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JPH10225983A - 樹脂管状体の製造方法 - Google Patents

樹脂管状体の製造方法

Info

Publication number
JPH10225983A
JPH10225983A JP2901597A JP2901597A JPH10225983A JP H10225983 A JPH10225983 A JP H10225983A JP 2901597 A JP2901597 A JP 2901597A JP 2901597 A JP2901597 A JP 2901597A JP H10225983 A JPH10225983 A JP H10225983A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
former
hollow
hollow workpiece
sectional area
workpiece
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2901597A
Other languages
English (en)
Inventor
Masafumi Nakamaru
雅史 中丸
Ibrahim Urashu
イブラヒム ウラシュ
Tomohiko Tanaka
智彦 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2901597A priority Critical patent/JPH10225983A/ja
Publication of JPH10225983A publication Critical patent/JPH10225983A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外観が良好で、周方向の引張弾性率が著しく
高く、しかも熱可塑性樹脂の融点より数10℃低く、ガ
ラス転移温度以上の温度条件に長時間保持したときの弾
性率の低下がきわめて小さい樹脂管状体を製造する。 【解決手段】 結晶性熱可塑性樹脂からなる中空加工物
1を、ダイ2とフォーマー3との間からクランプ5で引
っ張って延伸成形する樹脂管状体の製造方法において、
最大横断面積が中空加工物1の中空部の初期横断面積の
9倍より大きいフォーマー3を用い、該中空加工物1に
該結晶性熱可塑性樹脂の加工温度における降伏歪み量よ
りも大きく破断歪み量よりも小さな歪みを引張方向およ
び周方向の両方向に与えて中空加工物1が前記フォーマ
ー3の最大横断面積の90%の横断面積の位置に到るま
での間にネッキングを起こして延伸し、肉厚を初期肉厚
の25%より小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂管状体の製造方
法に関する。詳しくは、本発明は延伸可能な結晶性熱可
塑性樹脂の中空筒状体(加工物)を拡径させるように延
伸させて樹脂管状体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特公平4−55379号公報には、樹脂
管状体の製造方法として、延伸可能な結晶性熱可塑性樹
脂からなる中空加工物をダイの入口側から供給し、該中
空加工物の内部に配設した錐状フォーマーを通してダイ
の出口側へ送られた中空加工物に、該中空加工物の引張
破壊を生じさせるには不十分であるが、固相で延伸変形
させるには十分な引張応力を加え、該中空加工物を延伸
変形させ、ダイの出口側からこれを回収する工程を含む
樹脂管状体の製造方法が記載されている。ここで使用さ
れる錐状フォーマーは、最大横断面積が該中空加工物の
中空部の初期横断面積より大きく、かつ横断面が下流方
向に増大するように配置されている。
【0003】図2は上記特公平4−55379号公報の
第4図に記載の樹脂管状体の製造方法を示すものであ
り、延伸可能な結晶性熱可塑性樹脂からなる中空加工物
11がオーブン(図示略)により加熱され、ダイ12の
内周面と錐状のフォーマー13間を通って装置外に引き
出されている。この中空加工物(筒状体)11の先端は
引張部材(図示略)にチャックされており、該引張部材
が図の右方に移動することにより該中空加工物11に周
方向(拡径方向)及び引張方向(長手方向ないし軸方
向)の延伸処理が施され、樹脂管状体17が製造され
る。
【0004】この方法によれば、軸方向および周方向に
