JPH11342700A

JPH11342700A - 装飾模様シート及び装飾模様を有する合成樹脂成形品

Info

Publication number: JPH11342700A
Application number: JP16928798A
Authority: JP
Inventors: Toru Miyashita; 徹宮下; Haruo Matsubara; 治男松原
Original assignee: HAKUSAN SANGYO KK; SHOEI TOKUSHU INSATSU KOGYO KK
Current assignee: HAKUSAN SANGYO KK; SHOEI TOKUSHU INSATSU KOGYO KK
Priority date: 1998-06-01
Filing date: 1998-06-01
Publication date: 1999-12-14

Abstract

(57)【要約】【課題】表面に金箔模様を埋め込んだ合成樹脂成形品
及びその製造に用いる装飾模様シートに関し、華麗な装
飾を備えた付加価値の高い成形品を提供する。【解決手段】透明樹脂フィルム３と、その裏面に透明
な接着剤層４で接着された所定形状の金属箔５及び金属
箔以外の部分に印刷されたインキ層６で形成された金属
箔模様層７と、その表面に熱可塑性合成樹脂液を塗布し
て形成された可撓性保護膜８とを備えた金箔模様シート
１である。透明樹脂フィルム３の裏面の一部に印刷され
た不透明なインキ層６と、インキ層のない部分及びその
近傍に塗布した透明な接着剤層４で接着された任意形状
の金属箔５と、それらの表面に不透明な可撓性保護膜８
とを備えたものとすることもできる。この金箔模様シー
ト１は、金型に嵌め込んで合成樹脂製の本体の表面に成
形時に一体化して、装飾模様を備えた成形品を得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、一部に金属箔ない
し金属メッキ層を埋め込んだ装飾模様を有するシート及
びこのシートを表面に一体化した合成樹脂成形品に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】漆工芸の一つに沈金彫といわれるものが
ある。これは漆塗面に手掘りをし、その刻み目に金属箔
を埋めたものである。沈金彫を施された木製品は、華麗
かつ重厚で耐久性があり、古くから貴重品として扱われ
ている。

【０００３】一方、インサート成形という合成樹脂成形
品に対する絵付け方法（インジェクト・オ・パターン）
が知られている。この方法は、予めグラビア印刷で絵柄
を印刷した透明フィルムを射出成形時に金型に挿入して
おき、成型と同時に絵付けをするものである。この方法
は、食器類、文房具類、日用雑貨、自動車用内装部品等
に用いられており、成形と同時に絵付けができてコスト
ダウンが図れること、絵の表面には透明フィルムがあり
耐磨耗性に優れていること、接着剤を使用していないの
で耐水性に優れていること等の長所があり、この方法に
よれば安価で多色刷りの変化に富んだ絵付合成樹脂成形
品を得ることができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、沈金彫はその
製作において高度の熟練を要し、製作日数が長く、技術
的な面からデザイン的な制限を受け、製品価格が高くな
るという問題がある。一方、一体化製法による合成樹脂
成形品には、金属箔模様ないし金属メッキ模様を有する
付加価値の高い成形品が未だ知られていない。

【０００５】本発明は、表面が透明フィルムで保護され
た金属箔ないし金属メッキ層を有する装飾模様シートを
提供することを第１の目的としており、この装飾模様シ
ートを一体化した合成樹脂成形品を提供することによ
り、付加価値の高い合成樹脂成形品を安価に提供するこ
とを第２の目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の金箔模様
シート１は、透明な熱可塑性合成樹脂フィルム３と、そ
の裏面に透明な接着剤層４で接着された所定形状の金属
箔５及び金属箔以外の部分に印刷されたインキ層６で形
成された金属箔模様層７と、その表面に熱可塑性合成樹
脂液を塗布することによって形成された可撓性保護膜８
とを備えていることを特徴とするものである。

【０００７】透明合成樹脂フィルムとしては、ポリ酢酸
ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリスチレ
ン、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸メチル
エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、テトラフロ
ロエチレン、アクリロニトリル、ＡＢＳ樹脂、ポリエー
テル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステ
ルなどで製造された熱可塑性合成樹脂フィルムを用いる
ことができる。また、熱可塑性合成樹脂フィルムの表面
にアクリル樹脂等のハードコート層２を設けてやれば、
フィルム３の耐久性を高めることができる。

