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JPH11124397A - プロテアソーム阻害剤 - Google Patents

プロテアソーム阻害剤

Info

Publication number
JPH11124397A
JPH11124397A JP9288808A JP28880897A JPH11124397A JP H11124397 A JPH11124397 A JP H11124397A JP 9288808 A JP9288808 A JP 9288808A JP 28880897 A JP28880897 A JP 28880897A JP H11124397 A JPH11124397 A JP H11124397A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
amino acid
acid residue
general formula
amino
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9288808A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Kojima
深一 小島
Akira Ito
彰 伊藤
Hiroshi Nakayama
宏 中山
Kazuo Kumagai
和夫 熊谷
Yoshio Hosoya
宜生 細谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Pharma Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd filed Critical Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Priority to JP9288808A priority Critical patent/JPH11124397A/ja
Publication of JPH11124397A publication Critical patent/JPH11124397A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ペプチジルエポキシ型プロテアソーム阻害剤、
プロテアソーム阻害剤として使用する化合物を有効成分
とする自己免疫疾患等の治療剤及びプロテアソーム阻害
作用を有する新規な化合物を提供すること。 【解決手段】一般式(1) 【化1】 (R1 は置換か無置換のアシル、アミノ基がアシル化さ
れたアミノ酸残基又はアミノ基が保護されていてもよい
アミノ酸残基、R2 は水素又はC1〜6のアルキル、R
3 及びR4 は水素、C1〜6のアルキル、又はR3 とR
4 が共にメチレン)で表わされる化合物からなるプロテ
アソーム阻害剤、該一般式(1)で表わされる化合物を
有効成分とするプロテアソームの作用亢進に起因する疾
患の治療剤及び一般式(2) 【化2】 (R11はアミノ基がアシル化されたアミノ酸残基又はア
ミノ基が保護されていてもよいアミノ酸残基、R12は水
素又はC1〜6のアルキル、R13及びR14は水素、C1
〜6のアルキル又はR13とR14が共にメチレン)で表わ
される化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロテアソーム阻
害剤に関する。さらに詳しくは、エポキシ−ペプチド誘
導体からなるプロテアソーム阻害剤、かかる化合物を有
効成分とする、自己免疫疾患、炎症性腸炎疾患、喘息及
びアルツハイマー病等の治療剤ならびに新規なエポキシ
−ペプチド誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】プロテアソームは、最初、沈降係数20
Sの触媒ユニットとして発見され、多機能性プロテアー
ゼと呼ばれていたが、現在ではプロテアソームの名前が
定着している。プロテアソームの構造は、特徴的な構造
を持つ巨大な多成分複合体である。例えば、26Sプロ
テアソームは、触媒ユニットである20Sプロテアソー
ム(円筒型分子)の両端にU字型の調整ユニットが会合
した分子量約200万のダンベル型分子であり、真核生
物のATP依存性プロテアーゼであることが明らかにさ
れている(組織培養, 22, 75-105 (1996))。
【0003】近年、プロテアソームが、TNF−α、I
L−1等の炎症性サイトカインの転写調節因子NF−κ
Bの活性化に重要な役割を担っていることが明らかにな
ってきている(Vito J. Palombella, et al., Cell, 7
8, 773-785 (1994)、DimitrisThanos, et al., Cell, 8
0, 529-532 (1995)) 。また、プロテアソームはアルツ
ハイマー病患者の脳に蓄積するアミロイドのプロセッシ
ングに重要な役割を担っていることが明らかになってき
ている(Shin-ichi Kojima,et al., FEBS, 304,57-60
(1992))。
【0004】このように、プロテアソームが細胞の増殖
や免疫系をはじめとする生命現象と深く関連している多
くの蛋白質の分解制御に重要な役割を果たしていること
が明確になってきた。
【0005】一方で、このプロテアソームに対する阻害
剤の研究も進められており、例えば、有効なペプチジル
アルデヒド型プロテアソーム阻害剤として、Z−Ile
−Glu(OBut ) −Ala−Leu−H(アルデヒ
ド)が合成され、NF−κBの活性化を阻害することが
見出されている(E.B.M.Traenckner et al.,EMBO J.,1
3,5433-5441,1994 )。また、Z−Leu−Leu−L
eu−H(アルデヒド)が合成され、内在性抗原のプロ
セッシングや前駆体NF−κBの成熟型への転換を阻害
するとともに、NGF(神経成長因子)と同等以上の神
経突起伸長効果を有することが認められている(Y.Sato
et al.,Neurosci.Lett.,120,1-4,1990 )。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
なペプチジルエポキシ型プロテアソーム阻害剤を提供す
ることにある。本発明の他の目的は、プロテアソーム阻
害剤として使用される本発明の化合物を有効成分とす
る、自己免疫疾患、炎症性腸疾患、喘息及びアルツハイ
マー病等の治療剤を提供することにある。本発明のさら
に他の目的は、プロテアソーム阻害作用を有する新規な
