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JPH10134817A - 有機電解液二次電池 - Google Patents

有機電解液二次電池

Info

Publication number
JPH10134817A
JPH10134817A JP8284945A JP28494596A JPH10134817A JP H10134817 A JPH10134817 A JP H10134817A JP 8284945 A JP8284945 A JP 8284945A JP 28494596 A JP28494596 A JP 28494596A JP H10134817 A JPH10134817 A JP H10134817A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
battery
positive electrode
lithium
organic electrolyte
secondary battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8284945A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Ochita
学 落田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Corp
Original Assignee
Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd filed Critical Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd
Priority to JP8284945A priority Critical patent/JPH10134817A/ja
Publication of JPH10134817A publication Critical patent/JPH10134817A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】過充電時の化学反応による電池温度の上昇を抑
制し、電池の破裂や爆発といった著しい破壊を抑制する
ことのできる有機電解液二次電池を提供する。 【解決手段】正極活物質層2はLiCoO2粉末とグラ
ファイト粉末とPVDFを重量比で80:10:10に
十分混合し、そこへ分散溶媒となるN−メチル−2−ピ
ロリドンを適量加え、十分に混練、分散させ、インク状
にする。さらにそこへ硝酸リチウムを所定量加え、再び
混練、分散させる。この混練物をロールtoロールの転
写により正極集電体1の両面に塗着、乾燥し、正極活物
質層2を得る。この正極を用い、有機電解液二次電池を
作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機電解液二次電池
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池に代表される有機電解
液二次電池は、高エネルギー密度であるメリットを活か
して、主にVTRカメラやノートパソコン、携帯電話等
のポータブル機器に使用されている。特に近年は負極に
炭素材等の、リチウムを吸蔵、放出可能な材料を用いた
いわゆるリチウムイオン二次電池が普及している。この
電池の内部構造は、通常以下に記述するような捲回式に
される。すなわち、正極、負極共に活物質は金属箔に塗
着される。そして、セパレータを挟んで正極、負極が直
接接触しないように捲回され、容器となる円筒形の缶に
収納、電解液注液後、キャップ封口されている。電池組
立時では負極活物質として用いる炭素材は、リチウムを
放出しきった状態、即ち放電状態である。従って、通常
正極も放電状態の活物質、例えばLiCoO2(コバル
ト酸リチウム)やLiNiO2(ニッケル酸リチウム)
などが用いられる。そして、初充電することによって電
池として機能させることができる。こうして必要に応じ
て充電、放電できるリチウムイオン二次電池となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に有機電解液二次
