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JP3980701B2 - 半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents

半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 Download PDF

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JP3980701B2
JP3980701B2 JP08349597A JP8349597A JP3980701B2 JP 3980701 B2 JP3980701 B2 JP 3980701B2 JP 08349597 A JP08349597 A JP 08349597A JP 8349597 A JP8349597 A JP 8349597A JP 3980701 B2 JP3980701 B2 JP 3980701B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性および耐湿信頼性に優れ、かつ成形作業性にも優れた半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トランジスタ,IC,LSI等の半導体素子は、従来セラミック等によって封止され半導体装置化されていたが、最近では、コスト,量産性の観点から、プラスチックを用いた樹脂封止型の半導体装置が主流になっている。この種の樹脂封止には、従来からエポキシ樹脂組成物が用いられており良好な成績を収めている。しかし、半導体分野の技術革新によって集積度の向上とともに素子サイズの大形化,配線の微細化が進み、パッケージも小形化,薄形化する傾向にあり、これに伴って封止材料に対してより以上の信頼性の向上が要望されている。
【0003】
一方、半導体装置等の電子部品は、難燃性の規格であるUL94 V−0に適合することが必要不可欠であり、従来から、半導体封止用樹脂組成物に難燃作用を付与する方法として、臭素化エポキシ樹脂および酸化アンチモンを添加する方法が一般的に行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記難燃化付与技術に関して2つの大きな問題があった。
【0005】
第1の問題点として、三酸化アンチモン自身の有害性,燃焼時に臭化水素,ブロム系ガス,臭素化アンチモン等の発生による人体への有害性や機器への腐食性と、半導体素子封止過程で産出する産業廃棄物や使用後の半導体装置の処分の問題等環境上の安全性が問題となっている。
【0006】
第2の問題点としては、上記難燃化付与技術を採用した半導体装置を高温で長時間放置すると、遊離した臭素の影響で半導体素子上のアルミニウム配線が腐食し、半導体装置の故障の原因となり高温信頼性の低下が問題となっている。
【0007】
上記の問題点を解決するために、難燃剤としてノンハロゲン−ノンアンチモン系である金属水酸化物を無機難燃剤として添加する方法が提案されている。しかしながら、この方法では大量の(例えば40重量%以上の)金属水酸化物を使用せねばならず、結果、新たな問題が生じることとなる。
【0008】
第1の問題点は、半田付け時に半導体装置の膨れや、クラックが発生しやすい点である。近年、半導体装置の実装方法として表面実装が主流になっており、半田付け時には半田浸漬、赤外リフロー、ベーパーフェイズリフロー等の半田処理方法が選択されて使用される。いずれの処理を採用しても、半導体装置が高温(通常215〜260℃)に曝されるため、従来の金属水酸化物が添加された樹脂組成物を用いた樹脂封止による半導体装置では、金属水酸化物の吸水量が多いため、吸湿した水分の急激な気化により半導体装置の膨れやクラックが発生するという、いわゆる、耐半田性の低下という問題が生じている。
【0009】
第2の問題点として、耐湿信頼性に関して80〜200℃、相対湿度70〜100%の高温高湿環境下での半導体素子機能が低下するという点である。また、発熱量の大きい半導体素子や自動車のエンジン周りに搭載する半導体装置等では、長期間の使用により脱水反応が生起するため、耐湿信頼性が低下するという問題が生じる可能性がある。
【0010】
このように、従来の難燃化技術では、上記のような問題が生じるため、燃焼時に有害ガスの発生のない、安全かつ無公害な材料であって、半導体装置の半田付け時において金属水酸化物の脱水による半導体装置の膨れやクラックを起こさず、長期間の高温高湿雰囲気下での放置によっても半導体素子上のアルミニウム配線の腐食や耐湿信頼性の低下の生起しない難燃化技術の開発が強く望まれている。そこで、本出願人は、熱硬化性樹脂および硬化剤とともに、金属水酸化物と金属酸化物とを併用した半導体封止用熱硬化性樹脂組成物を提案し上記課題の解決を図った(特願平7−507466号公報)。この半導体封止用熱硬化性樹脂組成物を用いることにより確かに難燃性および耐湿信頼性の向上効果は得られたが、近年の半導体分野の技術革新に伴い、高い難燃性とともにより一層の耐湿信頼性の向上が望まれその要望に応える必要性が出ている。一方、上記金属水酸化物と金属酸化物とを併用した半導体封止用熱硬化性樹脂組成物を用いて半導体素子を樹脂封止すると、成形金型から成形物を離型する際、成形物の金型からの離型性が悪く、結果、成形作業性に劣るという問題が生じた。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、安全性はもちろん、耐湿信頼性および難燃性に優れるとともに、離型性にも優れ、結果、成形作業性に優れた半導体封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(イ)〜(ホ)成分を含有する半導体封止用樹脂組成物であって、上記(ハ)成分である金属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有するとともに、上記(ホ)成分である無機質充填剤の一部が上記(ハ)成分である金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒子径0.5〜10μmであり、その含有割合が無機質充填剤〔(ホ)成分〕全体中の1〜20重量%に設定されている半導体封止用樹脂組成物を第1の要旨とする。