化合物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 一般式(1)
【0008】
【化3】
【0009】(式中、R1 は、置換若しくは無置換のア
シル基、置換若しくは無置換のアシル基でアシル化され
たアミノ基を有するアミノ酸残基、又はアミノ基が保護
基で保護されていてもよいアミノ酸残基を示し、R2
水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3
びR4 は、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基
を示すか、又はR3 とR4 が共に一緒になってメチレン
基を示す)で表わされる化合物からなるプロテアソーム
阻害剤、〔2〕 一般式(1)において、R1 が置換若
しくは無置換のアシル基であり、R2 が水素原子であ
り、R3 とR4 は両者が共に一緒になってメチレン基を
示す、前記〔1〕記載のプロテアソーム阻害剤、〔3〕
一般式(1)において、R1 が置換若しくは無置換の
アシル基でアシル化されたアミノ基を有するアミノ酸残
基、又はアミノ基が保護基で保護されていてもよいアミ
ノ酸残基であり、R2 がメチル基であり、R3 及びR4
が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である、前記
〔1〕記載のプロテアソーム阻害剤、〔4〕 前記
〔1〕〜〔3〕いずれかにおいて記載の一般式(1)で
表わされる化合物を有効成分とする、プロテアソームの
作用亢進に起因する疾患の治療剤、〔5〕 疾患が、自
己免疫疾患、炎症性腸炎疾患、喘息、およびアルツハイ
マー病からなる群より選ばれる前記〔4〕記載の治療
剤、〔6〕 自己免疫疾患が慢性関節リウマチである前
記〔5〕記載の治療剤、〔7〕 一般式(2)
【0010】
【化4】
【0011】(式中、R11は、置換若しくは無置換のア
シル基でアシル化されたアミノ基を有するアミノ酸残
基、又はアミノ基が保護基で保護されていてもよいアミ
ノ酸残基を示し、R12は水素原子又は炭素数1〜6のア
ルキル基を示し、R13及びR14は、水素原子若しくは炭
素数1〜6のアルキル基を示すか、又はR13とR14が共
に一緒になってメチレン基を示す)で表わされる化合
物、〔8〕 一般式(2)において、R11が置換若しく
は無置換のアシル基でアシル化されたアミノ基を有する
アミノ酸残基、又はアミノ基が保護基で保護されていて
もよいアミノ酸残基であり、R12がメチル基であり、R
13及びR14が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基で
ある、前記〔7〕記載の化合物、
〔9〕 2−(2−カ
ルバモイル−プロピオニル−Thr−Thr−Leu)
−1−ヒドロキシ−2,3−エポキシプロパン、に関す
るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のプロテアソーム阻害剤
は、一般式(1):
【0013】
【化5】
【0014】(式中、R1 は、置換若しくは無置換のア
シル基、置換若しくは無置換のアシル基でアシル化され
たアミノ基を有するアミノ酸残基、又はアミノ基が保護
基で保護されていてもよいアミノ酸残基を示し、R2
水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3
びR4 は、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基
を示すか、又はR3 とR4 が共に一緒になってメチレン
基を示す)で表わされる化合物からなる。即ち、本発明
のプロテアソーム阻害剤は、エポキシ基を有するペプチ
ド誘導体(エポキシ−ペプチド誘導体)という構造的特
徴を有する化合物からなる。
【0015】本発明において、プロテアソーム阻害剤の
有するプロテアソーム阻害作用とは、プロテアソームの
蛋白質(高分子量)分解活性及びペプチド(低分子量)
分解活性を阻害することをいう。
【0016】前記R1 において、無置換のアシル基と
は、例えば脂肪族アシル基又は芳香族アシル基が挙げら
れる。脂肪族アシル基としては、炭素数が2〜30の直
鎖状、分枝状又は環状のものが挙げられ、具体的には、
アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリ
ル基、バレリル基、イソバレリル基、ドデカノイル基、
ペンタデカノイル基、ドコサノイル基、ノナコサノイル
基等が挙げられる。芳香族アシル基としては、例えば、
ベンゾイル基、ベンジルカルボニル基、フェネチルカル
ボニル基、ナフチルカルボニル基、ナフチルメチルカル
ボニル基等が挙げられる。また、R1 における置換アシ
ル基とは、例えば、前記無置換のアシル基の水素原子が
置換基で置換されたものが挙げられる。置換アシル基中
の置換基の数は特に限定されるものではなく、1個でも
2個以上でも構わない。置換基としては、例えば、水酸
基、アミノ基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素
原子、メトキシ基又はエトキシ基等のアルコキシ基、カ
ルバモイル基、メチルカルバモイル基又はジメチルカル
バモイル基等の置換アミノカルボニル基等が挙げられ
る。
【0017】また、R1 において、「置換若しくは無置
換のアシル基でアシル化されたアミノ基を有するアミノ
酸残基、又はアミノ基が保護基で保護されていてもよい
アミノ酸残基」におけるアミノ酸としては特に限定され
るものではなく、通常使用される各種のアミノ酸を意味
するが、好ましくは、セリン、スレオニン、イソロイシ
ン、ロイシン、ノルマルバリン等が挙げられる。
【0018】前記「置換若しくは無置換のアシル基でア
シル化されたアミノ基を有するアミノ酸残基」におい
て、アミノ酸のアミノ基に置換する置換若しくは無置換
のアシル基としては、R1 としての前記置換又は無置換
のアシル基と同様のものが挙げられる。無置換のアシル
基としては、なかでもアセチル基、プロピオニル基、ブ
チリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル
基等の脂肪族アシル基が好ましい。また、置換アシル基
における好ましい置換基としては、水酸基、カルバモイ
ル基、メチルカルバモイル基又はジメチルカルバモイル
基等の置換アミノカルボニル基等を挙げることができ
る。
【0019】前記アミノ基の保護基としては一般に使用
されるものであれば何でもよく、例えばProtective Gro
up in Organic Synthesis (T. W. Greene 著、1981年)
