【発明の詳細な説明】
通信用ガス放電チューブ装置およびそれに使用する組成物
発明の背景
発明の分野
本発明は、通信設備用ガス放電チューブ装置およびそのような装置で使用する
組成物に関する。
発明への序論
ガス放電チューブは、電気的干渉または高電圧雷パルスが生じた場合に、通信
設備および回路を損傷から保護するために、通常使用される。このようにして使
用されるガスチューブは、しばしばガスチューブプロテクタと呼ばれる。チュー
ブは、高電圧でイオン化されて、電気パルスの接地を可能にし、従ってパルスに
より生じる損傷を最小限にとどめるガスを含んでいる。例えば偶発的な電力線の
クロスオーバーの結果として継続的な高電流過負荷が生じた場合、チューブは限
定的な持続したイオン化を保持する。
持続した過電流状態中の過熱からの故障の際に保護を与える為、およびチュー
ブからイオン化ガスが排出された場合に保護を確実にする為、通常、それぞれに
対応して「フェイルセーフ」および「ベントセーフ」機構がガスチューブプロテ
クタに組み込まれている。「フェイルセーフ」は、熱的損傷保護に関連し、しば
しば溶融性金属またはプラスチック材料により提供される。この材料は、電流過
負荷からのエネルギーによって加熱された場合、バイアスのかかったショート部
材に変わり、ガスチューブの周囲に永久的な電流遮断を提供する。これは、2つ
の電極の間に配置した熱可塑性フィルムを溶融することにより生じさせることが
でき、それ故、電極間に接触を形成し、電流を接地へと分路することができる。
「ベントセーフ」は、ガスが「ベント」され、または大気中に放出された場合に
作動して過電圧保護をバックアップすることに関連する。ベントセーフ保護は、
しばしば、チューブの外側構造の部分であるエアギャップにより提供される。エ
アギャップの割合は、通常の環境においてガスチューブがエアギャップの燃焼を
防止するように、ガスチューブ自体の通常の難燃性能よりもかなり大きい、例え
ば2倍の難燃性能を持つように選択される。これにより、エアギャップが損傷さ
れる可能性は小さくなるが、その理由は、過電圧パルスは通常適切に機能してい
るガスチューブを通して害なく発火するが、安全性バックアップとして意図され
ているエアギャップを損傷するかもしれないからである。
エアギャップベントセーフ設計の信頼性を増すためには、湿気、大気汚染、昆
虫または他の環境因子による汚染を防止するように、エアギャップを環境から孤
立させるのが普通である。封入材料、注封材料、相似被覆およびゲルは、一般に
、すべての湿気侵入は防止できず、またそれら材料自体がエアギャップ内に侵入
して電圧放電レベルを変化させおよび/または腐食を引き起こすので、多くの場
合それらの有用性は限られている。放電電圧レベルの低下は、最終的に低い電圧
レベルで電気的ショートを発生させることになり、放電電圧レベルの上昇は、エ
アギャップバックアップの目的を損なう。
これら問題の幾つかは、エアギャップを特に非線形電気抵抗特性を有する固体
物質の層により置き換えることにより解決されている。そのようなエアギャップ
は、出願中の米国特許出願第08/046,059号(デボー(Debbaut)ら、
1993年4月10日出願)に記載されている。その開示を引用して本明細書に
組み込む。環境に対しては安定であるものの、固体物質は、連続のインパルスに
より破壊電圧の低下をこうむり、実際、高電圧を放電する際の通常の作動中、雷
のような高エネルギーパルスは破壊的となる。さらに、そのようなエアギャップ
がすべてフェイルセーフ保護を与えるのではない。
発明の概要
電気的破壊について試験した場合に特定の電気的性質を有する電気的非線形材
料から製造された電気的非線形要素を、上記米国特許出願第08/046,05
9号に記載の固体材料エアギャップに代えて用いると、ベントセーフおよびフェ
イルセーフ特性の両方を持つガスチューブ装置を製造できることが見い出された
。加えて、非線形材料の性質並びに連続した電気的現象中のその物理的および電
気的安定性の故に、典型的な通信サービス条件下で非線形要素を損なうことなく
装置を繰り返し活性化できる。要素を交換する必要性が減少するので、通信シス
テ
ムの信頼性が増し、保守コストが低減される。好ましい形態において、材料は、
ガスチューブプロテクタに追随する性能を有するゲルを含んでおり、このことに
