JPH1084989A - 光学活性α−イオノンの製造方法 - Google Patents
光学活性α−イオノンの製造方法Info
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- JPH1084989A JPH1084989A JP26803096A JP26803096A JPH1084989A JP H1084989 A JPH1084989 A JP H1084989A JP 26803096 A JP26803096 A JP 26803096A JP 26803096 A JP26803096 A JP 26803096A JP H1084989 A JPH1084989 A JP H1084989A
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Abstract
従来、工業的に有利に製造する方法については知られて
いない。 【解決手段】 新規物質の光学活性3−(2,6,6−
トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−アクリ
ロニトリルあるいはリパーゼ処理により得られる光学活
性2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−
オールから、光学活性α−イオノンを工業的に有利に合
成する。
Description
して有用な上記式(1)で表される光学活性のα−イオ
ノンの新規製法に関し、更に詳しくは、上記式(1)に
包含される下記式[(1)−1]及び[(1)−2]
及び(S)−(−)−α−イオノンの新規な製法に関す
る。
気を有し、調合香料の素材として古くから使用されてい
る。一方、光学活性である(R)−(+)−α−イオノ
ン及び(S)−(−)−α−イオノンは、例えば、Blac
k tea(Solvent extract)、Boronia megastigma Nees(ab
solute)、Raspberry fruit juice concentrate、Tobacc
o extractなどから見出され、(R)−(+)−α−イ
オノンはスミレ様、果物様、ラズベリー様、花様の強い
香気香味を有し、また、(S)−(−)−α−イオノン
は、木様、シダーウッド様、ラズベリー様、β−イオノ
ン様の香気香味を有していることが知られている[Lebe
nsmittel-Untersuchung und-Forshung(1991)192:111■1
15]。そして、その合成法については、例えば、α−シ
クロゲラン酸を光学分割して(R)−(+)−α−シク
ロゲラン酸及び(S)−(−)−α−シクロゲラン酸を
得(Agric.Biol.Chem.,1987,51,1271■1275)、これを原
料として、(R)−(+)−α−イオノン及び(S)−
(−)−α−イオノンを合成する、下記工程図で示す方
法が知られている(Helv.Chim.Acta.,1969,52,1729■17
31)。
(S)−(−)−体を示す。一方、α−イオノンと構造
類似の、例えば、下記式(A)
法について、本願と同一出願人による方法が知られてい
る(特開平60−209562号公報、特公平2−90
13号公報)。この提案による方法を工程図で示すと以
下の如くである。
性のα−イオノンの製造法において、原料の(R)−
(+)−α−シクロゲラン酸及び(S)−(−)−α−
シクロゲラン酸を得るには、α−シクロゲラン酸の光学
分割が必要であり、この方法による光学分割は工業的で
はなく、さらに改善された光学活性α−イオノンの工業
的方法の開発が強く望まれているのが現状である。
上記事情に鑑み、光学活性のα−イオノンの合成法につ
いて鋭意研究を行って来た。その結果、従来文献未記載
の下記式(2)
体を表す]で示される光学活性3−(2,6,6−トリ
メチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−アクリロニ
トリルを、メチルリチウムと接触させることにより、本
発明の下記式(1)
学活性α−イオノンを好純度、好収率で容易に工業的に
合成できることを見出し、本発明を完成した。さらに、
本発明は、本出願人により同一出願日に特許出願(発明
の名称、光学活性2,4,4−トリメチル−2−シクロ
ヘキセン−1−オール及びそのエステル類の製造方法)
した下記式(6)
を示し、R′はハロゲン原子で置換されていてもよい炭
素数が1〜10個の直鎖または分岐アルキル基、アルケ
ニル基を示す]で表されるラセミ体の2,4,4−トリ
メチル−2−シクロヘキセン−1−オール類をペニシリ
ウム・クリソゲヌムの生産するリパーゼを用いて不斉加
水分解もしくは不斉エステル化させることにより得られ
る、下記式(5)
学活性2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−
1−オールを原料として、4工程を経て本発明の上記式
(1)で表される光学活性α−イオノンを工業的に有利
に合成できることを見出し、本発明を完成した。本発明
において、上記式(5)の化合物を出発物質として上記
式(1)の光学活性α−イオノンを合成してもよい。従
って、本発明の目的は、従来公知のラセミ体α−イオノ
