JPH1017476A - 敗血症用非経口製剤及びそれによる予防及び治療方法 - Google Patents
敗血症用非経口製剤及びそれによる予防及び治療方法Info
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- JPH1017476A JPH1017476A JP8188173A JP18817396A JPH1017476A JP H1017476 A JPH1017476 A JP H1017476A JP 8188173 A JP8188173 A JP 8188173A JP 18817396 A JP18817396 A JP 18817396A JP H1017476 A JPH1017476 A JP H1017476A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 静脈内投与が可能であり、医薬用途に用いる
ために十分な安全性を有し、現実に医薬として使用可能
な敗血症用非経口製剤及び新規な敗血症の予防及び治療
方法を提供する。 【解決手段】 リン脂質を懸濁させてなる製剤であっ
て、静脈内投与した場合に前記リン脂質が生体内でリポ
蛋白を動員して前記リポ蛋白がエンドトキシン及び/又
はエンドトキシン・リポ多糖体結合蛋白複合体を不活化
することを特徴とする敗血症用非経口製剤。
ために十分な安全性を有し、現実に医薬として使用可能
な敗血症用非経口製剤及び新規な敗血症の予防及び治療
方法を提供する。 【解決手段】 リン脂質を懸濁させてなる製剤であっ
て、静脈内投与した場合に前記リン脂質が生体内でリポ
蛋白を動員して前記リポ蛋白がエンドトキシン及び/又
はエンドトキシン・リポ多糖体結合蛋白複合体を不活化
することを特徴とする敗血症用非経口製剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、敗血症の予防及び
治療に用いられるリン脂質懸濁液からなる非経口製剤及
びそれによる予防及び治療方法に関するものである。
治療に用いられるリン脂質懸濁液からなる非経口製剤及
びそれによる予防及び治療方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】“生理活性脂質の生化学と応用”幸書
房、1993年発行第5章85頁〜119頁参照には、
リン脂質は、リン酸をモノエステルまたはジエステルの
形で含む複合脂質の一種であり、ホスホリッピドとホス
ホノリピドに分類されると記載されており、リン脂質は
生体において生体膜の構成成分であり、リン脂質の代謝
物よりなるプロスタグランジン類等の生理活性物質の前
駆体でもある。
房、1993年発行第5章85頁〜119頁参照には、
リン脂質は、リン酸をモノエステルまたはジエステルの
形で含む複合脂質の一種であり、ホスホリッピドとホス
ホノリピドに分類されると記載されており、リン脂質は
生体において生体膜の構成成分であり、リン脂質の代謝
物よりなるプロスタグランジン類等の生理活性物質の前
駆体でもある。
【0003】従来、ジアシル型リン脂質を主成分とする
レシチンは、数種の医薬品として使用されており、例え
ば、肺サーファクタントは呼吸窮迫症候群の治療のため
に、生理食塩水で懸濁されて気管内に投与され、ポリエ
ンホスファチジルコリンは経口投与のカプセル剤とし
て、慢性肝疾患における肝機能の改善、脂肪肝、高脂血
症の治療に用いられ、大豆レシチンは顆粒剤として高脂
血症に用いられている。その他、乳化剤として卵黄レシ
チンは脂肪乳剤に用いられることが報告されているが、
敗血症に対する医薬用途については、一切開示されてい
ない。
レシチンは、数種の医薬品として使用されており、例え
ば、肺サーファクタントは呼吸窮迫症候群の治療のため
に、生理食塩水で懸濁されて気管内に投与され、ポリエ
ンホスファチジルコリンは経口投与のカプセル剤とし
て、慢性肝疾患における肝機能の改善、脂肪肝、高脂血
症の治療に用いられ、大豆レシチンは顆粒剤として高脂
血症に用いられている。その他、乳化剤として卵黄レシ
チンは脂肪乳剤に用いられることが報告されているが、
敗血症に対する医薬用途については、一切開示されてい
ない。
【0004】特開昭59−44326号には、レシチン
及び/又はコレステロールを含有する医薬生成物を、そ
の表面活性剤層の作用により、微生物と細胞の接着レセ
プターとの接触による微生物の細胞吸着を妨げること、
及び吸着している微生物をはがす作用により、微生物の
毒素が細胞に到達することを防止し、微生物の増殖も中
断されることが開示されているが、微生物に起因するエ
ンドトキシンを不活化する効果は開示されていない。
及び/又はコレステロールを含有する医薬生成物を、そ
の表面活性剤層の作用により、微生物と細胞の接着レセ
プターとの接触による微生物の細胞吸着を妨げること、
及び吸着している微生物をはがす作用により、微生物の
毒素が細胞に到達することを防止し、微生物の増殖も中
断されることが開示されているが、微生物に起因するエ
ンドトキシンを不活化する効果は開示されていない。
【0005】特開平6−24973号には、中鎖脂肪酸
トリグリセライドを含有する脂肪乳剤の敗血症への医薬
用途が開示されており、該脂肪乳剤の乳化剤として卵黄
リン脂質及び/又は大豆リン脂質を用いることが記載さ
れているが、この方法は中鎖脂肪投与による敗血症への
投与である。通常知られている脂肪乳剤の調製は、複雑
な工程を必要とし、現在市販されている大豆油脂肪乳剤
は、血栓症のある患者、重篤な肝障害・血液凝固障害の
ある患者、高脂血症の患者、ケトーシスを伴った糖尿病
の患者には通常投与されず、投与するにしても、ゆっく
