【発明の詳細な説明】
印刷故紙から印刷インクを除去する方法
発明の分野
本発明は、アミノ基および/またはアンモニウム基を含むと共に数平均分子量
2,000〜1,000,000を有するポリマーおよび/またはコポリマーとセ
ルロース誘導体との存在下に印刷故紙から印刷インクを除去する方法並びにアミ
ノ基および/またはアンモニウム基含有ポリマーについての印刷インクの印刷故
紙からの除去のための使用に関する。
従来技術
現在、故紙は、新聞やトイレットペーパーの生産に大量に使用されている。こ
の種の紙にとって重要な品質として、明度と色相がある。この品質を達成するた
め、印刷故紙から印刷インクを除去する必要がある。これは、通常いわゆる脱イ
ンク工程によってなされる。脱インク工程は、剥離印刷インク除去用の装置を付
加的に備える標準故紙再循環プラントによって実施される。これに関し重要な工
程は、(1)故紙の精砕工程である。精砕は、故紙を解繊する工程である。解繊
は、例えば水性媒体中で機械的エネルギー(撹拌)の適用によって誘発すること
ができる。解繊は、印刷インク粒子の剥離を伴う。印刷インク粒子は、粒径0.
1〜1,000μmの非常に小さい粒子に分解し、微分散形で存在する。精砕工程
では、灰色の紙料懸濁液が得られる。
次の工程は、(2)剥離印刷インクを紙料懸濁液から除去する過程である。こ
の脱インク工程は、洗浄または浮選(浮遊選別)によって実施することができる
〜571頁(1979年)参照〕。
故紙の脱インク処理は、通常温度30〜50℃にて水酸化アルカリ金属、珪酸
アルカリ金属、酸化漂白剤および界面活性剤の存在下にアルカリpH値で実施さ
れる。使用される界面活性剤は、通常アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤
であり、例えば、セッケン、エトキシル化脂肪アルコール、エトキシル化アルキ
6〜649頁、1985年参照〕。
通常のアルカリ性脱インク条件下に水性印刷インクを除去すると、とくに問題
となることが証明されている。水性印刷インク中のバインダー成分および分散剤
成分は、従来の油性印刷インクとは対照的に、上記条件下で溶解または再分散す
ることができる。印刷インク自体は、ばらばらになって非常に小さな各粒子に分
解する。これらの粒子は、その顔料表面上に分散剤を吸収することによってさら
に安定化する。そして、このような非常に小さな着色粒子は、通常の洗浄および
浮遊処理の条件下では繊維上に残存して除去することができず、その結果、原料
から製造した紙が灰色に変色する重大な問題が生じる。
文献〔ctp,Centre Technique du Papier,1st Research Forum on Recycling、
1991年10月29日〜31日〕によれば、カルボキシメチルセルロースは、印刷インク
の堆積を減少させることができるが、これは、変色の問題の改善につながらない
。
印刷インクの上記問題に加え、水溶性またはコロイド溶解型の微分散固体は、
製紙工程のプロセス水中に入り、有害にも循環路の絞り部分において堆積する。
このような固体は、とくに填料および細い繊維である。
この固体の望ましくない作用のため、閉鎖水循環路の場合や循環路において絞
り部分を用いる場合には、一般に水を浄化する必要がある。水の浄化は、通常凝
集、沈殿、吸着、浮選またはこれらの組み合わせによって実施される〔例えば、
例えば、洗浄脱インクプラントは、通常微細浮選の原理に基づき、懸濁固体や溶
解物質やコロイド状物質を凝集し、次いで水中から浮上させることによって操作
233〜237頁参照〕。
製紙産業におけるプロセス水処理の際の代表的な凝集剤には、無機および有機
凝集剤、例えば石灰乳、アルミニウム塩溶液、鉄塩溶液、カチオンポリマー、例
えばポリエチレンイミン、カチオン系デンプン、ポリアミドアミン/エピクロロ
ヒドリン樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂などが包含される〔前掲の文献
(W.AuhornおよびJ.Schurz)参照〕。とくに好適な凝集剤は、ポリジアリルジメ
apierfabrikation 1992年、14巻、559〜564頁および前掲の文献(J.Schurz)参
照〕。この化合物は、通常ポリDADMACと呼ばれ、各反復構造単位の窒素原
子において正電荷を担持する直鎖分子である。この正電荷は、負に荷電した外方
