【発明の詳細な説明】
高フィラメントカウント細フィラメントポリエステル糸の製法
本発明は、溶融紡糸細連続フィラメントポリエステル糸に関係する改善に関す
るものであり、特に高フィラメントカウント(high filament count)(HFC
)のような改善された均一性を有する糸を作製するための改良された工程に関す
るものであり、例えばフィラメントを破断することなしで下流処理を要する繊維
(textile)の最終用途および染色性が問題となる(dye-critical)繊維の用途
における使用にこれらの糸を特に適したものとすることである。
デニール・パー・フィラメント(dpf)が約1未満(すなわち、絹のdpf
に近似)のポリエステルフィラメント糸は、市販されているが、より慣用のdp
fを有するフィラメント糸(綿のdpfに近似)を作製するよりもコスト高とな
る。我々のいわゆる「親」出願第07/647,371号(一部継続出願(米国特許第5,28
8,553号として現在発行)、関連出願(companion case)(米国特許第5,250,245
号として現在発行)があるために現在は放棄、それらの両方の文献に開示された
記載を本明細書で援用する)は、新規の直接溶融紡糸工程による、該細フィラメ
ント(fine filament)の作製法に関するものであった。
売買における細フィラメント繊維(フラットまたは加工)糸への反応は、細フ
ィラメント糸の総糸・デニール(total yarn denier)(DY)がそれが代替する
より高いdpf糸のDYとおおよそ同じでない限り、繊維布地における使用に限
定する傾向があった。例えば、現在使われている(incumbent)糸が、デニール
1.5dpfのフィラメントを有し(この現在の糸を低フィラメントカウント(
LFC)糸として言及する)、フィラメントがLFC糸の半分のdpf、すなわ
ち0.75dpfである細目のフィラメントで代替される場合、現存する繊維の
最終用途における直接代替とする、すなわち同じ布地の重さ(グラム/平方メー
トル)を提供するには、細目のフィラメント(0.75dpf)糸におけるフィ
ラメント
の数は、現在のLFC糸のフィラメントの数のおおよそ2倍である必要がある。
換言すれば、例えば100フィラメントかつ150デニール(すなわち、1.5
dpf)のLFC糸は、低めの0.75dpfのために、同じく150デニール
しかし200フィラメントのHFC糸によって取り替えられるべきである。ある
繊維生産者は、それゆえ、2回(または以上)独立した小さめの細フィラメント
「束」を紡糸し、それとは別の小さめの東を一緒に混ぜ(co-mingled)(インタ
ーレースさせ(interlaced))取り替えられる大きめのdpfのLFC糸の総糸
・デニール(DY)に等しい所望のDYを有する単一のHFC糸を提供する。彼ら
は、この独立した紡糸にかかる紡糸生産性の損失、すなわちたった1つの糸用の
フィラメントを提供するのに2つ(または以上)の紡糸口金が用いられるという
事実に起因する紡糸生産性の損失にかかわらず、これを行ってきた。多くの紡糸
口金を用いる理由は、高めのdpfのフィラメントを紡糸する先行の経験に基づ
いて、満足のいく品質レベルを維持するために(エンドに沿った(アロング・エ
ンド(along-end))デニール、構造均一性および機械特性が、我々の用いる基
準である)。紡糸口金面における「有用な」押出領域(ここではフィラメント押
出密度(FED)として、言及され、#/cm2として得られる)あたりの紡糸さ
れたフィラメントの数(#)を大きめのdpfのLFC糸を紡糸するのに以前用
いられたものを著しく超えて、増加させることは望ましくないと信じられてきた
からである。顧客が繊維生産者から、独立した低糸デニールの小さめの細フィラ
メント糸を受け取ることになっていた場合、顧客は望みの総糸デニール(DY)
を得るために2つ以上のこれらの小さめの細フィラメント糸を一緒に混ぜること
を望むであろうから、最終繊維糸を作る際に彼にとって追加のコストがかかるこ
ととなるであろう。また同じ糸デニール(DY)の単一のHFC束をインターレ
ースすることにより提供されるのと同様な視覚的布地の美観(または染色均一性
)を、独立して紡糸された混ぜこみフィラメント(co-mingling filament)糸は提
供しなかった。換言すれば、諸撚り糸と一体のインターレース糸の間には美観お
よび/または性能の著しい検知しうる相違が存在した。
従って、HFC細フィラメント糸の下流工程のために要求されるアロング・エ
ンド均一性および機械特性を維持しながら、単一押出紡糸口金からの細dpfフ
ィラメントの単一HFC束を紡糸し(すなわち2つ以上のフィラメント束をよる
必要のない)、そしてそれにより紡糸生産性を犠牲にすることのない、溶融紡糸
工程を提供することが望ましかった。
本発明によると、13から23の相対粘性率(LRV)および240℃から2
65℃のゼロ剪断融点(Tm o)を有するポリエステルポリマーから、少なくとも
150の細フィラメントの数(#)および0.5から2.2のスパン・デニール
・パー・フィラメント(dpf)sを有するインターレース・マルチフィラメント
(HFC)糸を溶融紡糸することによる作製工程が提供され、
(i)ポリエステルポリマーを溶融し、得られた溶融物をTm oを超え、25℃
から55℃のポリマー温度(Tp)まで加熱し、そして加熱した溶融物を濾過す
る工程と、
(ii)紡糸口金面にある少なくとも150のキャピラリーを通して、濾過した
溶融物を押し出し、少なくとも6フィラメント/cm2のフィラメント押出密度(
FED)および総溶融物質量フロー速度(total melt mass flow rate)W(g/
分で表す)において、少なくとも150のフィラメントストリーム(filament s
tream)の前述の数(#)を形成する工程と、
ここで、これら全てのストリームの総溶融物質量フロー速度はW(=wx#
) で、ここでwは1つのキャピラリーを通しての質量フロー速度で、かつ=(
dpf)sx(Vs)/9000であり、Vsは、紡糸引き取り速度 (spinning withdrawa
l rate)であり、少なくとも2Km/分であって、
(iii)新たに押し出された(freshly-extruded)フィラメントストリームを
直ちに紡糸口金面の下方でディレイシュラウド(delay shroud)により保護し、
次いでそれらを層流速度(Qam/分)の急冷空気(quenching air)によりスピン
ファクター(Spin Factor)SFが、0.2から1となるよう、冷却する工程と
、
ここで、スピンファクター(SF)は、下記の式で計算される、
SF= k{(LRV)[(Tm o+25)/(Tp)]6[(Vs)2/(dpf)s][(Qa/W)0.2][(FED)(Lq)]-0.7]}n
ここで、"k"=2.4x10+5であり、'n'=マイナス(-)0.8である。
(iv)フィラメントストリームをTg未満の温度まで冷却し、得られた冷却フ
ィラメントを、紡糸口金面からの収束距離(convergence distance)(Lccm)
で、少なくとも150フィラメントの単一のマルチフィラメント束に収束し、そ
して単一マルチフィラメント束をインターレースして、インターレース紡糸配向
糸(interlaced spin-oriented yarn)を提供する工程と
を含み、
ここでインターレース糸は、2から5Km/分の巻取り速度で、パッケージを形成
する。
示されるように、スピンファクター(SF)は、重要であり、下記の式により
