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JPH10279813A - 半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents

半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置

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Publication number
JPH10279813A
JPH10279813A JP8349597A JP8349597A JPH10279813A JP H10279813 A JPH10279813 A JP H10279813A JP 8349597 A JP8349597 A JP 8349597A JP 8349597 A JP8349597 A JP 8349597A JP H10279813 A JPH10279813 A JP H10279813A
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JP
Japan
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resin composition
metal hydroxide
component
semiconductor
semiconductor encapsulation
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Application number
JP8349597A
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English (en)
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JP3980701B2 (ja
Inventor
Yoshio Yamaguchi
美穂 山口
Hiroko Yamamoto
裕子 山本
Hitomi Shigyo
ひとみ 執行
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP08349597A priority Critical patent/JP3980701B2/ja
Publication of JPH10279813A publication Critical patent/JPH10279813A/ja
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  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】安全性、耐湿信頼性、難燃性、離型性、成形作
業性に優れた半導体封止用樹脂組成物を提供する。 【解決手段】熱硬化性樹脂、硬化剤、無機質充填剤とと
もに下記の(ハ)成分および(ニ)成分を含有する半導
体封止用樹脂組成物。しかも、上記(ハ)成分である金
属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有するとと
もに、上記無機質充填剤の一部が上記(ハ)成分である
金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒子径0.
5〜10μmである。 (ハ)下記の一般式(1)で表される金属水酸化物。 m(Ma b )・cH2 O ・・・(1) 〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,
b,cは正数、mは1以上の正数である。〕 (ニ)下記の一般式(2)で表される金属酸化物。 m′(Qd e ) ・・・(2) 〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,V
a,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に
属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異な
る金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上
の正数である。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性および耐湿
信頼性に優れ、かつ成形作業性にも優れた半導体封止用
樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】トランジスタ,IC,LSI等の半導体
素子は、従来セラミック等によって封止され半導体装置
化されていたが、最近では、コスト,量産性の観点か
ら、プラスチックを用いた樹脂封止型の半導体装置が主
流になっている。この種の樹脂封止には、従来からエポ
キシ樹脂組成物が用いられており良好な成績を収めてい
る。しかし、半導体分野の技術革新によって集積度の向
上とともに素子サイズの大形化,配線の微細化が進み、
パッケージも小形化,薄形化する傾向にあり、これに伴
って封止材料に対してより以上の信頼性の向上が要望さ
れている。
【0003】一方、半導体装置等の電子部品は、難燃性
の規格であるUL94 V−0に適合することが必要不
可欠であり、従来から、半導体封止用樹脂組成物に難燃
作用を付与する方法として、臭素化エポキシ樹脂および
酸化アンチモンを添加する方法が一般的に行われてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記難
燃化付与技術に関して2つの大きな問題があった。
【0005】第1の問題点として、三酸化アンチモン自
身の有害性,燃焼時に臭化水素,ブロム系ガス,臭素化
アンチモン等の発生による人体への有害性や機器への腐
