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JPH09330676A - 電子放出素子、電子源、及び画像形成装置 - Google Patents

電子放出素子、電子源、及び画像形成装置

Info

Publication number
JPH09330676A
JPH09330676A JP16668896A JP16668896A JPH09330676A JP H09330676 A JPH09330676 A JP H09330676A JP 16668896 A JP16668896 A JP 16668896A JP 16668896 A JP16668896 A JP 16668896A JP H09330676 A JPH09330676 A JP H09330676A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
electrode
emitting device
emitting
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP16668896A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeo Tsukamoto
健夫 塚本
Masato Yamanobe
正人 山野辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP16668896A priority Critical patent/JPH09330676A/ja
Publication of JPH09330676A publication Critical patent/JPH09330676A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高品位画像形成装置を実現し得る電子ビーム
源としての電子放出素子を提供する。 【解決手段】 基板1上の素子電極2,3間に、電子放
出部5を有する導電性膜4を備える電子放出素子におい
て、電子放出部5の基板1側に、絶縁層7を挟んで第3
の電極6を有することを特徴とする。 【効果】 電極6に与える電位を制御することにより、
放出電流の制御を高速かつ高精度に行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子、該
電子放出素子を多数個配置してなる電子源、及び該電子
源を用いて構成した表示装置や露光装置等の画像形成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子には大別して熱電子
放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類が知られてい
る。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、「FE
型」と称す。)、金属/絶縁層/金属型(以下、「MI
M型」と称す。)や表面伝導型電子放出素子等が有る。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dyke
and W.W.Dolan,“Field Emis
sion”,Advance in Electron
Physics,8,89(1956)あるいはC.
A.Spindt,“Physical Proper
ties of thin−filmfield em
ission cathodes withmolyb
denum cones”,J.Appl.Phy
s.,47,5248(1976)等に開示されたもの
が知られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A.Mea
d,“Operation ofTunnel−Emi
ssion Devices”,J.Appl.Phy
s.,32,646(1961)等に開示されたものが
知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I.Elinson,RadioEng.Elec
tron Phys.,10,1290(1965)等
に開示されたものがある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板上
に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリン
ソン等によるSnO薄膜を用いたもの、Au薄膜によ
るもの[G.Dittmer:“ThinSolid
Films”,9,317(1972)]、In
/SnO薄膜によるもの[M.Hartwell a
nd C.G.Fonstad:“IEEE Tran
s.ED Conf.”,519(1975)]、カー
ボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第
1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として、前述のM.ハートウェルの素子構成を図2
0に模式的に示す。同図において1は基板である。4は
導電性膜で、H型形状のパターンに形成された金属酸化
物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる
通電処理により電子放出部5が形成される。尚、図中の
素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、W’は、0.1m
mで設定されている。
【0008】これらの表面伝導型電子放出素子において
は、電子放出を行う前に導電性膜4を予め通電フォーミ
ングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5を形成す
るのが一般的である。即ち、通電フォーミングとは、前
記導電性膜4の両端に電圧を印加通電し、導電性膜4を
局所的に破壊、変形もしくは変質させて構造を変化さ
せ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部5を形成する処
理である。尚、電子放出部5では導電性膜4の一部に亀
裂が発生しており、その亀裂付近から電子放出が行われ
る。
【0009】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純であることから、大面積に亙って多数素子を配列形
成できる利点がある。そこで、この特徴を活かすための
種々の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、
表示装置等の画像形成装置への利用が挙げられる。
【0010】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子
を配列し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素
子電極)を配線(共通配線とも呼ぶ)にて夫々結線した
行を多数行配列(梯子型配置とも呼ぶ)した電子源が挙
げられる(例えば、特開昭64−31332号公報、特
開平1−283749号公報、同2−257552号公
報)。
【0011】また、特に表示装置においては、液晶を用
いた表示装置と同様の平板型表示装置とすることが可能
で、しかもバックライトが不要な自発光型の表示装置と
して、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源
と、この電子源からの電子線の照射により可視光を発光
する蛍光体とを組み合わせた表示装置が提案されている
(アメリカ特許第5066883号明細書)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記電子放出素子を画
像形成装置に用いる場合には、外部からの信号に応じて
電子放出部から取り出された放出電流量(電子数)を増
加あるいは減少させる事で蛍光体の輝度が変調されるよ
うに工夫されなければならない。例えば、上述のM.ハ
ートウェルによる表面伝導型電子放出素子の場合、放出
電流を変化させる方法としては、導電性膜の両端に印加
する電圧を変化させるのが一般的である。
【0013】しかしながら、上述のM.ハートウェルに
よる表面伝導型電子放出素子の様な2端子素子の放出電
流量を変化させる場合には、電子放出に必要な素子電流
(導電性膜を流れる電流)を得るための電源に、外部信
号に応じて電力を制御するための制御機構を付加しなけ
ればならず、装置が大型化する問題があった。また、上
述の表面伝導型電子放出素子を複数個用いる画像形成装
置においては、個々の素子がある範囲で異なる電圧−電
流特性を持つため、全ての素子で同じ特性を得るための
機構が必要であった。
【0014】本発明は、上記問題を鑑み、放出電流の制
御を高速かつ制御良く行うことが可能な電子放出素子及
び電子源と、かかる電子放出素子を用い、小型で簡易な
構成をもってより高品位な画像を形成し得る画像形成装
置の提供を目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0016】即ち、本発明の第一は、基板上に形成され
た対向する一対の素子電極間に、電子放出部を有する導
電性膜を備える電子放出素子において、該電子放出部は
内部に亀裂を有し、該電子放出部の基板側に、絶縁層を
挟んで第3の電極を有することを特徴とする電子放出素
子にある。
【0017】上記本発明第一の電子放出素子は、さらに
その特徴として、「前記電子放出部は、前記一対の素子
電極間の中央近傍或はいずれか一方の素子電極の近傍に
形成されている」こと、「前記絶縁層の厚さが、前記電
子放出部内部の亀裂の幅に、該絶縁層の比誘電率を乗じ
た厚さの5倍以内である」こと、「前記第3の電極が、
前記一対の素子電極のいずれか一方の素子電極方向に引
き出され、且つ該素子電極と重なるように配置されてい
る」こと、「前記第3の電極は、前記一対の素子電極の
いずれか一方に接続されている」こと、「前記第3の電
極は、外部からの信号に応じた電位が与えられる電極で
ある」こと、「前記電子放出素子が、表面伝導型電子放
出素子である」こと、をも含むものである。また、本発
明の第二は、入力信号に応じて電子を放出する電子源で
あって、上記本発明第一の電子放出素子を、基板上に複
数個配置したことを特徴とする電子源にある。
【0018】上記本発明第二の電子源は、さらにその特
徴として、「前記電子放出素子の複数が梯子状に配置さ
れており、個々の電子放出素子の両素子電極が並列に二
本の行配線に接続されており、更に変調手段を有する」
こと、「前記複数の電子放出素子がマトリクス状に配置
されており、個々の電子放出素子の一方の素子電極を行
配線に接続し、個々の電子放出素子の他方の素子電極を
前記行配線と直交する列配線に接続した」こと、をも含
むものである。
【0019】更に、本発明の第三は、入力信号に基づい
て画像を形成する装置であって、少なくとも、上記本発
明第二の電子源と、画像形成部材とによって構成された
ことを特徴とする画像形成装置にある。
【0020】本発明の電子放出素子によれば、第3の電
極に与える電位を制御することにより、極めて小さい電
力で放出電流量の制御が可能である。また、放出電流を
素子電流で割った値を電子放出効率と定義すると、第3
の電極に与える電位を変化させることで、この電子放出
効率を向上させることが可能である。
【0021】また、本発明の画像形成装置によれば、外
部からの信号に応じた輝度変調を高速に制御することが
可能となり、より高品位な画像を形成することが可能で