二軸延伸され、引張弾性率などの物性が向上した樹脂管
状体を製造することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の樹脂管状体
の製造方法によって製造された樹脂管状体は、これを構
成する熱可塑性樹脂の融点より数10℃低い温度以下〜
ガラス転移温度以上の温度条件に長時間保つと物性が低
下し、かつ寸法が変化するという不具合がある。延伸工
程の条件によっては、寸法が20%以上も変化し、かつ
延伸加工前の中空加工物と同等にまで低下することがあ
り、実用上好ましくない。
【0006】これは、延伸加工時の変形歪み量が降伏歪
み量よりはるかに大きくても延伸効果が実用上十分でな
い領域が存在することを意味する。即ち、中空加工物は
実際、引張方向と周方向の二軸にわたり延伸されるの
で、特公平4−55379号公報に記載されているよう
に引張方向の延伸比のみを制御しても、周方向の延伸が
不十分となるため、このような問題が生起するものと考
えられる。
【0007】また、上記従来法では、軸方向の延伸比が
高くなると得られる管状体の表層に軸方向に細かいすじ
が発生したり、ささくれが発生する。
【0008】また、得られる管状体を埋設管として使用
する場合、特に、延伸による周方向の弾性率の向上が望
まれるが、従来法では、このような効果を確実に得るた
めの製造条件が明確に示されていない。
【0009】本発明は、延伸工程の条件を規定すること
によって、上記従来技術の問題点を解決する樹脂管状体
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の樹脂管状体の製
造方法は、延伸可能な結晶性熱可塑性樹脂からなる中空
加工物をダイの入口側から供給し、該中空加工物の内部
に配設した錐状フォーマーを通してダイの出口側へ送ら
れた中空加工物に、該中空加工物に引張破壊を生じさせ
るには不十分であるが、固相で延伸変形させるには十分
な引張応力を加えることにより、該中空加工物を延伸変
形して得られる樹脂管状体をダイの出口側から回収する
工程を含む、樹脂管状体の製造方法であって、前記フォ
ーマーの最大横断面積が該中空加工物の中空部の初期横
断面積より大きく、該フォーマーは横断面が下流方向に
増大するように配置されている樹脂管状体の製造方法に
おいて、該フォーマーの最大横断面積は該中空加工物の
中空部の初期横断面積の9倍よりも大きく、該中空加工
物に該結晶性熱可塑性樹脂の加工温度における降伏歪み
量よりも大きく破断歪み量よりも小さな歪みを前記引張
方向および周方向の両方向に与え、該中空加工物が前記
フォーマーの最大横断面積の90%の横断面積の位置に
到るまでの間にネッキングを起こさせて該中空加工物を
延伸し、得られる樹脂管状体の肉厚を該中空加工物の初
期肉厚の25%より小さくすることを特徴とする。
【0011】即ち、本発明者らは、上記従来法の不具合
を抑止できる延伸条件を鋭意検討した結果、最大横断面
積が中空加工物の中空部の初期横断面積の9倍よりも大
きいフォーマーを用い、中空加工物に、これを構成する
結晶性熱可塑性樹脂の加工温度での降伏歪み量、好まし
くは降伏歪み量の2倍よりも大きく破断歪み量よりも小
さな歪みを引張方向だけでなく周方向にも与えて延伸す
ることで、該中空加工物が前記フォーマーの最大横断面
積の90%の横断面積の位置に到るまでの間にネッキン
グを起こさせて中空加工物を延伸し、得られる樹脂管状
体の肉厚を、中空加工物の初期肉厚の25%、好ましく
は20%より小さくすれば、物性、寸法を大幅に安定化
させ、従来の問題点を解消できることを見出し、本発明
に到達した。
【0012】本発明では、特に、最大横断面積が中空加
工物の中空部の初期横断面積の9倍よりも大きいフォー
マーを用い、中空加工物がこのフォーマーの最大横断面
積の90%の横断面積の位置に到るまでの間にネッキン
グを起こさせて中空加工物を延伸することで、軸方向及
び周方向にバランスの良い延伸を行って、とりわけ周方
向の弾性率が著しく良好な管状体を製造することができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。
【0014】本発明において、被延伸加工物となる「中
空加工物」とは、横断面が一定の中空の成形物で、両端
部の開放した単体あるいは同時的に成形される片端部の
み開放した連続体が挙げられる。この中空加工物の横断
面形状は、対称軸を有する形状が望ましく、例えば円
形、楕円形、正方形、長方形もしくは三角形が挙げられ
