JPH11192539A - 耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法Info
- Publication number
- JPH11192539A JPH11192539A JP1337598A JP1337598A JPH11192539A JP H11192539 A JPH11192539 A JP H11192539A JP 1337598 A JP1337598 A JP 1337598A JP 1337598 A JP1337598 A JP 1337598A JP H11192539 A JPH11192539 A JP H11192539A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chromium
- molten steel
- slab
- containing molten
- continuous casting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Continuous Casting (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 クロム含有溶鋼の連続鋳造装置内における完
全凝固点を適正に制御することにより、鋳片の内部に発
生する空隙を防止して、ザク、センターポロシティある
いは溶鋼流動による偏析等を改善することのできる耐内
部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法を提供す
る。 【解決手段】 クロム含有溶鋼11を鋳型14に注湯し
て一次冷却し、引き続き鋳片17を支持セグメント16
内で支持しながら二次冷却を行って、鋳片17を凝固さ
せてピンチロール18により連続して引き抜くクロム含
有鋼の連続鋳造方法において、鋳片17の凝固完了点2
6を湾曲支持セグメント16a内にする。
全凝固点を適正に制御することにより、鋳片の内部に発
生する空隙を防止して、ザク、センターポロシティある
いは溶鋼流動による偏析等を改善することのできる耐内
部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法を提供す
る。 【解決手段】 クロム含有溶鋼11を鋳型14に注湯し
て一次冷却し、引き続き鋳片17を支持セグメント16
内で支持しながら二次冷却を行って、鋳片17を凝固さ
せてピンチロール18により連続して引き抜くクロム含
有鋼の連続鋳造方法において、鋳片17の凝固完了点2
6を湾曲支持セグメント16a内にする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロム含有溶鋼の
連続鋳造に際し、センターポロシティ及びザク等の内部
欠陥の発生を防止できる耐内部欠陥に優れたクロム含有
溶鋼の連続鋳造方法に関する。
連続鋳造に際し、センターポロシティ及びザク等の内部
欠陥の発生を防止できる耐内部欠陥に優れたクロム含有
溶鋼の連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、溶鋼を鋳型に注湯して一次冷却
を行い、引き続き、連続鋳造装置内の支持装置に付設し
た冷却水ノズルから冷却水を噴霧する二次冷却によっ
て、順次凝固させた鋳片をピンチロールにより、連続し
て引き抜く方法が行われている。この連続鋳造により製
造された鋳片の中心近傍では、凝固収縮に見合う溶鋼の
供給の不足に起因したセンターポロシティ及びザク、あ
るいは溶鋼流動による偏析等が発生することがあり、良
鋳片、又は良製品の歩留りが低下する等の問題がある。
このように、溶鋼の連続鋳造におけるセンターポロシテ
ィ及びザク等を防止するには、凝固が進行しつつある鋳
片を凝固収縮に見合う量だけ圧下することが行われてい
る。特に、クロムを含有する鋳片の品質を改善する代表
的な連続鋳造方法として、特開平3−104819号公
報に示すように、タンディッシュ内の溶鋼の加熱温度を
20〜60℃とし、鋳片の未凝固厚みがストランド全厚
み(鋳片全厚み)の5〜30%となる範囲に、未凝固厚
みの1〜10倍の押し込み量に相当する圧下を加えて
後、この鋳片を所定温度に加熱して圧延する方法、又
は、特開平4−305350号公報のように、鋳片の中
心固相率が0.5〜0.9となる範囲を未凝固厚さの5
0〜100%に相当する押し込み量で圧下することによ
り、鋳片中心部の偏析を改善する方法等が行われてい
る。
を行い、引き続き、連続鋳造装置内の支持装置に付設し
た冷却水ノズルから冷却水を噴霧する二次冷却によっ
て、順次凝固させた鋳片をピンチロールにより、連続し
て引き抜く方法が行われている。この連続鋳造により製
造された鋳片の中心近傍では、凝固収縮に見合う溶鋼の
供給の不足に起因したセンターポロシティ及びザク、あ
るいは溶鋼流動による偏析等が発生することがあり、良
鋳片、又は良製品の歩留りが低下する等の問題がある。
このように、溶鋼の連続鋳造におけるセンターポロシテ
ィ及びザク等を防止するには、凝固が進行しつつある鋳
片を凝固収縮に見合う量だけ圧下することが行われてい
る。特に、クロムを含有する鋳片の品質を改善する代表
的な連続鋳造方法として、特開平3−104819号公
報に示すように、タンディッシュ内の溶鋼の加熱温度を
20〜60℃とし、鋳片の未凝固厚みがストランド全厚
み(鋳片全厚み)の5〜30%となる範囲に、未凝固厚
みの1〜10倍の押し込み量に相当する圧下を加えて
後、この鋳片を所定温度に加熱して圧延する方法、又
は、特開平4−305350号公報のように、鋳片の中
心固相率が0.5〜0.9となる範囲を未凝固厚さの5
0〜100%に相当する押し込み量で圧下することによ
り、鋳片中心部の偏析を改善する方法等が行われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロム
含有溶鋼の連続鋳造においては、前述の特開平3−10
4819号公報に示される溶鋼の加熱温度を20〜60
℃、未凝固厚みが鋳片全厚みに対して5〜30%(換言
すれば中心固相率が0.7〜0.95)となる範囲に、
未凝固厚みの1〜10倍の圧下を加える方法では、セン