【０００８】請求項２記載の金箔模様シート１ａは、透
明な熱可塑性合成樹脂フィルム３と、その裏面の一部に
印刷された不透明なインキ層６と、インキ層のない部分
及びその近傍に塗布した透明な接着剤層４で接着された
任意形状の金属箔５と、インキ層６及び金属箔５の表面
に不透明な熱可塑性合成樹脂液を塗布することによって
形成された可撓性保護膜８とを備えていることを特徴と
するものである。

【０００９】請求項３記載の金箔模様シート１ｂは、透
明な熱可塑性合成樹脂フィルム３と、その裏面の一部に
印刷されたインキ層６と、インキ層及びインキ層のない
透明フィルム面に蒸着メッキされた金属メッキ層９と、
金属メッキ層の表面に不透明な熱可塑性合成樹脂液を塗
布することによって形成された可撓性保護膜８とを備え
ていることを特徴とするものである。

【００１０】請求項４記載の発明は、請求項１、２又は
３記載の装飾模様シートにおいて、透明な熱可塑性合成
樹脂フィルム３をポリエステルフィルムとしたことを特
徴とするものである。

【００１１】請求項５記載の装飾模様を有する合成樹脂
成形品は、合成樹脂製の本体１８と、この本体の表面に
成形時に一体化された請求項１ないし４記載の装飾模様
シート１、１ａ、１ｂとを備えていることを特徴とする
ものである。本体の合成樹脂としては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレ
ン樹脂、ＡＢＳ樹脂など射出成形に適した樹脂を用いる
ことができる。

【００１２】

【作用】請求項１記載の装飾模様シート１は、金属箔５
とインキ層６で形成された金属箔模様層７を透明フィル
ム３と可撓性皮膜８とでサンドイッチ状に保護している
ので、金属箔５やインキ層６に直接手を触れることなく
作業をすることができ、取り扱いがきわめて容易であ
る。また、ハサミ等で所望の大きさに切断したあと他の
木製、金属製又は合成樹脂製の成形品に貼りつけたり、
合成樹脂の成形時に予め金型に挿入しておくことにより
合成樹脂製本体に一体化することができる。特に、透明
フィルム及び可撓性皮膜を構成する熱可塑性合成樹脂
は、成形時に押し出された高温の樹脂液によって、軟化
して金型の表面に密着すると共に可撓性皮膜の表面が溶
けて合成樹脂製の本体に溶着して一体化する。また、金
属箔模様層７は金属箔５を必要な箇所だけ貼付したもの
であるから、金属箔の使用量を減らすことができる。金
属箔模様シート１は、所定形状の金属箔５とこれ以外の
インキ層６とで金属箔模様層７を形成したので、透明な
パネル板に貼付して両側から見ることもできる。

【００１３】請求項２の装飾模様シート１ａは、上記作
用のほか、透明フィルム３の裏面の一部に印刷されたイ
ンキ層６と、インキ層のない部分及びその近傍に塗布し
た透明な接着剤層４で接着された不定形な金属箔５とに
よって金属箔模様を形成したので、塗布した接着剤層に
金属箔を貼りつけるだけでよく、作業性を飛躍的に向上
させることができる。

【００１４】請求項３記載の金箔模様シート１ｂは、イ
ンキ層のない部分に蒸着メッキ法による金属メッキ層９
を形成したので、金属箔を接着するための接着剤層が不
要となる。

【００１５】請求項４記載の発明は、透明フィルムとし
てポリエステルフィルムを用いたので、引張強度、衝撃
強度が強く強靱であり、また耐水性、耐薬品性、透明性
に優れた装飾模様シート１、１ａ、１ｂを得ることがで
きる。