ンより香気的に優れ、且つ持続性にも優れ、各種飲食
品、香粧品などの広い利用分野において、調合香料の素
材として有用な、従来調合香料素材として使用されたこ
とのない、上記式(1)の光学活性α−イオノンの製造
法を提供するにある。以下、本発明について、さらに詳
細に説明する。
下のように表すことができる。
発明の上記式(5)で示される光学活性2,4,4−ト
リメチル−2−シクロヘキセン−1−オールは、従来文
献未記載の新規化合物として本発明の同一出願人により
すでに特許出願(特開平4−278097号公報)した
化合物である。
許明細書中に記載された方法又は、本出願人により本発
明と同一出願日で特許出願(発明の名称、光学活性2,
4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オール
及びそのエステル類の製造方法)した方法により容易に
合成することができる。
れるラセミ体の2,4,4−トリメチル−2−シクロヘ
キセン−1−オール類をペニシリウム・クリソゲヌムの
生産するリパーゼを用いて不斉加水分解もしくは不斉エ
ステル化することにより、容易に製造することができ
る。具体的には、上記式(5)化合物に包含される下記
式(5)−1
トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オールを合成す
るには、上記式(6)化合物に包含される下記式(6)
−1
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数が1〜10
個の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基を示す]
で表されるラセミ体の2,4,4−トリメチル−2−シ
クロヘキセン−1−イルエステルをペニシリウム・クリ
ソゲヌムの生産するリパーゼを用いて不斉加水分解する
ことにより容易に製造することができる。これを工程図
で示すと以下のように表すことができる。
は、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イ
ソプロピオン酸エステル、酪酸エステル、イソ酪酸エス
テル、吉草酸エステル、イソ吉草酸エステル、カプロン
酸エステル、カプリル酸エステル、カプリン酸エステ
ル、モノクロロ酢酸エステル、トリクロロ酢酸エステ
ル、メタクリル酸エステル等を好ましく例示することが
できる。
化合物1重量部を0.1モル燐酸バッファー水溶液(p
H約7)約5〜約50重量部に分散させ、そこへリパー
ゼを約500〜約10,000unit添加し、室温で
約5〜約250時間激しく撹拌して行われる。
形物をエーテル等で数回抽出する。抽出液を常法により
洗浄し、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カル
シウム等の脱水剤を加えて乾燥後、溶媒を回収除去し、
例えば、シリカゲルクロマトグラフィーなどの手段によ
り精製し、上記式(5)−1の化合物を容易に得ること
ができる。
と同一出願人が既に特許出願(特開平6−141858
号公報)した新規リパーゼであり、ペニシリウム・クリ
ソゲヌム(Penicillium chrysogenum)の生産する酵素で
ある。次に、上記式(5)化合物に包含される下記式
(5)−2
トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オールを合成す
るには、上記式(6)化合物に包含される下記式(6)
−2
ル−2−シクロヘキセン−1−オールを、ペニシリウム
・クリソゲヌムの生産するリパーゼを用いて不斉エステ
ル化し、未反応物の下記式(5)−2化合物を単離する
ことにより容易に製造することができる。この反応を工
程図で示すと以下のように表すことができる。
はアルケニル基を示す] この反応に使用されるRCOOR′の具体例としては、
例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニ
ル、クロロ酢酸ビニル、メタクリル酸ビニル、安息香酸
ビニルなどを好ましく例示することができる。
重量部を、上記RCOOR′約10〜20重量部に溶解
し、これに上述のリパーゼを500〜10,000un
it分散させて室温で約10〜約200時間激しく撹拌
して行われる。
同様の手段により処理、精製することにより、式(5)
−2の化合物を容易に製造することができる。
反応物の上記式(6)−3で表される(S)−(−)−
2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オ
ールのエステル類及び上記不斉エステル化反応で得られ
る上記式(6)−4で表される(R)−(+)−2,
4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オール
のエステル類も通常の化学的加水分解反応を行うことに
より、それぞれ上記式(5)−2化合物及び上記式
(5)−1化合物に変換し、本発明の光学活性α−イオ
ノンの原料にすることもできる。
1化合物及び上記式(5)−2化合物は、3,5−ジニ
トロベンゾエート体とし、例えば、イソプロピルエーテ
ルの如き有機溶媒を用いて再結晶することにより、さら