る。
【0015】中空加工物を構成する結晶性熱可塑性樹脂
は、結晶構造を含む樹脂であり、このような樹脂の好ま
しいものとしては未置換またはハロゲン置換ビニルポリ
マー、未置換もしくはヒドロキシ置換ポリエステル、ポ
リアミド、ポリエーテルケトン、ポリアセタール等が挙
げられる。より好ましくは、エチレンもしくはプロピレ
ンの線状ホモポリマーもしくは少なくとも1種類のコモ
ノマーとの線状コポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ホ
モポリオキシメチレンおよびコポリオキシメチレンが挙
げられる。
【0016】これらの熱可塑性樹脂は、ガラス、カーボ
ンなどの繊維状フィラー、タルク、マイカなどの板状フ
ィラー、あるいは炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カー
ボンなどの粒状フィラーが配合されていてもよい。
【0017】本発明に係る中空加工物は、熱可塑性樹脂
を溶融し次いで冷却することで成形できる。実際には射
出成形、押出成形を利用するのが最も実用的であるが、
切削加工により製造してもよい。
【0018】以下に図面を参照して本発明をより詳細に
説明する。
【0019】図1(a),(b)は本発明の樹脂管状体
の製造方法において採用するのに好適な延伸成形装置の
断面図である。
【0020】図1(a),(b)において、中空加工物
(筒状体)1はオーブン4内において加熱され、ダイ2
の成形孔(リップ)の内周と錐状フォーマー3の外周と
の間を通って装置外に引き出され、管状体7とされる。
なお、この管状体7の下流側の端部はクランプ5に把持
されており、このクランプ5が引張装置(図示略)によ
って定速にて図の右方へ移動される。前記フォーマー3
はシャフト6によって支持される。
【0021】この成形装置を用いて延伸を開始するに
は、中空加工物1をフォーマー3上に被せる作業が必要
である。この場合、例えば、中空加工物の端部の内面を
切削してこの作業を容易にすることができる。あるいは
中空加工物を加熱し融点以下で軟化させることでもこの
作業が容易になる。中空加工物1をフォーマー3上に被
せた後、この端部をダイ2のリップを通して突出させ、
これをクランプ5に固定して、延伸の準備が完了する。
【0022】クランプ5としては、機械式、油圧式、空
気圧式等の中空加工物把持機構を用いることができる。
このクランプ5がワイヤ、チェーン、ラックピニオン等
に媒介されモーターウインチ等の引張装置によって移動
される。なお、キャタピラ式(「CATERPILLA」は登録商
標)のパイプ等引取機を用いて連続的に引張力を中空加
工物に加えることでも延伸を実施できる。
【0023】延伸成形された管状体7を冷却する場合に
は、図1(b)に示す如く、冷却水槽8をダイ2の出口
部に配置して管状体7を水冷する。この冷却水槽8は、
対向する一対の側面に、管状体7通過用の孔8A,8B
が設けられ、この孔8A,8Bの周縁部にシール部材9
が設けられ、図示しない冷却水導入口及び排出口から冷
却水が循環される水槽であり、管状体7は、この水槽8
内を通過することで水冷される。
【0024】なお、この場合、冷却水槽8は、フォーマ
ー3上の中空加工物の一部を冷却できるような位置に設
けるのが好ましい。
【0025】このような冷却水槽8を設けて管状体7を
冷却することにより、周方向の過剰延伸を防止して、外
観、物性を向上させることができる。
【0026】中空加工物をその引張方向(長手方向ない
し軸方向)及び周方向(拡径方向)の双方に延伸するこ
とを特徴とする本発明を実施するには、最大横断面積が
該中空加工物の中空部の初期横断面積の9倍より大き
な、好ましくは、最大横断面積が中空加工物の中空部の
初期横断面積の10〜12倍のフォーマーを用い、かつ
このフォーマーを横断面が下流方向に増大するように配
置し、中空加工物を構成する結晶性熱可塑性樹脂の加工
温度での降伏歪み量よりも大きい歪みを与えられる応
力、すなわち降伏応力以上の応力を中空加工物に作用さ
せなければならない。実際には、ダイとフォーマー間に
形成される間隙の横断面積と加工温度、および予備実験
から得られる降伏応力の温度依存性から所要の引張張力
が決定される。ただし、与える引張張力の上限は中空加
工物の破壊張力より小さくなければならない。
【0027】本発明では、中空加工物に、これを構成す
る結晶性熱可塑性樹脂の加工温度での降伏歪み量の好ま
