【発明の詳細な説明】
カルボキシメチレンアントラニル酸のモノエステルおよびそれの製造方法
本発明は、カルボキシメチレンアントラニル酸のモノエステルおよびそれの製
造方法に関する。
カルボキシメチレンアントラニル酸のこの種のモノエステルは未だ文献に掲載
されていない。この種の化合物はアルドース還元酵素抑制剤を製造するための新
規の合成法(この出願と同日に出願した特許出願 ―ドイツ特許出
い化合物の種類、例えば異なるエステル残基を持つカルボキシメチレンアントラ
ニル酸のジエステルの製造を可能とする。
アルドース還元酵素抑制剤を製造するための原料として使用される式(A)の
キナゾリンジオンを生成する、2、4−ジクロロ安息香酸から出発する非常に簡
単で短い合成ルートを、以下の化学式で簡単に示す:
上記のキナゾリンジオン(式(A))は、ヨーロッパ特許第218、999号明
細書に従ってアルドース還元酵素抑制剤を製造するための原料として使用するこ
とができる1、2、3、4−テトラヒドロ−2、4−ジオキソキナゾリン−1−
イル酢酸のエステルである。
それ故に、アルドース還元酵素抑制剤を合成する方法を発展させそして新規化
合物を製造し得るようにするために、この種の化合物の開発が求められている。
この課題は、式(I)
[式中、Rは直鎖状のまたは枝分かれした(C1〜C20)−アルキル基、フェニ
ル基またはCH2−フェニル基であり、その際にこのアルキル基およびフェニル
基はハロゲン原子、(C1〜C4)−アルキル基、(C1〜C4)−アルコキシ基で
置換されていてもよく、そしてR1、R2、R3、R4は互いに無関係に水素原子、
ハロゲン原子、OH、NO2、(C1〜C6)−アルコキシ基、(C1〜C6)−ア
ルキル基またはハロゲン置換(C1〜C6)−アルキル基を意味する。]
で表される化合物によって解決される。
中でも、Rが直鎖状のまたは枝分かれした(C1〜C12)−アルキル基、フェ
ニル基またはCH2−フェニル基、好ましくはメチル基またはエチル基でありそ
してR1、R2、R3、R4は水素原子、弗素原子または塩素原子、(C1〜C4)−
アルコキシ基、(C1〜C4)−アルキル基、塩素置換−または弗素置換(C1〜
C4)−アルキル基、特に水素原子、弗素原子、塩素原子、メチル基またはエチ
ル基を意味する式(I)で表される化合物が重要である。
R1、R2、R3、R4基の二つ、特に三つが水素原子である化合物が重要である
。
更に式(II)
[式中、Rは直鎖状のまたは枝分かれした(C1〜C20)−アルキル基、フェニ
ル基またはCH2−フェニル基であり、その際にこのアルキル基およびフェニル
基はハロゲン原子、(C1〜C4)−アルキル基、(C1〜C4)−アルコキシ基で
置換されていてもよく、特にアルキル基がハロゲン原子または(C1〜C4)−ア
ルコキシ基でそしてフェニル基が(C1〜C4)−アルキル基または(C1〜C4)
−アルコキシ基で置換されていてもよい。]で表される化合物が重要である。
式(II)の化合物において、Rは直鎖状のまたは枝分かれした(C1〜C12)−
アルキル基、フェニル基またはCH2−フェニル基、好ましくは直鎖状のまたは
枝分かれした(C1〜C6)−アルキル基またはフェニル基である。式(II)の化合
物がN−カルボキシメチレン−4−クロロアントラニル酸のモノエステルである
ことをここに記す。
N−カルボエトキシメチレン−4−クロロアントラニル酸およびN−カルボメ
トキシメチレン−4−クロロアントラニル酸、N−カルボイソプロポキシメチレ
ン−4−クロロアントラニル酸、N−カルボプロポキシメチレン−4−クロロア
ントラニル酸、N−カルボブトキシ−メチレン−4−クロロアントラニル酸、N
−カルボヘキソキシメチレン−4−クロロアントラニル酸およびN−カルボベン
ゾキシメチレン−4−クロロアントラニル酸が特に興味がもたれる。
本発明は更に、式(I)の化合物を製造する方法において、N−カルボキシメ
チレン−アントラニル酸とアルコールROHとを触媒および場合によっては溶剤
の存在下に反応させることを特徴とする上記方法にも関する。
式(I)の化合物を製造する際に使用されるN−カルボキシメチレンアントラニ
ル酸は、一般式(III)
[式中、R1、R2、R3およびR4は式(I)で規定した意味を有する。]で表さ
れる。アルコールROHの残基Rは式(II)のところで既に記載した意味を有する
。
反応は溶剤の存在または不存在下に行うことができる。溶剤としては脂肪族−
または芳香族炭化水素残基、例えばシクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、アル
コールROHまたはそれらの混合物を使用することができる。アルコールROH
