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JPH11302495A - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物

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Publication number
JPH11302495A
JPH11302495A JP12410998A JP12410998A JPH11302495A JP H11302495 A JPH11302495 A JP H11302495A JP 12410998 A JP12410998 A JP 12410998A JP 12410998 A JP12410998 A JP 12410998A JP H11302495 A JPH11302495 A JP H11302495A
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JP
Japan
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block
copolymer
polymer composition
thermoplastic polymer
polyurethane
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Application number
JP12410998A
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English (en)
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JP3775546B2 (ja
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Haruhisa Masuda
晴久 増田
Katsunori Takamoto
克則 高本
Takashi Yamashita
山下  隆
Shigeru Kawahara
茂 河原
Toru Kuki
徹 九鬼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、柔軟性、弾性、力学的特性、耐油
性、成形加工性に優れ、各種材料との溶融接着性に優れ
る熱可塑性重合体組成物、及び該熱可塑性重合体組成物
と他の材料との積層構造体の提供。 【解決手段】 (i)式;A1−B1(式中A1は芳香族ビ
ニル化合物系重合体ブロック、B1は共役ジエン化合物
系重合体ブロックを示す)で表されるジブロック共重合
体及び/又はその水添物;(ii)式;A2−B2−A3(式
中A2とA3は芳香族ビニル化合物系重合体ブロック、B
2は共役ジエン化合物系重合体ブロックを示す)で表さ
れるトリブロック共重合体及び/又はその水添物;(ii
i)芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン化
合物系重合体ブロックを有するブロック共重合体及び/
又はその水添物からなる付加重合系ブロックとポリウレ
タンエラストマーブロックを有するポリウレタン系ブロ
ック共重合体;(iv)ポリウレタンエラストマー;並びに
パラフィン系オイルを含有する熱可塑性重合体組成物に
より、上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融接着性および
透明性に優れる熱可塑性重合体組成物、並びに該熱可塑
性重合体組成物の層と他の材料からなる層を有する積層
構造体およびその製造方法に関する。より詳細には、本
発明は、透明性、柔軟性、弾性、力学的特性、耐油性お
よび成形加工性に優れ、しかも各種の材料に共通して強
固に溶融接着して、該熱可塑性重合体組成物の層と該材
料からなる層を有する種々の積層構造体や複合体を溶融
接着によって簡単に且つ円滑に製造することのできる熱
可塑性重合体組成物、並びに該熱可塑性重合体組成物の
層と他の材料の層を有する積層構造体およびその製造法
に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系重合体ブロックとジエン系重
合体ブロックを有するブロック共重合体(以下「スチレ
ン・ジエンブロック共重合体」ということがある)およ
びその水素添加物は、常温でゴム弾性を有し且つ加熱に
より可塑化・溶融して成形加工を容易に行うことがで
き、しかも柔軟性と力学的特性のバランスに優れている
ことから、いわゆる熱可塑性弾性体(熱可塑性エラスト
マー)の1種として近年種々の分野で広く用いられてい
る。
【0003】その代表的な用途の1つとしては、スチレ
ン・ジエンブロック共重合体および/またはその水素添
加物の層と、プラスチックおよび/または金属の層を有
する積層構造体(複合体)を挙げることができる。そし
て前記した積層構造体におけるプラスチック層には、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、耐衝撃
性ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート、ナイロン、ポリカーボネートなどの合成樹脂が用
いられている。また、前記した積層構造体における金属
層としては、ステンレス、鉄、アルミニウム、銅、ブリ
キ、トタンなどの各種金属の使用が試みられている。
【0004】上記した積層構造体は、スチレン・ジエン
ブロック共重合体および/またはその水素添加物の層が
柔らかで、良好な手触り、弾力性、防振性、防音性、緩
衝作用(クッション作用)、破損防止機能などの特性を
有し、一方上記した合成樹脂や金属の層が形状保持機
能、補強作用、固定機能などを有する。そのため、前記
積層構造体は高付加価値製品として近年注目されてお
り、シート、フィルム、複雑な形状を有する各種成形品
などの形態にして、例えば、自動車や車両用のインスト
ルメントパネル、センターコンソールボックス、ドアト
リム、ピラー、アシストグリップなどの各種部材、ド
ア、窓枠材などの建築用資材、電気製品の各種スイッチ
やツマミ、医療用ギプス等々の各種製品への使用が試み
られている。
【0005】しかしながら、スチレン・ジエンブロック
共重合体およびその水素添加物は、極性の低い材料であ
り、そのために極性の低い同種のプラスチック等との溶
融接着や溶融一体成形は可能であるが、極性の高いプラ
スチックや金属との溶融接着が困難である。そのため、
極性の高い材料と積層して複合化する場合は、凹凸など
の係止部(嵌合部)をスチレン・ジエンブロック共重合
体やその水素添加物からなる部材(層)およびプラスチ
ックや金属からなる部材(層)に設けて、両者を係合
(嵌合)させて結合する方法や別の結合手段を用いるな
どの機械的接合方法、或いは接着剤を用いる接合方法が
採用されている。しかし、凹凸などの係合部を設ける方
法は、各々の部材を形成するための金型の構造が複雑に
なるため、金型の製作に時間や手間がかかったりコスト
の上昇を招き、しかも両方の部材を係合(嵌合)すると
いう繁雑な作業が必要である。また、接着剤を用いる方
法は、両方の部材を製造時や製造してから接着剤を用い
て両者を接着させるという点で工程が複雑になる。しか
も、使用される接着剤が必ずしも両方の材料に対して高
い接着力を有するとは限らず、そのために接着不良、接
着強度の持続性、耐水性などの点で問題がある。その
上、接着剤に用いられる有機溶剤による作業環境や地球
環境の悪化の問題がある。
【0006】そこで、スチレン・ジエンブロック共重合
体やその水素添加物などの熱可塑性弾性体の熱融着性を
向上させるための技術が従来から色々提案されており、
そのような従来技術として、スチレン・ジエンブロック
共重合体またはその水素添加物に熱可塑性ポリウレタン
エラストマーを配合した熱融着性組成物が知られている
(特開平6−167898号公報、特開平8−7220
4号公報)。しかしながら、この熱融着性組成物を用い
る場合は、それと積層する材料の種類などによっては充
分な接着強度が得られない場合があったり、接着強度の
持続性が無いなどの問題がある。しかも、この熱融着性
組成物では、スチレン・ジエンブロック共重合体または
その水素添加物とポリウレタン熱可塑性弾性体との相溶
性(溶融分散性)が十分に良好であるとは言えず、その
ために良好な機械的特性を示さず、例えば複層射出成形
などにより得られる積層成形品では層間剥離や接着力の
バラツキなどの問題を生じ易い。
【0007】さらに、スチレン・ジエンブロック共重合
体やその水素添加物などの熱可塑性弾性体を含有する熱
可塑性重合体組成物では、それを用いて得られる成形品
や積層体などの色調、外観などを良好なものとするため
に、透明性に優れていることが求められる場合が多い
が、スチレン・ジエンブロック共重合体やその水素添加
物などの熱可塑性弾性体を主体とする従来の熱可塑性重
合体組成物では透明度の低いものが多く、透明性の熱可
塑性重合体組成物を得たいとする要望を十分に満し得て
いない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スチ
レン・ジエンブロック共重合体またはその水素添加物な
どのような、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合
体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体
ブロックを有するブロック共重合体および/またはその
水素添加物に基づく熱可塑性重合体組成物であって、該
ブロック共重合体が本来有する良好な弾力性、柔軟性、
力学的特性、耐油性、成形加工性などの諸特性を損なう
ことなく、種々の材料に対して強固に且つ容易に溶融接
着することができ、しかも透明性に優れる熱可塑性重合
体組成物を提供することである。そして、本発明の目的
は、上記した熱可塑性重合体組成物の層と他の材料の層
とが溶融接着した積層構造体(複合体)およびその製造
方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、芳香族
ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン化合物系重
合体ブロックを有するブロック共重合体および/または
