JPS6121610B2 - - Google Patents
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- JPS6121610B2 JPS6121610B2 JP56199999A JP19999981A JPS6121610B2 JP S6121610 B2 JPS6121610 B2 JP S6121610B2 JP 56199999 A JP56199999 A JP 56199999A JP 19999981 A JP19999981 A JP 19999981A JP S6121610 B2 JPS6121610 B2 JP S6121610B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- perfluoropolyether
- electrolysis
- formula
- peak
- liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
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- Gas Separation By Absorption (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
Description
本発明はパーフルオロポリエーテル及びその製
造方法に関し、さらにパーフルオロポリエーテル
を主成分とする酸素吸収剤をも提供するものであ
る。 従来、パーフルオロオクタン、パーフルオロデ
カリン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフ
ルオロテトラヒドロフランなどのパーフルオロ有
機化合物は他の有機化合物に比べて化学的にも生
物学的にも不活性な化合物であることは周知であ
る。さらに、特定のパーフルオロ有機化合物は酸
素に関して高い溶解能を有することが知られてお
り、このため、人工血液としての開発も進められ
ている。 本発明者等は各種のパーフルオロ有機化合物を
種々の合成法により製造し、それらの化合物の構
造と物性に関する研究を行なつて来た。その結
果、新規なパーフルオロポリエーテルである、下
記式、 (但しmまたはnは0または1を表わす)で示さ
れるパーフルオロポリエーテルが化学的にも極め
て安定であり、優れた酸素吸収能を有することを
見出し、本発明を完成するに至つた。 即ち本発明は (但し、mまたはnは0または1を表わす)で示
されるパーフルオロポリエーテルおよびそれらの
製造方法である。また本発明は上記一般式で示さ
れるパーフルオロポリエーテルを有効成分とする
酸素吸収剤をも提供する。 本発明の (但しmまたはnは0または1を表わす)で示さ
れるパーフルオロポリエーテルは水よりも比重の
大きい無色無臭の液状化合物である。また特定の
沸点を有する無色透明の液体で、たとえば は常温常圧において沸点130〜131℃の無色透明液
体である。 本発明のパーフルオロポリエーテルは次の(イ)〜
(ニ)のような手段で前記一般式の化合物であること
を確認することができる。 (イ) 赤外吸収(ir)スペクトルを測定することに
より1350〜1100cm-1付近に炭素−フツ素結合に
基づく強い吸収および1000cm-1付近に炭素−酸
素結合に基づく吸収が現われる。他方原料であ
るパーフルオロアルコキシカルボン酸に認めら
れる1780cm-1付近のカルボキシル基に基づく吸
収は全く観察されなくなる。すなわち、irスペ
クトル測定により、原料化合物が電気化学的に
脱炭酸反応を起こし、C−F結合とC−O結合
種のみを有する飽和パーフルオロエーテル化合
物に変化したことが判る。なお電気化学的に脱
炭酸反応を起こす事実は、電解中に生成する気
体を水酸化バリウム水溶液に通じ、大量に生成
する白色沈殿が炭酸バリウムであることを確認
することによつても知ることが出来る。 (ロ) 19フツ素核磁気共鳴スペクトル(19F−
nmr)と13炭素核磁気共鳴スペクトル(13C−
nmr)を測定することによつて、CF3−(一
級)、〓CF2(二級)および
造方法に関し、さらにパーフルオロポリエーテル
を主成分とする酸素吸収剤をも提供するものであ
る。 従来、パーフルオロオクタン、パーフルオロデ
カリン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフ
ルオロテトラヒドロフランなどのパーフルオロ有
機化合物は他の有機化合物に比べて化学的にも生
物学的にも不活性な化合物であることは周知であ
る。さらに、特定のパーフルオロ有機化合物は酸
素に関して高い溶解能を有することが知られてお
り、このため、人工血液としての開発も進められ
ている。 本発明者等は各種のパーフルオロ有機化合物を
種々の合成法により製造し、それらの化合物の構
造と物性に関する研究を行なつて来た。その結
果、新規なパーフルオロポリエーテルである、下
記式、 (但しmまたはnは0または1を表わす)で示さ
れるパーフルオロポリエーテルが化学的にも極め
て安定であり、優れた酸素吸収能を有することを
見出し、本発明を完成するに至つた。 即ち本発明は (但し、mまたはnは0または1を表わす)で示
されるパーフルオロポリエーテルおよびそれらの
製造方法である。また本発明は上記一般式で示さ
れるパーフルオロポリエーテルを有効成分とする
酸素吸収剤をも提供する。 本発明の (但しmまたはnは0または1を表わす)で示さ
れるパーフルオロポリエーテルは水よりも比重の
大きい無色無臭の液状化合物である。また特定の
沸点を有する無色透明の液体で、たとえば は常温常圧において沸点130〜131℃の無色透明液
体である。 本発明のパーフルオロポリエーテルは次の(イ)〜
(ニ)のような手段で前記一般式の化合物であること
を確認することができる。 (イ) 赤外吸収(ir)スペクトルを測定することに
より1350〜1100cm-1付近に炭素−フツ素結合に
基づく強い吸収および1000cm-1付近に炭素−酸
素結合に基づく吸収が現われる。他方原料であ
るパーフルオロアルコキシカルボン酸に認めら
れる1780cm-1付近のカルボキシル基に基づく吸
収は全く観察されなくなる。すなわち、irスペ
クトル測定により、原料化合物が電気化学的に
脱炭酸反応を起こし、C−F結合とC−O結合
種のみを有する飽和パーフルオロエーテル化合
物に変化したことが判る。なお電気化学的に脱