定義され、
SF=k[ηaσFQF]n
であり、ここで用いるのは下記の「拡張された」式であり、
SF= k{(LRV)[(Tm o+25)/(Tp)]6[(Vs)2/(dPf)s][Qa/W)0.2][(FED)(Lq)]-0.7]}n
ここで、
k=2.4x105
n=マイナス(-)0.8
ηa(明白な溶融物粘度)=(LRV)[(Tm o+25)/(Tp)]6
σF(紡糸ライン応力ファクター(spinline stress factor))=(Vs)2/(dpf)s
QF(急冷ファクター)=[(Qa/W)+0.2][(FED)(Lq)-0.7]
W(g/分/押出束)=(#フィラメント)x(w)
w(g/分/キャピラリー)=[(dpf)sxVs(m/分)/9000]
Qa=分あたりの空気層流のメートル
FED=「有効な」押出領域あたりの#フィラメント(cm2)
Lq=ディレイ急冷長(cm)
ここでηa、σF、およびQFの3つの全ては、本発明に従って、均一の細フィラ
メント(HFC)糸を紡糸するために、スピンファクター(SF)が0.2から
1となるよう、上記の関係で示されるように、バランスがとれているべきである
。
フィラメントの品質レベルは、アロングエンド・デニール(すなわち、低デニ
ール分布(DS)、望ましくは2.5%未満、特に約2.0%未満、好ましくは
約1.5%未満、そして特別に約1.0%以下であり、これら均一性の基準は、
dpfが減少すると、ますます取得が困難となると考えられている)、構造均一
性(アロングエンド延伸張力(係数)変化(DTV、%)として測定され、望ま
しくは1%未満であるべきであり、スピンファクター(SF)との関係で、より
詳細に論議され、特に、後述の図1を参照のこと)および機械特性(標準化され
た破断時のデニール強力(TB)によって測定され、ここで(TB)n=強力(g/d)(R
DR)s(20.8/LRV)0.75、後に論義するようにここで(RDR)sは、残留(resi
dual)スパン延伸比であり、(RDR)s=[1+(EB)/100]と定義され、ここで
(EB)は破断伸びパーセントである)。
この後議論されるように、ここおよび当該技術でのキャピラリー寸法(Dは直
径、Lは長さ)は、非常に重要である。L/D比が少なくとも2であり、L/D4
値は、少なくとも335mm-3であるような、該寸法が好ましい。
この新しい溶融紡糸工程により、本発明に従い、少なくとも5000の溶融紡
糸生産性を達成することが可能となり、ここで溶融紡糸生産性(Ps)は、引き
取
り速度(Vs)(m/分)および(Ps=Vsx(RDR)s)の式に従う、紡糸配向フ
ィラメントの残留スパン延伸速度(RDR)sから得られ、そして(RDR)sは、(
RDR)s=[1+(EB)/100]として与えられ、ここで(EB)は破断伸びパーセン
トである。
得られるインターレース・マルチフィラメント糸は、後に示されるように、新
しいものと考えられている。というのは、それらは、少なくとも150の細デニ
ールフィラメントを数え、2.2スパンdpf(dpf)sまでの、そして延伸さ
れた時に1dpfまでの、それでもそれらのフィラメントもつれは、一体のイン
ターレースを示す。示されるように、フィラメントには低DTV値として、そし
て望ましくは低DSとして、糸には高(TB)n値として、表されるように、それら
は、望ましい均一性を示す。
ある紡糸配向糸(spin-oriented)は、すなわち紡糸したままの(as-spun)条
件において「直接使用」糸として用いることができ、紡糸配向糸の殆どは、組合
せ(coupled)または別途(split)の工程において、単一エンドまたは2、3の
エンドのシートの形態、またはヨコ糸なしのタテ繊維シート(weftless warp sh
eet)の形態に、延伸され、所望するように残留伸び(residual elongation)が
、通常、約15%から約40%の間であり、かつ標準化(TB)n値が少なくとも5
.5g/dd、好ましくは少なくとも5g/dd、および特に少なくとも6g/ddを有する
延伸フラットマルチフィラメント糸を提供することができる。そのような延伸は
、組合せまたは別途延伸工程の一部として、例えば延伸空気噴射加工(draw air
-jet texturing)または延伸仮撚り加工(draw false-twist texturing)として
、組み込むことができ、その場合糸は、幾分高い伸びまで、例えば、約45%に
まで延伸されることができる。糸は、望むならば、圧縮捲縮工程(例えば、スタ
ッファー・ボックス捲縮)にかけることができる。
本発明のHFC糸(紡糸または延伸、フラットまたは加工糸にかかわらず)は
、
一体のインターレースを有し、少なくとも150フィラメント、好ましくは少な
くとも175フィラメントおよび特に少なくとも200フィラメントを有する。
示されるように、紡糸されたままのフィラメントのスパンデニール(dpf)sは
、望ましくは0.5から2.2であり、そして好ましくは0.6、0.65また
は0.7であり、例えば約2(dpf)sまでである。延伸された(例えば、フラ
ットまたは延伸加工された)本発明のHFC糸のデニール・パー・フィラメント
は、約1以下で、通常約0.8までの、例えば0.2から0.8dpfのフィラ
メントデニールを有する。本発明の延伸加工HFC糸は、破断伸びが15%から
45%、標準化破断時デニール強力が少なくとも4g/dd、好ましくは少なくとも
4.5g/dd、および1000メートルあたり10未満のToray Fray Count、
好ましくは1000メートルあたり5未満であることによってさらに特徴づけら
れる。
後で嵩高にできる(post-bulkable)高フィラメントカウント(HFC)糸は
、デニールおよび/または断面の異なる2つ以上のタイプのフィラメントを含む
HFC混合フィラメント糸を、フィラメントタイプ間に潜在的な異なる収縮率(
potential differential shrinkage)を提供する(結晶性の差のため)ような選
ばれた条件下において、紡糸および穏やかに熱固定することにより作製すること
ができる。すなわち、このような選ばれた条件とは、少なくとも5%の収縮差を
保存するのに十分であり(すなわち、固定のため加熱しすぎないよう)、そして
延伸混合フィラメント糸が、緩やかな条件下加熱される場合、HFC延伸混合フ
ィラメント糸が十分な異なる収縮率を保持し、差異を伴って収縮し、そして異な
るフィラメント長を有する(エンドに沿ったループを与える)糸を与え、それに
より表面フィラメント(もとは低収縮性)のdpfよりも大きい(dpf)coreを
有するコアフィラメント(もとは高収縮性)を含むHFCバルキーヤーンを提供
するような条件のことである。本発明のHFC混合収縮糸において、精錬(boil
-off)収縮後(ABO)の表面フィラメントは、望ましくは1未満の(dpf)ABO
、そして好ましくは0.8未満を有し、総糸平均(dpf)Y(精錬後)は、(
例えば、実施例5に示すように)通常1未満となるべきである。
本発明のさらなる態様および具体例は、この後表される。
図1は、先に定義し延伸張力変数(DTV、%) 対 スピンファクターSF
の図である。本発明の未延伸糸は、好ましくは1%未満のDTV値を有し、SF
が、破線で示された0.2から1の範囲内となるように紡糸される。本発明の好
適な糸を作製するためのDTVおよびSF値の好適な組合せは、線AおよびCの
間の陰をつけた領域/////により表され、ここで線AおよびCは、式DTV=a(