ターポロシティ及びザク等をある程度低減できるが以下
の問題がある。まず、センターポロシティ及びザク等を
解消するために、鋳片に圧下を加える部位が極めて狭い
範囲となり、局所的に大きな圧下の付与が必要である。
この狭い範囲に大きな圧下を付与することは、鋳片の内
部割れの発生を招き、鋳片の品質が低下する。また、狭
い範囲に大きな圧下を付与するには、圧下に用いるセグ
メントが大きくなり、しかも、確実な圧下の付与そのも
のが困難であり実用性に乏しい。従って、鋳造後の鋳片
を再加熱して、大きい圧下を行う方法(ブレークダウン
法)が必要となる。更に、特開平4−305350号公
報のように、鋳片中心部の固相率が0.5〜0.9とな
る領域に未凝固厚さの50〜100%の圧下を加えて、
鋳片中心部の偏析を改善する方法では、圧下を行う場所
が凝固の急速に進行する範囲であり、圧着する有効な範
囲が狭くなり、大きな圧下の付与、内部割れの発生、セ
ンターポロシティ及びザク等を確実に解消できないと言
った同様の問題がある。このように、前述のセンターポ
ロシティ及びザク等を改善する方法は、そのいずれも、
鋳片の中心固相率を基準に圧下することにより改善する
ものである。
含有溶鋼の連続鋳造においては、前述の特開平3−10
4819号公報に示される溶鋼の加熱温度を20〜60
℃、未凝固厚みが鋳片全厚みに対して5〜30%(換言
すれば中心固相率が0.7〜0.95)となる範囲に、
未凝固厚みの1〜10倍の圧下を加える方法では、セン
ターポロシティ及びザク等をある程度低減できるが以下
の問題がある。まず、センターポロシティ及びザク等を
解消するために、鋳片に圧下を加える部位が極めて狭い
範囲となり、局所的に大きな圧下の付与が必要である。
この狭い範囲に大きな圧下を付与することは、鋳片の内
部割れの発生を招き、鋳片の品質が低下する。また、狭
い範囲に大きな圧下を付与するには、圧下に用いるセグ
メントが大きくなり、しかも、確実な圧下の付与そのも
のが困難であり実用性に乏しい。従って、鋳造後の鋳片
を再加熱して、大きい圧下を行う方法(ブレークダウン
法)が必要となる。更に、特開平4−305350号公
報のように、鋳片中心部の固相率が0.5〜0.9とな
る領域に未凝固厚さの50〜100%の圧下を加えて、
鋳片中心部の偏析を改善する方法では、圧下を行う場所
が凝固の急速に進行する範囲であり、圧着する有効な範
囲が狭くなり、大きな圧下の付与、内部割れの発生、セ
ンターポロシティ及びザク等を確実に解消できないと言
った同様の問題がある。このように、前述のセンターポ
ロシティ及びザク等を改善する方法は、そのいずれも、
鋳片の中心固相率を基準に圧下することにより改善する
ものである。
【0004】しかし、図6に示すように、鋳片の中心固
相率の変化は、普通鋼とクロム含有溶鋼とでは、その凝
固形態が大きく異なる。即ち、普通鋼の場合は、メニス
カスからの距離が長くなるにつれて緩慢に凝固が進行
し、圧下によるセンターポロシティ等に有効な中心固相
率(0.2〜1.0)の範囲が2.5mとなり、長い距
離の圧下が可能となる。これは普通鋼の液相線温度(T
LL)と固相線温度(TSL)の差が35〜45℃と大
きいために、凝固が緩慢となる凝固特性によるものであ
り、中心固相率を圧下の指標とすることで、十分にセン
ターポロシティ等を解消できる。一方、前述のクロム含
有溶鋼では、液相線温度(TLL)と固相線温度(TS
L)の温度差が略15℃と極めて狭い特性を有するため
に、センターポロシティ等に有効な中心固相率(0.2
〜1.0)の範囲が0.57mとなり、極めて狭い範囲
の圧下となる。この狭い範囲を圧下する場合、液相線温
度(TLL)及び固相線温度(TSL)に依存した中心
固相率を指標にした圧下では、前述の大圧下、内部割れ
の発生、未圧着等の問題があり、ザク及びセンターポロ
シティ等を無くすことが不可能である。
相率の変化は、普通鋼とクロム含有溶鋼とでは、その凝
固形態が大きく異なる。即ち、普通鋼の場合は、メニス
カスからの距離が長くなるにつれて緩慢に凝固が進行
し、圧下によるセンターポロシティ等に有効な中心固相
率(0.2〜1.0)の範囲が2.5mとなり、長い距
離の圧下が可能となる。これは普通鋼の液相線温度(T
LL)と固相線温度(TSL)の差が35〜45℃と大
きいために、凝固が緩慢となる凝固特性によるものであ
り、中心固相率を圧下の指標とすることで、十分にセン
ターポロシティ等を解消できる。一方、前述のクロム含
有溶鋼では、液相線温度(TLL)と固相線温度(TS
L)の温度差が略15℃と極めて狭い特性を有するため
に、センターポロシティ等に有効な中心固相率(0.2
〜1.0)の範囲が0.57mとなり、極めて狭い範囲
の圧下となる。この狭い範囲を圧下する場合、液相線温
度(TLL)及び固相線温度(TSL)に依存した中心
固相率を指標にした圧下では、前述の大圧下、内部割れ
の発生、未圧着等の問題があり、ザク及びセンターポロ
シティ等を無くすことが不可能である。
【0005】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、クロム含有溶鋼の連続鋳造装置内の凝固を適正に制
御することで、センターポロシティ及びザクの発生原因
を無くすことにより、圧下に伴う鋳片の内部割れの防止
と、センターポロシティ、ザクあるいは溶鋼流動による
偏析等の発生を防止できる耐内部欠陥に優れたクロム含
有溶鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
で、クロム含有溶鋼の連続鋳造装置内の凝固を適正に制
御することで、センターポロシティ及びザクの発生原因
を無くすことにより、圧下に伴う鋳片の内部割れの防止
と、センターポロシティ、ザクあるいは溶鋼流動による
偏析等の発生を防止できる耐内部欠陥に優れたクロム含
有溶鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方
法は、クロム含有溶鋼を鋳型に注湯して一次冷却し、引
き続き鋳片を支持セグメント内で支持しながら二次冷却
を行って、前記鋳片を凝固させてピンチロールにより連
続して引き抜くクロム含有溶鋼の連続鋳造方法におい
て、前記鋳片の凝固完了点を湾曲支持セグメント内にす
