JPH11509424A - 合成hpv11ウイルス様粒子 - Google Patents
合成hpv11ウイルス様粒子Info
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- JPH11509424A JPH11509424A JP9506791A JP50679197A JPH11509424A JP H11509424 A JPH11509424 A JP H11509424A JP 9506791 A JP9506791 A JP 9506791A JP 50679197 A JP50679197 A JP 50679197A JP H11509424 A JPH11509424 A JP H11509424A
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、ヒト乳頭腫ウイルス感染の特徴解明に有用である一連の合成ウイルス様粒子、及び該ウイルス様粒子を用いるアッセイを提供する。
Description
【発明の詳細な説明】発明の名称
合成HPV11ウイルス様粒子発明の分野
本発明は、ヒト乳頭腫ウイルス感染の特徴解明に有用である一連の合成ウイル
ス様粒子(VLP)、及び該合成ウイルス様粒子を用いるアッセイに係わる。発明の背景
乳頭腫ウイルス感染は、ヒト、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギ、サル、ヘビ及び
ウシを含めた様々な動物において起こる。乳頭腫ウイルスは上皮細胞に感染して
、通常感染部位に良性の上皮性腫瘍または線維上皮腫を誘発する。乳頭腫ウイル
スは種特異的な感染物質であり、ヒト乳頭腫ウイルスはヒト以外の動物に感染し
得ない。
乳頭腫ウイルスは、感染する宿主に基づき幾つかの異なるグループに分類でき
る。ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)は更に、DNA配列相同性に基づいて60を
越えるタイプに分類される(詳細はH. Pfister編, “Papill
omaviruses and Human Cancer,” CRC Pr
ess, Inc., 1990参照)。乳頭腫ウイルスタイプは、或るタイプ
の乳
頭腫ウイルスの感染に対する中和免疫が別のタイプの乳頭腫ウイルスに対する免
疫をもたらさない、タイプ特異的な免疫原であると考えられる。
ヒトでは様々なHPVタイプが別個の疾患を誘発する。HPVタイプ1、2、
3、4、7、10及び26〜29は、正常個体と免疫抵抗性減弱個体との両方に
おいて良性疣贅を誘発する。HPVタイプ5、8、9、12、14、15、17
、19〜25、36及び46〜50は免疫抵抗性減弱個体において扁平病変を誘
発する。HPVタイプ6、11、34、39、41〜44及び51〜55は性器
粘膜または呼吸器粘膜の良性コンジロームを誘発する。HPVタイプ16及び1
8は性器粘膜の上皮形成異常を誘発し、子宮頸部(cervix)、膣、外陰及
び肛門管の上皮内癌及び侵襲性癌の大部分に関連する。HPV6及び11は、あ
らゆるコンジローム(性器疣贅)及び喉頭乳頭腫のうちの90%を越えるものの
原因物質である。HPVタイプ6のサブタイプのうちで最も多量に存在するのは
HPV6aである。
動物における免疫学的研究から、乳頭腫ウイルス抗原に対する中和抗体の産生
によって対応ウイルスへの感染が妨
げられることが判明した。有効な乳頭腫ウイルスワクチンの開発は乳頭腫ウイル
スのin vitro培養に伴う困難のせいで遅れている。有効なHPVワクチ
ンの開発は、適当な動物モデルが存在しないために特に遅れている。抗体による
乳頭腫ウイルスの中和はタイプ特異的で、ウイルス表面に存在するコンホーメー
ション依存性(conformational)エピトープに依存すると考えら
れる。
乳頭腫ウイルスは小型(50〜60nm)で外膜を持たない二十面体DNAウ
イルスで、8個以下の初期遺伝子及び2個の後期遺伝子をコードする。ウイルス
ゲノムの読み取り枠(ORF)はE1〜E7並びにL1及びL2と呼称され、そ
の際記号Eは「初期」、記号Lは「後期」を意味する。L1及びL2はウイルス
キャプシドタンパク質をコードする。初期(E)遺伝子は、ウイルス複製及び細
胞のトランスフォーメーションなどの機能に関連する。
L1タンパク質は多量に存在するキャプシドタンパク質で、55〜60kDa
の分子量を有する。L2タンパク質は少量存在するキャプシドタンパク質であり
、55〜60kDaの推定分子量と、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって
決定された75〜100kDaの見掛けの分子量
とを有する。免疫学的データは、L2タンパク質の大部分がL1タンパク質に内
在することを示唆している。L2タンパク質、特にC末端に位置する10個の塩
基性アミノ酸は様々な乳頭腫ウイルス間で良く保存されている。L1ORFは様
々な乳頭腫ウイルス間で良く保存されている。
L1及びL2遺伝子は、動物における乳頭腫ウイルス感染の予防及び治療に用
いられるワクチンの製造に用いられている。Zhou等(1991; 1992
)はHPVタイプ16のL1及びL2遺伝子をワクシニアウイルスベクター中へ