SF)+bを有し、ここでa=1かつ、線AおよびCそれぞれにおいてb=+0
.2および−0.2、(特に好適な線Bのどちらの側も、線Bでは、b=0であ
ることを除き、同様に表現される)そしてDTVおよびSF値は共に0.2およ
び1の間である。
図2は、精錬収縮パーセント(S) 対 破断伸びパーセント(EB)の表現
図であり、ここで直線1、2、3、4、5、6、7および8は(1−S/Sm)が数値
0.85、0.7、0.6、0.4、0.2、0.1、0.05および0を、それぞれ表し、曲線9は、例
えば、紡糸速度を増加するが他の全ての工程変数を変化させることなく、形成さ
れる一連の糸での典型的収縮 対 破断伸びの関係を表す。他の工程変数(dp
f、ポリマー粘度等)を変えると、本質的に類似の配置である類似の曲線の「フ
ァミリー」を生産する。垂直な破線は、本発明の好適なフィラメントのEB値の
範囲を示す。すなわち、EB値は40%から175%、経時安定性に基づき、1
60%が事実上の上限であり、特に140%までである。
「幅広斜線部の」/////領域によって表される本発明の好適なフィラメントは
、延伸フィード糸に特に適しており、約90%から160%のEB値および少な
くとも約0.05の(1−S/Sm)値によって定義される(線7)。
特に直接用法(すなわち、さらなる延伸および/または加熱の必要のない)に
適した本発明の好適なフィラメントは、約40%から約90%のEB値および少
な
域によって表される(線1)。
式(1−S/Sm)は、応力誘発結晶化相対度(SIC)として、ここで用いられ
る。Smは、結晶比度の非存在下における所定の分子の伸長度(EB)のフィラメ
ントに期待される最大収縮ポテンシャルであり、下記のように計算することがで
きる。
Sm(%)=([(EB)max−EB]/[(EB)max+100])100%
ここで(EB)maxは、総非晶質「等方性」フィラメントの期待される破断伸び(EB
)の最大値である。典型的繊維粘性率LRV値が約13から約23のポリマーか
ら紡糸されるポリエステルフィラメントでは、(EB)maxの標準値は、6.5の最
大残留延伸比を提供するには実験的に約550%であると知られている(参考文
献:高速繊維紡糸、A.ZiabickiおよびH.Kawai編、Wiley-Interscience(1
985)409頁)そして、このように、Sm(%)は、次に示す単純な式によって、こ
こでは定義される。
[(550−EB)/650]x100%
図3および4は、高フィラメント押出密度(FED)を有する部分的紡糸口金
配列の部分略図である。配列は、押出束を通る冷却空気の流れを最適にするよう
に、そして、押し出されたばかりのフィラメントの癒着および劣った紡糸成果お
よび急冷されたフィラメント束の劣ったアロングエンド均一性を最小にするよう
に設計されている。そのような配列は、Anejaらによって1994年3月16日に出願
された、許可された出願No.08/214,717(DP-4555H)において記述されており
、図3の5環(5-ring)配列は、単に便宜上これから採用した。孔(オリフィス
)は、HFC糸を与えるために、同様に互い違いにしながら、より多くの環を配
列することができ、単一の紡糸口金からの紡糸されるフィラメントの数を増加さ
せること
ができる。これは、図4において、単一の紡糸口金からの200フィラメントを
紡糸するものが示される。
本発明の紡糸配向フィラメント糸作製用に用いられるポリエステルポリマーは
、「親」出願用と同様である。すなわち、ポリエステルポリマーは、約13から
約23の範囲の相対粘性率(LRV)、約240℃から約265℃の範囲のゼロ
剪断融点(Tm o)、そして望ましくは約40℃から約80℃の範囲のガラス転移
温度(Tg)、を有するよう選ばれたエチレンテレフタレートポリマーである(
ここでTm oおよびTgは、窒素ガス下、1分あたり20℃の加熱速度で2回目の
DSC加熱サイクルから測定される)。前記ポリエステルポリマーは、Aおよび
Bが交互になっている構造ユニットからなる線状縮合ポリマーであり、ここでは
Aのユニットは、構造式[-O-R'-O-]のハイドロカルビレンジオキシユニッ
トであり、Bのユニットは、構造式[-C(O)-R"-C(O)-]のハイドロカルビ
レンジカルボニルユニットであって、ここでR'は、主に[-C2H4-]であり、
エチレンジオキシ(グリコール)ユニット[-O-C2H4-O-]として、およびR"
は、主に[-C6H4-]であり、1,4-フェニレンジカルボニルユニット[-C(O)-
C6H4-C(O)-]として、十分なエチレンテレフタレート[-O-C2H4-O-C(
O)-C6H4-C(O)-]繰り返し基(repeat group)を提供し、約240℃および
約280℃の間のTm oを維持する。好適なポリ(エチレンテレフタレート)を基
礎とするポリマー(ここではPETまたは2GTとして表す)は、例えばH.Lu
dewigによる著書「ポリエステル繊維、化学と技術」、John Wiley and Sons
Limited社刊(1971)に記述されているようなDMT法、または例えば、Edgin
gの米国特許第4,110,316号に記述されているようなTPA法によって形成するこ
とができる。例えば、15パーセントまで(または20パーセントまでさえも)
までのハイドロカルビレンジオキシおよび/またはハイドロカルビレンジカルボ
ニルユニットが異なるハイドロカルビレンジオキシおよびハイドロカルビレンジ
カルボニルユニットで置き換えられ、改良された
(enhanced)低温での分散染色性、風合い、および美的特性を提供するコポリエ
ステルも含まれる。置き換えに適したユニットは、例えば、殆どの米国特許第4,
444,710号(実施例VI)、Pacofskyの米国特許第3,748,844号(Col.4)、およ
びHancockらの米国特許第4,639,347号(Col.3)に開示されている。
ここで用いられるポリエステルポリマーは、望むならば、エチレン-5-M-スル
ホイソフタレート残留部(residue)のような、イオン性染色部位を組み込むこ
とによって改質することができ、ここでMは、アルカリ金属陽イオン、例えば、
約1から約3モルパーセントの範囲内である。紡糸配向フィラメントおよび延伸
フィラメントの染色性またはそれからの他の特性を調整するには、若干のジエチ
レングリコール(DEG)を、BosleyおよびDuncanの米国特許第4,025,592号
により開示されているように、ポリエステルポリマーに加えることができ、およ
びGoodleyとTaylorの米国特許第4,945,151号に記述されているように、分枝剤
(chain-branching agent)と組合せることができる。分散染料との染色性を増
大させるには、殆どの米国特許第4,444,710号、Pacofskyの米国特許第3,748,84
4号、Hancockの米国特許第4,639,347号、およびFrankfortとKnoxの米国特許
第4,134,882号および第4,195,051号に述べられているようにコポリエステルを用
いることができる。コポリエステル糸の高い収縮を克服するために(与えられた
エンド使用で望ましくないと考えられるならば)、Knoxの米国特許第4,156,071
号、MacLeanの米国特許第4,092,229号、およびReeseの米国特許第4,883,032
号、第4,996,740号、および第5,034,174号に述べられたように収縮を減らすため
に、代表的分枝剤を用いることができ、粘度の高いポリマー(例えば、約+0.
