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JPH10337900A - 電子源および画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子源および画像形成装置の製造方法

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Publication number
JPH10337900A
JPH10337900A JP14807597A JP14807597A JPH10337900A JP H10337900 A JPH10337900 A JP H10337900A JP 14807597 A JP14807597 A JP 14807597A JP 14807597 A JP14807597 A JP 14807597A JP H10337900 A JPH10337900 A JP H10337900A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
getter material
getter
alloy
electron
electron source
Prior art date
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Pending
Application number
JP14807597A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideji Kawasaki
秀司 川崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP14807597A priority Critical patent/JPH10337900A/ja
Publication of JPH10337900A publication Critical patent/JPH10337900A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Printers Or Recording Devices Using Electromagnetic And Radiation Means (AREA)
  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子源基板上に簡易な工程によりゲッターを
多数配置し得る電子源の製造方法、および該電子源を用
いた画像形成装置の製造方法の提供。 【解決手段】 電子源に、インクジェット法によりゲッ
ター原料を含む液滴を付与する工程、真空中ないしA
r、Ne等の不活性ガス中で加熱しゲッター原料を熱分解
してゲッター材とする工程、ゲッター材表面に保護層を
形成する工程、電子源周辺を動作に必要な真空雰囲気と
してゲッター材を活性化する工程、の各工程を有する電
子源の製造方法、ならびに外囲器内面にインクジェット
によりゲッター材原料を含む溶液を液滴として付与する
工程、加熱し熱分解してゲッター材とする工程、ゲッタ
ー材表面に保護膜を形成する工程、ゲッター材を活性化
してゲッター機能を発現させる工程、の各工程を有する
画像形成装置の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面伝導型電子放出素
子、該電子放出素子を用いた電子源、該電子源を用いた
画像形成装置および該電子放出素子の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類
のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放
出型(以下、FE型という)、「金属/絶縁層/金属」
型(以下MIM型という)や表面伝導型電子放出素子等
がある。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.Dol
an,"Field emission",Advance in Elelctron Physics,
8, 89(1956)、あるいはC.A.Spindt,"PHYSICAL Properti
es ofthin-film field emission cathodes with molybd
enum cones",J.Appl.Phys.,47, 5248(1976)等に開示さ
れたものが知られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A.Mead,"Operat
ion of Tunnel-Emission Deivices",J.Appl.Phys.,32,
646(1961)等に開示されたものが知られている。表面伝
導型電子放出莱子型の例としては、M.I.Elinson,Recio
Eng. Electron Phys.,10, 1290(1965)等に開示されたも
のがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等
によるSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.
Dittmer:"Thin Solid Films",9, 317(1972)]、In2O3
/SnO2薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fonsta
d:"IEEE Trans.EDConf."519(1975)]、カーボン薄膜によ
るもの[荒木久他:真空、第26巻、第1号、22頁(198
3)]等が報告されている。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として前述のM.ハートウェルの素子構成を図19
に模式的に示す。同図において1901は基板である。
1904は導電性薄膜で、H型形状のパターンに、スパ
ッターで形成された金属酸化物薄膜等からなり,後述の
通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部
1905が形成される。なお、図中の素子電極間隔L1
は0.5〜1mm、Wは0.1mmで設定されている。
【0007】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜1904を予
め通電フォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放
出部1905を形成するのが一般的であつた。すなわ
ち、通電フオーミングとは前記導電性薄膜1904両端
に直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧例えば
1V/min.程度を印加通電し、導電性薄膜を局所的に破
壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態に
した電子放出部1903を形成することである。なお、
電子放出部1903は導電性薄膜1904の一部に亀裂
が発生しその亀裂付近から電子放出が行われる。前記通
電フォーミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、
上述の導電性薄膜1904に電圧を印加し、素子に電流
を流すことにより、上述の電子放出部1903より竃子
を放出せしめるものである。
【0008】上述の表面伝導型放出素子は,構造が単純
で製造も容易であることから,大面積にわたり多数素子
を配列形成できる利点がある。そこで,この特徴を生か
せるようなさまざまな応用が研究されている。例えば、
荷電ビーム源、表示装置等があげられる。多数の表面伝
導型放出素子を配列形成した例としては、後述するよう
に、並列に表面伝導型電子放出素子を配列し、個々の素
子の両端を配線(共通配線とも呼ぶ)で、それぞれ結線
した行を多数行配列した電子源(例えば、特開昭64−
31332、特開平1−283749、同2−2575
52各号公報)があげられる。
【0009】また,特に表示装置等の画像形成装置にお
いては、近年、液晶を用いた平板型表示装置が、CRT
に替わって普及してきたが、自発光型でないため、バッ
クライトを持たなけれはならない等の間題点があり、自
発光型の表示装置の開発が望まれてきた。自発光型表示
装置としては、表面伝導型放出素子を多数配置した電子
源と電子源より放出された電子によって、可視光を発光
せしめる蛍光体とを組み合わせた表示装置である画像形
成装置(例えは、USP 5,066,883)があげられる。
【0010】上記のような電子源と蛍光体等の画像形成
部材を組み合わせて構成される画像形成装置、例えばC
RTなどでは、真空容器内の高真空を維持することが重
要である。装置を作成した直後には高真空であっても、
真空容器の内壁や、電子源、画像形成部材などから徐々
にガスが放出されるため、これを放置すると電子源の性
能が低下したり、真空容器内で放電が生じ、装置が破壊
されてしまう。これを防ぐために、真空容器内にゲッタ
ーを配置し、放出ガスを吸着して高真空を維持すること
が必要不可欠である。
【0011】ゲッターとしては、Baを主成分とする、
蒸着型ゲッターがよく用いられる。これはゲッターを通
電加熱あるいは高周波加熱等により蒸発させ、真空容器
内壁に蒸着膜を形成して、これにゲッター機能を持たせ
るものである。しかしながら蒸着膜が電子源の表面に付
着すると、短絡などを生じてしまうため、この部分には
用いられない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】平板型の画像表示装置
においては、蒸発型ゲッターの蒸着膜は、画像表示領域
の外周部に形成されることになる。この場合、画像表示
領域内で発生したガスがゲッターに吸着されるのに時間
がかかるため、その前に放電を引き起こしてしまうこと
が問題である。
【0013】これを防ぐには、画像表示領域内に非蒸発
型ゲッターを配置することが考えられる。非蒸発型ゲッ
ターとしては、Zrを主体とした合金がよく知られてい
る。画像表示領域内にゲッターを配置する場合、ゲッタ
ーが画像表示を妨げてはいけないから、ゲッターのブロ
ックを配置する方法では配置できる場所が限られてしま
う。
【0014】これに対して、真空蒸着法などの方法によ
り非蒸発型ゲッターの薄膜を形成する方法が考えられ
る。しかしながら、必要な絶縁を妨げてはいけないの
で、微細なパターニングを行うことが必要となり、工程
が複雑となり、大面積の電子源を生産するためには、満