食性と、半導体素子封止過程で産出する産業廃棄物や使
用後の半導体装置の処分の問題等環境上の安全性が問題
となっている。
【0006】第2の問題点としては、上記難燃化付与技
術を採用した半導体装置を高温で長時間放置すると、遊
離した臭素の影響で半導体素子上のアルミニウム配線が
腐食し、半導体装置の故障の原因となり高温信頼性の低
下が問題となっている。
【0007】上記の問題点を解決するために、難燃剤と
してノンハロゲン−ノンアンチモン系である金属水酸化
物を無機難燃剤として添加する方法が提案されている。
しかしながら、この方法では大量の(例えば40重量%
以上の)金属水酸化物を使用せねばならず、結果、新た
な問題が生じることとなる。
【0008】第1の問題点は、半田付け時に半導体装置
の膨れや、クラックが発生しやすい点である。近年、半
導体装置の実装方法として表面実装が主流になってお
り、半田付け時には半田浸漬、赤外リフロー、ベーパー
フェイズリフロー等の半田処理方法が選択されて使用さ
れる。いずれの処理を採用しても、半導体装置が高温
(通常215〜260℃)に曝されるため、従来の金属
水酸化物が添加された樹脂組成物を用いた樹脂封止によ
る半導体装置では、金属水酸化物の吸水量が多いため、
吸湿した水分の急激な気化により半導体装置の膨れやク
ラックが発生するという、いわゆる、耐半田性の低下と
いう問題が生じている。
【0009】第2の問題点として、耐湿信頼性に関して
80〜200℃、相対湿度70〜100%の高温高湿環
境下での半導体素子機能が低下するという点である。ま
た、発熱量の大きい半導体素子や自動車のエンジン周り
に搭載する半導体装置等では、長期間の使用により脱水
反応が生起するため、耐湿信頼性が低下するという問題
が生じる可能性がある。
【0010】このように、従来の難燃化技術では、上記
のような問題が生じるため、燃焼時に有害ガスの発生の
ない、安全かつ無公害な材料であって、半導体装置の半
田付け時において金属水酸化物の脱水による半導体装置
の膨れやクラックを起こさず、長期間の高温高湿雰囲気
下での放置によっても半導体素子上のアルミニウム配線
の腐食や耐湿信頼性の低下の生起しない難燃化技術の開
発が強く望まれている。そこで、本出願人は、熱硬化性
樹脂および硬化剤とともに、金属水酸化物と金属酸化物
とを併用した半導体封止用熱硬化性樹脂組成物を提案し
上記課題の解決を図った(特願平7−507466号公
報)。この半導体封止用熱硬化性樹脂組成物を用いるこ
とにより確かに難燃性および耐湿信頼性の向上効果は得
られたが、近年の半導体分野の技術革新に伴い、高い難
燃性とともにより一層の耐湿信頼性の向上が望まれその
要望に応える必要性が出ている。一方、上記金属水酸化
物と金属酸化物とを併用した半導体封止用熱硬化性樹脂
組成物を用いて半導体素子を樹脂封止すると、成形金型
から成形物を離型する際、成形物の金型からの離型性が
悪く、結果、成形作業性に劣るという問題が生じた。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、安全性はもちろん、耐湿信頼性および難燃性に
優れるとともに、離型性にも優れ、結果、成形作業性に
優れた半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導
体装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、下記の(イ)〜(ホ)成分を含有する半
導体封止用樹脂組成物であって、上記(ハ)成分である
金属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有すると
ともに、上記(ホ)成分である無機質充填剤の一部が上
記(ハ)成分である金属水酸化物よりも小さな粒径であ
って平均粒子径0.5〜10μmである半導体封止用樹
脂組成物を第1の要旨とする。 (イ)熱硬化性樹脂。 (ロ)硬化剤。 (ハ)下記の一般式(1)で表される金属水酸化物。
【化5】m(Ma b )・cH2 O ・・・(1) 〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,
b,cは正数、mは1以上の正数である。〕 (ニ)下記の一般式(2)で表される金属酸化物。
【化6】m′(Qd e ) ・・・(2) 〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,V
a,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に
属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異な
る金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上
の正数である。〕 (ホ)無機質充填剤。
【0013】また、下記の(イ),(ロ),(ハ′),
(ホ)成分を含有する半導体封止用樹脂組成物であっ
て、上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物が平均
粒子径0.6〜20μmを有するとともに、上記(ホ)
成分である無機質充填剤の一部が上記(ハ′)成分であ
る複合化金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒
子径0.5〜10μmである半導体封止用樹脂組成物を
第2の要旨とする。 (イ)熱硬化性樹脂。 (ロ)硬化剤。 (ハ′)下記の一般式(1)で表される金属水酸化物
と、下記の一般式(2)で表される金属酸化物とが複合
化した複合化金属水酸化物。
【化7】m(Ma b )・cH2 O ・・・(1) 〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,
b,cは正数、mは1以上の正数である。〕