5から約+1.0LRVユニット)は、糸の収縮をコントロールするのに用いる
ことができる(例えば、結晶化度の程度)。
殆どの溶融紡糸工程の詳細は、米国特許第5,250,245号および第5,288,553号に
おいて述べられているので、繰り返す必要がない。ポリマーは、温度Tpまで加
熱され、好適な寸法のキャピラリー(示されたように、L/D4が少なくとも33
5
mm-3)を通して押し出され、押し出されたばかりのフィラメントストリームは、
短いディレイシュラウド(好ましくは2から5cmの長さの)で直ちに保護され
、次いでDauchertによる米国特許第3,067,458号およびKnoxの米国特許第4,156
,071号の実施例1、2および11に記述されているように、好ましくは放射状に
、急冷され、この固体フィラメント(solid filament)を形成する。この固体フ
ィラメントは、例えば、Agersの米国特許第4,926,661号に記述されているよう
に計量器付き仕上チップアプリケーターガイド(metered finish tip applicato
r guide)によって、好ましくは単一束へ収束される。この収束は、低い下流空気
の引き(drag)に対する要求(高い巻取り張力を与える) 対 最適急冷空気流
(低DTVおよび低DSを提供するため)に対する要求とのバランスをとるため
に収束長(Lc)を選択しながら行われる。通常、引き取り(withdrawal)速度
は、供給ロール(好ましくは、S捲き(S-wrap)配置を用いて、捲き取りの前に
失速ロール(let-downroll)と連動する)の使用によってコントロールされる。
BuntingとNelsonによる米国特許第2,985,995号およびAgersによる米国特許第
4,926,661号において記述されているように、単一フィラメント束は、インター
レースされ、一体のインターレース糸を提供する。インターレースは、慣用の方
法によって、例えばHittの米国特許第3,290,932号のように、またはピン・カウ
ント(pin count)、それは数種の示度の平均であるが、を与えるRothschild装
置によって都合良く測定される。
一般に、未加工フィラメントおよび糸は、ここで「フラット」として、そして
延伸される紡糸されたままの(未延伸)フラット糸は、「供給」または「延伸供
給」糸として言及される。さらなる延伸および/または熱処理の必要のない「繊
維」糸として用いることのできる紡糸されたままの(未延伸)糸は、ここでは「
直接使用」糸として言及される。繊維の目的には、「繊維」糸は、十分に高いモ
ジュラスおよび降伏点、および十分に低い収縮率などの、ある種の最小限の特性
を通常有するべきであり、これらの特性は、繊維への加工および引き続く使用の
ために最小限の特性を有する前にさらなる加工を要する従来のフィード糸から該「
繊維」糸を区別するものである。適切ならば、我々の技術教示は、他の形態のポ
リ
エステルフィラメント、例えば、次いでステープルファイバーに変換することが
でき、好ましくそして、この後教示されるように達成されうる特性のバランスに
従って用いることができる、束またはトウにも適用することができることが認識
されるであろう。
示すように、本発明の主な目的は、生産性の問題および先行技術の欠点を解決
するということである。すなわち、それらの間題点および欠点としては、低フィ
ラメント数の独立したフィラメント束を溶融紡糸し、および2つ以上のそのよう
な独立したフィラメント束を組合せ、延伸整経する前または延伸加工した後に、
そのようなより少ない束(少ないフィラメントを有する)をインターレースまた
は一緒に混ぜることにより所望の総糸デニール(DY)を提供することである。
そしてこれを解決する過程で、ここではアロング・エンド延伸張力変数(DTV
、%)、アロング・エンドデニール分布(DS、%)(これは十分な物理的均一
性を示す)によって測定される十分なアロング・エンド構造均一性、および機械
特性(繊維加工に用いられる、20.8のLRVのポリマーに標準化された、糸
の破断時デニール強力により測定される)のフィラメント(すなわち、ここでは
「フレイ(fray)(ほつれ)」として言及される破断したフィラメントが本質的
に存在しない均一な繊維糸を提供する)を提供することである。示されるように
、我々は、ポリマー(LRVおよびTm o)および0.2から1範囲内のスピンフ
ァクター(SF)を提供するような、特にDTV(%)が1未満、例えば0.2
から1であり、かつまた[SF +0.2]および[SF −0.2]の間であ
るような、工程条件を注意深く選択することによりこれを達成してきた。言い換
えれば、前述のように、これらのファクターは、重要であり、本発明によると、
ηaは、温度Tpにおける「明白な」溶融物粘度であり、σFは、紡糸ライン応力
ファクターであり、QFは、急冷ファクターであり、本発明に従う単一紡糸口金
から均一な細dpfHFC糸を紡糸するために、これら3つは全て示されたよう
にバランスがとれているべきである。
本発明の細フィラメント糸は、タテ糸延伸、空気噴射加工、仮撚り加工、ギア
捲縮、およびスタッファボックス捲縮、等にかけることができる。
通常、「ベント・ダブル・ヒーター配置(bent double heater configration
)」(例えば、Barmag FK900のような、そしてここでは工程Aとして表され
る)によって特徴づけられる仮撚り加工(FTT)機械で細dpfフィード糸を
延伸加工する場合、1000メーターあたり500から1000の非常に高い東
レ・フレイ・カウント(Toray Fray Count)(破断フィラメント)が得られ
た。しかしながら、我々が第1の上流接触点と第1の摩擦加撚挿入点との間の破
断角度を15度未満に減じることによって撚り誘発延伸(twist-induced draw)
を減じるために、および上流接点の曲率半径を2.5mmを超えるまで増加させ
るために延伸加工糸ライン(draw-texturing threadline)に装置を挿入した場
合、慣用の「ベント配置」FTT機械において加工した時、我々は破断フィラメ
ント(フレイ)の数を著しく減少(本質的に除去)させ(実施例2および3に示
す)、この技術はここでは工程B(本発明によると)として表される。Barmag