足できる方法とは言えない。
【0015】本発明は上記の諸問題に鑑みなされたもの
であって、その目的とするところは電子源の製造におい
て上記のような問題のない、電子源基板上に、簡易な工
程によって、ゲッターを多数配置し得る電子源の製造方
法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題・目的は以下
に示す本発明によって解決・達成される。すなわち本発
明は、基体上に多数の電子放出素子を配置し、且つゲッ
ター材を有してなる電子源の製造方法において、前記基
体ないし該基体上に形成された部材上の所定の位置に、
インクジェット装置により前記ゲッター材の原料を含む
溶液を液滴として付与する工程、付与されたゲッター材
の原料を加熱することにより熱分解してゲッター材とす
る工程、次いでゲッター材表面に保護膜を形成する工
程、該ゲッター材を活性化してゲッター機能を発現させ
る工程、の各工程を有することを特徴とする電子源の製
造方法を開示するものである。
【0017】また本発明は、電子源が、前記の製造方法
によるものであって、且つ該電子源と、画像形成部材を
有するフェースプレート、支持枠、電子源の基体それ自
体ないし該基体とは別のリアプレートからなる外囲器よ
りなる画像形成装置の製造方法において、外囲器内面の
所定の位置にインクジェット装置により前記ゲッター材
の原料を含む溶液を液滴として付与する工程、付与され
たゲッター材の原料を加熱することにより熱分解してゲ
ッター材とする工程、次いでゲッター材表面に保護膜を
形成する工程、該ゲッター材を活性化してゲッター機能
を発現させる工程、の各工程を有することを特徴とする
画像形成装置の製造方法を開示するものである。
【0018】本発明の製造方法は、電子源の所定の位置
に、インクジェット法によりゲッターの原料を含む液滴
を付与する工程と、真空中ないしAr、Neなどの不活性
ガス中で加熱することにより、上記ゲッターの原料を熱
分解してゲッター材とする工程と、この工程に続いてゲ
ッター材表面に保護層を形成する工程と、電子源周辺を
動作に必要な真空雰囲気とした後に上記ゲッター材を活
性化する工程、とを有するものである。
【0019】上記ゲッターの原料は、ゲッター材に含ま
れる金属の各元素の化合物で、インクジェット装置で使
用する溶媒に可溶で、且つ工程上適当な温度で熱分解す
るものが使用される。具体的な物質名は後述する。
【0020】上記保護層の形成は、例えば形成された直
後のゲッター材を窒素雰囲気に曝露して表面にごく薄い
窒化物層を形成することによって行われる。
【0021】ゲッター材の活性化は、上記の保護膜の窒
素原子を、加熱などによりゲッター材内部に拡散させ、
活性な表面を露出させる工程で、通電加熱部材による加
熱、装置全体の加熱、あるいはゲッター材に正の電位を
与え、電子線を照射するなどの方法により行われる。
【0022】なお、放出ガスのゲッターによる吸着が進
むと、ゲッターの性能が徐々に低下するが、再びゲッタ
ーを加熱するなどして活性を回復させることができる。
ゲッター材に通電加熱部材を接触させておき、電子源の
動作中にこの処理を並行して行うようにすると、ゲッタ
ーは常に活性な状態に維持することができる。
【0023】また、電子放出素子が配置された基体を有
し、支持枠を介して該基体に対向してアノード電極が配
置された第2の基体を有する画像形成装置において、イ
ンクジェット法により該基体あるいはアノード電極が配
置された第2の基体と枠との接合部にゲッター材を配置
することを特徴とする画像形成装置の製造方法によって
製造される電子放出素子およびそれを用いた画像形成装
置を提供する。
【0024】また、前記インクジェット方式が熱エネル
ギーによって溶液内に気泡を形成させて該溶液を液滴と
して吐出させる方式(バブルジェット方式)であること
を特徴とする電子放出素子およびそれを用いた画像形成
装置の製造方法によって製造される電子放出素子および
それを用いた画像形成装置を提供する。
【0025】また、前記インクジェット方式により素子
近傍に配置された通電加熱部材上にゲッター材を配置
し、通電加熱部材に電圧を印加して前記ゲッターを活性
化することを特徴とする画像形成装置の製造方法によっ
て製造される電子放出素子およびそれを用いた画像形成
装置を提供する。
【0026】本発明により、低コストで且つ容易に素子
近傍にゲッターを配置することができ、微小放出ガスに
よる微小放電を抑制して電子放出特性が安定している表
面伝導型電子放出素子およびそれを有する電子源装置を
提供することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施態様を説明する。本発明を適用し得る表面伝導型電子
放出素子の基本的構成には大別して、平面型および垂直
型の2種がある。
【0028】まず、平面型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。図1は、本発明を適用可能な平面型表面
伝導型電子放出素子の構成を示す平面図と断面図であ
り、図1において1は基板、2と3は素子電極、4は導
電性薄膜、5は電子放出部である。また、6は通電加熱
部材、7はゲッター、8は通電加熱部材に電圧を印加す
るための電極である。
【0029】基板1としては、石英ガラス,Na等の不
純物含有量を減少したガラス,青板ガラス,青板ガラス
にスパッター法等により形成したSiO2を積層したガラ
ス基板およびアルミナ等のセラミックスおよびSi基板
等を用いることができる。対向する素子電極2,3、通
電部材に電圧を印加するための電極8の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができる。これは例えば
Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等
の金属あるいは合金およびPd,Ag,Au,RuO2,Pd
−Ag等の金属、あるいは金属酸化物とガラス等から構
成される印刷導体、In203−SnO2等の透明導電体お
よびポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択す
ることができる。
【0030】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して設計さ
れる。素子篭極間隔Lは、好ましぐ数千オングストロー
ム〜数百マイクロメートルの範囲とすることができ、よ
り好ましくは、素子電極問に印加する電圧等を考慮して
数マイクロメートル〜数十マイクロメートルの範囲とす
ることができる。
【0031】素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放
出特性を考慮して、数マイクロメートル〜数百マイクロ
メートルの範囲とすることができる。素子電極2,3の
膜厚dは、数百オングストローム〜数マイクロメートル
の範囲とすることができる。なお、図1に示した構成だ
けでなく、基板1上に、導電性薄膜4、対向する素子電
極2,3の順に積層した構成とすることもできる。
【0032】導電性薄膜4には、良好な電子放出特性を
得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが
好ましい。その膜厚は、素子電極2,3ヘのステップカ
バレージ、素子電極2,3間の抵抗値および後述するフ
ォーミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常
は、数オングストローム〜数千オングストロームの範囲
とするのが好ましぐより好ましくは10オングストロー
ム〜500オングストロームの範囲とするのがよい。そ
の抵抗値は、Rsが102〜107Ω/□の値である。な
おRsは、厚さがt、幅がwで長さがlの薄膜の抵抗R
を、R=Rs(l/w)とおいたときに現れる。
【0033】本明細書において、フオーミング処理につ
いては、通電処理を例に挙げて説明するが、フォーミン
グ処理はこれに限られるものではなく、膜に亀裂を生じ
させて高抵抗状態を形成する処理を包含するものであ
る。
【0034】導電性薄膜4を構成する材料は、Pd,P
t,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,S
n,Ta,W,Pb等の金属、PdO,SnO2,In203,
PbO,Sb203等の酸化物、HfB2,ZrB2,LaB6,
CeB6,YB4,GdB4等の硼化物、TiC,ZrC,Hf
C,TaC,SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,H
fN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーポン等の中
から適宜選択される。
【0035】ここで述ベる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態、あるいは微粒子が互いに隣接、ある
いは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全
体として島状構造を形成している場合も含む)をとって
いる。微粒子の粒径は、数オングストローム〜数千オン
グストロームの範囲、好ましくは、10〜200オング
ストロームの範囲である。
【0036】なお、以後しばしば微粒子という言葉を用
いるので、その意味について説明する。小さな粒子を微
粒子と呼び、これよりも小さなものを超微粒子と呼ぶ。
超微粒子よりもさらに小さく原子の数が数百個程度以下
のものをクラスターと呼ぶことは広く行われている。
【0037】しかしながら、それぞれの境堺は厳密なも
のではなく、どのような性質に注目して分類するかによ
り変化する。また微粒子と超微粒子を一括して微粒子と
呼ぶ場合もあり、以後の記述はこれに沿ったものであ
る。
【0038】実験物理学講座(14)表面・微粒子(木
下是雄編、共立出版1986年9月1日発行)では次の
ように記述されている。すなわち、「本稿で微粒子と言
うときにはその直径がだいたい2〜3μm程度ないし1
0nm程度までとし、特に超徴粒子というときは粒径が
10nm程度ないし2〜3nm程度までを意味すること
にする。両者を一括して単に微粒子と書くこともあって
けっして厳密なものではなく、だいたいの目安である。
粒子を構成する原子の数が2個ないし数十〜数百個程度
の場合はクラスターと呼ぶ。(195頁22〜26
行)」。
【0039】付言すると新技開発事業団の”林・超微粒
子プロジェクト”での超微粒子の定義は、粒径の下限は
さらに小さく、次のようなものであった。すなわち、創
