JPH11286105A - 記録方法及び記録装置 - Google Patents
記録方法及び記録装置Info
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- JPH11286105A JPH11286105A JP10089030A JP8903098A JPH11286105A JP H11286105 A JPH11286105 A JP H11286105A JP 10089030 A JP10089030 A JP 10089030A JP 8903098 A JP8903098 A JP 8903098A JP H11286105 A JPH11286105 A JP H11286105A
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- recording
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
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- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/015—Ink jet characterised by the jet generation process
- B41J2/04—Ink jet characterised by the jet generation process generating single droplets or particles on demand
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/135—Nozzles
- B41J2/14—Structure thereof only for on-demand ink jet heads
- B41J2002/14322—Print head without nozzle
Landscapes
- Electronic Switches (AREA)
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
- Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 転写感度や転写速度などの転写性能に優れた
記録方法及び記録装置を提供すること。 【解決手段】 転写部1aに保持されたインク5をヒー
タ4による加熱によって飛翔させ、転写部1aに対向し
て配される被転写体に転写するに際し、加熱によって記
録材5の表面に表面張力勾配及び/又は界面張力勾配を
生ぜしめ、これに起因する記録材5のマランゴニ流を利
用して記録材5をインクミスト6として飛翔させる。
記録方法及び記録装置を提供すること。 【解決手段】 転写部1aに保持されたインク5をヒー
タ4による加熱によって飛翔させ、転写部1aに対向し
て配される被転写体に転写するに際し、加熱によって記
録材5の表面に表面張力勾配及び/又は界面張力勾配を
生ぜしめ、これに起因する記録材5のマランゴニ流を利
用して記録材5をインクミスト6として飛翔させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転写部に保持され
た記録材を加熱手段による加熱によって飛翔させ、この
転写部に対向して配される被転写体に所定の画像を転写
する、いわゆる熱転写方式による記録方法及び記録装置
に関するものである。
た記録材を加熱手段による加熱によって飛翔させ、この
転写部に対向して配される被転写体に所定の画像を転写
する、いわゆる熱転写方式による記録方法及び記録装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば、パーソナルコンピュータ
等で処理したカラー画像や、ビデオカメラ、電子スチル
カメラ等で撮像したカラー画像をプリントアウトして、
鑑賞その他の目的に供することが行われている。このた
め、高品位なフルカラー画像が得られるプリンタに対す
るニーズが高まっており、特に、個人向けや、例えば、
「スモールオフィス」或いは「ホームオフィス」と呼ば
れる小規模なオフィス向けの比較的廉価なプリンタに対
しても、高品位なフルカラー画像を得ることが要求され
始めている。
等で処理したカラー画像や、ビデオカメラ、電子スチル
カメラ等で撮像したカラー画像をプリントアウトして、
鑑賞その他の目的に供することが行われている。このた
め、高品位なフルカラー画像が得られるプリンタに対す
るニーズが高まっており、特に、個人向けや、例えば、
「スモールオフィス」或いは「ホームオフィス」と呼ば
れる小規模なオフィス向けの比較的廉価なプリンタに対
しても、高品位なフルカラー画像を得ることが要求され
始めている。
【0003】カラープリント方式としては、従来、昇華
型熱転写方式(又は染料拡散熱転写方式)、溶融熱転写
方式、インクジェット方式、電子写真方式、熱現像銀塩
方式等のカラーハードコピー方式が提案されているが、
これらの中で、特に、高画質の画像を比較的簡単な装置
で手軽に出力できるものとして、染料拡散熱転写方式と
インクジェット方式が挙げられる。
型熱転写方式(又は染料拡散熱転写方式)、溶融熱転写
方式、インクジェット方式、電子写真方式、熱現像銀塩
方式等のカラーハードコピー方式が提案されているが、
これらの中で、特に、高画質の画像を比較的簡単な装置
で手軽に出力できるものとして、染料拡散熱転写方式と
インクジェット方式が挙げられる。
【0004】染料拡散熱転写方式は、適当なバインダ樹
脂中に高濃度の転写染料を分散させたインク層をインク
リボン又はシートに塗布し、これを、転写された染料を
受容する染着樹脂がコーティングされた、いわゆる熱転
写用用紙に一定の圧力で密着させ、そのインクリボン又
はシート上から感熱記録ヘッド(サーマルヘッド)によ
り熱を加えて、その熱量に応じてインクリボン又はシー
トから熱転写用紙に転写染料を熱転写させるものであ
る。
脂中に高濃度の転写染料を分散させたインク層をインク
リボン又はシートに塗布し、これを、転写された染料を
受容する染着樹脂がコーティングされた、いわゆる熱転
写用用紙に一定の圧力で密着させ、そのインクリボン又
はシート上から感熱記録ヘッド(サーマルヘッド)によ
り熱を加えて、その熱量に応じてインクリボン又はシー
トから熱転写用紙に転写染料を熱転写させるものであ
る。
【0005】この操作を、例えば、減法混色の三原色で
あるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)に
分解された画像信号についてそれぞれ繰り返すことによ
り、連続的な階調を持つフルカラー画像を得ることがで
きる。
あるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)に
分解された画像信号についてそれぞれ繰り返すことによ
り、連続的な階調を持つフルカラー画像を得ることがで
きる。
【0006】図71に、この染料拡散熱転写方式による
プリンタのサーマルヘッド周辺部の構成を示す。
プリンタのサーマルヘッド周辺部の構成を示す。
【0007】サーマルヘッド90はプラテンローラ97
に対向して配置され、それらの間を、例えば、ベースフ
ィルム92上にインク層93を有するインクシート91
と、紙95の表面に染料樹脂層(染料受容層)96をコ
ーティングした被記録紙(熱転写用紙)94とが、図中
矢印B方向に回転するプラテンローラ97によりサーマ
ルヘッド70に押し付けられた状態で図中矢印A方向に
走行する。
に対向して配置され、それらの間を、例えば、ベースフ
ィルム92上にインク層93を有するインクシート91
と、紙95の表面に染料樹脂層(染料受容層)96をコ
ーティングした被記録紙(熱転写用紙)94とが、図中
矢印B方向に回転するプラテンローラ97によりサーマ
ルヘッド70に押し付けられた状態で図中矢印A方向に
走行する。
【0008】そして、印刷すべき画像に応じ、サーマル
ヘッド90によって選択的に加熱されたインク層93中
のインクが、そのインク層93に接して加熱された被記
録紙94の染料樹脂層96中に熱拡散し、例えばドット
パターンでの転写が行われる。
ヘッド90によって選択的に加熱されたインク層93中
のインクが、そのインク層93に接して加熱された被記
録紙94の染料樹脂層96中に熱拡散し、例えばドット
パターンでの転写が行われる。
【0009】この染料拡散熱転写方式は、プリンタの小
型化及び保守が容易で、かつ、即時性を備え、銀塩カラ
ー写真並みの高品位な画像を得ることができる優れた技
術である。しかしながら、この方式では、インクリボン
又はインクシートの使い捨てに起因する多量の廃棄物の
発生と高いランニングコストとが大きな欠点であった。
また、被記録紙として熱転写用紙を使用する必要があ
り、この点でもコスト高になるという問題があった。さ
らに、A6サイズの画像で1分間前後もの長い転写時間
を必要としている。
型化及び保守が容易で、かつ、即時性を備え、銀塩カラ
ー写真並みの高品位な画像を得ることができる優れた技
術である。しかしながら、この方式では、インクリボン
又はインクシートの使い捨てに起因する多量の廃棄物の
発生と高いランニングコストとが大きな欠点であった。
また、被記録紙として熱転写用紙を使用する必要があ
り、この点でもコスト高になるという問題があった。さ
らに、A6サイズの画像で1分間前後もの長い転写時間
を必要としている。
【0010】溶融熱転写方式は、普通紙転写が可能であ
るが、やはり、インクリボン又はインクシートを使用す
るので、その使い捨てに起因する多量の廃棄物の発生と
高いランニングコストの問題があった。また、画像品位
も銀塩写真には及ばなかった。
るが、やはり、インクリボン又はインクシートを使用す
るので、その使い捨てに起因する多量の廃棄物の発生と
高いランニングコストの問題があった。また、画像品位
も銀塩写真には及ばなかった。
【0011】熱現像銀塩方式は、高画質であるが、やは
り、専用の印画紙と使い捨てのリボン又はシートを使用
するためにランニングコストが高くなり、更に、この方
式では、装置コストが高いという問題もあった。
り、専用の印画紙と使い捨てのリボン又はシートを使用
するためにランニングコストが高くなり、更に、この方
式では、装置コストが高いという問題もあった。
【0012】一方、インクジェット方式は、例えば、特
公昭61−59911号公報や特公平5−217号公報
等に示されているように、静電引力方式、連続振動発生
方式(ピエゾ方式)、サーマル方式(バブルジェット方
式)等の方法で、プリンタヘッドに設けられたノズルか
らインクの小滴を噴出させ、それをプリンタ用紙等に付
着させて印刷を行うものである。
公昭61−59911号公報や特公平5−217号公報
等に示されているように、静電引力方式、連続振動発生
方式(ピエゾ方式)、サーマル方式(バブルジェット方
式)等の方法で、プリンタヘッドに設けられたノズルか
らインクの小滴を噴出させ、それをプリンタ用紙等に付
着させて印刷を行うものである。
【0013】従って、普通紙転写が可能であり、また、
インクリボン等を使用しないので、ランニングコストが
低く、更に、インクリボン等を使用する場合のような廃
棄物の発生が殆どない。最近では、簡易にカラー画像を
印刷することから、普及が拡大している。
インクリボン等を使用しないので、ランニングコストが
低く、更に、インクリボン等を使用する場合のような廃
棄物の発生が殆どない。最近では、簡易にカラー画像を
印刷することから、普及が拡大している。
【0014】しかしながら、このインクジェット方式
(特にオンデマンド型インクジェット方式)は、画素内
の濃度階調が原理的に困難であり、上述した染料拡散熱
転写方式で得られるような、銀塩写真に匹敵する高画質
の画像を短時間で再現することは困難であった。即ち、
従来のインクジェット方式では、インクの1液滴が1画
素を構成するので、原理的に画素内階調が困難であり、
このため、高画質の画像形成が達成できなかった。ま
た、インクジェットの高解像度を利用してディザ法によ
る疑似階調の表現も試みられているが、染料拡散熱転写
方式と同等の画質は得られず、しかも、転写速度は著し
く低下する。
(特にオンデマンド型インクジェット方式)は、画素内
の濃度階調が原理的に困難であり、上述した染料拡散熱
転写方式で得られるような、銀塩写真に匹敵する高画質
の画像を短時間で再現することは困難であった。即ち、
従来のインクジェット方式では、インクの1液滴が1画
素を構成するので、原理的に画素内階調が困難であり、
このため、高画質の画像形成が達成できなかった。ま
た、インクジェットの高解像度を利用してディザ法によ
る疑似階調の表現も試みられているが、染料拡散熱転写
方式と同等の画質は得られず、しかも、転写速度は著し
く低下する。
【0015】最近では、薄めたインクを使用して画素内
で2階調又は3階調を得るインクジェット方式や、イン
クサイズを小滴化したインクジェット方式等も現れてい
るが、薄いインクを使用すると何段階かの転写ヘッドを
用意しなければならず、ヘッドのコストが上がり、ま
た、同一画素内に多量の溶媒を吸収させるために印画紙
の設計が困難になりランニングコストが上がる等の問題
がある。また、オンデマンド型インクジェット方式で
は、インク粒のサイズが原理的に1ピコリットルを下回
ることが困難であり、単位画素内での64階調以上のき
め細やかな濃度階調が不十分であった。特に、自然画の
ような画像の場合、銀塩写真や染料拡散熱転写方式と同
等の画質品位を得ることは困難であった。
で2階調又は3階調を得るインクジェット方式や、イン
クサイズを小滴化したインクジェット方式等も現れてい
るが、薄いインクを使用すると何段階かの転写ヘッドを
用意しなければならず、ヘッドのコストが上がり、ま
た、同一画素内に多量の溶媒を吸収させるために印画紙
の設計が困難になりランニングコストが上がる等の問題
がある。また、オンデマンド型インクジェット方式で
は、インク粒のサイズが原理的に1ピコリットルを下回
ることが困難であり、単位画素内での64階調以上のき
め細やかな濃度階調が不十分であった。特に、自然画の
ような画像の場合、銀塩写真や染料拡散熱転写方式と同
等の画質品位を得ることは困難であった。
【0016】他方、電子写真方式は、ランニングコスト
は低く、転写速度も高いが、画像品位が銀塩写真に及ば
ないのみならず、装置コストが著しく高かった。
は低く、転写速度も高いが、画像品位が銀塩写真に及ば
ないのみならず、装置コストが著しく高かった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】そこで、それらの要求
を満たしうるカラープリント方式として、いわゆる、染
料気化型熱転写方式が提案されている(例えば、特開平
9−183239号公報、特開平9−183246号公
報参照)。
を満たしうるカラープリント方式として、いわゆる、染
料気化型熱転写方式が提案されている(例えば、特開平
9−183239号公報、特開平9−183246号公
報参照)。
【0018】この染料気化型熱転写方式は、プリンタヘ
ッドの転写部においてインクを加熱して、気化、アブレ
ーション(ablation:以下、溶発と称することがあ
る。)等によりインクを飛翔させ、それを、例えば、5
0〜100μm程度のギャップを介して対向配置された
プリンタ用紙等の被転写体(印画紙)表面に付着させて
転写を行うものである。
ッドの転写部においてインクを加熱して、気化、アブレ
ーション(ablation:以下、溶発と称することがあ
る。)等によりインクを飛翔させ、それを、例えば、5
0〜100μm程度のギャップを介して対向配置された
プリンタ用紙等の被転写体(印画紙)表面に付着させて
転写を行うものである。
【0019】また、前記転写部には、例えば、幅又は径
が2μm程度、高さ6μm程度の多数の柱状体を互いに
2μm程度の微小間隔で立設配置した凹凸構造によるイ
ンク保持構造が設けられており、また、このインク保持
構造の下部にはヒータが設けられて、気化部(転写部)
が構成されている。
が2μm程度、高さ6μm程度の多数の柱状体を互いに
2μm程度の微小間隔で立設配置した凹凸構造によるイ
ンク保持構造が設けられており、また、このインク保持
構造の下部にはヒータが設けられて、気化部(転写部)
が構成されている。
【0020】このようなインク保持構造が転写部に設け
られているので、下記(1)〜(4)のような効果が得
られる。 (1)毛管現象によりインクが自発的に気化部に供給さ
れる。 (2)大きな表面積により、インクを効率的に加熱する
ことができる。 (3)柱状体の高さを適宜に設定することにより、常に
所定量のインクを気化部に保持させることができる。 (4)液体の表面張力は一般に負の温度係数を持つの
で、局所的に加熱されたインクは、温度の低い外周部へ
向かう力を受けるが、インク保持構造によりその移動が
最小限に抑制されて、転写感度の低下が防止される。
られているので、下記(1)〜(4)のような効果が得
られる。 (1)毛管現象によりインクが自発的に気化部に供給さ
れる。 (2)大きな表面積により、インクを効率的に加熱する
ことができる。 (3)柱状体の高さを適宜に設定することにより、常に
所定量のインクを気化部に保持させることができる。 (4)液体の表面張力は一般に負の温度係数を持つの
で、局所的に加熱されたインクは、温度の低い外周部へ
向かう力を受けるが、インク保持構造によりその移動が
最小限に抑制されて、転写感度の低下が防止される。
【0021】従って、気化部の加熱量に応じた量のイン
クを飛翔させて、プリンタ用紙等に転写することがで
き、インク転写量の連続的な制御、すなわち、画素内で
の濃度階調が可能となり、この結果、例えば、銀塩カラ
ー写真に匹敵する高品位の画像が得られている。
クを飛翔させて、プリンタ用紙等に転写することがで
き、インク転写量の連続的な制御、すなわち、画素内で
の濃度階調が可能となり、この結果、例えば、銀塩カラ
ー写真に匹敵する高品位の画像が得られている。
【0022】また、インクリボン等を使用する必要がな
いので、ランニングコストが低く、更に、普通紙に対し
て吸収性の高いインクを用いることで普通紙転写も可能
となるので、普通紙の使用による低コスト化も可能とな
る。
いので、ランニングコストが低く、更に、普通紙に対し
て吸収性の高いインクを用いることで普通紙転写も可能
となるので、普通紙の使用による低コスト化も可能とな
る。
【0023】また、この方式は、インク、即ち、染料の
気化を利用したものであるため、インクを加熱するプリ
ンタヘッドの転写部をプリンタ用紙等の被転写体に高い
圧力で押し付けることはもちろん、接触させる必要もな
く、従って、他の熱転写方式では往々にして起こり得
た、インクリボン等のインク加熱部とプリンタ用紙等と
の熱融着の問題も発生しない。
気化を利用したものであるため、インクを加熱するプリ
ンタヘッドの転写部をプリンタ用紙等の被転写体に高い
圧力で押し付けることはもちろん、接触させる必要もな
く、従って、他の熱転写方式では往々にして起こり得
た、インクリボン等のインク加熱部とプリンタ用紙等と
の熱融着の問題も発生しない。
【0024】しかしながら、特開平9−183239号
公報、特開平9−183246号公報に記載された従来
の染料気化型熱転写方式は、加熱による気化又は溶発に
よってインクの飛翔及び転写が行われ、飛翔するインク
はそのほとんどが単分子状の気化物(但し、ギャップ内
でのインク分子の凝縮による直径1μm以下の小ミスト
も含む)であるために、転写感度(OD濃度)が低下し
(即ち転写速度が遅く)、また、紙質によっては再現性
が異なることがあった。さらに、飛翔するインクの体積
が小さすぎるので、飛翔したインクはただちに速度を失
い、プリンタヘッドの転写部と被転写体とのギャップを
長くすることができず、被転写体に付着している紙粉や
ゴミが前記転写部に付着して転写ムラを生じることがあ
った。
公報、特開平9−183246号公報に記載された従来
の染料気化型熱転写方式は、加熱による気化又は溶発に
よってインクの飛翔及び転写が行われ、飛翔するインク
はそのほとんどが単分子状の気化物(但し、ギャップ内
でのインク分子の凝縮による直径1μm以下の小ミスト
も含む)であるために、転写感度(OD濃度)が低下し
(即ち転写速度が遅く)、また、紙質によっては再現性
が異なることがあった。さらに、飛翔するインクの体積
が小さすぎるので、飛翔したインクはただちに速度を失
い、プリンタヘッドの転写部と被転写体とのギャップを
長くすることができず、被転写体に付着している紙粉や
ゴミが前記転写部に付着して転写ムラを生じることがあ
った。
【0025】また、インクを気化又は溶発させる際に
は、比較的高い沸点を持つインク中に含まれる微量のシ
リカ粒や金属粉のような不純物は気化しにくいために転
写部に蓄積して、最終的にはこげつきが発生し、経時的
に転写性能が劣化することがあった。さらに、インクに
おける溶媒の沸点が染料の沸点より大幅に低いと、溶媒
が選択的に気化して転写部に染料が沈澱することがあ
り、使用できる溶媒の選択範囲が狭いという課題も残さ
れていた。
は、比較的高い沸点を持つインク中に含まれる微量のシ
リカ粒や金属粉のような不純物は気化しにくいために転
写部に蓄積して、最終的にはこげつきが発生し、経時的
に転写性能が劣化することがあった。さらに、インクに
おける溶媒の沸点が染料の沸点より大幅に低いと、溶媒
が選択的に気化して転写部に染料が沈澱することがあ
り、使用できる溶媒の選択範囲が狭いという課題も残さ
れていた。
【0026】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、転写感度や転写速度などの
転写性能に優れた記録方法及び記録装置を提供すること
にある。
たものであり、その目的は、転写感度や転写速度などの
転写性能に優れた記録方法及び記録装置を提供すること
にある。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上述した
実情に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、加熱によってイン
ク表面に表面張力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜし
め、これに起因するインクの流動(特にマランゴニ流、
表面張力対流)を利用してインクを飛翔させることによ
って、転写感度や転写速度などの転写性能に優れた記録
を実施できることを見出した。
実情に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、加熱によってイン
ク表面に表面張力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜし
め、これに起因するインクの流動(特にマランゴニ流、
表面張力対流)を利用してインクを飛翔させることによ
って、転写感度や転写速度などの転写性能に優れた記録
を実施できることを見出した。
【0028】即ち、本発明は、転写部に保持された記録
材を加熱手段による加熱によって飛翔させ、前記転写部
に対向して配される被転写体に転写するに際し、前記加
熱によって前記記録材表面に表面張力勾配及び/又は界
面張力勾配を生ぜしめ、これに起因する記録材の流動を
使用して前記記録材を飛翔させる記録方法(以下、本発
明の記録方法と称する。)に係るものである。
材を加熱手段による加熱によって飛翔させ、前記転写部
に対向して配される被転写体に転写するに際し、前記加
熱によって前記記録材表面に表面張力勾配及び/又は界
面張力勾配を生ぜしめ、これに起因する記録材の流動を
使用して前記記録材を飛翔させる記録方法(以下、本発
明の記録方法と称する。)に係るものである。
【0029】本発明の記録方法によれば、抵抗加熱やレ
ーザ光加熱等によって記録材(インク)の表面に表面張
力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜしめ、これに起因
する記録材の流動を利用して前記記録材を飛翔させるの
で、気化を駆動力として飛翔する記録材と比べて、比較
的大きなミストとして前記記録材を飛翔させることがで
き、従って、単位時間当たりの転写感度が向上し、転写
感度や転写速度などに優れた記録方法が実現できる。
ーザ光加熱等によって記録材(インク)の表面に表面張
力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜしめ、これに起因
する記録材の流動を利用して前記記録材を飛翔させるの
で、気化を駆動力として飛翔する記録材と比べて、比較
的大きなミストとして前記記録材を飛翔させることがで
き、従って、単位時間当たりの転写感度が向上し、転写
感度や転写速度などに優れた記録方法が実現できる。
【0030】特に、本発明の記録方法によって、前記の
大きなミストとして、例えば直径2μm以上のミスト
(以下、大ミストと称することがある。これはストロボ
スコープ等で観察可能である。)を効率良く飛翔させる
ことができ、これは上述した従来の染料気化型熱転写方
式における気化物や小ミストに比べてその体積が約10
00倍程度あり、従って、単位時間当たりの転写感度を
2〜10倍程度向上させることができる。
大きなミストとして、例えば直径2μm以上のミスト
(以下、大ミストと称することがある。これはストロボ
スコープ等で観察可能である。)を効率良く飛翔させる
ことができ、これは上述した従来の染料気化型熱転写方
式における気化物や小ミストに比べてその体積が約10
00倍程度あり、従って、単位時間当たりの転写感度を
2〜10倍程度向上させることができる。
【0031】さらに、前述のように、記録材の表面に表
面張力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜしめ、これに
起因する記録材の流動を記録材の飛翔のための駆動力と
して利用しているので、気化又は溶発のみを利用する従
来の染料気化型熱転写方式に比べて、加熱のために供給
するエネルギーが1/2〜1/3程度で済み、また、記
録材中の不揮発性不純物によるこげつきも防止できる。
つまり、トータルでは従来の染料気化型熱転写方式に比
べて4〜30倍の効率アップにつながるものと思われ
る。また、前記転写部と前記被転写体とのギャップを広
くして、転写部へのゴミ類の付着も防止することができ
る。
面張力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜしめ、これに
起因する記録材の流動を記録材の飛翔のための駆動力と
して利用しているので、気化又は溶発のみを利用する従
来の染料気化型熱転写方式に比べて、加熱のために供給
するエネルギーが1/2〜1/3程度で済み、また、記
録材中の不揮発性不純物によるこげつきも防止できる。
つまり、トータルでは従来の染料気化型熱転写方式に比
べて4〜30倍の効率アップにつながるものと思われ
る。また、前記転写部と前記被転写体とのギャップを広
くして、転写部へのゴミ類の付着も防止することができ
る。
【0032】なお、本発明の記録方法において、前記流
動によって前記記録材は比較的大きなミスト(大ミス
ト)として飛翔するが、これと同時に、気化物や小ミス
ト等も飛翔すると考えられており、本発明の記録方法に
おける「飛翔」とは、このような気化物や小ミスト等の
飛翔も含むものであってよい。
動によって前記記録材は比較的大きなミスト(大ミス
ト)として飛翔するが、これと同時に、気化物や小ミス
ト等も飛翔すると考えられており、本発明の記録方法に
おける「飛翔」とは、このような気化物や小ミスト等の
飛翔も含むものであってよい。
【0033】また、本発明は、本発明の記録方法を再現
性良く実施できる記録装置として、被転写体に対向配置
する転写部と、この転写部に保持された記録材を加熱に
よって飛翔させる加熱手段と、前記加熱によって前記記
録材に表面張力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜし
め、これに起因する記録材の流動を使用して、前記記録
材を飛翔させる記録材飛翔手段とを有する記録装置(以
下、本発明の記録装置と称する。)を提供するものであ
る。
性良く実施できる記録装置として、被転写体に対向配置
する転写部と、この転写部に保持された記録材を加熱に
よって飛翔させる加熱手段と、前記加熱によって前記記
録材に表面張力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜし
め、これに起因する記録材の流動を使用して、前記記録
材を飛翔させる記録材飛翔手段とを有する記録装置(以
下、本発明の記録装置と称する。)を提供するものであ
る。
【0034】但し、本発明の記録装置(特にプリンタヘ
ッド)において前記「記録材飛翔手段」とは、例えば、
前記加熱手段に印加する信号やこの信号の印加手段、ま
た、前記記録材を保持する記録材保持構造体などを含む
ものである。
ッド)において前記「記録材飛翔手段」とは、例えば、
前記加熱手段に印加する信号やこの信号の印加手段、ま
た、前記記録材を保持する記録材保持構造体などを含む
ものである。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の記録方法及び本発明の記
録装置(以下、単に「本発明」と称することがある。)
においては、対向して配された被転写体にインクを転写
するための転写部と、この転写部にインクを供給するた
めのインク供給路と、転写部に配されたインクを加熱す
るための加熱手段と、この転写部にインクを一定の厚さ
で保持するためのインク保持手段とを有する記録装置
(プリンタヘッド)において、前記加熱手段の加熱によ
る加熱領域(加熱手段の近傍領域:以下、同様)の温度
勾配に応じたインク表面の表面張力勾配に起因する加熱
領域からその周囲領域に向かうインクの流れ(流動:以
下、同様)、いわゆるマランゴニ流を駆動力としてイン
クミスト(これは前記の大ミスト、小ミスト及び気化物
を含むものである。:以下、同様)を飛翔させ、対向し
て配置された被転写体に付着、定着せしめることができ
る。
録装置(以下、単に「本発明」と称することがある。)
においては、対向して配された被転写体にインクを転写
するための転写部と、この転写部にインクを供給するた
めのインク供給路と、転写部に配されたインクを加熱す
るための加熱手段と、この転写部にインクを一定の厚さ
で保持するためのインク保持手段とを有する記録装置
(プリンタヘッド)において、前記加熱手段の加熱によ
る加熱領域(加熱手段の近傍領域:以下、同様)の温度
勾配に応じたインク表面の表面張力勾配に起因する加熱
領域からその周囲領域に向かうインクの流れ(流動:以
下、同様)、いわゆるマランゴニ流を駆動力としてイン
クミスト(これは前記の大ミスト、小ミスト及び気化物
を含むものである。:以下、同様)を飛翔させ、対向し
て配置された被転写体に付着、定着せしめることができ
る。
【0036】また、対向して配された被転写体にインク
を転写するための転写部と、この転写部にインクを供給
するためのインク供給路と、転写部に配されたインクを
加熱するための加熱手段と、この転写部にインクを一定
の厚さで保持するためのインク保持手段とを有する記録
装置において、前記加熱手段の周期的な加熱時の加熱領
域の温度勾配に応じたインク表面の表面張力勾配に起因
する加熱領域からその周囲領域へ向かうインクの流れ、
いわゆるマランゴニ流と、冷却時のインク表面のメニス
カス回復力及び/又はインクと転写部との毛管力に起因
する前記周囲領域から前記加熱領域へ向かうインクの流
れとによって生じるインクの周期的流動を駆動力として
インクミストを飛翔させ、対向して配置された被転写体
に付着、定着せしめることができる。
を転写するための転写部と、この転写部にインクを供給
するためのインク供給路と、転写部に配されたインクを
加熱するための加熱手段と、この転写部にインクを一定
の厚さで保持するためのインク保持手段とを有する記録
装置において、前記加熱手段の周期的な加熱時の加熱領
域の温度勾配に応じたインク表面の表面張力勾配に起因
する加熱領域からその周囲領域へ向かうインクの流れ、
いわゆるマランゴニ流と、冷却時のインク表面のメニス
カス回復力及び/又はインクと転写部との毛管力に起因
する前記周囲領域から前記加熱領域へ向かうインクの流
れとによって生じるインクの周期的流動を駆動力として
インクミストを飛翔させ、対向して配置された被転写体
に付着、定着せしめることができる。
【0037】また、前記の周期的流動の原理に基づいて
転写部上でインクが周期的に流動する場合、昇温時の加
熱領域からその周囲領域へ向かうインクの流れによっ
て、転写部底面の少なくとも一部分が露出し、かつ、冷
却時の前記周囲領域から前記加熱領域へ向かうインクの
流れにより露出した前記の一部転写部底面が完全にイン
クで覆われるように、加熱パワー、加熱周期、昇温時及
び冷却時のインクの表面張力、昇温時及び冷却時のイン
クと転写部底面との界面張力、加熱手段の大きさ、及
び、インク層の厚さのうち少なくとも1つを規定するこ
とによって、前記インク表面と前記転写部の露出面との
境界、即ち、気−固−液ラインの周期的な移動を駆動力
としてインクミストを飛翔させ、対向して配された被転
写体に付着、定着させることができる。
転写部上でインクが周期的に流動する場合、昇温時の加
熱領域からその周囲領域へ向かうインクの流れによっ
て、転写部底面の少なくとも一部分が露出し、かつ、冷
却時の前記周囲領域から前記加熱領域へ向かうインクの
流れにより露出した前記の一部転写部底面が完全にイン
クで覆われるように、加熱パワー、加熱周期、昇温時及
び冷却時のインクの表面張力、昇温時及び冷却時のイン
クと転写部底面との界面張力、加熱手段の大きさ、及
び、インク層の厚さのうち少なくとも1つを規定するこ
とによって、前記インク表面と前記転写部の露出面との
境界、即ち、気−固−液ラインの周期的な移動を駆動力
としてインクミストを飛翔させ、対向して配された被転
写体に付着、定着させることができる。
【0038】また、空隙を介して対向配置された被転写
体にインクを転写する転写部と、この転写部にインクを
供給するためのインク供給路と、転写部に配されたイン
クを周期的に加熱するための加熱手段と、この転写部部
に拝されるインクを一定の厚さに保持するためのインク
保持手段と、転写部の加熱手段の中心位置(重心)から
20μm以内の距離に、周期的に若しくは非周期的に、
高さ1μm以上、50μm以下、代表寸法幅(幅)1μ
m以上、10μm以下の柱状構造、錐状構造、或いは類
似の凹凸構造体を、それぞれの中心間距離が2μm以
上、40μm以下の範囲で4つ以上有するプリンタヘッ
ドにおいて、前記加熱手段の周期的な加熱によって、昇
温時の加熱領域の温度勾配に応じたインク表面の表面張
力勾配に起因する加熱領域からその周囲領域へ向かうイ
ンクの流れ、いわゆるマランゴニ流と、冷却時のインク
表面のメニスカス回復力及び/又はインクと転写部と前
記凹凸構造体との毛管力に起因する前記周囲領域から前
記加熱領域へ向かうインクの流れとによって生じるイン
クの周期的流動と、前記凹凸構造体と前記の流動波(進
行波)との衝突とを含む相互作用を駆動力としてインク
ミストを飛翔させ、対向して配された被転写体に付着、
定着せしめることができる。
体にインクを転写する転写部と、この転写部にインクを
供給するためのインク供給路と、転写部に配されたイン
クを周期的に加熱するための加熱手段と、この転写部部
に拝されるインクを一定の厚さに保持するためのインク
保持手段と、転写部の加熱手段の中心位置(重心)から
20μm以内の距離に、周期的に若しくは非周期的に、
高さ1μm以上、50μm以下、代表寸法幅(幅)1μ
m以上、10μm以下の柱状構造、錐状構造、或いは類
似の凹凸構造体を、それぞれの中心間距離が2μm以
上、40μm以下の範囲で4つ以上有するプリンタヘッ
ドにおいて、前記加熱手段の周期的な加熱によって、昇
温時の加熱領域の温度勾配に応じたインク表面の表面張
力勾配に起因する加熱領域からその周囲領域へ向かうイ
ンクの流れ、いわゆるマランゴニ流と、冷却時のインク
表面のメニスカス回復力及び/又はインクと転写部と前
記凹凸構造体との毛管力に起因する前記周囲領域から前
記加熱領域へ向かうインクの流れとによって生じるイン
クの周期的流動と、前記凹凸構造体と前記の流動波(進
行波)との衝突とを含む相互作用を駆動力としてインク
ミストを飛翔させ、対向して配された被転写体に付着、
定着せしめることができる。
【0039】また、前記の相互作用を生ぜしめる原理に
基づき、転写部上でインクが周期的に流動する場合、昇
温時の加熱領域からその周囲領域へ向かうインクの流れ
により前記凹凸構造体を除く転写部底面の少なくとも一
部が露出し、かつ、冷却時の前記周囲領域から前記加熱
領域へ向かうインクの流れにより露出した転写部表面が
完全に覆われないように、加熱パワー、加熱時間、冷却
時間、昇温時及び冷却時のインクの表面張力、昇温時及
び冷却時のインクと転写部との界面張力、加熱手段の大
きさ、インク層の厚さ、下地の熱伝導率、加熱手段と下
