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JPH11130768A - 光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸の製造方法および光学活性なマソイヤラクトンの製造方法 - Google Patents

光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸の製造方法および光学活性なマソイヤラクトンの製造方法

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JPH11130768A
JPH11130768A JP30999097A JP30999097A JPH11130768A JP H11130768 A JPH11130768 A JP H11130768A JP 30999097 A JP30999097 A JP 30999097A JP 30999097 A JP30999097 A JP 30999097A JP H11130768 A JPH11130768 A JP H11130768A
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JP
Japan
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hydroxy
optically active
decenoic acid
acid
aminotetralin
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Application number
JP30999097A
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English (en)
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Inventor
Hiroyuki Nohira
博之 野平
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸と
光学活性な1−アミノテトラリンを反応させて5−ヒド
ロキシ−2−デセン酸のジアステレオマー塩を製造し、
次いで該ジアステレオマー塩を各ジアステレオマー塩に
分離した後、得られたジアステレオマー塩を分解して光
学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸を得ることを特
徴とする光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸の製
造方法。および上記の方法で得られた光学活性な5−ヒ
ドロキシ−2−デセン酸を酸の存在下に分子内エステル
化して得られる光学活性なマソイヤラクトンの製造方
法。 【効果】光学活性なマソイヤラクトンを簡単かつ工業的
に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性な5−ヒ
ドロキシ−2−デセン酸の製造方法および光学活性なマ
ソイヤラクトンの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】マソイヤラクトンは、油脂様で甘く、特徴
的なバターやミルク様の香気を有するため、化粧品や食
品調合香料などの分野で有用な化学物質である。また、
マソイヤラクトンは、チュベローズ(月下香)、サトウ
キビ、バターなど天然中に含まれていることが知られて
いる。ところで、マソイヤラクトンは、下記の式(1)
で表わされる。
【化1】 式(1)から明らかなように、マソイヤラクトンは、キ
ラル中心を6員環中に1つ持っており、2種類の光学異
性体((+)−マソイヤラクトンと(−)−マソイヤラ
クトン)が存在する。例えば、天然のチュベローズ中に
含まれるマソイヤラクトンは、(R)−(−)マソイヤ
ラクトンであることが報告されている(Tetrahe
dronLetters,20,1659,(197
6))。しかしながら、天然物から光学活性なマソイヤ
ラクトンを単離する方法は、多大な労力と費用を要する
ため現実的な方法ではない。
【0003】一方、一般に、工業的に製造されるマソイ
ヤラクトンは、2種の光学異性体の混合物である。しか
し、特定の光学異性体を高濃度で得ることができれば、
その工業的な意義は大きい。従来、マソイヤラクトンの
光学分割については、ほとんど研究されていない。数少
ない報告の1つとして、例えば、光学活性エポキシド中
間体を経由してマソイヤラクトンの光学異性体を取得す
る合成方法が報告されている(Tetrahedron
Letters,33,4761,(1990))。だ
が、この方法は、過酸化物を使用することや工程数が多
いなど、工業的製法としては適していない。
【0004】そこで、マソイヤラクトンに、分割剤とし
て光学活性なアミンを作用させてジアステレオマー塩混
合物を形成させて光学分割することが考えられるが、従
来、このジアステレオマー法では、結晶性の良い塩を得
るに適した光学分割剤はなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、マソイヤ
ラクトンを光学分割するために適した光学分割剤を見い
だすべく鋭意研究した結果、マソイヤラクトンを開環さ
