WO2004069802A1

WO2004069802A1 - ２－アミノ－３－置換ピリジンの製造方法

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Publication number: WO2004069802A1
Application number: PCT/JP2004/000995
Authority: WO
Inventors: Yukihito Sumino; Shinobu Wakabayashi
Original assignee: Shionogi & Co., Ltd.
Priority date: 2003-02-06
Filing date: 2004-02-02
Publication date: 2004-08-19
Also published as: JPWO2004069802A1

Description

明細書

2—アミノー 3—置換ピリジンの製造方法技術分野

本発明は、セフエム系抗菌剤やイミダゾピリジン等の合成中間体、または有機金属錯体のリガンド等の医薬原料として有用な 2—ァミノー 3—置換ピリジン (例： 2 , 3—ジアミノピリジン）及びその塩の製造法に関する。背景技術 ,

2—ァミノ一 3—置換ピリジンとして、例えば 2， 3—ジァミノピリジンは、セフヱム系抗菌剤の 3位側鎖原料として記載されている（例：特許文献 1 ) 。

2 , 3—ジァミノピリジンの典型的な製法は、 2—アミノビリジンを出発原料に用いて 4工程で合成する方法が記載されている（例：非特許文献 1 ) 。しかし、該製法では、反応試薬として臭素や鉄等の金属を使用するので環境や安全面で望ましくなく、収率も 2 6 %と低いため、工業的製法として満足のいく方法ではない。また、 3—エトキシカルポニルアミノー 2—二トロピリジンを出發原料とする製法では、発癌性が懸念されるニッケル金属を使用している（例：非特許文献 2 ) 。また 2， 3—ジァミノピリジンは、水と有機溶媒との双方に可溶であるため反応後、抽出を行なうには通常、大量の有機溶媒が必要である。また、再結晶法において、有害なベンゼンを使用して精製され、環境上好ましくない（例：非特許文献 1、 2 ) 。

2 , 3—ジァミノピリジンを酸付加塩として単離する方法として、 2—ァミノ —5—ブロモ一3—ニトロピリジンをパラジウム還元した後、 2 , 3—ジァミノピリジンを 2臭化水素酸塩として単離精製する方法が知られている（例：特許文献 2 ) 。しかし、該精製法では、反応液を濃縮後のスラリー液へ有機溶媒を加えて結晶化しており、精製操作が煩雑で大量生産法としては好ましくない。

銅触媒を用いたアミノビリジン誘導体の合成法としては、ブロモピリジンとァンモニァとのアミノ化反応が知られている（例：非特許文献 3 ) 。しかし、当該反応条件では、ブロモピリジンより不活性なクロ口ピリジンとのァミノ化反応には成功していない。該反応においては、例えばクロ口基の反応性を高める電子吸引性の置換基を有する 2—クロ口一 5—二トロピリジンの場合には、アミノビリジン誘導体が製造されているが、ク口口基の反応性を弱める電子供与性の置換基を有するアミノクロロピリジンとのアミノ化反応は記載されていない。又、反応触媒として用いた水質汚濁の危険性のある水溶性銅触媒の除去方法についても記載されていない。

(特許文献 1 ) 国際公開第 0 0 / 3 2 6 0 6号公報

(特許文献 2 ) 特開平 0 5— 3 3 9 2 3 6 ,

(非特許文献 1 )バーハム（W.E.Barham)、オルガニックシンテシス（Org. Syn), 米国、第 44卷、 P 34—39 (1964)

(非特許文献 2 ) クラークレゥイス（J. W. Cl ark— Lewins)ら、ジャーナルォブザケミカルソサイァティ（J. Cheni. Soc . ) 英国、 P442— 447( 1957)

(非特許文献 3 ) ラング（F . Lang)ら、テトラへドロンレ夕一ズ（Tett. Lett )、米国、第 42卷、 P3251— 3254(2001 ) 発明の開示