に光学純度を上げることもできる。
(5)に包含される(R)−体又は(S)−体の2,
4,4,−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オー
ルから、式(4)で表される光学活性2,6,6−トリ
メチル−2−シクロヘキセン−1−イルアセトアルデヒ
ドを合成するには、例えば、有機溶媒中で若しくは溶媒
不存在下に、ピバリン酸の存在下で式(5)化合物とア
ルキルビニルエーテルとを反応させ、好ましくは加熱反
応せしめることにより行われる。反応は、例えば、密閉
容器中で、例えば、約50℃〜約300℃程度の温度、
より好ましくは、約150℃〜約250℃程度の温度範
囲で行うことができる。反応時間も適当に選択でき、例
えば、約0.5時間〜約10時間、より好ましくは、約
1時間〜約5時間程度の範囲で接触反応して容易に式
(5)を合成することができる。上記反応は、例えば、
窒素ガスの如き不活性ガス中で行うことが好ましい。
ルの使用量は、適宜に選択でき、例えば、式(5)化合
物に対して約1〜約10モル倍程度、より好ましくは約
1.2〜約2モル倍程度の範囲の使用量を例示すること
ができる。アルキルビニルエーテルの具体例としては、
例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエー
テル、イソブチルビニルエーテルなどを例示することが
できる。
る化合物であって、該化合物の使用量としては、式
(5)化合物に対して、例えば、約0.1〜約50重量
%程度、より好ましくは約10〜約30重量%程度の使
用量を例示することができる。
する場合は、式(5)化合物に対して、例えば、約10
〜約500重量%、より好ましくは約50〜約200重
量%程度の範囲の使用量を例示することができる。かか
る有機溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシ
レン、ベンゼン、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライ
ムなどの如き有機溶媒が例示できる。
酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、溶媒を留去し、減圧
下に蒸留して、式(4)で表される光学活性2,6,6
−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イルアセトア
ルデヒドを容易に高純度で得ることができる。
から、上記式(3)で表される光学活性3−(2,6,
6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−2
−ヒドロキシプロピオニトリルの合成は、上記式(4)
化合物を、好ましくは有機溶媒中、酢酸の存在下でシア
ン化カリウムと接触反応させることにより容易に行うこ
とができる。
℃、より好ましくは約−10℃〜約50℃程度の温度条
件下に、例えば、、約1〜約5時間程度の反応時間でよ
り好ましく行うことができる。反応に使用する有機溶媒
の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、
プロパノールなどの如きアルコール類を例示することが
できる。これらの有機溶媒の使用量には、格別の制約は
なく適宜に選択すればよいが、式(4)化合物に対し、
例えば、約1〜約30モル倍程度の使用量を例示するこ
とができる。更に、酢酸の使用量としては、シアン化カ
リウムに対して、例えば、約1〜約10モル倍程度の使
用量を例示することができる。
機溶媒で抽出し、適当なアルカリで中和し、水洗して溶
媒を留去し、例えば、蒸留、カラムクロマトの如き手段
を用いて精製し、式(3)化合物を容易に製造すること
ができる。
ができる上記式(3)化合物から上記式(2)で表され
る光学活性3−(2,6,6−トリメチル−2−シクロ
ヘキセン1−イル)−アクリロニトリルを合成するに
は、例えば、上記式(3)化合物を塩基の存在下にメシ
ルクロライド(MeCl)と接触せしめ、式(3)化合
物のメシレートを形成させ、ついで、このメシレート化
合物を炭酸カルシウムの存在下に臭化リチウムと接触せ
しめて容易に合成することができる。
は、例えば、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミ
ン、ピロリジンなどの如き有機塩基を好ましく例示する
ことができる。これら塩基触媒の使用量としては、メシ
ルクロライドに対して、例えば、約1〜約5モル倍程度
の使用量を好ましく例示することができる。
温度条件下に、例えば、約1〜約5時間程度の反応時間
でより好ましく行うことができる。このようにして形成
された上記式(3)化合物のメシレートは、ジメチルホ
ルムアミド中、炭酸カルシウムの存在下に臭化リチウム
(LiBr)と接触反応させることにより、上記式
(2)の化合物を形成させることができる。
ドの使用量は、格別の制約はないが、例えば、メシレー
ト化合物に対して約10〜100重量部程度の範囲が例
示される。また、炭酸カルシウムはメシレート化合物1
モルに対し、例えば約10〜約50モル程度の範囲で通
常使用される。また、臭化リチウムの使用量は、メシレ
