JPS6142006B2 - - Google Patents
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- JPS6142006B2 JPS6142006B2 JP14809882A JP14809882A JPS6142006B2 JP S6142006 B2 JPS6142006 B2 JP S6142006B2 JP 14809882 A JP14809882 A JP 14809882A JP 14809882 A JP14809882 A JP 14809882A JP S6142006 B2 JPS6142006 B2 JP S6142006B2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- yarn
- fibers
- fiber
- flame
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
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- Inorganic Fibers (AREA)
Description
本発明は炭素繊維の製造法に関する。さらに詳
しくは、有機重合体繊維糸条を焼成する際の操業
の安定化をはかり、高品質、特に高い機械的特性
を有する炭素繊維の製造法に関するものである。 炭素繊維はその卓越した力学的、化学的、電気
的性質などにより、各種の用途、たとえば航空機
やロケツトなどの航空・宇宙用構造材料、テニス
ラケツト、ゴルフシヤフト、釣竿などのスポーツ
用品に広く使用され、さらに船舶、自動車などの
運輸機械用途等の分野にも使用されようとしてい
る。 かかる炭素繊維の製造原料である繊維素材、す
なわちプレカーサとしてはセルロース系繊維、ア
クリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維など
が用いられ、これらのプレカーサは200〜400℃の
酸化性雰囲気中で耐炎化処理した後、不活性雰囲
気中で少くとも800℃の高温下で炭化するプロセ
スを経て炭素繊維に転換されることはよく知られ
ている。 このような苛酷な条件下で耐炎化され、次いで
炭素化される該プレカーサは、焼成時、特に耐炎
化工程において局部的な蓄熱が起り易く、そのた
め単糸間の融着を起こしたり、あるいはプレカー
サに付与している原糸油剤がタール化して毛羽や
単糸切れの原因となつて安定した操業を損うばか
りでなく、さらに不活性雰囲気中で加熱処理して
得られる炭素繊維の品質、特に機械的特性を損う
という問題があつた。 そこでかかる問題を回避するため種々の試みが
なされており、たとえば特開昭52−148227号公報
には、シリコーン系化合物を含浸したアクリル系
プレカーサを耐炎化処理すると耐炎化時の単糸相
互の合着または融着が防止でき炭素繊維の機械的
特性が向上するといわれているが、該シリコーン
系化合物は撥水性が強く、それを付与したプレカ
ーサは静電気障害を生じ易く、集束性に乏しいた
め前記耐炎化においてプレカーサの集束性不良に
よるガイド、ローラ等への単糸巻付きや毛羽、単
糸切れが生ずるという欠点があつた。 本発明者らは炭素繊維製造用原糸油剤として、
先に、炭素原子数が少くとも18ケの高級アルコー
ル系および/又は高級脂肪酸系油剤と有機系酸化
防止剤とからなり、耐熱性が少くとも200℃であ
る原糸油剤が、特に耐炎化工程での単糸間の融着
あるいは毛羽、糸切れ等を減少するとともに該炭
素繊維の機械的特性を向上させることを見出し提
案した。 しかるに、さらに炭素繊維の品質向上、特にそ
の機械的特性の一層の向上について検討をすすめ
た結果、プレカーサの集束状態、換言すれば開繊
状態が炭素繊維の機械的特性に影響する重要因子
であることを見出し、鋭意研究をすすめて本発明
をなすに至つたのである。 すなわち、本発明の目的は高品質、特に機械的
特性に優れた炭素繊維の製造法を提供するにあ
り、他の目的は前記原糸油剤を付与したプレカー
サの焼成工程における操業安定性を高め、生産効
率よく炭素繊維を製造する方法を提供するにあ
る。 このような本発明の目的は、有機重合体繊維糸
