WO2004069729A1

WO2004069729A1 - ネガティブブレーキ装置、建設機械、およびネガティブブレーキ方法

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Publication number: WO2004069729A1
Application number: PCT/JP2004/001171
Authority: WO
Inventors: Kouhei Honjou; Kenichirou Date; Hiroyuki Hoshino
Original assignee: Hitachi Sumitomo Heavy Industries Construction Crane Co., Ltd.
Priority date: 2003-02-05
Filing date: 2004-02-05
Publication date: 2004-08-19
Also published as: JP2004263719A; WO2004069729B1; DE112004000256T5; US20060151265A1; CN1747889A

Description

明細書ネガティブブレーキ装置、建設機械、およびネガティブブレーキ方法技術分野

本発明は、油圧力によりブレーキを解除し、油圧力の遮断によりブレーキを作動するネガティブブレーキ装置、建設機械、およびネガティブブレーキ方法に関する。背景技術

従来、この種のネガティブブレーキ装置を備えたクレーンが知られている（例ぇぱ特開平 9— 2 1 6 7 9 3号公報) 。これによれば、ブレーキピストンの両側に油室を設け、その一方の油室に圧油を供給してネガティブブレーキを解除し、他方の油室にブレーキペダルの操作に応じた圧油を供給して油圧ブレーキを作動する。ブレーキ解除用の油室への圧油の供給が断たれると、ばねの付勢力によりネガティブブレーキが作動する。

上記公報記載の装置では、ブレーキピストンの両側に油室を設け、各油室への油の流れをそれぞれ制御するため、ブレーキ装置の構造が複雑になる。また、ブレーキ操作中に何らかの原因（異常）によりブレーキ作動用の油圧源が遮断されると、ブレーキは非作動状態（フリー状態）となる。発明の開示

本発明によるネガティブブレーキ装置は、油圧源と、油圧源からの圧油の供給によりブレーキを解除し、遮断によりブレーキを作動するネガティブブレーキ機構と、油圧源からネガティブブレーキ機構に供給する圧油の圧力を制御する制御弁と、制御弁を操作するブレーキ操作装置とを備える。

また、本発明によるネガティブブレーキ装置は、油圧源と、油圧源からの圧油の供給によりブレーキを解除し、この供給される圧油の圧力の減少に応じてプレーキ力が増加するように動作するネガティブブレーキ機構と、油圧源からネガテイブブレーキ機構に供給する圧油の圧力を制御する制御弁と、制御弁を操作するブレーキ操作装置とを備える。

ブレーキ操作装置をブレーキ作動方向に操作すると、油圧源からネガティブブレーキ機構に供給する圧油の圧力を減じるように制御弁を構成することが好ましい。

以上のネガティプブレーキ機構をウインチに設け、ブレーキ操作装置としてブレーキペダルによりウインチを制動操作することが好ましい。

本発明によるネガティブブレーキ装置は、油圧源と、プッシャの押し込み量の増加に伴い 2次圧が大きくなるように油圧源からの油圧力を減圧する減圧弁と、減圧弁からの 2次圧によりブレーキを解除し、 2次圧の遮断によりブレーキを作動するネガティブブレーキ機構と、踏み込み操作に応じてプッシャを引き出すように設けられるブレーキペダルと、ブレーキぺダルの非操作時にネガティブブレ —キ機構によるブレーキを解除するようにプッシャを押し込むばね部材とを備える。

これにより汎用性の高い減圧弁を用いてネガティブブレーキ装置を安全かつ簡易に構成することができる。

減圧弁にプッシャを引き出し位置に戻す復帰ばねを設け、復帰ばねの付勢力に抗してばね部材がプッシャを押し込むようにしてもよい。

ブレーキペダルの操作量と 2次圧との関係を調整する調整手段を備えることが好ましい。調整手段として、ブレーキペダルの非操作時のプッシャの押し込み量を変更する可変機構を設けてもよい。

以上のネガティブブレーキ装置を建設機械に備えるとその利点は大きい。とくに、ウィンチドラムと、ウィンチドラムのフリーフォールを指令するフリーフォ一ルスィツチとを有する建設機械に備え、フリーフォール時のウィンチドラムの回転を制動するように構成することが好ましい。