(発明が解決しょうとする課題）

よって、 2 , 3—ジァミノピリジン及びその塩の工業的に有用な新規製法の開発が要望されていた。またその他の 2—アミノー 3—置換ピリジンの新規製法の開発も要望されていた。

(課題を解決するための手段）

本発明者らは鋭意検討した結果、 2—ハロゲノー 3—置換ピリジン、好ましくは公知物質で入手容易な 3—ァミノー 2—クロ口ピリジン等に触媒（例： C u C 1 ) 存在下、アンモニアを反応させれば、短工程でしかも緩和な条件で、 2—ァミノ一 3—置換ピリジン、好ましくは 2、 3—ジァミノピリジンが効率良く製造されることを見出した。又、反応混合物から回収が困難であった銅は、硫化化合物（例：チォ硫酸ナトリウム）で処理することにより容易に除去可能となった。また、 2、 3—ジァミノピリジンを安息香酸塩として単離することにより、収率良く製造できた。本発明を以下に示す。

( 1 ) 式

(I)

、N八 X

(式中、 Xはハロゲン； Rは、電子供与性でありかつ触媒に配位性を示す置換基）で示される化合物（I ) を、触媒存在下、アンモニアと反応させることを特徴とする、式：

(式中、 Rは前記と同意義）で示される化合物（II) 、その塩、またはそれらの溶媒和物の製造方法。

(2 ) Rが、電子供与性の置換基でありかつピリジン環と結合している R中の原子が触媒に配位性を示すヘテロ原子である、上記 1記載の製造方法。

(3 ) が、置換されていてもよいァミノ、置換されていてもよいヒドロキシまたは置換されていてもよいチオールである、上記 1記載の製造方法。

(4) Rが NHR ¹ N (R ¹) ₂、 OH、 0 R ^J _s NH CO CH₃、 S R ¹ (式中、 R ¹はアルキル）である、上記 1記載の製造方法。

( 5 ) Rが NH₂である、上記 1記載の製造方法。

( 6 ) Xが C 1である、上記 1記載の製造方法。

( 7 ) 触媒が金属含有触媒である、上記 1記載の製造方法。

( 8 ) 金属含有触媒が銅を含む、上記 1記載の製造方法。

( 9 ) 金属含有触媒が銅塩、銅酸化物または金属銅である、上記 1記載の製造方法。

( 1 0 ) 金属含有触媒が銅塩である、上記 1記載の製造方法。 ( 1 1 ) 銅塩がハロゲン化銅である、上記 1 0記載の製造方法。

β Λ

( 1 2)同ハロゲン化銅が Cu C 1である、上記 1 1記載の製造方法。

( 1 3) Rが NH₂ ；金属含有触媒が銅含有触媒である、上記 1記載の製造方法。

( 1 4) アンモニアをアンモニア水溶液として反応させる、上記 1記載の製造方法。

( 1 5) アンモニア水溶液の濃度が 2 0〜 3 0 %である、上記 1 4記載の製造方法。

( 1 6) 反応温度が 1 1 0〜 1 6 0 °Cである、上記 1記載の製造方法。

( 1 7) 反応混合物を、硫化化合物で処理することにより、銅を去する工程を包含する、上記 8 ~ 1 3のいずれかに記載の製造方法。

( 1 8) Rが N H ₂であり、反応後、生成した 2， 3—ジァミノピリジンを安息香酸塩として単離する工程を包含する、上記 1〜 1 7のいずれかに記載の製造方法。

( 1 9 ) 2 , 3—ジァミノピリジンの安息香酸塩。

発明を実施するための最良の形態

本発明についてさらに詳細に説明する。

本発明の製法は、以下の 3工程から構成または選択される。

第 1工程触媒

アンモニア

(I) (ID

第 2工程

1) 酸

硫化銅

2) 硫化化合物第 3工程

(Rは前記と同意義、好ましくは NH₂である）第 1工程は、 3—置換一 2—ハロゲノビリジン（ I ) とアンモニアとを触媒、好ましくは銅触媒存在下に反応させて 2—ァミノ一 3—置換ピリジン（ 1 1 ) 、好ましくは 2 , 3—ジァミノピリジンを製造する方法である。