電池は、電極反応に関与する物質が化学的に活性な材料
であること、水分の混入により性能劣化する有機電解液
を用いていること等の理由により、電池外界と電池内部
構成物とが完全に隔離された密閉構造をとる。従って、
何らかの原因で電池内圧が上昇した場合には電池が破裂
し、周辺機器に損傷を与えてしまうことがある。さら
に、電池が爆発した場合には、周辺機器の破損のおそれ
がある。特にリチウム二次電池の場合には、過充電時に
その確率が極めて高くなる。通常、リチウム二次電池
は、充電、放電時の電流、電圧を適正に保つための電気
回路で保護されているが、この保護回路が故障した場合
に充電上限電圧の制御が効かず、充電の進行に伴い電池
電圧が上昇し、電解液の電気分解によりガスが発生し、
電池内圧が上昇する。この状態がさらに持続すると、内
部抵抗の上昇によるジュール熱と、電解液や電解液の分
解生成物と活物質の化学反応による反応熱で、電池温度
が急激に上昇する。このような状態にある電池は、破
裂、爆発に至る確率が高くなる。
【0004】このような問題の対策として、電池内圧の
上昇に応じて作動する電流遮断機構が電池に組み込まれ
た密閉型構造とし、過充電で電池内圧が上昇した場合に
充電電流を断ち切り、それ以上の電気量が電池に流入し
ないようにしている。しかし、たとえ充電電流が断ち切
られたとしても、上記化学反応が伴った場合には電池の
温度上昇を即座に止めることはできない。そこで電流遮
断機構が作動する圧力を低くすると、40〜60℃とい
った暖められた周囲環境温度(ノートパソコン内では頻
繁にこのくらいの温度になる。)で、電池を通常条件
(保護回路で守られた条件)で使用している場合におい
てさえ、電流遮断機構が作動してしまう。従って、電流
遮断機構の作動圧力は、あまり低く設定できない制約が
ある。このようにリチウム二次電池は、誤使用、誤操
作、誤動作により、場合によっては破裂、爆発等危険な
壊れ方をするので、電池の安全性を確保することは、こ
の上ない重要な課題である。
【0005】本発明者らが、電池の破裂に至る状況を詳
細に分析した結果、電流遮断機構作動時の電池温度に関
わりなく、すなわちそれほど電池内圧が上昇しなくて
も、上記化学反応を伴い、およそ130℃を越えると、
電池が破裂する確率が高くなることがわかった。このよ
うな問題を解決するために、いくつかの改善がなされて
きた。たとえば、特開平4−328278号公報、特開
平4−329269号公報では正極に炭酸リチウムや蓚
酸リチウムを含有させ、電池が過充電状態になったとき
に炭酸リチウムや蓚酸リチウムを電気化学的に分解、炭
酸ガスを発生させ、早い段階で電池内圧上昇、電池内圧
上昇に応じて作動する電流遮断機構を作動させることが
提案されている。とりわけ、特開平4−329268号
公報では、リチウムとコバルトの配合モル比をLi/C
o=1.0より大きくしたリチウムリッチな条件で正極
活物質を合成、あるいは、Li/Co=1.0で合成し
た正極活物質と炭酸リチウムとを混合、熱処理すること
で正極活物質に炭酸リチウム層を含有させている。しか
し、このような方法で合成した正極活物質粒子は通常平
均粒子径が10〜25μmと大きく成長したものとな
る。粒子が大きく成長した正極活物質を用いて電池とし
た場合に、活物質の比表面積が小さいために電流密度が
大きくなり、高率放電特性、低温放電特性が悪くなると
いうデメリットがある。さらに単に炭酸リチウムを正極
に混合しただけでは、大きな電流で過充電状態になった
場合に炭酸リチウムの分解による炭酸ガスの発生で電池
内圧を上昇させるより、電池温度上昇に伴う電池内圧の
上昇の方が先に起こり、著しい破壊が発生することがあ
る。これらの問題を補うために、特開平6−33832
3号公報や特開平8−102331号公報では正極に炭
酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸ニッケルを添加した
り、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、
炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムを含
有させたりしている。しかし、それでも、本発明の発明
者がトレース実験を実施したところ、その効果は必ずし