せた5−ヒドロキシ−2−デセン酸に、分割剤として特
定の光学活性なアミンを作用させると、効率よく5−ヒ
ドロキシ−2−デセン酸を光学分割できることを見いだ
した。
【0006】
【発明を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸と光学活性
な1−アミノテトラリンを反応させて5−ヒドロキシ−
2−デセン酸のジアステレオマー塩混合物を製造し、次
いで該ジアステレオマー塩混合物を各ジアステレオマー
塩に分離した後、得られたジアステレオマー塩を分解し
て光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸を得ること
を特徴とする光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸
の製造方法が提供される。さらに、本発明によれば、
(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸と光学活性な1
−アミノテトラリンを反応させて5−ヒドロキシ−2−
デセン酸のジアステレオマー塩混合物を製造し、次いで
該ジアステレオマー塩混合物を各ジアステレオマー塩に
分離した後、得られたジアステレオマー塩を分解して合
成した光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸を、酸
の存在下に分子内エステル化して得られる光学活性なマ
ソイヤラクトンの製造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、使用される
(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸は、式(2)で
表される公知の化合物である。
【化2】 (±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸は、通常、式
(1)で表される(±)−マソイヤラクトンを水酸化ナ
トリウムなどのアルカリで加水分解し、塩酸などの酸で
中和することにより容易に得ることができる。
【化3】 本反応で使用される(±)−マソイヤラクトンの製造方
法は、特に制限はなく、特開平7−165668号公報
などに記載されている公知の方法によればよい。本発明
で使用される(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸
は、(+)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸と(−)−
5−ヒドロキシ−2−デセン酸の混合物である。(+)
−5−ヒドロキシ−2−デセン酸と(−)−5−ヒドロ
キシ−2−デセン酸の両者が、1対1の混合物にとどま
らず、いずれか一方が他方より多いものであっても良
い。
【0008】本発明では、(±)−5−ヒドロキシ−2
−デセン酸と光学活性な1−アミノテトラリンを溶媒中
で溶解し反応させてジアステレオマー塩混合物を生成さ
せる。光学活性な1−アミノテトラリンの使用量は、特
に限定されないが、(±)−5−ヒドロキシ−2−デセ
ン酸1モルに対して、通常、0.3〜2.0モル、好ま
しくは0.8〜1.3モルの範囲である。
【0009】本発明においては、(±)−5−ヒドロキ
シ−2−デセン酸に、光学活性な1−アミノテトラリン
を作用させることが必要である。つまり、(±)−5−
ヒドロキシ−2−デセン酸に光学活性な1−アミノテト
ラリンを反応させることによってのみ、難溶性のジアス
テレオマー塩を析出させることができるのである。これ
に対し、分割剤として、他の公知の光学活性アミンを使
用しても、効率よく分割することは困難である。
【0010】使用される溶媒は、5−ヒドロキシ−2−
デセン酸のジアステレオマー塩混合物の形成を阻害しな
いものであれば特に制限されず、例えば、水;ジエチル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチル
メチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサンなどの
エーテル類;メタノール、エタノール、2−プロパノー
ルなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどの
エステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケト
ン類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;n
−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;な
どが挙げられ、なかでも、水、アルコール類、エステル
類などが好ましい。これらは、単独で使用しても、2種
以上を混合して用いても良い。使用される溶媒の量は、
通常、(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸100重
量部に対して、200〜3000重量部であり、好まし
くは、500〜2000重量部である。
【0011】(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸と
光学活性な1−アミノテトラリンからジアステレオマー
塩混合物を生成するときの反応温度は、通常、溶媒の凝
