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JPH10237576A - 成形加工性、塗装焼付硬化性、化成性および耐食性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

成形加工性、塗装焼付硬化性、化成性および耐食性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法

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Publication number
JPH10237576A
JPH10237576A JP9042055A JP4205597A JPH10237576A JP H10237576 A JPH10237576 A JP H10237576A JP 9042055 A JP9042055 A JP 9042055A JP 4205597 A JP4205597 A JP 4205597A JP H10237576 A JPH10237576 A JP H10237576A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
ppm
less
corrosion resistance
chemical conversion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9042055A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Saga
誠 佐賀
Masao Kikuchi
正夫 菊池
Yoshimi Kada
好実 加田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP9042055A priority Critical patent/JPH10237576A/ja
Publication of JPH10237576A publication Critical patent/JPH10237576A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工性、塗装焼付硬化性、化成処理性、
および耐食性に優れた自動車ボディパネル用として好適
なアルミニウム合金板を提供する。 【解決手段】 Al−Mg−Si系合金において、Mg
とSiの成分範囲およびCuの添加量を特定し、ならび
に溶体化処理温度およびその後の冷却速度を規定するこ
とによって製造した(TS−YS)の値の大きいアルミ
ニウム合金板上に、めっき層中不純物として、Pb、A
s、Sn、Cd、Tl、Cu量を規定した亜鉛系めっき
を施す。これによって、成形加工性、塗装焼付硬化性、
化成処理性および耐食性に優れたアルミニウム合金板が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形加工性、塗装
焼付硬化性、化成処理性および耐食性に優れる、自動車
ボディパネルをはじめとして、車両、電気製品、建材等
に好適なアルミニウム合金板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車のボディパネル等の材
料としては、主として冷延鋼板が用いられることが多か
った。しかし近年、自動車の燃費向上を目的とした車体
軽量化の要求から、軽量化手段の一つとして自動車ボデ
ィパネルへアルミニウム合金板が一部使用されている。
自動車のボディパネルの材料としては、成形加工性に優
れるだけでなく、塗装焼付後の強度や耐食性にも優れる
ことが要求される。
【0003】現在使用されている自動車ボディパネル用
アルミニウム合金としては、JISA5052、JIS
A5182、特開昭62−27544号公報、特公昭6
2−42985号公報などの合金に代表されるAl−M
g系合金と、AA6009、AA6010等で代表され
るAl−Mg−Si系が挙げられる。このうちAl−M
g系合金は、成形性に優れていることから、我国では自
動車ボディパネル用アルミニウム合金として広く用いら
れている。
【0004】しかしAl−Mg系合金では、塗装焼付時
に軟化してしまい、耐デント性に劣るという欠点を有す
