JPH09206891A - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents
連続鋳造用鋳型Info
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- JPH09206891A JPH09206891A JP3706596A JP3706596A JPH09206891A JP H09206891 A JPH09206891 A JP H09206891A JP 3706596 A JP3706596 A JP 3706596A JP 3706596 A JP3706596 A JP 3706596A JP H09206891 A JPH09206891 A JP H09206891A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 連続鋳造時に発生する鋳片の表面割れの最も
支配的な要因である鋳型内メニスカス近傍における初期
凝固の不均一を抜本的に改善し、曲げや矯正時に歪を受
けた際の割れ起点を解消するとともに、ブレークアウト
等の無い鋳造安定性が高く良鋳片を生産性良く鋳造す
る。 【解決手段】 連続鋳造法で鋳片を製造するに際して、
鋳型表面のメニスカス位置よりも少なくとも20mm上
部からメニスカス下70mmまでの範囲で、かつ、鋳型
コーナーから少なくとも50mmの範囲に深さ0.1〜
0.3mmで、幅1.0〜4.0mmで溝幅と溝間隔の
比が0.3〜0.7となるように溝を付与した連続鋳造
用鋳型。
支配的な要因である鋳型内メニスカス近傍における初期
凝固の不均一を抜本的に改善し、曲げや矯正時に歪を受
けた際の割れ起点を解消するとともに、ブレークアウト
等の無い鋳造安定性が高く良鋳片を生産性良く鋳造す
る。 【解決手段】 連続鋳造法で鋳片を製造するに際して、
鋳型表面のメニスカス位置よりも少なくとも20mm上
部からメニスカス下70mmまでの範囲で、かつ、鋳型
コーナーから少なくとも50mmの範囲に深さ0.1〜
0.3mmで、幅1.0〜4.0mmで溝幅と溝間隔の
比が0.3〜0.7となるように溝を付与した連続鋳造
用鋳型。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鋳片の初期凝固
相を完全に生成させ、連続鋳造時に発生する表面割れ欠
陥、特に鋳片のコーナー部近傍に発生するコーナー割れ
を効率的かつ経済的に防止する連続鋳造用鋳型に関する
ものである。
相を完全に生成させ、連続鋳造時に発生する表面割れ欠
陥、特に鋳片のコーナー部近傍に発生するコーナー割れ
を効率的かつ経済的に防止する連続鋳造用鋳型に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、連続鋳造法によって製造される鋳
片には、広面に発生する縦割れ、横割れあるいは鋳片幅
端部近傍の広面や短辺に発生するコーナー割れ等の種々
の割れ欠陥が発生し易く、特に炭素量が0.1〜0.1
8%含有するいわゆる亜包晶域の鋼種に多発することが
良く知られており、これらの鋼種を直送圧延すると、熱
間圧延後の熱延コイルや厚板製品では板幅端部の耳割れ
と称される欠陥が発生し易いことから、鋳片での手入れ
が必要となり直送圧延できない実態にある。
片には、広面に発生する縦割れ、横割れあるいは鋳片幅
端部近傍の広面や短辺に発生するコーナー割れ等の種々
の割れ欠陥が発生し易く、特に炭素量が0.1〜0.1
8%含有するいわゆる亜包晶域の鋼種に多発することが
良く知られており、これらの鋼種を直送圧延すると、熱
間圧延後の熱延コイルや厚板製品では板幅端部の耳割れ
と称される欠陥が発生し易いことから、鋳片での手入れ
が必要となり直送圧延できない実態にある。
【0003】このコーナー割れは、鋳型のメニスカス近
傍で生じた凝固遅れ部が、一般に900〜700℃の温
度域の脆化域で、曲げ歪や矯正歪を受けこれが集中する
ことにより発生する割れ欠陥であることが、これまでの
研究によって明らかになってきている。
傍で生じた凝固遅れ部が、一般に900〜700℃の温