り投与する必要がある。敗血症患者は、肝障害、血管内
凝固の亢進あるいは、多臓器不全を併発している場合が
多く、脂肪乳剤を敗血症患者に用いることは、慎重に行
う必要があり、現実的ではない。
トリグリセライドを含有する脂肪乳剤の敗血症への医薬
用途が開示されており、該脂肪乳剤の乳化剤として卵黄
リン脂質及び/又は大豆リン脂質を用いることが記載さ
れているが、この方法は中鎖脂肪投与による敗血症への
投与である。通常知られている脂肪乳剤の調製は、複雑
な工程を必要とし、現在市販されている大豆油脂肪乳剤
は、血栓症のある患者、重篤な肝障害・血液凝固障害の
ある患者、高脂血症の患者、ケトーシスを伴った糖尿病
の患者には通常投与されず、投与するにしても、ゆっく
り投与する必要がある。敗血症患者は、肝障害、血管内
凝固の亢進あるいは、多臓器不全を併発している場合が
多く、脂肪乳剤を敗血症患者に用いることは、慎重に行
う必要があり、現実的ではない。
【0006】日外会誌第92回第12号1990年p1
678〜1684には、卵黄レシチンを乳化剤として用
いた10%大豆油脂肪乳剤(イントラリピッド)の大量
投与により、リポ蛋白X(Lp−X)が生成されること
が記載されている。しかし、これはLDL分画中のリポ
蛋白Xと呼ばれる異常リポ蛋白の増加であり、遠心分離
による分画ではLDL分画に現れるものにすぎない。こ
のリポ蛋白Xは電気泳動法による分析では、陰極側に泳
動されるものであり、Lp−Xがエンドトキシンを不活
化することは報告されていない。
678〜1684には、卵黄レシチンを乳化剤として用
いた10%大豆油脂肪乳剤(イントラリピッド)の大量
投与により、リポ蛋白X(Lp−X)が生成されること
が記載されている。しかし、これはLDL分画中のリポ
蛋白Xと呼ばれる異常リポ蛋白の増加であり、遠心分離
による分画ではLDL分画に現れるものにすぎない。こ
のリポ蛋白Xは電気泳動法による分析では、陰極側に泳
動されるものであり、Lp−Xがエンドトキシンを不活
化することは報告されていない。
【0007】特表平8−500117号には、敗血症の
原因と考えられているエンドトキシンによる毒性を軽減
するために(i)アポリポ蛋白でないペプチドおよび
(ii)エンドトキシンにより生じる毒性物質と会合する
脂質を含有する粒子を投与する方法が開示されている。
また、アポリポ蛋白でないペプチドを原料とし、ホスフ
ァチジルコリンとともに界面活性剤透析により作られる
ものを用いる方法、アポリポ蛋白でないペプチド又は脂
質のいずれかを投与した後、もう一方を投与する方法、
アポリポ蛋白の血中レベルの高い患者にエンドトキシン
が会合する脂質を投与する方法、高脂血症患者に脂質結
合性のあるペプチドを投与する方法等が記載されてい
る。
原因と考えられているエンドトキシンによる毒性を軽減
するために(i)アポリポ蛋白でないペプチドおよび
(ii)エンドトキシンにより生じる毒性物質と会合する
脂質を含有する粒子を投与する方法が開示されている。
また、アポリポ蛋白でないペプチドを原料とし、ホスフ
ァチジルコリンとともに界面活性剤透析により作られる
ものを用いる方法、アポリポ蛋白でないペプチド又は脂
質のいずれかを投与した後、もう一方を投与する方法、
アポリポ蛋白の血中レベルの高い患者にエンドトキシン
が会合する脂質を投与する方法、高脂血症患者に脂質結
合性のあるペプチドを投与する方法等が記載されてい
る。
【0008】これらの化合物の調製は技術的に容易では
なく、ペプチドを含有させることは薬理学的な効果は認
められるとしても、医薬品として開発するには、前記調
製の難しさを解決し、毒性を除去する必要がある。さら
に、アポリポ蛋白でないペプチド又は脂質を単独で用い
る方法は理論的には可能であるとしても、対象患者は限
定されてしまう。このように脂質についての検討も十分
でなく、対象患者も限定されており、まだまだ改良する
余地がある。
なく、ペプチドを含有させることは薬理学的な効果は認
められるとしても、医薬品として開発するには、前記調
製の難しさを解決し、毒性を除去する必要がある。さら
に、アポリポ蛋白でないペプチド又は脂質を単独で用い
る方法は理論的には可能であるとしても、対象患者は限
定されてしまう。このように脂質についての検討も十分
でなく、対象患者も限定されており、まだまだ改良する
余地がある。
【0009】Infect. Immun. vol. 61,1993年p
5140−5146には、エンドトキシンとヒトリポ蛋
白の相互作用は、エンドトキシンにより誘導されるヒト
単球の活性化およびサイトカイン(モノカイン)の放出
を抑制することが記載されている。LPS( lipopolys
accharide )は超遠心分離による分画でリポ蛋白分画お
よびアポリポ蛋白の分画に見られ、リポ蛋白によるエン
ドトキシンの不活化は、LDL(low density lipopr
otein )がHDL( high density lipoprotein )よ
り強く、VLDL(very low density lipoprotein
)はエンドトキシンを不活化しないこと、また脂質
は、必ずしも必要ではなく精製されたアポリポ蛋白A−
1(HDL分画に多く存在するアポリポ蛋白)は生理的
な脂質の非存在下でLPSの誘導するモノカインの放出
をHDLと同じ程度抑制することが見いだされたと記載
されている。
5140−5146には、エンドトキシンとヒトリポ蛋
白の相互作用は、エンドトキシンにより誘導されるヒト
単球の活性化およびサイトカイン(モノカイン)の放出
を抑制することが記載されている。LPS( lipopolys
accharide )は超遠心分離による分画でリポ蛋白分画お