第 2工程は、第 1工程の反応混合物から銅を硫化化合物で処理することにより除去する方法である。

第 3工程は、銅を除いた反応液から 2—アミノー 3—置換ピリジン（ I I ) 、好ましくは 2， 3—ジアミノピリジンを難水溶性塩として単離する方法及び単離した塩を塩基処理して高品質の 2—アミノー 3—置換ピリジン（ I I ) 、好ましくは 2 , 3—ジァミノピリジンを製造する方法である。反応条件の説明

(第 1工程）

第 1工程は、触媒存在下、化合物（ I ) とアンモニアとを反応させて 2—アミノ一 3—置換ピリジン（ I I ) 、好ましくは 2， 3—ジァミノピリジンを製造する方法である。

本明細書中において、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を包含する _c 特に塩素が好ましい。

触媒は、好ましくはコバルト、錫、亜鉛、鉄、アルミニウム、ホウ素、銅、チ夕ン、砒素、タリウム、ニッケル、クロム、ロジウム、イリジウム、白金、パラジゥム等の金属を含有する触媒（以下、金属含有触媒という）が例示される。該金属は好ましくは化合物（ I ) のピリジンの N原子および Rに配位性を示す金属である。該触媒は、好ましくは銅を含む触媒（以下、銅触媒という）である。銅触媒としては、例えば銅塩、銅酸化物、金属銅及びそれらの混合物があげられ、更に銅塩、銅酸化物、金属銅又はそれらの混合物及び有機塩基からなる錯塩があげられる。銅塩としては、塩化第一銅、臭化第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、無水硝酸第二銅、硝酸第二銅七水和物、無水硫酸銅及び硫酸銅五水和物等があげられる。酸化銅としては、酸化第一銅、酸化第二銅等が挙げられる。好ましくは銅塩、特に好ましくはハロゲン化銅、例えば塩化第一銅（C u C 1 ) である。これらの銅触媒は単独または 2種類以上を混合して使用することができる。銅触媒の使用量は、化合物（ I ) に対して通常 0 . 0 0 1〜 5当量の範囲であり、好ましくは 0 . 0 1 ~ 0 . 5当量、特に好ましくは 0 . 1〜 0 . 4当量である。

本反応は、好ましくはアンモニア水溶液中で行われるが、極性溶媒中で行われても良いし、有機塩基を反応液中に加えても良い。

アミノ化反応に使用するアンモニアとしては、アンモニゥムアセテート、アンモニゥムピカルポネート、アンモニゥムベンゾエート、アンモニゥムカルボネート、アンモニゥムホルメート、アンモニゥムオギザレート、アンモニア水溶液及び液体アンモニア等である。アンモニアとして好ましくは、 1 ~ 5 0 %濃度のァンモニァ水、特に好ましくは 2 0 ~ 3 0 %濃度のアンモニア水溶液である。

アンモニアの使用量は、化合物（ I ) に対して通常、 1〜 1 0 0当量であり、好ましくは 2 ~ 5 0当量、特に好ましくは 3〜3 0当量である。

極性溶媒としては、 1一メチル一2—ピロリジノン等の環状アミド類、 1 , 3 —ジメチル一 2—イミダゾリジノン等の環状ウレァ類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン及ぴスルホラン等のスルホン類、ジェチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジェチルエーテル、トリェチレングリコールジメチルエーテル及びポリェチレングリコールジメチルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類、 1， 4一ジォキサン等のェ —テル類、 N , N—ジメチルァニリン及び N , N—ジェチルァニリン等のジアルキルァニリン類、ピリジン及びキノリン等のへテロ環化合物類、メタノール、ェ夕ノール、プロパノール、 2—プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類及び水等があげられる。これらの極性溶媒は単独、もしくは 2種類以上を混合して使用することができる。溶媒量は、化合物（I) l gに対して通常、 1 m 1 ~ 1 0 0 m 1程度である。