る。一方、Al−Mg−Si系合金は時効硬化性を有し
ているために、180℃程度で30分足らずの塗装焼付
処理によって高強度が得られ、耐デント性には優れてい
る。しかし、成形性は劣るために自動車ボディパネルへ
の適用には限界があった。このように、自動車ボディパ
ネル用のアルミニウム合金板としては成形加工性に優
れ、耐デント性の観点から塗装焼付けによって十分な強
度が得られることが求められている。
【0005】さらに自動車ボディパネル用材料として満
足しなければならない他の重要な特性の一つに、耐食性
がある。自動車ボディパネルに適用される防錆技術とし
て一般に採用されているリン酸亜鉛皮膜の形成を目的と
した化成処理をアルミニウム板に行った場合、アルミニ
ウム合金板上には、少量のリン酸亜鉛皮膜しか形成され
ず、これに電着塗装、中塗り塗装および仕上げ塗装とし
ての上塗り塗装等の塗装を施して一般的に使用する自動
車ボディパネル用材料とした場合、アルミニウム合金板
と塗膜との密着性および塗装後の耐食性が悪くなってし
まう。そこで、化成処理性を向上させるためにCuを添
加することにより化成性を向上させる方法がある。
【0006】しかしながら、アルミニウム合金中にCu
を添加すると、アルミニウム合金中に電位差による局部
電池(ガルバニック・カップル)が生成され、腐食しや
すくなり、耐食性については劣化してしまう欠点があ
る。すなわち、従来の自動車ボディパネル用アルミニウ
ム合金板は、化成処理性と耐食性を十分なレベルで満足
していなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような要求に対し
て、例えば特開平1−287244号公報には、時効硬
化性を有するAl−Cu−Mg−Si系合金を芯材とし
て、成形性の良好な純Alを皮材としたアルミニウム合
金合わせ板が提案されており、プレス成形性と塗装焼付
硬化性が両立されている。また表面は純Alであるため
に、耐食性も確保される。しかしながら、化成処理性に
劣るとともに、合わせ板であるために製造コストが高く
なるだけでなく、端面においては異種金属接触腐食を起
こす恐れがある。本発明は上記従来技術の問題点を解決
するためになされたものであって、単板でプレス成形
性、塗装焼付硬化性に優れるとともに、化成処理性、耐
食性の良好な表面特性を兼ね備えた自動車ボディパネル
用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供するも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、ま
ずアルミニウム合金板の成形性に及ぼす材料因子につい
て種々検討を行い、板の(TS−YS)の値が130M
Pa以上あれば一般的な自動車ボディパネルの成形には
耐え得ることを見出した。次に時効硬化性を有するAl
−Mg−Si系合金において、プレス成形性に及ぼす合
金組成および板製造条件について種々検討した結果、M
gとSiの成分範囲およびCuの添加量、ならびに製造
条件を特定することによって上記目標を達成できること
を見出した。さらに不純物量を規定した亜鉛系めっきを
上記アルミニウム合金板上に形成させることによって耐
食性を向上させ、さらには摩擦係数低下により成形加工
性を原板よりも一層向上させることが可能となることを
見出し、本発明をなすに至った。
【0009】本発明は、上記の知見に基づいて得られた
ものであり、(1)重量%で、Mg:0.4〜1.2
%、Si:0.4〜1.2%、Cu:0.25〜1.0
%を含有し、かつ1.2%≦Mg+Si≦1.8%なる
関係式を満足し、残部がAlおよび不可避不純物からな
り、(TS−YS)の値が130MPa以上であるアル
ミニウム合金板に、めっき層中の不純物としてPbが1
50ppm以下、Asが100ppm以下、Snが10
0ppm以下、Cdが1000ppm以下、Tlが10
0ppm以下およびCuが500ppm以下の亜鉛系め
っきを施したことを特徴とする成形加工性、塗装焼付硬
化性、化成処理性および耐食性に優れたアルミニウム合
金板。ここで、TSは引張強さ、YSは0.2%耐力
(単位:MPa)である。
【0010】(2)上記(1)記載のアルミニウム合金
板において、さらに重量%で、Zn:0.05〜0.6
%、Cr:0.03〜0.5%、Mn:0.03〜0.
