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JPH0995532A - ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂およびその製造方法 - Google Patents

ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂およびその製造方法

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JPH0995532A
JPH0995532A JP25276395A JP25276395A JPH0995532A JP H0995532 A JPH0995532 A JP H0995532A JP 25276395 A JP25276395 A JP 25276395A JP 25276395 A JP25276395 A JP 25276395A JP H0995532 A JPH0995532 A JP H0995532A
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polymerization
pressure
polyamide resin
temperature
mol
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JP25276395A
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Masao Nishiyama
昌男 西山
Yoji Okushita
洋司 奥下
Tadashi Miura
正 三浦
Hideki Fujimura
英樹 藤村
Takashi Amane
隆志 天根
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、ポリアミド形成原料を、特定の重
合温度、かつ、該重合温度と、重合系内の水蒸気圧と重
合時間の積との間に特定の関係式が成り立つように選ば
れた特定の重合圧力および特定の重合時間からなる重合
条件下に加圧溶融重合する前重合工程と、続いての該重
合温度を越えない温度下に行う常圧以下の圧力までの放
圧と、それに続く常圧下および/または減圧下での後重
合工程からなる重縮合法により、特定のポリアミド形成
成分を必須成分とし、該必須成分を特定の組成で含有す
るとともに、吸水率やβ緩和の活性化エネルギーなどに
関し特徴的な物理的性質を有し、かつゲルや黄着色のな
いポリアミド樹脂およびその製造方法に関する。 【効果】 本発明のポリアミド樹脂は、従来公知の技術
では得られなかった優れた酸素ガスバリヤー性および該
酸素ガスバリヤー性の小さな湿度依存性を兼ね備え、食
品、医薬品あるいは化粧品などの包装材料として好適に
使用され得るフィルムを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の成分および組成
からなる、ガスバリヤー性に優れたフィルム材料に好適
なポリアミド樹脂およびその製造方法に関する。さらに
詳しくは、乾燥時および高湿度下のいずれにおいても優
れた酸素ガスバリヤー性を示し、食品、医薬品あるいは
化粧品などの包装材料として好適に使用される、ガスバ
リヤー性に優れたフィルム用ポリアミド樹脂およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】ガスバリヤー性、特に
酸素ガスに対するバリヤー性は、包装材料に実用上求め
られる最も重要かつ基本的な機能の一つである。現在、
この要求に応える材料のベースポリマーとしては、ポリ
アミド樹脂(つまりナイロン)、ポリアクリロニトリル
(PAN)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)およびエ
チレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などが
用いられている。これらのポリマーは、いずれも分子内
に極性の大きな官能基を有し、強固な凝集力で分子を形
成している。とりわけ、PAN、PVDCおよびEVO
Hは高いガスバリヤー性を示す。
【0003】しかしながら、これらのポリマーは、いず
れもナイロンと比較して熱安定性が悪いため、溶融成形
性において問題がある。特に、PVDCとPANは、溶
融成形が困難であるため、共重合することにより、バリ
ヤー性を犠牲にした状態で成形性を改善している。さら
に、PVDCは、酸素ガスバリヤー性には優れている
が、燃焼時に塩素系ガスが発生するという欠点がある。
また、EVOHは、側鎖水酸基の影響で相対湿度の増大
とともに水分率が増大し、それに伴って酸素ガスバリヤ
ー性が著しく低下する性質を持ち、ケーシングやレトル
トなどに使用する場合に大きな欠点となっている。
【0004】一方、ナイロンは、強靱性、耐衝撃性、耐
ピンホール性、透明性などの物性面、溶融成形性、延伸
性などの成形加工面、および価格面などの多面的な観点
からみてフィルム用として最もバランスのとれた材料で
あり、ポリカプロアミド(ナイロン6)がその中核を形
成している。ところが、ナイロン6フィルムを食品、医
薬品あるいは化粧品などの包装材料として利用する場合
には、近年の酸素ガスバリヤー性に対する高度な要求に
十分応えることができない。例えば、ナイロンを用いた
ハイバリヤー材料としては、PVDCをバリヤー層とす
る多層フィルム(例えば、PVDCコートナイロン6)
が市場を引張っているが、熱水処理時の白化、ナイロン
層とPVDC層の間の層間剥離、焼却廃棄時の塩素系ガ
スの発生など種々の欠点がある。
【0005】そこで、上記バリヤー層の代替材料として
は、工業的に生産されているナイロンの中では最もバリ
ヤー性が高い、メタキシリレンジアミン(MXD)とア
ジピン酸を原料とするポリメタキシリレンアジパミド
(ナイロンMXD6)を第1に挙げることができる。そ
して、当該商品としては、ナイロンMXD6をバリヤー
層とする、ナイロン6との多層延伸フィルムが上市さ
れ、市場評価を受けつつある(例えば、特開平5−19
2995号公報、特開平5−193081号公報など参
照)。
【0006】このナイロンMXD6は、ナイロン6、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリカーボネートあるいは
ポリプロピレンなどとの溶融ブレンド、共押出およびラ
ミネートなどによって種々の多層ボトル、多層容器など
が製造され実用に供されていることは周知の通りである
(例えば、特開平6−106615号公報、特開平6−
99486号公報、特開平6−99487号公報、特開
平6−106691号公報、特開平5−261874号
公報、特開平5−156155号公報、特開平5−31
866号公報、特開平4−103348号公報、特開平
2−198820号公報、特開平2−135259号公
報、欧州特許出願第540293 A1号公報、欧州特
許出願第288972 A2号公報、欧州特許出願第3
18964 A2号公報など参照)。
【0007】ところが、ナイロンMXD6は、乾燥状態
におけるガスバリヤー性には優れるが、相対湿度90%
以上の高湿度雰囲気においてはガスバリヤー性が低下す
るため、この欠点をカバーする優れたガスバリヤーナイ
ロンの開発が強く望まれているのである。また、ナイロ
ンMXD6は、主鎖中に1,3−フェニレン結合を持
ち、剛直であるために、ナイロン6やナイロン66など
の脂肪族ナイロンより弾性率が高く、耐ピンホール性が
悪いという欠点も有する。
【0008】また、メタキシリレンアジパミド(MXD