有機塩基としては、ピリジン、メチルピリジン、ェチルピリジン、ジメチルビリジン、メチルェチルピリジン、ジェチルビリジン、トリメチルピリジン、ジメチルアミノピリジン及び 2， 2—ビピリジル等のピリジン類、トリェチルアミン、トリプロピルアミン及びトリブチルァミン等のトリアルキルアミン類、 N, N— ジメチルァニリン及び N, N—ジェチルァニリン等の N， N—ジアルキルァニリン類及び液体アンモニア等があげられる。

本反応は冷却下〜室温でも行われるが、好ましくは、加熱下で行なわれる。好ましい反応温度は、通常 3 0 ~ 25 0。より好ましくは 8 0〜 2 0 0 °C、 ^に好ましくは 1 1 0〜： L 6 0°Cである。

反応時間は、通常数時間から数十時間である。

本反応は大気圧下で行われても良いが、好ましくは密閉加圧装置内で行なわれ、その内圧は通常 0. 1 ~ 1 0 MP a、好ましぐは 0. l ~ 2MP a、特に好ましくは 0. ；!〜 0. 3 MP aである。

Rは、電子供与性であり、かつ上記触媒、好ましくは触媒中の金属に配位性を示す置換基であれば種々の置換基が例示される。 Rの好ましい態様においては、ピリジン環と結合している原子が触媒中の金属に配位性を示すヘテロ原子である。該ヘテロ原子は、水素または炭素以外の原子から選択されるが、好ましくは N、 0、 Sなどであり、さらに好ましくは Nまたは 0であり、特に好ましくは Nである。該ヘテロ原子に結合する残基としては、水素、アルキル、好ましくは C l〜 C 6アルキル（例：メチル、ェチル、 n—プロピル、 t一ブチル等）、低級アルキルカルボニル（例：ァセチル、ェチルカルボニル）などが例示される。

Rは好ましくは、置換されていてもよいアミノ（例：ァミノ、 NHR ¹ N (R 2 (R¹はアルキル））（例：メチルァミノ、ェチルァミノ、ジメチルァミノ、ジェチルァミノ）、低級アルキルカルボニルァミノ（例： NHC O C H₃ ) ) 、置換されていてもよぃヒドロキシ（例： 0 H、 OR ¹ (例：メトキシ、ェトキシ））または置換されていてもよいチオール（例：チオール、 S R ¹ (例：メチルチオ））である。 Rはより好ましくは、置換されていてもよいァミノであり、特に好ましくは N H ₂である。なお Rは電子供与性基であるので、当然ながら例えばハロゲン、ニトロ、ハロゲン化メチル等は除外される。

原料である化合物（ I ) は、公知化合物（例： 3—ァミノー 2—クロロピリジン、 3—ヒド口キシー 2—クロロピリジン、 3—メトキシー 2—クロロピリジン）であるか、またはこれらを含む公知化合物より容易に合成可能である。

なお、ハロゲン原子の隣接部位等にアミノ等の電子供与性基が存在する場合、一般的には、ニトロ等の電子吸引性基が存在する場合に比べて、ハロゲンか.らァミノ化への反応性は非常に低下する。しかし、本発明では、触媒、好ましくは金属含有触媒を使用することにより、緩和な反応条件で比較的収率よく反応が進行することが分かった。この反応機構の詳細は不明であるが、 1仮説としては、以下に例示されるように、触媒中の金属（例：銅）などがピリジン環の N原子および 3位に結合しているへテロ原子（例： N ) に配位することにより、 2位ハロゲン（例： C 1 ) の反応性が向上しているものと考えられる。

