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JPH11309818A - フィルム積層体およびその製造方法 - Google Patents

フィルム積層体およびその製造方法

Info

Publication number
JPH11309818A
JPH11309818A JP11720098A JP11720098A JPH11309818A JP H11309818 A JPH11309818 A JP H11309818A JP 11720098 A JP11720098 A JP 11720098A JP 11720098 A JP11720098 A JP 11720098A JP H11309818 A JPH11309818 A JP H11309818A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
layer
resin
coating
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11720098A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiya Kuroda
俊也 黒田
Taiichi Sakatani
泰一 阪谷
Setsu Okino
攝 興野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP11720098A priority Critical patent/JPH11309818A/ja
Publication of JPH11309818A publication Critical patent/JPH11309818A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素、水蒸気等のガスバリア性に優れ、か
つ、高密着性を確保して耐ゲルボフレックス性に優れた
フィルム積層体を提供する。 【解決手段】 イソシアネート化合物と活性水素化合物
とから調製されたアンカー層2を基材フィルム1上に積
層する。無機層状化合物および界面活性剤を有するガス
バリア層3をアンカー層2上に積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素、水蒸気等の
ガスバリア性に優れると共に高密着性による耐ゲルボフ
レックス性が改善された、包装資材等に好適なフィルム
積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、プラスチックフィルムは、そ
の柔軟性や被包装物(内容物)の視認性等によって食品
等の包装資材として好適に用いられている。このような
プラスチックフィルムにおいて、ガスバリア性は、内容
物である、例えば食品の保存性に関しては重要な性質で
ある。
【0003】プラスチックフィルムにガスバリア性を付
与するために、ガスバリア性を有する無機層状化合物を
含む樹脂組成物層を、基材フィルムに対し積層したフィ
ルム積層体が、例えば特開平7−304128号公報に
開示されている。このフィルム積層体は、基材フィルム
上に、上記樹脂組成物層の水性溶液による塗膜を形成
し、上記塗膜を乾燥して上記樹脂組成物層がコーティン
グによって形成(塗工)されている。
【0004】このようなフィルム積層体においては、プ
ラスチック製の基材フィルムへの塗膜の密着性を向上さ
せるために、一般に基材フィルムの表面改質を行う。特
にコロナ放電処理による基材フィルムの表面を改質する
のが一般的である。
【0005】しかしながら、コロナ放電処理では、表面
が改質された基材フィルムに対し、ヒートシール性フィ
ルムや、ガスバリア性フィルムを積層した場合、それぞ
れ十分なヒートシール強度および耐ゲルボフレックス性
(フィルム積層体のねじれによるピンホール形成の抑
制)を得るのは困難であることが知られている。
【0006】このため、一般に、基材フィルムに対する
アンカー層の積層による表面改質が利用されている。ア
ンカー層を形成するためのアンカーコート剤の種類とし
ては、アルキルチタネート系、ポリエチレンイミン系、
イソシアネート系、ブタジエン系、アクリル系等が挙げ
られる。
【0007】上記公報では、エチレンイミン/ブタジエ
ン系のアンカーコート剤によるアンカー層を用いたフィ
ルム積層体が開示されている。上記フィルム積層体は、
無機層状化合物を含む樹脂組成物層(ガスバリア層)と
基材フィルムとの接着性が上記アンカー層によって向上
し、軽包装等用途のピール強度が改良されたものとなっ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来公
報に記載のフィルム積層体では、優れたガスバリア性を
確保しながら、重包装用包材として使用するため、ねじ
れの繰り返しによるピンホール形成を抑制できるという
耐ゲルボフレックス性の面でまだ不十分であるという問
題を生じている。
【0009】また、優れたガスバリア性および耐ゲルボ
フレックス性を備えたフィルム積層体の製造方法を安定
化できる方法も求められている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、上記従来公報では、
ガスバリア層との密着性が低いことにより不適であると
判断されたイソシアネート系のアンカー層と、無機層状
化合物を含むガスバリア層に界面活性剤を含ませること
により、ガスバリア層とアンカー層との密着性を、より
一層改善できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】すなわち、本発明のフィルム積層体は、以
上の課題を解決するために、イソシアネート化合物と活
性水素化合物とから調製されたアンカー層が基材フィル
ム上に積層され、無機層状化合物を有するガスバリア層
がアンカー層上に積層され、上記ガスバリア層は、界面
活性剤を含んでいることを特徴としている。
【0012】上記構成によれば、ガスバリア層において
は、無機層状化合物が、その層状という形状により互い
に対面すると共に、ガスバリア層の表面方向と略平行と
なるように配向することから、上記無機層状化合物によ
る迷路効果を生じて、上記ガスバリア層に対しガスバリ
ア性を付与することができる。
【0013】その上、上記構成では、ガスバリア層が上
記界面活性剤を含むことによって、上記ガスバリア層の
アンカー層に対する親和性、すなわち、ぬれ性を改善で
きるので、基材フィルムとの接着強度に優れたイソシア
ネート系のアンカー層と、ガスバリア層との間での密着
性を向上できる。
【0014】本発明のフィルム積層体の製造方法は、イ
ソシアネート化合物と活性水素化合物とから調製された
アンカー層上に、ガスバリア性を付与するための無機層
状化合物、および、界面活性剤を有する樹脂組成物と液
体とを含む塗工液をコーティングにより塗布して塗膜を
形成し、上記塗膜から液体を除去して、上記樹脂組成物
からなるガスバリア層をアンカー層上に積層する方法で
ある。
【0015】上記方法によれば、塗工液が界面活性剤を
含むことにより、塗工液のアンカー層に対する親和性、
すなわち、ぬれ性を改善できることから、塗工液のアン
カー層に対するコーティングにより、アンカー層上に塗
工液による塗膜を安定に形成することができる。したが
って、上記塗膜から液体を除去することにより、アンカ
ー層上に、上記塗膜からのガスバリア層をアンカー層上
に形成することを安定化できる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図1
ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本発明のフィルム積層体は、図1に示すように、イソシ
アネート化合物と活性水素化合物とから調製されたアン
カー層2が基材フィルム1上に積層され、無機層状化合
物を有するガスバリア層3がアンカー層2上に積層さ
れ、上記ガスバリア層3は、アンカー層2との密着性を
向上するための界面活性剤を含むものである。
【0017】本発明のフィルム積層体の製造方法は、イ
ソシアネート化合物と活性水素化合物とから調製された
アンカー層2上に、ガスバリア性を付与するための無機
層状化合物、および、アンカー層との密着性を向上する
ための界面活性剤を有する樹脂組成物と液体とを含む塗
工液をコーティングにより塗布して塗膜を形成し、上記
塗膜から液体を除去して、上記樹脂組成物からなるガス
バリア層3をアンカー層2上に積層して塗工する方法で
ある。
【0018】本発明に用いられる界面活性剤としては、
アンカー層2とガスバリア層3との間の密着性を向上で
きるものであれば、特に限定されないが、例えば、アニ