ある。さらに、制御装置が簡略化され、装置全体の小型
化が可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施態様
を示す。
【0023】本発明を適用し得る電子放出素子は、先述
したような冷陰極型の電子放出素子に分類されるもの
で、それらの中でも電子放出特性等の観点から特に表面
伝導型の電子放出素子が好適である。このため、以下で
は表面伝導型電子放出素子を例に挙げて説明する。
【0024】図1は、本発明の表面伝導型電子放出素子
の一構成例を示す模式図であり、図1(a)は平面図、
図1(b)は断面図である。図1において、1は基板、
2と3は素子電極、4は導電性膜、5は電子放出部、6
は第3の電極、7は誘電体膜(絶縁層)である。
【0025】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラ
スにスパッタ法等によりSiO2 を積層した積層体、ア
ルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることが
できる。
【0026】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができ、例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属或は合金及びPd、Ag、Au、RuO2 、Pd
−Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等から構成され
る印刷導体、In23 −SnO2 等の透明導電体及び
ポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択され
る。
【0027】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計さ
れる。素子電極間隔Lは、好ましくは、数百nmから数
百μmの範囲とすることができ、より好ましくは、素子
電極間に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μm
の範囲とすることができる。
【0028】素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放
出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とするこ
とができる。素子電極2,3の膜厚は、数十nmから数
μmの範囲とすることができる。
【0029】導電性膜4を構成する材料としては、例え
ばPd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,
Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、P
dO,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の
酸化物、HfB2 ,ZrB2,LaB6 ,CeB6 ,Y
4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,
TaC,SiC,WCなどの炭化物、TiN,ZrN,
HfN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等
が挙げられる。
【0030】導電性膜4には、良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカバ
レージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述するフォー
ミング条件等を考慮して適宜設定される。この導電性膜
4の膜厚は、好ましくは数Åから数百nmであり、さら
に好ましくは、5nmから50nmの範囲である。その
抵抗値Rsが、102から107 Ω/□の抵抗値を示す
膜厚で形成したものが好ましく用いられる。なおRs
は、幅がwで長さがlの薄膜の長さ方向に測った抵抗R
を、R=Rs(l/w)と置いたときに現れる値であ
る。ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合し
た膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に分散配置
した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは重
なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体とし
て島状構造を形成している場合も含む)をとっている。
微粒子の粒径は、数Åから数百nmの範囲、好ましく
は、1nmから20nmの範囲である。
【0031】なお、本明細書では頻繁に「微粒子」とい
う言葉を用いるので、その意味について説明する。
【0032】小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく、原子の数が数百個程度以下のものを
「クラスター」と呼ぶことは広く行われている。
【0033】しかしながら、それぞれの境は厳密なもの
ではなく、どの様な性質に注目して分類するかにより変
化する。また「微粒子」と「超微粒子」を一括して「微
粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中での記述はこれに
沿ったものである。
【0034】例えば、「実験物理学講座14 表面・微
粒子」(木下是雄 編、共立出版1986年9月1日発
行)では、「本稿で微粒子と言うときにはその直径がだ
いたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、特に
超微粒子というときは粒径が10nm程度から2〜3n
m程度までを意味することにする。両者を一括して単に
微粒子と書くこともあってけっして厳密なものではな
く、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数が
2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼
ぶ。」(195ページ 22〜26行目)と記述されて
いる。
【0035】付言すると、新技術開発事業団の“林・超
微粒子プロジェクト”での「超微粒子」の定義は、粒径
の下限はさらに小さく、次のようなものであった。
【0036】「創造科学技術推進制度の“超微粒子プロ
ジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒
子”(ultra fine particle)と呼
ぶことにした。すると1個の超微粒子はおよそ100〜
108 個くらいの原子の集合体という事になる。原子の
尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒子である。」(「超
微粒子−創造科学技術」林主税、上田良二、田崎明
編;三田出版 1988年 2ページ1〜4行目)/
「超微粒子よりさらに小さいもの、すなわち原子が数個
〜数百個で構成される1個の粒子は、ふつうクラスター
と呼ばれる」(同書2ページ12〜13行目)。
【0037】上記のような一般的な呼び方をふまえて、
本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分子の集
合体で、粒径の下限は数Å〜1nm程度、上限は数μm
程度のものを指すこととする。
【0038】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された高抵抗の亀裂により構成され、導電性膜4の膜
厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手法
等に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、数
Åから数十nmの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する
場合もある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成す
る材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するも
のとなる。電子放出部5及びその近傍の導電性膜4に
は、後述する活性化工程を経た場合、その活性化工程を
行った気相中に含まれる一部あるいは全ての元素からな
る単体物質及び化合物を有する場合もある。この単体物
質及び化合物の役割については、導電性膜4の一部とし
て機能し、また、電子放出部5を構成する物質として電
子放出特性を支配することが分かっているが、詳細は明
らかではない。
【0039】第3の電極6は、前述の素子電極2,3と
同じ材料を用いることができ、その膜厚も、素子電極
2,3と同じく数十nmから数μmの範囲とすることが
できる。
【0040】絶縁層7は、CVD,スパッタ法等により
形成したSiO,SiN,AlO,AlN,リン酸系ガ
ラス,ホウ酸系ガラス等を用いることができる。絶縁層
7の種類と厚さは、第3の電極6と導電性膜4との間に
形成される容量を決めるだけでなく、詳しくは後述する
が、電子放出部5からの放出電子の軌道を決める電位分
布の形成に深く関係している。
【0041】次に、上記本発明の電子放出素子の動作に
ついて、図2を参照しつつ簡単に説明する。図2中、図
1に示した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一
の符号を付しており、8は発光部材及び導電層9を設け
たガラス基板、10と11は電源、12は高圧電源であ
る。
【0042】素子電極2,3間に電源11により電圧を
印加し、電子放出部5より電子を放出させる。この時、
第3の電極6に電源10により正又は負の適当な電位を
与えることにより、電子放出部5(亀裂領域)からの電
子放出量を変化させることが可能となる。
【0043】具体的には、高圧電源12により導電層9
を高電位に設定し、電子放出素子とガラス基板8との間
に真空を挟んで平行電界を形成した場合、第3の電極6
に与える電位を正にすると、放出電流量が増大し、電子
放出効率が向上するように作用する。一方、第3の電極
6に与える電位を負にすることで放出電流量が減少する
ように作用する。
【0044】第3の電極6は絶縁層7によって素子電極
2,3と絶縁されているため、電極6の駆動時にはほと
んど電流が流れないため、駆動に伴う電流は導電性膜4
との間に形成される容量成分の変位電流だけである。こ
の容量成分は素子のスイッチング時間(変調制御可能な
最小の時間)を決めるため、電極6の抵抗値を出来るだ
け小さくすると共に、容量成分をなるべく小さくするこ
とが望ましい。このため、電極6と導電性膜4が重なる
面積を可能な限り少なくするのが望ましい。また、電極
6を素子電極2,3のいずれか一方の素子電極方向に引
き出し、かかる素子電極と重なるように配置する場合に
は、かかる素子電極と電極6を同電位にし、これらの間
の容量をキャンセルすることはより有効である。さら
に、放出された電子の軌道変化を最小にするためには、
第3の電極6に結線される配線を素子電極の下に完全に
隠れるような形状にすることが望ましい。
【0045】また、絶縁層7の種類と厚さは、導電性膜
4との間に形成される容量を決めるだけでなく放出電子
の軌道を決める電位分布の形成に深く関係している。絶
縁層7の厚さは、電子の軌道を変化させるために必要な
電界と形成される容量成分を考慮して適宜に設定され