条に、炭素原子数が少くとも18ケの高級アルコー
ル系および/又は高級脂肪酸系油剤と有機系酸化
防止剤とからなり耐熱性が少くとも200℃である
原糸油剤を付与し、該糸条を緊張下で空気噴射法
によつて開繊、交絡処理を施した後、耐炎化し、
次いで炭化することを特徴とする炭素繊維の製造
方法によつて達成することができる。 本発明で用いられるプレカーサは焼成工程、と
りわけ耐炎化工程で蓄熱し、脆化を生じ易いセル
ロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール系
繊維などの有機系プレカーサにたいして有効であ
るが好ましくはアクリル系繊維である。 これらのプレカーサは通常、単糸デニールが
0.5〜2.0d、単糸本数500〜30000本の範囲内のも
のが用いられる。 炭素繊維製造用原糸は耐炎化工程において少く
とも200℃の高温加熱雰囲気中に曝され、この高
温下の加熱によつて、該原糸は分子間架橋や分子
内環化などの複雑な化学反応を伴つて耐炎化繊維
に転化されるが、この場合原糸は加熱初期の原糸
の軟化、部分融解及び反応の進行に伴うタール化
によつて単糸相互間に融着が生じたり、繊維に欠
陥が形成され易くなるのを避けられない。このよ
うな原糸の初期高温加熱時の単糸間融着や繊維欠
陥の発生は原糸に付着した油剤の種類によつて著
しく相違し、油剤の耐熱性が低く200℃より低い
温度で揮散、熱分解するときはこのような融着や
繊維欠陥の発生防止に効果が期待できないばかり
かかえつて悪影響を及ぼす。 本発明の油剤は、油剤の主成分である高級アル
コール系および/又は高級脂肪酸系油剤におい
て、その炭素数が18より少くなると、原糸中への
油剤の浸透が著しく、融着防止効果が低下し、炭
素繊維の物性低下、特に炭素繊維の欠陥発生の原
因になることがあるので該炭素数は少くとも18、
好ましくは18〜25のものがよい。 このような本発明の油剤の例としては、たとえ
ば高級アルコール系油剤としてはステアリルアル
コールリン酸エステル塩、あるいはエチレンオキ
サイド〔(EO)n〕を付加しそのn数が約20〜40
であるステアリルアルコール(EO)n、オレイ
ルアルコール(EO)n、ベヘニールアルコール
(EO)n、イソペンタコサニルアルコール
(EO)nなどが挙げられるが、ステアリルアルコ
ール(EO)n、オレイルアルコール(EO)n、
イソペンタコサニルアルコール(EO)nなどが
好ましく用いられる。これらの油剤は2種以上を
混合して用いてもよい。また、高級脂肪酸系油剤
としては、たとえばステアリン酸グリセライド、
あるいはポリエチレングリコール(PEG)の分
子量が400〜1000であるPEGステアレート、PEG
オレート、PEGソルビタンオレート、PEGソル
ビタンステアレートなどが挙げられるが特に
PEGステアレート、PEGオレートなどが好まし
く用いられる。なおこれらの油剤は2種以上を混
合して用いてもよい。 さらに代表的な高級アルコール系油剤および高
級脂肪酸系油剤の耐熱性を示せば第1表に示す通
りである。
しくは、有機重合体繊維糸条を焼成する際の操業
の安定化をはかり、高品質、特に高い機械的特性
を有する炭素繊維の製造法に関するものである。 炭素繊維はその卓越した力学的、化学的、電気
的性質などにより、各種の用途、たとえば航空機
やロケツトなどの航空・宇宙用構造材料、テニス
ラケツト、ゴルフシヤフト、釣竿などのスポーツ
用品に広く使用され、さらに船舶、自動車などの
運輸機械用途等の分野にも使用されようとしてい
る。 かかる炭素繊維の製造原料である繊維素材、す
なわちプレカーサとしてはセルロース系繊維、ア
クリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維など
が用いられ、これらのプレカーサは200〜400℃の
酸化性雰囲気中で耐炎化処理した後、不活性雰囲
気中で少くとも800℃の高温下で炭化するプロセ
スを経て炭素繊維に転換されることはよく知られ
ている。 このような苛酷な条件下で耐炎化され、次いで
炭素化される該プレカーサは、焼成時、特に耐炎
化工程において局部的な蓄熱が起り易く、そのた
め単糸間の融着を起こしたり、あるいはプレカー