固点から沸点までの間の温度、好ましくは室温から沸点
までの温度範囲内で行われる。該反応の反応時間は、通
常、0.1〜12時間であり、好ましくは0.5〜6時
間である。また、該ジアステレオマー塩混合物を含む反
応液は、反応後、溶媒を留去させても良い。以上の操作
により5−ヒドロキシ−2−デセン酸のジアステレオマ
ー塩混合物が生成される。
【0012】次いで、本発明では、5−ヒドロキシ−2
−デセン酸のジアステレオマー塩混合物を各ジアステレ
オマー塩に分離する。分離の方法としては、公知のいか
なる方法によっても良いが、各ジアステレオマー塩の溶
媒に対する溶解度差を利用して各ジアステレオマー塩に
分離する方法が好ましい。溶解度差を利用する方法は、
通常、反応溶液の溶媒を留去後、再結晶化させて分離す
るか、または反応溶液を冷却し、より溶解性の小さい一
方の5−ヒドロキシ−2−デセン酸のジアステレオマー
塩を結晶として析出させる。これを、濾過や遠心分離な
どの固液分離法により分離する。
【0013】分離したジアステレオマー塩の結晶は、必
要に応じて再結晶することにより、その純度を高めるこ
とができる。再結晶に使用される溶媒は、5−ヒドロキ
シ−2−デセン酸のジアステレオマー塩混合物の形成に
使用することができる溶媒と同様である。これらは、単
独で使用しても、2種以上を混合して用いても良い。再
結晶する回数は、通常、1〜5回であり、2〜5回が好
適である。
【0014】分離された5−ヒドロキシ−2−デセン酸
のジアステレオマー塩の分解は、公知のいかなる方法に
よっても良い。分解方法としては、例えば、上記の再結
晶で得られた5−ヒドロキシ−2−デセン酸のジアステ
レオマー塩に水溶性塩基の水溶液を加えて撹拌すると、
光学活性な1−アミノテトラリンが遊離する。遊離した
1−アミノテトラリンは、有機溶媒で抽出することによ
り回収される。
【0015】水溶性塩基としては、例えば、水酸化ナト
リウムや水酸化カリウムである。水溶性塩基の水溶液の
濃度は、特に制限はないが、例えば、1〜6規定であ
る。水溶性塩基の水溶液の使用量は、特に制限はない
が、水溶性塩基の濃度に応じて、5−ヒドロキシ−2−
デセン酸のジアステレオマー塩1モルに対して、水溶性
塩基が1〜5モル程度になるような使用量を使用すれば
良い。遊離した1−アミノテトラリンを回収するときに
使用する有機溶媒は、特に制限はなく、例えば、エーテ
ル、ベンゼンなどである。有機溶媒の使用量は、特に制
限はなく、例えば、1−アミノテトラリン100重量部
に対して、100〜1000重量部である。
【0016】次に、抽出により分離された水層に無機酸
を加え撹拌すると、光学活性な5−ヒドロキシ−2−デ
セン酸が遊離する。遊離した光学活性な5−ヒドロキシ
−2−デセン酸を有機溶媒で抽出することにより光学活
性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸を取得することがで
きる。無機酸としては、特に制限はなく、例えば、塩
酸、硫酸などである。無機酸の濃度は、例えば、1〜6
規定である。無機酸の使用量は、例えば、無機酸の濃度
に応じて、遊離した光学活性な5−ヒドロキシ−2−デ
セン酸1モルに対して、無機酸が1〜10モル程度にな
るような使用量を使用すれば良い。ここで使用される有
機溶媒は、上記の光学活性な1−アミノテトラリンを回
収するときの使用することができる有機溶媒と同様であ
る。得られた有機溶媒層を、乾燥後、減圧下で有機溶媒
を留去することによって、光学活性な5−ヒドロキシ−
2−デセン酸を得る。
【0017】本発明によれば、上記のようにして得られ
た光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸を溶媒中で
酸の存在下に分子内エステル化せしめて光学活性なマソ
イヤラクトンを得る。
【0018】上記の酸の存在下に分子内エステル化させ
る反応とは、光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸
の分子内の水酸基とカルボキシル基を酸の存在下に分子
内エステル化することにより光学活性なマソイヤラクト
ンを生成するものである。
【化4】
【0019】酸としては、例えば、p−トルエンスルホ
ン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸類;塩
酸、硫酸などの無機酸類;トリフルオロ酢酸、シュウ
酸、などのカルボン酸;などが挙げられ、この中でも有
機スルホン酸類や無機酸類が好適である。酸の使用量
は、通常、5−ヒドロキシ−2−デセン酸1モルに対し
て0.01〜0.1モルであり、好ましくは0.02〜
0.08モルである。
【0020】該分子内エステル化反応に使用される溶媒
は、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キ
シレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサ
ン、オクタンなどの飽和炭化水素;などであり、芳香族
炭化水素が好適である。これらの溶媒は、単独で使用し
ても良く、2種以上組み合わせて使用することもでき
る。
【0021】該分子内エステル化反応の反応温度は、通
常、80〜160℃であり、100〜150℃が好適で
ある。該分子内エステル化反応の反応時間は、通常、2
〜48時間であり、4〜24時間が好適である。該分子