地との間の断熱層の厚さ、熱伝導率等、及び、凹凸構造
体のサイズ、個数(本数)、形状、間隔幅、配列を規定
することによって、インク表面と転写部との露出面の境
界、即ち、気−液−固ラインの周期的な移動と、この移
動を伴う進行波と前記凹凸構造体との衝突と、を含む相
互作用を駆動力としてインクミストを飛翔させ、対向し
て配された被転写体に付着、定着せしめることができ
る。
基づき、転写部上でインクが周期的に流動する場合、昇
温時の加熱領域からその周囲領域へ向かうインクの流れ
により前記凹凸構造体を除く転写部底面の少なくとも一
部が露出し、かつ、冷却時の前記周囲領域から前記加熱
領域へ向かうインクの流れにより露出した転写部表面が
完全に覆われないように、加熱パワー、加熱時間、冷却
時間、昇温時及び冷却時のインクの表面張力、昇温時及
び冷却時のインクと転写部との界面張力、加熱手段の大
きさ、インク層の厚さ、下地の熱伝導率、加熱手段と下
地との間の断熱層の厚さ、熱伝導率等、及び、凹凸構造
体のサイズ、個数(本数)、形状、間隔幅、配列を規定
することによって、インク表面と転写部との露出面の境
界、即ち、気−液−固ラインの周期的な移動と、この移
動を伴う進行波と前記凹凸構造体との衝突と、を含む相
互作用を駆動力としてインクミストを飛翔させ、対向し
て配された被転写体に付着、定着せしめることができ
る。
【0040】さらに、前記の相互作用を生ぜしめる原理
に基づき、転写部上でインクが周期的に流動する場合、
昇温時の加熱領域からその周囲領域へ向かうインクの流
れにより前記凹凸構造体を除く転写部底面の少なくとも
一部が露出し、かつ、冷却時の前記周囲領域から前記加
熱領域へ向かうインクの流れにより露出した転写部表面
が完全には覆われないように、加熱パワー、加熱時間、
冷却時間、昇温時及び冷却時のインクの表面張力、昇温
時及び冷却時のインクと転写部との界面張力、加熱手段
の大きさ、インク層の厚さ、下地の熱伝導率、加熱手段
と下地との間の断熱層の厚さ、熱伝導率等、及び、凹凸
構造体のサイズ、個数(本数)、形状、間隔幅、配列を
規定することによって、インク表面と転写部との露出面
の境界、即ち、気−液−固ラインの周期的な移動と、こ
の進行波と前記凹凸構造体との衝突と、を含む相互作用
を駆動力としてインクミストを飛翔させ、対向して配さ
れた被転写体に付着、定着せしめることができる。
に基づき、転写部上でインクが周期的に流動する場合、
昇温時の加熱領域からその周囲領域へ向かうインクの流
れにより前記凹凸構造体を除く転写部底面の少なくとも
一部が露出し、かつ、冷却時の前記周囲領域から前記加
熱領域へ向かうインクの流れにより露出した転写部表面
が完全には覆われないように、加熱パワー、加熱時間、
冷却時間、昇温時及び冷却時のインクの表面張力、昇温
時及び冷却時のインクと転写部との界面張力、加熱手段
の大きさ、インク層の厚さ、下地の熱伝導率、加熱手段
と下地との間の断熱層の厚さ、熱伝導率等、及び、凹凸
構造体のサイズ、個数(本数)、形状、間隔幅、配列を
規定することによって、インク表面と転写部との露出面
の境界、即ち、気−液−固ラインの周期的な移動と、こ
の進行波と前記凹凸構造体との衝突と、を含む相互作用
を駆動力としてインクミストを飛翔させ、対向して配さ
れた被転写体に付着、定着せしめることができる。
【0041】本発明の記録方法においては、前記加熱手
段による加熱によって前記記録材に温度勾配を付与し、
この温度勾配に応じて少なくとも前記表面張力勾配を
(望ましくは前記界面張力勾配も)生ぜしめ、これによ
る前記記録材の流動を駆動力として、ミスト状に前記記
録材を飛翔させることができる。但し、上述したよう
に、前記のミスト状とは、前記大ミスト、前記小ミスト
及び前記気化物のうち少なくとも前記大ミストを含むも
のである。
段による加熱によって前記記録材に温度勾配を付与し、
この温度勾配に応じて少なくとも前記表面張力勾配を
(望ましくは前記界面張力勾配も)生ぜしめ、これによ
る前記記録材の流動を駆動力として、ミスト状に前記記
録材を飛翔させることができる。但し、上述したよう
に、前記のミスト状とは、前記大ミスト、前記小ミスト
及び前記気化物のうち少なくとも前記大ミストを含むも
のである。
【0042】また、詳しくは後述するが、前記記録材の
流動(特に初期段階での流動)は、前記加熱手段による
加熱領域からその周囲領域(図1及び図2参照)、又
は、この逆方向(即ち、前記周囲領域から前記加熱領
域:図3参照)であってよい。
流動(特に初期段階での流動)は、前記加熱手段による
加熱領域からその周囲領域(図1及び図2参照)、又
は、この逆方向(即ち、前記周囲領域から前記加熱領
域:図3参照)であってよい。
【0043】このような前記記録材の流動は、加熱時の
前記加熱領域から前記周囲領域への前記記録材の流動
と、冷却時の記録材表面のメニスカス回復力、及び/又
は、前記転写部の毛管力に起因する前記周囲領域から前
記加熱領域への前記記録材の流動とのうち少なくとも一
方を生じさせればよい。
前記加熱領域から前記周囲領域への前記記録材の流動
と、冷却時の記録材表面のメニスカス回復力、及び/又
は、前記転写部の毛管力に起因する前記周囲領域から前
記加熱領域への前記記録材の流動とのうち少なくとも一
方を生じさせればよい。
【0044】また、本発明においては、前記加熱領域か
ら前記周囲領域へ流動する前記記録材の進行波と、前記
転写部に前記記録材を保持する記録材保持手段との衝突
と、前記周囲領域から前記加熱領域へ流動する前記記録
材の進行波と、前記記録材保持手段との衝突と、前記加
熱領域から前記周囲領域へ流動する前記記録材の進行波
と、前記周囲領域から前記加熱領域へ流動する前記記録
材の進行波との衝突と、前記記録材の定在波と、前記加
熱領域から前記周囲領域へ流動する前記記録材の進行
波、及び/又は、前記周囲領域から前記加熱領域へ流動
する前記記録材の進行波との共鳴とのうち少なくとも1
つによって前記記録材を飛翔させることができる。
ら前記周囲領域へ流動する前記記録材の進行波と、前記
転写部に前記記録材を保持する記録材保持手段との衝突
と、前記周囲領域から前記加熱領域へ流動する前記記録
材の進行波と、前記記録材保持手段との衝突と、前記加
熱領域から前記周囲領域へ流動する前記記録材の進行波
と、前記周囲領域から前記加熱領域へ流動する前記記録
材の進行波との衝突と、前記記録材の定在波と、前記加
熱領域から前記周囲領域へ流動する前記記録材の進行
波、及び/又は、前記周囲領域から前記加熱領域へ流動
する前記記録材の進行波との共鳴とのうち少なくとも1
つによって前記記録材を飛翔させることができる。
【0045】本発明の記録方法によれば、上述の如き飛
翔原理に基づいて前記記録材が飛翔するが、ここに記載
した飛翔原理以外であっても、あらゆるマランゴニ流を
利用した飛翔原理が本発明に適用できる。例えば、2つ
以上の複数の加熱手段を1つの転写部に設け、これらの
加熱手段を同時又は所定周期毎に加熱することによっ
て、2つ以上の複数の前記進行波同士の衝突を生ぜしめ
ることもできる。また、これらの飛翔原理は2つ以上同
時に利用されるものであってもよい。
翔原理に基づいて前記記録材が飛翔するが、ここに記載
した飛翔原理以外であっても、あらゆるマランゴニ流を
利用した飛翔原理が本発明に適用できる。例えば、2つ
以上の複数の加熱手段を1つの転写部に設け、これらの
加熱手段を同時又は所定周期毎に加熱することによっ
て、2つ以上の複数の前記進行波同士の衝突を生ぜしめ
ることもできる。また、これらの飛翔原理は2つ以上同
時に利用されるものであってもよい。
【0046】また、前記記録材の流動は、(1)前記温
度勾配による前記記録材の前記表面張力勾配に起因する
マランゴニ流、(2)前記温度勾配による前記記録材と
前記転写部底面との界面張力勾配に起因するマランゴニ
流、(3)前記記録材を構成する物質の濃度分布による
マランゴニ流、(4)前記記録材に含まれる界面活性剤
の選択的気化によるマランゴニ流、のうち、少なくとも
前記表面張力勾配に起因するマランゴニ流によるもので
あってよい。
度勾配による前記記録材の前記表面張力勾配に起因する
マランゴニ流、(2)前記温度勾配による前記記録材と
前記転写部底面との界面張力勾配に起因するマランゴニ
流、(3)前記記録材を構成する物質の濃度分布による
マランゴニ流、(4)前記記録材に含まれる界面活性剤
の選択的気化によるマランゴニ流、のうち、少なくとも
前記表面張力勾配に起因するマランゴニ流によるもので
あってよい。
【0047】本発明の転写原理であるマランゴニ流を発
生する表面張力勾配等の発生原理は上記の(1)〜
(4)に示した如き原理であるが、ここに記載した原理
以外であっても、あらゆる表面張力勾配(及び/又は界
面張力勾配)が本発明の記録方法に適用可能であって、
また、これらの表面張力勾配が2つ以上同時に発生して
いてもよい。
生する表面張力勾配等の発生原理は上記の(1)〜
(4)に示した如き原理であるが、ここに記載した原理
以外であっても、あらゆる表面張力勾配(及び/又は界
面張力勾配)が本発明の記録方法に適用可能であって、
また、これらの表面張力勾配が2つ以上同時に発生して
いてもよい。
【0048】本発明においては、前記加熱手段による加
熱を周期的に行って、前記記録材を周期的に流動させる
ことが望ましい。
熱を周期的に行って、前記記録材を周期的に流動させる
ことが望ましい。
【0049】また、前記転写部の底面の少なくとも一部
が露出するように、前記記録材を流動させることができ
る。
が露出するように、前記記録材を流動させることができ
る。
【0050】この場合、例えば、前記記録材の流動によ
る前記転写部の底面の露出と、この底面の被覆とを周期
的に行うようにしてもよいし、前記転写部底面の露出部
が周期的に移動するようにしてもよい。さらに、前記転
写部底面の露出部が完全には被覆されずに周期的に移動
するようにしてもよい。
る前記転写部の底面の露出と、この底面の被覆とを周期
的に行うようにしてもよいし、前記転写部底面の露出部
が周期的に移動するようにしてもよい。さらに、前記転
写部底面の露出部が完全には被覆されずに周期的に移動
するようにしてもよい。
【0051】また、本発明においては、前記転写部に、
毛管現象によって前記記録材を保持する記録材保持構造
体(インク保持構造体又は柱状体)を配することが望ま
しい。
毛管現象によって前記記録材を保持する記録材保持構造
体(インク保持構造体又は柱状体)を配することが望ま
しい。
【0052】この記録材保持構造体は微小な凹凸構造体
(又は柱状体)であってよく、これを前記記録材保持手
段の一部として構成することができる。
(又は柱状体)であってよく、これを前記記録材保持手
段の一部として構成することができる。
【0053】そして、前記凹凸構造体は、前記加熱領域
の中心から20μm以内の範囲で、高さ1μm以上、5
0μm以下、幅1μm以上、10μm以下、中心間距離
2μm以上、40μm以下の少なくとも4本の柱状又は
錐状等の凸部によって形成されてよく、また、これは周
期的又は非周期的に設けることができる。この微小な凹
凸構造体は、凹部が染料(インク)収容部となり、凸部
がインク保持手段となる。
の中心から20μm以内の範囲で、高さ1μm以上、5
0μm以下、幅1μm以上、10μm以下、中心間距離
2μm以上、40μm以下の少なくとも4本の柱状又は
錐状等の凸部によって形成されてよく、また、これは周
期的又は非周期的に設けることができる。この微小な凹
凸構造体は、凹部が染料(インク)収容部となり、凸部
がインク保持手段となる。
【0054】また、本発明において、前記加熱手段の近
傍に保持されている前記記録材は、気液界面以外からは
気化しない、即ち、沸騰しないことが望ましい。
傍に保持されている前記記録材は、気液界面以外からは
気化しない、即ち、沸騰しないことが望ましい。
【0055】また、本発明において、前記流動によって
飛翔する前記記録材(インクミスト)の量は、1ピコリ
ットル以内とすることが十分に可能である。従って、単
位画素内での例えば64階調以上のきめ細かな濃度階調
が実現できる。
飛翔する前記記録材(インクミスト)の量は、1ピコリ
ットル以内とすることが十分に可能である。従って、単
位画素内での例えば64階調以上のきめ細かな濃度階調
が実現できる。
【0056】本発明において、前記記録材保持手段とし
て、前記加熱領域の中心部から50μm以内にあって、
高さ1μm以上、50μm以下の壁を、前記加熱領域か
ら少なくとも1方向に設けることができる。即ち、転写
部にインクを一定の厚さで保持させる記録材保持手段と
して、前記壁を形成することが望ましい。この壁は、イ
ンク保持のための隔壁であってもよいし、インクのメニ
スカスを調整するための補助壁であってもよい。
て、前記加熱領域の中心部から50μm以内にあって、
高さ1μm以上、50μm以下の壁を、前記加熱領域か
ら少なくとも1方向に設けることができる。即ち、転写
部にインクを一定の厚さで保持させる記録材保持手段と
して、前記壁を形成することが望ましい。この壁は、イ
ンク保持のための隔壁であってもよいし、インクのメニ
スカスを調整するための補助壁であってもよい。
【0057】また、前記記録材保持手段として、前記加
熱領域の上部に開口部を有する部材を設け、かつ、その
部材の開口部面積が1000μm2 以上、50000μ
m2以下、この部材で規定される前記記録材の厚さが1
μm以上、50μm以下であって、さらに、前記転写部
から飛翔する記録材ミストの真球に換算した場合の最大
断面積が前記開口部面積の1/10以下であることが望
ましい。
熱領域の上部に開口部を有する部材を設け、かつ、その
部材の開口部面積が1000μm2 以上、50000μ
m2以下、この部材で規定される前記記録材の厚さが1
μm以上、50μm以下であって、さらに、前記転写部
から飛翔する記録材ミストの真球に換算した場合の最大
断面積が前記開口部面積の1/10以下であることが望
ましい。
【0058】この開口部を有する部材は、例えば、金
属、高分子、セラミック等の板状部材又はフィルム状部
材であってよい。
属、高分子、セラミック等の板状部材又はフィルム状部
材であってよい。
【0059】また、前記記録材保持手段として、前記加
熱領域の上部にスリットを有する部材を設け、かつ、こ
のスリットの平均幅が30μm以上、500μm以下、
この部材で規定される前記記録材の厚さが1μm以上、
50μm以下であって、さらに、前記転写部から飛翔す
る記録材ミストの真球に換算した場合の直径が前記スリ
ットの平均幅の1/3以下であることが望ましい。
熱領域の上部にスリットを有する部材を設け、かつ、こ
のスリットの平均幅が30μm以上、500μm以下、
この部材で規定される前記記録材の厚さが1μm以上、
50μm以下であって、さらに、前記転写部から飛翔す
る記録材ミストの真球に換算した場合の直径が前記スリ
ットの平均幅の1/3以下であることが望ましい。
【0060】このスリットを有する部材についても、例
えば、金属、高分子、セラミック等の板状部材又はフィ
ルム状部材であってよい。
えば、金属、高分子、セラミック等の板状部材又はフィ
ルム状部材であってよい。
【0061】また、本発明において、前記記録材は、前
記記録材保持手段のみによって、前記転写部に保持さ
れ、その厚みが規定されていてよい。
記記録材保持手段のみによって、前記転写部に保持さ
れ、その厚みが規定されていてよい。
【0062】なお、前記転写部にインクを一定の厚さで
保持するための手段は、前述したように、高さが1μm
以上、50μm以下の柱状構造、錐状(円錐、三角錐
等)、或いは類似の凹凸構造体だけであってもよい。従
って、このような記録材保持手段によって保持されるイ
ンクの厚みは1μm以上、50μm以下とすることがで
きる。
保持するための手段は、前述したように、高さが1μm
以上、50μm以下の柱状構造、錐状(円錐、三角錐
等)、或いは類似の凹凸構造体だけであってもよい。従
って、このような記録材保持手段によって保持されるイ
ンクの厚みは1μm以上、50μm以下とすることがで
きる。
【0063】また、前記転写部に配されるインク層の厚
みは、壁、溝に類する構造、開口部を有する部材(蓋部
材)、或いは、前記の凹凸構造だけで規定することがで
き、ノズルやオリフィスといった吐出口を有していなく
てもよい。
みは、壁、溝に類する構造、開口部を有する部材(蓋部
材)、或いは、前記の凹凸構造だけで規定することがで
き、ノズルやオリフィスといった吐出口を有していなく
てもよい。
【0064】本発明において、前記転写部の底面、前記
記録材保持手段の側面又は裏面における前記記録材の接
触角θ1 は、温度0度以上、200℃以下で、θ1 =6
0°以下となるように構成することが望ましい。即ち、
壁の側面、溝に類する構造体の側面、前記の凹凸構造体
の側面、開口部を有する部材の底面、或いは、前記転写
部の底面と、前記インクとの接触角θ1 が、前記温度範
囲において、60°以下とすることが望ましく、これに
よって良好な濡れ性が実現される。
記録材保持手段の側面又は裏面における前記記録材の接
触角θ1 は、温度0度以上、200℃以下で、θ1 =6
0°以下となるように構成することが望ましい。即ち、
壁の側面、溝に類する構造体の側面、前記の凹凸構造体
の側面、開口部を有する部材の底面、或いは、前記転写
部の底面と、前記インクとの接触角θ1 が、前記温度範
囲において、60°以下とすることが望ましく、これに
よって良好な濡れ性が実現される。
【0065】また、前記記録材保持手段の上面部、前記
加熱領域上に開口部を有しかつ前記記録材の厚みを規定
するための部材の前記開口部の側面における前記記録材
の接触角θ2 は75°以上であることが望ましい。即
ち、壁の上部、溝に類する構造の上部、前記の凹凸構造
体の頂上部、或いは、開口部(前記ミストが通過するた
めの開口部)を有する部材の側面と、前記インクとの接
触角θ2 が75°以上であることがその良好なメニスカ
ス形成の点から望ましい。
加熱領域上に開口部を有しかつ前記記録材の厚みを規定
するための部材の前記開口部の側面における前記記録材
の接触角θ2 は75°以上であることが望ましい。即
ち、壁の上部、溝に類する構造の上部、前記の凹凸構造
体の頂上部、或いは、開口部(前記ミストが通過するた
めの開口部)を有する部材の側面と、前記インクとの接
触角θ2 が75°以上であることがその良好なメニスカ
ス形成の点から望ましい。
【0066】特に、前記記録材の接触角θ2 が75°以
上となるように、前記記録材保持手段及び/又は前記部
材を撥液性材料で構成するか、或いは、前記記録材保持
手段及び/又は前記部材に撥液処理(例えばフッ素コー
ティング)を施すことができる。さらにこの場合、前記
開口部を有する部材が前記記録材表面と所定の間隙をお
いて、前記被転写体が配される側に設けられていること
が望ましい。
上となるように、前記記録材保持手段及び/又は前記部
材を撥液性材料で構成するか、或いは、前記記録材保持
手段及び/又は前記部材に撥液処理(例えばフッ素コー
ティング)を施すことができる。さらにこの場合、前記
開口部を有する部材が前記記録材表面と所定の間隙をお
いて、前記被転写体が配される側に設けられていること
が望ましい。
【0067】本発明においては、温度0℃以上、200
℃以下での熱伝導率が1W/m・K以上である材料を9
0重量%以上含む材料によって前記転写部を形成するこ
とが望ましい。熱伝導率が高いとオン、オフの応答性が
良く、駆動周波数を大きくすることができる。
℃以下での熱伝導率が1W/m・K以上である材料を9
0重量%以上含む材料によって前記転写部を形成するこ
とが望ましい。熱伝導率が高いとオン、オフの応答性が
良く、駆動周波数を大きくすることができる。
【0068】また、本発明においては、前記加熱手段と
して、前記転写部下部に設けられた最大寸法60μm以
下の抵抗加熱手段(以下、ヒータと称することがあ
る。)を使用することができる。このヒータの形状は特
に限定されるものではないが、例えば、正方形(又は長
方形)の場合は、一辺の長さを42μm以下とすること
が望ましく、円形(又は楕円形)の場合は直径(又は長
軸長)が60μm以下が望ましい。
して、前記転写部下部に設けられた最大寸法60μm以
下の抵抗加熱手段(以下、ヒータと称することがあ
る。)を使用することができる。このヒータの形状は特
に限定されるものではないが、例えば、正方形(又は長
方形)の場合は、一辺の長さを42μm以下とすること
が望ましく、円形(又は楕円形)の場合は直径(又は長
軸長)が60μm以下が望ましい。
【0069】また、本発明においては、前記記録材を構
成する材料の少なくとも一部に光熱変換材料を含有せし
め、前記加熱手段としてのレーザ光を前記光熱変換材料
に照射することによって前記記録材を飛翔させることが
できる。
成する材料の少なくとも一部に光熱変換材料を含有せし
め、前記加熱手段としてのレーザ光を前記光熱変換材料
に照射することによって前記記録材を飛翔させることが
できる。
【0070】或いは、前記転写部を構成する材料の少な
くとも一部に光熱変換材料を付与し、前記加熱手段とし
てのレーザ光を前記光熱変換材料に照射することによっ
て前記記録材を飛翔させることができる。
くとも一部に光熱変換材料を付与し、前記加熱手段とし
てのレーザ光を前記光熱変換材料に照射することによっ
て前記記録材を飛翔させることができる。
【0071】即ち、前記加熱手段として例えば半導体レ
ーザを用い、この半導体レーザから出射されるレーザ光
を光エネルギーを熱エネルギーに変換する光熱変換材料
に照射することによって、前記加熱のための熱エネルギ
ーを供給できる(特開平8−169171号公報、特開
平8−336992号公報参照)。
ーザを用い、この半導体レーザから出射されるレーザ光
を光エネルギーを熱エネルギーに変換する光熱変換材料
に照射することによって、前記加熱のための熱エネルギ
ーを供給できる(特開平8−169171号公報、特開
平8−336992号公報参照)。
【0072】また、本発明においては、前記記録材(イ
ンク)として、大気圧での沸点が250℃以上となる材
料を選択することが望ましい。このようなインク材料を
使用することによって、非動作時の蒸発、或いは、転写
動作中の沸騰を防止して、安定した吐出を行うことがで
きる。
ンク)として、大気圧での沸点が250℃以上となる材
料を選択することが望ましい。このようなインク材料を
使用することによって、非動作時の蒸発、或いは、転写
動作中の沸騰を防止して、安定した吐出を行うことがで
きる。
【0073】また、前記記録材(インク)として、空気
中、温度200℃で1時間加熱したときの熱分解物の割
合が100ppm以下である材料を選択することが望ま
しい。このようなインク材料を使用することによって、
転写駆動時のインクの熱分解を防止して安定した吐出を
行うことができる。
中、温度200℃で1時間加熱したときの熱分解物の割
合が100ppm以下である材料を選択することが望ま
しい。このようなインク材料を使用することによって、
転写駆動時のインクの熱分解を防止して安定した吐出を
行うことができる。
【0074】本発明においては、前記転写部に保持され
た記録材表面と前記被転写体との距離を50μm以上、
2000μm以下とすることが望ましい。
た記録材表面と前記被転写体との距離を50μm以上、
2000μm以下とすることが望ましい。
【0075】本発明においては、前記の周期的加熱を行
うに際し、デューティが20%以上の矩形波信号を前記
加熱手段(特に前記抵抗加熱手段)に印加することが望
ましく、本発明の記録装置は、この矩形波信号を印加す
るための信号印加手段を有していてよい。また、上述し
たレーザ光を前記加熱手段として使用する場合も、この
ような駆動波形の信号を印加することができる(以下、
同様)。
うに際し、デューティが20%以上の矩形波信号を前記
加熱手段(特に前記抵抗加熱手段)に印加することが望
ましく、本発明の記録装置は、この矩形波信号を印加す
るための信号印加手段を有していてよい。また、上述し
たレーザ光を前記加熱手段として使用する場合も、この
ような駆動波形の信号を印加することができる(以下、
同様)。
【0076】または、前記の周期的加熱を行うに際し、
デューティが20%以上である三角形状の信号、或い
は、ノコギリ形状の信号を前記加熱手段(特に前記抵抗
加熱手段)に印加することが望ましく、本発明の記録装
置は、この三角形状の信号或いはノコギリ形状の信号を
印加するための信号印加手段を有していてよい。
デューティが20%以上である三角形状の信号、或い
は、ノコギリ形状の信号を前記加熱手段(特に前記抵抗
加熱手段)に印加することが望ましく、本発明の記録装
置は、この三角形状の信号或いはノコギリ形状の信号を
印加するための信号印加手段を有していてよい。
【0077】特に、本発明においては、前記の周期的な
加熱を行うに際し、デューティが40%以上、80%以
下であって、パワーが130mW以上、210mW以下
(特に160mW〜170mW)のパルス信号を前記加
熱手段(特に前記抵抗加熱手段)に印加することが望ま
しく、本発明の記録装置は、このようなパルス信号を印
加するための信号印加手段を有していてよい。但し、デ
ューティやパワーは、記録材の種類や凹凸構造体の形
状、間隔、加熱手段の大きさ、下地や断熱層の熱伝導
率、断熱層の厚さ、インク層の厚み等に大きく依存する
ものであり、種々の条件によって適宜変動させることが
できる。なお、前記のパワー範囲やデューティ範囲は、
断熱層の厚さ(SiO2 層)が2μm程度、かつ、ヒー
タサイズが20μm角程度のときに適用することが特に
望ましい。
加熱を行うに際し、デューティが40%以上、80%以
下であって、パワーが130mW以上、210mW以下
(特に160mW〜170mW)のパルス信号を前記加
熱手段(特に前記抵抗加熱手段)に印加することが望ま
しく、本発明の記録装置は、このようなパルス信号を印
加するための信号印加手段を有していてよい。但し、デ
ューティやパワーは、記録材の種類や凹凸構造体の形
状、間隔、加熱手段の大きさ、下地や断熱層の熱伝導
率、断熱層の厚さ、インク層の厚み等に大きく依存する
ものであり、種々の条件によって適宜変動させることが
できる。なお、前記のパワー範囲やデューティ範囲は、
断熱層の厚さ(SiO2 層)が2μm程度、かつ、ヒー
タサイズが20μm角程度のときに適用することが特に
望ましい。
【0078】また、1画素を形成する時間内で、前記パ
ルス信号とインターバル(休み時間:以下、同様)とを
印加することが望ましい。このインターバルによって、
冷却時のインク表面のメニスカス回復力やインクと転写
部との毛管力に起因する前記周囲領域から前記加熱領域
へ向かうインクの流れを生ぜしめ、転写部に所定量のイ
ンクを適宜供給することができる。
ルス信号とインターバル(休み時間:以下、同様)とを
印加することが望ましい。このインターバルによって、
冷却時のインク表面のメニスカス回復力やインクと転写
部との毛管力に起因する前記周囲領域から前記加熱領域
へ向かうインクの流れを生ぜしめ、転写部に所定量のイ
ンクを適宜供給することができる。
【0079】本発明において、前記被転写体(印画紙)
としては、平均孔寸法0.05μm以上、20μm以下
を有する多孔質の印画紙を使用することが望ましい。こ
のような平均孔寸法範囲を有する印画紙を使用すること
によって、再現性良く前記転写を行うことができる。
としては、平均孔寸法0.05μm以上、20μm以下
を有する多孔質の印画紙を使用することが望ましい。こ
のような平均孔寸法範囲を有する印画紙を使用すること
によって、再現性良く前記転写を行うことができる。
【0080】本発明においては、前記記録材の溶媒より
も常圧で20℃以上沸点が低い界面活性剤を前記記録材
に添加することができる。これによって、上述したよう
に、記録材に含まれる界面活性剤の選択的気化による前
記マランゴニ流を生ぜしめることができる。
も常圧で20℃以上沸点が低い界面活性剤を前記記録材
に添加することができる。これによって、上述したよう
に、記録材に含まれる界面活性剤の選択的気化による前
記マランゴニ流を生ぜしめることができる。
【0081】さらに、本発明においては、1つの前記転
写部に前記加熱手段としての複数の加熱手段、若しく
は、リング状の加熱手段を設けることが望ましい。即
ち、前記加熱手段は、1つの転写部において、2個、3
個、4個・・・の複数の分割した加熱手段(ヒータ、光
熱変換体など)を有していてもよいし、リング状等の如
き形状を有する加熱手段であってもよい。
写部に前記加熱手段としての複数の加熱手段、若しく
は、リング状の加熱手段を設けることが望ましい。即
ち、前記加熱手段は、1つの転写部において、2個、3
個、4個・・・の複数の分割した加熱手段(ヒータ、光
熱変換体など)を有していてもよいし、リング状等の如
き形状を有する加熱手段であってもよい。
【0082】次に、本発明の作用について説明する。
【0083】本発明者は、特に、前記転写部に配される
インク層の厚さを1μm〜5μmの範囲で安定化して、
転写部に設けた加熱手段(例えばヒータ)によりインク
を局所的に加熱し、この加熱手段に所定の信号を印加す
ると、加熱手段近傍のインク表面の温度が上昇して、負
の温度係数を持つインクの表面張力が低下し、その結
果、加熱領域(加熱手段近傍エリア)とその周囲領域
(加熱手段外周部エリア)との間でインクに表面張力勾
配が発生し、加熱領域のインクはその周囲領域へ向かう
流れが生じ、この局所的なインクの流れにより形成され
る剪断力で、1ピコリットル以下(更にはその直径が2
μm以上)のサイズを持つインクミストが発生すること
を見出した。
インク層の厚さを1μm〜5μmの範囲で安定化して、
転写部に設けた加熱手段(例えばヒータ)によりインク
を局所的に加熱し、この加熱手段に所定の信号を印加す
ると、加熱手段近傍のインク表面の温度が上昇して、負
の温度係数を持つインクの表面張力が低下し、その結
果、加熱領域(加熱手段近傍エリア)とその周囲領域
(加熱手段外周部エリア)との間でインクに表面張力勾
配が発生し、加熱領域のインクはその周囲領域へ向かう
流れが生じ、この局所的なインクの流れにより形成され
る剪断力で、1ピコリットル以下(更にはその直径が2
μm以上)のサイズを持つインクミストが発生すること
を見出した。
【0084】このような表面張力勾配に起因する対流は
マランゴニ流(又はマランゴニ対流、表面張力対流)と
呼ばれている(応用物理ハンドブック、p329、丸
善、熱処理33巻3号、p150〜153など、参
照)。
マランゴニ流(又はマランゴニ対流、表面張力対流)と
呼ばれている(応用物理ハンドブック、p329、丸
善、熱処理33巻3号、p150〜153など、参
照)。
【0085】マランゴニ流に基づくインクミストの噴出
を安定して連続的に発生させるためには、例えば、前記
インクの局所的な加熱を周期的に行えばよい。即ち、加
熱手段を加温する時は前記のマランゴニ流による流れが
生じ、加熱手段の加温を停止する時(即ち冷却時)は、
インク表面のメニスカス回復力、或いは、インク表面と
転写部表面との毛管力によりインク液面を初期の加温前
の状態に回復する方向の流れ、即ち、前記周囲領域から
前記加熱領域へ向かうインクの流れが生じる。これらの
流れにより、転写部の加熱手段近傍から連続的に微小イ
ンクミスト(特に前記大ミスト)が噴出する。
を安定して連続的に発生させるためには、例えば、前記
インクの局所的な加熱を周期的に行えばよい。即ち、加
熱手段を加温する時は前記のマランゴニ流による流れが
生じ、加熱手段の加温を停止する時(即ち冷却時)は、
インク表面のメニスカス回復力、或いは、インク表面と
転写部表面との毛管力によりインク液面を初期の加温前
の状態に回復する方向の流れ、即ち、前記周囲領域から
前記加熱領域へ向かうインクの流れが生じる。これらの
流れにより、転写部の加熱手段近傍から連続的に微小イ
ンクミスト(特に前記大ミスト)が噴出する。
【0086】図1は、マランゴニ流に起因する本発明の
記録方法に基づく転写原理の一例を模式的に説明した図
である。
記録方法に基づく転写原理の一例を模式的に説明した図
である。
【0087】図1(A)に示すように、例えば、インク
保持手段(壁や凹凸構造体等に相当)2により厚さが規
定されているインク5が配されている転写部1aにおい
て、転写部1aの下部に設けられているヒータ4を加温
すると、ヒータ4の熱がインク5の表面に伝導して、こ
の領域(即ち加熱領域)でのインク5の表面張力が低下
する。
保持手段(壁や凹凸構造体等に相当)2により厚さが規
定されているインク5が配されている転写部1aにおい
て、転写部1aの下部に設けられているヒータ4を加温
すると、ヒータ4の熱がインク5の表面に伝導して、こ
の領域(即ち加熱領域)でのインク5の表面張力が低下
する。
【0088】するとヒータ4の直上のインクはヒータ外
周部(周囲領域)の相対的に表面張力の高いインクに引
かれて、図1(B)に示すように液面が変化して、外向
き(図中矢印方向)のインク進行波が発生する。
周部(周囲領域)の相対的に表面張力の高いインクに引
かれて、図1(B)に示すように液面が変化して、外向
き(図中矢印方向)のインク進行波が発生する。
【0089】次いで、図1(C)に示すように、外向き
のインク進行波とインク保持手段2とが衝突すると、イ
ンク5の速度成分が上向きに転じて、インク保持手段2
に沿ってインク液面が上方に盛り上がり、次いで、図1
(D)のようにインクの一部がミスト6として上向き方
向に噴出する。
のインク進行波とインク保持手段2とが衝突すると、イ
ンク5の速度成分が上向きに転じて、インク保持手段2
に沿ってインク液面が上方に盛り上がり、次いで、図1
(D)のようにインクの一部がミスト6として上向き方
向に噴出する。
【0090】次いで、ヒータ4の加温を停止してインク
表面が冷却され、ヒータ近傍(加熱領域)とヒータ外部
(周囲領域)の表面張力の差が小さくなると、メニスカ
スの回復力或いは露出した転写部表面の毛管力によっ
て、図1(E)に示すように、図中内向き方向にインク
進行波が発生する。この内向きのインク進行波同士が例
えばヒータ中心部で、図1(F)に示すように衝突する
ことで、図1(G)のようにインクの一部がミスト6と
して上向きに噴出する。この動作を周期的に繰り返すこ
とで、絶え間なくインクミストが噴出する。なお、この
場合、転写部1aの底面3は露出していない。
表面が冷却され、ヒータ近傍(加熱領域)とヒータ外部
(周囲領域)の表面張力の差が小さくなると、メニスカ
スの回復力或いは露出した転写部表面の毛管力によっ
て、図1(E)に示すように、図中内向き方向にインク
進行波が発生する。この内向きのインク進行波同士が例
えばヒータ中心部で、図1(F)に示すように衝突する
ことで、図1(G)のようにインクの一部がミスト6と
して上向きに噴出する。この動作を周期的に繰り返すこ
とで、絶え間なくインクミストが噴出する。なお、この
場合、転写部1aの底面3は露出していない。
【0091】本発明の記録方法の転写原理は、図1に示
した如き転写原理を利用した機構も含め、以下の4種類
に大きく分けられる。 (1)外向きのインク進行波とインク保持手段との衝
突:加温時のマランゴニ流に伴い発生した外向きに進行
するインクの波(即ち、前記加熱領域から前記周囲領域
へのインクの進行波)が、インク保持手段、即ち壁、溝
に類する構造、或いは開口部を持つ蓋の開口部、柱状構
造、円錐状構造、或いは類似の凹凸構造群と衝突して、
進行波の持つ横向きの速度成分が被転写体への方向に変
換されて、インクが主に1ピコリットル以下の飛沫(ミ
スト)として被転写体の方向に噴出する。 (2)内向きのインク進行波とインク保持手段との衝
突:冷却時のマランゴニ流の解消に伴い発生した内向き
に進行するインクの波(即ち、前記周囲領域から前記加
熱領域へのインクの進行波)が、インク保持手段すなわ
ち壁、溝に類する構造、あるいは開口部を持つ蓋の開口
部、あるいは柱状構造、円錐状構造、あるいは類似の凹
凸構造群と衝突して、進行波の持つ横向きの速度成分が
被転写体への方向に変換されて、インクが主に1ピコリ
ットル以下のミストとして被転写体の方向に噴出する。 (3)進行波同士の衝突:加熱手段の加温および冷却を
周期的に行うことで、加温時のマランゴニ流に伴い発生
した外向きに進行するインクの波と、冷却時のマランゴ
ニ流の解消に伴い発生した内向きに進行するインクの波
が衝突して、進行波の持つ横向きの速度成分が被転写体
への方向に変換されて、インクが主に1ピコリットル以
下のミストとして被転写体の方向に噴出する。なお、進
行波同士の衝突は加熱中心部以外でも起こりうる。 (4)定在波との共鳴:主として転写部上のインク保持
手段、即ち壁、溝に類する構造、開口部を持つ蓋の開口
部、或いは柱状構造、円錐状構造、その類似の凹凸構造
群の空間的寸法と、インクの表面張力とで規定されるイ
ンクの定在波の固有振動数が、マランゴニ流に伴い発生
した外向きに進行するインクの波と、冷却時のマランゴ
ニ流の解消に伴い発生した内向きに進行するインクの波
で形成される周期的振動と共鳴して、定在波の振幅が大
きくなり、振幅がある範囲を越えて大きくなると最終的
には振動の腹の位置のインクが主に1ピコリットル以下