FK900または他の「ベント配置」FTT機械を有する者にとって、この「撚り
トラップ(twist trap)」現象を除去するためにヒーターおよび/またはスピン
ドルを動かして、「ベント配置」を修正したり、または存在する「ベント」機械
を取り替え、そして「背の高い(tall)」線状配置FTT機械を購入、またはム
ラタベルト機械を購入するというようなより高価な解決法よりも工程Bは、はる
かに好ましい。そのような方法は、工程B(本発明の1つの態様である)よりも
、もっと費用のかかる解決法であるからである。
我々の新しいフィラメント(およびそれから得られる東/トウ)は、捲縮され
、望むならば、およびステープルおよびフロックにカットすることができる。こ
れらの改良糸から作られた布地は、慣用のサンディング(sanding)およびブラ
ッシング(brushing)による表面処理によってスエード調触覚を与えることがで
きる。我々の新しい低収縮フィラメント糸は、直接使用フラット繊維糸として用
いることができる。新しい糸は、延伸を行う必要のない、空気噴射加工およびス
タッフア・ボックス捲縮用のフィード糸として用いることができる。フィラメン
トの強
さおよび均一性の改善した組合せは、これらのフィラメント糸を、破断したフィ
ラメント(またはフィラメントの破断)のない細フィラメント糸を要する、およ
び/または重要な染料(critical dye)での均一な染色を要する最終用途のため
の処理に特に適したものにすることができる。本発明の細デニールフィラメント
ポリエステル糸は、高エンド密度モイスチュアバリア布地、例えば雨着および医
療着の作製に、特に好適である。編んだおよび織った布地の表面は、(ブラッシ
ングまたはサンディングにより)毛羽立たせることができる。さらにデニールを
減ずるためには、フィラメントは慣用のアルカリ処理により(好ましくは布地の
形態で)処理することができる。
我々の新しいフィラメント、特に陽イオン性染色の可能なものは、好ましくは
Strachanによる米国特許第3,940,917号に記述されている空気によるもつれ(ai
rentanglment)エラストマー糸(およびストリップ)用の被膜としても用いるこ
とができる。本発明の細フィラメントは、紡糸中ライン上で、またはライン外で
、高デニールポリエステル(またはナイロン)フィラメントと共に混ぜ、クロス
染色効果および/または後に嵩高にできる混合収縮ポテンシャルを提供すること
ができ、ここでビーミング/スラッシング(beaming/slashing)しながら、加熱
下オーバーフィードする等のライン外で、または布地の形態で、染料浴中等で嵩
は、大きくなる。インターレースの程度および紡糸の間に適用された仕上剤(fi
nish)のタイプ/量は、繊維加工上の必要性および最終的に所望の糸/布地の美
観に基づき、通常選択することができる。フィラメント表面摩擦特性は、断面、
艷消し剤の選択、およびアルカリエッチングのような処理を通して変化させるこ
とができる。さらに、二酸化チタン艷消し剤に対してシリコンジオキサイドの使
用によって、摩擦特性は、より絹様に高めることができる。他の不活性金属酸化
物も艷消し剤として用いることができる。ここで用いられる紡糸配向ポリエステ
ルフィラメントは、GrindstaffおよびReeseによる米国特許第5,069,844号、第
5,069,845号および第5,069,846号に記述されているように、押し出されたばかり
のフィラメントに苛性アルカリを適用し、好都合に処理することができ、よりナ
イロンフィラメントにより類似した、改良された湿気吐き出し(moisture-wicki
ng)特性を伴
うポリエステルフィラメントを提供することができる。
実に、特にこれらおよび他の技術の進歩としてさらなる変更が明らかとなるだ
ろう。例えば、いかなるタイプの延伸捲き取り機も使用することができ、フィー
ドおよび/または延伸糸の後熱処理(post heat treatment)は、所望ならば、
いかなるタイプの加熱装置(例えば、熱したゴデット、熱空気および/または蒸
気の噴射、熱管を通過、マイクロ波加熱等)によっても適用することができ、仕
上適用は、慣用ロールの適用(conventional roll application)によって実施
することができ、ここで計量器付き仕上げチップアプリケーターが好適であり、
仕上は、例えば、延伸に先立つ紡糸の間および捲き取りに先立つ延伸後に、数ス
テップで適用することができ、インターレースは、加熱または非加熱もつれ空気
噴射を用いて発達させることができ、そして例えば、紡糸の間および延伸の間に
数ステップで発達させることができ、そして糸のヨコ糸のないシート(weftless
sheet of yarn)にもつれリード(tangle-reed)を使用するような他の装置を
用いることができる。
本発明は、この後述べられる種々の延伸および/または熱処理工程における本
発明の糸の利点を利用するための、さらなるバリエーションおよび方法に役立つ
。理解されるように、フィードフィラメントは、本発明に従い、糸の形態でまた
はフィラメント束(必ずしも真の「糸」の一貫性を有する必要はないが、便宜上
、ここでは複数のフィラメントは、糸または束として、そのような用語によって
特別な制限を意図することなく、しばしば言及される)として供給され、および
/または加工される。
試験方法
試験法の多くは、「親」出願および米国特許第4,123,882号、第4,156,071号、
第5,066,4475号、および第5,288,553号において詳細が述べられ、これらの記載
を本明細書で援用するので、ここでのさらなる詳細な議論は、余分であろう。
破断したフィラメント、特に加工糸は、商業的Toray Fray Counter(DT
104型、東レ株式会社、日本)で、700mpmの直線速度で5分間、すなわち
3500
メートルあたりのフレイ(ほつれ)数で測定された。次いでフレイ数は、ここで
は1000メートルあたりのフレイ数として表わされる。
延伸張力変数(DTV)は、デュポン社の「延伸張力計(Draw Tension In
strument)」で1.707Xの延伸比で少なくとも90%の伸びを有する紡糸さ
れたままの糸に対し、1メートルの長さのヒーター上を185ypm(169.
