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JPH09305951A - 磁気記録媒体及び磁気記録方法 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録方法

Info

Publication number
JPH09305951A
JPH09305951A JP11922296A JP11922296A JPH09305951A JP H09305951 A JPH09305951 A JP H09305951A JP 11922296 A JP11922296 A JP 11922296A JP 11922296 A JP11922296 A JP 11922296A JP H09305951 A JPH09305951 A JP H09305951A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic recording
magnetic
recording medium
less
coercive force
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11922296A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Uchiyama
浩 内山
Susumu Haga
進 芳賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP11922296A priority Critical patent/JPH09305951A/ja
Publication of JPH09305951A publication Critical patent/JPH09305951A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Magnetic Heads (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エラーレートが低く、しかも記録密度を大幅
に増大することが可能な磁気記録媒体及び磁気記録方法
を提供する。 【解決手段】 本発明に係る磁気記録媒体は、ギャップ
長が0.4μm以下、トラック幅が3μm以下の磁気ヘ
ッドにより情報信号の記録が行われる磁気記録媒体であ
り、飽和磁化Msが400[kA/m]<Ms<1000[kA/
m]の範囲、残留磁化厚みMr・tが7[mA]<Mr・t<
11[mA]の範囲、抗磁力Hcが140[kA/m]<Hc<2
00[kA/m]の範囲、保磁力角形比S* が0.6<S*
0.85の範囲とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エラーレートが少
なく、しかも記録密度を大幅に増大することができる新
規な磁気記録媒体及び磁気記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体に磁気的に情報信号を記録
する磁気記録の分野では、更なる高密度記録化が要求さ
れている。
【0003】従来、磁気記録は、磁気記録媒体に対して
リング型磁気ヘッドによって記録再生を行う方式が主流
であった。しかし、この方式では、トラック密度を上げ
た場合、リング型磁気ヘッドからの出力が極端に少なく
なり、十分なS/Nが得られなくなってしまう。そのた
め、リング型磁気ヘッドによって記録再生を行う従来の
方式では、高密度記録化を進める上で限界が生じてい
る。
【0004】そこで、近年、再生用磁気ヘッドとして、
外部磁界の大きさによって抵抗値が変化する磁気抵抗効
果素子を用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、MR
ヘッドと称する。)の開発が進められており、実際にハ
ードディスク装置において実用化がなされている。
【0005】MRヘッドは、感磁部の単位長さあたりに
入る磁束量の変化によって出力が決まるため、基本的に
は、トラックの密度を高めても出力が減少するようなこ
とはない。そこで、MRヘッドを用いることにより、ト
ラック密度を大幅に向上することが可能となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、記録密度を