オン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン
性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が挙げられ
る。
【0019】アニオン性界面活性剤としては、脂肪族モ
ノカルボン酸塩、N−アシロイルグルタミン酸塩等のカ
ルボン酸型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレ
ンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、スルホこは
く酸ジアルキルエステル等のスルホン酸型、硫酸アルキ
ル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩等の硫酸エス
テル型、リン酸アルキル塩等のリン酸エステル型、ホウ
酸アルキル塩等のホウ酸エステル型などの炭化水素系ア
ニオン性界面活性剤、パーフルオロデカン酸ナトリウ
ム、パーフルオロオクチルスルホン酸ナトリウム等のフ
ッ素系アニオン性界面活性剤、ポリジメチルシロキサン
基とカルボン酸金属塩とを有する重合体など陰イオン性
基を有するシリコーン系アニオン性界面活性剤が挙げら
れる。
【0020】カチオン性界面活性剤としては、例えば、
アルキルアミン塩等のアミン塩型、アルキルトリメチル
アンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の第四級ア
ンモニウム塩型などが挙げられる。
【0021】両性イオン性界面活性剤としては、N,N-ジ
メチル−N-アルキルアミノ酢酸ベタイン等のカルボキシ
ベタイン型、1-アルキル−1-ヒドロキシエチル−1-カル
ボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等のグリシン型
が挙げられる。
【0022】非イオン性界面活性剤としては、グリセリ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖
脂肪酸エステル等のエステル型、ポリジメチルシロキサ
ン基とアルキレンオキシド付加物との縮重合体、ポリシ
ロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプ
ロピレンブロックポリマー等のエーテル型、ポリエチレ
ングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル等のエステルエーテル型、脂肪族
アルカノールアミド等のアルカノールアミド型、パーフ
ルオロデカン酸のジグリセリンエステルやパーフルオロ
アルキルアルキレンオキサイド化合物などのフッ素型が
挙げられる。
【0023】上記界面活性剤の中では、特に、炭素数6
以上24以下のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカ
リ金属塩、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレ
ン共重合体などのエーテル型の非イオン性界面活性剤
(シリコーン系非イオン性界面活性剤)や、パーフルオ
ロアルキルエチレンオキサイド化合物などのフッ素型非
イオン性界面活性剤(フッ素系非イオン性界面活性剤)
が好ましい。
【0024】界面活性剤の配合量は、ガスバリア層3を
形成する際、例えば塗工液を使用する場合、効果の観点
から、該塗工液中に0.001〜5重量%が好ましく、
0.003〜0.5重量%がより好ましく、0.005
〜0.1重量%が特に好ましい。
【0025】本発明に用いられるアンカー層2におい
て、イソシアネート化合物とは、トリレンジイソシアネ
ート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XD
I)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,
4'−メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート(H12
MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等
がある。
【0026】また、活性水素化合物とは、イソシアネー
ト化合物と結合する官能基を有するものであればよく、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロ
ールプロパン等の低分子量ポリオール、ポリエチレング
リコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレン
オキシド/プロピレンオキシド共重合体、ポリテトラメ
チレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオー
ル、ポリ−β−メチル−δ−バレロラクトン、ポリカプ
ロラクトン、ジオール/二塩基酸からのポリエステル等
のポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0027】上記活性水素化合物においては、特に、低
分子量ポリオールが好ましく、さらに、低分子量ポリオ
ール中のジオールが望ましい。ここでジオールとはエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール等であり、二塩基酸として
アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフタル
酸、テレフタル酸等である。その他のポリオールとし
て、ひまし油、液状ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポ
リカーボネートジオール、アクリルポリオール、ネオプ
レン等の活性水素化合物がある.イソシアネート化合物
と活性水素化合物の混合比は、特に限定されないが、イ
ソシアネート基と活性水素基、例えば−OH,−NH,
−COOHとの当量関係を考慮し、添加量を決定するの
が好ましい。例えば、イソシアネート基のモル数(A
N)と活性水素化合物の活性水素基のモル数(BN)と
の比R(R=AN/BN)が、接着強度の観点から0.
001以上が好ましく、粘着性とブロッキングの観点か
ら10以下が好ましい。このモル数の比Rは、0.01
以上、1以下の範囲内であることが更に好ましい。イソ
シアネート基および活性水素基の各モル数は、1H−N
MR、13C−NMRにより定量することができる。
【0028】アンカー層2を基材フィルム1へ積層する
方法としては、特に限定されないが、イソシアネート化
合物と活性水素化合物とを含むアンカーコート剤を溶媒
に溶解してアンカーコート剤溶液を用いるコーティング
法が好ましい。コーティング法としては、具体的には、
ダイレクトグラビア法やリバースグラビア法及びマイク
ログラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィ
ード3本リバースコート法等のロールコーティング法、
及びドクターナイフ法やダイコート法、ディップコート
法、バーコーティング法やこれらを組み合わせたコーテ
ィング法などの方法が挙げられる。
【0029】また、アンカーコート剤溶液における溶剤
成分は主として有機溶媒であり、アルコール類、脂肪族
炭化水素類、脂環族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エ
ステル類、ケトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素
類、これらの混合溶媒が挙げられる。
【0030】アンカーコート剤溶液を基材フィルム1に
対し、膜状に塗布した塗工厚みは、特に限定されない
が、乾燥厚みが0.01μm〜5μmとなるように設定
されるのが好ましい。塗工厚みが大きいほどヒートシー
ル強度には優れるが、耐ゲルボフレックス性には劣る。
よって、上記塗工厚みは、より好ましくは0.03μm
〜2.0μmであり、さらに好ましくは0.05μm〜
1.0μmである。
【0031】本発明に用いられる無機層状化合物とは、
単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有している
無機化合物であり、へき開した状態において、粒径が5
μm以下、アスペクト比がガスバリア性に関しては50
以上5000以下、より好ましくはアスペクト比が20
0〜3000の範囲であるものならば特に限定されな
い。
【0032】アスペクト比が50未満であればガスバリ
ア性に関して十分でなく、5000より大きいものは技
術的に難しく、経済的にも高価なものとなる。また、粒
径が3μm以下であれば透明性が、より良好となり、さ
