明 細 書
弁駆動装置
技術分野
[0001] この発明は、ノタフライ弁、ボール弁等、弁棒を回転させて弁の開閉を行なうように 構成されたバルブ装置の弁棒に、駆動力を付与するための弁駆動装置に関するも のであり、特に弁の駆動を手動及び自動に切り換えることが可能な弁駆動装置に関 する。
背景技術
[0002] バタフライ弁等のバルブ装置における弁駆動の方式は、大別して手動と自動の 2方 式がある。遠隔操作や集中管理することが可能な自動方式の装置或いは弁駆動用 ァクチユエータは、近年、プラントや装置の自動化や新設に伴い、その需要が益々伸 び、重要度も増している。プラント、装置等の自動化には、機器自身の安全性や保守 の容易性等が求められると共に、緊急時、保守後の点検、確認、試運転時には機側 での手動操作が必要とされる。
[0003] 以上の要求を満たすために、自動方式のバルブ装置は、主に電動で弁を駆動させ 、必要に応じて手動でも駆動させることが出来るようにすることが必要とされ、そのた めに従来より各種の自動 Z手動の切換装置が提案されている。し力しながら、いずれ も構造が複雑であったり、寿命が短かったり、操作が繁雑であったりする等の問題が めつに。
[0004] このような問題を解決する目的で、本願出願人は先に特許文献 1に記載の技術を 提案している。この特許文献 1に開示されている装置によれば、 1台のァクチユエータ にして、自動及び手動の両方式による弁駆動が可能で、手動操作時には電動操作 を確実に遮断しながら手動作業が出来るように構成されており、手動作業者の安全 を確実に確保することが出来る点において優れている。し力しながら、手動機構部と 自動機構部とを併せ持つ構造を有するバルブ駆動装置の場合には、手動方式のみ を必要とする箇所に用いるにはコストが高くなつたり、機能過多という無駄が生じるこ とになる。実際、プラントや装置によっては、安全性向上等の観点から特定の箇所の
み、敢えて自動化せずに手動方式のノ レブ装置を組み付けるということがなされて おり、このような場合には自動機構部を備えていない手動機構部のみ力 なる手動 方式のバルブ駆動装置が必要とされる。
[0005] つまり現今、プラント、装置の自動化が進み、自動方式のバルブ装置の需要が益々 高まって!/、ることは勿論である力 これに随伴するように手動方式のバルブ装置の必 要性もまた高くなつており、両者それぞれに需要があるという状況である。
[0006] 一般に、プラント、装置の自動化や新設に際して、予め設計された数量に応じて手 動方式及び自動方式のァクチユエータの発注がなされる力 しばしば建設施工の現 場において設計変更やこれに伴うァクチユエータの必要数量の改変を迫られることが ある。このような場合には、余剰品がでてしまうのが付き物である。また、各種ァクチュ エータの取り付け後にお 、て、手動装置の取り付け箇所と自動装置の取り付け箇所 を入れ替える必要が生じた場合には、それら自動及び手動装置を全て取り外し、再 度それらの取り付け作業と調整作業をしなければならな!/、と!、う問題がある。
特許文献 1:特許第 2787402号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] この発明は、手動方式の弁駆動機構の内部構成を変更することなぐ該弁駆動機 構に対して自動化機構を着脱自在に組み付けることができ、該自動化機構の駆動力 発生手段による駆動力を前記手動方式の弁駆動機構に伝達して、手動及び自動の いずれでも弁を駆動させることが出来るように構成し、又必要に応じて組み付けた自 動化機構部を取り外すことを可能とする弁駆動装置を提供せんとするものである。 課題を解決するための手段