度域の脆化域で、曲げ歪や矯正歪を受けこれが集中する
ことにより発生する割れ欠陥であることが、これまでの
研究によって明らかになってきている。
【0004】したがって、その防止策としては第1に割
れの起点となる凝固不均一を解消することが重要である
ことに鑑み、該欠陥の起点が主にオシレーションマーク
部であることから、そのオシレーションマークを軽減す
るために、鋳型の振動条件の適正化の他、凝固不均一解
消策として鋳型コーナー部に凹凸加工を施したうえ、塗
料を塗布する方法が特公昭58−29177号公報に、
また鋳型コーナー部を円弧形状にしてここに5〜50K
Hzの超音波振動を付与する方法が特公昭62−367
81号公報に、さらには浸漬ノズルからの吐出流による
コーナー部のシェル洗浄を防止するために電磁力を活用
する方法が特開昭56−160862号公報に開示され
ている。
れの起点となる凝固不均一を解消することが重要である
ことに鑑み、該欠陥の起点が主にオシレーションマーク
部であることから、そのオシレーションマークを軽減す
るために、鋳型の振動条件の適正化の他、凝固不均一解
消策として鋳型コーナー部に凹凸加工を施したうえ、塗
料を塗布する方法が特公昭58−29177号公報に、
また鋳型コーナー部を円弧形状にしてここに5〜50K
Hzの超音波振動を付与する方法が特公昭62−367
81号公報に、さらには浸漬ノズルからの吐出流による
コーナー部のシェル洗浄を防止するために電磁力を活用
する方法が特開昭56−160862号公報に開示され
ている。
【0005】また、第2にはこのような凝固遅れ部を有
す鋳片を、前記した900〜700℃の脆化温度域で曲
げや曲げ矯正を行うと該コーナー割れが生じることか
ら、脆化が生じる温度域での曲げや曲げ矯正を回避する
ことであり、そのために鋳型の冷却水や二次冷却帯にお
けるスプレー水量の適正化を行う方法が特公昭61−1
1704号公報に、あるいはバーナー等で加熱するここ
とによりこの温度域を回避する方法が実開昭57−97
667号公報に開示されている。
す鋳片を、前記した900〜700℃の脆化温度域で曲
げや曲げ矯正を行うと該コーナー割れが生じることか
ら、脆化が生じる温度域での曲げや曲げ矯正を回避する
ことであり、そのために鋳型の冷却水や二次冷却帯にお
けるスプレー水量の適正化を行う方法が特公昭61−1
1704号公報に、あるいはバーナー等で加熱するここ
とによりこの温度域を回避する方法が実開昭57−97
667号公報に開示されている。
【0006】さらには、曲げ部や矯正部で発生する歪を
緩和することを目的に、これらの領域で外部から圧縮力
を付与して発生歪を低減する圧縮鋳造と称される連続鋳
造方法が知られている他に、鋳型と鋳片の摩擦により該
凝固遅れ部に集中する歪を低減するために、高速鋳造時
において鋳型短辺のテーパー率の制御と、鋳型潤滑剤を
一定量確保することにより鋳型内の摩擦力を減じ、コー
ナー割れの発生を防止する方法が特開平7−60422
号公報に開示されている。
緩和することを目的に、これらの領域で外部から圧縮力
を付与して発生歪を低減する圧縮鋳造と称される連続鋳
造方法が知られている他に、鋳型と鋳片の摩擦により該
凝固遅れ部に集中する歪を低減するために、高速鋳造時
において鋳型短辺のテーパー率の制御と、鋳型潤滑剤を
一定量確保することにより鋳型内の摩擦力を減じ、コー
ナー割れの発生を防止する方法が特開平7−60422
号公報に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したよう
にコーナー割れ防止対策は上記のように各種方法が採用
されているにも係わらず、未だ抜本的な解決法が見出せ
ない実態にある。
にコーナー割れ防止対策は上記のように各種方法が採用
されているにも係わらず、未だ抜本的な解決法が見出せ
ない実態にある。
【0008】本発明は、連続鋳造時に発生する鋳片の表
面割れの最も支配的な要因である鋳型内メニスカス近傍
における初期凝固の不均一を抜本的に改善し、曲げや矯
正時に歪を受けた際の割れ起点を解消するとともに、ブ
レークアウト等の無い鋳造安定性が高く良鋳片を生産性
良く鋳造し得る連続鋳造用鋳型を提供することを目的と
