JPH10170277A - 圧電振動角速度計の検出回路 - Google Patents
圧電振動角速度計の検出回路Info
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- JPH10170277A JPH10170277A JP8335255A JP33525596A JPH10170277A JP H10170277 A JPH10170277 A JP H10170277A JP 8335255 A JP8335255 A JP 8335255A JP 33525596 A JP33525596 A JP 33525596A JP H10170277 A JPH10170277 A JP H10170277A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 振動子個体間の特性のばらつきや外部環境変
化等の影響を受けにくく、より正確な回転角速度の検出
が可能な圧電振動回転角速度計の検出回路を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 二つの検出用電極からの出力を差動回路
に入力し、同一位相の励振信号分を相殺して90度位相
の相違するコリオリ力成分を抽出するのではなく、一の
検出用電極からの検出出力のみを使用して無回転時の励
振信号成分をPLL回路、バンドパスフィルタ回路、自
動振幅調整回路から再生する。この再生信号と検出用電
極からの検出信号とを差動回路に入力して同一位相の励
振信号成分を相殺し、励振信号と90度位相の相違する
コリオリ信号成分のみを抽出する。
化等の影響を受けにくく、より正確な回転角速度の検出
が可能な圧電振動回転角速度計の検出回路を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 二つの検出用電極からの出力を差動回路
に入力し、同一位相の励振信号分を相殺して90度位相
の相違するコリオリ力成分を抽出するのではなく、一の
検出用電極からの検出出力のみを使用して無回転時の励
振信号成分をPLL回路、バンドパスフィルタ回路、自
動振幅調整回路から再生する。この再生信号と検出用電
極からの検出信号とを差動回路に入力して同一位相の励
振信号成分を相殺し、励振信号と90度位相の相違する
コリオリ信号成分のみを抽出する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回転角速度を検出す
る圧電振動角速度計の検出回路に関する。
る圧電振動角速度計の検出回路に関する。
【0002】
【従来の技術】図4に、従来より実施されている圧電振
動角速度計の検出回路の構成図を示す。この検出回路4
は例えば直方体状の圧電体より構成される振動子100
の検出用電極103からの出力信号を測定するために用
いられる。
動角速度計の検出回路の構成図を示す。この検出回路4
は例えば直方体状の圧電体より構成される振動子100
の検出用電極103からの出力信号を測定するために用
いられる。
【0003】この振動子100は回転中心1の方向に伸
びる駆動用の圧電体100−1と、検出用の圧電体10
0−2と、前記二つの圧電体100−1,100−2の
間に形成されたアース電極104と、駆動用圧電体10
0−1の外部下側面に形成された励振用電極101と、
検出用圧電体100−2の外部上側面に回転中心1の方
向に左右2つに分割されて形成された検出用電極103
L,103Rと、この二つの検出用電極間の中央を前記
二つの検出用電極と平行に伸びて形成された帰還用電極
102とから構成されている。
びる駆動用の圧電体100−1と、検出用の圧電体10
0−2と、前記二つの圧電体100−1,100−2の
間に形成されたアース電極104と、駆動用圧電体10
0−1の外部下側面に形成された励振用電極101と、
検出用圧電体100−2の外部上側面に回転中心1の方
向に左右2つに分割されて形成された検出用電極103
L,103Rと、この二つの検出用電極間の中央を前記
二つの検出用電極と平行に伸びて形成された帰還用電極
102とから構成されている。
【0004】駆動用圧電体100−1の外部下側面に形
成された励振用電極101と、検出用圧電体100−2
の外部上側面に形成された帰還用電極102との間には
振動子100を励振駆動するための自励振駆動回路30
0が接続され、また検出用圧電体100−2の外部上側
面に形成された2つの検出用電極103L、103Rは
それぞれ差動回路200の反転(−)入力端子、非反転
(+)入力端子に接続され、差動回路200によって2
つの検出用電極103L、103Rからの出力差が検出
されるように構成されている。
成された励振用電極101と、検出用圧電体100−2
の外部上側面に形成された帰還用電極102との間には
振動子100を励振駆動するための自励振駆動回路30
0が接続され、また検出用圧電体100−2の外部上側
面に形成された2つの検出用電極103L、103Rは
それぞれ差動回路200の反転(−)入力端子、非反転
(+)入力端子に接続され、差動回路200によって2
つの検出用電極103L、103Rからの出力差が検出
されるように構成されている。
【0005】差動回路200の出力は同期検波回路40
0に入力されて検波される。差動回路200の出力は振
動子の無回転時には原理的に0であるが、振動子100
の回転時においては同相分の励振信号が相殺されて、逆
相分の交流コリオリ信号のみとなる。検波はこのコリオ
リ信号位相に同期して行なうことができるように、同期
スイッチング信号が位相調整回路500から同期検波回
路400に入力されている。位相調整回路500は自励
振駆動回路300に接続されており、励振信号の位相を
およそ90度ずらしてコリオリ信号位相と同位相のスイ
ッチング信号を生成するための回路である。同期検波回
路400の出力は平滑回路600に入力され、リップル
の少ない直流信号に変換される。
0に入力されて検波される。差動回路200の出力は振
動子の無回転時には原理的に0であるが、振動子100
の回転時においては同相分の励振信号が相殺されて、逆
相分の交流コリオリ信号のみとなる。検波はこのコリオ
リ信号位相に同期して行なうことができるように、同期
スイッチング信号が位相調整回路500から同期検波回
路400に入力されている。位相調整回路500は自励
振駆動回路300に接続されており、励振信号の位相を
およそ90度ずらしてコリオリ信号位相と同位相のスイ
ッチング信号を生成するための回路である。同期検波回
路400の出力は平滑回路600に入力され、リップル
の少ない直流信号に変換される。
【0006】このような従来の検出回路4は無回転時に
は以下のように動作する。自励振駆動回路300により
駆動用圧電体100−1の機械的な共振周波数の交流電