クローン化し、得られた組み換えベクターにCV−1哺乳動物細胞を感染させて
ウイルス様粒子(VLP)を作製した。
細菌由来の組み換えウシ乳頭腫ウイルスL1及びL2が作製されている。組み
換え細菌タンパク質に対する中和血清は天然ウイルスと低いレベルでしか交叉反
応しなかったが、これはおそらく天然タンパク質と細菌由来タンパク質とでコン
ホーメーションが相違することに起因する。
HPV6 L1、HPV11 L1、HPV16 L1、HPV18 L1、
HPV31 L1またはHPV16L2 ORFを発現させる組み換えバキュロ
ウイルスを用
いて昆虫Sf9細胞に感染させ、L1及びL2タンパク質が作製された。ウェス
タンブロット解析は、バキュロウイルス由来のL1及びL2タンパク質がHPV
16に対する抗体と反応することを示した。バキュロウイルス由来L1はVLP
を形成する。
Carter等(1991)は、Saccharomyces cerevi
siaeの組み換え株によるHPV16 L1及びHPV16 L2タンパク質
の産生を証明した。Carter等はまた、HPV6b L1及びL2タンパク
質の産生も証明した。HPV6b L1タンパク質は完全長L1タンパク質では
なかった。組み換えタンパク質は細胞内産物及び分泌産物として産生された。組
み換えL1及びL2タンパク質の分子量は天然タンパク質のものに類似した。タ
ンパク質が細胞内に発現された場合その大部分は、細胞を変性試薬の不在下に溶
解させた時不溶性であることが判明した。このように不溶性であることはタンパ
ク質の精製を容易にし得るが、タンパク質の天然エピトープの分析を妨げる恐れ
が有る。
酵母から分泌された組み換えタンパク質は酵母由来の炭水化物を保有すること
が判明した。N末端に結合した酵母
由来のオリゴ糖の存在は天然エピトープを隠蔽しかねない。加えて、分泌された
組み換えタンパク質は分泌リーダー配列の保持など、他の改変を有する恐れも有
る。
本発明は、天然乳頭腫ウイルスタンパク質の免疫付与特性を具えた組み換え乳
頭腫ウイルスタンパク質の作製、並びに該組み換えタンパク質の作製方法及び使
用に係わる。本発明は、ヒト乳頭腫ウイルス感染の特徴解明に有用である一連の
合成ウイルス様粒子、及び該合成ウイルス様粒子を用いるアッセイを提供する。
本発明は、中和抗体の結合に必要である、HPV11L1に特異的な残基の解
明(delineation)を含む。
HPV11 L1はHPV6 L1と、38の位置に異なるアミノ酸を有し、
かつ1個の残基が挿入されている点でしか相違しない。上記2種のタンパク質の
著しい同等性にもかかわらず、HPV11 VLPに特異的である一団の中和モ
ノクローナル抗体が発生した。本発明者は、上記アミノ酸の位置のいずれが中和
モノクローナル抗体の結合にとって重要であるかを確認した。この確認は、前記
位置のHPV11アミノ酸残基をHPV6アミノ酸残基に置換
した一群のHPV11クローンへのモノクローナル抗体の結合を評価することに
よって行なった。
HPV11に対する中和モノクローナル抗体団はNeil Christia
nsen(Pennsylvania State University,
Hershey, PA)から入手した。この抗体団に属するモノクローナル抗
体はHPV11特異的であり、かつVLP依存性である。個々の抗体の結合にど
の位置のアミノ酸残基が影響するかという点から抗体同士の区別が可能であるが
、いずれのモノクローナル抗体に関しても位置の重複は存在する。
上記モノクローナル抗体の結合に影響する複数の残基はまとまって、HPV1
1を中和することが知られている抗体にとってのエピトープを規定する。原則と
して、HPV6 L1の突然変異を前記残基に対応する選択的位置においてさえ
生起させれば、HPV11特異的な上記中和モノクローナル抗体との結合が実現
する。HPV6誘導体VLPは、HPV11の中和されるエピトープに対するモ
ノクローナル抗体の生成に用い得る。このことは、製造したHPV11 VLP
が中和されるエピトープを有することを
確認する放出アッセイの基礎を成す。
上記の問題はこれまで解決されておらず、この問題は本発明者の知るところで
は、コンホーメーション依存性エピトープの移入の第一の証明となる。
問題の克服には二つの困難が存在した。第一に、エピトープがコンホーメーシ
ョン依存性であるために、エピトープをマッピングし、ペプチドフラグメントと
結合させる通常の手段は用い得なかった。いずれの試験L1タンパク質も、ウイ
ルス構造を模倣するウイルス様粒子の形成が助長されるようにして発現させなけ
ればならなかった。第二に、マッピングには多数のL1クローンが必要であり、
従って試験ウイルスコートタンパク質を発現させる簡便な手段を実現しなければ
ならなかった。
中和されるエピトープについて知らなければ、商業的に利用できるVLPを確
実に製造することは困難であろう。
誘導体VLPの用途の一つに、HPV11に対する放出アッセイにおける試薬
としての使用が有る。HPV6 L1を、本発明により試験で確認した位置にお
いてHPV11と一致(match)するように突然変異させる。このようにし
て得られたHPV6誘導体VLPへのHPV11
中和モノクローナル抗体の結合を証明する。