【００１６】請求項５記載の金箔模様を有する合成樹脂
成形品は、装飾模様シート１、１ａ、１ｂが本体の表面
に成形時に一体化されたものであり、接着剤を使用して
おらず、従って剥離しにくく、水回り用の成形品に使用
することができる。また、本体の表面を装飾している装
飾模様シート１、１ａ、１ｂは、透明フィルム３で金属
箔、金属メッキ層及びインキ層を保護しているので、本
体の表面に耐久性のある装飾模様を安価に付与すること
ができる。また、請求項１、２又は３記載の装飾模様シ
ートは、金属箔又は金属メッキ層を透明フィルム側から
みると、一部に金箔を埋め込んだように見え、木製本体
に接着してやれば沈金彫に似た外観を有する成形品を得
ることができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】図１は本発明の第１実施形態を示
した拡大図である。本実施形態の金箔模様シート１は、
その表面に３〜５μのアクリル樹脂によるハードコート
層２を有するポリエステルフィルム（東山フイルム株式
会社製、ＨＹＮＴ・ＣＨＣハードコート）３を備えてい
る。このポリエステルフィルム３の裏面に形成した無色
透明のエポキシ樹脂製の接着剤層４によって金箔５が接
着されている。金箔５が接着されていない領域にはスク
リーン印刷による多色模様のインキ層６が形成されてい
る。インキ層６を金箔５の輪郭部に重ねて印刷すること
により、金箔とインキ層との境目に白色部分が残らない
ようにしている。金箔５とインキ層６とによって金箔模
様層７が形成されており、その表面に塗布された透明な
アクリル系合成樹脂製塗料によって、可撓性保護膜８が
形成されている。

【００１８】ポリエステルフィルム３に多色模様を印刷
する際に使用する印刷インキは、アクリル系樹脂をバイ
ンダーとし、シクロヘキサノン３５〜４０％、キシロー
ル１０〜２０％、メチルイソブチルケトン１０〜２０％
等を混合溶剤に用い、染料ないし顔料及び安定剤等を添
加して調整したものである。この印刷インキをＴ−１５
０メッシュのスクリーンの版で、約２２ｍ²／Ｋｇ付着
させ、６０℃で３０分から６０分乾燥して溶剤を完全に
除去する。このような構造の金箔模様シート１は、ハー
ドコート層側を表側にして木や金属又は合成樹脂で製造
された成形品に接着したり、射出成形時に金型に挿入し
て成形時に本体と一体化させる。金箔模様層７の表面に
塗布する熱可塑性合成樹脂、即ち可撓性皮膜は、射出し
た合成樹脂と同種又は一体化し易いものを用いる。な
お、第１実施形態の金箔模様シート１は、ガラス板等の
透明板に透明な膜を形成する接着剤で接着することによ
り、両側から見られる金箔模様を有するパネル板を得る
ことができる。

【００１９】図２は本発明の第２実施形態を示したもの
である。本実施形態の金箔模様シート１ａはポリエステ
ルフィルム３の裏面に印刷インキを部分的に印刷してな
るインキ層６を形成したもので、インキ層のない部分及
びその周辺には透明な膜を形成する接着剤層４があり、
この接着剤層によって不定形な金箔５が裏打ちされてい
る。したがって、インキ層６と金箔５とが多く重なった
部分と少なく重なった部分や、金箔が接着していない接
着剤層がある。これらのインキ層６、金箔５及び接着剤
層４の表面に塗布された不透明なアクリル系合成樹脂塗
料によって可撓性保護膜８が形成されている。金箔模様
シート１ａは、ハサミ等で所定形状に切断し、可撓性保
護膜に接着剤を塗って木や金属又は合成樹脂製の成形品
に接着したり、成形時の金型に挿入して本体と一体化さ
せることができる。なお、金箔模様シート１ａは、裏打
ちした不定形の金箔を隠蔽するために不透明な塗料によ
って可撓性皮膜を形成したので、金箔模様を透明フィル
ム側からしか見ることができない。

【００２０】図３は本発明の第３実施形態を示したもの
である。本実施形態の金メッキ模様シート１ｂはポリエ
ステルフィルム３の裏面に印刷インキを部分的に印刷し
てインキ層６を形成したもので、インキ層及びインキ層
のない部分（透明フィルムが露出している部分）に蒸着
メッキ法により金メッキ層９を設けたものである。蒸着
メッキ法としては、真空中で金を加熱蒸発させ、模様を
印刷したポリエステルフィルムをその背面を冷却しなが
ら供給し、発生した金の原子をインキ層及び露出してい
る透明フィルム面に固着させる方法（真空蒸着法）を採
用することができる。