のクロリドイオンによって中和される。したがって、全体的に見て非常に高い電
荷密度を有する高分子電解質が形成される。
発明の記載
本発明の課題は、印刷故紙から印刷インクを除去するための方法を提供するこ
とである。さらに詳しくは、本発明の方法は、得られる紙の白色度を改善すると
共に、所望により微分散固体をプロセス水(化学用水)から除去して、プロセス
水の汚染を最小にする。
本発明者らによれば、アミノ基および/またはアンモニウム基含有ポリマーお
よび/またはコポリマーとセルロース誘導体とを組み合わせると、製紙の際の循
環水および廃水の処理にとくに適していることが判明した。
本発明は、プロセス水に添加剤を添加し、次いで沈殿した固体を浮選および/
またはろ過によって除去する方法を提供し、上記添加剤は、(1)アミノ基およ
び/またはアンモニウム基を含むと共に数平均分子量2,000〜1,000,0
00を有する、1またはそれ以上のポリマーおよび/またはコポリマー、および
(2)1またはそれ以上のセルロース誘導体を含む。
アミノ基および/またはアンモニウム基を含むポリマーおよび/またはコポリ
マーとセルロース誘導体の組み合わせの存在下に、印刷インク、例えば、新聞紙
のインク、書物の印刷インク、オフセット印刷のインク、雑誌のグラビア印刷の
インク、フレキソ印刷のインク、レーザー印刷のインク、包装のグラビア印刷の
インクなどを、印刷故紙、例えば、新聞紙、雑誌、コンピューター用紙、定期刊
行雑誌、パンフレット、書き込み用紙、電話帳、カタログなどから除去すること
ができる。本発明に用いられる前記組み合わせの存在下に脱インクした故紙は、
高い白色度を特徴とする。
好適には、アミノ基および/またはアンモニウム基を含むと共に5,000〜
500,000の数平均分子量を有する、少なくとも部分的に水溶性のポリマー
および/またはコポリマーを用い、数平均分子量10,000〜200,000の
ものがとくに好適である。
本明細書において用いられる「少なくとも部分的に水溶性」なる語は、0.0
1重量%を越えるポリマーおよび/またはコポリマーが、使用のpH値において
水中で透明または不透明な溶液を形成することを意味する。
本発明に使用される、少なくとも部分的に水溶性のアミノ基含有ポリマーおよ
び/またはコポリマーには、ピリジン基含有ポリマー、例えば2-ビニルピリジ
ンおよび/または4-ビニルピリジンをベースとするポリマーが包含される。
本発明の方法にとくに好適な群のポリマーは、以下の反応によって得ることが
できる。
(a)式:
〔式中、各R1およびR2は、水素原子またはメチル基、
各R3およびR4は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ピペラジン基、ピ
ペリジン基またはモルホリン基、
R5は、炭素数1〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基、
Zは、酸素またはNH、
nは、2〜5の数、
アンモニウム作用の対イオンは、ハロゲン、硫酸、リン酸、ホウ酸もしくは有
機酸のアニオンまたは電子対である。〕
で示されるアミノ基含有モノマーの重合反応、
(b)上記式(I)モノマーと、以下の化合物群から選ばれる化合物との共重
合反応:
(b1)式:
R5-CH=CR6-C(=O)-OH (II)
〔式中、各R5およびR6は、水素原子またはメチル基である。〕
で示される不飽和脂肪酸モノマー、
(b-2)式:
R7-CH=CR8-C(=O)-O-(CmH2mO)p-R9 (III)
〔式中、各R7およびR8は、水素原子またはメチル基、
R9は、炭素数1〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基、
mは、2〜4の数、
pは、0〜18の数、
ただし、p=0の場合、得られるコポリマー中の不飽和カルボン酸
エステル含量は90重量%を越えない。〕
で示される不飽和カルボン酸エステルモノマー、
(b3)非置換またはアミドの窒素原子において炭素数1〜22の直
鎖および/または分岐鎖アルキル基で置換されたアクリルアミドおよびメタクリ
ルアミド、および
(b4)N-ビニルピロリドン、
または
(c)カルボキシル基および/または式:-COOR10のエステル基〔R10は炭素
数1〜8のアルキル基〕および/または式:-CO-O-CO-の無水物基を含有するポ
リマーと、これらのポリマー中に存在するカルボキシル基、エステル基および/
