャビティ面との間に熱硬化性塗料を注入後に硬化させて、成形品の表面に熱硬化性塗料を密着一体化させる型内塗装品形成金型に関する。

　従来の型内塗装品形成金型として、表面形成金型１０１と塗膜形成金型１０２と裏面形成金型１０３とを用い、以下の方法により型内塗装品１１０を形成する技術が特許文献１に開示されている。

　（１）表面形成金型１０１と裏面形成金型１０３とによって成形キャビティ１０４を形成したところに、成形樹脂を成形キャビティ１０４に充填させることによって成形品１０８の射出成形を行い（図６Ａ参照）、
　（２）裏面形成金型１０３が成形品１０８を保持する状態で、裏面形成金型１０３に対向する金型を、表面形成金型１０１から塗膜形成金型１０２に切り替え、成形品１０８の表面と塗膜形成金型１０２との間に、間隙による塗装キャビティ１０５を形成し（図６Ｂ参照）、
　（３）塗装キャビティ１０５に、液状熱硬化型組成物からなる加飾用の熱硬化性塗料を注入して、成形品１０８の表面に熱硬化性塗料層１０９を成形して、型内塗装品１１０を形成する（図６Ｃ参照）。

特許３９８８６６０号公報

　しかし、通常の射出樹脂成形における溶融樹脂とは異なり、加飾用の熱硬化性塗料の粘度は数十ｃｐｓと非常に低い。そのため、金型加工時の誤差又は金型使用中の型キズとして生じる塗膜形成金型１０２と裏面形成金型１０３との間のパーティング面のわずかな隙間でさえ、塗料が浸透して硬化することにより、型内塗装品１１０の外周にバリが発生する問題があった。

　本発明の目的は、型内塗装品の外周にバリが発生しないようにすることができる型内塗装品形成金型を提供することにある。

　本発明は上記目的を達成するため、以下のような特徴を備える。

　本発明の第１態様によれば、裏面形成金型と、
　上記裏面形成金型と型締めされて、成形品を形成可能な成形キャビティを上記表面形成金型との間で形成する表面形成金型と、
　上記表面形成金型に代えて、上記裏面形成金型と型締めされて、上記成形品の表面に熱硬化性塗料層を形成可能な塗装キャビティを上記成形品を保持する上記裏面形成金型と上記塗膜形成金型とで形成する塗膜形成金型と、
　上記裏面形成金型のパーティング面と上記塗膜形成金型のパーティング面とのうちの少なくともいずれか一方の面に配置されたシール材とを備える型内塗装品形成金型を提供する。

　本発明の第２態様によれば、上記シール材が、少なくとも、上記塗装キャビティを構成する上記裏面形成金型の塗装キャビティ形成部と隣接する位置に配置されている第１の態様に記載の型内塗装品形成金型を提供する。

　本発明の第３態様によれば、上記シール材が、上記成形キャビティに面しない位置でかつ上記裏面形成金型のパーティング面と上記塗膜形成金型のパーティング面とが対向する位置に配置されている第２の態様に記載の型内塗装品形成金型を提供する。

　本発明の第４態様によれば、上記シール材が、上記成形キャビティを構成する上記裏面形成金型の成形キャビティ形成部と隣接する位置に配置されている第１の態様に記載の型内塗装品形成金型を提供する。

　本発明の第５態様によれば、上記シール材が、上記塗装キャビティを構成する上記塗膜形成金型の塗装キャビティ形成部と隣接する位置に配置されている第１の態様に記載の型内塗装品形成金型を提供する。

　本発明の型内塗装品形成金型は、表面形成金型と型締め可能な裏面形成金型のパーティング面に、又は、表面形成金型に代えて裏面形成金型と型締め可能な塗膜形成金型のパーティング面に、シール材が配置されている。したがって、裏面形成金型と塗膜形成金型との型締めの際に潰されるシール材が、裏面形成金型と塗膜形成金型との間のわずかな隙間を埋めて塗料が漏れるのを防ぎ、型内塗装品外周のバリ発生防止ができる。