【化8】m′(Qd e ) ・・・(2) 〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,V
a,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に
属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異な
る金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上
の正数である。〕 (ホ)無機質充填剤。
【0014】そして、本発明は、上記半導体封止用樹脂
組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を
第3の要旨とする。
【0015】すなわち、本発明者らは、安全性はもちろ
ん耐湿信頼性および難燃性に優れるとともに、離型性に
も優れた半導体封止用樹脂組成物を得るために一連の研
究を行った。この研究を行うに際して、まず、前記金属
水酸化物と金属酸化物を併用した半導体封止用樹脂組成
物を用いた際の離型性の低下原因を突き止めるべく研究
を重ねた。その結果、上記難燃剤として作用する金属水
酸化物が成形金型との強い親和性を示すため、この金属
水酸化物が成形金型に一旦転写され付着すると、この付
着した汚れ部分が次の成形時に成形物との接着性を増加
させる作用を奏するようになり、その結果、成形物の離
型性が悪化するのではないかという知見を得た。この知
見に基づき上記作用を抑制するための手段を中心に検討
を行い、上記金属水酸化物の成形金型表面への付着を防
止することを目的にさらに研究を行った。そして、その
結果、難燃剤として優れた作用を奏する、上記一般式
(1)で表される金属水酸化物と、上記一般式(2)で
表される金属酸化物とを併用するとともに、上記難燃作
用を奏する金属水酸化物の平均粒子径よりも小さい粒径
を有する無機質充填剤を一部含有した無機質充填剤を用
いると、この小粒径の無機質充填剤が上記金属水酸化物
を覆うように分散して、成形時に金属水酸化物と成形金
型との直接的な接触が防止され、金属水酸化物が金型表
面に転写されず、金型汚れの基点が形成され難くなり、
良好な離型性を奏し、成形作業性の向上が図れることを
見出し本発明に到達した。
【0016】また、上記一般式(1)で表される金属水
酸化物および上記一般式(2)で表される金属酸化物に
代えて、この金属水酸化物と金属酸化物とが複合化した
複合形態である複合化金属水酸化物を用いても、上記と
同様、難燃作用を奏する複合化金属水酸化物の平均粒子
径よりも小さい粒径を有する無機質充填剤を一部含有し
た無機質充填剤を用いると、先に述べたと同様の作用を
奏し、結果、良好な離型性を奏し、成形作業性の向上が
図れる。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0018】本発明に係る半導体封止用樹脂組成物は、
大別して2つの態様に分けられる。まず、第1の態様と
なる半導体封止用樹脂組成物について述べる。この第1
の態様の半導体封止用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(イ
成分)と、硬化剤(ロ成分)と、特定の金属水酸化物
(ハ成分)と、特定の金属酸化物(ニ成分)と、特定の
無機質充填剤(ホ成分)を用いて得られるものであり、
通常、粉末状あるいはこれを打錠したタブレット状にな
っている。
【0019】上記熱硬化性樹脂(イ成分)としては、エ
ポキシ樹脂,ポリマレイミド樹脂,不飽和ポリエステル
樹脂,フェノール樹脂等があげられる。特に、本発明に
おいてはエポキシ樹脂,ポリマレイミド樹脂を用いるこ
とが好ましい。
【0020】上記エポキシ樹脂としては、特に限定する
ものではなく従来公知のものが用いられる。例えば、ビ
スフェノールA型,フェノールノボラック型,クレゾー
ルノボラック型,ビフェニル型等があげられる。
【0021】また、上記ポリマレイミド樹脂としては、
特に限定するものではなく従来公知のものが用いられ、
1分子中に2個以上のマレイミド基を有するものであ
る。例えば、N,N′−4,4′−ジフェニルメタンビ
スマレイミド、2,2−ビス−〔4−(4−マレイミド
フェノキシ)フェニル〕プロパン等があげられる。
【0022】上記熱硬化性樹脂(イ成分)とともに用い
られる硬化剤(ロ成分)としては、例えば、フェノール
樹脂,酸無水物,アミン化合物等従来公知のものが用い
られる。そして、上記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂
を用いる場合、フェノール樹脂が好適に用いられる。上
記フェノール樹脂としては、フェノールノボラック、ク
レゾールノボラック、ビスフェノールA型ノボラック、
ナフトールノボラックおよびフェノールアラルキル樹脂
等があげられる。
【0023】また、熱硬化性樹脂としてポリマレイミド
樹脂を用いる際の硬化剤としては、特に限定するもので
はなく従来公知のものが用いられる。例えば、上記エポ
キシ樹脂用硬化剤をハロゲン化アリルとアルカリの存在
下で反応させて得られるアルケニルフェノール類やアミ
ン類があげられる。
【0024】上記熱硬化性樹脂(イ成分)および硬化剤
(ロ成分)とともに用いられる特定の金属水酸化物(ハ
成分)は、下記の一般式(1)で表される金属水酸化物
である。
【0025】
【化9】m(Ma b )・cH2 O ・・・(1) 〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,
b,cは正数、mは1以上の正数である。〕
【0026】上記一般式(1)で表される金属水酸化物
に関して、式(1)中の金属元素を示すMとしては、A
l,Mg,Ca,Ni,Co,Sn,Zn,Cu,F
e,Ti,B等があげられる。
【0027】上記式(1)で表される金属水酸化物の具
