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JPH11293396A - 高強度溶融亜鉛めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板ならびにその製造方法 - Google Patents

高強度溶融亜鉛めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板ならびにその製造方法

Info

Publication number
JPH11293396A
JPH11293396A JP10458798A JP10458798A JPH11293396A JP H11293396 A JPH11293396 A JP H11293396A JP 10458798 A JP10458798 A JP 10458798A JP 10458798 A JP10458798 A JP 10458798A JP H11293396 A JPH11293396 A JP H11293396A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
phase
hot
less
dip galvanized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10458798A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Ozaki
純一 小崎
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP10458798A priority Critical patent/JPH11293396A/ja
Publication of JPH11293396A publication Critical patent/JPH11293396A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 材質安定性に優れた、高強度溶融亜鉛めっき
鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、その製造方法を提供
する。 【解決手段】 重量%で、C:0.06〜0.18%、Si:1.5%
以下、Mn:1.4〜2.3%、Cr:0.2〜0.6%、P:0.05%以
下、Sol.Al:0.010〜0.100%、S:0.01%以下、N:0.01
%以下を含有する冷延鋼板を下地とし、鋼板組織がマル
テンサイト相とベイナイト相と残留オーステナイト相の
合計で面積率5%以上を有し、残部がフェライト相とパ
ーライト組織から成る高強度溶融亜鉛めっき鋼板、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板。前記組成の鋼を熱間圧延、酸
洗、冷間圧延後、連続溶融亜鉛めっきラインで焼鈍温度
をAc1点以上、焼鈍時間を30sec以上90sec以下、焼鈍温
度から570℃までの平均冷却速度を5℃/sec以上とし、そ
の後570℃以下390℃以上の温度域に40sec以上留まるよ
うにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷延鋼板を下地と
した、溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき
鋼板ならびにその製造方法に関する。より詳細には、プ
レス成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板および合
金化溶融亜鉛めっき鋼板ならびにその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、燃費向上と排気ガス低減の必要性
から、自動車の車体軽量化が要求されている。一方、自
動車の安全性に対するニーズも高まっていることから、
車体を軽量化しつつ、高い車体強度を維持することが望
まれている。また、通常、車体の部品には高い耐食性が
要求される。以上の背景から、自動車用部品の素材とし
て、高強度溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の使用が増加しつつある。
【0003】自動車用部品は、形状が複雑なものが多
く、また、製造においては高い生産性が要求されること
から、プレス成形により加工される場合が多い。しか
し、高強度鋼板は軟質鋼板と比べてプレス成形性に劣
り、問題となっている。
【0004】その原因として、2つの要因が挙げられ
る。1つは、高強度鋼板の材質である。高強度鋼板は延
性が低いため割れが発生しやすい。また、スプリングバ
ックが強く、形状凍結性に劣る。もう1つは、材質の変
動である。前記のように、高強度鋼板はプレス成形性に
劣るため、一般に、成形可能なプレス条件範囲が軟質鋼