造科学技術推進制度の”超微粒子プロジェクト”(19
81〜1986)では、「粒子の大きさ(径)がおよそ
1〜100nmの範囲のものを”超微粒子”(ultrafin
e particle)と呼ぶことにした。すると1個の超微粒子
はおよそ100〜108個くらいの原子の集合体という
ことになる。原子の尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒
子である。」(超微粒子−創造科学技術:林主税、上田
良二、田崎明編:三田出版1988年2頁1〜4行)、
「超微粒子よりさらに小さいもの、すなわち原子が数個
〜数百個で構成される1個の粒子は、ふつうクラスター
と呼ばれる」(同書2頁112〜13行)。
【0040】上記のような一般的な呼び方をふまえて、
以後、微粒子とは多数の原子・分子の集合体で、粒径の
下限は数オングストローム〜10オングストローム程
度、上限は数μm程度のものを指すこととする。
【0041】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜4の
膜厚、膜質、材料および後述する通電フォーミング等の
手法等に依存したものとなる。電子放出部5の内部に
は、数オングストローム〜数百オングストロームの範囲
の粒径の導電性微粒子が存在する場合もある。この導電
性微粒子は、導電性薄膜4を構成する材料の元素の一
部、あるいは全ての元素を含有するものとなる。電子放
出部5およびその近傍の導電性薄膜4には、炭素および
炭素化合物を有することもできる。
【0042】ゲッターは、一般に蒸発型、非蒸発型に分
けられる。蒸発型のゲッターとしては、Ba,Sr,Mg
等の金属が用いられ、これらを加熱蒸発(フラッシュ)
させて、真空維持をさせる装置内面に蒸着させること
で、ガス吸着能力を発現させる。
【0043】また、非蒸発型ゲッターとしては、Zr−
Al合金、Zr−Fe合金、Zr−Ni合金、Zr−Nb−Fe
合金、Zr−Ti−Fe合金、Zr−V−Fe合金、等を挙
げることができる。この中で、真空中300℃付近で活
性化が可能で、且つ排気速度が比較的大きいZr−V−
Fe合金が特に好ましい。
【0044】電子放出素子の近傍に蒸発型のゲッターを
配置すると蒸発したゲッターが素子に付着して、リーク
等の弊害が生じるので、本発明では、非蒸発型ゲッター
を用いるのが好ましい。
【0045】本発明では、バブルジェット方式を用いる
場合の材料として、鉄(III)2,4ペンタンジオネー
ド、鉄(III)エトキサイド、ジルコニウムn−ブトキ
サイド、ジルコニウム2,4ペンタンジオネート、アル
ミニウム(III)エトキサイ、アルミニウム2,4ペンタ
ンジオネート、バナジウム(III)2,4−ペンタンジオ
ネート等の溶液を用いて配置し、加熱処理を施すことに
より前記合金を形成する。その後、N2などの雰囲気に
さらし表面を窒化して保護願を形成し、その後300〜
1000℃程度の温度で焼成して、ガス吸着能力を発現
させる(ゲッターの活性化)。
【0046】焼成法としては、あらかじめ通電加熱部材
を配置してその上にバブルジェット方式等のインクジェ
ット方式によりゲッター材を配置し通電加熱により焼成
する方法、あるいは電子放出素子が形成された基体全体
を加熱する方法、さらには、電子線の照明によりエネル
ギーを与える方法などが挙げられる。
【0047】以下、図1および図2〜6を参照しながら
製造方法の一例についで説明する。図2〜6において
も、図1に示した部位と同じ部位には図1に付した符号
と同一の符号を付している。
【0048】[1]基板1を洗剤、純水および有機溶剤
等を用いて十分に洗浄し,真空蒸着法、スパッター法等
により素子電極材料を堆積後,例えばフォトリソグラフ
ィー技術を用いて基板1上に素子電極2,3と通電加熱
部材6に電圧を印加するための電極8を形成する(図2
参照)。
【0049】[2]フォトリソグラフィー技術を用い
て、通電加熱部材6を電極6と素子電極3の間に形成す
る。通電加熱部材が、ITO Auなどの薄膜等の場合
は、素子電極、導電性薄膜と同様に蒸着、スパッター等
で作成できる(図3参照)。
【0050】[3]素子電極2,3を設けた基板1に、
有機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有
機金属溶液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元
素とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。
有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチン
グ等によりパターニングし、導電性薄膜4を形成する
(図6参照)。ここでは,有機金属溶液の塗布法を挙げ
て説明したが,導電性薄膜4の形成法はこれに限られる
ものでなく,真空蒸着法、スパッター法、化学的気相堆
積法、分散塗布法、ディッピンゲ法、スピンナー法等を
用いることもできる。
【0051】[4]続いて、通電加熱部材6上にゲッタ
ーを形成する。
【0052】ゲッターは、バブルジェット方式等のイン
クジェット法により配置される。材料としては、鉄(II
I)2,4ペンタンジオネード、鉄(III)エトキサイ
ド、ジルコニウムn−ブトキサイド、ジルコニウム2,
4−ペンタンジオネート、アルミニウム(III)エトキ
サイド、アルミニウム2,4ペンタンジオネート、バナ
ジウム(III)2,4ペンタンジオネート等の金属アル
コキシド溶液を用いることができる。その後、Arなど
の不活性ガス雰囲気中で、100〜500℃程度で加熱
処理を施して合金化し、Zr−Al合金、Zr−Fe合金、
Zr−Ni合金、Zr−Nb−Fe合金、Zr−Ti−Fe合
金、Zr−V−Fe合金を形成する(図4)。その後、窒
素などの窒化雰囲気中でゲッター表面に保護膜を形成す
る。
【0053】[5]続いて、フオーミング工程を施す。
このフォーミング工程の方法の一例として通電処理によ
る方法を説明する。素子電極2,3間に、不図示の電源
を用いて、通電を行うと、導電性薄膜4の部位に、構造
の変化した電子放出部5が形成される(図1)。通電フ
ォーミンゲによれば導電性薄膜4に局所的に破壊、変形
もしくは変質等の構造の変化した部位が形成される。該
部位が電子放出部5を構成する。通電フォーミングの電
圧波形の例を図7に示す。
【0054】電圧波形は、パルス波形が、好ましい。こ
れにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印
加する図7(a)に示す手法と、パルス波高値を増加さ
せながら電圧パルスを印加する図7(b)に示す手法と
がある。
【0055】図7(a)におけるT1およびT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1マイク
ロ秒〜10ミリ秒、T2は10マイクロ秒〜100ミリ
秒の範囲で設定される。三角波の波高値(通電フォーミ
ング時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素形態に
応じて適宜選択される。このような条件のもと、例えば
数秒〜数十分問電圧を印加する。パルス波形は三角波に
限定されるものではなく矩形波など所望の波形(図7
(c)参照)を採用することができる。
【0056】図7(b)におけるT1およびT2は、図7
(a)に示すのと同様とすることができる。三角波の波
高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば
0.1Vステップ程度づつ増加させることができる。通
電フォーミング処理の終了は、パルス間隔T2中に、導
電性薄膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電圧を印
加し、電流を測定して検知することができる。例えば
0.1V程度の電圧印加により流れる素子電流を測定
し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示したとき通
電フォーミングを終了させる。
【0057】[6]フォーミングを終えた素子には活性
化工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程
とは、この工程により素子電流If、放出電流Ie、が著
しく変化する工程である。
【0058】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で通電フォーミングと同様に、パルス
の印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲気
は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用い
て真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機
ガスを利用して形成することができる他、イオンポンブ
などにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質
のガスを導入することによっても得られる。このときの
好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真空
容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため場
合に応じ適宜設定される。
【0059】適当な有機物質としては、アルカン、アル
ケン、アルキン等の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素
類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン
類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等
を挙げることができ、具体的には、メタン、エタン、プ
ロパンなどCnH2n+2で表される飽和炭化水素、エチレ
ン、プロピレンなどCnH2n等の組成式で表される不飽
和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノ
ール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミ
ン、フエノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用で
きる。この処理により、雰囲気中に存在する有機物質か