る。ここで、鋳片の凝固完了点とは、鋳型内の一次冷却
と、支持セグメント内の二次冷却により、鋳片の内部が
完全に凝固した点である。更に、支持セグメント内の湾
曲支持セグメントとは、鋳型以降で、連続鋳造装置内の
鋳片の支持セグメントが、所定の曲率で湾曲している支
持セグメントの全てを言う。この湾曲支持セグメント内
に、鋳片の凝固完了点が存在するようにすることで、凝
固完了点の以前に形成される未凝固部の角度を大きくで
き、凝固過程におけるクロム含有溶鋼の封じ込めを無く
すことができる。
記載の耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方
法は、クロム含有溶鋼を鋳型に注湯して一次冷却し、引
き続き鋳片を支持セグメント内で支持しながら二次冷却
を行って、前記鋳片を凝固させてピンチロールにより連
続して引き抜くクロム含有溶鋼の連続鋳造方法におい
て、前記鋳片の凝固完了点を湾曲支持セグメント内にす
る。ここで、鋳片の凝固完了点とは、鋳型内の一次冷却
と、支持セグメント内の二次冷却により、鋳片の内部が
完全に凝固した点である。更に、支持セグメント内の湾
曲支持セグメントとは、鋳型以降で、連続鋳造装置内の
鋳片の支持セグメントが、所定の曲率で湾曲している支
持セグメントの全てを言う。この湾曲支持セグメント内
に、鋳片の凝固完了点が存在するようにすることで、凝
固完了点の以前に形成される未凝固部の角度を大きくで
き、凝固過程におけるクロム含有溶鋼の封じ込めを無く
すことができる。
【0007】請求項2記載の耐内部欠陥に優れたクロム
含有溶鋼の連続鋳造方法は、請求項1記載の耐内部欠陥
に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法において、前記
クロム含有溶鋼の鋳造速度を0.2〜1.4m/分にす
る。鋳造速度が1.4m/分より速いと、湾曲支持セグ
メント内に、鋳片の凝固完了点を保持することができな
いために、凝固完了点より以前に形成される未凝固部の
角度が小さくなり、クロム含有溶鋼の封じ込めが発生し
て、センターポロシティ及びザク等の欠陥が発生する。
一方、0.2m/分より遅い場合は、鋳片の表面が過冷
却となり表面欠陥の発生、あるいは湾曲から水平に鋳片
を矯正する際に、割れが発生する。
含有溶鋼の連続鋳造方法は、請求項1記載の耐内部欠陥
に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法において、前記
クロム含有溶鋼の鋳造速度を0.2〜1.4m/分にす
る。鋳造速度が1.4m/分より速いと、湾曲支持セグ
メント内に、鋳片の凝固完了点を保持することができな
いために、凝固完了点より以前に形成される未凝固部の
角度が小さくなり、クロム含有溶鋼の封じ込めが発生し
て、センターポロシティ及びザク等の欠陥が発生する。
一方、0.2m/分より遅い場合は、鋳片の表面が過冷
却となり表面欠陥の発生、あるいは湾曲から水平に鋳片
を矯正する際に、割れが発生する。
【0008】請求項3記載の耐内部欠陥に優れたクロム
含有溶鋼の連続鋳造方法は、請求項1又は2記載の耐内
部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法におい
て、前記鋳型に注湯する前記クロム含有溶鋼の温度が、
前記クロム含有溶鋼の液相温度より10〜20℃高い温
度である。ここで、鋳型に注湯するクロム含有溶鋼の液
相温度に加算される温度が10℃より低いと鋳造に用い
るノズルやストッパー等に地金が付着して、ノズル詰ま
りとなり鋳造を阻害する。一方、20℃より高いと凝固
完了点を湾曲部以内に保持することが困難となると共
に、凝固完了点より以前に形成される未凝固部の角度の
開きが小さくなり、クロム含有溶鋼の封じ込めが発生し
易くなる。
含有溶鋼の連続鋳造方法は、請求項1又は2記載の耐内
部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法におい
て、前記鋳型に注湯する前記クロム含有溶鋼の温度が、
前記クロム含有溶鋼の液相温度より10〜20℃高い温
度である。ここで、鋳型に注湯するクロム含有溶鋼の液
相温度に加算される温度が10℃より低いと鋳造に用い
るノズルやストッパー等に地金が付着して、ノズル詰ま
りとなり鋳造を阻害する。一方、20℃より高いと凝固
完了点を湾曲部以内に保持することが困難となると共
に、凝固完了点より以前に形成される未凝固部の角度の
開きが小さくなり、クロム含有溶鋼の封じ込めが発生し
易くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明の実施の形態に係る耐内部欠陥に優れたクロ
ム含有溶鋼の連続鋳造方法について説明し、本発明の理
解に供する。図1は本発明の一実施の形態に係る耐内部
欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法を適用した
連続鋳造装置の全体概念図、図2は凝固完了点より以前
に形成される未凝固部のクレータ角度を表す模式図、図
3は鋳造速度とメニスカスから凝固完了点となるまでの
距離、図4はメニスカスから凝固完了点までの距離とそ
の時のクレータ角度を示す図、図5は本発明の耐内部欠
陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法の実施例と比
較例の鋳造速度とセンターポロシティ最大短径(mm)
及びセンターポロシティ評点の関係を示す図である。図
1に示すように、連続鋳造装置10は、タンディッシュ
12の底部に設けた浸漬ノズル13を用いて、鋳型14
にクロム含有溶鋼11を注湯し、冷却によって凝固した
鋳片17を案内支持する支持セグメント16を備えてい
る。そして、鋳型14に注湯されたクロム含有溶鋼11
は、鋳型14の一次冷却により、凝固殻15が形成され
る。更に、一次冷却された後は、支持セグメント16の
湾曲支持セグメント16aと水平支持セグメント16b
に付設した冷却水ノズル(図示せず)から、冷却水を噴
射して、二次冷却を行ない凝固殻15の成長した鋳片1
7をピンチロール18により引き抜きを行うようにして
いる。また、鋳型14内に形成される湯面レベル(メニ