または潜在的なカルボキシル基に基づく、以下の化合物群から選ばれる化合物と
の反応:
(c1)式:
〔式中、R11は、炭素数1〜8のアルキレン基または芳香族基、
R12およびR13は、相互に独立して炭素数1〜4のアルキル基もし
くは芳香族基または窒素原子と一緒になってピペラジン基、ピペリジン基もしく
はモルホリン基、
Xは2〜4の数およびyは0〜10の数である。〕
で示されるアミノアルコール0〜1当量、
(c2)式:
NHR14-R15-NR16R17 (V)
〔式中、R15は炭素数1〜8のアルキレン基または芳香族基、
R14は水素または炭素数1〜4のアルキル基、
R16およびR17は、相互に独立して炭素数1〜4のアルキル基また
は一緒になって-CH=CH-N=CH-である。〕
で示されるジアミン0〜1当量、
(c3)式:
HO-(CaH2aO)b-R18 (VI)
〔R18は、炭素数6〜22のアルキル基または芳香族基、
aは2〜4の数、
bは0〜30の数である。〕
で示されるアルコール0〜0.5当量、および
(c4)式:
NHR19R20 (VII)
〔式中、R19は水素または炭素数1〜4のアルキル基、
R20は炭素数6〜22のアルキル基または芳香族基である。〕
で示されるアミン0〜0.5当量〔ただし、前記成分(c1)および
(c2)の合計当量は、0ではない。〕。
式Iの好適なアミノ官能化モノマーには、とくにR1が水素で、R2が水素また
はメチルで、各R3およびR4がメチルまたはエチルで、R5が電子対または炭素
数1〜4のアルキル基で、アンモニウム作用の対イオンがハロゲンイオンである
モノマーが包含される。例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチ
ルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメ
チルアミノネオペンチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジ
エチルアミノエチルメタクリレート、メタクリルアミドプロピルジメチルアンモ
ニウムクロリドなどが挙げられる。
式IIの不飽和脂肪酸モノマーとして、好適には、アクリル酸および/またはメ
タクリル酸を用いる。
式IIIの不飽和カルボン酸エステルモノマー〔R9は、好適には炭素数1〜8の
直鎖または分岐鎖アルキル基〕は、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸
ブチルの酸化エチレン(3モル)付加物などである。
さらに、式Iのアミノ官能化モノマーとの共重合のためには、アクリルアミド
、メタクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、t-ブチルアクリルアミドなど
が適している。
式Iのアミノ官能化モノマーの重合または共重合は、所望により水混和性溶媒
、例えばイソプロパノールなどのアルコールを含む水性媒体中で、既知の重合法
によって行う。開始剤として、少量のラジカル形成物質、例えばペルオクソ二硫
酸カリウムまたはアンモニウム、t-ブチルヒドロペルオキシド、アゾビス(イ
ソブチロニトリル)などを添加する。式Iのアミノ官能化モノマーの重合または
共重合は、例えば式Iの各モノマーを、所望によりb1)〜b4)の群のモノマ
ーと共に、同時に開始剤を含む水に滴下して、実施することができる。重合温度
は、基本的には制限されず、広範に変化させることができる。用いた開始剤に応
じて、
60〜100℃の温度が最適なものとなりうる。例えば、ポリマー含量10〜6
0重量%の水性ポリマーおよび/またはコポリマー溶液が得られる。
カルボキシ官能化、エステル官能化および/または無水物官能化ポリマーをア
ミノアルコール、ジアミンまたはアミンによってエステル化および/またはアミ
ド化して、本発明の使用に適したアミノ基および/またはアンモニウム基含有ポ
リマーおよび/またはコポリマーを製造する場合、以下のような方法が適用され
る。
カルボキシ官能化、エステル官能化および/または無水物官能化ポリマーは、
既知の重合法によって、例えばヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン、ケト
ンなどの有機溶媒中で製造することができる。好適なモノマーは、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、これらの酸の炭素数1〜8のアルキルエステ