体的な代表例としては、Al2 3・cH2 O(0<c
≦3)、MgO・cH2 O(0<c≦1)、CaO・c
2O(0<c≦1)、Nia O・cH2 O(0.5<
a≦2、0<c≦2)、CoOb ・cH2 O(1≦b≦
2,0<c≦2)、PbOb ・cH2 O(0.5≦b≦
2,0<c≦2)、SnOb ・cH2 O(1≦b≦2,
0<c≦2)、ZnO・cH2 O(0<c≦1)、Fe
b ・cH2 O(1≦b≦1.5,0.5≦c≦1.
5)、CuOb ・cH2 O(0.5≦b≦1,0<c≦
1)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上
併せて用いられる。特に2種以上併せて用いる際に、機
械的に混合して用いることも有効である。
【0028】上記一般式(1)で表される金属水酸化物
の熱的性質において、脱水開始温度が200℃以上であ
ることが好ましい。特に好ましくは脱水開始温度が26
0℃以上のものである。なお、上記脱水開始温度とは、
熱天秤を使用した熱重量法(大気中にて測定)により昇
温速度10℃/minで測定される値であり、加熱減量
が5重量%に達したときの温度、および微分加熱減量値
(加熱減量を時間で一次微分した値、すなわち加熱減量
速度)が0.5重量%/minを超えたときの温度のい
ずれか低い方の温度とする。
【0029】上記一般式(1)で表される金属水酸化物
のなかでも、単位重量あたりの脱水に伴う吸熱エネルギ
ーが大きく、脱水開始温度が200℃以上である金属水
酸化物が好適に用いられる。具体的にはMgO・cH2
O(0<c≦1)、Al2 3 ・cH2 O(0<c≦
3)を用いることが特に好ましい。
【0030】そして、上記式(1)で表される金属水酸
化物は一般に粒状物であって、レーザー式粒度測定機に
よる平均粒子径0.6〜20μmの範囲のものを用いる
必要がある。すなわち、金属水酸化物の平均粒子径が2
0μmを超え大きくなると、比表面積が小さくなり、難
燃化の効率が低くなるからである。特に好適なのは平均
粒子径1〜15μmである。
【0031】上記熱硬化性樹脂(イ成分),硬化剤(ロ
成分)および特定の金属水酸化物(ハ成分)とともに用
いられる特定の金属酸化物(ニ成分)は下記の一般式
(2)で表されるものである。
【0032】
【化10】m′(Qd e ) ・・・(2) 〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,V
a,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に
属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異な
る金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上
の正数である。〕
【0033】本発明は、先に述べた特殊な金属水酸化物
(ハ成分)とこの金属酸化物(ニ成分)とを併用するこ
とが一つの特徴であり、その際には、前記式(1)で表
される金属水酸化物の式(1)中の金属元素Mと、上記
式(2)で表される金属酸化物の式(2)中の金属元素
Qとは異なるものでなければならない。
【0034】上記一般式(2)で表される金属酸化物中
の金属元素を示すQは、周期律表のIVa,Va,VIa,
VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に属する金属
である。例えば、鉄,コバルト,ニッケル,パラジウ
ム,銅,亜鉛,カドミウム等があげられ、単独でもしく
は2種以上併せて選択される。
【0035】具体的な代表例としては、MgO、Ca
O、NiOb (0.5≦b≦2)、CoOb (1≦b≦
2)、PbOb (0.5≦b≦2)、SnOb (1≦b
≦2)、ZnO、FeOb (1≦b≦1.5)、CuO
b (0.5≦b≦1)、TiO b (1≦b≦2)、Pd
b (1≦b≦2)等があげられる。
【0036】さらに、上記式(2)で表される金属酸化
物は一般に粒状物であって、レーザー式粒度測定機によ
る平均粒径0.1〜30μmの範囲のものが好適に用い
られる。特に好適なのは平均粒子径0.5〜20μmで
ある。
【0037】上記一般式(1)で表される金属水酸化物
(ハ成分)と、一般式(2)で表される金属酸化物(ニ
成分)との好適な組み合わせとしては、例えば、MgO
・H 2 O,Al2 3 ・cH2 O(0<c≦3)の金属
水酸化物と、FeOb (1≦b≦1.5),NiO,Z
nOの金属酸化物との組み合わせがあげられる。
【0038】上記イ〜ニ成分とともに用いられる無機質
充填剤(ホ成分)としては、特に限定するものではなく
従来公知の各種充填剤があげられる。例えば、石英ガラ
ス粉末、タルク、シリカ粉末、アルミナ粉末、炭酸カル
シウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素およびカーボンブラッ
ク粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以
上併せて用いられる。なかでも、シリカ粉末を用いるこ
とが特に好適である。
【0039】そして、本発明においては、上記無機質充
填剤の一部(x)として前記金属水酸化物の粒径よりも
小さな粒径を有するものを用いることが最大の特徴であ
り、前記金属水酸化物よりも小さな粒径を有する上記無
機質充填剤の一部(x)としては、平均粒子径が0.5
〜10μmを有するものでなければならない。すなわ
ち、無機質充填剤の一部(x)の平均粒子径が0.5μ
m未満のように小さ過ぎると、流動性が低下し、また平
均粒子径が10μmを超え大きくなると、金属水酸化物
と成形金型との接触を防止する効果が低下するからであ
る。そして、前記金属水酸化物(ハ成分)とこの無機質
充填剤の一部(x)との配合割合〔(ハ)/(x)〕
は、重量比で、(ハ)/(x)=1/0.1〜1/1に