また、本発明によるネガティブブレーキ方法は、プッシャの押し込みに伴い、出力される 2次圧が大きくなるように設定された減圧弁を用い、この 2次圧に基づいてブレーキ装置を作動させるブレーキ方法であって、ブレーキ操作部材の非操作状態で、減圧弁のプッシャを押し込み状態として、そのとき減圧弁から出力された 2次圧をブレーキの解除圧力としてブレーキ装置へ出力し、ブレーキ装置部材の操作状態で、減圧弁のプッシャが引き出され、 'これにより減少されて出力される 2次圧をブレーキの作動圧力としてブレーキ装置で出力する。図面の簡単な説明

図 1は、本発明の実施の形態に係わるネガティブブレーキ装置を有するウィンチの油圧回路図。

図 2は、本発明の実施の形態に係わる減圧弁の要部模式図。

図 3 ( a ) , ( b ) は、それぞれ図 2の減圧弁の特性図。

図 4 ( a ) は、ブレーキペダルの非操作時の動作を示す図であり、図 4 ( b ) はプレーキぺダルの踏み込み時の動作を示す図。

図 5は、リンク脱落時の動作を示す図。

図 6は、本発明が適用されるクレーンの側面図。

図 7は、他の減圧弁の模式図。

図 8は、本発明の実施の形態に係わるネガティブブレーキ装置の変形例を示す図。

図 9は、図 8のブレーキ装置の適用によらないブレーキ力の一特性を示す図。図 1 0は、図 8のブレーキ装置の適用によるブレーキ力の一特性を示す図。図 1 1は、図 8のブレーキ装置の適用による減圧弁の特性図。発明を実施するための最良の形態

以下、図 1〜図 1 1を参照して本発明によるネガティブブレーキ装置の実施の形態について説明する。

図 1は、本発明の実施の形態に係るネガティブブレーキ装置を有するウィンチの油圧回路図であり，図 6はこのブレーキ装置を搭載したクレーンの側面図である。図 6に示すように、クレーンは、走行体 1 0 1 と、走行体 1 0 1上に搭載された旋回可能な旋回体 1 0 2と、旋回体 1 0 2に起伏可能に支持されたブーム 1 0 3とを有する。旋回体 1 0 2にはウィンチドラム 1が搭載され、ウィンチドラム 1の駆動によりワイヤロープ 1 0 4が巻上または卷下られ、吊り荷（バケツト等） 1 0 6が昇降する。また、旋回体 1 0 2には起伏ドラム 1 0 7が搭載され、起伏ドラム 1 0 7の駆動により起伏ロープ 1 0 8が巻上または巻下られ、ブーム 1 0 3が起伏する。

図 1に示すように、巻上ウィンチは、ウィンチドラム 1 と、ウィンチドラム 1 を卷上または巻下駆動する油圧モータ 2と、油圧モータ 2に駆動圧油を供給する可変油圧ポンプ 3と、操作レバー 6の操作に応じたパイロット圧により切り換えられ、油圧ポンプ 3から油圧モータ 2への圧油の流れを制御する方向制御弁 4と、ウィンチドラム 1に内蔵され、油圧モータ 2の駆動力をウインチドラム 1に伝達する遊星減速機構 5と、ウインチドラム 1の回転を制動する湿式多板式のブレーキ装置 1 0 とを有する。

油圧モー夕 2の出力軸 2 aは遊星減速機構 5のサンギア 5 1に連結されている。サンギア 5 1にはブラネ夕リギア 5 2が嚙合され、ブラネタリギア 5 2にはウインチドラム 1の内周面に設けられたリングギア 5 3が嚙合されている。プラネ夕リギア 5 2はキャリア軸 5 4により支持されている。

遊星減速機構 5の側方にはブレーキケース 1 1が配設されている。キャリア軸

5 4はブレーキケース 1 1の側壁を貫通し、その先端には複数枚のィンナディスク 1 2がスプライン結合により軸方向に移動可能に係合されている。ブレーキケース 1 1の内周面には複数枚のァゥタディスク 1 3がスプライン結合により軸方向に移動可能に係合されている。ァウタディスク 1 3とインナディスク 1 2は軸方向交互に配置されている。これらディスク 1 2 , 1 3の側方には、ブレーキピストン 1 4がブレーキケース 1 1内を軸方向に摺動可能に配設されている。ブレーキピストン 1 4の軸方向片側（ディスク 1 2 , 1 3側）には油室 1 5が形成され、軸方向反対側にはばね 1 6が介装されている。