ル、これらの酸のアリールエステル、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、
これらの酸の炭素数1〜8のモノアルキルエステル、これらの酸の炭素数1〜8
のジアルキルエステル、対応するアリールエステルなどである。エステルにおい
て、アルコールのアルキル基は、直鎖、分岐鎖または環状であってよい。モノマ
ーは、単独または混合物として使用してもよい。好適には、アクリル酸、メタク
リル酸、アクリレート、メタクリレートなどをモノマーとして使用する。また、
スチレン、アルキルスチレン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、アク
リロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ンなどを付加的なモノマーとして使用してもよい。重合は、前記したようなラジ
カル形成物質の存在下に実施する。
カルボキシ官能化、エステル官能化および/または無水物官能化ポリマーをア
ミノアルコールおよび/またはジアミンと共に、所望によりアルコールおよび/
またはアミンと反応させるには、有機溶媒を用いるかまたは用いずに、好適には
触媒、例えば硫酸、p-トルエンスルホン酸、二ラウリン酸ジブチル錫、錫およ
び/またはアルカリ金属アルコラートの存在下に、温度100〜230℃で実施
する。エステル化および/またはアミド化反応の間に形成した水分および/また
は形成したアルコールは留去される。好適な有機溶媒は、例えば100℃を越え
る沸点の脂肪族および/または芳香族炭化水素である。
好適な式IVのアミノアルコール(c1)は、例えば2-ジメチルアミノエタノ
ール、2-ジエチルアミノエタノール、3-ジメチルアミノ-2,2-ジメチル-1-
プロパノール、4-(ジメチルアミノ)-1-ブタノール、6-(ジメチルアミノ)
-1-ヘキサノール、2-[(2-ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、2-ジ
ブチルアミノエタノール、3-ジメチルアミノ-1-プロパノール、3-ジエチルア
ミノ-1-プロパノール、4-ジメチルアミノフェノール、3-ジエチルアミノフェ
ノール、N-ヒドロキシエチル-N-メチルアニリン、N-ヒドロキシエチル-N-エ
チルアニリン、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリンなどである。
式Vのジアミン(c2)の例は、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,
N-ジエチルアミノプロピルアミン、N,N-ジエチルアミノエチルアミン、1-ジ
エチルアミノ-4-アミノペンタン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N
,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン、1-(3-アミノプロピル)イミダゾール
などである。
カルボキシ官能化、エステル官能化および/または無水物官能化ポリマーの、
アミノアルコールおよび/またはジアミンとの反応は、式VIのアルコール(c3
)および/または式VIIのアミン(c4)の存在下に実施することができる。こ
のようなアルコールおよび/またはアミン中に存在するアルキル基は、直鎖、分
岐鎖および/または環状であってよい。式VIのアルコール(c3)の例は、シク
ロヘキサノール、2-エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカ
ノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、ドコサノー
ル、獣脂アルコールの酸化エチレン(12モル)付加物、ベンジルアルコールな
どである。式VIIのアミン(c4)の例は、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシル
アミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン
、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ドコシルアミン、ココアミン、獣