その水素添加物、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック
と共役ジエン化合物系重合体ブロックを有するブロック
共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロ
ックとポリウレタンエラストマーブロックを有するポリ
ウレタン系ブロック共重合体、ポリウレタンエラストマ
ー、並びにパラフィン系オイルを含有する熱可塑性重合
体組成物が、弾力性、柔軟性、力学的特性、耐油性、成
形加工性などの諸特性に優れ、しかも種々の材料に対し
て強固に且つ容易に溶融接着することを見出して先に出
願した(特願平10−80315号)。そして、本発明
者らが、この出願発明に基づいてさらに研究を続けたと
ころ、(i)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合
体ブロック1個と共役ジエン化合物から主としてなる重
合体ブロック1個とが結合したジブロック共重合体およ
びその水素添加物から選ばれる少なくとも1種のジブロ
ック共重合体;(ii)共役ジエン化合物から主としてな
る重合体ブロック1個の両側に芳香族ビニル化合物から
主としてなる重合体ブロックがそれぞれ1個ずつ結合し
たトリブロック共重合体およびその水素添加物から選ば
れる少なくとも1種のトリブロック共重合体;(iii)
芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと
共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックを有
するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付
加重合系ブロックとポリウレタンエラストマーブロック
を有するポリウレタン系ブロック共重合体から選ばれる
少なくとも1種のブロック共重合体;(iv)ポリウレタ
ンエラストマー;並びに(v)パラフィン系オイルを含
有する熱可塑性重合体組成物が、上記した優れた弾力
性、柔軟性、力学的特性、耐油性、成形加工性、種々の
材料に対する良好な溶融接着性という諸特性に加えて、
さらに透明性にも優れていることを見出して本発明を完
成した。
【0010】すなわち、本発明は、(i) 下記の一般
式(i);
【0011】
【化3】A1−B1 (i) (式中、A1は芳香族ビニル化合物から主としてなる重
合体ブロックを示し、B1は共役ジエン化合物から主と
してなる重合体ブロックを示す。)で表されるジブロッ
ク共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくと
も1種のジブロック共重合体(I); (ii) 下記の一般式(ii);
【0012】
【化4】A2−B2−A3 (ii) (式中、A2およびA3はそれぞれ独立して芳香族ビニ
ル化合物から主としてなる重合体ブロックを示し、B2
は共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックを
示す。)で表されるトリブロック共重合体およびその水
素添加物から選ばれる少なくとも1種のトリブロック共
重合体(II); (iii) 芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体
ブロック(A4)と共役ジエン化合物から主としてなる
重合体ブロック(B3)を有するブロック共重合体また
はその水素添加物からなる付加重合系ブロック(C)
と、ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有する
ポリウレタン系ブロック共重合体(III); (iv) ポリウレタンエラストマー(IV);並びに、 (v) パラフィン系オイル(V); を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組成物であ
る。
【0013】そして、本発明は、上記した熱可塑性重合
体組成物からなる層と、他の材料からなる層を有するこ
とを特徴とする積層構造体である。そして、本発明は、
熱可塑性重合体組成物を他の材料に対して溶融積層成形
して上記の積層構造体を製造する方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記したジブ
ロック共重合体(I)、トリブロック共重合体(II)、
ポリウレタン系ブロック共重合体(III)、ポリウレタ
ンエラストマー(IV)およびパラフィン系オイル(V)
の5つの成分を含有していることが必要である。例え
ば、ジブロック共重合体(I)とトリブロック共重合体
(II)のいずれか一方が欠けると、透明性に優れる熱可
塑性重合体組成物が得られなくなり、またポリウレタン
系ブロック共重合体(III)、ポリウレタンエラストマ
ー(IV)およびパラフィン系オイル(V)のうちの1つ
または2つ以上が欠けると、外観、力学的特性および/
または溶融接着性において劣ったものとなる。
【0015】本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる上
記の一般式(i)で表されるジブロック共重合体(I)
は、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロッ
クであるA1[以下「芳香族ビニル重合体ブロック(A
1)」という]と、共役ジエン化合物から主としてなる
重合体ブロックであるB1[以下「共役ジエン重合体ブ
ロック(B1)」という]が1個ずつ結合したジブロッ
ク共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくと
も1種からなっている。また、本発明の熱可塑性重合体
組成物で用いる上記の一般式(ii)で表されるトリブロ
ック共重合体(II)は、共役ジエン化合物から主として
なる重合体ブロックであるB2[以下「共役ジエン重合
体ブロック(B2)」という]の両側に、芳香族ビニル
化合物から主としてなる重合体ブロックであるA2とA
3[以下「芳香族ビニル重合体ブロック(A2)」およ
び「芳香族ビニル重合体ブロック(A3)」という]が
それぞれ結合したトリブロック共重合体およびその水素
添加物から選ばれる少なくとも1種からなっている。さ
らに、本発明で用いるポリウレタン系ブロック共重合体
(III)は、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合
体ブロック(A4)[以下「芳香族ビニル重合体ブロッ
ク(A4)」という]と共役ジエン化合物から主として
なる重合体ブロック(B3)[以下「共役ジエン重合体
ブロック(B3)」という]を有するブロック共重合体
またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック
(C)と、ポリウレタンエラストマーブロック(D)を
有するポリウレタン系ブロック共重合体である。
【0016】ジブロック共重合体(I)における芳香族
ビニル重合体ブロック(A1)、トリブロック共重合体
(II)における芳香族ビニル重合体ブロック(A2)と
芳香族ビニル重合体ブロック(A3)、およびポリウレ
タン系ブロック共重合体(III)の付加重合系ブロック
(C)における芳香族ビニル重合体ブロック(A4)を
構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−、
m−、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレ
ン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノ
クロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレ
ン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデ
ン、アセトナフチレンなどのビニル芳香族化合物を挙げ
ることができる。芳香族ビニル重合体ブロック(A
1)、(A2)、(A3)および(A4)は、前記した
芳香族ビニル化合物の1種のみからなる構造単位を有し
ていても、または2種以上からなる構造単位を有してい
てもよい。そのうちでも、芳香族ビニル重合体ブロック
(A1)、(A2)、(A3)および(A4)はスチレ
ンに由来する構造単位から主としてなっていることが好
ましい。
【0017】芳香族ビニル重合体ブロック(A1)、
(A2)、(A3)および(A4)は、芳香族ビニル化
合物からなる構造単位と共に必要に応じて他の共重合性
単量体からなる構造単位を少量有していてもよく、その
場合の他の共重合性単量体からなる構造単位の割合は、
芳香族ビニル重合体ブロック(A1)、(A2)、(A
3)または(A4)の重量に基づいて30重量%以下で
あることが好ましく、10重量%以下であることがより
好ましい。その場合の他の共重合性単量体としては、例
えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イ
ソプレン、メチルビニルエーテルなどのイオン重合性単
量体を挙げることができる。
【0018】また、ジブロック共重合体(I)における
共役ジエン重合体ブロック(B1)、トリブロック共重
合体(II)における共役ジエン重合体ブロック(B
2)、およびポリウレタン系ブロック共重合体(III)
の付加重合系ブロック(C)における共役ジエン重合体
ブロック(B3)を構成する共役ジエン化合物として
は、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−
ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン
などを挙げることができる。共役ジエン重合体ブロック
(B1)、(B2)および(B3)は、これらの共役ジ
エン化合物の1種から構成されていてもまたは2種以上
から構成されていてもよい。共役ジエン重合体ブロック
(B1)、(B2)および/または(B3)が2種以上
の共役ジエン化合物に由来する構造単位を有している場
合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、一部ブ
ロック状、またはそれらの2種以上の組み合わせからな
っていることができる。
【0019】そのうちでも、共役ジエン重合体ブロック
(B1)、(B2)および/または(B3)は、ゴム物