る。本発明者らの研究によれば、各電極に加えられる電
位の通常の範囲においては、この絶縁層7の厚さを、電
子放出部5の内部の亀裂幅に、絶縁層の比誘電率を乗じ
た厚さの5倍以内とすることにより、極めて小さい電力
で放出電流量の制御が可能であることが分かった。
【0046】次に、本発明の表面伝導型電子放出素子の
他の構成例について説明する。図3は、本発明の表面伝
導型電子放出素子の他の構成例を示す模式図であり、図
3(a)は平面図、図3(b)は断面図である。図3
中、図1に示した部位と同じ部位には図1に付した符号
と同一の符号を付している。図1に示した電子放出素子
との違いは、電子放出部5の位置である。即ち、図1に
示した電子放出素子は、電子放出部5が、素子電極2,
3間の中央近傍に形成されたものであるが、本素子は一
方の素子電極(図3においては素子電極2)の近傍に形
成されたものである。
【0047】素子電極2に沿った電子放出部5は、素子
電極2と素子電極3とで電極材料や膜厚を変えることに
より形成することができ、特に導電性膜4と素子電極2
との熱反応(合金反応)を利用して形成するのが好まし
い。
【0048】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造方
法としては様々な方法があるが、その一例を図4に基づ
いて説明する。尚、図4においても図1に示した部位と
同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付してい
る。
【0049】1)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤等を
用いて十分に洗浄し、スピンナー等によりレジスト41
を堆積後、フォトリソグラフィー技術を用いて第3の電
極6となるパターンを形成し、更に電極6の厚さと同程
度の深さになるように基板1のエッチングを行なう(図
4(a))。
【0050】2)次に、電極材料を基板全面に蒸着を行
った後、レジスト41を剥離して、電極6を形成する
(図4(b))。
【0051】3)次に、基板上にSiO2 等を蒸着し、
絶縁層7を形成する(図4(c))。
【0052】4)次に、真空蒸着法、スパッタ法等によ
り素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー
技術を用いて素子電極2,3を形成する。次に、有機金
属溶液を塗布して、有機金属膜を形成する。有機金属溶
液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元素とする
有機化合物の溶液を用いることができる。有機金属膜を
加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパタ
ーニングし、導電性膜4を形成する(図4(d))。こ
こでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、導
電性膜4の形成法はこれに限られるものではなく、真空
蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、
ディッピング法、スピンナー法等を用いることもでき
る。
【0053】5)続いて、フォーミング工程を施す。こ
のフォーミング工程の方法の一例として通電処理による
方法を説明する。素子電極2,3間に、不図示の電源よ
り通電すると、導電性膜4に、局所的に破壊,変形もし
くは変質等の構造の変化した電子放出部5が形成される
(図4(e))。通電フォーミングの電圧波形の例を図
7に示す。
【0054】電圧波形は、特にパルス波形が好ましい。
これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に
印加する図7(a)に示した手法と、パルス波高値を増
加させながらパルスを印加する図7(b)に示した手法
がある。
【0055】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図7(a)で説明する。図7(a)におけるT1
及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、例
えば、T1を1マイクロ秒〜10ミリ秒、T2を10マ
イクロ秒〜100ミリ秒とし、波高値(通電フォーミン
グ時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子の形態
に応じて適宜選択される。このような条件のもと、例え
ば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は、
三角波に限定されるものではなく、矩形波等の所望の波
形を採用することができる。
【0056】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図7(b)で説明する。
図7(b)におけるT1及びT2は、図7(a)に示し
たのと同様とすることができる。三角波の波高値(通電
フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステ
ップ程度づつ、増加させることができる。
【0057】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性膜4を局所的に破壊,変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる電流を
測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した
時、通電フォーミングを終了させる。
【0058】6)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If,放出電流Ieが著
しく変化する工程である。
【0059】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、素子
にパルスの印加を繰り返すことで行うことができる。こ
の雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプな
どを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留
する有機ガスを利用して形成することができる他、イオ
ンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な
有機物質のガスを導入することによっても得られる。こ
のときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形
態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異な
るため、場合に応じ適宜設定される。適当な有機物質と
しては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水
素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド
類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スル
ホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、具体的に
は、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表され
る飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn2n
の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセ
トアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
アミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロ
ピオン酸等が使用できる。この処理により、雰囲気中に
存在する有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子
上に堆積し、素子電流If,放出電流Ieが、著しく変
化するようになる。
【0060】活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと
放出電流Ieを測定しながら、適宜行う。なお、パルス
幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0061】炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファ
イト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含するもの
で、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構造、PG
は結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの、
GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れがさら
に大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモ
ルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グ
ラファイトの微結晶の混合物を指す。)であり、その膜
厚は、50nm以下の範囲とするのが好ましく、30n
m以下の範囲とすることがより好ましい。
【0062】7)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空
容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイ
ルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用
しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープ
ションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げる
ことが出来る。
【0063】前記活性化の工程で、排気装置として油拡
散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生する
オイル成分に由来する有機ガスを用いた場合には、この
成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の
有機成分の分圧は、上記炭素及び炭素化合物がほぼ新た
に堆積しない分圧で1×10-8Torr以下が好まし
く、さらには1×10-10 Torr以下が特に好まし
い。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全
体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着し
た有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。この
ときの加熱条件は、80〜250℃好ましくは150℃
以上で、できるだけ長時間処理するのが望ましいが、特
にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形
状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれ
る条件により行う。真空容器内の圧力は極力低くするこ
とが必要で、1×10-7Torr以下が好ましく、さら
には1×10-8Torr以下が特に好ましい。
【0064】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定な特
性を維持することが出来る。
【0065】このような真空雰囲気を採用することによ
り、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、
また真空容器や基板などに吸着したH2 O,O2 なども
除去でき、結果として素子電流If,放出電流Ieが、
安定する。
【0066】上述した工程を経て得られた本発明を適用
可能な電子放出素子の基本特性について、図8,図9を
参照しながら説明する。
【0067】図8は、真空処理装置の一例を示す模式図
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図8においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。
【0068】図8において、55は真空容器であり、5
7は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出素
子が配されている。また、51は電子放出素子に素子電
圧Vfを印加するための電源、50は素子電極2,3間
の導電性膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電
流計、54は素子の電子放出部5より放出される放出電
流Ieを捕捉するためのアノード電極、53はアノード
電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は電子
放出部5より放出される放出電流Ieを測定するための
電流計、56は第3の電極6に電圧を印加するための電
源である。一例として、アノード電極54の電圧を1k
V〜10kVの範囲とし、アノード電極54と電子放出
素子との距離Hを2〜8mmの範囲として測定を行うこ
とができる。
【0069】真空容器55内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。
【0070】排気ポンプ57は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されてい
る。ここに示した電子放出素子基板を配した真空処理装
置の全体は、不図示のヒーターにより250℃まで加熱
できる。従って、この真空処理装置を用いると、前述の
通電フォーミング以降の工程も行うことができる。
【0071】図9は、図8に示した真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie及び素子電流Ifと、素子電
圧Vfとの関係を模式的に示した図である。図9におい
ては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さ
いので、任意単位で示している。尚、縦・横軸ともリニ
アスケールである。
【0072】図9からも明らかなように、本発明を適用
可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関し
て次の3つの特徴的性質を有する。
【0073】即ち、第1に、本素子はある電圧(しきい
値電圧と呼ぶ;図9中のVth)以上の素子電圧を印加
すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧
Vth以下では放出電流Ieが殆ど検出されない。つま
り、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを
持った非線形素子である。
【0074】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに単
調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制
御できる。
【0075】第3に、アノード電極54(図8参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に
依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電荷
量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0076】以上の説明より理解されるように、本発明
を適用可能な表面伝導型電子放出素子は、入力信号に応
じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。こ
の性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成し
た電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能とな
る。
【0077】図9においては、素子電流Ifが素子電圧
Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」とい
う。)例を示したが、素子電流Ifが素子電圧Vfに対
して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特性」
という。)を示す場合もある(不図示)。これらの特性
は、前述の工程を制御することで制御できる。
【0078】本発明を適用可能な電子放出素子の応用例
について以下に述べる。本発明を適用可能な表面伝導型
電子放出素子を複数個基板上に配列し、例えば電子源あ
るいは、画像形成装置が構成できる。
【0079】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電
子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を
多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向
(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子から
の電子を制御駆動する梯子状配置のものがある。これと
は別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複
数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極
の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配さ
れた複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線
に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは
所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配
置について以下に詳述する。
【0080】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述した通り3つの特性がある。即ち、
表面伝導型電子放出素子からの放出電子は、しきい値電
圧以上では、対向する素子電極間に印加するパルス状電
圧の波高値と幅で制御できる。一方、しきい値電圧以下
では、殆ど放出されない。この特性によれば、多数の電
子放出素子を配置した場合においても、個々の素子にパ
ルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて、表面
伝導型電子放出素子を選択して電子放出量を制御でき
る。
【0081】以下この原理に基づき、本発明を適用可能
な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につい
て、図10を用いて説明する。図10において、71は
電子源基板、72はX方向配線、73はY方向配線であ
る。74は表面伝導型電子放出素子、75は結線であ
る。
【0082】m本のX方向配線72は、Dx1,Dx
2,……,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパ
ッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構成するこ
とができる。配線の材料、膜厚、幅は適宜設計される。
Y方向配線73は、Dy1,Dy2,……,Dynのn
本の配線よりなり、X方向配線72と同様に形成され
る。これらm本のX方向配線72とn本のY方向配線7
3との間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、
両者を電気的に分離している(m,nは、共に正の整
数)。
【0083】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の
全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配
線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線
72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き
出されている。
【0084】表面伝導型電子放出素子74を構成する一
対の素子電極(不図示)は、それぞれm本のX方向配線
72とn本のY方向配線73に、導電性金属等からなる
結線75によって電気的に接続されている。また、本例
では、表面伝導型電子放出素子74の第3の電極(不図
示)は一方の素子電極に接続されている。
【0085】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、また夫々異なってもよい。これらの材料は、例えば
前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を
構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子電
極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0086】X方向配線72には、X方向に配列した表
面伝導型電子放出素子74の行を選択するための走査信
号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。
一方、Y方向配線73には、Y方向に配列した表面伝導
型電子放出素子74の各列を入力信号に応じて変調する
ための、不図示の変調信号発生手段が接続される。各電
子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加さ
れる走査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0087】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0088】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図11と図12
及び図13を用いて説明する。図11は、画像形成装置
の表示パネルの一例を示す模式図であり、図12は、図
11の画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図であ