よびアポリポ蛋白の分画に見られ、リポ蛋白によるエン
ドトキシンの不活化は、LDL(low density lipopr
otein )がHDL( high density lipoprotein )よ
り強く、VLDL(very low density lipoprotein
)はエンドトキシンを不活化しないこと、また脂質
は、必ずしも必要ではなく精製されたアポリポ蛋白A−
1(HDL分画に多く存在するアポリポ蛋白)は生理的
な脂質の非存在下でLPSの誘導するモノカインの放出
をHDLと同じ程度抑制することが見いだされたと記載
されている。
【0010】LDLを精製するためには、超遠心分離等
の煩雑な製造工程が必要であり、医薬として大量に作り
だすことは現実性がなく、ヒト血漿からLDLを分離す
ることは、その原料に起因するウイルスの混入が考えら
れ、ヒト以外の動物からのものであっても異種蛋白によ
る抗原性の問題や狂牛病の原因と考えられているプリオ
ン等の伝搬も考えられ好ましいものではない。さらに、
LDL分画に存在するアポリポ蛋白分画のアポリポ蛋白
Bは、界面活性剤の非存在下では水に溶解しないため使
用不可能であり、LDLを用いたエンドトキシンの不活
化の試みは上記理由により困難であった。
の煩雑な製造工程が必要であり、医薬として大量に作り
だすことは現実性がなく、ヒト血漿からLDLを分離す
ることは、その原料に起因するウイルスの混入が考えら
れ、ヒト以外の動物からのものであっても異種蛋白によ
る抗原性の問題や狂牛病の原因と考えられているプリオ
ン等の伝搬も考えられ好ましいものではない。さらに、
LDL分画に存在するアポリポ蛋白分画のアポリポ蛋白
Bは、界面活性剤の非存在下では水に溶解しないため使
用不可能であり、LDLを用いたエンドトキシンの不活
化の試みは上記理由により困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術のリポ蛋白を製剤に用いる際の問題を解消するため
に創案されたものであり、その目的は静脈内投与が可能
であり、医薬用途に用いるために十分な安全性を有し、
現実に医薬として使用可能な敗血症用非経口製剤及び新
規な敗血症の予防及び治療方法を提供することにある。
技術のリポ蛋白を製剤に用いる際の問題を解消するため
に創案されたものであり、その目的は静脈内投与が可能
であり、医薬用途に用いるために十分な安全性を有し、
現実に医薬として使用可能な敗血症用非経口製剤及び新
規な敗血症の予防及び治療方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するために、エンドトキシン及び/又はエンドトキシ
ン・リポ多糖体結合蛋白複合体をリポ蛋白が不活化する
ことに注目し、特に製剤の調製が容易で大量生産が可能
であり、ウイルス等の感染のない完全でかつ安価な医薬
組成物を鋭意研究した結果、生体内でLDL等のリポ蛋
白を生成させることが可能な物質を探し出すことができ
れば、エンドトキシン及び/又はエンドトキシン・リポ
多糖体結合蛋白複合体を不活化でき、かつ医薬組成物と
して利用できるであろうという結論に達し、本発明の完
成に至った。
成するために、エンドトキシン及び/又はエンドトキシ
ン・リポ多糖体結合蛋白複合体をリポ蛋白が不活化する
ことに注目し、特に製剤の調製が容易で大量生産が可能
であり、ウイルス等の感染のない完全でかつ安価な医薬
組成物を鋭意研究した結果、生体内でLDL等のリポ蛋
白を生成させることが可能な物質を探し出すことができ
れば、エンドトキシン及び/又はエンドトキシン・リポ
多糖体結合蛋白複合体を不活化でき、かつ医薬組成物と
して利用できるであろうという結論に達し、本発明の完
成に至った。
【0013】即ち、本発明はリン脂質を懸濁させてなる
製剤であって、静脈内投与した場合に前記リン脂質が生
体内でリポ蛋白を動員して前記リポ蛋白がエンドトキシ
ン及び/又はエンドトキシン・リポ多糖体結合蛋白複合
体を不活化することを特徴とする敗血症用非経口製剤で
ある。
製剤であって、静脈内投与した場合に前記リン脂質が生
体内でリポ蛋白を動員して前記リポ蛋白がエンドトキシ
ン及び/又はエンドトキシン・リポ多糖体結合蛋白複合
体を不活化することを特徴とする敗血症用非経口製剤で
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で用いるリン脂質は、医薬
用途で静脈内投与可能なリン脂質であればいかなるもの
も使用することができ、例えば、肺サーファクタント、
ポリエンホスファチジルコリン、大豆レシチン、卵黄レ
シチン、合成レシチン等が例示される。本発明で用いる
リン脂質は、卵黄レシチン、大豆レシチン、及び合成レ
シチンから選択された少なくとも1種が好ましく、さら
には現在脂肪乳剤の乳化剤として使用されており、その
生体への安全性が確認されている卵黄レシチン及び/又
は大豆レシチンが最も好ましい。
用途で静脈内投与可能なリン脂質であればいかなるもの
も使用することができ、例えば、肺サーファクタント、
ポリエンホスファチジルコリン、大豆レシチン、卵黄レ
シチン、合成レシチン等が例示される。本発明で用いる
リン脂質は、卵黄レシチン、大豆レシチン、及び合成レ
シチンから選択された少なくとも1種が好ましく、さら
には現在脂肪乳剤の乳化剤として使用されており、その
生体への安全性が確認されている卵黄レシチン及び/又
は大豆レシチンが最も好ましい。
【0015】本発明におけるリン脂質の懸濁方法は当業
者に公知の方法をすべて利用することができ、例えば超
音波処理、高圧噴射型乳化機、ホモジナイザー等のいず
れの方法でも調製することができる。本発明ではリン脂