性の改善効果の点から、イソプレン単位とする主体とす
るモノマー単位からなるポリイソプレンブロックまたは
その不飽和結合の一部または全部が水素添加された水添
ポリイソプレンブロック;ブタジエン単位を主体とする
モノマー単位からなるポリブタジエンブロックまたはそ
の不飽和結合の一部または全部が水素添加された水添ポ
リブタジエンブロック;或いはイソプレン単位とブタジ
エン単位を主体とするモノマー単位からなるイソプレン
/ブタジエン共重合ブロックまたはその不飽和結合の一
部または全部が水素添加された水添イソプレン/ブタジ
エン共重合ブロックであることが好ましい。特に、共役
ジエン重合体ブロック(B1)、(B2)および/また
は(B3)は、前記したポリイソプレンブロック、イソ
プレン/ブタジエン共重合ブロックまたはそれらの水素
添加されたブロックであることがより好ましい。
【0020】共役ジエン重合体ブロック(B1)、(B
2)及び/又は(B3)の構成ブロックとなり得る上記
したポリイソプレンブロックでは、その水素添加前に
は、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブ
テン−1,4−ジイル基[−CH2−C(CH3)=CH
−CH2−;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプ
ロペニルエチレン基[−CH(C(CH3)=CH2)−
CH2−;3,4−結合のイソプレン単位]および1−
メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH3)(CH
=CH2)−CH2−;1,2−結合のイソプレン単位]
からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなって
おり、各単位の割合は特に限定されない。
【0021】共役ジエン重合体ブロック(B1)、(B
2)および/または(B3)の構成ブロックとなり得る
上記したポリブタジエンブロックでは、その水素添加前
には、そのブタジエン単位の70〜20モル%、特に6
5〜40モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−C
2−CH=CH−CH2−;1,4−結合ブタジエン単
位)であり、30〜80モル%、特に35〜60モル%
がビニルエチレン基[−CH(CH=CH)−CH
2−;1,2−結合ブタジエン単位]であることが好ま
しい。ポリブタジエンブロックにおける1,4−結合量
が上記した70〜20モル%の範囲から外れると、その
ゴム物性が不良になることがある。
【0022】共役ジエン重合体ブロック(B1)、(B
2)および/または(B3)の構成ブロックとなり得る
上記したイソプレン/ブタジエン共重合ブロックでは、
その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は2−
メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニ
ルエチレン基および1−メチル−1−ビニルエチレン基
からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなって
おり、またブタジエンに由来する単位は2−ブテン−
1,4−ジイル基および/またはビニルエチレン基から
なっており、各単位の割合は特に制限されない。イソプ
レン/ブタジエン共重合ブロックでは、イソプレン単位
とブタジエン単位の配置は、ランダム状、ブロック状、
テーパーブロック状のいずれの形態になっていてもよ
い。そして、イソプレン/ブタジエン共重合ブロックで
は、ゴム物性の改善効果の点から、イソプレン単位:ブ
タジエン単位のモル比が1:9〜9:1であることが好
ましく、3:7〜7:3であることがより好ましい。
【0023】ジブロック共重合体(I)、トリブロック
共重合体(II)およびポリウレタン系ブロック共重合体
(III)は、熱可塑性重合体組成物の耐熱性および耐候
性が良好なものとなる点から、その共役ジエン重合体ブ
ロック(B1)、(B2)および(B3)における不飽
和二重結合の一部または全部が水素添加(以下「水添」
ということがある)されていることが好ましい。その際
の共役ジエン重合体ブロック(B1)、(B2)および
(B3)の水添率は50モル%以上であることが好まし
く、60モル%以上であることがより好ましく、80モ
ル%以上であることがさらに好ましい。
【0024】また、トリブロック共重合体(II)では、
芳香族ビニル重合体ブロック(A2)と芳香族ビニル重
合体ブロック(A3)は互いに同じ内容の重合体ブロッ
クであってもまたは異なる内容の重合体ブロックであっ
てもよい。
【0025】ジブロック共重合体(I)、トリブロック
共重合体(II)およびポリウレタン系ブロック共重合体
(III)の付加重合系ブロック(C)では、芳香族ビニ
ル重合体ブロック(A1)、(A2)、(A3)および
(A4)の分子量並びに共役ジエン重合体ブロック(B
1)、(B2)および(B3)の分子量は特に制限され
ないが、水素添加前の状態で、芳香族ビニル重合体ブロ
ック(A1)、(A2)、(A3)および(A4)の数
平均分子量が2,500〜75,000の範囲内にあ
り、共役ジエン重合体ブロック(B1)、(B2)およ
び(B3)の数平均分子量が10,000〜150,0
00の範囲内にあることが、熱可塑性重合体組成物のゴ
ム物性等が優れたものとなる点から好ましい。 また、ジブロック共重合体(I)の全体の数平均分子量
が水添前の状態で12,500〜225,000の範囲
内にあり、トリブロック共重合体(II)の全体の数平均
分子量が水添前の状態で15,000〜300,000
の範囲内にあり、そしてポリウレタン系ブロック共重合
体(III)における付加重合系ブロック(C)の数平均
分子量が水添前の状態で15,000〜300,000
の範囲内にあることが、熱可塑性重合体組成物の力学的
特性、成形加工性などの点から好ましい。なお、本明細
書でいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検
量線から求めた値をいう。
【0026】本発明の熱可塑性重合体組成物で用いるジ
ブロック共重合体(I)およびトリブロック共重合体
(II)は、場合により分子末端に水酸基などの官能基を
有していてもよい。
【0027】また、ポリウレタン系ブロック共重合体
(III)におけるポリウレタンエラストマーブロック
(D)は、ポリウレタンエラストマーよりなるブロック
であればいずれでもよいが、後述するポリウレタンエラ
ストマー(IV)と同種又は近似したポリウレタンエラス
トマーより形成されているのが、熱可塑性重合体組成物
における重合体同士の相容性が良好になり、熱可塑性重
合体組成物およびそれから得られる成形品や積層構造体
の力学的特性が優れたものとなる点から好ましい。
【0028】そして、ポリウレタン系ブロック共重合体
(III)におけるポリウレタンエラストマーブロック
(D)は、熱可塑性重合体組成物のゴム物性がより良好
なものとなる点から、その数平均分子量が200〜15
0,000の範囲内にあることが好ましく、500〜5
0,000の範囲内にあることがより好ましい。
【0029】ポリウレタン系ブロック共重合体(III)
は、1個の付加重合系ブロック(C)と1個のポリウレ
タンエラストマーブロック(D)を有するジブロック共
重合体であっても、または付加重合系ブロック(C)と
ポリウレタンエラストマーブロック(D)が合計で3個
または4個以上結合したポリブロック共重合体であって
もよいが、得られる熱可塑性重合体組成物の相容性、力
学物性および成形性の点から、1個の付加重合系ブロッ
ク(C)と1個のポリウレタンエラストマーブロック
(D)が結合したジブロック共重合体であることが好ま
しい。
【0030】ジブロック共重合体(I)、トリブロック
共重合体(II)およびポリウレタン系ブロック共重合体
(III)の製造法は特に制限されず、上記した構造を有
するそれぞれのブロック共重合体を製造し得る方法であ
ればいずれの方法で製造してもよく、また既に市販され
ているものを用いてもよい。
【0031】何ら限定されるものではないが、ジブロッ
ク共重合体(I)およびトリブロック共重合体(II)
は、例えば、アニオン重合やカチオン重合などのイオン
重合法、シングルサイト重合法、ラジカル重合法などに
より製造することができる。アニオン重合法による場合
は、例えば、アルキルリチウム化合物などを重合開始剤
として用いて、n−ヘキサンやシクロヘキサンなどの不
活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化
合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量を有
するジブロック共重合体またはトリブロック共重合体を
製造した後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活
性水素化合物を添加して重合を停止させることにより製
造することができる。そして、前記により製造されるジ
ブロック共重合体またはトリブロック共重合体を好まし
くは公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触
媒の存在下に水添して、水添されたジブロック共重合体
(I)またはトリブロック共重合体(II)を得ることが
できる。
【0032】また、水酸基などの官能基で末端を変性し
たジブロック共重合体(I)またはトリブロック共重合
体(II)は、例えば、次のようなアニオン重合法により
製造することができる。すなわち、アルキルリチウム化
合物などを開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共
役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および
分子量に達した時点で、エチレンオキサイド、プロピレ
ンオキサイド、スチレンオキサイドなどのオキシラン骨
格を有する化合物、またはε−カプロラクトン、β−プ
ロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン(ピバロラ
クトン)などのラクトン系化合物などを付加させ、次い
でアルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素含有