る。図13は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示
を行うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0089】図11において、71は電子放出素子を複
数配した電子源基板、81は電子源基板71を固定した
リアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜8
4とメタルバック85等が形成されたフェースプレート
である。82は支持枠であり、該支持枠82には、リア
プレート81、フェースプレート86がフリットガラス
等を用いて接続されている。88は外囲器であり、例え
ば大気中あるいは窒素中で、400〜500℃の温度範
囲で10分間以上焼成することで、封着して構成され
る。
【0090】74は、図1に示したような電子放出素子
である。72,73は、表面伝導型電子放出素子の一対
の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線あ
る。
【0091】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。リアプレート81は主に基板71の強度を補強する
目的で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持
つ場合は別体のリアプレート81は不要とすることがで
きる。即ち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェ
ースプレート86、支持枠82及び基板71で外囲器8
8を構成してもよい。一方、フェースプレート86とリ
アプレート81の間に、スぺーサーと呼ばれる不図示の
支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強
度をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0092】図12は、蛍光膜を示す模式図である。蛍
光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみで構成す
ることができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配
列により、ブラックストライプ(図12(a))あるい
はブラックマトリクス(図12(b))等と呼ばれる黒
色導電材91と蛍光体92とから構成することができ
る。ブラックストライプ、ブラックマトリクスを設ける
目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の
各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を
目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射に
よるコントラストの低下を抑制することにある。黒色導
電材91の材料としては、通常用いられている黒鉛を主
成分とする材料の他、導電性があり、光の透過及び反射
が少ない材料を用いることができる。
【0093】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用さ
せること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダ
メージから蛍光体を保護すること等である。メタルバッ
クは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その
後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製でき
る。
【0094】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0095】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十分
な位置合わせが不可欠となる。
【0096】図11に示した画像形成装置は、例えば以
下のようにして製造される。
【0097】外囲器88内は、前述の安定化工程と同様
に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプ等のオイルを使用しない排気装置により不図示の排
気管を通じて排気し、10-7Torr程度の真空度の有
機物質の十分に少ない雰囲気にした後、封止が成され
る。外囲器88の封止後の真空度を維持するために、ゲ
ッター処理を行うこともできる。これは、外囲器88の
封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高
周波加熱等を用いた加熱により、外囲器88内の所定の
位置に配置されたゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜
を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分
であり、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-7
Torr以上の真空度を維持するものである。ここで、
表面伝導型電子放出素子のフォーミング処理以降の工程
は適宜設定できる。
【0098】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図13を用いて説明する。図13において、
101は画像表示パネル、102は走査回路、103は
制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメ
モリ、106は同期信号分離回路、107は変調信号発
生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0099】表示パネル101は、端子Dx1乃至Dx
m、端子Dy1乃至Dyn及び高圧端子87を介して外
部の電気回路と接続している。端子Dx1乃至Dxmに
は、表示パネル101内に設けられている電子源、即
ち、m行n列の行列状にマトリクス配線された表面伝導
型電子放出素子群を1行(n素子)づつ順次駆動する為
の走査信号が印加される。端子Dy1乃至Dynには、
前記走査信号により選択された1行の表面伝導型電子放
出素子の各素子の出力電子ビームを制御する為の変調信
号が印加される。高圧端子87には、直流電圧源Vaよ
り、例えば10kVの直流電圧が供給されるが、これは
表面伝導型電子放出素子から放出される電子ビームに、
蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与する為の
加速電圧である。
【0100】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にm個のスイッチング素子(図中、S1乃至S
mで模式的に示している)を備えたものである。各スイ
ッチング素子は、直流電圧電源Vxの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル101の端子Dx1乃至Dxmと電気的に接
続される。各スイッチング素子S1乃至Smは、制御回
路103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作
するものであり、例えばFETのようなスイッチング素
子を組み合わせることにより構成することができる。
【0101】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝
導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基
づき、走査されていない素子に印加される駆動電圧が電
子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力す
るよう設定されている。
【0102】制御回路103は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同
期信号分離回路106より送られる同期信号Tsync
に基づいて、各部に対してTscan,Tsft及びT
mryの各制御信号を発生する。
【0103】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波
数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期
信号分離回路106により分離された同期信号は、垂直
同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便
宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号か
ら分離された画像の輝度信号成分は、便宜上DATA信
号と表した。このDATA信号は、シフトレジスタ10
4に入力される。
【0104】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ
104のシフトクロックであると言い換えてもよ
い。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分
のデータ(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)
は、Id1乃至Idnのn個の並列信号として前記シフ
トレジスタ104より出力される。
【0105】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmryに従
って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶され
た内容は、Id’1乃至Id’nとして出力され、変調
信号発生器107に入力される。
【0106】変調信号発生器107は、画像データI
d’1乃至Id’nの各々に応じて、表面伝導型電子放
出素子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、
その出力信号は、端子Dy1乃至Dynを通じて表示パ
ネル101内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0107】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は放出電流Ieに関して以下の基本特性を有し
ている。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vth
があり、Vth以上の電圧が印加された時のみ電子放出
が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素
子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。こ
のことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、
例えば電子放出しきい値電圧以下の電圧を印加しても電
子放出は生じないが、電子放出しきい値電圧以上の電圧
を印加する場合には電子ビームが出力される。その際、
パルスの波高値Vmを変化させることにより、出力電子
ビームの強度を制御することが可能である。また、パル
スの幅Pwを変化させることにより、出力される電子ビ
ームの電荷の総量を制御することが可能である。