より、湿気侵入の可能性が少なくなり、製造の自由度が増す。さらに、ゲルはゲ
ルカプセル材料に適合し、従って環境封止に寄与する。
第1の要旨において、本発明は、
(1)ガス放電チューブの第1端末に電気的に接続される第1電極;
(2)ガス放電チューブの第2端末に電気的に接続される第2電極;および
(3)第1および第2電極を分離し、電気的非線形組成物を含んでなる電気的
非線形抵抗素子
を有してなる通信用ガスチューブ装置であって、該電気的非線形組成物は、
(a)(i)ポリマー成分および(ii)粒状充填材を含み、
(b)25℃において少なくとも109Ω-cmの初期抵抗率ρiを有し、
(c)組成物を含む標準装置が初期破壊電圧VSiを有する場合、標準装置を標
準インパルス破壊試験に付した後に、装置は0.7VSi〜1.3VSiの最終破壊
電圧VSfを有し、装置中の組成物は、25℃において少なくとも109Ω-cmの最
終抵抗率ρfを有する
通信用ガスチューブ装置を提供する。
第2の要旨において、本発明は、
(1)ガス放電チューブの第1端末に電気的に接続される第1電極;
(2)ガス放電チューブの第2端末に電気的に接続される第2電極;および
(3)第1および第2電極を分離し、電気的非線形組成物を含んでなる電気的
非線形抵抗素子
を有してなる通信用ガスチューブ装置であって、該電気的非線形組成物は、
(a)(i)全組成物の30〜95体積%のゲルおよび(ii)全組成物の5〜
70体積%の粒状導電性充填材を含み、
(b)25℃において少なくとも109Ω-cmの初期抵抗率ρiを有する
通信用ガスチューブ装置を提供する。
第3の要旨において、本発明は、
(A)保持要素、および
(B)該保持要素内に挿入された本発明の第1の要旨の通信用ガスチューブ装
置
を有してなるアッセンブリを提供する。
第4の要旨において、本発明は、本発明の第1の要旨に記載した種類の電気的
非線形抵抗組成物を提供する。
図面の簡単な説明
図1は、1対の通信線に組み込まれた典型的な3要素ガス放電チューブを示す
模式図、
図2は、図1のガスチューブの断面図、
図3は、本発明のガスチューブ装置の分解図、
図4は、ゲルに封入された本発明のガスチューブ装置の断面図、
図5は、本発明のアッセンブリの分解図、
図6は、図5のアッセンブリの断面図、
図7は、本発明の組成物を試験する為の標準装置を示す模式図、
図8は、インパルス試験サイクルの関数としてインパルス破壊(ボルト)を示
すグラフ、
図9および図10は、本発明の組成物について、電極間距離の関数としてイン
パルス破壊(ボルト)を示すグラフ、
図11は、本発明の組成物について、電極間距離の関数としてDC破壊電圧と
インパルス破壊電圧を示すグラフ
である。
発明の詳細な説明
本発明のガスチューブ装置およびアッセンブリは共に、電気的非線形組成物を
含んでなる電気的非線形抵抗素子を有している。本明細書において、「非線形」
という用語は、印加電圧がインパルス破壊電圧より低い場合には、組成物は実質
的に非導電性である、即ち109Ω-cmより高い抵抗率を有するが、印加電圧がイ
ンパルス破壊電圧と同じであるかまたは高くなると、組成物は導電性になる、即
ち109Ω-cmより小さい抵抗率を有することを意味する。電気的非線形組成物は
、ポリマー成分および粒状充填材を含んでなる。ポリマー成分は、適切なポリマ
ー、例えば、ポリオレフィンまたはフルオロポリマーのような熱可塑性ポリマー
、エポキシのような熱硬化性ポリマー、エラストマー、グリース、若しくはゲル
のいずれであってもよい。ポリマー成分は、一般に全組成物の30〜95体積%
、好ましくは35〜90体積%、特に40〜85体積%の量で含まれる。
多くの用途において、ポリマー成分はポリマーゲル、即ち定常状態にある時は
流動性を示さない実質的に希薄な架橋溶液からなっていてよい。連続網目構造を
与える架橋は、物理的または化学的結合、微結晶または他の結合様式の結果であ
ってよく、ゲルの使用条件下で損なわれないものでなくてはならない。多くのゲ
ルは、液体、例えば油が網目の隙間を充填している液展ポリマーを含んでなる。
適当なゲルには、シリコーン(例えば、ポリオルガノシロキサン系)、ポリウレ
タン、ポリウレア、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレンコ
ポリマー、スチレン−(エチレン/プロピレン)−スチレン(SEPS)ブロッ
クコポリマー(商品名「セプトン」(Septo:商標)としてクラレから市販)、
スチレン−(エチレン−プロピレン/エチレン−ブチレン)−スチレンブロック
コポリマー(商品名「セプトン」(商標)としてクラレから市販)、および/ま
たはスチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレン(SEBS)ブロックコポリ
マー(商品名「クラトン」(Kraton:商標)としてシェル・オイル・カンパニ
ー(Shell Oil Co.)から市販)などが包含される。適当な増量剤には、鉱油
、植物油(例えば、パラフィン油)、シリコーン油、可塑剤(例えば、トリメリ
テート)、またはこれらの混合物が包含され、一般にゲル全重量の30〜90重
量%の量で含まれる。ゲルは、架橋が多官能性架橋剤により形成される熱硬化性
ゲル、例えばシリコーンゲル、または領域のミクロ相分離が結合点として働く熱
可塑性ゲルであってよい。本発明の組成物中のポリマー成分として適当であり得
るゲルの開示は、米国特許第4600261号(デボー)、同第4690831
号(ユーケン(Uken)ら)、同第4716183号(ガマラ(Gamarrra)ら)
、同第4777063号(ダブロー(Dabrow)ら)、同4864725号(デ
ボーら)、
同第4865905号(ユーケンら)、同第5079300号(ダブローら)、
同第5104930号(リンデ(Rinde)ら)および同第5149736号(ガ
マラら)、並びに国際特許公開WO86/01634(トイ(Toy)ら)、WO
88/00603(フランシス(Francis)ら)、WO90/05166(サザ
ーランド(Sutherland))、WO91/05014(サザーランド)およびW
O93/23472(ハモンド(Hammond)ら)に見られる。これら特許および
特許公報の開示を引用して本明細書に組み込む。
ゲルは、1〜50グラム、特に約5〜25グラム、更には6〜20グラムのボ
ランド(Voland)硬度、1〜45%、好ましくは15〜40%の応力緩和、5
〜40グラム、好ましくは9〜35グラムのタック、および少なくとも50%、
好ましくは少なくとも100%、特に少なくとも400%、更には少なくとも1
000%、最も特に少なくとも1500%の極限伸びを有するのが好ましい。伸
びは、ASTM D217(その開示を引用して本明細書に組み込む)に準拠し
て測定する。ボランド硬度、応力緩和およびタックは、米国特許第507930
0号(ダブローら)(その開示を引用して本明細書に組み込む)に記載されてい
るように、ボランド−スティーブンス(Stevens)・テキスチャー・アナライザ
ー・モデルLFRA(1000グラム荷重セル、5グラムトリガーおよび0.2
5インチ(6.35mm)ボールプローブ使用)を用いて測定した。ゲルの硬度を
測定するために、10gのゲルを含んだ20mlガラス製シンチレーションバイア
ルをアナライザーに装着し、ステンレス鋼ボールプローブを0.20mm/秒の速
度で侵入距離4.0mmまでゲル中に押し込む。ボランド硬度は、上記速度でボー
ルプローブを規定された4.0mmまで貫入させるか、またはゲルの表面を4.0
mm変形させるのに要する力(グラム単位)である。特定のゲルのボランド硬度は
、米国特許第4852646号(ディトマー(Dittmer)ら)(その開示を引用
して本明細書に組み込む)に記載された手順により測定したASTM D217
のコーン・ペネトレーション硬度に直接相関し得る。
ポリマー成分に加えて、組成物は粒状充填材も含んでいる。充填材は、得られ
る組成物が適切な電気的非線形性を有する限り、導電性、半導性、非導電性であ
っ
てよく、あるいは2種またはそれ以上の充填材の混合物であってもよい。充填材
は導電性または半導性であることが一般に好ましい。導電性充填材は、一般に最
大10-3Ω-cmの抵抗率を有し、半導性充填材は、一般に最大103Ω-cmの抵抗
率を有するが、その抵抗率はドーパント物質、さらに温度および他の因子の関数
であり、実質的に103Ω-cmよりも高いこともありうる。適当な充填材には、金