(イ)熱硬化性樹脂。
(ロ)硬化剤。
(ハ)下記の一般式(1)で表される金属水酸化物。
【化5】
m(Ma b )・cH2 O ・・・(1)
〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,b,cは正数、mは1以上の正数である。〕
(ニ)下記の一般式(2)で表される金属酸化物。
【化6】
m′(Qd e ) ・・・(2)
〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,Va,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異なる金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上の正数である。〕
(ホ)無機質充填剤。
【0013】
また、下記の(イ),(ロ),(ハ′),(ホ)成分を含有する半導体封止用樹脂組成物であって、上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有するとともに、上記(ホ)成分である無機質充填剤の一部が上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒子径0.5〜10μmであり、その含有割合が無機質充填剤〔(ホ)成分〕全体中の1〜20重量%に設定されている半導体封止用樹脂組成物を第2の要旨とする。
(イ)熱硬化性樹脂。
(ロ)硬化剤。
(ハ′)下記の一般式(1)で表される金属水酸化物と、下記の一般式(2)で表される金属酸化物とが複合化した複合化金属水酸化物。
【化7】
m(Ma b )・cH2 O ・・・(1)
〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,b,cは正数、mは1以上の正数である。〕
【化8】
m′(Qd e ) ・・・(2)
〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,Va,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異なる金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上の正数である。〕
(ホ)無機質充填剤。
【0014】
そして、本発明は、上記半導体封止用樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を第3の要旨とする。
【0015】
すなわち、本発明者らは、安全性はもちろん耐湿信頼性および難燃性に優れるとともに、離型性にも優れた半導体封止用樹脂組成物を得るために一連の研究を行った。この研究を行うに際して、まず、前記金属水酸化物と金属酸化物を併用した半導体封止用樹脂組成物を用いた際の離型性の低下原因を突き止めるべく研究を重ねた。その結果、上記難燃剤として作用する金属水酸化物が成形金型との強い親和性を示すため、この金属水酸化物が成形金型に一旦転写され付着すると、この付着した汚れ部分が次の成形時に成形物との接着性を増加させる作用を奏するようになり、その結果、成形物の離型性が悪化するのではないかという知見を得た。この知見に基づき上記作用を抑制するための手段を中心に検討を行い、上記金属水酸化物の成形金型表面への付着を防止することを目的にさらに研究を行った。そして、その結果、難燃剤として優れた作用を奏する、上記一般式(1)で表される金属水酸化物と、上記一般式(2)で表される金属酸化物とを併用するとともに、上記難燃作用を奏する金属水酸化物の平均粒子径よりも小さい粒径を有する無機質充填剤を特定の割合で含有した無機質充填剤を用いると、この小粒径の無機質充填剤が上記金属水酸化物を覆うように分散して、成形時に金属水酸化物と成形金型との直接的な接触が防止され、金属水酸化物が金型表面に転写されず、金型汚れの基点が形成され難くなり、良好な離型性を奏し、成形作業性の向上が図れることを見出し本発明に到達した。
【0016】
また、上記一般式(1)で表される金属水酸化物および上記一般式(2)で表される金属酸化物に代えて、この金属水酸化物と金属酸化物とが複合化した複合形態である複合化金属水酸化物を用いても、上記と同様、難燃作用を奏する複合化金属水酸化物の平均粒子径よりも小さい粒径を有する無機質充填剤を特定の割合で含有した無機質充填剤を用いると、先に述べたと同様の作用を奏し、結果、良好な離型性を奏し、成形作業性の向上が図れる。
【0017】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0018】
本発明に係る半導体封止用樹脂組成物は、大別して2つの態様に分けられる。まず、第1の態様となる半導体封止用樹脂組成物について述べる。この第1の態様の半導体封止用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(イ成分)と、硬化剤(ロ成分)と、特定の金属水酸化物(ハ成分)と、特定の金属酸化物(ニ成分)と、特定の無機質充填剤(ホ成分)を用いて得られるものであり、通常、粉末状あるいはこれを打錠したタブレット状になっている。