　本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図１Ａは、本発明の一実施形態にかかる型内塗装品形成金型により型内塗装品を形成する工程を示す断面図であり、図１Ｂは、本発明の上記実施形態にかかる上記型内塗装品形成金型により上記型内塗装品を形成する工程を示す断面図であり、図１Ｃは、本発明の上記実施形態にかかる上記型内塗装品形成金型により上記型内塗装品を形成する工程を示す断面図であり、図２Ａは、本発明の上記実施形態にかかる上記型内塗装品形成金型のシール材の適用箇所を拡大した部分断面図であり、図２Ｂは、本発明の上記実施形態の第１変形例にかかる上記型内塗装品形成金型のシール材の適用箇所を拡大した部分断面図であり、図３Ａは、本発明の上記実施形態の第２変形例にかかる上記型内塗装品形成金型のシール材の適用箇所を拡大した部分断面図であり、図３Ｂは、本発明の上記実施形態の第３変形例にかかる上記型内塗装品形成金型のシール材の適用箇所を拡大した部分断面図であり、図４Ａは、本発明の上記実施形態の第４変形例にかかる上記型内塗装品形成金型のシール材の適用箇所を拡大した部分断面図であり、図４Ｂは、本発明の上記実施形態の第５変形例にかかる上記型内塗装品形成金型のシール材の適用箇所を拡大した部分断面図であり、図５は、本発明の上記実施形態にかかる上記型内塗装品形成金型に用いる塗料注入機の概略図であり、図６Ａは、従来の型内塗装品形成金型により型内塗装品を形成する工程を示す断面図であり、図６Ｂは、従来の上記型内塗装品形成金型により型内塗装品を形成する工程を示す断面図であり、図６Ｃは、従来の上記型内塗装品形成金型により型内塗装品を形成する工程を示す断面図である。

　本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。

　図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳しく説明する。

　本発明の一実施形態にかかる型内塗装品形成金型は、表面形成金型１と塗膜形成金型２と裏面形成金型３とを備え、裏面形成金型３及び／又は塗膜形成金型２のパーティング面に、少なくとも、塗装キャビティ１３を囲むように、枠状のシール材３１、３１Ａ、３２が配置されている。

　裏面形成金型３は、成形品２２の裏面形状を形成するために用いられる。このため、裏面形成金型３は、パーティング面３Ｐに、成形キャビティ１２を形成する成形キャビティ形成部３ａを有している。成形キャビティ形成部３ａは、図１Ａでは、一例として凸状部として形成されているが、凹部でもよい。

　表面形成金型１は、成形品２２の表面形状を形成するために用いられる。このため、表面形成金型１は、パーティング面１Ｐに、成形キャビティ１２を形成する成形キャビティ形成部１ａを有している。成形キャビティ形成部１ａは、図１Ａでは、一例として凹部として形成されているが、凸状部でもよい。表面形成金型１は、裏面形成金型３に対向する位置に配置され、裏面形成金型３と型締めされるとき、表面形成金型１と裏面形成金型３との間で、成形キャビティ形成部１ａと成形キャビティ形成部３ａとで成形キャビティ１２を形成することができる。

　型内塗装品２３を形成するには、まず、裏面形成金型３と表面形成金型１と型締めされて裏面形成金型３の成形キャビティ形成部３ａと表面形成金型１の成形キャビティ形成部１ａとで形成される成形キャビティ１２に、裏面形成金型３又は表面形成金型１を貫通する通路１ｈを利用して、樹脂注入機４０から成形樹脂を充填させることによって、成形品２２を射出成形樹脂工程により形成する（図１Ａ参照）。