ら、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積し、素子電
流If、放出電流Ieが著しく変化するようになる。
【0060】活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと
放出電流Ieを測定しながら、適宜行う。なおパルス
幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0061】炭素および炭素化合物とは、例えばグラフ
ァイト(いわいるHOPG,PG,GCを包含し、HOP
Gはほぼ完全なグラフアイトの結品構造、PGは結品粒
が200オングストローム程度で結晶構造がやや乱れた
もの、GCは結晶粒が20オングストローム程度になり
結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す)、非
晶質カーボン(アモルファスカーボンおよび、アモルフ
アスカーボンと前記グラフアイトの徴結晶の混合物を指
す)であり、その膜厚は、500オングストローム以下
の範囲とするのが好ましく、300オングストローム以
下の範囲とすることがより好ましい。
【0062】[7]このような工程を経て得られた電子
放出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工
程は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真
空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオ
イルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使
用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソー
プシヨンポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げ
ることができる。前記活性化の工程で、排気装置として
油拡散ポンブやロータリーポンプを用い、これから発生
するオイル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、こ
の成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内
の有機成分の分圧は、上記の炭素および炭素化合物がほ
ぼ新たに堆積しない分圧で1×lO-8Torr以下が好まし
く、さらには1×lO-10Torr以下が特に好ましい。
【0063】さらに真空容器内を排気するときには、真
空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子
に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好まし
い。このときの加熱条件は、80〜350℃、好ましく
は150℃以上で可能なかぎり長時間行うのが望ましい
が、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大き
さや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宜
選ばれる条件により行う。また、300℃以上で長時間
行うならばゲッターの活性化も同時に行うことができ
る。真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、1
〜3×10-7Torr以下が好ましく、さらに1×10-8To
rr以下が特に好ましぃ。
【0064】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しく、本発明により形成されたゲッターを加熱活性化さ
せ、駆動時の真空度低下を防ぎ高真空雰囲気を維持し、
結果として素子電流If、放出電流Ieが安定化する。こ
こで、ゲッターの活性化時は安定化工程前に行ってもよ
く、安定化工程前後で複数回行ってもかまわない。
【0065】上述した工程を経て得られた本発明を適用
可能な電子放出素子の基本特性について図8〜10を参
照して説明する。ここでは、本発明によるゲッターに関
しては省略する。
【0066】図10は、真空処理装置の一例を示す模式
図であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機
能をも兼ね備え、測定評価装置の構成を図8に示す。図
8においても、図1に示した部位と同じ部位には図1に
付した符号と同一の符号を付している。真空容器内には
電子放出素子が配されている。すなわち、1は電子放出
素子を構成する基板であり、2および3は素子電極、4
は導電性薄膜、5は電子放出部である。10は電子放出
素子に素子電圧Vfを印加するための電源、11は素子
電極2・3間の導電性薄膜4を流れる素子電流Ifを測
定するための電流計、12は素子の電子放出部より放出
される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極であ
る。13はアノード電極12に電圧を印加するための高
圧電源、14は素子の電子放出部5より放出される放出
電流Ieを測定するための電流計である。一例として、
アノード電極の電圧を1〜10kVの範囲とし、アノー
ド電極と電子放出素子との距離Hを2〜8mmの範囲と
して測定を行うことができる。
【0067】真空容器内には、不図示の真空計等の真空
雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、所望
の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになってい
る。排気ポンブは、ターボポンプ、ロータリーポンプか
らなる通常の高真空装置系を示したが、さらに、イオン
ポンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されてい
てもよい。ここに示した電子放出素子基板を配した真空
処理装置の全体は、不図示のヒーターにより加熱でき
る。したがって、この真空処理装置を用いると前述の通
電フォーミング以降の工程も行うことができる。
【0068】図9は、図10に示す真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vf
の関係を模式的に示した図である。図9においては、放
出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任
意単位で示している。なお。縦・横軸ともリニアスケー
ルである。
【0069】図9からも明らかなように、本発明の表面
伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関して下記のよ
うに対する三つの特徴的性質を有する。
【0070】[1]本素子はある電圧(しきい値電圧と
呼ぶ、図9中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激
に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下で
は放出電流Ieがほとんど検出されない。つまり、放出
電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線
形素子である。
【0071】[2]放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増
加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御でき
る。
【0072】[3]アノード電極12に補足される放出
電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つま
り、アノード電極12に補足される電荷量は、素子電圧
Vfを印加する時間により制御できる。
【0073】以上の説明より理解されるように、本発明
の表面伝導型電子放出素子は、入力信号に応じて、電子
放出特性を容易に制御できることになる。この性質を利
用すると複数の電子放出素子を配して構成した電子源、
画像形成装置等、多方面ヘの応用が可能となる。
【0074】図9においては、素子電流Ifが素子電圧
Vfに対して単調増加する(以下、MI特性という)例
を実線に示した。素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電
圧制御型負性抵抗特性(以下、VCNR特性という)を
示す場合もある(不図示)。これら特性は、前述の工程
を制御することで制御できる。
【0075】次に、本発明のゲッターに関して説明す
る。電子放出素子の電子放出部は、素子を駆動させると
かなりの高温になり、電子放出部からは、ガス放出が起
きやすく、また電子放出素子から放出された電子は、陽
極に引き上げられ、衝突し、この際にも陽極からのガス
放出が起こりやすいと考えられる。放出されたガスは、
駆動電圧で作られている高電界、または、陽極ヘの電圧
印加で作られている高電界でイオンとなり、高電界で加
速されて素子に損傷を与える、いわゆる放電が生じやす
いと考えられる。
【0076】本発明では、インクジエット方式により塗
布、焼成合金化、保護膜形成処理を施したゲッターを加
熱活性化し、放出ガスによる放電が生じにくい電子放出
素子を実現することができる。ここで、ゲッターの加熱
手段としては通電加熱部材を用いてゲッターを選択的に
加熱する手段や電子源基板全体を加熱することにより実
現できる。通電加熱部材に通電する場合、電子放出素子
を駆動させる素子電極とは別の電極を設けてもよいし、
素子電極の一方と電気的に接続されてもよい。このよう
にすることにより、ガス吸着の進行によるゲッターの性
能低下を防ぎ、常にゲッターの活性を維持することがで
きる。
【0077】この際、ゲッターの加熱時にH2等のガス
が微量放出されるため、素子を駆動する印加電圧がパル
ス波形の場合は、駆動パルスが印加されていないパルス
間に通電加熱部材にパルス通電することが望ましい。ま
た、素子駆動に伴って、変化する素子電流、または放出
電流の減少に応じて、通電加熱部材に印加されるパルス
のパルス幅、電圧値、周期を変化させ、通電加熱部材ヘ
の投入電力を変化させてもよい。
【0078】本発明を適用可能な電子放出素子の応用例
について以下に述ベる。本発明を適用可能な表面伝導型
電子放出素子の複数個を基板上に配列し、例えば電子源
あるいは、画像形成装置が構成できる。
