【発明の詳細な説明】
骨粗鬆症の治療および予防におけるトリアリール−
エチレン誘導体の使用方法
発明の背景
本発明は、骨粗鬆症または骨組織減損の治療または予防におけるトリアリール
−エチレン誘導体の使用方法に関する。骨粗鬆症は先進国国民にとって重要な問
題である。骨粗鬆症なる用語は、種々の臨床像を説明するのによく用いられる。
まず、骨粗鬆症は、閉経後の女性が椎骨骨折しやすい症候群を説明するのに使用
されていた。F.Albright等、J.Am.Med.Assoc.,116巻,2465〜2474頁(1941
年)。あいまいさを避けるために、骨組織減損もしくはオステオペニアなる用語
は、骨折がないのに骨質量もしくは骨密度の減損が起こった臨床像を記述するの
に使用する。
骨粗鬆症は、閉経後および年令関連骨組織減損と関連するのが最も普通である
。骨粗鬆症または骨組織減損は、様々の薬物および疾病に従属しても生じるもの
であり、これらには、コルチコステロイド、抗痙攣剤、アルコール、吸収不良症
候群、原発性胆汁性肝硬変、骨髄腫、サラセミア、甲状腺中毒症状、クッシング
症候群、ターナー症候群、および原発性副甲状腺機能亢進症が包含されている。
発明の開示
本発明は、骨組織減損または骨粗鬆症の治療または予防におけるトリアリール
−エチレン誘導体の使用方法に関する。
本発明によれば、次の式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩の抗骨粗
鬆症有効量を投与することからなる患者の骨組織減損または骨粗鬆症の治療また
は予防方法が提供される。
〔式中、
Aは式
(式中、
RおよびR1はそれぞれ独立して水素またはC1〜C4アルキルであり;そして
GはHN、H3CN、CH2またはOである)を有する基であり;
mは4〜12の整数であり;
R2は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲンまたはヒドロキシであ
り;
R3は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたは-Y
(CH2)pA1(式中、A1は
を有する基であり、ここで
R4およびR5はそれぞれ独立して水素またはC1〜C4アルキルであり;
G1はHN、H3CN、CH2またはOであり;そして
pは4〜12の整数である)であり;
Xはクロロまたはブロモであり;
YはOまたはNHである〕。
さらに、本発明によれば、次の式(II)の化合物またはその製薬上許容し得る塩
の抗骨粗鬆症有効量を投与することからなる患者の骨組織減損または骨粗鬆症の
治療または予防方法が提供される。
〔式中、
Aは式
(式中、
RおよびR1はそれぞれ独立して水素またはC1〜C4アルキルであり;そして
GはHN、H3CN、CH2またはOである)を有する基であり;
mは4〜12の整数であり;
R2は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲンまたはヒドロキシであ
り;
R3は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたは-Y
(CH2)pA1(式中、A1は
を有する基であり、ここで
R4およびR5はそれぞれ独立して水素またはC1〜C4アルキルであり;
G1はHN、H3CN、CH2またはOであり;そして
pは4〜12の整数である)であり;
Xはクロロまたはブロモであり;
YはOまたはNHである〕。
さらに、本発明によれば、次の式(III)の化合物またはその製薬上許容し得る
塩の抗骨粗鬆症有効量を投与することからなる患者の骨組織減損または骨粗鬆症
の治療または予防方法が提供される。
〔式中、
Aは式
(式中、
RおよびR1はそれぞれ独立して水素またはC1〜C4アルキルであり;そして
GはHN、H3CN、CH2またはOである)を有する基であり;
wは2〜3の整数であり;
R2は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲンまたはヒドロキシであ
り;
R3は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたは-Y
(CH2)zA1(式中、A1は
を有する基であり、ここで
R4およびR5はそれぞれ独立して水素またはC1〜C4アルキルであり;
G1はHN、H3CN、CH2またはOであり;そして
zは2〜3の整数である)であり;
Xはクロロまたはブロモである〕。
さらに、本発明によれば、次の式(IV)の化合物またはその製薬上許容し得る塩
の抗骨粗鬆症有効量を投与することからなる患者の骨組織減損または骨粗鬆症の
治療または予防方法が提供される。
〔式中、
Aは式
(式中、
RおよびR1はそれぞれ独立して水素またはC1〜C4アルキルであり;そして
GはHN、H3CN、CH2またはOである)を有する基であり;
wは2〜3の整数であり;
R2は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲンまたはヒドロキシであ
り;
R3は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたは-Y
(CH2)zA1(式中、A1は
を有する基であり、ここで
R4およびR5はそれぞれ独立して水素またはC1〜C4アルキルであり;
G1はHN、H3CN、CH2またはOであり;そして
zは2〜3の整数である)であり;
Xはクロロまたはブロモである〕。
さらに、本発明によれば、次の式(III)もしくは式(IV)の化合物の抗骨粗鬆症
有効量を、製薬上許容し得る担体もしくは賦形剤の1種もしくは2種以上との混
合物か、または組み合わせて、包含することからなる経口投与用医薬組成物が提
供される。
本文で使用される「C1〜C4アルキル」なる用語は、1〜4個の炭素原
子を有する飽和、直鎖もしくは有枝鎖の炭化水素基を言うものであり、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル等を包
含する。
を指示するものである。
本文で使用される「ハロゲン」なる用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素
原子を言うものである。
本文で使用される「C1〜C4アルコキシ」なる用語は、オキシ基を担有するC1〜
C4アルキルを言うものであり、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブト
キシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等を包含する。
本文で使用される「ヒドロキシ」もしくは「ヒドロキシ基」なる用語は、-OH
基を言うものである。
本文で使用される「(CH2)n」なる表現は、2〜12個の炭素原子を有する直鎖ア
ルキレン基、例えばエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル
、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルを言うものである。
本文で使用される「(CH2)m」なる表現は、4〜12個の炭素原子を有する直鎖ア
ルキレン基、例えばブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル
、デシル、ウンデシルおよびドデシルを言うものである。
本文で使用される「(CH2)p」なる表現は、4〜12個の炭素原子を有する直鎖ア
ルキレン基、例えばブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル
、デシル、ウンデシルおよびドデシルを言うものである。
本文で使用される「(CH2)w」なる表現は、2個もしくは3個の炭素原子を有す
る直鎖アルキレン基、例えばエチルおよびプロピルを言うものである。
本文で使用される「(CH2)z」なる表現は、2個もしくは3個の炭素原子を有す
る直鎖アルキレン基、例えばエチルおよびプロピルを言うものである。
本文で使用される「製薬上許容し得る付加塩」なる用語は、酸付加塩もしくは
塩基付加塩を言うものである。
「製薬上許容し得る酸付加塩」なる表現は、式(I)で表わされる塩基化合物も
しくはその中間体のいずれかの無毒性有機もしくは無機酸付加塩に適用されるこ
とが企図されているものである。適当な塩を形成する無機酸の例には、塩酸、臭
化水素酸、硫酸およびリン酸および酸金属塩例えばオルトリン酸−水素ナトリウ
ム、および硫酸水素カリウムがある。適当な塩を形成する有機酸の例には、モノ
−、ジ−およびトリ−カルボン酸がある。このような酸の例には、例えば、酢酸
、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、フマ
ル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシ
マレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、サリチ
ル酸、2−フェノキシ安息香酸およびスルホン酸例えばp−トルエンスルホン酸
、メタンスルホン酸、および2−ヒドロキシエタンスルホン酸である。一酸塩も
しくは二酸塩を形成させることができ、そしてこのような塩は水和もしくは実質
的に無水の形態で存在することができる。
式(I)、式(II)、式(III)および式(IV)の化合物は幾何異性体として存在する
。式(I)、式(II)、式(III)および式(IV)で表わされる化合物の一
つに対する本願でのいずれの記載は特定の幾何異性体の各々を包含することが企
図されている。特定の幾何異性体は、当該分野で既知の技術により分離、採取す
ることができる。例えば、シリカゲルクロマトグラフィー、逆相吸着剤によるカ
ラムクロマトグラフィーもしくは分別再結晶があげられる。当業者に周知の如く
、式(I)、式(II)、式(III)および式(IV)の化合物の異性体に対する(E)−およ
び(Z)−のCahn-Ingold-Prelogによる指定は、Y、X、m、w、p、z,A、A1
、R2およびR3の性状によって左右される。当業者に明らかな如く、置換分R3が-Y
(CH2)pA1であり、そしてp=nおよびA=A1である式(I)または(II)の化合物は
幾何異性体として存在しない。同様に、置換分R3が-NH(CH2)zA1であり、そして
w=zおよびA=A1である式(III)または(IV)の化合物についても、幾何異性体
として存在しない。
当業者に明らかな如く、式(I)および式(II)の化合物は、mが4〜12の整数で
ある化合物を包含している。式(III)および(IV)の化合物は、wが2〜3の整数
である化合物を包含している。従って、(CH2)mが(CH2)nに代わり、nが2〜12の
整数として定義されている式(I)および(II)の化合物と異なる化合物の製造に関
する説明は、式(I)、式(II)、式(III)および式(IV)の化合物の製造に関する説
明を包含し、かつ提供するものである。
本発明に包含される化合物を例示する例として次の化合物が包含される:
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(5−ジエチルアミノペントキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(5−ジエチルアミノペントキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(7−ジエチルアミノヘプトキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(7−ジエチルアミノヘプトキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(8−ジエチルアミノオクトキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(8−ジエチルアミノオクトキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(9−ジエチルアミノノノキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(9−ジエチルアミノノノキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(10−ジエチルアミノデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(10−ジエチルアミノデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(11−ジエチルアミノウンデコキシ)フェニル〕−
1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(11−ジエチルアミノウンデコキシ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(12−ジエチルアミノドデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(12−ジエチルアミノドデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(3−ジエチルアミノプロピルアミノ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(3−ジエチルアミノプロピルアミノ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブチルアミノ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブチルアミノ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−ブロモ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−ブロモ−エチレン;
(E)−1−〔4−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−ブロモ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−ブロモ−エチレン;
(E)−1−〔4−(3−ジエチルアミノプロピルアミノ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−ブロモ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(3−ジエチルアミノプロピルアミノ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−ブロモ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブチルアミノ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−ブロモ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブチルアミノ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−ブロモ−エチレン;
1,1−ビス−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−2−フエニ
ル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒ
ドロキシ)フエニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒ
ドロキシ)フエニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(3−ヒ
ドロキシ)フエニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(3−ヒ
ドロキシ)フエニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−フェニル
−2−(4−ヒドロキシ)フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−フェニル
−2−(4−ヒドロキシ)フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−
フェニル−2−(3−ヒドロキシ)フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−フェニル
−2−(3−ヒドロキシ)フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−エチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−エチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−メチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−メチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−プロピルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−プロピルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジメチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒ
ドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジメチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒ
ドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジプロピルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−
ヒドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジプロピルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−
ヒドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジメチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−フェニ
ル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジメチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−ジプロピルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−ジプロピルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−(ピペリジン−1−イル)−ブトキシ)フェニル〕−
1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−(ピペリジン−1−イル)−ブトキシ)フェニル〕−
1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−(ピペラジン−1−イル)−ブトキシ)フェニル〕−
1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−(ピペラジン−1−イル)−ブトキシ)フェニル〕−
1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ブトキシ)フ
ェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ブトキシ)フ
ェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−(モルホリン−1−イル)−ブトキシ)フェニル〕−
1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−(モルホリン−1−イル)−ブトキシ)フェニル〕−
1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(E)−1−〔4−(4−(ピロリジン−1−イル)−ブトキシ)フェニル〕−
1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン;
(Z)−1−〔4−(4−(ピロリジン−1−イル)−ブトキシ)フェ
ニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン。
YがOである式(I)および(II)の化合物はスキームAに記載の如くして製造す
ることができる。全ての置換分は、他に指定のない限り、先に定義したとおりで
ある。試薬および出発物質は当業者にとって容易に入手し得る。
スキームAの工程(a)において、構造式(1)の適当なトリアリールエチレン
を塩素化もしくは臭素化して構造式(2)のハロ−トリアリールエチレンを得る
。
構造式(1)の適当なトリアリール−エチレンは、R8が水素、ω−ハロアルキル
基、Z(CH2)m−(ここで、Zは塩素原子、臭素原もしくはヨウ素原子であり、そ
してmは最終生成物で所望されるとおりのものであって