向上させるには、トラック密度を上げる方法と、線記録
密度を上げる方法とがある。そして、上述のように、M
Rヘッドを用いることによって成される記録密度の増大
は、トラック密度を上げることによって成されるもので
あり、MRヘッドを使用しても、線記録密度が大幅に増
大するようなことはない。したがって、MRヘッドを用
いるというだけでは、トラック密度が向上するだけであ
り、線記録密度については、大幅な向上は期待できな
い。そこで、更なる高密度記録化を図るために、線記録
密度についても大幅に向上させることが望まれている。
【0007】本発明は、以上のような従来の実情に鑑み
て提案されたものであり、エラーレートが低く、しかも
記録密度を大幅に増大することが可能な磁気記録媒体及
び磁気記録方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに完成された本発明に係る磁気記録媒体は、ギャップ
長が0.4μm以下、トラック幅が3μm以下の磁気ヘ
ッドにより情報信号の記録が行われる磁気記録媒体であ
って、飽和磁化Msが400[kA/m]<Ms<1000[k
A/m]の範囲内であり、残留磁化厚みMr・tが7[mA]<
Mr・t<11[mA]の範囲内であり、抗磁力Hcが14
0[kA/m]<Hc<200[kA/m]の範囲内であり、保磁力
角形比S* が0.6<S* <0.85の範囲内であるこ
とを特徴とするものである。
【0009】なお、上記磁気記録媒体としては、例え
ば、CoPtCr又はCoPdCrを主たる材料とする
磁気記録層を有するものが挙げられる。このとき、磁気
記録層は、Cを10原子%以下含むことが好ましい。ま
た、磁気記録層は、膜厚が3nm以下のCr膜によっ
て、2層以上に分けられていることが好ましい。
【0010】また、上記磁気記録媒体が、プラスチック
を主たる材料とする基板を有するとき、基板の表面平均
粗さは2nm以下、最大突起高さは25nm以下である
ことが好ましい。
【0011】また、上記磁気記録媒体としては、より具
体的には、例えば、基板上に、C,Si又はGeを材料
とするシード層と、Crを主たる材料とする下地層と、
CoPtCr又はCoPdCrを主たる材料とする磁気
記録層と、Cを主たる材料とする保護層と、Fを含む有
機化合物を主たる材料とする潤滑剤層とが、この順に積
層されてなるものが挙げられる。
【0012】なお、上記磁気記録媒体に対して情報信号
の記録を行う磁気ヘッドは、磁気ギャップ対向面に強磁
性金属薄膜が配され、その強磁性薄膜の飽和磁束密度B
sが1.45T以上であるものが好ましい。
【0013】以上のような本発明に係る磁気記録媒体で
は、飽和磁化Msを400[kA/m]<Ms<1000[kA/
m]、残留磁化厚みMr・tを7[mA]<Mr・t<11[m
A]、抗磁力Hcを140[kA/m]<Hc<200[kA/m]、
保磁力角形比S* を0.6<S* <0.85とすること
により、ギャップ長が0.4μm以下、トラック幅が3
μm以下の磁気ヘッドにより高密度に記録を行っても、
良好に情報信号を記録することができる。
【0014】一方、本発明に係る磁気記録方法は、飽和
磁化Msが400[kA/m]<Ms<1000[kA/m]の範囲
内であり、残留磁化厚みMr・tが7[mA]<Mr・t<
11[mA]の範囲内であり、抗磁力Hcが140[kA/m]<
Hc<200[kA/m]の範囲内であり、保磁力角形比S*
が0.6<S* <0.85の範囲内である磁気記録媒体
に対して、ギャップ長が0.4μm以下、トラック幅が
3μm以下の磁気ヘッドによって情報信号の記録を行う
ことを特徴とするものである。
【0015】以上のような本発明に係る磁気記録方法で
は、ギャップ長が0.4μm以下、トラック幅が3μm
以下の磁気ヘッドにより情報信号を記録するので高密度
に記録を行うことができる。しかも、磁気記録媒体とし
て、飽和磁化Msが400[kA/m]<Ms<1000[kA/
m]、残留磁化厚みMr・tが7[mA]<Mr・t<11[m
A]、抗磁力Hcが140[kA/m]<Hc<200[kA/m]、
保磁力角形比S* が0.6<S* <0.85の磁気記録
媒体を使用しているので、エラーレートが小さく、良好
に情報信号を記録することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した実施の形