する。
面割れの最も支配的な要因である鋳型内メニスカス近傍
における初期凝固の不均一を抜本的に改善し、曲げや矯
正時に歪を受けた際の割れ起点を解消するとともに、ブ
レークアウト等の無い鋳造安定性が高く良鋳片を生産性
良く鋳造し得る連続鋳造用鋳型を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、連続鋳造によ
って製造する鋳片の初期の凝固均一性を向上させ、表面
割れ、特にコーナー割れを防止する優れた手段を提供す
るもので、その特徴とするところは、連続鋳造法で鋳片
を製造するに際して、鋳型表面のメニスカス位置よりも
少なくとも20mm上部からメニスカス下70mmまで
の範囲で、かつ、鋳型コーナーから少なくとも50mm
の範囲に深さ0.1〜0.3mmで、幅1.0〜4.0
mmの溝を下記(1)式を満足する間隔で付与すること
にある。 w/I=0.3〜0.7 ・・・・・(1) ここで、w:溝の幅(mm) I:溝の間隔(mm)
って製造する鋳片の初期の凝固均一性を向上させ、表面
割れ、特にコーナー割れを防止する優れた手段を提供す
るもので、その特徴とするところは、連続鋳造法で鋳片
を製造するに際して、鋳型表面のメニスカス位置よりも
少なくとも20mm上部からメニスカス下70mmまで
の範囲で、かつ、鋳型コーナーから少なくとも50mm
の範囲に深さ0.1〜0.3mmで、幅1.0〜4.0
mmの溝を下記(1)式を満足する間隔で付与すること
にある。 w/I=0.3〜0.7 ・・・・・(1) ここで、w:溝の幅(mm) I:溝の間隔(mm)
【0010】
【発明の実施の形態】コーナー割れの発生は図4に示す
ように、一般に鋳造初期に発生し易い傾向を有している
が、これは鋳造初期には潤滑剤として使用されるパウダ
ーの溶融が不充分なことに加え、鋳造速度も遅いことか
らパウダーの不均一流入を招き、凝固シェルが不均一に
成長することに起因するとの知見を得ている。そこで本
発明者らは、かかる課題を解決するために種々検討を進
めた結果、凝固不均一を支配する大きな要因は鋳型の冷
却強度に依存し、冷却が強くなるほどシェル厚のばらつ
きが大きく、しかもシェル厚方向の温度差が大きいため
にシェルの屈曲が大きいうえにシェル厚のばらつきによ
って屈曲も局部的に変化することから、特にオシレーシ
ョンマーク部では凝固の不均一が一層大きくなるとの知
見を得た。したがって、鋳型の抜熱強度を抑えることが
凝固不均一を解消するとともに、オシレーションマーク
深さの軽減には有効となることを知見したものである。
ように、一般に鋳造初期に発生し易い傾向を有している
が、これは鋳造初期には潤滑剤として使用されるパウダ
ーの溶融が不充分なことに加え、鋳造速度も遅いことか
らパウダーの不均一流入を招き、凝固シェルが不均一に
成長することに起因するとの知見を得ている。そこで本
発明者らは、かかる課題を解決するために種々検討を進
めた結果、凝固不均一を支配する大きな要因は鋳型の冷
却強度に依存し、冷却が強くなるほどシェル厚のばらつ
きが大きく、しかもシェル厚方向の温度差が大きいため
にシェルの屈曲が大きいうえにシェル厚のばらつきによ
って屈曲も局部的に変化することから、特にオシレーシ
ョンマーク部では凝固の不均一が一層大きくなるとの知
見を得た。したがって、鋳型の抜熱強度を抑えることが
凝固不均一を解消するとともに、オシレーションマーク
深さの軽減には有効となることを知見したものである。
【0011】そこで本発明者らはこの抜熱強度低減と併
せ、シェルの均一成長に有効な手段を種々検討した結
果、鋳型にスリットを形成させることにより達成し得る
ことを見出し、適正なスリット構造を探索するために形
状の異なる各種スリットを形成した模擬鋳型をパウダー
を浮かべた溶鋼にオシレーションを与えながら浸漬した
後、速やかに引き上げて、鋳型に付着・成長した凝固シ
ェルの厚みをオシレーションマークを含む条件で測定し
凝固シェルの均一性を向上させるスリット構造の検討を
行った。
せ、シェルの均一成長に有効な手段を種々検討した結
果、鋳型にスリットを形成させることにより達成し得る