らに粒径が1μm以下であれば透明性の重視される用途
にはより好ましい。本発明のフィルム積層体では、上記
無機層状化合物によって、後述する酸素透過度の測定方
法にしたがった、酸素透過度(mL/atm ・m2 ・day
)が、1以下、より好ましくは、0.1以下、さらに
好ましくは0.05以下という優れたガスバリア性を有
するものとなっている。
【0033】本発明に用いられる無機層状化合物の具体
例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物
(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、
粘土鉱物等を挙げることができる。ここに「カルコゲン
化合物」とはIV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,
Nb,Ta)およびVI族(Mo,W)のジカルコゲン
化物であって、式MX2 (Mは上記元素, Xはカルコゲ
ン(S,Se,Te)を示す。) で表されるものをい
う。
【0034】本発明で用いられる無機層状化合物の粒径
とは、分散媒中、回折/散乱法により求めた粒径をさ
す。ガスバリア層3中での真の粒径測定はきわめて困難
であるが、回折/散乱法で用いた分散媒と同種の分散媒
で十分に膨潤、へき開させて、ガスバリア層3に用いる
樹脂に複合させる場合、図2に示すガスバリア層3にお
ける樹脂32中での、へき開した無機層状化合物である
単位結晶層31の粒径は、分散媒中でのへき開した無機
層状化合物における単位結晶層の粒径に相当すると考え
ることができる。
【0035】(平均粒径を求める方法)液中の粒子の平
均粒径を求める方法は、回折/散乱法による方法、動的
光散乱法による方法、電気抵抗変化による方法、液中顕
微鏡撮影後画像処理による方法などが可能である。
【0036】動的光散乱法では樹脂と粒子が共存してい
る場合、見かけ液粘度が純分散媒と変わってしまうため
に評価し難く、電気抵抗変化による方法は液の電解質濃
度などに制限があり、液中顕微鏡撮影後画像処理による
方法は分解能の問題があり、それぞれ使いづらい。
【0037】回折/散乱法による方法は、樹脂溶液、例
えば樹脂水性液に実質上散乱が少なく(透明というこ
と)、よって、粒子由来の散乱が支配的である場合に
は、樹脂の有無に関わらず粒子の粒度分布のみの情報が
得られるため好ましい。
【0038】(回折/散乱法による平均粒径測定)回折
/散乱法による粒度分布・平均粒径測定は、膨潤してへ
き開した無機層状化合物を水性分散媒に分散させた分散
液に対し、光を通過させたときに得られる回折/散乱パ
ターンをミー散乱理論などを用いてパターンに最も矛盾
のない粒度分布を計算することによりなされる。
【0039】市販の装置としては、レーザー回折・光散
乱法による粒度測定装置(LS230、LS200、L
S100、コールター社製)、レーザー回折式粒度分布
測定装置(SALD2000、SALD2000A、S
ALD3000、島津製作所製)、レーザー回折・散乱
式粒度分布測定装置(LA910、LA700、LA5
00、堀場製作所製、および、マイクロトラックSP
A、マイクロトラックFRA、日機装製)などが挙げら
れる。
【0040】(アスペクト比測定方法)アスペクト比
(Z)とは、Z=L/aの関係から求められる比であ
る。ここに、Lは、分散液中、上記した回折/散乱法に
よる粒径測定法により求めた無機層状化合物の粒径(体
積基準のメジアン径)であり、aは、図2に示すへき開
した無機層状化合物である単位結晶層31の単位厚さで
ある。この「単位厚さa」は、後述する粉末X線回折法
等によって、無機層状化合物における単位結晶層31の
厚みを単独にて測定した結果に基づいて決められる値で
ある。
【0041】より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線
回折ピークの強度を示した図3のグラフに模式的に示す
ように、観測される回折ピークのうち最も低角側のピー
クに対応する角度θから、Bragg の式(nλ=2Dsi
nθ、n=1,2,3・・・)に基づいて求められる間
隔を、「単位厚さa」とする(粉末X線回折法の詳細に
ついては、例えば、塩川二朗監修「機器分析の手引き
(a)」69頁(1985年)化学同人社発行を参
照)。
【0042】分散液から分散媒を取り除いてなる、ガス
バリア層3に相当する樹脂組成物を粉末X線回折した際
には、通常、該樹脂組成物における分散している各無機
層状化合物の面間隔を、図2に示す面間隔dとして求め
ることが可能である。
【0043】より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線
回折ピークの強度を取った図4のグラフに模式的に示す
ように、上記した「単位厚さa」に対応する回折ピーク
位置より、低角(間隔が大きい)側に観測される回折ピ
ークのうち、最も低角側のピークに対応する間隔を「面
間隔d」(a<d)とする。
【0044】図5のグラフに模式的に示すように、上記
「面間隔d」に対応するピークがハロー(ないしバック
グラウンド)と重なって検出することが困難な場合にお
いては、2θdより低角側のベースラインを除いた部分
の面積を、「面間隔d」に対応するピークとしている。
ここに、「θd」は、「(単位厚さa)+(樹脂1本鎖
の幅)」に相当する回折角である(この面間隔dの算出
法の詳細については、例えば、岩生周一ら編、「粘土の
事典」、35頁以下および271頁以下、1985年、
(株)朝倉書店を参照)。
【0045】通常は、上記した面間隔dと「単位厚さ
a」との差、すなわちk=(d−a)の値(「長さ」に
換算した場合)は、樹脂組成物を構成する樹脂1本鎖の
幅に等しいかこれより大である〔k=(d−a)≧樹脂
1本鎖の幅〕。このような「樹脂1本鎖の幅」は、シミ
ュレーション計算等により求めることが可能である(例
えば、「高分子化学序論」、103〜110頁、198
1年、化学同人を参照)、ポリビニルアルコールの場合
には4〜5オングストロームである(水分子では2〜3
オングストローム)。
【0046】ガスバリア層3中の単位結晶層31の「真
のアスペクト比」は直接測定がきわめて困難である。上
記したアスペクト比Z=L/aは、必ずしも、ガスバリ
ア層3中の単位結晶層31の「真のアスペクト比」と等
しいとは限らないが、下記の理由により、このアスペク
ト比Zをもって「真のアスペクト比」を近似することに
は妥当性がある。
【0047】樹脂組成物の粉末X線回折法により求めら
れる面間隔dと、無機層状化合物単独の粉末X線回折測
定により求められる「単位厚さa」との間にa<dなる
関係があり、且つ(d−a)の値が該組成物中の樹脂1
本鎖の幅以上である場合には、樹脂組成物中において、
各無機層状化合物の単位結晶層間に樹脂が挿入されてい
ることとなる。
【0048】したがって、ガスバリア層3中の単位結晶
層31の厚みを上記「単位厚さa」で近似すること、す
なわちガスバリア層3中における単位結晶層31の「真
のアスペクト比」を、上記した無機層状化合物の分散液
中での「アスペクト比Z」で近似することには、充分な
妥当性がある。
【0049】上述したように、ガスバリア層3中におけ
る、単位結晶層31の真の粒径測定はきわめて困難であ
るが、ガスバリア層3の樹脂32中での単位結晶層31
の粒径は、分散液中(樹脂/無機層状化合物/分散媒)
の、へき開した無機層状化合物の粒径Lに相当すると考
えることができる。
【0050】但し、回折/散乱法で求められる分散液中
での粒径Lは、無機層状化合物における単位結晶層の長
径Lmaxを越える可能性はかなり低いと考えられるた
め、真のアスペクト比(Lmax/a)が、本発明で用
いる「アスペクト比Z」を下回る(Lmax/a<Z)
可能性は、理論的にはかなり低い。
【0051】上述した2つの点から、本発明で用いるア
スペクト比の定義Zは、充分な妥当性を有するものと考
えられる。本明細書において、「アスペクト比」または
「粒径」とは、上記で定義した「アスペクト比Z」、ま
たは「回折/散乱法で求めた粒径L」を意味する。
【0052】大きなアスペクト比を容易に与える点から
は、分散媒に膨潤・へき開する性質を有する無機層状化
合物が好ましく用いられる。
【0053】本発明に用いる無機層状化合物の分散媒へ
の「膨潤・へき開」性の程度は、以下の「膨潤・へき
開」試験により評価することができる。無機層状化合物
の膨潤性は、下記の膨潤性試験において、膨潤値約5以
上(さらには膨潤値約20以上)の程度であることが好
ましい。一方、無機層状化合物のへき開性は、下記へき
開性試験において、へき開値約5以上(さらにはへき開
値約20以上)の程度であることが好ましい。これらの
場合、分散媒としては、無機層状化合物の密度より小さ