設定することが好ましい。すなわち、上記両者の配合割
合(ハ)/(x)において、無機質充填剤の一部(x)
が金属水酸化物(ハ成分)に対して0.1未満では、金
属水酸化物と成形金型との接触を防止する効果が低下
し、逆に1を超えると流動性が低下する傾向がみられる
からである。
【0040】なお、本発明において、金属水酸化物(ハ
成分)の粒径よりも小さな粒径を有する上記無機質充填
剤の一部(x)の含有割合は、無機質充填剤(ホ成分)
全体中の1〜20重量%となるように設定することが好
ましい。すなわち、上記無機質充填剤の一部(x)が無
機質充填剤(ホ成分)全体の1重量%未満では、成形金
型と金属水酸化物との接触を防止する効果が低下し、2
0重量%を超えると、流動性が低下する傾向がみられる
からである。
【0041】上記無機質充填剤(ホ成分)の配合量は、
この無機質充填剤に前述の金属水酸化物(ハ成分)と金
属酸化物(ニ成分)を加算した無機物全体の合計量が、
半導体封止用樹脂組成物全体の60〜92重量%に設定
することが好ましい。特に好ましくは70〜90重量%
である。すなわち、無機物全体量が60重量%を下回る
と難燃性が低下する傾向がみられるからである。
【0042】そして、そのうち上記金属水酸化物(ハ成
分)と金属酸化物(ニ成分)の含有量は、半導体封止用
樹脂組成物全体の4〜40重量%の範囲に設定すること
が好ましい。特に好ましくは10〜30重量%である。
すなわち、金属水酸化物と金属酸化物の含有量が4重量
%未満では、難燃効果に乏しく、40重量%を超える
と、耐半田性および耐湿信頼性が低下する傾向がみられ
るからである。このとき、併用する一般式(2)で表さ
れる金属酸化物は、一般式(1)で表される金属水酸化
物に対して10〜50重量%の割合で用いられる。すな
わち、金属酸化物が金属水酸化物に対して10重量%未
満では、金属酸化物の炭化促進効果が少なく充分な難燃
化効果が得られ難く、また50重量%を超えると、金属
水酸化物量が相対的に少なくなるため、難燃効果が得ら
れ難くなるからである。
【0043】つぎに、第2の態様となる半導体封止用樹
脂組成物について述べる。この第2の態様の半導体封止
用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(イ成分)と、硬化剤
(ロ成分)と、特定の複合化金属水酸化物(ハ′成分)
と、特定の無機質充填剤(ホ成分)を用いて得られるも
のであり、通常、粉末状あるいはこれを打錠したタブレ
ット状になっている。
【0044】上記熱硬化性樹脂(イ成分)および硬化剤
(ロ成分)については、前記第1の態様の半導体封止用
樹脂組成物で述べたものと同様のものが用いられる。
【0045】上記熱硬化性樹脂(イ成分)および硬化剤
(ロ成分)とともに用いられる複合化金属水酸化物
(ハ′成分)は、前記第1の態様における金属水酸化物
(ハ成分)および金属酸化物(ロ成分)に代えて用いら
れるものであって、この金属水酸化物と金属酸化物とが
複合化した複合形態である。すなわち、この第2の態様
で用いられる複合化金属水酸化物(ハ′成分)は、前記
一般式(1)で表される金属水酸化物と、前記一般式
(2)で表される金属酸化物とが複合化した複合化金属
水酸化物である。
【0046】そして、上記複合化金属水酸化物の具体的
な代表例としては、sMgO・(1−s)NiO・cH
2 O〔0<s<1、0<c≦1〕、sMgO・(1−
s)ZnO・cH2 O〔0<s<1、0<c≦1〕、s
Al2 3 ・(1−s)Fe23 ・cH2 O〔0<s
<1、0<c≦3〕等があげられる。なかでも、酸化マ
グネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム
・酸化亜鉛の水和物が特に好ましく用いられる。
【0047】そして、上記複合化金属水酸化物(ハ′成
分)は一般に粒状物であって、レーザー式粒度測定機に
よる平均粒子径0.6〜20μmの範囲のものを用いる
必要がある。すなわち、上記複合化金属水酸化物の平均
粒子径が20μmを超え大きくなると、前記第1の態様
と同様、難燃効果が低下するからである。特に好適なの
は平均粒子径1〜15μmである。
【0048】上記複合化金属水酸化物(ハ′成分)の配
合量は、樹脂組成物全体の1〜30重量%の範囲に設定
することが好ましく、この配合範囲内でその難燃化効果
を発揮することができる。この場合も、前記第1の態様
と同様、この複合化金属水酸化物が1重量%未満では難
燃化効果が不充分となり、30重量%を超えると耐湿信
頼性が低下する傾向がみられる。
【0049】上記熱硬化性樹脂(イ成分)、硬化剤(ロ
成分)および複合化金属水酸化物(ハ′成分)とともに
用いられる無機質充填剤(ホ成分)は、前記第1の態様
と同様、特に限定するものではなく従来公知の各種充填
剤があげられる。例えば、石英ガラス粉末、タルク、シ
リカ粉末、アルミナ粉末、炭酸カルシウム、窒化ホウ
素、窒化ケイ素およびカーボンブラック粉末等があげら
れ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられ
る。なかでも、シリカ粉末を用いることが特に好適であ
る。
【0050】そして、前記第1の態様と同様、複合化金
属水酸化物(ハ′成分)を用いる場合も、本発明におい
ては、上記無機質充填剤の一部(x)として上記複合化
金属水酸化物(ハ′成分)の粒径よりも小さな粒径を有
するものを用いることが最大の特徴であり、上記複合化
金属水酸化物よりも小さな粒径を有する上記無機質充填
剤の一部(x)としては、平均粒子径が0.5〜10μ
mを有するものでなければならない。すなわち、前記第
1の態様と同様、無機質充填剤の一部(x)の平均粒子
径が0.5μm未満のように小さ過ぎると、流動性が低
下し、また平均粒子径が10μmを超え大きくなると、
複合化金属水酸化物と成形金型との接触を防止する効果