化合物を添加して重合を停止しることにより製造するこ
とができる。そして、それにより得られるブロック共重
合体を好ましくは、n−ヘキサン、シクロヘキサンなど
の不活性有機溶媒中でアルキルアルミニウム化合物とコ
バルト、ニッケルなどからなるチーグラー触媒等の水添
触媒の存在下に、反応温度20〜150℃、水素圧力1
〜150kg/cm2の条件下で水素添加することによ
って、水添された末端変性ジブロック共重合体(II)ま
たはトリブロック共重合体(II)を得ることができる。
【0033】さらに、何ら限定されるものではないが、
ポリウレタン系ブロック共重合体(III)は、例えば、
ポリウレタンエラストマーと、芳香族ビニル重合体ブロ
ック(A4)と共役ジエン重合体ブロック(B3)を有
し且つ末端に官能基、好ましくは水酸基を有する付加重
合系ブロック共重合体および/またはその水素添加物を
溶融条件下に混練して反応させ、それにより得られるポ
リウレタン系反応生成物から、ポリウレタン系ブロック
共重合体(III)を抽出・回収することにより得ること
ができる。その際に、ポリウレタンエラストマーと、末
端に官能基を有する付加重合系ブロック共重合体および
/またはその水素添加物との溶融混練は、単軸押出機、
2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融
混練装置を用いて行うことができる。溶融混練条件は、
使用するポリウレタンエラストマーや付加重合系ブロッ
ク共重合体および/またはその水素添加物の種類、装置
の種類などに応じて選択することができるが、一般に1
80〜250℃の温度で1〜15分間程度行うとよい。
【0034】また、ポリウレタン系ブロック共重合体
(III)は、上記した方法以外にも、例えば、押出機中
などで高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖
伸長剤を反応させてポリウレタンエラストマーを製造す
る際の反応の最初にまたは反応の途中に、その反応系に
芳香族ビニル重合体ブロック(A4)と共役ジエン重合
体ブロック(B3)を有し且つ末端に官能基(好ましく
は水酸基)を有する付加重合系ブロック共重合体および
/またはその水素添加物を添加することによってポリウ
レタン系ブロック共重合体(III)を含有するポリウレ
タン系反応生成物を形成させ、そのポリウレタン系反応
生成物からポリウレタン系ブロック共重合体(III)を
抽出・回収することによっても得ることができる。
【0035】上記において、ポリウレタン系反応生成物
からのポリウレタン系ブロック共重合体(III)の抽出
・回収は、例えば、ポリウレタン系反応生成物を必要に
応じて適当な大きさに粉砕し、それをジメチルホルムア
ミドなどのポリウレタンの良溶媒で処理して未反応のポ
リウレタンエラストマーを抽出・除去し、次いでシクロ
ヘキサンなどの付加重合系ブロック共重合体および/ま
たはその水素添加物の良好溶媒で処理して未反応の付加
重合系ブロック共重合体および/またはその水素添加物
を抽出除去し、残った固形物を乾燥することにより行う
ことができる。
【0036】また、ポリウレタンエラストマーと、官能
基を有する付加重合系ブロック共重合体および/または
その水素添加物との反応により得られる上記したポリウ
レタン系反応生成物は、ポリウレタンエラストマー、ポ
リウレタン系ブロック共重合体(III)、および付加重
合系ブロック共重合体の3者から主としてなる混合物で
ある。このポリウレタン系反応生成物中に含まれる前記
付加重合系ブロック共重合体は、芳香族ビニル重合体ブ
ロック(A3)と共役ジエン重合体ブロック(B3)を
有する付加重合系ブロック共重合体またはその水素添加
物であり、また場合によりその分子末端に未反応の水酸
基を有している。そして、ポリウレタン系反応生成物中
に含まれる前記付加重合系ブロック共重合体が、1個の
芳香族ビニル重合体ブロックと1個の共役ジエン重合体
ブロックが結合したジブロック共重合体であるかまたは
その水素添加物である場合、或いは1個の共役ジエン重
合体ブロックの両側に芳香族ビニル重合体ブロックがそ
れぞれ結合したトリブロック共重合体であるかまたはそ
の水素添加物である場合は、それらのジブロック共重合
体およびトリブロック共重合体は、本発明の熱可塑性重
合体組成物で用いるジブロック共重合体(I)およびト
リブロック共重合体(II)にそれぞれ相当する。
【0037】そのため、上記で得られるポリウレタン系
反応生成物が、ポリウレタン系ブロック共重合体(II
I)およびポリウレタンエラストマー(IV)と共に、ジ
ブロック共重合体(I)またはトリブロック共重合体
(II)を含有するものである場合は、ポリウレタン系反
応生成物中に含まれるポリウレタン系ブロック共重合体
(III)の量、未反応のポリウレタンエラストマーの
量、およびジブロック共重合体(I)またはトリブロッ
ク共重合体(II)の量を算出し、熱可塑性重合体組成物
中における各成分の含有量が好ましい範囲になるように
調節しながら、このポリウレタン系反応生成物をそのま
まで[すなわちポリウレタン系反応生成物からポリウレ
タン系ブロック共重合体(III)を回収せずに反応生成
物の形態のままで]、本発明の熱可塑性重合体組成物の
製造に使用してもよい。
【0038】また、本発明の熱可塑性重合体組成物で用
いるポリウレタンエラストマー(IV)は、高分子ジオー
ル、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により
得られるポリウレタンである。ポリウレタンエラストマ
ー(IV)の形成に用いられる高分子ジオールは、その数
平均分子量が1,000〜6,000であることが、ポ
リウレタンエラストマー(IV)を含有する本発明の熱可
塑性重合体組成物の力学的特性、耐熱性、耐寒性、弾性
回復性などが良好になる点から好ましい。ここで、本明
細書でいう高分子ジオールの数平均分子量は、JIS
K1557に準拠してSITE測定した水酸基価に基づ
いて算出した数平均分子量である。
【0039】ポリウレタンエラストマー(IV)の製造に
用い得る高分子ジオールの例としては、ポリエステルジ
オール、ポリエーテルジオール、ポリエステルエーテル
ジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポ
リカーボネートジオールなどを挙げることができ、ポリ
ウレタンエラストマー(IV)はこれらの高分子ジオール
の1種または2種以上を用いて形成されていることがで
きる。
【0040】ポリウレタンエラストマー(IV)の製造に
用い得る上記ポリエステルジオールとしては、脂肪族ジ
カルボン酸、芳香族ジカルボン酸およびそれらのエステ
ル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種のジカルボ
ン酸成分と低分子ジオールとの反応により得られるポリ
エステルジオール、ラクトンの開環重合により得られる
ポリエステルジオールなどを挙げることができる。より
具体的には、前記ポリエステルジオールとしては、例え
ば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭
素数6〜10の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
およびそれらのエステル形成性誘導体の1種または2種
以上と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メ
チル−1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオール
の炭素数2〜10の脂肪族ジオールの1種または2種以
上とを重縮合反応させて得られるポリエステルジオー
ル、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトン
ジオールを挙げることができる。
【0041】ポリウレタンエラストマー(IV)の製造に
用い得る上記ポリエーテルジオールとしては、例えば、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができ
る。また、ポリウレタンエラストマー(IV)の製造に用
い得る上記ポリカーボネートジオールとしては、例えば
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール
などの脂肪族ジオールの1種または2種以上と、炭酸ジ
フェニル、炭酸アルキルなどの炭酸エステルまたはホス
ゲンとを反応させて得られるポリカーボネートジオール
を挙げることができる。
【0042】また、ポリウレタンエラストマー(IV)の
製造に用いられる有機ジイソシアネートの種類は特に限
定されないが、分子量500以下の芳香族ジイソシアネ
ート、脂環式ジイソシアネートおよび脂肪族ジイソシア
ネートの1種または2種以上が好ましく用いられる。そ
のような有機ジイソシアネートの具体例としては、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジ
イソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネー
ト、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネートなどを挙げることができ、これらの有機
ジイソシアネートのうちでも4,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネートが好ましく用いられる。
【0043】また、ポリウレタンエラストマー(IV)の
製造に用い得る鎖伸長剤としては、ポリウレタンエラス
トマーの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいず
れもが使用でき、その種類は特に限定されない。そのう
ちでも、鎖伸長剤としては、脂肪族ジオール、脂環式ジ
オールおよび芳香族ジオールのうちの1種または2種以
上が好ましく用いられる。好ましく用いられる鎖伸長剤
の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジオール、
1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなど
のジオールを挙げることができる。前記したうちでも、
炭素数2〜6の脂肪族ジオールが鎖伸長剤としてより好
ましく用いられ、1,4−ブタンジオールが更に好まし
く用いられる。
【0044】本発明の熱可塑性重合体組成物では、ポリ
ウレタンエラストマー(IV)として、高分子ジオール、
鎖伸長剤および有機ジイソシアネートを、高分子ジオー
ル:鎖伸長剤=1:0.2〜8.0(モル比)の範囲で
あり且つ[高分子ジオールと鎖伸長剤の合計モル数]:
[有機ジイソシアネートのモル数]=1:0.98〜
1.04の範囲であるようにして反応させて得られるポ
リウレタンエラストマーが好ましく用いられる。そのよ
うなポリウレタンエラストマー(IV)を含有する本発明
の熱可塑性重合体組成物は、押出成形、射出成形などの
溶融成形時に溶融粘度の急激な上昇がなく、目的とする
成形品や積層構造体などの製品を円滑に製造することが
でき、しかもそれにより得られる製品の耐熱性が良好な
ものとなる。
【0045】また、ポリウレタンエラストマー(IV)
は、硬度(JIS A硬度;25℃で測定)が55〜9
0であることが、熱可塑性重合体組成物から得られる成
形品や積層構造体などの製品の力学的特性が良好になり
且つ適度な硬さを有するようになる点から好ましい。ポ
リウレタンエラストマー(IV)の硬度が55未満である
と、熱可塑性重合体組成物から得られる成形品や積層構
造体などの製品の力学的特性が低いものとなり易く、一
方ポリウレタンエラストマー(IV)の硬度が90を超え
ると熱可塑性重合体組成物から得られる成形品や積層構
造体などの製品の柔軟性が低いものとなり易い。
【0046】本発明の熱可塑性重合体組成物において、
ポリウレタンエラストマー(IV)として、数平均分子量
が2000以上のポリ(3−メチル−1,5−ペンタン
アジペート)ジオールをソフトセグメントとするポリウ
レタンを用いると、すなわちアジピン酸と3−メチル−
1,5−ペンタンジオールとの重縮合により得られる数
平均分子量が2000以上のポリエステルジオールと、
上記した有機ジイソシアネートおよび有機ジイソシアネ
ートを反応させて得られるポリウレタンエラストマーを
用いると、柔軟性、弾性、力学的特性、耐油性、成形加
工性、溶融接着性という上記した特性に優れ、特に耐圧
縮永久歪み性および成形性に一層優れる熱可塑性重合体
組成物を得ることができる。
【0047】ポリウレタンエラストマー(IV)の製造方
法は特に限定されず、上記した高分子ジオール、有機ジ
イソシアネートおよび鎖伸長剤を使用して、公知のウレ
タン化反応を利用して、プレポリマー法、ワンショット
法のいずれで製造してもよい。そのうちでも、実質的に
溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多
軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合により製造
することが好ましい。
【0048】また、本発明の熱可塑性重合体組成物で
は、パラフィン系オイル(V)として、40℃での動粘
度が20〜800センチストークス(cst)、流動度
が0〜−40℃および引火点が200〜400℃のパラ
フィン系オイルが好ましく用いられ、40℃での動粘度
が50〜600cst、流動度が0〜−30℃および引
火点が250〜350℃のパラフィン系オイルがより好
ましく用いられる。
【0049】一般に、プロセスオイルなどとして用いら
れるオイルは、ベンゼン環やナフテン環などの芳香族環
を有する成分、パラフィン成分(鎖状炭化水素)などが
混合したものであり、パラフィン鎖を構成する炭素数
が、オイルの全炭素数の50重量%以上を占めるものを
「パラフィンオイル」と称している。本発明の熱可塑性
重合体組成物で用いるパラフィン系オイル(V)として
は、パラフィンオイルと称されているものであればいず
れも使用可能であるが、芳香族環を有する成分の含有量
が5重量%以下のものが好ましく用いられる。
【0050】本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記し
たジブロック共重合体(I)とトリブロック共重合体
(II)の合計100重量部に対して、ポリウレタン系ブ
ロック共重合体(III)を5〜100重量部、ポリウレ
タンエラストマー(IV)を10〜250重量部、および
パラフィン系オイル(V)を2〜150重量部の割合で
含有することが好ましく、ポリウレタン系ブロック共重
合体(III)を10〜80重量部、ポリウレタンエラスト
マー(IV)を50〜230重量部、およびパラフィン系
オイル(V)を3〜100重量部の割合で含有すること
がより好ましい。
【0051】ジブロック共重合体(I)とトリブロック
共重合体(II)の合計100重量部に対して、ポリウレ
タン系ブロック共重合体(III)の含有量が5重量部未
満であると、ジブロック共重合体(I)およびトリブロ
ック共重合体(II)とポリウレタンエラストマー(IV)
との相溶性が不十分になり、熱可塑性重合体組成物を用
いて得られる成形品や積層構造体などの製品に表面荒れ
や層間の接着性の低下を生じ易くなる。一方、ジブロッ
ク共重合体(I)とトリブロック共重合体(II)の合計
100重量部に対してポリウレタン系ブロック共重合体
(III)の含有量が250重量部を超えると、熱可塑性
重合体組成物の溶融流動性が低下し、やはり熱可塑性重
合体組成物を用いて得られる成形品や積層構造体などの
製品に表面荒れや層間の接着性の低下を生じ易くなる。
【0052】また、ジブロック共重合体(I)とトリブ
ロック共重合体(II)の合計100重量部に対するポリ
ウレタンエラストマー(IV)の割合が10重量部未満で
あると、熱可塑性重合体組成物から得られる成形品や積
層構造体などの圧縮永久歪みが大きくなり、他の材料と
の溶融接着性が低下し、成形品表面に荒れを生じ、しか
も成形性が不安定になり易い。一方、ジブロック共重合
体(I)とトリブロック共重合体(II)の合計100重
量部に対するポリウレタンエラストマー(IV)の割合が
250重量部を超えると、他の材料との溶融接着性の低
下、成形品表面の荒れ、成形品の硬度の上昇を生じ易
い。
【0053】また、ジブロック共重合体(I)とトリブ
ロック共重合体(II)の合計100重量部に対するパラ
フィン系オイル(V)の割合が2重量部未満であると、
成形品表面の荒れを生じ、しかも好適な硬度の成形品を
得ることが困難となり易い。一方、ジブロック共重合体
(I)とトリブロック共重合体(II)の合計100重量
部に対するパラフィン系オイル(V)の割合が150重
量部を超えると、他の材料との溶融接着性の低下、引張
強度や引張破断伸びなどの力学的特性の低下、成形品表
面の荒れ、成形中のスプレー切れなどの問題を生じ易
い。
【0054】そして、本発明の熱可塑性重合体組成物で
は、ジブロック共重合体(I):トリブロック共重合体
(II)の含有割合が、90:10〜10:90の重量比
であることが好ましく、80:20〜20:80の重量
比であることがより好ましい。ジブロック共重合体
(I)とトリブロック共重合体(II)の合計重量に基づ
いて、ジブロック共重合体(I)の割合が10重量%未
満である場合[トリブロック共重合体(II)の割合が9
0重量%を超える場合]、並びにジブロック共重合体
(I)の割合が90重量%を超える場合[トリブロック
共重合体(II)の割合が10重量%未満である場合]
は、いずれも、透明性に優れる熱可塑性重合体組成物が
得られにくくなる。
【0055】本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記し
た成分と共に必要に応じてオレフィン系重合体、スチレ
ン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレ
ングリコールなど他の熱可塑性重合体を含有していても
よい。特に、本発明の熱可塑性重合体組成物中にオレフ
ィン系重合体を含有させると、熱可塑性重合体組成物の
加工性、機械的強度を更に向上させることができるので
好ましい。オレフィン系重合体としては、例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリブテン樹脂、プロピレ
ンとエチレンや1−ブテンなどの他のα−オレフィンと
のブロック共重合体やランダム共重合体などの1種また
は2種以上を使用することができる。本発明の熱可塑性
重合体組成物へのオレフィン系重合体の配合量は、熱可
塑性重合体組成物の柔軟性を損なわないようにするため
に、一般にジブロック共重合体(I)とトリブロック共
重合体(II)の合計100重量部に対して200重量部
以下であることが好ましい。
【0056】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物
は、補強、増量、着色などの目的で、必要に応じて無機
充填剤や染顔料などを含有することができる。本発明の
熱可塑性重合体組成物はそれ自体では透明性に優れてい
るため、無機充填剤や染顔料を配合した場合に、無機充
填剤や染顔料が有する色調を鮮明に発現させることがで
き、所望の色調に着色した製品を得ることができる。そ
の際の無機充填剤や染顔料としては、例えば、炭酸カル
シウム、タルク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カー
ボンブラック、硫酸バリウムなどを使用できる。無機充
填剤や染顔料の配合量は、熱可塑性重合体組成物の柔軟
性が損なわれない範囲であることが好ましく、一般には
ジブロック共重合体(I)とトリブロック共重合体(I
I)の合計100重量部に対して100重量部以下が好
ましい。
【0057】また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、
上記した成分以外に、必要に応じて滑剤、光安定剤、難
燃剤、帯電防止剤、シリコンオイル、ブロッキング防止
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料
などの他の成分の1種または2種以上を含有していても
よい。
【0058】本発明の熱可塑性重合体組成物の製造法は
特に限定されず、本発明の熱可塑性重合体組成物におい
て用いられる上記した成分を均一に混合し得る方法であ
ればいずれの方法で製造してもよく、通常溶融混練法が
用いられる。溶融混練は、例えば、単軸押出機、2軸押
出機、ニーダー、ローラー、バンバリーミキサーなどの