よって、ピリジン環の 3位置換基がアミノ以外の電子供与性基であつたとしても、触媒が上記のように配位性を示すことにより、本反応は同様に進行するものと推測される。なお、本発明者らの実験によれば、 ο~クロロア二リン等では、当該ァミノ化反応が十分に進行しなかった。このことは、上記反応機構の可能性を示唆するものである。

第 1工程後、反応液を常法（濃縮、抽出、分離等）により処理することにより化合物（ I I ) が得られる。より高品質の化合物（ I I ) を得るには、好ましくは、第 2、 3工程が行われる。 (第 2工程）

第 2工程は、第 1工程の反応で銅触媒を使用した場合に所望により行われ、反応混合物から銅を硫化銅として除去する方法である。

①本工程はまず、反応混合物が酸性になるまで酸を加えるか、反応混合物からァンモニァを留去した後、残渣に酸を加えて酸性混合物とするか何れの方法でも良い o

酸としては、有機酸、無機酸何れの酸でもよいが、好ましくは無機酸であり、特に好ましくは硫酸である。硫酸の濃度は約 1 0〜8 0 %であり、好ましくは 5 0〜7 0 %である。酸の使用量は、例えば 64%硫酸ならば化合物（ I ) 1 に対して約 l m l〜 1 0 mlである。

酸を加える時の温度は通常 0〜5 0°C、好ましくは 0〜2 5°Cである。

②次いで上記で調製した酸性混合物にチォ硫酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化アンモニゥム、硫化カリウム、硫化リチウム及び硫化水素等の硫化化合物を加え、数時間攪拌し、銅を硫化銅として析出させた後、不溶物を濾過する。

硫化化合物として、好ましくはチォ硫酸ナトリウム、水硫化ナトリゥム及び硫化水素、特に好ましくはチォ硫酸ナトリウムである。硫化化合物の使用量は、例えば飽和チォ硫酸ナトリゥム水溶液ならば化合物（ 1 ) 1 gに対して約 1 m 1〜 1 5 m 1である。

硫化化合物を加える時の温度は通常 0〜 40 °C、好ましくは 1 0 ~ 3 0 °Cである。攪拌時間は、硫化銅の析出状態にもよるが、通常 1 ~2 0時間である。硫化銅とは、通常一価及び二価銅の硫化物を示すが、金属銅及び硫黄を包含する場合もある。

(第 3工程）

第 3工程は、 2， 3—ジァミノピリジン等の化合物（ I I ) の塩の製造、およびそれを利用した化合物（I I ) の精製工程である。以下、 2 , 3—ジアミノビリジンを例に説明する。

① 2， 3—ジァミノピリジンの塩の製造は、まず好ましくは第 1工程の反応液、より好ましくは第 2工程で調製した濾液に塩基を加えて、好ましくは p H 8〜9 の溶液を調製する。

塩基としては、有機塩基、無機塩基何れでもよいが、好ましくは無機塩基であり、特に好ましくは 3 0 ~ 5 0 %濃度の水酸化ナトリゥム水溶液である。

塩基の使用量は適量である。例えば塩基が 4 8 %水酸化ナトリゥム水溶液ならば、溶液が p H 8 ~ 9になるまで適量加える。

塩基を加える時の温度は通常 0 ~ 4 0 °Cである。

②上記①で調製した溶液に 2 , 3—ジァミノピリジンと塩を形成し得る酸、好ましくは有機酸（例：安息香酸）を加え、室温下数時間攪拌した後、析出した 2， 3—ジァミノピリジンの酸付加塩を得る。