【0108】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107としては、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの波高値を変調できるような電圧変調方式の回路を用
いることができる。パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電
圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧
パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を
用いることができる。
【0109】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0110】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには同期信号分離回路106の
出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連して
ラインメモリ105の出力信号がデジタル信号かアナロ
グ信号かにより、変調信号発生器107に用いられる回
路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用
いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、
例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等
を付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
107には、例えば高速の発振器及び発振器の出力する
波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値
と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型
電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅
器を付加することもできる。
【0111】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば電圧制御型発振回路(VCO)を採用で
き、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧に
まで電圧増幅するための増幅器を付加することもでき
る。
【0112】このような構成をとり得る本発明を適用可
能な画像形成装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dx1乃至Dxm、Dy1乃至Dynを介して電
圧を印加することにより、電子放出が生じる。高圧端子
87を介してメタルバック85あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形
成される。
【0113】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついてはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL、SECAM方式等の他、
これらよりも多数の走査線からなるTV信号(例えば、
MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用
できる。
【0114】次に、前述の梯子型配置の電子源及び画像
形成装置について、図14及び図15を用いて説明す
る。
【0115】図14は、梯子型配置の電子源の一例を示
す模式図である。図14において、110は電子源基
板、111は電子放出素子である。112は、電子放出
素子111を接続するための共通配線D1〜D10であ
り、これらは外部端子として引き出されている。電子放
出素子111は、基板110上に、X方向に並列に複数
個配置されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行
が複数個配置されて、電子源を構成している。尚、本例
においては、電子放出素子111の第3の電極(不図
示)は、各素子行の一方の共通配線に接続されている。
各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各
素子行を独立に駆動させることができる。即ち、電子ビ
ームを放出させたい素子行には、電子放出しきい値以上
の電圧を印加し、電子ビームを放出させたくない素子行
には、電子放出しきい値以下の電圧を印加する。各素子
行間に位置する共通配線D2〜D9は、例えばD2とD
3を一体の同一配線とすることもできる。
【0116】図15は、梯子型配置の電子源を備えた画
像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図であ
る。120はグリッド電極、121は電子が通過するた
めの開口、D1乃至Dmは容器外端子、G1乃至Gnは
グリッド電極120と接続された容器外端子である。1
10は各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基
板である。図15においては、図11、図14に示した
部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同一の符
号を付している。ここに示した画像形成装置と、図11
に示した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな
違いは、電子源基板110とフェースプレート86の間
にグリッド電極120を備えているか否かである。
【0117】図15においては、基板110とフェース
プレート86の間には、グリッド電極120が設けられ
ている。グリッド電極120は、表面伝導型電子放出素
子111から放出された電子ビームを変調するためのも
のであり、梯子型配置の素子行と直交して設けられたス
トライプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素
子に対応して1個ずつ円形の開口121が設けられてい
る。グリッド電極の形状や配置位置は、図15に示した
ものに限定されるものではない。例えば、開口としてメ
ッシュ状に多数の通過口を設けることもでき、グリッド
電極を表面伝導型電子放出素子の周囲や近傍に設けるこ
ともできる。
【0118】容器外端子D1乃至Dm及びグリッド容器
外端子G1乃至Gnは、不図示の制御回路と電気的に接
続されている。
【0119】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)して行くのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
【0120】以上説明した本発明の画像形成装置は、テ
レビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコン
ピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて
構成された光プリンターとしての画像形成装置等として
も用いることができる。
【0121】
【実施例】以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
なく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素の置
換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0122】[実施例1]本実施例に係わる表面伝導型
電子放出素子の構成は、図1(a),(b)の平面図及
び断面図と同様である。図1において、1は基板、2と
3は素子電極、4は導電性膜、5は電子放出部、6は第
3の電極、7は絶縁層である。
【0123】本実施例に係わる表面伝導型電子放出素子
の製造法は、基本的には図4と同様であり、以下、図1
及び図4を用いて、本実施例に係わる素子の基本的な構
成及び製造法を順を追って説明する。
【0124】工程A 基板1として厚さ約1mmの石英基板を用い、基板を有
機洗浄した後、ポジレジスト41(AZ1370/ヘキ
スト社製)をスピンコートし約1μmの厚さに堆積し
た。UV光を用いて第3の電極となるパターンを形成
し、その後、第3の電極6の厚さと同程度の厚さ、本実
施例では約300nm、の深さになるように石英基板を
CF4 ガスを用いてドライエッチングを行い、溝の幅が
約10μmの図4(a)なる断面を得た。
【0125】工程B 次に、CrをEB蒸着により300nmの厚さに基板全
面に堆積させた。その後、レジスト41をアセトンで剥
離して第3の電極6を形成し、図4(b)に示すように
基板面がほぼ平坦な断面を得た。
【0126】工程C 次に、基板上に約50nmのSiO2 膜をスパッターに
て蒸着を行い、絶縁層7を形成し、図4(c)の様な断
面を得た。
【0127】工程D 次に、厚さ50nmのAuを抵抗加熱蒸着にて形成し、
レジストを用いたリフトオフで素子電極2,3を形成し
た。このときの電極間隔Lは約30μm、電極幅Wは約
300μmであった。次に、Pdの有機金属錯体溶液を
スピナーで基板全面に塗布後、約300℃で焼成を行い
厚さ約10nmのPdO膜を得た。次に、Arガスを用
いてレジストをマスクとして用いたドライエッチングに
てPdO膜をパターニングし、導電性膜4を形成して図
4(d)に示す断面を得た。
【0128】工程E 次に、素子を図8の真空処理装置の真空容器55内に設
置し、排気ポンプ57にて排気し、真空容器55内を1
×10-6Torrの真空度とした。この後、素子に素子
電圧Vfを印加するための電源51より、素子電極2,
3間に電圧を印加して通電フォーミングを行い、電子放
出部5を形成し、図4(e)なる断面を得た。通電フォ
ーミング処理の電圧波形は図7(b)に示したものであ
る。
【0129】本実施例では、図7(b)中のT1を1m
s、T2を10msとし、三角波ではなく矩形波を用
い、矩形波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は
0.1Vステップで昇圧し、フォーミング処理を行っ
た。また、フォーミング処理中は、同時に、0.1Vの
電圧でT2間に抵抗測定パルスを挿入し、抵抗を測定し
た。尚、フォーミング処理の終了は、抵抗測定パルスで
の測定値が約1MΩ以上になった時とし、同時に、素子
への電圧の印加を終了した。
【0130】引き続き、真空容器55内を約2×10-7
Torrの真空度とし、有機物質としてアセトンを真空
容器55内に導入した。この時のアセトンの分圧は2×
10-4Torrとした。続いて、素子に電源51より、
素子電2,3間に電圧を印加して、活性化処理を行っ
た。この時、素子に印加する電圧波形は、図7(b)中
のT1を1ms、T2を10msとし、三角波の波高値
は徐々に昇圧して活性化処理を行った。
【0131】その後、排気ポンプをイオンポンプを用い
た超真空排気装置に切り換え、180℃で7時間ベーキ
ングした。ベーキング後の真空容器55内の真空度は1
×10-7Torrであった。
【0132】次に、上記真空容器55内で行った電子放
出素子の駆動について述べる。尚、図8中のアノード電
極54は、不図示の発光層と共にガラス基板に支持され
ている。この時の発光層及びアノード電極54としてI
TO(インジウム・スズ・酸化物)上に蛍光体が存在す
るものを用い、電子放出素子とアノード電極54との間
隔Hは4mmとした。
【0133】電子放出素子の駆動時には、高圧電源53