　塗膜形成金型２は、表面形成金型１に代えて、裏面形成金型３と型締め可能な金型である。すなわち、裏面形成金型３と表面形成金型１との間で、上記したように成形品２２を形成したのち、表面形成金型１に代えて、裏面形成金型３に対向する位置に塗膜形成金型２を配置したのち、裏面形成金型３と塗膜形成金型２とを型締めするように構成している。塗膜形成金型２は、表面形成金型１の成形キャビティ形成部１ａよりも外形形状を大きくし、成形品２２の表面側に、成形品２２の表面と接しない空間部分が形成できる程度の、塗装キャビティ形成部２ａを有するように構成されている。この接しない空間部分である塗装キャビティ形成部２ａが塗装キャビティ１３に該当する。すなわち、塗装キャビティ１３は、成形品２２の表面と、裏面形成金型３のパーティング面３Ｐの一部(後述する塗装キャビティ形成部３ｃ)と、塗膜形成金型２の塗装キャビティ形成部２ａとの間に形成される。成形品２２の形成後、裏面形成金型３が成形品２２を保持する状態で、裏面形成金型３に対向する金型を、表面形成金型１から塗膜形成金型２に切り替え、成形品２２の表面に、塗装キャビティ形成部２ａなどの間隙による塗装キャビティ１３を形成する（図１Ｂ参照）。ここで、裏面形成金型３が成形品２２を保持するためには、例えば、一般成形と同様、成形品２２を、裏面形成金型３に形成されたエジェクターピン（図示せず）に喰い込ませるによって、裏面形成金型３から成形品２２が外れないように保持することができる。

　そして、塗装キャビティ１３に、液状熱硬化型組成物からなる加飾用の熱硬化性塗料を、後述する塗料注入機４１より注入して、成形品２２の表面に熱硬化性塗料層２１を成形して、型内塗装品２３を形成する（図１Ｃ参照）。ここで、裏面形成金型３のパーティング面３Ｐの一部、より詳しくは、少なくとも裏面形成金型３の塗装キャビティ形成部３ｃの位置に又はその塗装キャビティ形成部３ｃに隣接する位置に、枠状のシール材３１が形成されている。シール材３１は、一例として、図２Ａに示すように、裏面形成金型３のパーティング面３Ｐの枠状の凹部３ｆに嵌合するように配置され、かつ、凹部３ｆの深さよりも、シール材３１は若干大きな厚みを有している。よって、シール材３１を凹部３ｆに取り付けた状態では、シール材３１が凹部３ｆから若干突出するようになっている。よって、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との型締めの際に塗膜形成金型２のパーティング面２Ｐ及び成形品２２により潰されるシール材３１が、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との間のわずかな隙間及び成形品２２と塗膜形成金型２との間のわずかな隙間をそれぞれ埋めて、塗料が漏れるのを防ぎ、型内塗装品２３の外周のバリ発生を防止することができる。この場合、シール材３１は、塗装キャビティ１３の裏面形成金型３のパーティング面３Ｐ側の端部を形成している。

　枠状のシール材３１、３１Ａ、３２は、型締めの際に潰されて変形して隙間をシールするものであるため、金型１，２，３に用いられる型材よりも低ヤング率であることが肝要である。そのような材料として、フッ素化合物、シリコン化合物、錫、亜鉛、又は、鉛などを用いればよい。

　シール材３１、３１Ａ、３２を裏面形成金型３及び／又は塗膜形成金型２のパーティング面３Ｐ，２Ｐに配置するには、シール材３１、３１Ａ、３２を金型３，２にコーティングしてもよいし、又は、一旦、シール材３１、３２を別部材として形成した後、シール材３１、３１Ａ、３２を金型３，２に装着するようにしてもよい。しかしながら、連続成形による金型開閉の繰り返しによって、シール材３１、３１Ａ、３２が金型３，２から脱落しないように配置する必要がある。

　また、シール材３１、３１Ａ、３２は、塗装キャビティ１３で熱硬化性塗料層２１を成形するための熱硬化性塗料との離型性が良くなければならない。シール材３１、３１Ａ、３２が熱硬化性塗料と固着してしまった場合、金型の型開き時若しくは金型３，２からの型内塗装品２３の取り出し時に、シール材３１、３１Ａ、３２が金型３，２から脱落したり、あるいは、型内塗装品２３がシール材３１、３１Ａ、３２側に引っ張られて変形してしまう恐れがあるためである。