【0019】
上記熱硬化性樹脂(イ成分)としては、エポキシ樹脂,ポリマレイミド樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,フェノール樹脂等があげられる。特に、本発明においてはエポキシ樹脂,ポリマレイミド樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
上記エポキシ樹脂としては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられる。例えば、ビスフェノールA型,フェノールノボラック型,クレゾールノボラック型,ビフェニル型等があげられる。
【0021】
また、上記ポリマレイミド樹脂としては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられ、1分子中に2個以上のマレイミド基を有するものである。例えば、N,N′−4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス−〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン等があげられる。
【0022】
上記熱硬化性樹脂(イ成分)とともに用いられる硬化剤(ロ成分)としては、例えば、フェノール樹脂,酸無水物,アミン化合物等従来公知のものが用いられる。そして、上記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、フェノール樹脂が好適に用いられる。上記フェノール樹脂としては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA型ノボラック、ナフトールノボラックおよびフェノールアラルキル樹脂等があげられる。
【0023】
また、熱硬化性樹脂としてポリマレイミド樹脂を用いる際の硬化剤としては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられる。例えば、上記エポキシ樹脂用硬化剤をハロゲン化アリルとアルカリの存在下で反応させて得られるアルケニルフェノール類やアミン類があげられる。
【0024】
上記熱硬化性樹脂(イ成分)および硬化剤(ロ成分)とともに用いられる特定の金属水酸化物(ハ成分)は、下記の一般式(1)で表される金属水酸化物である。
【0025】
【化9】
m(Ma b )・cH2 O ・・・(1)
〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,b,cは正数、mは1以上の正数である。〕
【0026】
上記一般式(1)で表される金属水酸化物に関して、式(1)中の金属元素を示すMとしては、Al,Mg,Ca,Ni,Co,Sn,Zn,Cu,Fe,Ti,B等があげられる。
【0027】
上記式(1)で表される金属水酸化物の具体的な代表例としては、Al2 3 ・cH2 O(0<c≦3)、MgO・cH2 O(0<c≦1)、CaO・cH2 O(0<c≦1)、Nia O・cH2 O(0.5<a≦2、0<c≦2)、CoOb ・cH2 O(1≦b≦2,0<c≦2)、PbOb ・cH2 O(0.5≦b≦2,0<c≦2)、SnOb ・cH2 O(1≦b≦2,0<c≦2)、ZnO・cH2 O(0<c≦1)、FeOb ・cH2 O(1≦b≦1.5,0.5≦c≦1.5)、CuOb ・cH2 O(0.5≦b≦1,0<c≦1)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に2種以上併せて用いる際に、機械的に混合して用いることも有効である。
【0028】
上記一般式(1)で表される金属水酸化物の熱的性質において、脱水開始温度が200℃以上であることが好ましい。特に好ましくは脱水開始温度が260℃以上のものである。なお、上記脱水開始温度とは、熱天秤を使用した熱重量法(大気中にて測定)により昇温速度10℃/minで測定される値であり、加熱減量が5重量%に達したときの温度、および微分加熱減量値(加熱減量を時間で一次微分した値、すなわち加熱減量速度)が0.5重量%/minを超えたときの温度のいずれか低い方の温度とする。
【0029】
上記一般式(1)で表される金属水酸化物のなかでも、単位重量あたりの脱水に伴う吸熱エネルギーが大きく、脱水開始温度が200℃以上である金属水酸化物が好適に用いられる。具体的にはMgO・cH2 O(0<c≦1)、Al2 3 ・cH2 O(0<c≦3)を用いることが特に好ましい。
【0030】
そして、上記式(1)で表される金属水酸化物は一般に粒状物であって、レーザー式粒度測定機による平均粒子径0.6〜20μmの範囲のものを用いる必要がある。すなわち、金属水酸化物の平均粒子径が20μmを超え大きくなると、比表面積が小さくなり、難燃化の効率が低くなるからである。特に好適なのは平均粒子径1〜15μmである。
【0031】
上記熱硬化性樹脂(イ成分),硬化剤(ロ成分)および特定の金属水酸化物(ハ成分)とともに用いられる特定の金属酸化物(ニ成分)は下記の一般式(2)で表されるものである。
【0032】
【化10】
m′(Qd e ) ・・・(2)
〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,Va,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異なる金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上の正数である。〕
【0033】