6)繰り返し単位を含むポリアミド樹脂の製造方法とし
ては、例えば、特公昭52−9236号公報に、密閉容
器中で使用する水の自然発生圧力下、190〜280℃
の温度に2〜5時間加熱して初期重合を行い、次いで水
を反応系外に除去しながらさらに240〜300℃の温
度に1〜5時間加熱して重合を完結させるという方法が
開示されている。ところが、上記公報に記載の条件で重
合した場合には、初期重合過程および水の除去過程にお
ける温度が高いために、副反応が起こる可能性があり、
不溶不融のゲルを含む黄着色したポリマーが得られ、良
好な成形性と物性を備えたポリアミド樹脂を製造するこ
とができないのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ナイ
ロンMXD6などのメタキシリレン系ポリアミドを必須
成分とするポリアミド樹脂からなり、酸素ガスに対する
バリヤー性に優れるとともに、該酸素ガスバリヤー性の
湿度依存性が小さい、食品、医薬品あるいは化粧品など
の包装材料として好適に使用される、新規なガスバリヤ
ー性に優れたポリアミド樹脂およびその製造方法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
酸素ガスに対するバリヤー性に優れるとともに、該酸素
ガスバリヤー性の湿度依存性が小さいポリアミド樹脂お
よびその製造方法について鋭意検討を重ねた結果、特定
の成分を必須成分とし、該必須成分を特定の組成で含有
するポリアミド樹脂の製造に際して、温度、圧力および
時間を特定して前重合を行うことにより、ゲルや黄着色
のない、特徴的な物理的性質を有するポリアミド樹脂が
得られること、また、これを成形してなるフィルムが、
従来公知の技術にはない優れた酸素ガスバリヤー性と該
酸素ガスバリヤー性の小さな湿度依存性とを兼ね備えた
フィルムであることを見出し、本発明を完成するに到っ
た。
【0011】すなわち、請求項1に記載の第1の発明
は、メタキシリレンアジパミド単位、メタキシリレンイ
ソフタラミド単位およびメタキシリレンテレフタラミド
単位からなる群より選ばれたアミド繰り返し単位の少な
くとも1つを樹脂全体に対して少なくとも20モル%以
上含むポリアミド樹脂からなり、25℃、相対湿度10
0%における非晶部の吸水率が8重量%以下であり、か
つ、周波数10Hzおよびひずみ0.05%の条件下に
引張りモードで測定した動的粘弾性の温度分散スペクト
ルにおけるβ緩和の活性化エネルギーが18kJ/mo
l以下であることを特徴とするガスバリヤー性に優れた
ポリアミド樹脂を提供することによって達成できる。
【0012】そして、請求項2に記載の第2の発明は、
上記ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂を加圧溶融
下での前重合工程とそれに続く常圧下および/または減
圧下での後重合工程からなる重縮合法により製造するに
あたり、該前重合工程を、重合温度が170℃以上22
0℃以下、および、重合系内の水蒸気圧が3kgf/c
2 G以上であり、かつ、kgf/cm2 Gで表わされ
る該水蒸気圧(P)と時間で表わされる重合時間(t)
との積(Pt)と℃で表わされる前記重合温度(T)と
の関係が前記数式(I)および前記数式(II)を同時に
満足する条件で行い、続いて220℃以下の温度で常圧
以下の圧力まで放圧し縮合水を除去した後、前記後重合
工程に移ることを特徴とする上記第1の発明に係るポリ
アミド樹脂の製造方法を提供することによって達成でき
る。
【0013】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明のポリアミド樹脂は、メタキシリレンアジパミド単
位、メタキシリレンイソフタラミド単位およびメタキシ
リレンテレフタラミド単位からなる群より選ばれたアミ
ド繰り返し単位の少なくとも1つを樹脂全体に対して少
なくとも20モル%以上、好ましくは25モル%以上、
さらに好ましくは30モル%以上含むポリアミド樹脂か
らなり、その物理的性質として、25℃、相対湿度10
0%における非晶部の吸水率が8重量%以下であり、か
つ、周波数10Hzおよびひずみ0.05%の条件下に
引張りモードで測定した動的粘弾性の温度分散スペクト
ルにおけるβ緩和の活性化エネルギーが18kJ/mo
l以下であるポリアミド樹脂である。
【0014】本発明において、前記非晶部の吸水率と
は、水分がポリアミド樹脂の非晶部のみに吸着するもの
として、種々のポリアミド樹脂の結晶化度と水分率につ
いての文献データ(例えば、福本修編,ポリアミド樹脂
ハンドブック,日刊工業新聞社(1988年)および
R.J.Hernandezら,J.Membrane
Sci.,第65巻,187〜199頁(1992年)
など参照)をもとに求めた値である。また、本発明にお
いて、β緩和の活性化エネルギーとは、ポリアミド樹脂
の非晶部分におけるアミド間の水素結合力が弱い部分の
分子運動性に基づき、分子間隙の大きさに対応するもの
であり、後述する方法によって求められ得る。そして、
本発明におけるガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂
とは、例えば、厚さ30μmとして換算した場合の酸素
ガス透過度が、相対湿度0%においては30cc/m2
・24hr・atm以下、好ましくは26cc/m2
24hr・atm以下であるとともに、相対湿度98%
の高湿度下においては前記相対湿度0%における値を越
えないような値を示すポリアミド樹脂を指すのである。
【0015】本発明において、ポリアミド樹脂全体に対
するメタキシリレンアジパミド繰り返し単位および/ま
たはメタキシリレンイソフタラミド繰り返し単位および
/またはメタキシリレンテレフタラミド繰り返し単位の
割合が20モル%未満の場合には、得られるポリアミド
樹脂は酸素ガスに対するバリヤー性が低くなり、本発明
の目的を達成できないので好ましくない。該割合が20
モル%を越え25モル%未満の場合には、前記ポリアミ
ド樹脂の酸素ガスに対するバリヤー性が低くなることが
ある。また、該割合が25モル%を越え30モル%未満
の場合には、該割合が前記20モル%を越え25モル%
未満の範囲にある場合程ではないが、前記ポリアミド樹
脂において酸素ガスに対するバリヤー性が低くなる傾向
が見られる。また、本発明のポリアミド樹脂において、
25℃、相対湿度100%における非晶部の吸水率が8
重量%を越えると、該ポリアミド樹脂は、酸素ガスバリ
ヤー性の湿度依存性が大きくなり、例えば、厚さ30μ
mとして換算した場合の相対湿度98%における酸素ガ
ス透過度がその相対湿度0%における酸素ガス透過度よ
り大きくなるために、高湿度域における酸素ガスバリヤ
ー性が低下して好ましくない。さらにまた、本発明のポ
リアミド樹脂において、前記諸条件下での動的粘弾性の
温度分散スペクトル測定におけるβ緩和の活性化エネル
ギーが18kJ/molを越えると、例えば、厚さ30
μmのポリアミド樹脂フィルムを室温および相対湿度0
%において等圧法で測定した場合の酸素ガス透過度が3
0cc/m2 ・24hr・atmを越えるようになり、
該ポリアミド樹脂はガスバリヤー材料として好ましくな
い。
【0016】すなわち、本発明は、メタキシリレンアジ
パミド単位、メタキシリレンイソフタラミド単位および
メタキシリレンテレフタラミド単位からなる群より選ば
れたアミド繰り返し単位の少なくとも1つを必須成分と
し、これがポリアミド樹脂全体に対して少なくとも20
モル%以上含まれ、そして、物理的性質として、25
℃、相対湿度100%における非晶部の吸水率が8重量
%以下であり、かつ、周波数10Hzおよびひずみ0.