のミストとして被転写体の方向に噴出する。
した如き転写原理を利用した機構も含め、以下の4種類
に大きく分けられる。 (1)外向きのインク進行波とインク保持手段との衝
突:加温時のマランゴニ流に伴い発生した外向きに進行
するインクの波(即ち、前記加熱領域から前記周囲領域
へのインクの進行波)が、インク保持手段、即ち壁、溝
に類する構造、或いは開口部を持つ蓋の開口部、柱状構
造、円錐状構造、或いは類似の凹凸構造群と衝突して、
進行波の持つ横向きの速度成分が被転写体への方向に変
換されて、インクが主に1ピコリットル以下の飛沫(ミ
スト)として被転写体の方向に噴出する。 (2)内向きのインク進行波とインク保持手段との衝
突:冷却時のマランゴニ流の解消に伴い発生した内向き
に進行するインクの波(即ち、前記周囲領域から前記加
熱領域へのインクの進行波)が、インク保持手段すなわ
ち壁、溝に類する構造、あるいは開口部を持つ蓋の開口
部、あるいは柱状構造、円錐状構造、あるいは類似の凹
凸構造群と衝突して、進行波の持つ横向きの速度成分が
被転写体への方向に変換されて、インクが主に1ピコリ
ットル以下のミストとして被転写体の方向に噴出する。 (3)進行波同士の衝突:加熱手段の加温および冷却を
周期的に行うことで、加温時のマランゴニ流に伴い発生
した外向きに進行するインクの波と、冷却時のマランゴ
ニ流の解消に伴い発生した内向きに進行するインクの波
が衝突して、進行波の持つ横向きの速度成分が被転写体
への方向に変換されて、インクが主に1ピコリットル以
下のミストとして被転写体の方向に噴出する。なお、進
行波同士の衝突は加熱中心部以外でも起こりうる。 (4)定在波との共鳴:主として転写部上のインク保持
手段、即ち壁、溝に類する構造、開口部を持つ蓋の開口
部、或いは柱状構造、円錐状構造、その類似の凹凸構造
群の空間的寸法と、インクの表面張力とで規定されるイ
ンクの定在波の固有振動数が、マランゴニ流に伴い発生
した外向きに進行するインクの波と、冷却時のマランゴ
ニ流の解消に伴い発生した内向きに進行するインクの波
で形成される周期的振動と共鳴して、定在波の振幅が大
きくなり、振幅がある範囲を越えて大きくなると最終的
には振動の腹の位置のインクが主に1ピコリットル以下
のミストとして被転写体の方向に噴出する。
【0092】これらの転写原理で形成されるインクミス
トは、公知のサーマルインクジェット方式等で噴射され
るインク粒と比較して、そのサイズが大幅に小さくな
り、また、インクのメニスカスの回復が早いために駆動
周波数を高くすることが可能である。即ち、公知のサー
マルインクジェット方式と比較して短い時間で小さいサ
イズの液滴を形成できる。したがって単位画素内で、多
値濃度階調が可能になり、従来のオンデマンド型インク
ジェット画像形成方式では不可能である銀塩方式の画像
と同等若しくはそれ以上のきめ細やかな画質を持つ記録
(例えばフルカラー画像)をインクリボンを使用しない
で得ることができる。
トは、公知のサーマルインクジェット方式等で噴射され
るインク粒と比較して、そのサイズが大幅に小さくな
り、また、インクのメニスカスの回復が早いために駆動
周波数を高くすることが可能である。即ち、公知のサー
マルインクジェット方式と比較して短い時間で小さいサ
イズの液滴を形成できる。したがって単位画素内で、多
値濃度階調が可能になり、従来のオンデマンド型インク
ジェット画像形成方式では不可能である銀塩方式の画像
と同等若しくはそれ以上のきめ細やかな画質を持つ記録
(例えばフルカラー画像)をインクリボンを使用しない
で得ることができる。
【0093】また、本発明の記録方法は、インクを微小
ミスト(特に大ミストを含むインクミスト)として噴出
するために、従来の染料気化型熱転写方式のように、被
転写体の染料受容層を加熱する必要がなく、また、イン
クシートと被記録体とを高い圧力で押し付ける必要もな
く、この点でもプリンタの小型化、軽量化に有利であ
る。そして、気化部の染料層と被記録体とが接触しない
ために、それらの間で熱融着が起こり得ないだけでな
く、染料と受容層樹脂の相溶性が小さくても記録可能で
ある。従って、染料及び、受容層樹脂の設計、選択の幅
が著しく広がる。さらに、比較的サイズの大きな大ミス
トを含むために、転写感度が高く、また、転写速度も大
きく、紙質等によって再現性が異なることも殆どない。
また、比較的沸点の高い物質も大ミストの中に含まれて
飛翔するので、インク中に微量に含まれるシリカ粒や金
属粉などの高沸点不純物によるこげつきの発生を防止し
て、経時的な性能劣化が抑制される。さらに、大ミスト
の初速は5m/sec以上と大きく、空気分子による減
速効果も小さいので、プリンタヘッドと被転写体との間
のギャップを大きくとることができる。そのことによっ
て、例えば50μm以上の凹凸のある多孔質の印画紙で
も使用でき、紙粉やゴミ類の転写部への付着が防止で
き、さらに、プリンタヘッドの製作工程での精度が緩く
なるので、その製造コストが低減する。
ミスト(特に大ミストを含むインクミスト)として噴出
するために、従来の染料気化型熱転写方式のように、被
転写体の染料受容層を加熱する必要がなく、また、イン
クシートと被記録体とを高い圧力で押し付ける必要もな
く、この点でもプリンタの小型化、軽量化に有利であ
る。そして、気化部の染料層と被記録体とが接触しない
ために、それらの間で熱融着が起こり得ないだけでな
く、染料と受容層樹脂の相溶性が小さくても記録可能で
ある。従って、染料及び、受容層樹脂の設計、選択の幅
が著しく広がる。さらに、比較的サイズの大きな大ミス
トを含むために、転写感度が高く、また、転写速度も大
きく、紙質等によって再現性が異なることも殆どない。
また、比較的沸点の高い物質も大ミストの中に含まれて
飛翔するので、インク中に微量に含まれるシリカ粒や金
属粉などの高沸点不純物によるこげつきの発生を防止し
て、経時的な性能劣化が抑制される。さらに、大ミスト
の初速は5m/sec以上と大きく、空気分子による減
速効果も小さいので、プリンタヘッドと被転写体との間
のギャップを大きくとることができる。そのことによっ
て、例えば50μm以上の凹凸のある多孔質の印画紙で
も使用でき、紙粉やゴミ類の転写部への付着が防止で
き、さらに、プリンタヘッドの製作工程での精度が緩く
なるので、その製造コストが低減する。
【0094】本発明の記録方法の利点として、さらに、
低コスト化、印画時間の低減、印画の際、排出される廃
棄物の低減が挙げられる。即ち、この方式は原理的に高
コストのインクリボンを使用せず、かつ普通紙に対する
吸引性の高いインクの適用により低コストの普通紙印画
が可能である。インクリボンを使用しないので、当然昇
華型熱転写方式よりも圧倒的に廃棄物の量が低減する。
また、転写ヘッドの長尺化が容易に実現できるので、3
原色あるいは黒色インクを含めた4色のプリンタヘッド
を同時に駆動することで、昇華型熱転写方式あるいはオ
ンデマンド型インクジェット方式に比べると転写時間が
大幅に短くなる。
低コスト化、印画時間の低減、印画の際、排出される廃
棄物の低減が挙げられる。即ち、この方式は原理的に高
コストのインクリボンを使用せず、かつ普通紙に対する
吸引性の高いインクの適用により低コストの普通紙印画
が可能である。インクリボンを使用しないので、当然昇
華型熱転写方式よりも圧倒的に廃棄物の量が低減する。
また、転写ヘッドの長尺化が容易に実現できるので、3
原色あるいは黒色インクを含めた4色のプリンタヘッド
を同時に駆動することで、昇華型熱転写方式あるいはオ
ンデマンド型インクジェット方式に比べると転写時間が
大幅に短くなる。
【0095】本発明において、インクミストの噴出効率
を向上する手段は大きく分けて2つある。
を向上する手段は大きく分けて2つある。
【0096】第1の手段は、転写部上でインク表面が周
期的に振動する場合、加熱領域から周囲領域へ向かうイ
ンクの流れが生じたときに、転写部表面(転写部底面)
の少なくとも一部分が露出するように、加熱出力、加熱
周期、昇温時及び降温時(冷却時)のインクの表面張
力、昇温時及び降温時のインクとプリンタヘッドの転写
部の界面張力、加熱手段の大きさ、インク層の厚さ等を
規定することである。転写部表面が露出して形成される
インク表面と転写部の露出面の境界、即ち気−固−液ラ
インは進行する速度が大きく、かつ、冷却時は一度形成
した露出面をインクで覆う毛管力がインクの回復力に加
わるので、インクミストが噴出する効率が向上するだけ
ではなく、駆動周波数も向上できる。
期的に振動する場合、加熱領域から周囲領域へ向かうイ
ンクの流れが生じたときに、転写部表面(転写部底面)
の少なくとも一部分が露出するように、加熱出力、加熱
周期、昇温時及び降温時(冷却時)のインクの表面張
力、昇温時及び降温時のインクとプリンタヘッドの転写
部の界面張力、加熱手段の大きさ、インク層の厚さ等を
規定することである。転写部表面が露出して形成される
インク表面と転写部の露出面の境界、即ち気−固−液ラ
インは進行する速度が大きく、かつ、冷却時は一度形成
した露出面をインクで覆う毛管力がインクの回復力に加
わるので、インクミストが噴出する効率が向上するだけ
ではなく、駆動周波数も向上できる。
【0097】第2の手段は、転写部の加熱領域に微小の
凹凸構造体を形成することで、周期的なインク表面の流
動と凹凸構造体との相互作用が生じて、インクミストの
噴出効率が向上する。この凹凸構造体による毛管力で転
写部のインクの液面回復力が向上してミスト噴出の駆動
周波数が向上し、インクの液面が凹凸構造の先端に常に
一定に揃うことにより、転写の安定性が向上する効果も
持つ。
凹凸構造体を形成することで、周期的なインク表面の流
動と凹凸構造体との相互作用が生じて、インクミストの
噴出効率が向上する。この凹凸構造体による毛管力で転
写部のインクの液面回復力が向上してミスト噴出の駆動
周波数が向上し、インクの液面が凹凸構造の先端に常に
一定に揃うことにより、転写の安定性が向上する効果も
持つ。
【0098】これら、転写部の底面を露出させる手段
と、転写部の加熱領域近傍に微小の凹凸構造体を持つ手
段によって独立した効果が得られるが、両方の手段を同
時に適用しても、それぞれの効果が損なわれないばかり
か、気−固−液ラインと微小の凹凸構造体との衝突によ
る流れの発生によるミスト噴出効率の向上という相乗効
果もある。
と、転写部の加熱領域近傍に微小の凹凸構造体を持つ手
段によって独立した効果が得られるが、両方の手段を同
時に適用しても、それぞれの効果が損なわれないばかり
か、気−固−液ラインと微小の凹凸構造体との衝突によ
る流れの発生によるミスト噴出効率の向上という相乗効
果もある。
【0099】ここで、前記の気−固−液ラインを振動さ
せるモードは2種類ある。即ち、 (1)昇温時には転写部表面(底面)の少なくとも一部
分が露出し、冷却時には露出した転写部表面が完全にイ
ンクで覆われる振動 (2)昇温時には転写部表面(底面)の少なくとも一部
分が露出し、冷却時には露出した転写部表面が完全には
インクで覆われず転写部表面の少なくとも一部分が露出
している振動である。
せるモードは2種類ある。即ち、 (1)昇温時には転写部表面(底面)の少なくとも一部
分が露出し、冷却時には露出した転写部表面が完全にイ
ンクで覆われる振動 (2)昇温時には転写部表面(底面)の少なくとも一部
分が露出し、冷却時には露出した転写部表面が完全には
インクで覆われず転写部表面の少なくとも一部分が露出
している振動である。
【0100】前者(1)は、露出した転写部底面が解消
する際に、インクの進行波が衝突して転写部中心で比較
的大きなミストを発生しやすい。後者(2)は、振動す
る気−固−液ラインがインク保持構造手段の空間的寸法
とインクの表面張力で規定されるインクの定在波の固有
振動数と共鳴し易く、転写部の加熱手段の周囲から比較
的小さなミストを発生し易い。但し、後者の駆動法で
も、一つの画素に転写する際の所定の休み時間には、当
然、気−固−液ライン、即ち、転写部表面の一部分の露
出は解消する。
する際に、インクの進行波が衝突して転写部中心で比較
的大きなミストを発生しやすい。後者(2)は、振動す
る気−固−液ラインがインク保持構造手段の空間的寸法
とインクの表面張力で規定されるインクの定在波の固有
振動数と共鳴し易く、転写部の加熱手段の周囲から比較
的小さなミストを発生し易い。但し、後者の駆動法で
も、一つの画素に転写する際の所定の休み時間には、当
然、気−固−液ライン、即ち、転写部表面の一部分の露
出は解消する。
【0101】転写部の加熱領域に形成される微小な凹凸
構造体の形状は、柱状構造、錐状構造、錐台構造等が適
当であるが、上記の毛管力を発揮できる形状であればど
のような構造でも使用できる。特に、柱状構造、錐状構
造、錐台構造の断面は、円、楕円、三角形、四角形を含
む多角形が適当である。さらに、十字形や星形など、1
80度以上の角度を持つ角を含む多角形の断面は凹凸構
造体の比表面積が大きくなるので好ましい。また、凹凸
構造体の間隔を不規則に形成した弁に類する構造は、マ
ランゴニ流に基づくインクの流動の乱流化を促進し、液
体の剪断力を増大させるのでインクミストの噴出する効
率が向上することもある。
構造体の形状は、柱状構造、錐状構造、錐台構造等が適
当であるが、上記の毛管力を発揮できる形状であればど
のような構造でも使用できる。特に、柱状構造、錐状構
造、錐台構造の断面は、円、楕円、三角形、四角形を含
む多角形が適当である。さらに、十字形や星形など、1
80度以上の角度を持つ角を含む多角形の断面は凹凸構
造体の比表面積が大きくなるので好ましい。また、凹凸
構造体の間隔を不規則に形成した弁に類する構造は、マ
ランゴニ流に基づくインクの流動の乱流化を促進し、液
体の剪断力を増大させるのでインクミストの噴出する効
率が向上することもある。
【0102】微小な凹凸構造体のサイズは、高さは1μ
m以上、50μm以下、代表幅寸法は1μm以上、10
μm以下、凹凸構造体間の中心間距離は2μm以上、4
0μm以下が好ましい。微小な凹凸構造体の高さが1μ
m未満になると、毛管力が減少してインクの保持量が少
なくなり、転写効率が低下する傾向にある。また、高さ
が50μmを超えると、インク表面への熱伝導率が遅く
なり、インク表面の表面張力勾配が生じ難く、インク表
面の周期的振動の振幅が小さくなってミストの噴出効率
が低下する傾向にある。
m以上、50μm以下、代表幅寸法は1μm以上、10
μm以下、凹凸構造体間の中心間距離は2μm以上、4
0μm以下が好ましい。微小な凹凸構造体の高さが1μ
m未満になると、毛管力が減少してインクの保持量が少
なくなり、転写効率が低下する傾向にある。また、高さ
が50μmを超えると、インク表面への熱伝導率が遅く
なり、インク表面の表面張力勾配が生じ難く、インク表
面の周期的振動の振幅が小さくなってミストの噴出効率
が低下する傾向にある。
【0103】微小な凹凸構造体の代表幅寸法が1μm未
満になると、凹凸構造体の機械的強度が低下して転写動
作中や保存時に凹凸構造が損傷し易く、インクが安定的
に噴出しないことがある。また、代表幅寸法が10μm
を超えると、相対的に加熱手段上のインクの表面積が小
さくなりミストの噴出効率が低下することがある。
満になると、凹凸構造体の機械的強度が低下して転写動
作中や保存時に凹凸構造が損傷し易く、インクが安定的
に噴出しないことがある。また、代表幅寸法が10μm
を超えると、相対的に加熱手段上のインクの表面積が小
さくなりミストの噴出効率が低下することがある。
【0104】微小な凹凸構造体の凹凸構造間の中心間距
離が2μm未満になると、インクの保持量が少なくな
り、転写効率が低下することがある。また、凹凸構造体
の中心間距離が40μmを超えると、毛管力が低下して
インク表面の振動が困難になってミストの噴出効率が低
下することがある。詳しくは後述するが、特に好ましい
微小の凹凸構造のサイズは、高さが2μm以上、10μ
m以下、代表幅寸法が2μm以上、5μm以下、凹凸構
造体間の中心間距離が3μm以上、10μm以下であ
る。
離が2μm未満になると、インクの保持量が少なくな
り、転写効率が低下することがある。また、凹凸構造体
の中心間距離が40μmを超えると、毛管力が低下して
インク表面の振動が困難になってミストの噴出効率が低
下することがある。詳しくは後述するが、特に好ましい
微小の凹凸構造のサイズは、高さが2μm以上、10μ
m以下、代表幅寸法が2μm以上、5μm以下、凹凸構
造体間の中心間距離が3μm以上、10μm以下であ
る。
【0105】微小な凹凸構造体を周期的に配置すると、
インク表面振動の定在波を発生し易く、定在波に基づく
ミストの噴出効率が向上する。一方、微小な凹凸構造体
を非周期的(不規則)に配置すると、インクのマランゴ
ニ流と凹凸構造体との接触で乱流が発生し易く、乱流に
基づくミストの噴出効率が向上する。従って、微小な凹
凸構造体の配置は周期的でも非周期的でもどちらでもよ
い。周期的に微小の凹凸構造を配置する場合は2回対
象、3回対象、4回対象等がインク表面振動の定在波を
発生し易く好ましい。
インク表面振動の定在波を発生し易く、定在波に基づく
ミストの噴出効率が向上する。一方、微小な凹凸構造体
を非周期的(不規則)に配置すると、インクのマランゴ
ニ流と凹凸構造体との接触で乱流が発生し易く、乱流に
基づくミストの噴出効率が向上する。従って、微小な凹
凸構造体の配置は周期的でも非周期的でもどちらでもよ
い。周期的に微小の凹凸構造を配置する場合は2回対
象、3回対象、4回対象等がインク表面振動の定在波を
発生し易く好ましい。
【0106】微小な凹凸構造体を形成する方法として
は、エンボス加工によるものや、感光性樹脂を用いたフ
ォトエッチングによるもの、感光性樹脂をマスクとした
ウエットエッチングによるもの、半導体プロセスを応用
したエッチング等が挙げられる。特に、最も好ましいサ
イズである高さ2μm以上、10μm以下、代表幅寸法
2μm以上、5μm以下、凹凸構造体間の中心間距離が
3μm以上、10μm以下の凹凸構造体を正確に形成す
るには、半導体プロセスを応用したエッチング技術の適
用が最も好ましい。そのような手段の一例としては、加
熱手段を有する所定の基板上に10μm程度の厚さのS
iO2 層をCVD法等に基づいて成膜して、次いで、微
小な凹凸構造体に対応した形状にフォトレジスト、或い
はメタルマスクで所定のパターンを形成し、RIE技術
あるいはパウダービームエッチング技術等で例えば8μ
mの凹部を形成すると、マスクされた部分が凸部とな
り、望ましい微小な凹凸構造体が形成される。上記の微
小な凹凸構造体の形成方法については、下記の実施例に
詳述する。
は、エンボス加工によるものや、感光性樹脂を用いたフ
ォトエッチングによるもの、感光性樹脂をマスクとした
ウエットエッチングによるもの、半導体プロセスを応用
したエッチング等が挙げられる。特に、最も好ましいサ
イズである高さ2μm以上、10μm以下、代表幅寸法
2μm以上、5μm以下、凹凸構造体間の中心間距離が
3μm以上、10μm以下の凹凸構造体を正確に形成す
るには、半導体プロセスを応用したエッチング技術の適
用が最も好ましい。そのような手段の一例としては、加
熱手段を有する所定の基板上に10μm程度の厚さのS
iO2 層をCVD法等に基づいて成膜して、次いで、微
小な凹凸構造体に対応した形状にフォトレジスト、或い
はメタルマスクで所定のパターンを形成し、RIE技術
あるいはパウダービームエッチング技術等で例えば8μ
mの凹部を形成すると、マスクされた部分が凸部とな
り、望ましい微小な凹凸構造体が形成される。上記の微
小な凹凸構造体の形成方法については、下記の実施例に
詳述する。
【0107】その他、微小な凹凸構造体に対応した形状
(ちょうどネガポジ反転した形状)にフォトレジストで
所定のパターンを形成し、電解メッキ法でニッケル等の
凹凸構造を形成してもよい。この場合、下地層として導
電性のある膜をあらかじめ形成しておく必要がある。メ
ッキ法による凹凸構造体の形成法は、SiO2 層の凹凸
構造形成法に比べて、SiO2 層の成膜、メタルマスク
の形成、SiO2 層のエッチング等の時間のかかるプロ
セスを省略できるので、非常に短時間に凹凸構造を形成
でき、量産性に優れている。
(ちょうどネガポジ反転した形状)にフォトレジストで
所定のパターンを形成し、電解メッキ法でニッケル等の
凹凸構造を形成してもよい。この場合、下地層として導
電性のある膜をあらかじめ形成しておく必要がある。メ
ッキ法による凹凸構造体の形成法は、SiO2 層の凹凸
構造形成法に比べて、SiO2 層の成膜、メタルマスク
の形成、SiO2 層のエッチング等の時間のかかるプロ
セスを省略できるので、非常に短時間に凹凸構造を形成
でき、量産性に優れている。
【0108】なお、本発明においては、上述の如き凹凸
構造体以外にも、同様の機能を有するものであれば、ビ
ーズ集合体、繊維体等を適用できる。
構造体以外にも、同様の機能を有するものであれば、ビ
ーズ集合体、繊維体等を適用できる。
【0109】本発明において、インクの厚みはマランゴ
ニ流の大きさを支配することがあるため、常に一定の値
に納めることが望ましい。そのためには、加熱手段の少
なくとも一方を取り囲む形で壁を設けることが好まし
い。インクの厚みを最適化するために、壁の高さは1μ
m以上、50μm以下であることが好ましい。高さが1
μm未満になると、インクの保持量が少なくなり、転写
効率が低下することがある。また、高さが50μmを超
えると、インク表面への熱伝導が遅くなり、インク表面
の表面張力勾配が生じにくく、インク表面の周期的振動
の振幅が小さくなってミストの噴出効率が低下する傾向
にある。また、加熱手段の両側にも壁を設けて、加熱手
段が前記壁によって形成される溝の内側に入るような構
造を取ると、インクのメニスカスが安定して形成される
ので、ミストが安定して噴出される。壁は加熱手段の中
心から50μm以内の距離にあるとインク液面が十分保
持できる。また、インクのメニスカス安定のために所定
の位置に所定形状の補助壁を設けることもできる。
ニ流の大きさを支配することがあるため、常に一定の値
に納めることが望ましい。そのためには、加熱手段の少
なくとも一方を取り囲む形で壁を設けることが好まし
い。インクの厚みを最適化するために、壁の高さは1μ
m以上、50μm以下であることが好ましい。高さが1
μm未満になると、インクの保持量が少なくなり、転写
効率が低下することがある。また、高さが50μmを超
えると、インク表面への熱伝導が遅くなり、インク表面
の表面張力勾配が生じにくく、インク表面の周期的振動
の振幅が小さくなってミストの噴出効率が低下する傾向
にある。また、加熱手段の両側にも壁を設けて、加熱手
段が前記壁によって形成される溝の内側に入るような構
造を取ると、インクのメニスカスが安定して形成される
ので、ミストが安定して噴出される。壁は加熱手段の中
心から50μm以内の距離にあるとインク液面が十分保
持できる。また、インクのメニスカス安定のために所定
の位置に所定形状の補助壁を設けることもできる。
【0110】インクの厚みを規定するための壁の製造方
法は、前記微小な凹凸構造体の形成方法と同様の手段で
もよいが、前記微小な凹凸構造体ほどの精度やサイズが
要求されなければ、感光性樹脂を用いたフォトエッチン
グ法や、櫛形状に成形した金属フィルムを張り合わせる
方法でもよい。
法は、前記微小な凹凸構造体の形成方法と同様の手段で
もよいが、前記微小な凹凸構造体ほどの精度やサイズが
要求されなければ、感光性樹脂を用いたフォトエッチン
グ法や、櫛形状に成形した金属フィルムを張り合わせる
方法でもよい。
【0111】また、インクの厚みを適当に規定するため
には、開口部(穴)あるいはスリット(隙間)を持つ部
材(蓋部材)を加熱手段の上に設けてもよい。転写部を
覆う形で前記部材を被せると、インクは開口部或いはス
リットに沿う形で安定にメニスカスを形成する。但し、
開口部或いはスリットの側面が撥インク性か、親インク
性かによって前記蓋部材によるインクの厚みの規定が変
わる。例えば、開口部あるいはスリットの側面が撥イン
ク性であれば、インクは開口部或いはスリットと蓋の底
面との接する線まで達し、インクの厚みは転写部の表面
と蓋の底面との隙間で規定される。一方、開口部或いは
スリットの側面が親インク性であれば、インクは開口部
或いはスリットと蓋部材の被転写体の方向の面との接す
る線まで達し、インクの厚みは、転写部の表面と蓋部材
の底面の隙間と蓋部材の厚みとの合計値で規定される。
には、開口部(穴)あるいはスリット(隙間)を持つ部
材(蓋部材)を加熱手段の上に設けてもよい。転写部を
覆う形で前記部材を被せると、インクは開口部或いはス
リットに沿う形で安定にメニスカスを形成する。但し、
開口部或いはスリットの側面が撥インク性か、親インク
性かによって前記蓋部材によるインクの厚みの規定が変
わる。例えば、開口部あるいはスリットの側面が撥イン
ク性であれば、インクは開口部或いはスリットと蓋の底
面との接する線まで達し、インクの厚みは転写部の表面
と蓋の底面との隙間で規定される。一方、開口部或いは
スリットの側面が親インク性であれば、インクは開口部
或いはスリットと蓋部材の被転写体の方向の面との接す
る線まで達し、インクの厚みは、転写部の表面と蓋部材
の底面の隙間と蓋部材の厚みとの合計値で規定される。
【0112】この蓋部材の形成は、最も簡単には、開口
部或いはスリットを有する板を前記の壁に貼り付ければ
よい。特に、感光性樹脂を用いたフォトエッチング法で
形成された溝には金属フィルム(例えばNiシート等)
を簡単に熱圧着できるので、容易に壁部材が形成でき
る。その他、異方性エッチングを使用する方法、あらか
じめ溝と開口部或いはスリットを設けた板を転写部に張
り合わせる方法など、様々な手法を応用できる。
部或いはスリットを有する板を前記の壁に貼り付ければ
よい。特に、感光性樹脂を用いたフォトエッチング法で
形成された溝には金属フィルム(例えばNiシート等)
を簡単に熱圧着できるので、容易に壁部材が形成でき
る。その他、異方性エッチングを使用する方法、あらか
じめ溝と開口部或いはスリットを設けた板を転写部に張
り合わせる方法など、様々な手法を応用できる。
【0113】この開口部或いはスリットを有する蓋部材
が従来のインクジェット方式におけるノズル或いはオリ
フィスと称される吐出口と決定的に異なるのは、噴出す
るインクミストの大きさが開口部の面積或いはスリット
の幅より圧倒的に小さいことである。即ち、開口部の面
積が加熱手段の面積と同程度であるが、スリットの幅が
加熱手段の寸法と同程度であると、開口部或いはスリッ
トのインク表面に充分な温度勾配が生じないために、本
発明の主たるインクミスト発生の駆動力であるマランゴ
ニ流は発生しない。従って、上記の開口部或いはスリッ
トを有する蓋部材は従来のオンデマンド型インクジェッ
ト方式の特徴であるノズル或いはオリフィスとは完全に
役割が異なる。
が従来のインクジェット方式におけるノズル或いはオリ
フィスと称される吐出口と決定的に異なるのは、噴出す
るインクミストの大きさが開口部の面積或いはスリット
の幅より圧倒的に小さいことである。即ち、開口部の面
積が加熱手段の面積と同程度であるが、スリットの幅が
加熱手段の寸法と同程度であると、開口部或いはスリッ
トのインク表面に充分な温度勾配が生じないために、本
発明の主たるインクミスト発生の駆動力であるマランゴ
ニ流は発生しない。従って、上記の開口部或いはスリッ
トを有する蓋部材は従来のオンデマンド型インクジェッ
ト方式の特徴であるノズル或いはオリフィスとは完全に
役割が異なる。
【0114】本発明の記録方法に基づく典型的なインク
ミストの球に換算した最大断面積は、通常は、開口部面
積の1/100以下、最大でも開口部面積の1/10以
下であることが望ましい。逆に、従来のオンデマンド型
インクジェット方式のノズルあるいはオリフィスと称さ
れる吐出口でインクの吐出面積を規定すると、インクの
吐出面積が低下して、本発明の記録方法の駆動力である
表面張力勾配に起因する対流、即ちマランゴニ流の発生
が不十分になることがある。
ミストの球に換算した最大断面積は、通常は、開口部面
積の1/100以下、最大でも開口部面積の1/10以
下であることが望ましい。逆に、従来のオンデマンド型
インクジェット方式のノズルあるいはオリフィスと称さ
れる吐出口でインクの吐出面積を規定すると、インクの
吐出面積が低下して、本発明の記録方法の駆動力である
表面張力勾配に起因する対流、即ちマランゴニ流の発生
が不十分になることがある。
【0115】上記部材(蓋部材)の開口部の面積は50
0μm2 以上、50000μm2 以下の範囲であること
が好ましい。その面積が500μm2 未満では、表面張
力差が小さくマランゴニ対流は十分には発生せず、ま
た、50000μm2 を超えると、インクの保持能力が
低くなる傾向にある。この開口部の形状はどのような形
でもよいが、安定してインクがメニスカスを形成するた
めには特に円形が適しており、解像度を十分得るために
は長方形が適している。
0μm2 以上、50000μm2 以下の範囲であること
が好ましい。その面積が500μm2 未満では、表面張
力差が小さくマランゴニ対流は十分には発生せず、ま
た、50000μm2 を超えると、インクの保持能力が
低くなる傾向にある。この開口部の形状はどのような形
でもよいが、安定してインクがメニスカスを形成するた
めには特に円形が適しており、解像度を十分得るために
は長方形が適している。
【0116】上記部材(蓋部材)のスリットの平均の幅
は30μm以上、500μm以下の範囲であることが好
ましい。平均の幅が30μm未満では、表面張力差が小
さくマランゴニ流は発生せず、また、500μmを超え
ると、インクの保持能力が低くなる傾向にある。スリッ
トは直線状でもよいが、転写部の加熱手段の周期に合わ
せた形にすることで、メニスカスの確保に対する適性が
向上する。
は30μm以上、500μm以下の範囲であることが好
ましい。平均の幅が30μm未満では、表面張力差が小
さくマランゴニ流は発生せず、また、500μmを超え
ると、インクの保持能力が低くなる傾向にある。スリッ
トは直線状でもよいが、転写部の加熱手段の周期に合わ
せた形にすることで、メニスカスの確保に対する適性が
向上する。
【0117】前記部材の開口部或いはスリットの側面が
撥インク性である場合、蓋部材の底面、即ち被転写体と
反対向きの面の転写部の表面に対する高さは1μm以
上、50μm以下であることが好ましい。一方、開口部
あるいはスリットの側面が親インク性である場合も、蓋
部材の表面、即ち被転写体に向く表面の転写部の表面に
対する高さは1μm以上、50μm以下であることが好
ましい。どちらにしても重要であるのは、蓋部材等によ
って正確に、かつ、安定にインクの液面を制御し、かつ
速やかにインクの供給を行うことである。
撥インク性である場合、蓋部材の底面、即ち被転写体と
反対向きの面の転写部の表面に対する高さは1μm以
上、50μm以下であることが好ましい。一方、開口部
あるいはスリットの側面が親インク性である場合も、蓋
部材の表面、即ち被転写体に向く表面の転写部の表面に
対する高さは1μm以上、50μm以下であることが好
ましい。どちらにしても重要であるのは、蓋部材等によ
って正確に、かつ、安定にインクの液面を制御し、かつ
速やかにインクの供給を行うことである。
【0118】前記部材(蓋部材)と転写部表面とによっ
て規定されるインクの収まる隙間の厚さが1μm未満で
は、速やかなインクの供給が滞ることがある。一方、前
記部材と転写部表面とによって規定されるインクの収ま
る隙間の厚さが50μmを超えると、インク層が厚くな
り、マランゴニ流が十分に発生しないことがある。前記
部材の材料は金属、ポリイミド等の高分子フィルム、セ
ラミックなど、耐熱性が高く、インクに対する安定性が
高く、インクに対する濡れ性が制御でき、機械的強度が
高い材料は全て使用できる。
て規定されるインクの収まる隙間の厚さが1μm未満で
は、速やかなインクの供給が滞ることがある。一方、前
記部材と転写部表面とによって規定されるインクの収ま
る隙間の厚さが50μmを超えると、インク層が厚くな
り、マランゴニ流が十分に発生しないことがある。前記
部材の材料は金属、ポリイミド等の高分子フィルム、セ
ラミックなど、耐熱性が高く、インクに対する安定性が
高く、インクに対する濡れ性が制御でき、機械的強度が
高い材料は全て使用できる。
【0119】本発明において、加熱手段の降温時(冷却
時)にインクと転写部表面の毛管力により加熱手段周囲
から加熱手段中心へ向かうインクの流れの発生を促進す
るために、転写部の底面、壁、溝に類する構造、柱状構
造、円錐状構造、或いは、類似の凹凸構造の側面とイン
クとの接触角が、転写動作中のインクの温度範囲全てで
60°以下になることが好ましい。
時)にインクと転写部表面の毛管力により加熱手段周囲
から加熱手段中心へ向かうインクの流れの発生を促進す
るために、転写部の底面、壁、溝に類する構造、柱状構
造、円錐状構造、或いは、類似の凹凸構造の側面とイン
クとの接触角が、転写動作中のインクの温度範囲全てで
60°以下になることが好ましい。
【0120】転写部の底面、壁、溝に類する構造、柱状
構造、円錐状構造、或いは類似の凹凸構造の側面とイン
クとの接触角を低下させるために、転写部の底面、壁、
溝に類する構造、柱状構造、円錐状構造、或いは類似の
凹凸構造の側面を多孔質構造にしてインクの保持能力を
向上させることは効果が高い。特に、転写動作中のイン
クの温度範囲全てで転写部の底面、壁、溝に類する構
造、柱状構造、円錐状構造、或いは類似の凹凸構造の側
面とインクとの接触角が30°以下になると、インクの
回復力が向上し、かつ供給速度も向上するので高速度化
に適している。
構造、円錐状構造、或いは類似の凹凸構造の側面とイン
クとの接触角を低下させるために、転写部の底面、壁、
溝に類する構造、柱状構造、円錐状構造、或いは類似の
凹凸構造の側面を多孔質構造にしてインクの保持能力を
向上させることは効果が高い。特に、転写動作中のイン
クの温度範囲全てで転写部の底面、壁、溝に類する構
造、柱状構造、円錐状構造、或いは類似の凹凸構造の側
面とインクとの接触角が30°以下になると、インクの
回復力が向上し、かつ供給速度も向上するので高速度化
に適している。
【0121】インクミストを安定に噴出させる目的で、
インク層の厚みを正確に規定するためには、壁、溝に類
する構造、柱状構造、円錐状構造、或いは類似の凹凸構
造の頂上部に、前述の側面とは逆に、インクとの接触角
が75°以上になる撥液処理を施し、インクの厚さを
壁、溝に類する構造、柱状構造、円錐状構造、或いは類
似の凹凸構造の高さと正確に一致させることが好まし
い。撥液処理としては、柱状体の頂上のメタルマスクを
プラズマ処理することで容易にインクとの接触角が75
°以上になる。接触角をさらに90°以上にするため
に、例えば、サイトップ(旭ガラス社製)のような非晶
質フッ素樹脂をスピンコートしてからプラズマエッチン
グ装置でパターンを加工することも可能である。
インク層の厚みを正確に規定するためには、壁、溝に類
する構造、柱状構造、円錐状構造、或いは類似の凹凸構
造の頂上部に、前述の側面とは逆に、インクとの接触角
が75°以上になる撥液処理を施し、インクの厚さを
壁、溝に類する構造、柱状構造、円錐状構造、或いは類
似の凹凸構造の高さと正確に一致させることが好まし
い。撥液処理としては、柱状体の頂上のメタルマスクを
プラズマ処理することで容易にインクとの接触角が75
°以上になる。接触角をさらに90°以上にするため
に、例えば、サイトップ(旭ガラス社製)のような非晶
質フッ素樹脂をスピンコートしてからプラズマエッチン
グ装置でパターンを加工することも可能である。
【0122】本発明において、転写部の加熱手段周囲
(前記周囲領域)の温度応答性を上げてインクミスト噴
出の駆動周波数を向上させるために、プリントヘッドに
おける加熱手段の近傍は、熱伝導率が1〔W/m・K〕
以上の材料を90重量%以上用いることが好ましい。
(前記周囲領域)の温度応答性を上げてインクミスト噴
出の駆動周波数を向上させるために、プリントヘッドに
おける加熱手段の近傍は、熱伝導率が1〔W/m・K〕
以上の材料を90重量%以上用いることが好ましい。
【0123】本発明において、転写部の加熱手段は1K
Hz以下の周波数で駆動できる周期的手段であることが
望ましく、このような加熱手段であればどのような加熱
手段でも使用できる。具体的には、電気抵抗体を直接通
電加熱する抵抗体加熱方式と、転写部の一部、あるいは
インクの一部に電磁波の吸収体を配置して、外部から電
磁波を照射してインクを加熱する電磁波加熱手段が使用
できる。
Hz以下の周波数で駆動できる周期的手段であることが
望ましく、このような加熱手段であればどのような加熱
手段でも使用できる。具体的には、電気抵抗体を直接通
電加熱する抵抗体加熱方式と、転写部の一部、あるいは
インクの一部に電磁波の吸収体を配置して、外部から電
磁波を照射してインクを加熱する電磁波加熱手段が使用
できる。
【0124】電磁波加熱手段の一種として、転写部の一
部或いはインクの一部をレーザ光の光エネルギーを熱エ
ネルギーに変換する光熱変換材料で構成し、収束したレ
ーザ光を前記の光熱変換材料に照射するレーザ加熱手段
も使用できる。この場合のレーザ光源は、ガスレーザ、
エキシマレーザ、固体レーザ、半導体レーザなど全ての