[0008] 上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、手動で回転動力を付与する ハンドルと、ケーシングに対して回転自在に取り付けられ、前記ハンドルによってもた らされる回転動力を前記ケーシング内に配設した駆動力伝達機構に伝達する駆動 軸と、該駆動力伝達機構を介して伝達された駆動力を弁の回転軸をなす弁棒に伝 達するための弁棒連結体とを有する手動駆動方式の弁駆動機構であって、前記ケ 一シングの一外側部に駆動力発生手段を着脱自在に取り付け、該駆動力発生手段
と前記駆動軸とを動力伝達手段を介して連結し、前記手動による弁駆動機構を何等 変更することなく前記駆動力発生手段による駆動力を弁棒に伝達して、前記弁を開 閉可能としたことを特徴とする。
[0009] 駆動力発生手段が、駆動力を前記駆動軸に伝達するための動力伝達手段と共に、 一つのハウジング内に組み込まれてユニットィ匕され、該ユニットィ匕された電動機駆動 手段を前記手動駆動方式のケーシングの一外側面に着脱自在に取り付けることによ り、手動駆動方式と電動駆動方式の両用の駆動装置に変形可能としたことを特徴と する。
[0010] 駆動軸と駆動力発生手段の動力伝達手段とを、キー手段により着脱自在に連結し たことを特徴とする。
[0011] 駆動力発生手段が、電動モータから成り、動力伝達手段が、減速伝導機構であるこ とを特徴とする。
[0012] 弁棒連結体の回転角に連動して弁の開度を視認することが出来る開度表示装置が ケーシング外部に設けられて 、ることを特徴とする。
[0013] 基本ユニットの外部に開度検出手段を取り付け、該開度検出手段力も出力される 弁の開閉位置信号により、自動の駆動力発生手段を制御し、弁の開閉を行うようにし たことを特徴とする。
発明の効果
[0014] この発明によれば、手動駆動方式の弁駆動機構を基本ユニットとし、駆動力発生手 段による駆動力を基本ユニットに伝達し得るように該基本ユニットと独立して付加ュ- ットを構成し、該付加ユニットを前記基本ユニットに対してその内部構成を何等変更 することなく着脱自在に組み付けることが出来る。
[0015] これによつて、例えば、従来であれば手動装置から自動装置に変更する場合には、 自動装置の購入及び旧装置の取り外し、及び新装置の取り付けが必要で高価格と なる上、取り外された旧装置は不要品となってしまっていた力 この発明によれば、自 動駆動機構である付加ユニットの取付により、格段に低価格な導入コストにて手動装 置を自動装置化することが出来るという効果がある。基本ユニットに対する付加ュ-ッ トの取り付けは、内部構成を何等変更する必要がないので、従来大変手間が掛つて
いた全閉位置や全開位置の調整が不要となるという効果がある。また、自動化された 状態から手動化が必要になった場合には、容易に付加ユニットのみ取り外すことが 可能であり、取り外し後の調整も不要であって切換作業を大幅に軽減することが出来 る。
[0016] 更に、弁開度検出機構で弁開度を検知し、該開度を検知した信号によって自動駆 動機構を制御し、弁の開閉を行うようにしてあるので、弁の開閉状態の表示、確認或 いは弁の開閉操作を遠隔で行うことが出来る。
発明を実施するための最良の形態
[0017] この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。図 1〜4を参照して、 ( 1)は基本ユニットであって、(2)は基本ユニットに必要に応じて付加される付加ュ-ッ トであり、基本ユニットに付加ユニットを付加することにより、手動駆動機構を自動の駆 動機構に改変することが出来る。基本ユニット (1)は、ケーシング (3)内に回転自在に 軸支され、一端がケーシング (3)外に延出した駆動軸 (4)と、該駆動軸 (4)に連動して 外部からの駆動力を弁棒連結体 (6)に伝達する駆動力伝達機構 (5)を備える。ケーシ ング (3)から外部に延出した駆動軸 (4)の先端部には、手動操作によって動力を付与 するための操作用ハンドル (7)が着脱自在に取り付けられるようになつている。駆動軸 (4)にはケーシング (3)の外部において、キーホール (8)が設けられ、付加ユニット (2)か らの動力を駆動軸 (6)に伝達するための歯車 (9)をキー (10)によって接続することが出 来るようになっており、自動機構が不要時には、該キー (10)及び該歯車 (9)の接続を 解除して、自動機構部を容易に取り外すことが可能である。