本発明は、先に述べた特殊な金属水酸化物(ハ成分)とこの金属酸化物(ニ成分)とを併用することが一つの特徴であり、その際には、前記式(1)で表される金属水酸化物の式(1)中の金属元素Mと、上記式(2)で表される金属酸化物の式(2)中の金属元素Qとは異なるものでなければならない。
【0034】
上記一般式(2)で表される金属酸化物中の金属元素を示すQは、周期律表のIVa,Va,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に属する金属である。例えば、鉄,コバルト,ニッケル,パラジウム,銅,亜鉛,カドミウム等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて選択される。
【0035】
具体的な代表例としては、MgO、CaO、NiOb (0.5≦b≦2)、CoOb (1≦b≦2)、PbOb (0.5≦b≦2)、SnOb (1≦b≦2)、ZnO、FeOb (1≦b≦1.5)、CuOb (0.5≦b≦1)、TiOb (1≦b≦2)、PdOb (1≦b≦2)等があげられる。
【0036】
さらに、上記式(2)で表される金属酸化物は一般に粒状物であって、レーザー式粒度測定機による平均粒径0.1〜30μmの範囲のものが好適に用いられる。特に好適なのは平均粒子径0.5〜20μmである。
【0037】
上記一般式(1)で表される金属水酸化物(ハ成分)と、一般式(2)で表される金属酸化物(ニ成分)との好適な組み合わせとしては、例えば、MgO・H2 O,Al2 3 ・cH2 O(0<c≦3)の金属水酸化物と、FeOb (1≦b≦1.5),NiO,ZnOの金属酸化物との組み合わせがあげられる。
【0038】
上記イ〜ニ成分とともに用いられる無機質充填剤(ホ成分)としては、特に限定するものではなく従来公知の各種充填剤があげられる。例えば、石英ガラス粉末、タルク、シリカ粉末、アルミナ粉末、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素およびカーボンブラック粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、シリカ粉末を用いることが特に好適である。
【0039】
そして、本発明においては、上記無機質充填剤の一部として前記金属水酸化物の粒径よりも小さな粒径を有するものを用いることが最大の特徴であり、前記金属水酸化物よりも小さな粒径を有する上記無機質充填剤(x)としては、平均粒子径が0.5〜10μmを有するものでなければならない。すなわち、無機質充填剤(x)の平均粒子径が0.5μm未満のように小さ過ぎると、流動性が低下し、また平均粒子径が10μmを超え大きくなると、金属水酸化物と成形金型との接触を防止する効果が低下するからである。そして、前記金属水酸化物(ハ成分)とこの無機質充填剤(x)との配合割合〔(ハ)/(x)〕は、重量比で、(ハ)/(x)=1/0.1〜1/1に設定することが好ましい。すなわち、上記両者の配合割合(ハ)/(x)において、無機質充填剤(x)が金属水酸化物(ハ成分)に対して0.1未満では、金属水酸化物と成形金型との接触を防止する効果が低下し、逆に1を超えると流動性が低下する傾向がみられるからである。
【0040】
なお、本発明において、金属水酸化物(ハ成分)の粒径よりも小さな粒径を有する上記無機質充填剤(x)の含有割合は、無機質充填剤(ホ成分)全体中の1〜20重量%となるように設定する必要がある。すなわち、上記無機質充填剤(x)が無機質充填剤(ホ成分)全体の1重量%未満では、成形金型と金属水酸化物との接触を防止する効果が低下し、20重量%を超えると、流動性が低下するからである。
【0041】
上記無機質充填剤(ホ成分)の配合量は、この無機質充填剤に前述の金属水酸化物(ハ成分)と金属酸化物(ニ成分)を加算した無機物全体の合計量が、半導体封止用樹脂組成物全体の60〜92重量%に設定することが好ましい。特に好ましくは70〜90重量%である。すなわち、無機物全体量が60重量%を下回ると難燃性が低下する傾向がみられるからである。
【0042】
そして、そのうち上記金属水酸化物(ハ成分)と金属酸化物(ニ成分)の含有量は、半導体封止用樹脂組成物全体の4〜40重量%の範囲に設定することが好ましい。特に好ましくは10〜30重量%である。すなわち、金属水酸化物と金属酸化物の含有量が4重量%未満では、難燃効果に乏しく、40重量%を超えると、耐半田性および耐湿信頼性が低下する傾向がみられるからである。このとき、併用する一般式(2)で表される金属酸化物は、一般式(1)で表される金属水酸化物に対して10〜50重量%の割合で用いられる。すなわち、金属酸化物が金属水酸化物に対して10重量%未満では、金属酸化物の炭化促進効果が少なく充分な難燃化効果が得られ難く、また50重量%を超えると、金属水酸化物量が相対的に少なくなるため、難燃効果が得られ難くなるからである。
【0043】
つぎに、第2の態様となる半導体封止用樹脂組成物について述べる。この第2の態様の半導体封止用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(イ成分)と、硬化剤(ロ成分)と、特定の複合化金属水酸化物(ハ′成分)と、特定の無機質充填剤(ホ成分)を用いて得られるものであり、通常、粉末状あるいはこれを打錠したタブレット状になっている。
【0044】
上記熱硬化性樹脂(イ成分)および硬化剤(ロ成分)については、前記第1の態様の半導体封止用樹脂組成物で述べたものと同様のものが用いられる。
【0045】