05%の条件下に引張りモードで測定した動的粘弾性の
温度分散スペクトルにおけるβ緩和の活性化エネルギー
が18kJ/mol以下であるポリアミド樹脂からなる
フィルムが、これまでのナイロンフィルムでは得られて
いない高いバリヤー性とその低い湿度依存性を兼ね備え
た優れたガスバリヤーフィルムの提供を可能にするもの
である。
【0017】本発明のポリアミド樹脂の必須成分を構成
するポリアミド形成成分の原料としては、メタキシリレ
ンアジパミド繰り返し単位についてはアジピン酸とメタ
キシリレンジアミンあるいはそれらから得られる等モル
塩、メタキシリレンイソフタラミド繰り返し単位につい
てはイソフタル酸とメタキシリレンジアミンあるいはそ
れらから得られる等モル塩、そして、メタキシリレンテ
レフタラミド繰り返し単位についてはテレフタル酸とメ
タキシリレンジアミンあるいはそれらから得られる等モ
ル塩がそれぞれ好適に用いられる。
【0018】また、本発明のポリアミド樹脂を構成する
上記以外のポリアミド形成成分の原料としては、ジアミ
ンとジカルボン酸あるいはこれらから得られる塩、ω−
アミノカルボン酸、あるいは三員環以上のラクタムがそ
れぞれ好適に用いられる。具体的には、ジアミンとして
は、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミンおよび2,4,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、1,3
−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘ
キサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサ
ン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビ
ス(4−アミノシクロヘキシル)メタンおよび2,2−
ビス−(4’−アミノシクロヘキシル)プロパンなどの
脂環族ジアミン、および、メタキシリレンジアミンおよ
びパラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどを
挙げることができる。ジカルボン酸としては、例えば、
グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸および
ヘプタデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、
1,3−シクロヘキシルジカルボン酸および1,4−シ
クロヘキシルジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、
および、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタ
レンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸などを挙げることができ
る。そして、ジアミンとジカルボン酸から得られる塩と
しては、上記ジアミンと上記ジカルボン酸から得られる
塩を挙げることができる。一方、ω−アミノカルボン酸
としては、例えば、ε−アミノカプロン酸、ω−アミノ
ヘプタン酸、ω−アミノノナン酸、ω−アミノウンデカ
ン酸およびω−アミノドデカン酸などを、三員環以上の
ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−
エナントラクタム、α−ピロリドン、δ−メチルピロリ
ドン、α−ピペリドン、ウンデカンラクタムおよびドデ
カンラクタムなどをそれぞれ挙げることができる。
【0019】すなわち、本発明のポリアミド樹脂を構成
する、前記必須成分以外のポリアミド形成成分は、前記
ジアミンと前記ジカルボン酸、またはこれらから得られ
る塩、あるいは前記ω−アミノカルボン酸を重縮合せし
めて、あるいはまた、前記ラクタムを開環重合せしめて
得られるポリアミドを構成するアミド繰り返し単位、例
えば、テトラメチレンアジパミド単位、カプロアミド単
位、ヘキサメチレンアジパミド単位、ヘキサメチレンセ
バカミド単位、ウンデカンアミド単位、ドデカンアミド
単位およびヘキサメチレンドデカノアミド単位などの脂
肪族ポリアミド構成単位、および、ヘキサメチレンイソ
フタラミド単位、ヘキサメチレンテレフタラミド単位、
メタキシリレンセバカミド単位、メタキシリレンスベラ
ミド単位およびパラキシリレンアジパミド単位などのキ
シリレン基含有ポリアミド構成単位(ただし、メタキシ
リレンアジパミド単位、メタキシリレンイソフタラミド
単位およびメタキシリレンテレフタラミド単位は除く)
などのような芳香族ポリアミド構成単位などからなるも
のである。
【0020】次に、本発明のポリアミド樹脂を得るため
の重合に際しては、例えば、粉末状の前記原料をドライ
ブレンドするか、あるいは、塩および/またはモノマー
の水溶液の形で混合するかなどして、あらかじめ所定の
割合に混合されたこれらの原料を、あるいは所定量の粉
末状の前記原料を、あるいはまた、これら原料と所定量
の水とを前重合装置に仕込み、攪拌しながら以下に述べ
る所定条件で重合することにより、前重合物(オリゴマ
ー)を得ることが必要である。本発明における加圧下で
の前重合工程における重合温度は、170℃以上、22
0℃以下であり、好ましくは180℃以上、210℃以
下である。重合温度が170℃未満であると重合時間が
著しく長くなり、220℃を越えると副反応による分岐
構造の生成、着色、後重合時のゲル化などが発生するの
で、いずれの場合も好ましくない。なお、重合温度が上
述の好ましい範囲を外れる範囲では、これらの好ましく
ない現象が発生する傾向が見られる。
【0021】本発明において、前重合工程における重合
系内の圧力は、その時の前重合装置内の圧力であり、主
として低次重合物、つまりオリゴマーと水との混合物が
示す重合平衡時の水蒸気圧力である。したがって、重合
系内の圧力、すなわち水蒸気圧は、前記の重合温度およ
び後述する水の量によって、3kgf/cm2 G(ただ
し、Gはゲージ圧を示す。以下において同じ)以上飽和
水蒸気圧力以下、好ましくは4kgf/cm2 G以上飽
和水蒸気圧力以下の圧力に調節すべきである。重合圧力
が3kgf/cm2 Gより低いと、固相状態で不均一重
合になる可能性があり好ましくない。重合圧力が上述の
好ましい範囲を外れる場合は、上記の好ましくない現象
が発生する傾向が見られる。なお、この圧力は、前重合
装置に直結された水蒸気の排出ライン内に設けられたバ
ルブなどによって調節することができる。
【0022】本発明の製造方法、すなわち、第2の発明
における特徴は、加圧下での前重合工程の重合条件とし
て、前述の重合温度および重合圧力の範囲内において、
℃で表わされる重合温度(T)と、kgf/cm2 Gで
表わされる重合系内の水蒸気圧(P)と時間で表わされ
る重合時間(t)との積(Pt)との関係が、下記数式
(III )
【0023】
【数3】
【0024】および下記数式(IV)
【0025】
【数4】
【0026】を同時に満足する範囲内にあることであ
る。前記Ptが前記数式(III )を満足しない条件、す
なわち、Pt>2.29×107 exp(−5.99×
10-2T)の条件では、副反応によるアンモニア臭が認