ばね 1 6はブレーキビストン 1 4に常時付勢力を及ぼしこのばね 1 6の付勢力によりブレーキピストン 1 4は図示 a方向に移動し、ディスク 1 2 , 1 3同士を互いに圧接する。これによりインナディスク 1 2の回転が阻止され、ブレーキが作動する。一方、油室 1 5に油圧力が作用するとブレーキピストン 1 4はばね 1

6の付勢力に抗して図示 b方向に移動し、ディスク 1 2， 1 3に作用する圧接力が除去される。これによりインナディスク 1 2の回転が許容され、ブレーキが解除される。ここで、ディスク 1 2 , 1 3 , ピストン 1 4 , 油室 1 5 , およびばね 1 6 は、油圧力によりブレーキを解除し、油圧力の遮断によりブレーキを作動するいわゆるネガティブブレーキ機構を形成する。なお、図示は省略するがブレーキケース 1 1内には冷却油が流れ、ディスク 1 2 , 1 3が冷却される。

油室 1 5は、電磁切換弁 2 1、減圧弁 2 2を介して油圧ポンプ 2 3に接続されている。電磁切換弁 2 1は、フリーフォールスィッチ 2 1 aの操作により切り換えられ、油室 1 5への圧油の流れを許容または禁止する。減圧弁 2 2は可変減圧弁であり、その減圧度はブレーキペダル 2 4の踏み込み量に応じて変更される。すなわち、減圧弁 2 2は、調圧ばね 2 2 aと 2次圧供給管路 2 2 bにより供給される 2次圧 Pとのバランスにより油圧力を減圧制御する。調圧ばね 2 2 aのばね力はプッシャ 2 5の駆動量に応じて変化し、ブレーキペダル 2 4の踏み込み量に応じてプッシャ 2 5を駆動させ、調圧ばね 2 2 aのばね力を調整する。

減圧弁 2 2の構成につき、さらに詳しく説明する。図 2は、復帰ばね 2 5 aとプッシャ 2 5の関係を示す模式図である。図示のようにプッシャ 2 5は復帰ばね 2 5 aのばね力によって中立状態で最大に引き出される。復帰ばね 2 5 aのばね力に杭して外力 Fが作用するとプッシャ 2 5は外力 Fにより押し込まれる。中立状態からのプッシャ 2 5の押し込み量（ストロ一ク S ) と減圧弁 2 2の 2次圧 P との関係は図 3 ( a ) に示す通りであり、ストローク Sの増加に伴い 2次圧 Pは比例的に増加する。

このように構成された減圧弁 2 2は構成が容易であり、汎用性が高く、入手性もよい。この減圧弁 2 2を用いてブレーキペダル 2 4の踏み込み操作によりネガティブブレーキを作動するためには、図 3 ( b ) に示すようにペダル操作量 Aの増加に伴い 2次圧 Pを減少させる必要がある。これを実現するため、本実施の形態では、以下のように減圧弁 2 2のプッシャ 2 5をブレーキペダル 2 4に連結する。

図 1 に示すように、ブレーキペダル 2 4の踏み込み部 2 4 aと回動軸 2 4 bの間にはリンク 2 6の一端が連結され、リンク 2 6の他端はプッシャ 2 5に連結されている。回動軸 2 4 bの下方のブレーキペダル 2 4の下端部には戻しばね 2 7 の一端が連結され、戻しばね 2 7の他端は車体フレームに設けたブラケット 2 8 に連結されている。