も十分なものではなっかった。このような状況を精力的
に、詳細に検討した結果、その原因は前記炭酸塩の平均
粒子径にあることが判明した。また、前記各公報では、
炭酸塩が電気化学的に分解、炭酸ガスを発生させるとい
う記載がなされているが、本発明者の詳細な分析による
と、前記炭酸塩のみが分解するのではなく、有機電解液
との相互作用によって有機電解液とともに分解、ガス発
生することが判明した。しかも発生したガスは炭酸ガス
ではなく、主に酸素、炭化水素系のガスであることが判
明した。従って、前記炭酸塩の平均粒子径が大きいと、
その表面積が小さくなるために電解液との相互作用を伴
った分解反応が十分促進されず、十分電池内圧を上昇さ
せ、所望のタイミングで電流遮断機構を作動させること
は困難である。
【0006】さらに、有機電解液の分解電圧よりも低い
電位で、上記炭酸塩は電気化学的に分解されるが、電池
が大電流で過充電状態になった場合には、電池電圧が急
速に上昇するため、上記炭酸塩の分解電圧を超え、有機
電解液の分解電圧へと、いとも簡単に到達し、破裂、爆
発することが多々あった。また、上記種々金属の炭酸塩
を正極に含ませても、過充電時には電解液の分解を抑制
することはできず、それに伴う電池温度の上昇も抑制す
ることはできない。本発明が解決しようとする課題は、
前述のような過充電時の化学反応による電池温度の上昇
を抑制し、電池の破裂や爆発といった著しい破壊を抑制
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の、正極と負極と有機電解液が密閉容器に収
納され、当該密閉容器が、所定圧力よりも高い内圧で開
放作動する弁機構を有してなる有機電解液二次電池は、
正極が硝酸リチウム(LiNO3)を含有していること
を特徴とする。このことにより電流遮断機構を速やかに
作動させることができ、前述した異常反応及びそれによ
る電池温度の上昇を確実に抑えることができる。
【0008】上記構成において、電池内圧上昇で作動す
る電流遮断機構を備え、前記電流遮断機構は、弁機構が
開放作動する電池内圧より低い電池内圧で作動すること
が好ましい。その理由は、万が一上記過充電が過剰なも
のとなり、有機電解液及び/又は硝酸リチウムの電気化
学的分解が促進した場合でも有機電解液二次電池が、電
池内圧上昇で作動する電流遮断機構を備え、前記電流遮
断機構は、弁機構が開放作動する電池内圧より低い電池
内圧で作動する構成を備えることにより、過剰な電池内
圧上昇に対して迅速に充電電流を遮断することができ、
より電池の安全性が高まる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の一例を以下
に図面を参照しながら説明する。図1は本発明を実施し
た円筒形リチウム二次電池の断面図である。1は正極集
電体で厚さ20μmのアルミニウム箔である。平面サイ
ズは50mm×450mmである。2は正極活物質層
で、リチウムイオンを電極反応種とし、リチウムを放
出、吸蔵可能な正極活物質LiCoO2と導電助剤であ
るグラファイトと、バインダーであるポリフッ化ビニリ
デン(PVDF)と、電解液とから構成される。正極活
物質層2の詳細な作製方法を記す。LiCoO2(平均
粒径約1〜2μm)粉末とグラファイト(平均粒径約
0.5μm)粉末とPVDFを重量比で80:10:1
0に十分混合し、そこへ分散溶媒となるN−メチル−2
−ピロリドンを適量加え、十分に混練、分散させ、イン
ク状にする。さらにそこへ硝酸リチウムを所定量加え、
再び混練、分散させる。この混練物をロールtoロール
の転写により正極集電体1の両面に塗着、乾燥し、正極
活物質層2を得る。(但し、この段階では電解液は入っ
ていない。)正極活物質層2の厚さは正極集電体1の両
面各々100μmである。3は負極集電体で厚さ10μ
mの銅箔ある。平面サイズは50mm×490mmであ
る。4は負極活物質層で、リチウムイオンを電極反応種
とし、リチウムを放出、吸蔵することのできる負極活物
質としての無定形炭素と、バインダーであるポリフッ化
ビニリデン(PVDF)と、電解液とから構成される。
負極活物質層4の詳細な作製方法を記す。無定形炭素と
PVDFを重量比で90:10となるように混合しそこ
へ分散溶媒となるN−メチル−2−ピロリドンを適量加