種類のレーザ光源が使用可能であるが、その中でも半導
体レーザはサイズが小さく、消費電力も低いので特に好
ましい。レーザ光源を加熱手段とする場合は、基板をパ
イレックス、石英ガラスのような透明基板を使用して、
レーザ光をミストが噴出する側とは反対側から照射する
ことが望ましい。
部或いはインクの一部をレーザ光の光エネルギーを熱エ
ネルギーに変換する光熱変換材料で構成し、収束したレ
ーザ光を前記の光熱変換材料に照射するレーザ加熱手段
も使用できる。この場合のレーザ光源は、ガスレーザ、
エキシマレーザ、固体レーザ、半導体レーザなど全ての
種類のレーザ光源が使用可能であるが、その中でも半導
体レーザはサイズが小さく、消費電力も低いので特に好
ましい。レーザ光源を加熱手段とする場合は、基板をパ
イレックス、石英ガラスのような透明基板を使用して、
レーザ光をミストが噴出する側とは反対側から照射する
ことが望ましい。
【0125】この場合のインク中に添加する光熱変換体
としては、可視光の吸収を持たず、印画紙を汚染しない
ナフタロシアニン染料或いはシアニン染料に類する赤外
吸収色素が好ましい。この場合、赤外吸収色素はインク
に十分に溶解させるために極性を低下させることが重要
である。また、転写部に付与する光熱変換体としては、
カーボンブラックの塗布や、レーザ光の波長に合わせた
誘電体2層膜(例えば、窒化シリコンとタンタルとの2
層膜)が好ましい。
としては、可視光の吸収を持たず、印画紙を汚染しない
ナフタロシアニン染料或いはシアニン染料に類する赤外
吸収色素が好ましい。この場合、赤外吸収色素はインク
に十分に溶解させるために極性を低下させることが重要
である。また、転写部に付与する光熱変換体としては、
カーボンブラックの塗布や、レーザ光の波長に合わせた
誘電体2層膜(例えば、窒化シリコンとタンタルとの2
層膜)が好ましい。
【0126】加熱手段の加熱エリアは一辺が42μm以
下の矩形、或いは直径が60μm以下の円形に収まるこ
とが好ましい。加熱エリアのサイズが大きいとインク表
面に効果的な温度勾配ができず、インクの噴出が不十分
になることがある。特に好ましい加熱エリアのサイズ
は、一辺が25μm以下の矩形、或いは直径が30μm
以下の円形である。
下の矩形、或いは直径が60μm以下の円形に収まるこ
とが好ましい。加熱エリアのサイズが大きいとインク表
面に効果的な温度勾配ができず、インクの噴出が不十分
になることがある。特に好ましい加熱エリアのサイズ
は、一辺が25μm以下の矩形、或いは直径が30μm
以下の円形である。
【0127】また、前記加熱手段に関し、詳しくは後述
するが、例えば、1画素当たりの加熱手段を図44及び
図47に示すように2分割して設ければ、各加熱手段に
おいて発生するインクの進行波が加熱手段間の中心部付
近で干渉してミストを噴出することも考えられる。さら
に、加熱手段を図45のように4分割したり、図46の
ようにリング状に形成すること等によって、加熱手段中
心方向へ向かうインクの進行波が集中して、さらに良好
な転写感度が得られる可能性もある。但し、例えば図4
6の場合、リング状加熱手段の中央上部が前記周囲領域
となる。
するが、例えば、1画素当たりの加熱手段を図44及び
図47に示すように2分割して設ければ、各加熱手段に
おいて発生するインクの進行波が加熱手段間の中心部付
近で干渉してミストを噴出することも考えられる。さら
に、加熱手段を図45のように4分割したり、図46の
ようにリング状に形成すること等によって、加熱手段中
心方向へ向かうインクの進行波が集中して、さらに良好
な転写感度が得られる可能性もある。但し、例えば図4
6の場合、リング状加熱手段の中央上部が前記周囲領域
となる。
【0128】本発明のプリンタヘッドにおいて、インク
収容部の数やドット数、及びこれに対応した加熱手段や
転写部の数は種々変化してもよいし、その配列形状やサ
イズ等も上述したものに限定されるものではない。
収容部の数やドット数、及びこれに対応した加熱手段や
転写部の数は種々変化してもよいし、その配列形状やサ
イズ等も上述したものに限定されるものではない。
【0129】本発明において、インクを前記加熱手段で
加熱すると、当然インクの表面温度に応じた速度で溶
媒、色材、その他の添加物がインクの表面から蒸発す
る。この蒸気(気化物)は気相で凝縮して微小のミスト
(小ミスト)に成長することがある。この蒸気或いは微
小ミストは飛翔速度が低いので、空隙を飛翔する間に速
度成分を喪失して対向する印画紙へ到達せずに、空隙内
を漂う場合がある。そのようなインク蒸気や微小ミスト
は印画紙の地汚れや解像度低下を引き起こすだけではな
く、インク蒸気や微小ミストがプリンタ外に漏出すると
人体に対する毒性を持つことがある。前記インクの蒸
気、或いは微小ミストの漏出を抑制するために、本発明
では、本来的に噴出するミスト(特に大ミスト)だけを
透過し、付随的に噴出するインク蒸気や微小ミストを除
去するために、噴出したミストの90%以上のみが通過
するサイズの穴の開いた撥液性のカバーを転写部に持つ
ことが好ましい。このカバーに撥液性がないと、インク
は毛管力によりカバー内全体に充満することがある。こ
のカバーはインクの保持を目的としていないために、従
来のオンデマンド型インクジェット方式の特徴である、
ノズル或いはオリフィスとは役割が完全に異なるもので
ある。
加熱すると、当然インクの表面温度に応じた速度で溶
媒、色材、その他の添加物がインクの表面から蒸発す
る。この蒸気(気化物)は気相で凝縮して微小のミスト
(小ミスト)に成長することがある。この蒸気或いは微
小ミストは飛翔速度が低いので、空隙を飛翔する間に速
度成分を喪失して対向する印画紙へ到達せずに、空隙内
を漂う場合がある。そのようなインク蒸気や微小ミスト
は印画紙の地汚れや解像度低下を引き起こすだけではな
く、インク蒸気や微小ミストがプリンタ外に漏出すると
人体に対する毒性を持つことがある。前記インクの蒸
気、或いは微小ミストの漏出を抑制するために、本発明
では、本来的に噴出するミスト(特に大ミスト)だけを
透過し、付随的に噴出するインク蒸気や微小ミストを除
去するために、噴出したミストの90%以上のみが通過
するサイズの穴の開いた撥液性のカバーを転写部に持つ
ことが好ましい。このカバーに撥液性がないと、インク
は毛管力によりカバー内全体に充満することがある。こ
のカバーはインクの保持を目的としていないために、従
来のオンデマンド型インクジェット方式の特徴である、
ノズル或いはオリフィスとは役割が完全に異なるもので
ある。
【0130】本発明において、転写部に配された加熱手
段によってインクが沸騰すると、本発明の記録方法にお
ける駆動力である表面張力勾配に起因する対流、即ちマ
ランゴニ流の発生が不安定になることがある。従って、
インクの色材・溶媒・その他の添加物の沸点を沸騰しな
いように十分高くして、インクの沸騰を抑制することが
好ましい。
段によってインクが沸騰すると、本発明の記録方法にお
ける駆動力である表面張力勾配に起因する対流、即ちマ
ランゴニ流の発生が不安定になることがある。従って、
インクの色材・溶媒・その他の添加物の沸点を沸騰しな
いように十分高くして、インクの沸騰を抑制することが
好ましい。
【0131】特に、上記インク成分である、色材、溶
媒、その他の添加物の沸点が異なる場合には、最も低い
沸点を有する成分だけが選択的に蒸発してインク成分の
偏りが生じてインクの物性が変化し、安定してミストが
噴出しなくなることがある。また、いずれかの成分の沸
点が特に低いと、本発明の記録方法におけるインク表面
は空気に露出しているので、プリンタの非動作時にいず
れかの成分だけが蒸発してインク成分の偏りが生じてイ
ンクの物性が変化し、安定してミストが噴出しなくなる
ことがある。これらの動作を防止するには、色素、溶
媒、その他の添加物を含むインクの構成材料全ての沸点
を250℃以上にするか、或いは、色素、溶媒、その他
添加物を含むインク構成材料の全ての沸点の差を10℃
以内にすることが望ましい。
媒、その他の添加物の沸点が異なる場合には、最も低い
沸点を有する成分だけが選択的に蒸発してインク成分の
偏りが生じてインクの物性が変化し、安定してミストが
噴出しなくなることがある。また、いずれかの成分の沸
点が特に低いと、本発明の記録方法におけるインク表面
は空気に露出しているので、プリンタの非動作時にいず
れかの成分だけが蒸発してインク成分の偏りが生じてイ
ンクの物性が変化し、安定してミストが噴出しなくなる
ことがある。これらの動作を防止するには、色素、溶
媒、その他の添加物を含むインクの構成材料全ての沸点
を250℃以上にするか、或いは、色素、溶媒、その他
添加物を含むインク構成材料の全ての沸点の差を10℃
以内にすることが望ましい。
【0132】本発明において、インク成分の到達温度は
瞬間的に200℃以上に達することがあるので、色素、
溶媒、その他の添加物を含むインク構成材料の熱分解温
度が200℃以下であると、インクの一部が分解して、
その結果生成する劣化物が記録部に蓄積して表面積を変
化させ、或いはインクとの濡れ性を変化させ、インクミ
ストの噴出が不安定になることがある。この現象を防止
するには、色素、溶媒、その他の添加物を含むインクを
構成材料全ての熱分解開始温度を200℃以上にするこ
とが好ましい。具体的には、空気中、温度200℃で1
時間加熱したときの熱分解物の割合が100ppm以下
の材料を使用することが好ましい。
瞬間的に200℃以上に達することがあるので、色素、
溶媒、その他の添加物を含むインク構成材料の熱分解温
度が200℃以下であると、インクの一部が分解して、
その結果生成する劣化物が記録部に蓄積して表面積を変
化させ、或いはインクとの濡れ性を変化させ、インクミ
ストの噴出が不安定になることがある。この現象を防止
するには、色素、溶媒、その他の添加物を含むインクを
構成材料全ての熱分解開始温度を200℃以上にするこ
とが好ましい。具体的には、空気中、温度200℃で1
時間加熱したときの熱分解物の割合が100ppm以下
の材料を使用することが好ましい。
【0133】本発明において、効果的に本発明の記録方
法に基づく駆動力としての表面張力勾配に起因する対
流、即ちマランゴニ流を発生させるためには、インクの
表面張力が負の温度依存性を有し、その絶対値が大きい
ことが望ましい。インクの表面張力の温度依存性の絶対
値を前記の範囲に収めるために適当な界面活性材を添加
することも好ましい。
法に基づく駆動力としての表面張力勾配に起因する対
流、即ちマランゴニ流を発生させるためには、インクの
表面張力が負の温度依存性を有し、その絶対値が大きい
ことが望ましい。インクの表面張力の温度依存性の絶対
値を前記の範囲に収めるために適当な界面活性材を添加
することも好ましい。
【0134】本発明に使用されるインクは、染料、溶
媒、及び必要に応じて添加される添加剤から構成され、
転写感度、熱安定性、画像品位、保存安定性を最適化す
るように材料の選択と組成成分の比を調合することが望
ましい。
媒、及び必要に応じて添加される添加剤から構成され、
転写感度、熱安定性、画像品位、保存安定性を最適化す
るように材料の選択と組成成分の比を調合することが望
ましい。
【0135】本発明に適した染料は前記の条件、即ち、
沸点が250℃以上で、かつ空気中で200℃で1時間
加熱したときの熱分解物の割合が100ppm以下で、
かつ後述する溶媒に対する十分な溶解性を有し、さら
に、印画紙上での必要十分な保存安定性を有しているこ
とが望ましいが、分散染料、油溶性染料と称される極性
の低い油溶性の染料が特に好ましい。
沸点が250℃以上で、かつ空気中で200℃で1時間
加熱したときの熱分解物の割合が100ppm以下で、
かつ後述する溶媒に対する十分な溶解性を有し、さら
に、印画紙上での必要十分な保存安定性を有しているこ
とが望ましいが、分散染料、油溶性染料と称される極性
の低い油溶性の染料が特に好ましい。
【0136】具体的には、油溶性染料として例えば、カ
ヤセット染料シリーズ(日本化薬社製)、ダイアミラ染
料シリーズ(三菱化成社製)、ミツイPS染料シリーズ
(三井東圧社製)、スミプラスト染料シリーズ(住友化
学社製)、アイゼン染料シリーズ(保土ヶ谷化学社製)
等が挙げられる。
ヤセット染料シリーズ(日本化薬社製)、ダイアミラ染
料シリーズ(三菱化成社製)、ミツイPS染料シリーズ
(三井東圧社製)、スミプラスト染料シリーズ(住友化
学社製)、アイゼン染料シリーズ(保土ヶ谷化学社製)
等が挙げられる。
【0137】また、分散染料は分散剤が添加されていな
いものが好ましいが、例えばESC染料シリーズ(住友
化学社製)等がある。より具体的には、アゾ系染料とし
てCI(カラーインデクス)ディスパースイエロー3、
ディスパースイエロー7、ディスパースイエロー8、ソ
ルベントイエロー16、ソルベントイエロー56、ディ
スパースレッド1、ディスパースレッド17、ディスパ
ースレッド19、ソルベントレッド19、ソルベントレ
ッド23など、キノフタロン系染料として、ディスパー
スイエロー54など、アントラキノン系染料として、デ
ィスパースレッド4、ディスパースレッド11、ディス
パースレッド60、ディスパースブルー14、ディスパ
ースブルー26、ソルベントブルー35などが挙げられ
る。その他に、ジシアノスチリル系、トリシアノスチリ
ル系、インドアニリン系構造の染料も使用できる。これ
らの染料は、気化残滓の低減と熱分解物の記録部への付
着を防止するため、昇華精製法、再結晶法、ゾーンメル
ティング法、カラム精製法など何らかの手段で精製して
から使用することが望ましい。
いものが好ましいが、例えばESC染料シリーズ(住友
化学社製)等がある。より具体的には、アゾ系染料とし
てCI(カラーインデクス)ディスパースイエロー3、
ディスパースイエロー7、ディスパースイエロー8、ソ
ルベントイエロー16、ソルベントイエロー56、ディ
スパースレッド1、ディスパースレッド17、ディスパ
ースレッド19、ソルベントレッド19、ソルベントレ
ッド23など、キノフタロン系染料として、ディスパー
スイエロー54など、アントラキノン系染料として、デ
ィスパースレッド4、ディスパースレッド11、ディス
パースレッド60、ディスパースブルー14、ディスパ
ースブルー26、ソルベントブルー35などが挙げられ
る。その他に、ジシアノスチリル系、トリシアノスチリ
ル系、インドアニリン系構造の染料も使用できる。これ
らの染料は、気化残滓の低減と熱分解物の記録部への付
着を防止するため、昇華精製法、再結晶法、ゾーンメル
ティング法、カラム精製法など何らかの手段で精製して
から使用することが望ましい。
【0138】本発明の記録方法に適したインクの溶媒
は、融点が50℃未満で、かつ沸点が250℃以上でか
つ空気中で200℃で1時間加熱したときの熱分解物の
割合が100ppm以下で、かつ上記染料に対する相溶
性が高く、かつ100℃における粘性率が100cp以
下で、かつ人体に対する毒性が低く、さらに無色である
ものが望ましく、このような要件を満たすものであれ
ば、どのような化合物でも使用できる。
は、融点が50℃未満で、かつ沸点が250℃以上でか
つ空気中で200℃で1時間加熱したときの熱分解物の
割合が100ppm以下で、かつ上記染料に対する相溶
性が高く、かつ100℃における粘性率が100cp以
下で、かつ人体に対する毒性が低く、さらに無色である
ものが望ましく、このような要件を満たすものであれ
ば、どのような化合物でも使用できる。
【0139】具体的には、フタル酸ジメチル、フタル酸
ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、
フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ
オクチル、フタル酸ジイソデシルなどのフタル酸エステ
ル類、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、ア
ジピン酸ジオクチル、アジピン酸イシソデシル、アゼラ
イン酸ジオクチル、テトロヒドロフタル酸ジオクチルな
どの脂肪酸2塩基酸エステル類、リン酸トリクレジル、
リン酸トリオクチルなどのリン酸エステル類、アセチル
クエン酸トリブチル、ブチルフタリルブチルグリコレー
トなど、一般にプラスチック用可塑剤と称される有機化
合物類、または、エチルナフタレン、プロピルナフタレ
ン、ヘキシルナフタレン、オクチルベンゼン等の芳香環
とアルキル鎖とが組み合わさった有機化合物類等が特に
好ましい。
ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、
フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ
オクチル、フタル酸ジイソデシルなどのフタル酸エステ
ル類、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、ア
ジピン酸ジオクチル、アジピン酸イシソデシル、アゼラ
イン酸ジオクチル、テトロヒドロフタル酸ジオクチルな
どの脂肪酸2塩基酸エステル類、リン酸トリクレジル、
リン酸トリオクチルなどのリン酸エステル類、アセチル
クエン酸トリブチル、ブチルフタリルブチルグリコレー
トなど、一般にプラスチック用可塑剤と称される有機化
合物類、または、エチルナフタレン、プロピルナフタレ
ン、ヘキシルナフタレン、オクチルベンゼン等の芳香環
とアルキル鎖とが組み合わさった有機化合物類等が特に
好ましい。
【0140】インクの物性値を調整するためには、必要
に応じて界面活性剤、粘度調整剤等適当な添加剤を添加
できる。但し、これらの添加剤は沸点が250℃以上
で、かつ空気中で200℃で1時間加熱したときの熱分
解物の割合が100ppm以下で、かつ無色であること
が望ましく、このような要件を満たすものであればどの
ような化合物でも使用できる。具体的には、界面活性剤
として、パーフルオロ基を含む界面活性剤、シリル基を
含む界面活性剤が好ましい。粘度調整剤としては、テト
ラエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの
ポリエチレングリコール類が好ましい。
に応じて界面活性剤、粘度調整剤等適当な添加剤を添加
できる。但し、これらの添加剤は沸点が250℃以上
で、かつ空気中で200℃で1時間加熱したときの熱分
解物の割合が100ppm以下で、かつ無色であること
が望ましく、このような要件を満たすものであればどの
ような化合物でも使用できる。具体的には、界面活性剤
として、パーフルオロ基を含む界面活性剤、シリル基を
含む界面活性剤が好ましい。粘度調整剤としては、テト
ラエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの
ポリエチレングリコール類が好ましい。
【0141】インクは50℃以下で上記の染料を5重量
%以上、好ましくは10重量%以上、更には好ましくは
20重量%以上、上記の溶媒に溶解して作製することが
望ましい。この時、溶解度を上げるために、2種以上の
染料を混合して使用してもよい。同時に、溶媒も2種以
上を混合して使用してもよい。添加剤は必要に応じて添
加することができる。
%以上、好ましくは10重量%以上、更には好ましくは
20重量%以上、上記の溶媒に溶解して作製することが
望ましい。この時、溶解度を上げるために、2種以上の
染料を混合して使用してもよい。同時に、溶媒も2種以
上を混合して使用してもよい。添加剤は必要に応じて添
加することができる。
【0142】本発明において、転写部上のインク表面と
印画紙との距離は、50μm以上、2000μm以下の
範囲が好ましい。距離が50μm未満では、ギャップを
確保する機械的精度を得ることが困難であり、かつ印画
紙の紙粉が転写部に付着しやすくなる傾向にある。逆に
ギャップが2000μmより大きくなると、ミストの被
弾範囲が広がって解像度が不十分になる傾向にある。但
し、噴出したミストに対して静電的な力を付与すること
が2000μm以上の長大ギャップと解像度を両立する
事が可能である。もちろん、ギャップ長が2000μm
以下でも静電的な力の付与による効果はあると思われ
る。前記のミストが透過する開口部を有する撥液性カバ
ーによっても解像度向上による長大ギャップ化が達成で
きる。
印画紙との距離は、50μm以上、2000μm以下の
範囲が好ましい。距離が50μm未満では、ギャップを
確保する機械的精度を得ることが困難であり、かつ印画
紙の紙粉が転写部に付着しやすくなる傾向にある。逆に
ギャップが2000μmより大きくなると、ミストの被
弾範囲が広がって解像度が不十分になる傾向にある。但
し、噴出したミストに対して静電的な力を付与すること
が2000μm以上の長大ギャップと解像度を両立する
事が可能である。もちろん、ギャップ長が2000μm
以下でも静電的な力の付与による効果はあると思われ
る。前記のミストが透過する開口部を有する撥液性カバ
ーによっても解像度向上による長大ギャップ化が達成で
きる。
【0143】プリンタヘッド(転写ヘッド)は、例え
ば、シリコンあるいは石英等の基板上にヒータ、インク
通路、及び凹凸構造体等を半導体プロセスに準じて加工
し、加工後の基板(ヒータチップ)を切断した後、ヘッ
ドベースに貼り付け、ドライバICをワイヤボンド等の
手段で接続し、インクタンクを取り付けることによって
作製される。所定ギャップは印画紙に対してヘッドを斜
めに当てることで確保される。また、フルカラーのプリ
ントは減法3原色のインクを入れた3つの上記ヘッド
を、シリアル駆動で、或いはライン型ヘッドにしてワン
パスで駆動して印画することができる。記録部の製造及
び転写に関して詳しくは後述する。なお、後述の実施例
に記載されているプリンタヘッドの転写部は256個の
転写部を持ち、シリアル駆動にて画像転写を行うもので
あるが、ヒータヘッドを長尺化して一括で画像転写を行
う転写方式(ライン方式)に対しても大きな原理的困難
は伴わず、下記の実施例から実施が容易に導かれる。
ば、シリコンあるいは石英等の基板上にヒータ、インク
通路、及び凹凸構造体等を半導体プロセスに準じて加工
し、加工後の基板(ヒータチップ)を切断した後、ヘッ
ドベースに貼り付け、ドライバICをワイヤボンド等の
手段で接続し、インクタンクを取り付けることによって
作製される。所定ギャップは印画紙に対してヘッドを斜
めに当てることで確保される。また、フルカラーのプリ
ントは減法3原色のインクを入れた3つの上記ヘッド
を、シリアル駆動で、或いはライン型ヘッドにしてワン
パスで駆動して印画することができる。記録部の製造及
び転写に関して詳しくは後述する。なお、後述の実施例
に記載されているプリンタヘッドの転写部は256個の
転写部を持ち、シリアル駆動にて画像転写を行うもので
あるが、ヒータヘッドを長尺化して一括で画像転写を行
う転写方式(ライン方式)に対しても大きな原理的困難
は伴わず、下記の実施例から実施が容易に導かれる。
【0144】単位画素内の濃度変調は、単位画素あたり
に数10〜数100KHzの駆動周波数の基本周波数を
有する適当なデューティのパルスを階調数に応じた数だ
けバースト信号として与えることによって実現できる。
階調数が256の場合は単位画素の駆動は数100Hz
になる。
に数10〜数100KHzの駆動周波数の基本周波数を
有する適当なデューティのパルスを階調数に応じた数だ
けバースト信号として与えることによって実現できる。
階調数が256の場合は単位画素の駆動は数100Hz
になる。
【0145】ここで注記すべき点は、本発明の記録方法
は従来のインクジェット方式とは異なり、必ずしも一つ
の駆動パルスで一つのミストが噴出する訳ではないこと
である。典型的な転写動作例を紹介すると、最初の数パ
ルスではインク表面が十分蓄熱しないためにマランゴニ
流の振幅が小さくミストは噴出しないが、5パルス目く
らいから一つのパルスで数個から数10個の微小ミスト
が同時に噴出するようになる。従って、本発明の記録方
法における駆動は、インクジェット方式よりも、むしろ
昇華型感熱転写方式のような駆動方式が適している。
は従来のインクジェット方式とは異なり、必ずしも一つ
の駆動パルスで一つのミストが噴出する訳ではないこと
である。典型的な転写動作例を紹介すると、最初の数パ
ルスではインク表面が十分蓄熱しないためにマランゴニ
流の振幅が小さくミストは噴出しないが、5パルス目く
らいから一つのパルスで数個から数10個の微小ミスト
が同時に噴出するようになる。従って、本発明の記録方
法における駆動は、インクジェット方式よりも、むしろ
昇華型感熱転写方式のような駆動方式が適している。
【0146】本発明の記録方法に適した印画紙は、PP
C用紙などの普通紙、アート紙などの上質紙などが挙げ
られるが、特に階調性と濃度が高い高品質の画像を得る
ためには分散染料または油溶性染料を発色させる樹脂と
して、ポリエステル、ポリカーボネート、アセテート、
CAB(セルロースアセテートブチレート)、ポリ塩化
ビニルなどを基紙上に塗布して作製した専用紙も使用で
きる。インクの吸収速度を向上させるためには、シリ
カ、アルミナのような多孔質顔料の添加も効果が大き
い。
C用紙などの普通紙、アート紙などの上質紙などが挙げ
られるが、特に階調性と濃度が高い高品質の画像を得る
ためには分散染料または油溶性染料を発色させる樹脂と
して、ポリエステル、ポリカーボネート、アセテート、
CAB(セルロースアセテートブチレート)、ポリ塩化
ビニルなどを基紙上に塗布して作製した専用紙も使用で
きる。インクの吸収速度を向上させるためには、シリ
カ、アルミナのような多孔質顔料の添加も効果が大き
い。
【0147】得られた画像の保存安定性を向上させるた
めには、転写後の印画紙に樹脂フィルムをラミネートに
することが効果的である。特に噴出したミストが瞬時に
付着・定着するためには印画紙の表面が、平均孔寸法が
0.05以上、20μm以下の多孔質状であることが好
ましい。
めには、転写後の印画紙に樹脂フィルムをラミネートに
することが効果的である。特に噴出したミストが瞬時に
付着・定着するためには印画紙の表面が、平均孔寸法が
0.05以上、20μm以下の多孔質状であることが好
ましい。
【0148】印画紙にインクを完全に定着させるには、
転写直後の印画紙をヒートロールで印画紙内部へ拡散さ
せて発色、定着を促進させることも可能である。
転写直後の印画紙をヒートロールで印画紙内部へ拡散さ
せて発色、定着を促進させることも可能である。
【0149】また、本発明においては、インクの溶媒よ
りも常圧で20℃以上沸点が低い界面活性剤をインクに
添加して、加熱手段の駆動時に前記加熱領域の界面活性
剤を選択的に気化させてインクの表面張力勾配を発生せ
しめ、その表面張力勾配により生じるインクの流動を駆
動力としてインクミストを吐出させることができるが、
このような界面活性剤は、インクの溶媒よりも常圧で2
0℃以上、望ましくは、50℃以上沸点が低く、無色
で、毒性が低く、インクに1重量%以下添加することに
よって、インクの表面張力を3dyn/cm以上、望ま
しくは10dyn/cm以上変化させる界面活性剤であ
ることが望ましい。
りも常圧で20℃以上沸点が低い界面活性剤をインクに
添加して、加熱手段の駆動時に前記加熱領域の界面活性
剤を選択的に気化させてインクの表面張力勾配を発生せ
しめ、その表面張力勾配により生じるインクの流動を駆
動力としてインクミストを吐出させることができるが、
このような界面活性剤は、インクの溶媒よりも常圧で2
0℃以上、望ましくは、50℃以上沸点が低く、無色
で、毒性が低く、インクに1重量%以下添加することに
よって、インクの表面張力を3dyn/cm以上、望ま
しくは10dyn/cm以上変化させる界面活性剤であ
ることが望ましい。
【0150】具体的には、アルコール類、脂肪酸類、脂
肪酸エステル類、芳香族エステル類等の水素の一部をフ
ッ素に置換したフッ素系界面活性剤や、分子内にシリル
基を有するシリコーン系界面活性剤などが特に好まし
い。
肪酸エステル類、芳香族エステル類等の水素の一部をフ
ッ素に置換したフッ素系界面活性剤や、分子内にシリル
基を有するシリコーン系界面活性剤などが特に好まし
い。
【0151】上述したように、本発明に基づくマランゴ
ニ流の発生機構は、 ・加熱手段の駆動により、記録材における加熱領域とそ
の周囲領域との間に温度勾配が生じる。 ・記録材の表面張力の温度依存性により、温度勾配に従
う表面張力勾配が生じる。 ・加熱領域の表面張力勾配により、高温部から低温部へ
の記録材の流動(流れ)が生じる。 ことによるものである(図1参照)。
ニ流の発生機構は、 ・加熱手段の駆動により、記録材における加熱領域とそ
の周囲領域との間に温度勾配が生じる。 ・記録材の表面張力の温度依存性により、温度勾配に従
う表面張力勾配が生じる。 ・加熱領域の表面張力勾配により、高温部から低温部へ
の記録材の流動(流れ)が生じる。 ことによるものである(図1参照)。
【0152】但し、上述したように、このようなメカニ
ズム以外にも、本発明においては、以下の3つのマラン
ゴニ流の発生機構が考えられる。 (1)記録材と転写部底面との界面張力の温度依存性に
よる界面張力勾配:記録材と転写部底面(凹凸構造体の
壁面等も含む)との界面張力にも温度依存性がある。し
かしながら、界面張力の実測は困難であるために、マラ
ンゴニ流に対する界面張力勾配による寄与がどのくらい
であるかは現時点では不明であるが、無視できない量で
ある可能性がある。 (2)記録材の濃度分布によるマランゴニ流:記録材を
構成する色素、溶媒、その他の添加物はそれぞれ沸点が
異なるので、加熱手段を加熱すると、低沸点の成分のみ
が選択的に気化する。通常は、色素よりも溶媒の方が沸
点が低いので、溶媒だけが気化して色素は濃縮される。
従って、加熱領域の記録材に濃度勾配ができる。また、
表面張力(又は界面張力)は記録材の組成でも変化する
ので、記録材の濃度勾配に従い表面張力勾配が発生し
て、その結果、同様のマランゴニ流が発生する。 (3)界面活性剤の選択的気化によるマランゴニ流:前
記の(2)によるマランゴニ流において、記録材中に溶
媒及び色素よりも沸点の低い界面活性剤を添加すれば、
加熱領域の記録材の界面活性剤だけが選択的に気化して
失われ、表面張力勾配が発生する。界面活性剤の表面張
力に与える影響は大きいので、この発生機構によって大
きなマランゴニ流が発生する可能性がある。特に、一般
の界面活性剤は表面張力を低下させる作用を有するの
で、加熱領域での界面活性剤が失われると、図1に示し
たマランゴニ流の発生機構とは逆に、前記周囲領域より
も前記加熱領域での表面張力が大きくなり、前記周囲領
域から前記加熱領域に向かう記録材の流動が生じると考
えられる。
ズム以外にも、本発明においては、以下の3つのマラン
ゴニ流の発生機構が考えられる。 (1)記録材と転写部底面との界面張力の温度依存性に
よる界面張力勾配:記録材と転写部底面(凹凸構造体の
壁面等も含む)との界面張力にも温度依存性がある。し
かしながら、界面張力の実測は困難であるために、マラ
ンゴニ流に対する界面張力勾配による寄与がどのくらい
であるかは現時点では不明であるが、無視できない量で
ある可能性がある。 (2)記録材の濃度分布によるマランゴニ流:記録材を
構成する色素、溶媒、その他の添加物はそれぞれ沸点が
異なるので、加熱手段を加熱すると、低沸点の成分のみ
が選択的に気化する。通常は、色素よりも溶媒の方が沸
点が低いので、溶媒だけが気化して色素は濃縮される。
従って、加熱領域の記録材に濃度勾配ができる。また、
表面張力(又は界面張力)は記録材の組成でも変化する
ので、記録材の濃度勾配に従い表面張力勾配が発生し
て、その結果、同様のマランゴニ流が発生する。 (3)界面活性剤の選択的気化によるマランゴニ流:前
記の(2)によるマランゴニ流において、記録材中に溶
媒及び色素よりも沸点の低い界面活性剤を添加すれば、
加熱領域の記録材の界面活性剤だけが選択的に気化して
失われ、表面張力勾配が発生する。界面活性剤の表面張
力に与える影響は大きいので、この発生機構によって大
きなマランゴニ流が発生する可能性がある。特に、一般
の界面活性剤は表面張力を低下させる作用を有するの
で、加熱領域での界面活性剤が失われると、図1に示し
たマランゴニ流の発生機構とは逆に、前記周囲領域より
も前記加熱領域での表面張力が大きくなり、前記周囲領
域から前記加熱領域に向かう記録材の流動が生じると考
えられる。
【0153】ここで、前記転写部底面の少なくとも一部
が露出する場合の転写原理について、図2を参照に説明
する。
が露出する場合の転写原理について、図2を参照に説明
する。
【0154】図2(A)に示すように、例えば、インク
保持手段(壁又は前記凹凸構造体)2によって厚さが規
定されているインク5が配されている転写部1bに設け
られたヒータ4を加熱すると、ヒータ4直上のインクは
その周囲領域の相対的に表面張力の高いインクに引かれ
て、図2(B)に示すように、液面が変形し、図中矢印
に示す如く外向きのインク進行波が発生する。
保持手段(壁又は前記凹凸構造体)2によって厚さが規
定されているインク5が配されている転写部1bに設け
られたヒータ4を加熱すると、ヒータ4直上のインクは
その周囲領域の相対的に表面張力の高いインクに引かれ
て、図2(B)に示すように、液面が変形し、図中矢印
に示す如く外向きのインク進行波が発生する。
【0155】次いで、図2(C)に示すように、転写部
1bのヒータ4上のインク(即ち、加熱領域のインク)
がその周囲領域に移動する結果、ヒータ4の直上の底面
3が完全に露出する。図示の如く、外向きのインク進行
波とインク保持手段(壁又は凹凸構造体)とが衝突する
と、その速度成分が上向きに転じて、インク保持手段2
に沿って、インク液面が上方向に盛り上がり、次いで、
図2(D)に示すように、インク5の一部が上向きにミ
スト6として噴出する。
1bのヒータ4上のインク(即ち、加熱領域のインク)
がその周囲領域に移動する結果、ヒータ4の直上の底面
3が完全に露出する。図示の如く、外向きのインク進行
波とインク保持手段(壁又は凹凸構造体)とが衝突する
と、その速度成分が上向きに転じて、インク保持手段2
に沿って、インク液面が上方向に盛り上がり、次いで、
図2(D)に示すように、インク5の一部が上向きにミ
スト6として噴出する。
【0156】次いで、ヒータ4の加温を停止してインク
表面が冷却され、加熱領域とその周囲領域とにおける表
面張力差が小さくなると、メニスカスの回復力或いは転
写部表面の毛管力により、図2(E)に示すように、図
中矢印で示すように内向きのインク進行波が発生する。
なお、この時、転写部1bの底面3は一部露出した状態
に(完全には露出していない状態)なっていてもよい
し、全て覆われた状態になっていてもよい。
表面が冷却され、加熱領域とその周囲領域とにおける表
面張力差が小さくなると、メニスカスの回復力或いは転
写部表面の毛管力により、図2(E)に示すように、図
中矢印で示すように内向きのインク進行波が発生する。
なお、この時、転写部1bの底面3は一部露出した状態
に(完全には露出していない状態)なっていてもよい
し、全て覆われた状態になっていてもよい。
【0157】図2(F)に示すように、この内向きのイ
ンク進行波同士が例えば加熱領域で衝突することによっ
て、図2(G)に示すように、インク5の一部がミスト
6として上向きに噴出する。この動作を周期的に繰り返
すことによって、絶え間なくインクミストが噴出するこ
とになる。このように、底面3が露出するようにインク
5を流動させることによって、上述したように、インク
ミスト6の噴出効率が向上するだけでなく、駆動周波数
も向上できる。
ンク進行波同士が例えば加熱領域で衝突することによっ
て、図2(G)に示すように、インク5の一部がミスト
6として上向きに噴出する。この動作を周期的に繰り返
すことによって、絶え間なくインクミストが噴出するこ
とになる。このように、底面3が露出するようにインク
5を流動させることによって、上述したように、インク
ミスト6の噴出効率が向上するだけでなく、駆動周波数
も向上できる。
【0158】次に、上記(3)の場合の転写原理につい
て、図3を参照に説明する。
て、図3を参照に説明する。
【0159】図3(A)に示すように、転写部1cにお
いて、例えばインク保持手段(壁又は前記凹凸構造体)
2によるインク収容部に界面活性剤を含むインク5’を
配すると、界面活性剤は自発的に気−液界面に集まり、
その界面に界面活性剤からなる膜(図示省略)を形成す
る。
いて、例えばインク保持手段(壁又は前記凹凸構造体)
2によるインク収容部に界面活性剤を含むインク5’を
配すると、界面活性剤は自発的に気−液界面に集まり、
その界面に界面活性剤からなる膜(図示省略)を形成す
る。
【0160】このような状態のインク5’が配された転
写部1cの所定位置に設けられているヒータ4を加熱す
ると、ヒータ4の熱がインク表面に伝導して、相対的に
沸点の低い界面活性剤が選択的に揮発して、図3(B)
に示すように、ヒータ直上部だけ界面活性剤が消失した
孔(界面活性剤消失部)7が形成される。
写部1cの所定位置に設けられているヒータ4を加熱す
ると、ヒータ4の熱がインク表面に伝導して、相対的に
沸点の低い界面活性剤が選択的に揮発して、図3(B)
に示すように、ヒータ直上部だけ界面活性剤が消失した