はそれぞれの1モルのN−カルボキシメチレン−アントラニル酸当り1〜100
0モル、好ましくは1.5〜500モル、特に好ましくは2〜200モルの過剰
量で使用する。
触媒としては脱水剤、例えばカルボニルジイミド、無機系−または有機系強酸
またはそれらの塩またはルイス酸が適している。しばしば例えばジシクロヘキシ
ルカルボジイミド、N,N−カルボニル−ジイミダゾール、p−トルエンスルホ
ン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホナート、トリフルオロ醋酸、三フッ化
ホウ素、硫酸ナトリウム、硫酸または塩酸、好ましくは硫酸または塩酸、特に好
ましくは硫酸が適している。同様に上記の剤の混合物も使用することができる。
触媒の濃度はそれぞれのN−カルボキシメチレン−アントラニル酸を基準として
0.5〜100モル%、好ましくは1〜50モル%、特に好ましくは2〜30モ
ル%である。
それぞれに使用されるN−カルボキシメチレン−アントラニル酸を基準として
2.5〜15モル%の触媒を使用すれば、特にこの方法は特に合理的である。
特に有利な変法では触媒として、1モルのカルボキシメチレンアントラニル酸
当り5〜15モル%の硫酸を濃硫酸として使用する。
反応は一般に20〜200℃、好ましくは40〜160℃、特に好ましくは5
0〜120℃で実施する。この温度は加圧下で実施する必要がある。これは、反
応温度がそれぞれの反応混合物の沸点温度より上にある場合である。
反応温度は20℃からそれぞれのアルコールの沸点まで、好ましくは40℃か
らそれぞれのアルコールの沸点まで、特に好ましくは60℃からそれぞれのアル
コールの沸点までである。これらの方法では常圧で実施する。
反応時間は0.5〜60時間、好ましくは0.75〜30時間、特に好ましく
は1〜20時間である。
特に有利な方法によれば溶剤はエステル化の際に生じる水を除くための共沸剤
としても役立ててもよい。この目的のためには脂肪族−および芳香族炭化水素、
例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、脂肪族−または脂
環式ケトン類、例えばn−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキ
サノン、また単−または多重塩素化された脂肪族−または芳香族炭化水素、例え
ばメチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼンが使用される。特にクロ
ロホルムが適している。
エステル化の際に生じる水を除く別の方法は、水結合剤、例えばオルトエステ
ル、特にオルト蟻酸トリメチルエステルまたはオルト蟻酸トリエチルエステルを
添加することを本質とする。エステル化を特定の転化率まで、例えば50〜90
%、特に好ましくは55〜75%まで進行させ、次いで反応を完結するためにオ
ルトエステルを添加するのが特に有利である。
別の変法では、水結合剤、特にオルトエステルの添加に共沸蒸留を結び付ける
。この方法の場合にも、エステル化を特定の転化率まで、例えば50〜90%ま
たはそれ以上、好ましくは50〜75%の転化率まで共沸蒸留によってに進めそ
して次に反応を完結するために、水結合剤、例えばオルトエステルを添加転化す
るのが有利である。
文献にはジエステルを得る反応しか掲載されたいないので、この反応条件のも
とでモノエステルを得る反応だけが生じることは特に驚くべきことである。
例えばJ.Med.Chem.1991、34、1283およびJ.Hete
rocycl.Chem.1987、24、811にはカルボキシメチレン−4
−クロロアントラニル酸とメタノールおよび硫酸との、ジエステルを得る反応が
、J.Prakt.Chem.1929、120、64にはメタノールおよび塩
酸との、ジエステルを得る反応が掲載されている。このことを考慮すると、比較
的に少量の触媒の使用下にモノエステルが生じることは驚くべきことであり、ま
た二種類の可能なモノエステルの一方だけが高い選択率で生じることは予期でき
なかった。
上記の方法段階は減圧、加圧または常圧のもとで実施することができる。
本発明を以下の実施例で更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定
されない。
実施例1:
74.5g(324.8ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロア
ントラニル酸を1660gのエタノールに懸濁させ、2.9g(2.96ミリモ