等の成書に記載のものを使用することができる。好まし
くはベンジルオキシカルボニル基、t−ブチルオキシカ
ルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基等
が挙げられる。
【0020】前記R2 において、炭素数1〜6のアルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−
ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げら
れ、メチル基が好ましい。
【0021】前記R3 及びR4 において、炭素数1〜6
のアルキル基としては、メチル基、、エチル基、プロピ
ル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基
等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0022】一般式(1)において、プロテアソーム阻
害剤として好適な化合物としては、 1)R1 が置換若しくは無置換のアシル基であり、R2
が水素原子であり、R3及びR4 が共に一緒になってメ
チレン基である化合物、 2)R1 が置換若しくは無置換のアシル基でアシル化さ
れたアミノ基を有するアミノ酸残基、又はアミノ基が保
護基で保護されていてもよいアミノ酸残基であり、R2
がメチル基であり、R3 及びR4 が水素原子又は炭素数
1〜6のアルキル基である化合物等が挙げられる。更に
具体的には、下記の化合物が好適なものとして挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0023】即ち、2−{6−メチルヘプタノイル−S
er−(3,4−デヒドロ−Leu)}−1−ヒドロキ
シ−2,3−エポキシプロパン、2−(6−メチルヘプ
タノイル−Ser−Leu)−1−ヒドロキシ−2,3
−エポキシプロパン、2−{6−メチルヘプタノイル−
Thr−(3,4−デヒドロ−Leu)}−1−ヒドロ
キシ−2,3−エポキシプロパン、2−(6−メチルヘ
プタノイル−Thr−Leu)−1−ヒドロキシ−2,
3−エポキシプロパン、2−(2−カルバモイル−プロ
ピオニル−Thr−Thr−Leu)−1−ヒドロキシ
−2,3−エポキシプロパン、2−{2−カルバモイル
−プロピオニル−Thr−Thr−(3,4−デヒドロ
−Leu)}−1−ヒドロキシ−2,3−エポキシプロ
パン、2−(2−カルバモイル−プロピオニル−Thr
−Ser−Leu)−1−ヒドロキシ−2,3−エポキ
シプロパン、2−{2−カルバモイル−プロピオニル−
Thr−Ser−(3,4−デヒドロ−Leu)}−1
−ヒドロキシ−2,3−エポキシプロパン、2−(ベン
ジルオキシカルボニル−Ile−Thr−Leu)−1
−ヒドロキシ−2,3−エポキシプロパン、2−(ベン
ジルオキシカルボニル−Leu−Thr−Leu)−1
−ヒドロキシ−2,3−エポキシプロパン、2−(ベン
ジルオキシカルボニル−n−Val−Thr−Leu)
−1−ヒドロキシ−2,3−エポキシプロパン等であ
る。
【0024】なお、これらの化合物のうち、一般式
(1)においてR1 が6−メチルヘプタノイル基の化合
物である2−{6−メチルヘプタノイル−Ser−
(3,4−デヒドロ−Leu)}−1−ヒドロキシ−
2,3−エポキシプロパンは、抗腫瘍活性を持つ公知の
抗生物質であるエポネマイシン(ジャーナル オフ ア
ンチバイオティックス、43巻、8〜18頁(1990
年);Synthesis, 300〜304, 1994 )と同一の化合物で
ある。本発明者らはこのエポネマイシンと同一の化合物
を新規な微生物から単離し、プロテアソーム阻害活性を
有することを新たに見い出した。
【0025】このように、一般式(1)において、R1
が6−メチルヘプタノイル基の化合物には公知物質が含
まれるが、R1 が置換若しくは無置換のアシル基でアシ
ル化されたアミノ基を有するアミノ酸残基、又はアミノ
基が保護基で保護されていてもよいアミノ酸残基である
という構造的特徴を有する化合物は、新規な化合物であ
る。本明細書においては、これらの新規化合物の表示と
して特に一般式(2)で表している。
【0026】一般式(2)
【0027】
【化6】
【0028】(式中、R11は、置換若しくは無置換のア
シル基でアシル化されたアミノ基を有するアミノ酸残
基、又はアミノ基が保護基で保護されていてもよいアミ
ノ酸残基を示し、R12は水素原子又は炭素数1〜6のア
ルキル基を示し、R13及びR14は、水素原子若しくは炭
素数1〜6のアルキル基を示すか、又はR13とR14が共
に一緒になってメチレン基を示す)で表わされる化合
物。
【0029】一般式(2)において、R11が置換若しく
は無置換のアシル基でアシル化されたアミノ基を有する
アミノ酸残基、又はアミノ基が保護基で保護されていて
もよいアミノ酸残基としては、一般式(1)におけるR
1 について説明したものと同様であり、R12、R13及び
14についても一般式(1)におけるR2 、R3 、R 4
とそれぞれ同様である。
【0030】また、一般式(2)において、R11が置換
若しくは無置換のアシル基でアシル化されたアミノ基を
有するアミノ酸残基、又はアミノ基が保護基で保護され
ていてもよいアミノ酸残基であり、R12がメチル基であ
り、R13が水素原子でR14がメチル基であるか、又はR
13及びR14が一緒になってメチレン基である化合物が好
適である。
【0031】本発明の一般式(1)又は一般式(2)で
示される化合物を製造するには、エポネマイシンの合成
工程等の公知の一連の合成反応工程に準じて容易に合成
することができる(Tetrahedron Lett.,34,1047-1050(1
993)、Synthesis,300-304(March 1994) )。
【0032】例えば、SPA−1344の合成を例にす
ると、Synthesis,300-304(March 1994) に記載の手順に
従って、あらかじめ次式で示されるプレエポキシ−アミ
ノ酸誘導体〔(3RS,4S)-4-Amino-2-tert-butyldimethyls
ilyloxymethyl-3-hydroxy-6-methyl-1,6-heptadiene 〕
(10)とN末端修飾アミノ酸誘導体〔(S)-N-(6-Methy
lheptanoyl)serine 〕(11)を合成し、次いでこれら
の化合物の縮合反応、エポキシ化反応により目的化合物
(SPA−1344)を合成することができる。
【0033】
【化7】
【0034】具体的な合成ルートは、前記文献(Synthe