態について、実験結果に基づいて説明する。
【0017】まず、図1に示すように、プラスチックか
らなる基板1上に、Crからなる下地層2と、Co80
20からなる磁気記録層3と、Cからなる保護層4と、
Fを含む有機化合物を主たる材料とする潤滑剤層5とが
順次形成された磁気ディスクを作製した。ここで、基板
1には、表面平均粗さが2nm以下、最大突起高さが2
5nm以下のものを使用した。具体的には、基板1に
は、日本ゼオン社製の商品名「ZEONEX」を使用し
た。
【0018】上記下地層2、磁気記録層3及び保護層4
は、インライン型のスパッタリング装置を用いて成膜し
た。なお、ここでは、下地層2、磁気記録層3及び保護
層4は、スパッタリングによって成膜するが、これら
は、真空蒸着法等によって成膜してもよい。
【0019】インライン型のスパッタリング装置は、ク
ライオポンプによって排気を行う排気系と、Arガスを
導入するガス導入口とを備えた複数のチャンバを有して
いる。そして、各チャンバ内の中央部には、カソードが
配されており、各カソードに所定のターゲットを配置す
る。具体的には、第1のチャンバ内のカソードには、C
のターゲットを配置し、第2のチャンバ内のカソードに
は、Co80Pt20のターゲットを配置し、第3のチャン
バ内のカソードには、Crのターゲットを配置した。
【0020】そして、このスパッタリング装置で成膜す
る際は、ターゲットと対向するように、パレット上に配
された基板を配置する。ここで、パレットは、大気にさ
れされることなく、チャンバ間を自由に移動できるよう
になっている。したがって、基板が配されたパレットを
チャンバ間で移動させ、各チャンバ内にて成膜すること
により、基板上に所望する構造の積層膜を成膜すること
ができる。そして、成膜時には、所定のターゲットと対
向するように基板を配置した状態で、カソードに約60
0〜800Vのマイナス電位を印加し、これにより、タ
ーゲットをArガスによってスパッタリングする。
【0021】このようなスパッタリング装置によって、
上述したように、プラスチックからなる基板1上に、C
rからなる下地層2と、Co80Pt20からなる磁気記録
層3と、Cからなる保護層4とを順次形成した。
【0022】ここで、Crからなる下地層2の成膜速度
は約2nm/secとし、Co80Pt20からなる磁気記
録層3の成膜速度は約2nm/secとし、Cからなる
保護層4の成膜速度は約0.5nm/secとした。ま
た、これらの薄膜を成膜する際、スパッタリングは、パ
レットの温度を室温に保って行った。また、スパッタリ
ング前のチャンバ内圧力は、2×10-6Pa以下とし、
スパッタリング時のArガスの圧力は、Crを成膜する
ときは約0.1Paとし、Co80Pt20を成膜するとき
は約0.13Paとし、Cを成膜するときは約0.5P
aとした。
【0023】そして、このように基板1上に下地層2、
磁気記録層3及び保護層4を形成した後、その表面にフ
ッ素系潤滑剤を塗布し、Fを含む有機化合物を主たる材
料とする潤滑剤層5を形成した。
【0024】以上のような磁気ディスクについて、第1
の評価として、下地層2の膜厚を約150nmとし、磁
気記録層3の膜厚tを約5〜15nmの範囲で変化させ
て複数のサンプルを作製し、各サンプルの評価を行っ
た。
【0025】各サンプルの評価は、飽和磁化Ms、抗磁
力Hc、保磁力角形比S* 、残留磁化厚みMr・tを、
振動試料型磁力計(VSM)により測定するとともに、
各サンプルに対して記録再生を行ったときのエラーレー
トを測定して行った。
【0026】ここで、飽和磁化Ms、抗磁力Hc、保磁
力角形比S* 、残留磁化厚みMr・tについて、図2に
示すM−H曲線を参照して説明する。図2に示すよう
に、飽和磁化Msは、飽和点での磁化強度であり、抗磁
力Hcは、H軸とM−H曲線の交点における磁界強度で
ある。また、保磁力角形比S* は、−Hcからの接線と
Msとの交点における磁界強度を−Hc’としたとき、
−Hcと−Hc’との比を示している。すなわち、S*
=Hc/Hc’である。また、残留磁化厚みMr・t
は、M軸とM−H曲線の交点における磁化強度である残
留磁化Mrに、膜厚tを乗じたものである。
【0027】そして、各サンプルを評価する際、エラー
レートの測定は、最内周半径が15.646mmの2.