炭酸反応を起こす事実は、電解中に生成する気
体を水酸化バリウム水溶液に通じ、大量に生成
する白色沈殿が炭酸バリウムであることを確認
することによつても知ることが出来る。 (ロ) 19フツ素核磁気共鳴スペクトル(19F−
nmr)と13炭素核磁気共鳴スペクトル(13C−
nmr)を測定することによつて、CF3−(一
級)、〓CF2(二級)および
【式】(三級)
の基が分子中に何種類およびそれぞれ何個存在す
るかを知ることができる。即ち19F−nmr
(CFCl3基準)において−83ppm付近にCF3CF2−
結合中のCF3−のフツ素原子に基づくピーク、−
130ppm付近にCF3CF2−結合中の〓CF2のフツ素
原子に基づくピーク、−82ppm付近に
るかを知ることができる。即ち19F−nmr
(CFCl3基準)において−83ppm付近にCF3CF2−
結合中のCF3−のフツ素原子に基づくピーク、−
130ppm付近にCF3CF2−結合中の〓CF2のフツ素
原子に基づくピーク、−82ppm付近に
【式】結合中の〓CF2に基づくピー
ク、−79ppm付近に
【式】結合中の
【式】のフツ素原子に基づくピーク、−
140ppm付近に
【式】結合中のCF3−の
フツ素原子に基づくピークを示す。また、13C−
nmr(テトラメチルシラン基準)において
118ppm付近に2種のCF3−の炭素原子に基づ
くピーク、116ppm付近に
nmr(テトラメチルシラン基準)において
118ppm付近に2種のCF3−の炭素原子に基づ
くピーク、116ppm付近に
【式】結
合中の〓CF2の炭素原子に基づくピーク、
107ppm付近にCF3CF2結合中の〓CF2の炭素原子
に基づくピーク、105ppm付近に
107ppm付近にCF3CF2結合中の〓CF2の炭素原子
に基づくピーク、105ppm付近に
【式】結合中の
【式】の炭素原子に基づ
くピークを示す。なお、それぞれのピーク強度を
相対的に比較することにより、それぞれの結合基
の個数を知ることが出来る。 (ハ) 質量スペクトル(mass spectrum)を測定
し、観察される各ピーク(一般にはイオンの質
量mを電子の荷電数eで割つたm/eで表わさ
れる値)に相当する組成式を算出することによ
り、測定に供したパーフルオロポリエーテルの
結合様式さらに終局的にはその分子量を推定す
ることが出来る。すなわち本発明のパーフルオ
ロポリエーテルの質量スペクトル測定に於ては
分子イオンピーク(M)からフツ素原子が脱
離した組成式に相当する分裂イオンピーク(M
−F)、C3F7Oに相当するピーク(m/
e185)、C3F7に相当するピーク(m/e169)、
CF3に相当するピーク(m/e69)等のピーク
を観察することができる。 (ニ) 元素分析によつて炭素、フツ素、酸素の重量
比を決定することが出来る。 本発明のパーフルオロポリエーテルは前記した
如く、水よりも重い無色無臭の透明液体であり、
代表的な具体例については後述する実施例に示す
が、一般の有機化合物と同じように分子量が大き
くなる程沸点が高くなる傾向がある。本発明のパ
ーフルオロポリエーテルは水に不溶であるが、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ヘキサクロロエタン、
1・1・2−トリクロロ−1・2・2−トリフル
オロエタンなどのハロゲン系溶媒には易溶であ
る。さらに、本発明のパーフルオロエーテルは熱
的にも、化学的にも安定であり、濃硫酸や濃水酸
化ナトリウム溶液中においても分解せず、安定に
存在する。 本発明におけるパーフルオロポリエーテルの製
造方法は特に限定されず如何なる方法で製造して
もよい。代表的な製法を例示するとパーフルオロ
アルコキシカルボン酸のコルベ電解により製造し
得る。前記コルベ電解すなわち脱炭酸二量化反応
を伴なう電解酸化の反応機構は次式によつて示さ
れる。 〔但し、n=0または1で表わされる〕 ここで
相対的に比較することにより、それぞれの結合基
の個数を知ることが出来る。 (ハ) 質量スペクトル(mass spectrum)を測定
し、観察される各ピーク(一般にはイオンの質
量mを電子の荷電数eで割つたm/eで表わさ
れる値)に相当する組成式を算出することによ
り、測定に供したパーフルオロポリエーテルの
結合様式さらに終局的にはその分子量を推定す
ることが出来る。すなわち本発明のパーフルオ
ロポリエーテルの質量スペクトル測定に於ては
分子イオンピーク(M)からフツ素原子が脱
離した組成式に相当する分裂イオンピーク(M
−F)、C3F7Oに相当するピーク(m/
e185)、C3F7に相当するピーク(m/e169)、
CF3に相当するピーク(m/e69)等のピーク
を観察することができる。 (ニ) 元素分析によつて炭素、フツ素、酸素の重量
比を決定することが出来る。 本発明のパーフルオロポリエーテルは前記した
如く、水よりも重い無色無臭の透明液体であり、
代表的な具体例については後述する実施例に示す
が、一般の有機化合物と同じように分子量が大き
くなる程沸点が高くなる傾向がある。本発明のパ
ーフルオロポリエーテルは水に不溶であるが、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ヘキサクロロエタン、
1・1・2−トリクロロ−1・2・2−トリフル
オロエタンなどのハロゲン系溶媒には易溶であ
る。さらに、本発明のパーフルオロエーテルは熱
的にも、化学的にも安定であり、濃硫酸や濃水酸
化ナトリウム溶液中においても分解せず、安定に
存在する。 本発明におけるパーフルオロポリエーテルの製
造方法は特に限定されず如何なる方法で製造して
もよい。代表的な製法を例示するとパーフルオロ
アルコキシカルボン酸のコルベ電解により製造し
得る。前記コルベ電解すなわち脱炭酸二量化反応
を伴なう電解酸化の反応機構は次式によつて示さ
れる。 〔但し、n=0または1で表わされる〕 ここで
【式】と
【式】とを共存させ
てコルベ電解を行なつた場合には上記一般式にお
けるnが0および1の場合の2種の対称パーフル
オロポリエーテルの他に非対称ポリエーテルであ
る。 も生成することになる。本発明に於ける電解は後
述する溶媒に関する以外については、公知の手段
および装置を用いることが出来る。例えば電解に
用いる陽極ならびに陰極は通常のコルベ電解に用
いられるものならば特に限定されずに使用するこ
とが出来、例えば陽極として白金が好適に用いら
れ、また黒鉛などの炭素極をも使用することが出