[0018] 駆動力伝達機構 (5)は、駆動軸 (4)のネジ (11)に螺挿され駆動軸の軸方向に移動自 在なトラべラーナット (12)と該トラべラーナット (12)に連結されるリンクアーム (13)を備え 、該リンクアーム (13)が前記弁棒連結体 (6)に連結されており、駆動軸 (4)の回転により 、トラべラーナット (12)が軸に沿って移動するとき、リンクアーム (13)を介して弁棒連結 体 (6)が回動される。弁棒連結体 (6)には、弁棒が回転方向を一体にして連結されて おり、弁棒の回動により、弁は開閉操作される。
[0019] ケーシング (3)内に配設される駆動力伝達機構 (5)は、外部力もの手動駆動力によ つて駆動軸 (4)に付与された駆動力を、ケーシング (3)内の弁棒連結体 (6)に伝達する
ことが出来るように構成されたものであればよぐ前記トラべラーナットとリンクアームに 限定されるものではなぐ所望の駆動力伝達機構を採用することが出来る。例えば、 駆動軸 (4)の所定部分に固定したウォームとこれに嚙合するウォームホイールにより、 駆動軸 (4)の回転方向を変換して弁棒連結体 (6)に伝達するウォーム歯車機構を採 用しても良い。又、駆動軸 (6)のネジにトラべラーナットを螺合し、該トラべラーナットに スカツチョークを連動させて、駆動軸 (4)の回転動力を弁棒連結体 (6)に伝達するスカ ツチヨーク機構を採用しても良 、。
[0020] 弁棒連結体 (6)には、その回転角度を規制する弁閉側規制体 (14)と弁開側規制体( 15)が固着されており、ケーシング (3)の外部力も突出長さを調整可能な閉止側ストツ パー (16)とケーシング (3)内に形成された開弁側ストッパー (17)のいずれかに衝接して 、弁の開閉が規制されるようになっている。図 2において、実線は、閉止状態を、二点 鎖線は開弁状態をそれぞれ表わしている。弁の開度は、ケーシング (3)の外部から視 認し得るように、該ケーシング (3)の外面に配設した開度表示装置 (18)により表示され 、外部力 弁の開度を視認することが出来る。この開度表示装置は、後述するような 開度検出手段とし、電気的若しくは空気的な開度信号を出力するようにしても良い。 弁棒連結体 (6)は、駆動軸 (4)にほぼ垂直にケーシング (3)に回転自在に軸設される 円筒体 (19)を備え、この円筒体 (19)の中心に弁棒の連結穴 (20)が形成され、弁棒の 先端部を係入して弁棒を円筒体に回転方向において一体に連結する。ここで、図中 における連結穴 (20)は方形状の穴になっているがこれに限定されないことは勿論で ある。
[0021] 付加ユニット (2)は、略 L字型の方形箱状のモータハウジング (21)内に、組み込まれ た前記歯車 (9)と、この歯車 (9)に駆動力を付与するための電動モータ (22)並びに該 電動モータ (22)の回転を減速しつつに前記歯車 (9)に伝達するための減速伝達機構 ( 23)を備える。減速伝達機構 (23)は、従来知られているような複数のギヤの組み合わ せ力も構成され、電動モータ (22)の回転を減速しつつ伝達する。モータハウジング (21 )は、モータ収容部 (24)とこのモータ収容部 (24)力も L字状に突き出すように形成され た歯車収容部 (25)とを有し全体として略 L字形の箱形に形成されている。
[0022] 歯車収容部 (25)の外面の所定箇所には、スプリングピン取付孔 (26)が形成され、基
本ユニット (1)のケーシング (3)のスプリングピン嵌合孔 (27)に係入されるスプリングピン (28)を差し込んで基本ユニット (1)と付加ユニット (2)を着脱自在に連結することが出来 るようになっている。付加ユニットを基本ユニットに固着するために、スプリングピン (28 )と反対側において、基本ユニット (1)に固定した抜止板 (29)に付加ユニット (2)をビス (3 0)で止着する。