【0079】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電
子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を
多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向
(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッドとも呼ぶ)により電子放出素子からの
電子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これと
は別に、電子放出素子をX方向およびY方向に行列状に
複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電
極の一方を、X方向の配線に共通に接統し、同じ列に配
された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配
線に共通に接競するものが挙げられる。このようなもの
はいわゆる単純マトリクス配置である。まず単純マトリ
クス配置について以下に詳述する。
【0080】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述したとおり[1]〜[3]の特性が
ある。すなわち、表面伝導型電子放出素子からの放出電
子は、しきい値電圧以上では、対向する素子電極問に印
加するパルス状電圧の波高値と幅で制御できる。一方、
しきい値電圧以下では、ほとんど放出されない。この特
性によれば、多数の電子放出素子を配置した場合におい
でも、個々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれば、
入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して
電子放出量を制御できる。
【0081】以下この原理に基ずき、本発明を適用可能
な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につい
て、図11を用いて説明する。図11において、71は
電子源基板、72はX方向配線、73はY方向配線であ
る。74は表面伝導型電子放出素子、75は結線であ
る。
【0082】m本のX方向配線72は,Dx1,Dx2〜
Dxmからなり,真空蒸着法,印刷法,スパッター法等
を用いて形成された導電性金属等で構成することがで
き、配線の材料、膜厚、巾は適宜設計される。Y方向配
線73は、Dy1,Dy2〜Dynのn本の配線よりな
り、X方向配線72と同様に形成される。これらm本の
X方向配線72とn本のY方向配線73との間には、不
図示の層間絶緑層が設けられており、両者を電気的に分
離している(m,nは、共に正の整数)。
【0083】不図示の層問絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッター法等を用いて形成されたSi02等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の
全面あるいは一部に所望の形状で形成され、特に、X方
向配線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得
るように膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配
線72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引
き出されている。
【0084】表面伝導型放出素子84を構成する―対の
電極(不図示)は、m本のX方向配線72とn本のY方
向配線73と導電性金属等からなる結線75によって電
気的に接続されている。また、ゲッターが積層された通
電加熱部材205は、m本のX方向配線72とm本のX
方向配線200と導電性金属等からなる結線75によっ
て電気的に接続されている。
【0085】このほか、ゲッター材料を、必要な絶縁を
妨げない範囲で、配線の上や、空いている基板表面に形
成して、ゲッター表面積を大きく確保してもよい。
【0086】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料および一対の素子電極を構成する材
料は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例え
ば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極
を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子
電極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0087】X方向配線72には、X方向に配列した表
面伝導型放出素子84の行を、選択するための走査信号
を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一
方、Y方向配線73には、Y方向に配列した表面伝導型
放出素子84の各列を入力信号に応じて、変調するため
の不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出
素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走
査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0088】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0089】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図12〜14を
用いて説明する。図12は、画像形成装置の表示パネル
の一例を示す模式図であり、図13は、図12の画像形
成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図14は、
NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行なうための
駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0090】図12において、71は電子放出素子を複
数配した電子源基板、81は電子源基板71を固定した
リアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜8
4とメタルパック85等が形成されたフエースプレート
である。82は、支持枠であり該支持枠82には、リア
プレート81、フエースプレート86が低融点のフリッ
トガラスなどを用いて接合される。
【0091】74は、図1における電子放出部に相当す
る。72,73は、表面伝導型電子放出素子の一対の素
子電極と接続されたX方向配線およびY方向配線であ
る。76はゲッターが積層された通電加熱部材、75は
73とともに通電加熱部材76に電圧を印加するための
配線である。
【0092】外囲器88は、上述の如くフェースープレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。
【0093】リアプレート81は主に基板71の強度を
補強する目的で設けられるため、基板71自体で十分な
強度を持つ場合は別体のリアプレート81は不要とする
ことができる。すなわち、基板71に直接支持枠82を
封着し、フエースプレート86、支持枠82および基板
71で外囲器88を構成してもよい。一方、フェースー
プレート86、リアプレート81問に、スペーサーとよ
ばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に
対して十分な強度をもつ外囲器88を構成することもで
きる。ここで支持枠にインクジエット法を用いてゲッタ
ーを配置して、外囲器内を高真空に維持し、素子特性の
安定化を図ってもよい。
【0094】図13は、蛍光膜を示す模式図である。蛍
光膜94は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成
することができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の
配列によりブラックストライプ、あるいはプラックマト
リクスなどと呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とか
ら構成することができる。ブラックストライプ、ブラッ
クマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要
となる三原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒
くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜8
4における外光反射によるコントラストの低下を抑制す
ることにある。プラックストライプの材料としては、通
常用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導掘性
があり、光の透過および反射が少ない材料を用いること
ができる。
【0095】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側ヘの光を、フェースプレート
86側ヘ鏡面反射させることにより揮度を向上させるこ
と、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作
用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によ
るダメージから蛍光体を保護すること等である。メタル
バックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化
処理(通常、フィルミングと呼ばれる)を行い、その後
Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製でき
る。
【0096】フエースプレート86には、さらに蛍光膜
84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明
電極(不図示)を設けてもよい。前述の封着を行う際に
は、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応
