JPH10109903A - 水田用除草粒剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピラゾレートのような水難溶性で固体の除草
剤成分を含む水田用除草粒剤の１kg/ １０ａ施用を可能
にするため、水中での崩壊性、拡展性及び分散性を改良
する。 【解決手段】 水難溶性で固体の除草剤成分と、ポリア
クリル酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩である陰イオ
ン系界面活性剤及び固体担体を含む水田用除草粒剤。ス
ルホニルウレア系除草剤成分をも含む製剤において好ま
しく用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水難溶性で固体の
除草剤成分を含む水田用除草粒剤の水中での崩壊性、拡
展性及び分散性を改良した水田用除草粒剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】水田用除草粒剤は、水田に施用されると
水中で崩壊し、拡展することにより除草剤成分が放出さ
れ、分散して薬効を表す。粒剤は、粉剤や液剤に比べて
省力的に除草剤を施用することができるので、広く普及
している。

【０００３】近年、除草剤の施用省力化の要望が更に高
まり、従来の１０ａ当たり３〜４kgの粒剤施用よりも低
施用量の１kgの粒剤施用が検討されている。しかし低施
用量の場合は、単位面積当たりの粒数が減少するので、
除草剤成分を水田全体に均一に拡散させることが困難で
ある。

【０００４】これらの問題を解決するためには、粒剤の
崩壊をより良くする必要があり、特殊な崩壊助剤を添加
する方法（特開平６−２７１４０３号、特開平５−２４
６８０３号、特公平７−２３２８３号）や、粒径の粗い
鉱物質微粉を使用する方法（特開平６−２６３６０１
号）や、また粒径を細かくして分散性を良くする方法
（特公平７−２３２８４号）等が知られている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術では、高濃度に水難溶性除草剤成分を含有する場
合には、粒剤の崩壊後の水中への分散が不充分となる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、水難溶性で固
体の除草剤成分とポリアクリル酸塩、α−オレフィンス
ルホン酸塩である陰イオン系界面活性剤及び固体担体を
含む水田用除草粒剤である。

【０００７】本発明においては、崩壊助剤として平均分
子量４，０００〜１０，０００のポリアクリル酸のナト
リウム塩やカリウム塩が用いられ、その使用量は０．５
〜５重量％である。

【０００８】水難用性除草剤成分の分散助剤として、Ｃ
₁₄〜Ｃ₁₈のα−オレフィンスルホン酸塩のナトリウム
塩、カリウム塩又はアンモニウム塩が用いられ、その使
用量は０．１〜５重量％である。α−オレフィンスルホ
ン酸塩の使用により主剤の水中への分散が著しく向上す
る。

【０００９】固体担体は増量剤として用いられるもので
あって、鉱物質担体（ベントナイト、カオリン、クレ
ー、珪藻土、炭酸カルシウム、バーミキュライト、パー
ライト等）、水溶性担体（硫安、乳糖、芒硝、炭酸ナト
リウム、塩化カリウム等）、植物性担体（澱粉、木粉、
小麦粉等）、合成担体（含水二酸化珪素等）等が挙げら
れる。

【００１０】上記必須成分の他に、デキストリン、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ポリビニルアルコールのような結合剤、ジオクチル
スルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキ
ルアリールスルホン酸ナトリウム等の他の界面活性剤を
追加して使用してもよい。

【００１１】本発明で使用する水難溶性除草剤成分とし
ては、水溶解度が１０ppm 以下であって、例えば表１に
挙げる除草剤成分を０．５〜３０重量％含有することが
でき、好ましくはピラゾレート、カフェンストロール、
ダイムロン、メフェナセット及びブロモブチドから選ば
れる。

【００１２】

【表１】

【００１３】本発明はまた、上記水難溶性除草剤成分に
加えて、スルホニルウレア系除草剤成分を配合したもの
であって、スルホニルウレア系除草剤成分としては、ベ
ンスルフロンメチル、アジムスルフロン、ピラゾスルフ
ロンエチル及びイマゾスルフロンを挙げることができ
る。あるいは表２の他の除草剤成分を配合してもよい。