ことを見出し、適正なスリット構造を探索するために形
状の異なる各種スリットを形成した模擬鋳型をパウダー
を浮かべた溶鋼にオシレーションを与えながら浸漬した
後、速やかに引き上げて、鋳型に付着・成長した凝固シ
ェルの厚みをオシレーションマークを含む条件で測定し
凝固シェルの均一性を向上させるスリット構造の検討を
行った。
【0012】この浸漬実験に供した溶鋼成分は、C:
0.15%、Mn:0.6%、Si:0.25%、P:
0.015%、S:0.02%の一般的な炭素鋼であ
る。また、ここで前記スリットを形成した鋳型について
図1、図2を参照して説明する。1は鋳型で、長辺側鋳
型壁1aと短辺側の鋳型壁1bで構成している。2は長
辺側鋳型壁1a内面に設けたスリット、3はメニスカス
位置を示した。図2は長辺側鋳型壁1a内面に形成した
スリット2とメニスカス位置の関係を示した図である。
0.15%、Mn:0.6%、Si:0.25%、P:
0.015%、S:0.02%の一般的な炭素鋼であ
る。また、ここで前記スリットを形成した鋳型について
図1、図2を参照して説明する。1は鋳型で、長辺側鋳
型壁1aと短辺側の鋳型壁1bで構成している。2は長
辺側鋳型壁1a内面に設けたスリット、3はメニスカス
位置を示した。図2は長辺側鋳型壁1a内面に形成した
スリット2とメニスカス位置の関係を示した図である。
【0013】前記浸漬実験の結果は表1に示すように、
スリットの幅は1mm未満では効果がなく3mmを越え
るとスリット深さに依存せず凝固シェルの均一性は悪化
し、また、スリットの深さが0.3mmを越えるとスリ
ットの幅に依存せず凝固シェルの均一性が悪化すること
を知見した。なお、スリットの先端形状についてもV
状、図3(b)に示す矩形あるいは図3(a)に示す円
形等の各種形状の影響について調査したが、先端形状の
違いは凝固シェルの均一性には余り大きな影響はない
が、パウダー充填の安定性からは円形状が、また緩冷却
化を促進する上では矩形形状が安定するとの知見を得
た。
スリットの幅は1mm未満では効果がなく3mmを越え
るとスリット深さに依存せず凝固シェルの均一性は悪化
し、また、スリットの深さが0.3mmを越えるとスリ
ットの幅に依存せず凝固シェルの均一性が悪化すること
を知見した。なお、スリットの先端形状についてもV
状、図3(b)に示す矩形あるいは図3(a)に示す円
形等の各種形状の影響について調査したが、先端形状の
違いは凝固シェルの均一性には余り大きな影響はない
が、パウダー充填の安定性からは円形状が、また緩冷却
化を促進する上では矩形形状が安定するとの知見を得
た。
【0014】以上示したように浸漬実験の結果に基づく
と、適正なスリットサイズは、幅は1mm以上3mm以
下で、深さは0.1mm以上0.3mm以下でなければ
凝固シェルの均一性を確保することはできず、不適切な
場合にはスリットの効果を享受できないばかりでなく、
時にはスリットを形成することによってむしろ割れ欠陥
の発生原因となる凝固不均一を拡大する要因になること
も知見した。
と、適正なスリットサイズは、幅は1mm以上3mm以
下で、深さは0.1mm以上0.3mm以下でなければ
凝固シェルの均一性を確保することはできず、不適切な
場合にはスリットの効果を享受できないばかりでなく、
時にはスリットを形成することによってむしろ割れ欠陥
の発生原因となる凝固不均一を拡大する要因になること
も知見した。
【0015】この知見を基に、表2、3に示す各種サイ
ズのスリットを間隔や短辺からの位置やメニスカスから
の位置等を各種変更して形成した鋳型を製作し、連続鋳
造機による鋳造実験を行い、凝固シェルの均一性と縦割
れの発生状況を調査した。この実験に供した溶鋼成分
は、C:0.1〜0.18%、Mn:0.4〜1.6
%、Si:0.08〜0.5%、P:0.02〜0.0
25%、S:0.001〜0.02%の一般に割れの発
生し易い鋼種であり、鋼片サイズは1800mm×28
0mmである。
ズのスリットを間隔や短辺からの位置やメニスカスから
の位置等を各種変更して形成した鋳型を製作し、連続鋳
造機による鋳造実験を行い、凝固シェルの均一性と縦割
れの発生状況を調査した。この実験に供した溶鋼成分