させる必要があり、十分な位置合わせが不可欠となる。
【0097】図12に示した画像形成装置の製造方法の
一例を以下に説明する。図15はこの工程に用いる装置
の概要を示す模式図である。画像形成装置151は、排
気管152を介して真空チャンバー153に連結され、
さらにゲートバルブ154を介して排気装置155に接
続されている。真空チャンパー153には内部の圧力お
よび雰囲気中の各成分の分圧を測定するために、圧力計
156、四重極質量分析器157等が取り付けられてい
る。画像表示装置151の外囲器内部の圧力などを直接
測定することは困難であるため、該真空チャンパー15
3内の圧力などを測定し処理条件を制御する。
【0098】真空チャンパー153には、さらに必要な
ガスを真空チャンバー内に導入して雰囲気を制御するた
め、ガス導入ライン158カ接線されている。該ガス導
入ライン158の他端には導入物質源160が接続され
ており、導入物質がアンプルやポンベなどに入れて貯蔵
されている。ガス導入ラインの途中には、導入物質を導
入するレートを制御するための導入制御手段159が設
けられている。該導入量制御手段としては具体的には、
スローリークバルブなど逃す流量を制御可能なバルブ
や、マスフローコントローラーなどが、導入物質の種類
に応じて、それぞれ使用が可能である。
【0099】図15の装置により外囲器の内部を排気
し、フォーミングを行う。この際、例えば図16に示す
ように、Y方向配線73を共通電極161に接続し、X
方向配線72の内の一つに接続された素子に電源162
によって、同時に電圧パルスを印加して、フォーミング
を行うことができる。パルスの形状や、処理の終了の判
定などの条件は、個別素子のフオーミングについての既
述の方法に準じて選択すればよい。また、複数のX方向
配線に、位相をずらせたパルスを順次印加(スクロー
ル)することにより、複数のX方向配線に接続された素
子をまとめてフオーミングすることも可能である。図中
163は電流測定用抵抗を、164は、電流測定用のオ
シロスコープを示す。
【0100】フオーミング終了後、活性化工程を行う。
外囲器内は、十分に排気した後有機物質がガス導人ライ
ン(不図示)から導入される。あるいは、個別素子の活
性化方法として記述のように、まづ油拡散ポンプやロー
タリーポンプで排気し、これによって真空雰囲気中に残
留する有機物質を用いてもよい。また、必要に応じて有
機物質以外の物質も導入される場合がある。このように
して形成した、有機物質を含む雰囲気中で、各電子放出
素子に電圧を印加することにより、炭素あるいは炭素化
合物、ないし両者の混合物が電子放出部に堆積し、電子
放出量がドラスティックに上昇するのは、個別素子の場
合と同様である。このときの電圧の印加方法は、上記フ
ォーミングの場合と同様の結線により、一つの方向配線
につながった素子に、同時の電圧パルスを印加すればよ
い。活性化工程終了後は、個別素子の場合と同様に、安
定化工程を行うことが好ましい。
【0101】外囲器を加熱保持しながら、イオンポン
プ、ソープシヨンポンブなどのオイルを使用しない排気
装置155によりの排気管152を通じて排気し、有機
物質の十分少ない寡囲気にした後、排気管をバーナーで
熱して溶解させて封じきる。外囲器の封止後の圧力を維
持するために、ゲッター処理を行なう。これは、外囲器
の封止を行う直前あるいは封止後に、本発明により配置
されたゲッターを通電加熱部材により加熱するか、ある
いは300℃程度まで外囲器を加熱することによりゲッ
ターの活性化を行い高真空を維持する。また、蒸発型ゲ
ッターを併用してもよい。
【0102】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジヨン表示を行うための駆動回路の構成
例について、図14を用いて説明する。図14におい
て、141は画像表示表示パネル、142は走査回路、
143は制御回路、144はシフトレジスタである。1
45はラインメモリ、146は同期信号分離回路、14
7は変調信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源であ
る。
【0103】表示パネル141は、端子Dox1〜Do
xm、端子Doy1〜Doyn、および高圧端子Hvを介
して外部の電気回路と接線している。端子Dox1〜D
oxmには、表示パネル内に設けられている電子源、す
なわち、M行N列の行列状にマトリクス配線された表面
伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動す
るための走査信号が印加される。
【0104】端子Dy1〜Dynには、前記走査信号によ
り選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素子の
出力電子ビームを制御するための変調信号が印加され
る。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば1
0kVの直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電
子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体を励起す
るのに十分なエネルギーを付与するための加速電圧であ
る。
【0105】走査回路142について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1〜Smで模式的に示す)ある。各スイッチング素
子は直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0V(グランド
レベル)のいずれか一方を選択し、表示パネル141の
端子Dx1〜Dxmと電気的に接続される。S1〜Smの各
スイッチング素子は、制御回路143が出力する制御信
号Tscanに基づいて動作するものであり、例えばFET
のようなスイッチング素子を組み合わせることにより構
成することができる。
【0106】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝
導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基
づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子
放出しきいイ直電圧以下となるような一定電圧を出力す
るよう設定されている。
【0107】制御回路143は、外部より入力する画像
信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動
作を整合させる機能を有する。制御回路143は、同期
信号分離回路146より送られる同期信号Tsyncに基づ
いて、各部に対してTscan側およびTsftおよびTmryの
各制御信号を発生する。
【0108】同期信号分離回路146は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と揮
度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波数
分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信
号分離回路146により分離された同期信号は、垂直同
期信号と水平同期信号よりなるが、ここでは説明の便宜
上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離
された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表し
た。該DATA信号はシフトレジスタ144に入力され
る。
【0109】シフトレジスタ144は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路143より送られる制御信号Tsftに基づいて動
作する(すなわち制御信号Tsftは、シフトレジスタ1
44のシフトクロックであるということもできる)。シ
リアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出
素子N素子分の駆動データに相当)のデータは、Id1
〜IdnのN個の並列信号として前記シフトレジスタ1
44より出力される。
【0110】ラインメモリ145は、画像1ライン分の
データを必要時聞の間だけ記億するための記億装置であ
り、制御回路143より送られる制御信号Tmryにした
がって適宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶された
内容は、I'd1〜I'dnとして出力され、変調信号発生
器147に入力される。
【0111】変調信号発生器147は、画像データI'
d1〜I'dnの各々に応じて表面伝導型電子放出素子の
各々を適切に駆動変調するための信号源であり、その出
力信号は、端子Doy1〜Doynを通じて表示パネル1
41内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0112】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は、放出電流Ieに対して以下の基本特性を有
している。すなわち、電子放出には明確なしきい値電圧
Vthがあり、Vth以上の電圧を印加されたときのみ電子
放出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対して
は、素子ヘの印加電圧の変化に応じて放出電流も変化す
る。このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する
場合、例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加しても
電子放出は生じないが、電子放出しきい値以上の電圧を
印加する場合には電子ビームが出力される。その際、パ
ルスの波高値Vmを変化させることにより出力電子ビー
ムの強度を制御することが可能である。また、パルスの
幅Pwを変化させることにより出力される電子ビームの
電荷の総量を制御することが可能である。
【0113】したがって、入力信号に応じて、電子放出
素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅
変調方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際