圧(励振信号)を励振用電極101に印加することで、
振動子100は励振方向(振動子100の上下方向、図
4内においてvで示される方向)に励振(屈曲)させら
れる。この振動に伴った機械的な共振周波数の信号が、
検出用圧電体100−2の外部上側面に形成された検出
用電極103R、103Lから検出されるが、このとき
の検出信号は検出用電極103R,103Lにおいて、
振幅、位相ともに同一であり原理的に差動回路200の
出力は0となる。従って、同期検波回路400の出力も
0となり、平滑回路600の出力も0となっている。
は以下のように動作する。自励振駆動回路300により
駆動用圧電体100−1の機械的な共振周波数の交流電
圧(励振信号)を励振用電極101に印加することで、
振動子100は励振方向(振動子100の上下方向、図
4内においてvで示される方向)に励振(屈曲)させら
れる。この振動に伴った機械的な共振周波数の信号が、
検出用圧電体100−2の外部上側面に形成された検出
用電極103R、103Lから検出されるが、このとき
の検出信号は検出用電極103R,103Lにおいて、
振幅、位相ともに同一であり原理的に差動回路200の
出力は0となる。従って、同期検波回路400の出力も
0となり、平滑回路600の出力も0となっている。
【0007】振動子100が回転中心1を中心に回転す
ると、振動子100の励振方向v及び振動子100の回
転中心1とは直角の方向(図1の図面上における左右方
向)にコリオリの力Fcが加わり、振動子100は無回
転時の励振方向から左右の方向に少しずれて振動するこ
とになる。このずれた分が二つの検出用電極103R、
103Lからコリオリ信号として検出される。
ると、振動子100の励振方向v及び振動子100の回
転中心1とは直角の方向(図1の図面上における左右方
向)にコリオリの力Fcが加わり、振動子100は無回
転時の励振方向から左右の方向に少しずれて振動するこ
とになる。このずれた分が二つの検出用電極103R、
103Lからコリオリ信号として検出される。
【0008】ところで、回転中心1に対して二つの検出
用電極103L,103Rは左右対称であり、一方の電
極側が伸びるときには他方の電極側が縮小し圧電横効果
により互いに相反する分極電荷が検出用電極103L、
103Rに誘起される。従って、左右二つの検出用電極
103L、103Rから検出されるコリオリ信号は振幅
が同一で互いに逆位相の機械的な共振周波数での交流信
号となる。
用電極103L,103Rは左右対称であり、一方の電
極側が伸びるときには他方の電極側が縮小し圧電横効果
により互いに相反する分極電荷が検出用電極103L、
103Rに誘起される。従って、左右二つの検出用電極
103L、103Rから検出されるコリオリ信号は振幅
が同一で互いに逆位相の機械的な共振周波数での交流信
号となる。
【0009】また、原理的には励振信号に対して二つの
検出用電極103L、103Rからのコリオリ信号は一
方は90度進み位相で、他方は90度遅れ位相である。
よって、回転の角速度Ωが一定の場合には差動回路20
0の出力にはコリオリ信号が励振信号に対して90度の
位相差をもって、回転角速度に比例した振幅値で出力さ
れる。この出力を平滑回路600で平滑し測定すること
によって、回転角速度Ωを検出することができる。
検出用電極103L、103Rからのコリオリ信号は一
方は90度進み位相で、他方は90度遅れ位相である。
よって、回転の角速度Ωが一定の場合には差動回路20
0の出力にはコリオリ信号が励振信号に対して90度の
位相差をもって、回転角速度に比例した振幅値で出力さ
れる。この出力を平滑回路600で平滑し測定すること
によって、回転角速度Ωを検出することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の圧電
振動角速度計の検出回路4は、外部環境や振動子100
を形成する圧電体の経時変化等によって無回転時におい
て差動回路200の出力が0とならず、誤差信号が生じ
てしまった場合であっても、コリオリ信号はこのような
誤差信号に対しておよそ90度の位相差をもって出力さ
れているので、このコリオリ信号の位相に同期して検波
することにより差動回路出力後の誤差信号は正の部分と
負の部分が常に対称になるように整流することができ
る。従って、この誤差信号は平滑回路600によって相
殺されることになり、正確な回転角速度測定への影響を
軽減できるという利点を有するものであった。
振動角速度計の検出回路4は、外部環境や振動子100
を形成する圧電体の経時変化等によって無回転時におい
て差動回路200の出力が0とならず、誤差信号が生じ
てしまった場合であっても、コリオリ信号はこのような
誤差信号に対しておよそ90度の位相差をもって出力さ
れているので、このコリオリ信号の位相に同期して検波
することにより差動回路出力後の誤差信号は正の部分と
負の部分が常に対称になるように整流することができ
る。従って、この誤差信号は平滑回路600によって相
殺されることになり、正確な回転角速度測定への影響を
軽減できるという利点を有するものであった。
【0011】しかしながら、振動子100を形成する圧
電体の個体間の特性のばらつき、経時変化及び外部環境
の変化に伴う静電容量の変化等により検出電極103
R、103Lから発生する帰還された励振信号の振幅及
び位相が現実には必ずしも同一とはならないため、無回
転時における両者の誤差信号がコリオリ信号位相と正確
には90度の位相差を持たないこともあり、同期検波回
路400及び平滑回路600を通過しても誤差信号が完
全には相殺されない場合が生じうる。そのため、より正
確な回転角速度Ωの測定ができないことがあった。
電体の個体間の特性のばらつき、経時変化及び外部環境
の変化に伴う静電容量の変化等により検出電極103
R、103Lから発生する帰還された励振信号の振幅及
び位相が現実には必ずしも同一とはならないため、無回
転時における両者の誤差信号がコリオリ信号位相と正確
には90度の位相差を持たないこともあり、同期検波回
路400及び平滑回路600を通過しても誤差信号が完
全には相殺されない場合が生じうる。そのため、より正
確な回転角速度Ωの測定ができないことがあった。
【0012】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであり、振動子個体間の特性のばらつきや外部環
境変化等の影響を受けにくく、より正確な回転角速度の
検出が可能な圧電振動角速度計の検出回路を提供すると
ともに、量産が可能で安価に提供でき、しかも小型の振
動子を用いた圧電振動角速度計に適した検出回路を提供
することを目的とするものである。
たものであり、振動子個体間の特性のばらつきや外部環
境変化等の影響を受けにくく、より正確な回転角速度の
検出が可能な圧電振動角速度計の検出回路を提供すると