来る。陰極としては白金、炭素、水銀その他鉄、
ニツケル、銅などの固体電極をも好適に使用する
ことが出来る。電解酸化の方法は定電圧、定電
流、定電位等いずれの方法を用いても良いが、一
般に電解電流密度を大きくする方が収率が上昇す
る傾向にある。電解は一般に常温で行なうのが便
利であるが、温度は特に限定的ではなく、溶媒の
凝固点温度から沸点温度までの間であれば特に支
障はない。しかし一般には少量生成する副生成物
を出来る限り少くするためにはより低温で行なう
方が望ましい場合が多い。また圧力は常圧で窒素
雰囲気下に行なつても、さらに簡便には常圧で大
気中で行なつても良い。電解液は通常用いられる
撹拌手段により電解中撹拌することが望ましい
が、窒素ガスその他のガスを系中に吹き込みなが
ら電解を行なう場合、吹き込むことによつて起こ
る液撹拌で充分である場合もある。更にまた電解
に使用する電解セルは特に限定されず公知のもの
を用いることが出来る。例えば電解セルの両端に
陽極と陰極とを設置した電解セルを用いて実施す
ればよい。該電解セルとして陽陰極間を適当な粗
さのふるい状ガラス隔板又はイオン交換膜を用い
て陽極室と陰極室に区切つた電解セルも必要に応
じて使用出来る。しかし一般には前記隔板やイオ
ン交換膜等の仕切を使用しない電解セルで十分で
あり、むしろこの方が電流効率の面でで有利な場
合が多い。原料であるパーフルオロアルコキシカ
ルボン酸は電解の際、そのままの形で添加しても
良いが、一部あるいは全部を可溶性塩例えばナト
リウム、カリウム、リチウム、マグネシウムなど
の金属塩あるいはアンモニウム塩等の形で添加し
ても何ら差し支えなく、むしろ電解液に電導性を
付与し電解電圧をを下げる点で後者が望ましい場
合が多い。また、パーフルオロアルコキシカルボ
ン酸の形で添加し、さらに電解浴中に水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、ナトリウムアルコキシ
ドなどの塩基性化合物等を添加しても良い。パー
フルオロポリエーテルの前記製造方法における最
大の特徴は電解に用いる溶媒にある。 従来コルベ電解は主にメタノール、含水メタノ
ール、水溶液、アセトニトリル、N・N−ジメチ
ルホルムアミドなどが用いられており、特にメタ
ノールあるいは含水メタノールが最良とされてい
る。 しかしパーフルオロポリエーテルをパーフルオ
ロアルコキシカルボン酸のコルベ電解により合成
を行う場合は従来最良とされていたメタノールあ
るいは含水メタノール中においては目的とするパ
ーフルオロポリエーテルの収率は著しく低く、加
えて大量の副生成物が混入して分離にも困難を伴
うので工業的に利用出来ない。しかるに該電解反
応に際して、電解溶媒としてエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセリンなどのポ
リアルコールを用いれば目的とするパーフルオロ
ポリエーテルが収率良く得られ、しかも該目的物
の分離精製も極めて容易となる。即ちメタノー
ル、含水メタノール、メタノール/アセトニトリ
ルなどの溶媒中では目的とするパーフルオロポリ
エーテルはほとんど得られないが、ポリアルコー
ル例えばエチレングリコール;エタノールあるい
は水を含むエチレングリコール;プロピレングリ
コール、グリセリン等を溶媒としてコルベ電解を
行なつた場合、電解が進行するに伴ない、目的と
するパーフルオロポリエーテルが電解容器底部に
オイル状となつて溜まる。さらに電解中排気系に
ドライアイス/メタノールトラツプあるいは液体
窒素などの低温トラツプを施す以外は電解容器を
完全に密閉系とすると該低温トラツプに目的とす
るパーフルオロポリエーテルが液体となつて溜ま
り、生成収量をさらに増すことが出来るので好適
である。このようにして得られるパーフルオロポ
リエーテルは電解終了後、電解液ならびに低温ト
ラツプ液を共に分液ロートに移して容易に分離す
ることが出来、さらに精製を必要とする場合には
分離したパーフルオロポリエーテルを硫酸ナトリ
ウム等の乾燥剤で充分に乾燥した後蒸留操作を施
せばよい。 前記パーフルオロアルコキシカルボン酸を原料
としてパーフルオロポリエーテルをコルベ電解に
よつて製造する際、電解に用いる溶媒の種類が大
いに問題となる。上記溶媒の種類によつて生成物
であるパーフルオロポリエーテルの収量が大いに
影響を受ける理由は明らかではないが、本発明者
等は諸々の研究結果から次ぎのように推定してい
る。パーフルオロアルコキシカルボン酸をコルベ
電解により電解酸化に付した際、通常の炭化水素
系のカルボン酸と異なり、本発明のパーフルオロ
アルコキシカルボン酸は電解酸化によつては、該
置換基中の電気陰性度の高いフツ素原子の存在に
より、著しく求電子性の高い、 すなわちカチオン性の高いラジカルを生成する
ことになる。従つてラジカルが生成した同一の系
に求核性の強いイオンあるいは分子が存在すれ
ば、パーフルオロアルコキシカルボン酸の電解酸
化によつて生成するラジカル同志のカツプリング
反応よりもむしろカチオン性の高いラジカルと求
核性の強いイオンあるいは分子との反応が優先
し、諸諸の好ましくない副生成物が生じることに
なる。即ち上述の理由によつて、溶媒としてメタ
ノールやアセトニトリルを用いた場合、目的とす
るパーフルオロポリエーテルが得られないものと
考えられる。 本発明のパーフルオロポリエーテルは既に記述
した如く、熱的、化学的に極めて安定であると言
う特徴を有するばかりでなく、水あるいは他の各
種溶媒に比較し、酸素ガス溶解能が極めて大きい
と言う特徴を有する。すなわち酸素ガスをよく吸
収する特性があり、酸素吸剤としてのすぐれた特
性を有する。この特性はまた熱および化学的安定
性とを考慮し、酸素ガスを用いる種々の酸化反
応、さらに医学的にも有用である人工血液原料な
どに利用することが可能である。例えば人工血液
原料として必要な条件としては、熱および化学的
に安定であつて、生体内で不活性であること、酸
素分子をよく吸収すること、沸点が極度に低く
も、また高くもなく、生体内に投与後、ある一定
時間停まつた後、適当な時間内に主として肺から
揮発逸散してしまう程度の適度な沸点、揮発性を
有する必要がある。本発明のパーフルオロポリエ
ーテルは該記の諸条件を全て満足している上に、
さらに望ましいことに、多くのエーテル結合を有
しているため分子中の酸素原子含有量が極めて多
く、この点人工血液として好適とされている各種
のパーフルオロカーボン類よりもさらに酸素親和