サに付与している原糸油剤がタール化して毛羽や
単糸切れの原因となつて安定した操業を損うばか
りでなく、さらに不活性雰囲気中で加熱処理して
得られる炭素繊維の品質、特に機械的特性を損う
という問題があつた。 そこでかかる問題を回避するため種々の試みが
なされており、たとえば特開昭52−148227号公報
には、シリコーン系化合物を含浸したアクリル系
プレカーサを耐炎化処理すると耐炎化時の単糸相
互の合着または融着が防止でき炭素繊維の機械的
特性が向上するといわれているが、該シリコーン
系化合物は撥水性が強く、それを付与したプレカ
ーサは静電気障害を生じ易く、集束性に乏しいた
め前記耐炎化においてプレカーサの集束性不良に
よるガイド、ローラ等への単糸巻付きや毛羽、単
糸切れが生ずるという欠点があつた。 本発明者らは炭素繊維製造用原糸油剤として、
先に、炭素原子数が少くとも18ケの高級アルコー
ル系および/又は高級脂肪酸系油剤と有機系酸化
防止剤とからなり、耐熱性が少くとも200℃であ
る原糸油剤が、特に耐炎化工程での単糸間の融着
あるいは毛羽、糸切れ等を減少するとともに該炭
素繊維の機械的特性を向上させることを見出し提
案した。 しかるに、さらに炭素繊維の品質向上、特にそ
の機械的特性の一層の向上について検討をすすめ
た結果、プレカーサの集束状態、換言すれば開繊
状態が炭素繊維の機械的特性に影響する重要因子
であることを見出し、鋭意研究をすすめて本発明
をなすに至つたのである。 すなわち、本発明の目的は高品質、特に機械的
特性に優れた炭素繊維の製造法を提供するにあ
り、他の目的は前記原糸油剤を付与したプレカー
サの焼成工程における操業安定性を高め、生産効
率よく炭素繊維を製造する方法を提供するにあ
る。 このような本発明の目的は、有機重合体繊維糸
条に、炭素原子数が少くとも18ケの高級アルコー
ル系および/又は高級脂肪酸系油剤と有機系酸化
防止剤とからなり耐熱性が少くとも200℃である
原糸油剤を付与し、該糸条を緊張下で空気噴射法
によつて開繊、交絡処理を施した後、耐炎化し、
次いで炭化することを特徴とする炭素繊維の製造
方法によつて達成することができる。 本発明で用いられるプレカーサは焼成工程、と
りわけ耐炎化工程で蓄熱し、脆化を生じ易いセル
ロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール系
繊維などの有機系プレカーサにたいして有効であ
るが好ましくはアクリル系繊維である。 これらのプレカーサは通常、単糸デニールが
0.5〜2.0d、単糸本数500〜30000本の範囲内のも
のが用いられる。 炭素繊維製造用原糸は耐炎化工程において少く
とも200℃の高温加熱雰囲気中に曝され、この高
温下の加熱によつて、該原糸は分子間架橋や分子
内環化などの複雑な化学反応を伴つて耐炎化繊維
に転化されるが、この場合原糸は加熱初期の原糸
の軟化、部分融解及び反応の進行に伴うタール化
によつて単糸相互間に融着が生じたり、繊維に欠
陥が形成され易くなるのを避けられない。このよ
うな原糸の初期高温加熱時の単糸間融着や繊維欠
陥の発生は原糸に付着した油剤の種類によつて著
しく相違し、油剤の耐熱性が低く200℃より低い
温度で揮散、熱分解するときはこのような融着や
繊維欠陥の発生防止に効果が期待できないばかり
かかえつて悪影響を及ぼす。 本発明の油剤は、油剤の主成分である高級アル
コール系および/又は高級脂肪酸系油剤におい
て、その炭素数が18より少くなると、原糸中への
油剤の浸透が著しく、融着防止効果が低下し、炭
素繊維の物性低下、特に炭素繊維の欠陥発生の原
因になることがあるので該炭素数は少くとも18、
好ましくは18〜25のものがよい。 このような本発明の油剤の例としては、たとえ
ば高級アルコール系油剤としてはステアリルアル
コールリン酸エステル塩、あるいはエチレンオキ
サイド〔(EO)n〕を付加しそのn数が約20〜40
であるステアリルアルコール(EO)n、オレイ
ルアルコール(EO)n、ベヘニールアルコール
(EO)n、イソペンタコサニルアルコール
(EO)nなどが挙げられるが、ステアリルアルコ
ール(EO)n、オレイルアルコール(EO)n、
イソペンタコサニルアルコール(EO)nなどが
