JPH11137616A - 手術室の環境支援装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】手術室の環境チェックを容易ならしめ常に安全
に手術が行われるようにする。 【解決手段】 手術室の空気中の塵埃数および笑気ガス
濃度を測定するパーティクルカウンタ３４および笑気ガ
スセンサ３５を設けるとともに、該手術室の電源コンセ
ントＣＭ１〜ＣＭ４に配線された非接地電源の非接地状
態および該電源コンセントに接続された医療機器の消費
電流を夫々測定し、測定された塵埃数，笑気ガス濃度等
の空調管理情報、および該電源コンセントに負荷してい
る消費電流を手術室壁面に設けられた液晶ディスプレイ
８に表示し、かつ該液晶ディスプレイに該手術室の鳥瞰
図５０を表示し、前記測定値の異常および異常箇所を該
鳥瞰図上にて警告表示する手段を備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、手術室の環境を適
正に保持するための環境支援装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に病院の手術室は気密状態に保た
れ、空調設備により室内の温度，湿度が適度に保たれ、
かつ手術室内の気圧は室外よりも常に少し高く保持され
るようにして室外から汚染された空気が侵入しないよう
にしている。また手術中は空気中に浮遊する塵埃の数が
一定数以下となるように高性能フィルタに通して浄化し
た空気が供給されるようにし清浄度が高度に保たれるよ
うにしている。さらには、手術室内の空気が麻酔に使わ
れる笑気ガスによって汚染されるとオペレーターに危害
を及ぼすおそれがあるので、笑気ガスの濃度が一定値以
下に保たれるようにガスセンサによりその濃度を常に監
視し必要時に笑気ガスが排出されるようにしている。

【０００３】また、周知のように手術室は万一の停電時
にも支障のないように自家発電の非常用電源を備えなけ
ればならなず、さらにはその電源は一般の屋内配線と異
なり絶縁トランスを介在させることで非接地配線とし人
体に地絡電流が流れ感電事故が発生するようなおそれが
ないようにしている。従ってこれらの電源設備にはコス
トが非常に高くなる状況である。このため多くの既存の
手術室の電源はその許容電流に充分な余裕がないのが現
状である。このため消費電力の大きい最新の医療機器を
同時に使用すると、許容電流が上限を越えて手術中にブ
レーカーが働き使用できなくなるおそれがあった。そこ
でオペレーターは手術室の各壁面に夫々設けられている
電源コンセントのうち未だ負荷が比較的少なくて使用可
能なコンセントを探し出して多数の医療機器を各壁に分
散させて接続しているような状況であって非常に危険で
あった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように、手術室は
安全のために非常に多くの環境条件を整える必要がある
ため、従来ではこのような手術際の環境管理に多大な労
力を要していた。そして不注意により上記のような手術
環境が不適正になりやすいのでこれが原因で医療ミスが
発生するおそれがあった。このため手術室の環境チェッ
クを容易ならしめるような支援装置の開発が望まれてい
た。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る手術室の環
境支援装置は上記課題を解決しようとするもので、手術
室の空気中の塵埃数および笑気ガス濃度を測定するパー
ティクルカウンタおよび笑気ガスセンサを設けるととも
に、該手術室の電源コンセントに配線された非接地電源
の非接地状態および該電源コンセントに接続された医療
機器の消費電流を夫々測定し、測定された塵埃数，笑気
ガス濃度等の空調管理情報、および該電源コンセントに
負荷している消費電流を手術室壁面に設けられた液晶デ
ィスプレイに表示し、かつ該液晶ディスプレイに該手術
室の鳥瞰図を表示し、前記測定値の異常および異常箇所
を該鳥瞰図上にて警告表示する手段を備えてなることを
特徴とする。また本発明は上記環境支援装置において、
液晶ディスプレイの表面に透明なタッチパネルを貼着
し、該タッチパネルを操作することにより空調管理情報
および消費電流等の詳細，対処法等が該液晶ディスプレ
イに表示されるようにしたことを特徴とする。さらに本
発明は上記環境支援装置において、手術室に設けられた
保冷庫および保温庫の温度異常を液晶ディスプレイに警
告表示する手段を備えたことを特徴とする。