性すなわち酸素吸収能が高いと考えられる。さら
に本発明のパーフルオロポリエーテルは分枝状結
合を分子中に有しているため、人工血液として血
管内に投与する際、分散剤の添加によつてより効
率良く分散し、血栓などの難しい問題を起こし難
いと考えられる点も有利であろうと考えられる。 本発明を更に具体的に詳しく説明するため以下
に実施例および比較例を示すが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。なお、実施
例における目的生成物であるパーフルオロポリエ
ーテルの収率は用いたパーフルオロアルコキシカ
ルボン酸の重量に対する目的生成物の単離重量か
ら算出した。 実施例 1 パーフルオロ−α−(ヘプタフルオロ−n−プ
ロポキシ)プロピオン酸(9.5g、0.03モル)、エ
チレングリコール(70ml)およびナトリウムエト
キシド(0.6g、0.009モル)を陰陽極室に仕切り
のないガラス製円筒状電解セルに入れ、陰極なら
びに陽極として共に白金板を用い、溶液を撹拌
下、常時窒素ガスを吹き込みながら室温で定電流
電解(80mA)を行なつた。電解系の気密性には
充分に注意を払い、排気系にはドライアイス/メ
タノール冷却トラツプを設置し、電解中に揮撥す
るガスを捕集した。さらに該トラツプの後には飽
和水酸化バリウム水溶液を含むトラツプをも付
し、電解中に発生する炭酸ガスを確認した。該定
電流電解は電気量11100クーロンを以て停止し
た。電解終了後、電解液は黄色を呈する上層部
と、無色透明の下層部に分離し、ドライアイスト
ラツプにも透明液体が得られた。水酸化バリウム
を溶解した排気系のトラツプには大量の炭酸バリ
ウムの沈殿が認められた。電解後の上層液はエチ
レングリコールであり、下層部の液体重量は2.73
gであつた。またドライアイストラツプ中に捕集
された透明液体は4.03gであり、それぞれの液体
につきガスクロマトグラフ分析(カラムSE30、
3m、カラム温度50℃)を行なつた結果、保留時
間2.6分と3.6分に2つのピークを示した。該下層
部液についてのピーク面積強度比は1:48、トラ
ツプ液についてのピーク面積強度比は1:11であ
つた。下層部液およびトラツプ液を合わせ、精留
することにより沸点130〜131℃の無色透明液体
5.47gを得た。該透明液体につき再度ガスクロマ
トグラフ分析を行なつたところ、上記と同一条件
下保留時間3.6分にほぼ単一のピークを示した。
この生成物は下記の種々の測定によつて構造を決
定した。 (1) 赤外吸収スペクトル(ir) irのチヤートは添付図面の第1図に示す通り
であつた。第1図より1340〜1120cm-1に強く副
広い炭素−フツ素結合に基づく特徴的な吸収、
1000cm-1に炭素−酸素結合すなわちエーテル結
合に起因する特性吸収を示した。第1図から明
らかな如く、原料のパーフルオロ−α−(ヘプ
タフルオロ−n−プロポキシ)プロピオン酸に
見られるカルボキシル基に基づく1780cm-1の吸
収は全く認められなかつた。さらに第1図にお
いて3000cm-1付近に全く吸収が認められないこ
とから、生成物は炭素−水素結合を有していな
いことは明らかである。 irの結果から生成物はパーフルオロエーテル
であることが判る。 (2) 19F−nmr(CFCl3基準、δppm) 添付図面の第2図に19F−nmrのチヤートを
示す。−82.8ppmにCF3CF2CF2結合中のCF3−
のフツ素原子に基づくピーク、−130.1ppmに
CF3CF2CF2−結合中の〓CF2(中央)のフツ
素原子に基づくピーク、−81.9ppmに
けるnが0および1の場合の2種の対称パーフル
オロポリエーテルの他に非対称ポリエーテルであ
る。 も生成することになる。本発明に於ける電解は後
述する溶媒に関する以外については、公知の手段
および装置を用いることが出来る。例えば電解に
用いる陽極ならびに陰極は通常のコルベ電解に用
いられるものならば特に限定されずに使用するこ
とが出来、例えば陽極として白金が好適に用いら
れ、また黒鉛などの炭素極をも使用することが出
来る。陰極としては白金、炭素、水銀その他鉄、
ニツケル、銅などの固体電極をも好適に使用する
ことが出来る。電解酸化の方法は定電圧、定電
流、定電位等いずれの方法を用いても良いが、一
般に電解電流密度を大きくする方が収率が上昇す
る傾向にある。電解は一般に常温で行なうのが便
利であるが、温度は特に限定的ではなく、溶媒の
凝固点温度から沸点温度までの間であれば特に支
障はない。しかし一般には少量生成する副生成物
を出来る限り少くするためにはより低温で行なう
方が望ましい場合が多い。また圧力は常圧で窒素
雰囲気下に行なつても、さらに簡便には常圧で大
気中で行なつても良い。電解液は通常用いられる
撹拌手段により電解中撹拌することが望ましい
が、窒素ガスその他のガスを系中に吹き込みなが
ら電解を行なう場合、吹き込むことによつて起こ
る液撹拌で充分である場合もある。更にまた電解
に使用する電解セルは特に限定されず公知のもの
を用いることが出来る。例えば電解セルの両端に
陽極と陰極とを設置した電解セルを用いて実施す
ればよい。該電解セルとして陽陰極間を適当な粗
さのふるい状ガラス隔板又はイオン交換膜を用い
て陽極室と陰極室に区切つた電解セルも必要に応
じて使用出来る。しかし一般には前記隔板やイオ
ン交換膜等の仕切を使用しない電解セルで十分で
あり、むしろこの方が電流効率の面でで有利な場
合が多い。原料であるパーフルオロアルコキシカ
ルボン酸は電解の際、そのままの形で添加しても
良いが、一部あるいは全部を可溶性塩例えばナト
リウム、カリウム、リチウム、マグネシウムなど
の金属塩あるいはアンモニウム塩等の形で添加し
ても何ら差し支えなく、むしろ電解液に電導性を
付与し電解電圧をを下げる点で後者が望ましい場
合が多い。また、パーフルオロアルコキシカルボ
ン酸の形で添加し、さらに電解浴中に水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、ナトリウムアルコキシ
ドなどの塩基性化合物等を添加しても良い。パー
フルオロポリエーテルの前記製造方法における最
大の特徴は電解に用いる溶媒にある。 従来コルベ電解は主にメタノール、含水メタノ
ール、水溶液、アセトニトリル、N・N−ジメチ
ルホルムアミドなどが用いられており、特にメタ
ノールあるいは含水メタノールが最良とされてい
る。 しかしパーフルオロポリエーテルをパーフルオ
ロアルコキシカルボン酸のコルベ電解により合成