好ましく用いられる。これらの油剤は2種以上を
混合して用いてもよい。また、高級脂肪酸系油剤
としては、たとえばステアリン酸グリセライド、
あるいはポリエチレングリコール(PEG)の分
子量が400〜1000であるPEGステアレート、PEG
オレート、PEGソルビタンオレート、PEGソル
ビタンステアレートなどが挙げられるが特に
PEGステアレート、PEGオレートなどが好まし
く用いられる。なおこれらの油剤は2種以上を混
合して用いてもよい。 さらに代表的な高級アルコール系油剤および高
級脂肪酸系油剤の耐熱性を示せば第1表に示す通
りである。
【表】
長さ約100cmの繊維の一端をcm単位の物指の上
端に固定し、下端は繊維束のデニール0.2倍に等
しいグラム数のおもりを下げる(ただしおもりは
500デニールを越える場合は100gとする)。固定
点の下0.5〜1.0cmの物指上で少なくともフイラメ
ント総数の1/3が片側にあるように糸条をわけフ
ツクをさしこむ。このフツクは単糸デニールの5
倍と同じグラム数のおもさにする。フツクが糸に
ひつかかるまで落下させ、分離開始点から静止点
までの距離Lをよみとる。 このテストをサンプルをかえて100回くりかえ
しLの上下20%づつを省き、残りの平均値をサン
プルの代表値Mとする。 CF値は100をcm単位のMの値で割つた値であ
る。 本発明においては、プレカーサに原糸油剤を付
着処理し、次いで空気噴射処理をほどこした後、
加熱処理するが、特にアクリル系炭素繊維製造に
おける静電気障害、融着発生、毛羽、糸切れ等に
対しすぐれた効果を奏するとともに、高い機械的
特性を有する炭素繊維を得ることができる。 かかる空気噴射処理を用いることによつて、該
原糸油剤の有する焼成工程での融着、毛羽、糸切
れ等の減少効果をさらに一層高めるとともに炭素
繊維の機械的特性を向上せしめることができる
が、これは該空気噴射処理によつてプレカーサの
単糸間の開繊性が改善され、プレカーサに生じて
いる凝似融着がなくなることにより焼成工程、特
に耐炎化工程での融着の発生が防止され、各単糸
の耐炎化が均等に進むためと考えられる。 なお本発明でいう融着とは単糸が軟化し、隣接
する単糸と接着し、その接着境界部が面状であつ
たり、接着境界がなくなつている状態のものを云
い、凝似融着とは単糸の軟化あるいは溶媒、油剤
等により単糸間が接着し、その接着境界部が点状
であるものを云う。 原糸油剤の付着処理および空気噴射処理をおこ
なつたプレカーサは、次いで200〜400℃の範囲内
の酸化性雰囲気中で耐炎化処理され、さらに少く
とも800℃の不活性雰囲気中、たとえば窒素ガス
中で炭化処理されるが、これら耐炎化および炭化
処理は公知の方法が用いられる。 本発明によれば、耐炎化ないし炭化の工程にお
ける融着や毛羽、糸切れ等のトラブルを防止し、
生産性よく炭素繊維を製造することができる。ま
た高強力の炭素繊維が得られるなど顕著な効果を
奏する。 以下実施例により、本発明を具体的に説明す
る。 実施例1、比較例1 アクリロニトリル99.5mol%、イタコン酸
0.5mol%、をジメチルスルホキシドを溶媒とする
溶液重合法により重合を行ない、原液濃度22%の
紡糸原液としたあと、ジメチルスルホキシド水溶
液中に紡糸し公知の方法によつて水洗、延伸して
6000デニール、6000フイラメントの原糸を得た。
この延伸糸をステアリルアルコール(EO)2095重
量%とジ(ノニルフエニル)ジフニルフエニルフ
オスフアイト 5重量%からなる原糸油剤(耐熱
性は210℃であつた)の8.5%水溶液に浸漬処理
し、乾燥して強度6.3g/dのアクリル繊維フイラ
メントを得た。油剤付着量は原糸重量に対し1.9
%であつた。 次にこの原糸を無撚の状態で、連続的に20mmφ
の空気噴射ノズルの中に通した。この際の糸速は
3m/分、糸張力は0.15g/dであり、まだ空気圧
は1.2Kg/cm2を用いた。 さらにこの原糸を連続して3.0m/分の糸速で
240〜260℃の温度で30分間耐炎化処理を行ない、
次いで窒素雰囲気中で1300℃の温度で炭化処理し
て炭化糸を得た。 この炭化糸をJIS R−7601にもとづいて樹脂含
浸ストランドを作り引張強度を測定した。 なお比較例として空気噴射処理を行なわないほ