い密度を有する液体を用いる。無機層状化合物が天然の
膨潤性粘土鉱物である場合、分散媒としては、水を用い
ることが好ましい。
【0054】<膨潤性試験>100mLメスシリンダー
に分散媒100mLを入れ、これに無機層状化合物2g
をゆっくり加える。静置後、23℃、24hr後の無機
層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状
化合物分散層の体積(mL)を膨潤値として読む。この
数値が大きい程、膨潤性が高い。
【0055】<へき開性試験>無機層状化合物30gを
分散媒1500mLにゆっくり加え、分散機〔浅田鉄工
(株)製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3
100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28
mm〕にて周速8.5m/secで90分間分散した後
(23℃)、分散液100mLをとりメスシリンダーに
入れ60分静置後、上澄みとの界面から、無機層状化合
物分散層の体積(mL)をへき開値として読む。
【0056】分散媒に膨潤・へき開する無機層状化合物
としては、分散媒に膨潤・へき開性を有する粘土鉱物が
特に好ましく用いられる。かかる粘土鉱物は、一般に、
シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウ
ム等を中心金属にした八面体層を有する2層構造を有す
るタイプと、シリカの四面体層が、アルミニウムやマグ
ネシウム等を中心金属にした八面体層を両側から狭んで
なる3層構造を有するタイプに分類される。前者の2層
構造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴライト
族等を挙げることができ、後者の3層構造タイプとして
は、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミ
キュライト族、マイカ族等を挙げることができる。
【0057】これらの粘土鉱物としては、より具体的に
は、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイ
サイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィラ
イト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイ
ト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘク
トライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオ
ライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュラ
イト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げるこ
とができる。
【0058】また、粘土鉱物を有機物で処理したもの
(以下、有機修飾粘土鉱物と称する場合もある)も無機
層状化合物として用いることができる(なお、有機物で
処理した粘土鉱物に関しては、朝倉書店、「粘土の事
典」参照)。
【0059】上記粘土鉱物の中でも、膨潤性またはへき
開性の観点から、スメクタイト族、バーミキュライト族
およびマイカ族が好ましく、さらに好ましくはスメクタ
イト族が好ましい。スメクタイト族としては、モンモリ
ロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイ
ト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライトを例
示できる。
【0060】無機層状化合物を膨潤またはへき開させる
分散媒は、例えば天然の膨潤性粘土鉱物の場合、水、メ
タノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のア
ルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、アセトン等が挙げられ、水やメタノール等のアル
コール類がより好ましい。
【0061】また、有機修飾粘土鉱物の場合、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチル
エーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン
等の脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、四塩化炭素、
クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、
パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エ
チル、メタアクリル酸メチル(MMA) 、フタル酸ジオ
クチル(DOP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、メチルセロソルブ、シリコンオイル等が挙
げられる。
【0062】本発明のガスバリア層3に含まれる樹脂
は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、アミド系樹脂、アクリル系樹
脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、セルロ
ース系樹脂、ハロゲン含有樹脂、高水素結合性樹脂、液
晶樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオ
キシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹
脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテル
ケトン樹脂などが挙げられる。
【0063】好ましい樹脂の例としては、後述する水素
結合性基またはイオン性基を有する高水素結合性樹脂を
含む樹脂が挙げられる。高水素結合性樹脂中の水素結合
性基またはイオン性基の含有量(両者を含む場合は、両
者の合計量)は、樹脂重量当たり、20〜60モル%で
あり、好ましくは30〜50モル%である。これらの水
素結合性基およびイオン性基の含有量は、例えば、核磁
気共鳴(NMR)の手法(1H−NMR、13C−NMR
等)によって測定することができる。
【0064】上述した水素結合性基としては水酸基、ア
ミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、
燐酸基などが挙げられ、イオン性基としてはカルボキシ
レート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモ
ニウム基、ホスホニウム基などが挙げられる。水素結合
性基またはイオン性基の内、さらに好ましいものとして
は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸
基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモ
ニウム基などが挙げられる。
【0065】高水素結合性樹脂の具体例としては、例え
ば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール分率が4
0モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体、
多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類、ポリア
クリル酸ナトリウム、ポリベンゼンスルホン酸、ポリベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポ
リアリルアミンおよびその4級アンモニウム塩、ポリビ
ニルチオール、ポリグリセリン、ポリ塩化ビニリデン、
ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。上述した樹脂
の中でも、さらに好ましいものとしては、ポリビニルア
ルコール、多糖類が挙げられる。
【0066】ここで、ポリビニルアルコールとは、例え
ば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解な
いしエステル交換(けん化)して得られるポリマー(す
なわち、ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体とな