5%、Fe:0.05〜0.5%、V :0.03〜
0.3%、Zr:0.03〜0.3%、Ti:0.00
5〜0.3%、のうち一種以上を含有することを特徴と
する成形加工性、塗装焼付硬化性、化成処理性および耐
食性に優れたアルミニウム合金板。
【0011】(3)上記(1)あるいは(2)記載の成
分組成を有するアルミニウム合金を鋳造し、所定の厚さ
まで圧延した後、500〜560℃の間の温度で10秒
以上、2時間以内の溶体化処理を施し、その温度から1
00℃までの温度範囲を10℃/秒以上の速度で冷却し
て、(TS−YS)の値が130MPa以上のアルミニ
ウム合金板とし、次にめっき層中の不純物としてPbが
150ppm以下、Asが100ppm以下、Snが1
00ppm以下、Cdが1000ppm以下、Tlが1
00ppm以下およびCuが500ppm以下の亜鉛系
めっきを施こしたことを特徴とする成形加工性、塗装焼
付硬化性、化成処理性および耐食性に優れたアルミニウ
ム合金板の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明におけるめっき処理を施す原板の成
分組成の限定理由について述べる。 Mg、Si、Cu:Mg、Si、およびCuは本発明合
金における主要合金元素であり、成形性、塗装焼付硬化
性、化成処理性および耐食性に大きな影響を及ぼす。そ
こで本発明者らは、Al−Mg−Si系合金において成
形性と密接な相関を示す(TS−YS)値に及ぼすM
g、SiおよびCu量の影響を調査した。その結果、M
g≧04%、Si≧0.4%、1.2%≦Mg+Si、
かつCu≧0.25%の場合に(TS−YS)値が13
0MPa以上を超え、プレス成形性に優れることを見出
した。
【0013】また、これらの条件を満足するMg、Si
およびCu量を有するAl−Mg−Si系合金は、同時
に、十分な塗装焼付硬化性と化成処理性を兼備してい
る。したがって、Mg、SiおよびCu量の下限値を、
それぞれ0.4%、0.4%、および0.25%、(M
g+Si)量を1.4%以上とした。一方、上記の条件
を満足する範囲内であれば、Mg、SiおよびCu量は
多いほど、プレス成形性と塗装焼付硬化性に優れる。し
かしながら、MgおよびSi量が1.2%を超え、(M
g+Si)量が1.8%を超えると、十分に高い温度で
溶体化処理を行っても、完全な固溶体は得られず、Mg
2 SiやSi等の第2相が結晶粒界等に析出してヘム曲
げ性が大幅に低下してしまう。そこで、Mg、Siおよ
び(Mg+Si)量の上限値を、それぞれ1.2%、
1.2%、および1.8%とした。
【0014】またCuについても、1.0%を超えると
ヘム曲げ性が低下してしまう。さらに、以下に示すめっ
きを表面に施しても、良好な耐食性が得られなくなって
しまう。そこで、Cu量の上限値を1.0%とした。以
上の理由より、Mg、SiおよびCu量の含有量はそれ
ぞれ、Mg:0.4〜1.2%、Si:0.4〜1.2
%、Cu:0.25〜1.0%と規定し、(Mg+S
i)量の範囲を、1.2%≦Mg+Si≦1.8%と規
定した。本発明のアルミニウム合金板は、上記の必須成
分以外に、必要に応じてZn、Cr、Mn、Fe、V、
ZrあるいはTiのうち一以上を含有してもよい。
【0015】Znは強度向上に有効な元素であるが、
0.05%未満ではその効果が小さく、0.6%を超え
ると成形加工性および溶接性が低下する。そこで、Zn
の含有量は0.05〜0.6%の範囲内とする。Cr、
Mn、V、およびZrは、いずれも結晶粒を微細化し、
安定化するとともに、強度向上効果を有する元素であ
り、必要に応じて一種以上を添加するとよい。この場
合、どの元素も0.03%未満では上記の効果は十分に
は得られず、一方、CrおよびMnを0.5%を超え、
VおよびZrを0.3%を超えて含有させても、上記の
効果は飽和してしまうだけでなく、粗大晶出物が形成さ
れて成形性が低下してしまう。よってCrおよびMnの
含有量は、0.03〜0.5%、VおよびZrの含有量
は0.03〜0.3%とする。
【0016】Feは不可避不純物であるが、結晶粒微細
化、強度向上効果を有しており、0.05%未満ではそ
の効果は小さく、0.5%を超えて含有させても、上記
の効果は飽和してしまうだけでなく、粗大晶出物が形成
されて成形性が低下してしまう。そこでFeの含有量は
0.05〜0.5%とする。Tiは鋳塊の結晶粒微細化
のために、単独あるいは微量のBと組み合わせて添加す