sis )中のScheme1、Scheme2で示されている。また詳
細な反応条件などは該文献のp.301 〜303 において記載
されており、これらの条件に準じて行なえばよい。ま
た、SPA−1344以外の本発明の一般式(1)又は
一般式(2)で表わされる化合物を合成するには、出発
原料を適宜選択して目的とする化合物の構造に対応した
プレエポキシ−アミノ酸誘導体とN末端修飾アミノ酸誘
導体をそれぞれ調製し、上記と同様の縮合反応、エポキ
シ化反応を行なうことにより容易に行なうことができ
る。各反応において使用される溶媒や、反応温度、時間
等の反応条件は特に限定されるものではなく、前記文献
(Synthesis )に記載の条件に準じて、あるいは通常の
有機合成の手順に従って適宜選択して行なえばよい。
【0035】あるいは、これらの化合物の産生能を有す
る微生物を培養し、培養物から回収する方法によっても
製造することができる。微生物の培養による方法の例と
して、以下のものを挙げて説明する。本発明で用いられ
る微生物としては、一般式(1)又は一般式(2)の化
合物の産生能を有するものであれば、特に限定されない
が、ストレプトミセス属に属する微生物が好適なものと
して例示される。例えば、2−{6−メチルヘプタノイ
ル−Ser−(3,4−デヒドロ−Leu)}−1−ヒ
ドロキシ−2,3−エポキシプロパン及び2−(2−カ
ルバモイル−プロピオニル−Thr−Thr−Leu)
−1−ヒドロキシ−2,3−エポキシプロパンは、それ
ぞれStreptomyces sp. SPA−1344及びStreptom
yces sp.SPA−1761の培養物から回収し、単離・
精製して得ることができる。本明細書において、それぞ
れの化合物をSPA−1344及びSPA−1761と
表示する。それぞれの構造を次に示す。なお、SPA−
1761には2種の異性体が存在し、本明細書ではそれ
ぞれSPA−1761A、SPA−1761Bと表示す
る。
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】前記Streptomyces sp. SPA−1344
及びStreptomyces sp. SPA−1761は、国内で採
集された土壌試料より分離されたもので、通商産業省工
業技術院生命工学工業技術研究所に、1997年7月1
8日に、それぞれFERMP−16340及びFERM
P−16341として寄託されている。
【0039】本菌株の菌学的性質を以下に述べる。 1.Streptomyces sp. SPA−1344 (以下、SPA−1344株と略す。) SPA−1344株は、長崎県平戸市内で採集した土壌
試料より分離された放線菌で、その菌学的性質は次のと
おりである。
【0040】(a) 形態的性質 SPA−1344株は、イースト・麦芽寒天培地、スタ
ーチ・無機塩寒天培地、グリセリン・アスパラギン寒天
培地などの培地上でよく生育し、基生菌糸は単純分岐を
なし、気菌糸を形成する。気菌糸上には胞子の長い連鎖
(20〜50個程度の胞子より成る)を作り、胞子鎖形
状は螺旋状である。胞子は、直径0.4〜0.6μm、
長さ0.7〜1.2μmの円筒状で、胞子連結部が竹の
節状に盛り上がる。胞子表面はしわ状である。基生菌糸
や気菌糸の分断、胞子のう、鞭毛胞子、菌核等の特殊な
構造は認められない。
【0041】(b) 培養的性質 各種培地上で27℃、3週間培養したSPA−1344
株の培養的性質は次のとおりである。
【0042】(1) イースト・麦芽寒天培地(ISP 培地 N
o.2 ) 生育及び気菌糸着生は良好である。気菌糸色調は灰色で
ある。基生菌糸の色調は黄色である。培地中への拡散性
色素はない。
【0043】(2) オートミール寒天培地(ISP 培地 No.
3 ) 生育は良好である。気菌糸は着生するが培養が進むと粘
液塊状となる。気菌糸色調は灰色または黒色である。基
生菌糸の色調は黄色である。培地中への拡散性色素はな
い。
【0044】(3) スターチ・無機塩寒天培地(ISP 培地
No.4 ) 生育及び気菌糸着生は良好である。気菌糸色調は灰色で
ある。基生菌糸の色調は黄色である。培地中への拡散性
色素はない。
【0045】(4) グリセリン・アスパラギン寒天培地
(ISP 培地 No.5 ) 生育及び気菌糸着生は良好である。気菌糸色調は灰色で
ある。基生菌糸の色調は黄色である。培地中への拡散性
色素はない。
【0046】 (c) 生理学的性質 (1) 生育温度範囲 14〜37℃(イースト・麦芽寒天培地、2週間培養) (2) メラニン様色素の生成 ペプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP 培地 No.6 ) 陰性 チロシン寒天培地(ISP 培地 No.7 ) 陰性 (3) 炭素源の利用性 L−アラビノース 陽性 D−フラクトース 陽性 D−グルコース 陽性 イノシトール 陽性 D−マンニトール 陽性 ラフィノース 陽性 L−ラムノース 陽性 シュークロース 陽性 D−キシロース 陽性
【0047】(d) 化学分類学的性質及びその他の性質 (1) 細胞壁ジアミノ酸の分析 LL−ジアミノピメリン酸を検出 (2) デンプン加水分解 陰性
【0048】以上の結果から、SPA−1344株をSt
reptomyces属に属する菌株と同定し、Streptomyces sp.
SPA−1344と命名した。
【0049】 2.Streptomyces sp. SPA−1761 (以下、SPA−1761株と略す。) SPA−1761株は、福岡県久留米市内で採集した土
壌試料より分離された放線菌で、その菌学的性質は次の
とおりである。 (a) 形態的性質 SPA−1761株は、イースト・麦芽寒天培地、オー
トミール寒天培地、スターチ・無機塩寒天培地などの培
地上でよく生育し、基生菌糸は単純分岐をなし、気菌糸
を形成する。気菌糸上には胞子の長い連鎖 (10〜50個程
度の胞子より成る) を作り、胞子鎖形状は環状またはゆ
るい螺旋状である。胞子は、直径 0.4〜0.7 μm、長さ
0.8〜1.4 μmの楕円状で、胞子表面は平滑である。基
生菌糸や気菌糸の分断、胞子のう、鞭毛胞子、菌核等の
特殊な構造は認められない。
【0050】(b) 培養的性質 各種培地上で27℃、3週間培養したSPA−1761株
の培養的性質は次のとおりである。
【0051】(1) イースト・麦芽寒天培地(ISP 培地 N
o.2 ) 生育及び気菌糸着生は良好である。気菌糸色調は灰色で
ある。基生菌糸の色調は茶色である。培地中への拡散性
色素は茶色である。
【0052】(2) オートミール寒天培地(ISP 培地 No.