板よりも狭い。そのため、鋼板の材質が変動すれば、た
ちまち割れや形状不良が発生し、生産性の低下につなが
る。したがって、プレス成形において高い生産性を実現
するためには、鋼板の材質が常に安定していることが必
要である。ところが、高強度鋼板は軟質鋼板と比較して
材質の変動が大きく、プレス成形を一層困難にしている
のが実状である。
【0005】前者の問題点に関しては、従来より、強度
−延性バランスに優れ、降伏比の低い鋼板の製造方法が
提案されている(例えば特開平5-179402号公報、特開平
4-173946号公報、特開平8-134591号公報)。これらの鋼
板は、鋼板組織をフェライト相+マルテンサイト相、フ
ェライト相+ベイナイト相あるいはフェライト相+マルテ
ンサイト相+ベイナイト相の複合組織(以下、単に複合
組織という)にすることで、高強度高延性低降伏比の材
質を得ている。
【0006】しかし、後者の問題点に関しては、従来、
有効な解決策は提案されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題点に鑑み
て、本発明は、材質安定性に優れた、高強度溶融亜鉛め
っき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板ならびにその
製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】材質の変動の原因として
は、鋼成分組成の変動、熱間圧延条件の変動、冷間圧延
条件の変動、連続式溶融亜鉛めっきラインにおける焼鈍
温度および冷却条件の変動などが挙げられる。本発明者
らの得た知見によると、このうち、最も制御が困難で材
質変動の最大の原因となっているものは、熱間圧延後の
巻取温度の変動である。熱間圧延後の巻取温度は、特に
コイルの先端と終端で差が出やすく、また、幅方向にお
いても、エッジ部分は中央部分よりも低温になりやす
い。
【0009】複合組織を持つ鋼板の多くは、巻取温度に
よって、熱延後の材質はもちろん、冷間圧延、焼鈍、溶
融亜鉛めっきを施した後の材質も影響を受ける。すなわ
ち、巻取温度が高い場合は、熱延後の組織が粗大で軟質
なフェライト+パーライト組織になり、材質は低強度高
延性となる。一方、巻取温度が低い場合は、微細で硬質
なベイナイト組織になり、材質は高強度低延性になる。
この熱延組織の違いが、めっき後の組織にも複雑な影響
を及ぼし、材質を変動させると考えられる。巻取温度を
常に一定温度に保つことができれば、巻取温度に起因す
る材質の変動はなくなるが、実際の操業において巻取温
度を一定に保つことは、非常に困難である。
【0010】本発明者らが検討を重ねた結果、材質の巻
取温度依存性は鋼板の成分組成、とりわけCrの含有量に
よってその程度が異なり、材質の巻取温度依存性が最小
になる組成、すなわち材質安定性が最大になる組成が存
在することを見いだした。この知見に加えて、この効果
が有効な鋼板成分および製造条件範囲を検討した結果を
加えて、本発明を完成した。
【0011】前記課題を解決するための構成は次のとお
りである。 (1)第一発明は、重量%で、C:0.06〜0.18%、Si:1.5
%以下、Mn:1.4〜2.3%、Cr:0.2〜0.6%、P:0.05%
以下、Sol.Al:0.010〜0.100%、S:0.01%以下、N:0.
01%以下を含有する冷延鋼板を下地とし、その鋼板組織
がマルテンサイト相とベイナイト相と残留オーステナイ
ト相の合計で面積率5%以上を有し、残部がフェライト
相とパーライト組織から成ることを特徴とする、材質安
定性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板である。
【0012】(2)第二発明は、重量%で、C:0.06〜0.18
%、Si:1.5%以下、Mn:1.4〜2.3%、Cr:0.2〜0.6
%、P:0.05%以下、Sol.Al:0.010〜0.100%、S:0.01
%以下、N:0.01%以下を含有する冷延鋼板を下地と
し、その鋼板組織がマルテンサイト相とベイナイト相と
残留オーステナイト相の合計で面積率5%以上を有し、
残部がフェライト相とパーライト組織から成ることを特
徴とする、材質安定性に優れた高強度合金化溶融亜鉛め
っき鋼板である。
【0013】(3)第三発明は、重量%で、C:0.06〜0.18
%、Si:1.5%以下、Mn:1.4〜2.3%、Cr:0.2〜0.6
%、P:0.05%以下、Sol.Al:0.010〜0.100%、S:0.01
%以下、N:0.01%以下を含有する鋼を、熱間圧延、酸
洗、冷間圧延した後、連続溶融亜鉛めっきラインで焼
鈍、溶融亜鉛めっきを施し、溶融亜鉛めっき鋼板を製造
する工程において、連続溶融亜鉛めっきラインにおける
焼鈍温度をAc1点以上、焼鈍時間を30sec以上90sec以
下、焼鈍後570℃以下まで平均冷却速度を5℃/sec以上と