上記HPV6誘導体VLPはHPV11中和モノクローナル抗体との結合に関
する競合的結合アッセイに、製造したHPV11 VLPと共に用い得る。モノ
クローナル抗体と結合することが証明されたHPV6誘導体のみが真正物質と競
合する。
あるいはまた、HPV6誘導体上の中和されるエピトープに対するモノクロー
ナル抗体を生成させることも可能である。その場合は、製造したHPV11ワク
チンが上記抗体と結合することを証明する。発明の概要
本発明は、ヒト乳頭腫ウイルス感染の特徴解明に有用である一連の合成ウイル
ス様粒子、及び該合成粒子を用いるアッセイを提供する。図面の簡単な説明
図1は、タイプ特異性を具えたVLPを過渡的(transient)トラン
スフェクションにおいて作製することを示す。Sf9細胞をBaculogol
dTM DNAとpVL1393:CRPVまたはpVL1393:HPV11と
で同時トランスフェクトした。6日後に細胞を
回収し、抽出物を調製し、ELISAを本明細書に述べたように行なった。カラ
ム1はCRPV VLP、カラム2はHPV11 VLP、カラム3はSf9抽
出物、カラム4はバキュロウイルスDNA、カラム5はpVL1393:CRP
V、カラム6はpVL1393:HPV11である。
A.一次抗体をCRPV.5A腹水の10-5稀釈液とする。
B.一次抗体をH11.F1腹水の10-5稀釈液とする。
図2は、過渡的トランスフェクションによって作製した免疫原物質が変性に対
して感受性であることを示す。Sf9細胞をpVL1393:HPV11とBa
culoGoldTM DNAとで同時トランスフェクトし、6日後に細胞を回収
し、抽出物を本明細書に述べたように調製した。抽出物の一部をpH10.5の
0.1M炭酸ナトリウムでの稀釈によって変性させ、室温で1時間インキュベー
トした。その後、前記抽出物でマイクロタイタープレートを被覆し、乾燥した。
処理しなかった抽出物でもマイクロタイタープレートを被覆し、4℃で一晩イン
キュベートした。
H11.F1またはH6.C6腹水の10-5稀釈液を用いてELISAを、「方
法」に述べたように行なった。カラム1はSf9抽出物、カラム2はpVL13
93抽出物である。Aは抽出物を変性させない場合、Bは抽出物を炭酸塩緩衝液
で処理した場合である。
図3はHPV11及びHPV6 L1タンパク質のアミノ酸配列である。これ
らの配列はEMBL Gene Bankからも入手可能である。発明の詳細な説明
本発明は、ヒト乳頭腫ウイルス感染の特徴解明に有用である一連の合成ウイル
ス様粒子(VLP)、及び組み換えDNA技術で製造したVLPの監視及び確認
に利用できる、前記合成ウイルス様粒子を用いるアッセイを提供する。
乳頭腫ウイルス感染は、ヒト、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギ、サル、ヘビ及び
ウシを含めた様々な動物において起こる。乳頭腫ウイルスは上皮細胞に感染して
、通常感染部位に良性の上皮性腫瘍または線維上皮腫を誘発する。
乳頭腫ウイルスは、感染する宿主に基づき幾つかの異なるグループに分類でき
る。ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)は更に、DNA配列相同性に基づいて60を
越えるタイプ
に分類される(詳細はH. Pfister編, “Papillomavir
uses and Human Cancer,” CRC Press, I
nc., 1990参照)。乳頭腫ウイルスタイプは、或るタイプの乳頭腫ウイ
ルスの感染に対する中和免疫が別のタイプの乳頭腫ウイルスに対する免疫をもた
らさない、タイプ特異的な免疫原であると考えられる。
ヒトでは様々なHPVタイプが別個の疾患を誘発する。HPVタイプ1、2、
3、4、7、10及び26〜29は、正常個体と免疫抵抗性減弱個体との両方に
おいて良性疣贅を誘発する。HPVタイプ5、8、9、12、14、15、17
、19〜25、36及び46〜50は免疫抵抗性減弱個体において扁平病変を誘
発する。HPVタイプ6、11、34、39、41〜44及び51〜55は性器
粘膜または呼吸器粘膜の良性コンジロームを誘発する。HPVタイプ16及び1
8は性器粘膜の上皮形成異常を誘発し、子宮頸部、膣、外陰及び肛門管の上皮内
癌及び侵襲性癌の大部分に関連する。HPV6及び11は大部分の性器疣贅及び
喉頭乳頭腫を誘発する。
動物における免疫学的研究から、乳頭腫ウイルスキャプ
シドタンパク質に対する中和抗体の産生によって対応ウイルスへの感染が妨げら
れることが判明した。有効な乳頭腫ウイルスワクチンの開発は乳頭腫ウイルスの
in vitro培養に伴う困難のせいで遅れている。有効なHPVワクチンの
開発は、適当な動物モデルが存在しないために特に遅れている。抗体による乳頭
腫ウイルスの中和はタイプ特異的で、ウイルス表面に存在するコンホーメーショ
ン依存性エピトープに依存すると考えられる。
乳頭腫ウイルスは小型(50〜60nm)で外膜を持たない二十面体DNAウ
イルスで、8個以下の初期遺伝子及び2個の後期遺伝子をコードする。ウイルス
ゲノムの読み取り枠(ORF)はE1〜E7並びにL1及びL2と呼称され、そ
の際記号Eは「初期」、記号Lは「後期」を意味する。L1及びL2はウイルス