が低下するからである。そして、上記複合化金属水酸化
物(ハ′成分)とこの無機質充填剤の一部(x)との配
合割合〔(ハ′)/(x)〕は、重量比で、(ハ′)/
(x)=1/0.1〜1/1に設定する必要がある。す
なわち、上記両者の配合割合(ハ′)/(x)におい
て、無機質充填剤の一部(x)が複合化金属水酸化物
(ハ′成分)に対して0.1未満では、複合化金属水酸
化物と成形金型との接触を防止する効果が低下し、逆に
1を超えると、流動性が低下するからである。
【0051】なお、この場合も、複合化金属水酸化物
(ハ′成分)の粒径よりも小さな粒径を有する上記無機
質充填剤の一部(x)の含有割合は、無機質充填剤(ホ
成分)全体中の1〜20重量%となるように設定されて
いることが好ましい。
【0052】上記無機質充填剤(ホ成分)の配合量は、
この無機質充填剤に前述の複合化金属水酸化物(ハ′成
分)を加算した無機物全体の合計量が、半導体封止用樹
脂組成物全体の60〜92重量%に設定することが好ま
しい。特に好ましくは70〜90重量%である。すなわ
ち、無機物全体量が60重量%を下回ると難燃性が低下
する傾向がみられるからである。
【0053】そして、第1の態様および第2の態様の半
導体封止用樹脂組成物としては、いずれにおいても下記
の方法に従って抽出された抽出水中の塩素イオン濃度が
上記樹脂組成物の硬化体1gあたり200μg以下であ
ることが好ましい。すなわち、熱硬化性樹脂組成物5g
と蒸留水50ccを専用の抽出容器に入れ、この容器を
160℃の乾燥機内に20時間放置して抽出水(pH
6.0〜8.0)を抽出する。そして、上記抽出水をイ
オンクロマト分析して塩素イオン量(α)を測定する。
この塩素イオン量(α)は樹脂組成物硬化体中のイオン
量を10倍に希釈した値であるため、下記に示す式によ
り樹脂組成物硬化体1gあたりの塩素イオン量を算出す
る。なお、上記抽出水のpHは6.0〜8.0の範囲が
好ましい。
【0054】
【数1】樹脂組成物硬化体1gあたりの塩素イオン量
(μg)=α×(50/5)
【0055】すなわち、樹脂組成物硬化体の抽出水中に
含有される塩素イオン濃度が200μgを超えて高い
と、半導体素子,リードフレーム等の腐食が発生した
り、耐湿性が劣化する傾向がみられるようになる。
【0056】なお、本発明に係る、第1の態様および第
2の態様の半導体封止用樹脂組成物には、上記イ,ロ,
ハ,ニ,ホ成分、あるいは、上記イ,ロ,ハ′,ホ成分
以外に、いずれにも硬化促進剤、顔料、離型剤、可撓性
付与剤等を必要に応じて適宜に添加することができる。
【0057】上記硬化促進剤としては、従来公知のも
の、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)
ウンデセン−7、トリエチレンジアミン等の三級アミノ
類、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリ
フェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテト
ラフェニルボレート等のリン系硬化促進剤等があげられ
る。
【0058】上記顔料としては、カーボンブラック、酸
化チタン等があげられる。また、上記離型剤としては、
ポリエチレンワックス、パラフィンや脂肪酸エステル、
脂肪酸塩等があげられる。
【0059】さらに、上記可撓性付与剤としては、シラ
ンカップリング剤等のカップリング剤およびシリコーン
樹脂やブタジエン−アクリロニトリルゴム等があげられ
る。
【0060】また、本発明に係る半導体封止用樹脂組成
物(第1の態様および第2の態様とも)では、上記各成
分に加えてさらに有機系難燃剤を併用すると、上記金属
水酸化物の使用量を低減させることができ好ましい。代
表的な有機系難燃剤としては、複素環骨格を有する化合
物があげられる。
【0061】上記複素環骨格を有する化合物としては、
例えば、メラミン誘導体、シアヌレート誘導体、イソシ
アヌレート誘導体等の複素環骨格を有する化合物があげ
られる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いら
れる。
【0062】上記有機系難燃剤は、前記金属水酸化物、
金属酸化物、複合化金属水酸化物と予め機械的に混合し
た後配合してもよいし、有機系難燃剤を溶剤に溶解して
これに前記金属水酸化物、金属酸化物、複合金属水酸化
物を添加して脱溶剤し表面処理したものを用いてもよ
い。
【0063】そして、上記有機系難燃剤の含有量は、前
記金属水酸化物および金属酸化物の合計使用量、あるい
は複合化金属水酸化物の使用量の1〜10重量%の範囲
に設定することが好ましい。特に好ましくは1〜5重量
%である。
【0064】本発明に係る半導体封止用樹脂組成物は、
第1の態様および第2の態様のいずれにおいても、例え
ばつぎのようにして製造することができる。すなわち、
熱硬化性樹脂(イ成分),硬化剤(ロ成分)とともに、
第1の態様では、金属水酸化物(ハ成分)と金属酸化物
(ニ成分)および無機質充填剤(ホ成分)、第2の態様
では、複合化金属水酸化物(ハ′成分)および無機質充
填剤(ホ成分)ならびに必要に応じて他の添加剤を所定
の割合で配合する。つぎに、この混合物をミキシングロ
ール機等の混練機を用いて加熱状態で溶融混練し、これ
を室温に冷却する。そして、公知の手段によって粉砕
し、必要に応じて打錠するという一連の工程によって目
的とする半導体封止用樹脂組成物を製造することができ
る。
【0065】このようにして得られる半導体封止用樹脂
組成物を用いての半導体素子の封止方法は、特に限定す
るものではなく、通常のトランスファー成形等の公知の
成形方法によって行うことができる。
【0066】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0067】下記に示す各材料を準備した。 〔エポキシ樹脂a〕 クレゾールノボラック系エポキシ樹脂(エポキシ当量2