められ、後重合時の着色やゲル化などの原因となり好ま
しくない。一方、前記Ptが前記数式(IV)を満足しな
い条件、すなわち、Pt<3.11×107exp(−
6.79×10-2T)の条件では、重合が十分ではな
く、未反応モノマーがオリゴマー中に多量に存在するよ
うになるので好ましくない。
【0027】本発明において、前重合時に所定量の前記
粉末状原料と所定量の水とを前重合装置に仕込む場合、
該前重合装置に供給される水としては、特に制限される
ものではないが、イオン交換水などの純水もしくは蒸留
水などが好ましい。前重合装置内における水の存在は、
該前重合装置に供給される水、および、前記原料の重縮
合反応または開環重合反応によって副生する水に基づく
ものであり、この水の存在が、前重合装置内における水
蒸気圧力による前記圧力の保持を可能にするとともに、
得られるオリゴマーの分子量を決定するのである。
【0028】前重合装置内に存在する水の量は、前重合
装置の種類、形状や大きさなど、前重合装置への前記原
料あるいは前記原料と水の仕込量、および、前重合装置
の温度・圧力条件などによって決まってくるものであり
一概には言えないが、前重合装置への前記原料の仕込み
基準で、前記原料の合計量100重量部当たり100重
量部以下、好ましくは50重量部以下であることが望ま
しい。水の量が前記原料の合計量100重量部当たり1
00重量部より多いと、前記原料の、ジアミンとジカル
ボン酸、またはこれらの塩、あるいはω−アミノカルボ
ン酸の重縮合反応、あるいはまた前記原料のラクタムの
開環後の重縮合反応が十分進行せず、得られるオリゴマ
ーの重合度が小さくなり、したがって、後重合工程にお
いて、重合度が上がらないので好ましくない。なお、水
の量が前記原料の合計量100重量部当たり50重量部
を越え100重量部未満の場合には、この好ましくない
現象が発生することがある。
【0029】本発明において、前記オリゴマーの分子量
は、該オリゴマーの末端基濃度(アミノ基濃度(〔NH
2 〕)およびカルボキシル基濃度(〔COOH〕))か
ら求められる数平均分子量(以下「Mn」と略記する)
が1000以上であることが望ましい。そのために、前
記数式(III )および数式(IV)を同時に満足する条件
(すなわち、重合温度、重合圧力および重合時間)で前
重合を行い、続いて、220℃以下の温度において常圧
以下の圧力まで放圧し、副生した縮合水を除去した後
に、後重合工程に移る必要がある。前記オリゴマーのM
nが1000未満であると、後重合時に副反応などを起
こしやすい。それは、前記加圧下での前重合に比べてよ
り高温で行われる常圧下および/または減圧下における
後重合において、先に述べた220℃を越える好ましく
ない温度で前記原料モノマーを前重合することと実質的
に変わりなく、副反応が顕著になったり、ジアミン成分
などの蒸発により末端基濃度バランスが崩れたりして、
最終的に得られるポリアミド樹脂に物性的に好ましくな
い影響を与えるのである。そして、常圧以下の圧力まで
放圧することによる副生した縮合水の除去を行わなかっ
た場合、続いて行われる常圧下および/または減圧下で
の後重合工程において、前記オリゴマーの重縮合反応が
十分進行せず、重合物の分子量の上昇が十分でないので
好ましくない。また、前重合後、220℃を越える温度
において常圧以下の圧力まで放圧した場合、副反応によ
る分岐構造の生成、着色および常圧下および/または減
圧下での後重合工程におけるゲル化などが発生するので
好ましくない。
【0030】また、本発明において前重合を行う装置
(前重合装置)については、特に制限がなく、バッチ反
応釜、または1槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状
連続反応装置など公知のものが使用できる。これらの中
でも、オリゴマーの重合時間を均一にするためには、バ
ッチ反応釜が好ましく用いられる。
【0031】本発明においては、以上にようにして得ら
れたオリゴマーは、次の後重合工程において、高分子量
化され、フィルム成形性を有する、本発明に特徴的な性
質を持つポリアミド樹脂が得られるのである。本発明に
おける常圧下および/または減圧下での後重合工程に
は、最終的に得られるポリアミド樹脂の融点以上で重合
する溶融重縮合法や該ポリアミド樹脂の融点未満の固体
状態で重合する固相重合法など様々な公知の重縮合法が
適用できるが、重合時間を短くすることや、前記前重合
との連動性を考慮すると、前者の溶融重縮合法が好適に
用いられる。
【0032】そこで、本発明における常圧下および/ま
たは減圧下での後重合工程において、溶融重縮合法を適
用した場合、最終的に得られるポリアミド樹脂の融点+
10℃以上300℃以下、好ましくは該融点+10℃以
上280℃以下の温度で溶融重合することにより最終的
なポリアミド樹脂を得るのである。溶融重合時の重合温
度が最終的に得られるポリアミド樹脂の融点+10℃よ
り低いと、ポリマーが完全に溶融していない場合があ
り、製造中に部分固化するなどして目的のポリアミド樹
脂を安定的に製造できなくなる可能性がある。また、溶
融重合時の重合温度が300℃より高くなると、熱劣化
により最終的に得られるポリアミド樹脂の着色や機械的
物性の低下をもたらすので好ましくない。なお、これら
の好ましくない現象の発生を確実に抑えるためには、溶
融重合時の重合温度は上述の好ましい範囲内とすること
が必要である。
【0033】次に、後重合時の圧力は、前述したよう
に、常圧および/または減圧であり、好ましくは50〜
760mmHg、特に好ましくは100〜760mmH
gである。圧力が760mmHgを越える加圧下では、
オリゴマー中に含まれる水およびオリゴマーの重縮合反
応による副生水に基づく水蒸気の系外への排気が積極的
に行われず、したがって、オリゴマーの重縮合反応が十
分進行しないので好ましくない。また、圧力が50mm
Hg未満では、オリゴマーの重縮合反応に対するそれ以
上の促進効果が望めないばかりか、前記排気のための減
圧設備に多大のコストがかかるなど好ましくない。な
お、上記排気は、後述する後重合装置に少なくとも1個
のベント口を設け、該ベント口を大気開放状態にする
か、あるいは、該ベント口をナッシュポンプ、メカニカ
ルブースター、スチームエゼクターなどの公知の真空設
備に接続して強制的に排気するなどして行われる。
【0034】上記常圧下および/または減圧下における
重合時間は、分子量が十分上がり、かつ、重合物が熱分
解を生じないように選ばれるべきであり、通常、0.1
〜3時間である。重合時間が上記範囲より短いと、重合
物の分子量の上昇が十分でなく、長いと、重合物が熱劣
化を起こし、いずれの場合も所望の物性を有するポリア
ミド樹脂を得ることができなくなるので好ましくない。
【0035】常圧下および/または減圧下での後重合工
程においては、以上の諸条件により本発明のポリアミド
樹脂を得ることができるが、本発明のポリアミド樹脂を
製造するためのプロセスは、特に制限はなく、バッチプ
ロセスであっても、連続プロセスであってもよい。バッ
チプロセスの場合、前記前重合工程と後重合工程を一つ
の反応装置で行ってもよいし、あるいは、前重合工程の
みを加圧反応釜で行い、後重合工程は、滞留時間は短い
が、表面更新性に優れる混練押出機(単軸型混練押出