5インチハードディスク装置にサンプルを組み込み、周
速度4500rpm、すなわち線速度7.4m/sに
て、最短記録波長を0.45μmとして、実際に記録再
生を行うことにより測定した。
【0028】ここで、記録再生に用いた磁気ヘッドの媒
体対向面を拡大した図を図3に示す。この図3に示すよ
うに、記録再生には、薄膜工程によって形成された記録
用磁気ヘッド10と、薄膜工程によって形成された再生
用磁気ヘッド11とが積層された複合型磁気ヘッド(以
下、磁気ヘッドAと称する。)を使用した。
【0029】この磁気ヘッドAにおいて、記録用磁気ヘ
ッド10は、電磁誘導を利用したリング型磁気ヘッドで
あり、一対の磁気コア12,13の間に磁気ギャップが
形成されてなる。一方、再生用磁気ヘッド11は、磁気
抵抗効果を利用したMRヘッドであり、一対の磁気シー
ルド14,15の間に磁気抵抗効果素子16が配されて
なる。ここで、記録用磁気ヘッド10の一方の磁気コア
13は、再生用磁気ヘッド11の一方の磁気シールド1
4を兼ねている。
【0030】そして、この磁気ヘッドAでは、電磁誘導
を利用したリング型磁気ヘッドである記録用磁気ヘッド
10によって磁気ディスクに磁気信号を記録し、磁気抵
抗効果を利用したMRヘッドである再生用磁気ヘッド1
1によって磁気ディスクから磁気信号を再生する。そし
て、ここでは、記録用磁気ヘッド10に、トラック幅t
1が約3.5μm、ギャップ長g1が約0.6μmであ
り、磁気ギャップ対向面に強磁性金属薄膜が配され、そ
の強磁性薄膜の飽和磁束密度Bsが約1.45Tのもの
を使用した。また、再生用磁気ヘッド11には、トラッ
ク幅t2が約2.5μm、ギャップ長g2が約0.4μ
mのものを使用した。
【0031】そして、エラーレートを測定する際は、先
ず、計算機によってM系列のデータを発生させて当該デ
ータを(1,7)変換し、この(1,7)変換されたデ
ータをメモリを通して記録波長に相当するクロックに合
わせてD/A変換した上で記録用回路に入力し、このD
/A変換された信号を上記記録用磁気ヘッド10により
磁気ディスクに記録した。
【0032】その後、磁気ディスクに記録された信号
を、上記再生用磁気ヘッド11によって再生した。ここ
で、再生用磁気ヘッド11から再生用回路に入力された
信号は、記録周波数の8倍程度の比同期のサンプリング
周波数でA/D変換された上で、メモりを通じて計算機
に取り込まれる。そして、当該データに対して、計算機
によって同期クロックの抽出、ピーク検出、パターンピ
ークシフトの除去のためのパルススリミング、及び
(1,7)逆変換等を行った後、先に記録したデータと
比較して、実エラーレートを測定した。
【0033】なお、エラーレートは、サンプルを作製し
た直後のエラーレートの他に、環境試験として、温度6
0℃、湿度90%の環境に2日間保存した後のエラーレ
ートについても測定した。
【0034】以上のような評価の結果について、代表的
な値を表1に示すとともに、残留磁化厚みMr・tとエ
ラーレートとの関係をグラフ化した図を図4に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1及び図4に示すように、エラーレート
は、残留磁化厚みMr・tが約9mAのときに最小とな
り、これよりも、残留磁化厚みMr・tが小さくなって
も、大きくなっても増大してしまう。したがって、残留
磁化厚みMr・tは、9mAの前後の値であることが好
ましく、具体的には、約7〜11mAの範囲内にあるこ
とが好ましい。
【0037】このように、残留磁化厚みMr・tは約9
mAが最適であることが分かったので、以下に挙げる磁
気ディスクでは、磁気記録層3の膜厚tを制御して、残
留磁化厚みMr・tが約9mAとなるようにした。
【0038】つぎに、膜厚が3nm以下のCrからなる
中間層によって磁気記録層3を2層に分けて、磁気記録
層3を2層構造とした磁気ディスクを作製した。このよ
うに磁気記録層3を多層構造にすると、抗磁力Hcが増
大するので、記録密度を高めてメディアサイズを低減す
ることが可能となる。
【0039】そして、第2の評価として、このように磁
気記録層3を2層構造とした磁気ディスクについて、磁
気記録層3を分割する中間層の膜厚を約5〜15nmの
範囲で変化させて複数のサンプルを作製し、第1の評価
と同様に、各サンプルの評価を行った。ただし、エラー