は、C:0.1〜0.18%、Mn:0.4〜1.6
%、Si:0.08〜0.5%、P:0.02〜0.0
25%、S:0.001〜0.02%の一般に割れの発
生し易い鋼種であり、鋼片サイズは1800mm×28
0mmである。
【0016】鋳造試験の結果は表2、3に併せて示すよ
うに、例えば、溶鋼浸漬実験の結果において、凝固シェ
ルの均一化に有効であった幅2mm、深さ0.2mmの
スリットを10mmの間隔で、鋳型の短辺から200m
mの間に形成して鋳造実験を行った結果は、表中のスリ
ット幅と間隔の比=0.2の欄に示すように、コーナー
割れの発生を防止し得ず結果的に手入れを行う必要が生
じた。この例から明らかなように、前記浸漬実験で得た
スリットの幅と深さは必要条件ではあるものの、十分条
件とはなっていないことを示しており表2、3に併せて
示すように、スリットサイズの他にその間隔やスリット
形成位置を特定しなければコーナー割れを有効に防止し
得ないばかりか、不適切なスリットを形成した場合と同
様むしろ有害な結果に至ることを知見し得た。
うに、例えば、溶鋼浸漬実験の結果において、凝固シェ
ルの均一化に有効であった幅2mm、深さ0.2mmの
スリットを10mmの間隔で、鋳型の短辺から200m
mの間に形成して鋳造実験を行った結果は、表中のスリ
ット幅と間隔の比=0.2の欄に示すように、コーナー
割れの発生を防止し得ず結果的に手入れを行う必要が生
じた。この例から明らかなように、前記浸漬実験で得た
スリットの幅と深さは必要条件ではあるものの、十分条
件とはなっていないことを示しており表2、3に併せて
示すように、スリットサイズの他にその間隔やスリット
形成位置を特定しなければコーナー割れを有効に防止し
得ないばかりか、不適切なスリットを形成した場合と同
様むしろ有害な結果に至ることを知見し得た。
【0017】つまり、凝固シェルの均一化に有効なスリ
ット幅や深さであっても、スリットの間隔が広すぎた場
合(スリット幅:2mm、深さ:0.2mm、間隔:1
0mm、スリット幅/スリット間隔:0.2の例)に
は、図6に示すように、鋳片表面近傍の凝固組織から求
めた冷却速度のばらつき、すなわち、凝固シェルの均一
性は劣りスリット相当位置で大きな凝固遅れが発生した
り、図8に示すように、鋳片の先端はもとより中間部に
コーナー割れが発生する。一方、この値が適正な場合
(同0.5の例)には図5に示すように、極めて良好な
均一性が得られるとともに、表2、3および図7に示す
ように、コーナー割れの発生も抑制することが可能なこ
とを見出したものである。
ット幅や深さであっても、スリットの間隔が広すぎた場
合(スリット幅:2mm、深さ:0.2mm、間隔:1
0mm、スリット幅/スリット間隔:0.2の例)に
は、図6に示すように、鋳片表面近傍の凝固組織から求
めた冷却速度のばらつき、すなわち、凝固シェルの均一
性は劣りスリット相当位置で大きな凝固遅れが発生した
り、図8に示すように、鋳片の先端はもとより中間部に
コーナー割れが発生する。一方、この値が適正な場合
(同0.5の例)には図5に示すように、極めて良好な
均一性が得られるとともに、表2、3および図7に示す
ように、コーナー割れの発生も抑制することが可能なこ
とを見出したものである。
【0018】すなわち、スリット幅や深みのみならず、
スリット幅/スリット間隔が適正でなければむしろ凝固
不均一を惹起し、結果的にコーナー割れを誘発すること
に加え、これらの条件が充分満足した場合でも幅方向の
形成する位置によってはコーナー割れ防止効果のないこ
とを知見した。
スリット幅/スリット間隔が適正でなければむしろ凝固
不均一を惹起し、結果的にコーナー割れを誘発すること
に加え、これらの条件が充分満足した場合でも幅方向の
形成する位置によってはコーナー割れ防止効果のないこ
とを知見した。
【0019】そこで本発明者等はさらにスリット形成位
置に関する検討を加えた結果、表2、3に併記するよう
に、鋳型幅方向の端部から少なくとも50mm幅中央寄
りに形成すれば良いことを見出した。
置に関する検討を加えた結果、表2、3に併記するよう
に、鋳型幅方向の端部から少なくとも50mm幅中央寄