上記熱硬化性樹脂(イ成分)および硬化剤(ロ成分)とともに用いられる複合化金属水酸化物(ハ′成分)は、前記第1の態様における金属水酸化物(ハ成分)および金属酸化物(ロ成分)に代えて用いられるものであって、この金属水酸化物と金属酸化物とが複合化した複合形態である。すなわち、この第2の態様で用いられる複合化金属水酸化物(ハ′成分)は、前記一般式(1)で表される金属水酸化物と、前記一般式(2)で表される金属酸化物とが複合化した複合化金属水酸化物である。
【0046】
そして、上記複合化金属水酸化物の具体的な代表例としては、sMgO・(1−s)NiO・cH2 O〔0<s<1、0<c≦1〕、sMgO・(1−s)ZnO・cH2 O〔0<s<1、0<c≦1〕、sAl2 3 ・(1−s)Fe2 3 ・cH2 O〔0<s<1、0<c≦3〕等があげられる。なかでも、酸化マグネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム・酸化亜鉛の水和物が特に好ましく用いられる。
【0047】
そして、上記複合化金属水酸化物(ハ′成分)は一般に粒状物であって、レーザー式粒度測定機による平均粒子径0.6〜20μmの範囲のものを用いる必要がある。すなわち、上記複合化金属水酸化物の平均粒子径が20μmを超え大きくなると、前記第1の態様と同様、難燃効果が低下するからである。特に好適なのは平均粒子径1〜15μmである。
【0048】
上記複合化金属水酸化物(ハ′成分)の配合量は、樹脂組成物全体の1〜30重量%の範囲に設定することが好ましく、この配合範囲内でその難燃化効果を発揮することができる。この場合も、前記第1の態様と同様、この複合化金属水酸化物が1重量%未満では難燃化効果が不充分となり、30重量%を超えると耐湿信頼性が低下する傾向がみられる。
【0049】
上記熱硬化性樹脂(イ成分)、硬化剤(ロ成分)および複合化金属水酸化物(ハ′成分)とともに用いられる無機質充填剤(ホ成分)は、前記第1の態様と同様、特に限定するものではなく従来公知の各種充填剤があげられる。例えば、石英ガラス粉末、タルク、シリカ粉末、アルミナ粉末、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素およびカーボンブラック粉末等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、シリカ粉末を用いることが特に好適である。
【0050】
そして、前記第1の態様と同様、複合化金属水酸化物(ハ′成分)を用いる場合も、本発明においては、上記無機質充填剤の一部として上記複合化金属水酸化物(ハ′成分)の粒径よりも小さな粒径を有するものを用いることが最大の特徴であり、上記複合化金属水酸化物よりも小さな粒径を有する上記無機質充填剤(x)としては、平均粒子径が0.5〜10μmを有するものでなければならない。すなわち、前記第1の態様と同様、無機質充填剤(x)の平均粒子径が0.5μm未満のように小さ過ぎると、流動性が低下し、また平均粒子径が10μmを超え大きくなると、複合化金属水酸化物と成形金型との接触を防止する効果が低下するからである。そして、上記複合化金属水酸化物(ハ′成分)とこの無機質充填剤(x)との配合割合〔(ハ′)/(x)〕は、重量比で、(ハ′)/(x)=1/0.1〜1/1に設定する必要がある。すなわち、上記両者の配合割合(ハ′)/(x)において、無機質充填剤(x)が複合化金属水酸化物(ハ′成分)に対して0.1未満では、複合化金属水酸化物と成形金型との接触を防止する効果が低下し、逆に1を超えると、流動性が低下するからである。
【0051】
なお、この場合も、複合化金属水酸化物(ハ′成分)の粒径よりも小さな粒径を有する上記無機質充填剤(x)の含有割合は、無機質充填剤(ホ成分)全体中の1〜20重量%となるように設定されている必要がある
【0052】
上記無機質充填剤(ホ成分)の配合量は、この無機質充填剤に前述の複合化金属水酸化物(ハ′成分)を加算した無機物全体の合計量が、半導体封止用樹脂組成物全体の60〜92重量%に設定することが好ましい。特に好ましくは70〜90重量%である。すなわち、無機物全体量が60重量%を下回ると難燃性が低下する傾向がみられるからである。
【0053】
そして、第1の態様および第2の態様の半導体封止用樹脂組成物としては、いずれにおいても下記の方法に従って抽出された抽出水中の塩素イオン濃度が上記樹脂組成物の硬化体1gあたり200μg以下であることが好ましい。すなわち、熱硬化性樹脂組成物5gと蒸留水50ccを専用の抽出容器に入れ、この容器を160℃の乾燥機内に20時間放置して抽出水(pH6.0〜8.0)を抽出する。そして、上記抽出水をイオンクロマト分析して塩素イオン量(α)を測定する。この塩素イオン量(α)は樹脂組成物硬化体中のイオン量を10倍に希釈した値であるため、下記に示す式により樹脂組成物硬化体1gあたりの塩素イオン量を算出する。なお、上記抽出水のpHは6.0〜8.0の範囲が好ましい。
【0054】
【数1】
樹脂組成物硬化体1gあたりの塩素イオン量(μg)=α×(50/5)
【0055】
すなわち、樹脂組成物硬化体の抽出水中に含有される塩素イオン濃度が200μgを超えて高いと、半導体素子,リードフレーム等の腐食が発生したり、耐湿性が劣化する傾向がみられるようになる。
【0056】
なお、本発明に係る、第1の態様および第2の態様の半導体封止用樹脂組成物には、上記イ,ロ,ハ,ニ,ホ成分、あるいは、上記イ,ロ,ハ′,ホ成分以外に、いずれにも硬化促進剤、顔料、離型剤、可撓性付与剤等を必要に応じて適宜に添加することができる。
【0057】
上記硬化促進剤としては、従来公知のもの、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン等の三級アミノ類、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のリン系硬化促進剤等があげられる。