ったもの)や、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビ
ニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチルビニ
ルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重
合体等をけん化して得られるポリマーが挙げられる(ポ
リビニルアルコールの詳細については、例えば、ポバー
ル会編、「PVAの世界」、1992年、(株)高分子
刊行会;長野ら、「ポバール」1981年、(株)高分
子刊行会を参照)。
【0067】ポリビニルアルコールにおける「けん化」
の程度は、モル百分率で70%以上が好ましく、さらに
は85%以上のものが好ましく、98%以上のいわゆる
完全けん化品が特に好ましい。また、ポリビニルアルコ
ールにおける重合度は、100以上5000以下が好ま
しく、200以上3000以下がより好ましい。さら
に、本発明にいうPVAは、本発明の目的が阻害されな
い限り、少量の共重合モノマーで変性されていてもよ
い。
【0068】多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によっ
て生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれ
らをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえば、セ
ルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど
のセルロース誘導体、アミロース、アミロペクチン、プ
ルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサンなど
が挙げられる。
【0069】また、エチレン−ビニルアルコール共重合
体(以下:EVOHと記載) とは、ビニルアルコール分
率が40モル%以上80モル%以下であり、より好まし
くは、45モル%〜75モル%であるEVOHを意味す
る。また、EVOHのメルトインデックス(温度190
℃、荷重2160gの条件で測定した値;以下MIと記
す)は、特に限定されないが、0. 1〜50g/10分
である。さらに、本発明にいうEVOHは、本発明の目
的が阻害されない限り、少量の共重合モノマーで変性さ
れていてもよい。
【0070】本発明で塗工液を用いる場合、該塗工液
は、上述した無機層状化合物と樹脂を分散媒中に分散ま
たは溶解させた液である。得られるフィルム積層体のガ
スバリア性の観点から、分散媒としては、上述した無機
層状化合物を膨潤またはへき開させる液体が好ましい。
【0071】塗工液における、無機層状化合物と樹脂と
の組成比は、特に限定されないが、一般的には、無機層
状化合物と樹脂との重量比(無機層状化合物/樹脂)
が、1/100〜100/1、さらには1/20〜10
/1の範囲であることが好ましい。無機層状化合物の重
量比が高いほどガスバリア性に優れるが、耐屈曲性の点
を考慮すると、1/20〜2/1の範囲がより好まし
い。また、塗工液中の無機層状化合物と樹脂の濃度は、
両者の合計で、0.1〜70重量%、生産性の観点から
4〜15重量%であり、より好ましくは、4〜10重量
%である。
【0072】本発明で用いられる樹脂が、高水素結合性
樹脂であるときには、その耐水性を改良する目的で水素
結合性基用の架橋剤を用いることができる。
【0073】上記架橋剤の好適な例としては、チタン系
カップリング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系
カップリング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシア
ネート系カップリング剤等のカップリング剤、水溶性エ
ポキシ化合物、銅化合物、ジルコニウム化合物、チタン
化合物等が挙げられる。耐水性向上の点からは、チタン
化合物、ジルコニウム化合物、水溶性エポキシ化合物、
シランカップリング剤がさらに好ましく用いられる。
【0074】上記チタン化合物の具体例としては、テト
ラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタ
ネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチル
ヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチ
タンオルソエステル類、チタンアセチルアセトナート、
チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチ
ルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタ
ンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタ
ンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類、ポリ
ヒドロキシチタンステアレート等のチタンアシレート類
などが挙げられる。
【0075】前記のジルコニウム化合物の具体例として
は、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化
ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム
等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウム、塩基
性硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジル
コニウム塩;ギ酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プ
ロピオン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ス
テアリン酸ジルコニウム等の有機酸のジルコニウム塩;
炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナト
リウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジル
コニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウ
ム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウ
ム錯塩などがあげられる。
【0076】前記の水溶性エポキシ化合物の具体例とし
ては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタ
ンポリグリシジルエーテル、グリシジルエーテル系エポ
キシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系
エポキシ樹脂、あるいは脂肪族系エポキシ樹脂をあげる
ことができる。
【0077】前記のシランカップリング剤の例として
は、アミノ系シランカップリング剤、ビニル系あるいは
メタクリロキシ系シランカップリング剤、エポキシ系シ
ランカップリング剤、メチル系シランカップリング剤、
クロロ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカ
ップリング剤系が挙げられる。
【0078】架橋剤の添加量は特に限定されないが、架
橋剤の架橋生成基のモル数(CN)と樹脂の水素結合性
基のモル数(HN)との比K(K=CN/HN)が、
0.001以上10以下の範囲内になるように用いるこ
とが好ましい。このモル数の比Kは、0.01以上1以
下の範囲内であることが更に好ましい。
【0079】上記した無機層状化合物と樹脂よりなる樹
脂組成物の配合ないし製造方法は、特に限定されない。
配合時の均一性ないし操作容易性の点からは、例えば、
樹脂を溶媒に溶解させた液と、無機層状化合物を分散媒
により予め膨潤・へき開させた分散液とを混合後、溶媒
および分散媒を除く方法(方法1)、無機層状化合物を
分散媒により膨潤・へき開させた分散液と樹脂とを混合
して、上記樹脂を分散媒中に溶解させた後、分散媒を除
く方法(方法2)、樹脂を溶媒に溶解させた液に無機層
状化合物を加え、上記溶媒を分散媒として上記無機層状
化合物を膨潤・へき開させて分散液とし、上記溶媒を除
く方法(方法3)、また樹脂と無機層状化合物を熱混練
する方法(方法4)などが使用可能である。無機層状化
合物の大きなアスペクト比が容易に得られる点からは、
前3者の方法が好ましく用いられる。また、前3者にお
いては、高圧分散装置を用いて高圧分散処理するほうが