ともに、量産が可能で安価に提供でき、しかも小型の振
動子を用いた圧電振動角速度計に適した検出回路を提供
することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、本発明に使用される圧電振動角速度計用の振動子
は回転中心方向に長尺状に伸びた圧電体と、この圧電体
の回転中心方向に伸びた側面上に形成された複数の電極
とを有して構成される。特に圧電体が直方体状であり、
前記複数の電極が回転中心方向に伸びた側面のうち上下
方向に相対する2側面上に形成されている振動子である
ことが望ましい。また、振動子の励振を確実とするため
圧電体内部において前記上下方向に相対する2側面と平
行にアース電極面を形成し、圧電体を前記上下方向に2
つに分割しそれぞれ駆動用圧電体、検出用圧電体として
構成することが最適である。
めに、本発明に使用される圧電振動角速度計用の振動子
は回転中心方向に長尺状に伸びた圧電体と、この圧電体
の回転中心方向に伸びた側面上に形成された複数の電極
とを有して構成される。特に圧電体が直方体状であり、
前記複数の電極が回転中心方向に伸びた側面のうち上下
方向に相対する2側面上に形成されている振動子である
ことが望ましい。また、振動子の励振を確実とするため
圧電体内部において前記上下方向に相対する2側面と平
行にアース電極面を形成し、圧電体を前記上下方向に2
つに分割しそれぞれ駆動用圧電体、検出用圧電体として
構成することが最適である。
【0014】本発明に係る圧電振動角速度計の角速度検
出回路は上記振動子に形成された複数の電極のうち少な
くとも二つの電極間に接続され、励振信号に同期して振
動子を励振駆動させる自励振駆動回路と、複数の電極の
うちいずれか一の電極に接続され、その電極からの検出
出力に追従して同一位相の矩形波を生成するPLL回路
と、この矩形波と同一位相でかつ基本周波数の正弦波を
抽出するバンドパスフィルタ回路と、このバンドパスフ
ィルタ回路から前記基本周波数の正弦波を検出出力と同
一振幅の再生正弦波に補整する振幅調整回路と、前記検
出出力と再生正弦波との出力差を検出する差動回路と、
前記矩形波と90度位相の異なるスイッチング信号を生
成する位相調整回路と、差動回路の出力をスイッチング
信号に同期して検波する同期検波回路と、同期検波回路
の出力を平滑化する平滑回路とから構成されている。
出回路は上記振動子に形成された複数の電極のうち少な
くとも二つの電極間に接続され、励振信号に同期して振
動子を励振駆動させる自励振駆動回路と、複数の電極の
うちいずれか一の電極に接続され、その電極からの検出
出力に追従して同一位相の矩形波を生成するPLL回路
と、この矩形波と同一位相でかつ基本周波数の正弦波を
抽出するバンドパスフィルタ回路と、このバンドパスフ
ィルタ回路から前記基本周波数の正弦波を検出出力と同
一振幅の再生正弦波に補整する振幅調整回路と、前記検
出出力と再生正弦波との出力差を検出する差動回路と、
前記矩形波と90度位相の異なるスイッチング信号を生
成する位相調整回路と、差動回路の出力をスイッチング
信号に同期して検波する同期検波回路と、同期検波回路
の出力を平滑化する平滑回路とから構成されている。
【0015】このように構成された圧電振動角速度計の
検出回路では、従来のように二つの検出用電極からの出
力を同時に差動回路に入力し、同一位相の励振信号分を
相殺して90度位相の相違するコリオリ力成分のみを抽
出するのではなく、一の検出用電極からの検出出力とこ
の検出出力より再生される励振信号と同一位相の正弦波
とをPLL回路の追従遅れを利用しながら差動回路で比
較し、その差をとることによってコリオリ信号を検出す
る。すなわち、一の検出用電極からの出力のみを使用し
てコリオリ信号を抽出するため、圧電体の個体間のばら
つき、経時変化及び外部環境の変化に伴う静電容量の変
化等が生じても無回転時の誤差信号が差動回路より出力
されることが少なく、より正確な角速度の検出が可能と
なる。
検出回路では、従来のように二つの検出用電極からの出
力を同時に差動回路に入力し、同一位相の励振信号分を
相殺して90度位相の相違するコリオリ力成分のみを抽
出するのではなく、一の検出用電極からの検出出力とこ
の検出出力より再生される励振信号と同一位相の正弦波
とをPLL回路の追従遅れを利用しながら差動回路で比
較し、その差をとることによってコリオリ信号を検出す
る。すなわち、一の検出用電極からの出力のみを使用し
てコリオリ信号を抽出するため、圧電体の個体間のばら
つき、経時変化及び外部環境の変化に伴う静電容量の変
化等が生じても無回転時の誤差信号が差動回路より出力
されることが少なく、より正確な角速度の検出が可能と
なる。
【0016】また、コリオリ信号は励振信号と明確に9
0度の位相差をもっており、同期検波回路においてはこ
のコリオリ信号と同位相のスイッチング信号に同期して
検波を行うことから差動回路出力のコリオリ信号が10
0%検波されることになる。たとえ励振信号の位相が変
化してもコリオリ信号はこの位相変化した励振信号に対
しても必ず90度の位相差をもって出力されるので、検
波の効率を常に100%とすることができる。
0度の位相差をもっており、同期検波回路においてはこ
のコリオリ信号と同位相のスイッチング信号に同期して
検波を行うことから差動回路出力のコリオリ信号が10
0%検波されることになる。たとえ励振信号の位相が変
化してもコリオリ信号はこの位相変化した励振信号に対
しても必ず90度の位相差をもって出力されるので、検
波の効率を常に100%とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明の実施の
形態を説明する。図1は本発明の実施例に使用する振動
子の基本構成を示すものである。圧電材料からなる振動
子10は全体として直方体状をしており、回転中心1の
方向に長尺状に形成されている。振動子10は励振方向
(図面上、vの方向)に対して圧電材料の2層積層構造
とされ、上下の圧電体10−1,10−2の結合面には
結合面全体に広がるアース電極14が形成されている。
形態を説明する。図1は本発明の実施例に使用する振動
子の基本構成を示すものである。圧電材料からなる振動
子10は全体として直方体状をしており、回転中心1の
方向に長尺状に形成されている。振動子10は励振方向
(図面上、vの方向)に対して圧電材料の2層積層構造
とされ、上下の圧電体10−1,10−2の結合面には
結合面全体に広がるアース電極14が形成されている。
【0018】駆動用となる圧電体10−1にはアース電
極14と相対する外部側面に励振用電極11が側面全面
に形成されており、検出用となる圧電体10−2にはア
ース電極14と相対する外部側面に帰還用電極12と検
出用電極13L、13Rが形成されている。検出用電極
13L、13Rは回転中心1に対して左右対称にかつ回