りに形成すれば良いことを見出した。
【0020】さらに、メニスカスからの形成位置につい
ても検討を進めた結果、凝固不均一によって割れ欠陥の
起点を生成する位置は、凝固シェルの生成開始時点から
少なくとも2秒以内の位置であることを見出したのであ
る。したがって、その形成位置は鋳造速度によって異な
るものの、一般的に用いられている2m/分以下の速度
までは図2に示すメニスカス3から70mmまでの間に
形成すれば充分であることが判った。
ても検討を進めた結果、凝固不均一によって割れ欠陥の
起点を生成する位置は、凝固シェルの生成開始時点から
少なくとも2秒以内の位置であることを見出したのであ
る。したがって、その形成位置は鋳造速度によって異な
るものの、一般的に用いられている2m/分以下の速度
までは図2に示すメニスカス3から70mmまでの間に
形成すれば充分であることが判った。
【0021】一方、スリット上端位置をパウダーの溶融
層よりも上方まで形成すると、溶融パウダーが均一にス
リットに浸潤することから、より一層凝固シェルの均一
化が可能になる知見を得たのである。つまり、通常の操
業ではこの溶融層厚は20mm程度であることからスリ
ット上端位置は20mm以上を確保すればよい。なお、
この鋳造方向の形成位置に関しては、湯面変動や鋳造中
に湯面レベルの変更を行う場合には、これらの変動・変
更量を考慮したスリット位置を決定すべきである。
層よりも上方まで形成すると、溶融パウダーが均一にス
リットに浸潤することから、より一層凝固シェルの均一
化が可能になる知見を得たのである。つまり、通常の操
業ではこの溶融層厚は20mm程度であることからスリ
ット上端位置は20mm以上を確保すればよい。なお、
この鋳造方向の形成位置に関しては、湯面変動や鋳造中
に湯面レベルの変更を行う場合には、これらの変動・変
更量を考慮したスリット位置を決定すべきである。
【0022】前記浸漬実験の結果では1mm以上3mm
以下のスリット幅によって良好な凝固シェルの均一性が
確保できる知見を得たが、実機試験の結果では鋳型1の
長辺側鋳型壁1aに少なくとも4mm幅まで良好な特性
が得られることが判明した。これは、短辺側の鋳型壁1
bによる凝固シェルへの影響が現れたためと考えられ
る。一方、5mm以上のスリット幅を選定した場合に
は、該スリット幅が過大になり、短辺側の鋳型壁1bと
スリット2間に溶鋼が侵入しシェルを拘束するために割
れの原因となったり、時にはブレークアウト等の操業異
常を招く結果に至った。つまり、スリット幅は1mm以
上4mm以下にする必要があり、さらに、前記スリット
間隔や形成位置等の各種条件を満たすことにより、該凝
固シェルの均一化を確保しコーナー割れを効果的に防止
することが可能なことを見出し得たのである。
以下のスリット幅によって良好な凝固シェルの均一性が
確保できる知見を得たが、実機試験の結果では鋳型1の
長辺側鋳型壁1aに少なくとも4mm幅まで良好な特性
が得られることが判明した。これは、短辺側の鋳型壁1
bによる凝固シェルへの影響が現れたためと考えられ
る。一方、5mm以上のスリット幅を選定した場合に
は、該スリット幅が過大になり、短辺側の鋳型壁1bと
スリット2間に溶鋼が侵入しシェルを拘束するために割
れの原因となったり、時にはブレークアウト等の操業異
常を招く結果に至った。つまり、スリット幅は1mm以
上4mm以下にする必要があり、さらに、前記スリット
間隔や形成位置等の各種条件を満たすことにより、該凝
固シェルの均一化を確保しコーナー割れを効果的に防止
することが可能なことを見出し得たのである。
【0023】
【実施例】以下に本発明について具体的に説明する。表
4に示すスリット形成条件で、下記に示す鋳造条件で鋳
造を行った鋳片のコーナー割れの発生状況および鋳片表
面の手入れ状況を表4に併せて示す。この実験に供した
溶鋼成分は、C:0.1〜0.18%、Mn:0.4〜
1.6%、Si:0.08〜0.5%、P:0.002
〜0.025%、S:0.001〜0.02%を基本成
分とし、一般的に用いられる程度の微量Nb,V,C
u,CrおよびTi等の合金が必要に応じて添加され