この酸付加塩は、後記の通り脱塩処理して、 2， 3—ジァミノピリジンに変換した後、さらに別の塩に変換しても良い。

酸の使用量は、原料である 3—ァミノー 2—クロロピリジン 1当量に対して好ましくは 0 . 6 ~ 1 0当量である。特に好ましくは 0 . 8 ~ 1 . 4当量である。上記塩の好ましい製造方法においては、室温攪拌下、約 1 0分〜数十時間、好ましくは数時間で結晶が析出する。析出しない場合には、例えば冷却下、超音波処理ゃ攪拌等の刺激を与えるか種結晶を加える等により結晶を析出させてもよい。塩の結は濾過性が良く溶媒（例えば、水）との分離が容易であるため製造過程において操作性が良いという利点を有する。更に、常温常圧において塩の状態では、安定で高品質のものを得やすい。

③ 2， 3—ジァミノピリジンは、前記単離精製された酸付加塩、好ましくは安息香酸塩を塩基処理することにより得られる。

塩基としては、無機塩基及び有機塩基、何れでも構わないが、好ましくは無機塩基である。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化力ルシゥム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリゥム及び炭酸力リウム等である。特に好ましくは水酸化ナトリウムである。

2 , 3—ジアミノピリジンは、例えば安息香酸の塩を水もしくは有機溶媒に懸濁、または有機溶媒（例；メタノール、エタノール、クロ口ホルム、ジクロロメ夕ン及ぴ酢酸ェチル、好ましくは酢酸ェチル）に溶解した後、冷却下で水酸化ナトリウム等の塩基を加え、数時間攪拌し製造される。

溶媒の量は、塩 1 gに対して通常、 1 m l ~ 1 0 0 m l程度である。

塩基の量は、塩 1当量に対して好ましくは 1〜 1 0当量である。

反応温度は、通常 0 ~ 4 0 °C、好ましくは 0 ~ 3 0 °Cである。

攪拌時間は、通常 1〜数十時間、好ましくは 1〜 2時間である。

2 ， 3—ジァミノピリジンは、塩基処理溶液又はその濃縮溶液を例えばェ一テル類（例；ジェチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル t一ブチルエーテル）、酢酸ェチル、トルエン、ァセトニトリル、アセトン又はメチルイソブチルケトン等で希釈することにより、いずれの場合も好ましくは結晶として単離することができる。

有機塩又は無機塩が析出する場合もあるが、小量の冷水で洗浄して除去できる。再結晶の再には別途調製した種晶を投入すると更に効率良く目的結晶が得られる。

化合物（ I I ) は、任意の数の適当な有機溶媒または水と配位した溶媒和物であっても良い。

④③で製造した化合物（ Γ Ι ) は、さらに定法により各種塩に変換することができる。例えば安息香酸を含む含水溶媒で処理して安息香酸塩として結晶化することができる。

2 , 3—ジァミノピリジンの塩としては、各種塩基との塩ならびに酸付加塩をあげることができる。好ましくは、酸付加塩であり、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸及び炭酸等の無機酸の塩、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロ口酢酸、トリフルォ口酢酸、酒石酸、乳酸、ヒドロキシ酢酸、クェン酸、フマール酸、マレイン酸、コハク酸、シユウ酸、マンデル酸、酪酸、リンゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及び p 一トルエンスルホン酸等の有機酸の塩、オル二チン、ァスパラギン酸及びグルタミン酸等の酸性アミノ酸の塩等を挙げることができる。以下に実施例を記載し、本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明の限定を意図するものではない。実施例 1

2 , 3—ジァミノピリジン安息香酸塩の合成

1 ) 3ーァミノー 2—クロ口ピリジン（ I ) から 2， 3ージアミノビリジン ( I I ) の合成

耐圧反応チューブ（密閉加圧装置）に 3—ァミノ一 2—クロ口ピリジン（I ) 512mg(4mmol)、 25%アンモニア水溶液（5ml)を入れ、塩ィ匕銅（ CuCl ) 120mg(1.2nmiol)を加える。油浴温度 1 2 0 °Cにて 8時間加熱攪拌後、室温に冷却、ー晚放置する。