しくは2倍よりも大きい歪みを引張方向および周方向の
両方向に与えて、該中空加工物が前記フォーマーの最大
横断面積の90%、好ましくは80%の横断面積の位置
に到るまでの間にネッキングを起こさせて延伸し、得ら
れる樹脂管状体の肉厚を中空加工物の初期肉厚の25
%、好ましくは20%より小さく、特に好ましくは5〜
20%とする。このためには、加工温度、延伸速度およ
びダイとフォーマーの間隙の適当な組み合わせを予備実
験で決定する必要がある。加工温度は、中空加工物を構
成する結晶性熱可塑性樹脂の融点より10℃〜50℃低
い温度、望ましくは融点より10℃〜20℃低い温度が
適当である。
【0028】中空加工物が円筒形状の場合の軸方向(引
張方向)、および周方向の「変形歪み量」は以下の式で
計算される。すなわち、 εA =Lp/Li−1 εH =(ODp/ODi+IDp/IDi)/2 ただし、εA は軸方向の変形歪み量、Lpは延伸体のマ
ーク間距離、Liは中空加工物の延伸前マーク間距離、
εH は周方向の変形歪み量、ODpは延伸体の外径、O
Diは中空加工物の延伸前外径、IDpは延伸体の内
径、IDiは中空加工物の延伸前内径である。
【0029】本発明により製造された樹脂管状体は流体
輸送管、管状構造体、柱部材、あるいは輪切りにしてベ
ルト状部材として用いることができる。さらには、得ら
れた樹脂管状体をスリッティング、ローリングを経て板
材、シート部材、あるいはその優れたバリア性を利用し
た機能性膜としても使用することができる。
【0030】
【実施例】以下、具体的な実施例及び比較例を以て本発
明をより詳細に説明する。
【0031】なお、以下において、フォーマーの半頂角
とは、錐状フォーマーの中心軸方向に沿う縦断面におけ
る、中心軸と側周面との交叉角を示す。
【0032】実施例1 結晶性を有するエチレンコポリマー(日本ポリケム社の
市販品「ノバテックHD HF410」;密度:0.9
55g/cm3 、MFR:0.06g/10分、融点:
135℃)を押出機を用いて円筒形状に溶融押出し、真
空式外径サイジング装置で外径60mm、内径25m
m、長さ1.7mの円筒型中空加工物1を製造した(中
空部初期断面積:491mm2 )。この中空加工物の一
端を長さ200mmにわたって内径55mmに、さらに
半頂角約15°で内径25mmまで連続的に減少するよ
うに機械加工をおこなった。
【0033】加工した端部の内側に、半頂角15°、最
大外径85mmの円錐を接続した治具を挿入して、該端
部から約10cm程度を130℃に加熱し、中空加工物
の加工をしていない他端面に力を加えて推進することに
よって、内径81mm、長さ約150mmのノーズ(テ
ーパ状部分)を形成させた。
【0034】このノーズから円錐治具を取りはずした
後、120℃に保持できる電熱機構を設けた半頂角15
°、最大外径80mm(最大横断面積:5027mm2
=中空加工物の中空部の初期横断面積の10.2倍)の
円錐状フォーマー3を挿入して、下流側端部にテーパー
の無いダイ2(内径65mm)が設置されたオーブン4
中に入れ、前記ノーズを機械式クランプ5により把持
し、このクランプ5をウインチに連結した。
【0035】この状態で、120℃の熱平衡に達するま
で約3時間放置した後、速やかにフォーマー3を133
℃に加熱して延伸速度5mm/分で150mm程度延伸
させて中空加工物1の未加工部がフォーマー3の下流側
端部に達するまで延伸して停止させた。その後、フォー
マー3の温度を120℃に戻し、フォーマー3を上流側
へ約2mm程度押し込み、再び10mm程度延伸させて
停止させた。フォーマー3の下流側端部3aがダイ2端
部から38mmの位置(ダイ−フォーマー間隙:2.8
mm)になるまで、このフォーマー押し込み作業を繰り
返した。その後、ウインチの引張張力をモニターしなが
ら延伸速度10mm/分で延伸を再開し、張力が安定し
たのを確認後、延伸速度を50mm/分に上昇させて延
伸した。張力は増加後漸次減少しながら安定し、それに
伴いネッキングが現れ、ネッキングポイントを通過した
中空加工物が不透明から次第に半透明に変化するのが観
察された。ネッキングポイントは、10〜20mm程度
の幅があり、ネッキング開始位置はダイ2の端部に観察
された。この位置のフォーマー3の横断面積は2764
mm2 であり、これはフォーマー3の最大横断面積50
27mm2 の55%にあたる。
【0036】この条件で中空加工物1のすべてが延伸さ
れて、外径74.8mm、内径71.2mm、肉厚1.