質を水溶液中に加え、ホモジナイザーで懸濁し、更に超
音波乳化機及び/又は高圧噴射型乳化機で希望の粒子型
になるように調製する。
者に公知の方法をすべて利用することができ、例えば超
音波処理、高圧噴射型乳化機、ホモジナイザー等のいず
れの方法でも調製することができる。本発明ではリン脂
質を水溶液中に加え、ホモジナイザーで懸濁し、更に超
音波乳化機及び/又は高圧噴射型乳化機で希望の粒子型
になるように調製する。
【0016】懸濁液におけるリン脂質の濃度は、調製可
能な濃度であれば特に限定されないが、0.01〜15
重量%であることが好ましい。濃度が15%を越える
と、均質な粒子径の懸濁液の調製は難しく、静脈内投与
が困難な粘度になり、濃度が0.01%未満では、治療
効果が不十分であるため好ましくない。リン脂質を他の
栄養組成物と混合して用いる場合、総投与液量を考慮し
て、あらかじめ混合又は併用することができる。
能な濃度であれば特に限定されないが、0.01〜15
重量%であることが好ましい。濃度が15%を越える
と、均質な粒子径の懸濁液の調製は難しく、静脈内投与
が困難な粘度になり、濃度が0.01%未満では、治療
効果が不十分であるため好ましくない。リン脂質を他の
栄養組成物と混合して用いる場合、総投与液量を考慮し
て、あらかじめ混合又は併用することができる。
【0017】本発明のリン脂質懸濁液の粒子径は、調製
可能な粒子径であれば特に限定されないが、懸濁液の安
定性の点から、粒子径が400nm以下のものが好まし
く、特に200nm以下のものが好ましい。
可能な粒子径であれば特に限定されないが、懸濁液の安
定性の点から、粒子径が400nm以下のものが好まし
く、特に200nm以下のものが好ましい。
【0018】本発明のリン脂質懸濁液は、単独あるいは
栄養組成物と混合して投与することができる。混合して
用いられる栄養組成物は、通常当業者が用いるものであ
ればどのような組成のものでもよいが、好ましくは、ア
ミノ酸、糖、電解質、ビタミンから選択された少なくと
も1種の栄養組成物であり、リン脂質懸濁液はあらかじ
め栄養組成物と混合あるいは同時に投与することができ
る。本発明のリン脂質懸濁液は、肝障害を合併した敗血
症患者に対しても中性脂肪は含んでいないことから投与
可能である。また、本発明で得られた懸濁液を凍結乾燥
することもでき、必要時に生理的食塩水、注射用水など
に溶解して用いることもできる。さらに本発明はリン脂
質のリポソーム製剤等の剤型にして使用することもでき
る。
栄養組成物と混合して投与することができる。混合して
用いられる栄養組成物は、通常当業者が用いるものであ
ればどのような組成のものでもよいが、好ましくは、ア
ミノ酸、糖、電解質、ビタミンから選択された少なくと
も1種の栄養組成物であり、リン脂質懸濁液はあらかじ
め栄養組成物と混合あるいは同時に投与することができ
る。本発明のリン脂質懸濁液は、肝障害を合併した敗血
症患者に対しても中性脂肪は含んでいないことから投与
可能である。また、本発明で得られた懸濁液を凍結乾燥
することもでき、必要時に生理的食塩水、注射用水など
に溶解して用いることもできる。さらに本発明はリン脂
質のリポソーム製剤等の剤型にして使用することもでき
る。
【0019】本発明が予防及び治療を対象とする敗血症
とは、細菌の循環系への侵入による全身感染症のことで
あり、グラム陽性菌、グラム陰性菌のいずれの細菌に起
因するものも包含し、特にグラム陰性菌によるエンドト
キシン血症による重篤な症状、敗血症ショックおよび多
臓器不全を合併した敗血症性多臓器不全におけるエンド
トキシン血症を含むものである。このような敗血症の患
者にエンドトキシン及び/又はエンドトキシン・リポ多
糖体結合蛋白複合体を不活化する目的で本発明のリン脂
質の懸濁液を投与することによって、敗血症時の菌血症
を改善し、あるいはエンドトキシンによる単球及びマク
ロファージの活性化を阻害し、モノカイン、サイトカイ
ン等の誘導による全身の炎症性反応やフリーラジカルに
よる組織障害等が原因と考えられている敗血症ショック
や蛋白分解酵素エラスターゼによる組織障害等を抑制す
ることができる。エンドトキシンが主因となる敗血症性
多臓器不全の防止も可能であり、本発明の方法は極めて
有用な予防及び治療法である。
とは、細菌の循環系への侵入による全身感染症のことで
あり、グラム陽性菌、グラム陰性菌のいずれの細菌に起
因するものも包含し、特にグラム陰性菌によるエンドト
キシン血症による重篤な症状、敗血症ショックおよび多
臓器不全を合併した敗血症性多臓器不全におけるエンド
トキシン血症を含むものである。このような敗血症の患
者にエンドトキシン及び/又はエンドトキシン・リポ多
糖体結合蛋白複合体を不活化する目的で本発明のリン脂
質の懸濁液を投与することによって、敗血症時の菌血症
を改善し、あるいはエンドトキシンによる単球及びマク
ロファージの活性化を阻害し、モノカイン、サイトカイ
ン等の誘導による全身の炎症性反応やフリーラジカルに
よる組織障害等が原因と考えられている敗血症ショック
や蛋白分解酵素エラスターゼによる組織障害等を抑制す
ることができる。エンドトキシンが主因となる敗血症性
多臓器不全の防止も可能であり、本発明の方法は極めて
有用な予防及び治療法である。
【0020】本発明において動員されるリポ蛋白とは、
異常リポ蛋白X(Lp−X)でないリポ蛋白であり、電
気泳動法によるコレステロール分画でHDL、VLD
L、LDLおよびカイロミクロンに該当するものであ
る。ここで、リポ蛋白Xとは、胆汁うっ滞症における患
者血漿中に見られ、 Seidel らにより命名された異常リ
ポ蛋白(lipoprotein-X :Lp−X)であり、臨床上胆