キャプシドタンパク質をコードする。初期(E)遺伝子は、ウイルス複製及びト
ランスフォーメーションなどの機能に関連する。
L1タンパク質は多量に存在するキャプシドタンパク質で、55〜60kDa
の分子量を有する。L2タンパク質は少量存在するキャプシドタンパク質であり
、55〜60kDaの推定分子量と、ポリアクリルアミドゲル電気泳動
によって決定された75〜100kDaの見掛けの分子量とを有する。
Saccharomyces cerevisiaeの組み換え株によるHP
V16 L1、HPV16 L2及びHPVタイプ6 L1タンパク質の産生が
報告されている。組み換え酵母の培養によって任意の種及びタイプの乳頭腫ウイ
ルス由来のタンパク質を大量に生産する方法を開発することは有用であろう。ま
た、天然タンパク質のコンホーメーションなどの、天然タンパク質が具える免疫
付与特性を具えた乳頭腫ウイルスタンパク質を大量に生産することも有用であろ
う。上記後者の達成には、L1遺伝子において生起させた多くの突然変異が既知
の特性(VLP依存性、交叉反応性等)を具えた抗体の結合に及ぼす影響を分析
しなければならない。
天然の、または遺伝子操作したペプチド配列の機能性残基に関する経験的走査
は本質的に、多数の配列変異体を発現させてその相対的機能力を評価することに
依存する。得られるタンパク質発現レベルは自己集合するウイルス構造タンパク
質の場合特に重要となり得、なぜなら自己集合効率はしばしば濃度に依存するか
らである。ウイルスの自己
集合の研究に昆虫バキュロウイルス発現ベクター系が広く用いられているが、そ
の際には通常、プラーク精製した組み換えウイルスストックの単離及び展開前に
有用量の自己集合粒子を生じさせなければならない。ワタオノウサギ乳頭腫ウイ
ルス及びヒトタイプ11乳頭腫ウイルスのL1コートタンパク質を解析レベルで
発現させる幾つかの方策の検討において、本発明者は、昆虫細胞にバキュロウイ
ルス移入ベクター及びウイルスDNAでの過渡的同時トランスフェクションをた
とえ短時間でも施すと、以前にプラーク精製ストックから得られた粒子と免疫学
的に区別できない集合粒子が得られることを発見した。Sf9細胞のプラスミド
/ウイルスDNA同時トランスフェクション開始から6日以内に、プレート10
0mm当たり少なくとも1〜2μgの集合L1粒子を確認することができた。こ
のような発現レベルは機能力の評価には十分以上であり、比較可能な哺乳動物細
胞の過渡的発現系に優る利点を幾つか有する。
HPV感染において中和されるエピトープを明らかにするためには、ヒト乳頭
腫ウイルスサブタイプ上の、抗原タイプ特異性をもたらすアミノ酸残基を同定し
なければならない(N. D. Christensen等, “Mo
noclonal antibody−mediatedneutraliza
tion of infectious human papillomavi
rus type 11,” J. Virol. 64, pp.1936−
1944, 1990)。タイプ特異的エピトープの多くはコンホーメーション
依存性であり、VLP集合体上でしか検出され得ない。数種の動物及びヒトの乳
頭腫ウイルスの構造コートタンパク質L1は、組み換えバキュロウイルス株を介
して昆虫細胞において発現された場合効率的に自己集合することが証明されてい
る(N. D.Christensen等, “Assembled bacu
lovirus−expressed humanpapillomaviru
s type 11 L1capsid protein virus−lik
eparticles are recognized by neutral
izing monoclonalantibodies and induc
e hightitres of neutralizing antibod
ies,” J. Gen. Virol. 75, pp.2271−227
6, 1994)。位置特
異的突然変異誘発により生じさせた多数のVLP変異体を上記のような方法を用
いてスクリーニングすることは、組み換えファージの作製に掛かる時間及び労力
によって妨げられる。しかし、本発明者は以前、バキュロウイルス系において発
現された組み換えタンパク質は最初に行なうプラスミド及びウイルスDNAでの
昆虫細胞のトランスフェクションから5〜7日以内に分泌産物としてμg/ml
量で検出可能であることを観察した。この観察に基づき、本発明者は、特にBa
culogoldTM(Pharmingen, San Diego, CA)
系などのより効率的なバキュロウイルストランスフェクション系を用いた場合に
過渡的発現に際して、自己集合してVLPを形成するのに十分な量の乳頭腫ウイ
ルスタンパク質L1が集積するかどうかを調べた。高速6日過渡的トランスフェ
クションプロトコルを用いて、適正に集合してVLP状となった、多くの乳頭腫
ウイルスタイプのコートタンパク質L1を作製した。CRPVまたはHPV11
L1遺伝子構築物で過渡的トランスフェクションを施した細胞から調製した抽
出物は、CRPVまたはHPV11 VLPに対して発生した、タイプ特異的で
かつVLP依存性であるモノクロー
ナル抗体によって認識される免疫原物質を含有した。過渡的発現物質は他のタイ