た。これは縦割れの発生し易い鋼種である。
4に示すスリット形成条件で、下記に示す鋳造条件で鋳
造を行った鋳片のコーナー割れの発生状況および鋳片表
面の手入れ状況を表4に併せて示す。この実験に供した
溶鋼成分は、C:0.1〜0.18%、Mn:0.4〜
1.6%、Si:0.08〜0.5%、P:0.002
〜0.025%、S:0.001〜0.02%を基本成
分とし、一般的に用いられる程度の微量Nb,V,C
u,CrおよびTi等の合金が必要に応じて添加され
た。これは縦割れの発生し易い鋼種である。
【0024】この表に示す本発明例1〜10から分かる
ように、本発明によって製造した連続鋳造鋳片には、コ
ーナー割れの発生は実質的に皆無であり、熱間圧延後の
製品にも全く耳割れ欠陥が発生せず、本発明を適用する
ことにより極めて効率よく縦割れを防止することができ
る。一方、比較例No.11はスリット幅(w)と間隔
(I)の比が不適切な例、No.12はスリットを形成
したメニスカスを挟む位置が不適切な例で、No.13
は鋳型端からの形成位置が不適切な例、No.14はス
リット幅(w)が不適切な例であり、いずれも鋳片表面
のコーナー割れを防止し得ず、手入れを行ったものの一
部の疵が残存し、鋼板に欠陥が発生した例も生じた。ま
た、No.15は従来例であり比較例以上の欠陥発生を
見た。
ように、本発明によって製造した連続鋳造鋳片には、コ
ーナー割れの発生は実質的に皆無であり、熱間圧延後の
製品にも全く耳割れ欠陥が発生せず、本発明を適用する
ことにより極めて効率よく縦割れを防止することができ
る。一方、比較例No.11はスリット幅(w)と間隔
(I)の比が不適切な例、No.12はスリットを形成
したメニスカスを挟む位置が不適切な例で、No.13
は鋳型端からの形成位置が不適切な例、No.14はス
リット幅(w)が不適切な例であり、いずれも鋳片表面
のコーナー割れを防止し得ず、手入れを行ったものの一
部の疵が残存し、鋼板に欠陥が発生した例も生じた。ま
た、No.15は従来例であり比較例以上の欠陥発生を
見た。
【0025】該連続鋳造鋳片の製造方法は以下の通りで
ある。 連続鋳造鋳片寸法:厚み200/300×幅130
0/2000mm 鋳造速度 :1.0〜2.0m/min 連鋳機の型式 :単円弧型および垂直・曲げ型連
続鋳造機(垂直・曲げ型連鋳機の垂直部は2.5m)
ある。 連続鋳造鋳片寸法:厚み200/300×幅130
0/2000mm 鋳造速度 :1.0〜2.0m/min 連鋳機の型式 :単円弧型および垂直・曲げ型連
続鋳造機(垂直・曲げ型連鋳機の垂直部は2.5m)
【0026】
【発明の効果】本発明は前述の作用、実施例で紹介した
通り、例えば、炭素量が0.1〜0.18%のいわゆる
中炭素鋼を連続鋳造により鋳造して鋳片を製造するに際
して、鋳片表面のコーナー部に発生するコーナー割れを
確実に抑制して、良鋳片を安定して製造することができ
るために高速化、無手入れ化を可能とするものであり、
得られる経済的効果は極めて大きい。
通り、例えば、炭素量が0.1〜0.18%のいわゆる
中炭素鋼を連続鋳造により鋳造して鋳片を製造するに際
して、鋳片表面のコーナー部に発生するコーナー割れを
確実に抑制して、良鋳片を安定して製造することができ
るために高速化、無手入れ化を可能とするものであり、
得られる経済的効果は極めて大きい。
【図1】本発明のスリットを形成した鋳型の斜視図
【図2】図1の長辺側鋳型内面の正面図
【図3】長辺側鋳型の断面図
【図4】従来の鋳型によって鋳造された鋳片において鋳
造初期からコーナー割れの発生状況を示す図
造初期からコーナー割れの発生状況を示す図
【図5】本発明での鋳片幅方向における初期凝固層の冷
却速度(凝固組から求めた値)分布図
却速度(凝固組から求めた値)分布図
【図6】比較例での鋳片幅方向における初期凝固層の冷
却速度(凝固組から求めた値)分布図
却速度(凝固組から求めた値)分布図
【図7】本発明の鋳型によって鋳造された鋳片において
鋳造初期からコーナー割れの発生状況を示す図
鋳造初期からコーナー割れの発生状況を示す図
【図8】比較例の鋳型によって鋳造された鋳片において