汁うっ滞の指標として重要視され、電気泳動法において
陰極側に泳動される特徴を有するものである(臨床検査
Vol. 29,No. 11,p1383−1386,198
5)。本発明ではHDLおよびLDL分画のリポ蛋白が
動員されることが好ましく、特にLDL分画が動員され
ることが特徴である。生体内で動員された該リポ蛋白
は、エンドトキシン及び/又はエンドトキシン・リポ多
糖体結合蛋白複合体を不活化する効果を有する。
異常リポ蛋白X(Lp−X)でないリポ蛋白であり、電
気泳動法によるコレステロール分画でHDL、VLD
L、LDLおよびカイロミクロンに該当するものであ
る。ここで、リポ蛋白Xとは、胆汁うっ滞症における患
者血漿中に見られ、 Seidel らにより命名された異常リ
ポ蛋白(lipoprotein-X :Lp−X)であり、臨床上胆
汁うっ滞の指標として重要視され、電気泳動法において
陰極側に泳動される特徴を有するものである(臨床検査
Vol. 29,No. 11,p1383−1386,198
5)。本発明ではHDLおよびLDL分画のリポ蛋白が
動員されることが好ましく、特にLDL分画が動員され
ることが特徴である。生体内で動員された該リポ蛋白
は、エンドトキシン及び/又はエンドトキシン・リポ多
糖体結合蛋白複合体を不活化する効果を有する。
【0021】本発明におけるエンドトキシンの不活化と
は、エンドトキシンによる敗血症の症状をリン脂質の非
経口投与により抑制することであり、エンドトキシンに
起因する敗血症により生じる死亡、組織障害、ショック
状態に陥ることを防止することを言う。エンドトキシン
・リポ多糖体結合蛋白複合体とは、エンドトキシンとリ
ポ多糖結合蛋白が結合したものを言い、エンドトキシン
は、該複合体を形成し、マクロファージの活性化を著し
く増強することが知られている。また、該リポ多糖結合
蛋白はエンドトキシンと特異的に結合する蛋白として広
く知られており、エンドトキシンと結合することは公知
の事実である。
は、エンドトキシンによる敗血症の症状をリン脂質の非
経口投与により抑制することであり、エンドトキシンに
起因する敗血症により生じる死亡、組織障害、ショック
状態に陥ることを防止することを言う。エンドトキシン
・リポ多糖体結合蛋白複合体とは、エンドトキシンとリ
ポ多糖結合蛋白が結合したものを言い、エンドトキシン
は、該複合体を形成し、マクロファージの活性化を著し
く増強することが知られている。また、該リポ多糖結合
蛋白はエンドトキシンと特異的に結合する蛋白として広
く知られており、エンドトキシンと結合することは公知
の事実である。
【0022】本発明は、リン脂質投与によりリポ蛋白X
(Lp−X)以外のリポ蛋白が動員されることに特徴が
あるが、この作用に限定されるものではない。本発明の
リン脂質懸濁液を投与することにより敗血症モデルの死
亡率は著しく改善されており、単なるリン脂質における
リポ蛋白の動員だけではなく、リン脂質の直接作用も包
含しており、敗血症へのリン脂質の予防及び治療効果の
全てについて応用されるものである。
(Lp−X)以外のリポ蛋白が動員されることに特徴が
あるが、この作用に限定されるものではない。本発明の
リン脂質懸濁液を投与することにより敗血症モデルの死
亡率は著しく改善されており、単なるリン脂質における
リポ蛋白の動員だけではなく、リン脂質の直接作用も包
含しており、敗血症へのリン脂質の予防及び治療効果の
全てについて応用されるものである。
【0023】
【実施例】本発明を以下の実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものでない。
るが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【0024】懸濁例 1 リン脂質として卵黄レシチン12gを約90℃のグリセ
リン水溶液950mlに混合し、ホモジナイザーで約5
分間予備懸濁後、高圧噴射型乳化機で懸濁液の粒子径が
均質な懸濁液を得た。これを注射用水で1000mlに
調製した後、121℃で10分間滅菌し、リン脂質懸濁
液を製造した。該懸濁液の組成は懸濁液100ml中、
卵黄レシチン(卵黄リン脂質)1.2g、グリセリン
2.25gを含んでおり、熱量は19.8kcal/1
00mlであった。該懸濁液の平均粒子径は149nm
であった。
リン水溶液950mlに混合し、ホモジナイザーで約5
分間予備懸濁後、高圧噴射型乳化機で懸濁液の粒子径が
均質な懸濁液を得た。これを注射用水で1000mlに
調製した後、121℃で10分間滅菌し、リン脂質懸濁
液を製造した。該懸濁液の組成は懸濁液100ml中、
卵黄レシチン(卵黄リン脂質)1.2g、グリセリン
2.25gを含んでおり、熱量は19.8kcal/1
00mlであった。該懸濁液の平均粒子径は149nm
であった。
【0025】懸濁例 2 リン脂質として卵黄レシチン6,12及び24g、大豆
レシチン3及び8gをそれぞれ約70℃の5%ブドウ糖
水溶液180mlに混合し、ホモジナイザーで10〜2
0分間予備懸濁後、その液を窒素気流下、氷冷しながら
超音波乳化機で懸濁液の粒子径が均質な懸濁液を得た。
これを、注射用水で200mlに調製した後、加圧蒸気
滅菌し、卵黄レシチンとして3.0,6.0及び12.
0%、大豆レシチンとして1.5及び4.0%のリン脂
質懸濁液を製造した。
レシチン3及び8gをそれぞれ約70℃の5%ブドウ糖
水溶液180mlに混合し、ホモジナイザーで10〜2
0分間予備懸濁後、その液を窒素気流下、氷冷しながら
超音波乳化機で懸濁液の粒子径が均質な懸濁液を得た。
これを、注射用水で200mlに調製した後、加圧蒸気
滅菌し、卵黄レシチンとして3.0,6.0及び12.