内エステル化反応の後、反応液を炭酸水素ナトリウムな
どのアルカリ水溶液、続いて飽和食塩水で洗浄した後、
有機層を無水硫酸マグネシウムなどで乾燥後、溶媒を留
去することによって光学活性なマソイヤラクトンを得る
ことができる。該マソイヤラクトンは、減圧蒸留などの
方法によって精製しても良い。
【0022】(+)−マソイヤラクトンは、(±)−5
−ヒドロキシ−2−デセン酸に(+)−1−アミノテト
ラリンを反応させることによって得られた難溶性のジア
ステレオマー塩から生成する。また、(−)−マソイヤ
ラクトンは、(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸と
(−)−1−アミノテトラリンを反応させることによっ
て得られた難溶性のジアステレオマーの塩から生成す
る。
【0023】以下にその好ましい実施の形態を要約す
る。 1.(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸1モルに対
して、光学活性な1−アミノテトラリン0.8〜1.3
モルを反応させることを特徴とする光学活性な5−ヒド
ロキシ−2−デセン酸の製造方法。 2.水、アルコール類、エーテル類またはエステル類な
どの溶媒中で、(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸
を光学活性な1−アミノテトラリンと反応させることを
特徴とする光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸の
製造方法。 3.光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸を有機ス
ルホン酸類の存在下に分子内エステル化することを特徴
とする光学活性なマソイヤラクトンの製造方法。 4.前記3の酸の使用量は、光学活性な5−ヒドロキシ
−2−デセン酸1モルに対して0.01〜0.1モルで
ある。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例および比較例中の部および%
は特に断りのない限り重量基準である。製造例1((±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸の製
造方法) (±)−マソイヤラクトン1.68g(10.0ミリモ
ル)に1規定の水酸化ナトリウム水溶液15ミリリット
ルを加え、95℃で1時間撹拌した。反応液の温度を室
温まで冷やし、撹拌しながら1規定の塩酸15ミリリッ
トルをゆっくりと滴下してコンゴーレッド酸性とした
後、遊離した(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸を
酢酸エチル10ミリリットルで抽出した。実施例1 ジアステレオマー塩混合物の製造方法 製造例1で得られた抽出液に、(+)−1−アミノテト
ラリン1.44g(9.8ミリモル)を加え、室温で撹
拌して溶解させた後、減圧下で溶媒を除去して、(±)
−5−ヒドロキシ−2−デセン酸と(+)−1−アミノ
テトラリンの塩(粗体)3.22g(9.66ミリモ
ル)を得た。(±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸と
(+)−1−アミノテトラリンの塩1.67g(5.0
ミリモル)をエタノールとtert−ブチルメチルエー
テル(両者の体積の比が1:9)の混合溶媒17.5ミ
リリットルに加熱溶解した。室温まで徐冷し、一晩静置
して析出した結晶を濾別し、ジアステレオマー塩の結晶
0.666g(2.0ミリモル)を得た。マソイヤラク
トンのラセミ体の半量に対して、収率80.0%であっ
た。また、濾別した母液を減圧下で溶媒を留去してジア
ステレオマー塩混合物1.01g(3.04ミリモル)
を得た。得られたジアステレオマー塩の物性は、次のと
おりであった。 結晶側 [α]435 23 −13.7゜(c1.09、メタノール) [α]D 26 −7.55゜(c1.09、メタノール) 融点 117.0−121.0℃ 母液側 [α]435 23 −16.6゜(c1.04、メタノール) [α]D 26 −4.23゜(c1.04、メタノール) 融点 65.0−71.5℃ 結晶側のジアステレオマー塩の精製 結晶側のジアステレオマー塩0.666g(2.0ミリ
モル)を、エタノールとtert−ブチルメチルエーテ
ル(両者の体積の比が1:9)の混合溶媒でさらに二回
再結晶することによって、ジアステレオマー塩の結晶
0.333g(0.997ミリモル)を得た。マソイヤ
ラクトンのラセミ体の半量に対して、収率39.9%で
あった。このジアステレオマー塩の物性は、以下のとお
りであった。 [α]435 20 −19.1゜(c1.13、メタノー
ル) [α]D 22 −9.66゜(c1.13、メタノー
ル) 融点 126.5−127.0℃ 結晶側のジアステレオマー塩の分解 上記で得られた結晶0.307g(0.919ミリモ
ル)に1規定の水酸化ナトリウム水溶液2.0ミリリッ
トルを加え、遊離した(+)−1−アミノテトラリンを
ジエチルエーテルで抽出除去した後、水層に3規定の塩
酸2.0ミリリットルを加えて遊離した5−ヒドロキシ
−2−デセン酸をジエチルエーテルで抽出し、エーテル
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒留去
して、5−ヒドロキシ−2−デセン酸0.17g(0.