2 ) 銅の除去操作

上記反応混合物中のアンモニア水を減圧下留去し、残渣は 6 4%硫酸水溶液 (4ml)に溶解する。その溶液に飽和チォ硫酸ナトリウム水溶液（3ml)を加え、室温下 2時間攪拌する。硫化銅、硫黄を含む茶褐色固体が析出するので、これを濾去すると赤褐色透明溶液が得られる。

3 ) 2， 3—ジァミノピリジン安息香酸塩

上記赤褐色透明溶液に 48 %水酸化ナトリゥム水溶液を加え、 pH8〜 9にする。この溶液に、メタノール（0.9ml)に溶解した安息香酸（488mg,4mmol)を加え、室温下 2時間攪拌すると黒茶色の固体が析出する。濾取した固体を冷水で洗浄し、乾燥後、 2， 3—ジァミノピリジン安息香酸塩を 576mg (収率 64%) 得る。 . iHDNMR (3 0 0MH z , C D ₃0 D , p p m) δ： 6. 58 (d d， J= 6 , 7. 5 H z , 1 H) , 6. 9 7 (d d， J= 1. 2， 7. 5 H z , 2 H) , 7. 1 7 ( d d , J= 1. 2 , 6 H z , 2 H) , 7. 2 8— 7. 40 (m, 3 H) , 7. 8 7— 7. 9 0 (m， 2 H) 産業上の利用可能性

本発明は、 2 , 3—ジァミノピリジン等の 2—ァミノ一 3—置換ピリジン及びその塩またはそれらの溶媒和物の工業的に有利な製法を提供する。本製法を利用することにより、医薬（例：セフエム系抗菌剤）またはその原料を工業的に効率よく生産することができる。

Claims

請求の範囲式：

(式中、 Xはハロゲン； Rは、電子供与性でありかつ触媒に配位性を示す置換基）で示される化合物（ I ) を、触媒存在下、アンモニアと反応させることを特徴とする、式：

2 . Rが、電子供与性の置換基でありかつピリジン環と結合している R中の原子が触媒に配位性を示すヘテロ原子である、請求項 1記載の製造方法。

3 . Rが、置換されていてもよいァミノ、置換されていてもよいヒドロキシまたは置換されていてもよいチオールである、請求項 1記載の製造方法。

4. Rが NHR ¹ N (R ¹) ₂、 O H、 O R NH C O C H₃、 S R ¹ (式中、

R ¹はアルキル）である、請求項 1記載の製造方法。

5 . Rが NH₂である、請求項 1記載の製造方法。

6. Xが C 1である、請求項 1記載の製造方法。

7. 触媒が金属含有触媒である、請求項 1記載の製造方法。

8. 金属含有触媒が銅を含む、請求項 1記載の製造方法。

9. 金属含有触媒が銅塩、銅酸化物または金属銅である、請求項 1記載の製造方法。

1 0 . 金属含有触媒が銅塩である、請求項 1記載の製造方法。

1 1. 銅塩がハロゲン化銅である、請求項 1 0記載の製造方法。

2. ハロゲン化銅が Cu C 1である、請求項 1 1記載の製造方法。

3. Rが NH ₂ ；金属含有触媒が銅含有触媒である、請求項 1記載の製造方法。

4. アンモニアをアンモニア水溶液として反応させる、請求項 1記載の製造方法 <

5. アンモニア水溶液の濃度が 2 0〜 3 0 %である、請求項 1 4記載の製造方

1 6. 反応温度が 1 1 0~ 1 6 0°Cである、請求項 1記載の製造方法。

1 7. 反応混合物を、硫化化合物で処理することにより、銅を除去する工程を包含する、請求項 8〜 1 3のいずれかに記載の製造方法。

1 8. Rが NH₂であり、反応後、生成した 2 , 3—ジアミノピリジンを安息香酸塩として単離する工程を包含する、請求項 1 ~ 1 7のいずれかに記載の製造方法。

1 9. 2 , 3—ジァミノピリジンの安息香酸塩。