よい)または適当なヒドロキシ保護基であり;R6がR2について定義したとおりで
あるか、またはR6は適当に保護されたヒドロキシであり、脱保護基の後は、R2
がヒドロキシ基である式(I)および式(II)の化合物を提供する適当に保護された
ヒドロキシ基であり;そしてR7はR3について定義したとおりであるか、またはR7
は脱保護基の後はR3がヒドロキシ基である式(I)および式(II)の化合物を提供す
るか、またはR3が-O(CH2)pA1(ここで、p=mおよびA=A1)である式(I)およ
び式(II)の化合物の製造中間体を提供するか;またはR7は、R3が-O(CH2)pA1(こ
こで、p≠mおよびA=A1もしくはA≠A1)であるか、もしくはR3が-O(CH2)pA1
(ここで、p=mおよびA≠A1)である式(I)および式(II)の化合物の製造中間
体を提供する連続方式で除去可能である適当な保護ヒドロキシ基であるようなも
のである。適当なヒドロキシ保護基例えばベンジル、p−メトキシベンジル、メ
チル、t−ブチルジメチルシリルおよびアセチルの選定、使用、除去および連続
除去は当該分野で周知であり、認められていて、T.Greeneによる「Protecting
Groups in Organic Synthesis」に開示されている。
例えば、構造式(1)の適当なトリアリール−エチレンを適当な溶媒例えばクロ
ロホルム、クロロベンゼン/またはジクロロメタン中モル過剰の塩素、臭素、N
−クロロスクシンイミドまたはN−ブロモスクシンイミドと接触させる。反応は
周囲の温度乃至溶媒の還流温度で実施される。1〜72時間撹拌後、生成物を当該
分野で周知の技術により単離、精製することができる。例えば、反応混合物を真
空濃縮し、そして生成物を適当な有機溶媒で溶離するシリカゲルでのクロマトグ
ラフィーにより精製することができる。得られた物質を所望により適当な有機溶
媒から再結晶してさらに精製して構造式(2)のハロ−トリアリール−エチレンを
得
ることができる。
当業者に明らかな如く、構造式(2)のハロ−トリアリール−エチレンをR8が適
当なヒドロキシ保護基である構造式(1)のトリアリール−エチレンから誘導する
場合、工程bを実施する前に保護基を除去する。構造式(2)のハロ−トリアリー
ル−エチレンをR8が適当な保護基であり、そしてR7が適当に保護されたヒドロキ
シである構造式(1)のトリアリール−エチレンから誘導する場合、保護基のいず
れかを工程bを実施する前に除去するか、またはこれらの保護基を連続して除去
する。保護基を連続して除去すると、式(I)および式(II)の化合物の製造のため
の中間体が得られ、これらの式において、R3は-O(CH2)pA1(ここで、p≠mおよ
びA=A1もしくはA≠A1)であり、またR3は-O(CH2)pA1(ここで、p=mおよび
A≠A1)である。
スキームA、工程bにおいて、構造式(2)のハロ−トリアリール−エチレンを
適当なジハロアルカンと接触させて構造式(3)のω−ハロアルコキシ−トリアリ
ール−エチレンを形成させる。
適当なジハロアルカン、Z(CH2)mZ1は、ZおよびZ1がそれぞれ独立して塩素原
子、臭素原子、もしくはヨウ素原子であり、そしてmは式(I)および式(II)の最
終生成物で所望されるとおりであるものである。
例えば、構造式(2)のハロ−トリアリール−エチレンを適当なジハロアルカン
の1.1〜10倍モル過剰量と接触させる。反応は適当な塩基例えばナトリウムエト
キシド、ナトリウムメトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および炭
酸ナトリウムの存在下に実施される。反応は溶媒例えばエタノール、メタノール
、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドもしくはジメチ
ルスルホキシド中で実施される。反応は0℃乃至溶媒の還流温度で実施される。
R8が水素であり、
そしてR7がヒドロキシ基である構造式(2)の化合物については、適当なジハロア
ルカンおよび適当な塩基を1.1モル当量で使用することによって、R7がヒドロキ
シ基である式(I)および式(II)の化合物の製造が可能となる。R8が水素であり、
そしてR7がヒドロキシ基である構造式(2)の化合物については、適当なジハロア
ルカンおよび適当な塩基の2〜10モル当量を使用することにより、ビス−ω−ハ
ロアルコキシ−トリアリール−エチレンが得られ、このものはR3が-O(CH2)p-A1
(ここでp=mおよびA=A1)である式(I)および式(II)の化合物の製造中間体
である。構造式(3)のω−ハロアルコキシ−トリアリル−エチレンは蒸発および
抽出により反応帯域から単離し、当該分野で周知の方法例えばクロマトグラフィ
ーおよび再結晶により精製することができる。
スキームA、工程cにおいて、構造式(3)のω−ハロアルコキシ−トリアリー
ル−エチレンを適当なアミンHNRR1(ここでRおよびR1は先の定義のとおりであ
る)、例えばモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、4−メチルピペラジンもし
くはピロリジンと接触させて構造式(4)のω−アミノアルコキシ−トリアリール
−エチレンを得る。
例えば、構造式(2)のω−ハロアルコキシ−トリアリール−エチレンを溶媒例
えばエタノール、メタノール、水、エタノール/水混合物、もしくはメタノール
/水混合物中でモル大過剰の適当なアミンと接触させる。モル大過剰のアミンを
使用すると、このアミンが反応中に遊離する酸を捕捉する塩基としても作用する
。反応は適当な触媒例えばヨウ化カリウムの存在下で実施することができる。反
応容器を密閉して揮発性アミンの漏れを防止することができる。反応混合物を40
℃〜100℃の温度に加熱する。R7がω−ハロアルコキシ基である構造式(3)の化
合物について、適当なアミンの追加の部分量を使用することにより、ビス−ω−
アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンが得られ、このものはR3が-O(CH2)p
A1(ここでp=mおよびA=A1)である式(I)および式(II)の化合物である。生
成物は当該分野で周知の技術により単離、精製することができる。例えば、反応
混合物を真空濃縮し、そして生成物を当該分野で周知の技術例えば塩形成、適当
な溶媒で溶離するクロマトグラフィーもしくは適当な有機溶媒からの再結晶によ
り精製することができる。
スキームAにおいて、工程aは工程bおよび工程cの実施前もしくは後に実施
することができる。
スキームA、任意工程dにおいて、R6もしくはR7が保護されたヒドロキシ基で
ある構造式(4)のω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンについては、
脱保護して、R2もしくはR3あるいはR2およびR3が式(I)および式(II)の最終生成
物で所望されるとおりのヒドロキシである構造式(5)のω−アミノアルコキシ−
トリアリール−エチレンを得ることができる。当業者に明らかな如く、R3がヒド
ロキシである式(I)および式(II)の化合物は、スキームAの各工程を順次行なう
ことにより、式(I)および式(II)〔ここで、R3は-O(CH2)pA1(ここで、p≠mお
よびA=A1もしくはA≠A1)であるか、もしくはR3は-O(CH2)pA1(ここで、p=
mおよびA≠A1)である式(I)および式(II)の化合物を製造するための中間体と
して使用することができる。
適当なヒドロキシ保護基の選択、使用、除去、および連続除去は当該分野で周
知であり、かつ認められ、そしてT.Greenによる「Protecting Groups in Organ
ic Synthesis」に記載されている。
スキームA、工程eにおいて、構造式(4)または(5)のω−アミノアルコキシ
−トリアリール−エチレンの異性体を分離して構造式(4)または(5)の(E)−ω
−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンおよび
構造式(4)または(5)の(Z)−ω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレン
を得ることができる。
例えば、構造式(5)の化合物の異性体は、高速液体クロマトグラフィーもしく
は塩の再結晶によって単離、精製して、(E)−ω−アミノアルコキシ−トリアリ
ール−エチレンおよび(Z)−ω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンを
得ることができる。
(E)−ω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンまたは(Z)−ω−アミ
ノアルコキシ−トリアリール−エチレンの製薬上許容し得る塩は、当該分野で周
知で、または実施されているように追加の工程で形成させることができる。
以下の実施例ではスキームAに記載したような典型的な合成を示す。これらの
実施例は説明のみを目的とし、本発明を限定することを企図するものではない。
以下の実施例で使用されている如く、次の用語は指示した意味を有する:
「kg」はキログラムを指示、「g」はグラムを指示し、「mg」はミリグラムを指
示し、「mmol」はミリモルを指示し、「mol」はモルを指示し、「mL」はミリリ
ットルを指示し、「L」はリットルを指示し、「℃」は摂氏温度を指示し、「Rf
」は保持率を指示し、「mp」は融点を指示し、「HPLC」は高速液体クロマトグラ
フィーを指示する。
実施例 1
(EおよびZ)−1−〔(4−ヒドロキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−ク
ロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−〔(4−ヒドロキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−エチ
レン〔Cacchi等、Tet.Lets.25,3137-3140(1984)〕(0.90g、3.31mmol)および
N−クロロスクシンイミド(0.486g、3.64mmol)をク
ロロホルム(20mL)中で合した。48時間加熱還流し、還流下に撹拌した。真空で
蒸発させた。20%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィ
ー処理をすると固体として標記化合物が得られた。融点127〜129℃。
実施例 2
(EおよびZ)−1−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−〔(4−ヒドロキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−
クロロ−エチレン(15.0g、49.0mmol)および4−ブロモ−1−クロロブタン(3
5g、200mmol)をエタノール(250mL)中で合した。ナトリウムメトキサイド(2.
75g、50.0mmol)を加えた。不活性雰囲気下に加熱還流した。5時間後、蒸気浴
上で濃縮して残渣を得た。残渣をジエチルエーテルと10%水酸化ナトリウムで分
配した。層を分離し、有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、それから真空蒸発して
標記化合物を得た。このものはさらに精製することなく次の工程に用いた。
実施例 3
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(19.0g、47.8mmol)、ジエチルアミン(20mL、193
mmol)およびエタノール(100mL)を合した。反応容器中に封入し、48時間80℃
に加熱した。周囲の温度に冷却し、加圧容器を慎重に開けた。真空濃縮すると残
渣が得られた。残渣をブタノンに溶解し、クエン酸(9.0g、47mmol)を加えた。濾
過するとクエン酸塩として異性体の混合物が得られた。(EおよびZ)−1−〔
4−(4−ジエ
チルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンク
エン酸塩(1.5g)を1/1アセトニトリル/水に溶解し、2M水酸化ナトリウム水
溶液でpHを9に調節した。クロロホルムで抽出し、蒸発させると、残渣として異
性体の混合物が得られた。Waters and Associates μPorasilカラム(19mm×300
mm)を用いる90mg/注入でのHPLCにより、15mL/分での80/20/0.2クロロホル
ム/ヘキサン/トリエチルアミンで溶離して異性体を分離すると(Z)−1−〔4
−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ
−エチレンおよび(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕
−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンが得られた。
実施例 3.1
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩
4−ヒドロキシベンゾフェノン(347g、1.75mol)およびメタノール(3.5L)を
合した。50℃に加熱し、エタノール中のナトリウムエチラートの溶液(718mL、2
1重量%、1.92mol)を20分かけて加えた。加熱還流し、1−ブロモ−4−クロロ
ブタン(600g、3.5mol)を30分かけて加えた。18時間後、反応混合物を冷却し、
そして真空蒸発して残渣を得た。酢酸エチル(5L)を加えると固体が得られた
。濾過し、そして濾液を10%水酸化ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム
水溶液で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させると
4−(4−クロロブトキシ)ベンゾフェノンが得られた。
4−(4−クロロブトキシ)ベンゾフェノン(740g、1.59mol)、ジエチルア
ミン(3.7L)、およびヨウ化カリウム(50g)を水(3.7L)中で合した。加熱
還流させた。19時間後、反応混合物を真空で蒸発させ
ると水性残渣が得られた。酢酸エチルで2回抽出した。合した有機層を10%塩酸
水溶液で抽出し、酸性水層を分離した。酸性水層と酢酸エチルとを合した。水層
のpHが約9となるまで、10%水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと加えた。有機
層を分離し、水次に飽和塩化ナトリウム水溶液で2回抽出した。有機層をMgSO4
で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発すると4−(4−ジエチルアミノブトキシ)
ベンゾフェノンが得られた。
4−(4−ジエチルアミノブトキシ)ベンゾフェノン(400g、1.13mol)およ
びテトラヒドロフラン(4L)を合した。ベンジルマグネシウムクロライドの溶
液(1.IL、テトラヒドロフラン中2.0M、2.2mol)を約30分かけて加えた。1時
間後、加熱還流した。2時間後、周囲の温度に冷却した。飽和塩化アンモニウム
水溶液(4L)を慎重に加えると、沈殿が形成した。反応混合物を濾過し、テト
ラヒドロフランで洗いすすぎし、そして濾液を飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出
した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空で蒸発させると残渣が得ら
れた。残渣とブタノンとを合した。クエン酸(250g、1.3mol)を加え冷却すると固
体が得られた。固体を濾集し、ジエチルエーテルで洗いすすぎし、そして乾燥す
ると1−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニルエタノ
ールクエン酸塩が得られた。
1−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル−1,2−ジフェニルエタノール
クエン酸塩(550g、0.90mol)および水(2.2L)を合した。75℃に加熱した。溶液
が得られた後、10℃に冷却した。25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを約10
.0に調節した。ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を合し、水および飽和
塩化ナトリウム水溶液で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして真
空蒸発すると残渣が得られた。残渣とメタノール(1L)および3M塩酸水溶液(
2.2L)とを合し
た。加熱還流した。2時間後、蒸留してメタノールの大部分を除去し、そして得
られた反応混合物を周囲の温度に冷却した。18時間後、反応混合物の温度を20℃
に維持しながら25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを約10に調節した。反応
混合物をジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を合し、水および飽和塩化ナ
トリウム水溶液で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発
させると残渣が得られた。残渣をメタノール(3.2L)と合し、湿ったCongo Red
紙が過剰の酸に対して陽性試験を生じるまで塩酸のメタノール溶液を加えた。真
空で蒸発させると残渣が得られた。クロロホルムを加え、そして真空蒸発するこ
とを2回行うと、(EおよびZ)−1−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニ
ル〕−1,2−ジフェニルエチレン塩酸塩が得られた。
(EおよびZ)−1−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル−1,2−ジフェ
ニルエチレン塩酸塩(449g、0.9mol)およびクロロホルム(1.6L)を合した。四塩
化炭素(3.18kg)中の塩素(68.4g、0.96mol)の冷(5℃)溶液を、反応混合物
の温度を20℃以下に維持しながら、約20分かけて加えた。18時間、加熱還流させ
た。2時間後、周囲の温度に冷却し、そして真空蒸発させると標記化合物が得ら
れた。
実施例 3.2
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩
4−ヒドロキシベンゾフェノン(8kg、57.6mol)、炭酸カリウム(8kg、57.6
mol)、および1−ブロモ−4−クロロブタン(8.384kg、48.9mol)をアセトン(4
0L)中で合した。加熱還流させた。20時間後、反応混合物を冷却し、濾過した。
フィルターケーキをアセトンで洗いすすぎし、そして濾液を真空で蒸発させると
4−(4−クロロブトキシ)ベン
ゾフェノンが得られた。
4−(4−クロロブトキシ)ベンゾフェノン(8.1kg、13.47mol)およびテト
ラヒドロフラン(60L)を合した。ベンジルマグネシウムクロライドの溶液(21
L、テトラヒドロフラン中1.67M、35mol)を約2.5時間かけて加えた。2時間後
、飽和塩化アンモニウム水溶液(9L)を約1時間かけて注意深く加え、沈殿が
形成した。反応混合物を濾過し、テトラヒドロフランで洗いすすぎし、そして濾
液を飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出した。分離した有機層を真空蒸発させると
1−(4−クロロブトキシ)フェニル−1,2−ジフェニルエタノールが得られた
。
1−(4−クロロブトキシ)フェニル−1,2−ジフェニルエタノール(17.0kg、
20.2mol)およびメタノール(30L)を合した。3M塩酸水溶液(40L)を加えた
。加熱還流した。2時間後、メタノールの大部分を留去し、そして水性反応混合
物を冷却した。クロロホルムで抽出した。有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液で
抽出した。有機層を分離し、真空蒸発させると(EおよびZ)−1−(4−クロロ
ブトキシ)フェニル−1,2−ジフェニルエチレンが得られた。
(EおよびZ)−1−(4−クロロブトキシ)フェニル−1,2−ジフェニルエチ
レン(20.2mol)およびクロロホルム(60L)を合した。N−クロロスクシンイミ
ド(7kg、52.4mol)を加えた。加熱還流した。18時間後、周囲の温度に冷却し、
そして水を加えた。有機層を分離し、飽和炭酸ナトリウム水溶液で抽出した。有
機層を分離し、そして真空蒸発すると(EおよびZ)−1−(4−クロロブトキ
シ)フェニル−2−クロロ−1,2−ジフェニルエチレンが得られた。
(EおよびZ)−1−(4−クロロブトキシ)フェニル−2−クロロ−1,2−ジ
フェニルエチレン(20.2mol)、ジエチルアミン(25L、241.7
mol)およびヨウ化カリウム(3.5kg、21.1mol)を水(15L)中で合した。加熱還
流した。18時間後、反応混合物を真空蒸発させると水性残渣が得られた。酢酸エ
チルで2回抽出した。有機層を真空蒸発させると残渣が得られた。残渣およびア
セトン(50L)を合した。アセトン(40L)中のクエン酸(8kg)の溶液を加え
た。加熱して溶液となし、冷却すると固体が得られた。固体を濾集し、アセトン
で洗いすすぎし、そして乾燥すると(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチル
アミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンクエン
酸塩が得られた。
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2
−ジフェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩(15.1kg、24.1mol)、水酸化ナ
トリウム(3.0kg、75mol)および水(20L)を合した。酢酸エチルで抽出した。
有機層を分離し、78℃で共沸乾燥した。有機層を15℃に冷却し、そして酸性溶液
が得られるまで塩酸ガスを加えた。真空蒸発させると標記化合物が得られた。
実施例 4
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
クエン酸(164.7mg、0.86mmol)およびエタノール(3mL)を合し、そして固体
が溶解するまで加熱した。(E)−1−〔4−(4−ジエチルア
ミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(372.6mg
、0.86mol)および温エタノール(3mL)を合し、そして撹拌しながら上述の如
くして調製したクエン酸溶液を加えた。4℃に冷却し、そして18時間放置した。
濾過すると固体として標記化合物が得られた。mp;127〜130℃。
実施例 4.1
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2
−ジフェニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩(0.45mol)およびテトラヒドロフ
ラン(2L)を合した。加熱還流させた。1時間後、周囲の温度に冷却すると固
体が得られた。固体を濾集し、テトラヒドロフランで洗いすすぎし、そして乾燥
した。固体およびテトラヒドロフラン(420ml)を合し、そして加熱還流した。24
時間後、混合物を熱時濾過し、テトラヒドロフランで洗いすすぎし、そして乾燥
すると(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩が得られた。mp;188〜190℃。
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩(138.4g、0.294mol)およびジクロロメタンを
合した。撹拌しながら、水酸化ナトリウム(12.8g)の水(100mL)の溶液を加えた
。30分後、層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した。合した有機層をMgSO4
で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させると残渣が得られた。残渣およびアセ
トン(1L)を合した。濾過し、そして濾液をアセトン(2L)中のクエン酸(5
6.5g、0.294mol)の溶液と合した。周囲の温度で放置すると固体が得られた。固
体を
濾集し、アセトンで洗いすすぎし、そして乾燥すると固体として標記化合物が得
られた。mp;133〜135℃。
実施例 4.2
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2
−ジフェニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩(21.5mol)およびテトラヒドロフ
ラン(75L)を合した。加熱還流した。1時間後、30℃に冷却すると固体が得ら
れた。固体を濾集し、テトラヒドロフランで洗いすすぎし、そして乾燥した。固
体とテトラヒドロフラン(83.2L)とを合し、加熱還流させた。18時間後、50℃
に冷却し、そして濾過し、テトラヒドロフランで洗いすすぎし、そして乾燥する
と(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩が得られた。
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩(138.4g、0.294mol)および酢酸エチル(75L
)を合した。撹拌しながら、水(20L)中の水酸化ナトリウム(3.0kg、75mol)
の溶液を加えた。溶解後、層を分離し、有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そし
て真空蒸発させると残渣が得られた。残渣とアセトン(80L)とを合した。濾過
し、濾液とアセトン(20L)中のクエン酸(3.6kg、18.8mol)の溶液と合し、そし
て撹拌すると固体が得られた。18時間後、固体を濾集し、アセトンで洗いすすぎ
し、乾燥すると標記化合物が固体として得られた。
元素分析値: C28H32ClNO・C6H8O7に対する
計算値: C 65.22 H 6.44 N 2.24
実験値: C 65.19 H 6.29 N 2.14
実施例 5
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
クエン酸(167.6mg、0.87mmol)およびエタノール(3mL)を合し、そして固体
が溶解するまで加熱した。(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)
フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(378.7mg、0.87mol)お
よび温エタノール(3mL)を合し、そして撹拌しながら上述の如くして調製した
クエン酸溶液に加えた。4℃に冷却し、そして18時間放置した。濾過すると固体
として標記化合物が得られた。mp;150〜151℃。
実施例 6
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(EおよびZ)−1−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−1,2
−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(1.0g、2.5mmol)、エチルアミン(15mL
、193mmol)、ヨウ化カリウム(0.200g)、エタノール(2mL)および水(5mL
)を合した。穏やかに加熱還流した。24時間後、周囲の温度に冷却し、そして真
空濃縮すると残渣が得られた。7%メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリ
カゲルクロマトグラフィー処理をすると残渣が得られた。残渣およびブタノン(
6mL)を合した。ブタノン(4mL)に溶解したクエン酸(0.529、2.7mmol)を加
えた。固体が形成するまでゆっくりと蒸発させ、濾過し、そして真空乾燥すると
標記化合物が得られた。
実施例 7
(EおよびZ)−1−〔4−(4−(ピペリジン−1−イル)−ブトキシ)フェニ
ル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(EおよびZ)−1−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(1.0g、2.5mmol)、ピペリジン(7.5g)、ヨウ化
カリウム(0.200g)および水(5mL)を合した。80℃に加熱した。18時間後、周
囲の温度に冷却し、そして反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配した。有機
層を分離し、水で3回抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、真空蒸発した。6%
メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィー処
理すると残渣(1.01g)が得られた。残渣をブタノン(6mL)と合した。ブタノン(
2
mL)に溶解したクエン酸(0.423g、2.2mmol)を加えた。真空蒸発すると標記化合
物が得られた。
実施例 8
(EおよびZ)−1−〔4−〔4−(4−メチルピペラジン−1−イル−ブトキシ
)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンクロン酸塩
(EおよびZ)−1−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(1.0g、2.5mmol)、4−メチルピペラジン(5mL)
、ヨウ化カリウム(0.200g)および水(3mL)を合した。80℃に加熱した。18時
間後、周囲の温度に冷却し、そして反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配し
た。有機層を分離し、水で3回抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、真空蒸発し
た。5%メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー
処理をすると残渣(0.758g)が得られた。残渣とブタノン(4mL)とを合した。ブ
タノン(2mL)に溶解したクエン酸(0.307g、1.6mmol)を加えた。固体が形成
するまでゆっくりと蒸発させ、濾過しそして真空乾燥すると標記化合物が得られ
た。
実施例 9
(EおよびZ)−1−〔4−(4−(ピロリジン−1−イル)−ブトキシ)フェニ
ル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(EおよびZ)−1−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(0.9g、2.25mmol)、ピロリジン(5mL)、ヨウ化カ
リウム(0.200g)および水(5mL)を合した。80℃に加熱した。18時間後、周囲の
温度に冷却し、そして反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配した。有機層を
分離し、水で3回抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、真空蒸発させた。6%メ
タノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処理すると
残渣が得られた(0.499g)。残渣とブタノン(2mL)とを合した。ブタノン(2mL
)に溶解したクエン酸(0.211g、1.1mmol)を加えた。固体が形成するまでゆっ
くりと蒸発させ、濾過しそして真空乾燥すると標記化合物が得られた。
実施例 10
(EおよびZ)−1−〔4−(5−クロロペントキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン
エタノール(40mL)中で、(EおよびZ)−1−〔(4−ヒドロキシ)フェニル〕
−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(2.3g、7.5mmol)および5−ブロモ
−1−クロロペンタン(2.78g、15.0mmol)を合した。エタノール中のナトリウ
ムエトキシドの溶液(11.12mL、0.67M、7.5mmol)を加えた。不活性雰囲気下で
加熱還流した。24時間後、真空濃縮した。1/7酢酸エチル/ヘキサンで溶離す
るシリカゲルクロマトグ
ラフィー処理をした。フラクションを含有する生成物を濃縮すると標記化合物が
得られ、このものをさらに精製することなく次の工程に用いる。
実施例 11
(EおよびZ)−1−〔4−(5−ジエチルアミノ)ペントキシ)フェニル〕−1,
2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−〔4−(5−クロロペントキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン(3.08g、7.5mmol)、ジエチルアミン(5.5g、75.0
mmol)およびヨウ化カリウム(30mg、0.178mmol)を水(8.0mL)で合した。4時
間40℃に加熱し、次に周囲の温度に冷却し、そして72時間放置した。ジエチルア
ミン(10mL)を加え、80℃に加熱した。3時間後、まず20%酢酸エチル/ヘキサ
ン次いで5%トリエチルアミンを含有する20%酢酸エチル/ヘキサンで溶離する
シリカゲルクロマトグラフィー処理をした。フラクションを含有する生成物を合
し、真空濃縮した。再び、7%メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲ
ルクロマトグラフィー処理した。フラクションを含む生成物を濃縮すると残渣と
して異性体の混合物が得られた。HPLC(90mg/注入、Waters and Associates μ
Porasilカラム(19mm×300mm)、80/20/0.2クロロホルム/ヘキサン/トリエ
チルアミンで溶離、20mL/分)によって異性体を分離すると(E)−1−〔4−(
5−ジエチルアミノ)ペントキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ
−エチレンおよび(Z)−1−〔4−(5−ジエチルアミノペントキシ)フェニル
〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンが得られた。
実施例 12
(E)−1−〔4−(5−ジエチルアミノ)ペントキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
クエン酸(192.13mg、1.21mmol)およびイソプロパノール(3mL)を合し、固
体が溶解するまで加熱した。(E)−1−〔4−(5−ジエチルアミノペントキシ
)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(543.2mg、1.21mmol)
および温イソプロパノール(3mL)を合し、撹拌しながら上述の如くして調製した
クエン酸溶液に加えた。温時濾過し、次に、結晶が形成し出すまで、−20℃のフ
リーザー中で冷却し、次いで18時間周囲の温度に放置した。濾過すると固体とし
て標記化合物が得られた。mp;124〜127℃。
実施例 13
(Z)−1−〔4−(5−ジエチルアミノ)ペントキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
クエン酸(192.13mg、1.21mmol)およびイソプロパノール(3mL)を
合し、固体が溶解するまで加熱した。(Z)−1−〔4−(5−ジエチルアミノペ
ントキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(543.2mg、1.
21mmol)と温イソプロパノール(3mL)とを合し、撹拌しながら上述の如くして調
製したクエン酸溶液に加えた。温時濾過し、次に、結晶が形成し出すまで、−20
℃のフリーザー中で冷却し、次いで18時間周囲の温度に放置した。濾過すると固
体として標記化合物が得られた。mp;124〜127℃。
実施例 14
1,1−ビス−(4−メトキシ)フェニル−2−フェニル−エタノール
ベンジルマグネシウムクロライド(180mL、テトラヒドロフラン中2M、360mmo
l)および4,4′−ジメトキシベンゾフェノン(50g、207mmol)を合し、穏やかに
加熱還流した。72時間後、反応混合物を氷(300g)と飽和塩化アンモニウム水溶液
(150mL)との混合物に注意深く注加した。ジエチルエーテルで抽出し、有機層をM
gSO4で乾燥し、そして真空蒸発すると標記化合物が得られた。
実施例 15
1,1−ビス−(4−メトキシ)フェニル−2−フェニル−エチレン
実施例14で得られた1,1−ビス−(4−メトキシ)フェニル−2−フェニル−
エタノールおよび12M塩酸(50mL)をエタノール(400mL)中で合した。加熱還流
した。24時間後、反応混合物を周囲の温度に冷却した。真空蒸発すると残渣が得
られた。残渣を水と酢酸エチルとの間で分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾
燥し、そして真空蒸発すると標記化合物が得られた。
実施例 16
1,1−ビス−(4−メトキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エ
チレン
クロロホルム(100mL)中、1,1−ビス−(4−メトキシ)フェニル−2−フェ
ニル−エチレン(24g、75.8mmol)およびN−クロロスクシンイミド(10.7g、80
mmol)を合した。60℃に加熱した。18時間後、周囲の温度に冷却し、真空蒸発さ
せた。1/10酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処
理すると標記化合物が得られた。
実施例 17
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレ
ン
塩酸ピリジン(140g、1210mmol)を220℃に加熱した。1,1−ビス−(4−メト
キシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン(37.5g、107mmol)を少量
ずつ加え、そして温度を220℃に維持した。45分後、反応混合物を氷(400g)に注
加した。酢酸エチルで抽出した。有機層を水および0.5M塩酸溶液で抽出した。
有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、真空蒸発させると標記化合物が得られた。
実施例 18
(EおよびZ)−1−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒ
ドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレンおよび1,1−ビス−
〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−2−フェニル−2−クロロ−エチレ
ン
金属ナトリウム(0.440g、19mmol)およびエタノール(80mL)を加え、そして金
属ナトリウムが反応するまで撹拌した。1,1−ビス−(4−ヒドロキシ)フェニ
ル〕−2−フェニル−2−クロロ−エチレン(5.56g、17.2mmol)を加え、反応
混合物を15分間40℃に加熱した。1−ブロモ−
4−クロロブタン(0.34g、20mmol)を加え、穏やかに加熱還流させた。72時間
後、真空蒸発させた。ジクロロメタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー
処理すると(EおよびZ)−1−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−1−
(4−ヒドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン(2.5g)お
よび1,1−ビス−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−2−フェニル−2
−クロロ−エチレン(0.96g)が得られた。
実施例 19
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(
4−ヒドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−1−(4−
ヒドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン(2.5g、6mmol)
、ジエチルアミン(50mL)、ヨウ化カリウム(0.50g)および水(50mL)を合した
。穏やかに加熱還流した。16時間後、反応混合物を周囲の温度に冷却した。反応
混合物を水と酢酸エチルとの間で分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、
そして真空蒸発させた。15% メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲ
ルクロマトグラフィー処理すると残渣が得られた。残渣とクロロホルム(50mL)
とを合した。クロロホルム溶液を二等分した。半分の片方を真空蒸発させると残
渣が得られた。クロロホルム溶液から得られた残渣とブタノン(7mL)とを合し
た。ブタノン(4mL)に溶解したクエン酸(0.345g)およびメタノール(1mL)を
加えた。固体が形成するまで放置し、濾集し、そして真空乾燥すると標記化合物
が得られた。他の半分を真空蒸発してHPLCによる異性体分離のための残渣を得た
。HPLC(20mg/注入、5μm
Spherisorb CN(カラム#61037)(21.2mm×250mm)を使用、0.05%トリエチル
アミン含有55/40/5クロロホルム/ヘキサン/メタノールで溶離、20mL/水)
によって異性体を分離すると、(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ
)フェニル〕−1−(4−ヒドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−
エチレンおよび(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕
−1−(4−ヒドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレンが得
られた。
実施例 19.1