転中心1の方向に伸びて形成されており、帰還用電極1
2は二つの検出用電極13R、13Lの中央をこれと平
行に延びて形成されている。なお、振動子10の回転中
心1に垂直な断面は励振方向(v方向)とコリオリ力の
生じる方向の機械的な共振周波数foを一致させるため
にほぼ正方形に形成されている。
極14と相対する外部側面に励振用電極11が側面全面
に形成されており、検出用となる圧電体10−2にはア
ース電極14と相対する外部側面に帰還用電極12と検
出用電極13L、13Rが形成されている。検出用電極
13L、13Rは回転中心1に対して左右対称にかつ回
転中心1の方向に伸びて形成されており、帰還用電極1
2は二つの検出用電極13R、13Lの中央をこれと平
行に延びて形成されている。なお、振動子10の回転中
心1に垂直な断面は励振方向(v方向)とコリオリ力の
生じる方向の機械的な共振周波数foを一致させるため
にほぼ正方形に形成されている。
【0019】図2は以上説明した振動子10を使用した
本発明に係る圧電振動角速度計の検出回路2の構成図で
ある。帰還用電極12に自励振駆動回路30の入力端が
接続され、励振用電極11に自励振駆動回路30の出力
端が接続されている。この自励振駆動回路30は振動子
10を励振し、機械的振動を与えるための交流電圧を供
給する回路であり、ゲインをかけるための増幅器と不要
なスプリアス発振を防止するためのループフィルタ(共
に図示せず)を有して構成されている。
本発明に係る圧電振動角速度計の検出回路2の構成図で
ある。帰還用電極12に自励振駆動回路30の入力端が
接続され、励振用電極11に自励振駆動回路30の出力
端が接続されている。この自励振駆動回路30は振動子
10を励振し、機械的振動を与えるための交流電圧を供
給する回路であり、ゲインをかけるための増幅器と不要
なスプリアス発振を防止するためのループフィルタ(共
に図示せず)を有して構成されている。
【0020】この自励振駆動回路30は電源の投入によ
り発振条件を満足して、振動子10の機械的な共振周波
数fo付近の交流電圧を発生させるが、帰還用電極12
から正弦波出力を帰還させることにより基本モード以外
の不要な振動モードが前記のループフィルタにより除去
され振動子10を機械的な共振周波数付近の基本モード
で励振駆動できるように構成されている。さらに回転中
心1に垂直な断面をほぼ正方形としてコリオリ力の作用
する左右方向(図1のFc方向)の共振周波数と励振方
向vの共振周波数の整合がとられているため、コリオリ
力による振動も共振状態とすることができ、コリオリ検
出感度の向上が図られている。
り発振条件を満足して、振動子10の機械的な共振周波
数fo付近の交流電圧を発生させるが、帰還用電極12
から正弦波出力を帰還させることにより基本モード以外
の不要な振動モードが前記のループフィルタにより除去
され振動子10を機械的な共振周波数付近の基本モード
で励振駆動できるように構成されている。さらに回転中
心1に垂直な断面をほぼ正方形としてコリオリ力の作用
する左右方向(図1のFc方向)の共振周波数と励振方
向vの共振周波数の整合がとられているため、コリオリ
力による振動も共振状態とすることができ、コリオリ検
出感度の向上が図られている。
【0021】二つの検出用電極13L、13Rのうち一
方の検出用電極(図2では13Rを使用している)が差
動回路20のいずれか一方の入力端子(図2では反転入
力端子)とPLL回路21の入力端子に接続される。二
つの検出用電極13L、13Rは、それぞれの電極から
検出されるコリオリ信号の位相が反対になるだけであ
り、原理的にどちらでもほぼ同一の信号が検出される。
従って、どちらを使用してもよく、どちらを使用するか
は自由である。
方の検出用電極(図2では13Rを使用している)が差
動回路20のいずれか一方の入力端子(図2では反転入
力端子)とPLL回路21の入力端子に接続される。二
つの検出用電極13L、13Rは、それぞれの電極から
検出されるコリオリ信号の位相が反対になるだけであ
り、原理的にどちらでもほぼ同一の信号が検出される。
従って、どちらを使用してもよく、どちらを使用するか
は自由である。
【0022】PLL回路21には一の検出用電極13R
からの検出出力が入力されるが、この検出出力は振動子
10を構成する圧電体自体の濾過作用により励振信号が
たとえ矩形波、三角波等であっても正弦波になる(図3
(a)(1))。従って振動子10の無回転時には励振信号
と同位相の正弦波(以後、これを帰還正弦波と呼ぶ)と
なっており、回転中心1の廻りに回転が加わったときに
はコリオリ力のために振幅及び位相のずれた同一周波数
の正弦波となる(図3(b)(1))。PLL回路21は振
動子10の無回転時においてはこの励振信号と同位相の
帰還正弦波に追従し、これと同位相の矩形波を出力して
いる(図3(a)(2))。そして、振動子10が回転し入
力正弦波信号に位相変化が生じたときにはその入力正弦
波との位相差が0になるように常に出力を制御してい
る。
からの検出出力が入力されるが、この検出出力は振動子
10を構成する圧電体自体の濾過作用により励振信号が
たとえ矩形波、三角波等であっても正弦波になる(図3
(a)(1))。従って振動子10の無回転時には励振信号
と同位相の正弦波(以後、これを帰還正弦波と呼ぶ)と
なっており、回転中心1の廻りに回転が加わったときに
はコリオリ力のために振幅及び位相のずれた同一周波数
の正弦波となる(図3(b)(1))。PLL回路21は振
動子10の無回転時においてはこの励振信号と同位相の
帰還正弦波に追従し、これと同位相の矩形波を出力して
いる(図3(a)(2))。そして、振動子10が回転し入
力正弦波信号に位相変化が生じたときにはその入力正弦
波との位相差が0になるように常に出力を制御してい
る。
【0023】PLL回路21の出力はバンドパスフィル
タ回路22に接続されている。バンドパスフィルタ回路
22はPLL回路21の矩形波出力から高調波の成分を
除去し基本周波数成分のみを抽出することにより検出用
電極13Rからの励振信号出力と同位相の正弦波を出力
する。この出力は振幅調整回路(以下、AGC回路とい
う)23に入力される。
タ回路22に接続されている。バンドパスフィルタ回路
22はPLL回路21の矩形波出力から高調波の成分を
除去し基本周波数成分のみを抽出することにより検出用
電極13Rからの励振信号出力と同位相の正弦波を出力
する。この出力は振幅調整回路(以下、AGC回路とい
う)23に入力される。
【0024】AGC回路23は前記検出用電極13Rか
らの検出出力の振幅とバンドパスフィルタ回路22の出
力正弦波の振幅を同一にするための回路である。このた
めAGC回路23には検出用電極13Rから直接振幅モ
ニタ信号として検出出力(無回転時には帰還正弦波)が
入力されており、この検出出力の振幅と同一振幅の正弦