　ここで、裏面形成金型３に形成されるシール材３１が少なくとも裏面形成金型３の塗装キャビティ形成部３ｃ，２ａと隣接するパーティング面３Ｐ，２Ｐに配置される態様について詳しく説明する（図２Ａ及び図２Ｂ参照）。

　図２Ａ及び図２Ｂは、シール材３１の適用箇所Ａ（図１Ｂ参照）を拡大した部分断面図である。シール材３１は、裏面形成金型３のパーティング面３Ｐにおいて、成形キャビティ１２に面するようにして、成形品２２の外形を形成するように延長して配置してもよい（図２Ａ参照）。しかしながら、シール材３１が柔らかいシール材である場合には、成形キャビティ１２内に高圧で射出される成形樹脂に潰されて変形し、その結果、成形品２２の形状不良が起こる恐れがある。したがって、図２Ａのようにシール材３１を配置する場合には、シール材３１の材料を、成形キャビティ１２内に高圧で射出される成形樹脂に潰されて変形しない程度の硬さでかつシール効果も発揮できる材料とすることが好ましい。

　そこで、本発明の上記実施形態の別の変形例として、枠状のシール材３１Ａが、裏面形成金型３のパーティング面３Ｐにおいて、成形キャビティ１２に面しないようにすると、成形品２２の外形をシール材３１Ａで形成しないので、成形品２２の形状不良が起こらず、また、低粘度ゆえに低圧で注入される熱硬化性塗料ではシール材３１Ａは変形しないので、さらには、熱硬化性塗料層２１の形状不良も起こらず、好適である（図２Ｂ参照）。すなわち、図２Ｂでは、裏面形成金型３のパーティング面３Ｐにおいて、成形キャビティ１２及び塗装キャビティ１３に面しない位置（裏面形成金型３と塗膜形成金型２とが直接接触する位置）に枠状の凹部３ｇを設け、この凹部３ｇ内に、シール材３１と同様な材料の枠状のシール材３１Ａを配置するようにしている。シール材３１Ａは、シール材３１と同様に、一例として、裏面形成金型３のパーティング面３Ｐの凹部３ｇの深さよりも、若干大きな厚みを有している。よって、シール材３１Ａを凹部３ｇに取り付けた状態では、シール材３１Ａが凹部３ｇから若干突出するようになっている。よって、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との型締めの際に塗膜形成金型２のパーティング面２Ｐにより潰されるシール材３１Ａが、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との間のわずかな隙間を埋めて、塗料が漏れるのを防ぎ、型内塗装品２３の外周のバリ発生を防止することができる。

　次に、本発明の上記実施形態の別の変形例として、塗膜形成金型２に形成されるシール材３２が、塗膜形成金型２の塗装キャビティ形成部２ａと隣接するパーティング面２Ｐに配置される態様について詳しく説明する（図３Ａ及び図３Ｂ参照）。

　図３Ａ及び図３Ｂは、シール材３２の適用箇所Ａ（図１Ｂ参照）を拡大した部分断面図である。シール材３２は、塗膜形成金型２にのみ配置してもよいが（図３Ａ参照）、裏面形成金型３に形成されるシール材３１と併用して配置すると、塗料モレ防止効果を、より高められることが期待できる（図３Ｂ参照）。

　すなわち、図３Ａでは、塗膜形成金型２のパーティング面２Ｐにおいて、側面が塗装キャビティ１３に面する位置（裏面形成金型３と塗膜形成金型２とが直接接触する位置でかつ塗装キャビティ１３に面する位置）に枠状の凹部２ｇを設け、この凹部２ｇ内に、シール材３１と同様な材料の枠状のシール材３２を配置するようにしている。シール材３２は、シール材３１と同様に、一例として、塗膜形成金型２のパーティング面２Ｐの凹部２ｇの深さよりも、若干大きな厚みを有している。このように構成すれば、シール材３２を凹部２ｇに取り付けた状態では、シール材３２が凹部２ｇから若干突出するようになっている。よって、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との型締めの際に裏面形成金型３のパーティング面３Ｐにより潰されるシール材３２が、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との間のわずかな隙間を埋めて、塗料が漏れるのを防ぎ、型内塗装品２３の外周のバリ発生を防止することができる。