溶融混練装置を用いて行うことができ、通常約170〜
250℃の温度で約30秒〜5分間程度溶融混練するこ
とにより、本発明の熱可塑性重合体組成物を得ることが
できる。
【0059】本発明の熱可塑性重合体組成物は熱溶融性
であって成形加工性に優れているので、単独で用いて各
種の成形品を製造することができ、その場合には透明
性、柔軟性、弾性、力学的特性、耐油性に優れる種々の
成形品を得ることができる。その際の成形方法として
は、熱可塑性重合体に対して一般に用いられている各種
の成形方法を使用することができ、例えば、射出成形、
押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、
流延成形などの任意の成形法を採用できる。
【0060】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物は
溶融接着性に極めて優れていて、各種の他の材料(例え
ば、合成樹脂、ゴム、金属、木材、セラミック、紙、布
帛など)と溶融下に強固に接着することができるので、
他の材料との積層構造体(複合構造体)の製造に特に有
効に使用することができ、したがって、本発明は本発明
の熱可塑性重合体組成物の層および他の材料の層を有す
る積層構造体(複合体)を本発明の範囲に包含する。本
発明の熱可塑性重合体組成物を溶融接着させる他の材料
の種類は特に制限されずいずれであってもよいが、本発
明の熱可塑性重合体組成物は、特に極性を有する材料に
対する溶融接着性に優れている。そのため、本発明は、
熱可塑性重合体組成物と極性を有する他の材料との積層
構造体をその好ましい態様として包含する。
【0061】本発明の積層構造体に使用する極性を有す
る他の材料の具体例としては、ポリウレタン、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレン
スルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、
ポリエーテル、ポリスルフォン、アクリロニトリル/ス
チレン共重合体(AS樹脂)、ゴム強化ポリスチレン
(HIPS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/
スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メチル/
ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリ
ロニトリル/スチレン/ブタジエン系共重合体、塩化ビ
ニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル/
酢酸ビニル共重合体、ポリフッ化ビニリデンフェノール
樹脂、エポキシ樹脂などの各種の合成樹脂;イソプレン
ゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンゴム、ブ
タジエン−アクリロニトリルゴム、クロロプレンゴム、
ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴ
ム、アクリロニトリルゴムなどの各種の合成ゴム;鉄、
アルミニウム、銅などの金属やステンレス、ブリキ、ト
タンなどの各種合金などを挙げることができる。しかし
ながら、本発明の積層構造体を構成する他の材料は、勿
論、前記のものに何ら限定されない。
【0062】本発明の積層構造体では、層の数、各層の
厚さ、形状、構造なども特に制限されず、積層構造体の
用途などに応じて決めることができる。何ら限定される
ものではないが、本発明の積層構造体としては、例え
ば、熱可塑性重合体組成物の1つの層と他の材料の1つ
の層を有する積層構造体、他の材料を挟んでその両側に
熱可塑性重合体組成物の層を有する積層構造体、2つの
他の材料の層の間に熱可塑性重合体組成物の層を有する
積層構造体、熱可塑性重合体組成物の層を少なくとも1
層有し且つ同じか又は異なる他の材料の層を2層以上有
する積層構造体などを挙げることができる。そして、積
層構造体が他の材料からなる層を2つ以上有する場合
は、それぞれの層を構成する他の材料は同じであって
も、または異なっていてもよい。また、積層構造体が本
発明の熱可塑性重合体組成物よりなる層を2つ以上有す
る場合は、それぞれの層を構成する熱可塑性重合体組成
物は同じであっても、または異なっていてもよい。
【0063】本発明の熱可塑性重合体組成物からなる層
と他の材料からなる層を有する本発明の積層構造体の製
法は特に制限されず、溶融接着により積層構造体を製造
する方法であればいずれの方法を採用して行ってもよ
い。そのうちでも、本発明の積層構造体の製造に当たっ
ては、例えばインサート射出成形法、二色射出成形法、
コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、イン
ジェクションブレス成形法などの射出成形方法;Tダイ
ラミネート成形法、共押出成形法、押出被覆法などの押
出成形法;ブロー成形法;カレンダー成形法;プレス成
形法、溶融注型法などの溶融を伴う成形法を採用するこ
とができる。
【0064】前記した成形法のうち、インサート射出成
形法による場合は、予め所定の形状および寸法に形成し
ておいた他の材料を金型内にインサートしておき、そこ
に本発明の熱可塑性重合体組成物を射出成形して本発明
の熱可塑性重合体組成物よりなる層と他の材料よりなる
層を有する積層構造体を製造する方法が一般に採用され
る。この場合に、金型内にインサートしておく他の材料
の形成方法は特に制限されない。インサートしておく他
の材料が合成樹脂やゴム製品である場合は、例えば、射
出成形、押出成形とその所定の寸法への切断、プレス成
形、注型などのいずれの方法で製造したものであっても
よい。また、インサートしておく他の材料が金属材料で
ある場合は、例えば、金属製品を製造する従来汎用の方
法(鋳造、圧延、切断、工作加工、研削加工など)によ
って所定の形状および寸法に予め形成しておけばよい。
【0065】また、上記した二色射出成形法によって積
層構造体を製造する場合は、二台以上の射出成形機を用
いて、金型内に他の材料を射出成形した後に、金型の回
転や移動などによって金型キャビティーを交換し、最初
の射出成形によって形成した他の材料からなる成形品と
第2の金型壁との間に形成された空隙部に本発明の熱可
塑性重合体組成物を射出成形して積層構造体を製造する
方法が一般に採用される。上記したコアバック射出成形
法による場合は、1台の射出成形機と1個の金型を用い
て、金型内に他の材料を最初に射出成形して成形品を形
成した後、その金型のキャビティーを拡大させ、そこに
本発明の熱可塑性重合体組成物を射出成形して積層構造
体を製造する方法が一般に採用される。
【0066】また、前記した射出成形方法において、材
料の射出順序を逆にして、金型に最初に本発明の熱可塑
性重合体組成物を射出して第1の成形品をつくり、次い
で他の材料(熱可塑性樹脂など)を射出成形して積層構
造体を製造してもよい。
【0067】上記した押出成形によって本発明の熱可塑
性重合体組成物の層と他の熱可塑性材料の層を有する積
層構造体を製造する場合は、内側と外側、上側と下側、
左側と右側とに2層以上に分割された金型(押出ダイ部
など)を通して、本発明の熱可塑性重合体組成物と他の
材料(熱可塑性樹脂等)を2層以上に同時に溶融押出し
て接合させる方法などが採用できる。また、他の材料が
熱可塑性でない場合は、他の材料の上や周囲に、本発明
の熱可塑性重合体組成物を溶融下に押出被覆することに
よって積層構造体を製造することができる。さらに、例
えば、カレンダー成形を行う場合は、溶融可塑化状態に
あるかまたは固形状態にある他の材料上に、本発明の熱
可塑性重合体組成物を溶融下にカレンダー加工して被覆
積層させることにより目的とする積層構造体を製造する
ことができる。また、例えば、プレス成形による場合
は、他の材料の配置下に本発明の熱可塑性重合体組成物
を用いて溶融プレスを行うことによって積層構造体を製
造することができる。
【0068】本発明の積層構造体の種類、形状、構造、
用途などは特に制限されず、上記した本発明の熱可塑性
重合体組成物からなる層と他の材料からなる層を有する
積層構造体であればそのいずれもが本発明の範囲に包含
される。何ら限定されるものではないが、本発明の積層
構造体は、各種工業製品や部品として使用することがで
きる。その具体例としては、インストルメントパネル、
センターパネル、センターコンソールボックス、ドアト
リム、ピラー、アシストグリップなどの自動車や車両用
の各種内装部材;モール等の自動車外装部品;掃除機の
バンパー、リモコンスイッチやツマミ、OA機器の各種
キートップなどの家電部品;水中メガネ、水中カメラカ
バーなどの水中使用製品;各種カバー部品;密閉性、防
水性、防音性、防振性を目的する各種パッキン付き工業
部品;ラック&ピニオンブーツ、サスペンションブー
ツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品;カー
ルコード電線被覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギ
アなどの電気・電子部品;スポーツ用品;ドア、窓枠材
などの建築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用ギプ
ス等々の各種製品を挙げることができる。そして、本発
明の熱可塑性重合体組成物からなる層が積層構造体の少
なくとも1つの表面に現れている製品においては、該熱
可塑性重合体組成物が弾力性で且つ柔軟性を有すること
により、接触したときの柔らかい良好な感触を示し、し
かも衝撃吸収性(クッション性)を有し、耐衝撃性にも
優れているので、安全面でも優れたものとなる。また、
その高い透明性を活かして、本発明の熱可塑性重合体組
成物と積層する他の材料の色調を製品に発現させること
ができる。さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物を着
色物の形態にする場合も、上述のように鮮明な色調を発
現させることができる。
【0069】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。ま
た、下記の実施例、比較例または参考例で得られた熱可
塑性重合体組成物のペレットを用いて以下のようにして