属粉末(例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、銀被覆ニッケル、白金、銅、タ
ンタル、タングステン、金およびコバルト);金属酸化物粉末(例えば、酸化鉄
、ドープ化酸化鉄、ドープ化二酸化チタンおよびドープ化酸化亜鉛);金属炭化
物粉末(例えば、炭化珪素、炭化チタンおよび炭化タンタル);金属窒化物粉末
;金属ホウ化物;カーボンブラックまたはグラファイト;および合金(例えば、
青銅および黄銅)が包含される。充填材として特に好ましいのは、アルミニウム
、酸化鉄(Fe3O4)、二酸化チタンでドープした酸化鉄、炭化珪素および銀被
覆ニッケルである。ポリマー成分がゲルであるなら、選択された充填材がゲルの
架橋に影響を与えないこと、即ち「失効」させないことが重要である。充填材は
、全組成物の5〜70体積%、好ましくは10〜65体積%、特に15〜60体
積%の量で含まれる。
充填材の体積添加、形状および寸法は、組成物の電気的非線形特性に影響を与
えるが、それは部分的には粒子間の間隔の故である。どのような形状の粒子も使
用でき、例えば球、フレーク、ファイバまたはロッド状のものが使用できる。有
用な組成物は、0.010〜100ミクロン、好ましくは0.1〜75ミクロン
、特に0.5〜50ミクロン、更には1〜20ミクロンの平均寸法を有する粒子
から製造できる。異なる寸法、形状および/または種類の粒子の混合物を使用し
てもよい。粒子は、磁性または非磁性であってよい。
粒状充填材に加えて、組成物は、他の通常の添加物、例えば安定剤、顔料、架
橋剤、触媒および禁止剤などを含んでもよい。
本発明の組成物は、例えば溶融ブレンド、溶媒ブレンドまたは強力混合などの
適当な手段により調製することができ、押出成形、カレンダー成形、注型および
圧縮成形などの通常の方法により成形できる。ポリマー成分がゲルであるなら、
撹拌によりゲルを充填材と混合し、組成物を基材上に注入するかまたは注型し、
あるいは成型し、多くの場合加熱により硬化させることができる。
本発明の組成物は、抵抗率および破壊電圧の両者により評価して、優れた安定
性を有している。組成物は、電気絶縁性であり、その25℃での初期抵抗率ρi
は、少なくとも109Ω-cm、好ましくは少なくとも1010Ω-cm、特に少なくと
も1011Ω-cm、更には少なくとも1012Ω-cmである。初期抵抗率ρiは、組成
物を後記のように標準装置に形成した場合、初期絶縁抵抗Riが少なくとも109
Ω、好ましくは少なくとも1010Ω、特に少なくとも1011Ωであるようなもの
である。本発明の組成物が通信用装置に使用される場合、少なくとも109Ωの
Ri値が好ましい。標準インパルス破壊試験(下記参照)に付した後、25℃で
の最終抵抗率ρfは少なくとも109Ω-cmであり、ρf対ρiの比は、最大1×1
03、好ましくは最大5×102、特に最大1×102、更に最大5×101、より
特には最大1×101である。標準インパルス破壊試験に付した後の標準装置の
最終絶縁抵抗Rfは、少なくとも109Ω、好ましくは少なくとも1010Ω、特に
少なくとも1011Ωである。
本発明の組成物は、後記のように標準装置に形成し、標準インパルス破壊試験
に付す場合、装置は、初期破壊電圧VSiと、0.70VSi〜1.30VSi、好ま
しくは0.80VSi〜1.20VSi、特に0.85VSi〜1.15VSi、更には
0.90VSi〜1.105VSiである最終破壊電圧VSfを有する。破壊電圧の値
は、とりわけ、粒状充填材の体積分率、粒子寸法および粒子間距離に影響される
。一般に、粒子寸法が減少すると、破壊電圧が増す。
本発明の組成物のいくつかは、一回の電圧放電の後、106Ω-cm未満の抵抗率
の導電状態に「縛られる」(latch)、すなわち保持されることがある。縛られ
た装置がゲルを含む組成物から製造されているなら、物理的変形、例えば屈曲、
捩り、圧縮または引張などにより、高い抵抗率、例えば少なくとも109Ω-cmの
抵抗率に装置を「リセット」することができる。縛り挙動は、粒子寸法、粒子間
距離および粒子形状の関数である。ゲルの場合、例えば4ミクロン未満の粒子間
距離を有する一般に小さい球状粒子、例えば1〜5ミクロンの球状粒子が縛りを
生じる。
ある電気的条件において、本発明の組成物、特にアルミニウムを含む組成物は