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(
4−ヒドロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン
水(50mL)中、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン(21.4g、0.10mmol)およ
び水酸化ナトリウム(4.0g、0.10mmol)を合した。80℃に加熱した。トルエン(10
0mL)を加えた。トルエン/メタノール(100mL/40mL)中の塩化ベンジル(17.3
mL、0.15mmol)を加えた。70〜80℃の加熱を維持した。3日後、周囲の温度に冷
却し、反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。層を分離し、水層を酢酸
エチルで抽出した。有機層を合し、1M水酸化ナトリウム水溶液次いで水で抽出
した。有機層を真空蒸発させると残渣が得られた。水層を合し、放置すると固体
が生じた。固体を濾集し、水で洗いすすぎし、乾燥すると固体が得られた。固体
および有機層を蒸発させて得られた残渣を合し、トルエンから再結晶すると4−
ベンジルオキシ−4′−ヒドロキシベンゾフェノンが得られた。Rf=0.21(シリ
カゲル、30%酢酸エチル/ヘキサン)。
4−ベンジルオキシ−4′−ヒドロキシベンゾフェノン(9.12g、30.0mmol)お
よび水酸化ナトリウム(1.8g、45mmol)を水(35mL)中で合し
た。テトラブチルアンモニウム重硫酸塩(1.02g、3.0mmol)を加えた。1−ブロ
モ−4−クロロブタン(5.2mL、45mmol)を加えた。加熱還流させた。3時間後、
反応混合物を冷却すると固体が得られた。固体を濾集し、水で洗いすすぎし、そ
して乾燥すると4−ベンジルオキシ−4′−(4−クロロブチルオキシ)ベンゾ
フェノンが得られた。Rf=0.32(シリカゲル、30%酢酸エチル/ヘキサン)。
4−ベンジルオキシ−4′−(4−クロロブチルオキシ)ベンゾフェノン(3.9
5g、10.0mmol)およびテトラヒドロフラン(50mL)を合した。ベンジルマグネシ
ウムクロライド(6.0mL、2Mテトラヒドロフラン中、12mmol)を加えた。1時
間後、0℃に冷却し、そして飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、1時間撹拌す
ると固体が得られた。固体を濾過し、テトラヒドロフランで3回洗いすすぎした
。濾液と洗液とを合し、そして層を分離した。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液
で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過しそして真空乾燥すると1−(4−
ベンジルオキシフェニル)−1−(4−(4−クロロブチルオキシ)フェニル)
−2−フェニルエタノールが得られた。Rf=0.36(シリカゲル、30%酢酸エチル
/ヘキサン)。
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(4−(4−クロロブチルオキシ
)フェニル)−2−フェニルエタノール(1.0g、21.0mmol)およびメタノール(2
mL)を合した。2M塩酸水溶液(4mL)を加えた。加熱還流した。2時間後、65
℃で濃縮して大部分のメタノールを除いた。周囲の温度に冷却し、ジクロロメタ
ンで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空乾燥すると1−(
4−ベンジルオキシフェニル)−1−(4−(4−クロロブチルオキシ)フェニ
ル)−2−フェニル−エチレンが得られた。Rf=0.50(シリカゲル、30%酢酸エ
チル/ヘ
キサン)。
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(4−(4−クロロブチルオキシ
)フェニル)−2−フェニルエチレン(3.5g、7.5mmol)およびクロロホルム(9
35mL)を合した。N−クロロスクシンイミド(1.99g、14.9mmol)を加えた。加熱
還流した。18時間後、反応混合物を冷却し、水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液お
よび水で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空乾燥すると残
渣が得られた。残渣を10%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカゲルクロマト
グラフィー処理すると1−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(4−(4−
クロロブチルオキシ)フェニル)−2−クロロ−2−フェニル−エチレンが得ら
れた。
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(4−(4−クロロブチルオキシ
)フェニル)−2−クロロ−2−フェニルエチレン(0.1g、0.20mmol)、5%パ
ラジウム付きカーボン(30mg)および酢酸エチル(1.5mL)を合した。大気圧の
水素で処理した。1.5時間後、0.45μの膜を用いて濾過した。濾液を真空濃縮す
ると1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−(4−クロロブチルオキシ)
フェニル)−2−クロロ−2−フェニル−エチレンが得られた。
実施例19の方法によりジエチルアミンと結合させると標記化合物が得られた。
実施例 20
(E)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒド
ロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
クエン酸(48mg、0.25mmol)およびブタノン(10mL)を合した。(E)−1−
〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒドロキシ)フ
ェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン(115mg、0.26mmol)を合した。固
体が形成するまで放置し、濾過すると固体として標記化合物が得られた。mp;94
〜96℃。
実施例 21
(Z)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒド
ロキシ)フェニル−2−フェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
クエン酸(48mg、0.25mmol)およびブタノン(10mL)を合した。(E)−1−
〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒドロキシ)フェニ
ル−2−フェニル−2−クロロ−エチレン(118mg、0.26mmol)を合した。固体が
形成するまで放置し、濾過すると固体として標記化合物が得られた。mp;90〜92
℃。
実施例 22
1,1−ビス−〔4−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル〕−2−フェニル
−2−クロロ−エチレン
1,1−ビス−〔4−(4−クロロブトキシ)フェニル〕−2−フェニル−2−
クロロ−エチレン(0.950g、1.89mmol)、ジエチルアミン(15mL)、ヨウ化カリウム
(0.10g)、エタノール(5mL)および水(15mL)を合した。穏やかに加熱還流
した。8時間後、反応混合物を周囲の温度に冷却した。反応混合物を水と酢酸エ
チルとの間で分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、そして真空蒸発した
。20%メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処
理すると残渣が得られた。残渣とブタノン(5mL)とを合した。ブタノン(5mL
)に溶解したクエン酸(0.110g)を加えた。加熱し、溶解するまでメタノールを加
えた。固体が形成するまでゆっくりと蒸発させ、濾集し、そして真空乾燥すると
標記化合物が得られた。
実施例 23
4−(4−ブロモブトキシ)ベンゾフェノン
4−ヒドロキシベンゾフェノン(14.11g、71.2mmol)および1M水酸化ナトリウ
ム水溶液(70mL)を合した。1,4−ジブロモブタン(43.4g、200mmol)を加えた。反
応混合物を加熱還流した。20.5時間後、周囲の温度に冷却した。ペンタン(100mL
)を加え、そして再び加熱還流させた。0.5時間後、周囲の温度に冷却すると固体
が得られた。固体を濾集した。固体をエタノールが再結晶すると標記化合物が得
られた。mp;42〜43℃。
実施例 24
1−(4−ブロモブトキシ)フェニル−1−フェニル−2−(3−メトキシフェ
ニル)−エタノール
マグネシウム削り屑(5.8g、240mmol)およびジエチルエーテル(35mL)を合
した。加熱還流した。小さいヨウ素結晶1個と共に、ジエチルエーテル(50ml)中
の3−メトキシベンジルクロライド(6.5g、41mmol)の溶液約5mLを加えた。反応
開始後、約2.5時間かけて3−メトキシベンジルクロライドの溶液の残りをゆっ
くりと加えた。添加終了後、穏やかな加熱還流を続けた。14時間後、周囲の温度
に冷却し、テトラヒドロフラン(100mL)中の4−(4−ブロモブトキシ)ベンゾ
フェノン(12.5g、37.6mmol)の溶液に加えた。7時間後、反応混合物を飽和塩
化アンモニウム水溶液(50mL)に注意深く注加した。酢酸エチルで抽出し、有機
層をMgSO4で乾燥し、そして真空蒸発すると残渣が得られた。残渣を10%酢酸エ
チル/ヘキサンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処理すると標記化合物
が得られた。
実施例 25
(EおよびZ)−1−(4−ブロモブトキシ)フェニル−1−フェニル−2−(3
−メトキシフェニル)−エチレン
1−(4−ブロモブトキシ)フェニル−1−フェニル−2−(3−メトキシフ
ェニル)−エタノール(7.2g、15.7mmol)およびジクロロメタン(100mL)を合し
た。トリフルオロ酢酸無水物(5mL.35mmol)を加えた。加熱還流した。21時間後
、反応混合物を周囲の温度に冷却した。真空蒸発すると残渣が得られた。残渣を
水と酢酸エチルとの間で分配した。有機層を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液で
抽出し、MgSO4で乾燥し、そして真空蒸発させると残渣が得られた。残渣を10%
酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処理すると標記
化合物が得られた。
実施例 26
(EおよびZ)−1−(4−ブロモブトキシ)フェニル−1−フェニル−2−(3
−メトキシフェニル)−2−クロロ−エチレン
クロロベンゼン(4mL)中で、(EおよびZ)−1−(4−ブロモブトキシ)
フェニル−1−フェニル−2−(3−メトキシフェニル)−エチレン(0.15g、0
.34mmol)およびN−クロロスクシンイミド(0.11g、0.8mmol)を合した。加熱還
流した。67時間後、周囲の温度に冷却し、そして反応混合物をジエチルエーテル
中に注加した。有機層を1M水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。有機層をMgSO4
で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発すると残渣が得られた。残渣を20%酢酸エ
チル/ヘキサンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処理すると標記化合物
が得られた。
実施例 27
(EおよびZ)−1−(4−ヨードブトキシ)フェニル−1−フェニル−
2−(3−トリメチルシロキシフェニル)−2−クロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−(4−ブロモブトキシ)フェニル−1−フェニル−2−(
3−メトキシフェニル)−2−クロロ−エチレン(0.26g、0.56mmol)、ピリジン
(0.04g、0.62mmol)およびクロロホルム(4.0mL)を合した。ヨウ化トリメチル
シリル(0.49g、2.5mmol)を加えた。19時間後、反応混合物を加熱還流させた。2
時間後、追加部分量のヨウ化トリメチルシリル(1.4g、7.0mmol)を加えた。67
時間後、反応混合物を周囲の温度に冷却し、そして真空蒸発させると標記化合物
が得られた。
実施例 28
(EおよびZ)−1−(4−ジエチルアミノブトキシ)フェニル−1−フェニル−
2−(3−ヒドロキシフェニル)−2−クロロ−エチレン
実施例27で製造した(EおよびZ)−1−(4−ヨードブトキシ)フェニル−1
−フェニル−2−(3−トリメチルシロキシフェニル)−2−クロロ−エチレン
およびジエチルアミン(10mL、96mmol)を合した。加熱還流した。18時間後、真
空蒸発させると残渣が得られた。残渣と酢酸エチルとを合した。水で抽出した。
1M塩酸水溶液で2回抽出した。酸の層を合し、ジエチルエーテルで抽出した。
酸抽出物を1M水酸化ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチレンで2回抽出した
。酢酸エチル層を合し、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発すると残渣が
得られた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー処理すると標記化合物が得られ
る。
あるいはまた、YがOである式(I)および式(II)の化合物はスキームBに記載
の如くに製造することができる。置換分の全ては、他に指示のない限り、先に定
義した通りである。試薬および出発物質は当業者にとって容易に入手し得る。
スキームB、工程aにおいて、適当なω−アミノアルコールをMitsunobu(光延
)付加によりR8が水素である構造式(I)の適当なトリアリールエチレンに付加さ
せて構造式(8)のω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンを得る。
適当なω−アミノアルコール、HO-(CH2)m-Aは、Aおよびmが式(I)および式(
II)の最終生成物で所望される通りであるω−アミノアルコールである。構造式(
I)の適当なトリアリール−エチレンはR8が水素であり;R6がR2について定義し
た通りであるか、またはR6は、脱保護基をした後R2かヒドロキシ基である式(I)
および式(II)の化合物となる適当に保護されたヒドロキシであり;そしてR7はR3
について定義した通りであるか、またはR7は、脱保護基をした後R3がヒドロキシ
基である式(I)および式(II)の化合物となるか、もしくはR3が-O(CH2)pA1(ここ
でp=mおよびA=A1)である式(I)および式(II)の化合物を製造する中間体と
なる適当に保護されたヒドロキシであり;またはR7は、連続方法で除去されてR3
が-O(CH2)pA1(ここでp≠mおよびA=A1もしくはA≠A1)であるか、もしくは
R3が-O(CH2)pA1(ここでp=mおよびA≠A1)である式(I)および式(II)の化合
物を製造する中間体となる適当に保護されたヒドロキシであるトリアリール−エ
チレンである。適当なヒドロキシ保護基例えばベンジル、p−メトキシベンジル
、メチル、t−ブチルジメチルシリルおよびアセチルの選択、使用、除去および
連続除去は当該分野において周知であり認められていて、T.Greeneにより「Prot
ecting Groups in Organic Synthesis」に記載されている。
例えば、適当なω−アミノアルコールを適当な溶媒例えばテトラヒドロフラン
(THF)中でモル当量のR8が水素である構造式(I)のトリアリール−エチレンおよ
びモル当量のトリフェニルホスフィンと接触させる。アゾジカルボン酸ジエチル
エステルそのままもしくは適当な溶媒例えばテトラヒドロフランの溶液として加
える。1〜72時間撹拌した後、生成物を当該分野で周知の技術により単離、精製
することができる。R3が-O(CH2)pA1(ここでp=mおよびA=A1)である式(I)
および式(II)の
化合物の製造のためには、R7がヒドロキシである化合物を追加の当量の適当なω
−アミノアルコール、トリフェニルホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジエチル
エステルと共に使用する。反応混合物を真空で濃縮すると残渣を得る。残渣を適
当な有機溶離剤を用いてシリカゲルでクロマトグラフィー処理することができる
。クロマトグラフィーで得られた物質を再結晶すると構造式(8)のω−アミノア
ルコキシ−トリアリール−エチレンが得られる。
スキームB、工程bにおいて、構造式(8)のω−アミノアルコキシ−トリア
リール−エチレンを塩素化もしくは臭素化すると構造式(4)のω−アミノアルコ
キシ−トリアリール−エチレンが得られる。
例えば、構造式(8)のω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンを適当
な溶媒例えばクロロホルムもしくはジクロロメタン中でモル過剰の塩素、臭素、
N−クロロスクシンイミドもしくはN−ブロモスクシンイミドと接触させる。反
応は周囲の温度乃至溶媒の還流温度で実施される。12〜72時間撹拌した後、生成
物を当該分野で周知の技術により単離、精製することができる。例えば、反応混
合物を真空濃縮し、そして生成物は当該分野で周知の技術例えば塩形成、適当な
溶媒で溶離するクロマトグラフィー、もしくは適当な有機溶媒からの再結晶によ
って精製することができる。
スキームBにおいて、工程aおよびbはいずれの順序でも実施することができ
る。
スキームB、任意工程cにおいて、R6もしくはR7が保護されたヒドロキシ基で
ある構造式(4)のω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンについては、
保護基を除去して、R2もしくはR3あるいはR2およびR3が式(I)および式(II)の最
終生成物で所望される通りのヒドロキシであ
る構造式(5)のω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンを得ることがで
きる。R3が-O(CH2)pA1(ここでp≠mおよびA=A1もしくはA≠A1)であるか、
またはR3が-O(CH2)pA1(ここでp=mおよびA=A1もしくはA≠A1)である式(
I)および(II)の化合物の製造には、R7がヒドロキシ基である構造式(4)の化合
物を提供するのに連続方式で保護基の除去を必要とすることもある。当業者に明
らかな如く、R7がヒドロキシ基である構造式(4)の化合物はスキームAの工程b
およびcに受けしめて、R3が-O(CH2)pA1(ここでp≠mおよびA=A1もしくはA
≠A1)であるか、またはR3が-O(CH2)pA1(ここでp=mおよびA≠A1)である式
(I)および(II)のビス−ω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレン化合物
またはp=mおよびA=A1である式(I)および(II)のビス−ω−アミノアルコキ
シ−トリアリール−エチレン化合物が得られる。
適当なヒドロキシ保護基例えばベンジル、p−メトキシベンジル、メチル、t
−ブチルジメチルシリルおよびアセチルの選択、使用、除去および連続除去は当
該分野で周知であり、かつ認められ、そして、T.Greeneによる「Protecting Grou
ps in Organic Synthesis」に記載されている。
スキームB、工程dにおいて、構造式(4)または(5)のω−アミノアルコキシ
−トリアリール−エチレンの異性体を分離してスキームA、工程eで示唆した如
く(E)−ω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンおよび(Z)−ω−アミ
ノアルコキシ−トリアリール−エチレンを得ることができる。
(E)−ω−アミノアルコキシ−トリアリール−エチレンまたは(Z)−ω−アミ
ノアルコキシ−トリアリール−エチレンの製薬上許容し得る塩は、当該分野で周
知で、また実施されているように追加の工程で形成さ
せることができる。
以下の実施例ではスキームBに記載したような典型的な合成を示す。これらの
実施例は説明のみを目的とし、本発明を除去することを企図するものではない。
以下の実施例で使用されている如く、次の用語は指示した意味を有する:
「g」はグラムを指示し、「mg」はミリグラムを指示し、「mmol」はミリモルを指示
、「mol」はモルを指示し、「mL」はミリリットルを指示し、「℃」は摂氏温度を指示
し、「mp」は融点を指示し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを指示する。
実施例 29
(EおよびZ)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−エチレン
THF(25mL)中で、(EおよびZ)−1−〔(4−ヒドロキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−エチレン(3.05g、11.2mmol)、6−ジエチルアミノヘキサノール(2.