る。この場合、Ti含有量が0.005%未満ではその
効果が十分には得られず、0.3%超ではその効果は飽
和する。そこでTiの含有量は0.005〜0.3%の
範囲とする。またB添加量は0.0005〜0.03%
が好ましい。上記元素の他、通常のアルミニウム合金と
同様、不可避不純物が含有されるが、その量は本発明の
効果を損なわない範囲であれば許容される。
【0017】次に、本発明のめっき処理原板の製造方法
について説明する。上述のように成分規定された本発明
のアルミニウム合金を鋳造後、溶体化処理前までの製造
工程、すなわち所定の厚さの圧延板とするまでの工程
は、従来の一般的なアルミニウム合金板の製造方法でよ
い。例えば、DC鋳造法で鋳塊を製造した後、熱間圧
延、冷間圧延によって所定の厚さにする方法、連続鋳造
法で薄スラブを製造した後、熱間圧延、冷間圧延によっ
て所定の厚さにする方法等が利用できる。
【0018】上記の製造工程後の溶体化処理温度につい
ては、500℃以下の温度では析出強化に寄与するM
g、SiおよびCuが十分にα−Al中に固溶せずに第
2相として析出するために、塗装焼付硬化性が低下して
十分な強度が得られなくなるだけでなく、ヘム曲げ性が
低下してしまう。一方、560℃を超えると部分溶解が
生じる。そこで、溶体化処理温度としては500〜56
0℃の範囲内とした。溶体化処理時間が10秒以下では
Mg、SiおよびCuのα−Al中への固溶がまだ十分
に起こらず、2時間を超えると結晶粒が粗大化し、プレ
ス成形の際に肌荒れを起こすために、溶体化処理時間は
10秒以上、2時間以内とした。
【0019】また、溶体化処理後、溶体化処理温度から
100℃までの温度範囲の冷却速度を10℃/秒未満に
すると、冷却中に第2相が析出して、塗装焼付時に析出
するMg、SiおよびCuの量が減少して塗装焼付硬化
性が低下するだけでなく、ヘム曲げ性が悪化してしま
う。そのために、溶体化処理温度から100℃までの温
度範囲の冷却速度を10℃/秒以上とした。そして、上
述のような成分組成を有する合金を上述のような製造方
法により作製したアルミニウム合金原板上に、不純物量
を規定した亜鉛めっき層を形成することによって本発明
のアルミニウム合金板は製造される。
【0020】以下にその亜鉛めっき層の不純物規定理由
について説明する。本発明の亜鉛系めっき層中の不純物
濃度の上限を、Pbが150ppm以下、Asが100
ppm以下、Snが100ppm以下、Cdが1000
ppm以下、Tlが100ppm以下およびCuが50
0ppm以下とそれぞれ規定するのは、これらの値より
濃度が高くなると、電気的に卑なめっき層中に重金属が
混入した場合にめっき層中における電位差による局部電
池(ガルバニック・カップル)が生成され、めっき層が
溶解されて耐食性が低下し、めっきによる下地アルミニ
ウム合金板の耐食性向上効果がなくなってしまうためで
ある。
【0021】また本発明の亜鉛系めっきとしては、アル
ミニウム合金板との十分な密着性を有することが好まし
く、亜鉛系めっき層は実質的に亜鉛のみから構成される
純亜鉛めっきの他、他の成分としてFe、Ni、Cr、
Mg、Si等の合金成分の1種または2種以上を含むも
のであってもよい。さらにこれらのめっき層中、SiO
2 やAl2 3 等の成分を含んだ複合系めっきとしてめ
っき層を硬くして成形性をさらに向上させることも可能
である。
【0022】また本発明のめっき付着量としては、耐食
性の点からは0.5g/mm2 以上、好ましくは1g/
mm2 以上にするのがよく、その上限は特に定めない
が、20g/mm2 以上ではコストが高くなってしま
い、好ましくない。亜鉛系のめっきを施こす方法として
は、公知の方法をそのままもしくは適当に変更して実施
することができるが、一般的な方法としては、置換めっ
き法、化学めっき法、電気めっき法、あるいはこれらを
組み合わせた方法等が適用できる。なお、めっき層にピ
ンホール欠陥等の無い均一なめっき層を得ることのでき
る電気めっき法が最適である。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例で説明する。 (実施例1)表1及び表2に示す化学組成を有する各合
金を常法により、溶解、鋳造、面削、均質化処理後、熱
間圧延および冷間圧延によって板厚1mmの冷延板を作
製し、520℃で10分の溶体化処理を施し、その温度
から0℃の氷水中に焼き入れた。得られたアルミニウム
合金板に置換めっき法および電気めっき法を適用して表