ル)の硫酸と混合しそして10時間沸点に加熱する。5時間の反応時間の後に再
度同じ量の硫酸を添加する。10時間後にエタノールを留去し、沈殿する生成物
を冷たい状態で濾別しそして冷たいエタノールで洗浄する。55.5g(0.2
2モル、73%)のN−カルボエトキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸
が得られる。
融点:166〜167℃
1H−NMR(DMSO−d6):1.22(t、CH3エチルエステル)、4
.11〜4.21(m、2CH2)、6.64(dd,H−C(5))、6.6
6〜6.69(m、H−C(3))、7.80(d,H−C(6))、8.21
〜8.36(NH)
MS:259、257、186、184、169、168、167、166
相応するジエステルはHPLC−分析によって検出される通り、<0.2%の
量しか生じていない。
実施例2:
5g(21.8ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ−アントラ
ニル酸を50mlのメタノール中に導入し、222mg(2.3ミリモル)の硫
酸と混合する。還流下に4時間加熱し、次いで室温に冷却する。沈殿する生成物
を吸引濾過し、メタノールで洗浄しそして乾燥する。4.0g(16.4ミリモ
ル:75%)のN−カルボメトキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸が得
られる。
沸点:201〜203℃
MS:245、243、186、184、168、166
実施例3:
5g(21.8ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ−アントラ
ニル酸を50mlのイソプロパノールに懸濁させ、222mg(2.3ミリモル
)の硫酸を添加する。還流下に8.25時間加熱する。次いで室温に冷却する。
沈殿する生成物を吸引濾過し、石油エーテルで洗浄しそして乾燥する。4.6g
(16.9ミリモル:78%)のN−カルボプロポキシメチレン−4−クロロ−
アントラニル酸が得られる。
融点:181℃
MS:273、271、230、228、186、184、168、166
実施例4:
N−カルボプロポキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸の製造
5g(21.8ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ- アントラ
ニル酸を40mlのn−プロパノールに溶解し、108mg(1.05ミリモル
)の濃硫酸を添加し、4.5時間70℃に加熱する。次いで室温に冷却し、沈殿
する生成物を吸引濾過し、n−プロパノールで洗浄する。乾燥した後に、3.6
g(13.3ミリモル:61%)のN−カルボプロポキシメチレン−4−クロロ
- アントラニル酸が得られる。
融点:155℃
質量スペクトルを記録する為に、N−カルボプロポキシメチレン−4−クロロ
- アントラニル酸がガスクロマトグラフィーカラム中で分解してしまうので、未
だ遊離のカルボキシル基をジアゾメタンでエステル化する。
MS(N−カルボプロポキシメチレン−4−クロロ- アントラニル酸メチル):
287、285、242、200、198、168、166
実施例5:
N−カルボキブトキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸の製造
5g(21.8ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ- アントラ
ニル酸を40mlのn−ブタノールに溶解し、108mg(1.05ミリモル)
の濃硫酸を添加しそして75℃に2時間加温する。室温に冷却した後に、沈殿す
る生成物を吸引濾過し、n−ブタノールで洗浄しそして乾燥する。4.7g(1
6.5ミリモル:76%)の淡黄色の結晶質N−カルボブトキシメチレン−4−
クロロ- アントラニル酸が得られる。
融点:130℃
質量スペクトルを記録する為に、N−カルボブトキシメチレン−4−クロロ-
アントラニル酸がガスクロマトグラフィーカラム中で分解してしまうので、未だ
遊離のカルボキシル基をジアゾメタンでエステル化する。
MS(N−カルボブトキシメチレン−4−クロロ- アントラニル酸メチル):3
01、299、242、200、198、168、166
実施例6:
N−カルボキヘキソキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸の製造