孔(界面活性剤消失部)7が形成される。
【0161】すると、ヒータ直上部のインクの表面張力
が上昇し、前記周囲領域のインクはヒータ直上部の相対
的に表面張力の高いインクに引かれて液面が変化し、内
向きの進行波が発生する。
が上昇し、前記周囲領域のインクはヒータ直上部の相対
的に表面張力の高いインクに引かれて液面が変化し、内
向きの進行波が発生する。
【0162】次いで、図3(C)に示すように、例えば
前記加熱領域で液面が盛り上がり、図3(D)に示すよ
うに、内向きのインク進行波が前記加熱領域で衝突する
ことで、インク5’の一部が上向きにミスト6として噴
出する。
前記加熱領域で液面が盛り上がり、図3(D)に示すよ
うに、内向きのインク進行波が前記加熱領域で衝突する
ことで、インク5’の一部が上向きにミスト6として噴
出する。
【0163】次いで、転写部1cを冷却すると、図3
(E)及び(F)に示すように、界面活性剤の膜は再び
インク5’全体を覆う。この動作を繰り返すことによっ
て、絶え間なくインクミストが噴出することになる。
(E)及び(F)に示すように、界面活性剤の膜は再び
インク5’全体を覆う。この動作を繰り返すことによっ
て、絶え間なくインクミストが噴出することになる。
【0164】次に、本発明の記録方法に基づいてインク
が飛翔する様子を図4を参照に説明する。
が飛翔する様子を図4を参照に説明する。
【0165】図4は、個別電極13及び共通電極12に
接続されたヒータ11を有する転写部から、本発明に基
づいてインクが飛翔する様子を示すものである。即ち、
図4に示すように、本発明によれば、例えばヒータに印
加する信号パルスのデューティ40〜80%程度で、イ
ンクは、気化物16及び小ミスト15と同時に、直径2
μm以上の大ミスト41として飛翔し、図示しない対向
配置された被転写体上に付着する。
接続されたヒータ11を有する転写部から、本発明に基
づいてインクが飛翔する様子を示すものである。即ち、
図4に示すように、本発明によれば、例えばヒータに印
加する信号パルスのデューティ40〜80%程度で、イ
ンクは、気化物16及び小ミスト15と同時に、直径2
μm以上の大ミスト41として飛翔し、図示しない対向
配置された被転写体上に付着する。
【0166】これに対して、図5に示すように、特に信
号パルスのデューティ80〜90%程度とすると、イン
クは気化物16として飛翔し(場合によっては直径1μ
m程度の小ミストを含む)、図示しない対向配置された
被転写体上に付着する。
号パルスのデューティ80〜90%程度とすると、イン
クは気化物16として飛翔し(場合によっては直径1μ
m程度の小ミストを含む)、図示しない対向配置された
被転写体上に付着する。
【0167】このように、前記加熱手段に印加する信号
パルスのデューティ等を適宜設定することによって、画
像情報に応じて転写部を選択的に加熱し、加熱量に応じ
た記録材を、主として1ピコリットル以下のミスト(直
径2μm以上のミストを含む)として吐出せしめ、対向
する印画紙等に単位画素としてインクを付着、定着し
て、例えば64以上の濃度的な階調を有する高品位なフ
ルカラー画像を得ることができる。
パルスのデューティ等を適宜設定することによって、画
像情報に応じて転写部を選択的に加熱し、加熱量に応じ
た記録材を、主として1ピコリットル以下のミスト(直
径2μm以上のミストを含む)として吐出せしめ、対向
する印画紙等に単位画素としてインクを付着、定着し
て、例えば64以上の濃度的な階調を有する高品位なフ
ルカラー画像を得ることができる。
【0168】次に、本発明に基づくプリンタヘッドの構
成例を図6〜図8を参照に説明する。
成例を図6〜図8を参照に説明する。
【0169】図6は、本発明に基づくプリンタヘッドの
下面図、図7は、プリンタヘッドのインク貯蔵部のカバ
ーを外した状態に下面図であり、図8は、このプリンタ
ヘッドによってプリンタ用紙等の印画紙の所定画像の転
写を行う状態の概略断面図をそれぞれ示すものである。
下面図、図7は、プリンタヘッドのインク貯蔵部のカバ
ーを外した状態に下面図であり、図8は、このプリンタ
ヘッドによってプリンタ用紙等の印画紙の所定画像の転
写を行う状態の概略断面図をそれぞれ示すものである。
【0170】図6に示すように、このプリンタヘッド2
0においては、ヒートシンクを兼ねたアルミニウム製の
ヘッドベース23上にプリント基板26及びヘッドチッ
プ22が例えばシリコン系の接着剤により接着され、更
にその上に、図7に示すようにカバー29が取り付けら
れて同じ接着剤により接着されている。
0においては、ヒートシンクを兼ねたアルミニウム製の
ヘッドベース23上にプリント基板26及びヘッドチッ
プ22が例えばシリコン系の接着剤により接着され、更
にその上に、図7に示すようにカバー29が取り付けら
れて同じ接着剤により接着されている。
【0171】また、図8に示すように、ヘッドベース2
3のプリント基板26の取り付け部はプリント基板26
の厚さだけ薄く形成され、そこにプリント基板26を取
り付けた状態で、プリント基板26上に実装されている
発熱体駆動用のドライバIC24を含む高さが、プリン
ト基板26に並列して取り付けられているヘッドチップ
22の上面とほぼ同じ高さとなっている。
3のプリント基板26の取り付け部はプリント基板26
の厚さだけ薄く形成され、そこにプリント基板26を取
り付けた状態で、プリント基板26上に実装されている
発熱体駆動用のドライバIC24を含む高さが、プリン
ト基板26に並列して取り付けられているヘッドチップ
22の上面とほぼ同じ高さとなっている。
【0172】ヘッドチップ22の接着部には、ヘッドチ
ップ22が均一に接着されるように、ヘッドベース23
上に溝21が設けられ、ヘッドチップ22を接着する際
の余分な接着剤がこの溝21に逃げるようになってい
る。そして、図6及び図8に示すように、ヘッドチップ
22上の電極とドライバIC24との接続部、及び、ド
ライバIC24とプリント基板26上の配線との接続部
には、接続用のボンディングワイヤを保護するために、
例えばシリコーン系のコーティング材JCR(ジャンク
ション・コーティング・レジン)25を塗布し、熱硬化
してある。
ップ22が均一に接着されるように、ヘッドベース23
上に溝21が設けられ、ヘッドチップ22を接着する際
の余分な接着剤がこの溝21に逃げるようになってい
る。そして、図6及び図8に示すように、ヘッドチップ
22上の電極とドライバIC24との接続部、及び、ド
ライバIC24とプリント基板26上の配線との接続部
には、接続用のボンディングワイヤを保護するために、
例えばシリコーン系のコーティング材JCR(ジャンク
ション・コーティング・レジン)25を塗布し、熱硬化
してある。
【0173】図6及び図8に示すように、プリント基板
26にはヘッドベース23を貫通したインク導入孔27
が設けられ、液状のインク5はヘッドベース23側から
カバー29とヘッドベース23との間に導入される。そ
して、プリント基板26の一部及びヘッドチップ22の
一部を覆うようにカバー29が接着、封止され、このカ
バー29の内面がインク導入孔27から導入されるイン
ク5を受けて、図外の分岐路へインク5を供給する共通
のインク供給路を形成している。
26にはヘッドベース23を貫通したインク導入孔27
が設けられ、液状のインク5はヘッドベース23側から
カバー29とヘッドベース23との間に導入される。そ
して、プリント基板26の一部及びヘッドチップ22の
一部を覆うようにカバー29が接着、封止され、このカ
バー29の内面がインク導入孔27から導入されるイン
ク5を受けて、図外の分岐路へインク5を供給する共通
のインク供給路を形成している。
【0174】そして、このプリンタヘッド20は、図8
に示すように、ヘッドチップ22が設けられている側の
ヘッドベース23の一端38を被転写体(被記録体)3
7に接触させることにより、被転写体37に対して所定
の角度を保ち、図示しないインク飛翔部の飛翔中心Cと
被転写体37との間隔を一定に保つことができるように
なっている。
に示すように、ヘッドチップ22が設けられている側の
ヘッドベース23の一端38を被転写体(被記録体)3
7に接触させることにより、被転写体37に対して所定
の角度を保ち、図示しないインク飛翔部の飛翔中心Cと
被転写体37との間隔を一定に保つことができるように
なっている。
【0175】図8において示す実線の矢印Sは、印画時
のプリンタヘッド20の走査方向であり、破線の矢印
S’は印画後の戻りの方向を示している。従って、印画
の際は、プリント基板26の端部に設けたコネクタ28
を経由して送られる画像データに対応した信号によって
ヒータを加熱し、図示しないインク飛翔部からインク5
を飛翔させ、被転写体37に転写させる。プリント基板
26上の配線は、コネクタ28を介して可撓性のFPC
(フレキシブル・プリント・サーキット:図示省略)に
接続され、例えば、図9(シリアル方式)及び図10
(ライン方式)に示すようにして使用される。
のプリンタヘッド20の走査方向であり、破線の矢印
S’は印画後の戻りの方向を示している。従って、印画
の際は、プリント基板26の端部に設けたコネクタ28
を経由して送られる画像データに対応した信号によって
ヒータを加熱し、図示しないインク飛翔部からインク5
を飛翔させ、被転写体37に転写させる。プリント基板
26上の配線は、コネクタ28を介して可撓性のFPC
(フレキシブル・プリント・サーキット:図示省略)に
接続され、例えば、図9(シリアル方式)及び図10
(ライン方式)に示すようにして使用される。
【0176】シリアル方式の場合は、図9に示すよう
に、並列に配した3個の各色用のプリンタヘッド20a
に例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シア
ン)の三原色のインク(更に黒を加えてもよい。)を収
容したインク貯留部を取り付け、このプリンタヘッドを
連結材34を介して送り軸35に係合させた可動片32
に連結する。送り軸35と可動片32とはねじ式に係合
されているので、図示省略した駆動源による送り軸35
の回動に伴い、各記録用プリンタヘッドY、M及びCは
図中矢印Y方向へ往復動する。
に、並列に配した3個の各色用のプリンタヘッド20a
に例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シア
ン)の三原色のインク(更に黒を加えてもよい。)を収
容したインク貯留部を取り付け、このプリンタヘッドを
連結材34を介して送り軸35に係合させた可動片32
に連結する。送り軸35と可動片32とはねじ式に係合
されているので、図示省略した駆動源による送り軸35
の回動に伴い、各記録用プリンタヘッドY、M及びCは
図中矢印Y方向へ往復動する。
【0177】一方、このプリンタヘッド20に対向配置
された被転写体37は、プリンタヘッド20aの1ライ
ンの走査毎に送りローラ39によって図中矢印X方向へ
移動する。従って、プラテン36とプリンタヘッドY、
M及びCとの間に挟まれるように位置する被転写体37
はプリンタヘッド20aによって印画が遂行される。
された被転写体37は、プリンタヘッド20aの1ライ
ンの走査毎に送りローラ39によって図中矢印X方向へ
移動する。従って、プラテン36とプリンタヘッドY、
M及びCとの間に挟まれるように位置する被転写体37
はプリンタヘッド20aによって印画が遂行される。
【0178】また、ライン方式の場合は、図10に示す
ように、被転写体37の幅に対応する長さに作製したプ
リンタヘッド20bを各色別に図中X方向に縦列に配
し、このプリンタヘッド20bに、前記のシアリル方式
と同様に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シア
ン)の三色のインク(更に黒を加えてもよい。)をそれ
ぞれ収容したインク貯留槽を取り付ける。
ように、被転写体37の幅に対応する長さに作製したプ
リンタヘッド20bを各色別に図中X方向に縦列に配
し、このプリンタヘッド20bに、前記のシアリル方式
と同様に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シア
ン)の三色のインク(更に黒を加えてもよい。)をそれ
ぞれ収容したインク貯留槽を取り付ける。
【0179】従って、上記したプリンタヘッドY、M及
びCに対向配置され、この各プリンタヘッドとプラテン
19との間に挟まれた被転写体37に対して各プリンタ
ヘッドによって印画が行われ、被転写体37はローラ3
9により図中矢印X方向へ移動しながら逐次印画が遂行
される。
びCに対向配置され、この各プリンタヘッドとプラテン
19との間に挟まれた被転写体37に対して各プリンタ
ヘッドによって印画が行われ、被転写体37はローラ3
9により図中矢印X方向へ移動しながら逐次印画が遂行
される。
【0180】次に、本発明に基づくプリンタヘッドのヘ
ッドチップ部分の製造プロセスを順に説明する。但し、
本発明に基づくプリンタヘッドの製造プロセスは以下の
製造プロセスに限定されるものではない。
ッドチップ部分の製造プロセスを順に説明する。但し、
本発明に基づくプリンタヘッドの製造プロセスは以下の
製造プロセスに限定されるものではない。
【0181】なお、図11〜図23は、各工程における
概略断面図であり、図24〜図30はこの工程に対応し
た一部分の工程を示す概略平面図である。
概略断面図であり、図24〜図30はこの工程に対応し
た一部分の工程を示す概略平面図である。
【0182】まず、図11に示すように、ヘッドチップ
は、放熱特性の良好な(熱電導率の高い)シリコンウエ
ハをヒータチップの基板41として用いることができ
る。そして、この上に熱酸化あるいはCVD法(化学的
気相成長法:Chemical Vapor Deposition )等によって
SiO2 層42を例えば厚さ1〜2μm程度に成膜す
る。このSiO2 膜42はヒータ直下で蓄熱層としての
働きをするので、SiO2層42の厚さ、さらにはベー
スとなるアルミニウムヒートシンクの放熱特性を考慮し
てその厚さを決定する必要がある。
は、放熱特性の良好な(熱電導率の高い)シリコンウエ
ハをヒータチップの基板41として用いることができ
る。そして、この上に熱酸化あるいはCVD法(化学的
気相成長法:Chemical Vapor Deposition )等によって
SiO2 層42を例えば厚さ1〜2μm程度に成膜す
る。このSiO2 膜42はヒータ直下で蓄熱層としての
働きをするので、SiO2層42の厚さ、さらにはベー
スとなるアルミニウムヒートシンクの放熱特性を考慮し
てその厚さを決定する必要がある。
【0183】次いで、図12に示すように、SiO2 層
42上に減圧CVD法等によって抵抗体(発熱体)とな
るポリシリコン層43を例えば厚さ0.4μm程度に成
膜する。ポリシリコン層43はリン(P)等をドープす
ることによってシート抵抗が4kΩ程度になるように成
膜することが望ましい。
42上に減圧CVD法等によって抵抗体(発熱体)とな
るポリシリコン層43を例えば厚さ0.4μm程度に成
膜する。ポリシリコン層43はリン(P)等をドープす
ることによってシート抵抗が4kΩ程度になるように成
膜することが望ましい。
【0184】次いで、図13に示すように、ポリシリコ
ン層43上に電極を形成するためのアルミニウム層44
をスパッタ法等によって例えば0.5μm程度に成膜す
る。この場合、導体としてはアルミニウム以外にも金、
銅、白金等の金属を用いることができる。
ン層43上に電極を形成するためのアルミニウム層44
をスパッタ法等によって例えば0.5μm程度に成膜す
る。この場合、導体としてはアルミニウム以外にも金、
銅、白金等の金属を用いることができる。
【0185】次いで、図14(図24のXIV −XIV 線断
面図)及び図24に示すように、ヒータ部45(但し、
ここでは簡略化のためにその個数を4としているが、実
際にはそれ以上あってよい:以下、同様)を形成する部
分のポリシリコン層43を露出させるために、フォトレ
ジストを所定パターンに形成し、エッチング液でその部
分のアルミニウム層44を選択的に除去する。図24は
この工程に対応する平面図である。アルミニウム層44
のエッチング液としてはリン酸:硝酸:酢酸:水=4:
1:4:1の比で混合した混酸を用いることができる。
面図)及び図24に示すように、ヒータ部45(但し、
ここでは簡略化のためにその個数を4としているが、実
際にはそれ以上あってよい:以下、同様)を形成する部
分のポリシリコン層43を露出させるために、フォトレ
ジストを所定パターンに形成し、エッチング液でその部
分のアルミニウム層44を選択的に除去する。図24は
この工程に対応する平面図である。アルミニウム層44
のエッチング液としてはリン酸:硝酸:酢酸:水=4:
1:4:1の比で混合した混酸を用いることができる。
【0186】次いで、図15(図25のXV−XV線断面
図)及び図25に示すように、夫々のヒータ部45に導
通するように、所定の配線パターンをフォトレジストで
形成した後、これをマスクにして上記のアルミニウム・
エッチング液でアルミニウム層44を共通電極44b及
び個別電極44aの導体パターンにエッチングする。
図)及び図25に示すように、夫々のヒータ部45に導
通するように、所定の配線パターンをフォトレジストで
形成した後、これをマスクにして上記のアルミニウム・
エッチング液でアルミニウム層44を共通電極44b及
び個別電極44aの導体パターンにエッチングする。
【0187】次いで、図16(図26の XVI−XVI 線断
面図)及び図26に示すように、前記のアルミニウム・
エッチング液ではポリシリコン層43はエッチングされ
ないので、上記と同様のフォトレジストをマスクとし
て、例えばRIE(リアクティブ・イオン・エッチン
グ)法でCF4 ガス(フッ化炭素ガス)によってポリシ
リコン層43をアルミニウム層44と同様のパターンに
エッチングする。
面図)及び図26に示すように、前記のアルミニウム・
エッチング液ではポリシリコン層43はエッチングされ
ないので、上記と同様のフォトレジストをマスクとし
て、例えばRIE(リアクティブ・イオン・エッチン
グ)法でCF4 ガス(フッ化炭素ガス)によってポリシ
リコン層43をアルミニウム層44と同様のパターンに
エッチングする。
【0188】但し、この時、ヒータ部45のポリシリコ
ン層43上には、図示しないが、フォトレジストがある
ので、この部分のポリシリコン層43はエッチングされ
ない。これにより、はじめにポリシリコン層43を露出
させた部分以外はアルミニウム層44とポリシリコン層
43とが同じ形に導体パターンとして加工され、後の工
程で行う加熱処理によってアルミニウム層44(個別電
極44a及び共通電極44b)とポリシリコン層43と
がオーミックコンタクトし、導体として機能する。ポリ
シリコン層43が露出した部分は高抵抗の抵抗体となり
抵抗加熱ヒータ部45として機能する。
ン層43上には、図示しないが、フォトレジストがある
ので、この部分のポリシリコン層43はエッチングされ
ない。これにより、はじめにポリシリコン層43を露出
させた部分以外はアルミニウム層44とポリシリコン層
43とが同じ形に導体パターンとして加工され、後の工
程で行う加熱処理によってアルミニウム層44(個別電
極44a及び共通電極44b)とポリシリコン層43と
がオーミックコンタクトし、導体として機能する。ポリ
シリコン層43が露出した部分は高抵抗の抵抗体となり
抵抗加熱ヒータ部45として機能する。
【0189】次いで、図17に示すように、SiO2 層
47を全面に例えばCVD法によって6μm程度成膜し
て、例えば450℃で30分間窒素雰囲気中でアニール
し、ポリシリコン層とアルミニウム層のオーミックコン
タクト(つまり、抵抗体と各電極とのオーミックコンタ
クト)がとれるようにシリンダ処理する。
47を全面に例えばCVD法によって6μm程度成膜し
て、例えば450℃で30分間窒素雰囲気中でアニール
し、ポリシリコン層とアルミニウム層のオーミックコン
タクト(つまり、抵抗体と各電極とのオーミックコンタ
クト)がとれるようにシリンダ処理する。
【0190】次いで、図18に示すように、インク保持
手段としての柱状体(小円柱体)と、毛管力によってイ
ンクが保持される微細孔としてのインク収容部とを形成
する際のメタルマスクとなるメタル層(例えばクロム)
40aをスパッタ法等で例えば0.2μm程度成膜す
る。
手段としての柱状体(小円柱体)と、毛管力によってイ
ンクが保持される微細孔としてのインク収容部とを形成
する際のメタルマスクとなるメタル層(例えばクロム)
40aをスパッタ法等で例えば0.2μm程度成膜す
る。
【0191】次いで、図19に示すように、柱状体とイ
ンク収容部とを形成するために所定パターンをフォトレ
ジストで形成し、RIE法で塩素と酸素の混合ガスによ
って不要なクロム膜を除去し、所定パターンのメタルマ
スク40bを形成する。図27は図19に対応する平面
図であるが、図27においては、図19におけるSiO
2 層47は図示省略しメタルマスク40bを示してい
る。
ンク収容部とを形成するために所定パターンをフォトレ
ジストで形成し、RIE法で塩素と酸素の混合ガスによ
って不要なクロム膜を除去し、所定パターンのメタルマ
スク40bを形成する。図27は図19に対応する平面
図であるが、図27においては、図19におけるSiO
2 層47は図示省略しメタルマスク40bを示してい
る。
【0192】次いで、図20に示すように、電極取り出
し用のボンディングパッド部48及び49を開口させる
ための所定パターンをフォトレジストで形成し、RIE
法でSiO2 層47を1μm程度エッチングする。これ
は、インク収容部と柱状体の群とを形成する次段の工程
において、ウエハー上に存在する全ての電極取り出し用
ボンディングパッド部を確実に開口させるために行うも
のである。
し用のボンディングパッド部48及び49を開口させる
ための所定パターンをフォトレジストで形成し、RIE
法でSiO2 層47を1μm程度エッチングする。これ
は、インク収容部と柱状体の群とを形成する次段の工程
において、ウエハー上に存在する全ての電極取り出し用
ボンディングパッド部を確実に開口させるために行うも
のである。
【0193】次いで、図21(図28の XXI−XXI 線断
面図)及び図28に示すように、所定パターンに形成さ
れたメタルマスク40bをマスクとしてRIE法によっ
てエッチングを行い、SiO2 層47にインク収容部5
0と柱状体の群52(本数略図示)とをそれぞれ形成す
る。この例では、インク収容部50と柱状体52の群と
は1個のヒータ部45にそれぞれ1組ずつ形成される。
この時に、電極取り出し用ボンディングパッド部48、
49の開口も同時に行い、電極のアルミニウムを露出さ
せる。なお、図28においても、図21におけるSiO
2 層47は図示省略している。また、図21において仮
想線で示した符号51は後述する囲い壁を示している。
面図)及び図28に示すように、所定パターンに形成さ
れたメタルマスク40bをマスクとしてRIE法によっ
てエッチングを行い、SiO2 層47にインク収容部5
0と柱状体の群52(本数略図示)とをそれぞれ形成す
る。この例では、インク収容部50と柱状体52の群と
は1個のヒータ部45にそれぞれ1組ずつ形成される。
この時に、電極取り出し用ボンディングパッド部48、
49の開口も同時に行い、電極のアルミニウムを露出さ
せる。なお、図28においても、図21におけるSiO
2 層47は図示省略している。また、図21において仮
想線で示した符号51は後述する囲い壁を示している。
【0194】次いで、図22(図29のXXII−XXII線概
略断面図)及び図29に示すように、厚み25μm程度
のドライフィルム(シートレジスト)53をラミネート
し、インク供給路の隔壁として所定パターンにパターニ
ングする。
略断面図)及び図29に示すように、厚み25μm程度
のドライフィルム(シートレジスト)53をラミネート
し、インク供給路の隔壁として所定パターンにパターニ
ングする。
【0195】更に、図23(図30の XXIII−XXIII 線
概略断面図)及び図30に示すように、予め精密に加工
した厚さ25μm程度のニッケルシート54からなるイ
ンク供給路の蓋を熱圧着により形成する。
概略断面図)及び図30に示すように、予め精密に加工
した厚さ25μm程度のニッケルシート54からなるイ
ンク供給路の蓋を熱圧着により形成する。
【0196】このようにシリコン基板上に転写部のヒー
タ及び配線導体、インク収容部ならびに分岐路を一体に
形成し、所定のヘッドチップの大きさにカットして、ヘ
ッドチップは完成する。
タ及び配線導体、インク収容部ならびに分岐路を一体に
形成し、所定のヘッドチップの大きさにカットして、ヘ
ッドチップは完成する。
【0197】そして、このヘッドチップの各ヒータ45
を画像データに対応した信号で駆動するため、既述の図
6に示したようにドライバIC等が実装され、ガラスエ
ポキシからなるプリント基板上に銅線等によりドライバ
ICとコネクタとを結線できるように配線を形成する。
を画像データに対応した信号で駆動するため、既述の図
6に示したようにドライバIC等が実装され、ガラスエ
ポキシからなるプリント基板上に銅線等によりドライバ
ICとコネクタとを結線できるように配線を形成する。
【0198】ヘッドチップ上の電極とドライバIC及び
ドライバICとプリント基板上のコネクタの配線との接
続は、例えばそれぞれ直径25ミクロンの金線をワイヤ
ーボンドで接続する。更に、ドライバICとボンディン
グしたワイヤーを保護するために、シリコン系のJCR
(ジャンクション・コーティング・レジン)を塗布し熱
硬化させる。
ドライバICとプリント基板上のコネクタの配線との接
続は、例えばそれぞれ直径25ミクロンの金線をワイヤ
ーボンドで接続する。更に、ドライバICとボンディン
グしたワイヤーを保護するために、シリコン系のJCR
(ジャンクション・コーティング・レジン)を塗布し熱
硬化させる。
【0199】上記の如く作製したヘッドチップは、既述
した図6〜図8に示すように、ベースに接着され、更に
カバーが取り付けられて、既述した図9に示すシリアル
方式、または図10に示すライン方式のプリンタヘッド
として使用する。
した図6〜図8に示すように、ベースに接着され、更に
カバーが取り付けられて、既述した図9に示すシリアル
方式、または図10に示すライン方式のプリンタヘッド
として使用する。
【0200】このように、上述した製造プロセスによれ
ば、半導体微細加工プロセスを応用して容易に、かつ精
度良く本発明に基づくプリンタヘッドを製造することが
できる。
ば、半導体微細加工プロセスを応用して容易に、かつ精
度良く本発明に基づくプリンタヘッドを製造することが
できる。
【0201】また、例えば図31に示すように、それぞ
れの染料飛翔部(転写部)を取り囲むように、SiO2
からなる隔壁51(図21においては仮想線で表示)を
形成し、この上にNiシート54を取り付ければ、この
隔壁によって染料の良好なメニスカスが形成される。
れの染料飛翔部(転写部)を取り囲むように、SiO2
からなる隔壁51(図21においては仮想線で表示)を
形成し、この上にNiシート54を取り付ければ、この
隔壁によって染料の良好なメニスカスが形成される。
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明が以下の実施例のみに限定されるもので
ないことは勿論である。
するが、本発明が以下の実施例のみに限定されるもので
ないことは勿論である。
【0202】例1 <プリンタヘッドの構造>本実施例に基づくプリンタヘ
ッドは、図6〜8に示した如き構造を有するプリンタヘ
ッドであり、ヒートシンクを兼ねたアルミ製のヘッドベ
ース23、転写部及び転写部へインクを導くインク供給
路を一体で形成したヒータチップ22、ドライバIC2
4を実装し転写する画像データに合わせて各ヒータに電
流を供給するように配線が形成されたプリント基板2
6、及び、ドライバーIC24の保護とインクの供給路
とを兼ねたカバー29により構成されている。後述する
ように、印画紙はヘッドベースの一部と接触することに
より、転写部と印画紙の所定のギャップを保持してい
る。
ッドは、図6〜8に示した如き構造を有するプリンタヘ
ッドであり、ヒートシンクを兼ねたアルミ製のヘッドベ
ース23、転写部及び転写部へインクを導くインク供給
路を一体で形成したヒータチップ22、ドライバIC2
4を実装し転写する画像データに合わせて各ヒータに電
流を供給するように配線が形成されたプリント基板2
6、及び、ドライバーIC24の保護とインクの供給路
とを兼ねたカバー29により構成されている。後述する
ように、印画紙はヘッドベースの一部と接触することに
より、転写部と印画紙の所定のギャップを保持してい
る。
【0203】図35は、本例に基づくプリンタヘッドの
ヒータチップ先端部付近の拡大図である。ヒータチップ
には上述の如き半導体のリソグラフィープロセスを応用
して、インクを加熱するための加熱手段(ヒータ)45
と各ヒータにそれぞれ画像信号に基づいた信号電圧を印
加し、通電するための配線(個別電極62、共通電極6
3)、及び、図中矢印方向に染料を供給するためのイン
ク供給路87が形成されている。
ヒータチップ先端部付近の拡大図である。ヒータチップ
には上述の如き半導体のリソグラフィープロセスを応用
して、インクを加熱するための加熱手段(ヒータ)45
と各ヒータにそれぞれ画像信号に基づいた信号電圧を印
加し、通電するための配線(個別電極62、共通電極6
3)、及び、図中矢印方向に染料を供給するためのイン
ク供給路87が形成されている。
【0204】例1でのヒータ間のピッチは84.7μm
周期で、一つのヒータチップに256個のヒータ(即ち
転写部)を形成した。1個のヒータが1ドットを転写す
るので、300dpiの解像度を実現できる。個々のヒ
ータは20μm×20μmの大きさのpoly−Si
(ポリシリコン)によって形成され、ヒータ45に画像
信号に基づいた信号電圧を印加し通電するための個別電
極62と共通電極63とが接続されている。
周期で、一つのヒータチップに256個のヒータ(即ち
転写部)を形成した。1個のヒータが1ドットを転写す
るので、300dpiの解像度を実現できる。個々のヒ
ータは20μm×20μmの大きさのpoly−Si
(ポリシリコン)によって形成され、ヒータ45に画像
信号に基づいた信号電圧を印加し通電するための個別電
極62と共通電極63とが接続されている。
【0205】転写部61へのインクの供給は、図35に
示すシートレジスト64とNiシート65とからなるト
ンネル状のインク供給路87を経由して行われる。イン
ク供給路87の隔壁を形成しているシートレジスト64
の端部は、ヒータ45の中心から100μm後退した位
置になっており、さらにインク供給路87の蓋を形成し
ているNiシート65の端部は、シートレジスト64の
端部から更に100μm後退した位置になっている。
示すシートレジスト64とNiシート65とからなるト
ンネル状のインク供給路87を経由して行われる。イン
ク供給路87の隔壁を形成しているシートレジスト64
の端部は、ヒータ45の中心から100μm後退した位
置になっており、さらにインク供給路87の蓋を形成し
ているNiシート65の端部は、シートレジスト64の
端部から更に100μm後退した位置になっている。
【0206】このように、ヒータ近傍の転写部61を密
閉されない開放端とすることでヒータ上面のインクの液
面をコントロールし、インクが供給過剰になることを防
いでいる。ヒータ上面にインクが必要以上に供給される
と、マランゴニ流に要するヒータへの供給エネルギーが
大きくなり転写効率が低下してしまうことがある。ま
た、シートレジスト64、Niシート65の端部位置を
基板面からの高さが高いものほど転写部から遠ざけるこ
とで、ヘッドと被記録体を対向させた際の接触を防いで
いる。
閉されない開放端とすることでヒータ上面のインクの液
面をコントロールし、インクが供給過剰になることを防
いでいる。ヒータ上面にインクが必要以上に供給される
と、マランゴニ流に要するヒータへの供給エネルギーが
大きくなり転写効率が低下してしまうことがある。ま
た、シートレジスト64、Niシート65の端部位置を
基板面からの高さが高いものほど転写部から遠ざけるこ
とで、ヘッドと被記録体を対向させた際の接触を防いで
いる。
【0207】以下に本例に用いるプリンタヘッドの中枢
をなすヒータチップの製造プロセス、及びプリンタヘッ
ドに組み込むアセンブリプロセスを説明する。
をなすヒータチップの製造プロセス、及びプリンタヘッ
ドに組み込むアセンブリプロセスを説明する。
【0208】<ヒータチップの製造プロセス>図11〜
18及び図32〜図34を参照に、このヒータチップの
作製方法について説明する。
18及び図32〜図34を参照に、このヒータチップの
作製方法について説明する。
【0209】本例のプリンタヘッドは、レーザで加熱す
る方式とは異なり、基板が光を透過するような透明基板
である必要がない。ヒータのオン・オフの周期に係わる
熱応答を考慮して基板となる材料を選べばよい。石英基
板又はアルミナ等のセラミック基板を使用してもよい
が、ここでは放熱特性の良好な(熱電導率の高い)Si
基板をヒータチップの基板として用いた。
る方式とは異なり、基板が光を透過するような透明基板
である必要がない。ヒータのオン・オフの周期に係わる
熱応答を考慮して基板となる材料を選べばよい。石英基
板又はアルミナ等のセラミック基板を使用してもよい
が、ここでは放熱特性の良好な(熱電導率の高い)Si
基板をヒータチップの基板として用いた。
【0210】まず、図11に示すように、基板41とし
てのシリコンウエハ上に熱酸化或いはCVD(化学的気
相成長法)等によってSiO2 層42を厚さ1〜2μm
程度成膜した。このSiO2 膜42はヒータ直下で蓄熱
層としての働きをするので、Si基板41の厚さ、更に
はヘッドベースとなるAlヒートシンクの放熱特性を考
慮してその厚さを決定する必要がある。
てのシリコンウエハ上に熱酸化或いはCVD(化学的気
相成長法)等によってSiO2 層42を厚さ1〜2μm
程度成膜した。このSiO2 膜42はヒータ直下で蓄熱
層としての働きをするので、Si基板41の厚さ、更に
はヘッドベースとなるAlヒートシンクの放熱特性を考
慮してその厚さを決定する必要がある。
【0211】次いで、図12に示すように、SiO2 層
42上に減圧CVD法等によって抵抗体となるポリシリ
コン(poly−Si)層43を厚さ0.4μm程度に
成膜した。ポリシリコン層43はリン(P)をドープす
ることによってシート抵抗が4kΩ程度になるように成
膜した。
42上に減圧CVD法等によって抵抗体となるポリシリ
コン(poly−Si)層43を厚さ0.4μm程度に
成膜した。ポリシリコン層43はリン(P)をドープす
ることによってシート抵抗が4kΩ程度になるように成
膜した。
【0212】次いで、図13に示すように、ポリシリコ
ン層43上にアルミニウム層44をスパッタ法によって
0.7μm程度成膜した。但し、導体としてはアルミニ
ウム以外にも、金、銅、白金等の金属を用いてもよい。
ン層43上にアルミニウム層44をスパッタ法によって
0.7μm程度成膜した。但し、導体としてはアルミニ
ウム以外にも、金、銅、白金等の金属を用いてもよい。
【0213】次いで、図14に示すように、ヒータ45
を形成する部分のポリシリコン層43を露出させるため
に、フォトレジストを所定パターンに形成し、エッチン
グ液でその所定部分のアルミニウム層44を除去した。
アルミニウム層44のエッチング液としてはリン酸:硝
酸:酢酸:水=4:1:4:1の比で混合した混酸を用
いた。
を形成する部分のポリシリコン層43を露出させるため
に、フォトレジストを所定パターンに形成し、エッチン
グ液でその所定部分のアルミニウム層44を除去した。
アルミニウム層44のエッチング液としてはリン酸:硝
酸:酢酸:水=4:1:4:1の比で混合した混酸を用
いた。
【0214】次いで、図15に示すように、それぞれの
ヒータ45に導通するように配線パターンをフォトレジ
ストで形成した後、これをマスクにして上記のアルミニ
ウム・エッチング液でアルミニウム層44を導体パター
ン(即ち、個別電極44a及び共通電極44b)にエッ
チングした。
ヒータ45に導通するように配線パターンをフォトレジ
ストで形成した後、これをマスクにして上記のアルミニ
ウム・エッチング液でアルミニウム層44を導体パター
ン(即ち、個別電極44a及び共通電極44b)にエッ
チングした。
【0215】次いで、図16に示すように、アルミニウ
ム・エッチング液ではポリシリコン層43はエッチング
されないので、上記のフォトレジストをマスクとしてR
IE法で、CF4 ガスによってポリシリコン層43をア
ルミニウム層44と同様のパターンにエッチングした。
なお、これによって形成された孔46bは、共通電極4
4bと個別電極44aとを絶縁するための絶縁孔であ
る。この時、ヒータ部45のポリシリコン層上には、図
示しないフォトレジストがあるので、この部分のポリシ
リコンはエッチングされない。
ム・エッチング液ではポリシリコン層43はエッチング