を行う場合は従来最良とされていたメタノールあ
るいは含水メタノール中においては目的とするパ
ーフルオロポリエーテルの収率は著しく低く、加
えて大量の副生成物が混入して分離にも困難を伴
うので工業的に利用出来ない。しかるに該電解反
応に際して、電解溶媒としてエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセリンなどのポ
リアルコールを用いれば目的とするパーフルオロ
ポリエーテルが収率良く得られ、しかも該目的物
の分離精製も極めて容易となる。即ちメタノー
ル、含水メタノール、メタノール/アセトニトリ
ルなどの溶媒中では目的とするパーフルオロポリ
エーテルはほとんど得られないが、ポリアルコー
ル例えばエチレングリコール;エタノールあるい
は水を含むエチレングリコール;プロピレングリ
コール、グリセリン等を溶媒としてコルベ電解を
行なつた場合、電解が進行するに伴ない、目的と
するパーフルオロポリエーテルが電解容器底部に
オイル状となつて溜まる。さらに電解中排気系に
ドライアイス/メタノールトラツプあるいは液体
窒素などの低温トラツプを施す以外は電解容器を
完全に密閉系とすると該低温トラツプに目的とす
るパーフルオロポリエーテルが液体となつて溜ま
り、生成収量をさらに増すことが出来るので好適
である。このようにして得られるパーフルオロポ
リエーテルは電解終了後、電解液ならびに低温ト
ラツプ液を共に分液ロートに移して容易に分離す
ることが出来、さらに精製を必要とする場合には
分離したパーフルオロポリエーテルを硫酸ナトリ
ウム等の乾燥剤で充分に乾燥した後蒸留操作を施
せばよい。 前記パーフルオロアルコキシカルボン酸を原料
としてパーフルオロポリエーテルをコルベ電解に
よつて製造する際、電解に用いる溶媒の種類が大
いに問題となる。上記溶媒の種類によつて生成物
であるパーフルオロポリエーテルの収量が大いに
影響を受ける理由は明らかではないが、本発明者
等は諸々の研究結果から次ぎのように推定してい
る。パーフルオロアルコキシカルボン酸をコルベ
電解により電解酸化に付した際、通常の炭化水素
系のカルボン酸と異なり、本発明のパーフルオロ
アルコキシカルボン酸は電解酸化によつては、該
置換基中の電気陰性度の高いフツ素原子の存在に
より、著しく求電子性の高い、 すなわちカチオン性の高いラジカルを生成する
ことになる。従つてラジカルが生成した同一の系
に求核性の強いイオンあるいは分子が存在すれ
ば、パーフルオロアルコキシカルボン酸の電解酸
化によつて生成するラジカル同志のカツプリング
反応よりもむしろカチオン性の高いラジカルと求
核性の強いイオンあるいは分子との反応が優先
し、諸諸の好ましくない副生成物が生じることに
なる。即ち上述の理由によつて、溶媒としてメタ
ノールやアセトニトリルを用いた場合、目的とす
るパーフルオロポリエーテルが得られないものと
考えられる。 本発明のパーフルオロポリエーテルは既に記述
した如く、熱的、化学的に極めて安定であると言
う特徴を有するばかりでなく、水あるいは他の各
種溶媒に比較し、酸素ガス溶解能が極めて大きい
と言う特徴を有する。すなわち酸素ガスをよく吸
収する特性があり、酸素吸剤としてのすぐれた特
性を有する。この特性はまた熱および化学的安定
性とを考慮し、酸素ガスを用いる種々の酸化反
応、さらに医学的にも有用である人工血液原料な
どに利用することが可能である。例えば人工血液
原料として必要な条件としては、熱および化学的
に安定であつて、生体内で不活性であること、酸
素分子をよく吸収すること、沸点が極度に低く
も、また高くもなく、生体内に投与後、ある一定
時間停まつた後、適当な時間内に主として肺から
揮発逸散してしまう程度の適度な沸点、揮発性を
有する必要がある。本発明のパーフルオロポリエ
ーテルは該記の諸条件を全て満足している上に、
さらに望ましいことに、多くのエーテル結合を有
しているため分子中の酸素原子含有量が極めて多
く、この点人工血液として好適とされている各種
のパーフルオロカーボン類よりもさらに酸素親和
性すなわち酸素吸収能が高いと考えられる。さら
に本発明のパーフルオロポリエーテルは分枝状結
合を分子中に有しているため、人工血液として血
管内に投与する際、分散剤の添加によつてより効
率良く分散し、血栓などの難しい問題を起こし難
いと考えられる点も有利であろうと考えられる。 本発明を更に具体的に詳しく説明するため以下
に実施例および比較例を示すが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。なお、実施
例における目的生成物であるパーフルオロポリエ
ーテルの収率は用いたパーフルオロアルコキシカ
ルボン酸の重量に対する目的生成物の単離重量か
ら算出した。 実施例 1 パーフルオロ−α−(ヘプタフルオロ−n−プ
ロポキシ)プロピオン酸(9.5g、0.03モル)、エ
チレングリコール(70ml)およびナトリウムエト
キシド(0.6g、0.009モル)を陰陽極室に仕切り
のないガラス製円筒状電解セルに入れ、陰極なら
びに陽極として共に白金板を用い、溶液を撹拌
下、常時窒素ガスを吹き込みながら室温で定電流
電解(80mA)を行なつた。電解系の気密性には
充分に注意を払い、排気系にはドライアイス/メ
タノール冷却トラツプを設置し、電解中に揮撥す
るガスを捕集した。さらに該トラツプの後には飽
和水酸化バリウム水溶液を含むトラツプをも付
し、電解中に発生する炭酸ガスを確認した。該定
電流電解は電気量11100クーロンを以て停止し
た。電解終了後、電解液は黄色を呈する上層部
と、無色透明の下層部に分離し、ドライアイスト
ラツプにも透明液体が得られた。水酸化バリウム
を溶解した排気系のトラツプには大量の炭酸バリ
ウムの沈殿が認められた。電解後の上層液はエチ
レングリコールであり、下層部の液体重量は2.73
gであつた。またドライアイストラツプ中に捕集
された透明液体は4.03gであり、それぞれの液体
につきガスクロマトグラフ分析(カラムSE30、
3m、カラム温度50℃)を行なつた結果、保留時
間2.6分と3.6分に2つのピークを示した。該下層
部液についてのピーク面積強度比は1:48、トラ
ツプ液についてのピーク面積強度比は1:11であ
つた。下層部液およびトラツプ液を合わせ、精留
することにより沸点130〜131℃の無色透明液体
5.47gを得た。該透明液体につき再度ガスクロマ
トグラフ分析を行なつたところ、上記と同一条件