しては、変調信号発生器147として、一定長さの電圧
パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルス
の波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いる
ことができる。
【0114】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器147として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ことができる。
【0115】シフトレジスタ144やラインメモリ14
5は、デジタル信号式のものもアナログ信号式のものを
も採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記
億が所定の速度で行なわれればよいからである。
【0116】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路146の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには146の出力部にA/D変
換器を設けれはよい。これに関連してラインメモリ14
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器147に用いられる回路が若干異なった
ものとなる。すなわち、デジタル信号を用いた電圧変調
方式の場合、変調信号発生器147には、例えばD/A
変換回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加す
る。
【0117】パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
147には、例えば高速の発振器および発振器の出力す
る波数を計数する計数器(カウンタ)および計数器の出
力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレ
ータ)を組み合せた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型
電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅
器を付加することもできる。
【0118】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器147には、例えばオペアンプなど
を用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフ
ト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式
の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VOC)を
採用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動
電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもで
きる。
【0119】このような構成をとり得る本発明を適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dox1〜Doxm、Doy1〜Doynを介して電
圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子
Hvを介してメタルパック85、あるいは透明電極(不
図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速さ
れた電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が
形成される。
【0120】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL.SECAM方式などの
他、これよりも多数の走査線からなるTV信号(例えば
MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用
できる。
【0121】本発明の画像形成装置は、テレビジヨン放
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピユーター等
の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光
プリンターとしての画像形成装置等としても用いること
ができる。
【0122】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定される
ものではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各
要素の置換や設計変更がなされたものをも包含する。図
17に本実施例の模式図を示す。
【0123】[実施例1]表面伝導型電子放出素子を用
いた電子源基板の作製について説明する (1)ガラス基板1701を洗浄する。基板は青板ガラ
スを使用した。 (2)素子電極1702、1703、通電加熱部材に接
続する通電加熱用電極1706を形成する。膜の成膜方
法としては厚膜印刷法を使用した。ここで使用した厚膜
ペースト材料はMODペースト(DU−2110、ノリ
タケ(株)製)で金属成分は金である。印刷方法はスク
リーン印刷法である。印刷の後は110℃で20分間燥
し、次に本焼成を実施した。焼成温度は580℃でピー
ク保持時間は約8分である。印刷焼成後の膜厚は0.3
マイクロメートルであった。素子電極間距離は50マイ
クロメートルとした。
【0124】(3)次いで、Y方向配線1704を形成
した。厚膜スクリーン印刷法を用いた。ペースト材料は
ノリタケ(株)製(NP−4028A)で、金属成分は
銀である。焼成は、(2)と同様である。Y方向配線
は、素子電極1702の片側に接続した。
【0125】(4)次に層間絶縁層1705を形成し
た。厚膜スクリーン印刷法を用いた。ペースト材料は、
PbOを主成分としてガラスバインダーを混合したもの
を使用した。焼成は、(2)と同様である。X方向配線
と素子電極1703が接続できるような形態とした。
【0126】(5)次に、通電加熱用電極1706に接
続する配線1707をY方向配線1704と同じ手順で
形成した。 (6)次に、層問絶緑層1708を(4)と同じ手順で
形成した。 (7)次に、X方向配線1709をY方向配線1704
と同じ手順で形成した。X方向配線1709の一部は、
素子電極1702と接続されている。
【0127】(8)次に、通電加熱部材とするITOl
710をスパッター法を用いてマスク蒸着により通電加
熱部材配置位置に形成する。
【0128】(9)次に、鉄(III)2,4−ペンタンジ
オネート(5wt%)、バナジウム(III)2,4ペンタ
ンジオネート(30wt%)、ジルコニウム2,4−ペ
ンタンジオネート(65wt%)含有の水溶液を、バブ
ルジェット方式のインクジエツト噴射装置を用いて、通
電加熱部材上に配置し、350℃にて10時間の加熱処
理を行って、非蒸発型ゲッター1711を形成した。そ
の後、室温、N2雰囲気中で10時間保持して、表面に
保護膜を形成した。
【0129】(10)次に、有機パラジウム含有溶液
を、バブルジエット方式のインクジエット噴射装置を用
いて、幅が200マイクロメートルとなるように付与し
た。300℃で10分問の加熱処理を行って、酸化パラ
ジウム微粒子からなる微粒子膜1712を得た。
【0130】このようにして作製された電子源基板を用
い、前述したようにフェースプレート、支持枠、リアプ
レートとで外囲器を形成し、さらにフォーミング、活性
化、安定化の工程を行い、電子源基板を形成した。ここ
で、安定化工程は35O℃、10時間の真空ベークで行
った。このとき、電子放出素子の安定化と同時に、ゲッ
ターの活性化も行われている。続いて、封止を行なって
画像形成装置を作製した。
【0131】[実施例2] (1)ガラス基板1801を洗浄する。基板は青板ガラ
スを使用した。 (2)素子電極1802,1803を形成する。膜の成
膜方法としては厚膜印刷法を使用した。ここで使用した
厚膜ペースト材料はMODペースト(DU−2110、
ノリタケ(株)製)で金属成分は金である。印刷方法は
スクリーン印刷法である。印刷の後は110℃で20分
間乾燥し、次に本焼成を実施した。焼成温度は580℃
でピーク保持時問は約8分である。印刷焼成後の膜厚は
0.3マイクロメートルであった。素子電極問距離は5
0マイクロメートルとした。
【0132】(3)次にY方向配線1804を形成し
た。厚膜スクリーン印刷法を用いた。ペースト材料は、
ノリタケ(株)製(NP−4028A)で、金属成分は
銀である。焼成は、(2)と同様である。Y方向配線
は、素子電極1803の片側に接続した。
【0133】(4)次に層間絶縁層1808を形成し
た。厚膜スクリーン印刷法を用いた。ペースト材料は、
PbOを主成分としてガラスバインダーを混合したもの
を使用した。焼成は、(2)と同様である。X方向配線
と素子電極1802が接続できるような形態とした。
【0134】(5)次にX方向配線1809をY方向配
線1804と同じ手順で形成した。X方向配線1809
の一部は、素子電極1802と接続されている。
【0135】(6)次に、鉄(III)2,4-ペンタンジ
オネート(5wt%)、バナジウム(III)2,4-ペン
タンジオネート(3wt%)、ジルコニウム2,4-ペン
タンジオネート(65wt%)含有の水溶液を、バブル
ジエット方式のインクジエット噴射装置を用いて、通電
加熱部材上に配置し、35O℃で10時問の加熱処理を
行つて、非蒸発型ゲッター1711を形成した。その
後、室温、N2雰囲気中で10時問保持して、表面に保
護膜を形成した。
【0136】(7)次に、有機パラジウム含有溶液を、
バブルジェット方式のインクジェット噴射装置を用ぃ
て、幅が200マイクロメートルとなるように付与し
た。300℃で10分間の加熱処理を行って、酸化パラ
ジウム微粒子からなる微粒子膜1712を得た。
【0137】こうして作製された電子源基板を用いて、
まず支持枠とリアプレートの接続を行った。その後、支
持枠とリアプレートの接続部およびその近傍に工程
(6)と同様の方法でゲッターを配置した。その後、フ
ェースプレートとの接続を行い、外囲器を形成した。こ
の後、フォーミング、活性化、安定化の工程を行った。
安走化工程は35O℃、10時間の真空ベークで行っ