0g、11.5mmol)およびトリフェニルホスフィン(3.73g、14.2mmol)を合した。アゾ
ジカルボン酸ジエチルエステル(2.24mL、14.2mmol)を滴加した。24時間撹拌し
た。真空濃縮した。7%メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲルクロ
マトグラフィー処理した。フラクションを含む生成物を濃縮すると標記化合物が
得られた。
実施例 30
(EおよびZ)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェニル〕−1,2
−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェニル〕−1,
2−ジフェニル−エチレン(2.17g、5.07mmol)、N−クロロスクシンイミド(0.74
5g、5.57mmol)およびクロロホルム(40mL)を合し
た。18時間加熱還流した。周囲の温度に冷却した。N−クロロスクシンイミド(0
.745g、5.57mmol)を加えた。加熱還流した。2時間後、真空蒸発した。10%メタ
ノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処理した。フ
ラクションを含む生成物を合し、そして真空濃縮すると標記化合物が得られた。
異性体をHPLC(90mg/注入、Waters and Associates μPorasilカラム(19mm×3
00mm)使用、80/20/0.2 クロロホルム/ヘキサン/トリエチルアミン、20mL/
分)によって分離すると(E)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)
フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンおよび(Z)−1−〔4−
(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ
−エチレンが得られた。
実施例 31
(E)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
クエン酸(370mg、0.80mmol)およびエタノール(4mL)を合し、そして固体が
溶解するまで加熱した。(E)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェ
ニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(154mg、0.80mmol)および温エ
タノール(5mL)を合し、そして撹拌しながら上述の如くして製造したクエン酸
溶液を加えた。温時濾過し、次に結晶が形成し始めるまで−20℃でフリーザーで
冷却し、次いで18時間周囲
の温度で放置した。濾過すると固体として標記化合物が得られた。mp;84〜87℃
。
実施例 32
(Z)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
クエン酸(56mg、0.29mmol)およびエタノール(2mL)を合し、そして固体が
溶解するまで加熱した。(Z)−1−〔4−(6−ジエチルアミノヘキソキシ)フェ
ニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(134mg、0.29mmol)および温エ
タノール(3mL)を合し、そして撹拌しながら上述の如くして製造したクエン酸
溶液を加えた。温時濾過し、次に結晶が形成し始めるまで−20℃でフリーザーで
冷却し、次いで18時間周囲の温度で放置した。濾過すると固体として標記化合物
が得られた。mp;84〜87℃。
実施例 33
(EおよびZ)−1−〔4−(7−ジエチルアミノヘプトキシ)フェニル〕−1,2
−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
7−ジエチルアミノヘプタノールを用いて実施例29および実施例24に教示され
た方法によって製造すると標記化合物が得られた。異性体をHPLC(多重注入、Wa
ters and Associates μPorasilカラム(19mm×300mm)使用、19/4.8/76.2/0.1
酢酸エチル/クロロホルム/ヘキサン/
トリエチルアミンで溶離、20mL/分)により離すると(E)−1−〔4−(7−ジ
エチルアミノヘプトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
および(Z)−1−〔4−(7−ジエチルアミノヘプトキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレンが得られた。
実施例 34
(E)−1−〔4−(7−ジエチルアミノヘプトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(E)−1−〔4−(7−ジエチルアミノヘプトキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン(0.225g)および熱イソプロピルアルコール(4mL
)を合した。熱イソプロピルアルコール(2mL)中のクエン酸(0.090g)の溶液を
加えた。放冷し、そして固体が形成するまで蒸発させた。濾過し、そして乾燥す
ると標記化合物が得られた。mp;106〜108℃。
実施例 35
(Z)−1−〔4−(7−ジエチルアミノヘプトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(Z)−1−〔4−(7−ジエチルアミノヘプトキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン(0.087g)および熱イソプロピルアルコール(3mL
)を合した。熱イソプロピルアルコール(1mL)中のクエン酸(0.035g)の溶液を
加えた。放冷し、そして固体が形成するまで蒸発させた。濾過し、そして乾燥す
ると標記化合物が得られた。mp;94〜96℃。
実施例 36
(EおよびZ)−1−〔4−(8−ジエチルアミノオクトキシ)フェニル〕−1,2
−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
8−ジエチルアミノオクタノールを用いて実施例9および実施例30に教示され
た方法によって製造すると標記化合物が得られた。異性体をHPLC(多重注入、5
μm Spherisorb CN(21.2mm×250mm)使用、50/50クロロホルム/0.1%トリエチ
ルアミン含有ヘキサンで溶離、20mL/分)により分離すると(E)−1−〔4−(7
−ジエチルアミノオクトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチ
レンおよび(Z)−1−〔4−(7−ジエチルアミノオクトキシ)フェニル〕−1,
2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンが得られた。
実施例 37
(E)−1−〔4−(8−ジエチルアミノオクトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(E)−1−〔4−(8−ジエチルアミノオクトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(0.063g)およびクエン酸(0.025g)を用いて、ブ
タノン(2ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られた。mp:90〜
92℃。
実施例 38
(Z)−1−〔4−(8−ジエチルアミノオクトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(Z)−1−〔4−(8−ジエチルアミノオクトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(0.049g)およびクエン酸(0.0094g)を用いて、ブ
タノン(0.5ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られた。mp;105〜
107℃。
実施例 39
(EおよびZ)−1−〔4−(9−ジエチルアミノノノキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレン
9−ジエチルアミノノナノールを用いて実施例29および実施例30に教
示された方法によって製造すると標記化合物が得られた。異性体をHPLC(多重注
入、5μm Spherisorb CN(21.2mm×250mm)使用、40/60クロロホルム/0.1%ト
リエチルアミン含有ヘキサンで溶離、20mL/分)により分離すると(E)−1−〔
4−(9−ジエチルアミノノノキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロ
ロ−エチレンおよび(Z)−1−〔4−(9−ジエチルアミノノノキシ)フェニル
〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンが得られた。
実施例 40
(E)−1−〔4−(9−ジエチルアミノノノキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(E)−1−〔4−(9−ジエチルアミノノノキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(0.105g)およびクエン酸(0.040g)を用いて、ブ
タノン(2ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られた。mp;92〜
93℃。
実施例 41
(Z)−1−〔4−(9−ジエチルアミノノノキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(Z)−1−〔4−(9−ジエチルアミノノノキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(0.036g)およびクエン酸(0.013g)を用いて、ブ
タノン(2ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られた。mp;83〜
85℃。
実施例 42
(EおよびZ)−1−〔4−(10−ジエチルアミノデコキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレン
10−ジエチルアミノデカノールを用いて実施例29および実施例30に教示された
方法によって製造すると標記化合物が得られた。異性体をHPLC(多重注入、5μm
Spherisorb CN(21.2mm×250mm)使用、30/70クロロホルム/0.1%トリエチルア
ミン含有ヘキサンで溶離、20mL/分)により分離すると(E)−1−〔4−(10−
ジエチルアミノデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレ
ンおよび(Z)−1−〔4−(10−ジエチルアミノデコキシ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレンが得られた。
実施例 43
(E)−1−〔4−(10−ジエチルアミノデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(E)−1−〔4−(10−ジエチルアミノデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(0.092g)およびクエン酸(0.034g)を用いて、ブ
タノン(2ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られた。mp;94〜
95℃。
実施例 44
(Z)−1−〔4−(10−ジエチルアミノデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニ
ル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(Z)−1−〔4−(10−ジエチルアミノデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレン(0.046g)およびクエン酸(0.017g)を用いて、ブ
タノン(0.5ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られた。mp;89〜9
0℃。
実施例 45
(EおよびZ)−1−〔4−(11−ジエチルアミノウンデコキシ)フェニル〕−1,
2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
11−ジエチルアミノウンデカノールを用いて実施例29および実施例30
に教示された方法によって製造すると標記化合物が得られた。異性体をHPLC(多
重注入、Lichrosorb RP-18カラム(21mm×250mm)使用、0.05%トリエチルアミン
含有メタノールで溶離、20mL/分)により分離すると(E)−1−〔4−(11−ジ
エチルアミノウンデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチ
レンおよび(Z)−1−〔4−(11−ジエチルアミノウンデコキシ)フェニル〕−
1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンが得られた。
実施例 46
(E)−1−〔4−(11−ジエチルアミノウンデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(E)−1−〔4−(11−ジエチルアミノウンデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン(0.082g)およびクエン酸(0.029g)を用いて、ブタ
ノン(2ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られた。mp;104〜105
℃。
実施例 47
(Z)−1−〔4−(11−ジエチルアミノウンデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(Z)−1−〔4−(11−ジエチルアミノウンデコキシ)フェニル〕−1,2−ジ
フェニル−2−クロロ−エチレン(0.0284g)およびクエン酸(0.0102g)を用いて、
ブタノン(2ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られた。mp;89〜
92℃。
実施例 48
(EおよびZ)−1−〔4−(12−ジエチルアミノドデコキシ)フェニル〕−1,2
−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
12−ジエチルアミノドデカノールを用いて実施例29および実施例30に教示され
た方法によって製造すると標記化合物が得られた。異性体をHPLC(多重注入、Li
chrosorb RP-18カラム(21mm×250mm)使用、0.05%トリエチルアミン含有メタノ
ールで溶離、20mL/分)により分離すると(E)−1−〔4−(12−ジエチルアミ
ノドデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンおよび(
Z)−1−〔4−(12−ジエチルアミノドデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレンが得られた。
実施例 49
(E)−1−〔4−(12−ジエチルアミノドデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(E)−1−〔4−(12−ジエチルアミノドデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン:mp;96〜98℃(0.090g)およびクエン酸(0.031g
)を用いて、ブタノン(2ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られ
た。mp;96〜98℃。
実施例 50
(Z)−1−〔4−(12−ジエチルアミノドデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフェ
ニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(Z)−1−〔4−(12−ジエチルアミノドデコキシ)フェニル〕−1,2−ジフ
ェニル−2−クロロ−エチレン(0.032g)およびクエン酸(0.011g)を用いて、ブタ
ノン(2ml)中でクエン酸塩を形成させると標記化合物が得られた。mp;98〜100
℃。
YがNHである式(I)および(II)の化合物および式(III)および(IV)の化合物は
スキームCに記載の如くして製造することができる。スキームCにおいて、アル
キレン基(CH2)n(ここでnは2〜12の整数である)を包含する化合物は式(I)
、(II)、(III)および(IV)の化合物を包含している。
すべての置換分は他に指示のない限り先に定義した通りである。試薬および出発
物質は当業者のいずれにも容易に入手し得る。
スキームC、工程aにおいて、適当なω−ハロアルキル酸ハライド、Z-(CH2)q
-C(O)Z1をアシル化反応における構造式(9)の適当なアミノトリアリール−エチ
レンに加えると構造式(10)のω−ハロアルキルアミド
−トリアリール−エチレンが得られる。
適当なω−ハロアルキル酸ハライド、Z-(CH2)q-C(O)Z1はqが式(I)、(II)、(
III)または(IV)の最終生成物で所望される2〜12に対する整数、nより小さい1
であり、そしてZおよびZ1は各々が独立して塩素原子もしくは臭素原子であり得
るものである。構造式(9)の適当なアミノ−トリアリール−エチレンは、R6が先
に定義した通りのR2であるか、もしくは脱保護基後にR2がヒドロキシ基である式
(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物を提供する適当に保護されたヒドロキ
シであり;R9は先に定義した通りのR3であるか、もしくは脱保護基後にR3がヒド
ロキシ基である式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物を提供する適当に保
護されたヒドロキシであるか、もしくはR9はアミノ基、保護されたアミノ基、も
しくはアミノ基を生じる基例えばニトロ基であるものである。構造式(9)の適当
なアミノ−トリアリール−エチレンは、米国特許第2,914,563号、R.E.Allen等
;米国特許第2,429,556号、C.F.Longfellow等;およびSyn.Comm.,17巻,178
7〜1796頁(1987年)、M.I.A1-Hassenに記載の構造式(1)のトリアリール−エチ
レンを製造するのに使用されている方法に類似した方法が容易に製造される。
例えば、若干モル過剰のω−ハロアルキル酸ハライドを適当な溶媒例えばピリ
ジン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルもしくはテトラヒドロフラン中で
構造式(9)のアミノ−トリアリール−エチレンと接触させる。反応は適当な塩基
例えばピリジン、トリエチルアミン、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム
の存在下で実施される。反応は触媒例えば4−ジメチルアミノピリジンの存在下
で実施し得る。反応を1〜72時間撹拌する。R3が-NH(CH2)pA1(ここでp:mおよ
びA=A1)である式(I)もしくは(II)あるいはR3が-NH(CH2)zA1(ここでz=wお
よび
A=A1)である式(III)もしくは(IV)の化合物の製造には、R9がアミノである構造
式(1)の化合物および2モル当量よりも若干多いω−ハロアルキル酸ハライドの
使用が必要であり、そしてビス−ω−ハロアルキルアミノトリアリール−エチレ
ンである構造式(10)の化合物を生成する。生成物は当該分野で知られた方法によ
り単離、精製される。例えば、反応混合物を真空濃縮して残渣を得る。残渣を適
当な有機溶離剤を用いてシリカゲルクロマトグラフィー処理することができる。
クロマトグラフィーで得られる物質を再結晶すると構造式(10)のω−ハロアルキ
ルアミド−トリアリール−エチレンが得られる。
スキームC、工程bにおいて、構造式(10)のω−ハロアルキルアミド−トリア
リール−エチレンを適当なアミンHNRR1(ここでRおよびR1は先の定義した通りで
ある)、例えばモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、4−メチルピペラジンも
しくはピロリジンと接触させて構造式(11)のω−アミノアルキルアミド−トリア
リール−エチレンを得る。
例えば、構造式(10)のω−ハロアルキルアミド−トリアリール−エチレンをモ
ル大過剰の適当なアミンと接触させる。モル大過剰のアミンを使用すると、この
アミンが反応中に遊離する酸を捕捉する塩基としても作用する。反応は適当な溶
媒例えばエタノール、メタノール、水、エタノール/水混合物またはメタノール
/水混合物中で実施される。反応は適当な触媒例えばヨウ化カリウムの存在下で
実施することができる。反応容器を密閉して揮発性アミンの漏れを防止すること
ができる。反応混合物を40℃〜100℃の温度に加熱する。R9がω−ハロアルキル
アミド基である構造式(10)の化合物について、適当なアミンの追加の部分量を使
用することにより、ビス−ω−アミノアルキルアミド−トリアリール−エチレン
が得られ、このものはR3が-NH(CH2)pA1(ここでp=mおよび
A=A1)である式(I)または式(II)の化合物またはR3が-NH(CH2)zA1(ここでz=
wおよびA=A1)である式(III)または(IV)の化合物である。生成物は反応帯域か
ら蒸発もしくは抽出によって単離し、そしてクロマトグラフィーもしくは塩形成
および再結晶により精製して構造式(11)のω−アミノアルキルアミド−トリアリ
ール−エチレンを得ることができる。
スキームC、工程cにおいて、構造式(11)のω−アミノアルキルアミド−トリ
アリール−エチレンを塩素化もしくは臭素化すると構造式(12)のω−アミノアル
キルアミド−トリアリール−エチレンが得られる。
例えば、構造式(11)のω−アミノアルキルアミド−トリアリール−エチレンを
溶媒例えばクロロホルムもしくはジクロロメタン中でモル過剰の塩素、臭素、N
−クロロスクシンイミドもしくはN−ブロモスクシンイミドと接触させる。反応
は周囲の温度乃至溶媒の還流温度で実施される。12〜72時間撹拌した後、生成物
を当該分野で周知の技術により単離、製造することができる。例えば、反応混合
物を真空濃縮し、そして生成物はクロマトグラフィー、もしくは再結晶によって
精製して構造式(12)のω−アミノアルキルアミド−トリアリール−エチレンを得
ることができる。
スキームC、工程dにおいて、構造式(12)のω−アミノアルキルアミド−トリ
アリール−エチレンを還元反応において適当な還元剤と接触させて構造式(13)の
ω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンを得る。
適当な還元剤は、化合物中に存在する他の基に効果を及ぼすことなく、構造式
(12)のω−アミノアルキルアミド−トリアリール−エチレンのアミド基を還元す
るものである。そのような還元剤の選択および使用は当該分野で周知であり認め
られている。
例えば、構造式(12)のω−アミノアルキルアミド−トリアリール−エチレンを
モル過剰の適当な還元剤例えば水素化アルミニウムリチウム、ボランもしくはボ
ラン錯体と接触させる。反応は溶媒例えばジエチルエーテルもしくはテトラヒド
ロフラン(適当な還元剤が水素化アルミニウムリチウムである場合)またはジクロ
ロメタンもしくはクロロホルム(適当な還元剤がボランである場合)中で実施され
る。反応は周囲の温度乃至溶媒の還流温度で実施される。R9がω−アミノアルキ
ルアミド基である構造式(12)の化合物については、適当な還元剤の追加の部分量
を使用すると、R3が-NH(CH2)pA1(ここでp=mおよびA=A1)である式(I)また
は(II)の化合物またはR3が-NH(CH2)zA1(ここでz=wおよびA=A1)である式(II
I)または(IV)の化合物が生じる。生成物は、反応帯域から当該分野で周知の技術
例えば急冷、抽出および蒸発により単離することができ、そして当該分野で周知
の方法例えばクロマトグラフィーおよび再結晶により精製して構造式(13)のω−
アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンが得られる。
スキームC、任意工程eにおいて、R6もしくはR9が保護されたヒドロキシ基で
ある構造式(13)のω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンについて
は、脱保護工程で脱保護して、R2もしくはR3あるいはR2およびR3が式(I)もしく
は(II)の最終生成物で所望される通りのヒドロキシである構造式(14)のω−アミ
ノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンを得ることができる。更に、R9が保
護されたアミノ基である構造式(13)のω−アミノアルキルアミノ−トリアリール
−エチレンについては、脱保護してR9がアミノ基である構造式(14)のω−アミノ
アルキルアミノ−トリアリール−エチレンとし、スキームCの各工程を順次行う
ことにより、式(I)もしくは(II)〔ここで、R3は-NH(CH2)pA1(こ
こでp≠nおよびA=A1もしくはA≠A1)であるか、もしくはR3は-NH(CH2)pA1(
ここでp=mおよびA≠A1)である式(I)もしくは式(II)の化合物、または、R3
が-NH(CH2)zA1(ここでz=wおよびA=A1もしくはA≠A1)であるか、もしくはR3
が-NH(CH2)zA1(ここでz=wおよびA≠A1)〕である式(III)もしくは式(IV)
の化合物を製造するための中間体として使用することができる。例えばT.Green
e、「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載されているような適当な
保護基を用いるアミン保護基の除去は当業者に周知であり、認識されている。
適当なヒドロキシ保護基例えばベンジル、p−メトキシベンジル、メチル、t
−ブチルジメチルシリルおよびアセチルの選択、使用、除去および連続除去は当
該分野で周知であり、かつ認められ、そして、T.Greeneによる「Protecting Grou
ps in Organic Synthesis」に記載されている。
スキームC、工程fにおいて、構造式(13)または(14)のω−アミノアルキルア
ミノ−トリアリール−エチレンの異性体を分離して(E)−ω−アミノアルキルア
ミノ−トリアリール−エチレンおよび(Z)−ω−アミノアルキルアミノ−トリア
リール−エチレンを得ることができる。
例えば、構造式(13)または(14)の化合物の異性体は、高速液体クロマトグラフ
ィーもしくは塩の分別再結晶によって分離、精製して、(E)−ω−アミノアルキ
ルアミノ−トリアリール−エチレンおよび(Z)−ω−アミノアルキルアミノ−ト
リアリール−エチレンを得ることができる。
(E)−ω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンおよび(Z)−ω−
アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンの製造上許容し得る塩は、当該
分野で周知でまた実施されているように追加の工程で形成させることができる。
以下の実施例ではスキームCに記載したような典型的な合成を示す。これらの
実施例は説明のみを目的とし、本発明を限定することを企図するものではない。
以下の実施例で使用されている如く、次の用語は指示した意味を有する:
「g」はグラムを指示し、「mg」はミリグラムを指し、「mmol」はミリモルを指し
、「mL」はミリリットルを指し、「mm」はミリメーターを指し、「℃」は摂氏温度を指
し、「Rf」は保持率を指し「mp」は融点を指し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィ
ーを指す。
実施例 51
(EおよびZ)−1−〔4−N−(4−クロロブチリルアミノ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−エチレン
ピリジン(5mL)中で、(EおよびZ)−1−〔(4−アミノ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−エチレン(0.57g、2.1mmol)、4−クロロブチリルクロライド(0.