5g(21.8ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ- アントラ
ニル酸を40mlのn−ヘキサノールに溶解し、108mg(1.05ミリモル
)の濃硫酸と混合しそして75℃に2時間加温する。反応混合物を室温に冷却し
、生成物を吸引濾過し、ヘキサノールで洗浄しそして乾燥する。5.8g(19
.8ミリモル:91%)のカルボヘキソキシメチレン−4−クロロ−アントラニ
ル酸が得られる。
融点:99℃
N−カルボヘキソキシメチレン−4−クロロ- アントラニル酸がガスクロマト
グラフィーカラムで分解してしまうので、質量スペクトルを記録する為に、未だ
遊離のカルボキシル基をジアゾメタンでエステル化する。
MS(N−カルボヘキソキシメチレン−4−クロロ- アントラニル酸メチル):
329、327、244、242、200、198、168、166
実施例7:
N−カルボベンゾキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸の製造
10g(43.6ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ- アント
ラニル酸を40mlのベンジルアルコールに溶解し、444mg(4.3ミリモ
ル)の濃硫酸と混合しそして110℃で2時間攪拌する。室温に冷却し、沈殿す
る生成物を吸引濾過し、ベンジルアルコールで洗浄しそして乾燥する。7.3g
(22.9ミリモル:53%)の淡黄色の結晶質N−カルボベンゾキシメチレン
−4−クロロ−アントラニル酸が得られる。
融点:128℃
N−カルボベンゾキシメチレン−4−クロロ- アントラニル酸がガスクロマト
グラフィーカラムで分解してしまうので、質量スペクトルを撮る為に、未だ遊離
のカルボキシル基をジアゾメタンでエステル化する。
MS(N−カルボベンゾキシメチレン−4−クロロ- アントラニル酸メチル):
335、333、244、200、198、168、166
実施例8:
水の共沸蒸留下でのN−カルボエトキシメチレン−4−クロロ- アントラニル
酸の製造
230g(1.0モル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ- アントラニ
ル酸を218gのエタノールおよび620gのクロロホルムに懸濁させ、11g
(107ミリモル)の濃硫酸と混合する。更に、反応容器に連結された水分離器
を満たすのに必要な量のクロロホルムを添加する。還流下に7時間加熱し、エス
テル化の際に生じる水を連続的に取り出し、水分離器で分離除去する。
次にクロロホルムを留去し、室温に冷却しそして結晶化する生成物を吸引濾過
しそしてエタノールで洗浄する。乾燥後に232g(0.9モル)のN−カルボ
エトキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸が得られる。
これは90%の収率に相当する。
比較例(ジエチルエステルの製造):
触媒としての多量の酸の存在下でのN−カルボキシメチレン−4−クロロ−ア
ントラニル酸の反応(J.Heterocycl.Chem.1987、24、
812と同様)
17.2g(75ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ- アント
ラニル酸を170ml(134.16g)のエタノールに懸濁させ、40.3g
(390ミリモル)の濃硫酸を20分の間に添加する。24時間沸騰点に加熱す
る。
反応混合物はHPLC−分析によると81%の相応するジエステル(N−カルボ
エトキシメチレン−4−クロロ- アントラニル酸エチル)およびこの他に19%
の未確認の副生成物を含有している。
N−カルボエトキシメチレン−4−クロロ- アントラニル酸(即ち、モノエステ
ル)は確認できない。
溶液を冷却し、沈殿する生成を濾去しそしてそれをエタノールで洗浄した後にた
った8gのジエステルが結晶化しない粘性物質の状態で得られるので、ジエステ
ルの単離は困難であることが判った。水/氷に母液を注ぐことによって更に2g
の生成物が分離される。
比較例2(ジメチルエステルの製造):
触媒としての多量の酸の存在下でのN−カルボキシメチレン−4−クロロ−ア
ントラニル酸の反応(J.Heterocycl.Chem.1987、24、
812と同様)
17.2g(75ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ- アント
ラニル酸を170mlのメタノールに懸濁させ、40.3g(390ミリモル)
の濃硫酸を20分の間に添加する。24時間沸騰させ、次いで沈殿した生成物を
吸引濾過する。