戻しばね 2 7は引張ばねであり、戻しばね 2 7のばね力（引張力）はブレーキペダル 2 4 , リンク 2 6 , プッシャ 2 5を介して復帰ばね 2 5 aに圧縮力として付加される。中立状態における戻しばね 2 7のばね力は復帰ばね 2 5 aのばね力よりも大きく設定され、これによりブレーキペダル 2 4の非操作時に復帰ばね 2 5 aが縮退し、図 4 ( a ) に示すようにプッシャ 2 5が最大に押し込まれる。その結果、 2次圧 Pが最大となり、ブレーキが解除される。ブレーキペダル 2 4を踏み込み操作すると、図 4 ( b ) に示すように戻しばね 2 7のばね力に抗してプッシャ 2 5が引き出される。これにより 2次圧 Pが減少し、ブレーキが作動する。次に、本実施の形態の動作をより具体的に説明する。

( 1 ) フリーフオールスィツチオフ

フリーフォールスィッチ 2 1 aがオフのときは、図 1に示すように電磁切換弁 2 1は位置口に切り換えられ、油室 1 5はタンクに連通する。これによりばね 1 6の付勢力によってブレーキピストン 1 4が図 1の a方向に押動し、インナディスク 1 2とァウタディスク 1 3は互いに圧接する。この圧接によりインナディスク 1 2に摩擦力が作用し、ディスク 1 2の回転が阻止される（ブレーキ作動）。このようにしてブレーキ装置 1 0が作動すると、キヤリァ軸 5 4の回転が阻止され、油圧モータ 2の回転はサンギア 5 1 , プラネタリギア 5 2 , リングギア 5 3を介してウインチドラム 1に伝達可能となる。この状態で操作レバ一 6を卷上または巻下操作して方向切換弁 4を切り換えると、油圧ポンプ 3から油圧モー夕 2に圧油が供給され、油圧モータ 2が卷上または巻下方向に回転する。これによりウィンチドラム 1が卷上または巻下駆動され、吊り荷の卷上作業などを行うことができる。操作レバー 6を中立位置に戻し操作すると油圧モータ 2への圧油の供給が阻止され、油圧モー夕 2の回転が停止する。

( 2 ) フリ一フォールスィッチオン

フリーフォールスィツチ 2 1 aをオン操作すると、電磁切換弁 2 1が位置ィに切り換えられ、電磁切換弁 2 1を介して減圧弁 2 2と油室 1 5が連通する。吊り荷を空中に保持した状態で操作レバー 6を中立位置に操作して油圧モー夕 2の回転を停止するとともにブレーキペダル 2 4を非操作すると、減圧弁 2 2通過後の 2次圧 Pは最大となる。これによりブレーキビストン 1 4に作用する油圧力がばね 1 6の付勢力に打ち勝ってブレーキビストン 1 4は図 1の b方向に押動する。このためディスク 1 2 , 1 3に作用する圧接力が除去され、ィンナディスク 1 2は回転可能となる（ブレーキ解除）。

このようにしてブレーキ装置 1 0が解除すると、キャリア軸 5 4の回転が許容され、ウィンチドラム 1は吊り荷の負荷によって自由回転し、吊り荷がフリーフオールする。この状態でブレーキペダル 2 4を踏み込み操作すると、ペダル操作量 Aの増加に伴い 2次圧 Pが減少し、ブレーキビストン 1 4に作用する油圧力がばね 1 6の付勢力よりも小さくなる。これによりブレーキビストン 1 4はブレーキペダル 2 の操作量に応じて a方向に押動し、ディスク 1 2 , 1 3同士が圧接され、ウィンチドラム 1の回転が停止する（ブレーキ作動）。

( 3 ) 異常事態

例えば油圧ポンプ 2 3と油室 1 5を接続する油圧回路に油漏れが発生し、油室 1 5への圧油の供給が断たれると、ばね 1 6の付勢力によりブレーキビストン 1 4が a方向に押動し、ネガティブブレーキが作動する。これにより吊り荷を空中に保持した状態で油漏れが発生した場合でも吊り荷の落下を防ぐことができる。また、図 5に示すようにリンク 2 6が脱落し、ブレーキペダル 2 4とプッシャ 2 5との連結が断たれると、戻しばね 2 7のばね力がプッシャ 2 5に伝達されず、プッシャ 2 5は復帰ばね 2 5 aのばね力によって引き出され、中立位置に戻される。戻しばね 2 7やブレーキペダル 2 4が脱落したときも同様にプッシャ 2 5が中立位置に戻される。これにより 2次圧 Pが最小となり、ネガティブブレーキが作動し、異常事態に安全に対処することができる。