1及び表2に示す種々の亜鉛系めっきを施した。このよ
うにして得られためっき処理アルミニウム合金板につい
て、引張試験、エリクセン試験を行い、成形性を評価し
た。エリクセン値としては10mm以上を良とした。ま
た175℃で30分の塗装焼付に相当する熱処理を行
い、熱処理前後の耐力を測定して塗装焼付硬化性を評価
した。塗装焼付硬化性は80MPa以上あれば良好と判
断される。
【0024】さらにこのめっき処理板に対して常法に従
って化成処理を施して、化成処理板に生成した化成皮膜
の表面を走査型電子顕微鏡により観察し、その析出状態
と化成皮膜結晶の大きさにより、その化成処理性の評価
を行った。その評価は、良:〇>△>×:悪の3段階と
して表した。各記号の意味は以下に示す通りである。 〇:結晶サイズ5μm未満かつ全面に結晶析出 △:結晶サイズ5μm以上10μm未満かつ全面に結晶
析出 ×:結晶サイズ10μm以上または下地露出部あり
【0025】さらに、上記の各化成処理板に対してエポ
キシ系カチオン電着塗料を厚さ20μm塗布し、その上
にメラミン系中塗り塗料を40μm施し、さらにその上
にアクリル系上塗り塗料を40μm施した。そして腐食
試験として、塗膜にクロスカットを入れた後、塩水噴霧
試験(24h)→湿潤試験(120h)→室内放置(2
4h)のサイクルを8サイクル実施し、クロスカット部
からの塗膜の最大膨れ幅によって、塗装後耐食性を評価
した。その評価は、良:〇>△>×:悪の3段階として
表し、各記号の意味は以下に示す通りである。 〇:膨れ幅1mm未満 △:膨れ幅1mm以上3mm未満 ×:膨れ幅3mm以上 以上の評価結果を表3及び表4に示す。表3及び表4か
ら明らかなように本発明のアルミニウム合金板は、比較
例のアルミニウムに対して成形加工性に優れ、焼付硬化
量80MPa以上の良好な塗装焼付硬化性を有し、かつ
優れた化成処理性および耐食性を具備していることがわ
かる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】(実施例2)表1及び表2に示す合金のう
ち、合金No6を常法により、溶解、鋳造、面削、均質
化処理後、熱間圧延および冷間圧延によって板厚1mm
の冷延板を作製した。このアルミニウム合金板に対して
450〜580℃の各温度で、3秒から3時間の溶体化
処理を施して、その温度から0℃の氷水中に焼入れた。
その後、電気めっき法により、付着量1g/mm2 、各
不純物濃度実績値が、Pb:68ppm、As:37p
pm、Sn:39ppm、Cd:29ppm、Tl:8
8ppm、およびCu:372ppmであるめっきを施
した。得られた各アルミニウム合金板について、実施例
1の場合と同様にして、成形性、塗装焼付硬化性、化成
処理性、耐食性を評価した。その結果を表5に示す。表
5から明らかなように、溶体化処理温度が500℃未満
および溶体化処理時間が10秒未満の比較例では、化成
処理性および耐食性については良好な結果を示すが、成
形性、塗装焼付硬化性ともに500℃以上、10秒以上
の溶体化処理材に比べて劣っていることがわかる。また
溶体化処理温度が580℃の比較材では、部分溶解が起
こって試験片が採取できず、520℃×3時間の溶体化
処理材では成形試験の際の肌荒れが激しかった。このよ
うに、本発明の範囲である500〜560℃で10秒〜
2時間の溶体化処理において優れた成形性、塗装焼付硬
化性、化成処理性、および耐食性が得られることがわか
る。
【0031】
【表5】
【0032】(実施例3)表1及び表2に示す合金のう
ち、合金No6を常法により、溶解、鋳造、面削、均質
化処理後、熱間圧延および冷間圧延によって板厚1mm
の冷延板を作製し、520℃で10分の溶体化処理を施
し、その温度から100℃までの平均冷却速度を1〜1
00℃/秒の間で変化させて冷却した。それらのアルミ
ニウム合金板に電気めっき法により、付着量1g/mm
2 、各不純物濃度実績値が、Pb:65ppm、As:
40ppm、Sn:35ppm、Cd:33ppm、T
l:70ppm、およびCu:393ppmであるめっ
きを施した。得られた各アルミニウム合金板について、
実施例1の場合と同様にして、成形性、塗装焼付硬化
性、化成処理性、耐食性を評価した。その結果を表6に
示す。表6から明らかなように、溶体化処理温度から1
00℃までの温度範囲を本発明の条件である10℃/秒
以上の冷却速度で冷却した場合には、優れた成形性と塗
装焼付硬化性が得られるが、10℃/秒以下で冷却した