2mpm)で185℃で測定され、ここでは張力をコントロールするのにカサブ
ランカタイプロール(casablanca type rolls)(ニップロールnip rollsに対し
)が用いられる。デュポン社の機械およびその有効性に関する情報の問い合わせ
は、E.I.DuPont de Nemours and Company社のEngineering R&D部(Wi
lmington,Delaware 19898)に宛てることができる。同様な原理を用いる別の器
械ブランド(しかし、デュポン社の機械と対応すべき)は、TEXTECHNO
社製のDYNAFILであり、これは、非接触ヒーターを用いる固定歪み装置(
fixed-strain device)(長さ約30インチ)であり、そして、標準セットアッ
プは、1.6Xの延伸比である。
下記の実施例は、単一の紡糸口金から単一の束にフィラメントを紡糸して15
0を超えるフィラメントのマルチフィラメントHFC糸の調製法を示すことによ
り、さらに本発明を説明するものであるが、制限を意図するものではない。
実施例1
我々は、公称21.2LRVおよび255℃のゼロ剪断融点Tm oを有する2G
-Tポリエステルポリマーからフィラメント押出密度(FED)を変化させて、
多数のマルチフィラメントHFC糸を紡糸した。これらの一部の工程および生成
物の詳細は、表Iに要約される。記録された最も低いdpfは、0.6まで下っ
た(150デニール、250フィラメント糸)。そのような低めのdpfの紡糸
されたままの糸は、この後、実施例4に記述される。比較アイテムは、アイテム
6Cのように文字Cによって表示される。0.75%未満のDTVを有する糸は
、
好適を示す文字「P」によって表示される。2から2.5%の範囲内のデニール
分布(DS)値を有する糸は、文字「N」によって表示される(好適でないが本
発明によるものを示している)。少なくとも6g/ddの好適な標準化破断時デニー
ル強力(TB)nを有する糸は、文字「T」によって表示される。160から175
%の範囲内のは破断伸び(EB)値を有する糸は、文字「E」によって表示され、
そのような糸は、低い破断伸び、例えば90から160%(好ましくは90〜1
40%)の延伸フィード糸よりも低い経時安定性を有する。1から46、84か
ら150、および159から185の糸は、長さ(L)36ミル(0.914m
m)および直径(D)9ミル(0.229mm)の紡糸口金キャピラリーを用い
て、溶融紡糸された。47から83の糸は、LxD 21ミルx7ミル(0.5
33mmx0.178mm)の紡糸口金キャピラリーを用いて、溶融紡糸された
。151から158の糸は、LxD 18ミルx6ミル(0.457mmx0.
152mm)の紡糸口金キャピラリーを用いて、溶融紡糸された。1から46の
糸は、6.54#/cm2のFEDを有する紡糸口金から紡糸された168フィラ
メント糸であった。47から150の糸は、7.7#/cm2のFEDを有する紡
糸口金から紡糸された200フィラメント糸であった。151から158の糸は
、7.94#/cm2のFEDを有する紡糸口金から紡糸された204フィラメン
ト糸であった。そして159から185の糸は、9.74#/cm2のFEDを有
する紡糸口金から紡糸された250フィラメント糸であった。
(比較「C」アイテムによって)示されるように、FEDが増加すると、これ
らHFC糸の紡糸実績が低下することを、我々は発見した。この劣化に打ち勝つ
ため、我々の最初のステップは、標準的工程変数および装置をチェックし、最適
化することであった、例えば均一な空気フローを確実にすること、および適切な
収束長(すなわち、粘着性のフィラメントなしに収束を可能にする程度に長いが
、空気引き(drag)からの紡糸ライン張力の増加を減ずる程度に短い)を最適化
すること、および良いポリマー品質を提供するポリマー温度にセットする(熱的
変
性なしに)ことである。我々は、この最初のステップが紡糸実績を幾分か改善す
ることを発見したが、それでもまだ満足のいかない場合もあった。我々の次のス
テップは、押出/急冷工程を再考することである。我々にとって、(単一パック
の代わりに2つのパックから紡糸する)ダブル・エンディング(double-ending
)により、FEDを減じるのは、生産性を50%に削減することになるので、許
容できなかった。我々の目的は、糸の器械特性(TB)n、アロング・エンドデニー
ル(DS)、およびアロング・エンド構造(DTV)をダブル・エンディングなし
に改善させることであった。スピンファクター(SF)の式は、紡糸工程へのア
プローチを統合システムとして定義するもので、我々の発明による工程変数の選
択を可能にし、所望の糸の特性目標を達成する。次のステップは、高い紡糸生産
性Ps(紡糸速度(Vs)および(RDR)sによる生成物によって定義される)にお
ける紡糸実績および糸の均一性/品質を維持するよう注意深く工程変数を選択す
ることによる「良い協調(fine-tune)」であろう。表I中のアイテム14は、6g
/ddを超える(TB)n、1%以下のデニール分布(DS)、および0.75%以下の
延伸張力変化(DTV、%)を得るためのSFの利用法の例証である。
LxD 21x7ミル(0.533x0.178mm)のキャピラリーが、同
じ質量フロー速度においてLxD 36x9ミル(0.914x0.229mm
)のキャピラリーよりも包括的により良い紡糸工程を与えることを我々は観測し
た。キャピラリーは、以前はそれらの[L/D4]比によって特徴づけられていた
(例えば、米国特許第4,134,882号)。メートル法では、6x18ミル、7x2
1ミル、および9x36ミルのキャピラリーは、848、534、および335
の[L/D4、mm-3]値を各々有する。本発明の工程によると、[L/D4]のメ
ートル法での値は少なくとも335が好適であり、少なくとも500が特に好適
である。
フィラメント配列は、均一な急冷に(図3に関して、および認可された出願第
08/214,717(DP-4555-H)号、上記で言及、により詳細に記述されているように
)
最適であるようにされた。スピンファクター(SF)を計算するには、表Iに含
まれていないそれらの工程パラメーターは、これより前に記述されたように計算