波が生成される。特に振動子10が無回転時における帰
還正弦波と同一の正弦波を仮に再生正弦波と呼ぶ(図3
(a)(3))。この再生正弦波は前記検出用電極13Rか
らの出力が入力されている差動回路20の反転(−)入
力端子と異なる他の非反転(+)入力端子に入力され
る。
らの検出出力の振幅とバンドパスフィルタ回路22の出
力正弦波の振幅を同一にするための回路である。このた
めAGC回路23には検出用電極13Rから直接振幅モ
ニタ信号として検出出力(無回転時には帰還正弦波)が
入力されており、この検出出力の振幅と同一振幅の正弦
波が生成される。特に振動子10が無回転時における帰
還正弦波と同一の正弦波を仮に再生正弦波と呼ぶ(図3
(a)(3))。この再生正弦波は前記検出用電極13Rか
らの出力が入力されている差動回路20の反転(−)入
力端子と異なる他の非反転(+)入力端子に入力され
る。
【0025】差動回路20は検出用電極13Rの出力と
再生正弦波の出力差を検出する。振動子10が無回転の
ときは検出用電極13Rの出力は帰還正弦波であり、こ
れは再生正弦波と位相振幅とも同一であるため、通常、
差動回路20の出力は0となっている(図3(a)(4))
が振動子10が回転するとコリオリ力が発生し交流コリ
オリ信号が生じる。差動回路20の出力は同期検波回路
40に入力されて検波される。検波は差動回路20の出
力信号である交流コリオリ信号位相に同期して行われる
が、この同期信号として位相調整回路50からスイッチ
ング信号が同期検波回路40に入力されている。
再生正弦波の出力差を検出する。振動子10が無回転の
ときは検出用電極13Rの出力は帰還正弦波であり、こ
れは再生正弦波と位相振幅とも同一であるため、通常、
差動回路20の出力は0となっている(図3(a)(4))
が振動子10が回転するとコリオリ力が発生し交流コリ
オリ信号が生じる。差動回路20の出力は同期検波回路
40に入力されて検波される。検波は差動回路20の出
力信号である交流コリオリ信号位相に同期して行われる
が、この同期信号として位相調整回路50からスイッチ
ング信号が同期検波回路40に入力されている。
【0026】位相調整回路50はPLL回路21の矩形
波出力の位相をほぼ90度ずらし、振動子の回転時に検
出される交流コリオリ信号位相に一致したスイッチング
信号(図3(a)(5))を生成するための回路である。そ
して、この同期検波回路40により検波された出力を平
滑回路60に入力することにより、差動回路20の交流
出力をリップルの少ない直流出力に変換し、振動子10
の回転角速度Ωに比例したアナログ出力を得る。
波出力の位相をほぼ90度ずらし、振動子の回転時に検
出される交流コリオリ信号位相に一致したスイッチング
信号(図3(a)(5))を生成するための回路である。そ
して、この同期検波回路40により検波された出力を平
滑回路60に入力することにより、差動回路20の交流
出力をリップルの少ない直流出力に変換し、振動子10
の回転角速度Ωに比例したアナログ出力を得る。
【0027】以上のように構成された圧電振動角速度計
の検出回路2の動作を図面を参照しながら説明する。振
動子10に回転が加わっていない場合において自励振駆
動回路30から振動子10に励振信号として正弦波交流
電圧が印加されたとき、自励振用電極11とアース電極
14との間に交番電界がかかり、両電極に挟まれた駆動
用圧電体10−1は圧電逆効果により回転中心1の方向
に伸縮する。一方、検出用圧電体10−2には直接この
励振信号がかからず、この伸縮運動を抑制するように働
くため振動子10は全体として印加電圧の方向(v方
向)に屈曲振動を行うことになる。
の検出回路2の動作を図面を参照しながら説明する。振
動子10に回転が加わっていない場合において自励振駆
動回路30から振動子10に励振信号として正弦波交流
電圧が印加されたとき、自励振用電極11とアース電極
14との間に交番電界がかかり、両電極に挟まれた駆動
用圧電体10−1は圧電逆効果により回転中心1の方向
に伸縮する。一方、検出用圧電体10−2には直接この
励振信号がかからず、この伸縮運動を抑制するように働
くため振動子10は全体として印加電圧の方向(v方
向)に屈曲振動を行うことになる。
【0028】仮に自励振用電極11が正の電圧になり、
駆動用圧電体10−1が縮動して振動子10が検出用電
極13側に凸に屈曲した場合、検出用圧電体10−2が
伸長し、帰還用電極12及び検出用電極13からは圧電
横効果による負の電圧が検出されることになる。検出用
圧電体10−2は屈曲運動により全体が伸縮しているの
で帰還用電極12及び検出用電極13からは機械的振動
と同一周波数の帰還正弦波が検出され、しかもこれら電
圧は原理的に励振信号の正弦波交流電圧と同相同電圧で
ある。
駆動用圧電体10−1が縮動して振動子10が検出用電
極13側に凸に屈曲した場合、検出用圧電体10−2が
伸長し、帰還用電極12及び検出用電極13からは圧電
横効果による負の電圧が検出されることになる。検出用
圧電体10−2は屈曲運動により全体が伸縮しているの
で帰還用電極12及び検出用電極13からは機械的振動
と同一周波数の帰還正弦波が検出され、しかもこれら電
圧は原理的に励振信号の正弦波交流電圧と同相同電圧で
ある。
【0029】検出用電極13Rからの帰還正弦波出力は
PLL回路21に入力される。PLL回路21は基準と
なる入力信号(帰還された励振信号)に追従し、入力信
号と位相及び周波数の一致した発振出力を得るための回
路であり、このPLL回路21によって帰還正弦波は一
旦これと同位相同周波数の矩形波に変換されたのち、バ
ンドパスフィルタ回路22に入力される。そして、バン
ドパスフィルタ回路22においてこの矩形波が基本周波
数成分のみの正弦波に変換される。さらにAGC回路2
3においてその振幅を自動調整することにより帰還正弦
波からこの出力と同位相同電圧の正弦波出力(再生正弦
波)を得ている。従って、帰還正弦波と再生正弦波の差
を検出する差動回路20の出力は原理的に0となり、出
力端からは何ら信号出力は検出されない(図3(a)
(7))。
PLL回路21に入力される。PLL回路21は基準と
なる入力信号(帰還された励振信号)に追従し、入力信
号と位相及び周波数の一致した発振出力を得るための回
路であり、このPLL回路21によって帰還正弦波は一
旦これと同位相同周波数の矩形波に変換されたのち、バ
ンドパスフィルタ回路22に入力される。そして、バン
ドパスフィルタ回路22においてこの矩形波が基本周波
数成分のみの正弦波に変換される。さらにAGC回路2
3においてその振幅を自動調整することにより帰還正弦
波からこの出力と同位相同電圧の正弦波出力(再生正弦
波)を得ている。従って、帰還正弦波と再生正弦波の差
を検出する差動回路20の出力は原理的に0となり、出