無機層状化合物の分散性の観点から好ましい。
【0080】高圧分散装置としては、例えばMicrofluid
ics Corporation 社製超高圧ホモジナイザー(商品名マ
イクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナノ
マイザーがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装
置、例えばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザー等が
挙げられる。
【0081】上記の前3者の方法において、溶媒や分散
媒を系から除去し、積層した後、得られたフィルム積層
体を、例えば110℃以上220℃以下で熱エージング
することは、とりわけフィルム積層体の耐水性(耐水環
境テスト後のガスバリア性の意味)を向上させることが
できて、好ましい。
【0082】エージング時間に限定はないが、フィルム
積層体が少なくとも設定温度に到達する必要があり、例
えば熱風乾燥機のような熱媒接触による方法の場合、1
秒以上100分以下が好ましい。熱源についても特に限
定はなく、熱ロール接触、熱媒接触(空気、オイル
等)、赤外線加熱、マイクロ波加熱など種々の方法が適
用できる。
【0083】上記エージング処理は、樹脂が高水素結合
性樹脂を含み、かつ、無機層状化合物が膨潤性を有する
粘土鉱物である場合に、耐水性の改良において特に優れ
た効果を発揮する。
【0084】本発明における高圧分散処理とは、図6に
示すように、分散させるべき粒子または分散媒等を混合
した組成物混合液を複数本の細管11中に高速通過させ
衝突させることにより、高剪断や高圧状態などの特殊な
条件下で、分散処理することである。
【0085】このような高圧分散処理では、組成物混合
液を、管径1μm〜1000μmの細管11中を通過さ
せることが好ましく、細管11を通過時に、組成物混合
液には、最大圧力条件が100kgf/cm2 以上の圧
力が印加されることが好ましく、さらに、500kgf
/cm2 以上がより好ましく、特に好ましくは1000
kgf/cm2 以上である。また、組成物混合液が、細
管11内を通過する際、上記組成物混合液の最高到達速
度が100m/s以上に達することが好ましく、伝熱速
度は100kcal/hr以上のことが好ましい。
【0086】上記高圧分散処理の原理を模式的に説明す
ると、まず、ポンプ12により、細管11より太い管径
を有するフィーダー管13に組成物混合液が吸引されて
取り込まれる。続いて、ポンプ12によって、フィーダ
ー管13内の組成物混合液に対し、高圧が印加される。
【0087】このとき、フィーダー管13に設けられた
逆流防止弁(図示せず)により、フィーダー管13内の
組成物混合液は、細管11に向かって押し出される。し
たがって、組成物混合液は、細管11内において、高圧
および高速状態となり、組成物混合液の各無機層状化合
物粒子が互いに、および細管11の内壁と衝突して、上
記各無機層状化合物粒子の径および厚さ、特に厚さが細
分化され、かつ、より均一に分散されて、排出管14か
ら外部に取り出される。
【0088】例えば、細管11部分で処理サンプルであ
る組成物混合液に対し、瞬間的に最高速度に達する地点
の流速が、例えば300m/sの場合、体積1×10-3
の立方体中を1/(3×10)secで通過
し、組成物混合液の温度が35℃上昇するとき、圧力損
失により組成物混合液にエネルギーが伝達される。伝熱
速度は、組成物混合液の比重が1g/cm3 比熱1ca
l/g℃のとき、3.8×104 kcal/hrとな
る。
【0089】基材フィルム1として用いられる基材樹脂
としては、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン
−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エ
チレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合
体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマ
ー樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン−
6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピ
ン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミドなどのアミ
ド系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系
樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重
合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン−アクリロニ
トリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース
などの疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロンなど
のハロゲン含有樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン
−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の水
素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹
脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテル
ケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレ
ンオキシド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラ
スチック系樹脂等が挙げられる。
【0090】それらの中で、二軸延伸されたポリプロピ
レン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンやKコー
トと呼ばれるポリ塩化ビニリデンをコートした二軸延伸
されたポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、
ナイロンおよび、シリカ、アルミナ、アルミ蒸着された
ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロ
ンおよび強帯電防止用途OPP(AS−OP)などが好
ましく使用される。
【0091】アンカー層2を積層した基材フィルム1
に、ガスバリア層3を積層する方法としては、特に限定
はされないが、樹脂組成物の塗工液を基材フィルム1表
面に塗布、乾燥、熱処理を行うコーティングする方法
や、樹脂組成物フィルムを後からアンカー層2に対しラ
ミネートする方法などが好ましく、特に好ましくは上記
のコーティングを行う方法である。コーティングする
際、塗工液に含まれる樹脂は、分散性の観点から、前記
高水素結合性樹脂が好ましい。
【0092】コーティング方法としては、ダイレクトグ
ラビア法やリバースグラビア法及びマイクログラビア
法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リ
バースコート法等のロールコーティング法、及びドクタ
ーナイフ法やダイコート法、ディップコート法、バーコ
ーティング法やこれらを組み合わせたコーティング法な
どの方法が挙げられる。
【0093】また、本発明のフィルム積層体では、さら
に、ガスバリア層3上に、図7に示すように、ヒートシ
ール性を向上させるための、シーラント層4を積層して
もよい。シーラント層4に用いられる樹脂は、特に限定
されないがヒートシール強度や食品の香り、樹脂臭など
の脱着の問題から、ポリエチレン(低密度、高密度)、
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重
合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン―4-メチ
ル―1-ペンテン共重合体、エチレン−オクテン共重合
体、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、
エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタ
クリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル
共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマ
ー樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリアクリロニトリ
ル樹脂、ポリエステル樹脂などが例示でき、ポリオレフ
ィン樹脂が好ましく用いられる。
【0094】シーラント層4を積層する方法としては、
特に限定はされないが、たとえば上記シーラント層4に
用いる樹脂を溶媒に溶解し、無機層状化合物と樹脂から
なるガスバリア層3の上にコーティングする方法、シー
ラント層4をガスバリア層3の上に押し出しラミネート
する方法、シーラント層4をガスバリア層3の上にドラ
イラミネートする方法などが好ましい例として挙げられ
る。また、シーラント層4とガスバリア層3との界面は
コロナ処理、オゾン処理、電子線処理やアンカーコート
剤などの処理がされていてもよい。
【0095】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
基材フィルム1、アンカー層2、ガスバリア層3および
シーラント層4の少なくとも一つに対し、紫外線吸収
剤、架橋剤、着色剤、酸化防止剤等のさまざまな添加剤
を混合してもよい。
【0096】本発明によれば、無機層状化合物および界
面活性剤を有するガスバリア層3と基材フィルム1との
間に、イソシアネート化合物と活性水素化合物から作製
されるアンカー層2を使用することにより、上記ガスバ
リア層3とアンカー層2との間の高密着性が上記界面活
性剤によって満足されることによって耐ゲルボフレック
ス性に優れ、かつシーラント層4の積層時にはヒートシ
ール強度に優れるフィルム積層体を得ることが可能とな
っている。
【0097】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。各種物
性の測定方法を以下に記す。
【0098】〔厚み測定〕0.5μm以上の厚みは、市
販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度
デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)に
より測定した。一方、0.5μm未満の厚みは、重量分
析法(一定面積のフィルムの重量測定値をその面積で除
し、更に組成物の比重で除した)または、IR法により
実際の塗工膜厚とIR吸収との検量線を作成し、検量線
より求めた。さらに本発明の樹脂組成物の塗工膜厚に関
する測定の場合などは、元素分析法〔積層体の特定無機
元素分析値(ガスバリア層由来)と無機層状化合物単独
の特定元素分率の比から本発明のガスバリア層と基材フ
ィルムとの比を求める方法)によった。
【0099】〔粒径測定〕レーザー回折・散乱式粒度分
布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を使用
し、媒体の樹脂マトリックス中に存在する無機層状化合
物とみられる粒子の体積基準のメジアン径を粒径Lとし
て測定した。なお、分散液原液はペーストセルにて光路
長50μmで測定し、分散液の希釈液はフローセル法に
て光路長4mmで測定した。
【0100】〔アスペクト比計算〕X線回折装置(XD
−5A、(株)島津製作所製)を用い、無機層状化合物
単独と樹脂組成物の粉末法による回折測定を行った。こ
れにより無機層状化合物の単位厚さaを求め、さらに樹
脂組成物の回折測定から、無機層状化合物の面間隔が広
がっている部分があることを確認した。上述の方法で求
めた粒径Lを用いて、アスペクト比Zを、Z=L/aの
式により算出した。
【0101】〔ヒートシール試験〕後述する実施例1で
得られたフィルム積層体のシーラント層間をバーシーラ
ー〔フジインパルス(株)製,シール幅10mm,ヒー
トシール温度205℃,ヒートシール時間0.5秒〕で
ヒートシールを行い、15mm幅の短冊状にカットし、
オートグラフ(オートグラフAGSー100:島津製作
所製)にセットして500mm/minの引張り速度に
て、2方向からのヒートシール強度(T字剥離)の測定
をそれぞれ行った。上記の2方向とは、フィルム積層体
の製造時における樹脂の吐出方向であるMachinery Dire
ction (表中ではMDと略記した)および上記MDに対
し直行する方向であるTraverse Direciton(表中ではT
Dと略記した)である。
【0102】〔酸素透過度測定〕JIS K7126に
基づき、超高感度酸素透過度測定装置(OX−TRAN
ML、MOCON社製)にて23℃、50%RH条件で
測定を行った。
【0103】〔耐ゲルボフレックス性テスト〕ASTM
F392に基づき、得られたフィルム積層体を23
℃、50%RHの環境下で、24時間エージングした
後、筒状に保持した上記フィルム積層体を、恒温槽付ゲ
ルボフレックステスター〔テスター産業(株)〕で、上
記筒状での中心軸を回転軸として440°ねじった後、
元にもどすテストを100回、繰り返し行った。
【0104】〔塗工液1〕分散釜〔商品名:デスパMH
−L、浅田鉄工(株)製〕に対し、イオン交換水(比電
気伝導率 0.7μS/cm以下)を1410g入れ、さらにポ
リビニルアルコール〔PVA117H;(株)クラレ
製,ケン化度;99.6%,重合度1700〕を50g入れ、低速
撹拌下(1500rpm,周速度4.10m/min)
で95℃に昇温し、1時間撹拌し、溶解させる。
【0105】次に、撹拌したまま60℃に温度を下げた
後、1-ブタノール15gを滴下して、最終的な1−ブタ
ノール分率が重量にして1%となるようにする。そし
て、天然モンモリロナイト〔クニピアF;クニミネ工業
(株)製〕を粉末のまま25g添加し、モンモリロナイ
トが液中にほぼ沈殿したことを確認後、高速撹拌(31
00rpm,周速度8.47m/min)を90分行
い、トータル固形分濃度5wt%の樹脂組成物混合液
(A)を得た。(へき開した当該天然モンモリロナイト
(クニピアF)の粒径は560nm、粉末X線回折から
得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比
(Z)は461である。)さらに、1-ブタノール92
g、イソプロピルアルコール277gの混合液に、非イ
オン性界面活性剤〔商品名:SH3746、東レ・ダウ
コーニング(株)製〕を0.18g添加した液を(B)
とする。上記非イオン性界面活性剤は、ポリジメチルシ
ロキサン−ポリオキシエチレン共重合体である。
【0106】液(A)に、液(B)を低速撹拌下(15
00rpm,周速度4.10m/min)において徐々
に添加し、さらにチタンアセチルアセトナート〔TC1
00,松本製薬工業(株)製〕を低速撹拌下(1500
rpm,周速度4.10m/min)において徐々に
3.3g添加し、これを塗工液1とした。
【0107】〔塗工液2〕分散釜〔商品名:デスパMH
−L、浅田鉄工(株)製〕に対し、イオン交換水(比電
気伝導率 0.7μS/cm以下)を1860g入れ、さらにポ
リビニルアルコール〔PVA117H;(株)クラレ
製,ケン化度;99.6%,重合度1700〕を80g入れ、低速
撹拌下(1500rpm,周速度4.10m/min)
で95℃に昇温し、1時間撹拌し、溶解させ、撹拌した
まま60℃に温度を下げた後、1-ブタノール20gを滴
下して、最終的な1-ブタノール分率が重量にして1%と
なるようにし、これを液(C)とした。
【0108】1960gの液(C)を、撹拌乳化装置
〔商品名:真空乳化装置PVQ−3UN、みずほ工業
(株)製〕に仕込む。樹脂と無機層状化合物の重量比が
2:1となるように、天然モンモリロナイト〔クニピア
F;クニミネ工業(株)製〕を粉末のまま40g添加
し、モンモリロナイトが液中にほぼ沈殿したことを確認
後、600mmHg、5000rpmで10分間高速撹
拌し、樹脂組成物混合液(D)を得た。
【0109】2000gの液(D)を高圧分散装置(商
品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microf
luidics Corporation 製)に通し、1750kgf/c
2で1回処理することで分散性良好な均一な分散液
(E)を得た。分散液(E)の固形分濃度は6重量%で
あった。PVAとモンモリロナイトからなる分散液をフ
ィルム状にキャストして、X線解析を行い、膨潤しへき
開したモンモリロナイト(無機層状化合物)の面間隔d
を測定した。
【0110】そのX線解析から得られた回折ピークから
面間隔dを求めた結果、その面間隔dが、単位厚さaよ
り大きいことから、前述した理由により、上記モンモリ
ロナイトは充分にへき開されていることが判った。この
ときのへき開した無機層状化合物のアスペクト比は45
0以上であった。