機、2軸型混練押出機および多軸型混練押出機など)お
よび特公平4−32096号公報に開示された横型第二
重合槽(二軸混合攪拌機)などの装置を用いて行っても
構わない。また、連続プロセスの場合、1槽式ないし多
槽式の連続反応装置あるいは管状連続反応装置などの公
知のものが使用され得る。
【0036】以上のようにして得られる本発明のガスバ
リヤー性フィルム用ポリアミド樹脂は、前述したような
ポリアミド形成成分からなるホモポリアミドもしくはコ
ポリアミド、あるいはこれらホモポリアミドもしくはコ
ポリアミドの混合物であり、Mnが7000〜3000
0の範囲にあるものである。Mnが7000未満では、
所望のフィルム物性を有するポリアミド樹脂が得られな
いので好ましくなく、30000を越えると、得られる
ポリアミド樹脂は、溶融時の粘度が高くなり溶融成形が
困難になるので好ましくない。
【0037】本発明においては、前記前重合または後重
合に際して、必要ならば重合促進剤として無機系リン化
合物などを添加しても問題はない。無機系リン化合物と
しては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、
ポリリン酸ならびにこれらのアルカリ金属塩やアルカリ
土類金属塩などが好適に用いられる。これら無機系リン
化合物の添加量は、通常、得ようとするオリゴマーある
いはポリマーに対して100〜5000ppmとなるよ
うな量である。添加量がこの範囲から外れた場合は、1
00ppm未満であるとその添加効果がほとんど認めら
れず、5000ppmを越えると重合物の分子量の増大
が著しく、最終的に得られるポリアミド樹脂の溶融成形
が困難になるなど、好ましくない現象が発生する。ま
た、添加方法は、特に制限がなく、例えば、前重合時に
原料モノマーにドライブレンドしたり、あるいは、前重
合時または後重合時に水溶液として供給するなどの方法
が好適である。
【0038】さらに、得られるポリアミド樹脂の成形加
工時の溶融粘度を安定化させるために、必要ならば、前
重合時または後重合時にアミンやカルボン酸などを分子
量調節剤として添加しても何ら問題はない。添加するア
ミンやカルボン酸としては一官能性および/または二官
能性のものであれば特に制限はなく、例えば、ラウリル
アミン、ステアリルアミン、ベンジルアミンなどのモノ
アミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジア
ミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミ
ンなどのジアミン、酢酸、安息香酸、ラウリン酸、ステ
アリン酸などのモノカルボン酸およびアジピン酸、ピメ
リン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの
ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これら分子量調
節剤の添加量は、最終的に得ようとするポリアミド樹脂
の分子量(Mn)が前述の7000〜30000の範囲
になるように、適宜選択される。
【0039】さらにはまた、上述のようにして得られる
ポリアミド樹脂には、オリゴマーの製造時(つまり、前
重合時)またはオリゴマーの溶融重縮合時もしくは固相
重合時(つまり、後重合時)に、必要に応じて、耐熱
剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、結晶核剤、帯電防止
剤、顔料、染料、アンチブロッキング剤などを物性を損
なわない範囲で添加することもできる。
【0040】本発明においては、上記方法で得られたポ
リアミド樹脂を成形することによって、食品、医薬品あ
るいは化粧品などの包装材料として好適なガスバリヤー
性フィルムを製造するのであるが、該ポリアミド樹脂の
フィルム成形方法には特別な制限はない。例えば、押出
成形機を用いた公知のキャスト成形法やチューブラー成
形法が適用できる。キャスト成形法では、押出成形機の
T−ダイヘッドから本発明のポリアミド樹脂を溶融状態
でフィルム状に押出し、次いで、キャスティングドラム
上で冷却固化させて前記ガスバリヤー性フィルムを成形
することができる。また、チューブラー成形法では、押
出成形機のリング状ダイヘッドから本発明のポリアミド
樹脂を溶融状態でチューブ状に押出し、続いて、そのチ
ューブ状体内に空気などを吹き込んだ後、さらにエアリ
ングによる空冷、または、水を直接接触させることによ
る水冷により、冷却固化して、前記ガスバリヤー性フィ
ルムを成形することができる。
【0041】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、その要旨
を越えない限り、これらの実施例および比較例によって
何ら限定されるものではない。なお、以下の各実施例お
よび比較例における重合物(オリゴマーおよび/または
ポリマー)の諸特性は、次のような方法で測定した。 (1)相対粘度(ηr) JIS K6810に準じ、98重量%硫酸を溶媒とし
て、1重量/容量%の重合物濃度で25℃において測定
した。
【0042】(2)末端アミノ基濃度(〔NH2 〕) 約1gの重合物をフェノール/メタノール混合溶媒(容
量比:9/1)40ミリリットルに溶解し、得られた試
料溶液を、指示薬としてチモールブルーを用いて、N/
20塩酸で滴定した。
【0043】(3)末端カルボキシル基濃度(〔COO
H〕) 約1gの重合物に40ミリリットルのベンジルアルコー
ルを加え、窒素ガス雰囲気で加熱溶解し、得られた試料
溶液を、指示薬としてフェノールフタレインを用いて、
N/20水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した。
【0044】(4)β緩和の活性化エネルギー Rheometrics社製RSA II(動的粘弾性測
定装置)を用い、試料フィルムの動的粘弾性の温度分散
スペクトルを以下の条件で測定した。なお、試料フィル
ムの寸法は、5mm(幅)×35mm(長さ)×0.0
3mm(厚み)であった。 測定モード:引張り 周波数:62.7998rad/sec(10Hz) 温度範囲:−150〜250℃ 昇温ステップ:3℃ ひずみ:0.05% β緩和の活性化エネルギーは、上記測定によって得られ
る、試料フィルムの損失弾性率のβ緩和ピークから図積
分法で算出して求めた。
【0045】(5)酸素ガス透過度 MOCON社製酸素ガス透過度測定装置OX−TRAN
2/20を使用し、相対湿度0%、65%、90%およ
び98%の条件下の各試料フィルムについて、23℃で
測定した。なお、相対湿度0%以外の条件における測定
に際しては、湿度を各設定条件にコントロールした酸素
ガスを使用した。
【0046】(6)共重合組成 97重量%重硫酸を溶媒として、5重量%の重合物濃度
で、日本電子(株)製JNM−EX400型FT−NM
Rを用いて、室温で測定したプロトンNMRスペクトル
から組成を求めた。
【0047】実施例1 攪拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口およ
び重合物取出口を備えた容量70リットルの圧力容器
に、アジピン酸とメタキシリレンジアミンからなる等モ