ート化合物1モルに対し、例えば約5〜約20モル程度
の範囲を好ましく挙げることができる。反応は、約50
〜150℃程度の温度で約2〜20時間程度の条件下で
行われる。
溶媒で目的物を抽出し、抽出液を洗浄し乾燥後、例え
ば、シリカゲルクロマトグラフィーのごとき手段により
精製し、上記式(2)化合物を容易に得ることができ
る。
の光学活性3−(2,6,6−トリメチル−2−シクロ
ヘキセン−1−イル)−アクリロニトリルは、従来文献
未記載の新規化合物であり、本発明の光学活性α−イオ
ノン式(1)の重要な合成中間体である。
(1)の光学活性α−イオノンを合成するには、例え
ば、式(2)化合物をメチルリチウムと接触せしめるこ
とにより、容易に行うことができる。
えば、エーテル、テトラヒドロフランなどの如き有機溶
媒が好ましく利用できる。反応温度及び反応時間は、使
用する溶媒によつて適宜に選択できるが、例えば、約−
60℃〜約50℃程度の反応温度及び、例えば、約1〜
約5時間程度を例示することができる。
としては、式(2)化合物に対して、例えば、約1〜約
10モル倍程度の範囲を好ましく例示できる。
ニウムで処理し、例えば、エーテルの如き有機溶媒で抽
出し、水洗、溶媒を留去して、例えば、蒸留、カラムク
ロマトの如き精製手段により、本発明の式(1)化合物
を容易に合成できる。
記式(1)光学活性α−イオノンは、従来公知のラセミ
体α−イオノンに比べ優れた天然様のスミレ様香気を有
し、且つ優れた持続性を有し、マイルドでこくのある天
然らしさがあり、特に各種の飲食品、香粧品類、保健・
衛生・医薬品などの香気乃至香味成分として優れた持続
性及びユニークな香気香味を付与することができる。
化合物の製造例の数態様について、さらに詳細に説明す
る。
ヘキセン−1−オール[式(5)−1]の合成 2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセニルアセテ
ート式[(6)−1]14.6g(80.2モル)を
0.1モル燐酸バッファー(pH7.0)300ml中
に分散させ、ペニシリウム・クリソゲヌムの生産するリ
パーゼ14.6g(8,000units)を加えて室
温下で114時間撹拌して酵素分解を行った。反応終了
後、反応液に酢酸エチルとセライトを加えてしばらく撹
拌した後、濾過し、固形物を酢酸エチルで洗浄して先の
濾液と合わせ、これを濃縮して、式[(5)−1]化合
物及び式[(6)−2]化合物からなる粗製物14.0
gを得た。ついで、この粗製物をシリカゲルクロマトグ
ラフィーにより精製した。その結果、式[(5)−1]
化合物(R)−(+)−2,4,4−トリメチル−2−
シクロヘキセン−1−オール3.44g(b.p.63
〜64℃/3Torr;86.9%e.e.)及び式
[(6)−2]化合物の(S)−(−)−2,4,4−
トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イルアセテート
7.88g(b.p.57〜57.5℃/2Torr;7
3.3%e.e.)を得た。なお、光学純度は、シクロ
デキストリン誘導体をキラルフェーズとしたGLCで測
定した。
1]の化合物50.8g(0.36モル、89.4%
e.e.)にピリジン86g(1.1モル)、塩化メチ
レン400ml及びDMAP1.0gを加え、かき混ぜ
ながら3,5−ジニトロベンゾイルクロライド100g
(0.44モル)を少しづつ加えた。室温で3時間かき
混ぜ反応を行った後、反応液を氷水中に注ぎ、エーテル
で数回抽出した。抽出液を稀塩酸水溶液、炭酸水素ナト
リウム水溶液、食塩水で洗浄後硫酸マグネシウムで乾燥
し、エーテルを回収して粗結晶98gを得た。これをイ
ソプロピルエーテルから再結晶し、得られた結晶90g
を常法に従い加水分解し、蒸留精製することにより、純
粋な式[(5)−1]の化合物31g[b.p.98〜
99℃/28Torr、[α]D=+95.0°(20
℃)、(C=1.04;MeOH);97%e.e.]
を得た。
ヘキセン−1−オール[式(5)−2]の合成 2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オ
ール式[(6)−2]10gを酢酸ビニル100mlに
室温で溶解し、これに実施例1で用いたと同一のリパー
ゼ10g(6,400units)を加え、室温下で1
37時間撹拌してエステル化反応を行った。反応終了
後、反応液をクロロホルムで抽出した後、クロロホルム
を留去し、式[(5)−2]化合物及び式[(6)−
4]化合物の混合物からなる粗製物11gを得た。つい
で、この粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーにより
精製し、式[(5)−2]化合物(S)−(−)−2,
4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オール
6.5g[b.p.62〜64℃/3Torr;39%e.
e.]及び式[(6)−4]化合物(R)−(+)−
2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセニルアセテ
ート3.5g[b.p.61〜63℃/3Torr;87.