下保留時間3.6分にほぼ単一のピークを示した。
この生成物は下記の種々の測定によつて構造を決
定した。 (1) 赤外吸収スペクトル(ir) irのチヤートは添付図面の第1図に示す通り
であつた。第1図より1340〜1120cm-1に強く副
広い炭素−フツ素結合に基づく特徴的な吸収、
1000cm-1に炭素−酸素結合すなわちエーテル結
合に起因する特性吸収を示した。第1図から明
らかな如く、原料のパーフルオロ−α−(ヘプ
タフルオロ−n−プロポキシ)プロピオン酸に
見られるカルボキシル基に基づく1780cm-1の吸
収は全く認められなかつた。さらに第1図にお
いて3000cm-1付近に全く吸収が認められないこ
とから、生成物は炭素−水素結合を有していな
いことは明らかである。 irの結果から生成物はパーフルオロエーテル
であることが判る。 (2) 19F−nmr(CFCl3基準、δppm) 添付図面の第2図に19F−nmrのチヤートを
示す。−82.8ppmにCF3CF2CF2結合中のCF3−
のフツ素原子に基づくピーク、−130.1ppmに
CF3CF2CF2−結合中の〓CF2(中央)のフツ
素原子に基づくピーク、−81.9ppmに
【式】結合中の〓CF2のフツ素原子に
基づくピーク、−78.7ppmと−79.9ppmに
【式】結合中の
【式】のフツ素原子に基
づくピーク、−140.0ppmと−141.3ppmに
【式】結合中のCF3−のフツ素原子に基づ
くピークを示す。
(3) 13C−nmr(テトラメチルシラン基準δ
ppm) 添付図面の第3図に13C−nmrのチヤート
(ただし19Fをデカツプリングしたものである)
を示す。118.2ppmに
ppm) 添付図面の第3図に13C−nmrのチヤート
(ただし19Fをデカツプリングしたものである)
を示す。118.2ppmに
【式】結合中の
CF3−の炭素原子に基づくピーク、117.5ppmに
CF3CF2CF2−結合中のCF3−の炭素原子に
基づくピーク、116.2ppmに
CF3CF2CF2−結合中のCF3−の炭素原子に
基づくピーク、116.2ppmに
【式】
結合中の〓CF2の炭素原子に基づくピーク、
107.1ppmにCF3CF2−結合中の〓CF2に基づく
ピーク、105.3ppmと105.1ppmに
107.1ppmにCF3CF2−結合中の〓CF2に基づく
ピーク、105.3ppmと105.1ppmに
【式】
結合中の
【式】の炭素原子に基づくピークを
示す。
(4) mass spectrum(m/e、20ev)
mass spectrum測定の結果、次のようなピ
ークが認められた。551(M−F)、501(M
−CF3)、385
ークが認められた。551(M−F)、501(M
−CF3)、385
【式】、285
【式】、185(C3F7O)、169
(C3F7)、69(CF3)
(5) 元素分析
元素分析を測定したところ、その分析値は
C21.48%、H0.03%、F73.90%であつて
C10F22O2(570.1)の理論値C21.07%、H0.00
%、F73.32%によく一致した。 以上の種々の測定結果から、前記電解で得られ
た化合物の構造が であることが確認出来た。収率は64.0%であつ
た。尚、以下の実施例2および3に於ける構造決
定も上記同様の手法で決定したものである。 実施例 2 実施例1於けるパーフルオロ−α−(ヘプタフ
ルオロ−n−プロポキシ)プロピオン酸の代わり
に下記式に示されるパーフルオロアルコキシカル
ボン酸(7.23g.、0.016モル)を用いた以外は実
施例1に準じて電解を行ない、電気量10200クー
ロンを以て停止した。
C21.48%、H0.03%、F73.90%であつて
C10F22O2(570.1)の理論値C21.07%、H0.00
%、F73.32%によく一致した。 以上の種々の測定結果から、前記電解で得られ
た化合物の構造が であることが確認出来た。収率は64.0%であつ
た。尚、以下の実施例2および3に於ける構造決
定も上記同様の手法で決定したものである。 実施例 2 実施例1於けるパーフルオロ−α−(ヘプタフ
ルオロ−n−プロポキシ)プロピオン酸の代わり
に下記式に示されるパーフルオロアルコキシカル
ボン酸(7.23g.、0.016モル)を用いた以外は実
施例1に準じて電解を行ない、電気量10200クー
ロンを以て停止した。
【式】電解液を分
液ロートに移し、無色透明の下層部を採取した。
さらにドライアイストラツプ中に捕集された少量
の透明液体についても同様に操作し、下層部をあ
わせて乾燥後蒸留することにより沸点189−191℃
の無色透明液体を得た。該液体の元素分析値は
C21.09%、H0.06%、F72.14%であつてC16F34O4
(902.16)の理論値C21.30%、H0.00%、F71.61%
によく一致した。さらに19F−nmrならびに13C−
nmrを測定し、実施例1で得られたパーフルオロ
ポリエーテルの測定結果と比較したところ、
さらにドライアイストラツプ中に捕集された少量
の透明液体についても同様に操作し、下層部をあ
わせて乾燥後蒸留することにより沸点189−191℃
の無色透明液体を得た。該液体の元素分析値は
C21.09%、H0.06%、F72.14%であつてC16F34O4
(902.16)の理論値C21.30%、H0.00%、F71.61%
によく一致した。さらに19F−nmrならびに13C−
nmrを測定し、実施例1で得られたパーフルオロ
ポリエーテルの測定結果と比較したところ、
【式】単位が2個多いことが判つた。
以上の結果から、生成物の構造が
であることを確認した。収量は3.44gであつた。
実施例 3
パーフルオロ−α(ヘプタフルオロ−n−プロ
ポキシ)プロピオン酸(9.50.、0.03モル)および
実施例2で原料として用いたパーフルオロアルコ
キシカルボン酸(13.92g.、0.03モル)、エチレ
ングリコール(100ml)およびカリウムメトキシ
ド(1.1g)を用い、実施例1に準じて電解を行
ない、電解終了後電解液およびドライアイストラ
ツプ中に採取された液体の下層部を集め、乾燥後
精留を2回繰り返すことにより、3種の無色透明
液体を得た。最も低沸点の液体(4.67g)は実施
例1で得られたパーフルオロポリエーテルである
ポキシ)プロピオン酸(9.50.、0.03モル)および
実施例2で原料として用いたパーフルオロアルコ
キシカルボン酸(13.92g.、0.03モル)、エチレ
ングリコール(100ml)およびカリウムメトキシ