、フェイルセーフ保護を与える。十分に高いエネルギー水準、例えば30Aおよ
び1000ボルトに2秒〜30分間曝された場合、粒状充填材は、溶融付着し、
電極間に永久的な導電経路を作り、10Ω未満、例えば1〜10mΩの最終抵抗
を与えることがある。そのような挙動は、交差した電力線の場合に望ましく、永
久的な短絡を形成する。
本発明を図面により具体的に説明する。図1は、ガスチューブ12を通信線に
組み込む通常の通信回路の模式図である。断面を図2に示したガスチューブ12
は、通信回路のチップサイド13およびリングサイド14にそれぞれ接続するた
めの第1端末16および第2端末17を有している。加えて、ガスチューブ12
は、中心接地端末18を有している。セラミックシェル19は、イオン化性ガス
20を封入しており、イオン化性ガス20は、所定の電圧でイオン化されて放電
プラズマを形成する。
図3は、本発明のガスチューブ装置40の分解図である。この態様では、ガス
チューブ12の第1端末16および第2末端17はそれぞれ、ガスチューブ装置
40の第1および第2電極としても機能する。(図示されていないが、ガスチュ
ーブは、ガスチューブ装置の第3電極に接続できる第3端末を有していてもよい
。電極の1つは、接地電極であってよい。)電気的非線形抵抗素子45は、第1
電極16および第2電極17に接触して配置されている。接地端末55は、抵抗
素子45に物理的に接触しており、ガスチューブ12の接地端末18に電気的に
接触している。好ましい態様では、抵抗素子を形成する非線形組成物は、ガスチ
ューブ12の形状に追随するように、十分な柔軟性を有する。
図4は、ゲル封入材50に埋設されたガスチューブ装置40の断面図である。
封入材は、例えば注封コンパウンド、相似被覆またはゲルであってよく、湿気お
よび他の汚染からの環境保護を与える。加えて、封入材は、プラズマ放電から酸
素を排除し、かつ局所的なホットスポットから熱エネルギーを奪うヒートシンク
として作用する。抵抗素子は封入材に対して化学的に不活性であるのが好ましい
。
図5は、本発明のアッセンブリ70の分解図であり、図6は、そのアッセンブ
リの断面図である。保持要素72は、ガスチューブ12、抵抗素子45および接
地電極55'を収容するように設計されている。抵抗素子45は図示されている
ように、ガスチューブ12との接触を高めるために薄片状であってよいが、カー
ブ状でもまたは他の形状であってもよい。スプリングリード76,78は、ガス
チューブ12に取り付けられ、対応する絶縁置換コネクター(図示せず)との電
気的接触を形成するように機能する。ガスチューブ12は、保持要素72、保持
キャップ74、および保持キャップ74の窪みまたは穴に挿入できる接地ピン8
0により、抵抗素子45および接地電極55'に対して適当な位置に保持される
。保持キャップ74は、超音波溶接、接着または他の手段により、保持要素72
と一体化される。ガスチューブ12と接地電極55'との間の距離を適当に保つ
ため、スペーサ56が接地電極55'から突出している。スペーサ56の高さは
、異なる水準の電圧破壊を達成するように選択される。保持要素72は、内容物
を包囲するために、封入材で充填されていてよい。
本発明を、以下の実施例により説明する。
実施例1〜14
表1に示す成分を、スパチュラで混合して粒状充填材を分散させ、真空オーブ
ン中で1分間脱気し、PTFE被覆剥離シート上に広げ、硬化させた。下記標準
装置は、電極間距離1mmとなるように製造した。次いで、サンプルを、3つの試
験の内の1つに付したが、標準インパルス破壊試験は、数個のサンプルについて
5〜100サイクル行った。図8〜11に示した結果は、シリコーンゲル1およ
び熱可塑性ゲルをベースとする組成物が、インパルス破壊および絶縁抵抗からみ
て、100サイクルにわたって優れた安定性および再現性を有していることを示
している。シリコーンゲル2をベースとする組成物は、約41サイクルまでに1
05Ω未満への絶縁抵抗の低下を示した。シリコーングリースをベースとする組
成物は、4サイクルまでに同様の低下を示した(図8)。エポキシをベースとす
る実施例4は、インパルス試験条件において破壊されたが、DC破壊試験では1
5サイクルまでに絶縁抵抗の低下を示した。図9および10は、0.25〜1.