プ特異的抗体と交叉反応性でなく、また認識はアルカリ変性感受性であった。こ
れらの事からもVLP形成の忠実さが証明される。
HPV11の中和されるエピトープをマッピングするべく、HPV11の配列
中の残基がHPV6b配列中の残基と相違する各位置においてHPV11を突然
変異させた。突然変異によって上記各位置の残基をHPV6b配列と一致させた
(132位のチロシン挿入の影響はチロシンを除去することによって分析した)
。先に述べたSf9過渡的発現系を用いて、得られた突然変異HPV11 L1
遺伝子を発現させ、HPV11特異的なモノクローナル抗体の結合に関して解析
した。
本発明を以下の実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらの実施例の細
部に限定されるものではない。実施例1 試験発現構築物の作製
HPV11 L1構造遺伝子を臨床単離物から、公表されたL1配列から設計
されたプライマーを用いるPCRによってクローン化した。その後、L1遺伝子
を突然変異誘
発のためにBlueScript(Pharmacia)中へサブクローン化し
、かつSf9細胞での発現のためにpVL1393(Str−atagene)
中へサブクローン化した。
L1遺伝子への突然変異の導入は、AmershamSculter in
vitro突然変異誘発キットを用いて行なった。所望の突然変異の出現を配列
決定によって確認し、突然変異した遺伝子をSf9細胞での発現のためにpVL
1393中へサブクローン化した。
HPV6 L1構造遺伝子を突然変異誘発のためにpAlt−1(Prome
ga)中へサブクローン化し、かつSf9細胞での発現のためにpVL1393
(Stratagene)中へサブクローン化した。突然変異を、Altere
d Sites II in vitro突然変異誘発システム(Promega
)を用いて発生させ、配列決定によって確認し、突然変異遺伝子をSf9細胞で
の発現のためにpVL1393中へサブクローン化した。実施例2 Sf9細胞におけるL1 VLPの過渡的発現
Sf9細胞を、BaculoGoldトランスフェク
ションキット(Pharmingen)を用いてトランスフェクトした。トラン
スフェクションは実質的に製造元の指示に従って行なったが、その際次のような
変更を加えた。8×108個のSf9細胞を100mm径皿内で、4μgのBa
culoGold DNA及び6μgの試験DNAでトランスフェクトした。6
日後、細胞を回収し、VLP産生に関して評価した。実施例3 Sf9抽出物の調製及びELISAアッセイ
トランスフェクションの6日後、掻き取りとその後の低速遠心とによって細胞
を回収した。細胞を300μlの破壊緩衝液(1M NaCl、0.2Mトリス
、pH7.6)中に再懸濁させ、Falcon 1259管内でPT−DA 1
205/2−Aプローブを具備したPolytron PT 1200 B(B
rinkman)を用いて氷上で30秒間ホモジナイズした。試料を2500r
pmで3分間回転させ、それによって破片をペレット化した。管を追加の破壊緩
衝液150μlで洗浄し、上清を1.5ml容マイクロ遠心管に集め、これをE
ppendorfマイクロ遠心機(Brinkman)で5分間再度回転さ
せた。上清を集め、使用時まで4℃で貯蔵した。ELISAアッセイは典型的に
は同日中に行なった。
5μlの抽出物をPBS(リン酸緩衝食塩液; 20mM NaPO4、pH
7.0、150mM NaCl)中の1% BSAで50μlに稀釈し、これを
ポリスチレンプレート上に播種した。プレートを4℃で一晩インキュベートした
。抽出物を除去し、プレートをPBS中の5%粉乳でブロックした。以後の洗浄
ステップは総てPBS中の1% BSAで実施した。プレートを一次抗体と共に
室温で1時間インキュベートした。一次抗体、即ちHPV11VLPに対して発
生させたモノクローナル抗体はDr.Neil Christensen(Pe
nnsylvania State University)から腹水ストック
として入手した。この抗体は使用前にPBS中の1% BSAで105倍に稀釈
した。洗浄後、プレートを二次抗体と共に1時間インキュベートした。二次抗体
、即ちペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(γ)はKirkegaard
& Perry Laboratories, Inc.から購入し、PBS
中の1% BSAで103倍に稀釈して用いた。最後の洗浄後、アルカリホス
ファターゼアッセイを行ない、405nmにおける吸光度を読み取った。実施例4 HPV11走査
HPV11に特異的な中和されるエピトープにとって重要な残基のマッピング
には、二つの条件を有利に用いる。何よりもまず、本発明者は、HPV11 L
1に対して特異的であり、L1をVLP中に存在する場合にのみ認識する一団の
モノクローナル抗体を用いた。実施例3に述べたアッセイ条件は、上記抗体が、
密接に関連するHPV6bL1 VLPに対して非交叉反応性でいられるような
ものである。5種の上記のような抗体のうち、4種はKreider異種移植系
においてHPV11を中和することが証明された(Kreider等, J.