【0058】
上記顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン等があげられる。また、上記離型剤としては、ポリエチレンワックス、パラフィンや脂肪酸エステル、脂肪酸塩等があげられる。
【0059】
さらに、上記可撓性付与剤としては、シランカップリング剤等のカップリング剤およびシリコーン樹脂やブタジエン−アクリロニトリルゴム等があげられる。
【0060】
また、本発明に係る半導体封止用樹脂組成物(第1の態様および第2の態様とも)では、上記各成分に加えてさらに有機系難燃剤を併用すると、上記金属水酸化物の使用量を低減させることができ好ましい。代表的な有機系難燃剤としては、複素環骨格を有する化合物があげられる。
【0061】
上記複素環骨格を有する化合物としては、例えば、メラミン誘導体、シアヌレート誘導体、イソシアヌレート誘導体等の複素環骨格を有する化合物があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0062】
上記有機系難燃剤は、前記金属水酸化物、金属酸化物、複合化金属水酸化物と予め機械的に混合した後配合してもよいし、有機系難燃剤を溶剤に溶解してこれに前記金属水酸化物、金属酸化物、複合金属水酸化物を添加して脱溶剤し表面処理したものを用いてもよい。
【0063】
そして、上記有機系難燃剤の含有量は、前記金属水酸化物および金属酸化物の合計使用量、あるいは複合化金属水酸化物の使用量の1〜10重量%の範囲に設定することが好ましい。特に好ましくは1〜5重量%である。
【0064】
本発明に係る半導体封止用樹脂組成物は、第1の態様および第2の態様のいずれにおいても、例えばつぎのようにして製造することができる。すなわち、熱硬化性樹脂(イ成分),硬化剤(ロ成分)とともに、第1の態様では、金属水酸化物(ハ成分)と金属酸化物(ニ成分)および無機質充填剤(ホ成分)、第2の態様では、複合化金属水酸化物(ハ′成分)および無機質充填剤(ホ成分)ならびに必要に応じて他の添加剤を所定の割合で配合する。つぎに、この混合物をミキシングロール機等の混練機を用いて加熱状態で溶融混練し、これを室温に冷却する。そして、公知の手段によって粉砕し、必要に応じて打錠するという一連の工程によって目的とする半導体封止用樹脂組成物を製造することができる。
【0065】
このようにして得られる半導体封止用樹脂組成物を用いての半導体素子の封止方法は、特に限定するものではなく、通常のトランスファー成形等の公知の成形方法によって行うことができる。
【0066】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0067】
下記に示す各材料を準備した。
〔エポキシ樹脂a〕
クレゾールノボラック系エポキシ樹脂(エポキシ当量200)
【0068】
〔エポキシ樹脂b〕
ビフェニル系エポキシ樹脂(エポキシ当量195)
【0069】
〔フェノール樹脂c〕
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量107)
【0070】
〔フェノール樹脂d〕
フェノールアラルキル樹脂(水酸基当量174)
【0071】
〔無定形シリカe〕
平均粒子径30μm
【0072】
〔微粒子充填剤f〕
シリカ粉末、平均粒子径0.1μm
【0073】
〔微粒子充填剤g〕
シリカ粉末、平均粒子径0.7μm
【0074】
〔微粒子充填剤h〕
シリカ粉末、平均粒子径10μm
【0075】
〔リン系硬化促進剤〕
トリフェニルホスフィン
【0076】
〔エステル系ワックス〕
カルナバワックス
【0077】
〔オレフィン系ワックス〕
ポリエチレン系ワックス
【0078】
(1)金属水酸化物および金属酸化物を併用した第1の態様における実施例について述べる。
【0079】
まず、実施例に先立って下記の表1に示す金属水酸化物および金属酸化物を準備した。
【0080】
【表1】
Figure 0003980701
【0081】
【実施例1〜7、比較例1〜3】
まず、下記の表2〜表3に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ミキシングロール機(温度100℃)で3分間溶融混練を行い、冷却固化した後粉砕して目的とする粉末状エポキシ樹脂組成物を得た。
【0082】
【表2】
Figure 0003980701
【0083】
【表3】
Figure 0003980701
【0084】
(2)複合化金属水酸化物を用いた第2の態様における実施例について述べる。
【0085】
まず、実施例に先立って下記の表4に示す複合化金属水酸化物を準備した。
【0086】
【表4】
Figure 0003980701
【0087】
【実施例8〜11、比較例4〜6】
まず、下記の表5〜表6に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ミキシングロール機(温度100℃)で3分間溶融混練を行い、冷却固化した後粉砕して目的とする粉末状エポキシ樹脂組成物を得た。
【0088】
【表5】
Figure 0003980701
【0089】
【表6】
Figure 0003980701
【0090】
このようにして得られた実施例および比較例のエポキシ樹脂組成物を用い、その硬化体の塩素イオン濃度を測定した。なお、塩素イオン濃度の測定方法は、前述の方法に従った。さらに、各エポキシ樹脂組成物を用いて厚み1/16インチの試験片を成形し、UL94 V−0規格の方法に従って難燃性を評価した。なお、合格とは94−V0合格を意味する。
【0091】
つぎに、各エポキシ樹脂組成物を用いて下記に示す評価試験(175℃におけるゲルタイム、175℃での熱時硬度、5ショット後の離型荷重試験)に供した。