スカス)19は、渦流センサーあるいはレーザー光等を
用いたメニスカス位置検出器20により測定され、演算
制御装置21に入力され、経時変化として記録される。
メニスカス19が変動した場合は、演算制御装置21か
らノズル(図示せず)の開度を調整する指令が出力され
て、浸漬ノズル13からのクロム含有溶鋼11の供給量
が加減できるようにしている。更に、鋳片17の引き抜
き速度(鋳造速度)は、ピンチロール18の回転数を演
算制御装置21に入力して、鋳造速度に変換すると共
に、演算制御装置21により、経過毎に記録が行われ
る。また、演算制御装置21には、鋼種、溶鋼温度、冷
却条件、鋳造速度等の操業条件と、その条件における凝
固完了点26の位置との関係を予め求めたデータが入力
されてあり、湾曲支持セグメント16a内の任意の位置
に、凝固完了点26を指定すると演算制御装置21によ
り、鋳造速度や冷却条件等の操業条件が決定できるよう
にしてある。例えば、任意の凝固完了点26の位置が指
定されるとピンチロール18の回転数が制御されて、所
定の鋳造速度に設定され、湾曲支持セグメント16a内
に凝固完了点26が保持されるように鋳造が行われる。
また、湾曲支持セグメント16aと水平支持セグメント
16bにより、凝固が進んだ鋳片17は、複数の圧下セ
グメント22により、圧下を行うこともできる。この圧
下セグメント22は、油圧シリンダー(図示せず)に、
押圧自在に支持された複数のロール支持フレーム23
と、鋳片17を圧下する複数の凸ロール24を設けてい
る。この凸ロール24により圧下された鋳片17は、ピ
ンチロール18により連続して所定の速度で引き抜かれ
て後工程へと搬送される。
つ、本発明の実施の形態に係る耐内部欠陥に優れたクロ
ム含有溶鋼の連続鋳造方法について説明し、本発明の理
解に供する。図1は本発明の一実施の形態に係る耐内部
欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法を適用した
連続鋳造装置の全体概念図、図2は凝固完了点より以前
に形成される未凝固部のクレータ角度を表す模式図、図
3は鋳造速度とメニスカスから凝固完了点となるまでの
距離、図4はメニスカスから凝固完了点までの距離とそ
の時のクレータ角度を示す図、図5は本発明の耐内部欠
陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法の実施例と比
較例の鋳造速度とセンターポロシティ最大短径(mm)
及びセンターポロシティ評点の関係を示す図である。図
1に示すように、連続鋳造装置10は、タンディッシュ
12の底部に設けた浸漬ノズル13を用いて、鋳型14
にクロム含有溶鋼11を注湯し、冷却によって凝固した
鋳片17を案内支持する支持セグメント16を備えてい
る。そして、鋳型14に注湯されたクロム含有溶鋼11
は、鋳型14の一次冷却により、凝固殻15が形成され
る。更に、一次冷却された後は、支持セグメント16の
湾曲支持セグメント16aと水平支持セグメント16b
に付設した冷却水ノズル(図示せず)から、冷却水を噴
射して、二次冷却を行ない凝固殻15の成長した鋳片1
7をピンチロール18により引き抜きを行うようにして
いる。また、鋳型14内に形成される湯面レベル(メニ
スカス)19は、渦流センサーあるいはレーザー光等を
用いたメニスカス位置検出器20により測定され、演算
制御装置21に入力され、経時変化として記録される。
メニスカス19が変動した場合は、演算制御装置21か
らノズル(図示せず)の開度を調整する指令が出力され
て、浸漬ノズル13からのクロム含有溶鋼11の供給量
が加減できるようにしている。更に、鋳片17の引き抜
き速度(鋳造速度)は、ピンチロール18の回転数を演
算制御装置21に入力して、鋳造速度に変換すると共
に、演算制御装置21により、経過毎に記録が行われ
る。また、演算制御装置21には、鋼種、溶鋼温度、冷
却条件、鋳造速度等の操業条件と、その条件における凝
固完了点26の位置との関係を予め求めたデータが入力
されてあり、湾曲支持セグメント16a内の任意の位置
に、凝固完了点26を指定すると演算制御装置21によ
り、鋳造速度や冷却条件等の操業条件が決定できるよう
にしてある。例えば、任意の凝固完了点26の位置が指
定されるとピンチロール18の回転数が制御されて、所
定の鋳造速度に設定され、湾曲支持セグメント16a内
に凝固完了点26が保持されるように鋳造が行われる。
また、湾曲支持セグメント16aと水平支持セグメント
16bにより、凝固が進んだ鋳片17は、複数の圧下セ
グメント22により、圧下を行うこともできる。この圧
下セグメント22は、油圧シリンダー(図示せず)に、
押圧自在に支持された複数のロール支持フレーム23
と、鋳片17を圧下する複数の凸ロール24を設けてい
る。この凸ロール24により圧下された鋳片17は、ピ
ンチロール18により連続して所定の速度で引き抜かれ
て後工程へと搬送される。
【0010】次に、連続鋳造装置10を本発明の一実施
の形態に係る耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続
鋳造方法に適用した場合の動作について説明する。転炉
及び真空の精錬炉(図示せず)により精錬された炭素
0.19重量%、クロム10〜20重量%のクロム含有
溶鋼11を用いた。このクロム含有溶鋼11は、精錬終
了時に、液相温度よりも10〜20℃高い1515〜1
535℃に調整されて、タンディッシュ12から浸漬ノ
ズル13を介して、一片が220mmの正方形の鋳型1
4に注湯を行った。注湯した後は、鋳型14による一次
冷却と、湾曲支持セグメント16a及び水平支持セグメ
ント16bにより、二次冷却を行い凝固を促進した。こ
の二次冷却は、湾曲支持セグメント16a及び水平支持
セグメント16bに付設した冷却水ノズル(図示せず)
から、鋳片17に散水して行った。この散水量は、湾曲
支持セグメント16aの上部に全水量(705リットル
/分)の40%、湾曲支持セグメント16aの下部及び
水平支持セグメント16bを合わせて、60%の冷却水
量にすると共に、0.2〜1.4m/分の鋳造速度で鋳
造を行った。この湾曲支持セグメント16aを通過する