3 ) 生育及び気菌糸着生は良好である。気菌糸色調は灰色で
ある。基生菌糸の色調は茶色である。培地中への拡散性
色素は茶色である。
【0053】(3) スターチ・無機塩寒天培地(ISP 培地
No.4 ) 生育及び気菌糸着生は良好である。気菌糸色調は灰色で
ある。基生菌糸の色調は黄色である。培地中への拡散性
色素はない。
【0054】(4) グリセリン・アスパラギン寒天培地
(ISP 培地 No.5 ) 生育及び気菌糸着生は良好である。気菌糸色調は灰色で
ある。基生菌糸の色調は茶色である。培地中への拡散性
色素は茶色である。
【0055】 (c) 生理学的性質 (1) 生育温度範囲 11〜46℃(イースト・麦芽寒天培地、2週間培養) (2) メラニン様色素の生成 ペプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP 培地 No.6 ) 陽性 チロシン寒天培地培地(ISP 培地 No.7 ) 陰性 (3) 炭素源の利用性 L−アラビノース 陽性 D−フラクトース 陽性 D−グルコース 陽性 イノシトール 陽性 D−マンニトール 陽性 ラフィノース 陽性 L−ラムノース 陽性 シュークロース 陰性 D−キシロース 陽性
【0056】 (d) 化学分類学的性質及びその他の性質 (1) 細胞壁ジアミノ酸の分析 LL- ジアミノピメリン酸を検出 (2) デンプン加水分解 陽性
【0057】以上の結果から、SPA−1761株をSt
reptomyces属に属する菌株と同定し、Streptomyces sp.
SPA−1761と命名した。
【0058】本発明では、前記のようなStreptomyces属
に属する微生物を培養することにより、培養物から2−
{6−メチルヘプタノイル−Ser−(3,4−デヒド
ロ−Leu)}−1−ヒドロキシ−2,3−エポキシプ
ロパン(SPA−1344)、あるいは2−(2−カル
バモイル−プロピオニル−Thr−Thr−Leu)−
1−ヒドロキシ−2,3−エポキシプロパン(SPA−
1761)を回収することにより製造することができ
る。
【0059】本発明の製造方法において、微生物の培養
は通常の培養、回収方法により、目的の化合物を単離・
精製することができる。即ち、微生物の培養に使用され
る培地は液体でも固体でもよいが、通常は液体培地によ
る振盪培養または通気攪拌培養が有利である。培地組成
としては、生産菌が利用する栄養素を含有するものであ
ればよく、特に限定されるものではないが、炭素源とし
ては例えばグルコース、シュークロース、ラクトース、
グリセリン、デンプン、デキストリン、糖蜜等が挙げら
れる。窒素源としては、例えばペプトン、カザミノ酸等
の蛋白質加水分解物、肉エキス、酵母エキス、大豆粕、
綿実粕、コーンスティープリカー、アミノ酸類等の有機
窒素源や、アンモニウム塩や硝酸塩等の無機窒素源が挙
げられる。その他、浸透圧調整、pH調整、微量成分の
補給等のために、各種リン酸塩、硝酸マグネシウム、塩
化ナトリウム、炭酸カルシウム等の無機塩類を添加する
ことも可能である。さらに菌の生育を促進する目的で、
各種ビタミン類、核酸関連化合物等を培地に添加しても
よい。なお、培養期間中に、シリコン油、ポリプロピレ
ングリコール誘導体、大豆油等の消泡剤を添加すること
も可能である。培養温度としては、好ましくは20〜3
7℃、更に好ましくは25〜30℃の範囲の温度が挙げ
られる。培養期間としては例えば3〜7日間が挙げられ
る。培地のpHとしては例えば中性付近の範囲が挙げら
れる。
【0060】培養物からSPA−1344あるいはSP
A−1761を採取するには、微生物の生産する代謝物
の培養液から、通常使用される単離手段が使用できる。
培養液上清中からの単離法としては、培養濾液からの通
常の単離法、例えば溶媒抽出法、イオン交換樹脂法また
は吸着もしくは分配クロマトグラフィーおよびゲル濾過
クロマトグラフィー等が挙げられる。これらの単離法
は、単独または組み合わせて行うことができる。また高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)や薄層クロマト
グラフィーなどによる単離精製もできる。培養菌体から
目的物を単離する場合は、濾過もしくは遠心分離等の手
段で集めた菌体から、有機溶媒を用いて直接、抽出でき
る。抽出に使用する有機溶媒としてはアセトン、メタノ
ール等が挙げられる。抽出物は、培養液上清からの単離
精製法と同様の方法で目的物を得ることができる。な
お、SPA−1761株を用いるSPA−1761の製
造方法は、具体的には後述の製造例1に、またSPA−
1344株を用いるSPA−1344の製造方法は、具
体的には後述の製造例2に記載されている。
【0061】このようにして得られた化合物は、プロテ
アソームの阻害作用を有することから、プロテアソーム
阻害剤として有用であり、プロテアソームの作用亢進に
起因する疾患の治療剤となる。また、本発明のプロテア
ソーム阻害剤は、TNF−αに対する阻害活性も有する
ことから、自己免疫疾患の抑制機能を果たすとも考えら
れる。プロテアソームの作用亢進に起因すると考えられ
ている種々の疾患としては、自己免疫疾患、炎症、神経
細胞変性疾患等が挙げられ、より具体的には、特に慢性
関節リウマチ等の自己免疫疾患、炎症性腸炎疾患、喘
息、アルツハイマー病等を挙げることができる。
【0062】従って、本発明は、本発明の化合物を有効
成分とする自己免疫疾患治療剤を提供する。自己免疫疾
患治療剤としては、慢性関節リウマチ疾患治療剤が好ま
しい。また、本発明は、本発明の化合物を有効成分とす
る炎症性腸炎疾患治療剤、喘息治療剤及びアルツハイマ
ー病治療剤を提供する。
【0063】本発明の治療剤の自己免疫疾患、炎症、神
経細胞変性疾患等における有効性は、プロテアソーム阻
害活性と共に、TNF−αに対する阻害活性によっても
確認することができる。かかる阻害活性の測定方法は、
実施例1及び2に記載されている。
【0064】慢性関節リウマチ疾患治療剤等の自己免疫
疾患治療剤、炎症性腸炎疾患治療剤、喘息治療剤及びア
ルツハイマー病治療剤等の本発明の治療剤は、かかる病
気の治療剤として経口的又は非経口的に投与することが
できる。すなわち、通常用いられる投与形態、例えば錠
剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等として経口投与するこ
とができ、あるいは液剤、乳剤、懸濁液剤、リポソーム
剤などとして筋肉内注射又は皮下注射することができ、