成形品(試験片)および積層構造体をつくり、それらの
物性、すなわち成形品の透明性(ヘイズ値)、硬度、引
張破断強度、引張破断伸び、100%モジュラス、引張
永久伸びおよび圧縮永久歪み、並びに積層構造体の剥離
強度を次のようにして測定した。
【0070】(1)透明性(ヘイズ値)の測定:以下の
実施例、比較例または参考例で製造した熱可塑性重合体
組成物のペレットを用いて、80トン射出成形機(日精
樹脂工業株式会社製「IS−80」)を使用して、シリ
ンダー温度220℃、金型温度40℃の条件下に射出成
形を行って平板状成形品(試験片)(寸法:縦×横×厚
み=200mm×200mm×2mm)を製造した。こ
れにより得られた平板成形品を用いて、ヘイズメーター
(株式会社村上色彩技術研究所製「反射透過率計HR1
00」)を使用してヘイズ値を測定した。なお、透明性
の試験ではヘイズ値が小さいほど透明性に優れているこ
とを示す。
【0071】(2)硬度の測定:以下の実施例、比較例
または参考例で製造した熱可塑性重合体組成物のペレッ
トを用いて、80トン射出成形機(日精樹脂工業株式会
社製「IS−80」)を使用して、シリンダー温度22
0℃、金型温度40℃の条件下に射出成形を行って平板
状成形品(試験片)(寸法:縦×横×厚み=200mm
×200mm×2mm)を製造した。これにより得られ
た平板成形品を用いて、JIS−K6301に準じてA
硬度を測定した。
【0072】(3)引張破断強度、引張破断伸びおよび
100%モジュラスの測定:以下の実施例、比較例また
は参考例で製造した熱可塑性重合体組成物のペレットを
用いて、80トン射出成形機(日精樹脂工業株式会社製
「IS−80」)を使用して、シリンダー温度220
℃、金型温度40℃の条件下に射出成形を行って、3号
ダンベル試験片を作製し、そのダンベル試験片を用い
て、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用し
て、JIS−K6301に準じて、500mm/分の条
件下で引張破断強度、引張破断伸びおよび100%モジ
ュラスを測定した。
【0073】(4)引張永久伸びの測定:以下の実施
例、比較例または参考例で製造した熱可塑性重合体組成
物のペレットを用いて、80トン射出成形機(日精樹脂
工業株式会社製「IS−80」)を使用して、シリンダ
ー温度220℃、金型温度40℃の条件下に射出成形を
行って、3号ダンベル試験片を作製した。そのダンベル
試験片を用いて、オートグラフ(株式会社島津製作所
製)を使用して、100mm/分の条件で伸張し、引張
伸びが100%に到達した時点で伸張を止め、その状態
のままで10分間保持した。その後、試験片を解放し、
さらに10分間放置した後、引張永久伸びを測定した。
【0074】(5)圧縮永久歪みの測定:以下の実施
例、比較例または参考例で製造した熱可塑性重合体組成
物のペレットを用いて、80トン射出成形機(日精樹脂
工業株式会社製「IS−80」)を使用して、シリンダ
ー温度220℃、金型温度40℃の条件下に射出成形を
行って、直径29.0cmおよび厚さ12.7mmの直
円柱状の成形品(試験片)を作製し、その試験片を用い
てJIS−K6301に準じて、温度70℃、圧縮変形
量25%の条件下に22時間放置した時の圧縮変形歪み
を測定して、圧縮永久歪みとした。
【0075】(6)積層構造体における剥離強度の測
定: (i)合成樹脂板との積層構造体における剥離強度: (a) ABS樹脂(宇部サイコン株式会社「サイコラ
ックT」)、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社
製「L−1250」)、またはポリアミド樹脂(ナイロ
ン66、旭化成工業株式会社製「レオナ1300S」)
を用い、80トン射出成形機(日精樹脂工業株式会社製
「IS−80」)を使用して、平板状成形品(寸法:縦
×横×厚み=200mm×200mm×1mm)をそれ
ぞれ製造した。 (b) 上記(a)で得られた平板状成形品のそれぞ
れを、平板状の型キャビティ(寸法:200mm×20
0mm×2mm)内に予め固定配置して置き、そこに以
下の実施例、比較例または参考例で製造した熱可塑性重
合体組成物のペレットを用いて、80トン射出成形機
(日精樹脂工業株式会社製「IS−80」)を使用し
て、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件下
に射出成形を行って、樹脂板の一方の表面に熱可塑性重
合体組成物の層が積層した積層構造体(寸法:縦×横×
厚み=200mm×200mm×2mm)を製造した。 (c) 上記(b)で得られた積層構造体から剥離強度
測定用の試験片(寸法:縦×横×厚み=150mm×2
5mm×2mm)を切り出し、それを用いてJIS−K
6854に記載の「180度剥離試験」に準じて剥離強
度を測定した。 (ii)金属板(アルミニウム板)との積層構造体におけ
る剥離強度:合成樹脂板の代わりにアルミニウム板(寸
法:200mm×200mm×0.2mm)を用いて、
上記(b)と同様に行って、アルミニウム板の一方の表
面に熱可塑性重合体組成物の層が積層した積層構造体
(寸法:縦×横×厚み=200mm×200mm×2m
m)を製造した。それにより得られた積層構造体から剥
離強度測定用の試験片(寸法:縦×横×厚み=150m
m×25mm×2mm)を切り出し、それを用いてJI
S−K6854に記載の「180度剥離試験」に準じて
剥離強度を測定した。
【0076】また、以下の実施例、比較例および参考例
で用いたジブロック共重合体(I)、トリブロック共重
合体(II−1)、トリブロック共重合体(II−2)、ポ
リウレタンエラストマー(IV)およびパラフィン系オイ
ル(V)の略号および内容は次のとおりである。
【0077】[ジブロック共重合体(I)]ポリスチレ
ンブロック−水添ポリイソプレンブロックからなるジブ
ロック共重合体(数平均分子量100,000、スチレ
ン含量=50重量%、ポリイソプレンブロックにおける
水添率=98%)。
【0078】[トリブロック共重合体(II)] ・トリブロック共重合体(II−1):ポリスチレンブロ
ック−水添ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロ
ックからなるトリブロック共重合体(数平均分子量10
0,000、スチレン含量=30重量%、ポリイソプレ
ンブロックにおける水添率=98%)。 ・トリブロック共重合体(II−2):ポリスチレンブロ
ック−水添ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロ
ックからなるトリブロック共重合体(数平均分子量15
0,000、スチレン含量=30重量%、ポリイソプレ
ンブロックにおける水添率=98%)。
【0079】[ポリウレタンエラストマー(IV)] ・ポリウレタンエラストマー(IV−1):株式会社クラ
レ製「クラミロンU 8165」[ポリ(3−メチル−
1,5−ペンタンアジペート)をソフトセグメントとす
るポリエステル系ポリウレタンエラストマー] ・ポリウレタンエラストマー(IV−2):株式会社クラ
レ製「クラミロンU 8765」[ポリ(3−メチル−
1,5−ペンタンアジペート)をソフトセグメントとす
るポリエステル系ポリウレタンエラストマー]
【0080】][パラフィン系オイル(V)] 出光興産株式会社製「PW−380」
【0081】《製造例1》[ポリウレタン系ブロック共
重合体(III)の製造》 (1) 予備乾燥したポリウレタンエラストマー(株式
会社製「クラミロンU8165」)100重量部、およ
び水酸基末端ポリスチレンブロック/1,3−ブタジエ
ン・イソプレン水添共重合体ブロック/ポリスチレンブ
ロックよりなる末端変性トリブロック共重合体(数平均
分子量40,000、水添前のブロック共重合体でのス
チレン含有量=30重量%、1,3−ブタジエン単位/
イソプレン単位のモル比=1/1、1,3−ブタジエン
単位およびイソプレン単位の不飽和度=5%、1分子当
たりの水酸基含有量=0.8個)(以下これを「SEE
PS−OH」ということがある)100重量部を予備混
合した後、二軸押出機(プラスチック工業研究所製「B
T−30」)に供給して、シリンダー温度220℃およ
びスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練
し、押し出し、切断してポリウレタン反応生成物のペレ
ットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリウレタン反応生成物
のペレットからジメチルホルムアミドを用いて未反応の
ポリウレタンを抽出除去し、次いでシクロヘキサンを用
いて未反応のSEEPS−OHを抽出除去し、残留した
固形物を乾燥することによってポリウレタンブロックと
SEEPS−OHから誘導されたブロックからなるジブ
ロック共重合体であるポリウレタン系ブロック共重合体
(III)を得た。
【0082】《実施例1〜8》 (1) 上記したジブロック共重合体(I)、トリブロ
ック共重合体(II)[トリブロック共重合体(II−1)
またはトリブロック共重合体(II−2)]、上記の製造
例1で製造したポリウレタン系ブロック共重合体(II
I)、ポリウレタンエラストマー(IV)[ポリウレタン
エラストマー(IV−1)またはポリウレタンエラストマ
ー(IV−2)]およびパラフィン系オイル(V)を、下
記の表1に示す割合で予備混合した後、二軸押出機(プ
ラスチック工業研究所製「BT−30」)に供給して、
シリンダー温度220℃およびスクリュー回転数150
rpmの条件下に溶融混練し、押し出し、切断して熱可
塑性重合体組成物のペレットをそれぞれ製造した。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性重合体組成物の
ペレットを用いて、上記した方法で成形品(試験片)お
よび積層構造体を製造し、その透明性(ヘイズ値)、硬
度、引張破断強度、引張破断伸び、100%モジュラ
ス、引張永久伸びおよび圧縮永久歪み、並びに積層構造
体の剥離強度を上記した方法で測定したところ、下記の
表1に示すとおりであった。
【0083】《比較例1および2》 (1) 上記したトリブロック共重合体(II)[トリブ
ロック共重合体(II−1)またはトリブロック共重合体
(II−2)]、ポリウレタンエラストマー(IV−1)お
よびパラフィン系オイル(V)を、下記の表2に示す割