0mmの範囲の厚さのサンプルについてのインパルス破壊電圧に対する粒子寸法お
よび充填材配合の効果を示す。図11は、所定の粒子寸法および配合に対して、
インパルス破壊およびDC破壊電圧は、ほぼ同等であることを示す。
標準装置
直径11.2mm(即ち表面積約1cm2)および厚さ1mmの円形サンプルを、硬
化した組成物から切り出し、図7に断面図を示す試験機に取り付けた。被験組成
物サンプル90を、2個の円形アルミニウム電極91,92の間に配置した。電
極それぞれの直径は約11.2mmであり、組成物90に接触する表面は約100
mm2であった。11.2mmよりもやや大きい内径のポリカーボネートスリーブ9
3を組み立てた電極と組成物の回りに配置し、アッセンブリを、支持要素95,
96を有する試験機94に取り付けた。電極91,92間の間隔が1mmとなるよ
うにマイクロメータ97を調節した。(下記の改良インパルス破壊試験では、電
極間の間隔、即ちサンプル厚さを0.25〜1.0mmで変化させるように調節し
た。ゲルサンプルについては、サンプルは1mmの初期厚さを有していた。サンプ
ル厚さを減少するようにマイクロメータを調節すると、余分なサンプルは電極9
4中の開口98および電極91,92とポリカーボネートスリーブ93と間を通
って流れる。)
標準インパルス破壊試験
1cm2×1mmの寸法を有する標準装置を、図7に示す試験機に取り付けた。試
験前に、ゲンラド1864メガオーム(Genrad 1864 Megaohm)メータを
用いて50ボルトのバイアス電圧を印加して、標準装置の絶縁抵抗Riを25℃
で測定し、初期抵抗率ρiを計算した。標準装置を、インパルス発生器を有する
回路に組み込み、各サイクルにおいて、10×1000μsの波形(即ち、最高
電圧への立ち上がり時間10μsおよび半値高1000μs)および最大1Aの
電流の高エネルギーインパルスを印加した。破壊時に装置を横切って測定したピ
ーク電圧、即ちゲルの中を電流が流れ始める電圧を、インパルス破壊電圧として
記録した。標準インパルス破壊試験では、5サイクル行った。5サイクル後の標
準試験での最終絶縁抵抗Rfを測定し、最終抵抗率ρfを計算した。
改良インパルス破壊試験
電極間隔を0.25から1mmまで変化させてサンプルを製造し、標準インパル
ス破壊試験の手順に従って試験した。
DC破壊試験
標準装置を回路に組み込み、200V/秒の速度で上昇させた電圧に付した[
ハイポット・モデル(Hipot Model)M1000 DCテスタ]。DC破壊を、
5mAの電流が装置中を流れ始める電圧として記録した。
実施例15〜18
本発明の組成物は電圧放電の後に導電条件に留まっているかを調べるため、表
2に示す組成物を有する標準装置を製造した。上記標準インパルス破壊試験に記
述した種類の電圧放電一回に装置を曝す前に、初期抵抗率を測定した。放電後、
最終抵抗率を測定した。最終抵抗率が105Ω-cm未満であるなら、装置は縛られ
たと見なした。粒子間のおおよその間隔は、式:
λ=4(1−f)r/(3f)
[式中、λは平均自由行路(即ち、粒子間間隔)、fは粒子の体積分率、および
rは粒子半径である。]
を用いて計算した。組成物が縛られるか否かは、粒子寸法および粒子充填量両者
の関数であった。20ミクロンのアルミニウムは、より大きい粒子間間隔におい
て縛ったが、これは、明らかに一部には、平均して粒子は実質的に球形であった
が、全ての粒子が完全に球形ではなかったことによる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 モートン,ロドニー・イー
アメリカ合衆国27502ノースカロライナ州
アペックス、パークノール・レイン210
番