ド(1.1g)を用い、実施例1に準じて電解を行
ない、電解終了後電解液およびドライアイストラ
ツプ中に採取された液体の下層部を集め、乾燥後
精留を2回繰り返すことにより、3種の無色透明
液体を得た。最も低沸点の液体(4.67g)は実施
例1で得られたパーフルオロポリエーテルである
【式】であつ
た。
最も高沸点の液体(5.81g)は実施例2で得ら
れたパーフルオロエーテルである であつた。中間の沸点を有する液体(4.35g)に
つき元素分析を行なつたところ、C21.29%、
H0.01%、F72.76%なる値を示し、C13F28O3
(736.13)の理論値C21.21%、H0.00%、F72.27%
によく一致した。さらに19F−nmrならびに13C−
nmrを測定し、実施例1で得られたパーフルオロ
ポリエーテルの測定結果と比較したところ、
れたパーフルオロエーテルである であつた。中間の沸点を有する液体(4.35g)に
つき元素分析を行なつたところ、C21.29%、
H0.01%、F72.76%なる値を示し、C13F28O3
(736.13)の理論値C21.21%、H0.00%、F72.27%
によく一致した。さらに19F−nmrならびに13C−
nmrを測定し、実施例1で得られたパーフルオロ
ポリエーテルの測定結果と比較したところ、
【式】単位が1個多いことが判つた。
以上の結果から生成物の構造が
であることを確認した。
実施例 4
パーフルオロ−α−(ヘプタフルオロ−n−プ
ロポキシ)プロピオン酸(7.00g)、プロピレン
グリコール(70ml)およびナトリウムエトキシド
(0.4g)を陰陽極室に仕切りのないガラス製円筒
状電解セルに入れ、陰極ならびに陽極として共に
炭素棒を用い溶液を磁気撹拌下、常時窒素ガスを
吹き込みながら室温で定電流電解(30mA)を行
ない、電解液およびトラツプ中の液体を実施例1
に記述したのと同様に処理することによりパーフ
ルオロポリエーテル(2.34g)を得た。 実施例 5 パーフルオロ−α−(ヘプタフルオロ−n−プ
ロポキシ)プロピオン酸(7.00g)、グリセリン
(40ml)、エタノール(30ml)、水酸化カリウム
(0.5g)を電解容器に入れ、陰陽極として白金板
を用いて定電圧電解し、電解液を実施例1と同様
に処理することによりパーフルオロポリエーテル
3.99gを得た。 比較例 1 パーフルオロ−α−(ヘプタフルオロ−n−プ
ロポキシ)プロピオン酸(7.00g)につき、溶媒
としてエチレングリコールの代わりにメタノール
を用いる以外は実施例1と同様に電解を行なつ
た。電解後、メタノールより重い液体は全く得ら
れなかつた。ドライアイストラツプに補集された
液体(1.37g)につきガスクロマトグラフを測定
し、実施例1で得られたパーフルオロポリエーテ
ルのガスクロマトグラフチヤートと比較した。そ
の結果、該液体はメタノールであり、パーフルオ
ロポリエーテルは全く含まれていないことが判明
した。 比較例 2 パーフルオロ−α−(ヘプタフルオロ−n−プ
ロポキシ)プロピオン酸(10.00g)につき、溶
媒としてアセトニトリルを用いる以外は実施例1
と同様に定電流電解(80mA)を開始した。電解
時間が経過するとともに極間電圧が上昇し、約15
時間後には、電解開始時20Vであつた極間電圧が
45Vに達し、電流値は20mAに低下した。陰極は
褐色固体で一面に覆われていた。電気量4040クー
ロンを通じて電解を停止し、生成したエチレング
リコールよりも重い黄色液体(4.48g)を得た。
該液体につきガスクロマトグラフ分析(カラム:
SE30、3m、カラム温度70℃)を行なつたとこ
ろ保留時間がそれぞれ1.52分(17%)、1.77分
(14%)および2.22分(68%)である3成分の混
合物であることが判つた。該3成分につきGC−
MASS(ガスクロマトグラフ質量)分析ならびに
各成分のガスクロ分取に続く19F−nmr分析を行
なうことにより、保留時間1.52分の成分は
ロポキシ)プロピオン酸(7.00g)、プロピレン
グリコール(70ml)およびナトリウムエトキシド
(0.4g)を陰陽極室に仕切りのないガラス製円筒
状電解セルに入れ、陰極ならびに陽極として共に
炭素棒を用い溶液を磁気撹拌下、常時窒素ガスを
吹き込みながら室温で定電流電解(30mA)を行
ない、電解液およびトラツプ中の液体を実施例1
に記述したのと同様に処理することによりパーフ
ルオロポリエーテル(2.34g)を得た。 実施例 5 パーフルオロ−α−(ヘプタフルオロ−n−プ
ロポキシ)プロピオン酸(7.00g)、グリセリン
(40ml)、エタノール(30ml)、水酸化カリウム
(0.5g)を電解容器に入れ、陰陽極として白金板
を用いて定電圧電解し、電解液を実施例1と同様
に処理することによりパーフルオロポリエーテル
3.99gを得た。 比較例 1 パーフルオロ−α−(ヘプタフルオロ−n−プ
ロポキシ)プロピオン酸(7.00g)につき、溶媒
としてエチレングリコールの代わりにメタノール
を用いる以外は実施例1と同様に電解を行なつ
た。電解後、メタノールより重い液体は全く得ら
れなかつた。ドライアイストラツプに補集された
液体(1.37g)につきガスクロマトグラフを測定
し、実施例1で得られたパーフルオロポリエーテ
ルのガスクロマトグラフチヤートと比較した。そ
の結果、該液体はメタノールであり、パーフルオ
ロポリエーテルは全く含まれていないことが判明
した。 比較例 2 パーフルオロ−α−(ヘプタフルオロ−n−プ
ロポキシ)プロピオン酸(10.00g)につき、溶
媒としてアセトニトリルを用いる以外は実施例1
と同様に定電流電解(80mA)を開始した。電解
時間が経過するとともに極間電圧が上昇し、約15
時間後には、電解開始時20Vであつた極間電圧が
45Vに達し、電流値は20mAに低下した。陰極は
褐色固体で一面に覆われていた。電気量4040クー
ロンを通じて電解を停止し、生成したエチレング
リコールよりも重い黄色液体(4.48g)を得た。
該液体につきガスクロマトグラフ分析(カラム:
SE30、3m、カラム温度70℃)を行なつたとこ
ろ保留時間がそれぞれ1.52分(17%)、1.77分
(14%)および2.22分(68%)である3成分の混
合物であることが判つた。該3成分につきGC−
MASS(ガスクロマトグラフ質量)分析ならびに
各成分のガスクロ分取に続く19F−nmr分析を行
なうことにより、保留時間1.52分の成分は
【式】、保留時間1.77分の成
分は
【式】、保留時間2.22