8mmの半透明で光沢のある延伸エチレンコポリマー管
(管状体7)を得た。
【0037】この管の変形歪み量は、予め中空加工物に
マークした定間隔線から、軸方向2.3と算出された。
また円周方向の平均変形歪み量は1.0と算出された。
この実験に先立って実施した同材料の溶融プレスシート
の引張試験により120℃の降伏歪みは0.1であり、
したがって変形歪み量は降伏歪み量の2倍より大きいこ
とを確認した。また、得られた管の肉厚は中空加工物の
初期肉厚の10%であり、25%より小さいことを確認
した。
【0038】この管から、軸方向(引張方向)および円
周方向に幅15mm、長さ150mmの短冊を打ち抜
き、23℃にて24時間状態調節後、引張速度10mm
/分の引張試験により引張弾性率を測定した。その結
果、軸方向の弾性率は3.3GPa、円周方向の弾性率
は3.0GPaであった。比較のためこの材料を溶融プ
レス法で成形した2mm厚のシートの弾性率を同様の方
法で測定したところ1.0GPaであり、得られた延伸
管は軸方向と円周方向のいずれの方向にも強化された二
軸延伸体であることが確認された。特に、円周方向の弾
性率の強度割合は大きく、従来技術に比較して約20%
の向上効果が確認された。
【0039】同様の方法で取得した軸方向の試験片を8
0℃のオーブン中に1時間放置した。その後23℃にて
24時間状態調節後の弾性率を測定した。その結果、軸
方向弾性率の低下率は12%と小さかった。
【0040】実施例2 結晶性を有するプロピレンホモポリマー(日本ポリケム
社の市販品「ノバテックPP EA9」;密度:0.9
0g/cm3 、MFR:0.8g/10分、融点:16
3℃)を押出機を用いて円筒形状に溶融押出し、真空式
外径サイジング装置で外径60mm、内径25mm、長
さ1.7mの円筒型中空加工物1を製造した(中空部初
期断面積:491mm2 )。この中空加工物の一端を長
さ200mmにわたって内径55mmに、さらに半頂角
約15°で内径25mmまで連続的に減少するように機
械加工をおこなった。
【0041】加工した端部の内側に、半頂角15°、最
大外径90mmの円錐を接続した治具を挿入して、端部
から約10cm程度を160℃に加熱し、中空加工物の
加工をしていない端面に力を加えて推進することによっ
て、内径81mm、長さ約150mmのノーズを形成さ
せた。
【0042】このノーズから円錐治具を取りはずした
後、150℃に保持できる電熱機構を設けた半頂角15
°、最大外径80mm(最大横断面積:5027mm2
=中空加工物の中空部の初期横断面積の10.2倍)の
円錐状フォーマー3を挿入して、下流側端部にテーパー
の無いダイ2(内径65mm)が設置されたオーブン4
中に入れ、ノーズを機械式クランプ5により把持し、こ
のクランプ5をウインチに連結した。
【0043】この状態で、150℃の熱平衡に達するま
で約3時間放置した後、速やかにフォーマー3を162
℃に加熱して延伸速度5mm/分で150mm程度延伸
させて中空加工物1の未加工部がフォーマー3の下流側
端部に達するまで延伸して停止させた。更に、この状態
でフォーマー3を上流側へ約2mm程度押し込み、再び