より約5kVの電圧をアノード電極54に印加した。次
に、電源51により波高値14V,パルス幅100μs
の矩形波を100Hzの周期で印加した。このとき、素
子に流れる素子電流は約3mA、アノード電極54に到
達する放出電流は約3μAであった。
【0134】次に、電源51による矩形波パルスに同期
させて電源56の波高値を正の値に昇圧させたところ、
約10Vから放出電流が増加し、14Vで放出電流は約
2倍の6μAとなった。次に、電源51による矩形波パ
ルスに同期させて電源56の波高値を負の値に減圧させ
たところ、放出電流が減少し、−7Vで放出電流は測定
限界以下となった。これらの結果より、第3の電極6に
印加する電位を変化するだけで放出電流量を変調するこ
とが可能であることを確認した。また第3の電極6に流
れる電流は充放電電流のみ検出され、このことから変調
のスイッチングスピードが導電性膜4と電極6に形成さ
れる容量成分と電極6の抵抗成分によって決められるこ
とがわかった。
【0135】[実施例2]本実施例に係わる表面伝導型
電子放出素子の構成は、図3(a),(b)の平面図及
び断面図と同様である。図3においても、1は基板、2
と3は素子電極、4は導電性膜、5は電子放出部、6は
第3の電極、7は絶縁層である。
【0136】本実施例の電子放出素子では、電子放出部
5が素子電極2に沿って形成されており、その製造法は
実施例1における工程D,Eが異なるだけであるので、
かかる工程についてのみ簡単に説明する。
【0137】工程D 厚さ100nmのAuをパターニングして素子電極2を
形成し、厚さ50nmのPtを2回の蒸着しパターニン
グして素子電極3を形成した。このときの電極間隔Lは
約30μm、電極幅Wは約300μmであった。次に、
Pdの有機金属錯体溶液をスピナーで基板全面に塗布
後、約300℃で焼成を行い厚さ約10nmのPdO膜
を得た。次に、Arガスを用いてレジストをマスクとし
て用いたドライエッチングにてPdO膜をパターニング
し、導電性膜4を形成した。
【0138】工程E 基板を大気中450℃で30分間ほど加熱すると、Pd
O膜からなる導電性膜4が素子電極2のAuと反応を起
こし、実施例1における通電フォーミングで形成した電
子放出部5とほぼ同等の電子放出部が素子電極2に沿っ
て形成された。
【0139】引き続き、実施例1で用いたアセトンに代
えてノルマル−ヘキサンによる活性化を行い、さらに安
定化工程を行った。
【0140】本実施例で作成された素子は、電子放出部
が予め決められた位置、即ち素子電極2に沿って形成さ
れるため、第3の電極6と絶縁層7を挟んで存在する導
電性膜4及び素子電極2(あるいは素子電極3)と重な
る面積を比較的容易に減らすことが出来る(本実施例で
は実施例1の約半分とすることが出来た)ため、輝度変
調等のスイッチングスピードを早めることが出来た。な
お、駆動方法は実施例1と同じで、その効果作用もほぼ
同一であった。
【0141】[実施例3]本実施例に係わる表面伝導型
電子放出素子の構成を図5に示す。図5(a)は平面
図、図5(b)は断面図である。図5においても、1は
基板、2と3は素子電極、4は導電性膜、5は電子放出
部、6は第3の電極、7は絶縁層である。
【0142】本実施例の電子放出素子は、電子放出部5
が素子電極2に沿って形成されている点では実施例2と
同様であるが、第3の電極6の配置が上部の素子電極の
一部と全く重なるか或いは完全に上部の素子電極に遮蔽
されるように配置されるのが特徴である。その製造法は
実施例2と同様であるので、省略する。
【0143】電子放出素子の駆動は、実施例1と同様、
図8に示した真空処理装置を用いて行った。尚、電子放
出素子及びアノード電極54と各電源は、図6に示すよ
うにし接続した。即ち、本実施例では一方の素子電極
(素子電極3)と第3の電極6に電源51により同じ正
の電位を与えることができるように接続した。
【0144】電子放出素子の駆動の際には、高圧電源5
3より約5kVの電圧をアノード電極54に印加した。
次に、電源51により波高値14V,パルス幅100μ
sの矩形波を100Hzの周期で印加した。このとき、
素子に流れる素子電流は約3mA、アノード電極54に
到達する放出電流は約7μAであった。このことは素子
電極6と素子電極3を同電位にて駆動するだけで同一の
Ifに対して電子放出量が2倍ほど多く観察され、効率
が向上したことが確認された。
【0145】変調のスイッチングスピードを決めている
導電性膜4と第3の電極6に形成される容量成分は素子
電極3と同電位で駆動されるため極めて小さく、このた
め変調速度が極めて増加した。また第3の電極6を配置
したことによる電子軌道のゆがみ等の影響を極力減らす
ことが可能となった。
【0146】[実施例4]本実施例は、多数の表面伝導
型電子放出素子を単純マトリクス配置した電子源を用い
て、画像形成装置を作製した例である。
【0147】複数の導電性膜がマトリクス配線された基
板の一部の平面図を図16に示す。また、図中のA−
A’断面図を図17に示す。但し、図16、図17で同
じ符号で示したものは、同じ部材を示す。ここで1は基
板、72は図10のDxmに対応するX方向配線(下配
線とも呼ぶ)、73は図10のDynに対応するY方向
配線(上配線とも呼ぶ)、4は導電性膜、2と3は素子
電極、6は第3の電極、7は絶縁層、171は層間絶縁
層、172は素子電極2と下配線72との電気的接続の
ためのコンタクトホールである。
【0148】先ず、本実施例の電子源の製造方法を、図
18及び図19を用いて工程順に従って具体的に説明す
る。尚、以下に説明する工程−a〜hは、それぞれ図1
8の(a)〜(d)及び図19の(e)〜(h)に対応
する。
【0149】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5μmのシリコン酸
化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、真空蒸着によ
り厚さ5nmのCr、厚さ600nmのAuを順次積層
した後、ホトレジスト(AZ1370/ヘキスト社製)
をスピンナーにより回転塗布、ベークした後、ホトマス
ク像を露光、現像して、下配線72のレジストパターン
を形成し、Au/Cr堆積膜をウエットエッチングし
て、所望の形状の下配線72を形成した。
【0150】工程−b 次に、厚さ1.0μmのシリコン酸化膜からなる層間絶
縁層171をRFスパッタ法により堆積した。続いて、
ホトレジスト173を用いて開口部を形成した後、第3
の電極3とほぼ同じ厚さ(約300nm)の深さになる
ように、CF4ガスを用いてドライエッチングを行っ
た。
【0151】工程−c 厚さ約300nmのCrをEB蒸着後、レジスト173
を用いてリフトオフし、第3の電極6を形成した。次
に、SiO2 をスパッタ法で約500Åの厚さに堆積し
た後、堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール17
2を形成するためのホトレジストパターンを作り、これ
をマスクとして層間絶縁層171をエッチングしてコン
タクトホール172を形成した。エッチングはCF4
2 ガスを用いたRIE(Reactive Ion
Etching)法によった。
【0152】工程−d その後、素子電極2と素子電極3間ギャップGとなるべ
きパターンをホトレジスト(RD−2000N−41/
日立化成社製)形成し、真空蒸着法により、厚さ5nm
のTi、厚さ100nmのNiを順次堆積した。ホトレ
ジストパターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜
をリフトオフし、素子電極間隔Lは3μmとし、幅Wが
300μmの素子電極2,3を形成した。
【0153】工程−e 素子電極2,3の上に上配線73のホトレジストパター
ンを形成した後、厚さ5nmのTi、厚さ500nmの
Auを順次真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不
要の部分を除去して、所望の形状の上配線73を形成し
た。
【0154】工程−f 膜厚100nmのCr膜174を真空蒸着により堆積
し、これを導電性膜4の形状に対応する開口を有するよ
うにパターニングし、そのうえに有機Pd(ccp42
30/奥野製薬(株)製)をスピンナーにより回転塗
布、300℃で10分間の加熱焼成処理をした。また、
こうして形成された主元素としてPdよりなる微粒子か
らなる導電性膜4の膜厚は10nm、シート抵抗値は5
×104 Ω/□であった。なおここで述べる微粒子膜と
は、先述したように、複数の微粒子が集合した膜であ
り、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置した
状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは、重な
り合った状態(島状も含む)の膜を指し、その粒径と
は、前記状態で粒子形状が認識可能な微粒子についての
径をいう。
【0155】工程−g Cr膜174および焼成後の導電性膜4をウェットエッ
チングによりエッチングして所望のパターンを形成し
た。
【0156】工程−h コンタクトホール172部分以外にレジストを塗布する
ようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ5nmの
Ti、厚さ500nmのAuを順次堆積した。リフトオ
フにより不要の部分を除去することにより、コンタクト
ホール172を埋め込んだ。
【0157】以上の工程により、絶縁性基板1上に下配
線72、層間絶縁層141、上配線73、素子電極2,
3、導電性膜4等を形成した。
【0158】次に、以上のようにして作製した複数の導
電性膜4がマトリクス配線された基板1(図16)を用
いて画像形成装置を作製した。作製手順を図11と図1
2を用いて説明する。
【0159】先ず、上記複数の導電性膜4がマトリクス
配線された基板1(図16)をリアプレート81上に固
定した後、基板1の5mm上方に、フェースプレート8
6(ガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック
85が形成されて構成される)を支持枠82を介して配
置し、フェースプレート86、支持枠82、リアプレー
ト81の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中で4
30℃で10分以上焼成することで封着した(図1
1)。なお、リアプレート81への基板1の固定もフリ
ットガラスで行った。
【0160】図11において、74は電子放出素子、7
2,73はそれぞれX方向及びY方向の配線である。
尚、第3の電極6は、一方の素子電極(素子電極3)と
共にY方向配線73に接続されている。
【0161】蛍光膜84は、カラーを実現するために、
ストライプ形状(図12(a)参照)の蛍光体とし、先
にブラックストライプを形成し、その間隙部にスラリー
法により各色蛍光体92を塗布して蛍光膜84を作製し
た。ブラックストライプの材料としては、通常よく用い
られている黒鉛を主成分とする材料を用いた。
【0162】また、蛍光膜84の内面側にはメタルバッ
ク85を設けた。メタルバック85は、蛍光膜84の作
製後、蛍光膜84の内面側表面の平滑化処理(通常、フ
ィルミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸
着することで作製した。
【0163】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極を設ける場合もあるが、本実施例ではメタルバック8
5のみで十分な導電性が得られたので省略した。