【００２１】図４ないし図６は、第１実施形態の金箔模
様シートの製造方法を示したものである。ハードコート
層をした面（表面）を下側にして、裏面に梅鉢形の通孔
１１を有するマスク１２を載置し、スプレーで透明なエ
ポキシ樹脂製接着剤１３を吹きつけ、マスク１２を剥が
す。次にエポキシ樹脂接着剤層４に不定形な金箔１４を
被せ、硬化後この金箔を剥がして余分な部分を除去し、
残った金箔５で梅鉢形の模様を形成する。次にポリエス
テルフィルムにその金箔５と当接する部分に遮蔽層１５
を形成したシルクスクリーン版１６を載せ、上記印刷イ
ンキをスキージで押し込んで金箔の部分を残してその回
りをベタ打ちする。通常スクリーン印刷では、模様の境
目に白地が出ないように重ねて印刷するので、金箔の輪
郭部にインキ層ができる。乾燥後金箔５及びインキ層６
により形成された金箔模様層７の上面に透明なアクリル
系塗料液をコーティングして乾燥硬化し、可撓性保護膜
８を形成する。

【００２２】図７ないし図９は本発明の装飾模様を有す
る合成樹脂成形品及びその製法を示したものである。成
形品は、ＡＢＳ樹脂製の本体１８に第１実施形態の金箔
模様シート１を張りつけたものであり、雌型２１の内周
面に前記金箔模様シート１を添着したあと雄型２２を閉
じ、空所２３にＡＢＳ樹脂液を射出して一体成形したも
のである。射出された高温のＡＢＳ樹脂液により金箔模
様シート１が軟化して雌型２１に皺を生ずることなく完
全に密着すると共に、金箔模様シートの可撓性皮膜の一
部が溶融してＡＢＳ樹脂製本体１８の表面に溶着する。
なお、本実施形態の成形品はスイッチカバーであり、上
面のみ金箔模様シートを貼付しているが、上面だけでな
く四つの側面を含むカバーの表面にしわなく溶着させる
ことも可能である。

【００２３】なお、透明な合成樹脂製の成形品を予め製
造しておき、第１実施例の金箔模様シートに接着剤を貼
付したものを成形品の雌型に挿入し、再度成形品と共に
雄型を嵌合して加熱することにより、成形品の表面に金
箔模様シートを接着することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施形態の金箔模様シートの断面図

【図２】第２実施形態の金箔模様シートの断面図

【図３】第３実施形態の金メッキ模様シートの断面図

【図４】接着剤層の製法を示す斜視図

【図５】金属箔の形成方法を示す斜視図

【図６】印刷方法を示す斜視図

【図７】金箔模様を有する合成樹脂成形品の斜視図

【図８】合成樹脂成形品の金型を示す断面図

【図９】射出成形された合成樹脂成形品の断面図

【符号の説明】

1,1a,1b 金箔模様シート２ハードコート層３ポリエステルフィルム４接着剤層５金属箔６インキ層７金箔模様層８可撓性保護膜９金メッキ層 18 本体

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】透明な熱可塑性合成樹脂フィルム(3)
と、その裏面に透明な接着剤層(4) で接着された所定形
状の金属箔(5) 及び金属箔以外の部分に印刷されたイン
キ層(6) で形成された金属箔模様層(7) と、その表面に
熱可塑性合成樹脂液を塗布することによって形成された
可撓性保護膜(8) とを備えていることを特徴とする、装
飾模様シート。
【請求項２】透明な熱可塑性合成樹脂フィルム(3)
と、その裏面の一部に印刷された不透明インキ層(6)
と、不透明インキ層のない部分及びその近傍に塗布した
透明な接着剤層(4) で接着された金属箔(5) と、インキ
層(6) 及び金属箔(5) の表面に不透明な熱可塑性合成樹
脂液を塗布することによって形成された可撓性保護膜
(8) とを備えていることを特徴とする、装飾模様シー
ト。
【請求項３】透明な熱可塑性合成樹脂フィルム(3)
と、その裏面の一部に印刷されたインキ層(6) と、イン
キ層及びインキ層のない透明フィルム面に蒸着メッキさ
れた金属メッキ層(9) と、金属メッキ層の表面に不透明
な熱可塑性合成樹脂液を塗布することによって形成され
た可撓性保護膜(8) とを備えていることを特徴とする、
装飾模様シート。
【請求項４】透明フィルム(3) がポリエステルフィル
ムであることを特徴とする、請求項１、２又は３記載の
装飾模様シート。
【請求項５】合成樹脂製の本体(18)と、この本体の表
面に成形時に一体化された請求項１ないし４記載の装飾
模様シート(1,1a,1b) とを備えていることを特徴とす
る、装飾模様を有する合成樹脂成形品。