　また、図３Ｂは、図２Ｂの裏面形成金型３のパーティング面３Ｐの凹部３ｇにシール材３１Ａが配置されるとともに、シール材３１Ａに対向して図３Ａの塗膜形成金型２のパーティング面２Ｐの凹部２ｇにシール材３２が配置されるように構成したものである。よって、シール材３１Ａを凹部３ｇに取り付けるとともにシール材３２を凹部２ｇに取り付けた状態では、シール材３１Ａが凹部３ｇから若干突出するとともにシール材３２が凹部２ｇから若干突出するようになっている。又は、シール材３１Ａとシール材３２とのいずれか一方が凹部３ｇ又は凹部２ｇから若干突出するようにしてもよい。よって、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との型締めの際にシール材３１Ａとシール材３２とが互いに押圧しあって潰しあい、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との間のわずかな隙間を埋めて、塗料が漏れるのを防ぎ、型内塗装品２３の外周のバリ発生を防止することができる。

　次に、本発明の上記実施形態の別の変形例として、裏面形成金型３に形成されるシール材３１，３１Ａが、裏面形成金型３の成形キャビティ形成部と隣接するパーティング面３Ｐに配置される態様について詳しく説明する（図４Ａ及び図４Ｂ参照）。

　図４Ａ及び図４Ｂは、シール材３１の適用箇所Ａ（図１Ｂ参照）を拡大した部分断面図である。この態様は、上記の態様と異なり、成形キャビティ１２の一部が、裏面形成金型３に彫られた成形キャビティ形成凹部３ｈを含むようにすることもできる。すなわち、成形キャビティ１２は、表面形成金型１の成形キャビティ形成部１ａと裏面形成金型３の成形キャビティ形成部３ａと成形キャビティ形成凹部３ｈとで構成するようにしもよい。このように構成する結果、裏面形成金型３において成形キャビティ形成凹部３ｈとパーティング面３Ｐが隣接する。成形品２２の最外形位置は、塗膜形成金型２の塗装キャビティ形成部２ａと同一面としてもよい（図４Ａ参照）。

　代わりに、成形品２２の最外形位置を、塗膜形成金型２の塗装キャビティ形成部２ａより外側に設定して、成形品２２の外側で塗料モレが起こらないようにしてもよい（図４Ｂ参照）。すなわち、図４Ａよりも成形キャビティ形成凹部３ｈの位置を外側に延ばして、凹部３ｇの位置を図４Ａよりも外側に配置することにより、成形キャビティ形成凹部３ｈの一部が塗膜形成金型２のパーティング面２Ｐと対向するようにしてもよい。このように構成すれば、塗装キャビティ１３の外側に、
成形品２２と塗膜形成金型２のパーティング面２Ｐとが接触する部分と、シール材３１Ａと塗膜形成金型２のパーティング面２Ｐとが接触する部分とが配置されることになる。よって、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との型締めの際に塗膜形成金型２のパーティング面２Ｐにより潰されるシール材３１Ａが、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との間のわずかな隙間を埋めて、塗料が漏れるのを防ぎ、型内塗装品２３の外周のバリ発生を防止することができる。

　以下、型内塗装品２３の形成に用いられる型内塗装品形成金型以外の材料又は装置を説明する。

　熱硬化性塗料の材質としては、例えば、有機過酸化物を硬化反応の開始剤とする、少なくとも２個の（メタ）アクリレート基を有するウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー等のオリゴマー若しくはその樹脂、又は、不飽和ポリエステル樹脂２０～７０重量％と、メチル（メタ）アクリレート、エチル（メタ）アクリレート、プロピル（メタ）アクリレート、ブチル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシル（メタ）アクリレート、（メタ）アクリル酸、酢酸ビニル、トリプロピレングリコールジアクリレート、１，６－ヘキサンジオールジアクリレート、又は、スチレン等の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー８０～３０重量％からなるビヒクル成分とを主成分とし、ラジカル捕捉剤、各種着色顔料、アルミニウム顔料、パール顔料、離型剤、及び光安定剤等を含有したものを使用できる。