ル塩(MXD6塩)10.82kg(38.317モ
ル)および水11kgからなるMXD6塩水溶液、テレ
フタル酸とヘキサメチレンジアミンからなる等モル塩
(6T塩)4.64kg(16.432モル)および水
13kgからなる6T塩水溶液、アジピン酸0.133
kg(0.910モル)および次亜リン酸ナトリウム1
水和物29g(0.274モル)を仕込んだ。そこで、
圧力容器内を十分窒素置換した後、攪拌下密閉状態で昇
温し、210℃で4時間前重合を行った。圧力は8kg
f/cm2 Gであった。これは、℃で表わされる重合温
度(T)と、kgf/cm2 Gで表わされる重合系内の
水蒸気圧(P)と時間で表わされる重合時間(t)との
積(Pt)との関係が、前記数式(III )および数式
(IV)を満足する、すなわち、Pt≦2.29×107
exp(−5.99×10-2T)およびPt≧3.11
×107 exp(−6.79×10-2T)の範囲に含ま
れる条件である。
【0048】次に、圧力容器内の圧力を210℃におい
て1時間かけて常圧まで放圧し、続いて、該容器内に2
00ml/minの速度で窒素ガスを流しながら260
℃まで昇温した。260℃に達したら、その温度、かつ
圧力760mmHgで2時間重縮合反応を進めた。反応
終了後攪拌を止め、生成したポリマーを圧力容器底部の
重合物取出口からひも状に取り出し、直ちに水槽で冷却
した後、円柱状チップに切断し、80℃で72時間真空
乾燥した。得られたポリマーは、無色透明であり、ηr
=2.48、〔NH2 〕=1.2×10-5eq/gおよ
び〔COOH〕=17×10-5eq/gのものであっ
た。また、その共重合組成は、MXD6/MXDT/6
6/6T=0.52/0.19/0.21/0.08
(モル比)(ただし、MXD6、MXDT、66および
6Tは、ポリマー中のポリアミド形成成分を示し、それ
ぞれ、メタキシリレンアジパミド単位、メタキシリレン
テレフタラミド単位、ヘキサメチレンアジパミド単位お
よびヘキサメチレンテレフタラミド単位を表わす。以下
において同じ)であった。
【0049】続いて、T−ダイスを装着した押出機〔ス
クリュー径(D):25mm、Dに対するスクリュー長
さ(L)の比(L/D)=28、バレル温度:270
℃〕に上記ポリマーを供給し、厚さ30μmのフィルム
を成形した。このフィルムの吸水率、β緩和の活性化エ
ネルギーおよび酸素ガス透過度などの物性を表1に示
す。
【0050】実施例2 実施例1と同様の圧力容器に、イソフタル酸とメタキシ
リレンジアミンからなる等モル塩(MXDI塩)6kg
(19.844モル)および水11.14kgからなる
MXDI塩水溶液、イソフタル酸とヘキサメチレンジア
ミンからなる等モル塩(6I塩)14kg(49.57
9モル)および水4.56kgからなる6I塩水溶液、
イソフタル酸0.192kg(1.156モル)および
次亜リン酸ナトリウム1水和物15g(0.142モ
ル)を仕込んだ。そこで、圧力容器内を十分窒素置換し
た後、攪拌下密閉状態で昇温し、200℃で4時間前重
合を行った。圧力は10kgf/cm2 Gであった。こ
れは、℃で表わされる重合温度(T)と、kgf/cm
2 Gで表わされる重合系内の水蒸気圧(P)と時間で表
わされる重合時間(t)との積(Pt)との関係が、前
記数式(III )および数式(IV)を満足する、すなわ
ち、Pt≦2.29×107exp(−5.99×10
-2T)およびPt≧3.11×107 exp(−6.7
9×10-2T)の範囲に含まれる条件である。
【0051】次に、圧力容器内の圧力を200℃におい
て1時間かけて常圧まで放圧し、続いて、該容器内に2
00ml/minの速度で窒素ガスを流しながら260
℃まで昇温した。260℃に達したら、その温度、かつ
圧力760mmHgで1時間重縮合反応を進めた。反応
終了後攪拌を止め、生成したポリマーを圧力容器底部の
重合物取出口からひも状に取り出し、直ちに水槽で冷却
した後、円柱状チップに切断し、80℃で72時間真空
乾燥した。得られたポリマーは、無色透明であり、ηr
=2.02、〔NH2 〕=3.5×10-5eq/gおよ
び〔COOH〕=17×10-5eq/gのものであっ
た。また、その共重合組成は、MXDI/6I=0.3
0/0.70(モル比)(ただし、MXDIおよび6I
は、ポリマー中のポリアミド形成成分を示し、それぞ
れ、メタキシリレンイソフタラミド単位およびヘキサメ
チレンイソフタラミド単位を表わす。以下において同
じ)であった。
【0052】続いて、T−ダイスを装着した押出機(ス
クリュー径:25mm、L/D=28、バレル温度:2
70℃)に上記ポリマーを供給し、厚さ30μmのフィ
ルムを成形した。このフィルムの吸水率、β緩和の活性
化エネルギーおよび酸素ガス透過度などの物性を表1に
示す。
【0053】実施例3 実施例1と同様の圧力容器に、アジピン酸とメタキシリ
レンジアミンからなる等モル塩(MXD6塩)15.5
kg(54.89モル)および水24kgからなるMX
D6塩水溶液、テレフタル酸とメタキシリレンジアミン
からなる等モル塩(MXDT塩)4.5kg(14.8
83モル)および水10kgからなるMXDT塩水溶
液、アジピン酸0.204kg(1.396モル)およ
び次亜リン酸ナトリウム1水和物37g(0.349モ
ル)を仕込んだ。そこで、圧力容器内を十分窒素置換し
た後、攪拌下密閉状態で昇温し、190℃で8時間前重
合を行った。圧力は10kgf/cm2 Gであった。こ
れは、℃で表わされる重合温度(T)と、kgf/cm
2 Gで表わされる重合系内の水蒸気圧(P)と時間で表
わされる重合時間(t)との積(Pt)との関係が、前
記数式(III )および数式(IV)を満足する、すなわ
ち、Pt≦2.29×107exp(−5.99×10
-2T)およびPt≧3.11×107 exp(−6.7
9×10-2T)の範囲に含まれる条件である。
【0054】次に、圧力容器内の前重合物の温度を19
0℃から220℃に昇温しながら、圧力を220℃にお
いて1時間かけて常圧まで放圧し、続いて、該容器内に
200ml/minの速度で窒素ガスを流しながら26
0℃まで昇温した。260℃に達したら、その温度、か
つ圧力760mmHgで1時間重縮合反応を進めた。反
応終了後攪拌を止め、生成したポリマーを圧力容器底部
の重合物取出口からひも状に取り出し、直ちに水槽で冷
却した後、円柱状チップに切断し、80℃で72時間真
空乾燥した。得られたポリマーは、白色であり、ηr=
2.32、〔NH2 〕=1.8×10-5eq/gおよび
〔COOH〕=18.1×10-5eq/gのものであっ
た。また、その共重合組成は、MXD6/MXDT=
0.79/0.21(モル比)であった。
【0055】続いて、T−ダイスを装着した押出機(ス
クリュー径:25mm、L/D=28、バレル温度:2
70℃)に上記ポリマーを供給し、厚さ30μmのフィ
ルムを成形した。このフィルムの吸水率、β緩和の活性
化エネルギーおよび酸素ガス透過度などの物性を表1に
示す。
【0056】実施例4 実施例1と同様の圧力容器に、イソフタル酸とメタキシ
リレンジアミンからなる等モル塩(MXDI塩)14k
g(46.302モル)および水20kgからなるMX
DI塩水溶液、テレフタル酸とメタキシリレンジアミン
からなる等モル塩(MXDT塩)の粉末6kg(19.