かは実施例1と同様に実施した。 それらの結果を第2表に示す。
端に固定し、下端は繊維束のデニール0.2倍に等
しいグラム数のおもりを下げる(ただしおもりは
500デニールを越える場合は100gとする)。固定
点の下0.5〜1.0cmの物指上で少なくともフイラメ
ント総数の1/3が片側にあるように糸条をわけフ
ツクをさしこむ。このフツクは単糸デニールの5
倍と同じグラム数のおもさにする。フツクが糸に
ひつかかるまで落下させ、分離開始点から静止点
までの距離Lをよみとる。 このテストをサンプルをかえて100回くりかえ
しLの上下20%づつを省き、残りの平均値をサン
プルの代表値Mとする。 CF値は100をcm単位のMの値で割つた値であ
る。 本発明においては、プレカーサに原糸油剤を付
着処理し、次いで空気噴射処理をほどこした後、
加熱処理するが、特にアクリル系炭素繊維製造に
おける静電気障害、融着発生、毛羽、糸切れ等に
対しすぐれた効果を奏するとともに、高い機械的
特性を有する炭素繊維を得ることができる。 かかる空気噴射処理を用いることによつて、該
原糸油剤の有する焼成工程での融着、毛羽、糸切
れ等の減少効果をさらに一層高めるとともに炭素
繊維の機械的特性を向上せしめることができる
が、これは該空気噴射処理によつてプレカーサの
単糸間の開繊性が改善され、プレカーサに生じて
いる凝似融着がなくなることにより焼成工程、特
に耐炎化工程での融着の発生が防止され、各単糸
の耐炎化が均等に進むためと考えられる。 なお本発明でいう融着とは単糸が軟化し、隣接
する単糸と接着し、その接着境界部が面状であつ
たり、接着境界がなくなつている状態のものを云
い、凝似融着とは単糸の軟化あるいは溶媒、油剤
等により単糸間が接着し、その接着境界部が点状
であるものを云う。 原糸油剤の付着処理および空気噴射処理をおこ
なつたプレカーサは、次いで200〜400℃の範囲内
の酸化性雰囲気中で耐炎化処理され、さらに少く
とも800℃の不活性雰囲気中、たとえば窒素ガス
中で炭化処理されるが、これら耐炎化および炭化
処理は公知の方法が用いられる。 本発明によれば、耐炎化ないし炭化の工程にお
ける融着や毛羽、糸切れ等のトラブルを防止し、
生産性よく炭素繊維を製造することができる。ま
た高強力の炭素繊維が得られるなど顕著な効果を
奏する。 以下実施例により、本発明を具体的に説明す
る。 実施例1、比較例1 アクリロニトリル99.5mol%、イタコン酸
0.5mol%、をジメチルスルホキシドを溶媒とする
溶液重合法により重合を行ない、原液濃度22%の
紡糸原液としたあと、ジメチルスルホキシド水溶
液中に紡糸し公知の方法によつて水洗、延伸して
6000デニール、6000フイラメントの原糸を得た。
この延伸糸をステアリルアルコール(EO)2095重
量%とジ(ノニルフエニル)ジフニルフエニルフ
オスフアイト 5重量%からなる原糸油剤(耐熱
性は210℃であつた)の8.5%水溶液に浸漬処理
し、乾燥して強度6.3g/dのアクリル繊維フイラ
メントを得た。油剤付着量は原糸重量に対し1.9
%であつた。 次にこの原糸を無撚の状態で、連続的に20mmφ
の空気噴射ノズルの中に通した。この際の糸速は
3m/分、糸張力は0.15g/dであり、まだ空気圧
は1.2Kg/cm2を用いた。 さらにこの原糸を連続して3.0m/分の糸速で
240〜260℃の温度で30分間耐炎化処理を行ない、
次いで窒素雰囲気中で1300℃の温度で炭化処理し
て炭化糸を得た。 この炭化糸をJIS R−7601にもとづいて樹脂含
浸ストランドを作り引張強度を測定した。 なお比較例として空気噴射処理を行なわないほ
かは実施例1と同様に実施した。 それらの結果を第2表に示す。
【表】
実施例2〜6、比較例2
油剤と有機系酸化防止剤の配合割合または組み
合せを変更した以外は実施例1と同様に処理し
た。その結果を第3表に示す。 なお、各実施例いずれも耐炎化糸の凝似融着は
全く認められなかつたが、比較例ではかなり凝似
融着が認められた。
合せを変更した以外は実施例1と同様に処理し
た。その結果を第3表に示す。 なお、各実施例いずれも耐炎化糸の凝似融着は
全く認められなかつたが、比較例ではかなり凝似
融着が認められた。
【表】
実施例7〜8、比較例3〜5