し、その後570℃以下390℃以上の温度域に40sec以上留
まることを特徴とする、材質安定性に優れた高強度溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0014】(4)第四発明は、前記の第三発明におい
て、めっき後皮膜の合金化を行うことを特徴とする、材
質安定性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法である。
【0015】以下に本発明を詳細に説明する。まず、本
発明の鋼板成分の限定理由について述べる。
【0016】C:0.06〜0.18% Cは、鋼の強度を確保するとともに、焼入性を高め、複
合組織を形成するために必要不可欠な成分である。上記
の効果を得るため0.06%を下限とする。しかし、Cの過
剰な添加は溶接性および耐遅れ破壊性を劣化させるた
め、上限を0.18%とする。
【0017】Si:1.5%以下 Siは、鋼の強度を確保するとともに、焼入性を高め、複
合組織を形成するために有用な成分である。しかし、過
剰に添加すると、めっきの濡れ性と合金化処理性を劣化
させるため、上限を1.5%とする。
【0018】Mn:1.4〜2.3% Mnは、固溶強化、結晶粒細粒化強化により鋼板の強度と
靭性を向上させるために必要な成分である。また、オー
ステナイト相を安定化させ、ベイナイト相、マルテンサ
イト相を生成して、鋼板組織を複合組織にする作用もあ
る。本発明では、上記の効果を得るために下限を1.4%
とした。また、2.3%越えて添加しても、効果が飽和し
製造コストが高くなるため、上限を2.3%とする。
【0019】Cr:0.2〜0.6% Crは、Mnと同様にオーステナイト相を安定化させ、複合
組織の生成を容易にする。また、本発明の特徴である、
巻取温度の変動に対する材質の安定性は、Crの含有量を
最適にすることによって得られる。この作用のメカニズ
ムは不明であるが、C-Mn-Cr鋼の連続冷却変態挙動に関
わっているものと推定される。Crの含有量が0.2%未満
あるいは0.6%より大きいと、巻取温度の変動に対する
材質安定性が発揮されないため、下限を0.2%、上限を
0.6%とする。
【0020】P:0.05%以下 Pは、オーステナイト相を安定化させる効果があるが、
反面、鋼板の加工性、めっき密着性およびめっき皮膜の
合金化処理性を劣化させる。0.05%を越えて添加する
と、鋼板の加工性、めっき密着性およびめっき皮膜の合
金化処理性が劣化するため、上限を0.05%とする。
【0021】Sol.Al:0.010〜0.100% Alは、鋼の脱酸を目的として添加されるが、所望の効果
を得るために下限を0.010%とし、上限はこれ以上添加
しても効果が飽和するため0.100%とする。
【0022】S:0.01%以下 Sは、加工性の面で低い方が望ましく、上限を0.01%と
する。
【0023】N:0.01%以下 Nも、加工性の面で低い方が望ましく、上限を0.01%と
する。
【0024】また、上記で限定していない成分について
も、鋼の連続冷却変態挙動を大きく変化させない量であ
れば、鋼板中に含有してもよい。
【0025】マルテンサイト相とベイナイト相と残留オ
ーステナイト相の合計の面積率:5%以上 本発明の鋼板は、鋼板組織を複合組織とすることで、高
い強度と延性および低い降伏比を実現している。マルテ
ンサイト相とベイナイト相と残留オーステナイト相の合
計の面積率(以下、硬質相の面積率と標記する)が5%
未満では、上記の効果が不十分であるため、下限を5%
とする。
【0026】次に、本発明の鋼板の製造条件の限定理由
について述べる。 焼鈍温度:Ac1点以上 本発明では、高強度高延性かつ低降伏比の鋼板を得るた
めに、鋼板組織が複合組織になる必要がある。そのため
には、焼鈍中にオーステナイト相が生成している必要が
ある。このオーステナイト相の一部が、その後の冷却過
程でベイナイト相、次いでマルテンサイト相に変態し、
複合組織となる。焼鈍温度がAc1点未満では、オーステ
ナイト相が生成せず、前記の作用が働かないので、下限
をAc1点とする。
【0027】焼鈍時間:30〜90sec 前記したように、焼鈍中の鋼板組織はオーステナイト相
を含有する必要があるが、焼鈍時間が30sec未満では、
オーステナイト相の生成は不十分であり、前記の作用の
効果が低下する。また、90secを越えて焼鈍しても、そ
れ以上オーステナイト相の生成が進行しない。したがっ
て、下限を30sec、上限を90secとする。
【0028】焼鈍温度から570℃までの冷却速度:5℃/s
ec以上 冷却速度が5℃/sec未満では、オーステナイト相からベ
イナイト相およびマルテンサイト相への変態が安定して
起こらず、複合組織の生成が不安定になるため、下限を
5℃/secとする。
【0029】570℃以下390℃以上の温度域での滞在時
間:40sec以上 焼鈍後の冷却過程において、570℃以下390℃以上の温度