え、十分に混練、分散させ、インク状にする。この混練
物をロールtoロールの転写により負極集電体3の両面
に塗着、乾燥し、負極活物質層4を得る。(但し、この
段階では電解液は入っていない。)負極活物質層2の厚
さは負極集電体3の両面各々100μmである。5はセ
パレータで、厚さ25μmの微多孔性のポリエチレンフ
ィルムである。正極、負極の間にセパレータ5が配置さ
れるように捲回し、負極缶6に挿入する。そして負極集
電体に予め溶接させておいたタブ端子を負極缶6に溶接
する。7は正極キャップで8は正極タブ端子である。正
極タブ端子8は予め正極集電体1に溶接しておき、正極
キャップ7に溶接する。次に、電解液5mlを負極缶6
内に注入する。電解液は1mol/lのLiPF6が溶
解された、炭酸プロピレンと炭酸ジメチルと炭酸ジエチ
ルの混合溶媒であり、その混合比は体積にして30:5
5:15である。9は絶縁性のガスケットである。正極
キャップ7を負極缶上部に配置し、ガスケット9を介し
て負極缶上部をかしめ、電池を密閉する。ここで、正極
キャップ7内には、電池内圧の上昇によって作動する電
流遮断機構(圧力スイッチ)と前記電流遮断機構が作動
する電池内圧よりも高い電池内圧によって開放作動する
弁機構が組み込まれている。前記圧力スイッチとは、具
体的には、電池内圧の上昇によって作動する可動部材に
より正極集電端子と、正極外部端子(電池の外観から、
正極端子と表現される部材)との電気的接続を断つ機構
からなるものである。また、前記弁機構は非復帰型、つ
まり一旦電池内圧が過剰に高まり、弁が作動すると元の
状態(電池を密閉する状態)に復帰しないものを使用し
た。但し復帰型の弁機構を採用しても構わない。上記
「電池内圧によって作動する電流遮断機構」には、電池
内圧が6〜8kg/cm2で作動するものを用いた。ま
た、上記「電流遮断機構が作動する電池内圧よりも高い
電池内圧によって開放作動する弁機構」の弁には、電池
内圧が10〜15kg/cm2で開放するものを用い
た。これらの値は任意に設定可能である。電池の使用目
的等により設計すればよい。例えば弁について言うと、
弁の材質、厚み、面積等を調整することで容易に設計変
更が可能である。
【0010】正極に硝酸リチウムを含有させたことで、
過充電時において、電池電圧上昇を伴った場合、速やか
にガス発生、電池内圧上昇を促進させ、早い段階で電流
遮断機構を作動、電池温度上昇を抑制することができ
る。この作用は、硝酸リチウムの粒子径に依存しにく
い。
【0011】
【実施例】発明の実施の形態の記載により作製した電池
(実施例)及び以下に述べる従来例1〜従来例12の電
池を作製し、比較検討した。従来例1は、正極に硝酸リ
チウムを加えないで、その他は全く上記実施例と同条件
で作製した。従来例2は、正極に炭酸リチウム、従来例
3は、蓚酸リチウム、従来例4は炭酸マンガン、従来例
5は炭酸コバルト、従来例6は炭酸ニッケル、従来例7
は炭酸ナトリウム、従来例8は炭酸カリウム、従来例9
は炭酸ルビジウム、従来例10は炭酸カルシウム、従来
例11は炭酸マグネシウム、従来例12は炭酸バリウム
を所定量添加したものである。
【0012】実施例、および各従来例の電池では、硝酸
リチウムやその他の各種炭酸塩、蓚酸塩の添加量は、正
極活物質LiCoO2の重量に対して0.05〜20%
とした。また、各種炭酸塩、蓚酸塩の平均粒径は1μm
〜40μmとした。作製した電池は以下に示す条件で充
電し、放電の後、2.8Aで連続的に充電し続け、過充
電状態にした。そのときの電池の破壊状況を表1、表2
に示す。表中の数値は、上段が電池放電容量(mA
h)、下段が電池を過充電状態にしたときの破裂あるい
は爆発発生率(%)である。また表中の括弧内に記した
物質は正極に含ませた添加剤名である。なお、本過充電
テストは周囲温度25℃で実施し、硝酸リチウムや各種
炭酸塩の平均粒径は5μmとした。 充電:4.2V定電圧、上限電流100mA、20h、
周囲温度25℃ 放電:100mA定電流、終止電圧2.8V、周囲温度
25℃
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】表1、表2から明らかなように、正極に硝
酸リチウムを添加したことにより、過充電に陥った場合