脂アミンなどである。
本発明の方法にとくに好適な別の群のポリマーは、ポリエチレンイミン、エチ
レンイミン含有コポリマーなどである。これらのポリマーは、所望により、アミ
ノ基および/またはアンモニウム基を含むと共に数平均分子量2,000〜50
0,000を有する少なくとも部分的に水溶性の他のポリマーおよび/またはコ
ポリマーと一緒に使用してもよい。
加えて、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジンおよび/または1-ビニルイ
ミダゾール、例えばポリ-4-ビニルピリジン、1-ビニルイミダゾールとN-ビニ
ルピロリジンのコポリマー(ビニルイミダゾール含量10〜90重量%)などを
ベースとするポリマーおよび/またはコポリマーを、アミノ基および/またはア
ンモニウム基を含有すると共に数平均分子量2,000〜500,000を有する
少なくとも部分的に水溶性の他のポリマーおよび/またはコポリマーと所望によ
り組み合わせて用いることも、故紙の脱インクにとくに適している。これらポリ
マーおよび/またはコポリマーの製造は、既知の重合法、例えば塊状重合法によ
っ
hen Chemie、4版、23巻、611〜614頁、Verlag Chemie Weinheim、1983年参照〕
。
本発明の脱インク法にとくに好適な別の群のポリマーは、一級、二級、三級お
よび/または四級のアミノ官能化多糖類および/またはヘテロ多糖類および/ま
たはこれらの誘導体であって、これらのポリマーは、所望により、アミノ基およ
び/またはアンモニウム基を含有すると共に数平均分子量2,000〜500,0
00を有する少なくとも部分的に水溶性の他のポリマーおよび/またはコポリマ
ーと組み合わせて用いることができる。一級、二級、三級および/または四級の
アミノ官能化多糖類および/またはヘテロ多糖類の例として、少なくとも部分的
に水溶性の一級、二級、三級および/または四級のアミノ官能化セルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、デンプン、キトサン、グアーなどが挙げられる。ア
ミノ基を含んでいない多糖類および/またはヘテロ多糖類への三級および/また
は四級アミノ基の導入は、既知の方法に従い、多糖類および/またはヘテロ多糖
類をグリシジル基含有三級アミンおよび/またはアンモニウム化合物と反応させ
て行う(US3,472,840)。三級アミンおよびアンモニウム化合物の例は
、各々ジメチルグリシジルアミンおよび3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリ
メチルアンモニウムクロリドである。
加えて、アミノ基および/またはアンモニウム基を含有すると共に数平均分子
量2,000〜500,000を有する少なくとも部分的に水溶性の他のポリマー
および/またはコポリマーと所望により組み合わせた、タンパク質の存在下に故
紙からとくに有効に水希釈性印刷インクを除去することができる。
本発明の好適な一具体例において、前記ポリマーは、用いた紙に基づき活性物
質0.05〜1重量%の量で使用する。
本発明の方法の使用に適したセルロース誘導体は、とくにセルロースエーテル
、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキル
セルロースまたは混合エーテル、例えばメチルヒドロキシエチルセルロース、メ
チルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロースおよび
それらの混合物であって、カルボキシメチルセルロース(ナトリウム塩)、メチ
ルセルロースおよびメチルヒドロキシエチルセルロースが好適である。セルロー
ス誘導体は、好適には用いた紙に基づき活性物質0.01〜2.5重量%、より好
適には0.02〜1重量%の量で使用する。
多くの場合、印刷インクの除去割合は、本発明の方法に用いる成分を浮選補集
剤および/または無機吸着剤または凝集剤と組み合わせることによってさらに増
加させることができる。
浮選補集剤の例は、炭素数10〜22の脂肪酸およびそのアルカリ金属塩また
はアルカリ土類金属塩、アルコキシル化アルキル(炭素数6〜22)アルコール
、アルコキシル化アルキルフェノール、他のカチオンポリマー、例えばポリジメ
チルアミノエチルメタクリレート、前記した種類のコポリマーなどである(例え