Vjrol. 61, pp.590−593, 1987)。
HPV6 L1及びHPV11 L1は、乳頭腫ウイルスファミリー内で最も
密接に関連し合うタンパク質L1である。HPV6 L1は500アミノ酸残基
の長さを有する。HPV11 L1の長さは501残基である。これらのタンパ
ク質L1は、HPV11が余分に有するアミノ酸
が132位に位置するようにして整列し得る。このような整列において、両タン
パク質L1のアミノ酸配列は挿入を含めた39の位置以外では総て(92.4%
)同等である。
本出願人は、モノクローナル抗体のタイプ11特異性は上記39の位置におけ
る残基の相違のうちのいずれかによってもたらされると推論した。タイプ11残
基を体系的にタイプ6残基に変更すれば、タイプ11特異的なモノクローナル抗
体の結合親和性の喪失によって、タイプ11応答にとって重要な残基が明らかと
なろう。タイプ11残基をタイプ6中に天然に出現する残基へと突然変異させる
ことから、このような置換がVLP形成に影響する公算は小さい。
任意の特定残基が結合に及ぼす影響を測定するべく、HPV11と、対応する
HPV11誘導体との両方を過渡的発現系において発現させた。HPV11特異
的モノクローナル抗体団を用いてELISAを行ない、2種の発現産物に関して
得られた結果同士を比較した。L1産生はモノクローナル抗体H6.C6で正規
化した。H6.C6抗体はHPV11と交叉反応性であり、エピトープは直鎖状
で、VLP形成と無関係である。即ち、H6.C6抗体によっ
てL1産生を評価できる。
得られた結果には二重正規化を施す。まず、試験位置に関して試験抗体対H6
.C6抗体の吸光度比を計算する。HPV11に関しても同じ比を求め、この比
で試験位置に関する比を除する。このようにして得られた二重比の値が1に近け
れば、試験クローンへの抗体結合とHPV11への抗体結合との間に検出可能な
差異が存在しないことになる。1未満の二重比は、試験抗体が野生型に結合する
ほどには試験クローンに結合しないことを意味する。理論上、1を越える二重比
は抗体がHPV11よりも試験クローンの方により良く結合することを意味する
。実際にはそのような事態は観察されなかった。0.1〜0.2の比は実質的に
バックグラウンドであり、抗体の突然変異VLPへの結合が検出できないことを
意味する。
HPV11 L1を、アミノ酸残基がHPV6とは異なる各位置において突然
変異させ、当該位置に有るアミノ酸残基をHPV6の対応する残基と一致させた
。クローンをSf9細胞において、バキュロウイルス発現組み換え体を介して発
現させ、HPV11特異的モノクローナル抗体団の結合への影響を測定した(表
1)。表中「結合喪失」と
題した第2列に示した残基は、1種以上のモノクローナル抗体の結合にとって重
要であると看做される位置の残基である。「結合維持」と題した第1列に挙げた
残基はいずれのモノクローナル抗体の結合にも重要でないと判定される。
表1の「結合喪失」列に示したL1突然変異体をコードするクローンを、HP
V11:G131S、HPV11:Y132Δ、HPV11:Y246F、HP
V11:N278G及びHPV11:S346Tと呼称する。前置記号「HPV
」は省略してもよい。
結合に影響する四つの残基は互いから著しく離隔しており、総離隔長は直鎖状
配列上で200を上回る残基にわたる。
抗体の結合への影響は位置によって様々である。いずれかただ1種の抗体の結
合に影響する位置は三つを越えない。5種の抗体総ての結合に影響するのは24
6位のみである。いずれの場合も或る程度の検出可能な結合が観察される。この
ことは、VLP形成には影響が及ばないことを示している。278位における変
更が結合に及ぼす影響は些細であると考えられ、影響と呼ぶほどのものか疑わし
いが、現時点では影響と認めておく。なぜなら、僅かな減少は再現可能だからで
ある。VLP正規化親和性比として測定した結合への影響を表2に示す。表3に
は、ここに述べた研究から椎定した、HPV11モノクローナル抗体に関する結
合配置を示す。
*; 正規化親和性比=位置X(A405H11.Y/A405H6.C6)/
HPV11(A405H11.Y/A405H6.C6)
実施例5 ストリッピングアッセイ
HPV11 VLPの産生を監視し、それによって前記VLPが重要な、中和
されるエピトープを有することを確認するのに次のような競合的ELISAを用
いる。HPV6誘導体VLPはモノクローナル抗体H11.B2、H11.F1
及びH11.G5との結合に関してHPV11VLPと競合するが、HPV6
VLPは競合しない。このアッセイは、中和されるエピトープへの特異的でかつ
競合性の結合を証明することによって、HPV11 VLP上に中和されるエピ
トープが存在することを示すものである。アッセイは次のようにして実施する。
1. 96ウェルELISAプレートに1ウェル当たり10〜100ngの試験
バッチHPV11 VLPを播種する。試料をPBS中の1.0%BSA(EL
ISA緩衝液)で稀釈する。50μlの試料を播種する。4℃で一晩インキュベ
ートする。
2. ウェルから上清を除去する。PBS中の5%粉乳を用いて室温で1時間ブ
ロックする。
3. ELISA緩衝液で濯ぐ。
4. モノクローナル抗体H11.F1の稀釈液を調製する。
A.漸増する量のHPV6誘導体VLPを含有する一組の稀釈液を調製する
。
B.漸増する量のHPV6 VLPを含有する一組の稀釈液を二重に調製す
る。
C.VLPを添加しない稀釈液を調製する。
5. ELISAプレートのウェルに50μlの抗体試料を添加する。室温で1
時間インキュベートする。
6. 抗体を取り出し、ELISA緩衝液で3回洗浄する。
7. 50μlの適宜稀釈したヤギ抗マウスIgG(γ)を添加する。室温で1
時間インキュベートする。
8. ELISA緩衝液で3回洗浄する。アルカリホスファターゼアッセイによ
って展開し、405nmにおける値を読み取る。
9. 405nmにおいてHPV6誘導体VLPと著しく競合するがHPV6
NLPとは競合しない強いシグナルが検出されることによって、試験バッチのH