また、坐剤として直腸投与することもできる。このよう
な剤形は、医薬として許容される通常の担体、賦型剤、
結合剤、安定剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張剤等と本発
明の有効成分を配合することにより製造することができ
る。
【0065】投与量、投与回数は、患者の症状、症歴、
年齢、体重、投与形態等によって異なるが、例えば成人
に経口投与する場合、通常、1日当たり5〜500mg、
好ましくは10〜100mgの範囲で適宜調節して、1回
又は数回に分けて投与することができる。
【0066】
【実施例】以下、製造例及び実施例により本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例などによ
りなんら限定されるものではない。
【0067】製造例1 2−(2−カルバモイル−プロピオニル−L−スレオニ
ル−L−スレオニル−L−ロイシル)−1−ヒドロキシ
−2,3−エポキシプロパン(SPA−1761A及び
B)の製造 (1)SPA−1761株をグルコース2%、シューク
ロース5%、綿実粕2%、硝酸ナトリウム0.1%、リ
ン酸2カリウム0.05%、塩化カリウム0.07%、
L−ヒスチジン0.1%、硫酸マグネシウム・7水和物
0.0014%の組成からなる液体培地100mlを入
れた0.5リットル容の坂口フラスコ2本に接種し、2
7℃で5日間振とう培養して種母を作成した。次いでグ
ルコース2%、シュークロース5%、綿実粕2%、硝酸
ナトリウム0.1%、リン酸2カリウム0.05%、塩
化カリウム0.07%、L−ヒスチジン0.1%、硫酸
マグネシウム・7水和物0.0014%の組成からなる
液体培地3リットルを入れた5リットル容タンクに上記
種母を100mlずつ添加接種し、通気量1.5リット
ル/min、攪拌600rpm、27℃で4日間通気攪
拌培養した。
【0068】(2)得られた培養液6リットルを4℃、
8000rpmで5分間高速遠心分離し、培養上清5.
5リットルを得た。この上清液5.5リットルをダイア
イオンHP−20(三菱化学工業社製)0.5リットル
を充填したカラムに通液吸着させた。溶出液としてメタ
ノール水溶液を使用しメタノール濃度を段階的に増加さ
せ溶出させた。60%メタノールで溶出させた画分を集
め、この溶出液を1/2量まで減圧濃縮し1.5リット
ルのn−ブタノールで抽出した。このn−ブタノール抽
出液を減圧濃縮し黄色粉末2.6gを得た。
【0069】この粉末を25mlのメタノールに溶解
し、10%メタノールで平衡化させた逆相系ODS(ナ
カライテスク社製)1リットルを充填したカラムに吸着
させ、10%メタノール4リットル、25%メタノール
4リットルで順次溶出させた。得られた25%メタノー
ル溶出画分を減圧濃縮し黄色粉末0.6gを得た。この
粉末を少量のメタノールに溶解し、20%メタノールで
平衡化させた逆相系高速液体クロマト用ODSカラム
(ウォーター社製、直径50mm、長さ300mm)に
通液吸着させた後に、流速50ml/minでメタノー
ル濃度を増加させ溶出させた。プロテアソーム阻害活性
画分を集め、減圧濃縮し黄色粉末70mgを得た。この
粉末を少量のメタノールに溶解し、25%メタノールで
平衡化させた逆相系高速液体クロマト用ODSカラム
(山村化学社製、直径20mm、長さ250mm)に通
液吸着させた後に、流速10ml/minでメタノール
濃度を増加させ溶出させた。同様に、プロテアソーム阻
害活性画分を集め、減圧濃縮し白色粉末20mgを得
た。この粉末を少量のメタノールに溶解し、10%アセ
トニトリルで平衡化させた逆相系高速液体クロマト用O
DSカラム(山村化学社製、直径20mm、長さ250
mm)に通液吸着させた。流速10ml/分でアセトニ
トリル濃度を10%から40分後、20%になるように
増加させ溶出させた。プロテアソーム阻害活性を示した
31.2min のピークを分取し減圧濃縮し白色粉末6m
g(SPA−1761A)を得た。また33.0min の
ピークを分取し減圧濃縮し白色粉末6mg(SPA−1
761B)を得た。
【0070】なお、本実験におけるプロテアソーム阻害
活性画分の取得は、実施例1に記載の方法によりプロテ
アソーム阻害活性を検出することにより行った。
【0071】得られたSPA−1761Aの構造解析デ
ータを以下に示す。 (1)質量分析値: 陽イオンFABMSスペクトル:m/z 489(M+
H)+ 陰イオンFABMSスペクトル:m/z 487(M−
H)- (2)高分解能FABMS: (M+H)+ m/z 実測値:489.2613 C21374 9 として計算値:489.2561 (3)〔α〕D 20 +4.3°(c=0.03、メタノ
ール溶液) (4)紫外線吸収スペクトル:メタノール溶液中、末端
吸収のみ観測された。 (5)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠にて測定
したスペクトルを図1に示す。 (6)1 H−NMRスペクトル:重ジメチルスルフォキ
シド(d6 −DMSO)中、500MHzで測定したス
ペクトルを図2に示す。 (7)13C−NMRスペクトル:重ジメチルスルフォキ
シド(d6 −DMSO)中、125MHzで測定したス
ペクトルを図3に示す。
【0072】得られたSPA−1761Bの構造解析デ
ータを以下に示す。 (1)質量分析値: 陽イオンFABMSスペクトル:m/z 489(M+
H)+ 陰イオンFABMSスペクトル:m/z 487(M−
H)- (2)〔α〕D 20 +3.8°(c=0.03、メタノ
ール溶液) (3)紫外線吸収スペクトル:メタノール溶液中、末端
吸収のみ観測された。 (4)1 H−NMRスペクトル:重ジメチルスルフォキ
シド(d6 −DMSO)中、500MHzで測定したス
ペクトルを図4に示す。 (5)13C−NMRスペクトル:重ジメチルスルフォキ
シド(d6 −DMSO)中、125MHzで測定したス
ペクトルを図5に示す。
【0073】構造解析研究の結果、SPA−1761
A、SPA−1761Bとは構造異性体であることが判
明した。
【0074】製造例2 2−{6−メチルヘプタノイル−L−セリル−(3,4
−デヒドロ−L−ロイシル)}−1−ヒドロキシ−2,
3−エポキシプロパン(SPA−1344)の製造 (1)SPA−1344株をグルコース2%、シューク
ロース5%、綿実粕2%、硝酸ナトリウム0.1%、リ