0%、大豆レシチンとして1.5及び4.0%のリン脂
質懸濁液を製造した。
【0026】実施例 1 Wistar 系雄性ラット10週齢を3日間絶食させ、常法
に従い、中心静脈カテーテルを頚静脈内に留置し、TP
N施行可能な動物モデルを作成した。懸濁例1で調製し
たリン脂質懸濁液をこのラット4例に投与して、薬効の
確認を行った。懸濁例1の懸濁液を1日目33ml/k
g、2日目66ml/kg、3日目100ml/kg、
4日目100ml/kg、5日目100ml/kg投与
した。栄養補給のため、同時に50%ブドウ糖製剤、1
2%アミノ酸製剤、電解質および総合ビタミン製剤を使
用してTPNの栄養補給用製剤を調製し、5日間栄養補
給した。E. coli 由来のリポ多糖体(LPS,エンドト
キシン)を、4日目に中心静脈カテーテルより0.8m
g/kg投与し、敗血症モデルを作成し、5日目に解剖
した。観察項目は、死亡率(5日目まで)、血液生化学
(血小板数、GOT、GPT、BUN)、肝臓組織中の
細菌コロニー数である。
に従い、中心静脈カテーテルを頚静脈内に留置し、TP
N施行可能な動物モデルを作成した。懸濁例1で調製し
たリン脂質懸濁液をこのラット4例に投与して、薬効の
確認を行った。懸濁例1の懸濁液を1日目33ml/k
g、2日目66ml/kg、3日目100ml/kg、
4日目100ml/kg、5日目100ml/kg投与
した。栄養補給のため、同時に50%ブドウ糖製剤、1
2%アミノ酸製剤、電解質および総合ビタミン製剤を使
用してTPNの栄養補給用製剤を調製し、5日間栄養補
給した。E. coli 由来のリポ多糖体(LPS,エンドト
キシン)を、4日目に中心静脈カテーテルより0.8m
g/kg投与し、敗血症モデルを作成し、5日目に解剖
した。観察項目は、死亡率(5日目まで)、血液生化学
(血小板数、GOT、GPT、BUN)、肝臓組織中の
細菌コロニー数である。
【0027】比較例 1 懸濁例1で調整した懸濁液の代わりに、ブドウ糖製剤の
量を増やして投与した以外は実施例1と全く同様にして
実施した。なおブドウ糖の増加分は実施例1の懸濁液と
同じカロリー量を有するようにした。
量を増やして投与した以外は実施例1と全く同様にして
実施した。なおブドウ糖の増加分は実施例1の懸濁液と
同じカロリー量を有するようにした。
【0028】実施例1及び比較例1についての観察項目
の結果を下記表1及び表2に示す。
の結果を下記表1及び表2に示す。
【表1】
【0029】表1から明らかなように、比較例1ではラ
ットの死亡率は50%と高かったが、実施例1では0%
であった。また、実施例1は比較例1に比べて血小板数
の減少、GOT・GPTの増加及びBUNの増加を抑制
し、敗血症による多臓器不全を有意に防止していること
が認められた。また、肝臓の細菌コロニー数の結果から
実施例1は比較例1に比べて Bacterial Translocatio
n を顕著に抑制していることが認められた。
ットの死亡率は50%と高かったが、実施例1では0%
であった。また、実施例1は比較例1に比べて血小板数
の減少、GOT・GPTの増加及びBUNの増加を抑制
し、敗血症による多臓器不全を有意に防止していること
が認められた。また、肝臓の細菌コロニー数の結果から
実施例1は比較例1に比べて Bacterial Translocatio
n を顕著に抑制していることが認められた。
【0030】実施例 2 Wistar 系雄性ラット10週齢を常法に従い、中心静脈
カテーテルを頚静脈内に留置した。このラットに懸濁例
1のリン脂質懸濁液を100ml/kg/日の割合で3
日間連続して投与した。3日間の投与終了後に血清中の
コレステロール分画リポ蛋白を測定した。
カテーテルを頚静脈内に留置した。このラットに懸濁例
1のリン脂質懸濁液を100ml/kg/日の割合で3
日間連続して投与した。3日間の投与終了後に血清中の
コレステロール分画リポ蛋白を測定した。
【0031】比較例 2 実施例2と同様に作成したラットに10%ダイズ油脂肪
乳剤を100ml/kg/日の割合で3日間連続して投
与した。3日間の投与終了後に血清中のコレステロール
分画のリポ蛋白を測定した。
乳剤を100ml/kg/日の割合で3日間連続して投
与した。3日間の投与終了後に血清中のコレステロール
分画のリポ蛋白を測定した。
【0032】対照例 1 Wistar 系雄性ラット10週齢を自由摂餌摂水し、血清
中のコレステロール分画中のリポ蛋白を測定した。
中のコレステロール分画中のリポ蛋白を測定した。
【0033】実施例2、比較例2及び対照例1の測定結
果を表2に示す。
果を表2に示す。
【表2】
【0034】表2から明らかなように、実施例2は比較
例2及び対照例1に比べて、β リポタンパク(LD
L:low density lipoprotein )及び原点(カイロミ
クロン)の分画値の顕著な増加が認められた。しかし、
リポ蛋白Xは認められなかった。
例2及び対照例1に比べて、β リポタンパク(LD
L:low density lipoprotein )及び原点(カイロミ
クロン)の分画値の顕著な増加が認められた。しかし、
リポ蛋白Xは認められなかった。
【0035】実施例 3〜6 Wistar 系雄性ラット10週齢を常法に従い、中心静脈
カテーテルを頚静脈内に留置した。このラットに懸濁例
2で作成した3.0%卵黄レシチン懸濁液、6.0%卵
黄レシチン懸濁液、1.5%大豆レシチン懸濁液、4.