844モル)、イソフタル酸0.183kg(1.10
1モル)および次亜リン酸ナトリウム1水和物34.5
g(0.325モル)を仕込んだ。そこで、圧力容器内
を十分窒素置換した後、攪拌下密閉状態で昇温し、19
0℃で15時間前重合を行った。圧力は8kgf/cm
2 Gであった。これは、℃で表わされる重合温度(T)
と、kgf/cm2 Gで表わされる重合系内の水蒸気圧
(P)と時間で表わされる重合時間(t)との積(P
t)との関係が、前記数式(III )および数式(IV)を
満足する、すなわち、Pt≦2.29×107exp
(−5.99×10-2T)およびPt≧3.11×10
7 exp(−6.79×10-2T)の範囲に含まれる条
件である。
【0057】次に、圧力容器内の圧力を190℃におい
て1時間かけて常圧まで放圧し、続いて、該容器内に2
00ml/minの速度で窒素ガスを流しながら250
℃まで昇温した。250℃に達したら、その温度、かつ
圧力760mmHgで1時間重縮合反応を進めた。反応
終了後攪拌を止め、生成したポリマーを圧力容器底部の
重合物取出口からひも状に取り出し、直ちに水槽で冷却
した後、円柱状チップに切断し、80℃で72時間真空
乾燥した。得られたポリマーは、無色透明であり、ηr
=2.20、〔NH2 〕=1.7×10-5eq/gおよ
び〔COOH〕=18.3×10-5eq/gのものであ
った。また、その共重合組成は、MXDI/MXDT=
0.71/0.29(モル比)であった。
【0058】続いて、T−ダイスを装着した押出機(ス
クリュー径:25mm、L/D=28、バレル温度:2
70℃)に上記ポリマーを供給し、厚さ30μmのフィ
ルムを成形した。このフィルムの吸水率、β緩和の活性
化エネルギーおよび酸素ガス透過度などの物性を表1に
示す。
【0059】比較例1 加圧下での前重合を終えるまでは、実施例2と同様の操
作を行った。次に、その圧力(10kgf/cm2 G)
を保持しながら260℃まで1時間かけて昇温した後、
1時間かけて常圧まで放圧した。続いて、圧力容器内に
200ml/minの速度で窒素ガスを流しながら26
0℃、かつ圧力760mmHgで1時間後重合した。そ
の後攪拌を止め、生成したポリマーを圧力容器底部の重
合物取出口からひも状に取り出したが、部分的にゲル化
したポリマーであった。
【0060】比較例2 アジピン酸とメタキシリレンジアミンからなる等モル塩
(MXD6塩)の粉末231g(0.818モル)、テ
レフタル酸とヘキサメチレンジアミンからなる等モル塩
(6T塩)の粉末99g(0.351モル)、アジピン
酸3.416g(0.023モル)および次亜リン酸ナ
トリウム1水和物0.249g(0.002モル)をド
ライブレンドし、攪拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導
入口、放圧口および重合物取出口を備えた容量1リット
ルの圧力容器に仕込んだ。そこで、圧力容器内を十分窒
素置換した後、攪拌下密閉状態で昇温し、240℃で3
時間前重合を行った。圧力は25kgf/cm2 Gであ
った。次に、圧力容器内の圧力を1時間かけて常圧まで
放圧し、続いて、該容器内に200ml/minの速度
で窒素ガスを流しながら260℃まで昇温した。260
℃に達したら、その温度、かつ圧力760mmHgで1
時間重縮合反応を進めた。反応終了後攪拌を止め、生成
したポリマーを圧力容器底部の重合物取出口からひも状
に取り出したが、部分的にゲル化したポリマーであっ
た。
【0061】比較例3 比較例2と同様な圧力容器を用い、比較例2と同様にし
て原料を仕込んだ。次に、圧力容器内を十分窒素置換し
た後、攪拌下密閉状態で昇温し、210℃で4時間前重
合を行った。圧力は17.5kgf/cm2 Gであっ
た。そこで、圧力容器内の圧力を17.5kgf/cm
2 Gに維持しながら、1時間かけて260℃まで昇温し
た後、さらに1時間かけて常圧まで放圧した。続いて、
圧力容器内に200ml/minの速度で窒素ガスを流
しながら、260℃、かつ圧力760mmHgで1時間
重縮合反応を進めた後、攪拌を止め、生成したポリマー
を圧力容器底部の重合物取出口からひも状に取り出した
が、部分的にゲル化したポリマーであった。
【0062】比較例4 イソフタル酸とメタキシリレンジアミンからなる等モル
塩(MXDI塩)の粉末103.8g(0.343モ
ル)、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンからなる
等モル塩(6I塩)の粉末226.2g(0.801モ
ル)、イソフタル酸2.373g(0.014モル)お
よび次亜リン酸ナトリウム1水和物0.245g(0.
002モル)をドライブレンドし、比較例2と同様な圧
力容器に仕込んだ。そこで、圧力容器内を十分窒素置換
した後、攪拌下密閉状態で昇温し、200℃で3時間前
重合を行った。圧力は8kgf/cm2 Gであった。こ
れは、℃で表わされる重合温度(T)と、kgf/cm
2 Gで表わされる重合系内の水蒸気圧(P)と時間で表
わされる重合時間(t)との積(Pt)との関係が、前
記数式(IV)を満足しない、すなわち、Pt<3.11
×107 exp(−6.79×10-2T)で表わされる
範囲にある条件である。次に、圧力容器内の圧力を20
0℃において1時間かけて常圧まで放圧し、続いて、該
容器内に200ml/minの速度で窒素ガスを流しな
がら260℃まで昇温した。260℃に達したら、その
温度、かつ圧力760mmHgで1時間重縮合反応を進
めた。反応終了後攪拌を止め、生成したポリマーを圧力
容器底部の重合物取出口からひも状に取り出したが、分
子量が十分高くなく、フィルム成形性のないポリマーで
あった。
【0063】比較例5 比較例4と同様な圧力容器を用い、比較例4と同様にし
て原料を仕込んだ。次に、圧力容器内を十分窒素置換し
た後、攪拌下密閉状態で昇温し、200℃で20時間前
重合を行った。圧力は15kgf/cm2 Gであった。
これは、℃で表わされる重合温度(T)と、kgf/c
2 Gで表わされる重合系内の水蒸気圧(P)と時間で
表わされる重合時間(t)との積(Pt)との関係が、
前記数式(III )を満足しない、すなわち、Pt>2.