　塗料注入機４１は、塗料タンク４３の上部に圧力をかけ、１ショット分の熱硬化性塗料４４の正確な量が、塗料タンク４３から計量・射出・バルブの構造を兼ね備えた塗料注入ユニット４２に送られる構造になっている（図５参照）。

　塗料注入ユニット４２の位置設定としては、塗膜形成金型２の内部に設けてもよい。また、塗膜形成金型２に設けられる熱硬化性塗料の注入口を、裏面形成金型３との合わせ面に設け、塗料注入ユニット４２の長手軸方向と樹脂注入機４１の樹脂射出ユニットの注入方向とを直交させるように配置してもよい。この場合、成形品２２を保持する裏面形成金型３と塗膜形成金型２とが型閉じして、成形品２２を熱硬化性塗料で塗装するための塗装キャビティ１３が成形品２２と塗膜形成金型２との間に形成された段階で、塗料注入ユニット４２が前進して塗膜形成金型２に直接タッチし、熱硬化性塗料が、塗料注入ユニット４２から、塗膜形成金型２に設けられる塗料ゲート２ｊ(図１Ｂ参照)を通して、塗装キャビティ１３に注入される仕組みになっている。

　成形樹脂は、通常の熱可塑性の射出成形樹脂又はエンジニアリングプラスチックのほか、熱硬化性の成形樹脂材料など特に限定はされないが、成形しやすく熱硬化性塗料との密着が良いものが好ましい。成形樹脂として、具体的には、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂（ＡＢＳ系樹脂）、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、又は、ポリカーボネート系樹脂などがあげられる。

　成形樹脂は、樹脂注入機４０によって、成形キャビティ１２内に充填する。樹脂注入機４０としては射出成形機を用いることができる。

　本発明の上記実施形態にかかる型内塗装品形成金型は、裏面形成金型３を複数備えるようにして、可動盤、又は、可動盤についている回転盤、が回転する二色成形用の射出成形機に配置できる（図示せず）。射出成形機内での金型配置として、表面形成金型１と塗膜形成金型２とを固定盤にそれぞれ固定し、表面形成金型１と塗膜形成金型２との間の位置に可動盤又は回転盤を配置し、裏面形成金型３が射出成形機の可動盤又は可動盤についている回転盤に固定すればよい。また、裏面形成金型３を固定盤に固定し、表面形成金型１と塗膜形成金型２とを射出成形機の可動盤又は可動盤についている回転盤に固定してもよい。このように設置すると、ある裏面形成金型３と表面形成金型１によって成形品２２を形成する間、別の成形品２２を保持する裏面形成金型３と塗膜形成金型２によって熱硬化性塗料層２１を形成する、すなわち成形品２２の形成と同時に型内塗装品２３の製造ができ、好適である。

　上記実施形態によれば、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との型締めの際に潰されるシール材３１、３１Ａ、３２が裏面形成金型３と塗膜形成金型２との間のわずかな隙間を埋めて塗料が漏れるのを防ぐことができ、型内塗装品２３の外周のバリの発生を防止することができる。

　表面と裏面のそれぞれがキャビティを持つ表面形成金型１と塗膜形成金型２と２つの裏面形成金型３とを備える型内塗装品形成金型を用いて型内塗装品２３を製造した。塗膜形成金型２として塗料注入ユニット４２を内蔵して塗料注入口を備えるものを使用した。裏面形成金型３としてパーティング面にシール材３１が裏面形成金型３の塗装キャビティ形成部と隣接し成形キャビティ１２に面しない位置に配置されたものを使用した。型内塗装品２３の製造には、可動盤についている回転盤が回転する二色成形用の射出成形機を使用した。