ばDE38 39 479参照)。とくに、前記した脂肪酸や、酸化アルキレン(
とくに酸化エチレン)を高割合で含む脂肪アルコールのアルコシレートが適して
いる。凝集剤の例は、石灰乳、アルミニウム塩溶液、鉄塩溶液などである。これ
らの成分は、風乾紙料に基づき0.05〜1重量%の量で使用することができる
。
印刷インクは、例えば以下の方法によって故紙から除去することができる。パ
ルパーにおいて、印刷故紙を温度20〜60℃にて、純度100%の過酸化水素
0〜1.5重量%、純度99重量%の水酸化ナトリウム0〜2.5重量%、固形分
35重量%のソーダ水ガラス0〜4.0重量%、前記したアミノ基および/また
はアンモニウム基含有ポリマー0.02〜2重量%、セルロース誘導体0.01〜
1.5重量%、および前記した任意成分0〜1重量%(成分割合(重量%)は、
すべて風乾故紙を基準とする)を代表的に含有する水溶液中、例えば0.5〜5
重量%の紙料コンシステンシーで粉砕する。温度20〜60℃で代表的には60
〜120分の滞留時間ののち、紙料懸濁液に水を添加して撹拌し、これにより0
.6〜1.6重量%の紙料懸濁液を得た。次いで、常法に従い、洗浄または浮選に
よって紙料懸濁液から剥離印刷インク粒子を分離する。浮選は、好適には常法に
従い、例えば、Denver flotation cell(実験室規模)によって実施する。
水性フレキソ印刷インクを故紙から除去する必要がある場合、パルパー内に繊
維濃度約4重量%のセルロース誘導体を実際に添加すると共に前記したアミノ基
および/またはアンモニウム基含有ポリマーを浮選処理の直前に添加するように
、プロセスを変形することが望ましい。
本発明によれば、セルロース誘導体とアミノ基および/またはアンモニウム基
含有ポリマーとを組み合わせることによって、故紙および循環水の両者から印刷
インクをより容易に除去することができる。ただし、本発明に使用される成分は
、製紙循環水、すなわちある量の印刷インクを未だなお含有している廃水を処理
する別の精製にも使用することができる。この場合、循環水1リットル当たり成
分0.5〜300mgを添加したのちに、例えばろ過または浮選によって印刷イン
ク粒子を分離する。
次に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに制限されるもの
ではない。
実施例
1.アルカリ媒体からの印刷インクの除去
1.1.精砕
風乾し細断した故紙(Stern50%、Rheinsche Post15%、Express15%、Flexol
6/90(20%))17.5gの水性懸濁液(コンシステンシー4重量%)を撹拌容器内
に導入した。
b)純度99重量%の水酸化ナトリウム1.0重量%
c)純度100%の過酸化水素0.7重量%および
d)セルロース誘導体(表1参照)0.2重量%
上記懸濁液に、上記成分a)〜d)(成分割合(重量%)はすべて風乾紙料に基
づく)を連続的に添加したのち、懸濁した紙細断片を、ディソルバー・ディスク
(Pendraulik Type 34実験室用ミキサー)を用い、45℃で10分間粉砕した。
この方法で得た紙料を45℃で105分間放置した。
1.2.印刷インクの浮選(脱インク)処理
上記1.1.に従い得た紙料を水(硬度16°dH)でコンシステンシー1重量%
に希釈した。次いで、用いた紙に基づき0.2重量%のアミノ基および/または
アンモニウム基含有ポリマー(以下の表1参照)を水溶液の形態で添加した。紙
料を装置(Denver laboratory flotation cell)によって、45℃にて速度1,0
00r.p.m.で12分間浮選処理した。浮選処理ののち、得られた紙料を、水から
ろ過装置で分離して、ホトドライプレス(photo dry press)によって2枚のろ紙
の間にシートとして形成し、100℃で90分間乾燥した。
2.試験結果
前記1の試験の詳細を以下の表1に示す。紙料の白色度および循環水の色(透
過率として測定)の両方に関し、本発明の方法によって優れた結果が得られるこ
とが表1からわかる。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C08F 26/08 C08F 26/08
(72)発明者 ネレッセン,ベルンハルト
ドイツ連邦共和国デー−41564カールスト、
アルマ−マーラー−ヴェルフェル−シュト
ラーセ4番