0%大豆レシチン懸濁液をそれぞれリン脂質量として
5.0g/kg,15.0g/kg,2.4g/kg,
3.2g/kgの割合で20時間連続して投与し、投与
終了後に血清中のコレステロール分画のリポ蛋白を測定
した。
カテーテルを頚静脈内に留置した。このラットに懸濁例
2で作成した3.0%卵黄レシチン懸濁液、6.0%卵
黄レシチン懸濁液、1.5%大豆レシチン懸濁液、4.
0%大豆レシチン懸濁液をそれぞれリン脂質量として
5.0g/kg,15.0g/kg,2.4g/kg,
3.2g/kgの割合で20時間連続して投与し、投与
終了後に血清中のコレステロール分画のリポ蛋白を測定
した。
【0036】対照例 2 Wistar 系雄性ラット10週齢を自由摂餌摂水し、血清
中のコレステロール分画中のリポ蛋白を測定した。
中のコレステロール分画中のリポ蛋白を測定した。
【0037】実施例3〜6、及び対照例2の測定結果を
表3に示す。
表3に示す。
【表3】
【0038】表3から明らかなように、全ての実施例は
対照例2に比べて、リポ蛋白値の顕著な増加が認められ
た。しかし、リポ蛋白Xは認められなかった。
対照例2に比べて、リポ蛋白値の顕著な増加が認められ
た。しかし、リポ蛋白Xは認められなかった。
【0039】実施例 7〜9 Wistar 系雄性ラット10週齢を常法に従い、中心静脈
カテーテルを頚静脈内に留置した。このラットに懸濁例
2で作成した3.0%卵黄レシチン懸濁液、12.0%
卵黄レシチン懸濁液、4.0%大豆レシチン懸濁液をそ
れぞれリン脂質量として3.0g/kg,12.0g/
kg,4.0g/kgの割合で24時間連続して投与し
た。その後、E. coli 由来のリポ多糖体(LPS,エン
ドトキシン)を、中心静脈カテーテルより1.0mg/
kg投与し、投与終了後10時間目の血清中のGOT及
びGPTを測定した。
カテーテルを頚静脈内に留置した。このラットに懸濁例
2で作成した3.0%卵黄レシチン懸濁液、12.0%
卵黄レシチン懸濁液、4.0%大豆レシチン懸濁液をそ
れぞれリン脂質量として3.0g/kg,12.0g/
kg,4.0g/kgの割合で24時間連続して投与し
た。その後、E. coli 由来のリポ多糖体(LPS,エン
ドトキシン)を、中心静脈カテーテルより1.0mg/
kg投与し、投与終了後10時間目の血清中のGOT及
びGPTを測定した。
【0040】比較例 3 実施例7〜9の試験液を投与する代わりに同液量の生理
食塩水を投与した以外、実施例7〜9と全く同様に実施
した。
食塩水を投与した以外、実施例7〜9と全く同様に実施
した。
【0041】実施例7〜9及び比較例3の測定結果を表
4に示す。
4に示す。
【表4】
【0042】表4から明らかなように、全ての実施例は
比較例3に比べて、GOT及びGPTの値が顕著に低い
ことが認められる。
比較例3に比べて、GOT及びGPTの値が顕著に低い
ことが認められる。
【0043】実施例 10 Wistar 系雄性ラット10週齢を常法に従い、中心静脈
カテーテルを頚静脈内に留置した。このラットにリポ多
糖体(LPS,エンドトキシン)を、中心静脈カテーテ
ルより1.0mg/kg投与し、エンドトキシン投与3
時間後に、懸濁例1のリン脂質懸濁液を流速10ml/
kg/hrで10時間投与し、懸濁液投与前、懸濁液投
与5時間後、10時間後、24時間後、48時間後にそ
れぞれヘパリン採血し、血漿を得た。血漿エンドトキシ
ンの測定は、ヘパリン血漿を界面活性剤含有のエンドト
キシン検体前処理液で10倍希釈し、リムルス試薬(E
S−II テストワコー)と反応させ、比濁時間分析法
(トキシノメータ ET−301)を用いて測定した。
カテーテルを頚静脈内に留置した。このラットにリポ多
糖体(LPS,エンドトキシン)を、中心静脈カテーテ
ルより1.0mg/kg投与し、エンドトキシン投与3
時間後に、懸濁例1のリン脂質懸濁液を流速10ml/
kg/hrで10時間投与し、懸濁液投与前、懸濁液投
与5時間後、10時間後、24時間後、48時間後にそ
れぞれヘパリン採血し、血漿を得た。血漿エンドトキシ
ンの測定は、ヘパリン血漿を界面活性剤含有のエンドト
キシン検体前処理液で10倍希釈し、リムルス試薬(E
S−II テストワコー)と反応させ、比濁時間分析法
(トキシノメータ ET−301)を用いて測定した。
【0044】比較例 4 実施例10の懸濁液を投与する代わりに同液量の生理食
塩水を投与した以外、実施例10と全く同様に実施し
た。
塩水を投与した以外、実施例10と全く同様に実施し
た。
【0045】図1から明らかなように、実施例10は比
較例4に比べて、試験液投与により血漿エンドトキシン
活性を著しく低い値にした。
較例4に比べて、試験液投与により血漿エンドトキシン
活性を著しく低い値にした。
【0046】
【発明の効果】本発明は、リン脂質の懸濁液を敗血症の
予防及び治療に用いることができ、敗血症の発症を予防
したり、また敗血症病態(多臓器不全等)を著しく軽減
する効果を有する。また、本発明は従来公知の製剤と比
べて非常に簡単に調製が可能であり、従来知られている
大豆油脂肪乳剤の大量投与により動員された異常リポ蛋
白ではなく、明らかに予防及び治療効果の高いリポ蛋白
を動員する非経口製剤である。さらに、本発明は今まで
の脂肪乳剤にあった肝臓・腎臓への負担も少なく、副作
用の少ない非常に優れた非経口製剤である。
予防及び治療に用いることができ、敗血症の発症を予防
したり、また敗血症病態(多臓器不全等)を著しく軽減
する効果を有する。また、本発明は従来公知の製剤と比
べて非常に簡単に調製が可能であり、従来知られている
大豆油脂肪乳剤の大量投与により動員された異常リポ蛋
白ではなく、明らかに予防及び治療効果の高いリポ蛋白
を動員する非経口製剤である。さらに、本発明は今まで
の脂肪乳剤にあった肝臓・腎臓への負担も少なく、副作
用の少ない非常に優れた非経口製剤である。
【0047】また、本発明の非経口製剤は栄養補給に用
いられる栄養組成物と配合及び混合しても安定であるた
め、栄養剤の投与ルートから投与でき、脂肪乳剤等の乳
化剤として、その他の医薬品としても用いることができ
る非常に安全性が高い製剤である。直接リポ蛋白である
LDL等を投与することは、その調製に超遠心機が必要
となり、また原料の血液由来のウイルス感染の危険性も
あり実際的でない。しかし、本発明の非経口製剤は、ウ
イルス感染の危険もなく、加熱滅菌に安定であり、容易
にその濃度を調節でき、医薬品として安価に大量生産が
可能である。
いられる栄養組成物と配合及び混合しても安定であるた
め、栄養剤の投与ルートから投与でき、脂肪乳剤等の乳
化剤として、その他の医薬品としても用いることができ
る非常に安全性が高い製剤である。直接リポ蛋白である
LDL等を投与することは、その調製に超遠心機が必要