2%e.e.]が得られた。
実施例1と同様の手段で再結晶することにより、純粋な
式[(5)−2]化合物3g[b.p.93〜94℃/
22Torr、[α]D=−95.2°(20℃)、(C=
1.10;MeOH);98%e.e.]を得た。
ヘキセン−1−イルアセトアルデヒド式(4)の合成 100mlの耐圧容器に(R)−(+)−2,4,4−
トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オール20g
(0.14モル)、エチルビニルエーテル21g(0.
29モル)、ピバリン酸3g(29ミリモル)、トルエ
ン21mlを仕込み、200℃で8時間撹拌を行う(こ
の間、圧力は6kg/cm2まで上昇する)。
を加え、重曹水で洗浄、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥する。その後トルエンを留去し、得られ
た粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(SiO25
00g、n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)により
精製し、(R)−体の式(4)化合物15gを得た。収
率60%。
ヘキセン−1−イルアセトアルデヒド式(4)の合成 原料に(S)−(−)−2,4,4−トリメチル−2−
シクロヘキセン−1−オールを用いた他は、実施例1に
準じて行い、(S)−体の式(4)化合物を13g得
た。収率52%。
シクロヘキセン−1−イル)−2−ヒドロキシプロピオ
ニトリル式(3)の合成 1lのフラスコに実施例3で得られた(R)−体式
(4)化合物12g(72ミリモル)、KCN24g
(0.36モル)及びエタノール220mlを仕込み、
氷浴で0℃に冷却する。酢酸35g(0.58モル)を
10分かけて滴下し、0℃1時間撹拌後室温まで昇温
し、さらに2時間撹拌する。
抽出する。有機層を重曹水溶液、食塩水で順次洗浄し、
無水硫酸マグネシウムで乾燥する。濃縮後得られた粗製
物をシリカゲルクロマトグラフィー(SiO2200
g、n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)により精製
し、(R)−体の式(3)化合物12gを得た。収率8
5.6%。
シクロヘキセン−1−イル)−2−ヒドロキシプロピオ
ニトリル式(3)の合成 原料に実施例4で得られた(S)−体式(4)化合物を
用いた他は、実施例5に準じて行い、(S)−体の式
(3)化合物を11.2g得た。収率80%。
シクロヘキセン−1−イル)−アクリロニトリル式
(2)の合成 500mlフラスコに実施例5で得られた(R)−体の
式(3)化合物10g(52ミリモル)とピリジン23
0mlを仕込み、氷浴で0℃に冷却後、メタンスルホニ
ルクロリド17.8g(0.16モル)を加える。0℃
で3時間撹拌後反応液を水中に注ぎエーテル抽出する。
エーテル層を硫酸銅水溶液で3回洗浄後、水、重曹水溶
液、食塩水で順次洗浄する。、無水硫酸マグネシウムで
乾燥後濃縮し、粗製物12gを得た。この粗製物にジメ
チルホルムアミド800ml、CaCO3100g、L
iBr45gを加え100℃で9時間撹拌する。冷却後
反応液を濾過し、濾液を水で希釈しエーテルで抽出す
る。エーテル層を2N塩酸水溶液、重曹水溶液、食塩水
で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し
て得られた粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(S
iO2200g、n−ヘキサン:酢酸エチル=20:
1)により精製し、(R)−体の式(2)化合物3.4
gを得た。収率37.4%。
シクロヘキセン−1−イル)−アクリロニトリル式
(2)の合成 原料に実施例6で得られた(S)−体式(3)化合物を
用いた他は、実施例7に準じて行い、(S)−体の式
(2)化合物を6.4g得た。収率70%。
式(2)化合物3g(17ミリモル)とエーテル100
mlを仕込み、−60℃に冷却する。この溶液中に1.