【0092】
〔175℃におけるゲルタイム〕
175℃におけるゲルタイムを熱板式ゲルタイム測定法に従って測定した。
【0093】
〔175℃での熱時硬度〕
175℃×60秒の条件で成形した直後、ショアーD硬度計を用いて、熱時の硬度を測定した。
【0094】
〔離型荷重試験〕
まず、図1に示すような3層構造(上型10,中型11,下型12)の成形型を用いて、175℃×60秒の条件で成形を行い、エポキシ樹脂組成物硬化体における離型時の荷重(5ショット後)を測定した。図において、13はカル、14はスプルー、15はランナー、16はキャビティーである。離型時の荷重の測定は、図2に示すように、成形型の中型11を支持台17上に載置し、プッシュプルゲージ18を用いて上方から中型11内のエポキシ樹脂組成物硬化体19を脱型した。このときの荷重値を測定した。
【0095】
また、上記実施例および比較例で得られたエポキシ樹脂組成物を用い、半導体素子をトランスファー成形(条件:175℃×2分)し、175℃×5時間で後硬化することにより半導体装置を得た。この半導体装置は、80ピンQFP(クワッドフラットパッケージ、サイズ:20×14×2mm)であり、ダイパッドサイズは8×8mmである。
【0096】
このようにして得られた半導体装置について、超音波探傷装置にて非破壊にて測定した。その測定後、内部剥離の生じた個数(10個中)をカウントした。そして、上記測定後、良品をつぎに示す半田試験に供した。すなわち、良品の半導体装置を用いて、120℃×1時間のプリベーク後、これを85℃/85%RH×168時間吸湿させた後、215℃のVPSで90秒の評価試験(耐半田クラック性)を行った。そして、クラックが発生した個数(10個中)を測定した。
【0097】
以上の各測定・評価結果を下記の表7〜表10に併せて示す。
【0098】
【表7】
Figure 0003980701
【0099】
【表8】
Figure 0003980701
【0100】
【表9】
Figure 0003980701
【0101】
【表10】
Figure 0003980701
【0102】
上記表7〜表10から明らかなように、全ての実施例は高い難燃性レベルを有するとともに、離型荷重が小さいことから成形性にも優れており、また得られた半導体装置の信頼性に関しても良好な結果が得られた。
【0103】
一方、比較例については、難燃性レベルに関しては問題はなかったが、そのいくつかにおいては離型荷重が大きく成形性に問題を有しており、また、得られた半導体装置の信頼性にも劣っていることがわかる。
【0104】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、前記一般式(1)で表される金属水酸化物(ハ成分)および一般式(2)で表される金属酸化物(ニ成分)を含有し、かつ上記金属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有するとともに、前記無機質充填剤(ホ成分)の一部が上記金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒子径0.5〜10μmとなり、その含有割合が無機質充填剤〔(ホ)成分〕全体中の1〜20重量%に設定されている半導体封止用樹脂組成物である。あるいは、前記複合化金属水酸化物(ハ′成分)を含有し、かつ上記複合化金属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有するとともに、前記無機質充填剤(ホ成分)の一部が上記金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒子径0.5〜10μmとなり、その含有割合が無機質充填剤〔(ホ)成分〕全体中の1〜20重量%に設定されている半導体封止用樹脂組成物である。このように、上記金属水酸化物および金属酸化物、または複合化金属水酸化物の使用により、高温高湿下においても従来の難燃剤である臭素化エポキシ樹脂と比較すると臭素の影響がなく半導体素子やアルミニウム配線の腐食等が生じず耐湿信頼性が向上して長寿命になる。さらに、有害なハロゲン化物や三酸化アンチモンを使用せずに難燃性の付与が可能となることから、安全性が非常に高く環境上無公害である。しかも、無機質充填剤の一部として金属水酸化物もしくは複合化金属水酸化物よりも小さな粒径のものを用いるため、上記金属水酸化物もしくは複合化金属水酸化物の成形金型表面への付着が抑制され、結果、離型性の向上が実現する。
【0105】
したがって、本発明にかかる半導体封止用樹脂組成物を用いて封止された半導体装置は、無公害な難燃化技術、および半導体装置の信頼性を格段に向上させる技術を提供するものであり、しかもその成形作業性においても優れており産業上の利用価値は極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 離型性の評価方法に用いるエポキシ樹脂組成物硬化体の成形方法を示す説明図である。
【図2】 離型性の評価方法である離型荷重の測定方法を示す説明図である。

Claims (14)

  1. 下記の(イ)〜(ホ)成分を含有する半導体封止用樹脂組成物であって、上記(ハ)成分である金属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有するとともに、上記(ホ)成分である無機質充填剤の一部が上記(ハ)成分である金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒子径0.5〜10μmであり、その含有割合が無機質充填剤〔(ホ)成分〕全体中の1〜20重量%に設定されていることを特徴とする半導体封止用樹脂組成物。