力端からは何ら信号出力は検出されない(図3(a)
(7))。
【0030】すなわち、このような回路では振動子10
の圧電体に個体間の特性のばらつきが生じても、差動回
路20の反転入力端子(−)に入力される帰還正弦波と
非反転入力端子(+)に入力される再生正弦波は同一振
幅同一位相となるため、差動回路20の出力は常に0と
なっている。また、経時変化或いは外部環境変化による
静電容量の変化等が生じて検出用電極13Rからの帰還
正弦波の振幅及び位相が変化してもそれは時間的に非常
にゆっくりとした直流的な変化であるので、PLL回路
21及びAGC回路23はその入力変化に追従して作動
し、よって差動回路20への2つの入力は同一振幅同一
位相が保たれる。その結果、差動回路20の出力は常に
0となっている(図3(a)(4))。
の圧電体に個体間の特性のばらつきが生じても、差動回
路20の反転入力端子(−)に入力される帰還正弦波と
非反転入力端子(+)に入力される再生正弦波は同一振
幅同一位相となるため、差動回路20の出力は常に0と
なっている。また、経時変化或いは外部環境変化による
静電容量の変化等が生じて検出用電極13Rからの帰還
正弦波の振幅及び位相が変化してもそれは時間的に非常
にゆっくりとした直流的な変化であるので、PLL回路
21及びAGC回路23はその入力変化に追従して作動
し、よって差動回路20への2つの入力は同一振幅同一
位相が保たれる。その結果、差動回路20の出力は常に
0となっている(図3(a)(4))。
【0031】振動子10が機械的な共振周波数の共振振
動をしている状態で回転中心1の周りに回転が加わると
コリオリ力が発生する。このコリオリ力は図1に示すよ
うに回転中心1の方向及び励振方向(v方向)とは互い
に直角な方向(Fc方向)に作用し、このため振動子1
0は励振方向vからずれて振動することになる。このコ
リオリ力による振動は電極が形成されていない振動子1
0の左右側面に向かう方向に生じるので、例えば振動子
10の右側が伸びたときには左側が縮むことになり二つ
の検出用電極13R、13Lから発生する電圧は原理的
に逆位相の同電圧信号となる。これはコリオリ力により
生ずるので以後コリオリ信号(若しくはコリオリ電圧)
と呼ぶ。
動をしている状態で回転中心1の周りに回転が加わると
コリオリ力が発生する。このコリオリ力は図1に示すよ
うに回転中心1の方向及び励振方向(v方向)とは互い
に直角な方向(Fc方向)に作用し、このため振動子1
0は励振方向vからずれて振動することになる。このコ
リオリ力による振動は電極が形成されていない振動子1
0の左右側面に向かう方向に生じるので、例えば振動子
10の右側が伸びたときには左側が縮むことになり二つ
の検出用電極13R、13Lから発生する電圧は原理的
に逆位相の同電圧信号となる。これはコリオリ力により
生ずるので以後コリオリ信号(若しくはコリオリ電圧)
と呼ぶ。
【0032】ところで、コリオリ力FcはFc=2m
[v×Ω]で表される。従って、角速度Ωが一定の場合に
はコリオリ力Fcは励振速度vに比例する。この励振速
度vは振動子10の変位の微分で表されることから、振
動子10の励振信号が正弦波交流電圧で与えられるとき
はコリオリ信号は励振信号と同一周波数で90度の位相
差を有する余弦波交流電圧として検出される。さらに振
動子10には励振信号による振動とコリオリ力Fcによ
る振動が同時に生じているため、検出用電極13Rから
の出力信号は帰還正弦波にコリオリ信号が重畳し振幅と
位相が変化した正弦波となる(図3(b)(1))。
[v×Ω]で表される。従って、角速度Ωが一定の場合に
はコリオリ力Fcは励振速度vに比例する。この励振速
度vは振動子10の変位の微分で表されることから、振
動子10の励振信号が正弦波交流電圧で与えられるとき
はコリオリ信号は励振信号と同一周波数で90度の位相
差を有する余弦波交流電圧として検出される。さらに振
動子10には励振信号による振動とコリオリ力Fcによ
る振動が同時に生じているため、検出用電極13Rから
の出力信号は帰還正弦波にコリオリ信号が重畳し振幅と
位相が変化した正弦波となる(図3(b)(1))。
【0033】一般に振動子10に加わる回転は通常一定
ではなく、比較的速い周波数で変化する。従って検出用
電極13Rから検出されるコリオリ信号は励振信号(す
なわち帰還正弦波)と90度の位相差をもった振動子1
0の回転の変化の周波数で振幅変調された変調波にな
る。ここで、この変調波が入力されるPLL回路21の
応答時間を極めて長くし回転変化の速いコリオリ信号に
PLL回路21が追従することがないように設定してお
くことにより、また、AGC回路23の応答性も悪くし
ておくことにより比較的速い周波数で変化する回転が振
動子10に加わってもAGC回路23からは無回転時に
おける励振信号と同位相の再生正弦波がそのまま出力さ
れるようにしておく(図3(b)(3))。
ではなく、比較的速い周波数で変化する。従って検出用
電極13Rから検出されるコリオリ信号は励振信号(す
なわち帰還正弦波)と90度の位相差をもった振動子1
0の回転の変化の周波数で振幅変調された変調波にな
る。ここで、この変調波が入力されるPLL回路21の
応答時間を極めて長くし回転変化の速いコリオリ信号に
PLL回路21が追従することがないように設定してお
くことにより、また、AGC回路23の応答性も悪くし
ておくことにより比較的速い周波数で変化する回転が振
動子10に加わってもAGC回路23からは無回転時に
おける励振信号と同位相の再生正弦波がそのまま出力さ
れるようにしておく(図3(b)(3))。
【0034】このようにしておくと、振動子10に回転
が加わったとき、差動回路20の反転(−)入力端子に
は無回転時における励振信号の帰還正弦波と回転に伴っ
て発生するコリオリ信号の重畳された正弦波信号が入力
され、他方、非反転(+)入力端子には帰還正弦波と同
一電圧同一位相の再生正弦波が入力され、その差が取ら
れることになる。従って、たとえ経時変化や外部環境変
化による静電容量の変化等があって帰還正弦波の位相が
変化しても差動回路20において励振信号分が誤差電圧
を生じることなく正確に相殺され、差動回路20の出力
には励振信号(帰還正弦波)と90度の位相差をもった
コリオリ信号のみが出力される(図3(b)(4)参照)。
が加わったとき、差動回路20の反転(−)入力端子に
は無回転時における励振信号の帰還正弦波と回転に伴っ
て発生するコリオリ信号の重畳された正弦波信号が入力
され、他方、非反転(+)入力端子には帰還正弦波と同
一電圧同一位相の再生正弦波が入力され、その差が取ら
れることになる。従って、たとえ経時変化や外部環境変
化による静電容量の変化等があって帰還正弦波の位相が
変化しても差動回路20において励振信号分が誤差電圧
を生じることなく正確に相殺され、差動回路20の出力
には励振信号(帰還正弦波)と90度の位相差をもった