【0164】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体92と電子放出素子74とを対応させなくてはい
けないため、十分な位置合わせを行った。
【0165】以上のようにして完成した外囲器88内の
雰囲気を排気管(不図示)を通じ真空ポンプにて排気
し、十分な真空度に達した後、容器外端子Dx1乃至D
xmとDy1乃至Dynを通じ素子電極2,3間に電圧
を印加し、導電性膜4をフォーミング処理することによ
り、電子放出部5を形成した。フォーミング処理の電圧
波形は、図7(b)に示した電圧波形(但し、三角波で
はなく矩形波)を用いた。本実施例ではT1を1ms、
T2を10msとし、約1×10-5Torrの真空雰囲
気下で行った。
【0166】このようにして形成された電子放出部5
は、パラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置さ
れた状態となり、その微粒子の平均粒径は3nmであっ
た。
【0167】次に、パネル(外囲器88)の排気管より
n−ヘキサンをスローリークバルブを通してパネル内に
導入し、1.0×10-5Torrを維持した。フォーミ
ングと同一の矩形波で、波高14Vで、真空度1×10
-5Torrの真空度で、素子電流If、放出電流Ieを
測定しながら、活性化処理を行った。以上のようにフォ
ーミング、活性化処理を行い、電子放出部5を形成し、
電子放出素子74を作製した。
【0168】この後、不図示の排気管を通じ、外囲器8
8内を10-6Torr程度の真空度まで排気し、該排気
管をガスバーナーで熱することで溶着し、外囲器88の
封止を行った。最後に、封止後の真空度を維持するため
に、高周波加熱法でゲッター処理を行った。ゲッターは
Ba等を主成分とした。
【0169】以上のようにして完成した本発明の画像形
成装置において、容器外端子Dx1乃至DxmとDy1
乃至Dynを通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信
号発生手段より夫々印加することにより電子放出させ、
高圧端子87を通じてメタルバック85に数kV以上の
高圧を印加して、電子ビームを加速し、蛍光膜84に衝
突させ、励起・発光させることで画像を表示した。
【0170】本実施例における画像表示装置は、良好な
画像を均一かつ精度良く表示することができた。
【0171】[実施例5]本実施例では、実施例4の画
像形成装置を、例えばテレビジョン放送をはじめとする
種々の画像情報源より提供される画像情報を表示できる
ように構成した表示装置の一例を示す。具体的には、図
11に示した画像形成装置を図13に示した駆動回路を
用いて、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行っ
た。
【0172】本表示装置においては、とりわけ表面伝導
型電子放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネ
ルの薄型化が容易なため、表示装置の奥行きを小さくす
ることができる。それに加えて、表面伝導型電子放出素
子を電子ビーム源とするディスプレイパネルは大面積化
が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本表示
装置は臨場感あふれ迫力に富んだ画像を視認性良く表示
する事が可能である。
【0173】本実施例における表示装置は、NTSC方
式のテレビ信号に応じた画像を良好に、かつ長時間安定
して表示することができた。
【0174】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、電
子放出素子から放出される放出電流の制御を高速かつ精
度良く行うことが可能となった。
【0175】また、多数の電子放出素子を配列形成し、
入力信号に応じて電子を放出する電子源においては、各
電子放出素子の電子放出特性を高速かつ精度良く均一に
制御することができ、かつ、歩留りよく製造することが
できる。
【0176】また、入力信号に基づいて画像を形成する
装置であって、画像形成部材と前記電子源を備えた画像
形成装置においては、電子放出特性の制御装置の小型化
がなされ、小型且つ高品位な画像形成装置、例えばカラ
ーフラットテレビが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を電子放出素子の一例である表面伝導型
電子放出素子の一例を模式的に示した平面図及び縦断面
図である。
【図2】図1の表面伝導型電子放出素子の駆動方法を説
明するための図である。
【図3】本発明の電子放出素子の一例である表面伝導型
電子放出素子の別の例を模式的に示した平面図及び縦断
面図である。
【図4】図1の表面伝導型電子放出素子の製造方法の一
例を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例3に係る表面伝導型電子放出素
子を模式的に示した平面図及び縦断面図である。
【図6】図5の表面伝導型電子放出素子の駆動方法を説
明するための図である。
【図7】フォーミング処理に用いる電圧波形の一例であ
る。
【図8】本発明の電子放出素子の製造に用いることので
きる真空処理装置(測定評価装置)の一例を示す概略構
成図である。
【図9】本発明に好適な表面伝導型電子放出素子の放出
電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の典
型的な例を示す図である。
【図10】単純マトリクス配置の本発明の電子源の概略
構成図である。
【図11】単純マトリクス配置の電子源を用いた本発明
の画像形成装置に用いる表示パネルの概略構成図である
【図12】図11の表示パネルにおける蛍光膜を示す図
である。
【図13】図11の表示パネルを駆動する駆動回路の一
例を示す図である。
【図14】梯子型配置の本発明の電子源の概略平面図で
ある。
【図15】梯子型配置の電子源を用いた本発明の画像形
成装置に用いる表示パネルの概略構成図である。
【図16】本発明の実施例4に係る単純マトリクス配置
の電子源の部分平面図である。
【図17】図16の電子源の部分断面図である。
【図18】図16の電子源の製造方法を説明するための
図である。
【図19】図16の電子源の製造方法を説明するための
図である。
【図20】従来例の表面伝導型電子放出素子の平面図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性膜 5 電子放出部 6 第3の電極 7 絶縁層 10,11 電源 12 高圧電源 41 レジスト 50 導電性膜4を流れる素子電流Ifを測定するため
の電流計 51 電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電
源 52 電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定
するための電流計 53 アノード電極54に電圧を印加するための高圧電
源 54 電子放出部5より放出される電子を捕捉するため
のアノード電極 55 真空容器 56 第3の電極6に所定の電位を与える電源 57 排気ポンプ 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 表面伝導型電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 Vx,Va 直流電圧源 110 電子源基板 111 電子放出素子 112 電子放出素子を配線するための共通配線 120 グリッド電極 121 電子が通過するための開口 171 層間絶縁層 172 コンタクトホール 173 レジスト 174 Cr膜

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された対向する一対の素子
    電極間に、電子放出部を有する導電性膜を備える電子放
    出素子において、該電子放出部は内部に亀裂を有し、該
    電子放出部の基板側に、絶縁層を挟んで第3の電極を有
    することを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記電子放出部は、前記一対の素子電極
    間の中央近傍或はいずれか一方の素子電極の近傍に形成
    されていることを特徴とする請求項1に記載の電子放出
    素子。
  3. 【請求項3】 前記絶縁層の厚さが、前記電子放出部内
    部の亀裂の幅に、該絶縁層の比誘電率を乗じた厚さの5
    倍以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    電子放出素子。
  4. 【請求項4】 前記第3の電極が、前記一対の素子電極
    のいずれか一方の素子電極方向に引き出され、且つ該素
    子電極と重なるように配置されていることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】 前記第3の電極は、前記一対の素子電極
    のいずれか一方に接続されていることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の電子放出素子。
  6. 【請求項6】 前記第3の電極は、外部からの信号に応
    じた電位が与えられる電極であることを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかに記載の電子放出素子。
  7. 【請求項7】 前記電子放出素子が、表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    に記載の電子放出素子。
  8. 【請求項8】 入力信号に応じて電子を放出する電子源
    であって、請求項1〜7のいずれかに記載の電子放出素
    子を、基板上に複数個配置したことを特徴とする電子
    源。
  9. 【請求項9】 前記電子放出素子の複数が梯子状に配置
    されており、個々の電子放出素子の両素子電極が並列に
    二本の行配線に接続されており、更に変調手段を有する
    ことを特徴とする請求項8に記載の電子源。
  10. 【請求項10】 前記複数の電子放出素子がマトリクス
    状に配置されており、個々の電子放出素子の一方の素子
    電極を行配線に接続し、個々の電子放出素子の他方の素
    子電極を前記行配線と直交する列配線に接続したことを
    特徴とする請求項8に記載の電子源。
  11. 【請求項11】 入力信号に基づいて画像を形成する装
    置であって、少なくとも、請求項8〜10のいずれかに
    記載の電子源と、画像形成部材とによって構成されたこ
    とを特徴とする画像形成装置。
JP16668896A 1996-06-07 1996-06-07 電子放出素子、電子源、及び画像形成装置 Withdrawn JPH09330676A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100791327B1 (ko) * 2005-04-15 2008-01-03 삼성전자주식회사 게이트 조절 전자 방출 소자 어레이 패널, 이를 구비하는액티브 매트릭스 디스플레이 및 이의 제조 방법
US7781955B2 (en) 2006-06-30 2010-08-24 Canon Kabushiki Kaisha Image display device

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