となり、また原料の血液由来のウイルス感染の危険性も
あり実際的でない。しかし、本発明の非経口製剤は、ウ
イルス感染の危険もなく、加熱滅菌に安定であり、容易
にその濃度を調節でき、医薬品として安価に大量生産が
可能である。
【図1】実施例10及び比較例4の血漿エンドトキシン
活性の推移を示したものである。
活性の推移を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07F 9/10 C07F 9/10 B //(A61K 31/66 31:195) (A61K 31/66 31:70) (A61K 31/66 33:00)
Claims (7)
- 【請求項1】 リン脂質を懸濁させてなる製剤であっ
て、静脈内投与した場合に前記リン脂質が生体内でリポ
蛋白を動員して前記リポ蛋白がエンドトキシン及び/又
はエンドトキシン・リポ多糖体結合蛋白複合体を不活化
することを特徴とする敗血症用非経口製剤。 - 【請求項2】 動員されるリポ蛋白がリポ蛋白X(lipo
protein-X :Lp−X)以外のリポ蛋白であることを特
徴とする請求項1記載の敗血症用非経口製剤。 - 【請求項3】 リン脂質が卵黄レシチン、大豆レシチ
ン、及び合成レシチンから選択された少なくとも1種で
あることを特徴とする請求項1又は2記載の敗血症用非
経口製剤。 - 【請求項4】 リン脂質が卵黄レシチン及び/又は大豆
レシチンであることを特徴とする請求項3記載の敗血症
用非経口製剤。 - 【請求項5】 リン脂質濃度が0.01〜15%である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の敗血症
用非経口製剤。 - 【請求項6】 アミノ酸、糖、及び電解質から選択され
た少なくとも一つの栄養組成物を含有することを特徴と
する請求項1〜5のいずれか記載の敗血症用非経口製
剤。 - 【請求項7】 請求項1〜6記載の製剤を静脈内投与
し、エンドトキシン及び/又はエンドトキシン・リポ多
糖体結合蛋白複合体を不活化することを特徴とする敗血
症の予防及び治療方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8188173A JPH1017476A (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 敗血症用非経口製剤及びそれによる予防及び治療方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8188173A JPH1017476A (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 敗血症用非経口製剤及びそれによる予防及び治療方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1017476A true JPH1017476A (ja) | 1998-01-20 |
Family
ID=16219044
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8188173A Pending JPH1017476A (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 敗血症用非経口製剤及びそれによる予防及び治療方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1017476A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000034226A (ja) * | 1998-05-15 | 2000-02-02 | Warner Lambert Co | 安定化された4―アミノ―3―置換―ブタン酸誘導体含有製剤およびその製造法 |
JP2009506120A (ja) * | 2005-08-29 | 2009-02-12 | セプシキュア、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー | グラム陽性菌によって引き起こされる状態の治療又は予防方法 |
WO2009090970A1 (ja) * | 2008-01-15 | 2009-07-23 | Snow Brand Milk Products Co., Ltd. | 肝機能保護剤 |
-
1996
- 1996-06-28 JP JP8188173A patent/JPH1017476A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000034226A (ja) * | 1998-05-15 | 2000-02-02 | Warner Lambert Co | 安定化された4―アミノ―3―置換―ブタン酸誘導体含有製剤およびその製造法 |
JP4612923B2 (ja) * | 1998-05-15 | 2011-01-12 | ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー | 安定化された4−アミノ−3−置換−ブタン酸誘導体含有製剤およびその製造法 |
JP2009506120A (ja) * | 2005-08-29 | 2009-02-12 | セプシキュア、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー | グラム陽性菌によって引き起こされる状態の治療又は予防方法 |
KR101413361B1 (ko) * | 2005-08-29 | 2014-06-27 | 셉시큐어,엘.엘.씨. | 그람-양성 박테리아에 의해 유발되는 질병의 치료 또는예방 방법 |
WO2009090970A1 (ja) * | 2008-01-15 | 2009-07-23 | Snow Brand Milk Products Co., Ltd. | 肝機能保護剤 |
JP2009167646A (ja) * | 2008-01-15 | 2009-07-30 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 肝機能保護剤 |
US8921342B2 (en) | 2008-01-15 | 2014-12-30 | Megmilk Snow Brand Co., Ltd. | Liver function-protecting agent |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060606 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061006 |