コリオリ信号のみが出力される(図3(b)(4)参照)。
【0035】差動回路20のコリオリ信号出力は回転角
速度に比例した振幅を有する交流信号であり、従って、
この差動回路20の出力を検波して平滑化すれば角速度
に比例した直流信号を得ることができる。この場合にお
いて、仮に回転時における検出用電極13Rの出力に含
まれる帰還正弦波分と再生正弦波が正確に相殺されず誤
差電圧が出力された場合であっても、この誤差信号は励
振信号と同位相の信号であり、差動回路20の出力であ
る差動後コリオリ信号はこの誤差信号に対して常に90
度の位相差をもって出力されるので、差動回路20の出
力を同期検波回路40で検波する際に、このコリオリ信
号位相に同期したスイッチング信号に同期して行えば、
誤差信号は正の部分と負に部分が互いに対称になるよう
に検波されることになる。
速度に比例した振幅を有する交流信号であり、従って、
この差動回路20の出力を検波して平滑化すれば角速度
に比例した直流信号を得ることができる。この場合にお
いて、仮に回転時における検出用電極13Rの出力に含
まれる帰還正弦波分と再生正弦波が正確に相殺されず誤
差電圧が出力された場合であっても、この誤差信号は励
振信号と同位相の信号であり、差動回路20の出力であ
る差動後コリオリ信号はこの誤差信号に対して常に90
度の位相差をもって出力されるので、差動回路20の出
力を同期検波回路40で検波する際に、このコリオリ信
号位相に同期したスイッチング信号に同期して行えば、
誤差信号は正の部分と負に部分が互いに対称になるよう
に検波されることになる。
【0036】従って、同期検波回路40の出力を平滑回
路60に入力することにより、前記誤差信号は平滑回路
60にて正の部分と負の部分が過不足なく相殺され、直
流的には0となることから正確な角速度検出における誤
差信号の影響を消滅させることができる(図3(b)
(7))。なお、PLL回路21の出力は帰還正弦波と同
一位相の矩形波であり、スイッチング信号はPLL回路
21の出力を位相調整回路50によって90度位相をず
らすことにより簡単に生成することができる。
路60に入力することにより、前記誤差信号は平滑回路
60にて正の部分と負の部分が過不足なく相殺され、直
流的には0となることから正確な角速度検出における誤
差信号の影響を消滅させることができる(図3(b)
(7))。なお、PLL回路21の出力は帰還正弦波と同
一位相の矩形波であり、スイッチング信号はPLL回路
21の出力を位相調整回路50によって90度位相をず
らすことにより簡単に生成することができる。
【0037】上記した実施の態様では振動子10に帰還
用電極12を形成し帰還ループを形成して、簡単な回路
構成で振動子10をその機械的な共振周波数付近で駆動
できるようにするとともに、ループフィルタにより不要
なスプリアス発振を防止して単一周波数の励振モードで
駆動できるようにしているが、本発明はこれに限らず自
励振駆動回路30を直接、自励振電極11とアース電極
14との間に接続して振動子10を駆動することも可能
である。また検出用電極は左右いずれの電極を使用して
もかまわず、コリオリ信号の極性が逆になるだけであ
る。
用電極12を形成し帰還ループを形成して、簡単な回路
構成で振動子10をその機械的な共振周波数付近で駆動
できるようにするとともに、ループフィルタにより不要
なスプリアス発振を防止して単一周波数の励振モードで
駆動できるようにしているが、本発明はこれに限らず自
励振駆動回路30を直接、自励振電極11とアース電極
14との間に接続して振動子10を駆動することも可能
である。また検出用電極は左右いずれの電極を使用して
もかまわず、コリオリ信号の極性が逆になるだけであ
る。
【0038】なお、振動子10の無回転時を基準に回転
角速度Ωの検出を行う場合について動作説明したが、本
発明に係る圧電振動角速度計の検出回路2では振動子1
0が任意の定速回転をしているときの検出用電極13R
の検出出力を基準信号として回転角速度の検出ができる
ことはいうまでもない。
角速度Ωの検出を行う場合について動作説明したが、本
発明に係る圧電振動角速度計の検出回路2では振動子1
0が任意の定速回転をしているときの検出用電極13R
の検出出力を基準信号として回転角速度の検出ができる
ことはいうまでもない。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる圧
電振動角速度計の検出回路によれば、二つの検出用電極
からの出力を差動回路に入力して比較しそのうちの同一
位相の励振信号分を相殺して励振信号と90度位相の相
違するコリオリ信号のみを検出するのではなく、一の検
出用電極からの出力のみを使用して同一位相の励振信号
分を相殺しコリオリ力成分のみを抽出するため、圧電体
の個体間のばらつき、経時変化及び外部環境変化に伴う
静電容量の変化等が生じても、これらに伴う励振信号の
変化は差動回路により確実に相殺され、より正確な角速
度の検出が可能となる。
電振動角速度計の検出回路によれば、二つの検出用電極
からの出力を差動回路に入力して比較しそのうちの同一
位相の励振信号分を相殺して励振信号と90度位相の相
違するコリオリ信号のみを検出するのではなく、一の検
出用電極からの出力のみを使用して同一位相の励振信号
分を相殺しコリオリ力成分のみを抽出するため、圧電体
の個体間のばらつき、経時変化及び外部環境変化に伴う
静電容量の変化等が生じても、これらに伴う励振信号の
変化は差動回路により確実に相殺され、より正確な角速
度の検出が可能となる。
【0040】また、コリオリ信号は励振信号と明確に9
0度の位相差をもっており、同期検波回路においてはこ
のコリオリ信号と同位相のスイッチング信号に同期して
検波を行うことから差動回路出力のコリオリ信号が10
0%検波されることになる。たとえ励振信号の位相が変
化しても、コリオリ信号はこの位相変化した励振信号に
対しても90度の位相差をもって出力されるので、検波
の効率は100%であり平滑回路の出力は一定に保たれ
る。従って精度よく回転角速度を検出することができ
る。
0度の位相差をもっており、同期検波回路においてはこ
のコリオリ信号と同位相のスイッチング信号に同期して
検波を行うことから差動回路出力のコリオリ信号が10
0%検波されることになる。たとえ励振信号の位相が変
化しても、コリオリ信号はこの位相変化した励振信号に
対しても90度の位相差をもって出力されるので、検波
の効率は100%であり平滑回路の出力は一定に保たれ
る。従って精度よく回転角速度を検出することができ
る。
【図1】本発明に使用される振動子の構成例を示す図で
ある。
ある。
【図2】本発明に係る圧電振動角速度計の検出回路の構
成例を示す図である。
成例を示す図である。
【図3】本発明に係る圧電振動角速度計の各部の検出波