鋳片17の断面は、図2に示すように、内部に形成され
た未凝固部25と凝固殻15が形成され、凝固完了点2
6を起点として、クレータ角度θも形成されている。ま
た、未凝固部25は引き抜き方向(図2の矢印)に進行
(時間の経過)するにつれて、凝固が進行して凝固完了
点26に至り、鋳片17の全体が凝固する。
の形態に係る耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続
鋳造方法に適用した場合の動作について説明する。転炉
及び真空の精錬炉(図示せず)により精錬された炭素
0.19重量%、クロム10〜20重量%のクロム含有
溶鋼11を用いた。このクロム含有溶鋼11は、精錬終
了時に、液相温度よりも10〜20℃高い1515〜1
535℃に調整されて、タンディッシュ12から浸漬ノ
ズル13を介して、一片が220mmの正方形の鋳型1
4に注湯を行った。注湯した後は、鋳型14による一次
冷却と、湾曲支持セグメント16a及び水平支持セグメ
ント16bにより、二次冷却を行い凝固を促進した。こ
の二次冷却は、湾曲支持セグメント16a及び水平支持
セグメント16bに付設した冷却水ノズル(図示せず)
から、鋳片17に散水して行った。この散水量は、湾曲
支持セグメント16aの上部に全水量(705リットル
/分)の40%、湾曲支持セグメント16aの下部及び
水平支持セグメント16bを合わせて、60%の冷却水
量にすると共に、0.2〜1.4m/分の鋳造速度で鋳
造を行った。この湾曲支持セグメント16aを通過する
鋳片17の断面は、図2に示すように、内部に形成され
た未凝固部25と凝固殻15が形成され、凝固完了点2
6を起点として、クレータ角度θも形成されている。ま
た、未凝固部25は引き抜き方向(図2の矢印)に進行
(時間の経過)するにつれて、凝固が進行して凝固完了
点26に至り、鋳片17の全体が凝固する。
【0011】また、図3は鋳造時の溶鋼温度及び冷却条
件を一定にした場合の鋳造速度(m/分)と凝固完了点
26の位置の変化、図4は、メニスカス19から凝固完
了点26までの距離とクレータ角度θの関係を表したも
のである。凝固完了点26は、鋳造速度が速くなる程に
鋳片17の凝固が遅れるために、メニスカス19からの
距離が長くなり、一方、クレータ角度θは、メニスカス
19から凝固完了点26までの距離が長くなる程に開き
角度が小さくなる。そして、鋳造速度が1.4m/分よ
り速くなると、凝固完了点26の位置がメニスカス19
から20m(湾曲支持セグメント16aの最終端までの
距離)を超えるので、湾曲支持セグメント16a内に、
鋳片17の凝固完了点26を保持することができなくな
り、未凝固部25のクレータ角度θも2°40′未満と
小さくなる。この結果、クロム含有鋼11の封じ込めが
発生し、封じ込められたクロム含有鋼11の凝固収縮に
って空洞が形成されて、センターポロシティ及びザク等
の欠陥となる。この理由は、未凝固部25は、凝固の進
行に伴って縮小しながら形成し、しかも、凝固殻15の
上下から柱状晶(デンドライト)が中心部に向かって成
長しており、内面は、凹凸状態となっているため、鋳造
速度を1.4(m/分)より速くした場合、又はクレー
タ角度θが2°40′より小さい場合は、凝固殻15の
上下から内側に向かって成長するデンドライトの上部先
端と下部先端が繋がる頻度が高くなり、鋳片17の内部
にクロム含有溶鋼11の封じ込めの発生頻度も高くなる
からである。この封じ込められたクロム含有溶鋼11
は、凝固が進行するに伴って収縮し、鋳片17の内部に
空洞が形成されて、センターポロシティ及びザク等の欠
陥となる。また、鋳造速度が0.2より遅い場合は、鋳
片17の表面の急激な冷却により割れが発生して、表面
欠陥となるか、あるいは湾曲から水平に鋳片17を矯正
する際に、鋳片17の伸びが低下して割れが発生する。
これ等の理由から鋳造速度は、0.3〜1.3m/分に
するとより好ましい。なお、クレータ角度θは、メニス
カス19の位置の凝固形成が無い条件で、メニスカス1
9から凝固完了点26までを直線に近似させた場合にお
ける未凝固部25の全角度の1/2の値である。
件を一定にした場合の鋳造速度(m/分)と凝固完了点
26の位置の変化、図4は、メニスカス19から凝固完
了点26までの距離とクレータ角度θの関係を表したも
のである。凝固完了点26は、鋳造速度が速くなる程に
鋳片17の凝固が遅れるために、メニスカス19からの
距離が長くなり、一方、クレータ角度θは、メニスカス
19から凝固完了点26までの距離が長くなる程に開き
角度が小さくなる。そして、鋳造速度が1.4m/分よ
り速くなると、凝固完了点26の位置がメニスカス19
から20m(湾曲支持セグメント16aの最終端までの
距離)を超えるので、湾曲支持セグメント16a内に、
鋳片17の凝固完了点26を保持することができなくな
り、未凝固部25のクレータ角度θも2°40′未満と
小さくなる。この結果、クロム含有鋼11の封じ込めが
発生し、封じ込められたクロム含有鋼11の凝固収縮に
って空洞が形成されて、センターポロシティ及びザク等
の欠陥となる。この理由は、未凝固部25は、凝固の進
行に伴って縮小しながら形成し、しかも、凝固殻15の
上下から柱状晶(デンドライト)が中心部に向かって成
長しており、内面は、凹凸状態となっているため、鋳造
速度を1.4(m/分)より速くした場合、又はクレー
タ角度θが2°40′より小さい場合は、凝固殻15の
上下から内側に向かって成長するデンドライトの上部先
端と下部先端が繋がる頻度が高くなり、鋳片17の内部
にクロム含有溶鋼11の封じ込めの発生頻度も高くなる
からである。この封じ込められたクロム含有溶鋼11
は、凝固が進行するに伴って収縮し、鋳片17の内部に
空洞が形成されて、センターポロシティ及びザク等の欠
陥となる。また、鋳造速度が0.2より遅い場合は、鋳
片17の表面の急激な冷却により割れが発生して、表面
欠陥となるか、あるいは湾曲から水平に鋳片17を矯正
する際に、鋳片17の伸びが低下して割れが発生する。
これ等の理由から鋳造速度は、0.3〜1.3m/分に
するとより好ましい。なお、クレータ角度θは、メニス
カス19の位置の凝固形成が無い条件で、メニスカス1
9から凝固完了点26までを直線に近似させた場合にお