このように本実施の形態によると、ブレーキペダル 2 4に戻しばね 2 7を連結し、ブレーキペダル 2 4の非操作時に戻しばね 2 7のばね力によってプッシャ 2 5を押し込み、ブレーキペダル 2 4の踏み込み量の増加に伴い戻しばね 2 7のばね力に抗してプッシャ 2 5を引き出すようにした。これによりブレーキペダル 2 4の操作量の増加に伴い 2次圧 Pが減少し、ネガティブブレーキ装置を簡易に構成することができる。すなわちブレーキビストン 1 4の片側にばね 1 6を介装するとともに反対側に油室 1 5を設け、ブレーキペダル 2 4の非操作時に油室 1 5 に 2次圧 Pを導いてネガティブブレーキを解除し、ブレーキペダル 2 4の踏み込みにより 2次圧 Pを遮断してブレーキを作動するように構成することができる。中立状態で復帰ばね 2 5 aによりプッシャ 2 5を引き出して 2次圧を最小とするような汎用性の高い減圧弁 2 2を用いるので、ブレーキ装置 1 0を安価に構成することができる。また、リンク 2 6の脱落等によりプッシャ 2 5に作用する外力が除去された場合には、プッシャ 2 5が引き出されて 2次圧 Pは最小となり、ネガティブブレーキが作動するので、安全性上好ましい。これに対してプッシャ 2 5のストローク Sの増加に伴い 2次圧 Pが減少するようないわゆる逆比例形の減圧弁を用いる場合は、本実施の形態の減圧弁 2 2に比べて構造が複雑となるばかりか、リンク 2 6の脱落時に 2次圧 Pは最大となるので、安全性上好ましくない。また、例えば図 7に示すように中立状態で復帰ばね 2 5 aによりプッシャ 2 5を押し込むタイプの減圧弁を用いる場合も、リンク 2 6の脱落時に 2次圧 Pは最大となるので、安全性上好ましくない。

以上では、ばね部材としてブレーキペダル 2 4の下端部に戻しばね 2 7を連結したが、他の箇所（例えば踏み込み部 2 4 aと回動軸 2 4 bの間）に連結してもよい。この場合、ブレーキペダル 2 4の非操作時にプッシャ 2 5を押し込むようにばね連結用のブラケット 2 8をプッシャ 2 5側に設ける、あるいは、戻しばね 2 7を引張ばねではなく圧縮ばねとすればよい。また、プッシャ 2 5および減圧弁 2 2を戻しばね 2 7の反対側に設けるようにしたが、戻しばね 2 7側に設けることもできる（例えば図 8参照）。この場合、回動軸 2 4 bの下方にリンク 2 6 を連結すればよい。ネガティブブレーキ機構の構成は上述したものに限らない。減圧弁 2 2と油室 1 5の間に電磁切換弁 2 1を設けたが、油圧回路の構成もこれに限らない。

一変形例一

ブレーキビストン 1 4に作用するばね 1 6の付勢力を B 1、この付勢力に対抗する油室 1 5の油圧力を B 2、ドラム 1に作用するブレーキ力を Bとすると、 B 1、 B 2、 Bとペダル操作量との関係は例えば図 9に示すようになる。すなわち、付勢力 B 1はペダル操作量に拘わらず一定であるのに対し、油圧力 B 2は減圧弁 2 2の特性（図 3 ( b ) の特性）に従って変化する。ここで、部品の製作公差、組立誤差等によりばね 1 6の初期長さが適正値からずれてセットされると、ばね特性は例えば図 9の特性 B 1 (実線）から特性 B l a (点線）にシフトする。これによりブレーキ力特性は B (実線）から B a (点線）にシフトする。その結果、ブレーキの利き始めのポイントが S aから S bにシフトするため、所定のペダル操作量に対するブレーキ力が異なったものとなり、操作性が悪化する。これを避けるために、例えば以下のようにブレーキ力の調整機構を備えたネガティブブレーキ装置を構成すればよい。