分の成分は
【式】であるこ
とを確認した。なお、陰極面に付着した褐色固体
の元素分析値はC9.04%、H1.52%、F12.23%、
灰分46.01%であつた。 即ち、該電解によつては目的とするパーフルオ
ロポリエーテルは得られていないことが判明し
た。 実施例 6 本発明によるパーフルオロポリエーテル類各10
mlにつき、酸素ガスの吸収量を測定し、同時に水
および他のフツ素化合物についても酸素ガスの吸
収量を測定して酸素溶解能を比較検討した。 先ず試料10mlを容量100mlのガラス容器に入
れ、容器内の空気を窒素ガスによつて充分置換し
た後、ガラスコツクを開いて末端にガスビユレツ
トを有する純酸素ガスを満たしたガラス容器に接
続した。測定系を1気圧かつ25℃一定に保ち、試
料が充分酸素ガスを吸収するのを待つて吸収量を
ガスビユレツトの目盛りから算出した。測定結果
を表1に示す。表1から本発明のパーフルオロポ
リエーテルは水に比較して約30倍、1・2−ジブ
ロモ.ヘキサフルオロプロパンに比較して約5倍
も高い酸素溶解能を有していることが判る。ま
た、現在人工血液原料の候補として有望視されて
いるパーフルオロカーボン類に比較しても酸素溶
解能は同程度あるいは場合によつては優れている
ことを確認した。
の元素分析値はC9.04%、H1.52%、F12.23%、
灰分46.01%であつた。 即ち、該電解によつては目的とするパーフルオ
ロポリエーテルは得られていないことが判明し
た。 実施例 6 本発明によるパーフルオロポリエーテル類各10
mlにつき、酸素ガスの吸収量を測定し、同時に水
および他のフツ素化合物についても酸素ガスの吸
収量を測定して酸素溶解能を比較検討した。 先ず試料10mlを容量100mlのガラス容器に入
れ、容器内の空気を窒素ガスによつて充分置換し
た後、ガラスコツクを開いて末端にガスビユレツ
トを有する純酸素ガスを満たしたガラス容器に接
続した。測定系を1気圧かつ25℃一定に保ち、試
料が充分酸素ガスを吸収するのを待つて吸収量を
ガスビユレツトの目盛りから算出した。測定結果
を表1に示す。表1から本発明のパーフルオロポ
リエーテルは水に比較して約30倍、1・2−ジブ
ロモ.ヘキサフルオロプロパンに比較して約5倍
も高い酸素溶解能を有していることが判る。ま
た、現在人工血液原料の候補として有望視されて
いるパーフルオロカーボン類に比較しても酸素溶
解能は同程度あるいは場合によつては優れている
ことを確認した。
【表】
第1図は実施例1における赤外吸収スペクトル
のチヤート、第2図は同19F−nmrのチヤート、
第3図は13C−nmrのチヤートを示す。
のチヤート、第2図は同19F−nmrのチヤート、
第3図は13C−nmrのチヤートを示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 一般式 (但しmまたはnは0または1を表わす)で示さ
れるパーフルオロポリエーテル。 2 (nは0または1を表わす)で示されるパーフル
オロアルコキシカルボン酸またはその可溶性塩を
ポリアルコール溶媒中で電解することを特徴とす
る一般式 (但しmまたはnは0または1を表わす)で示さ
れるパーフルオロポリエーテルの製造方法。 3 一般式 (但し、mまたはnは0または1を表わす)で示
されるパーフルオロポリエーテルを主成分とする
酸素吸収剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56199999A JPS58103334A (ja) | 1981-12-14 | 1981-12-14 | パ−フルオロポリエ−テル及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56199999A JPS58103334A (ja) | 1981-12-14 | 1981-12-14 | パ−フルオロポリエ−テル及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58103334A JPS58103334A (ja) | 1983-06-20 |
JPS6121610B2 true JPS6121610B2 (ja) | 1986-05-28 |
Family
ID=16417108
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP56199999A Granted JPS58103334A (ja) | 1981-12-14 | 1981-12-14 | パ−フルオロポリエ−テル及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58103334A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61163944A (ja) * | 1985-01-16 | 1986-07-24 | Daikin Ind Ltd | 隔膜 |
JPS6210135A (ja) * | 1985-07-05 | 1987-01-19 | Shin Etsu Chem Co Ltd | パ−フルオロポリエ−テルの製造方法 |
US5084146A (en) * | 1990-04-09 | 1992-01-28 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Method for preparing perfluoropolyethers |
US5196579A (en) * | 1990-12-24 | 1993-03-23 | Hoechst Ag | Process for the recovery of perfluoroethercarboxylic acids |
DE4221555A1 (de) * | 1992-07-01 | 1994-01-05 | Hoechst Ag | Verfahren zur Herstellung von Perfluorpolyethern |
-
1981
- 1981-12-14 JP JP56199999A patent/JPS58103334A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58103334A (ja) | 1983-06-20 |
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