【0111】さらに1-ブタノール125g、イソプロピ
ルアルコール375gの混合液に、非イオン性界面活性
剤〔商品名:SH3746、東レ・ダウコーニング
(株)製〕を0.25g添加した液を(F)とする。
【0112】液(E)に、液(F)を低速撹拌下(15
00rpm,周速度4.10m/min)において徐々
に添加し、さらにチタンアセチルアセトナート〔TC1
00,松本製薬工業(株)製〕を低速撹拌下(1500
rpm,周速度4.10m/min)において徐々に
5.33g添加し、これを塗工液2とした。
【0113】〔実施例1〕厚さ20μmの二軸延伸ポリ
プロピレン(OPP)フィルム〔パイレンP2102;
東洋紡(株)製〕の表面コロナ処理したものを基材フィ
ルムとし、その基材フィルム上に対し、アンカーコート
剤〔アドコートAD335/CAT10=15/1(重
量比):東洋モートン(株)製〕をグラビア塗工(テス
トコーター;康井精機製:マイクログラビア塗工法、塗
工速度3m/分、乾燥温度80℃)した。当該アンカー
コート層の乾燥厚みは0.15μmであった。
【0114】更に、TOPコート液として、塗工液1を
グラビア塗工(テストコーター;康井精機製:マイクロ
グラビア塗工法、塗工速度3m/分、乾燥温度100
℃)し、アンカーコート層上に、上記塗工液1に基づく
ガスバリア層が形成された塗工フィルム(フィルム積層
体)を得た。当該ガスバリア層の乾燥厚みは0.5μm
であった。前述の耐ゲルボフレックス性テストを行う前
の当該塗工フィルム(表中では0回と記載)と、当該塗
工フィルムに対し、耐ゲルボフレックス性テストを10
0回行った後の塗工フィルムとを、それぞれ、酸素透過
度を測定した。それらの結果を表1に示した。
【0115】
【表1】
【0116】次に、当該塗工フィルムのガスバリア層
に、ウレタン系接着剤(ユーノフレックスJ3:三洋化
成製)を用いて、表面コロナ処理したリニアポリエチレ
ン(LLDPE)〔KF101,関フィル(株)製:厚
み40μm〕を外層(シーラント層)としてドライラミ
ネートして、フィルム積層体を得た。得られたフィルム
積層体に対して、前述したヒートシール強度測定を2方
向(MD、TD)にてそれぞれ行った。それらの結果を
表2に示した。
【0117】
【表2】
【0118】〔実施例2〕TOP塗工液が塗工液2であ
ること以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を
得た。得られたフィルム積層体に対して、同じく実施例
1と同様の条件で耐ゲルボフレックス性およびヒートシ
ール強度を測定し、それらの結果をそれぞれ表1および
表2に示した。
【0119】〔比較例1〕アンカーコート剤を、オリバ
インEL451〔ポリブタジエン/ポリエチレンイミン
=2/1(wt比):東洋モートン(株)製〕とする以
外は、実施例1と同様にして比較フィルム積層体を得
た。その比較フィルム積層体を、同じく実施例1と同様
の条件で耐ゲルボフレックス性およびヒートシール強度
を測定し、それらの結果をそれぞれ表1および表2に示
した。
【0120】〔比較例2〕アンカーコート剤を、オリバ
インEL451〔ポリブタジエン/ポリエチレンイミン
=2/1(wt比):東洋モートン(株)製〕とする以
外は、実施例2と同様にして比較フィルム積層体を得
た。その比較フィルム積層体を、同じく実施例2と同様
の条件で耐ゲルボフレックス性およびヒートシール強度
を測定し、それらの結果をそれぞれ表1および表2に示
した。
【0121】本発明のフィルム積層体は、表1および表
2から明らかなように、比較例1および2に記載の各比
較フィルム積層体に比べて、優れた耐ゲルボフレックス
性およびヒートシール強度を有することが判る。
【0122】
【発明の効果】本発明のフィルム積層体は、以上のよう
に、イソシアネート化合物と活性水素化合物とから調製
されたアンカー層が基材フィルム上に積層され、無機層
状化合物を有するガスバリア層がアンカー層上に積層さ
れ、上記ガスバリア層は、界面活性剤を含む構成であ
る。
【0123】それゆえ、上記構成は、ガスバリア層が、
上記界面活性剤を含むことによって、基材フィルムとの
接着強度に優れたイソシアネート系のアンカー層と、ガ
スバリア層との間での密着強度を向上できる。
【0124】この結果、上記構成では、ガスバリア層に
よって酸素等のガス透過性を低減する優れたガスバリア
性を発揮しながら、アンカー層と、上記界面活性剤を含
むガスバリア層とによって、優れた耐ゲルボフレックス
性を実現できるという効果を奏する。
【0125】本発明のフィルム積層体の製造方法は、イ
ソシアネート化合物と活性水素化合物とから調製された
アンカー層上に、ガスバリア性を付与するための無機層
状化合物、および、界面活性剤を有する樹脂組成物と液
体とを含む塗工液をコーティングにより塗布して塗膜を
形成し、上記塗膜から液体を除去して、上記樹脂組成物
からなるガスバリア層をアンカー層上に積層する方法で
ある。
【0126】それゆえ、上記方法は、コーティングによ
って、塗工膜をアンカー層上に安定に形成できて、上記
塗工膜から液体を除去したガスバリア層をアンカー層上
に確実に形成できることから、優れたガスバリア性およ
び耐ゲルボフレックス性を有するフィルム積層体の製造
を安定化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルム積層体の一例を示す概略断面
図である。
【図2】上記フィルム積層体のガスバリア層を示す概略
断面図である。
【図3】上記フィルム積層体における無機層状化合物の
「単位厚さa」を算出するための無機層状化合物のX線
回折グラフである。
【図4】上記フィルム積層体における無機層状化合物の
「面間隔d」を算出するための無機層状化合物のX線回
折グラフである。
【図5】上記図4のグラフにおいて、「面間隔d」に対
応するピークがハロー(ないしバックグラウンド)と重
なって検出することが困難な場合における無機層状化合
物の「面間隔d」を算出するときの、X線回折グラフで
ある。
【図6】上記フィルム積層体の製造時に用いる、高圧分
散処理を模式的に示す説明図である。
【図7】本発明のフィルム積層体の他の例を示す概略断
面図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム 2 アンカー層 3 ガスバリア層 4 シーラント層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イソシアネート化合物と活性水素化合物と
    から調製されたアンカー層が基材フィルム上に積層さ
    れ、 無機層状化合物を有するガスバリア層がアンカー層上に
    積層されており、 上記ガスバリア層は、界面活性剤を含むことを特徴とす
    るフィルム積層体。
  2. 【請求項2】イソシアネート基と活性水素基とのモル比
    が、0.001と10との範囲内であることを特徴とす
    る請求項1記載のフィルム積層体。
  3. 【請求項3】活性水素化合物が、ポリエステルポリオー
    ルおよび/またはポリエーテルポリオールであることを
    特徴とする請求項1または2記載のフィルム積層体。
  4. 【請求項4】アンカー層の膜厚が、0.005μm〜5
    μmであることを特徴とする請求項1ないし3の何れか
    一つに記載のフィルム積層体。
  5. 【請求項5】ガスバリア層上に、シーラント層が積層さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一
    つに記載のフィルム積層体。
  6. 【請求項6】界面活性剤は、非イオン性であることを特
    徴とする請求項1ないし5の何れか一つに記載のフィル
    ム積層体。
  7. 【請求項7】界面活性剤は、ポリシロキサン−ポリオキ
    シアルキレン共重合体であることを特徴とする請求項1
    ないし5の何れか一つに記載のフィルム積層体。
  8. 【請求項8】界面活性剤は、パーフルオロアルキルアル
    キレンオキサイド化合物であることを特徴とする請求項
    1ないし5の何れか一つに記載のフィルム積層体。
  9. 【請求項9】イソシアネート化合物と活性水素化合物と
    から調製されたアンカー層上に、ガスバリア性を付与す
    るための無機層状化合物、および、界面活性剤を有する
    樹脂組成物と液体とを含む塗工液をコーティングにより
    塗布して塗膜を形成し、 上記塗膜から液体を除去して、上記樹脂組成物からなる
    ガスバリア層をアンカー層上に積層することを特徴とす
    るフィルム積層体の製造方法。
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