    (イ)熱硬化性樹脂。
    (ロ)硬化剤。
    (ハ)下記の一般式(1)で表される金属水酸化物。
    Figure 0003980701
    〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,b,cは正数、mは1以上の正数である。〕
    (ニ)下記の一般式(2)で表される金属酸化物。
    Figure 0003980701
    〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,Va,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異なる金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上の正数である。〕
    (ホ)無機質充填剤。
  2. 上記(ハ)成分である金属水酸化物と、上記(ハ)成分である金属水酸化物よりも小さな粒径である無機質充填剤(x)の配合割合〔(ハ)/(x)〕が、重量比で、(ハ)/(x)=1/0.1〜1/1である請求項1記載の半導体封止用樹脂組成物。
  3. 上記一般式(1)で表される金属水酸化物中の金属元素を示すMが、アルミニウム,マグネシウム,カルシウム,ニッケル,コバルト,スズ,亜鉛,銅,鉄,チタンまたはホウ素である請求項1または2記載の半導体封止用樹脂組成物。
  4. 上記一般式(2)で表される金属酸化物中の金属元素を示すQが、鉄,コバルト,ニッケル,パラジウム,銅,亜鉛またはカドミウムである請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  5. 上記一般式(1)で表される金属水酸化物と一般式(2)で表される金属酸化物との合計含有量が、樹脂組成物全体の4〜40重量%の範囲に設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  6. 下記の(イ),(ロ),(ハ′),(ホ)成分を含有する半導体封止用樹脂組成物であって、上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物が平均粒子径0.6〜20μmを有するとともに、上記(ホ)成分である無機質充填剤の一部が上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物よりも小さな粒径であって平均粒子径0.5〜10μmであり、その含有割合が無機質充填剤〔(ホ)成分〕全体中の1〜20重量%に設定されていることを特徴とする半導体封止用樹脂組成物。
    (イ)熱硬化性樹脂。
    (ロ)硬化剤。
    (ハ′)下記の一般式(1)で表される金属水酸化物と、下記の一般式(2)で表される金属酸化物とが複合化した複合化金属水酸化物。
    Figure 0003980701
    〔上記式(1)において、Mは金属元素であり、a,b,cは正数、mは1以上の正数である。〕
    Figure 0003980701
    〔上記式(2)において、Qは、周期律表のIVa,Va,VIa, VIIa,VIII,Ib,IIbから選ばれた族に属する金属元素であり、かつ上記式(1)のMとは異なる金属元素である。また、d,eは正数、m′は1以上の正数である。〕
    (ホ)無機質充填剤。
  7. 上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物と、上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物よりも小さな粒径である無機質充填剤(x)の配合割合〔(ハ′)/(x)〕が、重量比で、(ハ′)/(x)=1/0.1〜1/1である請求項6記載の半導体封止用樹脂組成物。
  8. 上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物が、sMgO・(1−s)NiO・cH2 O〔0<s<1、0<c≦1〕である請求項6または7記載の半導体封止用樹脂組成物。
  9. 上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物が、sMgO・(1−s)ZnO・cH2 O〔0<s<1、0<c≦1〕である請求項6または7記載の半導体封止用樹脂組成物。
  10. 上記(ハ′)成分である複合化金属水酸化物の含有量が、樹脂組成物全体の1〜30重量%の範囲に設定されている請求項6〜9のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  11. 半導体封止用樹脂組成物硬化体の抽出液のpHが6.0〜8.0の範囲であって、かつ、その塩素イオン濃度が、樹脂組成物硬化体1gあたり200μg以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  12. 半導体封止用樹脂組成物の硬化体が、厚み1/16インチでのUL94燃焼試験において、V−0相当の難燃性を示すものである請求項1〜11のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  13. 上記(イ)成分である熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求項1〜12のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置。
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