することができる。紡糸仕上げおよびインターレースのタイプおよびレベルは、
意図する最終用途に基づいて選ばれた。例えば、仮撚り加工用のフィード糸が、
延伸整経用のフィード糸として用いられるものよりもインターレースの度合いが
低い。
これら全ての糸は、「ランダム」一体インターレース、すなわちアロング・エ
ンドフィラメントもつれ、によって特徴づけられる。なぜなら、各糸中の全ての
フィラメントは、単一の紡糸口金から紡糸されたからである。諸撚りされた糸(
plied yarn)は、元のフィラメント束が包括的な束内(intra-bundle)もつれが
少ない部分を通常含む、すなわち、独立して紡糸された束は、それらの独立した
「束の全体性(bundle integrity)」の一部を維持している。この現象は、認識
されていた。例えば、異なるポリマー(ホモポリマーおよび陽イオン性可染改質
ポリマー)、dpf、および断面の独立したフィラメントの束が紡糸され、次い
で独立した束は、単一のインターレース糸に一緒に混ぜられた場合、混合された
フィラメントは、単一の押出口金から紡糸されたかのようであるほどアロング・
エンド混合は、「ランダム」または一体でなかった。これは諸撚り糸の欠点であ
り、均質でない染布地および劣った下流繊維加工の原因となっている。それぞれ
に独立して紡糸されたフィラメント束は、そのような独立して紡糸されたフィラ
メントの束が一緒にインターレースされ、単一の糸に混ぜられた後でさえも、通
常、完全にその「束の全体性」を失うわけではない。対照的に、本発明のHFC
糸は、より一体なインターレースを示した。なぜなら、HFC糸の全てのフィラ
メントは、単一の紡糸口金から紡糸されたからである。それらは、異なる紡糸口
金から紡糸されたことからの残りの「束の全体性」を有しない。諸撚り糸と一体
インターレース糸(単一の紡糸口金から紡糸され、それから単一フィラメント束
のみにインターレースされた、全てのフィラメント)とのこの違いは、この後、
実施例6に示される。
実施例2
21.2LRVポリエステルを288℃で、cm2あたり7.8フィラメント
のFEDを有する紡糸口金から、LxD寸法 7x21ミル(0.2756mm
x 0.8268mm)のキャピラリーを通して、溶融紡糸により調製された
255デニール200フィラメントの延伸フィード糸(ここで押し出されたばか
りのフィラメントは、短い3cmのシュラウドによって保護され、22.8m/
分の空気層流速度を有する放射状ユニットを用い次いで急冷され、急冷されたフ
ィラメントは、計量器付き仕上げチップアプリケーターガイドの使用により、一
体な束に収束され、そして2195m/分の紡糸速度で引き取られる)は、Bar
mag FK900上でポリウレタンディスク(Dリング)を用いて、他に指示されぬ
限り、分あたり450〜500メートルで工程A(慣用の)および工程B(本発
明の1つの態様に従う修正された糸ラインパス(modified threadline path)に
より、延伸仮撚り加工された。表IIは、工程条件を要約しており、すなわち、
延伸比、ディスク対糸(DY)の表面速度比は1.707、ヒーター温度(温度
、℃)、ディスクスタック配置(disc stack configration)(Cはウレタンデ
ィスクのかわりにセラミックのディスクが用いられたことを表す)、前/後ディ
スク張力のグラム(T1/T2)(数例においては値は測定されなかった)およ
び破断フィラメントの数(1000メートルあたりのフレイ)である。1/7/
1ディスクスタック(工程B)を用いて、180℃で、1.575Xの延伸比に
おいて延伸された本発明の延伸フィード糸は、164糸デニール(0.82dp
f)、3.69g/ddの強力、および43.5%の破断伸びを有し、本発明に
よる標準化(TB)n5.3g/ddを与える加工糸を与えた。
実施例3
220デニール/325フィラメント糸および220デニール/250フィラ
メント糸が調製され(325フィラメントは、cm2あたり10.3フィラメン
トのFED、そして250フィラメントは、cm2あたり9.74フィラメント
のF
EDで紡糸されたことを除いて、本質的に実施例2に同じ)、Barmag FK900(「
ベント」ダブルヒーター配置を有する)上で、分あたり450〜500メートル
で、160℃で、1.707のディスク/糸比(D/Y)のポリウレタンディス
ク(Dリング)を用いて、他の詳細は表IIIに示されている、延伸仮撚り加工さ
れた。加工糸の品質は、標準化破断デニール強力(TB)nおよび1000メートル
あたりの「フレイ」数で表される。糸は、商業的糸ラインパス(工程A)を用い
て、および工程Bを用いる修正された糸ラインパス(上記で議論された)によっ
て加工された。工程Bでの著しく改善した値(高い(TB)n値および10未満の非
常に低いフレイ数)と比較して、工程Aにより加工された糸は、(TB)n値が4g
/dd未満、および100を著しく超えるフレイ値を有した。
実施例4
1未満のフィラメントデニールの紡糸されたばかりのHFC糸は、公称21.
2LRVおよび255℃のゼロ剪断融点Tm oを有する2G-Tポリエステルポリ
マーから紡糸された。方法および生成物の詳細は、表IVに要約されている。0
.75%未満のDTVを有する糸は、好適を示す文字「P」によって表示される
。好適な標準化破断時デニール強力(TB)n値が少なくとも6g/ddを有する糸
は、文字「T」によって表示される。糸1〜5は、168フィラメントからなり
FEDが6.54/cm2の紡糸口金から紡糸され、糸6〜27は、200フィラ
メントからなりFEDが7.8/cm2の紡糸口金から紡糸され、糸28〜74は
、250フィラメントからなりFEDが9.73/cm2の紡糸口金から紡糸され
た。糸1、6〜17、および28〜50は、7x21ミル(0.178x0.5
33mm)の紡糸口金キャピラリーを用いて紡糸され、そして糸2〜5、18〜
27および50〜74は、9x36ミル(0.229x0.914mm)の紡糸
口金キャピラリーを用いて溶融紡糸された。
本実施例4における高フィラメントカウント糸は、1未満のフィラメントデニ
ールを有する。多くは、フィラメントデニールが0.5未満に、そして0.3d
pf未満にまでさえ、延伸することができる。糸#の3および5は、各々11.