た。このとき、電子放出素子の安定化と同時に、ゲッタ
ーの活性化も行われている。
【0138】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、簡
易な手法により、ゲッターを多数配置することが可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
構成を示す模式図。
【図2】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造方法の1例を示す模式図。
【図3】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造方法の1例を示す模式図。
【図4】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造方法の1例を示す模式図。
【図5】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造方法の1例を示す模式図。
【図6】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造方法の1例を示す模式図。
【図7】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造に際して採用できる通電フォーミング処理における
電圧波形の一例を示すグラフ図。
【図8】測定評価機能を備えた真空処理装置の一例を示
す模式図。
【図9】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子に
ついての放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関
係の―例を示すグラフ図。
【図10】真空処理装置を示す模式説明図。
【図11】本発明を適用可能な単純マトリクス配置した
電子源の一例を示す模式図。
【図12】本発明を適用可能な画像形成装置の表示パネ
ルの一例を示す模式図。
【図13】蛍光膜一例を示す模式図。
【図14】画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号に
応じて表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロッ
ク図。
【図15】本発明の画像表示装置フォーミング、活性化
工程を行うための真空排気装置を示す模式説明図。
【図16】本発明の画像形成装置の、フォーミング、活
性化工程のための結線方法を示す模式図。
【図17】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子
の一実施例を示す模式図。
【図18】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子
の一実施例を示す模式図。
【図19】徒来の表面伝導型電手放出素子の一例を示す
模式図。
【符号の説明】
1,1901 基板 2,3,1702,1703,1802,1803 素子
電極 4,1712,1812,1902,1904 導電性薄
膜 5,1903 電子放出部 6,76,205,1710 通電加熱部材 7,1711,1811 ゲッター 8 通電加熱部材に電圧を印加するための電極 10 電子放出素子に素子電圧を印加するための電源 11 素子電流を測定するための電流計 12 アノード電極 13 高圧電源 14 放出電流を測定するための電流計 71 電子源基板 72,200,1709,1809 X方向配線 73,1704,1804 Y方向配線 74 電子放出素子、表面伝導型電子放出素子 75 結線、配線 81 リアプレート 82 支持枠 83,1701,1801 ガラス基板 84,92,94 蛍光体、蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 88 外囲器 91 黒色導電材 141 画像表示パネル 142 走査回路 143 制御回路 144 シフトレジスタ 145 ラインメモリ 146 同期信号分離回路 147 変調信号発生器 15l 画像形成装置 152 排気管 153 真空チャンバー 154 ゲートバルブ 155 排気装置 156 圧力計 157 四重極質量分析器 158 ガス導入ライン 159 導入制御手段 160 導入物質源 161 共通電極 162 電源 163 電流測定用抵抗 164 オシロスコープ 1705,1708,1808 層問絶縁層 1706 通電加熱用電極 1707 配線 1712 微粒子膜 Va,Vx 直流電圧源

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に多数の電子放出素子を配置し、
    且つゲッター材を有してなる電子源の製造方法におい
    て、前記基体ないし該基体上に形成された部材上の所定
    の位置に、インクジェット装置により前記ゲッター材の
    原料を含む溶液を液滴として付与する工程、付与された
    ゲッター材の原料を加熱することにより熱分解してゲッ
    ター材とする工程、次いでゲッター材表面に保護膜を形
    成する工程、該ゲッター材を活性化してゲッター機能を
    発現させる工程、の各工程を有することを特徴とする電
    子源の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ゲッター材の原料を含む溶液を液滴
    として付与する場所が基体上に形成され通電加熱部材を
    含み、且つ前記ゲッター材の活性化工程が、該通電加熱
    部材に通電して行うことを含む請求項1記載の電子源の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ゲッター材が、Zrを主成分とする
    合金よりなる請求項1または2記載の電子源の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記ゲッター材が、Zr−Al合金、Zr
    −Fe合金、Zr−Ni合金、Zr−Nb−Fe合金、Zr−
    Ti−Fe合金、ないしZr−V−Fe合金のいずれかであ
    る請求項3記載の電子源の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記合金のゲッター材の原料が、合金の
    各成分元素の有機金属化合物である請求項4記載の電子
    源の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記Zr−V−Fe合金のゲッター材の原
    料が、ジルコニウム2,4ペンタジオネート、バナジウ
    ム(III)2,4ペンタジオネート、および鉄(III)2,
    4ペンタジオネートである請求項4記載の電子源の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記ゲッター材の原料を熱分解してゲッ
    ター材を形成する工程が、真空中ないし不活性ガス中で
    加熱する工程である請求項1ないし6のいずれかに記載
    の電子源の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記保護膜を形成する工程が、前記熱分
    解によるゲッター材の形成工程に続いて、ゲッター材を
    窒素に曝露する工程である請求項1ないし7のいずれか
    に記載の電子源の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記電子源が、請求項1ないし8のいず
    れかに記載の製造方法によるものであって、且つ該電子
    源と、画像形成部材を有するフェースプレート、支持
    枠、電子源の基体それ自体ないし該基体とは別のリアプ
    レートからなる外囲器よりなる画像形成装置の製造方法
    において、外囲器内面の所定の位置にインクジェット装
    置により前記ゲッター材の原料を含む溶液を液滴として
    付与する工程、付与されたゲッター材の原料を加熱する
    ことにより熱分解してゲッター材とする工程、次いでゲ
    ッター材表面に保護膜を形成する工程、該ゲッター材を
    活性化してゲッター機能を発現させる工程、の各工程を
    有することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ゲッター材が、Zrを主成分とす
    る合金よりなる請求項9記載の画像形成装置の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記ゲッター材が、Zr−Al合金、Z
    r−Fe合金、Zr−Ni合金、Zr−Nb−Fe合金、Zr−
    Ti−Fe合金、ないしZr−V−Fe合金のいずれかであ
    る請求項10記載の画像形成装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記合金のゲッター材の原料が、合金
    の各成分元素の有機金属化合物である請求項11記載の
    画像形成装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記Zr−V−Fe合金のゲッター材の
    原料が、ジルコニウム2,4ペンタジオネート、バナジ
    ウム(III)2,4ペンタジオネート、および鉄(III)
    2,4ペンタジオネートである請求項11記載の画像形
    成装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記ゲッター材の原料を熱分解してゲ
    ッター材を形成する工程が、真空中ないし不活性ガス中
    で加熱する工程である請求項9ないし13のいずれかに
    記載の画像形成装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記保護膜を形成する工程が、前記熱
    分解によるゲッター材の形成工程に続いて、ゲッター材
    を窒素に曝露する工程である請求項9ないし14のいず
    れかに記載の画像形成装置の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008210592A (ja) * 2007-02-23 2008-09-11 Matsushita Electric Works Ltd 真空封止デバイスの製造方法

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