【００１４】

【表２】

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明の水田用除草粒剤を製造す
るには、水難溶性除草剤成分を単独で又は鉱物質担体と
混合し、ジェットオーマイザー、ピンミル等で乾式微粉
砕、又は界面活性剤を添加してアトライター、ビーズミ
ル等で湿式微粉砕して、平均粒径１０μm 以下、好まし
くは５μm 以下とする。更に必要に応じて他の除草剤成
分を加え、これにポリアクリル酸塩、α−オレフィンス
ルホン酸塩である陰イオン系界面活性剤、増量剤及び結
合剤等を混合し、水を加えて練合し、押し出し造粒後、
乾燥する。又は他の除草剤成分の溶液を粒剤に吸着させ
ることにより製造される。

【００１６】

【実施例】 処方例１の粒剤 １ カフェンストロール原体 ３部 ２ ベンスルフロンメチル原体 ０．５１部 ３ ダイムロン原体 ６部 ４ ポリアクリル酸ナトリウム ３部 ５ α−オレフィンスルホン酸ナトリウム ２部 ６ デキストリン ２部 ７ パーライト ５部 ８ 炭酸カルシウム ７８．４９部 １の微粉砕原体（平均粒径２．２μm)、２及び８の一部
のアトマイザー粉砕品、３及び８の一部のジェットオー
マイザー粉砕品（平均粒径４μm)、これらに４、５、
６、７及び残りの８を混合し水１７部を加えて練合し、
練合物を押し出し型造粒機（０．８mmφ）で造粒した。
これを流動層乾燥機で乾燥し、０．５〜１．４mmに整粒
し粒剤を得た。

【００１７】 処方例２の粒剤 １ カフェンストロール原体 ３部 ２ ベンスルフロンメチル原体 ０．３部 ３ アジムスルフロン原体 ０．０６部 ４ ダイムロン原体 ６部 ５ ポリアクリル酸ナトリウム ３部 ６ α−オレフィンスルホン酸ナトリウム ２部 ７ デキストリン ２部 ８ パーライト ５部 ９ 炭酸カルシウム ７８．６４部 １の微粉砕原体（平均粒径２．２μm)、２及び９の一部
のアトマイザー粉砕品、３及び９の一部のアトマイザー
粉砕品、４及び９の一部のジェットオーマイザー粉砕品
（平均粒径４μm)、これらに５、６、７、８及び残りの
９を混合し水１７部を加えて練合し、練合物を押し出し
型造粒機（０．８mmφ）で造粒した。これを流動層乾燥
機で乾燥し、０．５〜１．４mmに整粒し粒剤を得た。

【００１８】 処方例３の粒剤 １ メフェナセット原体 １０部 ２ ベンスルフロンメチル原体 ０．７５部 ３ ポリアクリル酸ナトリウム ３部 ４ α−オレフィンスルホン酸ナトリウム ２部 ５ ブドウ糖 ２部 ６ タルク １０部 ７ 炭酸カルシウム ７２．２５部 １の微粉砕原体（平均粒径４．５μm)、２及び７の一部
のアトマイザー粉砕品、これらに３、４、５、６及び残
りの７を混合し水１５部を加えて練合し、練合物を押し
出し型造粒機（１．２mmφ）で造粒した。これを流動層
乾燥機で乾燥し、０．７〜１．７mmに整粒し粒剤を得
た。

【００１９】 処方例４の粒剤 １ ピラゾレート原体 １２部 ２ ベンスルフロンメチル原体 ０．５１部 ３ プレチラクロール原体 ４．５部 ４ ポリアクリル酸ナトリウム ３部 ５ α−オレフィンスルホン酸ナトリウム ２部 ６ デキストリン ２部 ７ パーライト １０部 ８ ベントナイト １０部 ９ 炭酸カルシウム ５５．９９部 １及び７の一部のジェットオーマイザー粉砕品（平均粒
径２．５μm)、２及び９の一部のアトマイザー粉砕品、
これらに４、５、６、８及び残りの７と９を混合し水２
０部を加えて練合し、練合物を押し出し型造粒機（０．
８mmφ）で造粒した。これを流動層乾燥機で乾燥し、
０．５〜１．４mmに整粒し粒剤を得た。次いで３を上記
基粒に吸着させ粒剤を得た。

【００２０】 対照の粒剤１ １ カフェンストロール原体 １部 ２ ベンスルフロンメチル原体 ０．１７部 ３ ダイムロン原体 ２部 ４ ポリアクリル酸ナトリウム ２部 ５ ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム ０．２部 ６ デキストリン １．５部 ７ ベントナイト ２５部 ８ 炭酸カルシウム ６８．１３部 １の微粉砕原体（平均粒径２．２μm)、２及び８のアト
マイザー粉砕品、３及び８の一部のジェットオーマイザ
ー粉砕品（平均粒径４μm)、これらに４、５、６、７及
び残りの８を混合し水１３部を加え練合後、練合物を押
し出し型造粒機（０．７mmφ）で造粒した。これを流動
層乾燥機で乾燥し、０．５〜１．４mmに整粒し粒剤を得
た。