レートは、第1の評価において使用した磁気ヘッドAよ
りも、トラック幅及びギャップ長が狭い磁気ヘッドを用
いて、より高密度に記録再生を行って測定した。具体的
には、この第2の評価では、トラック幅が約2.5μ
m、ギャップ長が約0.4μmの記録用磁気ヘッドと、
トラック幅が約1.5μm、ギャップ長が約0.35μ
mの再生用磁気ヘッドとを積層した複合型磁気ヘッド
(以下、磁気ヘッドBと称する。)を使用した。結果を
表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示すように、抗磁力Hcが小さすぎ
ると、磁気ディスクの作製直後であっても、エラーレー
トは、ハードディスク装置に要求されるエラーレートで
ある5.0×10-7を越えてしまう。また、保磁力角形
比S* が大きすぎると、磁気ディスクの作製直後であっ
ても、エラーレートは、ハードディスク装置に要求され
るエラーレートである5.0×10-7を越えてしまう。
したがって、抗磁力Hcは、Hc>140[kA/m]の範囲
を満たすことが望ましく、保磁力角形比S* は、S*
0.85の範囲を満たすことが望ましい。
【0042】つぎに、Crからなる下地層2を成膜する
際のArガスの圧力を変えて、磁気ディスクを作製し
た。このように下地層2を成膜する際のArガスの圧力
を変えることにより、下地層2の膜質改善によるノイズ
低減効果が期待できる。
【0043】そして、第3の評価として、このように下
地層2を成膜する際のArガスの圧力を変えて、複数の
サンプルを作製し、第2の評価と同様に、各サンプルの
評価を行った。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】表3に示すように、保磁力角形比S* が小
さすぎると、磁気ディスクの作製直後であっても、エラ
ーレートは、ハードディスク装置に要求されるエラーレ
ートである5.0×10-7を越えてしまう。したがっ
て、保磁力角形比S* は、0.6<S* の範囲を満たす
ことが望ましい。そして、上述の第2の評価と、この第
3の評価の結果から、保磁力角形比S* は、0.6<S
* <0.85の範囲を満たすこのが望ましいことが分か
る。
【0046】つぎに、磁気記録層3にCrを添加して磁
気ディスクを作製した。このように磁気記録層3にCr
を添加することにより、耐環境性が高まり、保存後のエ
ラーレートの劣化を防ぐことができる。
【0047】そして、第4の評価として、このように磁
気記録層3にCrを添加した磁気ディスクについて、C
rの添加量を変えて複数のサンプルを作製し、第3の評
価と同様に、各サンプルの評価を行った。結果を表4に
示す。
【0048】
【表4】
【0049】表4に示すように、飽和磁化Msが小さす
ぎると、保存後のエラーレートが、ハードディスク装置
に要求されるエラーレートである5.0×10-7を越え
てしまう。また、飽和磁化Msが大きすぎても、保存後
のエラーレートが、ハードディスク装置に要求されるエ
ラーレートである5.0×10-7を越えてしまう。した
がって、飽和磁化Msは、300[kA/m]<Ms<100
0[kA/m]の範囲を満たすことが望まれる。
【0050】ところで、以上の評価において基準として
きたエラーレートの5×10-7という値は、ハードディ
スク装置を構築する上で、マージンの無いぎりぎりの値
である。
【0051】そこで、更なるマージンを確保するため、
基板1上にCからなるシード層を設けて、このシード層
上に下地層2、磁気記録層3、保護層4及び潤滑剤層5
を形成するとともに、磁気記録層3にCを添加した。こ
のようにシード層を設けたり、磁気記録層3にCを添加
したりすることにより、抗磁力Hcが増大するので、エ
ラーレートの向上が期待できる。なお、ここでは、シー
ド層の材料をCとするが、シード層の材料をSiやGe
等としても同様な効果が期待できる。
【0052】そして、第5の評価として、このような磁
気ディスクについて、磁気記録層3へのCの添加率、C
からなるシード層の膜厚、及びCrからなる下地層2の
膜厚を変化させて複数のサンプルを作製し、第4の評価
と同様に、各サンプルの評価を行った。結果を表5に示
す。
【0053】
【表5】
【0054】表5に示すように、抗磁力Hcを大きくす
ることにより、エラーレートの向上が見られるが、抗磁
力Hcが大きくなりすぎると、逆にエラーレートが悪く