メタノールで洗浄しそして乾燥した後に12.2g(47ミリモル)の相応する
ジメチルエステル(N−カルボメトキシメチレン−4−クロロ- アントラニル酸
メチルエステル)が得られる。63%の収率に相当する。N−カルボメトキシメ
チレン−4−クロロ- アントラニル酸(即ち、モノエステル)は確認できない。
実施例9:
N−カルボキエトキシメチレン−6−フルオロ−アントラニル酸の製造
10.6gのN−カルボキシメチレン−6−フルオロ−アントラニル酸(73
%の純度、39.6ミリモルに相当する)を25mlのエタノールに懸濁させ、
0.98g(9.6ミリモル)の濃硫酸を添加しそして還流温度に6時間加熱す
る。反応混合物を室温に冷却し、沈殿する生成物を吸引濾過し、エタノールで洗
浄しそして乾燥する。
ベージュ色の染料として5.6g(23.2ミリモル:59%)のN−カルボ
キシメチレン−6−フルオロ−アントラニル酸が得られる。
融点:169℃
質量スペクトルを記録する為に、N−カルボエトキシメチレン−6−フルオロ
−アントラニル酸がガスクロマトグラフィーカラム中で分解してしまうので、未
だ遊離のカルボキシル基をジアゾメタンでエステル化する。
MS(N−カルボエトキシメチレン−6−フルオロ−アントラニル酸メチル):
255、226、209、182、150
実施例10:
水の共沸蒸留下でのN−カルボエトキシメチレン−5−ニトロ−アントラニル
酸の製造
48gのN−カルボキシメチレン−5−ニトロ−アントラニル酸(61%の純
度、122ミリモルに相当する)を50gのエタノールに懸濁させ、1.96g
(19.2ミリモル)の濃硫酸と混合する。更に、145gのクロロホルムを添
加しそして沸騰点に加熱する。その際にエステル化で生じる水を連続的に取り出
し、反応器に連結された水分離器で分離除去する。
12時間後に再度0.5g(4.9ミリモル)の濃硫酸を添加しそして沸騰点
で更に6.5時間加熱する。その際に水が系から除かれる。
次いで250mlのエタノールを添加し、クロロホルムを留去し、沸騰点で短
時間加熱し、沈殿物を濾別し、濾液を濃縮しそして冷却する際に後から沈殿する
生成物を濾別する。乾燥後に全部(沈殿物+後から沈殿する生成物)で31.0
g(116ミリモル)のN−カルボエトキシメチレン−5−ニトロ−アントラニ
ル酸が淡黄色の染料として得られる。これは95%の収率に相当する。
融点:245℃
質量スペクトルを記録する為に、N−カルボエトキシメチレン−5−ニトロ−
アントラニル酸がガスクロマトグラフィーカラム中で分解してしまうので、未だ
遊離のカルボキシル基をジアゾメタンでエステル化する。
MS(N−カルボエトキシメチレン−5−ニトロ−アントラニル酸メチル):2
82、253、209、177、131
実施例11:
N−カルボエトキシメチレン−3−クロロ−アントラニル酸の製造
11.4gのN−カルボキシメチレン−3−クロロ−アントラニル酸(ガスク
ロマトグラフィー分析による純度:52%;25.8ミリモルに相当する)を2
5mlのエタノールに懸濁させ、0.98g(9.6ミリモル)の濃硫酸と混合
する。
沸騰点で3時間加熱し、次いで冷却し、沈殿する生成物を吸引濾過し、冷たい
エタノールで洗浄しそして減圧乾燥する。
5.0g(19.4ミリモル:75%)の黄色染料としてN−カルボエトキシ
メチレン−3−クロロ−アントラニル酸が得られる。
融点:175℃
N−カルボエトキシメチレン−3−クロロ- アントラニル酸はガスクロマトグ
ラフィーカラムで分解してしまうので、質量スペクトルを撮る為に、未だ遊離の
カルボキシル基をジアゾメタンでエステル化する。
MS(N−カルボエトキシメチレン−3−クロロ−アントラニル酸メチル):2
73、271、242、227、225、212、200、198、184、1
82、168、166
実施例12:
水の共沸蒸留下でのN−カルボエトキシメチレン−4−クロロ−アントラニル
酸の製造
23g(100ミリモル)のN−カルボキシメチレン−4−クロロ−アントラ
ニル酸を22gのエタノールに懸濁させ、1.1g(10.7ミリモル)の濃硫
酸と混合する。更に、50gの4−メチレン−2−ペンタノンを添加しそして沸
騰点で3時間加熱する。その際にエステル化で生じる水を連続的に取り出し、反
応器に連結された水分離器で分離除去する。
反応混合物を室温に冷却し、沈殿する生成物を濾過し、エタノールで洗浄しそ
して乾燥する。18.3g(71ミリモル)のN−カルボエトキシメチレン−4
−クロロ−アントラニル酸が得られる。これは71%の収率に相当する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年8月25日