ン酸2カリウム0.05%、塩化カリウム0.07%、
L−ヒスチジン0.1%、硫酸マグネシウム・7水和物
0.0014%の組成からなる液体培地300mlを入
れた2リットル容の坂口フラスコ30本に接種し、27
℃で7日間振とう培養した。
【0075】(2)得られた培養液9リットルを4℃、
8000rpmで5分間高速遠心分離し、培養上清8リ
ットルを得た。この上清液を8リットルの酢酸エチルで
抽出した。酢酸エチル抽出液を減圧濃縮し、黄色油状物
30gを得た。この油状物を25mlのアセトンに溶解
し、アセトン−n−ヘキサン(25:75)の混合溶媒
で平衡化させたシリカゲル(メルク社製)1リットルを
充填したカラムに吸着させ、アセトン−n−ヘキサン
(25:75、2リットル、40:60、2リットル及
び60:40、4リットル)の混合溶媒で順次溶出させ
た。得られたアセトン−n−ヘキサン(60:40)溶
出画分を減圧濃縮し、黄色油状物3gを得た。この油状
物を10mlのクロロホルムに溶解し、クロロホルム−メ
タノール(40:1)の混合溶媒で平衡化させたシリカ
ゲル(メルク社製)300mlを充填したカラムに吸着
させ、クロロホルム−メタノール(40:1、0.5リ
ットル、20:1、1リットル)の混合溶媒で順次溶出
させた。得られたクロロホルムーメタノール(20:
1)溶出画分を減圧濃縮し、黄色油状物1.5gを得
た。この油状物を少量のジメチルスルフォキシドに溶解
し、30%アセトニトリルで平衡化させた逆相系高速液
体クロマト用ODSカラム(ウォーター社製、直径50
mm、長さ300mm)に通液吸着させた後に、流速5
0ml/分でアセトニトリル濃度を増加させ溶出させ
た。プロテアソーム阻害活性画分を集めて減圧濃縮し、
黄色粉末30mgを得た。この粉末を少量のジメチルスル
フォキシドに溶解し、40%アセトニトリルで平衡化さ
せた逆相系高速液体クロマト用ODSカラム(山村化学
社製、直径20mm、長さ250mm)に通液吸着させ
た後に、流速10ml/分でアセトニトリル濃度を増加
させ溶出させた。プロテアソーム阻害活性画分を集めて
減圧濃縮し、白色粉末5 mgを得た。この粉末を少量の
ジメチルスルフォキシドに溶解し、35%アセトニトリ
ルで平衡化させた逆相系高速液体クロマト用ODSカラ
ム(山村化学社製、直径4.6mm、長さ250mm)
に通液吸着させた後に、流速1ml/分で35%アセト
ニトリルで溶出させた。プロテアソーム阻害活性画分を
集めて減圧濃縮し、白色粉末1.2mg(SPA−13
44)を得た。
【0076】なお、本実験におけるプロテアソーム阻害
活性画分の取得は、実施例1に記載の方法によりプロテ
アソーム阻害活性を検出することにより行った。
【0077】得られたSPA−1344の構造解析デー
タを以下に示す。 (1)質量分析値: 陽イオンFABMSスペクトル:m/z 399(M+
H)+ 陰イオンFABMSスペクトル:m/z 397(M−
H)- (2)1 H−NMRスペクトル 重アセトン(d6 −アセトン)中、500MHzで測定
したスペクトルを図6に示す。 (3)13C−NMRスペクトル 重アセトン(d6 −アセトン)中、125MHzで測定
したスペクトルを図7に示す。
【0078】SPA−1344は、構造解析研究の結
果、ジャーナル オフ アンチバイオティックス、43
巻、8〜18頁(1990年)に記載の抗腫瘍ペプチド
(エポネマイシン)と同一化合物であることが明らかに
なった。
【0079】実施例1 SPA−1344及びSPA−1761Bのプロテアソ
ーム阻害活性 プロテアソームはラット脳組織より公知の方法(コジマ
他、FEBS、304巻、57〜60頁、1992年)
により精製した酵素溶液を使用した。具体的には、ラッ
ト脳組織に5倍量の0.1M HEPESバッファー
(pH7.25)を加え、氷冷下ホモゲナイズ抽出した
溶液を、40000Gで冷却下30分高速遠心分離し、
上清を酵素粗精製液として得た。酵素粗精製液130m
lを20mMトリス塩酸バッファー(pH7.5)で平
衡化した陰イオン交換樹脂EMD−DEAEを充填した
カラムに通液しプロテアソームを吸着させた。樹脂に吸
着したプロテアソームを塩化ナトリウム濃度を増加させ
ることにより溶出させた。プロテアソームを塩化ナトリ
ウム濃度約0.5Mで溶出した。プロテアソーム阻害活
性を測定するための基質としてSuc−Leu−Leu
−Val−Tyr−MCA(ペプチド研究所社製)を用
いた。
【0080】被験化合物として、製造例1で得られたS
PA−1761B、及び製造例2で得られたSPA−1
344を用いた。1μlのDMSOに溶解した各化合物
に、0.1MのHEPESバッファー(pH7.25)
で調製した20μMのSuc−Leu−Leu−Val
−Tyr−MCA溶液50μlを添加した後、プロテア
ソーム溶液50μlを加え37℃で2時間インキュベー
トした。遊離したアミノメチルクマリンの蛍光強度をE
x355nm、Em460nmで測定した。被験化合物
を添加しない場合の蛍光強度を100としてプロテアソ
ームの活性を50%阻害する化合物の量(IC50)を算
出した。その結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】実施例2 SPA−1344のTNF−α阻害活性 ヒト血管内皮細胞HUVEC細胞(クラボウ社製)を使
用し、TNF−αで処理した際に発現するE−セレクチ
ンの発現量を測定することによりTNF−α阻害活性を
アッセイした。
【0083】HUVEC細胞をトリプシン処理によりフ
ラスコから剥離し、剥離した細胞をヒト血管内皮細胞増
殖用低血清液体培地(クラボウ社製)で約40000細
胞/mlに希釈した。細胞希釈液を組織培養用96穴培
養プレート(Falcon社製)に100μl/ウエル
となるようにまき込んだ後、被験化合物としてSPA−
1344の溶液を最終濃度0から20μg/mlになる
ように加え、CO2 インキュベーター内(5%CO2
で37℃で培養した。1時間後、リコンビナントヒトT
NF−α(ギブコ社製)を30pg/mlになるように
添加し4時間培養後、細胞を0.1%グルタルアルデヒ
ド溶液で固定した。0.05%Tween20添加PB
S(−)(以下、T−PBSと略す)で一回洗浄後、P
BS(−)で5000倍に希釈したE−セレクチン抗体
(Serotec社製)を50μl/ウエルになるよう
に添加したあと、37℃で1.5時間反応を行った。反
応後、T−PBSで1回洗浄を行った後、PBS(−)