914ミリモル)を得た。 上記で得られた5−ヒドロキシ−2−デセン酸の分子内
エステル化 上記で得られた5−ヒドロキシ−2−デセン酸0.17
g(0.914ミリモル)をベンゼン1.5ミリリット
ルに溶かし、5−ヒドロキシ−2デセン酸の0.05当
量のp−トルエンスルホン酸を加えて3時間加熱還流さ
せた。反応終了後、有機層を5重量%の炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、次いで飽和の食塩水で洗浄し無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去することで粗製
の光学活性なマソイヤラクトン0.15gを得た。この
光学活性なマソイヤラクトンを赤外線吸収スペクトルお
よび比旋光度の測定により同定したところ、これが
(+)−マソイヤラクトンであることが分かった。これ
を蒸留して精製された(+)−マソイヤラクトン0.1
41g(0.828ミリモル)が得られ、(+)−マソ
イヤラクトンの収率は、上記で得られた5−ヒドロキシ
−2−デセン酸に対して90.6%であった。得られた
(+)−マソイヤラクトンの物性は次のとおりであっ
た。 [α]435 23 +304゜(c1.03、クロロホル
ム) [α]D 24 +117゜(c1.03、クロロホル
ム) 融点 115−120℃(1.0mmHg) また、得られた(+)−マソイヤラクトンを高速液体ク
ロマトグラフィーで分析した結果、光学純度は98.3
%e.e.であった。 HPLC測定条件 カラム:CHIRALCEL OB−H φ4.6mm
×250mm 移動相:4.0%(v/v)ヘキサンに2−プロパノー
ルを添加した。 流速 :毎分0.5ミリリットル 検出波長:220nm 母液側の5−ヒドロキシ−2−デセン酸と(−)−1−
アミノテトラリンの塩の製造方法 上記で得られた最初の母液側の溶媒を留去して得たジア
ステレオマー塩1.01g(3.04ミリモル)に、1
規定の水酸化ナトリウム水溶液4.5ミリリットルを加
え、遊離した(+)−1−アミノテトラリンをジエチル
エーテル(10ミリリットル)で抽出除去した後、水層
を95℃で30分撹拌した。反応液の温度を室温まで冷
やし、撹拌しながら1規定の塩酸4.5ミリリットルを
ゆっくり滴下してコンゴーレッド酸性とした後、遊離し
た5−ヒドロキシ−2−デセン酸をジエチルエーテル
(10ミリリットル)で抽出した。得られた抽出液に、
(−)−1−アミノテトラリン0.458g(3.1ミ
リモル)を加え室温で撹拌し溶解された後、減圧下で溶
媒を除去して、5−ヒドロキシ−2−デセン酸と(−)
−1−アミノテトラリンの塩1.01g(3.04ミリ
モル)を得た。得られたジアステレオマー塩の物性は、
次のとおりであった。 [α]435 24 +15.3゜(c1.20、メタノー
ル) [α]D 26 +7.01゜(c1.20、メタノー
ル) 融点 110.0−116.5℃ 母液側のジアステレオマー塩の精製 上記で得られた母液側のジアステレオマー塩1.01g
(3.04ミリモル)を、エタノールとtert−ブチ
ルメチルエーテル(両者の体積の比が1:9)の混合溶
媒で二回再結晶することによって、ジアステレオマー塩
の結晶0.281g(0.842ミリモル)を得た。該
ジアステレオマー塩の収率は、マソイヤラクトンのラセ
ミ体の半量に対して、33.7%であった。このジアス
テレオマー塩の物性は、以下のとおりであった。 [α]435 24 +15.9゜(c1.05、メタノー
ル) [α]D 26 +10.2゜(c1.05、メタノー
ル) 融点 125.0−126.0℃ 母液側のジアステレオマー塩の分解 上記で得られた結晶0.269g(0.806ミリモ
ル)に1規定の水酸化ナトリウム水溶液2.0ミリリッ
トルを加え、遊離した(−)−1−アミノテトラリンを
ジエチルエーテル(5ミリリットル)で抽出除去した
後、水層に3規定の塩酸2.0ミリリットルを加えて遊