4M MeLi/エーテル溶液31ml(43ミリモ
ル)を加え、同温下に2時間撹拌後0℃で1時間撹拌す
る。
中に注ぎ、12時間撹拌を続行する溶液を分液し、有機
層を重曹水溶液、含塩水で順次洗浄し、無水酢酸硫酸マ
グネシウムで乾燥する。濃縮して得られた粗製物をシリ
カゲルクロマトグラフィー(SiO260g、n−ヘキ
サン:酢酸エチル=20:1)により精製し、(R)−
(+)−α−イオノン1.1gを得た。収率33.7
%。光学純度はシクロデキストリンをキラルフェーズに
したGLCで測定し、98.5%e.e.であった。 [α]D=+423.9°(20℃)、(C=0.9
7;CHCl3)
用いた他は、実施例9に準じて行い、(S)−(−)−
α−イオノンを1.2g得た。収率36.8%。光学純
度はシクロデキストリンをキラルフェーズにしたGLC
で測定し、98.2%e.e.であった。 [α]D=−412.6°(20℃)、(C=0.9
4;CHCl3)
オノンより香気的に優れ、且つ持続性に優れ、従来、調
合香料として使用されたことのない光学活性α−イオノ
ンを、工業的に有利に合成できる新規製法が提供され
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記式(2) 【化1】 [式中、波線は(R)−体または(S)−体を表す]で
示される光学活性3−(2,6,6−トリメチル−2−
シクロヘキセン−1−イル)−アクリロニトリルを、メ
チルリチウムと接触させることを特徴とする下記式
(1) 【化2】 [式中、波線は式(2)と同義]で表される光学活性α
−イオノンの製法。 - 【請求項2】 下記式(6) 【化3】 [ 式中、Rは水素原子または−COR′基を示し、
R′はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数が1
〜10個の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基を
示す]で表されるラセミ体の2,4,4−トリメチル−
2−シクロヘキセン−1−オール類をペニシリウム・ク
リソゲヌムの生産するリパーゼを用いて不斉加水分解も
しくは不斉エステル化させることにより得られる下記式
(5) 【化4】 [式中、波線は(R)−体または(S)−体を表す]で
表される光学活性2,4,4−トリメチル−2−シクロ
ヘキセン−1−オールを、ピバリン酸の存在下、アルキ
ルビニルエーテルと反応させて下記式(4) 【化5】 [式中、波線は式(5)と同義]で表される光学活性
2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イ
ルアセトアルデヒドを形成せしめ、該式(4)化合物
を、酢酸の存在下にシアン化カリウムと接触反応させる
ことにより、 下記式(3) 【化6】 [式中、波線は式(5)と同義]で表される光学活性3
−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1
−イル)−2−ヒドロキシプロピオニトリルを形成せし
め、該式(3)化合物を塩基の存在下にメシルクロライ
ド(MsCl)と接触せしめ、次いで生成物を炭酸カル
シウムの存在下に臭化リチウム(LiBr)と接触せし
めることにより、 下記式(2) 【化7】 [式中、波線は式(5)と同義]で表される光学活性3
−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1
−イル)−アクリロニトリルを形成せしめ、該式(2)
化合物をメチルリチウムと接触させることを特徴とする
下記式(1) 【化8】 [式中、波線は式(5)と同義]で表される光学活性α
−イオノンの製法。 - 【請求項3】下記式(5) 【化9】 [式中、波線は(R)−体または(S)−体を表す]で
表される光学活性2,4,4−トリメチル−2−シクロ
ヘキセン−1−オールを、ピバリン酸の存在下、アルキ
ルビニルエーテルと反応させて下記式(4) 【化10】 [式中、波線は式(5)と同義]で表される光学活性
2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イ
ルアセトアルデヒドを形成せしめ、該式(4)化合物
を、酢酸の存在下にシアン化カリウムと接触反応させる
ことにより、 下記式(3) 【化11】 [式中、波線は式(5)と同義]で表される光学活性3
−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1
−イル)−2−ヒドロキシプロピオニトリルを形成せし
め、該式(3)化合物を塩基の存在下にメシルクロライ
ド(MsCl)と接触せしめ、次いで生成物を炭酸カル
シウムの存在下に臭化リチウム(LiBr)と接触せし
めることにより、 下記式(2) 【化12】 [式中、波線は式(5)と同義]で表される光学活性3
−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1
−イル)−アクリロニトリルを形成せしめ、該式(2)
化合物をメチルリチウムと接触させることを特徴とする
下記式(1) 【化13】 [式中、波線は式(5)と同義]で表される光学活性α
−イオノンの製法。
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WO2019230974A1 (en) * | 2018-06-01 | 2019-12-05 | Takasago International Corporation | Fragrance material |
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1996
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JPWO2007032375A1 (ja) * | 2005-09-13 | 2009-03-19 | 高砂香料工業株式会社 | 光学活性α−ヨノンの製造方法 |
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