338g、2.4mmol)およびジメチルアミノピリジン(10mg)を合した。不活性雰囲
気下16時間撹拌した。真空蒸発すると残渣が得られた。ジクロロメタンで希釈し
、そして3M塩酸溶液で3回抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そし
て真空蒸発させると標記化合物が得られた。
実施例 52
(EおよびZ)−1−〔4−N−(4−ジエチルアミノブチリルアミノ)フェニル
〕−1,2−ジフェニル−エチレン
(EおよびZ)−1−〔4−N−(4−クロロブチリルアミノ)フェニル〕−1,
2−ジフェニル−エチレン(3.2g、11.8mmol)、ジエチルアミン(30.0mL)、ヨウ
化カリウム(100mg、0.66mmol)および水(2.0mL)を合し、圧力容器に封入した。
100℃に4時間加熱した。周囲の温度に冷
却し、容器を注意深く開いた。真空蒸発した。ジクロロメタンで希釈し、水で抽
出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過しそして真空蒸発した。10%メタノール
/ジクロロメタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処理した。フラクシ
ョンを含有する生成物を合し、真空濃縮すると標記化合物が得られた。
実施例 53
(EおよびZ)−1−〔4−N−(4−ジエチルアミノブチリルアミノ)フェニル
〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
ジクロロメタン(15mL)中で、(EおよびZ)−1−〔4−N−(4−ジエチル
アミノブチリルアミノ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−エチレン(1.0g、2.4mmol
)およびN−クロロスクシンイミド(0.80g、6.0mmol)を合した。加熱還流させ、4
8時間還流下撹拌した。周囲の温度に冷却した。10%メタノール/ジクロロメタ
ンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処理した。フラクションを含有する
生成物を合し、真空濃縮すると標記化合物が得られた。
実施例 54
(EおよびZ)−1−〔4−(4−ジエチルアミノブチルアミノ)フェニル〕−1,
2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
THF(10mL)中で、(EおよびZ)−1−〔4−N−(4−ジエチルアミノ)ブ
チリルアミノ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチ
レン(0.55g、1.23mmol)およびボラン(5mL、テトラヒドロフラン中1M、5.0m
mol)を合した。加熱還流し、還流下20時間撹拌した。メタノールで急冷し、そし
て真空蒸発した。ジクロロメタンと水との間で分配した。有機層を分離し、MgSO4
で乾燥し、濾過しそして真空蒸発した。シリカゲルクロマトグラフィー処理す
ると標記化合物が得られた。
YがNHである式(I)および(II)の化合物および式(III)および(IV)の化合物は
スキームDに記載の如くに製造することができる。スキームDにおいて、アルキ
レン基(CH2)n(ここでnは2〜12の整数である)を包含する化合物は式(I)、(I
I)、(III)および(IV)の化合物を包含している。すべての置換分は他に指示のな
い限り先に定義した通りである。試薬および出発物質は当業者のいずれも容易に
入手し得る。
スキームD、工程aにおいて、構造式(9)の適当なアミノ−トリアリール−エ
チレンをアセチル化して構造式(15)のアセトアミド−トリアリール−エチレンを
得る。
構造式(9)の適当なアミノ−トリアリール−エチレンはスキームCにおいて先
に定義した通りである。
例えば、構造式(9)のアミノ−トリアリール−エチレンを適当なアセチル化試
薬例えばアセチルクロライドまたは無水酢酸と接触させる。反応は適当な溶媒、
例えばジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、アセ
トニトリルまたはテトラヒドロフラン中で実施される。反応は適当な塩基例えば
ピリジン、トリエチルアミン、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウムの存在
下で実施される。反応を1〜72時間撹拌する。生成物は当該分野で周知の技術例
えば抽出、蒸発、クロマトグラフィー、再結晶および磨砕により単離、精製する
ことができる。
当業者が認めているように、構造式(9)の適当なアミノ−トリアリール−エチ
レンに対するアルコール前駆物質を一工程で脱水、アセチル化して構造式(15)の
アセトアミド−トリアリール−エチレンを得る。
スキームD、工程bにおいて、構造式(15)のアセトアミド−トリアリール−エ
チレンをスキームC、工程cに一般的に教示されている如く塩素化もしくは臭素
化すると構造式(16)のアセトアミド−トリアリール−エチレンが得られる。
例えば、構造式(15)のアセトアミド−トリアリール−エチレンを溶媒例えばク
ロロホルムもしくはジクロロメタン中でモル過剰の塩素、臭素、N−クロロスク
シンイミドもしくはN−ブロモスクシンイミドと接触させる。反応は周囲の温度
乃至溶媒の還流温度で実施される。12〜72時間撹拌した後、生成物を当該分野で
周知の技術により単離、精製することができる。例えば、反応混合物を真空濃縮
し、そして生成物はクロマトグラフィー、もしくは再結晶によって精製して構造
式(12)のω−アミノアルキルアミド−トリアリール−エチレンを得ることができ
る。
スキームD、工程cにおいて、構造式(16)のアセトアミド−トリアリール−エ
チレンを適当なω−アミノアルキルハライドもしくはその塩でアルキル化して構
造式(17)のN−(ω−アミノアルキル)アセトアミド−トリアリール−エチレン
を得る。
適当なω−アミノアルキルハライド、A(CH2)nZは、Zが塩素原子、臭
素原子、もしくはヨウ素原子であり、そしてAおよびnは式(I)、(II)、(III)
または(IV)の最終生成物で所望される通りの2〜12の整数であるものである。
例えば、構造式(16)のアセトアミド−トリアリール−エチレンを適当なω−ア
ミノアルキルハライドの1.0〜10モル当量と接触させる。反応は適当な塩基例え
ばナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナト
リウムおよび炭酸ナトリウムの存在下に実施される。反応は溶媒例えばエタノー
ル、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトンまたはブタノン中で実施される
。反応生成物は反応帯域から蒸発および抽出によって単離し、そして当該分野で
周知の方法で例えばクロマトグラフィーや再結晶によって精製することができる
。
スキームD、工程dにおいて、構造式(17)のN−(ω−アミノアルキル)アセ
トアミド−トリアリール−エチレンのアセチル基を加水分解して構造式(13)のω
−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンを得る。塩基性もしくは酸性
条件を用いるアセトアミド化合物の加水分解は当該分野で周知であり、認められ
ている。
スキームC、任意工程eで一般的に教示されているように、構造式(13)のω−
アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンを脱保護し、さらに必要に応じ
て修飾して構造式(14)のω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンを
得る。
スキームC、工程fで一般的に教示されているように、構造式(13)または(14)
のω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンの異性体を分離して(E)
−ω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンと(Z)−ω−アミノアル
キルアミノ−トリアリール−エチレンを得る。
以下の実施例ではスキームDに記載したような典型的な合成を示す。これらの
実施例は単なる例示であって、本発明を限定するものではない。以下の実施例で
使用されている如く、次の用語は指示した意味を有する:
「g」はグラム、「mg」はミリグラム、「mmol」はミリモル、「mol」はモル、「mL」
はミリリットル、「mm」はミリメーター、「℃」は摂氏温度、「Rf」は保持率、「mp」は
融点、そして「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーのことである。
実施例 55
(EおよびZ)−1−(4−アセトアミドフェニル)−1,2−ジフェニル−エチレ
ン
4−アミノベンゾフェノン(50g、0.25mol)およびジエチルエーテル(500mL)を
合した。ジエチルエーテル中の1M溶液のベンジルマグネシウムクロライド(1
L)を1.5時間かけてゆっくりと加えた。18時間後、反応物を氷および塩化アンモ
ニウム水溶液に注加した。層を分離し、有機層を水で抽出し、MgSO4で乾燥し、
濾過し、そして真空蒸発させると残渣が得られた。イソプロパノールから再結晶
すると1−(4−アミノフェニル)−1,2−ジフェニル−エタノールが得られた
。mp;105〜107℃。
1−(4−アミノフェニル)−1,2−ジフェニル−エタノール(40g、0.138mol
)およびピリジン(75mL)を合した。無水酢酸(50mL)をゆっくりと加えた。蒸
気浴上で加熱した。20時間後、冷却し、そして真空蒸発させると残渣が得られた
。これをジエチルエーテルと水との間で分配した。層を分離し、有機層を水で抽
出し、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させると標記化合物が得られた
。
実施例 56
(EおよびZ)−1−(4−アセトアミドフェニル)−1,2−ジフェニル−2−ク
ロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−(4−アセトアミドフェニル)−1,2−ジフェニル−エチ
レンおよび酢酸(250mL)を合した。塩素(四塩化炭素中の0.46M溶液350mL)をゆっ
くりと加えた。添加後、反応物を周囲の温度で1時間撹拌し、次に蒸気浴上で加
熱した。2時間後、冷却し、真空蒸発させると残渣が得られた。残渣を95%エタ
ノールから再結晶すると標記化合物が得られた。mp;179〜185℃。
実施例 57
(EおよびZ)−1−〔4−(N−(2−ジエチルアミノエチル)アセトアミドフ
ェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
アセトン(150mL)中で、(EおよびZ)−1−(4−アセトアミドフェニル)
−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(17.4g、0.05mol)、2−ジエチルア
ミノエチルクロライド・塩酸塩(10g、0.058mol)および水酸化カリウム粉末(6
.7g、0.12mol)を合した。加熱還流した。2時間後、濾過し、蒸発させると残渣
が得られた。残渣をジエチルエーテルと水との間で分配した。層を分離し、有機
層を水で抽出し、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させると標記化合物
が得られる。
実施例 58
(EおよびZ)−1−〔4−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フェニル〕−1,
2−ジフェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(EおよびZ)−1−〔4−(N−(2−ジエチルアミノエチル)アセトアミド
フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン、10%塩酸水溶液(200mL
)および濃塩酸水溶液(10mL)を合した。蒸発浴上で加熱した。6時間後、周囲の
温度に冷却した。18時間後、溶液が塩基性となるまで10%水酸化ナトリウム水溶
液を加えた。塩基性溶液をジエチルエーテルで抽出した。有機層を水で抽出し、
MgSO4で乾燥し、濾過しそして真空蒸発させると残渣が得られた。残渣とブタノ
ンとを合した。クエン酸(4.3g)を加えると固体が得られた。濾過し、ブタノンか
ら2回再結晶すると標記化合物が得られた。mp;121〜125℃。
YがNHである式(I)および(II)の化合物および式(III)および(IV)の化合物は
スキームEに記載の如く製造することができる。スキームEにおいて、アルキレ
ン基(CH2)n(ここでnは2〜12の整数である)を包含する化合物は式(I)、(II)
、(III)および(IV)の化合物を包含している。すべての置換分は他に指示のない
限り先に定義した通りである。試薬および出発物質は当業者が容易に入手し得る
。
スキームE、工程aにおいて、構造式(18)の適当な4−アミノベンゾフェノン
をアセチル化して構造式(18a)のN−アセチル−4−アミノベンゾフェノンを得
る。当業者に認められているように、アセチル以外の基例えばトリフルオロアセ
チル、ベンゾイル、メタンスルホニルもしくはトリフルオロメタンスルホニルを
用いることもできる。構造式(18)の適当な4−アミノベンゾフェノンはR9がスキ
ームC、工程aにおいて先に定義した通りのものである。
例えば、構造式(18)の適当な4−アミノベンゾフェノンを適当なアセチル試薬
例えばアセチルクロライドまたは無水酢酸と接触させる。反応は適当な溶媒例え
ばピリジン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、トルエ
ンもしくはテトラヒドロフラン中で実施される。反応は適当な塩基例えばピリジ
ン、トリエチルアミン、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウムの存在下で実
施される。反応を1〜72時間撹拌する。一般に、反応は約−20℃乃至溶媒の還流
温度で実施する。生成物は当該分野で周知の技術例えば抽出、蒸発、クロマトグ
ラフィー、再結晶および磨砕により単離、精製することができる。
スキームE、工程bにおいて、構造式(18a)のN−アセチル−4−アミノベン
ゾフェノンを適当なω−アミノアルキルハライドでアルキル化して構造式(19)の
N−ω−アミノアルキル−N−アセチル−4−アミノベンゾフェノンを得る。適
当なω−アミノアルキルハライド、A(CH2)nZはスキームD、工程cに記載されて
いるものである。
例えば、構造式(18a)のN−アセチル−4−アミノベンゾフェノンを適当なω
−アミノアルキルハライドの1.0〜10モル当量と接触させる。反応は適当な塩基
例えばナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、水酸化カリウム、水酸化
ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウ
ムの存在下に実施される。反応は溶媒例えばエタノール、メタノール、テトラヒ
ドロフラン、アセトンもしくはブタノン中で実施される。反応生成物は反応帯域
から蒸発および抽出によって単離し、そして当該分野で周知の方法例えばクロマ
トグラフィーや再結晶によって精製することができる。
スキームE、工程cにおいて、構造式(19)のN−ω−アミノアルキル−N−ア
セチル−4−アミノベンゾフェノンを適当なα−クロロもしくはα−ブロモリン
試薬を用いてオレフィン化して構造式(17)のN−(ω−アミノアルキル)アセト
アミド−トリアリール−エチレンを得る。
適当なα−クロロもしくはα−ブロモリン試薬は、R6がスキームC、工程aで
先に定義した通りであり、Xがクロロもしくはブロモであり、Mがリチウム、ナ
トリウムもしくはカリウムであり、そしてGがP(Ph)3、P(O)(OPh)2、P(O)(OCH2C
H3)2、P(O)(OCH3)2もしくはP(O)(OCH(CH3)2)2であるものである。適当なα−ク
ロロもしくはα−ブロモリン試薬の製造および使用は当該分野で周知であり、認
められていて、例えばK.Lee等、Syn .Comm. 22巻,649〜655頁(1922年);J.Pe
trova等、Synthesis 658〜660頁(1975年);M.D.CrenshawおよびH.Zimmer,J .Org.Chem.