離した5−ヒドロキシ−2−デセン酸をジエチルエーテ
ル(5ミリリットル)で抽出し、エーテル層を無水硫酸
マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒留去して、5−ヒ
ドロキシ−2−デセン酸0.151g(0.809ミリ
モル)を得た。 上記で得られた5−ヒドロキシ−2−デセン酸の分子内
エステル化 上記で得られた5−ヒドロキシ−2−デセン酸0.15
1g(0.809ミリモル)を上記と同様の方法で分子
内エステル化させて粗製の光学活性なマソイヤラクトン
0.124gを得た。この光学活性なマソイヤラクトン
を赤外吸収スペクトルおよび比旋光度の測定により同定
したところ、これが(−)−マソイヤラクトンであるこ
とが分かった。これを蒸留したところ、精製された
(−)−マソイヤラクトン0.117g(0.696ミ
リモル)が得られ、(−)−マソイヤラクトンの収率
は、上記で得られた5−ヒドロキシ−2−デセン酸に対
して86.0%であった。得られた(−)−マソイヤラ
クトンの物性は次のとおりであった。 [α]435 24 −303゜(c0.640、クロロホル
ム) [α]D 27 −116゜(c0.640、クロロホル
ム) 沸点 115−120℃(1.0mmHg) また、得られた(−)−マソイヤラクトンを高速液体ク
ロマトグラフィーで分析した結果、光学純度は99.2
%e.e.であった。
【0025】比較例1 実施例1のの工程において、分割剤を表1のように変え
た他は実施例1同様に実験を行った。また、使用した再
結晶溶媒を表1に記載する。結果として、1−アミノテ
トラリン以外の分割剤を使用しても、光学活性なマソイ
ヤラクトンを得ることはできなかった。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、ジアステレオマー法に
より、マソイヤラクトンを開環した(±)−5−ヒドロ
キシ−2−デセン酸と光学活性な1−アミノテトラリン
を反応させて光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸
とした。さらにこの光学活性な5−ヒドロキシ−2−デ
セン酸を酸の存在下に分子内エステル化することによっ
て、光学活性なマソイヤラクトンを簡単かつ工業的に製
造することができる。
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07B 57/00 360 C07B 57/00 360 C07M 7:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸
    と光学活性な1−アミノテトラリンを反応させて5−ヒ
    ドロキシ−2−デセン酸のジアステレオマー塩混合物を
    製造し、次いで該ジアステレオマー塩混合物を各ジアス
    テレオマー塩に分離した後、得られたジアステレオマー
    塩を分解して光学活性な5−ヒドロキシ−2−デセン酸
    を得ることを特徴とする光学活性な5−ヒドロキシ−2
    −デセン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 (±)−5−ヒドロキシ−2−デセン酸
    と光学活性な1−アミノテトラリンを反応させて5−ヒ
    ドロキシ−2−デセン酸のジアステレオマー塩混合物を
    製造し、次いで該ジアステレオマー塩混合物を各ジアス
    テレオマー塩に分離した後、得られたジアステレオマー
    塩を分解して合成した光学活性な5−ヒドロキシ−2−
    デセン酸を、酸の存在下に分子内エステル化して得られ
    る光学活性なマソイヤラクトンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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