PV11 VLP上に中和されるエピトープが存在することが証明される。実施例6 中和の監視
HPV6誘導体VLPを用いて、ポリクローナル血清の試験バッチの中和活性
を解明する。ポリクローナル血清のバッチは、例えばHPV11 VLPの試験
バッチによって発生させる。あるいは他の場合には、ポリクローナル血清がそれ
に対して有する中和能を解明したいヒト試料を用いる。
ポリクローナル血清をHPV6 VLPで予め清澄化(clear)する。そ
れによって、VLP依存性と非VLP依存性との両方の交叉反応性抗体を除去す
る。HPV11の中和されるエピトープはタイプ11特異的であり、該エピトー
プに対して発生した抗体はHPV6 VLPと共に予めインキュベートすること
によって除去されない。しかし、誘導HPV6粒子は前記抗体と結合し、例えば
標準的なELISAにおいてこの結合が観察されることによって、試験血清試料
中に中和抗体が存在することが証明される。
ポリクローナル血清の試験試料を、次の手順に従って清澄化する。
1. VLP結合抗体の総量を推定する。VLPを、抗HPV11モノクローナ
ル抗体(数種使用可能)を用いるサンドイッチ方式でELISAプレート上に固
定する。結合するポリクローナル抗体の量を、既知濃度の第二の抗HPV11抗
体を標準として用いて推定する。あるいは他の場合には、ポリクローナル抗体の
IgG濃度を測定し、これを全抗HPV11抗体の濃度と仮定する。
2. 血清のアリコートにHPV6 VLPを、ステップ1で測定したポリクロ
ーナル血清中のHPV11抗体の量より10倍過剰なμg量で添加する。
3. 混合物を室温で一晩インキュベートし、その後5時間高速遠心(300,
000×g)してVLP−抗体複合体をペレット化する。
4. ここまでの手順を更に2回繰り返す。
5. ストリップした血清をサンドイッチELISAにおいて結合について試験
する。HPV6 VLP及びHPV6誘導体VLP(中和モノクローナル抗体と
結合)をHPV6モノクローナル抗体によって固定する。ストリップしたポリク
ローナル血清はHPV6 VL
Pと最小限にしか結合しないはずである。HPV6誘導体VLPに対する強いシ
グナルはHPV11の主要中和ドメインへの結合と、ポリクローナル血清が中和
抗体を含有することとを証明する。
Xenograph中和アッセイ(Christensen等, J. Vi
rol. 64, pp.1936−1944, 1990; Christe
nsen等,J. Gen. Virol. 75, pp.2271−227
6, 1994)を用いて、試験血清試料の中和能を証明する第二のアッセイを
行ない得る。
1. 上述のプロトコルに従い、ただしHPV6 VLPをHPV6誘導体VL
Pに置き換えて、HPV6誘導体VLPに対する血清を発生させ、かつストリッ
プする。対照として、HPV6 VLPでストリップしたポリクローナル血清を
製造する。
2. 一連のポリクローナル血清稀釈液を製造し、Xenograph中和アッ
セイで解析して血清の中和力価を求める。
3. HPV6誘導体でストリップした血清及びHPV6でストリップした血清
の稀釈液の並列セットを製造し、
Xenographで力価を調べる。
4. Xenographアッセイにおいて、HPV6誘導体VLPでのストリ
ップによって大部分除去されるがHPV6 VLPでのストリップによっては除
去されない中和活性の存在が確認されることにより、HPV11の中和されるエ
ピトープに対する抗体が血清中に存在することが生物学的アッセイによって証明
される。実施例7 Sf9細胞におけるVLPの過渡的発現
HPV11 L1構造遺伝子を臨床単離物から、公表されたL1配列(8、1
7)から設計されたプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によっ
てクローン化した。CRPV L1構造遺伝子をウイルスゲノムDNAからPC
Rによってクローン化した。L1遺伝子をSf9細胞における発現のためにpV
L1393(Stratagene)中へサブクローン化した。
Sf9細胞を、BaculoGold(Pharmingen, San D
iego, CA)を用いて同時トランスフェクトした。トランスフェクション
は製造元の指
示に従って行なったが、その際次のような変更を加えた。8×106個のSf9
細胞を100mm径皿内で、4μgのBaculoGoldウイルスDNA及び
6μgの試験プラスミドDNAでトランスフェクトした。特に断わらないかぎり
6日後に細胞を回収し、ウェスタンブロットまたはELISAアッセイによりV
LP産生に関して評価した(下記参照)。実施例8 Sf9抽出物の調製及びELISAアッセイ
トランスフェクションの6日後、細胞を回収した。細胞をプレートから掻き取
って再懸濁させ、これを低速遠心することによって細胞を集めた。細胞を300
μlの破壊緩衝液(1M NaCl、0.2Mトリス、pH7.6)中に再懸濁
させ、Falcon 1259管内でPT−DA1205/2−Aプローブを具
備したPolytron PT 1200 B(Brinkman)を用いて氷
上で30秒間ホモジナイズした。試料をGPR遠心機(Beckman Ins
truments, Inc., Palo Alto, CA)において25
00rpmで3分間回転させ、それによって破片をペレット化した。管を追
加の破壊緩衝液150μlで洗浄し、上清を1.5ml容マイクロ遠心管に集め
、これをEppendorfマイクロ遠心機(Brinkman)で5分間再度
回転させた。ELISAアッセイを同日中に開始した。
5μlの抽出物をリン酸緩衝食塩液(PBS)中の1%BSA 50μlで稀
釈し、これを96ウェルImmulon 2マイクロタイタープレート(Dyn
atech Laboratories, Inc.)上へ分配(aliquo
t)し、4℃で一晩インキュベートした。抽出物を除去し、プレートをPBS中
の5%粉乳でブロックした。以後の洗浄ステップは総てPBS中の1% BSA
で実施した。プレートを一次抗体と共に室温で1時間インキュベートした。一次