29×107 exp(−5.99×10-2T)で表わさ
れる範囲にある条件である。次に、圧力容器内の圧力を
200℃において1時間かけて常圧まで放圧したが、放
圧時にアンモニア臭が認められた。続いて、該容器内に
200ml/minの速度で窒素ガスを流しながら26
0℃まで昇温した。260℃に達したら、その温度、か
つ圧力760mmHgで1時間重縮合反応を進めた。反
応終了後攪拌を止め、生成したポリマーを圧力容器底部
の重合物取出口からひも状に取り出したが、部分的にゲ
ル化したポリマーであった。
【0064】比較例6 T−ダイスを装着した押出機(スクリュー径:25m
m、L/D=28、バレル温度:270℃)にナイロン
6(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン102
4FDX8)を供給し、厚さ30μmのフィルムを成形
し、β緩和の活性化エネルギーおよび酸素ガス透過度を
測定した。このフィルムの吸水率、β緩和の活性化エネ
ルギーおよび酸素ガス透過度などの物性は、表1に示す
通りであった。すなわち、このフィルムの吸水率および
β緩和の活性化エネルギーは、それぞれ、20重量%お
よび21.49kJ/molであり、また、乾燥状態お
よび高湿度状態における酸素ガスバリヤー性はいずれも
低かった。
【0065】比較例7 T−ダイスを装着した押出機(スクリュー径:25m
m、L/D=28、バレル温度:270℃)にナイロン
MXD6(三菱瓦斯化学(株)製、商品名:MX600
7)を供給し、厚さ30μmのフィルムを成形し、β緩
和の活性化エネルギーおよび酸素ガス透過度を測定し
た。このフィルムの吸水率、β緩和の活性化エネルギー
および酸素ガス透過度などの物性は、表1に示す通りで
あった。すなわち、このフィルムの吸水率およびβ緩和
の活性化エネルギーは、それぞれ、8.8重量%および
13.87kJ/molであり、また、乾燥状態におけ
る酸素ガスバリヤー性は良好であったが、高湿度状態に
おいては、酸素ガスバリヤー性が低下した。
【0066】比較例8 T−ダイスを装着した押出機(スクリュー径:25m
m、L/D=28、バレル温度:270℃)にナイロン
6T/6I(デュポン社製、商品名:SelarPA)
を供給し、厚さ30μmのフィルムを成形し、β緩和の
活性化エネルギーおよび酸素ガス透過度を測定した。こ
のフィルムの吸水率、β緩和の活性化エネルギーおよび
酸素ガス透過度などの物性は、表1に示す通りであっ
た。すなわち、このフィルムの吸水率およびβ緩和の活
性化エネルギーは、それぞれ、7.3重量%および2
1.55kJ/molであった。また、このフィルムの
高湿度状態における酸素ガスバリヤー性は良好であった
が、乾燥状態における酸素ガスバリヤー性は低かった。
【0067】比較例9 実施例1と同様の圧力容器に、アジピン酸とメタキシリ
レンジアミンからなる等モル塩(MXD6塩)8kg
(28.331モル)および水17kgからなるMXD
6塩水溶液、カプロラクタム18.25kg(161.
248モル)、アジピン酸0.138kg(0.948
モル)および次亜リン酸ナトリウム1水和物40g
(0.377モル)を仕込んだ。そこで、圧力容器内を
十分窒素置換した後、実施例1と同様に操作して、前重
合(温度:210℃、圧力:8kgf/cm2 Gおよび
重合時間:4時間)および後重合(温度:260℃、圧
力:760mmHgおよび重合時間:2時間)を行っ
た。後重合反応終了後、攪拌を止め、生成したポリマー
を圧力容器底部の重合物取出口からひも状に取り出し、
直ちに水槽で冷却した後、円柱状チップに切断し、80
℃で72時間真空乾燥した。得られたポリマーは、白色
であり、ηr=3.52、〔NH2 〕=1.6×10-5
eq/gおよび〔COOH〕=7.1×10-5eq/g
のものであった。また、その共重合組成は、MXD6/
6=0.14/0.86(モル比)(ただし6は、ポリ
マー中のポリアミド形成成分としてのカプロアミド単位
を表わす)であった。続いて、T−ダイスを装着した押
出機(スクリュー径:25mm、L/D=28、バレル
温度:270℃)に上記ポリマーを供給し、厚さ30μ
mのフィルムを成形した。このフィルムの吸水率、β緩
和の活性化エネルギーおよび酸素ガス透過度などの物性
は、表1に示す通りであった。すなわち、このフィルム
の吸水率およびβ緩和の活性化エネルギーは、それぞ
れ、18重量%および20.32kJ/molであり、
また、乾燥状態および高湿度状態における酸素ガスバリ
ヤー性はいずれも低かった。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明は、以上詳述したように、ジアミ
ンとジカルボン酸あるいはこれらから得られる塩、ω−
アミノカルボン酸およびラクタムなどのポリアミド形成
原料、またはこれとさらに水とを原料とし、加圧溶融下
での前重合とそれに続く常圧下および/または減圧下で
の後重合工程からなる重縮合法により、ポリアミド樹脂
を製造するに当たり、加圧下での前重合条件として、重
合温度、重合系内の水蒸気圧、および、該重合温度と、
該重合系内の水蒸気圧と重合時間との積との関係を特定
するとともに、常圧下および/または減圧下での後重合
工程に先立って重合系内を常圧以下の圧力まで放圧する
ことにより、特定のポリアミド形成成分を必須成分と
し、該必須成分を特定の組成で含有するとともに、吸水
率やβ緩和の活性化エネルギーなどに関して特徴的な物
理的性質を有し、かつ、ゲルや黄着色のないポリアミド
樹脂およびその製造方法を提供するものである。したが
って、本発明のポリアミド樹脂は、フィルム状に成形す
ることにより、従来公知の技術では得られなかった優れ
た酸素ガスバリヤー性および該酸素ガスバリヤー性の小
さな湿度依存性を兼ね備えたフィルムを提供することが
でき、該フィルムは、食品、医薬品あるいは化粧品など
の包装材料として好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤村 英樹 山口県宇部市西本町1丁目12番32号 宇部 興産株式会社高分子研究所内 (72)発明者 天根 隆志 山口県宇部市西本町1丁目12番32号 宇部 興産株式会社高分子研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタキシリレンアジパミド単位、メタキ
    シリレンイソフタラミド単位およびメタキシリレンテレ
    フタラミド単位からなる群より選ばれたアミド繰り返し
    単位の少なくとも1つを樹脂全体に対して少なくとも2
    0モル%以上含むポリアミド樹脂からなり、25℃、相
    対湿度100%における非晶部の吸水率が8重量%以下
    であり、かつ、周波数10Hzおよびひずみ0.05%
    の条件下に引張りモードで測定した動的粘弾性の温度分
    散スペクトルにおけるβ緩和の活性化エネルギーが18
    kJ/mol以下であることを特徴とするガスバリヤー
    性に優れたポリアミド樹脂。
  2. 【請求項2】 メタキシリレンアジパミド単位、メタキ
    シリレンイソフタラミド単位およびメタキシリレンテレ
    フタラミド単位からなる群より選ばれたアミド繰り返し
    単位の少なくとも1つを樹脂全体に対して少なくとも2
    0モル%以上含むポリアミド樹脂からなり、25℃、相
    対湿度100%における非晶部の吸水率が8重量%以下
    であり、かつ、周波数10Hzおよびひずみ0.05%
    の条件下に引張りモードで測定した動的粘弾性の温度分
    散スペクトルにおけるβ緩和の活性化エネルギーが18
    kJ/mol以下であるポリアミド樹脂を、加圧溶融下
    での前重合工程とそれに続く常圧下および/または減圧
    下での後重合工程からなる重縮合法により製造するにあ
    たり、該前重合工程を、重合温度が170℃以上220
    ℃以下、および、重合系内の水蒸気圧が3kgf/cm
    2 G以上であり、かつ、kgf/cm2 Gで表わされる
    該水蒸気圧(P)と時間で表わされる重合時間(t)と
    の積(Pt)と℃で表わされる前記重合温度(T)との
    関係が、下記数式(I) 【数1】 および下記数式(II) 【数2】 を同時に満足する条件で行い、続いて220℃以下の温
    度で常圧以下の圧力まで放圧し縮合水を除去した後、前
    記後重合工程に移ることを特徴とする請求項1に記載の
    ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂の製造方法。
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