48巻、2782〜2784頁(1983年);T.Gajda,Synthesis 717〜718頁(
1990年);T.Gajda,Phosphorous nd Sulfur 53巻327〜331頁(1990年)およびS
.K.ChakobortyおよびR.Engle,Syn .Comm. 21巻 1039〜1046頁(1991年)に記
載されている。適当なα−クロロもしくはα−ブロモリン試薬は使用前に製造、
単離もしくは単離、精製することができ、または製造し、単離することなく使用
できる。
例えば、構造式(19)のN−ω−アミノアルキル−N−アセチル−4−アミノベ
ンゾフェノンを若干過剰のリチウムα−クロロベンジルホスホ
ン酸ジエチルと接触させる。反応は適当な溶媒例えばTHF、ベンゼンもしくはト
ルエン中で実施される。反応は−78℃乃至溶媒の還流温度で行われる。生成物は
スキームD、工程cで一般的に教示されているようにして単離することができる
。
あるいはまた、構造式(19)のN−ω−アミノアルキル−N−アセチル−4−ア
ミノベンゾフェノンを若干過剰のα−クロロベンジルトリフェニルホスホニウム
塩が誘導される陰イオンと接触させる。反応は適当な溶媒例えばTHFもしくはト
ルエン中で実施される。反応は−78℃乃至溶媒の還流温度で行われる。生成物は
スキームD、工程cで一般的に教示されているようにして単離することができる
。
スキームD、工程dで一般的に教示されているように、構造式(17)のN−(ω
−アミノアルキル)アセトアミド−トリアリール−エチレンのアセチル基を加水
分解して構造式(13)のω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンを得
る。
スキームC、任意工程eで一般的に教示されているように、構造式(13)のω−
アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンを脱保護し、さらに所望により
修飾して構造式(14)のω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンを得
る。
スキームC、工程fで一般的に教示されているように、構造式(13)もしくは(1
4)のω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンの異性体を分離して(
E)−ω−アミノアルキルアミノ−トリアリール−エチレンと(Z)−ω−アミノ
アルキルアミノ−トリアリール−エチレンを得る。
実施例 59
N−アセチル−4−アミノベンゾフェノン
トルエン(30mL)中で、4−アミノベンゾフェノン(10.0g、50.8mmol)、無水酢
酸(5.74mL、60.9mmol)およびトリエチルアミン(9.5mL、68.5mmol)を合した。加
熱還流した。2時間後、周囲の温度に冷却し、そして反応混合物を水に注加した
。撹拌すると固体が得られた。固体を濾集し、水で洗いすすぎ、そして乾燥した
。アセトニトリルから再結晶すると標記化合物が得られた。Rf=0.35(シリカゲ
ル、酢酸エチル)。
実施例 59.1
N−アセチル−4−アミノベンゾフェノン
ジクロロメタン(2.54L)中で4−アミノベンゾフェノン(500g、2.54mol)およ
びトリエチルアミン(307g、3.07mol)を合した。無水酢酸(313.g、3.07mol)を
加えた。18時間後、メタノール(100mL)を加え、そして真空蒸発させると残渣
が得られた。残渣と水(8L)とを合し、そして撹拌すると固体が得られた。固
体を濾集し、水でくり返し洗いすすぎ、そして乾燥すると標記化合物が得られた
。
実施例 60
N−(2−ジエチルアミノエチル)−N−アセチル−4−アミノベンゾフェノン
アセトン(30mL)中で、N−アセチル−4−アミノベンゾフェノン(4.0g、16.
7mmol)、2−ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩(3.97g、23.1mmol)および
水酸化カリウム粉末(2.81g、50.1mmol)を合した。加熱還流した。2時間後、
冷却し、そして溶媒をデカンテーションした。溶媒を真空蒸発させると残渣が得
られた。残渣を水と酢酸エチルとの間で分配した。有機層を分離し、そして水で
抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させると標記化合
物が得られた。Rf=0.0〜0.14(シリカゲルでのストリーク、酢酸エチル)。
実施例 60.1
N−(2−ジエチルアミノエチル)−N−アセチル−4−アミノベンゾフェノン
アセトン(3L)中で、N−アセチル−4−アミノベンゾフェノン(250g、1.0
5mol)、2−ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩(207.5g、1.20mol)および85
%水酸化カリウム(140g、2.12mol)を合した。加熱還流した。2時間後、冷却し
、濾過した、濾液を真空蒸発させると残渣が得られた。残渣とt−ブチルメチル
エーテル(1L)と水(2L)とを合した。pHが約2.5となるまで1M塩酸水溶液
を加えた。水層を分離し、そしてt−ブチルメチルエーテルで数回抽出した。水
層のpHを50%水酸化ナトリウム水溶液を用いて10に調節した。水層をジクロロメ
タンで2回抽出した。合したジクロロメタン層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そし
て真空蒸発させると残渣が得られた。残渣を酢酸エチル、5/95 メタノール/酢
酸エチル、10/90 メタノール/酢酸エチルで連続溶離するシリカゲルクロマト
グラフィー処理すると標記化合物が得られた。Rf=0.36(シリカゲル、2/8/0.
1 メタノール/酢酸エチル/トリエチルアミン)。
実施例 61
(EおよびZ)−1−〔4−N−アセチル−N−(2−ジエチルアミノエチルアミ
ノ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
ベンジルホスホン酸ジエチル(1.23mL、5.91mmol)および無水テトラヒドロフ
ラン(9.0mL)を合した。ドライアイス−アセトン浴を用いて−78℃に冷却した
。5分間かけてn−ブチルリチウムの溶液(4.73mL、ヘキサン中2.5M、11.8mmo
l)を滴加した。30分後、ベンゼンスルホニルクロライド(0.76mL、5.9mmol)を
加えた。無水テトラヒドロフラン
(6.0mL)中のN−(2−ジエチルアミノエチル)−N−アセチル−4−アミノベ
ンゾフェノン(1.0g、2.96mmol)を加えた。−78℃で5分後、周囲の温度に加温し
た。30分後、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加え、そして酢酸エチルで
抽出した。有機層を分離し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液で抽出し、有機層をMg
SO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させると残渣が得られた。残渣を5/94.9
/0.1 メタノール/酢酸エチル/トリエチルアミンで溶離するシリカゲルクロマ
トグラフィー処理すると標記化合物が得られた(>2.5/1 E/Z)。Rf=0.27(シ
リカゲル、20/80/0.05 メタノール/酢酸エチル/トリエチルアミン)。
実施例 61.1
(EおよびZ)−1−〔4−N−アセチル−N−(2−ジエチルアミノエチルアミ
ノ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
ベンジルホスホン酸ジエチル(42.9g、187mmol)および無水テトラヒドロフラン
(350mL)を合した。−60℃に冷却した。温度を約−55℃より低く維持しながら、
n−ブチルリチウム溶液(150mL、ヘキサン中2.5M、375mmol)を滴加した。30分
後、温度を約−55℃より低く維持しながら、テトラヒドロフラン(90mL)中のベ
ンゼンスルホニルクロライドの溶液(32.8g、187mmol)を加えた。15分後、反応混
合物を−30℃に加温した。15分後、−55℃に冷却した。カニューレによって無水
テトラヒドロフラン(280mL)中のN−(2−ジエチルアミノエチル)−N−ア
セチル−4−アミノベンゾフェノン(55.0g、163mmol)の冷却(−55℃)溶液に加
えた。カニューレによる添加は反応混合物の温度を約−45℃より低く維持しなが
ら行った。10分後、ゆっくりと周囲の温度に加温した。30分後、塩化アンモニウ
ムの飽和水溶液(500mL)を加え、そして酢酸エチル(2.5L)で抽出した。有機層を
分離し、そして重炭酸ナトリウムの飽和水溶
液で抽出し、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させると残渣が得られた
。残渣を99.9/0.1 酢酸エチル/トリエチルアミンおよび5/94.9/0.1 メタノ
ール/酢酸エチル/トリエチルアミンで連続溶離するシリカゲルクロマトグラフ
ィー処理すると標記化合物が得られた。
実施例 62
(EおよびZ)−1−〔4−N−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フェニル〕
−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−〔4−N−アセチル−N−(2−ジエチルアミノエチルア
ミノ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(0.1g、0.22mmol)
、カリウムt−ブトキサイド(0.16g、1.45mmol)、水(8.1μL、0.45mmol)およ
びジエチルエーテル(1mL)を合した。加熱還流した。16時間後、周囲の温度に
冷却し、氷水に注加し、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、そして
水および飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過
し、そして真空蒸発させると残渣が得られた。残渣を5/94.9/0.1 メタノール
/酢酸エチル/トリエチルアミンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィー処理
すると標記化合物(>2.5/1 E/Z)が得られた。Rf=0.18(シリカゲル、20/80/
0.05 メタノール/酢酸エチル/トリエチルアミン)。
実施例 62.1
(EおよびZ)−1−〔4−N−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フェニル〕
−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン
(EおよびZ)−1−〔4−N−アセチル−N−(2−ジエチルアミノエチルア
ミノ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(59.3g、133mmol)
、カリウムt−ブトキサイド(95g、850mmol)、水(2.0mL)およびテトラヒドロフ
ラン(1.0L)を合した。加熱還流した。1時間後、周囲の温度に冷却し、そし
て水と酢酸エチルとの間で分配した。有機層を分離し、水および飽和塩化ナトリ
ウム水溶液で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させ
ると標記化合物が得られた。
実施例 63
(E)−1−〔4−N−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩
(EおよびZ)−1−〔4−N−アセチル−N−(2−ジエチルアミノエチルア
ミノ)フェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン(53.9g、133mmol)
およびジエチルエーテルを合した。約−5℃に冷却した。約5分間かけて塩酸(
ガス、10.1g、280mmol)を温度を約5〜15℃に維持しながら加えると固体が得ら
れた。固体を濾集し、ジエチルエーテルで洗いすすぎし、そして乾燥した。固体
とアセトン(375mL)とを
合した。加熱還流した。1.5時間後、周囲の温度に冷却し、そして固体を濾集し
、アセトンで洗いすすぎした。固体とテトラヒドロフラン(450mL)を合し、そし
て加熱還流した。18時間後、周囲の温度に冷却し、固体を濾集し、テトラヒドロ
フランで洗いすすぎした。再び固体とテトラヒドロフラン(400mL)とを合し、加
熱還流させた。18時間後、周囲の温度に冷却し、固体を濾集し、テトラヒドロフ
ランで洗いすすぎし、そして真空乾燥すると標記化合物が得られた(98.9%E−
異性体)。
実施例 64
(E)−1−〔4−N−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フェニル〕−1,2−
ジフェニル−2−クロロ−エチレンクエン酸塩
(E)−1−〔4−N−アセチル−N−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)フ
ェニル〕−1,2−ジフェニル−2−クロロ−エチレン塩酸塩(27.6g、58mmol)お
よび酢酸エチル(350mL)を合した。撹拌しながら、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(
200mL)を注意深く加えた。30分後、有機層を分離し、そして塩化ナトリウム飽和
水溶液で抽出した。水層を合し、そして酢酸エチルで抽出した。合した有機層を
MgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発させると残渣が得られた。残渣とアセ
トン(300mL)とを合し、濾過し、そしてアセトン(70mL)中のクエン酸(11.1g、57.