なってしまう。したがって、磁気記録層3へのCの添加
率は、10原子%以下が望ましく、抗磁力Hcは、20
0kA/mよりも小さい方が好ましい。そして、上述の
第2の評価と、この第5の評価の結果から、抗磁力Hc
は、140[kA/m]<Hc<200[kA/m]の範囲を満たす
必要があることが分かる。
【0055】以上の評価の結果から、磁気ディスクの飽
和磁化Msは400[kA/m]<Ms<1000[kA/m]、残
留磁化厚みMr・tは7[mA]<Mr・t<11[mA]、抗
磁力Hcは140[kA/m]<Hc<200[kA/m]、保磁力
角形比S* は0.6<S* <0.85であることが好ま
しいことが分かる。
【0056】なお、以上の説明では、磁気記録層3の主
たる材料は、CoPtCrとしたが、磁気記録層3の材
料はこれに限定されるものではない。具体的には、磁気
記録層3は、例えば、CoPdCrを主たる材料として
形成してもよい。ここで、磁気記録層3をCoPtCr
又はCoPdCr系の薄膜によって形成したとき、その
組成割合は、保存時の経時変化等による磁気特性の劣化
及び欠陥の発生を抑えるために、Crの割合を10原子
%とすることが好ましい。
【0057】なお、本発明では、記録用磁気ヘッドに
は、ギャップ長が0.4μm以下で、トラック幅が3μ
m以下のリング型磁気ヘッドを使用する。ここで、記録
用磁気ヘッドの飽和磁束密度Bsは、1.45T以上で
あることが好ましい。一方、再生用磁気ヘッドは、MR
ヘッドが好適である。ここで、MRヘッドのギャップ
長、すなわちMR素子を狭持する一対の磁気シールド間
の距離は、線記録密度を高めるために0.35μm以下
であることが好ましい。
【0058】このように、記録時には、ギャップ長が
0.4μm以下のリング型磁気ヘッドを使用し、再生時
には、ギャップ長が0.35μm以下のMRヘッドを使
用することにより、線記録密度を向上して、1.5×1
6 bit/mm2 以上の高密度記録を行うことが可能
となる。
【0059】そして、例えば、CoPtCr系の合金か
らなる磁気記録層を備えた磁気ディスクに対して、記録
時には、トラック幅が約3μm、ギャップ長が約0.3
5μmの記録用磁気ヘッドを用いて、再生時には、トラ
ック幅が約2.5μm、ギャップ長が約0.35μmの
再生用磁気ヘッドを用いて、線速度7m/s、最短記録
波長0.45μmの条件で、M系列データに(1,7)
変調を施して記録再生を行ったとする。
【0060】このとき、飽和磁化Msが約350[kA/
m]、残留磁化厚みMr・tが約9.0[mA]、抗磁力Hc
が約145[kA/m]、保磁力角形比S* が約0.8の従来
の磁気ディスクを用いると、エラーレートは5.8×1
-5程度となってしまい、ハードディスク装置として実
用化することは難しい。
【0061】これに対して、飽和磁化Msが約450k
A/m、残留磁化厚みMr・tが約9.0mA、抗磁力
Hcが約167kA/m、保磁力角形比S* が約0.7
5の本発明を適用した磁気ディスクを用いると、エラー
レートは3.0×10-7程度となり、ハードディスク装
置に要求されるエラーレートを十分に満足する。
【0062】このように、飽和磁化Ms、残留磁化厚み
Mr・t、抗磁力Hc及び保磁力角形比S* を適切に設
定することにより、1.5×106 bit/mm2 以上
の高密度記録領域においても、十分に低いエラーレート
を得ることができ、ハードディスク装置等の高密度磁気
記録システムを構築することが可能となる。
【0063】以上、本発明を適用した具体的な実施の形
態について説明したが、本発明は以上の例に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、材質
等を任意に変更することが可能であることは言うまでも
ない。
【0064】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る磁気記録媒体及び磁気記録方法によれば、記録密
度を大幅に増大しても、エラーレートを低く維持するこ
とができる。すなわち、本発明によれば、エラーレート
が低く、しかも記録密度を大幅に増大することが可能な
磁気記録媒体及び磁気記録方式を提供することができ
る。したがって、本発明によれば、例えば、非常に高密
度に情報信号を記録することが可能なハードディスク装