で1000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウス
IgG抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories 社製)
を50μl/ウエルとなるように添加した後、37℃で
1時間反応を行った。反応後、T−PBSで2回洗浄を
行った後、3,3',5,5' −テトラメチルベンジジン溶液
(Kirkegaard & Perry Laboratories 社製)を100μ
l/ウエルとなるように添加して、遮光下で10分間反
応させた後、1Mリン酸溶液を100μl/ウエルとな
るように添加して反応を停止させた。各吸光度をマイク
ロプレートリーダーを用いて、波長570nmで測定を
行った。なお、TNF−α阻害活性は被験化合物を添加
しない場合のE−セレクチンの発現量を100として、
TNF−αの活性を50%阻害する化合物の量(I
50)を算出した。SPA−1344のIC50は0.3
μg/mlであった。
【0084】
【発明の効果】本発明により、自己免疫疾患、炎症性腸
炎疾患、喘息、アルツハイマー病等の治療に有用なプロ
テアソーム阻害剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、SPA−1761Aの赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図2】図2は、SPA−1761Aの1 H−NMRス
ペクトルを示す図である。
【図3】図3は、SPA−1761Aの13C−NMRス
ペクトルを示す図である。
【図4】図4は、SPA−1761Bの1 H−NMRス
ペクトルを示す図である。
【図5】図5は、SPA−1761Bの13C−NMRス
ペクトルを示す図である。
【図6】図6は、SPA−1344の1 H−NMRスペ
クトルを示す図である。
【図7】図7は、SPA−1344の13C−NMRスペ
クトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 38/55 ACJ A61K 37/64 ACD AED ACJ C07K 5/083 AED (72)発明者 熊谷 和夫 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友製 薬株式会社内 (72)発明者 細谷 宜生 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友製 薬株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1 は、置換若しくは無置換のアシル基、置換
    若しくは無置換のアシル基でアシル化されたアミノ基を
    有するアミノ酸残基、又はアミノ基が保護基で保護され
    ていてもよいアミノ酸残基を示し、R2 は水素原子又は
    炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3 及びR4 は、水
    素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示すか、又
    はR3 とR4 が共に一緒になってメチレン基を示す)で
    表わされる化合物からなるプロテアソーム阻害剤。
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、R1 が置換若し
    くは無置換のアシル基であり、R2 が水素原子であり、
    3 とR4 は両者が共に一緒になってメチレン基を示
    す、請求項1記載のプロテアソーム阻害剤。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R1 が置換若し
    くは無置換のアシル基でアシル化されたアミノ基を有す
    るアミノ酸残基、又はアミノ基が保護基で保護されてい
    てもよいアミノ酸残基であり、R2 がメチル基であり、
    3 及びR4が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基
    である、請求項1記載のプロテアソーム阻害剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれかにおいて記載の一
    般式(1)で表わされる化合物を有効成分とする、プロ
    テアソームの作用亢進に起因する疾患の治療剤。
  5. 【請求項5】 疾患が、自己免疫疾患、炎症性腸炎疾
    患、喘息、およびアルツハイマー病からなる群より選ば
    れる請求項4記載の治療剤。
  6. 【請求項6】 自己免疫疾患が慢性関節リウマチである
    請求項5記載の治療剤。
  7. 【請求項7】 一般式(2) 【化2】 (式中、R11は、置換若しくは無置換のアシル基でアシ
    ル化されたアミノ基を有するアミノ酸残基、又はアミノ
    基が保護基で保護されていてもよいアミノ酸残基を示
    し、R12は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示
    し、R13及びR14は、水素原子若しくは炭素数1〜6の
    アルキル基を示すか、又はR13とR14が共に一緒になっ
    てメチレン基を示す)で表わされる化合物。
  8. 【請求項8】 一般式(2)において、R11が置換若し
    くは無置換のアシル基でアシル化されたアミノ基を有す
    るアミノ酸残基、又はアミノ基が保護基で保護されてい
    てもよいアミノ酸残基であり、R12がメチル基であり、
    13及びR14が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基
    である、請求項7記載の化合物。
  9. 【請求項9】 2−(2−カルバモイル−プロピオニル
    −Thr−Thr−Leu)−1−ヒドロキシ−2,3
    −エポキシプロパン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014141456A (ja) * 2004-05-10 2014-08-07 Onyx Therapeutics Inc 酵素阻害のための化合物

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