10mm程度延伸させて停止させた。フォーマー下流側
端部3aがダイ端部から38mmの位置(ダイ−フォー
マー間隙:2.8mm)になるまで、このフォーマー押
し込み作業を繰り返した。その後、ウインチの引張張力
をモニターしながら延伸速度10mm/分で延伸を再開
し、張力が安定したのを確認後、延伸速度50mm/分
に上昇させて延伸した。張力は増加後漸次減少しながら
安定し、それに伴いネッキングが現れ、ネッキングポイ
ントを通過した中空加工物が次第に不透明から透明へ変
化するのが観察された。ネッキングはダイ出口で開始し
ているのが観察された。この位置のフォーマー3の横断
面積は2771mm2 であり、これはフォーマー3の最
大横断面積5027mm2 の55%にあたる。
【0044】この条件で中空加工物の実質上すべてが延
伸されて外径75.2mm、内径72.2mm、肉厚
1.5mmのほぼ透明な延伸プロピレンホモポリマー管
を得た。
【0045】この管の変形歪み量は予め中空加工物1に
マークした定間隔線から、軸方向2.4と算出された。
また円周方向の平均変形歪み量は1.0と算出された。
この実験に先立って実施した同材料の溶融プレスシート
の引張試験により150℃の降伏歪みは0.1であり、
したがって変形歪み量は降伏歪み量の2倍より大きいこ
とを確認した。また、得られた管の肉厚は中空加工物の
初期肉厚の8.6%であり、25%より小さいことを確
認した。
【0046】この管について、実施例1と同様にして引
張弾性率を測定したところ、軸方向の弾性率は3.8G
Pa、円周方向の弾性率は3.2GPaであった。この
材料を溶融プレス法で成形した2mm厚のシートの弾性
率を同様の方法で測定したところ1.2GPaであり、
得られた管は軸方向と円周方向のいずれの方向にも強化
された二軸延伸体であることが確認された。特に、円周
方向の弾性率の強度割合は大きく、従来技術に比較して
約20%の向上効果が確認された。
【0047】また、実施例1と同様にして加熱による軸
方向弾性率の低下率を求めたところ、8%と小さかっ
た。
【0048】実施例3 実施例1で用いたと同様のエチレンコポリマー製円筒型
中空加工物1を、実施例1と同様の手順で加工し、内径
85mm、長さ約100mmのノーズを形成させた。こ
のノーズから円錐治具を取りはずした後、120℃に保
持できる電熱機構を設けた半頂角25°、最大外径80
mm(最大横断面積:5027mm2 =中空加工物の中
空部の初期横断面積の10.2倍)の円錐状フォーマー
3を挿入して、下流側端部にテーパーの無いダイ2(内
径65mm)が設置されたオーブン4中に入れ、ノーズ
を機械式クランプ5により把持し、このクランプ5をウ
インチに連結した。
【0049】この状態で、120℃で熱平衡に達するま
で約3時間放置した後、延伸速度10mm/分で中空加
工物1の未加工部がフォーマー3の下流側端部に達する
まで延伸して停止させた。更に、この状態でフォーマー
を上流側へ約2mm程度押し込み、再び10mm程度延
伸させて停止させた。フォーマー下流側端部3aがダイ
端部から38mmの位置(ダイ−フォーマー間隙:2.