空気噴射における空気圧を第4表に示すように
変更してCF値を変えた以外は、実施例1と同様
に処理し、樹脂含浸ストランドの強度を測定し
た。 その結果を第4表に示す。
変更してCF値を変えた以外は、実施例1と同様
に処理し、樹脂含浸ストランドの強度を測定し
た。 その結果を第4表に示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 有機重合体繊維糸条に、炭素原子数が少くと
も18ケの高級アルコール系および/又は高級脂肪
酸系油剤と有機系酸化防止剤とからなり耐熱性が
少くとも200℃である原糸油剤を付与し、該糸条
を緊張下で空気噴射法によつて開繊、交絡処理を
施した後、耐炎化し次いで炭化することを特徴と
する炭素繊維の製造方法。 ここで油剤の耐熱性とは、油剤を固形分として
10mgを熱天秤装置に採取し、2.5℃/分の昇温速
度で加熱したとき得られる減量曲線から該油剤
(固形分)重量に基づく減量率が5%のときの温
度をいう。 2 特許請求の範囲第1項において、開繊、交絡
処理による糸条の交絡度がCF値として20〜40で
ある炭素繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14809882A JPS5936727A (ja) | 1982-08-26 | 1982-08-26 | 炭素繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14809882A JPS5936727A (ja) | 1982-08-26 | 1982-08-26 | 炭素繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5936727A JPS5936727A (ja) | 1984-02-29 |
JPS6142006B2 true JPS6142006B2 (ja) | 1986-09-18 |
Family
ID=15445197
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14809882A Granted JPS5936727A (ja) | 1982-08-26 | 1982-08-26 | 炭素繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5936727A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10838405B2 (en) | 2017-05-24 | 2020-11-17 | Fanuc Corporation | Numerical controller |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101922065B (zh) * | 2010-09-16 | 2011-12-07 | 中国科学院西安光学精密机械研究所 | 聚丙烯腈基碳纤维原丝的预氧化方法 |
JP2018145561A (ja) * | 2017-03-07 | 2018-09-20 | 三菱ケミカル株式会社 | 炭素繊維前駆体アクリル繊維束、炭素繊維束及び炭素繊維束の製造方法 |
JP7482667B2 (ja) * | 2020-03-31 | 2024-05-14 | 帝人株式会社 | 炭素繊維束の製造方法 |
-
1982
- 1982-08-26 JP JP14809882A patent/JPS5936727A/ja active Granted
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10838405B2 (en) | 2017-05-24 | 2020-11-17 | Fanuc Corporation | Numerical controller |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5936727A (ja) | 1984-02-29 |
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