域に一定時間留まることにより、オーステナイト→ベイ
ナイト変態を進行させ、材質を安定化する。当該温度域
での滞在時間が40sec未満では、オーステナイト→ベイ
ナイト変態が十分に進行しないうちにオーステナイト→
マルテンサイト変態が起こるため、焼鈍後の冷却速度の
変動による材質の変動が大きくなる。そこで、下限を40
secとする。
【0030】また、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、必
要に応じてめっき皮膜の合金化処理を行う。合金化処理
の有無、合金化温度および合金化処理後の冷却速度によ
って、本発明の効果は影響を受けない。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明は、冷延鋼板を下地とし
て、連続式溶融亜鉛めっきラインで溶融亜鉛めっき鋼板
を製造し、またはその後めっき皮膜を合金化して合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合を対象としている。
本発明の鋼の溶製、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、前記で
規定しない溶融亜鉛めっき条件および合金化処理条件等
は特に限定されず、通常行われている方法でよい。
【0032】
【実施例】本発明の実施例を以下に示す。表1に示す成
分を含み残部が不可避不純物からなる鋼(本発明例:N
o.c,d,e,f,g、比較例:No.a,b,h,i)を実験室で真空溶
解法により溶製し、鋳造して得られた鋳塊を板厚2.6mm
に熱間圧延した。熱間圧延は加熱温度を1250℃、仕上げ
圧延温度は900℃とした。仕上げ圧延後すぐに、鋼板を
一定温度の炉中で1hr保持し、その後炉冷することによ
り、実機でのコイルの巻取をシミュレートした。ここ
で、炉の温度を巻取温度とみなした。炉の温度は480
℃、580℃および640℃とした。その後、酸洗し、さらに
冷間圧延して板厚1.0mm(冷圧率61.5%)の鋼板を得た。
【0033】
【表1】
【0034】次いで、前記で得た鋼板を用い、実験室に
おいて溶融亜鉛めっきを施した。製造条件は連続式溶融
亜鉛めっきラインをシミュレートし、表2、表3に示し
た条件で、焼鈍、冷却、保持、両面への溶融めっき、ガ
スワイピングを行い、一部のサンプルについては、引き
続き合金化処理を施した。めっき浴の温度は465℃とし
た。めっき付着量は、片面当たり60g/m2程度になるよう
にした。また、合金化処理条件は、皮膜中のFe濃度が9
〜11wt%になるように調整した。合金化処理後、室温ま
で冷却した。
【0035】このようにして作製した供試材の材質を、
圧延方向と直角に切り出したJIS-5号引張試験片によっ
て測定した。また、鋼板組織を調査し、硬質相の面積率
を調査した。
【0036】材質の巻取温度依存性の評価は以下のよう
に行った。同一の鋼を用い、巻取温度以外の製造条件を
全て同じにして、巻取温度のみを変えた溶融亜鉛めっき
鋼板を作製した。このうち、巻取温度を640℃および480
℃とした溶融亜鉛めっき鋼板の引張強度の差(=ΔTS)
を求め、これを材質の巻取温度依存性の指標として用い
た。すなわち、ΔTSの絶対値が小さいほど、材質の巻取
温度依存性が小さく、巻取温度の変動に対する材質安定
性に優れていることになる。本発明においては、引張強
度(TS)が45kg/mm2以上、引張強度(TS)×全伸び(El)の値
が1650(kg/mm2・%)以上、降伏比(YR)が65%以下でか
つΔTSの絶対値が18kg/mm2以下の鋼板を合格とした。
【0037】表2、表3に実施例の製造条件と材質の測
定値、硬質相の面積率を示した。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】図1に、鋼中Cr含有量と引張強度の巻取温
度依存性との関係を示した。表2、表3の実験No.7〜2
1、28〜36は本発明例である。いずれも、硬質相の面積
率は5%以上、引張強度(TS)は45kg/mm2以上、引張強度
(TS)と全伸び(El)の積は1650(kg/mm2・%)以上で、
降伏比(YR)は65%以下であった。また、ΔTSの絶対値
は18kg/mm2以下であった。
【0041】実験No.7〜21は、鋼中のCr含有量を変化さ
せた例である。ΔTSの値は、鋼中Cr濃度が高いほど大き
くなり、ΔTSの絶対値は供試材No.e(Cr濃度:0.40wt
%)が最小であった。
【0042】実験No.28〜30は、皮膜の合金化を行わな
かった場合である。同じ条件で合金化を行った場合(実
験No.13〜15)と比較して、材質(TS,El,YP,YR)および
巻取温度依存性(ΔTS)はほぼ同じであった。
【0043】実験No.31〜33は、焼鈍温度を770℃とした
場合である。同じ条件で焼鈍温度850℃の場合(実験No.