[0023] 図示の実施例において、付加ユニット (2)内に組み込まれる駆動力発生手段として は、電動モータ (22)を採用しているがエア駆動等の別形態の駆動力発生手段を用い てもよぐそれに応じて駆動力発生手段力 基本ユニット (1)の駆動軸 (6)への駆動力 の伝達機構を別の構成にしてもょ 、ことは 、うまでもな 、。
[0024] 図 5〜: LOは、この発明の変形を示すものであり、前記図 1, 2の開度表示装置 (18)に 代って、開度検出装置 (31)を基本ユ ット (1)のケーシング (3)の外面に取り付け、弁 棒連結体、即ち弁棒の回転角度を検出して、弁の開度信号を出力し、該出力された 開度信号によって、付加ユニットの駆動力発生手段の作動を制御するようにしたもの である。開度検出装置 (31)は、電気的信号若しくは空気的信号或いはその他所望の 信号を出力するもので良ぐ特に限定されるものではない。弁開度検出装置で弁開 度を検知し、該開度信号によって自動駆動機構を制御し、弁の開閉を行うことによつ て、弁の開閉状態の表示、確認或いは弁の開閉操作を遠隔で行うことが出来る。
[0025] 図 5〜10を参照して、開度検出装置 (31)は、略方形の箱状ケーシング (32)を備え、 該ケーシング (32)内に縦方向に延びる出力軸 (33)が回動自在に軸支される。出力軸 ( 33)は、前記弁棒連結体 (6)に回転方向を一体にして連結される。出力軸 (33)には、 閉止側と開弁側の二つのリミットカム (34)が固着されており、該カムによって作動され る閉止側と開弁側のリミットスィッチ (35)がケーシング (32)内に配置されており、弁棒と 一体に回転する出力軸 (33)の回転により、リミットカム (34)がリミットスィッチ (35)を作動 させて、弁の開放若しくは閉止の信号を出力する。出力された信号は、遠隔地に接 地された開度表示盤に表示され、遠隔地において弁の開度を確認可能である。更に 、弁操作盤を操作して自動駆動力発生機構の作動を制御して、弁を遠隔操作するこ とが可能となる。
[0026] ケーシング (32)の外部に延び出した出力軸 (33)の外端には、インジケータ (36)が取り
付けられており、弁装置に近接した位置力 の弁開度の視認を可能としている。図 9 に示すように、ケーシング (32)は、基本ユニット (1)のケーシング (3)の両者の間に揷着 されるスプリングピンなどの接続ピン (37)とビス (39)で固定される連結板 (38)とにより、 ケーシング (3)に接続される。
図面の簡単な説明
[0027] [図 1]基本ユニットと付加ユニットを連結した外観図
[図 2]基本ユニットと付加ユニットを連結した断面図
[図 3]基本ユニットの外観斜視図
[図 4]同背面カバーを取り外した状態を示す外観斜視図
[図 5]—変形を示す平面図
[図 6]同変形の側面図
[図 7]同変形の外観斜視図
[図 8]同変形の分解斜視図
[図 9]同変形にかかる開度検出装置の部分を断面した図
[図 10]同変形にかかる開度検出装置の図 9と異なった方向の断面図
符号の説明
[0028] 1 基本ユニット
2 付加ユニット
3 ケーシング
4 駆動軸
5 駆動力伝達機構
6 弁棒連結体
7 ハンドル
8 キーホーノレ
9 困車
10 キー
11 ネジ
12 卜ラベラーナツ卜
リンクアーム 弁閉側規制体 弁開側規制体 閉止側ストッパー 開弁側ストッパー 開度表示装置 円筒体
連結穴
モータハウジング 電動モータ 減速伝達機構 モータ収容部 歯車収容部 スプリングピン取付孑し スプリングピン嵌合:?し スプリングピン 抜止板
ビス
開度検出装置 ケーシング 出力軸
リミットカム
リミットスィッチ インジケータ 接続ピン
連結板
ビス