合で予備混合した後、二軸押出機(プラスチック工業研
究所製「BT−30」)に供給して、シリンダー温度2
20℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に
溶融混練し、押し出し、切断して熱可塑性重合体組成物
のペレットをそれぞれ製造した。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性重合体組成物の
ペレットを用いて、上記した方法で成形品(試験片)お
よび積層構造体を製造し、その透明性(ヘイズ値)、硬
度、引張破断強度、引張破断伸び、100%モジュラ
ス、引張永久伸びおよび圧縮永久歪み、並びに積層構造
体の剥離強度を上記した方法で測定したところ、下記の
表2に示すとおりであった。
【0084】《参考例1》 (1) 上記したトリブロック共重合体(II−1)、上
記の製造例1で製造したポリウレタン系ブロック共重合
体(III)、上記のポリウレタンエラストマー(IV−
1)およびパラフィン系オイル(V)を、下記の表2に
示す割合で予備混合した後、二軸押出機(プラスチック
工業研究所製「BT−30」)に供給して、シリンダー
温度220℃およびスクリュー回転数150rpmの条
件下に溶融混練し、押し出し、切断して熱可塑性重合体
組成物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性重合体組成物の
ペレットを用いて、上記した方法で成形品(試験片)お
よび積層構造体を製造し、その透明性(ヘイズ値)、硬
度、引張破断強度、引張破断伸び、100%モジュラ
ス、引張永久伸びおよび圧縮永久歪み、並びに積層構造
体の剥離強度を上記した方法で測定したところ、下記の
表2に示すとおりであった。 なお、この参考例1は、上述した本発明者らによる先願
発明(特願平10−80315号)の一部に相当する。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】上記の表1および表2の結果から、ジブロ
ック共重合体(I)、トリブロック共重合体(II)、ポ
リウレタン系ブロック共重合体(III)、ポリウレタン
エラストマー(IV)およびパラフィン系オイル(V)を
含有する実施例1〜8の熱可塑性重合体組成物を用いる
と、ヘイズ値が低く、しかも硬度、引張破断強度、引張
破断伸び、100%モジュラス、引張永久伸び、耐圧縮
永久歪み性などの特性をバランス良く備える、透明性、
外観、力学的特性、柔軟性、弾性などの各種物性に優れ
る高品質の成形品が円滑に得られることがわかる。
【0088】さらに、上記の表1および表2の結果か
ら、実施例1〜8の熱可塑性重合体組成物は、合成樹脂
や金属などの種々の材料に対して共通して高い溶融接着
性を有しており、例えばインサート射出成形などのよう
な溶融成形によって、各種の材料からなる層と本発明の
熱可塑性重合体組成物からなる積層構造体を接着剤など
を用いることなく、簡単に且つ円滑に製造し得ること、
しかもそれにより得られる積層構造体は高い剥離強度を
有しており、層間剥離などを生じないことがわかる。
【0089】一方、上記の表1および表2の結果から、
ジブロック共重合体(I)およびポリウレタン系ブロッ
ク共重合体(III)を含有しておらず、トリブロック共
重合体(II)、ポリウレタンエラストマー(IV)および
パラフィン系オイル(V)の3者だけを含有している比
較例1および比較例2の熱可塑性重合体組成物では、そ
れから得られる成形品のヘイズ値が高く、引張永久伸び
が大きく、透明性に劣っており、且つ力学的特性の点で
も十分には良好ではないこと、しかも比較例1および2
の熱可塑性重合体組成物は合成樹脂および金属のいずれ
に対しても低い溶融接着性しか示さないことがわかる。
また、上記の表1および表2の結果は、トリブロック共
重合体(II)、ポリウレタン系ブロック共重合体(II
I)、ポリウレタンエラストマー(IV)およびパラフィ
ン系オイル(V)を含有する参考例1の熱可塑性重合体
組成物から得られる成形品は、実施例1〜8の熱可塑性
重合体組成物から得られる成形品に比べてヘイズ値が高
くて透明度が低いものの、その他の物性では実施例1〜
8とほぼ同じであり、また合成樹脂および金属に対する
溶融接着性の点でも優れていることを示している。
【0090】
【発明の効果】本発明の熱可塑性重合体組成物は、良好
な弾力性、柔軟性、力学的特性、耐油性、成形加工性を
有し、しかも溶融接着性に優れていて各種材料に対して
共通して溶融下に強固に接着するので、本発明の熱可塑
性重合体組成物の層と他の材料からなる層を有する積層
構造体や複合体を溶融成形やその他の溶融接着技術によ
って簡単に且つ円滑に製造することができる。そして、
本発明の熱可塑性重合体組成物は弾力性、柔軟性に優れ
ているので、本発明の熱可塑性重合体組成物からなる層
を表面の少なくとも一部に有する積層構造体(複合体)
は、柔軟で弾力性のある良好な感触を有し、しかもその
衝撃吸収能やクッション作用によって安全面でも優れて
いる。さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物は、その
優れた弾力性、柔軟性、力学的特性、耐油性、良好な成
形加工性などの特性を活かして、熱可塑性重合体組成物
単独でも各種の成形品の製造にも有効に使用することが
できる。しかも、本発明の熱可塑性重合体組成物は、ヘ
イズ値が低く、透明性に優れている。そのため、その高
い透明性を活かして、透明性に優れる成形品や積層体を
製造することができ、本発明の熱可塑性重合体組成物と
積層する他の材料の色調を製品に発現させることがで
き、また顔料や染料などの着色剤を用いて本発明の熱可
塑性重合体組成物を着色する場合は鮮明な色調を有する
外観に優れる製品を得ることができる。
【0091】本発明の熱可塑性重合体組成物からなる成
形品、本発明の熱可塑性重合体組成物の層と他の材料か
らなる層を有する本発明の積層構造体は、上記した優れ
た特性を活かして、例えば、インストルメントパネル、
センターパネル、センターコンソールボックス、ドアト
リム、ピラー、アシストグリップなどの自動車や車両用
の各種内装部材;モール等の自動車外装部品;掃除機の
バンパー、リモコンスイッチやツマミ、OA機器の各種
キートップなどの家電部品;水中メガネ、水中カメラカ
バーなどの水中使用製品;各種カバー部品;密閉性、防
水性、防音性、防振性を目的する各種パッキン付き工業
部品;ラック&ピニオンブーツ、サスペンションブー
ツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品;カー
ルコード電線被覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギ
アなどの電気・電子部品;スポーツ用品;ドア、窓枠材
などの建築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用ギプ
ス等々の広範な用途に極めて有効に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河原 茂 茨城県つくば市御幸が丘41番地 株式会社 クラレ内 (72)発明者 九鬼 徹 茨城県つくば市御幸が丘41番地 株式会社 クラレ内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i) 下記の一般式(i); 【化1】A1−B1 (i) (式中、A1は芳香族ビニル化合物から主としてなる重
    合体ブロックを示し、B1は共役ジエン化合物から主と
    してなる重合体ブロックを示す。)で表されるジブロッ
    ク共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくと
    も1種のジブロック共重合体(I); (ii) 下記の一般式(ii); 【化2】A2−B2−A3 (ii) (式中、A2およびA3はそれぞれ独立して芳香族ビニ
    ル化合物から主としてなる重合体ブロックを示し、B2
    は共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックを
    示す。)で表されるトリブロック共重合体およびその水
    素添加物から選ばれる少なくとも1種のトリブロック共
    重合体(II); (iii) 芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体
    ブロック(A4)と共役ジエン化合物から主としてなる
    重合体ブロック(B3)を有するブロック共重合体また
    はその水素添加物からなる付加重合系ブロック(C)
    と、ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有する
    ポリウレタン系ブロック共重合体(III); (iv) ポリウレタンエラストマー(IV);並びに、 (v) パラフィン系オイル(V);を含有することを
    特徴とする熱可塑性重合体組成物。
  2. 【請求項2】 ジブロック共重合体(I)とトリブロッ
    ク共重合体(II)の合計100重量部に対して、ポリウ
    レタン系ブロック共重合体(III)を5〜100重量
    部、ポリウレタンエラストマー(IV)を10〜250重
    量部およびパラフィン系オイル(V)を2〜150重量
    部の割合で含有する請求項1の熱可塑性重合体組成物。
  3. 【請求項3】 ジブロック共重合体(I):トリブロッ
    ク共重合体(II)の含有割合が90:10〜10:90
    の重量比である請求項1または2の熱可塑性重合体組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項の熱可塑性
    重合体組成物からなる層および他の材料からなる層を有
    することを特徴とする積層構造体。
  5. 【請求項5】 他の材料が、合成樹脂および金属から選
    ばれる少なくとも1種である請求項5の積層構造体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1項の熱可塑性
    重合体組成物を他の材料に対して溶融積層成形して請求
    項4または5の積層構造体を製造する方法。
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