4および4.2の精錬収縮を有し、所望ならば、延伸および熱セットなしに直接
使用糸として用いることができ、またはその糸は、米国特許第5,067,447号、第5
,244,616号、第5,145,616号、第5,223,197号および第5,250,245号に記述される
ように延伸フィード糸として用いることができる。
実施例5
柔らかいバルキーヤーン(およびそれから得られる布地)は、通常デニールの
差および/または表面対体積の比(すなわち、断面の形)の違いによる異なる収
縮度を有するフィラメントを含む混合フィラメント糸の使用により提供され、す
なわち低収縮細フィラメント(A)は、バルキーヤーンの所望の柔らかい表面を
提供し、高めのデニールフィラメント(B)は、布地に改善された「本体、ボデ
ィ(body)」および「ドレープ(drape)」(すなわち、「柔らかすぎ(mushy)
」ない)を提供する。本発明の混合収縮度高フィラメントカウント糸は、簡潔に
は異なる(dpf)sを有する2つのフィラメントタイプからなるものとして説明
される。紡糸された糸を25%の破断伸び(EB)まで延伸する際、例えば、延伸
フィラメントデニール(dpf)Dは、(dpf)D={(dpf)sx[(1.25/(R
DR)s]}という式によって与えられ、ここで両方のフィラメントタイプの(d
pf)D値は、好ましくは1未満である。丸い(round)フィラメント用に異なる
収縮を提供するには、2つのフィラメントタイプは、紡糸された(dpf)sが異
なっているべきで、高収縮フィラメント(B)は、低収縮フィラメント(A)よ
りも高いdpfであるべきである。異なる(dpf)sの単一エンド高フィラメン
トカウントフィラメント束を紡糸するには、紡糸口金キャピラリー寸法が所望の
差異を提供するよう選ばれ、(dpf)sの比は、下記の式に従って、紡糸口金の
寸法の比に関係し、
(dpf)B/(dpf)A=[(L/D4)A/(L/D4)B]n
ここで指数「n」は1に等しく、ニュートン流体様の行動をとる。これは、実験
的に同一紡糸口金における異なる寸法の2つのキャピラリーを通して紡糸するこ
とによって決定することができ、下記の式で表わされる。
n=log10{(dpf)A/(dpf)B}/log10{(L/D4)B/(L/D4)A}
丸くない(non-round)断面用には、短い(形状形成)オリフィスキャピラリー
から最初にメータリング(metering)キャピラリーを通過した後、紡糸され、(
L/D4)の決定値は、形状形成キャピラリーのものよりもむしろ、メータリング
キャピラリーによるものであった。技術の進歩に伴い、しかし、おそらくメータ
リングキャピラリーが必要でなくなるくらいまで形状形成プレートの厚みが増加
すると予想される。実験より、「円形に相当する(round equivalent)」(L/
D4)値は、既に記述したのと類似の技術を用いて、形状形成する非円形断面(od
d-cross-section)オリフィスキャピラリーおよびメータリングキャピラリー組
立品のどのような特定の組合せでも決定することができる。
フィラメントの破断を裂けるために、15%と40%の間の破断伸び値にまで
延伸するのが望ましく、それは2つのフィラメントタイプの(RDR)sに適切な
PDRを選択することにより達成することができ、ここでPDR=総工程の延伸
比=機械延伸比xオーバーフィード(またはリラクセーション)である。
上記混合フィラメントミクロデニールHFC糸は、延伸なしに空気噴射加工す
ることができ、または延伸ステップを、延伸・空気・噴射(+必要に応じて熱リ
ラクセーション)加工工程の一部とすることができる。
実施例6
本発明による225デニール、200フィラメント延伸フィードHFC「一体
」糸は、21.5LRVのポリエステルを、288℃で、FED7.8フィラメ
ント/cm2を有する単一200キャピラリー紡糸口金から、DxL寸法9x36
ミル(0.229mmx0.914mm)のキャピラリーを通して、溶融紡糸に
よって調製され、押し出されたばかりのフィラメントは、短い4.3cmのシュ
ラウドによって保護され、次いで22.8m/分の空気層流速度を有する放射状
ユニットを用いて急冷され、急冷されたフィラメントは、計量器付き仕上アプリ
ケー
ターガイドの使用によって一体な束に収束され、2446m/分の速度で引き取
られ、そしてフィラメントは、空気もつれ噴射を用いて36psigで、インタ
ーレースされる。フィラメントをインターレースするのに用いられる空気噴射は
、標準的「積み重ね(stacked)」噴射で、Christiniらの米国特許第3,936,577号
の図XIおよびXIIにおおよそ記述されたとおりで、これがここ数年来の商業
的用法である。
比較のために、255デニール、200フィラメント延伸フィード「諸撚り」
糸は、21.7LRVのポリエステルを、287度で、各々FED4.4フィラ
メント/cm2を有する2つの独立した紡糸口金から、DxL寸法12x50ミル(
0.305mmx1.27mm)のキャピラリーを通して、溶融紡糸によって調
製され、押し出されたばかりのフィラメントは、空気急冷され、別々に計量器付
き仕上アプリケーターガイドの使用によって2つの100フィラメント束に収束
され、どちらも2624m/分の速度で引き取られ、そして別々の100フィラ
メント束は、HFC糸に用いられたのと同じタイプの空気もつれ噴射を用いて、
200フィラメント束に諸撚りされ、HFC糸で類似の平均インターレースのノ
ード(節)/メートルを達成するのに、前記噴射は42psigで行われる。この
糸は、「諸撚り」糸として下記では言及される。
記述されたように生産された6つのHFC糸パッケージおよび6つの諸撚り糸
パッケージは、インターレース特性を比較するためにFibre Vision,Inc社の
ファイバースキャンFS 100を用いで分析された。各糸パッケージの66.7メ
ートルが、1650m/分の糸速度で測定され、結果は下記の表に記録されてい
る。
明らかなように、これらの結果は、6パッケージ全てにわたって測定された平
均のみを考慮した場合、かなり匹敵しうるようにみえる。しかしながら、糸の均
一性を考慮すると、ニップ間の最大距離およびこれらの最大距離のパッケージ間
の%CVに注目することにより、本発明のHFC糸は、有意に優れた均一性を有
することが示された。アロング・エンド均一性におけるこの著しい改善は、より
良い加工性においても現れる。
パッケージ間の%CV
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 コリンズ,ロバート,ジェイムズ
アメリカ合衆国 28405−9366 ノースカ
ロライナ州 ウィルミントン エヴェレッ
ト クリーク ドライブ 838
(72)発明者 フランクフォルト,ハンス,ルドルフ,エ
ドワード
アメリカ合衆国 28501−2780 ノースカ
ロライナ州 キンストン コロニー プレ
イス 747
(72)発明者 ジョンソン,スティーブン,バックナー
アメリカ合衆国 28409 ノースカロライ
ナ州 ウィルミントン ウイリアムズ ロ
ード 218
(72)発明者 ノックス,ベンジャミン,ヒューズ
アメリカ合衆国 19808−5420 デラウェ
ア州 ウィルミントン オレゴン ロード
40
(72)発明者 ロンドン,ジョー,フォレスト,ジュニア
アメリカ合衆国 27858−5621 ノースカ
ロライナ州 グリーンヴィル エリス コ
ート 210
(72)発明者 モスト,エルマー,エドウィン,ジュニア
アメリカ合衆国 27707−5276 ノースカ
ロライナ州 ダーハム ファイブ オーク
ス ドライブ 4205
(72)発明者 パイ,ギリシュ,アナント
アメリカ合衆国 28105−8843 ノースカ
ロライナ州 マシューズ キルケニー ヒ
ル 2322