鋳造初期からコーナー割れの発生状況を示す図
鋳造初期からコーナー割れの発生状況を示す図
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小森 俊也 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内 (72)発明者 奥原 圭介 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内
Claims (1)
- 【請求項1】 連続鋳造法で鋳片を製造するに際して、
鋳型表面のメニスカス位置よりも少なくとも20mm上
部からメニスカス下70mmまでの範囲で、かつ、鋳型
コーナーから少なくとも50mmの範囲に深さ0.1〜
0.3mmで、幅1.0〜4.0mmの溝を下記(1)
式を満足する間隔で付与することを特徴とする連続鋳造
用鋳型。 w/I=0.3〜0.7 ・・・・・・(1) ここで、w:溝の幅(mm) I:溝の間隔(mm)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3706596A JPH09206891A (ja) | 1996-02-01 | 1996-02-01 | 連続鋳造用鋳型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3706596A JPH09206891A (ja) | 1996-02-01 | 1996-02-01 | 連続鋳造用鋳型 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09206891A true JPH09206891A (ja) | 1997-08-12 |
Family
ID=12487159
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3706596A Withdrawn JPH09206891A (ja) | 1996-02-01 | 1996-02-01 | 連続鋳造用鋳型 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09206891A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014002409A1 (ja) | 2012-06-27 | 2014-01-03 | Jfeスチール株式会社 | 連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法 |
KR20200074622A (ko) | 2018-12-17 | 2020-06-25 | 주식회사 포스코 | 주형 |
-
1996
- 1996-02-01 JP JP3706596A patent/JPH09206891A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014002409A1 (ja) | 2012-06-27 | 2014-01-03 | Jfeスチール株式会社 | 連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法 |
KR20150009985A (ko) | 2012-06-27 | 2015-01-27 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 연속 주조용 주형 및 강의 연속 주조 방법 |
US10792729B2 (en) | 2012-06-27 | 2020-10-06 | Jfe Steel Corporation | Continuous casting mold and method for continuous casting of steel |
KR20200074622A (ko) | 2018-12-17 | 2020-06-25 | 주식회사 포스코 | 주형 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030401 |