【００２１】 対照の粒剤２ １ ピラゾレート原体 ４部 ２ ベンスルフロンメチル原体 ０．１７部 ３ プレチラクロール原体 １．５部 ４ ポリアクリル酸ナトリウム ２部 ５ ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム ０．２部 ６ デキストリン １．５部 ７ ベントナイト ２５部 ８ 炭酸カルシウム ６５．６３部 １、５及び水２．５部を混合しアトライターで粉砕し
（平均粒径２．５μm)、２及び８の一部のアトマイザー
粉砕品、及びこれらに４、５、７及び残りの８を混合し
水１２部を加え練合後、練合物を押し出し型造粒機
（０．７mmφ）で造粒した。これを流動層乾燥機で乾燥
し、０．５〜１．４mmに整粒し粒剤を得た。次いで３を
上記基粒に吸着させ粒剤を得た。

【００２２】試験例１ カフェンストロールの溶出試験 容量１L の瓶に土１５０ｇと水６００mlを加えよく振り
混ぜた。２５℃の恒温室に２４時間静置した後、処方例
１の粒剤を５０mg又は対照の粒剤１を１５０mg（有効成
分施用量は処方例と同じ）をそれぞれ施用し、所定時間
後に水面下中心部の位置の溶出水を採取し、カフェンス
トロールの量を測定した。結果を図１に示す。

【００２３】試験例２ ピラゾレートの溶出試験 表面積９００cm² のコンテナに土３kgを入れ、水深４cm
となるように水を加え代かきを行う。２４時間静置した
後、処方例４の粒剤を９０mg（１kg/ １０ａ）、対照の
粒剤２を２７０mg（３kg/ １０ａ、１０ａ当たりの有効
施用量は処方例と同じ）施用し、所定時間後に水面下１
cmの位置の田面水を採取し、水中ＤＴＰ〔４−（２，４
−ジクロロベンゾイル）−１，３−ジメチル−５−ヒド
ロキシピラゾール〕の量を測定した。結果を図２に示
す。

【００２４】試験例３ 崩壊拡展性試験 直径９cmのシャーレに１０度硬水約５０mlを入れ、処方
例１〜４の粒剤３粒を投下して崩壊の様子を観察し、原
形を留めなくなるまでの崩壊時間及び投下３０分後の拡
展面積を測定した。その結果を表３に示す。

【００２５】

【表３】

【００２６】

【発明の効果】本発明によると、高濃度に水難溶性除草
剤成分を含有する場合であっても、粒剤の崩壊後の水中
への分散が充分である。

【図面の簡単な説明】

【図１】処方例１の粒剤の水中カフェンストロール溶出
曲線を示す。

【図２】処方例４の粒剤の田面水中ＤＴＰ溶出曲線を示
す。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ａ０１Ｎ 43/653 Ａ０１Ｎ 43/653 Ｋ 43/78 １０１ 43/78 １０１ 47/30 47/30 Ｃ //(Ａ０１Ｎ 37/18 47:36） (Ａ０１Ｎ 43/56 47:36） (Ａ０１Ｎ 43/653 47:36） (Ａ０１Ｎ 43/78 47:36） (Ａ０１Ｎ 47/30 47:36）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水難溶性で固体の除草剤成分とポリアク
   リル酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩である陰イオン
   系界面活性剤及び固体担体を含む水田用除草粒剤。
2. 【請求項２】 水難溶性で固体の除草剤成分が、ピラゾ
   レート、カフェンストロール、ダイムロン、メフェナセ
   ット及びブロモブチドから選ばれる、請求項１記載の粒
   剤。
3. 【請求項３】 水難溶性で固体の除草剤成分と共にスル
   ホニルウレア系除草剤成分を含む、請求項１又は２記載
   の粒剤。
4. 【請求項４】 スルホニルウレア系除草剤成分が、ベン
   スルフロンメチル、アジムスルフロン、ピラゾスルフロ
   ンエチル及びイマゾスルフロンから選ばれる、請求項３
   記載の粒剤。