【０００６】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
従い説明する。図１は四壁面１〜４を展開して表した手
術室の鳥瞰図で、同図中５は手術台、６は一方の壁１に
設けられた気密性の出入口扉、７は麻酔時間，手術時間
等を表示する時計、８は液晶ディスプレイ、９は引き出
し式テーブル、１０は通話ボックスである。１１，１２
は壁２に設けられた保冷庫と保温庫、１３は笑気ガス，
酸素，窒素等のガスの給気口および真空吸引口が設けら
れたガスパネル、１４，１５は薬品，機材の戸棚であ
る。１７は壁３に設けられた機材戸棚、１８は電源盤で
ある。１９は壁４に設けられたシャウカステンである。
また２０〜２３は各隅角部に設けられた空気の排出口、
ＣＭ１〜ＣＭ４は各壁面の下縁部に設けられた複数の差
込口を有した電源コンセントモジュールである。

【０００７】図２は本発明に係る環境支援装置の空調管
理系統を示し、同図中３０は空調機、３１は給気ダクト
３２に設けられた高性能フィルタで、該給気ダクト３２
は手術室の天井部に設けられた給気口に連通し清浄化さ
れた空気を手術室に供給する。また３３は前記排気口２
０〜２３より手術室内の空気を吸引する排気ダクト、３
６はその吸気用ファンで、該排気ダクト３３にはパーテ
ィクルカウンタ３４、および笑気ガスセンサ３５が設け
られ、手術室から吸引した空気中の塵埃の数、および笑
気ガスの濃度を測定し得る。

【０００８】４０はパーティクルカウンタ３４および笑
気ガスセンサ３５により測定された塵埃数信号および笑
気ガス濃度信号が逐次入力されるように接続されたパー
ソナルコンピュータで、前記液晶ディスプレイ８は該コ
ンピュータ４０のモニタとなっている。また４１は該コ
ンピュータ４０の入力装置として使用し得るように該液
晶ディスプレイ８の表面に貼着した透明なタッチパネル
である。

【０００９】また図３には前記電源盤１８中に設けられ
電源回路を示し、同図中、４５は絶縁トランス、４６は
該絶縁トランス４５の一次側に設けられたブレーカで、
前記各電源コンセントモジュールＣＭ１〜ＣＭ４は該絶
縁トランス４５の二次側に並列に配線され該各電源コン
セントに非接地電源を供給する。４７は該絶縁トランス
４５の二次側が非接地状態、即ち地中との電路が遮断さ
れていることを検知するために設けられた接地検出器
で、該接地検出器４７は絶縁トランス４５の二次側の両
配線のアース間とのリーク電流を常に測定していてその
電流値が一定以上になると前記コンピュータ４０に異常
発生信号を出力する。

【００１０】またＡＭ０は絶縁トランス４５の二次側に
流れる電流を検出する電流センサ、ＢＲ１〜ＢＲ４は各
電源コンセントモジュールＣＭ１〜ＣＭ４ごとに設けら
れたブレーカ、ＡＭ１〜ＡＭ４は各電源コンセントモジ
ュールＣＭ１〜ＣＭ４に流れる電流を検出する電流セン
サで、該各電流センサによって検出された電流値は前記
コンピュータ４０に入力されるようにしている。

【００１１】図４は該コンピュータ４０のモニタである
前記液晶ディスプレイ８の手術中の表示の一例を示した
もので、該ディスプレイにはこの手術室の鳥瞰図５０を
表示する。そして該鳥瞰図５０の左隣に空調管理情報５
１を表示する欄が設けられ、塵埃数，笑気ガス濃度がリ
アルタイムで表示されるほか、該手術室と室外との圧力
差が表示される。また該鳥瞰図５０の右隣には電流量表
示欄５２が設けられ絶縁トランス４５の二次側に流れる
電流（メイン）と各電源コンセントモジュールＣＭ１〜
ＣＭ４に流れる電流をそれぞれ棒グラフにより表示して
いる。

【００１２】また５３はこのコンピュータ４０に入力さ
れた各種の測定値が異常であるときにその警告のために
点灯する押しボタン型の表示ランプ部で、ここに「過電
流警報器」と記されたボタンは上記メインおよびＣＭ１
〜ＣＭ４のいずれかの測定電流値が過大であるときに点
灯し、その点灯と同時に鳥瞰図５０上にその異常箇所が
赤色の矢印５４によって指し示される。そこで該ボタン
を指先で押すことによりタッチパネル４１を介して信号
がコンピュータ４０に入力され、表示欄５５にこのトラ
ブルに対する対処法が表示される。このため、オペレー
ターはこの指図に従い電源コンセントを差し替えたり、
あるいは不要な機器のスイッチを切るなどの適切な対処
ができる。