場合には十分な成形性と塗装焼付硬化性が得られないこ
とがわかる。
【0033】
【表6】
【0034】
【発明の効果】本発明によるアルミニウム合金板は、高
い成形性、塗装焼付硬化性を有し、かつ優れた化成処理
性および耐食性を具備していることから、自動車のボデ
ィパネルをはじめとして、電気機器、建材等の成形加工
用アルミニウム合金板として広く使用できるものであ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 Mg:0.4〜1.2%、 Si:0.4〜1.2%、 Cu:0.25〜1.0%を含有し、 かつ1.2%≦Mg+Si≦1.8%なる関係式を満足
    し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、(TS−
    YS)の値が130MPa以上であるアルミニウム合金
    板に、めっき層中の不純物としてPbが150ppm以
    下、Asが100ppm以下、Snが100ppm以
    下、Cdが1000ppm以下、Tlが100ppm以
    下およびCuが500ppm以下の亜鉛系めっきを施し
    たことを特徴とする成形加工性、塗装焼付硬化性、化成
    処理性および耐食性に優れたアルミニウム合金板。ここ
    で、TSは引張強さ、YSは0.2%耐力(単位:MP
    a)である。
  2. 【請求項2】 アルミニウム合金板において、さらに重
    量%で、 Zn:0.05〜0.6%、 Cr:0.03〜0.5%、 Mn:0.03〜0.5%、 Fe:0.05〜0.5%、 V :0.03〜0.3%、 Zr:0.03〜0.3%、 Ti:0.005〜0.3%、 のうち一種以上を含有することを特徴とする請求項1記
    載の成形加工性、塗装焼付硬化性、化成処理性および耐
    食性に優れたアルミニウム合金板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載された成分組成
    を有するアルミニウム合金を鋳造し、所定の厚さまで圧
    延した後、500〜560℃の間の温度で10秒以上、
    2時間以内の溶体化処理を施し、その温度から100℃
    までの温度範囲を10℃/秒以上の速度で冷却して、
    (TS−YS)の値が130MPa以上のアルミニウム
    合金板とし、次にめっき層中の不純物としてPbが15
    0ppm以下、Asが100ppm以下、Snが100
    ppm以下、Cdが1000ppm以下、Tlが100
    ppm以下およびCuが500ppm以下の亜鉛系めっ
    きを施こしたことを特徴とする成形加工性、塗装焼付硬
    化性、化成処理性および耐食性に優れたアルミニウム合
    金板の製造方法。
JP9042055A 1997-02-26 1997-02-26 成形加工性、塗装焼付硬化性、化成性および耐食性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 Withdrawn JPH10237576A (ja)

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JP9042055A Withdrawn JPH10237576A (ja) 1997-02-26 1997-02-26 成形加工性、塗装焼付硬化性、化成性および耐食性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012214846A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Kobe Steel Ltd 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
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CN106567108A (zh) * 2016-11-09 2017-04-19 广西新六合环保有限责任公司 一种铝材镀锌方法
JP2020527648A (ja) * 2017-07-10 2020-09-10 ノベリス・インコーポレイテッドNovelis Inc. 高強度耐食性アルミニウム合金およびその製造方法

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