8mm)になるまで、このフォーマー押し込み作業を繰
り返した。その後、ウインチの引張張力をモニターしな
がら延伸速度10mm/分で延伸を再開し、約800m
m延伸して停止させた。ノーズをクランプからはずし、
管状体7を、長さ600mm、幅約400mm、深さ約
400mmの冷却水槽8の、シール部材9を施した孔8
A,8Bに通した。再度中空加工物1をクランプし、水
槽8に約6℃の冷水を循環させ、冷水がフォーマー3上
の中空加工物(延伸体)の一部を冷やせる位置に固定し
た。再び、ウインチの引張張力をモニターしながら延伸
速度10mm/分で延伸を再開し、張力が安定したのを
確認後、延伸速度50mm/分に上昇させて延伸した。
張力は増加後漸次減少しながら安定し、それに伴いネッ
キングが現れ、ネッキングポイントを通過した中空加工
物が次第に不透明から半透明へ変化するのが観察され
た。ネッキングはダイ出口で開始しているのが観察され
た。この位置のフォーマー3の横断面積は2771mm
2 であり、これはフォーマー3の最大横断面積5027
mm2 の55%にあたる。
【0050】この条件で中空加工物1の実質上すべてが
延伸されて、外径79.7mm、内径75.5mm、肉
厚2.1mmの半透明の延伸エチレンコポリマー管を得
た。
【0051】この管の変形歪み量は、予め中空加工物に
マークした定間隔線から、軸方向2.1と算出された。
また円周方向の平均変形歪み量は1.2と算出された。
この実験に先立って実施した同材料の溶融プレスシート
の120℃における降伏歪みは0.1であり、したがっ
て変形歪み量は降伏歪み量の2倍より大きいことを確認
した。また、得られた管の肉厚は中空加工物の初期肉厚
の12%であり、25%より小さいことを確認した。
【0052】この管について、実施例1と同様にして引
張弾性率を測定したところ、軸方向の弾性率は3.5G
Pa、円周方向の弾性率は3.2GPaであった。この
材料を溶融プレス法で成形した2mm厚のシートの弾性
率は1.0GPaであり、得られた管は軸方向と円周方
向のいずれの方向にも強化された二軸延伸体であること
が確認された。特に、円周方向の弾性率の強度割合は大
きく、従来技術に比較して約20%の向上効果が確認さ
れた。
【0053】また、実施例1と同様にして、加熱による
軸方向弾性率の低下率を求めたところ14%と小さかっ
た。
【0054】比較例1 実施例1で用いたと同様のエチレンコポリマーを押出機
を用いて円筒形状に溶融押出し、真空式外径サイジング
装置で外径60mm、内径30mm、長さ1.7mの円
筒型中空加工物1を製造した(中空部初期断面積:70
7mm2 )。この中空加工物の一端を長さ150mmに
わたって内径50mmに、さらに半頂角約15°で内径
30mmまで連続的に減少するように機械加工をおこな
った。
【0055】加工した端部の内側に、半頂角15°、最
大外径70mmの円錐を接続した治具を挿入して、該端
部から約5cm程度を120℃に加熱し、中空加工物の
加工をしていない他端面に力を加えて推進することによ
って、内径65mm、長さ約100mmのノーズ(テー
パ状部分)を形成させた。
【0056】このノーズから円錐治具を取りはずした
後、130℃に保持できる電熱機構を設けた半頂角15
°、最大外径62mm(最大横断面積:3019mm2
=中空加工物の中空部の初期横断面積の4.3倍)の円
錐状フォーマー3を挿入して、下流側端部にテーパーの
無いダイ2(内径65mm)が設置されたオーブン4中
に入れ、前記機械式ノーズをクランプ5により把持し、
このクランプ5をウインチに連結した。
【0057】この状態で、130℃の熱平衡に達するま
で約3時間放置した後、延伸速度10mm/分で中空加
工物1の未加工部がフォーマー3の下流側端部に達する
まで延伸して停止させた。更に、この状態でフォーマー
3を上流側へ約2mm程度押し込み、再び10mm程度
延伸させて停止させた。フォーマー3の下流側端部3a
がダイ2端部から15mmの位置(ダイ−フォーマー間
隙:5.5mm)になるまで、このフォーマー押し込み
作業を繰り返した。その後、ウインチの引張張力をモニ
ターしながら延伸速度5mm/分で延伸した。
【0058】この条件ではネッキング現象が現れず、管
の色も不透明なままであった。この条件で中空加工物1
の実質上すべてが延伸されて、外径58.2mm、内径
48.0mm、肉厚5.1mmの不透明白色の延伸エチ
レンコポリマー管を得た。
【0059】この管の変形歪み量は、予め中空加工物に
マークした定間隔線から、軸方向1.1と算出された。