13〜15)と比較して、TSは高くなっているが、ΔTSはほ
ぼ同じであった。焼鈍温度850℃の場合と比較してTSが
高くなった理由は、焼鈍中に鋼板の結晶が十分成長せ
ず、冷却後の結晶粒径が小さくなったためと考えられ
る。
【0044】実験No.34〜36は、焼鈍後の冷却速度を変
えた例である。同じ条件で冷却速度が7℃/secの場合
(実験No.13〜15)と比べて、TSはやや高くなってい
た。これは、硬質相の面積率が、大きくなったためと推
定される。
【0045】実験No.1〜6、22〜27、37は比較例であ
る。実験No.1〜3は、鋼中にCrを含まないため、焼鈍後
の鋼板が複合組織にならず、硬質相は観察されなかっ
た。材質はYRが65%よりも高く、TS×Elの値は1650(kg/
mm2・%)未満であった。
【0046】実験No.4〜6は、鋼中のCr含有量が0.2%未
満であったため、ΔTSの絶対値が18kg/mm2より大きかっ
た。
【0047】実験No.22〜27は、鋼中のCr含有量が0.6%
を越えていたため、ΔTSの絶対値が18kg/mm2より大きか
った。
【0048】実験No.37は、焼鈍後の冷却速度が小さか
ったため、鋼板が複合組織にならず、硬質相は観察され
なかった。材質はYRが65%よりも高く、TS×Elの値は16
50(kg/mm2・%)未満であった。
【0049】
【発明の効果】以上に示したように、本発明によって、
鋼板中に複合組織を有するため強度−延性バランスに優
れ、また降伏比が低く、プレス成形性に優れた高強度溶
融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安
定して得ることができる。本発明の鋼板は、表面に溶融
亜鉛めっき皮膜または合金化溶融亜鉛めっき皮膜を有し
ているために耐食性に優れ、高強度でかつプレス成形性
に優れているため、自動車部品をはじめ多くの用途に使
用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼中Cr含有量と引張強度の巻取温度依存性の関
係を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.06〜0.18%、Si:1.5%
    以下、Mn:1.4〜2.3%、Cr:0.2〜0.6%、P:0.05%以
    下、Sol.Al:0.010〜0.100%、S:0.01%以下、N:0.01
    %以下を含有する冷延鋼板を下地とし、その鋼板組織が
    マルテンサイト相とベイナイト相と残留オーステナイト
    相の合計で面積率5%以上を有し、残部がフェライト相
    とパーライト組織から成ることを特徴とする、材質安定
    性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.06〜0.18%、Si:1.5%
    以下、Mn:1.4〜2.3%、Cr:0.2〜0.6%、P:0.05%以
    下、Sol.Al:0.010〜0.100%、S:0.01%以下、N:0.01
    %以下を含有する冷延鋼板を下地とし、その鋼板組織が
    マルテンサイト相とベイナイト相と残留オーステナイト
    相の合計で面積率5%以上を有し、残部がフェライト相
    とパーライト組織から成ることを特徴とする、材質安定
    性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.06〜0.18%、Si:1.5%
    以下、Mn:1.4〜2.3%、Cr:0.2〜0.6%、P:0.05%以
    下、Sol.Al:0.010〜0.100%、S:0.01%以下、N:0.01
    %以下を含有する鋼を、熱間圧延、酸洗、冷間圧延した
    後、連続溶融亜鉛めっきラインにて焼鈍し、引き続き溶
    融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっき鋼板を製造する工
    程において、連続溶融亜鉛めっきラインにおける焼鈍温
    度をAc 1点以上、焼鈍時間を30sec以上90sec以下、焼鈍
    温度から570℃までの平均冷却速度を5℃/sec以上とし、
    その後570℃以下390℃以上の温度域に40sec以上留まる
    ことを特徴とする、材質安定性に優れた高強度溶融亜鉛
    めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、めっき後皮膜の合金
    化を行うことを特徴とする、材質安定性に優れた高強度
    合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP10458798A 1998-04-15 1998-04-15 高強度溶融亜鉛めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板ならびにその製造方法 Pending JPH11293396A (ja)

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Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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