【補正内容】
請求の範囲
1)式(II)
[式中、Rは直鎖状のまたは枝分かれした(C1〜C20)−アルキル基、フェ
ニル基またはCH2−フェニル基であり、その際にこのアルキル基およびフェニ
ル基はハロゲン原子、(C1〜C4)−アルキル基、(C1〜C4)−アルコキシ基
で置換されていてもよい。」
で表される化合物。
2)式(II)の化合物においてRが直鎖状のまたは枝分かれした(C1〜C12)
−アルキル基、フェニル基またはCH2−フェニル基である請求項1に記載の化
合物。
3)式(II)の化合物においてRが直鎖状のまたは枝分かれした(C1〜C6)−
アルキル基またはフェニル基である請求項1に記載の化合物。
4)N−カルボエトキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸、N−カルボメ
トキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸、N−カルボイソプロポキシメチ
レン−4−クロロ−アントラニル酸、N−カルボプロポキシメチレン−4−クロ
ロ−アントラニル酸、N−カルボブトキシメチレン−4−クロロ−アントラニル
酸、N−カルボヘキソキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸およびN−カ
ルボベンゾキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸。
5)請求項1〜4のいずれか一つに記載の化合物を製造する方法において、N−
カルボキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸を
ROH
[式中、Rは請求項1に記載の意味を有する。]
で表されるアルコールと、触媒および場合によっては溶剤の存在下に反応させる
ことを特徴とする、上記方法。
6)溶剤として脂肪族−または芳香族炭化水素、特にシクロヘキサン、トルエン
またはベンゼンを使用する請求項5に記載の方法。
7)アルコールROHは1モルのN−カルボキシメチレン−4−クロロ−アント
ラニル酸当り1〜1000モル、好ましくは1.5〜500モル、特に好ましく
は2〜200モルの過剰量で使用する請求項5または6に記載の方法。
8)触媒として脱水剤、無機系強酸またはそれの塩またはルイス酸を使用する請
求項5〜7のいずれか一つに記載の方法。
9)触媒としてジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N−カルボニル−ジイミ
ダゾール、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホナート
、トリフルオロ醋酸、三フッ化ホウ素、硫酸ナトリウム、塩酸または硫酸、好ま
しくは硫酸または塩酸、特に好ましくは硫酸を使用する請求項5〜8のいずれか
一つに記載の方法。
10)触媒の濃度がN−カルボキシメチレン−4−クロロ−アントラニル酸を基
準として0.5〜100モル%、好ましくは1〜50モル%、特に好ましくは2
〜30モル%である請求項5〜9のいずれか一つに記載の方法。
11)反応を20〜200℃、好ましくは40〜160℃、特に好ましくは50
〜120℃で実施する請求項5〜10のいずれか一つに記載の方法。
12)反応温度が20℃からそれぞれのアルコールROHの沸点まで、好ましく
は40℃からそれぞれの沸点まで、特に好ましくは60℃からそれぞれの沸点ま
でである請求項5〜11のいずれか一つに記載の方法。
13)反応時間が0.5〜60時間、好ましくは0.75〜30時間、特に好ま
しくは1〜20時間である請求項5〜12のいずれか一つに記載の方法。
14)エステル化の際に生じる水を溶剤の共沸蒸留によって分離する請求項5〜
7のいずれか一つに記載の方法。
15)エステル化の際に生じる水を、溶剤として使用する単−または多重塩素化
脂肪族−または芳香族炭化水素の共沸蒸留によって分離する請求項5〜14のい
ずれか一つに記載の方法。
16)エステル化の際に生じる水をオルトエステルの添加によって除く請求項5
〜15のいずれか一つに記載の方法。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),CA,CN,HU,I
L,JP,KR,PL,RU,US
(72)発明者 クラウゼ・シュテファン
ドイツ連邦共和国、D−65843 ズルツバ
ッハ、ノイエンハイナー・ヴーク、6
(72)発明者 ノイマン−グリム・ドリス
ドイツ連邦共和国、D−60388 フランク
フルト・アム・マイン、シュパイエルリン
グヴェーク、21