抗体、即ちモノクローナル抗体CRPV.5A及びH11.F1はDr. Ne
il Christensenから腹水ストックとして入手した。これらの抗体
はCRPV VLP及びHPV11 VLPをそれぞれ認識する、VLP依存性
でかつタイプ特異的な抗体である(Neil Christiansen,私信
)。前記2抗体は使用前にPBS中の1% BSAで105倍に稀釈した。PB
S中の1% BSAで洗浄後、プレートを、P
BS中の1% BSAで103倍に稀釈して用いた二次抗体、即ちペルオキシダ
ーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(γ)(Kirkegaard & Perry
Laboratories, Inc.)と共に1時間インキュベートした。最
後の洗浄後、アルカリホスファターゼアッセイを行ない、405nmにおける吸
光度を読み取った。実施例9 HPV11の中和されるエピトープのHPV6への伝達
実施例4での研究に基づき、HPV6 L1遺伝子を、HPV6 L1のアミ
ノ酸残基131、245及び277がHPV11 L1配列のものと一致するよ
うに突然変異させた。加えて、残基131の後にチロシンを挿入し、それによっ
て突然変異HPV6 L1の長さを1残基だけ延長して501アミノ酸とした。
このようにして得られたクローンを6:131,132,245,277と呼称
する。本発明者は、いずれもHPV11 L1配列との一致を期して行なった上
記四つの変更がHPV11特異的な中和抗体H11.B2、H11.F1及びH
11.G5の結合を容易にすると推測した。この推測は実のところ、次表に示し
たように事実であった。
HPV6及び誘導体に対する相対親和性値
上記結果から、4個のアミノ酸残基131、132、245及び277が中和
抗体H11.B2、H11.F1及びH11.G5との結合の部位の特異性を規
定することは明らかである。
抗体H11.H3は、346位における結合への感受性を有し、かつ131位
における結合への感受性を有しない点で他の3種の中和抗体と区別できる。この
ことは、抗体H11.H3の結合部位はC末端側へ変位しているが、それでもな
お他の3種の中和モノクローナル抗体の結合部位と重複することを示している。
先に規定したHPV6誘導体クローンを、345位に追加の変更を加えること
によって更に誘導体化し、HPV11の配列とその346位において一致する誘
導体クローンを得た。このクローンを6:131,132,245,2
77,345と呼称する。クローン6:131,132,245,277,34
5はH11.H3を含めた4種の中和抗体総てと結合すると推測される。データ
を次表に示す。
HPV6及び誘導体に対する相対親和性値
予測したように、上記クローンは中和抗体H11.B2、H11.F1及びH
11.G5と結合し得るVLPを形成した。この観察は確認されている。意外な
ことに、上記クローンは抗体H11.H3とは結合せず、このことはH11.H
3との結合のためには345位の変更に更に別の変更も追加しなければならない
ことを示している。実施例10 中和モノクローナル抗体H11.H3の結合
抗体H11.H3の結合を更に追究するべく、HPV6L1遺伝子の438位
にも変更を加え、それによって439位の残基がHPV11 L1と一致する誘
導体クローン
を得る。変更はクローン6:132,245,277,345とクローン6:1
31,132,245,277,345との両方に加える。それによって、クロ
ーン6:132,245,277,345,438及び6:131,132,2
45,277,345,438を生成させる。クローン6:132,245,2
77,345,438は抗体H11.H3と結合し、クローン6:131,13
2,245,277,345,438は抗体H11.B2、H11.F1、H1
1.G5及びH11.H3と結合する。これらのクローンは、請求の範囲第2項
及び第3項並びに上記実施例7及び8に述べたアッセイにおいて取得可能な感受
性データの範囲を広げる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),CA,JP,US
(72)発明者 ベニンカサ,ダイアナ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 ホリス,グレゴリー・エフ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 マーク,ジヨージ・イー,ザ・サード
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. 次の構築物: a)HPV6:131,132,245,277; b)HPV6:131,132,245,277,345; c)HPV11:G131S; d)HPV11:Δ132; e)HPV11:Y246F; f)HPV11:N278G;及び g)HPV11:S346T のうちのいずれかから作製した合成ウイルス様粒子。 2. 組み換えVLPを特徴解明する方法であって、 a)試験バッチHPV11 VLPの試料をELISAプレートに播種すること 、 b)前記試料をインキュベートすること、 c)前記試料を固定すること、 d)前記試料を濯ぐこと、 e)モノクローナル抗体H11.F1を稀釈して、 (1)漸増する量のHPV6誘導体VLPを含有する一組の稀釈液を調製す ること、 (2)漸増する量のHPV6 VLPを含有する一組の稀釈液を二重に調製 すること、 (3)更に、VLPを添加しない一組の稀釈液も調製すること により抗体試料を製造すること、 f)抗体試料をELISAプレートに添加して混合物を製造すること、 g)前記混合物をインキュベートすること、 h)前記混合物を洗浄すること、 i)ヤギ抗マウスIgG(γ)を添加すること、 j)試料をインキュベートすること、 k)試料を洗浄すること、 l)アルカリホスファターゼアッセイによって展開し、405nmにおける値を 読み取ること を含む方法。
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