図 8は、ブレーキ力の調整機構を有するネガティブブレーキ装置の要部を示す正面図である。ブレーキペダル 2 4は床板 2 9の下方の回動軸 2 4 bを支点に回動可能に設けられている。戻しばね 2 7の一端はブレーキペダル 2 4の下端部近傍に連結され、他端はブラケット 3 3を介して底板 3 4に固定されている。戻しばね 2 7はブレーキペダル 2 4を、回動軸 2 4 bを支点に反時計方向（B方向）に回動させるように付勢している。

戻しばね 2 7の上方には減圧弁 2 2が配置され、減圧弁 2 2は床板 2 7の裏側に固定されている。減圧弁 2 2の構成は図 2に示すものと同様であり、減圧弁 2 2のスプールの一端部にプッシャ 2 5が取り付けられている。

プッシャ 2 5の端部には雌ねじ 2 5 bが形成されている。雌ねじ 2 5 bにはポルト 3 0の一端が螺合し、ナット 3 1で固定されている。ポルト 3 0の他端はブレーキペダル 2 4の回動軸 2 4 bよりも下方に回動可能に連結されている。これによりブレーキペダル 2 4を踏み込むと、回動軸 2 4 bを支点にブレーキペダル 2 4が時計方向（A方向）に回動し、この回動によりポルト 3 0を介してプッシャ 2 5が引き出される。その結果、 2次圧 Pが減少し、ブレーキが作動する。一方、ブレーキペダル 2 4から足を離すと戻しばね 2 7の付勢力によりブレーキペダル 2 4が反時計方向（B方向）に回動し、プッシャ 2 5は減圧弁 2 2内に押し込まれる。その結果、 2次圧 Pが増加し、ブレーキが解除される。

なお、底板 3 4にはストッパ 3 5が設けられ、このストッパ 3 5にブレーキべダル 2 4の下端部が当接し、ブレーキペダル 2 4の初期位置が規制される。床板 2 9にはストツノ 3 6が設けられ、このストッパ 3 6にペダル 2 4の裏面が当接し、ブレーキペダル 2 4の最大ストロークが規制される。これらストッパ 3 5 , 3 6はナット 3 5 a , 3 6 aにより固定されており、ナット 3 5 a , 3 6 aを緩めればストツパ 3 5 , 3 6の位置が調整可能である。

ブレーキ力を調整する場合、ナット 3 1を弛め、プッシャ 2 5を回転させ、ポルト 3 0のねじ込み量を変更する。これによりプッシャ 2 5からブレーキペダル 2 4までの長さ Lが変化する。例えば長さ Lが長くなるとプッシャ 2 5の押し込み量が増加し、中立状態における調圧ばね 2 2 aの縮退量が増加し、減圧弁 2 2 の特性が図 1 1の点線のようにシフトする。このため、図 1 0に示すように、ブレーキピストン 1 4に作用する油圧力は B 2 (実線）から B 2 a (点線）にシフトし、ペダル操作量 S aで付勢力 B 1 aと油圧力 B 2 aが等しくなる。その結果、ブレーキ力特性は特性 Fと等しくなり、良好な操作性を得ることができる。この場合、ばね 1 6にはディスク 1 2 , 1 3を圧接させるだけの付勢力が必要であるため、ばね 1 6のばね定数は大きく、ばね 1 6の初期長さの調整によるブレーキ力の調整は困難である。これに対し、本実施の形態ではばね 1 6の初期長さを調整する必要がないので、ブレーキ力の調整が容易である。

なお、以上のブレーキ力の調整は、例えばブレーキ装置 1 0の組立時に行えばよい。すなわち、ブレーキ装置 1 0のペダル操作量に対するブレーキカをチエツクし、このチェックした値が適正値となるようにポルト 3 0のねじ込み量を調整する。ブレーキ力のチェックは、組立時だけでなく定期的に行うようにしてもよい。これにより、何らかの原因（例えばディスク 1 2 , 1 3の摩耗）によりブレーキカ特性が変化した場合にも容易に対応できる。