されないので、上記のフォトレジストをマスクとしてR
IE法で、CF4 ガスによってポリシリコン層43をア
ルミニウム層44と同様のパターンにエッチングした。
なお、これによって形成された孔46bは、共通電極4
4bと個別電極44aとを絶縁するための絶縁孔であ
る。この時、ヒータ部45のポリシリコン層上には、図
示しないフォトレジストがあるので、この部分のポリシ
リコンはエッチングされない。
【0216】これで、はじめにポリシリコンを露出させ
た部分以外では、アルミニウムはポリシリコンが同じ形
に導体パターンとして加工され、後の工程で行う加熱処
理によってアルミニウムとポリシリコンがオーミックコ
ンタクトし、導体として機能する。ポリシリコンが露出
した部分は高抵抗の抵抗体となり抵抗加熱ヒータ45と
して機能する。この場合、ヒータ45は一辺が20μm
の正方形(最大寸法幅40μm)として形成した。
た部分以外では、アルミニウムはポリシリコンが同じ形
に導体パターンとして加工され、後の工程で行う加熱処
理によってアルミニウムとポリシリコンがオーミックコ
ンタクトし、導体として機能する。ポリシリコンが露出
した部分は高抵抗の抵抗体となり抵抗加熱ヒータ45と
して機能する。この場合、ヒータ45は一辺が20μm
の正方形(最大寸法幅40μm)として形成した。
【0217】次いで、図17に示すように、SiO2 層
47をCVD法で10μm程度成膜した。
47をCVD法で10μm程度成膜した。
【0218】次いで、図18に示すように、ヒータ45
を囲むように構成される壁51を形成する際のメタルマ
スクとなるクロム層40aを真空蒸着法で0.2μm程
度成膜した。なお、ここまでの工程は、前述した実施の
形態における製造プロセスと基本的に同様のプロセスで
ある。
を囲むように構成される壁51を形成する際のメタルマ
スクとなるクロム層40aを真空蒸着法で0.2μm程
度成膜した。なお、ここまでの工程は、前述した実施の
形態における製造プロセスと基本的に同様のプロセスで
ある。
【0219】次いで、図32に示すように、壁51を形
成するための所定パターンを図示しないフォトレジスト
で形成し、イオンミリング装置によって不要なクロム膜
を除去し、メタルマスク40cを形成した。
成するための所定パターンを図示しないフォトレジスト
で形成し、イオンミリング装置によって不要なクロム膜
を除去し、メタルマスク40cを形成した。
【0220】次いで、図33に示すように、電極取り出
し用のボンディングパッド(即ち、個別電極44aの取
り出し用ボンディングパッド48、及び、共通電極44
bの取り出し用ボンディングパッド49)を開口させる
ための所定パターンをフォトレジストで形成し、RIE
でSiO2 層47をエッチングした。
し用のボンディングパッド(即ち、個別電極44aの取
り出し用ボンディングパッド48、及び、共通電極44
bの取り出し用ボンディングパッド49)を開口させる
ための所定パターンをフォトレジストで形成し、RIE
でSiO2 層47をエッチングした。
【0221】次いで、図34に示すように、所定パター
ンに形成されたクロム膜40cをマスクとしてRIEを
行い、SiO2 層47に8μm程度の壁51を形成し
た。壁51は1個のヒータにそれぞれ1対ずつ形成され
る。
ンに形成されたクロム膜40cをマスクとしてRIEを
行い、SiO2 層47に8μm程度の壁51を形成し
た。壁51は1個のヒータにそれぞれ1対ずつ形成され
る。
【0222】次いで、図示しないが、基本的に図22と
同様に、厚み25μm程度のドライフィルム(シートレ
ジスト)64をラミネートし、インク供給路87の所定
パターンにパターニングする。シートレジスト64のヒ
ータ45側の端部は、ヒータ45の中心位置から100
μm離れた位置になるようにした。シートレジスト64
の替わりにポリイミドを用いて同様のパターニングを行
ってもよい。
同様に、厚み25μm程度のドライフィルム(シートレ
ジスト)64をラミネートし、インク供給路87の所定
パターンにパターニングする。シートレジスト64のヒ
ータ45側の端部は、ヒータ45の中心位置から100
μm離れた位置になるようにした。シートレジスト64
の替わりにポリイミドを用いて同様のパターニングを行
ってもよい。
【0223】さらに、図示しないが、図23と基本的に
同様に、厚さ25μm程度のニッケルシート65を熱圧
着し、インク供給路87の蓋を形成する。同様の働きを
するものであれば、ニッケルシート以外にも、ステンレ
スシート、シリコン基板、石英基板、ガラス基板等を用
いることもできる。ニッケルシート65のヒータ45側
の端部はシートレジスト64の端部からさらに100μ
m後退した位置になるように位置合わせした。このよう
にして、幅がヒータ間隔、高さが25μm程度のトンネ
ル状のインク供給路87が形成され、毛細管現象により
転写部へ過不足なくインクが供給される。
同様に、厚さ25μm程度のニッケルシート65を熱圧
着し、インク供給路87の蓋を形成する。同様の働きを
するものであれば、ニッケルシート以外にも、ステンレ
スシート、シリコン基板、石英基板、ガラス基板等を用
いることもできる。ニッケルシート65のヒータ45側
の端部はシートレジスト64の端部からさらに100μ
m後退した位置になるように位置合わせした。このよう
にして、幅がヒータ間隔、高さが25μm程度のトンネ
ル状のインク供給路87が形成され、毛細管現象により
転写部へ過不足なくインクが供給される。
【0224】このようにシリコン基板上に気化部のヒー
タ及び配線導体、インク収容部並びにインク供給路を一
体に形成し、所定のヒータチップの大きさにカットして
ヒータチップは完成する。
タ及び配線導体、インク収容部並びにインク供給路を一
体に形成し、所定のヒータチップの大きさにカットして
ヒータチップは完成する。
【0225】<プリンタヘッドのアセンブリプロセス>
図6〜図8に示したように、プリント基板26には個々
のヒータを画像データに対応した信号で駆動するための
ドライバーIC24が実装され、電気回路が形成され
る。
図6〜図8に示したように、プリント基板26には個々
のヒータを画像データに対応した信号で駆動するための
ドライバーIC24が実装され、電気回路が形成され
る。
【0226】上記のヒータチップ22とプリント基板2
6は、それぞれヒートシンクを兼ねたアルミニウム製の
ヘッドベース23上に、図8に示すようにシリコン系の
接着剤及びアクリル系の接着剤で接着した。ヒータチッ
プ22とヘッドベース23との接着面積を一定にするた
めに、余分な接着剤を逃がすための溝21をヘッドベー
ス23上に形成した。
6は、それぞれヒートシンクを兼ねたアルミニウム製の
ヘッドベース23上に、図8に示すようにシリコン系の
接着剤及びアクリル系の接着剤で接着した。ヒータチッ
プ22とヘッドベース23との接着面積を一定にするた
めに、余分な接着剤を逃がすための溝21をヘッドベー
ス23上に形成した。
【0227】プリント基板26を接着する部分は、ヒー
タチップ22とプリント基板26に実装したドライバー
IC24の上面の高さがほぼ同じになるように、プリン
ト基板の厚み及びドライバーICの厚みと同程度にヘッ
ドベースの肉厚に薄くしてある。ヒータチップ22上の
電極とドライバーIC24、及び、ドライバーIC24
とプリント基板26上の配線との接続は、それぞれ直径
25ミクロンの金線をワイヤーボンドで接続した。さら
に、ドライバーIC24とボンディングしたワイヤーを
保護するために、シリコン系のJCR(ジャンクション
・コーティング・レジン)25を塗布し、熱硬化させ
た。
タチップ22とプリント基板26に実装したドライバー
IC24の上面の高さがほぼ同じになるように、プリン
ト基板の厚み及びドライバーICの厚みと同程度にヘッ
ドベースの肉厚に薄くしてある。ヒータチップ22上の
電極とドライバーIC24、及び、ドライバーIC24
とプリント基板26上の配線との接続は、それぞれ直径
25ミクロンの金線をワイヤーボンドで接続した。さら
に、ドライバーIC24とボンディングしたワイヤーを
保護するために、シリコン系のJCR(ジャンクション
・コーティング・レジン)25を塗布し、熱硬化させ
た。
【0228】最後に、内側が空洞となっていてインク供
給路(インクタンク)を兼ねたカバー29がJCRで保
護されたドライバーIC24、プリント基板26の一
部、ヒータチップ22の一部を覆うようにシリコン系又
はエポキシ系の樹脂により接着、封止する。カバー29
の上面は、ヘッドが被転写体と対向したときに接触しな
いように一部が斜めに傾いた形状とした。インク5は図
示しないインクカートリッジからヘッドベース23に設
けられた貫通穴(インク導入孔)27を経て、カバー2
9内の供給路へ導かれ、壁による毛細管現象によってシ
ートレジスト64とニッケルシート65とによって形成
されたインク供給路87を通ってヒータ45のある転写
部61へと供給される。
給路(インクタンク)を兼ねたカバー29がJCRで保
護されたドライバーIC24、プリント基板26の一
部、ヒータチップ22の一部を覆うようにシリコン系又
はエポキシ系の樹脂により接着、封止する。カバー29
の上面は、ヘッドが被転写体と対向したときに接触しな
いように一部が斜めに傾いた形状とした。インク5は図
示しないインクカートリッジからヘッドベース23に設
けられた貫通穴(インク導入孔)27を経て、カバー2
9内の供給路へ導かれ、壁による毛細管現象によってシ
ートレジスト64とニッケルシート65とによって形成
されたインク供給路87を通ってヒータ45のある転写
部61へと供給される。
【0229】<プリンタヘッドと印画紙の間隔保持手段
>このようにして作製されたプリンタヘッドは、図8に
示すように被転写体(印画紙)37に対してヘッドベー
ス23の一端38が接触し、被転写体37に対して所定
の角度になるように保持することで転写部と被記録材と
の間隔を一定に保つことができる。
>このようにして作製されたプリンタヘッドは、図8に
示すように被転写体(印画紙)37に対してヘッドベー
ス23の一端38が接触し、被転写体37に対して所定
の角度になるように保持することで転写部と被記録材と
の間隔を一定に保つことができる。
【0230】本例では、転写部の発熱体のセンター位置
Cが、被転写体37に接触するヘッドベース23の端部
から1.85mm内側の位置にくるようにしてあり、
0.4mm厚のシリコン基板上に形成された発熱体(ヒ
ータ)と被転写体37との距離が100μmになるよう
にヘッドベース23と被転写体とのなす角を20°に保
持している(シリコン基板とヘッドベースの接着層との
厚みを10μmとした)。即ち、接触部から発熱体セン
ターCまでの距離と被転写体とヘッドベースのなす角度
を所定の大きさに決めれば、発熱体と被記録体の間隔を
任意の距離に設定することができる。
Cが、被転写体37に接触するヘッドベース23の端部
から1.85mm内側の位置にくるようにしてあり、
0.4mm厚のシリコン基板上に形成された発熱体(ヒ
ータ)と被転写体37との距離が100μmになるよう
にヘッドベース23と被転写体とのなす角を20°に保
持している(シリコン基板とヘッドベースの接着層との
厚みを10μmとした)。即ち、接触部から発熱体セン
ターCまでの距離と被転写体とヘッドベースのなす角度
を所定の大きさに決めれば、発熱体と被記録体の間隔を
任意の距離に設定することができる。
【0231】特に、本例に基づくプリンタヘッドでは高
解像度の転写画像を得るためには、転写部と被記録体の
間隔を一定間隔に保つことが重要である。飛翔距離が大
きくなると噴出したミストは拡散するためにいわゆるボ
ケが生じ、解像度の低下の原因となる。
解像度の転写画像を得るためには、転写部と被記録体の
間隔を一定間隔に保つことが重要である。飛翔距離が大
きくなると噴出したミストは拡散するためにいわゆるボ
ケが生じ、解像度の低下の原因となる。
【0232】また、インク供給路87を形成する厚さ2
5μmのシートレジスト64の端部は発熱体のセンター
位置Cから100μm後退した位置にあり、さらに厚さ
25ミクロンのニッケルシート65端部もシートレジス
ト64端部から100μm後退した位置にあるので、ヘ
ッドベース23と被転写体37とのなす角度が20°に
なるように対向させれば、シートレジスト64及びニッ
ケルシート65と被転写体37との間にも100μmの
間隙を保持できる。即ち、インク供給路87を構成する
部材の厚みに応じて、発熱体センター位置Cから被転写
体37とヘッドベース23との接触位置とは逆方向にそ
れぞれの端部を基板面からの高さが高いものほど大きく
後退させることで、この例のようにヘッドと被転写体3
7とを対向させた場合の被転写体37とインク供給路8
7のクリアランスを確保することができる。
5μmのシートレジスト64の端部は発熱体のセンター
位置Cから100μm後退した位置にあり、さらに厚さ
25ミクロンのニッケルシート65端部もシートレジス
ト64端部から100μm後退した位置にあるので、ヘ
ッドベース23と被転写体37とのなす角度が20°に
なるように対向させれば、シートレジスト64及びニッ
ケルシート65と被転写体37との間にも100μmの
間隙を保持できる。即ち、インク供給路87を構成する
部材の厚みに応じて、発熱体センター位置Cから被転写
体37とヘッドベース23との接触位置とは逆方向にそ
れぞれの端部を基板面からの高さが高いものほど大きく
後退させることで、この例のようにヘッドと被転写体3
7とを対向させた場合の被転写体37とインク供給路8
7のクリアランスを確保することができる。
【0233】<インク及び印画紙>インク(染料)とし
ては、ソルベントイエロー56、ディスパースレッド
1、ソルベントブルー35を、フタル酸ジブチルにそれ
ぞれ温度50℃で10重量%溶解してイエロー、マゼン
タ、シアンの各色の記録液体(インク)を作製した。こ
の記録液体を温度30℃で転写チップのインクタンクに
導入すると、記録液体は通路を通り自発的に転写部に導
入された。なお、常圧空気中、200℃、1時間加熱後
の分解物(劣化物)の割合は、ソルベントイエロー56
が5ppm(m.p.96℃、b.p.395℃)、デ
ィスパースレッド1が25ppm(m.p.161℃、
b.p.420℃)、ソルベントブルー35が50pp
m(m.p.121℃、b.p.405℃)である。
ては、ソルベントイエロー56、ディスパースレッド
1、ソルベントブルー35を、フタル酸ジブチルにそれ
ぞれ温度50℃で10重量%溶解してイエロー、マゼン
タ、シアンの各色の記録液体(インク)を作製した。こ
の記録液体を温度30℃で転写チップのインクタンクに
導入すると、記録液体は通路を通り自発的に転写部に導
入された。なお、常圧空気中、200℃、1時間加熱後
の分解物(劣化物)の割合は、ソルベントイエロー56
が5ppm(m.p.96℃、b.p.395℃)、デ
ィスパースレッド1が25ppm(m.p.161℃、
b.p.420℃)、ソルベントブルー35が50pp
m(m.p.121℃、b.p.405℃)である。
【0234】導入されたインクは転写部を挟むように配
置する壁の先端からメニスカスを形成した。ヒータ中心
部におけるインク液面の厚さは6μmであった。
置する壁の先端からメニスカスを形成した。ヒータ中心
部におけるインク液面の厚さは6μmであった。
【0235】印画紙としては、表面に0.8μmから1
0μmの範囲の微細な孔が多数存在する多孔質構造を有
し、上記油溶性染料及び溶媒と相性の良いバインダー樹
脂が用いられているピーチコート用紙(日清紡製)を使
用した。
0μmの範囲の微細な孔が多数存在する多孔質構造を有
し、上記油溶性染料及び溶媒と相性の良いバインダー樹
脂が用いられているピーチコート用紙(日清紡製)を使
用した。
【0236】<プリンタヘッドの配置及び転写中の動作
>上記したプリンタヘッドを有するカラープリンタは図
9に示すように、縦方向(X方向)の紙送りと、X方向
と直交方向のヘッドの横方向(Y方向)スキャンとによ
って、画像の転写を行うものであり、これらの縦方向の
紙送りと横方向のヘッドスキャンは交互に行うように構
成されている。このプリンタにおいて、各色のヘッド部
Y、M、C(或いはこれら3色に加えて黒)からなるプ
リンタヘッドは、シリアル型ヘッドとして、送りねじ機
構からなるヘッド送り軸35とヘッド支持軸32により
印画紙37の紙送り方向Xと直交するヘッド送り方向Y
に往復移動自在にしてある。
>上記したプリンタヘッドを有するカラープリンタは図
9に示すように、縦方向(X方向)の紙送りと、X方向
と直交方向のヘッドの横方向(Y方向)スキャンとによ
って、画像の転写を行うものであり、これらの縦方向の
紙送りと横方向のヘッドスキャンは交互に行うように構
成されている。このプリンタにおいて、各色のヘッド部
Y、M、C(或いはこれら3色に加えて黒)からなるプ
リンタヘッドは、シリアル型ヘッドとして、送りねじ機
構からなるヘッド送り軸35とヘッド支持軸32により
印画紙37の紙送り方向Xと直交するヘッド送り方向Y
に往復移動自在にしてある。
【0237】また、印画紙37を挟むように支持する紙
送りローラ39が回転自在に設けられ、紙送りを行う。
なお、ヘッドは、フレキシブルハーネスを介してヘッド
駆動回路基板(図示せず)等に接続されている。
送りローラ39が回転自在に設けられ、紙送りを行う。
なお、ヘッドは、フレキシブルハーネスを介してヘッド
駆動回路基板(図示せず)等に接続されている。
【0238】本例のヘッドには256個のヒータが設け
られているので、1回のスキャンで256ライン分の印
画が行われる。1回のスキャンが終了したら、紙送り駆
動ローラで印画紙を256ライン分送る。各色のヘッド
が印画紙上の所定の位置から印画を開始するように1色
毎に順次タイミングを変えて印画を開始し、1回のスキ
ャンでフルカラー画像を印画する。
られているので、1回のスキャンで256ライン分の印
画が行われる。1回のスキャンが終了したら、紙送り駆
動ローラで印画紙を256ライン分送る。各色のヘッド
が印画紙上の所定の位置から印画を開始するように1色
毎に順次タイミングを変えて印画を開始し、1回のスキ
ャンでフルカラー画像を印画する。
【0239】<プリンタヘッドの駆動及び印画>上記の
プリンタヘッドのヒータに対して、図36に示すデュー
ティ80%で矩形の50KHzの駆動パルスを与えて転
写部のインクを周期的に加温する。ここでは、1つの画
素に対して画像データに応じて最大255回のパルスを
印加した。パルス印加時間(255×20μsec=
5.1msec)とインク液面を十分回復させるための
休み時間(インターバル)T3 =0.9msecを加え
た1画素を形成する時間T(周期)を6msec(16
7Hz)とした。また、パルス印加時間における各パル
スは、パルス幅T1 =16μsec、休み時間を加えた
パルス幅T2 =20μsecとした。また、印加電圧V
は20Vである。
プリンタヘッドのヒータに対して、図36に示すデュー
ティ80%で矩形の50KHzの駆動パルスを与えて転
写部のインクを周期的に加温する。ここでは、1つの画
素に対して画像データに応じて最大255回のパルスを
印加した。パルス印加時間(255×20μsec=
5.1msec)とインク液面を十分回復させるための
休み時間(インターバル)T3 =0.9msecを加え
た1画素を形成する時間T(周期)を6msec(16
7Hz)とした。また、パルス印加時間における各パル
スは、パルス幅T1 =16μsec、休み時間を加えた
パルス幅T2 =20μsecとした。また、印加電圧V
は20Vである。
【0240】ヒータ駆動時は、インクの表面が局所的に
加熱され、加熱領域の温度勾配にしたがって形成される
インクの表面張力勾配により、インクは加熱領域(ヒー
タ近傍:以下、同様)からその周囲領域(ヒータ周囲:
以下、同様)に向かって移動した。ヒータ非駆動時は、
インクの表面張力勾配が解消して、メニスカス回復力等
によりインクは前記周囲領域から前記加熱領域に向かっ
て移動した。この連続し周期的なインクの流れにより、
転写部のインクが最大約0.11ピコリットルのミスト
として噴出した(図1参照)。0.01ピコリットル以
上のサイズを有する全てのミストが100μmのギャッ
プを飛翔して、対向配置した印画紙に付着した。印画紙
に付着したミストは直ちに吸収・発色した。1画素を形
成する時間(周期)毎の休み時間には温度勾配が解消す
るのでインク液面は完全に初期の状態に戻っていた。
加熱され、加熱領域の温度勾配にしたがって形成される
インクの表面張力勾配により、インクは加熱領域(ヒー
タ近傍:以下、同様)からその周囲領域(ヒータ周囲:
以下、同様)に向かって移動した。ヒータ非駆動時は、
インクの表面張力勾配が解消して、メニスカス回復力等
によりインクは前記周囲領域から前記加熱領域に向かっ
て移動した。この連続し周期的なインクの流れにより、
転写部のインクが最大約0.11ピコリットルのミスト
として噴出した(図1参照)。0.01ピコリットル以
上のサイズを有する全てのミストが100μmのギャッ
プを飛翔して、対向配置した印画紙に付着した。印画紙
に付着したミストは直ちに吸収・発色した。1画素を形
成する時間(周期)毎の休み時間には温度勾配が解消す
るのでインク液面は完全に初期の状態に戻っていた。
【0241】図48に、マクベス濃度計で測定した本例
の階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度(OD濃
度)との関係を示す。図48から、1画素内で64以上
の階調表現が可能であることが推定できる。例1におい
て、OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時
間は20msecであり、その時のエネルギーは200
μJになった。この値をA6(約8cm×11cm)の
典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場
合のエネルギー及び時間に換算すると、それぞれ340
J、106secになる。
の階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度(OD濃
度)との関係を示す。図48から、1画素内で64以上
の階調表現が可能であることが推定できる。例1におい
て、OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時
間は20msecであり、その時のエネルギーは200
μJになった。この値をA6(約8cm×11cm)の
典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場
合のエネルギー及び時間に換算すると、それぞれ340
J、106secになる。
【0242】例2 例1と同様のプリンタヘッド、プリンタ構成、インク、
印画紙、及び、駆動方法を用いて転写を行った。但し、
ヒータを駆動する電圧は実施例1の1.15倍にした。
即ち、ヒータには例1の1.15倍のエネルギーが印加
される。
印画紙、及び、駆動方法を用いて転写を行った。但し、
ヒータを駆動する電圧は実施例1の1.15倍にした。
即ち、ヒータには例1の1.15倍のエネルギーが印加
される。
【0243】その結果、マランゴニ流の勢いが増して、
インクが移動する際、転写部の一部底面が露出して加温
の周期に同期して振動する気−固−液ラインが出現し
た。気−固−液ラインを伴う流れにより、転写部のイン
クが最大約0.22ピコリットルのミストとして噴出し
た(図2参照)。0.01ピコリットル以上のサイズを
有する全てのミストが100μmのギャップを飛翔して
印画紙に付着した。印画紙に付着したミストは直ちに吸
収・発色した。1画素を形成する時間(周期)毎の休み
時間には、温度勾配が解消するのでインク液面は完全に
初期の状態に戻った。
インクが移動する際、転写部の一部底面が露出して加温
の周期に同期して振動する気−固−液ラインが出現し
た。気−固−液ラインを伴う流れにより、転写部のイン
クが最大約0.22ピコリットルのミストとして噴出し
た(図2参照)。0.01ピコリットル以上のサイズを
有する全てのミストが100μmのギャップを飛翔して
印画紙に付着した。印画紙に付着したミストは直ちに吸
収・発色した。1画素を形成する時間(周期)毎の休み
時間には、温度勾配が解消するのでインク液面は完全に
初期の状態に戻った。
【0244】図49に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度(O
D)との関係を示す。図49から、1画素内で64以上
の階調表現が可能であることが推定できる。また、本例
において、OD=2.0を達成するためのシアン色の最
低の時間は9msecであり、その時のエネルギーは1
00μJになった。この値をA6(約8cm×11c
m)の典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写
する場合のエネルギー及び時間に換算すると、それぞれ
170J、45secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度(O
D)との関係を示す。図49から、1画素内で64以上
の階調表現が可能であることが推定できる。また、本例
において、OD=2.0を達成するためのシアン色の最
低の時間は9msecであり、その時のエネルギーは1
00μJになった。この値をA6(約8cm×11c
m)の典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写
する場合のエネルギー及び時間に換算すると、それぞれ
170J、45secになる。
【0245】例3 例1と同様のヒータチップの製造プロセスの隔壁の形成
プロセス(図32〜図34)において、隔壁と同時に、
凹凸構造体として柱状体を形成した。
プロセス(図32〜図34)において、隔壁と同時に、
凹凸構造体として柱状体を形成した。
【0246】まず、図19に示すプロセスと同様に、ヒ
ータ45の近傍に直径3μmの円が中心間距離6μmで
正方格子配列しているパターンをクロム層上にフォトレ
ジストで形成し、イオンミリング装置によって不要なク
ロム膜を除去し、柱状体のメタルマスク40bを形成し
た。
ータ45の近傍に直径3μmの円が中心間距離6μmで
正方格子配列しているパターンをクロム層上にフォトレ
ジストで形成し、イオンミリング装置によって不要なク
ロム膜を除去し、柱状体のメタルマスク40bを形成し
た。
【0247】次いで、図20及び図21に示すように、
所定パターンに形成されたクロム膜40bをマスクとし
てRIEを行い、SiO2 層47に高さが8μm程度の
壁51と柱状体52とを形成する。柱状体は1個のヒー
タに少なくとも7×7本の配列が形成される。その結
果、図37及び図21に示すように、ヒータ近傍に、断
面が直径3μmの円で高さが8μmで、際近接の柱状体
間の中心間距離が6μmになる正方格子配列を持つ柱状
体群(凹凸構造)67を持つヒータチップが作製され
た。プロセス上、柱状体の高さは転写部66の隔壁の高
さと同じ高さになる。つまり、本例のプリンタヘッド
は、柱状体67を有する以外は、例1と同様の転写部付
近の構造を有するものである。
所定パターンに形成されたクロム膜40bをマスクとし
てRIEを行い、SiO2 層47に高さが8μm程度の
壁51と柱状体52とを形成する。柱状体は1個のヒー
タに少なくとも7×7本の配列が形成される。その結
果、図37及び図21に示すように、ヒータ近傍に、断
面が直径3μmの円で高さが8μmで、際近接の柱状体
間の中心間距離が6μmになる正方格子配列を持つ柱状
体群(凹凸構造)67を持つヒータチップが作製され
た。プロセス上、柱状体の高さは転写部66の隔壁の高
さと同じ高さになる。つまり、本例のプリンタヘッド
は、柱状体67を有する以外は、例1と同様の転写部付
近の構造を有するものである。
【0248】このヒータチップを組み込んだプリンタヘ
ッド(図37参照)と例1と同様のプリンタ構成、イン
ク、印画紙、及び、駆動方法を用いて所定画像の転写を
行った。但し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.2倍
にした。即ち、ヒータには例1の1.2倍のエネルギー
が印加される。
ッド(図37参照)と例1と同様のプリンタ構成、イン
ク、印画紙、及び、駆動方法を用いて所定画像の転写を
行った。但し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.2倍
にした。即ち、ヒータには例1の1.2倍のエネルギー
が印加される。
【0249】ヒータ駆動時は、インクの表面が局所的に
加熱され、加熱領域の温度勾配に従って形成されるイン
クの表面張力勾配により、インクは加熱領域から周囲領
域に向かって移動した。ヒータ非駆動時は、インクの表
面張力勾配が解消して、メニスカス回復力および柱状体
の毛管力によって、インクは周囲領域から加熱領域に向
かって移動した(図1参照)。なお、ヒータ中心でのイ
ンク液面の厚さは7.5μmであった。また、インクと
転写部表面との接触角は16度であった。
加熱され、加熱領域の温度勾配に従って形成されるイン
クの表面張力勾配により、インクは加熱領域から周囲領
域に向かって移動した。ヒータ非駆動時は、インクの表
面張力勾配が解消して、メニスカス回復力および柱状体
の毛管力によって、インクは周囲領域から加熱領域に向
かって移動した(図1参照)。なお、ヒータ中心でのイ
ンク液面の厚さは7.5μmであった。また、インクと
転写部表面との接触角は16度であった。
【0250】このインクの流れが、壁面との衝突、柱状
体群との衝突、及びインク波同士の衝突により、転写部
66のインクが最大約0.15ピコリットルのミストと
して噴出した。0.01ピコリットル以上のサイズを有
する全てのミストが100μmのギャップを飛翔して印
画紙に付着した。印画紙に付着したミストは直ちに吸収
・発色した。1画素を形成する時間(周期)毎の休み時
間には温度勾配が解消するのでインク液面は完全に初期
の状態に戻っていた。
体群との衝突、及びインク波同士の衝突により、転写部
66のインクが最大約0.15ピコリットルのミストと
して噴出した。0.01ピコリットル以上のサイズを有
する全てのミストが100μmのギャップを飛翔して印
画紙に付着した。印画紙に付着したミストは直ちに吸収
・発色した。1画素を形成する時間(周期)毎の休み時
間には温度勾配が解消するのでインク液面は完全に初期
の状態に戻っていた。
【0251】図50に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図50から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
13msecであり、その時のエネルギーは160μJ
になった。この値をA6(約8cm×11cm)の典型
的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合の
エネルギー及び時間に換算すると、それぞれ270J、
69secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図50から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
13msecであり、その時のエネルギーは160μJ
になった。この値をA6(約8cm×11cm)の典型
的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合の
エネルギー及び時間に換算すると、それぞれ270J、
69secになる。
【0252】例4 例3と同様のプリンタヘッド、及び、例1と同様のプリ
ンタ構成、インク、印画紙、及び、駆動方法を用いて所
定画像の転写を行った。但し、ヒータを駆動する電圧は
例1の1.4倍にした。即ち、ヒータには例1の1.4
倍のエネルギーが印加される。
ンタ構成、インク、印画紙、及び、駆動方法を用いて所
定画像の転写を行った。但し、ヒータを駆動する電圧は
例1の1.4倍にした。即ち、ヒータには例1の1.4
倍のエネルギーが印加される。
【0253】その結果、例3よりもマランゴニ流の勢い
が増して、インクが移動する際、転写部の底面が露出し
て加熱の周期に同期して振動する気−固−液ラインが出
現し、かつ、冷却時(パルス信号中の休み時間T2 )に
は露出した転写部の底面がインクで覆われた(図2参
照)。
が増して、インクが移動する際、転写部の底面が露出し
て加熱の周期に同期して振動する気−固−液ラインが出
現し、かつ、冷却時(パルス信号中の休み時間T2 )に
は露出した転写部の底面がインクで覆われた(図2参
照)。
【0254】気−固−液ラインの形成かつ解消を伴う流
れが壁面との衝突、柱状体群との衝突、及びインク波同
士の衝突により、転写部のインクが最大約0.15ピコ
リットルのミストとして噴出した。即ち、0.01ピコ
リットル以上のサイズを有する全てのミストが100μ
mのギャップを飛翔して印画紙に付着した。また、印画
紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。1画素を
形成する時間(周期)毎の休み時間には、温度勾配が解
消するのでインク液面は完全に初期の状態に戻った。
れが壁面との衝突、柱状体群との衝突、及びインク波同
士の衝突により、転写部のインクが最大約0.15ピコ
リットルのミストとして噴出した。即ち、0.01ピコ
リットル以上のサイズを有する全てのミストが100μ
mのギャップを飛翔して印画紙に付着した。また、印画
紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。1画素を
形成する時間(周期)毎の休み時間には、温度勾配が解
消するのでインク液面は完全に初期の状態に戻った。
【0255】図51に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図51から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。本例において、OD=
2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は6ms
ecであり、その時のエネルギーは84μJになった。
この値をこの値をA6(約8cm×11cm)の典型的
な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエ
ネルギー及び時間に換算すると、それぞれ140J、3
1secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図51から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。本例において、OD=
2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は6ms
ecであり、その時のエネルギーは84μJになった。
この値をこの値をA6(約8cm×11cm)の典型的
な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエ
ネルギー及び時間に換算すると、それぞれ140J、3
1secになる。
【0256】例5 例3と同様のプリンタヘッド、及び、例1と同様のプリ
ンタ構成、インク、印画紙、及び、駆動方法を用いて所
定画像の転写を行った。但し、ヒータを駆動する電圧は
例1の1.5倍にした。即ち、ヒータには例1の1.5
倍のエネルギーが印加される。
ンタ構成、インク、印画紙、及び、駆動方法を用いて所
定画像の転写を行った。但し、ヒータを駆動する電圧は
例1の1.5倍にした。即ち、ヒータには例1の1.5
倍のエネルギーが印加される。
【0257】その結果、例4よりも更にマランゴニ流の
勢いが増して、インクが移動する際、転写部の底面が露
出して加温の周期に同期して振動する気−固−液ライン
が出現し、かつ、冷却時(パルス信号中の休み時間
T2 )にも露出した転写部の底面にインクが完全には戻
らず、底面の一部が露出していた。
勢いが増して、インクが移動する際、転写部の底面が露
出して加温の周期に同期して振動する気−固−液ライン
が出現し、かつ、冷却時(パルス信号中の休み時間
T2 )にも露出した転写部の底面にインクが完全には戻
らず、底面の一部が露出していた。
【0258】気−固−液ラインの前進及び後退に伴う流
れが壁面との衝突、柱状体群との衝突、及びインク波同
士の衝突することにより、転写部のインクが最大約0.
15ピコリットルのミストとして噴出した。0.01ピ
コリットル以上のサイズを有する全てのミストが100
μmのギャップを飛翔して印画紙に付着した。また、印
画紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。但し、
1画素を形成する時間(周期)毎の休み時間には、温度
勾配が解消するのでインク液面は完全に初期の状態に戻
っていた。
れが壁面との衝突、柱状体群との衝突、及びインク波同
士の衝突することにより、転写部のインクが最大約0.