形である。(a)は無回転時、(b)は回転時の波形を
示す。
形である。(a)は無回転時、(b)は回転時の波形を
示す。
【図4】従来の圧電振動角速度計の検出回路の構成図で
ある。
ある。
1 回転中心 10、100 振動子 11、101 自励振用電極 12、102 帰還用電極 13、103 検出用電極 14、104 アース電極 20、200 差動回路 21 PLL回路 22 バンドパスフィルタ回路 23 振幅調整回路 30、300 自励振駆動電極 40、400 同期検波回路 50、500 位相調整回路 60、600 平滑回路
Claims (5)
- 【請求項1】 回転中心方向に長尺状に伸びた圧電体の
前記回転中心方向に伸びる側面上に複数の電極が形成さ
れてなる振動子と、 前記複数の電極のうち、少なくとも二つの電極間に接続
され前記振動子を励振させる自励振駆動回路と、 前記複数の電極のうちいずれか一の電極に接続され、そ
の電極からの検出出力に追従して同一位相の矩形波を生
成するPLL回路と、 このPLL回路の出力から前記矩形波と同一位相でかつ
基本周波数の正弦波を抽出するバンドパスフィルタ回路
と、 このバンドパスフィルタ回路からの前記正弦波を前記検
出出力と同一振幅の再生正弦波に補整する振幅調整回路
と、 前記検出出力と前記再生正弦波との差を検出する差動回
路と、 前記矩形波と90度位相の異なるスイッチング信号を生
成する位相調整回路と、 前記差動回路の差動出力を前記スイッチング信号に同期
して検波する同期検波回路と、 前記同期検波回路の検波出力を平滑化する平滑回路とか
らなり、 前記振動子が前記回転中心を軸に回転したとき、前記い
ずれか一の電極に誘起される分極電荷による電圧の重畳
した前記検出出力と前記PLL回路の追従遅れを利用し
て生成される前記再生正弦波との差を前記差動回路によ
り検出し、前記回転による角速度に比例した電圧を得る
ことを特徴とする圧電振動角速度計の検出回路。 - 【請求項2】 前記圧電体が長手方向に回転中心を有す
る直方体状の圧電体であり、前記圧電体の前記回転中心
の方向に伸びた側面のうち、上下方向に相対する2側面
上に前記複数の電極が形成されてなる振動子を用いるこ
とを特徴とする請求項1に記載の圧電振動角速度計の検
出回路。 - 【請求項3】 前記直方体状の前記圧電体が前記回転中
心に垂直な平面内において前記上下方向に駆動用圧電体
と検出用圧電体に分割され、前記駆動用圧電体と前記検
出用圧電体の間にアース電極を配して構成される振動子
を用いることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動角
速度計の検出回路。 - 【請求項4】 前記自励振駆動回路が前記駆動用圧電体
の前記回転中心方向に伸びた外部側面に形成された一の
電極と検出用圧電体の前記外部側面方向に伸びた外部側
面に形成された一の電極との間に接続されてなることを
特徴とする請求項3に記載の圧電振動角速度計の検出回
路。 - 【請求項5】 前記自励振駆動回路が前記複数の電極の
うちいずれか一の電極とアース電極との間に接続されて
なることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか
に記載の圧電振動角速度計の検出回路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8335255A JPH10170277A (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | 圧電振動角速度計の検出回路 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8335255A JPH10170277A (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | 圧電振動角速度計の検出回路 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10170277A true JPH10170277A (ja) | 1998-06-26 |
Family
ID=18286484
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8335255A Pending JPH10170277A (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | 圧電振動角速度計の検出回路 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10170277A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006308359A (ja) * | 2005-04-27 | 2006-11-09 | Kyocera Kinseki Corp | 慣性センサ素子及び慣性センサ素子の製造方法 |
US7291511B2 (en) | 2004-03-08 | 2007-11-06 | Sony Corporation | Method of manufacturing vibration gyro sensor element, vibration gyro sensor element, and method of adjusting vibration direction |
CN102957423A (zh) * | 2011-08-26 | 2013-03-06 | 华润矽威科技(上海)有限公司 | 压电陶瓷变压器谐振频率跟踪电路 |
-
1996
- 1996-12-16 JP JP8335255A patent/JPH10170277A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7291511B2 (en) | 2004-03-08 | 2007-11-06 | Sony Corporation | Method of manufacturing vibration gyro sensor element, vibration gyro sensor element, and method of adjusting vibration direction |
JP2006308359A (ja) * | 2005-04-27 | 2006-11-09 | Kyocera Kinseki Corp | 慣性センサ素子及び慣性センサ素子の製造方法 |
CN102957423A (zh) * | 2011-08-26 | 2013-03-06 | 华润矽威科技(上海)有限公司 | 压电陶瓷变压器谐振频率跟踪电路 |
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