　表面形成金型１に対向する裏面形成金型３を表面形成金型１に対して型閉じして形成した成形キャビティ１２に、加熱溶融したソリッド色の耐熱ＡＢＳ樹脂を充填、冷却固化させて成形品２２を形成した（図１Ａ参照）。次いで、射出成形機の回転盤を回転させ、裏面形成金型３が成形品２２を保持する状態で、裏面形成金型３に対向する金型を表面形成金型１から塗膜形成金型２に切り替え、裏面形成金型３と塗膜形成金型２とを型閉じして、成形品２２を熱硬化性塗料で塗装するための塗装キャビティ１３を形成した（図１Ｂ参照）。塗装キャビティ１３内に熱硬化性塗料（大日本塗料株式会社製プラグラス８０００）を注入して熱硬化性塗料層２１を形成することによって、型内塗装品２３を形成した（図１Ｃ参照）。

　裏面形成金型３と塗膜形成金型２との型締めの際にはシール材３１が潰され、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との間のわずかな隙間を埋めて塗料が漏れるのを防いだので、型内塗装品２３外周に熱硬化性塗料層２１によるバリは発生しなかった。また、成形品２２及び熱硬化性塗料層２１の形状不良は起こらなかった。

　シール材３２が塗膜形成金型２に形成され、塗膜形成金型２の塗装キャビティ形成部と隣接するパーティング面に配置された型内塗装品形成金型を使用した以外は実施例１と同様にして型内塗装品２３を形成した（図３Ａ参照）。

　この実施例でも、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との型締めの際にシール材３２が潰され、裏面形成金型３と塗膜形成金型２との間のわずかな隙間を埋めて塗料が漏れるのを防いだので、型内塗装品２３外周に熱硬化性塗料層２１によるバリは発生しなかった。

　なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。

　本発明にかかる型内塗装品形成金型は、裏面形成金型と塗膜形成金型との型締めの際に潰されるシール材が裏面形成金型と塗膜形成金型との間のわずかな隙間を埋めて塗料が漏れるのを防ぎ、型内塗装品外周のバリ発生防止ができ、例えば、携帯電話といった電子機器の筺体等として有用である。

　本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形又は修正は明白である。そのような変形又は修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。

Claims

　裏面形成金型（３）と、
　上記裏面形成金型と型締めされて、成形品(２２)を形成可能な成形キャビティ（１２）を上記表面形成金型との間で形成する表面形成金型（１）と、
　上記表面形成金型に代えて、上記裏面形成金型と型締めされて、上記成形品の表面に熱硬化性塗料層（２１）を形成可能な塗装キャビティ（１３）を上記成形品を保持する上記裏面形成金型と上記塗膜形成金型とで形成する塗膜形成金型（２）と、
　上記裏面形成金型のパーティング面（３Ｐ）と上記塗膜形成金型のパーティング面（２Ｐ）とのうちの少なくともいずれか一方の面に配置されたシール材（３１，３１Ａ，３２）とを備える型内塗装品形成金型。
　上記シール材（３１）が、少なくとも、上記塗装キャビティを構成する上記裏面形成金型の塗装キャビティ形成部（３ｃ）と隣接する位置に配置されている請求項１に記載の型内塗装品形成金型。
　上記シール材（３１Ａ）が、上記成形キャビティに面しない位置でかつ上記裏面形成金型のパーティング面（３Ｐ）と上記塗膜形成金型のパーティング面とが対向する位置に配置されている請求項２に記載の型内塗装品形成金型。
　上記シール材（３１Ａ）が、上記成形キャビティを構成する上記裏面形成金型の成形キャビティ形成部（３ｈ）と隣接する位置に配置されている請求項１に記載の型内塗装品形成金型。
　上記シール材（３２）が、上記塗装キャビティを構成する上記塗膜形成金型の塗装キャビティ形成部（２ｇ）と隣接する位置に配置されている請求項１に記載の型内塗装品形成金型。