8mmol)の溶液を加えた。5時間撹拌すると固体が得られた。固体を濾集し、アセ
トンで洗いすすぎし、そして真空乾燥すると標記化合物が得られた。
元素分析値(C26H28ClN2・C6H8O7に対する)
計算値:C 64.37 H 6.25 N 4.69
実験値:C 64.05 H 6.19 N 4.59
実施例 65
骨減損予防の測定
体重200〜225gの雌Sprague-Dawleyラット(70〜75日令)をHarlan Sprague D
awley,Inc.(Indianapolis,IN)から入手する。各化合物について、次の通り4
群の動物で検討した:グループ1は代表的な用量0.001〜10mg/kg/日で供試化
合物で処置した5〜20匹の卵巣摘出ラットからなり;グループ2はビヒクルで処
置した5〜20匹の卵巣摘出ラットからなり;グループ3は代表的な用量0.001〜1
0mg/kg/日で供試化合物で処置した5〜20匹の擬似卵巣摘出ラット(切開した
が、卵巣は摘出していない)からなり;グループ4はビヒクルで処置した5〜20
匹の擬似卵巣摘出ラットからなる。ラットはいずれも懸垂式ワイヤケージ中で個
別に飼育し、そして標準囓歯動物実験室用ペレット(Purina #5001)および脱イ
オン水を随時与える。
供試化合物を、レシチン(10mg/ml)パラオキシ安息香酸メチルナトリウム(
1.05mg/ml)およびパラオキシ安息香酸プロピルナトリウム(0.23mg/ml)を含
む蒸留水に均質化する。化合物およびビヒクルを40日間連続して毎日5mg/kgの
容量で胃管栄養法により投与する。卵巣摘出もしくは擬似卵巣摘出の次の日に処
置を開始する。供試化合物(もしくはビヒクル)の最終投与後24時間目に、ラッ
トを屠殺し、後肢を取り除き、軟組織の大部分をなくすよう切り離し、次にさら
に処理するまで10%緩衝化ホルマリンに入れる。完全な卵巣摘出は屠殺時間に確
認し、そして卵巣組織のフラグメントを有するラットを除外する。
ホルマリン中に最小限1週間おいた後、大腿骨および脛骨を互いにかつ残りの
軟組織から慎重に切り離す。次に、大腿骨を最小限48時間風乾し、そして60kVの
管電圧で9秒間露光したKodak XK−1フィルムを用いてFaxitron X線キャビネ
ット(Hewlett-Packard,McMinnville OR)中でX線撮映する。ラジオグラフの
像は、CCD-72ソリッド−ステートビデオカメラ(Dage-MTI Inc.,Michigan City
,IN)(所望の倍率に基づいて50mm(1:1.8)Nikonレンズおよび+1もしくは組
み合わせ+4、+2および+1クローズアップレンズを装着している)を用いて
、捕える。捕えた像をCFGフレームグラバー(Imaging Technology Inc.,Bedfor
d MA)によってデジタル様式化し、そしてOptimas画像解析ソフトウエア(Biosca
n Inc.,Edmonds WA)を用いて解析する。
骨密度(すなわち、ラジオグラフ像のグレイ値)を大腿骨端部で測定する。海
綿骨質減損を脛骨基部で測定する。減少グレイ値の分数は、ラジオグラフ中に存
在する骨の微細構造の減損を表している。
像解析測定は次の通りにして行う。大腿骨のグレイ値の測定には、像をスクリ
ーンテンプレートを用いてモニター上に正確に配向させ、そして解析領域(2.30m
m×3.34mm;11250ピクセル)を内側および外側関節丘の縁に約1.2mmのところで隣
接した大腿骨端部においてデジタル様式化した像にスーパーインポーズする。解
析領域内の各画素のグレイ値を測定し、そしてOptimas像解析ソフトウエア(Bio
Scan Inc.,Edmondes,Washington)により平均グレイ値を算出する。グレイ値
測定に対するランダムノイズの効果を最小限とするために、解析領域の二つの像
を捕捉し、平均する。次に、平均像を3×3平滑フィルターで処理してグレイ値
測定のための最終像を得る。平均グレイ値に加えて、平均グレイ値を求めるのに
用いたのと同じ解析領域を用いて大腿部端部でもグレイ値分
数を測定する。
ラジオグラフおよび像形成操作で潜在的に生じるグレイ値測定における変動性
をコントロールするために、グレイ値を、各フィルムでの試料と共にラジオグラ
フ撮映した10−ステップアルミニウムウェッジから集めたグレイ値測定で調製し
た標準曲線を用いるDensity Unitsに変換する。
ホルマリンからとり出した後、脛骨を標識組織カセットに入れ、脱灰し、パラ
フィンに埋め込み、5μの矢状切片に裁断し、アニリンブルーで染色する(骨に
ついては分染)。
小柱骨減損は脛骨基部の染色切片から直接測定する。
小柱骨領域を測定するには、脛骨切片像をモニタースクリーンテンプレート上
に正確に配向させ、そして解析領域(1.17mm×1.54mm;18240ピクセル)を皮質−
髄質縁間の像に中心を合せ、そして最も近接した個所で生長プレートから1.0mm
のところに位置させる。次に領域内の解析領域および小柱骨双方の領域をOptima
sで測定し(mm2)、そして小柱骨が占める領域の%を算出する。
Data Desk Professionalソフトウエア(Odesta Corp.,Northbrook IL)を用い
て統計学上の比較を行う。プールした変動推定値により、独立平均値に対する両
側t−検定を用いて、グループ間の比較をする。右および左大腿骨についての数
値を各動物について平均し、合算した数値を用いて記述統計を計算し、またt−
検定のために用いる。統計学上の有意性をp<0.05およびp<0.01と指定する。
実施例 66
血清オステオカルミンの測定
各々の化合物について、実施例65に記載したように4群の動物に対す
る検討を行う。各動物をCO2で麻酔し、心臓穿刺により血液を血餅活性化血清分
離器チューブに集める。遠心分離により血清を集め、−20℃で保持する。
血清オステオカルシン濃度は、Biomedical Technologies,Inc.推奨の方法を
用いる免疫検定法により測定し、また同社から所要の試薬を購入する。血清を1
:20に希釈し、そして希釈試料100μlまたはラットオステオカルシン標準品(BT
-412)100μlをラットオステオカルシン一次抗体(山羊抗−ラットオステオカル
シン、BT-413)100μl、正常山羊非免疫性血清(NIS)100μlおよびRIA緩衝剤〔
122.5mM NaCl、25mM Na4EDTA、10mM NaH2PO4、pH7.4、0.1%Tween 20および0.1
%牛血清アルブミン(RIA等級)〕に加えて総量500μlとする。オービタルプラッ
トホーム振盪機(120rpm)で一夜4℃で培養する。二日目に、〔125I〕−ラット
オステオカルシン(BT-411R)を100μl(約20,000cpm)で加えて結合オステオカ
ルシンと競合させる。管を旋回させ、次にオービタル振盪機で4℃で一夜培養す
る。三日目に、沈降性二次抗体〔0.1Mリン酸ナトリウム緩衝剤中の2%ロバ抗
−山羊IgG(BT-414)、pH7.4、2.5%ポリエチレングリコールおよび0.05%NaH3含
有〕1mlを加える。試料を混合し、オービタル振盪機で4℃で2時間培養し、次
いで4℃で15分間1500×gでの遠心分離により沈降させる。上澄液を慎重に廃棄
し、そしてペレットを蒸留水500μlと共に遠心分離することにより2回洗浄する
。上澄液を廃棄し、そしてペレットに伴う放射能をLKBガンマカウンターを用い
て定量(2分間)する。平行したオステオカルシン標準品を用いて標準オステオ
カルシン値を求める。オステオカルシン測定の統計学上の解析を両側T−検定を
なすInstatソフトウエアを用いて実施する。
本発明の実施態様によれば、骨組織減損もしくは骨粗鬆症に罹ってい
る患者に、式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物の抗骨粗鬆症有効量を投
与することからなる該患者の治療方法が提供される。
本文で使用される「骨組織減損」なる用語は、骨質量もしくは骨密度が鉱質お
よびタンパク質マトリックスの双方の成分の減損により低減した結果骨脆性を生
じる疾患もしくは状態を言う。
本文で使用される「骨粗鬆症」なる用語は、骨組織減損に起因する骨脆弱性の
結果1ケ所もしくは2ケ所以上の骨折を生じる疾病もしくは状態を言う。
本文で使用される式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物の「抗骨粗鬆症有
効量」なる用語は、患者に単投与もしくは多重投与した場合、患者の骨組織減損
速度をかかる処置なしで予測されるものを超えて防止もしくは低減させるのに有
効である量を言う。
骨組織減損もしくは骨粗鬆症の治療を必要とする患者の同定は、当業者の能力
および知識の枠内に十分に入るものである。骨組織減損もしくは骨しょう症発症
の危険性のある患者の同定は、医療技術分野で既知であり、認められている。例
えば、骨組織減損もしくは骨粗鬆症発症の家族歴および骨組織減損もしくは骨粗
鬆症発症に伴う危険因子の存在がある。当該分野の臨床家は、臨床試験、身体の
検査および(または)病歴/家族歴を用いて、骨組織減損もしくは骨粗鬆症の危
険性のある患者を容易に同定することができ、それにより個体が骨組織減損もし
くは骨粗鬆症の予防処置が必要な患者であるかどうかを容易に決めることができ
る。
抗骨粗鬆症有効量は、既知の技術を用いて、また類似した状況下で得られる結
果を観察して、当業者として治療に携わる診断医によって容易に定めることがで
きる。抗骨粗鬆症有効量もしくは用量を定めるには、
治療に携わる診断医により多くの要因が考慮され、これらの要因は限定するもの
ではないが哺乳動物の種;その大きさ、年令および一般的な健康状態;疾病の具
合もしくは関連状況もしくは程度;個々の患者の反応;投与化合物;投与様式;
投与した製剤のバイオアベイラビリティー特性;選択された用量の処方;併用投
薬の使用;およびその他の関連した状況が包含される。
式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物の抗骨粗鬆症有効量は、約0.001mg
/kg体重/日(mg/kg/日)乃至約100mg/kg/日で変動することが予測される
。
さらに他の実施態様では、本発明は、式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化
合物の抗骨粗鬆症有効量を投与することからなる、患者の骨質量を増大し、そし
て骨組織減損もしくは骨粗鬆症を防止する方法を提供するものである。
本文で使用される「患者」なる用語は、骨組織減損もしくは骨粗鬆症に罹って
いるか、もしくは骨組織喪失もしくは骨粗鬆症発症の危険性があるか、または骨
組織減損もしくは骨粗鬆症の治療を必要としている温血動物、例えばマウス、ラ
ット、ハムスター、ウサギまたはヒトを指す。
上述した疾病状態に罹っている患者の治療を実施するに当り、または上述した
疾病状態に罹るおそれのある患者の予防処置を実施するに当り、式(I)、(II)、
(III)もしくは(IV)の化合物を、経口および非経口経路を含めて、化合物を有効
量で生物学的利用可能とする任意の形態もしくは方法で投与することができる。
例えば式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物は、経口は皮下、筋肉内、静
脈内、経皮、経鼻、経腸などの経路で投与することができる。一般には経口投与
が好ましい。処方物を調
製する当業者は、選択された化合物の特性、処置対象の疾病の状態、疾病の段階
およびその他の関連状況に基づいて、適性な投与形態および様式を容易に選択す
ることができる。
式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物を、単独でもしくは製薬上許容し
得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた医薬組成物の形態で投与することができ
、この比率および性状は選択された化合物の溶解度および化学的性質、選定され
た投与経路、および標準的製薬慣行により定められる。本発明の化合物はそれ自
体有効であるが、安定性、結晶化の便宜、溶解度の増大などを目的としてその製
薬上許容し得る酸付加塩の形態で処方し、投与することができる。
別の態様では、本発明は式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物を不活性
担体の1種または2種以上と混合するか、もしくは組み合わせてなる組成物を提
供する。これらの組成物は、例えば、アッセイ標準品、バルク輸送を行うための
好都合な手段、もしくは医薬組成物として有用である。式(I)、(II)、(III)も
しくは(IV)の化合物のアッセイ可能な量は、当業者に周知で認められている標準
的なアッセイ操作および技術により容易に測定可能である。式(I)、(II)、(III
)もしくは(IV)の化合物のアッセイ可能な量は、一般に組成物重量の約0.001%〜
約75%で変化する。不活性担体は、式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物
で分解しないか、もしくはこれらと共有して反応しない任意の物質であってよい
。適当な担体の例は、水;水性緩衝剤、例えば、一般に高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)分析で有用なもの;有機溶媒例えばアセトニトリル、酢酸エチル、
ヘキサン等;および製薬上許容し得る担体もしくは賦形剤である。
さらに詳しくは、本発明は製薬上許容し得る担体もしくは賦形剤と混
合するか、もしくは組み合された式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物の
抗骨粗鬆症有効量からなる製剤を提供するものである。
製剤は製薬分野で周知の方法で製造される。担体もしくは賦形剤は、有効成分
のためのビヒクルもしくは媒質として作用し得る個体、半固体もしくは液体物質
であってよい。適当な担体もしくは賦形剤は当該分野で周知である。製剤は、経
口もしくは非経口用途に適合させることができ、患者には錠剤、カプセル剤、坐
剤、液剤、懸濁剤等の形態で投与することができる。
本発明の化合物は、例えば、不活性希釈剤もしくは食用担体と共に経口投与す
ることができる。これらの化合物はゼラチンカプセルに封入してもよいし、また
圧縮して錠剤としてもよい。経口で治療投与するためには、化合物は賦形剤と混
和し、錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシール剤、懸濁剤、シロップ剤、カ
シェ剤、チューインガム等の形態で使用することができる。これらの製剤は本発
明の化合物である有効成分を少なくとも4%含有していなければならないが、個
々の形態に基づいて変わることができ、単位重量の4%〜約70%が好都合である
。組成物中に存在する化合物の量は、適当な用量が得られるようなものである。
本発明による好ましい組成物および製剤は、経口単位剤形が本発明の化合物を5.
0〜300mgを含有するように調製する。
錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ等はまた次の佐剤の1種または2種以上を
含有することもできる。結合剤例えば微細結晶セルロース、トラガカントゴムも
しくはゼラチン;賦形剤例えばデンプンもしくは乳糖;崩壊剤例えばアルギニン
酸、プリモゲル(Primogel)、トウモロコシデンプン等;滑沢剤例えばステアリン
酸マグネシウムもしくはステロテックス(Sterotex);滑剤(グライダント)例え
ばコロイド状二酸化ケイ
素;および甘味剤例えばショ糖もしくはサッカリンを加えてもよいし、または着
香剤例えばペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ着香剤を加えても
よい。単位剤形がカプセル剤である場合は、上述したタイプの物質に加えて、液
体担体例えばポリエチレングリコールもしくは脂肪油を含有していてもよい。そ
の他の単位剤形は、単位剤形の物理的形態を例えば剤皮として変更するようなそ
の他の種々の物質を含有していてもよい。それゆえ錠剤もしくは丸剤は糖、セラ
ックもしくはその他の腸溶性被覆剤で被覆されていてよい。シロップ剤は、本発
明の化合物に加えて、甘味剤としてショ糖およびある種の保存剤、染料および着
色剤および着香剤を含有することができる。これらの種々の組成物を調製するの
に使用される物質は製薬上純粋であり、かつ使用量で無毒性でなければならない
。
非経口治療投与のためには、本発明の化合物を液剤もしくは懸濁剤に混入する
ことができる。これらの製剤は本発明の化合物を少なくとも0.1%を含有してい
なければならないが、その重量の0.1〜約50%で変化し得る。このような組成物
中に存在する本発明の化合物の量は適当な用量が得られるようなものである。本
発明による好ましい組成物および製剤は、非経口単位剤形が本発明の化合物0.1
〜100mgを含有するように調製される。
液剤もしくは懸濁剤はまた次の佐剤の1種または2種以上を包含していてもよ
い。滅菌希釈剤例えば注射用水、生理食塩水、硬化油、ポリエチレングリコール
、グリセリン、プロピレングリコールもしくはその他の合成溶剤;抗菌剤例えば
ベンジルアルコールもしくはパラオキシ安息香酸メチル;抗酸化剤例えばアスコ
ルビン酸もしくは重亜硫酸ナトリウム;キレート剤例えばエチレンジアミン四酢
酸;緩衝剤例えば酢酸塩、
クエン酸塩もしくはリン酸塩および等張化剤例えば塩化ナトリウムもしくはデキ
ストロース。非経口製剤は、ガラスもしくはプラスチツク製のアンプル、使い捨
て注射器もしくは多重投与用びんに封入することができる。
特別な一般用途を有する構造類似の化合物のいずれの基でもみられるように、
ある種の基および配位が、最終用途の適用において、式(I)および(II)の化合物
にとって好ましいものである。
置換分Xに関しては、Xがクロロである式(I)、(II)、(III)および(IV)の化
合物が一般に好ましい。
置換分Aに関しては、Aがジエチルアミノである式(I)、(II)、(III)および(
IV)の化合物が一般に好ましい。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
// C07C 217/18 C07C 217/18
C07D 295/08 C07D 295/08 A
Z
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,B
Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES
,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,
KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,M
D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL
,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,
TJ,TM,TT,UA,UG,UZ,VN