の破裂、爆発といった電池の著しい破壊が抑制される。
硝酸リチウムが重量で正極活物質に対して0.2重量%
以上になるとさらに顕著な効果が得られる。一方、硝酸
リチウムの添加量が15重量%を越えると、放電容量が
急激に低下する。この理由は、添加物の電子伝導度が低
いために電池の内部抵抗が大きくなったことによると思
われる。
【0016】表3は、上記過充電テストにおいて、硝酸
リチウムの平均粒径を、5、10、15、20、25、
30、35、40μmとし、添加量を5%としたとき
の、電池の破裂、爆発の発生率(%)を示したものであ
る。
【0017】
【表3】
【0018】平均粒径が30μm以下の場合において破
裂、爆発の発生率が0%となり、好ましいものである。
平均粒径が30μmを越えると効果がいくぶん小さくな
るのは、硝酸リチウムの表面積が小さくなり、電池電圧
上昇に対する感度が鈍くなり、ガス発生速度が遅くなる
ためと思われる。
【0019】従来例1の電池では、非常に高い確率で、
電池が破裂、爆発に至っていたが、従来例2〜12では
確率が低下している。しかし、硝酸リチウムを添加した
実施例の電池よりはその効果が劣っている。その理由を
検討するために、満充電状態にある各電池の電極を正
極、負極ともに一部を取り出し、正極を作用極、負極を
対極として高電圧側に走査した。走査速度は0.1mV
/sec、試験温度は30℃条件は次のとおりである。
試験に供するために切り出した電極の寸法は、正極が2
0mm×20mm、負極が21mm×21mmである。
切り出した正極と負極はセパレータをはさんで対向させ
た2極式セルで、同電解液中で電圧走査した。尚、ここ
では参照電極は採用していない。その理由は、電圧走査
中の対極(負極)電位が殆ど変化しないためである。従
って負極に金属リチウム、リチウム合金を用いたり、無
定形炭素以外の、リチウムを吸蔵、放出することのでき
る負極材料、例えば黒鉛のような結晶性の高い炭素材料
等を用いても図2に示す結果と同様の結果が得られると
考えられる。
【0020】電圧走査の結果を図2〜図8に示す。図2
は正極に硝酸リチウムを添加した実施例の電池の電極を
用いて電圧走査した結果、図3は、正極には何も添加し
ない従来例1の電池の電極を用いて電圧走査した結果、
図4は正極に炭酸リチウムを添加した従来例2の電池の
電極を用いて電圧走査した結果、図5は正極に蓚酸リチ
ウムを添加した従来例3の電池の電極を用いて電圧走査
した結果、図6は正極に炭酸マンガンを添加した従来例
4の電池の電極を用いて電圧走査した結果、図7は正極
に炭酸カリウムを添加した従来例8の電池の電極を用い
て電圧走査した結果、図8は正極に炭酸マグネシウムを
添加した従来例11の電池の電極を用いて電圧走査した
結果をそれぞれ示す。図2〜図8において4.6V付近
に観測される電流ピークは、電解液や添加剤の電気化学
的分解に起因するピークではなく、正極の酸化ピークで
ある。図3の、正極には何も添加しない従来例1の電池
の電極を用いて電圧走査した結果では、約5.1Vから
電解液の分解に相当する電流値の上昇が観測される。こ
れは電池が過充電状態となり、約5.1V以上となる
と、電池が破裂、爆発に至る確率がかなり高くなるとい
う試験結果と一致している。図4の正極に炭酸リチウム
を添加した従来例2の電池の電極を用いて電圧走査した
結果では、電解液の分解に相当する電流が流れる電圧よ
りも低い、約5Vで炭酸リチウムと電解液との分解反応
に相当する電流ピークが観測され、特開平4−3282
78号公報の記述内容と一致している。しかし、5.5
V付近から急激に電解液の分解に起因する電流値の上昇
が観測された。図5〜図8に示されているように、各種
炭酸塩や蓚酸リチウムを添加した従来例3、従来例4、
従来例8、従来例11の電池の電極を用いて電圧走査し
た結果では、電解液の分解に相当する電流が流れる電圧
よりも低い電圧で、添加物と電解液との分解反応に相当
する電流は観測されない。従って添加物の効果は殆どな
いといえる。
【0021】従来例1〜4、8、11の電池の電極を用
いて電圧走査した結果(図3〜図8)では、いずれも
5.1Vを超えると電解液の分解反応に相当する電流値
の上昇が観測される。従って、図3〜図8は、比較的大
きな電流で電池が急激に過充電状態に陥った場合に、破