また円周方向の平均変形歪み量は0.3と算出された。
この実験に先立って実施した同材料の溶融プレスシート
の130℃における降伏歪みは0.1であり、したがっ
て変形歪み量は降伏歪み量の2倍より大きいことを確認
した。また、得られた管の肉厚は中空加工物の初期肉厚
の34%であり、25%より大きいことを確認した。
【0060】この管について、実施例1と同様にして引
張弾性率を測定ところ、軸方向の弾性率は1.3GP
a、円周方向の弾性率は1.1GPaであった。この材
料を溶融プレス法で成形した2mm厚のシートの弾性率
は1.0GPaであり、得られた管は軸方向と円周方向
のいずれの方向にもわずかに強化された二軸延伸体であ
ることが確認された。
【0061】また、実施例1と同様にして加熱による軸
方向の弾性率の低下を調べたところ、弾性率は1.1G
Paとなり、延伸の効果はほとんど失われていた。
【0062】上記実施例1〜3及び比較例1の引張弾性
率及び加熱による弾性率の低下の測定結果及び得られた
管の外観の観察結果を、中空加工物の中空部の初期横断
面積に対するフォーマーの最大横断面積の倍率、ネッキ
ングポイントのフォーマーの横断面積の最大横断面積に
対する割合、及び、中空加工物の初期肉厚に対する得ら
れた管の肉厚の割合と共に、表1に示した。
【0063】比較例2 実施例1において、最大外径が70mmで、最大横断面
積が中空加工物の中空部の初期横断面積の7.8倍のフ
ォーマーを用い、フォーマー下流側端部の位置をダイ端
部から20mm(ダイ−フォーマー間隙:2.8mm)
としたこと以外は同様にして延伸を行い、結果を表1に
示した。
【0064】比較例3 実施例1において、フォーマー下流側端部の位置をダイ
端部から48mm(ダイ−フォーマー間隙:5.5m
m)としたこと以外は同様にして延伸を行い、結果を表
1に示した。
【0065】比較例4 実施例1において、フォーマー下流側端部の位置をダイ
端部から44mm(ダイ−フォーマー間隙:4.2m
m)とし、延伸温度を125℃としたこと以外は同様に
して延伸を行い、結果を表1に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹脂管状
体の製造方法によれば、外観が良好で、引張弾性率、と
りわけ周方向の引張弾性率が著しく高く、また、樹脂管
状体を構成する熱可塑性樹脂の融点より数10℃低く、
ガラス転移温度以上の温度条件に長時間保持したときの
弾性率の低下がきわめて小さい、物性及び寸法の安定性
に優れた樹脂管状体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に好適な延伸成形装置の模式的な
断面図である。
【図2】従来例で採用された延伸成形装置を示す模式的
な断面図である。
【符号の説明】
1,11 中空加工物 2,12 ダイ 3,13 フォーマー 4 オーブン 5 クランプ 6 シャフト 7,17 管状体 8 冷却水槽 9 シール部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延伸可能な結晶性熱可塑性樹脂からなる
    中空加工物をダイの入口側から供給し、該中空加工物の
    内部に配設した錐状フォーマーを通してダイの出口側へ
    送られた中空加工物に、該中空加工物に引張破壊を生じ
    させるには不十分であるが、固相で延伸変形させるには
    十分な引張応力を加えることにより、該中空加工物を延
    伸変形して得られる樹脂管状体をダイの出口側から回収
    する工程を含む、樹脂管状体の製造方法であって、 前記フォーマーの最大横断面積が該中空加工物の中空部
    の初期横断面積より大きく、該フォーマーは横断面が下
    流方向に増大するように配置されている樹脂管状体の製
    造方法において、 該フォーマーの最大横断面積は該中空加工物の中空部の
    初期横断面積の9倍よりも大きく、 該中空加工物に該結晶性熱可塑性樹脂の加工温度におけ
    る降伏歪み量よりも大きく破断歪み量よりも小さな歪み
    を前記引張方向および周方向の両方向に与え、該中空加
    工物が前記フォーマーの最大横断面積の90%の横断面
    積の位置に到るまでの間にネッキングを起こさせて該中
    空加工物を延伸し、 得られる樹脂管状体の肉厚を該中空加工物の初期肉厚の
    25%より小さくすることを特徴とする樹脂管状体の製
    造方法。
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