置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気ディスクの一例の要部を
拡大して示す断面図である。
【図2】M−H曲線の一例を示す図である。
【図3】複合型磁気ヘッドの媒体対向面を拡大して示す
平面図である。
【図4】残留磁化厚みMr・tとエラーレートの関係を
示す特性図である。
【符号の説明】
1 基板、 2 下地層、 3 磁気記録層、 4 保
護層、 5 潤滑剤層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ギャップ長が0.4μm以下、トラック
    幅が3μm以下の磁気ヘッドにより情報信号の記録が行
    われる磁気記録媒体であって、 飽和磁化Msが、400[kA/m]<Ms<1000[kA/m]
    の範囲内であり、 残留磁化厚みMr・tが、7[mA]<Mr・t<11[mA]
    の範囲内であり、 抗磁力Hcが、140[kA/m]<Hc<200[kA/m]の範
    囲内であり、 保磁力角形比S* が、0.6<S* <0.85の範囲内
    であること、 を特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 CoPtCr又はCoPdCrを主たる
    材料とする磁気記録層を有することを特徴とする請求項
    1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記磁気記録層が、Cを10原子%以下
    含むことを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記磁気記録層が、膜厚が3nm以下の
    Cr膜によって、2層以上に分けられていることを特徴
    とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 プラスチックを主たる材料とする基板を
    有し、 上記基板の表面平均粗さが2nm以下、最大突起高さが
    25nm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録媒体。
  6. 【請求項6】 基板上に、C,Si又はGeを材料とす
    るシード層と、Crを主たる材料とする下地層と、Co
    PtCr又はCoPdCrを主たる材料とする磁気記録
    層と、Cを主たる材料とする保護層と、Fを含む有機化
    合物を主たる材料とする潤滑剤層とが、この順に積層さ
    れてなることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 上記磁気ヘッドは、磁気ギャップ対向面
    に強磁性金属薄膜が配され、その強磁性薄膜の飽和磁束
    密度Bsが1.45T以上であることを特徴とする請求
    項1記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 ハードディスク装置に使用されることを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 飽和磁化Msが400[kA/m]<Ms<1
    000[kA/m]の範囲内であり、残留磁化厚みMr・tが
    7[mA]<Mr・t<11[mA]の範囲内であり、抗磁力H
    cが140[kA/m]<Hc<200[kA/m]の範囲内であ
    り、保磁力角形比S* が0.6<S* <0.85の範囲
    内である磁気記録媒体に対して、 ギャップ長が0.4μm以下、トラック幅が3μm以下
    の磁気ヘッドによって情報信号の記録を行うこと、を特
    徴とする磁気記録方法。
JP11922296A 1996-05-14 1996-05-14 磁気記録媒体及び磁気記録方法 Withdrawn JPH09305951A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7241519B2 (en) 2003-07-07 2007-07-10 Sony Corporation Magnetic recording medium with columar magnetic layer

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