【００１３】また「地気検出器」と記されたボタンは前
記接地検出器４７から異常信号を受信したときに点灯
し、該ボタンを押すことでそのトラブルの詳細が表示欄
５５に表示される。また図５に示したように「保温庫」
「保冷庫」「冷凍庫」等の各ボタンもこれが点灯するこ
とで温度異常が警告されると同時に矢印５６によってそ
の異常箇所が鳥瞰図５０上に指し示される。また「笑気
濃度」「塵埃数」「空調機」「ＨＥＰＡフィルター」
「プレフィルター」等のボタンも同様にこれらの機器の
不調を点灯により警告表示し、そのボタンを押すことに
よってそのトラブルの詳細や対処法が表示欄５５に表示
されるので、これに従って適切な処置ができるようにな
る。なお、液晶ディスプレイ８上に貼着したタッチパネ
ル４１により入力ができるようにしたので、手術中の何
人でも容易に所期の操作ができる。

【００１４】その他この液晶ディスプレイ８には手術に
使用したガーゼの枚数を管理するためのガーゼカウンタ
ー５７、および、時刻，経過時間，タイマーの表示部５
８等が設けられ、いずれもタッチパネル４１により操作
できるようにしている。

【００１５】

【発明の効果】このように本発明に係る手術室の環境支
援装置は、手術室壁面に設けられた液晶ディスプレイに
手術室の鳥瞰図を表示し、手術室の塵埃数，笑気ガス濃
度や電源コンセントに負荷している消費電流等の測定値
の異常および異常箇所を該鳥瞰図上にて警告表示するの
で、手術室の環境チェックを容易ならしめ常に安全に手
術が行われるようにする有益な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示した手術室の鳥瞰図。

【図２】本発明の実施形態を示す手術室の環境支援装置
の空調管理系統図。

【図３】本発明の実施形態を示す手術室の環境支援装置
の電源回路図。

【図４】本発明の実施形態を示す環境支援装置の液晶デ
ィスプレイの表示例図。

【図５】本発明の実施形態を示す環境支援装置の液晶デ
ィスプレイの表示例図。

【符号の説明】

８ 液晶ディスプレイ １１ 保冷庫 １２ 保温庫 １３ ガスパネル ＣＭ１〜ＣＭ４ 電源コンセントモジュール １８ 電源盤 ２０〜２３ 排気口 ３０ 空調機 ３１ 高性能フィルタ ３２ 給気ダクト ３３ 排気ダクト ３４ パーティクルカウンタ ３５ 笑気ガスセンサ ４０ パーソナルコンピュータ ４１ タッチパネル ４５ 絶縁トランス ４７ 接地検出器 ＡＭ０ 電流センサ ＡＭ１〜ＡＭ４ 電流センサ ５０ 鳥瞰図 ５１ 空調管理情報 ５２ 電流量表示欄 ５３ 表示ランプ部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 手術室の空気中の塵埃数および笑気ガス
   濃度を測定するパーティクルカウンタおよび笑気ガスセ
   ンサを設けるとともに、該手術室の電源コンセントに配
   線された非接地電源の非接地状態および該電源コンセン
   トに接続された医療機器の消費電流を夫々測定し、測定
   された塵埃数，笑気ガス濃度等の空調管理情報、および
   該電源コンセントに負荷している消費電流を手術室壁面
   に設けられた液晶ディスプレイに表示し、かつ該液晶デ
   ィスプレイに該手術室の鳥瞰図を表示し、前記測定値の
   異常および異常箇所を該鳥瞰図上にて警告表示する手段
   を備えてなることを特徴とする手術室の環境支援装置。
2. 【請求項２】 液晶ディスプレイの表面に透明なタッチ
   パネルを貼着し、該タッチパネルを操作することにより
   空調管理情報および消費電流等の詳細，対処法等が該液
   晶ディスプレイに表示されるようにしたことを特徴とす
   る請求項１に記載の手術室の環境支援装置。
3. 【請求項３】 手術室に設けられた保冷庫および保温庫
   の温度異常を液晶ディスプレイに警告表示する手段を備
   えた請求項１または２に記載の手術室の環境支援装置。