00)
【0068】〔エポキシ樹脂b〕 ビフェニル系エポキシ樹脂(エポキシ当量195)
【0069】〔フェノール樹脂c〕 フェノールノボラック樹脂(水酸基当量107)
【0070】〔フェノール樹脂d〕 フェノールアラルキル樹脂(水酸基当量174)
【0071】〔無定形シリカe〕 平均粒子径30μm
【0072】〔微粒子充填剤f〕 シリカ粉末、平均粒子径0.1μm
【0073】〔微粒子充填剤g〕 シリカ粉末、平均粒子径0.7μm
【0074】〔微粒子充填剤h〕 シリカ粉末、平均粒子径10μm
【0075】〔リン系硬化促進剤〕 トリフェニルホスフィン
【0076】〔エステル系ワックス〕 カルナバワックス
【0077】〔オレフィン系ワックス〕 ポリエチレン系ワックス
【0078】(1)金属水酸化物および金属酸化物を併
用した第1の態様における実施例について述べる。
【0079】まず、実施例に先立って下記の表1に示す
金属水酸化物および金属酸化物を準備した。
【0080】
【表1】
【0081】
【実施例1〜7、比較例1〜3】まず、下記の表2〜表
3に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ミキシング
ロール機(温度100℃)で3分間溶融混練を行い、冷
却固化した後粉砕して目的とする粉末状エポキシ樹脂組
成物を得た。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】(2)複合化金属水酸化物を用いた第2の
態様における実施例について述べる。
【0085】まず、実施例に先立って下記の表4に示す
複合化金属水酸化物を準備した。
【0086】
【表4】
【0087】
【実施例8〜11、比較例4〜6】まず、下記の表5〜
表6に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ミキシン
グロール機(温度100℃)で3分間溶融混練を行い、
冷却固化した後粉砕して目的とする粉末状エポキシ樹脂
組成物を得た。
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】このようにして得られた実施例および比較
例のエポキシ樹脂組成物を用い、その硬化体の塩素イオ
ン濃度を測定した。なお、塩素イオン濃度の測定方法
は、前述の方法に従った。さらに、各エポキシ樹脂組成
物を用いて厚み1/16インチの試験片を成形し、UL
94 V−0規格の方法に従って難燃性を評価した。な
お、合格とは94−V0合格を意味する。
【0091】つぎに、各エポキシ樹脂組成物を用いて下
記に示す評価試験(175℃におけるゲルタイム、17
5℃での熱時硬度、5ショット後の離型荷重試験)に供
した。
【0092】〔175℃におけるゲルタイム〕175℃
におけるゲルタイムを熱板式ゲルタイム測定法に従って
測定した。
【0093】〔175℃での熱時硬度〕175℃×60
秒の条件で成形した直後、ショアーD硬度計を用いて、
熱時の硬度を測定した。
【0094】〔離型荷重試験〕まず、図1に示すような
3層構造(上型10,中型11,下型12)の成形型を
用いて、175℃×60秒の条件で成形を行い、エポキ
シ樹脂組成物硬化体における離型時の荷重(5ショット
後)を測定した。図において、13はカル、14はスプ
ルー、15はランナー、16はキャビティーである。離
型時の荷重の測定は、図2に示すように、成形型の中型
11を支持台17上に載置し、プッシュプルゲージ18
を用いて上方から中型11内のエポキシ樹脂組成物硬化
体19を脱型した。このときの荷重値を測定した。
【0095】また、上記実施例および比較例で得られた
エポキシ樹脂組成物を用い、半導体素子をトランスファ
ー成形(条件:175℃×2分)し、175℃×5時間
で後硬化することにより半導体装置を得た。この半導体
装置は、80ピンQFP(クワッドフラットパッケー
ジ、サイズ:20×14×2mm)であり、ダイパッド
サイズは8×8mmである。
【0096】このようにして得られた半導体装置につい
て、超音波探傷装置にて非破壊にて測定した。その測定
後、内部剥離の生じた個数(10個中)をカウントし
た。そして、上記測定後、良品をつぎに示す半田試験に
供した。すなわち、良品の半導体装置を用いて、120
℃×1時間のプリベーク後、これを85℃/85%RH
×168時間吸湿させた後、215℃のVPSで90秒
の評価試験(耐半田クラック性)を行った。そして、ク
ラックが発生した個数(10個中)を測定した。
【0097】以上の各測定・評価結果を下記の表7〜表
10に併せて示す。
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】
【表9】
【0101】
【表10】
【0102】上記表7〜表10から明らかなように、全
ての実施例は高い難燃性レベルを有するとともに、離型
荷重が小さいことから成形性にも優れており、また得ら
れた半導体装置の信頼性に関しても良好な結果が得られ
た。
【0103】一方、比較例については、難燃性レベルに
関しては問題はなかったが、そのいくつかにおいては離
型荷重が大きく成形性に問題を有しており、また、得ら
れた半導体装置の信頼性にも劣っていることがわかる。
【0104】
【発明の効果】以上のように、本発明は、前記一般式
(1)で表される金属水酸化物(ハ成分)および一般式
(2)で表される金属酸化物(ニ成分)を含有し、かつ
上記金属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有す
るとともに、前記無機質充填剤(ホ成分)の一部(x)
が上記金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒子
径0.5〜10μmとなる半導体封止用樹脂組成物であ
る。あるいは、前記複合化金属水酸化物(ハ′成分)を
含有し、かつ上記複合化金属水酸化物が平均粒子径0.