ける未凝固部25の全角度の1/2の値である。
【0012】また、未凝固部25の厚み及び凝固完了点
26は、それぞれの鋳造条件において、鋳型14を出た
鋳片17の任意の位置に、鋲を中心まで打ち込み、凝固
した鋳片17の断面の鋲の溶損状態から、未凝固部25
の厚みを決定し、演算制御装置21に入力して記録す
る。又は、この未凝固部25の厚みは、鋼種、冷却条件
熱伝導率、比熱等を用いた一般の伝熱計算により求める
こともできる。更に、前述した鋳造速度で鋳造を行った
鋳片17に、圧下セグメント22の複数の凸ロール24
により、鋳片17の全厚みの1〜5%の圧下量で圧下を
行っても良く、この圧下量が1%より小さいと鋳片17
に対する圧着効果が発現できず、圧下量が5%より大き
いと鋳片17に対する圧着が過剰となり、鋳片17に割
れが発生するので、圧下量は1〜3%にするとより好ま
しい。
26は、それぞれの鋳造条件において、鋳型14を出た
鋳片17の任意の位置に、鋲を中心まで打ち込み、凝固
した鋳片17の断面の鋲の溶損状態から、未凝固部25
の厚みを決定し、演算制御装置21に入力して記録す
る。又は、この未凝固部25の厚みは、鋼種、冷却条件
熱伝導率、比熱等を用いた一般の伝熱計算により求める
こともできる。更に、前述した鋳造速度で鋳造を行った
鋳片17に、圧下セグメント22の複数の凸ロール24
により、鋳片17の全厚みの1〜5%の圧下量で圧下を
行っても良く、この圧下量が1%より小さいと鋳片17
に対する圧着効果が発現できず、圧下量が5%より大き
いと鋳片17に対する圧着が過剰となり、鋳片17に割
れが発生するので、圧下量は1〜3%にするとより好ま
しい。
【0013】次に、本発明の一実施の形態に係る耐内部
欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法の実施例に
ついて説明する。クロム含有溶鋼11として、炭素0.
19重量%、マンガン0.60重量%、クロム13重量
%を含有し、精錬終了時に液相温度1505℃よりも1
5℃高い1520℃の温度に調整して、タンディッシュ
12から浸漬ノズル13を介して幅220mm、厚み2
20mmの正方形の鋳型14に注湯を行った。注湯を行
った後は、鋳型14による一次冷却と、湾曲支持セグメ
ント16aの上部に、全水量(705リットル/分)の
40%、湾曲支持セグメント16aの下部及び水平支持
セグメント16bに、残りの60%の冷却水を散水して
二次冷却を行い凝固を促進した。鋳造速度は、1.15
〜1.4(m/分)で、凝固完了点26をメニスカス1
9から略15〜20mの湾曲支持セグメント16a内に
制御した。
欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法の実施例に
ついて説明する。クロム含有溶鋼11として、炭素0.
19重量%、マンガン0.60重量%、クロム13重量
%を含有し、精錬終了時に液相温度1505℃よりも1
5℃高い1520℃の温度に調整して、タンディッシュ
12から浸漬ノズル13を介して幅220mm、厚み2
20mmの正方形の鋳型14に注湯を行った。注湯を行
った後は、鋳型14による一次冷却と、湾曲支持セグメ
ント16aの上部に、全水量(705リットル/分)の
40%、湾曲支持セグメント16aの下部及び水平支持
セグメント16bに、残りの60%の冷却水を散水して
二次冷却を行い凝固を促進した。鋳造速度は、1.15
〜1.4(m/分)で、凝固完了点26をメニスカス1
9から略15〜20mの湾曲支持セグメント16a内に
制御した。
【0014】その結果について、センターポロシティ最
大短径(mm)とセンターポロシティ評点を図5に示
す。鋳造速度を1.15〜1.4(m/分)にして、メ
ニスカス19から略15〜20m内に凝固完了点26を
保持した場合(実施例)は、センターポロシティ最大短
径を4mm以下(図中○印)にすることができ、ザク及
びセンターポロシティの発生を低減でき、センターポロ
シティ最大短径の大きさを基に4水準に評価したセンタ
ーポロシティ評点においても2以下であり、造管の際に
内部欠陥が少なく良好であった。これに対して、鋳造速
度は、1.44(m/分)以上で鋳造し、凝固完了点2
6を湾曲支持セグメント16aの外側にした場合(比較
例)は、クロム含有溶鋼11の封じ込め部が形成され
て、センターポロシティ最大短径は7〜15mm(図中
●印)と大きくなり、センターポロシティ評点も3以上
となり、造管の際に、屑化となり歩留りが低下し、悪い
状態であった。
大短径(mm)とセンターポロシティ評点を図5に示
す。鋳造速度を1.15〜1.4(m/分)にして、メ
ニスカス19から略15〜20m内に凝固完了点26を
保持した場合(実施例)は、センターポロシティ最大短
径を4mm以下(図中○印)にすることができ、ザク及
びセンターポロシティの発生を低減でき、センターポロ
シティ最大短径の大きさを基に4水準に評価したセンタ
ーポロシティ評点においても2以下であり、造管の際に
内部欠陥が少なく良好であった。これに対して、鋳造速
度は、1.44(m/分)以上で鋳造し、凝固完了点2
6を湾曲支持セグメント16aの外側にした場合(比較
例)は、クロム含有溶鋼11の封じ込め部が形成され
て、センターポロシティ最大短径は7〜15mm(図中
●印)と大きくなり、センターポロシティ評点も3以上
となり、造管の際に、屑化となり歩留りが低下し、悪い
状態であった。
【0015】以上、本発明の一実施の形態に係る耐内部
欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法について述
べたが、本発明はこれ以外についても本発明の要旨を逸
脱しない範囲を含むものである。なお、湾曲支持セグメ
ント16a内に凝固完了点26を存在させるために、鋳
造速度以外に、全冷却水量の増加あるいは湾曲支持セグ
メント16aに供給する冷却水の比率を40%より増量
することにより冷却を強化して早く凝固させることも可
能である。
欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法について述
べたが、本発明はこれ以外についても本発明の要旨を逸
脱しない範囲を含むものである。なお、湾曲支持セグメ