裂、爆発を抑制できないことを示唆している。それに対
して図2の正極に硝酸リチウムを添加した、本発明の電
池の電極を用いて電圧走査した結果では、5.1Vを超
えると電解液の分解反応に相当する電流値の上昇が観測
されるものの、それより以前の4.7Vと4.8V付近
で硝酸リチウムと電解液との分解反応に相当すると思わ
れる電流ピークが観測される。ガス発生は4.7V付近
から目視で確認された。従って、正極に硝酸リチウムを
添加した電池は、電解液の分解に相当する電流が流れる
電圧よりも低い電圧で添加物の分解ガス発生が起こり、
危険な状態になる前に電池内圧が上昇して、電流遮断機
構を動作させたり、弁機構を動作させ、破裂、爆発を回
避できることがわかる。
【0022】本実施例では正極活物質にLiCoO2
用いたが、その他の正極活物質、例えばLiNiO2
LiMnO2、等を用いても本実施例と同様の効果が得
られる。
【0023】
【発明の効果】本発明により、過充電領域における急激
な電池電圧の上昇に対しても速やかに電池内圧を上昇さ
せることができる結果、電池内圧の上昇による電流遮断
機構の作動が確実となる。電流遮断機構の作動は、電解
液が急激に分解する異常な反応が起こる前であり、電池
温度の上昇を回避し、電池の破裂や爆発といった著しい
破壊を抑制することのできる有機電解液二次電池を提供
することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電解液二次電池の一例の縦断面図
である。
【図2】正極に硝酸リチウムを添加した実施例の電池の
電極を用いて電圧走査した結果を示したものである。
【図3】正極には何も添加しない従来例1の電池の電極
を用いて電圧走査した結果を示したものである。
【図4】正極に炭酸リチウムを添加した従来例2の電池
の電極を用いて電圧走査した結果をを示したものであ
る。
【図5】正極に蓚酸リチウムを添加した従来例3の電池
の電極を用いて電圧走査した結果を示したものである。
【図6】正極に炭酸マンガンを添加した従来例4の電池
の電極を用いて電圧走査した結果を示したものである。
【図7】正極に炭酸カリウムを添加した従来例8の電池
の電極を用いて電圧走査した結果を示したものである。
【図8】正極に炭酸マグネシウムを添加した従来例11
の電池の電極を用いて電圧走査した結果を示したもので
ある。
【符号の説明】
1.正極集電体 2.正極活物質層 3.負極集電体 4.負極活物質層 5.セパレータ 6.負極缶 7.正極キャップ 8.正極タブ端子 9.ガスケット

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正極と負極と有機電解液が密閉容器に収納
    され、当該密閉容器が、所定圧力よりも高い電池内圧で
    開放作動する弁機構を有してなる有機電解液二次電池に
    おいて、前記正極が硝酸リチウムを含有していることを
    特徴とする有機電解液二次電池。
  2. 【請求項2】電池内圧上昇で作動する電流遮断機構を備
    え、前記電流遮断機構は、弁機構が開放作動する電池内
    圧より低い電池内圧で作動することを特徴とする請求項
    1記載の有機電解液二次電池。
  3. 【請求項3】硝酸リチウムの含有量が、正極活物質重量
    に対して0.2〜15%であることを特徴とする請求項
    1又は2記載の有機電解液二次電池。
  4. 【請求項4】硝酸リチウムの平均粒子径が30μm以下
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の有機電解液二次電池。
  5. 【請求項5】正極が充電、放電に伴い、リチウムを放
    出、吸蔵することのできる材料であり、負極がリチウム
    金属、リチウム合金、リチウムを吸蔵、放出することの
    できる材料の中から選ばれる請求項1〜4のいずれかに
    記載の有機電解液二次電池。
  6. 【請求項6】正極が充電、放電に伴い、リチウムを放
    出、吸蔵することのできる材料であり、負極がリチウム
    を吸蔵、放出することのできる炭素材である請求項1〜
    4のいずれかに記載の有機電解液二次電池。
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