6〜20μmを有するとともに、前記無機質充填剤(ホ
成分)の一部(x)が上記金属水酸化物よりも小さな粒
径であって平均粒子径0.5〜10μmとなる半導体封
止用樹脂組成物である。このように、上記金属水酸化物
および金属酸化物、または複合化金属水酸化物の使用に
より、高温高湿下においても従来の難燃剤である臭素化
エポキシ樹脂と比較すると臭素の影響がなく半導体素子
やアルミニウム配線の腐食等が生じず耐湿信頼性が向上
して長寿命になる。さらに、有害なハロゲン化物や三酸
化アンチモンを使用せずに難燃性の付与が可能となるこ
とから、安全性が非常に高く環境上無公害である。しか
も、無機質充填剤の一部として金属水酸化物もしくは複
合化金属水酸化物よりも小さな粒径のものを用いるた
め、上記金属水酸化物もしくは複合化金属水酸化物の成
形金型表面への付着が抑制され、結果、離型性の向上が
実現する。
【0105】したがって、本発明にかかる半導体封止用
樹脂組成物を用いて封止された半導体装置は、無公害な
難燃化技術、および半導体装置の信頼性を格段に向上さ
せる技術を提供するものであり、しかもその成形作業性
においても優れており産業上の利用価値は極めて高いも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】離型性の評価方法に用いるエポキシ樹脂組成物
硬化体の成形方法を示す説明図である。
【図2】離型性の評価方法である離型荷重の測定方法を
示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 63/00 C08L 63/00 C H01L 23/29 H01L 23/30 R 23/31

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(イ)〜(ホ)成分を含有する半
    導体封止用樹脂組成物であって、上記(ハ)成分である
    金属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有すると
    ともに、上記(ホ)成分である無機質充填剤の一部が上
    記(ハ)成分である金属水酸化物よりも小さな粒径であ
    って平均粒子径0.5〜10μmであることを特徴とす
    る半導体封止用樹脂組成物。 (イ)熱硬化性樹脂。 (ロ)硬化剤。 (ハ)下記の一般式(1)で表される金属水酸化物。 【化1】m(Ma b )・cH2 O ・・・(1) 〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,
    b,cは正数、mは1以上の正数である。〕 (ニ)下記の一般式(2)で表される金属酸化物。 【化2】m′(Qd e ) ・・・(2) 〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,V
    a,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に
    属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異な
    る金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上
    の正数である。〕 (ホ)無機質充填剤。
  2. 【請求項2】 上記(ハ)成分である金属水酸化物と、
    上記(ハ)成分である金属水酸化物よりも小さな粒径で
    ある無機質充填剤の一部(x)の配合割合〔(ハ)/
    (x)〕が、重量比で、(ハ)/(x)=1/0.1〜
    1/1である請求項1記載の半導体封止用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記一般式(1)で表される金属水酸化
    物中の金属元素を示すMが、アルミニウム,マグネシウ
    ム,カルシウム,ニッケル,コバルト,スズ,亜鉛,
    銅,鉄,チタンまたはホウ素である請求項1または2記
    載の半導体封止用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 上記一般式(2)で表される金属酸化物
    中の金属元素を示すQが、鉄,コバルト,ニッケル,パ
    ラジウム,銅,亜鉛またはカドミウムである請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 上記一般式(1)で表される金属水酸化
    物と一般式(2)で表される金属酸化物との合計含有量
    が、樹脂組成物全体の4〜40重量%の範囲に設定され
    ている請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体封止
    用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 下記の(イ),(ロ),(ハ′),
    (ホ)成分を含有する半導体封止用樹脂組成物であっ
    て、上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物が平均
    粒子径0.6〜20μmを有するとともに、上記(ホ)
    成分である無機質充填剤の一部が上記(ハ′)成分であ
    る複合化金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒
    子径0.5〜10μmであることを特徴とする半導体封
    止用樹脂組成物。 (イ)熱硬化性樹脂。 (ロ)硬化剤。 (ハ′)下記の一般式(1)で表される金属水酸化物
    と、下記の一般式(2)で表される金属酸化物とが複合
    化した複合化金属水酸化物。 【化3】m(Ma b )・cH2 O ・・・(1) 〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,
    b,cは正数、mは1以上の正数である。〕 【化4】m′(Qd e ) ・・・(2) 〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,V
    a,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に
    属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異な
    る金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上
    の正数である。〕 (ホ)無機質充填剤。
  7. 【請求項7】 上記(ハ′)成分である複合化金属水酸
    化物と、上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物よ
    りも小さな粒径である無機質充填剤の一部(x)の配合
    割合〔(ハ′)/(x)〕が、重量比で、(ハ′)/
    (x)=1/0.1〜1/1である請求項6記載の半導
    体封止用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 上記(ハ′)成分である複合化金属水酸
    化物が、sMgO・(1−s)NiO・cH2 O〔0<
    s<1、0<c≦1〕である請求項6または7記載の半
    導体封止用樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 上記(ハ′)成分である複合化金属水酸
    化物が、sMgO・(1−s)ZnO・cH2 O〔0<
    s<1、0<c≦1〕である請求項6または7記載の半
    導体封止用樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 上記(ハ′)成分である複合化金属水
    酸化物の含有量が、樹脂組成物全体の1〜30重量%の
    範囲に設定されている請求項6〜9のいずれか一項に記
    載の半導体封止用樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 半導体封止用樹脂組成物硬化体の抽出
    液のpHが6.0〜8.0の範囲であって、かつ、その
    塩素イオン濃度が、樹脂組成物硬化体1gあたり200
    μg以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載の
    半導体封止用樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 半導体封止用樹脂組成物の硬化体が、
    厚み1/16インチでのUL94燃焼試験において、V
    −0相当の難燃性を示すものである請求項1〜11のい
    ずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 上記(イ)成分である熱硬化性樹脂が
    エポキシ樹脂である請求項1〜12のいずれか一項に記
    載の半導体封止用樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれか一項に記載
    の半導体封止用樹脂組成物を用いて半導体素子を封止し
    てなる半導体装置。
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