15ピコリットルのミストとして噴出した。0.01ピ
コリットル以上のサイズを有する全てのミストが100
μmのギャップを飛翔して印画紙に付着した。また、印
画紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。但し、
1画素を形成する時間(周期)毎の休み時間には、温度
勾配が解消するのでインク液面は完全に初期の状態に戻
っていた。
【0259】図52に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図52から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
8msecであり、その時のエネルギーは120μJに
なる。この値をこの値をA6(約8cm×11cm)の
典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場
合のエネルギー及び時間に換算すると、それぞれ200
J、42secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図52から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
8msecであり、その時のエネルギーは120μJに
なる。この値をこの値をA6(約8cm×11cm)の
典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場
合のエネルギー及び時間に換算すると、それぞれ200
J、42secになる。
【0260】例6 例1と同様のヒータチップの製造プロセスの、インク通
路形成プロセス(図22及び23参照)において、シー
トレジストをヒータの例1と同様に設け、かつ、図38
に示すように、84.7μmのピッチで75×200μ
mの長方形の開口部69を形成したインク保持のための
蓋72としてのニッケルシート65を、開口部の中心と
ヒータの中心が一致するように熱圧着した。
路形成プロセス(図22及び23参照)において、シー
トレジストをヒータの例1と同様に設け、かつ、図38
に示すように、84.7μmのピッチで75×200μ
mの長方形の開口部69を形成したインク保持のための
蓋72としてのニッケルシート65を、開口部の中心と
ヒータの中心が一致するように熱圧着した。
【0261】この時のシートレジストの厚さは20μm
であるので、熱圧着で収縮した2μmを差し引いたニッ
ケルシート70の底面と転写部68の表面との隙間、即
ちインク通路の寸法は18μmになる。ニッケルシート
70の開口部69の側面は撥液処理をしてあるので、こ
のプリントヘッドにインクを導入すると、インクはニッ
ケルシート70の開口部69とニッケルシート70の底
面とが接するラインで停止してメニスカスを形成した。
ヒータ中央部のインクの厚みは15μmであった。
であるので、熱圧着で収縮した2μmを差し引いたニッ
ケルシート70の底面と転写部68の表面との隙間、即
ちインク通路の寸法は18μmになる。ニッケルシート
70の開口部69の側面は撥液処理をしてあるので、こ
のプリントヘッドにインクを導入すると、インクはニッ
ケルシート70の開口部69とニッケルシート70の底
面とが接するラインで停止してメニスカスを形成した。
ヒータ中央部のインクの厚みは15μmであった。
【0262】このヒータチップを組み込んだプリンタヘ
ッド、及び、例1と同様のプリンタ構成、インク、印画
紙、及び駆動方法を用いて所定画像の転写を行った。但
し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.6倍にした。即
ちヒータには例1の1.6倍のエネルギーが印加され
る。
ッド、及び、例1と同様のプリンタ構成、インク、印画
紙、及び駆動方法を用いて所定画像の転写を行った。但
し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.6倍にした。即
ちヒータには例1の1.6倍のエネルギーが印加され
る。
【0263】ヒータ駆動時は、インクの表面が局所的に
加熱され、加熱領域の温度勾配に従って形成されるイン
クの表面張力勾配により、インクは加熱領域から周囲領
域に向かって移動し、転写部の底面が露出して気−固−
液ラインが形成し、かつ、ヒータ非駆動時はインクの表
面張力勾配が解消して、メニスカス回復力によりインク
はヒータ周囲からヒータ近傍に向かって移動し、露出し
た転写部の底面がインクで覆われた。
加熱され、加熱領域の温度勾配に従って形成されるイン
クの表面張力勾配により、インクは加熱領域から周囲領
域に向かって移動し、転写部の底面が露出して気−固−
液ラインが形成し、かつ、ヒータ非駆動時はインクの表
面張力勾配が解消して、メニスカス回復力によりインク
はヒータ周囲からヒータ近傍に向かって移動し、露出し
た転写部の底面がインクで覆われた。
【0264】気−固−液ラインの形成かつ解消を伴う流
れが開口部の縁との衝突、及びインク波同士の衝突によ
り、転写部68に配されているインクが最大約0.15
ピコリットルのミストとして噴出した。また、0.01
ピコリットル以上のサイズを有する全てのミストが10
0μmのギャップを飛翔して印画紙に付着した。印画紙
に付着したミストは直ちに吸収・発色した。さらに、1
画素を形成する時間(周期)毎の休み時間には、温度勾
配が解消するのでインク液面は完全に初期の状態に戻っ
た。
れが開口部の縁との衝突、及びインク波同士の衝突によ
り、転写部68に配されているインクが最大約0.15
ピコリットルのミストとして噴出した。また、0.01
ピコリットル以上のサイズを有する全てのミストが10
0μmのギャップを飛翔して印画紙に付着した。印画紙
に付着したミストは直ちに吸収・発色した。さらに、1
画素を形成する時間(周期)毎の休み時間には、温度勾
配が解消するのでインク液面は完全に初期の状態に戻っ
た。
【0265】図53に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図53から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
9msecであり、その時のエネルギーは150μJに
なった。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的
な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエ
ネルギー及び時間に換算すると、それぞれ250J、4
8secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図53から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
9msecであり、その時のエネルギーは150μJに
なった。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的
な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエ
ネルギー及び時間に換算すると、それぞれ250J、4
8secになる。
【0266】例7 例1と同様のヒータチップ製造プロセスの、隔壁の形成
プロセス(図32〜図34参照)において、例3と同様
に、ヒータの近傍に直径3μm円が中心間距離6μmで
正方格子配列しているパターンをクロム層上にフォトレ
ジストで形成し、イオンミリング装置によって不要なク
ロム膜を除去し、柱状体のメタルマスクを形成した。
プロセス(図32〜図34参照)において、例3と同様
に、ヒータの近傍に直径3μm円が中心間距離6μmで
正方格子配列しているパターンをクロム層上にフォトレ
ジストで形成し、イオンミリング装置によって不要なク
ロム膜を除去し、柱状体のメタルマスクを形成した。
【0267】次いで、所定パターンに形成されたクロム
膜をマスクとしてRIEを行い、SiO2 層に高さが8
μm程度の壁と柱状体を形成する。柱状体は1個のヒー
タに少なくとも7×7本の配列が形成される。ヒータ近
傍に、断面が直径3μmの円で、高さが8μm、際近接
の柱状体間の中心間距離が6μmになる正方格子配列を
持つ柱状体群を持つヒータチップが作製された。
膜をマスクとしてRIEを行い、SiO2 層に高さが8
μm程度の壁と柱状体を形成する。柱状体は1個のヒー
タに少なくとも7×7本の配列が形成される。ヒータ近
傍に、断面が直径3μmの円で、高さが8μm、際近接
の柱状体間の中心間距離が6μmになる正方格子配列を
持つ柱状体群を持つヒータチップが作製された。
【0268】更に、例1と同様のヒータチップの製造プ
ロセスの、インク通路形成プロセス(図22及び図2
3)において、シートレジストをヒータの全面に設け、
かつ、幅が300μmのスリットを形成したニッケルシ
ート65を、スリット71の中心とヒータ45中心が一
致するように熱圧着し、図39に示すような転写部付近
構造を有するプリンタヘッドを作製した。
ロセスの、インク通路形成プロセス(図22及び図2
3)において、シートレジストをヒータの全面に設け、
かつ、幅が300μmのスリットを形成したニッケルシ
ート65を、スリット71の中心とヒータ45中心が一
致するように熱圧着し、図39に示すような転写部付近
構造を有するプリンタヘッドを作製した。
【0269】この時のシートレジストの厚さは20μm
であるので、熱圧着で収縮した2μmを差し引いたニッ
ケルシート65の底面と転写部70の表面との隙間、即
ちインク通路の寸法は18μmになった。ニッケルシー
ト65の開口部(スリット71)の側面は撥液処理をし
てあるので、このプリントヘッドにインクを導入する
と、インクはニッケルシート65の開口部とニッケルシ
ート54の底面とが接するラインで停止して、上記の柱
状体67の頂部との間にメニスカスが形成された。ヒー
タ中央部のインクの厚みは6μmであった。
であるので、熱圧着で収縮した2μmを差し引いたニッ
ケルシート65の底面と転写部70の表面との隙間、即
ちインク通路の寸法は18μmになった。ニッケルシー
ト65の開口部(スリット71)の側面は撥液処理をし
てあるので、このプリントヘッドにインクを導入する
と、インクはニッケルシート65の開口部とニッケルシ
ート54の底面とが接するラインで停止して、上記の柱
状体67の頂部との間にメニスカスが形成された。ヒー
タ中央部のインクの厚みは6μmであった。
【0270】このヒータチップを組み込んだプリンタヘ
ッド、及び、例1と同様のプリンタ構成、インク、印画
紙、及び、駆動方法を用いて所定画像の転写を行った。
但し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.6倍にした。
即ちヒータには例1の1.6倍のエネルギーが印加され
る。
ッド、及び、例1と同様のプリンタ構成、インク、印画
紙、及び、駆動方法を用いて所定画像の転写を行った。
但し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.6倍にした。
即ちヒータには例1の1.6倍のエネルギーが印加され
る。
【0271】例4に示した転写機構と同様の転写機構
で、転写部70のインクが最大約0.15ピコリットル
のミストとして噴出した。また、0.01ピコリットル
以上のサイズを有する全てのミストが100μmのギャ
ップを飛翔して印画紙に付着した。そして、印画紙に付
着したミストは直ちに吸収・発色した。
で、転写部70のインクが最大約0.15ピコリットル
のミストとして噴出した。また、0.01ピコリットル
以上のサイズを有する全てのミストが100μmのギャ
ップを飛翔して印画紙に付着した。そして、印画紙に付
着したミストは直ちに吸収・発色した。
【0272】図54に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図54から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
6msecであり、その時のエネルギーは87μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ150J、28
secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図54から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
6msecであり、その時のエネルギーは87μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ150J、28
secになる。
【0273】例8 例1と同様のヒータチップの製造プロセスの、隔壁の形
成プロセス図32〜図34参照)において、例3と同様
に、ヒータの近傍に直径3μm円が中心間距離6μmで
正方格子配列しているパターンをクロム層上にフォトレ
ジストで形成し、イオンミリング装置によって不要なク
ロム膜を除去し、柱状体のメタルマスクを形成した。こ
のとき隔壁は作製せず、柱状体が連続的に隣接するヒー
タ間をつなぐパターンにした。
成プロセス図32〜図34参照)において、例3と同様
に、ヒータの近傍に直径3μm円が中心間距離6μmで
正方格子配列しているパターンをクロム層上にフォトレ
ジストで形成し、イオンミリング装置によって不要なク
ロム膜を除去し、柱状体のメタルマスクを形成した。こ
のとき隔壁は作製せず、柱状体が連続的に隣接するヒー
タ間をつなぐパターンにした。
【0274】次いで、所定パターンに形成されたクロム
膜をマスクとしてRIEを行い、SiO2 層に高さが8
μm程度の柱状体を形成する。断面が直径3μmの円
で、高さが8μm、際近接の柱状体73間の中心間距離
が6μmになる正方格子配列を持つ柱状体群を持つヒー
タチップを作製し、図40に示すような転写部付近構造
を有するプリンタヘッドを作製した。
膜をマスクとしてRIEを行い、SiO2 層に高さが8
μm程度の柱状体を形成する。断面が直径3μmの円
で、高さが8μm、際近接の柱状体73間の中心間距離
が6μmになる正方格子配列を持つ柱状体群を持つヒー
タチップを作製し、図40に示すような転写部付近構造
を有するプリンタヘッドを作製した。
【0275】このヒータチップを組み込んだプリンタヘ
ッド、及び、例1と同様のプリンタ構成、インク、印画
紙、及び、駆動方法を用いて所定画像の転写を行った。
但し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.4倍にした。
即ちヒータには例1の1.4倍のエネルギーが印加され
る。
ッド、及び、例1と同様のプリンタ構成、インク、印画
紙、及び、駆動方法を用いて所定画像の転写を行った。
但し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.4倍にした。
即ちヒータには例1の1.4倍のエネルギーが印加され
る。
【0276】例4の転写機構と同様の転写機構で、転写
部74のインクが最大約0.15ピコリットルのミスト
として噴出した。また、0.01ピコリットル以上のサ
イズを有する全てのミストが100μmのギャップを飛
翔して印画紙に付着した。そして、印画紙に付着したミ
ストは直ちに吸収・発色した。
部74のインクが最大約0.15ピコリットルのミスト
として噴出した。また、0.01ピコリットル以上のサ
イズを有する全てのミストが100μmのギャップを飛
翔して印画紙に付着した。そして、印画紙に付着したミ
ストは直ちに吸収・発色した。
【0277】図55に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図55から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
6msecであり、その時のエネルギーは80μJにな
る。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な自
然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネル
ギー及び時間に換算すると、それぞれ130J、30s
ecになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図55から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
6msecであり、その時のエネルギーは80μJにな
る。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な自
然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネル
ギー及び時間に換算すると、それぞれ130J、30s
ecになる。
【0278】例9 例1と同様のヒータチップの製造プロセスにおいて、基
板を石英ガラスにして、さらにヒータ及びアルミ電極作
成、およびSiO2 層の成膜のプロセス(図11〜図1
7)を省き、かつ、例3に記載されているようにヒータ
の近傍に、断面が直径3μmの円で、高さが8μmで、
際近接の柱状体間の中心間距離が6μmになるように正
方格子配列を持つ柱状体群と壁を有するヒータチップを
作製した(図示省略)。インク通路はシートレジストと
ニッケルシートで例1と同様に作成した。このヒーター
チップの転写部は柱状体及び壁のメタルマスク以外は全
て石英ガラスで作られているので透明である。
板を石英ガラスにして、さらにヒータ及びアルミ電極作
成、およびSiO2 層の成膜のプロセス(図11〜図1
7)を省き、かつ、例3に記載されているようにヒータ
の近傍に、断面が直径3μmの円で、高さが8μmで、
際近接の柱状体間の中心間距離が6μmになるように正
方格子配列を持つ柱状体群と壁を有するヒータチップを
作製した(図示省略)。インク通路はシートレジストと
ニッケルシートで例1と同様に作成した。このヒーター
チップの転写部は柱状体及び壁のメタルマスク以外は全
て石英ガラスで作られているので透明である。
【0279】このヒーターチップは図6のアルミのベー
スプレートの代わりにパイレックス(熱伝導率:1.1
W/m・k)製のベースプレートに取付け、プリンタヘ
ッドを作成した。
スプレートの代わりにパイレックス(熱伝導率:1.1
W/m・k)製のベースプレートに取付け、プリンタヘ
ッドを作成した。
【0280】なお、インクとしては、例1と同様の基本
成分に、最大吸収波長が790nmのナフタロシアニン
系染料TS−1(三井化学社製)を0.1重量%添加し
たインクを使用した。なお、このナフタロシアニン系染
料は光熱変換材料の一種である。
成分に、最大吸収波長が790nmのナフタロシアニン
系染料TS−1(三井化学社製)を0.1重量%添加し
たインクを使用した。なお、このナフタロシアニン系染
料は光熱変換材料の一種である。
【0281】このプリンタヘッドと例1と同様の印画紙
とを用いて、チップの裏側から、例1と同様の図36に
示すパルスで駆動した780nmの半値をインク面で1
0×20μmの楕円にレンズで集光した半導体レーザに
よるレーザ光を照射した。
とを用いて、チップの裏側から、例1と同様の図36に
示すパルスで駆動した780nmの半値をインク面で1
0×20μmの楕円にレンズで集光した半導体レーザに
よるレーザ光を照射した。
【0282】その結果、レーザ駆動時はインクの表面が
局所的に加熱され、レーザ照射面近傍(即ち加熱領域)
の温度勾配にしたがって形成されるインクの表面張力勾
配により、インクはレーザ照射面近傍からレーザ照射面
周囲に向かって移動し、転写部の底面が露出して気−固
−液ラインを形成し、かつ、レーザ非駆動時はインクの
表面張力勾配が解消して、メニスカス回復力によりイン
クはレーザ照射面周囲(即ち周囲領域)からレーザ照射
面近傍(即ち加熱領域)に向かって移動して、露出した
転写部の底面がインクで覆われた。
局所的に加熱され、レーザ照射面近傍(即ち加熱領域)
の温度勾配にしたがって形成されるインクの表面張力勾
配により、インクはレーザ照射面近傍からレーザ照射面
周囲に向かって移動し、転写部の底面が露出して気−固
−液ラインを形成し、かつ、レーザ非駆動時はインクの
表面張力勾配が解消して、メニスカス回復力によりイン
クはレーザ照射面周囲(即ち周囲領域)からレーザ照射
面近傍(即ち加熱領域)に向かって移動して、露出した
転写部の底面がインクで覆われた。
【0283】気−固−液ラインの形成かつ解消を伴う流
れが開口部の縁との衝突、柱状体との衝突、及び、イン
ク波同士の衝突により、転写部のインクが最大約0.1
5ピコリットルのミストとして噴出した。また、0.0
1ピコリットル以上のサイズを有する全てのミストが1
00μmのギャップを飛翔して印画紙に付着した。そし
て、印画紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。
ナフタロシアニン系染料は可視領域ではほとんど無色で
あるので印画紙の汚染は観察されなかった。また、1画
素を形成する時間(周期)毎の休み時間には、温度勾配
が解消するのでインク液面は完全に初期の状態に戻って
いた。
れが開口部の縁との衝突、柱状体との衝突、及び、イン
ク波同士の衝突により、転写部のインクが最大約0.1
5ピコリットルのミストとして噴出した。また、0.0
1ピコリットル以上のサイズを有する全てのミストが1
00μmのギャップを飛翔して印画紙に付着した。そし
て、印画紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。
ナフタロシアニン系染料は可視領域ではほとんど無色で
あるので印画紙の汚染は観察されなかった。また、1画
素を形成する時間(周期)毎の休み時間には、温度勾配
が解消するのでインク液面は完全に初期の状態に戻って
いた。
【0284】図56に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図56から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
5msecであり、その時のエネルギーは50μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ80J、26s
ecになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図56から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
5msecであり、その時のエネルギーは50μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ80J、26s
ecになる。
【0285】例10 例9と同様のヒータチップの製造プロセスにおいて、柱
状体群及び壁の形成後に、転写部には赤外線吸収層(光
熱変換体)として、窒化シリコンとタンタルとの2層膜
(即ち、誘電体2層膜)を成膜した。この2層膜の波長
780nmの吸収率は88%であった。このヒータチッ
プは図6のアルミのベースプレートの代わりにパイレッ
クス製のベースプレートに取付け、プリンタヘッドを作
成した(図示省略)。
状体群及び壁の形成後に、転写部には赤外線吸収層(光
熱変換体)として、窒化シリコンとタンタルとの2層膜
(即ち、誘電体2層膜)を成膜した。この2層膜の波長
780nmの吸収率は88%であった。このヒータチッ
プは図6のアルミのベースプレートの代わりにパイレッ
クス製のベースプレートに取付け、プリンタヘッドを作
成した(図示省略)。
【0286】このプリンタヘッドと例1と同様のインク
及び印画紙とを用いて、チップの裏側から図36に示す
パルスで駆動した780nmの半値をインク面で10×
20μmの楕円にレンズで集光した半導体レーザによる
レーザ光を照射した。
及び印画紙とを用いて、チップの裏側から図36に示す
パルスで駆動した780nmの半値をインク面で10×
20μmの楕円にレンズで集光した半導体レーザによる
レーザ光を照射した。
【0287】例9の転写機構と同様の転写機構で、転写
部のインクが最大約0.15ピコリットルのミストとし
て噴出した。そして、0.01ピコリットル以上のサイ
ズを有する全てのミストが100μmのギャップを飛翔
して印画紙に付着し、印画紙に付着したミストは直ちに
吸収・発色した。
部のインクが最大約0.15ピコリットルのミストとし
て噴出した。そして、0.01ピコリットル以上のサイ
ズを有する全てのミストが100μmのギャップを飛翔
して印画紙に付着し、印画紙に付着したミストは直ちに
吸収・発色した。
【0288】図57に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図57から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
5msecであり、その時のエネルギーは52μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ90J、27s
ecになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図57から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
5msecであり、その時のエネルギーは52μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ90J、27s
ecになる。
【0289】例11 例3と同様のヒータチップ構成において、図41に示す
ように、直径が60μmの開口部80を有するテフロン
製の厚さ30μmの板79を、開口部80の中心とヒー
タ76の中心とが一致するように、転写部の表面と開口
部との間隙が100μmとなるように、蓋支持体78を
介して配置した。テフロンは撥液性があり、このプリン
トヘッドにインク81を導入すると、インク81は柱状
体67及び壁77でメニスカスを形成した。また、ヒー
タ中央部のインク81の厚みは8μmであった。印画紙
とヒータとの距離(ギャップ)は例1と同様に、プリン
タヘッドの一部を印画紙と接触させるのではなく、プリ
ンタヘッドを固定している軸を機械的に2500μm上
方に配置することで、約2000μmのギャップを確保
した。
ように、直径が60μmの開口部80を有するテフロン
製の厚さ30μmの板79を、開口部80の中心とヒー
タ76の中心とが一致するように、転写部の表面と開口
部との間隙が100μmとなるように、蓋支持体78を
介して配置した。テフロンは撥液性があり、このプリン
トヘッドにインク81を導入すると、インク81は柱状
体67及び壁77でメニスカスを形成した。また、ヒー
タ中央部のインク81の厚みは8μmであった。印画紙
とヒータとの距離(ギャップ)は例1と同様に、プリン
タヘッドの一部を印画紙と接触させるのではなく、プリ
ンタヘッドを固定している軸を機械的に2500μm上
方に配置することで、約2000μmのギャップを確保
した。
【0290】このヒータチップを組み込んだプリンタヘ
ッド、及び、例1と同様のプリンタ構成、インク、印画
紙、及び、駆動方法を用いて所定画像の転写を行った。
但し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.5倍にした。
即ちヒータには例1の1.5倍のエネルギーが印加され
る。
ッド、及び、例1と同様のプリンタ構成、インク、印画
紙、及び、駆動方法を用いて所定画像の転写を行った。
但し、ヒータを駆動する電圧は例1の1.5倍にした。
即ちヒータには例1の1.5倍のエネルギーが印加され
る。
【0291】例4に記載した転写機構と同様の転写機構
で、転写部のインクが最大約0.15ピコリットルのミ
ストとして噴出した。0.05ピコリットル以上のサイ
ズを有する全てのミストが2500μmのギャップを飛
翔して印画紙に付着し、それ以下のサイズを有する全て
のインクのミスト及び蒸気は、蒸気テフロン製の蓋の内
側の空間に溜まり、最終的に転写部に戻った。印画紙に
付着したミストは直ちに吸収・発色した。転写したドッ
トの最大濃度に対する半値のエリアの円に換算した直径
は105μmになり、ギャップが2500μmであって
も十分な300dpiの解像度が得られた。
で、転写部のインクが最大約0.15ピコリットルのミ
ストとして噴出した。0.05ピコリットル以上のサイ
ズを有する全てのミストが2500μmのギャップを飛
翔して印画紙に付着し、それ以下のサイズを有する全て
のインクのミスト及び蒸気は、蒸気テフロン製の蓋の内
側の空間に溜まり、最終的に転写部に戻った。印画紙に
付着したミストは直ちに吸収・発色した。転写したドッ
トの最大濃度に対する半値のエリアの円に換算した直径
は105μmになり、ギャップが2500μmであって
も十分な300dpiの解像度が得られた。
【0292】図58に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図58から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。本例において、OD=
2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は6ms
ecであり、その時のエネルギーは95μJになった。
この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な自然画
(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネルギー
及び時間に換算すると、それぞれ160J、33sec
になる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図58から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。本例において、OD=
2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は6ms
ecであり、その時のエネルギーは95μJになった。
この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な自然画
(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネルギー
及び時間に換算すると、それぞれ160J、33sec
になる。
【0293】例12 例3と同様のプリンタヘッド、及び、例1と同様のプリ
ンタ構成、インク、及び、印画紙を用いて所定画像の転
写を行った。但し、駆動パルスの形状は、図42に示す
ように、デューティ90%で鋸状の50KHzのパルス
で転写部のインクを周期的に加温した。1つの画素に対
して画像データに応じて最大255回、このパルスを印
加した。パルス印加時間(255×20μsec=5.
1msec)とインク液面を十分回復させるための休み
時間0.9msecを加えた1画素を形成する時間(周
期)Tは6msec(167Hz)とした。なお、図中
T4 =20μsecである。
ンタ構成、インク、及び、印画紙を用いて所定画像の転
写を行った。但し、駆動パルスの形状は、図42に示す
ように、デューティ90%で鋸状の50KHzのパルス
で転写部のインクを周期的に加温した。1つの画素に対
して画像データに応じて最大255回、このパルスを印
加した。パルス印加時間(255×20μsec=5.
1msec)とインク液面を十分回復させるための休み
時間0.9msecを加えた1画素を形成する時間(周
期)Tは6msec(167Hz)とした。なお、図中
T4 =20μsecである。
【0294】鋸状のパルスでヒータを駆動すると、イン
ク表面の局所的温度上昇が滑らかに推移し、ヒータの周
期的駆動により生じるマランゴニ流の振幅が大きくなっ
た。その結果、例4と同様の機構で、転写部のインクが
最大約0.15ピコリットルのミストとして噴出し、印
画紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。
ク表面の局所的温度上昇が滑らかに推移し、ヒータの周
期的駆動により生じるマランゴニ流の振幅が大きくなっ
た。その結果、例4と同様の機構で、転写部のインクが
最大約0.15ピコリットルのミストとして噴出し、印
画紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。
【0295】図59に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図59から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
6msecであり、その時のエネルギーは86μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ140J、30
6secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図59から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
6msecであり、その時のエネルギーは86μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ140J、30
6secになる。
【0296】例13 例3と同様のプリンタヘッド、及び、例1と同様のプリ
ンタ構成、インク、及び、印画紙を用いて所定画像の転
写を行った。但し、駆動パルスの形状は図43に示すデ
ューティ90%で三角状の50KHzのパルスで転写部
のインクを周期的に加熱した。1つの画素に対して画像
データに応じて最大255回、このパルスを印加した。
パルス印加時間(255×20μsec=5.1mse
c)とインク液面を十分回復させるための休み時間0.
9msecを加えた1画素を形成する時間(周期)Tは
6msec(167Hz)とした。なお、図中T5 =2
0μsecである。
ンタ構成、インク、及び、印画紙を用いて所定画像の転
写を行った。但し、駆動パルスの形状は図43に示すデ
ューティ90%で三角状の50KHzのパルスで転写部
のインクを周期的に加熱した。1つの画素に対して画像
データに応じて最大255回、このパルスを印加した。
パルス印加時間(255×20μsec=5.1mse
c)とインク液面を十分回復させるための休み時間0.
9msecを加えた1画素を形成する時間(周期)Tは
6msec(167Hz)とした。なお、図中T5 =2
0μsecである。
【0297】三角状のパルスでヒータを駆動すると、イ
ンク表面の局所的温度上昇が滑らかに推移し、ヒータの
周期的駆動により生じるマランゴニ流の振幅が大きくな
った。その結果、例4と同様の機構で、転写部のインク
が最大約0.15ピコリットルのミストとして噴出し、
印画紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。
ンク表面の局所的温度上昇が滑らかに推移し、ヒータの
周期的駆動により生じるマランゴニ流の振幅が大きくな
った。その結果、例4と同様の機構で、転写部のインク
が最大約0.15ピコリットルのミストとして噴出し、
印画紙に付着したミストは直ちに吸収・発色した。
【0298】図60に、マクベス濃度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図60から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
6msecであり、その時のエネルギーは86μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ140J、28
secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図60から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
6msecであり、その時のエネルギーは86μJにな
った。この値をA6(約8cm×11cm)の典型的な
自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する場合のエネ
ルギー及び時間に換算すると、それぞれ140J、28
secになる。
【0299】例14 例1と同様のプリンタヘッド、プリンタ、インク及び印
画紙を用いて転写を行った。但し、デューティ100
%、即ち連続的に駆動した。その結果、連続的なインク
のマランゴニ流が発生せず、転写は不十分であった。
画紙を用いて転写を行った。但し、デューティ100
%、即ち連続的に駆動した。その結果、連続的なインク
のマランゴニ流が発生せず、転写は不十分であった。
【0300】例15 例1と同様のヒータチップの製造プロセスにおいて、ヒ
ータの周囲を60μm厚のシートレジストで用いて幅が
100μm、高さが55μmの壁を作り、それ以外は全
く例1と同様のヒータチップを作製した。初期のヒータ
中心部におけるインク液面の厚さは51μmであった。
ータの周囲を60μm厚のシートレジストで用いて幅が
100μm、高さが55μmの壁を作り、それ以外は全
く例1と同様のヒータチップを作製した。初期のヒータ
中心部におけるインク液面の厚さは51μmであった。
【0301】このヒーターチップを用いたプリンタヘッ
ドと、例1に記載されているインク及び印画紙を用い
て、プリンタヘッドのヒータに対して、図36に示す駆
動パルスを与えて周期的に加温した。その結果、ヒータ
の加温時には、シートレジストや壁で規定されるインク
層が厚いのでインク表面の温度は十分上がらず、マラン
ゴニ流がほとんど発生せず、転写は不十分であった。
ドと、例1に記載されているインク及び印画紙を用い
て、プリンタヘッドのヒータに対して、図36に示す駆
動パルスを与えて周期的に加温した。その結果、ヒータ
の加温時には、シートレジストや壁で規定されるインク
層が厚いのでインク表面の温度は十分上がらず、マラン
ゴニ流がほとんど発生せず、転写は不十分であった。
【0302】例16 例3と同様のヒータチップの製造プロセスにおいて、壁
及び柱状体群の高さを0.8μmにし、それ以外は全く
例3と同様のヒータチップを作製した。初期のヒータ中
心部におけるインク液面の厚さは0.3μmであった。
及び柱状体群の高さを0.8μmにし、それ以外は全く
例3と同様のヒータチップを作製した。初期のヒータ中
心部におけるインク液面の厚さは0.3μmであった。
【0303】このヒーターチップを用いたプリンタヘッ
ドと、例1に記載されているインク及び印画紙を用い
て、プリンタヘッドのヒータに対して、図36に示す駆
動パルスを与えて周期的に加温した。その結果、ヒータ
の加温時にマランゴニ流は生じるが、インクの供給が足
りないので、図61に示すように、転写感度はすぐに飽
和する傾向にあった。
ドと、例1に記載されているインク及び印画紙を用い
て、プリンタヘッドのヒータに対して、図36に示す駆
動パルスを与えて周期的に加温した。その結果、ヒータ
の加温時にマランゴニ流は生じるが、インクの供給が足
りないので、図61に示すように、転写感度はすぐに飽
和する傾向にあった。
【0304】例17 例3と同様のプリンタヘッド、プリンタ駆動、及び、印
画紙を用いて、プリンタヘッドのヒータに対して、図3
6に示す駆動パルスを与えて連続的に駆動した。但し、
インクの溶媒をジブチルフタル酸からトルエン(沸点1
10.6℃)に変更した。
画紙を用いて、プリンタヘッドのヒータに対して、図3
6に示す駆動パルスを与えて連続的に駆動した。但し、
インクの溶媒をジブチルフタル酸からトルエン(沸点1
10.6℃)に変更した。
【0305】その結果、マランゴニ流に起因するミスト
の噴出も生じるが、トルエンの沸点が低いので、インク
の沸騰が発生して転写動作は不安定になる傾向にあっ
た。また、保存時に溶媒のトルエンだけが転写部から蒸
発して、濃縮された染料が転写部の底部に沈澱した。こ
のようなプリンタヘッドを図36に示すような駆動パル
スを与えて連続的に駆動してもミストの噴出は不十分で
あった。
の噴出も生じるが、トルエンの沸点が低いので、インク
の沸騰が発生して転写動作は不安定になる傾向にあっ
た。また、保存時に溶媒のトルエンだけが転写部から蒸
発して、濃縮された染料が転写部の底部に沈澱した。こ
のようなプリンタヘッドを図36に示すような駆動パル
スを与えて連続的に駆動してもミストの噴出は不十分で
あった。
【0306】例18 例6と同様のヒータチップの製造プロセスにおいて、ニ
ッケルシートの開口部の寸法を直径20μmの円形にし
た。このヒーターチップを組み込んだプリントヘッドに
インクを導入すると、インクはニッケルシートの開口部
とニッケルシートの底面とが接するラインで停止してメ
ニスカスを形成した。ヒータ中央部のインクの厚みは1
8μmであった。
ッケルシートの開口部の寸法を直径20μmの円形にし
た。このヒーターチップを組み込んだプリントヘッドに
インクを導入すると、インクはニッケルシートの開口部
とニッケルシートの底面とが接するラインで停止してメ
ニスカスを形成した。ヒータ中央部のインクの厚みは1
8μmであった。
【0307】このプリンタヘッドを使用して、例1と同
様のプリンタ、インク、印画紙、及び、駆動方法を用い
て転写を行った。しかし、開口部の面積が狭いために十
分なインク表面温度勾配は発生せず、マランゴニ流がほ
とんど発生せず、転写は不十分であった。
様のプリンタ、インク、印画紙、及び、駆動方法を用い
て転写を行った。しかし、開口部の面積が狭いために十
分なインク表面温度勾配は発生せず、マランゴニ流がほ
とんど発生せず、転写は不十分であった。
【0308】例19 例3と同様のヒータチップの製造プロセスにおいて、隔
壁及び柱状体に対してパーフルオロアルキル基で置換し
たシランカップリング剤を塗布して200℃、5分間の
処理で定着させた。隔壁及び柱状体の側面と転写部の底
面はパーフルオロアルキル基で覆われ、例3と同様のイ
ンクとの接触角が80°になった。
壁及び柱状体に対してパーフルオロアルキル基で置換し
たシランカップリング剤を塗布して200℃、5分間の
処理で定着させた。隔壁及び柱状体の側面と転写部の底
面はパーフルオロアルキル基で覆われ、例3と同様のイ
ンクとの接触角が80°になった。
【0309】このプリンタヘッドを使用して、例3と同
様のプリンタ、インク、印画紙、及び、駆動方法を用い
て転写を行った。しかし、転写部とインクの濡れ性が悪
いためにインク液面が回復する速度が極端に遅くなり、
転写が不十分であった。
様のプリンタ、インク、印画紙、及び、駆動方法を用い
て転写を行った。しかし、転写部とインクの濡れ性が悪
いためにインク液面が回復する速度が極端に遅くなり、
転写が不十分であった。
【0310】例20 例9と同様のヒータチップの製造プロセスにおいて、ヒ
ータチップの材料、及びベースプレートの材料をソーダ
ガラス(熱伝導率:0.6W/m・K)に変更し、それ
以外は例9と同様のプリントヘッドを作製し、例9と同
様の条件で転写を行った。
ータチップの材料、及びベースプレートの材料をソーダ
ガラス(熱伝導率:0.6W/m・K)に変更し、それ
以外は例9と同様のプリントヘッドを作製し、例9と同
様の条件で転写を行った。
【0311】その結果、プリントヘッドの熱伝導率が低
いためにプリントヘッド全体の温度が上昇して、温度勾
配が小さくなり、次第にマランゴニ流の発生が少なくな
り、転写速度は低減する傾向にあった。
いためにプリントヘッド全体の温度が上昇して、温度勾
配が小さくなり、次第にマランゴニ流の発生が少なくな
り、転写速度は低減する傾向にあった。
【0312】例21 例1と同様のヒータチップの製造プロセスにおいて、ヒ
ータのサイズを一辺が60μmの正方形(即ち、最大寸
法幅120μm)に変更し、それ以外は例1と同様のプ
リントヘッドを作製し、例1と同様の条件で転写を行っ
た。
ータのサイズを一辺が60μmの正方形(即ち、最大寸
法幅120μm)に変更し、それ以外は例1と同様のプ
リントヘッドを作製し、例1と同様の条件で転写を行っ
た。
【0313】その結果、ヒータの面積が大きいために局
所的にインクを加熱できず、温度勾配が小さくなり、マ
ランゴニ流がほとんど発生せず、転写は不十分であっ
た。
所的にインクを加熱できず、温度勾配が小さくなり、マ
ランゴニ流がほとんど発生せず、転写は不十分であっ
た。
【0314】例22 例4と同様のプリンタヘッド、プリンタ構成、インク、
印画紙、及び、駆動方法を用いて転写を行った。インク
はインクアニリン系シアン色の染料を使用した。この色
素は空気中で200℃で1時間加熱したときの熱分解物
の割合が500ppmであった。
印画紙、及び、駆動方法を用いて転写を行った。インク
はインクアニリン系シアン色の染料を使用した。この色
素は空気中で200℃で1時間加熱したときの熱分解物
の割合が500ppmであった。
【0315】その結果、初期の転写感度は例4と全く同
じであるが、A6サイズ換算で1000枚転写した時の
転写感度は図62に示すように、例4よりも10%以上
低下した。
じであるが、A6サイズ換算で1000枚転写した時の
転写感度は図62に示すように、例4よりも10%以上
低下した。
【0316】この時のプリンタヘッドの転写部を顕微鏡
で観察すると、直径1〜3μmの異物が柱状体に付着し
ていた。この異物をEDX(エネルギー分散型X線分
光)で元素分析を行うと、主に炭素であることが判明し
た。炭素が付着するとインクの供給が損なわれるので転
写感度は低下する傾向にあった。
で観察すると、直径1〜3μmの異物が柱状体に付着し
ていた。この異物をEDX(エネルギー分散型X線分
光)で元素分析を行うと、主に炭素であることが判明し
た。炭素が付着するとインクの供給が損なわれるので転
写感度は低下する傾向にあった。
【0317】例23 例3と同様のプリンタヘッド、及び、例1と同様のプリ
ンタ構成、印画紙、及び、駆動方法を用いて転写を行っ
た。ただし、インクは、例1と同様のインクに、界面活
性剤として、インクの溶媒であるフタル酸ジブチルより
も沸点が50℃以上低いパーフルオロヘキシル−ヘキサ
ノアート(C6 H13COOC6 F13)を0.1%添加し
た。このパーフルオロヘキシル−ヘキサノアートの添加
によって、インク全体の温度25℃での表面張力は、3
5dyn/cmから14dyn/cmに低下した。
ンタ構成、印画紙、及び、駆動方法を用いて転写を行っ
た。ただし、インクは、例1と同様のインクに、界面活
性剤として、インクの溶媒であるフタル酸ジブチルより
も沸点が50℃以上低いパーフルオロヘキシル−ヘキサ
ノアート(C6 H13COOC6 F13)を0.1%添加し
た。このパーフルオロヘキシル−ヘキサノアートの添加
によって、インク全体の温度25℃での表面張力は、3
5dyn/cmから14dyn/cmに低下した。
【0318】その結果、ヒータを駆動すると、ヒータ中
心部近傍のインクのパーフルオロヘキシル−ヘキサノア
ートが選択的に気化して失われて、ヒータ中心部のイン
クの表面張力が14dye/cmから28dye/cm
に上昇し、例1とは逆向きのマランゴニ流が発生して、
ヒータ上でインク波同士の衝突により、転写部のインク
が最大約0.45ピコリットルのミストとして噴出した
(図3参照)。そして、0.01ピコリットル以上のサ
イズを有する全てのミストが100μmのギャップを飛
翔して印画紙に付着した。印画紙に付着したミストは直
ちに吸収、発色した。また、インクの流動によりヒータ
中心部のインク中のパーフルオロヘキシル−ヘキサノア
ートの濃度は元に戻り、1画素を形成する時間(周期)
毎の休み時間にはインク液面は完全に初期の状態に戻っ
た。
心部近傍のインクのパーフルオロヘキシル−ヘキサノア
ートが選択的に気化して失われて、ヒータ中心部のイン
クの表面張力が14dye/cmから28dye/cm
に上昇し、例1とは逆向きのマランゴニ流が発生して、
ヒータ上でインク波同士の衝突により、転写部のインク
が最大約0.45ピコリットルのミストとして噴出した
(図3参照)。そして、0.01ピコリットル以上のサ
イズを有する全てのミストが100μmのギャップを飛
翔して印画紙に付着した。印画紙に付着したミストは直
ちに吸収、発色した。また、インクの流動によりヒータ
中心部のインク中のパーフルオロヘキシル−ヘキサノア
ートの濃度は元に戻り、1画素を形成する時間(周期)
毎の休み時間にはインク液面は完全に初期の状態に戻っ
た。
【0319】図63に、マクベス温度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図63から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
4.5msecであり、その時のエネルギーは75μJ
であった。また、この値をA6(約8cm×11cm)
の典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する