ント16a内に凝固完了点26を存在させるために、鋳
造速度以外に、全冷却水量の増加あるいは湾曲支持セグ
メント16aに供給する冷却水の比率を40%より増量
することにより冷却を強化して早く凝固させることも可
能である。
【0016】
【発明の効果】請求項1〜3記載の耐内部欠陥に優れた
クロム含有溶鋼の連続鋳造方法は、鋳片の凝固完了点が
湾曲支持セグメント内にあるので、凝固完了点の直前に
形成される未凝固部のクレータ角度の開きが大きくな
り、クロム含有溶鋼の封じ込めをなくして鋳片内部の空
洞の形成を防止できる。この鋳片内部に発生する空洞の
抑制により、鋳片内部のセンターポロシティ及びザクや
偏析等を防止できるので、内部品質に優れた管材やその
他鋼材が得られる。
クロム含有溶鋼の連続鋳造方法は、鋳片の凝固完了点が
湾曲支持セグメント内にあるので、凝固完了点の直前に
形成される未凝固部のクレータ角度の開きが大きくな
り、クロム含有溶鋼の封じ込めをなくして鋳片内部の空
洞の形成を防止できる。この鋳片内部に発生する空洞の
抑制により、鋳片内部のセンターポロシティ及びザクや
偏析等を防止できるので、内部品質に優れた管材やその
他鋼材が得られる。
【0017】特に、請求項2記載の耐内部欠陥に優れた
クロム含有溶鋼の連続鋳造方法は、鋳片の鋳造速度を
0.2〜1.4m/分にするので、鋳片の凝固完了点を
湾曲支持セグメント内に保持し、未凝固部のクレータ角
度の開きを大きくし、センターポロシティ及びザク等の
欠陥を確実に防止すると共に、鋳片の表面の過冷却によ
り発生する表面欠陥あるいは湾曲部から水平部への矯正
時の割れを防止できる。
クロム含有溶鋼の連続鋳造方法は、鋳片の鋳造速度を
0.2〜1.4m/分にするので、鋳片の凝固完了点を
湾曲支持セグメント内に保持し、未凝固部のクレータ角
度の開きを大きくし、センターポロシティ及びザク等の
欠陥を確実に防止すると共に、鋳片の表面の過冷却によ
り発生する表面欠陥あるいは湾曲部から水平部への矯正
時の割れを防止できる。
【0018】請求項3記載の耐内部欠陥に優れたクロム
含有溶鋼の連続鋳造方法は、鋳型に注湯する前記クロム
含有溶鋼の温度が、前記クロム含有溶鋼の液相温度より
10〜20℃高くしてあるので、連続鋳造時のノズル詰
まりを防止して、凝固完了点を湾曲支持セグメント内に
保持し、未凝固部のクレータ角度を容易に大きくでき、
センターポロシティ及びザク等の欠陥を安定して防止で
きる。
含有溶鋼の連続鋳造方法は、鋳型に注湯する前記クロム
含有溶鋼の温度が、前記クロム含有溶鋼の液相温度より
10〜20℃高くしてあるので、連続鋳造時のノズル詰
まりを防止して、凝固完了点を湾曲支持セグメント内に
保持し、未凝固部のクレータ角度を容易に大きくでき、
センターポロシティ及びザク等の欠陥を安定して防止で
きる。
【図1】本発明の一実施の形態に係る耐内部欠陥に優れ
たクロム含有溶鋼の連続鋳造方法を適用した連続鋳造装
置の全体概念図である。
たクロム含有溶鋼の連続鋳造方法を適用した連続鋳造装
置の全体概念図である。
【図2】凝固完了点の直前に形成される未凝固部のクレ
ータ角度を表す模式図である。
ータ角度を表す模式図である。
【図3】鋳造速度とメニスカスから凝固完了点までの距
離を示す図である。
離を示す図である。
【図4】メニスカスから凝固完了点までの距離とその時
のクレータ角度を示す図である。
のクレータ角度を示す図である。
【図5】本発明の耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の
連続鋳造方法の実施例と比較例の鋳造速度とセンターポ
ロシティ最大短径(mm)及びセンターポロシティ評点
の関係を示す図である。
連続鋳造方法の実施例と比較例の鋳造速度とセンターポ
ロシティ最大短径(mm)及びセンターポロシティ評点
の関係を示す図である。
【図6】従来の普通鋼とクロム含有溶鋼の中心固相率の
比較を示す図である。
比較を示す図である。
10 連続鋳造装置 11 クロム含
有溶鋼 12 タンディツシュ 13 浸漬ノズ
ル 14 鋳型 15 凝固殻 16 支持セグメント 16a 湾曲支
持セグメント 16b 水平支持セグメント 17 鋳片 18 ピンチロール 19 湯面レベ
ル(メニスカス) 20 メニスカス位置検出器 21 演算制御
装置 22 圧下セグメント 23 ロール支
持フレーム 24 凸ロール 25 未凝固部 26 凝固完了点
有溶鋼 12 タンディツシュ 13 浸漬ノズ
ル 14 鋳型 15 凝固殻 16 支持セグメント 16a 湾曲支
持セグメント 16b 水平支持セグメント 17 鋳片 18 ピンチロール 19 湯面レベ
ル(メニスカス) 20 メニスカス位置検出器 21 演算制御
装置 22 圧下セグメント 23 ロール支
持フレーム 24 凸ロール 25 未凝固部 26 凝固完了点
Claims (3)
- 【請求項1】 クロム含有溶鋼を鋳型に注湯して一次冷
却し、引き続き鋳片を支持セグメント内で支持しながら
二次冷却を行って、前記鋳片を凝固させてピンチロール
により連続して引き抜くクロム含有溶鋼の連続鋳造方法
において、 前記鋳片の凝固完了点を湾曲支持セグメント内にするこ
とを特徴とする耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連
続鋳造方法。 - 【請求項2】 前記クロム含有溶鋼の鋳造速度を0.2
〜1.4m/分にすることを特徴とする請求項1記載の
耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法。 - 【請求項3】 前記鋳型に注湯する前記クロム含有溶鋼
の温度が、前記クロム含有溶鋼の液相温度より10〜2
0℃高い温度であることを特徴とする請求項1又は2記
載の耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1337598A JPH11192539A (ja) | 1998-01-06 | 1998-01-06 | 耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1337598A JPH11192539A (ja) | 1998-01-06 | 1998-01-06 | 耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11192539A true JPH11192539A (ja) | 1999-07-21 |