上記実施の形態では、遊星減速機構 5を用いてブレーキ装置とクラツチ装置を兼用するようにしたが、遊星減速機構 5を有しないブレーキ専用装置にも同様に適用することができる。また、上記実施の形態では、プッシャ 2 5の押し込みに伴い出力される 2次圧が大きくなるように減圧弁 2 2を設定し、非操作状態（通常状態）でプッシャ 2 5を押し込み状態にし、操作状態でその押し込まれたプッシャ 2 5を引き出して、操作量の増加に伴って、減圧弁 2 2から出力される 2次圧力を減じるようにしたが、ブレーキ装置の構成はこれに限定されない。すなわち、プッシャ 2 5の押し込み量の増加に伴い 2次圧 Pが大きくなるような逆比例形の減圧弁やリリー弁を用いてもよく、ネガティブブレーキ装置には、圧力が制御可能な種々の制御弁を利用することができる。産業上の利用の可能性

本発明は、クレーン以外の他の建設機械にも適用することができる。

本出願は日本国特許出願 2 0 0 3 - 2 7 9 7 5号を基礎とし、その内容は引用文としてここに含まれる。

Claims

請求の範囲

1 . 油圧源と、

前記油圧源からの圧油の供給によりブレーキを解除し、遮断によりブレーキを作動するネガティブブレーキ機構と、

前記油圧源から前記ネガティブブレーキ機構に供給する圧油の圧力を制御する制御弁と、

前記制御弁を操作するブレーキ操作装置とを備えるネガティブブレーキ装置。

2 . 油圧源と、

前記油圧源からの圧油の供給によりブレーキを解除し、この供給される圧油の圧力の減少に応じてブレーキ力が増加するように動作するネガティブブレーキ機構と、

3 . 請求項 1または 2に記載のネガティブブレーキ装置において、

前記制御弁は、前記ブレーキ操作装置をブレーキ作動方向に操作すると、前記油圧源からネガティブブレーキ機構に供給する圧油の圧力を減じるように制御する。

4 . 請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載のネガティプブレーキ装置において、前記ネガティブブレーキ機構は、ウィンチに設けられ、前記ブレーキ操作装置は、前記ウィンチを制動操作するブレーキペダルである。

5 . 油圧源と、

プッシャの押し込み量の増加に伴い 2次圧が大きくなるように前記油圧源からの油圧力を減圧する減圧弁と、前記減圧弁からの 2次圧によりブレーキを解除し、 2次圧の遮断によりブレーキを作動するネガティブブレーキ機構と、

踏み込み操作に応じて前記プッシャを引き出すように設けられるブレーキぺダルと、

前記ブレーキぺダルの非操作時に前記ネガティブブレーキ機構によるブレーキを解除するように前記プッシャを押し込むばね部材とを備えるネガティブブレーキ装置。

6 . 請求項 5に記載のネガティブブレーキ装置において、

前記減圧弁は、前記プッシャを引き出し位置に戻す復帰ばねを有し、前記ばね部材は、前記復帰ばねの付勢力に抗して前記プッシャを押し込む。

7 . 請求項 5または 6に記載のネガティブプレーキ装置において、

前記ブレーキペダルの操作量と 2次圧との関係を調整する調整手段を備える。

8 . 請求項 7に記載のネガティブブレーキ装置において、

前記調整手段は、前記ブレーキペダルの非操作時の前記プッシャの押し込み量を変更する可変機構を有する。

9 . 請求項 5〜 8のいずれか 1項に記載のネガティブブレーキ装置を備えた建設機械。

1 0 . 請求項 9に記載の建設機械において、

ウィンチドラムと、

前記ウインチドアラムのフリーフオールを指令するフリーフォールスィツチとを有し、

前記ネガティブブレーキ装置はフリーフォール時の前記ウィンチドラムの回転を制動する。

1 1 . プッシャの押し込みに伴い、出力される 2次圧が大きくなるように設定された減圧弁を用い、この 2次圧に基づいてブレーキ装置を作動させるブレーキ方法であって、

ブレーキ操作部材の非操作状態で、前記減圧弁のプッシャを押し込み状態として、そのとき前記減圧弁から出力された 2次圧をプレーキの解除圧力としてブレーキ装置へ出力し、

前記ブレーキ装置部材の操作状態で、前記減圧弁のプッシャが引き出され、これにより減少されて出力される 2次圧をブレーキの作動圧力としてブレーキ装置で出力する。