場合のエネルギー及び時間に変換すると、それぞれ13
0J、23secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図63から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
4.5msecであり、その時のエネルギーは75μJ
であった。また、この値をA6(約8cm×11cm)
の典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する
場合のエネルギー及び時間に変換すると、それぞれ13
0J、23secになる。
【0320】例24 例3と同様のプリンタヘッド、および、例1と同様のプ
リンタ、印画紙、及び、駆動方法を用いて転写を行っ
た。但し、プリンタヘッドに有するヒータ84は、図4
4に示すように、2つに分割されている。
リンタ、印画紙、及び、駆動方法を用いて転写を行っ
た。但し、プリンタヘッドに有するヒータ84は、図4
4に示すように、2つに分割されている。
【0321】図47(A)に示すように、転写部1dに
設けられるヒータ84に所定の駆動パルスを印加して駆
動すると、2か所のヒータ4a及び4b(これらは図4
4のヒータ84に相当する。)で同時に例3と同様のマ
ランゴニ流が発生し、次いで、図47(B)に示すよう
に、2つのヒータの中心で発生したインク進行波同士が
衝突すること、及び、インク進行波とインク保持手段
〔ここでは壁及び凹凸構造体(柱状体)に相当するもの
である。〕2との衝突によって、図47(C)に示すよ
うに、転写部1dのインク5が最大約0.5ピコリット
ルのミスト6として噴出した。
設けられるヒータ84に所定の駆動パルスを印加して駆
動すると、2か所のヒータ4a及び4b(これらは図4
4のヒータ84に相当する。)で同時に例3と同様のマ
ランゴニ流が発生し、次いで、図47(B)に示すよう
に、2つのヒータの中心で発生したインク進行波同士が
衝突すること、及び、インク進行波とインク保持手段
〔ここでは壁及び凹凸構造体(柱状体)に相当するもの
である。〕2との衝突によって、図47(C)に示すよ
うに、転写部1dのインク5が最大約0.5ピコリット
ルのミスト6として噴出した。
【0322】そして、0.01ピコリットル以上のサイ
ズを有する全てのミストが100μmのギャップを飛翔
して印画紙に付着した。印画紙に付着したミストは直ち
に吸収、発色した。また、インクの流動によりヒータ中
心部のインクの濃度は元に戻り、1画素を形成する時間
(周期)毎の休み時間にはインク液面は完全に初期の状
態に戻った。
ズを有する全てのミストが100μmのギャップを飛翔
して印画紙に付着した。印画紙に付着したミストは直ち
に吸収、発色した。また、インクの流動によりヒータ中
心部のインクの濃度は元に戻り、1画素を形成する時間
(周期)毎の休み時間にはインク液面は完全に初期の状
態に戻った。
【0323】図64に、マクベス温度計で測定した本例
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図64から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
4.8msecであり、その時のエネルギーは88μJ
であった。また、この値をA6(約8cm×11cm)
の典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する
場合のエネルギー及び時間に変換すると、それぞれ15
0J、25secになる。
による階調数(1画素中のパルス数)と反射濃度との関
係を示す。図64から、1画素内で64以上の階調表現
が可能であることが推定できる。また、本例において、
OD=2.0を達成するためのシアン色の最低の時間は
4.8msecであり、その時のエネルギーは88μJ
であった。また、この値をA6(約8cm×11cm)
の典型的な自然画(各色の平均濃度0.5)を転写する
場合のエネルギー及び時間に変換すると、それぞれ15
0J、25secになる。
【0324】なお、図45に示すように、ヒータ85を
4分割し、その一対ずつを配線材料(電極62、63と
共通にパターニング)100で接続すると、4つのヒー
タの加熱に対応したマランゴニ流が発生し、また、図4
6に示すようにリング状のヒータ86を設けても、この
形状に対応したマランゴニ流が発生し、いずれも、良好
な転写感度が得られる。
4分割し、その一対ずつを配線材料(電極62、63と
共通にパターニング)100で接続すると、4つのヒー
タの加熱に対応したマランゴニ流が発生し、また、図4
6に示すようにリング状のヒータ86を設けても、この
形状に対応したマランゴニ流が発生し、いずれも、良好
な転写感度が得られる。
【0325】例25 例3及び例1と同様のプリンタヘッド及びプリンタ構
成、インク、及び印画紙を用いて転写を行った。但し、
駆動方法(駆動パルス)は、図69に示すように、デュ
ーティ:90%、パワー:233mW、平均パワー:2
10mWとした。
成、インク、及び印画紙を用いて転写を行った。但し、
駆動方法(駆動パルス)は、図69に示すように、デュ
ーティ:90%、パワー:233mW、平均パワー:2
10mWとした。
【0326】その結果、インクは気化物、及び、この気
化物の凝縮による小ミストとして飛翔し、飛翔するイン
クの体積が小さく、飛翔したインクの速度が失われて、
転写感度は不十分であった。また、インク中に微量含ま
れるシリカ粒や金属粉等の高沸点不純物によるこげつき
が発生する傾向にあった。
化物の凝縮による小ミストとして飛翔し、飛翔するイン
クの体積が小さく、飛翔したインクの速度が失われて、
転写感度は不十分であった。また、インク中に微量含ま
れるシリカ粒や金属粉等の高沸点不純物によるこげつき
が発生する傾向にあった。
【0327】例26 例3と同様のプリンタヘッド、および、例1と同様のプ
リンタ構成、インク、及び印画紙を用いて転写を行っ
た。但し、駆動方法(駆動パルス)は、図70に示すよ
うに、デューティ:60%、パワー:167mW、平均
パワー:100mWとした。
リンタ構成、インク、及び印画紙を用いて転写を行っ
た。但し、駆動方法(駆動パルス)は、図70に示すよ
うに、デューティ:60%、パワー:167mW、平均
パワー:100mWとした。
【0328】その結果、インクは、気化物、小ミスト及
び大ミストとして飛翔し、転写感度(OD)は1.4以
上と十分に高かった。また、例25と比較すると、供給
する平均パワーが半分以下でも十分良好な転写が行える
ことが分かった。
び大ミストとして飛翔し、転写感度(OD)は1.4以
上と十分に高かった。また、例25と比較すると、供給
する平均パワーが半分以下でも十分良好な転写が行える
ことが分かった。
【0329】柱状体の最適な高さの測定 例3と同様の構成で、微小の凹凸構造体(柱状体)の高
さを種々変化させたプリンタヘッドを用意して、所定の
条件下で印画を行ったときの転写感度の最高値を図65
に示す。但し、印画紙は例1と同様のものを用い、イン
クも例1と同様のマゼンダインクを使用した。また、柱
状体は、一辺が3μmの正方形の断面を持つ四角柱で、
柱状体の中心間距離は6μmに設定した。
さを種々変化させたプリンタヘッドを用意して、所定の
条件下で印画を行ったときの転写感度の最高値を図65
に示す。但し、印画紙は例1と同様のものを用い、イン
クも例1と同様のマゼンダインクを使用した。また、柱
状体は、一辺が3μmの正方形の断面を持つ四角柱で、
柱状体の中心間距離は6μmに設定した。
【0330】図65から、柱状体の高さの範囲が1μm
以上、50μm以下の場合に、最低限必要であることが
望ましい転写感度であるOD=1.5以上になった。特
に、柱状体の高さの範囲が2μm以上、10μm以下の
場合には、十分に高い転写感度であるOD=2以上とな
った。
以上、50μm以下の場合に、最低限必要であることが
望ましい転写感度であるOD=1.5以上になった。特
に、柱状体の高さの範囲が2μm以上、10μm以下の
場合には、十分に高い転写感度であるOD=2以上とな
った。
【0331】柱状体の最適な中心間距離の測定 例3と同様の構成で、微小の凹凸構造体(柱状体)の中
心間距離を種々変化させたプリンタヘッドを用意して、
所定の条件下で印画を行ったときの転写感度の最高値を
図66に示す。ただし、印画紙は例1と同様のものを用
い、インクも例1と同様のマゼンダインクを使用した。
また、柱状体は、一辺が3μmの正方形の断面を持つ四
角柱で、柱状体の高さは6μmに設定した。また、柱状
体の中心間距離が3μmの場合は柱状体断面における一
辺は2μm、柱状体の中心間距離が2μmの場合は柱状
体断面の一辺は1μm、柱状体の中心間距離が1μmの
場合は柱状体断面の一辺は0.5μmとした。
心間距離を種々変化させたプリンタヘッドを用意して、
所定の条件下で印画を行ったときの転写感度の最高値を
図66に示す。ただし、印画紙は例1と同様のものを用
い、インクも例1と同様のマゼンダインクを使用した。
また、柱状体は、一辺が3μmの正方形の断面を持つ四
角柱で、柱状体の高さは6μmに設定した。また、柱状
体の中心間距離が3μmの場合は柱状体断面における一
辺は2μm、柱状体の中心間距離が2μmの場合は柱状
体断面の一辺は1μm、柱状体の中心間距離が1μmの
場合は柱状体断面の一辺は0.5μmとした。
【0332】図66から、柱状体の中心間距離の範囲が
2μm以上、40μm以下の場合に、最低限必要である
ことが望ましい転写感度であるOD=1.5以上になっ
た。特に、柱状体の中心間距離の範囲が2μm以上、1
0μm以下の場合には、十分に高い転写感度であるOD
=2以上となった。
2μm以上、40μm以下の場合に、最低限必要である
ことが望ましい転写感度であるOD=1.5以上になっ
た。特に、柱状体の中心間距離の範囲が2μm以上、1
0μm以下の場合には、十分に高い転写感度であるOD
=2以上となった。
【0333】駆動時のパワー及びデューティによる噴出
モードの測定 例1と同様のプリンタヘッドを用いた時の、パワー(ヒ
ータ駆動電圧)、デューティ(パルス信号のデューティ
比)を関数とした転写感度の等高線(等濃度線)を測定
した結果を図67に示す。但し、駆動パルスは図68に
示すように、30μsecを基本周期として、駆動電圧
のON時間を12〜30μsec(つまり、デューティ
40〜100%)にして、その基本パルスの255回の
繰り返しちょ2.35msecの休み時間とを合わせて
1ドットとする。また、印画紙及びインクは例1に示し
たものと同様であり、ここではマゼンダインクを使用し
た際の評価を行った。
モードの測定 例1と同様のプリンタヘッドを用いた時の、パワー(ヒ
ータ駆動電圧)、デューティ(パルス信号のデューティ
比)を関数とした転写感度の等高線(等濃度線)を測定
した結果を図67に示す。但し、駆動パルスは図68に
示すように、30μsecを基本周期として、駆動電圧
のON時間を12〜30μsec(つまり、デューティ
40〜100%)にして、その基本パルスの255回の
繰り返しちょ2.35msecの休み時間とを合わせて
1ドットとする。また、印画紙及びインクは例1に示し
たものと同様であり、ここではマゼンダインクを使用し
た際の評価を行った。
【0334】図67の左下部分の白い領域は、完全に気
化で転写される噴出モードである。この条件では、転写
感度が低く、インク中の色材と溶媒の沸点との差に起因
する溶媒の選択的蒸発現象が観察された。
化で転写される噴出モードである。この条件では、転写
感度が低く、インク中の色材と溶媒の沸点との差に起因
する溶媒の選択的蒸発現象が観察された。
【0335】図67に右上を中心とする大部分を占める
領域(薄い灰色)は、転写中に気化部のヒータ上のイン
クが「逃げ」続けるような噴出モードである。この時、
インクは、気化及び直径が1μm以下の小ミストとして
噴出した。このように、インクの一部が小ミストとして
噴出するので、溶媒の選択的蒸発現象は観察されなかっ
た。また、転写感度は比較的高かった(OD=0.6〜
1程度)。
領域(薄い灰色)は、転写中に気化部のヒータ上のイン
クが「逃げ」続けるような噴出モードである。この時、
インクは、気化及び直径が1μm以下の小ミストとして
噴出した。このように、インクの一部が小ミストとして
噴出するので、溶媒の選択的蒸発現象は観察されなかっ
た。また、転写感度は比較的高かった(OD=0.6〜
1程度)。
【0336】図67の中央の領域(濃い灰色)は、転写
中に気化部のヒータ上のインクが「逃げ」と「戻り」と
を繰り返すような噴出モードである。この時、インク
は、気化、直径1μm以下の小ミスト、及び、直径が2
μm以上の大ミストとして噴出した。インクの一部が小
ミスト及び大ミストとして噴出するので、溶媒の選択的
蒸発現象は観察されなかった。また、転写感度は非常に
高かった(OD=1.2以上)。
中に気化部のヒータ上のインクが「逃げ」と「戻り」と
を繰り返すような噴出モードである。この時、インク
は、気化、直径1μm以下の小ミスト、及び、直径が2
μm以上の大ミストとして噴出した。インクの一部が小
ミスト及び大ミストとして噴出するので、溶媒の選択的
蒸発現象は観察されなかった。また、転写感度は非常に
高かった(OD=1.2以上)。
【0337】図67の左上から右下にかけての領域(斜
線)は、気化とミスト吐出との遷移領域である。この領
域では、基本的には「逃げ」が観察され、インクは気化
及び小ミストとして噴出するが、コゲの発生などの理由
で「逃げ」が解消すると一気に完全気化モードに変化す
る。従って、ミストの吐出挙動は比較的不安定となっ
た。
線)は、気化とミスト吐出との遷移領域である。この領
域では、基本的には「逃げ」が観察され、インクは気化
及び小ミストとして噴出するが、コゲの発生などの理由
で「逃げ」が解消すると一気に完全気化モードに変化す
る。従って、ミストの吐出挙動は比較的不安定となっ
た。
【0338】以上、本発明を実施例について説明した
が、本実施例によれば、銀塩写真並みの高品位画像を満
足し、例えば、A6サイズの画像を10秒以内(6pp
m以上)に出力し、かつ、ランニングコストが十分に低
く、装置コストも十分に低い(約10万円以内)のプリ
ンタヘッド(記録装置)を実現することが十分に可能で
ある。
が、本実施例によれば、銀塩写真並みの高品位画像を満
足し、例えば、A6サイズの画像を10秒以内(6pp
m以上)に出力し、かつ、ランニングコストが十分に低
く、装置コストも十分に低い(約10万円以内)のプリ
ンタヘッド(記録装置)を実現することが十分に可能で
ある。
【0339】
【発明の作用効果】本発明の記録方法によれば、転写部
に保持された記録材を加熱手段による加熱によって飛翔
させ、前記転写部に対向して配される被転写体に所定の
画像を転写するに際し、抵抗加熱やレーザ光加熱等によ
って記録材(インク)の表面に表面張力勾配及び/又は
界面張力勾配を生ぜしめ、これに起因する記録材の流動
を利用して前記記録材を飛翔させるので、比較的大きな
ミストとして前記記録材を飛翔させることができ、従っ
て、単位時間当たりの転写感度が向上し、転写感度や転
写速度などに優れた記録方法が実現できる。
に保持された記録材を加熱手段による加熱によって飛翔
させ、前記転写部に対向して配される被転写体に所定の
画像を転写するに際し、抵抗加熱やレーザ光加熱等によ
って記録材(インク)の表面に表面張力勾配及び/又は
界面張力勾配を生ぜしめ、これに起因する記録材の流動
を利用して前記記録材を飛翔させるので、比較的大きな
ミストとして前記記録材を飛翔させることができ、従っ
て、単位時間当たりの転写感度が向上し、転写感度や転
写速度などに優れた記録方法が実現できる。
【0340】特に、本発明の記録方法によって、前記の
大きなミストとして、例えば直径2μm以上の大ミスト
を効率良く飛翔させることができ、これは上述した従来
の染料気化型熱転写方式における気化物や小ミストに比
べてその体積が約1000倍程度あり、従って、単位時
間当たりの転写感度を2〜10倍程度向上させることが
できる。さらに、前述のように、記録材の表面に表面張
力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜしめ、これに起因
する記録材の流動を記録材の飛翔のための駆動力として
利用しているので、気化又は溶発のみを利用する従来の
染料気化型熱転写方式に比べて、加熱のために供給する
エネルギーが1/2〜1/3程度で済み、また、高熱や
インクの滞留によるこげつきも防止できる。つまり、ト
ータルでは従来の染料気化型熱転写方式に比べて4〜3
0倍の効率アップにつながるものと思われる。
大きなミストとして、例えば直径2μm以上の大ミスト
を効率良く飛翔させることができ、これは上述した従来
の染料気化型熱転写方式における気化物や小ミストに比
べてその体積が約1000倍程度あり、従って、単位時
間当たりの転写感度を2〜10倍程度向上させることが
できる。さらに、前述のように、記録材の表面に表面張
力勾配及び/又は界面張力勾配を生ぜしめ、これに起因
する記録材の流動を記録材の飛翔のための駆動力として
利用しているので、気化又は溶発のみを利用する従来の
染料気化型熱転写方式に比べて、加熱のために供給する
エネルギーが1/2〜1/3程度で済み、また、高熱や
インクの滞留によるこげつきも防止できる。つまり、ト
ータルでは従来の染料気化型熱転写方式に比べて4〜3
0倍の効率アップにつながるものと思われる。
【0341】本発明の記録装置によれば、被転写体に対
向配置する転写部と、この転写部に保持された記録材を
加熱によって飛翔させる加熱手段と、前記加熱によって
前記記録材に表面張力勾配及び/又は界面張力勾配を生
ぜしめ、これに起因する記録材の流動を使用して、前記
記録材を飛翔させる記録材飛翔手段とを有しているの
で、本発明の記録方法を再現性良く実施できる。
向配置する転写部と、この転写部に保持された記録材を
加熱によって飛翔させる加熱手段と、前記加熱によって
前記記録材に表面張力勾配及び/又は界面張力勾配を生
ぜしめ、これに起因する記録材の流動を使用して、前記
記録材を飛翔させる記録材飛翔手段とを有しているの
で、本発明の記録方法を再現性良く実施できる。
【図1】本発明の記録方法に基づく転写原理を説明する
ための模式図である。
ための模式図である。
【図2】同、転写原理を説明するための他の模式図であ
る。
る。
【図3】同、転写原理を説明するための他の模式図であ
る。
る。
【図4】本発明の記録方法に基づいてインクが飛翔する
様子を示す要部概略模式図である。
様子を示す要部概略模式図である。
【図5】本発明の他の記録方法に基づいてインクが飛翔
する様子を示す要部概略模式図である。
する様子を示す要部概略模式図である。
【図6】本発明の記録装置に基づくプリンタヘッドのカ
バーを外した状態の概略下面図である。
バーを外した状態の概略下面図である。
【図7】同、プリンタヘッドの概略下面図である。
【図8】同、プリンタヘッドの概略断面図である。
【図9】同、プリンタヘッドを用いたシリアル方式のカ
ラープリンタの構成を示す概略外観図である。
ラープリンタの構成を示す概略外観図である。
【図10】同、プリンタヘッドを用いたライン方式のカ
ラープリンタの構成を示す概略外観図である。
ラープリンタの構成を示す概略外観図である。
【図11】本発明の記録装置に基づくプリンタヘッドに
おけるヘッドチップの作製プロセスを示す概略断面図で
ある。
おけるヘッドチップの作製プロセスを示す概略断面図で
ある。
【図12】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
【図13】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
【図14】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図(図24のXIV −XI
V 線断面図)である。
他の作製プロセスを示す概略断面図(図24のXIV −XI
V 線断面図)である。
【図15】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図(図25のXV−XV線
断面図)である。
他の作製プロセスを示す概略断面図(図25のXV−XV線
断面図)である。
【図16】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図(図26のXVI −XV
I 線断面図)である。
他の作製プロセスを示す概略断面図(図26のXVI −XV
I 線断面図)である。
【図17】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
【図18】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
【図19】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図(図27のXIX −XI
X 線断面図)である。
他の作製プロセスを示す概略断面図(図27のXIX −XI
X 線断面図)である。
【図20】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
他の作製プロセスを示す概略断面図である。
【図21】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図(図28のXXI −XX
I 線断面図)である。
他の作製プロセスを示す概略断面図(図28のXXI −XX
I 線断面図)である。
【図22】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図(図29のXXII−XX
II線断面図)である。
他の作製プロセスを示す概略断面図(図29のXXII−XX
II線断面図)である。
【図23】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを示す概略断面図(図30のXXIII −
XXIII 線断面図)である。
他の作製プロセスを示す概略断面図(図30のXXIII −
XXIII 線断面図)である。
【図24】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
作製プロセスを説明するための概略平面図である。
作製プロセスを説明するための概略平面図である。
【図25】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
【図26】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
【図27】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
【図28】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
【図29】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
【図30】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
他の作製プロセスを説明するための概略平面図である。
【図31】同、他の形態に基づくプリンタヘッドにおけ
るヘッドチップの概略平面図である。
るヘッドチップの概略平面図である。
【図32】本発明の例1に基づくプリンタヘッドにおけ
るヘッドチップの作製プロセスを説明するための概略断
面図である。
るヘッドチップの作製プロセスを説明するための概略断
面図である。
【図33】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを説明するための概略断面図である。
他の作製プロセスを説明するための概略断面図である。
【図34】同、プリンタヘッドにおけるヘッドチップの
他の作製プロセスを説明するための概略断面図である。
他の作製プロセスを説明するための概略断面図である。
【図35】同、ヘッドチップの転写部付近の構造を示す
概略平面図である。
概略平面図である。
【図36】同、プリンタヘッドを駆動する際に印加する
駆動信号波形の概略図である。
駆動信号波形の概略図である。
【図37】本発明の例3に基づくヘッドチップの転写部
付近の構造を示す概略平面図である。
付近の構造を示す概略平面図である。
【図38】本発明の例6に基づくヘッドチップの転写部
付近の構造を示す概略平面図である。
付近の構造を示す概略平面図である。
【図39】本発明の例7に基づくヘッドチップの転写部
付近の構造を示す概略平面図である。
付近の構造を示す概略平面図である。
【図40】本発明の例8に基づくヘッドチップの転写部
付近の構造を示す概略平面図である。
付近の構造を示す概略平面図である。
【図41】本発明の例11に基づくヘッドチップの転写
部付近の構造を示す概略断面図である。
部付近の構造を示す概略断面図である。
【図42】本発明の例12に基づくプリンタヘッドを駆
動する際に印加する駆動信号波形の概略図である。
動する際に印加する駆動信号波形の概略図である。
【図43】本発明の例13に基づくプリンタヘッドを駆
動する際に印加する駆動信号波形の概略図である。
動する際に印加する駆動信号波形の概略図である。
【図44】本発明の例24に基づくヘッドチップの転写
部付近の構造を示す概略平面図である。
部付近の構造を示す概略平面図である。
【図45】本発明に基づくプリンタヘッドにおけるヘッ
ドチップの転写部付近の構造を示す概略平面図である。
ドチップの転写部付近の構造を示す概略平面図である。
【図46】同、他のヘッドチップの転写部付近の構造を
示す概略平面図である。
示す概略平面図である。
【図47】同、ヘッドチップを用いた際の転写原理を説
明するための模式図である。
明するための模式図である。
【図48】本発明の例1における階調数と転写感度との
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
【図49】同、例2における階調数と転写感度との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図50】同、例3における階調数と転写感度との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図51】同、例4における階調数と転写感度との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図52】同、例5における階調数と転写感度との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図53】同、例6における階調数と転写感度との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図54】同、例7における階調数と転写感度との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図55】同、例8における階調数と転写感度との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図56】同、例9における階調数と転写感度との関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図57】同、例10における階調数と転写感度との関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
【図58】同、例11における階調数と転写感度との関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
【図59】同、例12における階調数と転写感度との関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
【図60】同、例13における階調数と転写感度との関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
【図61】同、例16における階調数と転写感度との関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
【図62】同、例4及び例22の転写枚数による転写感
度の変化を示すグラフである。
度の変化を示すグラフである。
【図63】同、例23における階調数と転写感度との関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
【図64】同、例24における階調数と転写感度との関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
【図65】本発明に基づくプリンタヘッドの転写部にお
ける柱状体の高さによる転写感度の変化を示すグラフで
ある。
ける柱状体の高さによる転写感度の変化を示すグラフで
ある。
【図66】同、転写部における柱状体の中心間距離によ
る転写感度の変化を示すグラフである。
る転写感度の変化を示すグラフである。
【図67】本発明に基づく駆動方法においてパワー及び
デューティを関数とした転写感度の等高線(等濃度線)
を示す図である。
デューティを関数とした転写感度の等高線(等濃度線)
を示す図である。
【図68】同、駆動方法における駆動パルス波形の概略
図である。
図である。
【図69】本発明の例25における駆動パルス波形の概
略図である。
略図である。
【図70】同、例26における駆動パルス波形の概略図
である。
である。
【図71】従来の昇華型熱転写方式のプリンタ構成を示
す概略模式図である。
す概略模式図である。
1a、1b、1c、1d…転写部、2…インク保持構造
体、3…転写部底面、4、4a、4b…ヒータ、5…イ
ンク、6…大ミスト、7…界面活性剤消失部、11…ヒ
ータ、12…共通電極、13…個別電極、14…大ミス
ト、15…小ミスト、16…気化物、20…プリンタヘ
ッド、21…溝、22…ヒータチップ、23…ヘッドベ
ース(ヒートシンク)、24…ドライバIC、25…ジ
ャンクションコートレジン(JCR)、26…プリント
基板、27…インク導入孔、28…コネクタ用端子、2
9…カバー、30…シートレジスト、31…Niシー
ト、32…可動片、34…連結材、35…送り軸、36
…プラテン、37…印画紙、38…先端部、39…送り
ローラ、40a…メタル層、40b、40c…メタルマ
スク、41…基板、42…SiO2 層、43…ポリシリ
コン層、44…アルミニウム層(電極)、44a…個別
電極、44b…共通電極、45…ヒータ部、46a、4
6b…絶縁部、47…SiO2 層、48…個別電極用ス
ルーホール、49…共通電極用スルーホール、50…微
小間隙、51…壁(隔壁)、52…柱状体、53…シー
トレジスト、54…Niシート、55…パッド部、6
1、66、68、70、74…転写部、62…個別電
極、63…共通電極、64…シートレジスト、65…N
iシート、67、73…柱状体(凹凸構造体)、69…
開口部、71…スリット、72…蓋部材、75…基板、
76…ヒータ部、77…側壁部、78…蓋支持体、79
…蓋部材、80…開口部、81…インク、84…ヒータ
(2分割)、85…ヒータ(4分割)、86…リング状
ヒータ、90…サーマルヘッド、91…インクシート、
92…ベースフィルム、93…インク層、94…被記録
紙、95…紙、96…染料樹脂層、97…プラテンロー
ラ
体、3…転写部底面、4、4a、4b…ヒータ、5…イ
ンク、6…大ミスト、7…界面活性剤消失部、11…ヒ
ータ、12…共通電極、13…個別電極、14…大ミス
ト、15…小ミスト、16…気化物、20…プリンタヘ
ッド、21…溝、22…ヒータチップ、23…ヘッドベ
ース(ヒートシンク)、24…ドライバIC、25…ジ
ャンクションコートレジン(JCR)、26…プリント
基板、27…インク導入孔、28…コネクタ用端子、2
9…カバー、30…シートレジスト、31…Niシー
ト、32…可動片、34…連結材、35…送り軸、36
…プラテン、37…印画紙、38…先端部、39…送り
ローラ、40a…メタル層、40b、40c…メタルマ
スク、41…基板、42…SiO2 層、43…ポリシリ
コン層、44…アルミニウム層(電極)、44a…個別
電極、44b…共通電極、45…ヒータ部、46a、4
6b…絶縁部、47…SiO2 層、48…個別電極用ス
ルーホール、49…共通電極用スルーホール、50…微
小間隙、51…壁(隔壁)、52…柱状体、53…シー
トレジスト、54…Niシート、55…パッド部、6
1、66、68、70、74…転写部、62…個別電
極、63…共通電極、64…シートレジスト、65…N
iシート、67、73…柱状体(凹凸構造体)、69…
開口部、71…スリット、72…蓋部材、75…基板、
76…ヒータ部、77…側壁部、78…蓋支持体、79
…蓋部材、80…開口部、81…インク、84…ヒータ
(2分割)、85…ヒータ(4分割)、86…リング状
ヒータ、90…サーマルヘッド、91…インクシート、
92…ベースフィルム、93…インク層、94…被記録
紙、95…紙、96…染料樹脂層、97…プラテンロー
ラ
Claims (58)
- 【請求項1】 転写部に保持された記録材を加熱手段に
よる加熱によって飛翔させ、前記転写部に対向して配さ
れる被転写体に転写するに際し、 前記加熱によって前記記録材表面に表面張力勾配及び/
又は界面張力勾配を生ぜしめ、これに起因する記録材の
流動を使用して前記記録材を飛翔させる、記録方法。 - 【請求項2】 前記加熱手段による加熱によって前記記
録材に温度勾配を付与し、この温度勾配に応じて少なく
とも前記表面張力勾配を生ぜしめ、これによる前記記録
材の流動を駆動力として、ミスト状に前記記録材を飛翔
させる、請求項1に記載した記録方法。 - 【請求項3】 前記記録材の流動を、前記加熱手段によ
る加熱領域からその周囲領域、又は、この逆方向に生じ
させる、請求項2に記載した記録方法。 - 【請求項4】 加熱時の前記加熱領域から前記周囲領域
への前記記録材の流動と、 冷却時の記録材表面のメニスカス回復力、及び/又は、
前記転写部の毛管力に起因する前記周囲領域から前記加
熱領域への前記記録材の流動とのうち少なくとも一方を
生じさせる、請求項3に記載した記録方法。 - 【請求項5】 前記加熱領域から前記周囲領域へ流動す
る前記記録材の進行波と、前記転写部に前記記録材を保
持する記録材保持手段との衝突、 前記周囲領域から前記加熱領域へ流動する前記記録材の
進行波と、前記記録材保持手段との衝突、 前記加熱領域から前記周囲領域へ流動する前記記録材の
進行波と、前記周囲領域から前記加熱領域へ流動する前
記記録材の進行波との衝突、及び、 前記記録材の定在波と、前記加熱領域から前記周囲領域
へ流動する前記記録材の進行波、及び/又は、前記周囲
領域から前記加熱領域へ流動する前記記録材の進行波と
の共鳴、のうち少なくとも1つによって前記記録材を飛
翔させる、請求項3に記載した記録方法。 - 【請求項6】 前記温度勾配による前記記録材の前記表
面張力勾配に起因するマランゴニ流、 前記温度勾配による前記記録材と前記転写部底面との界
面張力勾配に起因するマランゴニ流、 前記記録材を構成する物質の濃度分布によるマランゴニ
流、及び、 前記記録材に含まれる界面活性剤の選択的気化によるマ
ランゴニ流、のうち、少なくとも前記表面張力勾配に起
因するマランゴニ流によって、前記記録材を流動させ
る、請求項2に記載した記録方法。 - 【請求項7】 前記加熱手段による加熱を周期的に行っ
て、前記記録材を周期的に流動させる、請求項1に記載
した記録方法。 - 【請求項8】 前記転写部の底面の少なくとも一部が露
出するように、前記記録材を流動させる、請求項1に記
載した記録方法。 - 【請求項9】 前記記録材の流動による前記転写部の底
面の露出と、この底面の被覆とを周期的に行う、請求項
8に記載した記録方法。 - 【請求項10】 前記転写部底面の露出部が周期的に移
動する、請求項8に記載した記録方法。 - 【請求項11】 前記転写部底面の露出部が完全には被
覆されずに周期的に移動する、請求項8に記載した記録
方法。 - 【請求項12】 前記転写部に、毛管現象によって前記
記録材を保持する記録材保持構造体を配する、請求項1
に記載した記録方法。 - 【請求項13】 前記記録材保持構造体を微小な凹凸構
造体とし、これを前記記録材保持手段の一部として構成
する、請求項12に記載した記録方法。 - 【請求項14】 前記加熱領域の中心から20μm以内
の範囲で、高さ1μm以上、50μm以下、幅1μm以
上、10μm以下、中心間距離2μm以上、40μm以
下の少なくとも4本の柱状又は錐状の凸部によって形成
された前記凹凸構造体を周期的又は非周期的に設ける、
請求項13に記載した記録方法。 - 【請求項15】 前記加熱手段の近傍に保持されている
前記記録材が、気液界面以外からは気化しない、請求項
1に記載した記録方法。 - 【請求項16】 前記流動によって飛翔する前記記録材
の量が、1ピコリットル以内である、請求項1に記載し
た記録方法。 - 【請求項17】 前記記録材保持手段として、前記加熱
領域の中心部から50μm以内にあって、高さ1μm以
上、50μm以下の壁を、前記加熱領域から少なくとも
1方向に設ける、請求項5に記載した記録方法。 - 【請求項18】 前記記録材保持手段として、前記加熱
領域の上部に開口部を有する部材を設け、その部材の開
口部面積が1000μm2 以上、50000μm2 以
下、かつ、この部材で規定される前記記録材の厚さが1
μm以上、50μm以下であって、さらに、前記転写部
から飛翔する記録材ミストの真球に換算した場合の最大
断面積が前記開口部面積の1/10以下である、請求項
5に記載した記録方法。 - 【請求項19】 前記記録材保持手段として、前記加熱
領域の上部にスリットを有する部材を設け、このスリッ
トの平均幅が30μm以上、500μm以下、かつ、こ
の部材で規定される前記記録材の厚さが1μm以上、5
0μm以下であって、さらに、前記転写部から飛翔する
記録材ミストの真球に換算した場合の直径が前記スリッ
トの平均幅の1/3以下である、請求項5に記載した記
録方法。 - 【請求項20】 前記記録材保持手段のみによって、前
記転写部に保持する前記記録材の厚みを規定する、請求
項5に記載した記録方法。 - 【請求項21】 前記転写部の底面、前記記録材保持手
段の側面又は裏面における前記記録材の接触角θ1 が、
温度0度以上、200℃以下で、θ1 =60°以下であ
る、請求項20に記載した記録方法。 - 【請求項22】 前記記録材保持手段の上面部、前記加
熱領域上に開口部を有しかつ前記記録材の厚みを規定す
るための部材の前記開口部の側面における前記記録材の
接触角θ2 が75°以上である、請求項20に記載した
記録方法。 - 【請求項23】 前記記録材の接触角θ2 が75°以上
となるように、前記記録材保持手段及び/又は前記部材
を撥液性材料で構成するか、或いは、前記記録材保持手
段及び/又は前記部材に撥液処理を施し、かつ、前記開
口部を有する部材が前記記録材表面と所定の間隙をおい
て、前記被転写体が配される側に設けられている、請求
項22に記載した記録方法。 - 【請求項24】 温度0℃以上、200℃以下での熱伝
導率が1W/m・K以上である材料を90重量%以上含
む材料によって前記転写部を形成する、請求項1に記載
した記録方法。 - 【請求項25】 前記加熱手段として、前記転写部下部
に設けられた最大寸法60μm以下の抵抗加熱手段を使
用する、請求項1に記載した記録方法。 - 【請求項26】 前記記録材を構成する材料の少なくと
も一部に光熱変換材料を含有せしめ、前記加熱手段とし
てのレーザ光を前記光熱変換材料に照射することによっ
て前記記録材を飛翔させる、請求項1に記載した記録方
法。 - 【請求項27】 前記転写部を構成する材料の少なくと
も一部に光熱変換材料を付与し、前記加熱手段としての
レーザ光を前記光熱変換材料に照射することによって前
記記録材を飛翔させる、請求項1に記載した記録方法。 - 【請求項28】 前記記録材として、大気圧での沸点が
250℃以上となる材料を選択する、請求項1に記載し
た記録方法。 - 【請求項29】 前記記録材として、常圧、空気中、温
度200℃で1時間加熱したときの熱分解物の割合が1
00ppm以下である材料を選択する、請求項1に記載
した記録方法。 - 【請求項30】 前記転写部に保持された記録材表面と
前記被転写体との距離を50μm以上、2000μm以
下とする、請求項1に記載した記録方法。 - 【請求項31】 前記の周期的加熱を行うに際し、デュ
ーティが20%以上の矩形波信号を前記加熱手段に印加
する、請求項7に記載した記録方法。 - 【請求項32】 前記の周期的加熱を行うに際し、デュ
ーティが20%以上である三角形状の信号、或いは、ノ
コギリ形状の信号を前記加熱手段に印加する、請求項7
に記載した記録方法。 - 【請求項33】 前記の周期的な加熱を行うに際し、デ
ューティが40%以上、80%以下であって、パワーが
130mW以上、210mW以下のパルス信号を印加す
る、請求項7に記載した記録方法。 - 【請求項34】 1画素を形成する時間内で、前記パル
ス信号とインターバルとを印加する、請求項33に記載
した記録方法。 - 【請求項35】 前記被転写体として、平均孔寸法0.
05μm以上、20μm以下を有する多孔質の印画紙を
使用する、請求項1に記載した記録方法。 - 【請求項36】 前記記録材の溶媒よりも常圧で20℃
以上沸点が低い界面活性剤を前記記録材に添加する、請
求項1に記載した記録方法。 - 【請求項37】 1つの前記転写部に前記加熱手段とし
ての複数の加熱手段、若しくは、リング状の加熱手段を
設ける、請求項1に記載した記録方法。 - 【請求項38】 被転写体に対向配置する転写部と、 この転写部に保持された記録材を加熱によって飛翔させ
る加熱手段と、 前記加熱によって前記記録材に表面張力勾配及び/又は
界面張力勾配を生ぜしめ、これに起因する記録材の流動
を使用して、前記記録材を飛翔させる記録材飛翔手段と
を有する、記録装置。 - 【請求項39】 前記加熱手段による加熱が周期的に行
われ、前記記録材が周期的に流動される、請求項38に
記載した記録装置。 - 【請求項40】 前記転写部に、前記記録材を保持する
記録材保持手段が設けられている、請求項38に記載し
た記録装置。 - 【請求項41】 前記転写部に、毛管現象によって前記
記録材を保持する記録材保持構造体が配されている、請
求項38に記載した記録装置。 - 【請求項42】 前記記録材保持構造体が微小な凹凸構
造体であり、これが前記転写部に前記記録材保持手段の
一部として形成されている、請求項41に記載した記録
装置。 - 【請求項43】 前記加熱領域の中心から20μm以内
の範囲で、高さ1μm以上、50μm以下、幅1μm以
上、10μm以下、中心間距離2μm以上、40μm以
下の少なくとも4本の柱状又は錐状の凸部によって形成
された前記凹凸構造体が周期的又は非周期的に設けられ
ている、請求項42に記載した記録装置。 - 【請求項44】 前記記録材保持手段として、前記加熱
領域の中心部から50μm以内にあって、高さ1μm以
上、50μm以下の壁が、前記加熱領域から少なくとも
1方向に設けられている、請求項40に記載した記録装
置。 - 【請求項45】 前記記録材保持手段として、前記加熱
領域の上部に開口部を有する部材が設けられており、そ
の部材の開口部面積が1000μm2 以上、50000
μm2 以下、かつ、この部材で規定される前記記録材の
厚さが1μm以上、50μm以下であって、さらに、前
記転写部から飛翔する記録材ミストの真球に換算した場
合の最大断面積が前記開口部面積の1/10以下となる
ように構成されている、請求項40に記載した記録装
置。 - 【請求項46】 前記記録材保持手段として、前記加熱
領域の上部にスリットを有する部材が設けられており、
このスリットの平均幅が30μm以上、500μm以
下、かつ、この部材で規定される前記記録材の厚さが1
μm以上、50μm以下であって、さらに、前記転写部
から飛翔する記録材ミストの真球に換算した場合の直径
が前記スリットの平均幅の1/3以下となるように構成
されている、請求項40に記載した記録装置。 - 【請求項47】 前記記録材保持手段のみによって、前
記転写部に保持する前記記録材の厚みを規定している、
請求項40に記載した記録装置。 - 【請求項48】 前記転写部の底面、前記記録材保持手
段の側面又は裏面における前記記録材の接触角θ1 が、
温度0度以上、200℃以下で、θ1 =60°以下であ
る、請求項47に記載した記録装置。 - 【請求項49】 前記記録材保持手段の上面部、前記加
熱領域上に開口部を有しかつ前記記録材の厚みを規定す
るための部材の前記開口部の側面における前記記録材の
接触角θ2 が75°以上である、請求項47に記載した
記録装置。 - 【請求項50】 前記記録材の接触角θ2 が75°以上
となるように、前記記録材保持手段及び/又は前記部材
が撥液性材料で構成されているか、或いは、前記記録材
保持手段及び/又は前記部材に撥液処理が施され、か
つ、前記開口部を有する部材が前記記録材表面と所定の
間隙をおいて、前記被転写体が配される側に設けられて
いる、請求項49に記載した記録装置。 - 【請求項51】 温度0℃以上、200℃以下での熱伝
導率が1W/m・K以上である材料を90重量%以上含
む材料によって前記転写部が形成されている、請求項3
8に記載した記録装置。 - 【請求項52】 前記加熱手段として、前記転写部下部
に最大寸法60μm以下の抵抗加熱手段が設けられてい
る、請求項38に記載した記録装置。 - 【請求項53】 前記転写部を構成する材料の少なくと
も一部に光熱変換材料が付与されており、前記加熱手段
としてのレーザ光を前記光熱変換材料に照射することに
よって前記記録材が飛翔するように構成されている、請
求項38に記載した記録装置。 - 【請求項54】 前記の周期的加熱を行うに際し、デュ
ーティが20%以上の矩形波信号を前記加熱手段に印加
するための信号印加手段が設けられている、請求項39
に記載した記録装置。 - 【請求項55】 前記の周期的加熱を行うに際し、デュ
ーティが20%以上である三角形状の信号、或いは、ノ
コギリ形状の信号を前記加熱手段に印加するための信号
印加手段が設けられている、請求項39に記載した記録
装置。 - 【請求項56】 前記の周期的な加熱を行うに際し、デ
ューティが40%以上、80%以下であって、パワーが
130mW以上、210mW以下のパルス信号を印加す
るための信号印加手段が設けられている、請求項39に
記載した記録装置。 - 【請求項57】 1画素を形成する時間内で、前記パル
ス信号とインターバルとが印加される、請求項56に記
載した記録装置。 - 【請求項58】 1つの前記転写部に前記加熱手段とし
ての複数の加熱手段、若しくは、リング状の加熱手段が
設けられている、請求項38に記載した記録装置。
Priority Applications (2)
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JP10089030A JPH11286105A (ja) | 1998-04-01 | 1998-04-01 | 記録方法及び記録装置 |
US09/285,235 US6120130A (en) | 1998-04-01 | 1999-04-01 | Recording method and recording apparatus |
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JP10089030A JPH11286105A (ja) | 1998-04-01 | 1998-04-01 | 記録方法及び記録装置 |
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JPH11286105A true JPH11286105A (ja) | 1999-10-19 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP10089030A Pending JPH11286105A (ja) | 1998-04-01 | 1998-04-01 | 記録方法及び記録装置 |
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- 1998-04-01 JP JP10089030A patent/JPH11286105A/ja active Pending
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1999
- 1999-04-01 US US09/285,235 patent/US6120130A/en not_active Expired - Fee Related
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