Family
ID=11831364
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1337598A Withdrawn JPH11192539A (ja) | 1998-01-06 | 1998-01-06 | 耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11192539A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007518572A (ja) * | 2004-01-20 | 2007-07-12 | エス・エム・エス・デマーク・アクチエンゲゼルシャフト | 溶けた金属、特に溶けた鋼鉄材料の連続鋳造時に鋳造ストランド内の湯溜り尖端部の位置を決定するための方法及び装置 |
JP2007185675A (ja) * | 2006-01-12 | 2007-07-26 | Jfe Steel Kk | 連続鋳造鋳片における表層欠陥発生危険部位の予測方法および連続鋳造鋳片の製造方法 |
JP2011136363A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Cr含有合金鋼製丸鋳片の連続鋳造方法 |
CN110315047A (zh) * | 2019-07-01 | 2019-10-11 | 中国重型机械研究院股份公司 | 一种400系铁素体不锈钢板坯连铸方法 |
-
1998
- 1998-01-06 JP JP1337598A patent/JPH11192539A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007518572A (ja) * | 2004-01-20 | 2007-07-12 | エス・エム・エス・デマーク・アクチエンゲゼルシャフト | 溶けた金属、特に溶けた鋼鉄材料の連続鋳造時に鋳造ストランド内の湯溜り尖端部の位置を決定するための方法及び装置 |
US8006743B2 (en) | 2004-01-20 | 2011-08-30 | Sms Siemag Ag | Method and device for determining the position of the solidification point |
JP2007185675A (ja) * | 2006-01-12 | 2007-07-26 | Jfe Steel Kk | 連続鋳造鋳片における表層欠陥発生危険部位の予測方法および連続鋳造鋳片の製造方法 |
JP2011136363A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Cr含有合金鋼製丸鋳片の連続鋳造方法 |
CN110315047A (zh) * | 2019-07-01 | 2019-10-11 | 中国重型机械研究院股份公司 | 一种400系铁素体不锈钢板坯连铸方法 |
CN110315047B (zh) * | 2019-07-01 | 2020-11-27 | 中国重型机械研究院股份公司 | 一种400系铁素体不锈钢板坯连铸方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2142861C1 (ru) | Способ непрерывной разливки перитектических сталей | |
CN103506586B (zh) | 一种改善高碳钢小方坯中心缩孔的连铸方法 | |
JP2010082638A (ja) | 連続鋳造鋳片の製造方法 | |
JP4337565B2 (ja) | 鋼のスラブ連続鋳造方法 | |
JP2727887B2 (ja) | 水平連続鋳造法 | |
JPH11192539A (ja) | 耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法 | |
JPH07132349A (ja) | 双ロール式連続鋳造方法 | |
JP3546297B2 (ja) | 連続鋳造鋳片の中心偏析低減方法 | |
US4298050A (en) | Process for continuous casting of a slightly deoxidized steel slab | |
JP3374761B2 (ja) | 連続鋳造鋳片、その連続鋳造方法および厚鋼板の製造方法 | |
JP2982622B2 (ja) | 連続鋳造における鋳片の冷却方法 | |
JP3283746B2 (ja) | 連続鋳造用鋳型 | |
JP2020146735A (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP7273307B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP4250008B2 (ja) | 条鋼用鋼の製造方法 | |
JP3394730B2 (ja) | 鋼鋳片の連続鋳造方法 | |
JP5701720B2 (ja) | チタンまたはチタン合金からなる鋳塊の連続鋳造用の鋳型およびこれを備えた連続鋳造装置 | |
JPH0390261A (ja) | 連続鋳造方法 | |
JPH08206806A (ja) | 大断面鋳片の垂直型連続鋳造方法 | |
JPH0390263A (ja) | 連続鋳造方法 | |
KR101435115B1 (ko) | 슬라브 표면 결함 예측 방법 | |
JPH0346217B2 (ja) | ||
JP2004202584A (ja) | 高品質鋳片の連続鋳造方法 | |
JPH05228598A (ja) | 内部品質に優れた連続鋳造鋳片の製造方法 | |
JPH09225612A (ja) | 連続鋳造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050405 |